JP5628833B2 - 血圧降下作用を有する醤油及びその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、降圧剤無添加の、血圧降下作用を有する醤油に関する。より詳しくは、低プロテアーゼ活性醤油麹の利用と該醤油麹の加温消化法を組合わせたことを最大の特長とする、降圧ペプチドを著量含有し、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性が高い、血圧降下作用を有する醤油及びその製造法に関する。
従来、血圧降下作用を有する醤油を得るには、降圧剤由来の血圧降下作用を期待して、醤油中にレニン・アンジオテンシン系抑制物質(例えばニコチアナミン)、交換神経抑制物質(例えばγ−アミノ酪酸)、一酸化窒素産生促進物質(例えばイソフラボン)、利尿物質、カルシウム拮抗物質に属する血管拡張物質などを添加する方法(例えば特許文献1、特許文献2参照)、ポリフェノール類を添加する方法(例えば特許文献3参照)、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性を有するペプチドを添加する方法(例えば特許文献4参照)、γ−アミノ酪酸を富化した大豆胚芽を用いることにより、醤油諸味液汁にγ−アミノ酪酸を著量生成蓄積する方法(例えば、特許文献5参照)などが知られている。
しかしながら、これらの方法は、降圧剤を新たに調製しなければならないという欠点を有し、またこれらの降圧剤は醤油の風味を劣化させる危険性を有する。
一方、醤油製造法においては、醤油業者は、ひたすら良麹を得るように努力することが求められており、その良麹には酵素力、特にプロテアーゼが強大であることが求められている。その理由は、醤油はアミノ酸を主体とする調味料であって、蛋白質を先ずペプチドまで分解し、ペプチドはさらにアミノ酸まで十分分解することが何より必要とされているからである。そのため醤油業界では強力なプロテアーゼを分泌する麹菌を探してきて使用したり、麹の原料処理を適切に行って麹菌を十分に発育繁殖せしめたりして、酵素力をできる限り大ならしめる等の考慮が払われている。
したがって、従来、醤油の製造法においては、製麹中、麹菌のプロテアーゼの分泌を極力抑制すること、またプロテアーゼ活性の少ない醤油麹を血圧降下作用を有する醤油の製造に利用すること、は知られていない。
一方また、醤油麹を45〜60℃で3〜8時間加温消化して醤油の製造期間を短縮する(すなわち、速醸する)方法が知られている(例えば特許文献6参照)。
すなわち、プロテアーゼの生成を促進した醤油麹を用い、該麹を加温消化することにより、諸味成分、特に蛋白質を早く分解して、全窒素のうち50%がα−アミノ窒素である、アロマの優れた醤油を速醸することが知られている。
しかし、この発明も、醤油のペプチド(非・α−アミノ窒素)の増加を期待するものではない。
このように、醤油の製造法においては、ペプチド含有量を増大して、血圧降下作用を有する醤油を得ることは知られていない。
一方また、ペプチドは、一般に内因性オピオイド作用、免疫調節作用、カルシウム吸収促進作用、コレステロール上昇抑制作用、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害作用、抗酸化作用、抗ガン作用などの機能性があることが知られている(例えば、特許文献7、非特許文献1参照)。
また特定のジペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrが、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用ならびに血圧降下作用を有することが知られている(以下、降圧ペプチドGly−Tyr及び降圧ペプチドSer−Tyrということがある)(例えば、非特許文献2参照)。
また、降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrをそれぞれ48μg/ml、32μg/ml含有する減塩醤油を、正常高値血圧者及び軽症高血圧者に8週間継続摂取させたところ、これらの被検者の収縮期血圧値及び拡張期血圧値を、一般的な減塩醤油摂取時と比較して有意に低下させ得ることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
従って、醤油製造中にペプチド類、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量含有させ、それらの含有量の多い醤油を得ることができれば、降圧剤無添加で血圧降下作用を有する醤油を得ることが可能となり、醤油業界にとって多大な貢献となるものと思われるが、そのような方法は知られていない。
