JPH05279263A - 血圧降下作用を有する醤油粕抽出物およびその製造法 - Google Patents
血圧降下作用を有する醤油粕抽出物およびその製造法Info
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- JPH05279263A JPH05279263A JP4108549A JP10854992A JPH05279263A JP H05279263 A JPH05279263 A JP H05279263A JP 4108549 A JP4108549 A JP 4108549A JP 10854992 A JP10854992 A JP 10854992A JP H05279263 A JPH05279263 A JP H05279263A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 醤油粕から抽出して得られる血圧降下作用を
有する抽出物を提供する。 【構成】 醤油粕を水もしくはアルカリで抽出し、該抽
出液を脱塩後、吸着樹脂あるいは活性炭で処理すること
により血圧降下作用を有する抽出物を得る。この抽出物
は、機能性食品素材として有用である。
有する抽出物を提供する。 【構成】 醤油粕を水もしくはアルカリで抽出し、該抽
出液を脱塩後、吸着樹脂あるいは活性炭で処理すること
により血圧降下作用を有する抽出物を得る。この抽出物
は、機能性食品素材として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、醤油製造の際に副製さ
れる醤油粕の有効利用法に関するものであり、より詳し
くは、機能性食品素材として有用な醤油粕から抽出して
得られる血圧降下作用を有する抽出物、その製造法およ
び該抽出物を含有する食品に関するものである。
れる醤油粕の有効利用法に関するものであり、より詳し
くは、機能性食品素材として有用な醤油粕から抽出して
得られる血圧降下作用を有する抽出物、その製造法およ
び該抽出物を含有する食品に関するものである。
【従来の技術】従来、醤油粕は主として家畜の飼料とし
て利用されてきたが、配合飼料の普及や醤油粕中に含ま
れる食塩などの問題のために年々その需要は低下してい
る。その結果、現在では醤油粕は産業廃棄物として莫大
な経費をかけて処理されているのが現状である。醤油粕
は蛋白質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、繊維質、
サポニンなどを含んでおり、その栄養価値の高さに着目
した食品素材としての利用(特開平3−76552
号)、薬理作用を有するサポニンの製造原料としての利
用(特開昭57−163331号、特開昭59−105
20号)などが報告されている。
て利用されてきたが、配合飼料の普及や醤油粕中に含ま
れる食塩などの問題のために年々その需要は低下してい
る。その結果、現在では醤油粕は産業廃棄物として莫大
な経費をかけて処理されているのが現状である。醤油粕
は蛋白質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、繊維質、
サポニンなどを含んでおり、その栄養価値の高さに着目
した食品素材としての利用(特開平3−76552
号)、薬理作用を有するサポニンの製造原料としての利
用(特開昭57−163331号、特開昭59−105
20号)などが報告されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】最近、機能性ペプチド
に関する研究が盛んになり、たとえば、内因性オピオイ
ドペプチド、免疫調節ペプチド、カルシウム吸収促進ペ
プチド、コレステロール上昇抑制ペプチド、アンジオテ
ンシンI変換酵素(ACE)阻害ペプチドなどが報告さ
れている。ACEは、不活性なアンジオテンシンIから
動脈収縮活性を有するアンジオテンシンIIへの転換を
触媒すると共に、動脈弛緩ペプチドであるブラジオニン
の分解にも関与している酵素である。したがって、AC
Eを阻害する物質は、血圧降下作用を有し、機能性食品
素材として有用である。従来、ACE阻害ペプチドは、
