JP2021028313A - 光硬化性人工爪組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】「爪への密着性」という基本性能以外に、日常生活において生じる物理的な応力等にも耐えうる「耐久性」、更にはそれらに一見相反するかに思われる「手軽な除去性(オフ性)」をも有する、光硬化性人工爪組成物を提供すること。【解決手段】下記の(A)乃至(D)の成分を含有する光硬化性人工爪組成物であって、(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子内のウレタン結合基数が、少なくとも10以上であることを特徴とする、光硬化性人工爪組成物である。(A)重量平均分子量が10,000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)(メタ)アクリル系モノマー(C)不飽和基を有するシランカップリング剤(D)光重合開始剤【選択図】なし

Description

本発明は、爪に対する強い密着性が持続し、長時間剥がれることのない光硬化性人工爪組成物に関し、特に光硬化性人工爪の、ベース層として好適な人工爪組成物に関するものである。
装飾や補強等を目的としたマニキュアやペディキュア等は、開発当初はニトロセルロース系のラッカー等を含む有機溶剤系のものが主流であった。しかし、これは、溶媒の乾燥に数分を要し、塗膜が完成するまでの間、他の作業が出来なくなるなどの点で不便であるほか、有機溶剤の吸入等による安全性の問題もあった。
そのため、近年では、ラジカル重合反応を利用し、樹脂を架橋して高分子被膜を形成する、「光硬化性人工爪組成物(いわゆるジェルネイル)」というものが主流となっている。
この光硬化性人工爪組成物には、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとアクリル系モノマー等を含むジェル状の組成物を、爪の表面に塗布した後、紫外線を照射して硬化させるものがあるが、有機溶剤を乾燥させるよりも短い時間の照射で塗膜が完成することや、有機溶剤を使用せず安全性により優れていること、ラジカル重合反応により、組成物中の高分子が架橋され、強力な塗膜を形成すること、その結果爪からの脱落・剥離が少ないこと等から、爪専門のサロン等においても、多用されている。
しかしながら、光硬化性人工爪組成物は、塗膜そのものの強度には優れるものの、物理的な応力に弱いという欠点があった。これは、光硬化性の樹脂のもつ、硬化収縮等によるものであり、例えば、光硬化性人工爪組成物で爪に塗膜を形成した後に、壁のスイッチやボタン等を押す等の動作を行うことによって、指(特に爪部分)に、瞬間的に集中した応力がかかり、人工爪の剥離が起こる現象である。
また、人工爪には、使用時の強い密着性・耐久性と同時に、使用後の手軽な除去性(オフ性)という、ある意味、相反する性質が求められるという難しさがある。
そこで本発明者は、まず、物理的な応力等に耐えうる耐久性を達成すべく試行錯誤した結果、光硬化性樹脂として、通常よりも高分子量(重量平均分子量10,000以上)のウレタンアクリレートを使用することで、光硬化させた後の塗膜を柔らかくし、爪への追随性を高め、硬化収縮や応力の発生を極力抑えうることを見出した。
ウレタンアクリレート系の樹脂は、塗膜中のウレタン結合が爪との間で強い水素結合を生じ、密着性に優れることから、光硬化性人工爪組成物に従来から広く用いられおり、その分子量としては、低分子量のものから高分子量のものまで、種々提案されている。
例えば特許文献1や特許文献2では「重量平均分子量が400〜30,000」、特許文献3では、「重量平均分子量が600〜50,000」というように、重量平均分子量が10,000を超える高分子量のものも提案されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献3の場合、実施例等で具体的に開示されている処方は、分子量が数百〜数千といった低分子量のものばかりであるほか、爪への十分な密着性と、瞬間的な強い応力に対する抵抗性を両立し得るものは、実質的には提案されていない。
また、特許文献2の場合、短時間での除去性(オフ性)を有する光硬化性人工爪組成物が提案されているものの、この除去性の発揮のためには、ロジン等の「粘着付与剤」の成分を、光硬化性樹脂とは別に、数%〜40重量%近くも配合する必要があり、光硬化性人工爪組成物の処方の自由度が制限されてしまうという問題があるほか、「粘着付与剤」の配合量が多すぎると、硬化膜が硬くなるとともに脆くなるという点に配慮する必要もある(特許文献2[0024])。
特開2018−70498号公報 特開2018−27944号公報 特開2011−229725号公報
そこで本発明者は、更に鋭意検討を行った結果、重量平均分子量10,000以上の高分子量ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの、1分子内の「ウレタン結合基数」を多くすることで、ロジン等の「粘着付与剤」の成分が含まれていなくても「爪への結合性」と「容易な除去性」の両立が可能となることを見出し、本発明に到達したものであって、その目的とするところは、「爪への密着性」という基本性能以外に、日常生活において生じる応力等にも耐えうる「耐久性」、更にはそれらに一見相反するかに思われる「手軽な除去性(オフ性)」をも有する、光硬化性人工爪組成物を製造するにある。
