JP5552701B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシレスモータの駆動装置に関し、詳しくは、3相ブラシレスモータの通電モードの切り替え判定を、センサレスで行う駆動装置に関する。
特許文献1には、3相同期電動機において、パルス電圧によって誘起される非通電相の誘起電圧(パルス誘起電圧)を検出し、この誘起電圧と基準電圧とレベル比較し、該レベル比較の結果に応じて通電モードを順次切り替えていく、同期電動機の駆動システムが開示されている。
特開2009−189176号公報
ところで、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス状の電圧を2相に印加している間において検出するが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、パルス電圧のデューティ比が小さいと(電圧印加時間が短いと)、前記振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしてしまい、これによってパルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングを誤判定してしまう可能性があった。
また、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティ比によって大きさが変化し、デューティ比が小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、パルス誘起電圧に基づく通電モードの切り替えタイミングの判定をより安定して行え、脱調の発生を抑制できるブラシレスモータの駆動装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明の一態様では、3相のブラシレスモータのうち2相にPWM(パルス幅変調)信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置において、前記PWM信号の周期に応じた所定の検出タイミングで前記パルス誘起電圧を検出する検出間隔を、ブラシレスモータの実際の回転速度及びブラシレスモータの目標回転速度に基づいて変化させ、実際の回転速度及び目標回転速度に基づいて演算される前記PWM信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定タイミングにおける前記PWM信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限し、連続する所定の検出タイミング間において、所定値に制限された検出時デューティ比と、電圧検出手段がパルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、実際の回転速度及び目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、非検出時デューティ比を設定するようにした。
また、本願発明の別の態様では、3相のブラシレスモータのうち2相にPWM(パルス幅変調)信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置において、前記パルス誘起電圧を前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで検出し、前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限し、連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定するようにしている。
上記発明によると、パルス誘起電圧の検出精度が向上し、パルス誘起電圧に基づく通電モードの切り替えタイミングの判定を安定して行えるため、ブラシレスモータにおける脱調の発生を抑制することができる。
第1の実施形態における自動車AT(オートマチック・トランスミッション)用油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。 第1の実施形態におけるモータ制御装置及びブラシレスモータの構成を示す回路図である。 第1の実施形態におけるブラシレスモータの通電パターンを示すタイムチャートである。 第1の実施形態におけるブラシレスモータの駆動制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 第1の実施形態におけるブラシレスモータの駆動制御の詳細を示すフローチャートである。 第1の実施形態における目標モータ回転速度の設定特性を示す線図である。 第1の実施形態における非通電相の電圧検出期間を示すタイムチャートである。 第1の実施形態における非通電相の電圧検出タイミングを示すタイムチャートである。 第1の実施形態における非通電相の電圧検出タイミングがN=2の場合の目標デューティとモータ印加デューティとの関係を示す線図である。 第1の実施形態における通電モードの切り替え制御の詳細を示すフローチャートである。 第1の実施形態における検出限界値の設定特性を説明するためのタイムチャートである。 第1の実施形態における検出限界値の設定特性を説明するためのタイムチャートである。 第1の実施形態における非通電相のパルス誘起電圧とデューティ比との相関を示す線図である。 第1の実施形態におけるモータ温度によるパルス誘起電圧の変化を示す線図である。 第1の実施形態におけるモータ電源電圧によるパルス誘起電圧の変化を示す線図である。 第1の実施形態におけるパルスシフトを行わない場合のPWM信号生成を示すタイムチャートである。 第1の実施形態におけるパルスシフトを行った場合のPWM信号生成を示すタイムチャートである。 第2の実施形態におけるブラシレスモータの駆動制御の詳細を示すフローチャートである。
