JP6026593B2 - 炭素繊維用ピッチの製造方法 - Google Patents
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Description
前記液晶ピッチ系炭素繊維は、前駆体として光学的に異方性の液晶ピッチを用いて製造し、等方性ピッチ系炭素繊維は、前駆体として光学的に等方性の等方性ピッチを用いて製造する。炭素繊維の機械的物性は、液晶ピッチ系炭素繊維が一般的に高強度及び高弾性を示すのに対し、等方性ピッチ系炭素繊維は、低強度及び低弾性の汎用的な物性を示す。
結局、炭素質原料の選択によりピッチの特性を改善できる部分についての研究と理解が不足したため、前記のような問題点を解決するために、ピッチの製造工程内の様々な前処理または後処理を導入するようになった。
一実施例において、前記第1炭素質原料は、高温コールタールであってよい。
一実施例において、前記第2炭素質原料は、酸素含量が5〜20wt%であってよい。
一実施例において、前記第2炭素質原料は、タール酸工程残渣油または450〜900℃で石炭を乾留する時に生成される副産物であってよい。
一実施例において、前記第2炭素質原料は、前記第1炭素質原料より酸性油及び塩基性油の含有量が高くてよい。
一実施例において、前記ステップ(a)は、前記第1炭素質原料と前記第2炭素質原料を100〜200℃で混合して混合物を生成するステップであってよい。
一実施例において、前記ステップ(b)は、前記混合物を酸化性気体雰囲気下で熱処理して重合反応を誘導するステップであってよい。
一実施例において、前記ステップ(c)は、常圧または減圧下で前記熱処理された混合物を340〜370℃の温度範囲内に加熱して低沸点成分を除去するステップであってよい。
前記用語「アルキル」は、炭化水素主鎖の一つ以上の炭素を、例えば、酸素、窒素、硫黄またはリン原子が置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子をさらに含むことができる。
即ち、前記第1炭素質原料は、高温コールタールであってよい。ここで、前記高温コールタールは、黒色の無定形固体であって、軟化点は、20〜100℃であり、芳香族化度(aromaticity)は、0.95以上である。また、炭素と水素のモル比(C/H)は、1.4〜1.6であり、水素含量は、4%未満であることが一般的である。
一実施例において、前記第2炭素質原料の酸素(O)含量は、5〜20wt%であってよい。前記第2炭素質原料に含まれた酸素は、熱処理ステップで炭素質原料間の重合反応を促進する役割を行うことができ、このとき、前記第2炭素質原料の酸素(O)含量が5wt%未満の場合、前記第2炭素質原料の包含に伴う重合反応の促進が僅かであるのに対し、酸素(O)含量が20wt%を超える場合、むしろ熱処理時に過度な重合反応が促進されることによって過重合物質が生成される可能性が高くなる。
ここで、前記タール酸(tar acid)工程残渣油は、コールタールの蒸留等により生成された粗タール酸を蒸留して残った残留物であり、前記450〜900℃で石炭を乾留する時に生成される副産物は、低温コールタールである。
即ち、前記混合物中に前記第1炭素質原料が前記第2炭素質原料より多くの量で含まれてはじめて炭素質原料の重合反応の効率の増加、製造されたピッチの水素含量の増加、及び不融化時間の短縮のような本発明の目的が効果的に達成され得る。
前述した方法によって製造された高軟化点の等方性ピッチの収率は、従来の他の方法を通して製造された等方性ピッチの収率より顕著に高く、物性もまた均一である。
本発明の一実施例によって互いに異なる石炭系炭素質原料を混合して製造されたピッチが、一つの石炭系炭素質原料(高温コールタール)を用いる場合と比べて軟化点及びピッチ収率(反応の重合度)がどのように変化するかを確認するために、下記に記載の方法によってピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール400gと、酸素含量(O)が17%であり、芳香族化度が0.44であるタール酸工程残渣油80gを1000mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。また、350℃まで加熱した後、7時間の間熱処理した。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール400gと、酸素含量(O)が12%であり、芳香族化度が0.48である低温コールタール80gを1000mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。また、350℃まで加熱した後、7時間の間熱処理した。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール400gと、酸素含量(O)が12%であり、芳香族化度が0.48である低温コールタール40gを1000mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。また、350℃まで加熱した後、8時間の間熱処理した。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール200gと、酸素含量(O)が8%であり、芳香族化度が0.52である低温コールタール20gを500mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。酸化性気体として空気を用いて、300ml/minの速度で注入しながら5時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール200gと、酸素含量(O)が8%であり、芳香族化度が0.52である低温コールタール40gを500mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。酸化性気体として空気を用いて、300ml/minの速度で注入しながら5時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