牛乳カゼイン、大豆タンパク質、イワシタンパク質、ト
ウモロコシ、コムギ、卵白アルブミンなどの加水分解物
から単離されているが、醤油粕からACE阻害ペプチド
を単離したという報告はなされていない。
に関する研究が盛んになり、たとえば、内因性オピオイ
ドペプチド、免疫調節ペプチド、カルシウム吸収促進ペ
プチド、コレステロール上昇抑制ペプチド、アンジオテ
ンシンI変換酵素(ACE)阻害ペプチドなどが報告さ
れている。ACEは、不活性なアンジオテンシンIから
動脈収縮活性を有するアンジオテンシンIIへの転換を
触媒すると共に、動脈弛緩ペプチドであるブラジオニン
の分解にも関与している酵素である。したがって、AC
Eを阻害する物質は、血圧降下作用を有し、機能性食品
素材として有用である。従来、ACE阻害ペプチドは、
牛乳カゼイン、大豆タンパク質、イワシタンパク質、ト
ウモロコシ、コムギ、卵白アルブミンなどの加水分解物
から単離されているが、醤油粕からACE阻害ペプチド
を単離したという報告はなされていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、植物蛋白
質の酵素分解物の抽出残渣である醤油粕の有効利用に関
する研究の過程で、醤油粕の抽出物がACE阻害活性に
基づく血圧降下作用を有することを見い出した。一般
に、醤油の三次機能としては、胃液分泌作用、殺菌作
用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、放射性誘導異常抑制作
用、血圧降下作用などが知られている。従来、醤油の血
圧降下作用は醤油中に含まれる食塩やヒスタミン吸収促
進物質の作用によるものと考えられおり、醤油粕の中に
ACE阻害物質が存在することは全く報告されていな
い。本発明者らはこの新規な知見に基づき、血圧降下作
用を有する抽出物の効率的な調製法及び得られた抽出物
の利用法に関して研究を重ねた結果、醤油粕を水もしく
はアルカリで抽出し、該抽出液を脱塩後、吸着樹脂ある
いは活性炭で処理することにより血圧降下作用を有する
抽出物を効率的に調製できることおよび得られた抽出物
が機能性食品素材として有用であることを見いだし、本
発明を完成させた。
質の酵素分解物の抽出残渣である醤油粕の有効利用に関
する研究の過程で、醤油粕の抽出物がACE阻害活性に
基づく血圧降下作用を有することを見い出した。一般
に、醤油の三次機能としては、胃液分泌作用、殺菌作
用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、放射性誘導異常抑制作
用、血圧降下作用などが知られている。従来、醤油の血
圧降下作用は醤油中に含まれる食塩やヒスタミン吸収促
進物質の作用によるものと考えられおり、醤油粕の中に
ACE阻害物質が存在することは全く報告されていな
い。本発明者らはこの新規な知見に基づき、血圧降下作
用を有する抽出物の効率的な調製法及び得られた抽出物
の利用法に関して研究を重ねた結果、醤油粕を水もしく
はアルカリで抽出し、該抽出液を脱塩後、吸着樹脂ある
いは活性炭で処理することにより血圧降下作用を有する
抽出物を効率的に調製できることおよび得られた抽出物
が機能性食品素材として有用であることを見いだし、本
発明を完成させた。
【0004】したがって、本発明は醤油粕から抽出して
得られる血圧降下作用を有する抽出物に関するものであ
る。また、本発明は醤油粕から抽出して得られる血圧降
下作用を有する抽出物を含有する食品に関するものであ
る。さらに、本発明は、醤油粕を水もしくはアルカリで
抽出し、該抽出液を脱塩後、吸着樹脂あるいは活性炭で
処理することを特徴とする血圧降下作用を有する抽出物
の製造法に関するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
得られる血圧降下作用を有する抽出物に関するものであ
る。また、本発明は醤油粕から抽出して得られる血圧降
下作用を有する抽出物を含有する食品に関するものであ
る。さらに、本発明は、醤油粕を水もしくはアルカリで
抽出し、該抽出液を脱塩後、吸着樹脂あるいは活性炭で
処理することを特徴とする血圧降下作用を有する抽出物
