JP5677727B2 - チオール基含有接着性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)、ポリチオール(C)、および光重合開始剤(D)を含むチオール基含有接着性組成物であって、
前記チオール基含有接着性組成物に含まれる(メタ)アクリレート基全量1当量に対して、前記ポリチオール(C)が有するチオール基が0.4当量以上1.0当量以下の量であることを特徴とする。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)および(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)を20質量部以上、好ましくは30〜70質量部の量で含むのが望ましい。
さらに、前記ポリチオール(C)は、メルカプトカルボン酸由来のポリチオールであるのが望ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)とは、GPCにより測定されたポリスチレン換算で求められる値を意味する。
本発明のチオール基含有接着性樹脂組成物は、
重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)、ポリチオール(C)、および光重合開始剤(D)を含むチオール基含有接着性組成物であって、
前記チオール基含有接着性組成物に含まれる(メタ)アクリレート基全量1当量に対して、前記ポリチオール(C)が有するチオール基が0.4当量以上1.0当量以下の量であることを特徴としている。
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000、好ましくは5,000〜20,000である(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−]を1つ以上有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を複数有する化合物である。該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーに水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加させることによって製造することができる。重量平均分子量(Mw)が5,000未満であると充分な接着力を発揮できないおそれがあり、40,000を超えると他の成分との相溶性が低下するおそれがある。
上記(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)は、下記式(X)に表されるモルホリン環を有する環式モノマーである。本発明のチオール基含有接着性樹脂組成物において、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)および(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)の合計100質量部に対し、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)を20質量部以上、好ましくは30〜70質量部の量で配合するのが望ましい。30質量部以上であると良好な接着性を発揮し得る一方、70質量部を超えると架橋密度が不充分となってオリゴマー特性(力学特性)が低下するおそれがある。したがって上記範囲内であれば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)とが形成する架橋ポリマー中に接着発現に関与する(メタ)アクリレート基を適度な量で保持し、後述する所望量のチオール基とも相まって、接着強度の低下や高粘度化を有効に回避しつつ、PET(特に無処理PET)やポリイミド等の熱可塑性樹脂、金属酸化物および金属の被着体に対する接着性を向上させることが可能となる。
本発明のチオール基含有接着性樹脂組成物には、ポリチオール(C)が含まれる。該ポリチオール(C)はチオール基を有することから、上記チオール基含有接着性樹脂組成物中には、チオール基が存在する。また、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)および(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)はともに(メタ)アクリレート基を有することから、上記チオール基含有接着性樹脂組成物中には(メタ)アクリレート基も存在している。また、後述するように、上記チオール基含有接着性樹脂組成物に(メタ)アクリレート基を有するその他の添加物を配合した場合、上記チオール基含有接着性樹脂組成物中にはこれらに起因する(メタ)アクリレート基も存在する。すなわち、本発明のチオール基含有接着性樹脂組成物には、これらウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)およびその他の添加物に起因する(メタ)アクリレート基が含まれている。そして、上記ポリチオール(C)が有するチオール基の量は、上記チオール基含有接着性組成物に含まれる(メタ)アクリレート基全量1当量に対して、0.4当量以上1.0当量以下、より好ましくは0.5〜1当量である。なお、この値は、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)および(メタ)アクリレート基を有するその他の添加物と、ポリチオール(C)とのモル数および官能基数から求めることができる。このように、チオール基が(メタ)アクリレート基に対して特定の量で存在することにより、(メタ)アクリレート基由来の接着発現機能を阻害することなく、IZO等の金属酸化物や金等の金属の被着体に対する接着性を向上させることが可能となる。
本発明のチオール含有樹脂組成物には、さらに光重合開始剤(D)が含まれる。光重合開始剤(D)としては、具体的には、分子内開裂型として、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:ダロキュア1173、イルガキュア184、イルガキュア127]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907、イルガキュア369]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア819]等が挙げられ、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用等が挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。中でもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、Lamberti S.p.A製、商品名:ESACURE KIP150等]、アクリル化ベンゾフェノン[例えば、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:Ebecryl P136等]、イミドアクリレート等が挙げられる。