固体粒子が除去された軟化点30℃の高温コールタール200gと、酸素含量(O)が12%であり、芳香族化度が0.48である低温コールタール40gを500mlの反応器に入れ、150℃で30分間撹拌して、均一に混合した。酸化性気体として空気を用いて、300ml/minの速度で注入しながら5時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
実施例1と同一の軟化点30℃の高温コールタール500gを1000mlの反応器に入れ、350℃に加熱した後、14時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
実施例1と同一の軟化点30℃の高温コールタール500gを1000mlの反応器に入れ、340℃に加熱した後、酸化性気体として空気を用いて、400ml/minの速度で注入しながら6時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
実施例1と同一の軟化点30℃の高温コールタール300gを500mlの反応器に入れ、340℃に加熱した後、、酸化性気体として空気を用いて、300ml/minの速度で注入しながら6時間の間熱処理をした。また、圧力150mmHg、温度350℃下で蒸留を通して低沸点物質を除去し、最終的に高軟化点ピッチを製造した。
比較例1は、高温コールタールを唯一の炭素質原料として用い、酸化性気体の混入なしに熱処理だけを通して重合反応を行った。これに対し、比較例2及び比較例3は、高温コールタールを唯一の炭素質原料として用い、酸化性気体の混入下で熱処理を通して重合反応を行った。即ち、高温コールタールを唯一の炭素質原料として用いても、酸化性気体の混入下で熱処理を通して重合反応を行う場合、高軟化点の等方性ピッチを製造できるということを確認することができる。
本発明の一実施例によって互いに異なる石炭系炭素質原料を混合して製造されたピッチが、増加した水素含量により不融化時間を大幅に短縮させ、これによって炭素繊維の製造時間及び単位時間当たりの生産量を極大化させることができるか否かを確認するために、前記に言及した方法により製造された実施例1〜6及び比較例1〜3のピッチを320℃で直径0.3mmのノズルで連続紡糸し、ピッチ繊維を製造した。
さらに、本発明の一実施例によって製造されたピッチで炭素繊維を製造するとき、単位時間当たりの生産量を極大化すると同時に、等方性ピッチを用いるにもかかわらず、高強度の炭素繊維の製造が可能である。
Claims (13)
- (a)コールタール(coal tar)を主成分として含む第1炭素質原料、及び少なくとも一つのヒドロキシル基(−OH)を含む単環式または二環式芳香族性炭化水素を含む、タール酸工程残渣油または450〜900℃で石炭を乾留する時に生成される副産物である第2炭素質原料を混合し、前記第1炭素質原料の含量が前記第2炭素質原料の含量より高い割合となるように混合して混合物を生成するステップ;
(b)前記混合物を熱処理するステップ;及び
(c)前記熱処理された混合物から低沸点成分を除去するステップ;を含む、炭素繊維用ピッチの製造方法。 - 前記第1炭素質原料は、900〜1300℃で石炭を乾留する時に生成される副産物である、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記第1炭素質原料は、高温コールタールである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記第2炭素質原料は、酸素含量が5〜20wt%である、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記450〜900℃で石炭を乾留する時に生成される副産物は、低温コールタールである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記第2炭素質原料は、前記第1炭素質原料より酸性油及び塩基性油の含有量が高い、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記第2炭素質原料は、フェノール(phenol)、クレゾール(cresol)、キシレノール(xylenol)、エチルフェノール(ethylphenol)、クメノール(cumenol)、及びナフトール(naphthol)から選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記ステップ(a)は、前記第1炭素質原料100重量部に対して、前記第2炭素質原料1〜50重量部を混合して混合物を生成するステップである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記ステップ(a)は、前記第1炭素質原料と前記第2炭素質原料を100〜200℃で混合して混合物を生成するステップである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記ステップ(b)は、前記混合物を300〜350℃で熱処理して重合反応を誘導するステップである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記ステップ(b)は、前記混合物を酸化性気体雰囲気下で熱処理して重合反応を誘導するステップである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記酸化性気体は、空気、酸素、及びオゾンから選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
- 前記ステップ(c)は、常圧または減圧下で前記熱処理された混合物を340〜370℃の温度範囲内に加熱して低沸点成分を除去するステップである、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
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