の製造法に関するものである。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0005】本発明方法に使用できる醤油粕は特別なも
のに限定されない。すなわち、本醸造方式、新式醸造方
式、アミノ酸液混合方式、酵素処理液混合方式などの各
種方式により副製する醤油粕を原料として使用すること
ができる。また、通常の醤油粕の他にも、食塩存在下で
麹を加水分解して得られる水不溶画分、醤油様調味液を
製造する際に得られる水不溶画分などの各種含塩調味液
製造時に副製する水不溶画分も本発明方法の原料として
使用することができる。したがって、本明細書中の「醤
油粕」とは、通常の醤油製造時に副産物として得られる
醤油粕のみを指すものではなく、上述のような含塩調味
液を製造する際に副製する水不溶画分をも含めた広い範
囲のものを包含する。また、使用する醤油粕としては、
加熱処理を施していない生醤油粕も使用可能であるが、
抽出後の固液分離の点で加熱処理を施したものを使用す
る方が好ましい。加熱処理は、200℃以下、好ましく
は150℃以下の温度で醤油粕が焦げ付かない程度行え
ばよい。
のに限定されない。すなわち、本醸造方式、新式醸造方
式、アミノ酸液混合方式、酵素処理液混合方式などの各
種方式により副製する醤油粕を原料として使用すること
ができる。また、通常の醤油粕の他にも、食塩存在下で
麹を加水分解して得られる水不溶画分、醤油様調味液を
製造する際に得られる水不溶画分などの各種含塩調味液
製造時に副製する水不溶画分も本発明方法の原料として
使用することができる。したがって、本明細書中の「醤
油粕」とは、通常の醤油製造時に副産物として得られる
醤油粕のみを指すものではなく、上述のような含塩調味
液を製造する際に副製する水不溶画分をも含めた広い範
囲のものを包含する。また、使用する醤油粕としては、
加熱処理を施していない生醤油粕も使用可能であるが、
抽出後の固液分離の点で加熱処理を施したものを使用す
る方が好ましい。加熱処理は、200℃以下、好ましく
は150℃以下の温度で醤油粕が焦げ付かない程度行え
ばよい。
【0006】醤油粕を抽出するのに使用する水として
は、井戸水、水道水、脱塩水などいずれも使用可能であ
るが、特に脱塩水が好ましい。また、アルカリとして
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化ア
ルカリ金属塩の水溶液またはアンモニア水を使用するこ
とができる。アルカリの濃度は0.5規定以下が望まし
い。抽出操作は、醤油粕の2〜8倍重量の水もしくはア
ルカリを使用し、10〜60℃で0.1〜10時間程度
醤油粕と水もしくはアルカリとを接触させることにより
実施することができる。接触方式は、バッチ法、連続法
(カラム法など)いずれの方式でもよく、バッチ法を採
用した場合には攪拌することにより抽出効率を高めるこ
とができる。抽出操作終了後、アルカリを用いた場合に
は塩酸などの適当な酸を添加して抽出液を中和後、固液
分離して不溶画分を除去し、清澄な抽出液を得る。固液
分離操作は、遠心分離、濾過、圧搾などの通常の固液分
離手段を適宜適用して行うことができる。次に、得られ
た清澄な抽出液を脱塩する。脱塩操作は、電気透析法、
脱塩樹脂(たとえば、スネークケージ樹脂など)を用い
たクロマトグラフィー法などの通常の方法を採用するこ
とができる。
は、井戸水、水道水、脱塩水などいずれも使用可能であ
るが、特に脱塩水が好ましい。また、アルカリとして
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化ア
ルカリ金属塩の水溶液またはアンモニア水を使用するこ
とができる。アルカリの濃度は0.5規定以下が望まし
い。抽出操作は、醤油粕の2〜8倍重量の水もしくはア
ルカリを使用し、10〜60℃で0.1〜10時間程度
醤油粕と水もしくはアルカリとを接触させることにより
実施することができる。接触方式は、バッチ法、連続法
(カラム法など)いずれの方式でもよく、バッチ法を採
用した場合には攪拌することにより抽出効率を高めるこ
とができる。抽出操作終了後、アルカリを用いた場合に
は塩酸などの適当な酸を添加して抽出液を中和後、固液