(但し、本発明の組成物に、「粘着付与剤」等を含有させることを否定するものではない。)
上述の目的は、下記第一の発明から第三の発明によって、達成される。
<第一の発明>
下記の(A)乃至(D)の成分を含有する光硬化性人工爪組成物であって、(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子内のウレタン結合基数が、少なくとも10以上であることを特徴とする、光硬化性人工爪組成物。
(A)重量平均分子量が10,000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
(B)(メタ)アクリル系モノマー
(C)不飽和基を有するシランカップリング剤
(D)光重合開始剤
<第二の発明>
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのポリオール成分が、ポリエーテル系のものであることを特徴とする、第一の発明に記載の光硬化性人工爪組成物。
<第三の発明>
光硬化性の人工爪のベース層として用いるものであることを特徴とする、第一の発明又は第二の発明に記載の光硬化性人工爪組成物。
本発明の光硬化性人工爪組成物は、初期密着性、耐久性、及び除去性(オフ性)に優れているため、光硬化性人工爪組成物の、ベース層として特に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[本発明の光硬化性人工爪組成物]
本発明の光硬化性人工爪組成物は、下記の(A)乃至(D)の成分を含有する光硬化性人工爪組成物であって、(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子内のウレタン結合基数が、少なくとも10以上であることを特徴とするものである。
(A)重量平均分子量が10,000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
(B)(メタ)アクリル系モノマー
(C)不飽和基を有するシランカップリング剤
(D)光重合開始剤
{本発明の構成成分}
(本発明に用いられる(A)成分)
本発明に用いられる(A)成分である「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」は、「光硬化性人工爪組成物」に光硬化性、及び塗膜の硬度、耐久性、柔軟性、爪への密着性等を付与するために必要な成分である。
「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」とは、「ウレタンオリゴマー」の両末端を、「(メタ)アクリレート」で封鎖したものである。
「ウレタンオリゴマー」とは、
a)ポリオール(ポリエーテル系,ポリエステル系,ポリカーボネート系,脂肪族系)、
b)ジイソシネナートあるいは多官能イソシアネート、
c)硬化剤(鎖延長剤・架橋剤)
等の反応によって合成されるものである。
「オリゴマー」とは、一般的に、「モノマー」が少なくとも2以上複数重合したものであるが、重合数は特に制限されるものではなく、“重合数が多くなって性質が一定化し「ポリマー」としての確立された性状を有するに至る前段階のもの”を意味するものである。
((A)成分の重量平均分子量)
本発明の(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、10,000以上である必要があり、好ましくは12,000以上、より好ましくは13,000以上、更に好ましくは15,000以上である。
また、(A)成分の重量平均分子量には特に上限は無いが、製造時の混錬作業が容易となる傾向にある点や、光硬化性人工爪組成物を使用する際の塗布容易性も高くなる傾向にあるという点からは、100,000以下であることが好ましく、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは45,000以下である。
ウレタンには、その製法の違いによって種々の構造があり、例えば、下記の1)乃至3)のようなものが挙げられるが、本発明の(A)成分の場合、主に2)又は3)の構造をとるものである。
尚、下記で言う「ポリウレタン」とは、ウレタン製造において慣用されている用語を便宜的に用いたものであって、本願では、下記の「ポリ(マー)」を「オリゴ(マー)」と適宜読み替えるものとする。
1)「ポリオールモノマー」と「ジイソシアネート」が交互に重合している「規則性ポリウレタン」
2)ポリオールが複数重合した「ポリマーグリコール」と「ジイソシアネート」が、が交互に重合している「ウレタン連鎖ポリオール」
3)「ポリマーグリコール」、「ジイソシアネート」に加えて鎖延長剤の「低分子グリコール」との重付加反応で得られるマルチブロック共重合体である、「セグメンティドポリウレタン」
本願の「光硬化性人工爪組成物」に用いられる、「重量平均分子量が10,000以上の高分子量ウレタン」とするためには、2)や3)等のある程度の大きさを持ったブロック成分を使用することが、製造コスト上好ましい。尚、3)の場合、分子量の微調整もし易いという利点がある。
((A)成分のウレタン結合基数)
本発明に用いられる(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子内のウレタン結合基数は、少なくとも10以上であることが必要である。