以下に本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、自動車AT用油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示す自動車AT用油圧ポンプシステムでは、変速機7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
また、エンジンの制御システムとして、自動停止条件の成立時にエンジンを停止し、自動始動条件が成立するとエンジンを再始動するアイドルストップ制御機能を備えており、アイドルストップによってエンジンが停止している間は、機械式オイルポンプ6もその動作を停止するため、アイドルストップ中は、電動オイルポンプ1を作動させて、変速機7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、油圧の低下を抑制する。
電動オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動される。ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3により、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいて制御される。
モータ制御装置(駆動装置)3は、ブラシレスモータ2を駆動制御して電動オイルポンプ1を駆動し、電動オイルポンプ1は、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機7やアクチュエータ8に供給する。
エンジン運転中は、エンジン駆動の機械式オイルポンプ6により、変速機7やアクチェータ8にオイル配管9を介してオイルパン10のオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
エンジンがアイドルストップによって停止すると、エンジン回転速度が低下し、機械式オイルポンプ6の回転速度が低下してオイル配管9内の油圧が低下するので、エンジンのアイドルストップに同期して、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に送信する。
起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
そして、機械式オイルポンプ6の吐出圧が低下する一方で、電動オイルポンプ1の吐出圧が設定圧を越えると、逆止弁11が開弁し、オイルは、オイル配管5、電動オイルポンプ1、逆止弁11、変速機7・アクチェータ8、オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
なお、本実施形態では、ブラシレスモータ2が、油圧ポンプシステムの電動オイルポンプ1を駆動するが、この他、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータなどであってもよく、ブラシレスモータ2が駆動する対象機器をオイルポンプに限定するものではない。
図2は、モータ制御装置3及びブラシレスモータ2の詳細を示す。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DC(Direct Current)ブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相,V相及びW相の3相巻線215u,215v,215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a〜218fを含んでなるスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有しており、スイッチング素子217a〜217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、スイッチング素子217a〜217fのオン/オフは、制御器213によるPWM動作で制御される。
制御器213は、ブラシレスモータ2の印加電圧(入力電圧)を演算し、該印加電圧に基づいてPWM信号を生成するとともに、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターン(通電モード)を所定の切り替えタイミングに従って順次切り替えていく回路である。そして、制御器213は、モータ駆動回路212の各スイッチング素子217a〜217fがどのような動作でスイッチングするかを、PWM信号及び通電モードに基づいて決定し、該決定に従い、6つのゲート信号をモータ駆動回路212に出力する。
制御器213は、前記所定の切り替えタイミングを以下のようにして検出する。
すなわち、2相に対するパルス電圧の印加により、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwのうち非通電相に誘起される電圧(パルス誘起電圧)は、回転子の位置(磁極位置)により磁気回路の飽和状態が変化することに応じて変化する。このパルス誘起電圧の検出値と、通電モードにより異なる所定の閾値と、を比較することで、回転子の位置を推定し、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
なお、非通電相の端子電圧は、厳密にはグランドGND−端子間の電圧であるが、本実施形態では、中性点の電圧を別途検出し、この中性点の電圧とGND−端子間電圧との差を求めて、端子電圧Vu,Vv,Vwとしている。
図3は、各通電モードにおける各相への電圧印加状態を示す。
通電モードは、電気角60degごとに順次切り替わる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)において、3相から選択された2相に対してパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する。