分離して不溶画分を除去し、清澄な抽出液を得る。固液
分離操作は、遠心分離、濾過、圧搾などの通常の固液分
離手段を適宜適用して行うことができる。次に、得られ
た清澄な抽出液を脱塩する。脱塩操作は、電気透析法、
脱塩樹脂(たとえば、スネークケージ樹脂など)を用い
たクロマトグラフィー法などの通常の方法を採用するこ
とができる。
【0007】このようにして得られた脱塩された醤油粕
抽出物をさらに吸着樹脂あるいは活性炭で処理して本発
明の血圧降下作用を有する抽出物を得る。吸着樹脂とし
ては、スチレン系、ピリジン系、アクリル系、フェノー
ル系などの合成吸着樹脂を使用することができ、特にス
チレン系合成吸着樹脂が好ましい。具体的には、ダイヤ
イオンHP10、同HP20、同HP21、同HP3
0、同HP40、同HP50、同HP20SS、セパビ
ーズSP206、同SP207、同SP800、同SP
900(以上、三菱化成(株)製)、アンバーライトX
AD−2、同XAD−4、同XAD−2000(以上、
ロームアンドハース社製)、デユオライトS−861、
同S−862、同S−863(住友化学工業(株)製)
などを例示することができる。また、活性炭としては、
吸着剤として通常使用されているものであれば特に限定
されず、骨炭や獣炭も使用することができる。吸着樹脂
もしくは活性炭を用いた処理は、脱塩された醤油粕抽出
物と吸着樹脂もしくは活性炭とを接触させればよく、バ
ッチ法または連続法(カラム法など)のいずれの接触方
式も採用することができる。
抽出物をさらに吸着樹脂あるいは活性炭で処理して本発
明の血圧降下作用を有する抽出物を得る。吸着樹脂とし
ては、スチレン系、ピリジン系、アクリル系、フェノー
ル系などの合成吸着樹脂を使用することができ、特にス
チレン系合成吸着樹脂が好ましい。具体的には、ダイヤ
イオンHP10、同HP20、同HP21、同HP3
0、同HP40、同HP50、同HP20SS、セパビ
ーズSP206、同SP207、同SP800、同SP
900(以上、三菱化成(株)製)、アンバーライトX
AD−2、同XAD−4、同XAD−2000(以上、
ロームアンドハース社製)、デユオライトS−861、
同S−862、同S−863(住友化学工業(株)製)
などを例示することができる。また、活性炭としては、
吸着剤として通常使用されているものであれば特に限定
されず、骨炭や獣炭も使用することができる。吸着樹脂
もしくは活性炭を用いた処理は、脱塩された醤油粕抽出
物と吸着樹脂もしくは活性炭とを接触させればよく、バ
ッチ法または連続法(カラム法など)のいずれの接触方
式も採用することができる。
【0008】このようにして得られた本発明の抽出物
は、そのままの状態でも食品素材として充分使用できる
が、更にイオンクロマトグラフィー、分子ふるいクロマ
トグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどの各種クロ
マトグラフィー法、膜分離処理などペプチドの単離手段
として常用されている方法を単独もしくは任意の順序で
組み合わせて血圧降下作用物質(ACE阻害物質)を精
製、単離してもかまわない。本発明の抽出物は、(1)
後述の実施例に示すように強いACE阻害能を有し、加
熱処理を施しても比較的安定である、(2)色調がほと
んど無色である、(3)醤油粕由来のものであるため、
安全性が高い、などの理由から機能性食品の素材として
有望である。また、本発明の抽出物を含有する食品は、
食品の種類、形状などにより制限されない。すなわち、
食品製造の任意の工程において本発明の抽出物を添加す
ることにより、血圧降下作用を有する醤油粕由来の抽出
物を含有する食品を製造することができる。特に、従来
高血圧症の人が摂取を制限している含塩食品(醤油、味
噌など)に本発明の抽出物を添加すれば、高血圧症の人
でも血圧の上昇を心配することなく食生活を楽しむこと
ができる。
は、そのままの状態でも食品素材として充分使用できる
が、更にイオンクロマトグラフィー、分子ふるいクロマ
トグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどの各種クロ