ウレタン結合基数が10未満の場合、耐久性に劣るからである。
尚、ウレタン結合基数が12以上の場合、耐久性に加えて、硬化性や硬度においても、より優れた光硬化性人工爪組成物が得られる点で好ましい。
尚、ウレタン結合基数とは、アミンの窒素とカルボニル基の炭素の間に共有結合が形成されている「−NHCOO−」部分の数を言い、「ウレタン結合数」とも言う。
尚、(i)イソシアネート成分が脂肪族系のものである場合、1分子中のウレタン結合基数は少なくとも16以上が好ましく、より好ましくは18以上である。
(ii)イソシアネート成分が芳香族系のものである場合、1分子中のウレタン結合基数は少なくとも12以上が好ましく、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上である。
(iii)イソシアネート成分が脂環式系のものである場合、1分子中のウレタン結合基数は少なくとも18以上が好ましく、より好ましくは20以上、更に好ましくは22以上である。
ウレタン結合基数には特に上限は無いが、製造コスト上の観点から、(A)成分の原材料として、ある程度の大きさを持ったブロック成分を使用する場合や、オフ性を重視する場合等には、例えば30以下が好ましく、より好ましくは28以下、更に好ましくは26以下、特に好ましくは24以下である。
(ウレタン結合基数の調整方法)
(A)成分のウレタン結合基数は、本発明の光硬化性人工爪組成物に用いる(A)成分全体の分子量を決定した後、(A)成分の原料となるポリオール及びイソシアネートの分子量を、適宜選択すること等によって、調整することができる。
((A)成分を構成するポリオール)
本発明の(A)成分を製造する際に用いられるポリオールとしては、例えばポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート等、通常ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いられるものが挙げられるが、中でもポリエーテルが、爪への初期密着性、硬度、耐久性等のバランスに優れている点で好ましい。
具体的なポリオールとしては、通常、光硬化性人工爪組成物に使用されるもの等で良く、例えば下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
≪ポリエーテル系ポリオール≫
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)
ポリプロピレングリコール(PPG)
ポリエチレングリコール(PEG)
≪ポリエステル系ポリオール≫
ポリカプロラクトンジオール(PCL)
低分子量ジオールと酸成分との反応物
低分子量ジオールとしては、例えば以下のものが挙げられ、中でも分子量60〜300程度のジオールが好ましい。具体例として例えば以下のものが挙げられるが、これらに限られるものではない。
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、又は3−メチル−1,5−ペンタンジオール等
酸成分としては、ジカルボン酸(又はその反応性誘導体)等が挙げられ、例えば、以下のものがあるが、これらに限られるものではない。
アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、又はテレフタル酸等の二塩基酸、あるいはそれらの無水物等
≪ポリカーボネート系ポリオール≫
ポリカーボネート系ポリオールとは、例えば、カーボネートとジオールとの反応生成物であるポリカーボネートジオール(PCD)等が挙げられ、以下の原材料から生成されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カーボネートとして具体的には、例えば、以下のものがあるが、これらに限られるものではない。
ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、又はジメチルカーボネートやジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等
ジオールとしては、低分子量ジオールが挙げられ、中でも分子量60〜300程度のジオールが好ましい。具体例として例えば以下のものが挙げられるが、これらに限られるものではない。
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、又は3−メチル−1,5−ペンタンジオール等。
((A)成分を構成するイソシアネート)
本発明の(A)成分を製造する際に用いられるイソシアネートには、芳香族系化合物、脂肪族系化合物、脂環式化合物等、通常ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いられるものが挙げられるが、中でも密着性に特に優れる芳香族系化合物や、柔軟性に特に優れる脂肪族系化合物が、爪への初期密着性、硬度、耐久性等の全てのバランスにおいても優れている点で好ましい。
尚、脂環式化合物には、硬さと耐黄変性が特に優れているという利点がある。
具体的なイソシアネートとしては、例えば下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