本実施形態では、U相のコイルの角度位置を、回転子(磁極)の基準位置(角度0deg)とし、通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行う回転子の角度位置(磁極位置)を30degに、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う回転子の角度位置を90degに、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う回転子の角度位置を150degに、通電モード(6)から通電モード(1)への切り替えを行う回転子の角度位置を210degに、通電モード(1)から通電モード(2)への切り替えを行う回転子の角度位置を270degに、通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う回転子の角度位置を330degに設定している。
通電モード(1)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流す。
通電モード(2)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(3)は、スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(5)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、W相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
なお、上記通電制御の場合、例えば通電モード(1)では、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流すようにしたが、下段のスイッチング素子217dを駆動するPWM信号と逆位相のPWM信号で上段のスイッチング素子217cを駆動し、下段のスイッチング素子217dがオンであるときに、上段のスイッチング素子217cをオフさせ、下段のスイッチング素子217dがオフであるときに、上段のスイッチング素子217cをオンさせるようにする相補制御方式で、各通電モード(1)〜(6)での通電制御を行わせることができる。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fを、240deg毎に120deg間通電することから、図3に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
図4は、モータ制御装置3において所定時間ごとに繰り返し行われるブラシレスモータ2の駆動制御の概略を示す。
ところで、切り替えタイミングの判定のために検出する非通電相のパルス誘起電圧は、ブラシレスモータ2の製造ばらつき、電圧検出回路の検出ばらつきなどによって変動するため、かかる誘起電圧のばらつきに対して、閾値として固定値を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤って判定することになってしまう。
このため、通電モードの切り替えタイミングに相当する磁極位置でのパルス誘起電圧を検出することで、閾値を実際の切り替えタイミングで発生する誘起電圧に近づける補正を行い、予め制御器213が記憶している閾値を補正結果に書き換える学習処理を行う。
ステップS301では、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値の学習条件が成立しているか否かを判断する。
具体的には、電源投入直後、又は、電動オイルポンプ1の停止直後など、ブラシレスモータ2の駆動要求が発生していないことを、閾値の学習条件とする。
学習条件が成立していれば、ステップS302(閾値学習手段)へ進んで、閾値の学習を実施する。
以下に、閾値の学習処理の一例を示す。
例えば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を学習する場合には、まず、回転子216を通電モード(3)に対応する角度に位置決めする。
通電モード(3)に対応する印加電圧、即ち、Vu=0、Vv=Vin、Vw=−Vinを各相に加えると、U相,V相及びW相の合成磁束に永久磁石回転子216が引かれることでトルクが発生し、永久磁石回転子216のN極が、角度90degまで回転することになる。
そして、通電モード(3)に対応する電圧印加を行ってから、回転子216が角度90degまで回転するのに要する時間の経過を待って、角度90degへの位置決めが完了したものと推定する。
なお、通電モード(3)に対応する相通電を行った場合に回転子216が引き付けられる角度90degは、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置である。
角度90degへの回転子216の位置決めが完了すると、次いで、通電モード(3)に対応する電圧印加パターンから、通電モード(4)に対応する電圧印加パターン、即ち、Vu=−Vin、Vv=Vin、Vw=0に切り替える。
そして、通電モード(3)に対応する印加電圧から通電モード(4)に対応する印加電圧に切り替えた直後における、通電モード(4)での非通電相であるW相の端子電圧Vwを検出し、該端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。
即ち、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えは、前述のように、角度90degで行わせるように設定されていて、角度90degになったか否か、換言すれば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えタイミングになったか否かは、通電モード(4)における非通電相であるW相の端子電圧Vwに基づいて判断する。