また、一般に醤油麹を食塩水と混和すると、麹の酵素はよく働いて、蛋白質と澱粉質をよく分解し、かなりドロドロした濃厚粘稠な諸味となり、該諸味液汁中に生成蓄積したペプチド類は、諸味の発酵熟成の過程でさらにアミノ酸にまで分解されるため、諸味の熟成が進むに従い該ペプチド類は次第に消失する。
従って、これらのペプチド、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを、最終醤油製品に至るまで残留保持することは難しいという課題を有している。
一方また、醤油諸味を圧搾して得られる醤油粕に、アンジオテンシン(Angiotensin Converting Enzyme)I変換酵素阻害活性(以下ACE阻害活性ということがある)を示す物質が含まれていることが知られている(例えば、特許文献7参照)。
しかしこのACE阻害活性を示す物質は、醤油粕に特有のものであり、醤油には見出されないことから、通常の醤油に含まれるペプチドのACE阻害活性による血圧降下作用は、非常に微弱であって、降圧剤無添加で、醤油に血圧降下作用を期待することは難しい問題を有する。
特開2004−290129号公報 特開2006−136262号公報 特開2004−194515号公報 特開2004−290088号公報 特開平11−151072号公報 特許第2659105号公報 特開平5−279263号公報
Wenyi Wang et al., Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety,2005,(4),p.63−78 K. Suetsuna,J. Nutr. Biochem.,1998,(9),p.415−419 Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol.36 no.9 2008,p837〜849
本発明は、降圧剤無添加で、醤油諸味中にペプチド類、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量生成蓄積せしめ、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性が高く、血圧降下作用が期待される醤油を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹を用い、これに食塩水を混和し、加温消化したところ、従来血圧降下作用を有することが知られている降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量含有し、ACE阻害活性の高い醤油が得られること、該醤油麹は、醤油製麹用原料に種麹を接種し、通常よりも非常に短時間、即ち20〜36時間製麹管理した後、非常に若い麹のまま出麹することにより得られることを知り、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の血圧降下作用を有する醤油及びその製造法である。
(1)プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹と食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、前記醤油諸味を加温消化する工程とを含む方法により得られる、血圧降下作用を有する醤油。
(2)アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性(IC50値)が3.0μl/ml以下である前記(1)に記載の醤油。
(3)血圧降下作用を有する醤油が、降圧ペプチドGly−Tyrを78μg/ml以上、降圧ペプチドSer−Tyrを20μg/ml以上含有する前記(1)又は(2)に記載の醤油。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の醤油を含有する、血圧降下作用を有する飲食品。
(5)プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹と食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、前記醤油諸味を加温消化する工程とを含む、血圧降下作用を有する醤油の製造法。
(6)プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹と、未製麹蛋白質原料と、食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、前記醤油諸味を加温消化する工程とを含む、血圧降下作用を有する醤油の製造法。
(7)加温消化する工程が、前記醤油諸味を品温45〜55℃で、1〜5日間加温消化する工程である、前記(5)又は(6)に記載の醤油の製造法。