≪芳香族系化合物≫
TDI:トルエンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
XDI:キシリレンジイソシアネート
NDI:ナフタレンジイソシアネート
≪脂肪族系化合物≫
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
TMDI:トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
PDI:1,5-ペンタメチレンジイソシアネート
≪脂環式化合物≫
IPDI:イソホロンジイソシアネート(別名:3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)
H6XDI:シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレンジイソシアネート
H12MDI:ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート
NBDI:ノルボルネンジイソシアネート
((A)成分の置換基)
尚、(A)成分は、本発明の目的を阻害しない範囲で、水酸基、メチル基その他の炭化水素基等の、その他の置換基を含有していても構わない。
((A)成分の併用)
尚、(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、上述した1種又は2種以上を用いることによって、それぞれが有する特質を利用して、光硬化性人工爪組成物全体の物性を更に高めることができる。
((A)成分の含有量)
本発明の光硬化性人工爪組成物における、(A)成分の含有量は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。
30重量%以上の場合に、爪への密着性が特に良好となり、70重量%以下で、ハンドリング性が特に良好となるからである。
(他のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの併用)
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A)成分以外の「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」を含有していても良い。
(本発明に用いられる(B)成分)
本発明に用いられる(B)成分とは、「(メタ)アクリル系モノマー」である。
この(B)成分は、「光硬化性人工爪組成物」に密着性、希釈によるハンドリング性を付与するために必要な成分である。
「(メタ)アクリル系モノマー」としては、官能基である(メタ)アクリロイル基が1つの「単官能(メタ)アクリレートモノマー」と、(メタ)アクリロイル基が複数の「多官能(メタ)アクリレートモノマー」があり、いずれも使用することができるが、硬化収縮が比較的小さく、爪との接着界面に発生する応力も小さいため、被膜が、より剥がれにくくなるという点で、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」が好ましい。
具体的な(メタ)アクリレートモノマーとしては、一般的に「光硬化性人工爪組成物」に用いられているようなものであれば、特に限定されるものではなく、例えば下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
≪単官能(メタ)アクリレートモノマー≫
(i)アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレート
(i)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(i)−1:(メタ)アクリロイル基以外の反応性官能基を持たない(メタ)アクリレート
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、又はN−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等
(i)−2:ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート
(i)−2としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等
(i)−3:アクリロイルモルフォリン等のモルフォリノ基含有(メタ)アクリレート
(ii)グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物
(ii)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
グリシジル(メタ)アクリレート等
(iii)含窒素アルキル(メタ)アクリレート
(iii)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
単官能(メタ)アクリレートモノマーの中では、上記のうち、2(又は1)−ヒドロキシエチルメタクリレートが、被膜に柔軟性を付与することで、爪への密着性を高める点で好ましく、またイソボルニルメタクリレートが、適度な硬度を付与することで、被膜に耐衝撃性を与えうる点で好ましい。