マトグラフィー法、膜分離処理などペプチドの単離手段
として常用されている方法を単独もしくは任意の順序で
組み合わせて血圧降下作用物質(ACE阻害物質)を精
製、単離してもかまわない。本発明の抽出物は、(1)
後述の実施例に示すように強いACE阻害能を有し、加
熱処理を施しても比較的安定である、(2)色調がほと
んど無色である、(3)醤油粕由来のものであるため、
安全性が高い、などの理由から機能性食品の素材として
有望である。また、本発明の抽出物を含有する食品は、
食品の種類、形状などにより制限されない。すなわち、
食品製造の任意の工程において本発明の抽出物を添加す
ることにより、血圧降下作用を有する醤油粕由来の抽出
物を含有する食品を製造することができる。特に、従来
高血圧症の人が摂取を制限している含塩食品(醤油、味
噌など)に本発明の抽出物を添加すれば、高血圧症の人
でも血圧の上昇を心配することなく食生活を楽しむこと
ができる。
【0009】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。 実施例1 生醤油粕(ヤマサ醤油(株)製)1000gを120℃
に加熱後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(4000
ml)中に添加し、40℃で15分間撹拌した。遠心分
離して得られた残渣に水2000mlを加えて再度同条
件にて撹拌した。攪拌後、遠心分離して得られた上澄と
先の上澄とを混合し、塩酸を用いて中和した。この抽出
液を減圧濃縮法にて500mlまで濃縮後、遠心分離し
て得た上澄をスネークケージ(三菱化成SR−1)に通
液し、有機物質含有画分と塩化ナトリウム含有画分とに
分画し、有機物質含有画分をさらに活性炭200mlを
充填したカラムに通液した。得られた通過液を200m
lまで濃縮し、本発明の抽出物とした。本発明の抽出物
のACE阻害活性の測定結果を下記表に示す。
する。 実施例1 生醤油粕(ヤマサ醤油(株)製)1000gを120℃
に加熱後、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(4000
ml)中に添加し、40℃で15分間撹拌した。遠心分
離して得られた残渣に水2000mlを加えて再度同条
件にて撹拌した。攪拌後、遠心分離して得られた上澄と
先の上澄とを混合し、塩酸を用いて中和した。この抽出
液を減圧濃縮法にて500mlまで濃縮後、遠心分離し
て得た上澄をスネークケージ(三菱化成SR−1)に通
液し、有機物質含有画分と塩化ナトリウム含有画分とに
分画し、有機物質含有画分をさらに活性炭200mlを
充填したカラムに通液した。得られた通過液を200m
lまで濃縮し、本発明の抽出物とした。本発明の抽出物
のACE阻害活性の測定結果を下記表に示す。
【0010】
【表1】
【0011】なお、ACE阻害活性は、CushmanとCheun
gの方法(Biochem.Pharmacol.,20,1637(1971))を改良
した方法を用いて測定した。まず、0.5gのウサギ肺
アセトンパウダー(シグマ社製)を10mlの50mM
ホウ酸−炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)に懸濁
し、15,000xg、30分の冷却遠心処理によりA
CE液を得た。活性測定はACE液50μlと基質とし
てベンゾイル−グリシル−ヒスチジル−ロイシン(ペプ
チド研究所製)を5mM、塩化ナトリウムを300mM
含む100mMホウ酸−炭酸ナトリウム緩衝液(pH
8.3)0.5mlからなる混合液に試料溶液5μlを
添加し、37℃で30分間インキュベートした後、1N
塩酸0.5mlを加えて反応を停止させた。酢酸エチル
3mlを加え、15秒間撹拌後、酵素反応により生成し
た馬尿酸を抽出した。酢酸エチル2mlから溶媒を留去
し、残渣を蒸留水2mlに再溶解後、YMC AM−3
12 ODSカラム(6.0x150mm)を用いるH
PLC法(溶出剤;0.05%トリフルオロ酢酸を含む
14%アセトニトリル)で馬尿酸を定量した。各実験に
おける反応混合液0.5mlあたりのACE活性および
ACE阻害活性は以下の式で算出した。