(8)加温消化する工程によって加温消化された醤油諸味に醤油乳酸菌及び/又は醤油酵母を添加し、発酵熟成を行なう工程を更に含む、前記(5)〜(7)のいずれかに記載の醤油の製造法。
本発明は、降圧剤無添加で、醤油諸味中にペプチド類、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量生成蓄積することが可能で、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性が高く、血圧降下作用を期待できる醤油を容易に得ることができる。
醤油麹のプロテアーゼ活性と、製麹時間、窒素利用率、ACE阻害活性、降圧ペプチドGly−Tyr(ペプチドGY)及び降圧ペプチドSer−Tyr(ペプチドSY)との関係を示す図である。 本発明の醤油のHPLCクロマトグラムを示す図である。 常法により得た醤油のHPLCクロマトグラムを示す図である。
本発明において、使用する醤油麹は、蛋白質原料に澱粉質原料を加え、これに種麹を接種して、製麹を行い、得られたプロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹であれば任意の醤油麹(一般に、製麹終了後の醤油麹には25〜35%w/wの水分が含まれている)が利用可能である。ここで、「U/g麹」とは、醤油麹1g(湿重量)あたりのプロテアーゼ活性(U)を指す。
一例としては、蛋白質原料に澱粉質原料を加え、これに種麹を接種して、20〜35℃、好ましくは25℃から30℃の品温にて20〜36時間製麹管理した後、非常に若い麹のまま出麹して得られるものが挙げられる。なお、製麹時間が20時間より少ないと、プロテアーゼの活性が殆どない麹になってしまうので、醤油原料、特に窒素利用率が低下するので好ましくない。反対に36時間を越えると、プロテアーゼ活性が高くなって、本発明の目的を達成できなくなるので好ましくない。
上記、蛋白質原料としては、大豆、脱脂加工大豆及び小麦グルテン等が挙げられる。また澱粉質原料としては麦類(小麦、大麦、裸麦、はと麦)及び米類等が挙げられる。また、蛋白質原料と澱粉質原料とを混和して醤油麹原料とするが、その配合割合は30:70〜70:30が好ましく、40:60〜60:40がより好ましい。また水分は35〜50%(w/w)が好ましく、40〜45%(w/w)がより好ましい。
種麹としては、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・オリーゼ等、醤油醸造に用いられる麹菌による種麹が挙げられる。
本発明においてプロテアーゼ活性が20〜300U/g麹、好ましくは20〜235U/g麹の醤油麹を用いることは極めて重要である。すなわち、20U/g麹未満の醤油麹を用いた場合は、醤油の窒素利用率(原料利用率)が低く、原料から得られる醤油の取得割合が低下するので好ましくない。反対に300U/g麹を超えると降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrの生成蓄積量及びアンジオテンシンI変換酵素阻害活性が激減するので好ましくない。
次に本発明を実施するには、上記醤油麹に食塩水を混和し(これを、以下仕込みということがある)、醤油諸味を調製する。仕込時あるいは仕込み初期(仕込み翌日〜10日以内)に醤油諸味に未製麹蛋白質原料(大豆、小麦グルテンなどの植物性由来タンパク質原料)を加えても良い。その割合は、醤油麹に対して20%(w/w)以下であることが、本醸造醤油の風味に近づけるために好ましい。
食塩水は、諸味液汁の食塩濃度として5〜20%(w/v)、好ましくは8〜16%(w/v)となるように計算し、醤油麹重量(湿重量)に対して、100%〜300%(v/w)混和する。
次に、この混合物を温度制御が可能な容器に入れ、加温消化を行う。
本発明において加温消化も重要であって加温消化を行わないときは、諸味液汁中に生成蓄積したペプチド類、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrは、諸味の発酵熟成の過程でさらにアミノ酸にまで分解され、次第に消失するので好ましくない。
醤油諸味の加温消化は、品温45〜55℃で、1〜5日間行うことが好ましい。
温度が45℃未満、又は時間が短いと、諸味の熟成が進むに従い諸味中に生成したペプチド類は次第に消失し、最終的にペプチドの含有量が低下するので好ましくない。また、温度が55℃を超えると、又は期間が5日を超えると、消化液(醤油)が濃色化し、また温醸臭(異臭)が付着し風味が劣化するので好ましくない。
また、本発明では、20〜300U/g麹の利用と、醤油諸味の加温消化を組合わせることが極めて重要であって、いずれか片方のみの場合は、本発明の目的が達成できないので好ましくない。