従って、後述する((B)成分の併用)においても記載する通り、(B)成分を併用する場合、2(又は1)−ヒドロキシエチルメタクリレートとイソボルニルメタクリレートの併用とすることが、被膜硬度と耐久性のバランスが取り易いと言う点で、より好ましい。
≪多官能(メタ)アクリレートモノマー≫
(i)ジ(メタ)アクリレート化合物
(i)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、又はビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等
(ii)トリ(メタ)アクリレート化合物
(ii)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、又はトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等
(iii)エリスリトール類の(メタ)アクリレート類
(iii)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、又はポリペンタエリスリトールオクタアクリレートエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等
(iv)多官能のリン酸エステル系メタクリレート
(iv)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
リン酸ビス(メタクリル酸ヘキサン酸エチル)、リン酸ビス(メタクリル酸プロパン酸ペンチル)、リン酸トリ(メタクリル酸ヘキサン酸エチル)、又はリン酸トリ(メタクリル酸プロパン酸ペンチル)等
(v)その他の(メタ)アクリレート類
(v)としては、具体的には、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、又はイソプロピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等
((B)成分の併用)
尚、(B)成分である(メタ)アクリル系モノマーとしては、上述した1種又は2種以上を用いることができる。
(B)成分の併用方法としては、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」と「多官能(メタ)アクリレートモノマー」との併用、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」2種以上の併用、「多官能(メタ)アクリレートモノマー」2種以上の併用のいずれであっても良い。
しかし、上述した通り、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」のほうが、硬化収縮率が小さく、爪との接着界面に発生する応力も小さく、爪からより剥がれにくいため、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」2種以上の併用が好ましい。
「単官能(メタ)アクリレートモノマー」2種以上の併用としては、特に、「(i)アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物」と「(ii)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート」とを併用することが、被膜硬度、硬化性、密着性及びその他モノマーに由来する特性が同時に得られ、耐久性が良いという点で好ましく、中でも≪単官能(メタ)アクリレートモノマー≫の項でも記載した通り、「イソボルニルメタクリレート」と、「2(又は1)−ヒドロキシエチルメタクリレート」の併用が、互いの特性を活かすことで、光硬化性人工爪組成物の被膜に求められる物性のバランスが良くなる点で、特に好ましい。
尚、(B)成分である「(メタ)アクリル系モノマー」ではないものの、同じく光重合性を示し、かつ組成物に希釈性を持たせ得る低分子量化合物として下記のようなものが挙げられ、これらを併用することもできる。
アリルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、又はα−クロルスチレン
((B)成分の含有量)
本発明の光硬化性人工爪組成物における、(B)成分の含有量は、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは25〜55重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
20重量%以上の場合に、(A)成分(オリゴマー)に起因する高い粘度を下げることができるため、ハンドリング性が特に良好となり、60重量%以下で、適度な粘度を維持することにより、ハンドリング性と密着性が特に良好となるからである。
(本発明に用いられる(C)成分)
本発明に用いられる(C)成分とは、「不飽和基を有するシランカップリング剤」である。
「不飽和基を有するシランカップリング剤」としては、通常、「光硬化性人工爪組成物」に使用されるもの等で良く、特に制限されるものではないが、例えば下記のようなものが挙げられる。
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
又は2−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
等のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤
N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
又は3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
等のアミノ基を含有するシランカップリング剤
ビニルトリエトキシシラン、
又はビニルトリメトキシシラン、
等の、ビニル基を含有するシランカップリング剤
上記の中でも、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤が、硬化時に(A)成分や(B)成分と重合し、(メタ)アクリル主鎖に組み込まれ、シラノール結合を起点とした爪との密着性を向上できるほか、本発明の組成物を、複層構造からなる人工爪の一部の層として用いた場合に、ウレタン(メタ)アクリレートを使用する他の層との密着性が良くなるという理由で好ましい。
((C)成分の併用)
尚、(C)成分である不飽和基を有するシランカップリング剤としては、上述した1種又は2種以上を用いることができる。
((C)成分の含有量)
本発明の光硬化性人工爪組成物における、(C)成分の含有量は、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.7〜3重量%、更に好ましくは0.9〜1.5重量%である。
0.5〜5重量%の場合に、密着性が特に良好となるからである。
(本発明に用いられる(D)成分)
本発明に用いられる(D)成分「光重合開始剤」とは、爪に施与した本発明の「光硬化性人工爪組成物」に光エネルギーを照射した際に、組成物を硬化させることができる物質を言い、通常「光硬化性人工爪組成物」に用いられているものを使用することができる。
具体的には、下記のようなものが挙げられるが、特に制限されるものではない。
アセトフェノン、
2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、
p−ジメチルアミノプロピオフェノン、
シクロロアセトフェノン、
2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、
又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン
等のアセトフェノン類、
ベンゾフェノン、
2−クロロベンゾフェノン、
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、
4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
又は3,3’−ジメチル−4―メトキシ−ベンゾフェノン、
等のベンゾフェノン類、
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、又はベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、
ベンジルジメチルケタール等のケタール類、
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、又は2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、
フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、
等のヒドロキシケトン類
(D)成分としては、上記のほか、アントラキノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2,4,6−トリス−S−トリアジン、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等も挙げられる。
((D)成分の併用)
尚、(D)成分である光重合開始剤としては、上述した1種又は2種以上を用いることができる。
(D)成分の併用方法としては、吸収波長域の異なる2種以上を併用することが、幅広い波長の光源(ライト)での硬化に対応できるようになるため好ましく、中でも、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(吸収波長:UV短波長領域)と2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(吸収波長:UV長波長領域)との併用等が、幅広い波長の光源(ライト)での硬化に対応できると共に、良好な硬化性をも得られるため、特に好ましい。
昨今ネイルサロンを中心に使用されている光源は、波長が約405±5nm付近のLEDライト等が主流であり、またセルフネイル等を行う一般家庭において使用されている光源は、古くから使用されている、波長が365nm付近のUVライト等が多いため、幅広い波長において硬化が可能であることが、製品として望ましいからである。
((D)成分の含有量)
本発明の光硬化性人工爪組成物における、(D)成分の含有量は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2.5〜8重量%、更に好ましくは4〜6重量%である。