gの方法(Biochem.Pharmacol.,20,1637(1971))を改良
した方法を用いて測定した。まず、0.5gのウサギ肺
アセトンパウダー(シグマ社製)を10mlの50mM
ホウ酸−炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)に懸濁
し、15,000xg、30分の冷却遠心処理によりA
CE液を得た。活性測定はACE液50μlと基質とし
てベンゾイル−グリシル−ヒスチジル−ロイシン(ペプ
チド研究所製)を5mM、塩化ナトリウムを300mM
含む100mMホウ酸−炭酸ナトリウム緩衝液(pH
8.3)0.5mlからなる混合液に試料溶液5μlを
添加し、37℃で30分間インキュベートした後、1N
塩酸0.5mlを加えて反応を停止させた。酢酸エチル
3mlを加え、15秒間撹拌後、酵素反応により生成し
た馬尿酸を抽出した。酢酸エチル2mlから溶媒を留去
し、残渣を蒸留水2mlに再溶解後、YMC AM−3
12 ODSカラム(6.0x150mm)を用いるH
PLC法(溶出剤;0.05%トリフルオロ酢酸を含む
14%アセトニトリル)で馬尿酸を定量した。各実験に
おける反応混合液0.5mlあたりのACE活性および
ACE阻害活性は以下の式で算出した。
【0012】ACE活性=馬尿酸濃度(μg/ml)x
0.0005581 ACE阻害活性(%)={1-(ACE・S-ACE・BL)/(ACE・C-ACE
・BL)}x100 ACE・C:試料無添加時のACE活性(コントロー
ル) ACE・S:試料添加時のACE活性 ACE・BL:反応混合液に直ちに1N塩酸を添加した
時のACE活性(ブランク)
0.0005581 ACE阻害活性(%)={1-(ACE・S-ACE・BL)/(ACE・C-ACE
・BL)}x100 ACE・C:試料無添加時のACE活性(コントロー
ル) ACE・S:試料添加時のACE活性 ACE・BL:反応混合液に直ちに1N塩酸を添加した
時のACE活性(ブランク)
【0013】また、上記本発明の抽出物を以下の方法に
よりさらに分離精製した。すなわち、本発明の抽出物
2.5mlをSP−セファデックスC−25イオン交換
体(H+型)を充填したカラム(2.2x20cm)に
通液し、水洗後0.02N−アンモニア水溶液を通液し
てカラム容量の2.5倍〜3.5倍の位置に溶出される
ACE阻害活性画分を集めた。この画分を濃縮乾固後、
エタノール−水混合溶液(1:1、v/v)2mlに再
溶解し、この液をトヨパールHW−40Fゲル濾過体を
充填したカラム(3.2x90cm)に通液して、エタ
ノール−水混合溶液(1:1、v/v)で溶出して2つ
のACE阻害活性を示すピーク(ピークIおよびII)
を得た。このピークIおよびIIは、醤油を脱塩後、活
性炭処理して得られたACE阻害活性を有する抽出物か
らは見い出されず、醤油粕に特有なものであることを確
認した。なお、ピークIおよびIIのACE阻害活性
は、それぞれ44.89%と76.45%であった。
よりさらに分離精製した。すなわち、本発明の抽出物
2.5mlをSP−セファデックスC−25イオン交換
体(H+型)を充填したカラム(2.2x20cm)に
通液し、水洗後0.02N−アンモニア水溶液を通液し
てカラム容量の2.5倍〜3.5倍の位置に溶出される
ACE阻害活性画分を集めた。この画分を濃縮乾固後、
エタノール−水混合溶液(1:1、v/v)2mlに再
溶解し、この液をトヨパールHW−40Fゲル濾過体を
充填したカラム(3.2x90cm)に通液して、エタ
ノール−水混合溶液(1:1、v/v)で溶出して2つ
のACE阻害活性を示すピーク(ピークIおよびII)
を得た。このピークIおよびIIは、醤油を脱塩後、活
性炭処理して得られたACE阻害活性を有する抽出物か
らは見い出されず、醤油粕に特有なものであることを確
認した。なお、ピークIおよびIIのACE阻害活性
は、それぞれ44.89%と76.45%であった。
【0014】実施例2 割砕生醤油粕(粒度1〜7mmの篩を通過したもの)1
Kgをカラムに充填(約2.5〜3リットル担当量)
し、水または温水(約50℃)でアップフロー(上昇
法)方式で9リットル/h(SV=3)で通液した。初