ここで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させることで、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置(90deg)に位置決めすることができ、係る状態で通電モード(3)から通電モード(4)に切り替えれば、通電モード(4)に切り替えた直後のW相の端子電圧Vwは、角度位置90degにおける非通電相の端子電圧Vを示すことになる。
そこで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させている状態から通電モード(4)に切り替えた直後におけるW相の端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。そして、通電モード(4)の非通電相であるW相の端子電圧Vwが、閾値V4-5を横切ったときに(W相の端子電圧Vw=閾値V4-5になったとき)、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを実行させるようにする。
他の通電モードの切り替えに用いる閾値も同様にして、更新学習を行える。
なお、閾値の更新処理においては、通電モードの切り替えを行う角度位置での非通電相の端子電圧Vを、そのまま閾値として記憶させても良いし、また、前回までの閾値と、今回求めた非通電相の端子電圧Vとの加重平均値を新たな閾値として記憶させても良いし、更に、過去複数回にわたって求めた非通電相の端子電圧Vの移動平均値を、新たな電圧閾値として記憶させても良い。
また、今回求めた非通電相の端子電圧Vが、予め記憶している正常範囲内の値であれば、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を行い、前記正常範囲から外れている場合には、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を禁止し、閾値を前回値のまま保持させるとよい。
また、閾値の初期値として設計値を記憶させておき、閾値の学習を1度も経験していない未学習状態では、閾値として初期値(設計値)を用いて通電モードの切り替えタイミングを判断させるようにする。
また、非通電相の電圧が基準電圧に対してマイナス側に振れる(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)のモード切替において共通の閾値を設定し、非通電相の電圧が基準電圧に対してプラス側に振れる、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)のモード切替において共通の閾値を設定することができる。
更に、例えば、前述のようにして学習した閾値V4-5を、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)のモード切替において共通の閾値とし、(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)のモード切替においては、閾値V4-5と絶対値が同じ閾値を共通の閾値として用いることができる。
但し、閾値の学習手段を上記のものに限定するものではなく、公知の種々の学習処理を適宜採用できる。
上記のようにして、ステップS302で、モード切り替えタイミングの判定に用いる閾値を学習した場合、及び、ステップS301で学習条件が成立していないと判断した場合には、ステップS303へ進む。
ステップS303では、電動オイルポンプ1(ブラシレスモータ2)の駆動要求が発生しているか否かを判断する。本実施形態の場合、アイドルストップ要求の発生が、電動オイルポンプ1の駆動要求の発生を示すことになる。
ここで、電動オイルポンプ1の駆動要求が発生すれば、ステップS304へ進み、そのときの通電モードでの非通電相の電圧を閾値と比較することで、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、通電モードを順次切り替えることで、ブラシレスモータ2を駆動させるセンサレスのモータ駆動制御を実施する。
なお、ブラシレスモータ2の起動は、例えば、通電モード(3)に応じた電圧印加によって90degの位置に位置決めした後、通電モード(5)に切り替えて、ブラシレスモータ2を回転させ始め、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う角度位置である150degになったことを、通電モード(5)における非通電相であるV相の電圧が、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替え判定に用いる閾値を横切ったときに判定し、通電モード(6)への切り替えを行う。その後、非通電相の電圧と閾値とを比較して、通電モードを順次切り替えるようにする。
一方、電動オイルポンプ1の駆動要求が発生していない場合は、ステップS304を迂回して本処理を終了させる。
次に、前記ステップS304におけるモータ駆動制御の詳細を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS341では、ブラシレスモータ2の目標回転速度を演算する。
本実施形態の電動オイルポンプ1を回転駆動するブラシレスモータ2では、例えば、図6に示すように、オイル温度(ATF(Automatic Transmission Fluid)油温)が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定する。
ブラシレスモータ2がエンジンに冷却水を循環させるウォータポンプを駆動する場合には、冷却水温度が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定することができる。