1重量%以上の場合で、十分な硬化性により、より耐久性の高い塗膜が得られ、10重量%以下の場合で、硬化時の発熱も少なく、使い易い組成物が得られるからである。
(その他の成分)
本発明の「光硬化性人工爪組成物」には、本発明の目的を阻害しない範囲で、光硬化性人工爪組成物等に通常用いられている、各種の添加剤その他の成分を更に含有させることができる。
その他の成分としては、例えば、色素、顔料、充填剤、表面張力調整剤、重合禁止剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤、連鎖移動剤、増粘剤、粘着付与剤、光重合促進剤等が挙げられる。
{本発明の光硬化性人工爪組成物の製造方法}
本発明の光硬化性人工爪組成物の製造方法は、「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」を含む光硬化性人工爪組成物において一般に用いられる方法で良いが、具体的には、例えば以下のような方法で製造することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、光重合開始剤を仕込み、光重合開始剤が溶けるまで撹拌する。その後、シランカップリング剤を仕込み、均一に撹拌する。
{本発明の光硬化性人工爪組成物の用途}
本発明の光硬化性人工爪組成物は、複層構造からなる人工爪の、ベース(下地)層、カラー(装飾)層、トップコート層等の各層を形成するために用いることができるが、形成する塗膜が、爪との接着性及び柔軟性に優れており、日常生活における衝撃等による剥離をも防止できるという特性を最も活かせるという観点からは、ベース(下地)層用組成物として用いることが、特に好ましい。
尚、本発明の光硬化性人工爪組成物をベース層の形成に使用した場合、カラー層、トップコート層には、それぞれの層に要求される特性に優れた、その他の組成物を使用することもできるが、各層間のなじみを特に重視するような場合には、カラー層、トップコート層としても、本発明の光硬化性人工爪組成物を用いることが好ましい。
{本発明の光硬化性人工爪組成物の施与方法}
本発明の光硬化性人工爪組成物は、公知の光硬化性人工爪組成物と同様の方法で、手や足の爪に対して施与することができる。
例えば、施与対象である手や足の爪に、本発明の光硬化性人工爪組成物を刷毛、筆、ブラシ等で塗布した後、LEDライトやUVライトあるいはこれらの併用によって、数十秒〜数分間、光エネルギー線照射を行って組成物を硬化させることにより、人工爪を形成することができる。UVライトの場合、光源が安く入手できるというメリットがあるが、硬化がよりスピーディーで電球が半永久的に使用できる等の理由で、LEDライトが好ましい。
LEDライトの場合、光硬化性人工爪組成物を塗布後、波長405±5nm、32Wの条件下で0.5〜5分エネルギー線照射を行うことによって、組成物を硬化させることができる。
UVライトの場合、UV−A領域である365nm程度のものを使用することができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[評価方法]
下記の実施例又は比較例に記載の方法にて得られた「光硬化性人工爪組成物」を使用して、以下の評価を行った。
≪スライドガラス上での代替評価方法≫
実施例又は比較例の「光硬化性人工爪組成物」を使用して、以下の工程の処理を行った。
スライドガラス(松浪硝子工業製 水切放No.1 S1125)を基材とし、バーコーター#20を用いて、各組成物を塗布した後、光源LED、波長405±5nm、32Wの条件下で40秒エネルギー線照射を行い光硬化させた。
このようにして得られたスライドガラスの被膜に対して、以下の各基準に基づいて「初期密着性」の評価を行った。
(初期密着性)
被膜と爪との密着性について、JIS K 5600 5-6に準拠(クロスカット法、5×5マス(1mm角))した方法で、初期密着性の試験を行い、以下の基準に基づいて評価を行った。
◎:被膜に変化は見られなかった
○:ごく少量のマス目に剥がれが生じた
△:ところどころマス目の剥がれが生じた
×:ほとんどのマス目に剥がれが生じた
≪爪上での実用評価方法≫
実施例又は比較例の「光硬化性人工爪組成物」を使用して、以下の工程で爪への処理を行った。
「光硬化性人工爪組成物」を刷毛にて塗布した後、光源LED、波長405±5nm、32Wの条件下で40秒エネルギー線照射を行い光硬化させた。
このようにして得られた爪上の被膜に対して、以下の各基準に基づいて「耐久性」・「オフ性」の評価を行った。
(耐久性)
被膜と爪との「耐久性(日常生活において生じる物理的な応力等に耐え得る性質)」について、実生活を通しての被膜の状態を、以下の基準に基づいて評価した。評価は3人の手の2本の爪(合計6本)で行い、評価結果を、表1に示した。
◎:初期状態と比し、全ての爪において、4週間後の外観に変化が確認されなかった。
〇:初期状態と比し、全ての爪において、3週間後の外観に変化が確認されなかった。
△:初期状態と比し、全ての爪において、2週間後の外観に変化が確認されなかった。
×:初期状態と比し、一部の爪において、2週間後の外観に剥離、白化などの異常が確認された。
(オフ性(除去容易性))
アセトンで湿らせたコットンを被膜上に載せ、その上からアルミホイルで指の第一関節全体を包み、所定時間ごとに被膜の状態を評価した。評価は2人又は3人の手の1本又は2本の爪(製品によって評価本数が異なる)で行い、評価結果は、以下の評価基準において最低評価となったものを、表1に示した。