加温消化した諸味は、そのままでも醤油様の調味料(この「醤油様の調味料」も本発明の「醤油」の実施形態の一つである)として十分利用可能である。加温消化した諸味は適宜、常法により圧搾濾過、火入れ、オリ引き(清澄処理)などを行い、本発明の醤油として用いることができる。
しかし、この加温消化した諸味は、発酵熟成後の諸味液汁の食塩が12〜20%(w/v)含まれるように塩分などの調整を行った後に、該諸味に醤油乳酸菌を接種して十分乳酸菌を繁殖させ、乳酸発酵を行なうか、又は該諸味に醤油酵母を接種して十分酵母を繁殖させアルコール発酵を行なうか、又は該乳酸発酵及び該アルコール発酵をこの順序で行うかした後、熟成させるときは、加温消化直後に比べて、風味がより良くなるので好ましい。
乳酸発酵は、乳酸菌を添加後、諸味品温を20〜30℃にて、pHが4.7〜5.3となるのに十分な時間、例えば7〜60日間程度保持して、十分乳酸菌を繁殖させ、発酵させる。
酵母発酵は、酵母菌を添加後、諸味品温を20〜35℃にて、アルコールが0.5〜4%(v/v)程度となるのに十分な時間、例えば7〜90日程度の間発酵熟成させる。
その後、常法により圧搾濾過、火入れ、オリ引き(清澄処理)などを行い、加温消化後に更に発酵熟成された本発明の醤油を得る。
本発明で得られる醤油は、ACE阻害活性(IC50値)が3.0μl/ml以下である醤油である。また降圧ペプチドGly−Tyrを78μg/ml以上、降圧ペプチドSer−Tyrを20μg/ml以上含有し、血圧降下作用を期待することができる。本発明で得られる醤油中のGly−Tyrと、Ser−Tyrの濃度上限は、それぞれ300μg/mlである。
したがって、本発明の醤油をそのまま(液体状のまま)、又は常法により凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラムドライ乾燥などして、ペースト状、固形状、粉末状とした後、各種つゆ(麺つゆなど)、たれ(焼肉用たれなど)、ぽんず、ソース、ドレッシング、スープなどの液体調味料に、また水産、畜産肉製品(蒲鉾、ハムなど)の食品に添加することで、血圧降下作用が期待できるそれらの飲食品を得ることができる。
なお、ACE阻害活性の測定は、以下に示すようにいくつかの方法が知られており、いずれの方法を用いても測定可能である。
Kasaharaらの方法(Y. Kasahara Clinical Chemistry,11,1981,(27),P.1922-1925)。
Cushmanらの方法(D.W.Cushman et al.,Biochemical,Pharmacology,1971,(20),P.1637−1648)。
Yamamotoの方法(日本胸部疾患学会誌、1980,(20)P.297-302、血清アンギオテンシン変換酵素活性測定法の検討)。
Liebermanの方法(Lieberman,Am.J. Med.,1975,(59),P.365-372,)。
具体的には、ACE阻害活性(IC50値)は以下の手順で測定することができる。
本発明の醤油を、逆相系の固相抽出剤を充填した固相抽出器に通液させ、0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液で洗浄し、ニコチアナミン画分を除去する;
次いで前記固相抽出器に60%(v/v)アセトニトリル(0.1(v/v)%TFA含有)水溶液を通液させ、ペプチドを溶出させる;
溶出液を遠心濃縮乾固し、超純水で再溶解してサンプル(ペプチド画分)を得る;
ACEによる酵素反応系において50%のACE阻害率を与える前記サンプルの濃度を、前記固相抽出器による処理前の醤油としての濃度に換算した濃度を、醤油のACE阻害活性(IC50値)とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(低プロテアーゼ醤油麹を用い、加温消化後、発酵熟成を行う醤油の製造法)
脱脂加工大豆14kgに80℃の温水を130%(w/w)撒水し、これを飽和水蒸気により蒸煮圧力2kg/cm(ゲージ圧力)で20分間加圧加熱蒸煮し、蒸煮脱脂大豆を得た。
一方、生小麦6kgを常法に従って炒熬し、割砕した。
次にこれら二つの処理原料を混合して水分約40%(w/w)の製麹用原料を調製した。これにアスペルギルス・オリーゼ(ATCC14895)のフスマ種麹(有効胞子数:1×10個/g)を0.1%(w/w)接種し、常法どおり20〜35℃で製麹管理し、表1の時間で製麹を終了し、各プロテアーゼ活性を有する醤油麹を得た。
得られた醤油麹0.8kgに、消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、適宜撹拌しつつ諸味品温50℃で72時間消化し、消化諸味を得た。