ステップS342では、ステップS341で演算した目標回転速度と実際のモータ回転速度とに基づいて印加電圧(入力電圧)の指令値を演算する。
例えば、目標回転速度と実際の回転速度との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)によって、下式に従って印加電圧(入力電圧)の指令値を決定する。
印加電圧=回転速度偏差*比例ゲイン+回転速度偏差積分値*積分ゲイン
回転速度偏差=目標回転速度−実際の回転速度
但し、印加電圧の指令値の決定方法を、目標回転速度に基づくものに限定するものではなく、例えば、電動オイルポンプ1の目標吐出圧と実吐出圧との偏差に基づき、印加電圧の指令値を決定する方法や、要求トルクに基づき印加電圧の指令値を決定する方法など、公知の決定方法を適宜採用できる。また、目標値に実際値を近づけるための印加電圧の演算処理を、比例積分制御に限定するものではなく、比例積分微分制御(PID制御)など公知の演算処理方法を適宜採用できる。
ステップS343では、ステップS342で決定した印加電圧(入力電圧)に基づいて、モータ印加デューティ(デューティ比)の目標値Dtを決定する。具体的には、目標デューティ(%)を目標デューティDt=印加電圧/電源電圧*100から算出する。
ステップS344では、相通電をPWM制御するときにおいて、非通電相の電圧を検出可能なモータ印加デューティ(デューティ比)の下限である検出限界値Dlim(所定値)を決定する。検出限界値Dlimの決定方法については後で詳細に説明する。
ステップS345では、ステップS343で算出した目標デューティDtとステップS344で決定した検出限界値Dlimとの大小比較を行う。目標デューティDtが検出限界値Dlim以上である場合には、ステップS346へ進む。
ステップS346では、目標デューティDtをそのまま最終的なモータ印加デューティとして決定し、ステップS347へ進む。
ステップS347(電圧検出手段の一部)では、そのときの通電モードにおける非通電相の電圧を検出する。具体的には、通電モード(1)の場合はW相の電圧を検出し、通電モード(2)の場合はV相の電圧を検出し、通電モード(3)の場合はU相の電圧を検出し、通電モード(4)の場合はW相の電圧を検出し、通電モード(5)の場合はV相の電圧を検出し、通電モード(6)の場合はU相の電圧を検出する。
ここで、非通電相の端子電圧の検出期間を、通電モード(3)を例に図7を参照して説明する。通電モード(3)では、V相にパルス幅変調動作によって印加電圧に相当する電圧Vを印加し、W相にパルス幅変調動作によって印加電圧に相当する電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流すから、電圧検出相はU相であり、このU相の端子電圧を、W相下段のスイッチング素子217fのオン期間で検出する。
また、通電モードの切り替え直後は、転流電流が発生し、係る転流電流の発生区間で検出した電圧を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤判断することになってしまう。そこで、通電モード切替直後の電圧検出値については、初回から設定回にわたって切り替えタイミングの判断には用いないようにする。前記設定回は、モータ回転速度及びモータ電流(モータ負荷)に応じて可変に設定することができ、モータ回転速度が高く、モータ電流が高いほど、前記設定回を大きな値に設定する。
ステップS348では、ステップS347で検出した非通電相の端子電圧に基づいて、通電モードの切り替え制御を行う。
一方、ステップS345において、目標デューティDtが検出限界値Dlim未満である場合には、ステップS349へ進む。このように、目標デューティDtが検出限界値Dlim以上となる場合とは別の処理を行うのは、後述するように、検出限界値Dlimを下回るモータ印加デューティで制御した場合、センサレス制御において通電モードの切り替えタイミングを誤って判断し、脱調する可能性があるからである。このため、ブラシレスモータ2の脱調を抑制しつつ、回転速度偏差に基づく印加電圧の要求を可能な限り満たすべく、以下のS349〜S351の処理ステップを実行する。
ステップS349(電圧検出手段の一部)では、非通電相の端子電圧をPWM信号の周期に応じて検出するための検出タイミングを設定する。例えば、図8に示すように、PWMキャリアN周期につき1回検出するとした場合のNの値(1以上の整数)を、実際のモータ回転速度、目標回転速度、PWMキャリア周波数などの種々のパラメータに基づいて設定する。
そして、ステップS350(制限手段)では、ステップS349で設定したNに基づいて、PWMキャリアN周期のうち、ステップS347で非通電相の端子電圧を検出するときのPWM信号のデューティ比である検出時デューティD1を検出限界値Dlimとして決定する。換言すれば、検出時デューティD1の下限値を検出限界値Dlimに制限している。
また、ステップS351(設定手段)では、連続する検出タイミング間において、非通電相の端子電圧を検出しないときの(N−1)回分についてのPWM信号のデューティ比である非検出時デューティD2〜DN(≧0)を式(1)に従って設定する。
D2〜DN=(目標デューティDt*N−検出限界値Dlim)/(N−1)
つまり、検出限界値Dlimに制限された検出時デューティD1をPWMキャリアN周期につき1回確保できるようにした上で、PWMキャリアのN周期分の平均デューティDav、すなわちDav=(D1+D2+…+DN)/Nなる式で算出される値が目標デューティDtとなるように、非検出時デューティD2〜DNを設定する。なお、N=1の場合、非検出時デューティD2〜DNの設定は行わない。また、Nの値が大きく、N/(N−1)≒1と近似できる場合には、制御器213の演算負荷を軽減すべくD2〜DNの値を、夫々、目標デューティDtとしてもよい。