〇:5分以内に被膜が膨潤し、剥がれが生じた。
△:15分以内に被膜が膨潤し、剥がれが生じた。
×:剥がれが生じなかった。
[実施例1〜10,比較例1〜2:光硬化性人工爪組成物]
表1の上段に示した構造の、各種の(A)成分:ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを製造した。
表1下段に示した配合組成に基づき、(A),(B),(C),(D)の各原料を、以下の手順で混合することによって、実施例又は比較例の「光硬化性人工爪組成物」を製造した。
(C)成分(シランカップリング剤)以外の、全ての成分((A),(B),(D)成分)を、混合容器内に仕込み、50〜70℃で、10〜30分程度加温し、撹拌した。
(D)成分である光重合開始剤が全て溶解したことを確認してから、(C)成分を仕込み、撹拌し、保存容器に収缶した。
製造した各実施例及び比較例の光硬化性人工爪組成物について、上述の評価基準に基づいて評価した結果を、表1に示した。
Figure 2021028313
尚、表中に記載した略語は、下記の化合物を意味する。
PTMG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール
PPG:ポリプロピレングリコール
TDI:トルエンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート(別名:3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
(結果)
表1から、(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのウレタン結合基数が6以上で、良好なオフ性は得られたものの、10に満たない比較例1及び2は、いずれも初期密着性、耐久性において、実施例に劣るものであった。
特に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量が同じ(37,000)であっても、オリゴマーに用いたポリオールの分子量が大きく、1分子中のウレタン結合基数が少ない比較例2(ウレタン結合基数:8)は、他の条件がほぼ同じでウレタン結合基数が多い実施例5(ウレタン結合基数:18)と比較して、初期密着性、耐久性において、著しく劣っていた。
(考察)
上記の結果から、初期密着性、耐久性、オフ性の全てにおいてバランスの取れた、光硬化性人工爪組成物を得るためには、単に(A)成分の分子量が10,000以上であることに加えて、更に(A)成分の1分子内のウレタン結合基数を、10以上とすることが必要であるということが判明した。
上記の結果から、本発明の組成物は、柔軟性が高く、爪への追従性に優れ、爪への「初期密着性」及び「耐久性」に優れているにもかかわらず、アセトン等による「オフ性」にも優れているため、光硬化性人工爪組成物として好適であるが、ベース(下地)層・カラー(装飾)層・トップコート層等の複層構造からなる光硬化性人工爪の場合、爪に直接塗布するベース層として、特に好適であることが判明した。
「初期密着性」や「耐久性」と一見相反する、優れた「オフ性」をも有しているのは、ウレタン結合基数が増加することで、爪表面との水素結合が増え、被膜が強固に結合する反面、(A)成分が10,000以上という大きな分子量を有することから、アクリロイル基の架橋点間距離が大きくなり、アセトン等の除去成分を取り込み易くなっているからと考えられる。
尚、(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのウレタン結合基数が「12以上」の実施例2〜10の場合、上述の効果に加えて、塗布作業時の「硬化性(硬化率や塗膜の均一性)」や「被膜硬度」においても、特に優れていることが判明した。
本発明の光硬化性人工爪組成物は、初期密着性、及び耐久性に優れている一方で、アセトン等によるオフ性にも優れているため、人工爪、特に光硬化性の美爪料のベース層として好適である。

Claims (3)

  1. 下記の(A)乃至(D)の成分を含有する光硬化性人工爪組成物であって、(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子内のウレタン結合基数が、少なくとも10以上であることを特徴とする、光硬化性人工爪組成物。
    (A)重量平均分子量が10,000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
    (B)(メタ)アクリル系モノマー
    (C)不飽和基を有するシランカップリング剤
    (D)光重合開始剤
  2. ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのポリオール成分が、ポリエーテル系のものであることを特徴とする、請求項1記載の光硬化性人工爪組成物。
  3. 光硬化性の人工爪のベース層として用いるものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の光硬化性人工爪組成物。
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