流の1リットルを採取した(この区分に全ACE阻害活
性の95%が含有されている)。この初流区分を実施例
1と同様に操作して、本発明の抽出物を得た。
Kgをカラムに充填(約2.5〜3リットル担当量)
し、水または温水(約50℃)でアップフロー(上昇
法)方式で9リットル/h(SV=3)で通液した。初
流の1リットルを採取した(この区分に全ACE阻害活
性の95%が含有されている)。この初流区分を実施例
1と同様に操作して、本発明の抽出物を得た。
【0015】実施例3 活性炭の代わりにダイヤイオンHP10(三菱化成
(株)製)を用いて、実施例1と同様に操作して本発明
の抽出物を得た。
(株)製)を用いて、実施例1と同様に操作して本発明
の抽出物を得た。
Claims (4)
- 【請求項1】 醤油粕から抽出して得られる血圧降下作
用を有する抽出物。 - 【請求項2】 血圧降下作用がアンジオテンシンI変換
酵素阻害に基づく作用である、請求項1記載の抽出物。 - 【請求項3】 請求項1記載の抽出物を含有する食品。
- 【請求項4】 醤油粕を水もしくはアルカリで抽出し、
該抽出液を脱塩後、吸着樹脂あるいは活性炭で処理する
ことを特徴とする血圧降下作用を有する抽出物の製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4108549A JPH05279263A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 血圧降下作用を有する醤油粕抽出物およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4108549A JPH05279263A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 血圧降下作用を有する醤油粕抽出物およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05279263A true JPH05279263A (ja) | 1993-10-26 |
Family
ID=14487656
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4108549A Pending JPH05279263A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 血圧降下作用を有する醤油粕抽出物およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05279263A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006158213A (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-22 | Kikkoman Corp | 機能性醤油およびそれを含有する機能性飲食品 |
WO2011078324A1 (ja) | 2009-12-25 | 2011-06-30 | キッコーマン株式会社 | 血圧降下作用を有する醤油及びその製造法 |
CN103920009A (zh) * | 2014-04-29 | 2014-07-16 | 田力 | 一种用于治疗手术腹腔粘连的中药组方 |
-
1992
- 1992-03-31 JP JP4108549A patent/JPH05279263A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006158213A (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-22 | Kikkoman Corp | 機能性醤油およびそれを含有する機能性飲食品 |
WO2011078324A1 (ja) | 2009-12-25 | 2011-06-30 | キッコーマン株式会社 | 血圧降下作用を有する醤油及びその製造法 |
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