このように検出時デューティD1及び非検出時デューティD2を決定することで、ブラシレスモータ2の脱調を抑制しつつ、回転速度偏差に基づく印加電圧の要求を満たすことが可能なモータ印加デューティの最小値Dminは、実質的に平均デューティDavの最小値として表される。このため、最小値Dminは検出限界値Dlimから平均デューティDavの最小値Dlim/Nまで低減されるので、電動オイルポンプ1の作動領域を低域で拡大させることが可能となる。
例えば、非通電相の端子電圧を検出する検出タイミングをN=2とした場合、図9に示すように、目標デューティDtが検出限界値Dlim未満となったときには、検出時デューティD1及び非検出時デューティD2が、D1=Dlim、D2=Dt*2−Dlimとして決定される。したがって、平均デューティDavの最小値はDlim/2となり、最小値Dminは検出限界値Dlimに対して実質的に半減する。
ここで、ステップS349において、Nの値は、通電モードの切り替えタイミングの判定遅れによる脱調を抑制すべく、ブラシレスモータ2の実際の回転速度又は目標回転速度が上昇するにつれて徐々に又は段階的に小さくなるように設定される。但し、PWMキャリア周波数によっては制御器213の演算負荷が高くなるので、Nの最小値は、通電モードの切り替えタイミングの判定遅れによる脱調抑制と制御器213の演算負荷とを比較考量して設定される。
前述したNの値の設定について換言すれば、Nの値は、平均デューティDavの最小値(=Dlim/N)をより低減すべく、ブラシレスモータ2の実際の回転速度又は目標回転速度が低下するにつれて徐々に又は段階的に大きくなるように設定される。通電モードの切り替え間隔は実際の回転速度又は目標回転速度が低下するにつれて長くなるので、Nの値を大きくすることができる。但し、Nの最大値は、通電モードの切り替えタイミングを判定できるように、ブラシレスモータ2の動作保証最低回転速度、ロータマグネット極対数、及びPWMキャリア周波数などに応じて制限される。
前述のNの値の設定において、例えば、ブラシレスモータ2の実際の回転速度又は目標回転速度が所定回転速度以上である場合にはN=1と設定する、すなわちPWMキャリア1周期ごとに端子電圧を検出する検出タイミングとすることができる。このような設定の場合、所定回転速度以上では、ブラシレスモータ2は目標デューティDtよりも高い検出限界値Dlimで駆動されるので、実際の印加電圧は、目標回転速度と実際の回転速度の偏差に基づく印加電圧の要求よりも高くなる。つまり、所定回転速度は回転速度偏差に基づく印加電圧の要求よりも脱調の抑制を優先すべき回転速度である。
なお、制御器213による制御を簡易にすべく、目標デューティDtが検出限界値Dlim以上の場合にN=1と設定してもよい。
また、ステップS349において、ブラシレスモータ2の実際の回転速度と目標回転速度とのいずれか大きい方の回転速度を選択し、選択した回転速度に応じて、前述のようにNの値が徐々に又は段階的に変化するように設定されてもよい。例えば、ブラシレスモータ2の実際の回転速度が目標回転速度よりも大きい場合、実際の回転速度が目標回転速度に向けて増大していくことが予想されるので、Nの値を目標回転速度に応じて予め小さくすることにより脱調を抑制して安全に制御できる。
前記ステップS351を実行した後、ステップS347へ進む。なお、ステップS347では、目標デューティDtが検出限界値Dlim以上となる場合と同様に、非通電相の端子電圧を検出するが、検出タイミングがPWMキャリアN周期に1回である点で異なる。
次に、前記ステップS348における通電モードの切り替え制御の詳細を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ381では、低速センサレス制御の実施条件であるか否かを判断する。非通電相に発生する誘起電圧(速度起電圧)の信号をトリガに通電モードの切り替えを行うセンサレス制御では、モータ回転速度が低い領域では、誘起電圧(速度起電圧)が低くなって切り替えタイミングを精度良く検出することが難しくなるので、モータの低回転域では、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき、切り替えタイミングの判断を行うセンサレス制御を行う。
従って、ステップS381では、速度起電圧をトリガとするモード切り替え判断を行える速度域であるか否かを、モータ回転速度が、設定速度よりも高いか否かに基づき判断する。即ち、前記設定速度は、速度起電圧をトリガとする切り替え判断を行えるモータ回転速度の最小値であり、予め実験やシミュレーションによって決定して記憶しておく。
なお、モータ回転速度は、通電モードの切り替え周期に基づき算出される。また、前記設定速度として、例えば、低速センサレス制御への移行を判断する第1設定速度と、低速センサレス制御の停止を判断する第2設定速度(>第1設定速度)とを設定し、センサレス制御の切り替えが短時間で繰り返されることを抑制するとよい。
ステップS381で、低速センサレス制御の実施条件であると判断した場合、換言すれば、モータ回転速度が設定速度以下である場合には、ステップS382(モード切替判定手段)へ進み、非通電相の電圧と閾値(ステップS302で学習した閾値)とを比較し、非通電相の電圧が閾値を横切ったときに、通電モードの切り替えタイミングを判定してステップS384へ進み、次の通電モードへの切り替えを実施する。