次いで、この消化諸味を、室温(約20℃)にまで冷却した後、醤油乳酸菌(テトラジェノコッカス ハロフィラス)を諸味1gあたり1×10個添加し、20℃で乳酸発酵を3週間行いpH約5.2の醤油諸味を得た。
次いで醤油酵母(チゴサッカロマイセス・ルーキシ)を5×10個/g諸味となるように添加し、諸味品温25℃で常法どおり適時通気を行い、1ヶ月発酵熟成を行った。
次いで、この熟成諸味を圧搾濾過し、得られた生揚げ(醤油)を80℃30分火入れし、清澄タンクに入れて3日間清澄し(オリ引きし)、澄明で、風味良好な、各種醤油を得た。
得られた醤油の窒素利用率、成分分析値、降圧ペプチド及びACE阻害活性(IC50値)を、下記方法に従い、測定した。その結果を、表1及び図1に示す。
なお、醤油には、ACE阻害物質としてペプチドの他にニコチアナミンが含まれていることが知られている。したがって、ACE阻害活性(IC50値)測定法は、醤油のペプチドに起因するACE阻害活性を精度よく測るため、逆相系の固相抽出剤(例えば、オクタデシルシリル化シリカゲル)を充填した固相抽出器、例えば逆相系の固相抽出カートリッジカラム(Waters社製Sep−Pak Plus C18等)を用いる前処理を行い、醤油からニコチアナミン画分を除き、その除去液を分析に供した。これにより、醤油の該ペプチドに起因するACE阻害活性を精度よく分析することができる。
(1)醤油の窒素利用率測定法
醤油試験法(財団法人 日本醤油研究所、昭和60年3月1日発行)、諸味の窒素溶解利用率を参照にして測定した。
(2)プロテアーゼ活性測定法
醤油試験法(財団法人 日本醤油研究所、昭和60年3月1日発行)、酵素活性測定法(全プロテアーゼ)を参照にして測定した。
すなわち、ミルクカゼインを基質に、pH7.0で反応を行い、生成する非タンパク性物質をFolin呈色法で測定し、1分間にチロシン1μgに相当する非タンパク性物質を遊離させる酵素量を1Unitとし、醤油麹g当りとして算出する。
(3)醤油の成分分析法
可溶性総窒素(TN)はケルテックオートサンプラーシステム1035(アクタック社製)を用い、常法に従って測定した。
NaClは、醤油試験法(財団法人 日本醤油研究所、昭和60年3月1日発行)食塩分の測定法に従って測定した。
(4)降圧ペプチドGly−Tyr及び同Ser−Tyrの測定法
LC−MS/MSシステム2695−QuattroMicro API(Waters社製)を用い、添加検量線法により求めた。
(5)ACE活性(IC50値)の測定法
サンプル100μlをSep−Pak (登録商標) Plus C18 Environmental Cartridges(Waters社製)に供し、0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液4mlで洗浄し、ニコチアナミン画分を除去した。
次いで前記カラムに60%(v/v)アセトニトリル(0.1(v/v)%TFA含有)水溶液5mlを流してペプチドを溶出させ、溶出液を遠心濃縮乾固した後、1mlの超純水で再溶解したものをサンプル(ペプチド画分)とした。
以下、Kasaharaの方法を改変した方法により実施した。
「ACEカラーキット」(富士レビオ社製)を用い、添付のマニュアルにしたがって行った。すなわち、200μlのACE基質溶液(キット同梱)に50μlのサンプル(ペプチド画分)溶液と50μlの酵素溶液(0.1U/mlACE(ウサギ肺由来、シグマ社製)、200mMホウ酸バッファーpH8.3)を加え、37℃で20分間反応させた。
次いで、反応停止・発色反応液(キット同梱)を600μl加え、混和し、37℃で3分間静置した。
発色後、505nmにおける吸光度を測定した。
ACE阻害率は、次式で表される。
ACE阻害率(%)=[1−(OD−ODSb)/(OD−ODCb)]×100
なお、このときのODは上記のとおり測定した505nmの吸光度、ODSbは酵素溶液の代わりに200mMホウ酸バッファーpH8.3を加えたときの吸光度であり、ODはサンプル溶液の代わりに超純水を加えたときの吸光度、ODCbは酵素溶液の代わりに200mMホウ酸バッファーpH8.3、サンプル溶液の代わりに超純水を加えたときの吸光度である。
また、この酵素反応系(発色液添加前)において、50%の酵素活性阻害率を与えるサンプルの原液の濃度(μl/ml)をIC50値とし、Sep−Pakカラムによる処理前の原液濃度で換算して表した。
Figure 0005628833
表1及び図1の結果から、プロテアーゼ活性が20U/g麹未満であると、醤油麹の窒素利用率が53%と非常に低い値を示し、原料成分の利用率が低下するので好ましくないことが判る。反対に300U/g麹を超えると、降圧ペプチドの含量及びACE阻害活性が急激に低下し、本発明の目的を達成できないことが判る。