本発明の接着性樹脂組成物には、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)、ポリチオール(C)、および光重合開始剤(D)のほか、本発明の効果を損なわない範囲内の量で、その他の添加物を含んでいてもよい。これら添加物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリール;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー等の(メタ)アクリル系モノマーや、これらのモノマーを重合させることにより得られる(メタ)アクリル系ポリマー;
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機物;カラスバルーン、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機中空体;ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機物;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどの有機中空体から選ばれる充填剤;発泡剤;染料;顔料;シランカップリング剤;重合禁止剤;安定剤等が挙げられる。
表1〜3に示す配合の接着性樹脂組成物を調製し、下記の方法で各被着体(PET:東レ製「ルミラーT60」、PI:東レ製「カプトン200EN−508X100−K3CAA」、IZO:帝人製「HP125CC−B200」、Au:丸和製作所製FPC用金蒸着フィルム)に対する接着強度を測定した。結果を表1〜5に示す。
(1)各対照基材に50μmの厚みになるように接着性樹脂組成物を塗布し、(2)その上に、易接着PET:03LF8を裏打ち材として挟み込み、(3)易接着PETの上から、700 mW/cm2の照射強度でUVを照射して、サンプルを作製し、その後、(4)JISK6854−2に則って、剥離試験を行った。
※2:日本合成化学製、商品名「UV6640B」、ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=5,000
※3:日本合成化学製、商品名「UV3310B」、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=5,000
※4:日本合成化学製、商品名「UV3200B」、ポリエステル系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=10,000
※5:日本合成化学製、商品名「UV3700B」、ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量(Mw)=38,000
※6:日本合成化学製、商品名「UV6300B」、ウレタンアクリレートオリゴマー含有組成物、重量平均分子量(Mw)=1,800
※7:日本合成化学製、商品名「UV7605B」、ウレタンアクリレートオリゴマー含有組成物、重量平均分子量(Mw)=3,900
※8:新中村化学製、商品名「AMO」、アクリロイルモルホリン
※9:共栄社化学製、商品名「IAA」、イソアミルアクリレート
※10:共栄社化学製、商品名「NP−A」、ネオペンチルグリコールジアクリレート
※11:共栄社化学製、商品名「PE−3A」、トリメチロールプロパントリアクリレート
※12:共栄社化学製、商品名「PE−4A」、ペンタエリスリトールテトラアクリレート
※13:共栄社化学製、商品名「DPE−6A」、ジペンタエリストールヘキサアクリレート
※14:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
※15:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
※16:トリス[(3-メルカプトプロピオニロキシ)-エチル]イソシアヌレート
※17:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよびモノマーの合計100質量部に対する配合量
※18:チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184D」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
また、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)以外の(メタ)アクリルモノマーを配合した比較例12〜18および比較例19〜24と比較しても、実施例1〜3及び5〜14は同等もしくはより顕著な効果を奏することもわかる。
さらに、(メタ)アクリレート基に対するチオール基の当量が0.4当量に満たない比較例2〜6および比較例8〜11と比較して、実施例1〜3及び5〜14が同等もしくはより良好な結果を示すことがわかる。
なお、(メタ)アクリレート基に対するチオール基の当量が1.0当量を超える比較例37と比較して、1.0当量以下の実施例1〜3、実施例5〜14がより顕著な効果を奏することも明らかである。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000の範囲内である実施例1〜21は、重量平均分子量(Mw)が5,000に満たない比較例31〜36と比較して、各成分との良好な相溶性にも起因して、優れた接着性を示すことも明らかである。
Claims (4)
- 重量平均分子量(Mw)が5,000〜40,000であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)、ポリチオール(C)、および光重合開始剤(D)を含むチオール基含有接着性組成物であって、
前記チオール基含有接着性組成物に含まれる(メタ)アクリレート基全量1当量に対して、前記ポリチオール(C)が有するチオール基が0.4当量以上1.0当量以下の量であることを特徴とするチオール基含有接着性樹脂組成物。 - 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)および(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)を20質量部以上の量で含むことを特徴とする請求項1に記載のチオール基含有接着性樹脂組成物。
- 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)および(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記(メタ)アクリロイルモルホリンモノマー(B)を30〜70質量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載のチオール基含有接着性樹脂組成物。
- 前記ポリチオール(C)が、メルカプトカルボン酸由来のポリチオールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチオール基含有接着性樹脂組成物。
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