これに対し、20〜300U/g麹である醤油麹は、(1)窒素利用率が65〜86%の値が得られ、また(2)降圧ペプチドGly−Tyrを78μg/ml以上、降圧ペプチドSer−Tyrを20μg/ml以上含有する醤油が得られ、さらにまた(3)ACE阻害活性(IC50値)が3.0μl/ml以下であって、市販減塩醤油のそれ(6.7μl/ml)に比べて1/2以下の値を示し、非常に強いACE阻害活性を有する醤油が得られることが判る。
(加温消化醤油の製造法)
実施例1で調製したプロテアーゼ活性が80U/g麹(試験区4)及び235U/g麹(試験区7)の醤油麹0.8kgに、消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、適宜撹拌しつつ諸味品温50℃で72時間消化し、消化諸味を得た。
この諸味を、そのまま(乳酸発酵及び酵母発酵熟成を行なうことなく)圧搾濾過し、火入れ、清澄処理して本発明8及び本発明9の加温消化醤油を得た。
比較のため、実施例1で調製した650U/g麹(試験区10)の醤油麹0.8kgを用いて、上記と同様に加温消化し、以下同様に処理して比較例4の加温消化醤油を得た。
得られた醤油の窒素利用率、成分分析値、降圧ペプチド及びACE阻害活性を、実施例1に記載の方法で測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005628833
表2の比較例4の結果から、プロテアーゼ活性が高い(すなわち650U/g麹の値を有する)醤油麹を加温消化すると、諸味成分、特に蛋白質を早く分解して、短時間に醤油の原料利用率、特に窒素利用率を85%程度にまで向上させ、醤油の製造期間を短縮する(すなわち、速醸する)ことができるが、降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量含有し、ACE阻害活性の高い醤油を得ることはできないことが判る。
これに対し、プロテアーゼ活性が低い(すなわち、80U/g麹、又は235U/g麹の値を有する)醤油麹を用い、これに食塩水を混和し、加温消化するときは、窒素利用率は70〜75%程度の醤油が短時間に得られ、しかも従来血圧降下作用を有することが知られている降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを著量含有し、ACE阻害活性の高い醤油が得られることが判る。
実験例1
(醤油麹のプロテアーゼ活性と、加温消化の有無が及ぼす、醤油ペプチド消長への影響確認試験)
下記醤油の製造法により得られた3種類の醤油について、窒素利用率、成分分析値、降圧ペプチド及びACE阻害活性を、実施例1に記載の方法で測定した。その結果を表3に示す。
(1)本発明5の醤油の製造法(実施例1参照)
(2)比較例5の醤油の製造法
低プロテアーゼ醤油麹を用い、加温消化を行うことなく醤油を製造した。
すなわち、実施例1で調製したプロテアーゼ活性が130U/g麹(試験区6)の醤油麹0.8kgに、最終諸味液汁の食塩濃度が15.5%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、乳酸菌(テトラジェノコッカス ハロフィラス)を諸味1gあたり1×10個添加し、20℃で乳酸発酵を1.5ヶ月行いpH約5.2の醤油諸味を得た。
次いで耐塩性の醤油酵母(チゴサッカロマイセス・ルーキシ)を5×10個/g諸味となるように添加し、諸味品温25℃で常法どおり適時通気を行い、3.5ヶ月酵母発酵熟成を行った。次いで、この諸味を圧搾濾過し、常法に従い火入れし、清澄処理して風味の良好な、比較例5の醤油を得た。
(3)比較例6の醤油の製造法
高プロテアーゼ醤油麹を用い、加温消化を行うことなく醤油を製造した。
すなわち、実施例1で調製したプロテアーゼ活性が650U/g麹(試験区10)の醤油麹0.8kgに、最終諸味液汁の食塩濃度が15.5%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、乳酸菌(テトラジェノコッカス ハロフィラス)を諸味1gあたり1×10個添加し、20℃で乳酸発酵を1.5ヶ月行いpH約5.2の醤油諸味を得た。
次いで耐塩性の醤油酵母(チゴサッカロマイセス・ルーキシ)を5×10個/g諸味となるように添加し、諸味品温25℃で常法どおり適時通気を行い、3.5ヶ月酵母発酵熟成を行った。次いで、この諸味を圧搾濾過し、常法に従い火入れし、清澄処理して風味の良好な、比較例6の醤油を得た(以下、常法により得た醤油という)。
Figure 0005628833
なお、GYは降圧ペプチドGly−Tyrを、またSYは降圧ペプチドSer−Tyrをそれぞれ意味する。
表3の結果から以下のことが判る。すなわち本発明5と比較例5は、いずれもプロテアーゼ活性が低い(130U/g麹)醤油麹を用いるので、プロテアーゼ活性が高い(650U/g麹)醤油麹を用いる比較例6に比べて、降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrが増え、またACE阻害活性も増大することが判る。しかし、比較例5は加温消化をしないために、これらのペプチドは、諸味の発酵熟成が進むに従い、アミノ酸にまで分解され、次第に消失し、降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrが、本発明に比べて半分以下に分解消失することが判る。
これに対し、本発明によれば、プロテアーゼ活性が低い醤油麹を用い、さらに高温消化をするものであるから、醤油諸味液汁中に生成蓄積したペプチド類、特に降圧ペプチドGly−Tyr及びSer−Tyrを、乳酸発酵、酵母発酵熟成を経由して最終諸味に至るまで諸味液汁中に残留保持することができることが判る。
実験例2
(本発明3の醤油と、常法により得た醤油のペプチド含量の比較)
本発明3の醤油(実施例1参照)と、常法により得た醤油(実験例1で得られた比較例6の醤油参照)とを、それぞれCAPCELL PAK C18 MGIIIカラム(4.6×250mm、資生堂社製)を接続した高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す、島津製作所社製)で分析した。
流速1ml/分で、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む溶離液でアセトニトリル濃度0%−30%のグラジエント溶出を行った。
検出は220nmの吸光度とした。
本発明3の醤油と常法により得た醤油のペプチド含量の測定結果をそれぞれ図2及び図3に示した。なお、この分析条件で観察されるピークのほとんどはペプチドに由来することが一般的に知られているが、図2及び図3において、14分、18分、27分の大きなピークは、ペプチドではなく、それぞれアミノ酸のTyr、Phe、およびTrpであることを確認した。また、それ以外のアミノ酸はこのカラムにほとんど保持されず、5分以下で溶出することも確認した。したがって、14分、18分、27分の大きなピーク以外に観察されるピークのほとんどはペプチドに由来するものであると推定される。
このことを念頭において、図2及び図3を対比すると、本発明3の醤油は、常法により得た醤油と比較して、ペプチドの数及びそれらの量がより多いことが判る。特に、降圧ペプチドGly−TyrおよびSer−Tyrは、常法により得た醤油よりも非常に多いことが分かる。
実験例3
上記実施例1で調製したプロテアーゼ活性が235U/g麹の醤油麹(試験区7)0.8kgに、消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合して醤油諸味を調製した。
次いで、これを表4に記載された温度、時間条件で加温消化し、消化諸味を得た。
以下、実施例1と同様に乳酸発酵と酵母発酵を行ない、次いで、圧搾濾過し、火入れし、清澄処理して、各種醤油を得た。得られた醤油の降圧ペプチド濃度、色及び香りについて調べた。その結果を表4に示す。
Figure 0005628833
表4の結果から、温度が45℃未満(例えば40℃)、又は時間が1日よりも短い(半日)ときは、諸味の熟成が進むに従い諸味中に生成したペプチド類は次第に消失し、最終的にペプチドの含有量が低下するので好ましくない。また、温度が55℃を超える(例えば60℃)、又は期間が5日を超える(例えば7日)ときは、消化液が着色して濃色化し、また温醸臭(異臭)が付着し風味が劣化するので好ましくないことが判る。
(加温消化後、乳酸発酵を行なう醤油の製造法)
実施例1で調製したプロテアーゼ活性が80U/g麹の醤油麹(試験区4)0.8kgに、消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、適宜撹拌しつつ諸味品温50℃で72時間消化し、消化諸味を得た。
次いで、この消化諸味を、室温(約20℃)にまで冷却した後、醤油乳酸菌(テトラジェノコッカス ハロフィラス)を諸味1gあたり1×10個添加し、20℃で乳酸発酵を3週間行いpH約5.2の醤油諸味を得た。
次いで、これを圧搾濾過し、火入れし、清澄処理して、ほど良い酸味を有し風味良好な醤油を得た。
この醤油の成分分析値を以下に示す。
食塩13.2%(w/v)、総窒素1.69%(w/v)、pH5.2、降圧ペプチドGly−Tyr92μg/ml、同Ser−Tyr37μg/ml、しょうゆの標準色 26番
以上のことから、本発明によれば高温消化後、乳酸発酵を行っても、降圧ペプチドを高濃度に含有し、風味良好な醤油が得られることが判る。
(加温消化後、酵母発酵を行なう醤油の製造法)
実施例1で調製したプロテアーゼ活性が80U/g麹の醤油麹(試験区4)0.8kgに、消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.2リットルを混合し、適宜撹拌しつつ諸味品温50℃で72時間消化し、消化諸味を得た。
次いで、醤油酵母(チゴサッカロマイセス・ルーキシ)を5×10個/g諸味となるように添加し、諸味品温25℃で常法どおり適時通気を行い、1ヶ月発酵熟成を行った。
次いで、これを圧搾濾過し、火入れし、清澄処理して、香気が改善され風味良好な醤油を得た。
この醤油の成分分析値を以下に示す。
食塩13.0%(w/v)、総窒素1.79%(w/v)、pH5.37、降圧ペプチドGly−Tyr94μg/ml、同Ser−Tyr37μg/ml、しょうゆの標準色 20番
以上のことから、本発明によれば高温消化後、酵母発酵を行っても、降圧ペプチドを高濃度に含有し、風味良好な醤油が得られることが判る。
(未製麹蛋白質原料添加による高ペプチド醤油の製造法)
実施例1で調製したプロテアーゼ活性が235U/g麹の醤油麹(試験区7)0.8kgに、蒸煮脱脂大豆0.16kg(醤油麹に対して20%w/wに相当)を添加し、また消化後の諸味液汁の食塩濃度が13.0%(w/v)となるように食塩水約1.4リットルを混合し、適宜撹拌しつつ諸味品温50℃で72時間消化し、消化諸味を得た。
次いで、この消化諸味を、室温(約20℃)にまで冷却した後、醤油乳酸菌(テトラジェノコッカス ハロフィラス)を諸味1gあたり1×10個添加し、20℃で乳酸発酵を3週間行いpH約5.2の醤油諸味を得た。
次いで醤油酵母(チゴサッカロマイセス・ルーキシ)を5×10個/g諸味となるように添加し、諸味品温25℃で常法どおり適時通気を行い、1ヶ月発酵熟成を行った。
次いで、この熟成諸味を圧搾濾過し、得られた生揚げ(醤油)を80℃30分火入れし、清澄タンクに入れて3日間清澄し、澄明で、風味良好な、醤油を得た。
この醤油の成分分析値を以下に示す。
食塩13.7%(w/v)、総窒素1.66%(w/v)、pH5.24、降圧ペプチドGly−Tyr101μg/ml、同Ser−Tyr43μg/ml、しょうゆの標準色 24番

本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。また本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2009-295466号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。

Claims (7)

  1. プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹または該醤油麹に対して20%(w/w)以下の未製麹蛋白質原料を含む醤油麹と食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、
    前記醤油諸味を品温45〜55℃で、1〜5日間加温消化する工程と
    を含む方法により得られる、血圧降下作用を有する醤油。
  2. アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性(IC50値)が3.0μl/ml以下である、請求項1に記載の醤油。
  3. 降圧ペプチドGly−Tyrを78μg/ml以上、降圧ペプチドSer−Tyrを20μg/ml以上含有する請求項1又は請求項2に記載の醤油。
  4. 前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の醤油を含有する飲食品。
  5. プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹と食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、
    前記醤油諸味を品温45〜55℃で、1〜5日間加温消化する工程と
    を含む、血圧降下作用を有する醤油の製造法。
  6. プロテアーゼ活性が20〜300U/g麹の醤油麹と、該醤油麹に対して20%(w/w)以下の未製麹蛋白質原料と、食塩水とを混和し醤油諸味を調製する工程と、
    前記醤油諸味を品温45〜55℃で、1〜5日間加温消化する工程と
    を含む、血圧降下作用を有する醤油の製造法。
  7. 加温消化する工程によって加温消化された醤油諸味に醤油乳酸菌及び/又は醤油酵母を添加し、発酵熟成を行なう工程を更に含む、請求項5又は請求項6に記載の醤油の製造法。
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