具体的には、そのときに通電モード(1)であった場合には、非通電相であるW相の電圧が、閾値V1-2以下になったときに、通電モード(2)への切り替えタイミングであると判断し、そのときに通電モード(2)であった場合には、非通電相であるV相の電圧が、閾値V2-3以上になったときに、通電モード(3)への切り替えタイミングであると判断し、そのときに通電モード(3)であった場合には、非通電相であるU相の電圧が、閾値V3-4以下になったときに、通電モード(4)への切り替えタイミングであると判断し、そのときに通電モード(4)であった場合には、非通電相であるW相の電圧が、閾値V4-5以上になったときに、通電モード(5)への切り替えタイミングであると判断し、そのときに通電モード(5)であった場合には、非通電相であるV相の電圧が、閾値V5-6以下になったときに、通電モード(6)への切り替えタイミングであると判断し、そのときに通電モード(6)であった場合には、非通電相であるU相の電圧が、閾値V6-1以上になったときに、通電モード(1)への切り替えタイミングであると判断する。
一方、ステップS381で、低速センサレス制御の実施条件ではないと判断した場合、換言すれば、モータ回転速度が設定速度よりも高い場合には、ステップS383へ進み、非通電相の電圧が零レベルを横切った時点から更に30deg回転したと判断した時点を、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する、高速センサレス制御を実施する。
詳細には、30degをそのときのモータ回転速度に基づいて時間に換算し、零クロス時点から30degに相当する時間が経過した時点で、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、ステップS384へ進んで、次の通電モードに切り替える。
ステップS385では、通電モードの切り替え周期に基づき、モータ回転速度を演算する。
ここで、ステップS344における検出限界値Dlimの決定方法を詳細に説明する。
例えば、図11に示すように、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの谷(カウンタ値が減少から増大に転じる点)、換言すれば、パルス印加電圧のパルス幅PWの中央付近を、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合、パルス電圧の印加直後(立ち上がり直後)の非通電相のパルス誘起電圧が振れる期間(電圧振れ時間)が前記パルス幅PWの1/2よりも長いと、パルス誘起電圧が振れている間に、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることになってしまい、非通電相のパルス誘起電圧を精度良く検出することができない。
また、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換処理に要する時間(A/D変換開始から完了までのA/D変換時間)が、前記パルス幅PWの1/2よりも長いと、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまい、この場合も、非通電相のパルス誘起電圧を精度良く検出することができず、ブラシレスモータ2が脱調してしまう可能性がある。
そこで、検出限界値Dlim(%)を式(A)に従って演算する。
式(A)…Dlim=max(電圧振れ時間、A/D変換時間)*2/キャリア周期*100
上記の式(A)によると、電圧振れ時間とA/D変換時間との長い方の2倍を検出限界値Dlimとすることになり、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
なお、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの山(カウンタ値が増大から減少に転じる点)を非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合や、PWM切替りタイミングを非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合にも、上記のようにして検出限界値Dlimを算出する。
また、電圧振れ時間及びA/D変換時間は、予め実験やシミュレーションで求めた値を用いることができる他、電圧振れ時間をステップS344において計測し、計測結果に基づき、検出限界値Dlimを決定することができる。
また、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)を任意のタイミングに設定できる場合には、図12に示すように、電圧振れ時間が経過した直後からA/D変換処理を開始させるようにすれば、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)を可及的に短いパルス内で行わせることができると共に、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
具体的には、式(B)に従って検出限界値Dlim(%)を演算する。
式(B)…Dlim=(電圧振れ時間+A/D変換時間)/キャリア周期*100
即ち、電圧振れ時間とA/D変換時間との総和よりも長いパルス幅PWとし、電圧振れ時間の経過直後からA/Dを開始させるようにすれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
また、非通電相のパルス誘起電圧は、モータ印加デューティ(デューティ比)によって大きさが変化し、図13に示すように、モータ印加デューティが小さくなると、非通電相のパルス誘起電圧も小さくなり、モータ印加デューティが小さいと電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性がある。
そこで、電圧検出回路で検出可能なパルス誘起電圧(電圧検出の分解能を上回る電圧)を発生させるモータ印加デューティの最小値を、前記検出限界値Dlimとするとよい。
ここで、前述の式(A)又は式(B)で演算した検出限界値Dlimと、電圧検出の分解能に基づき設定した検出限界値Dlimとのうち、より大きなデューティ比を最終的な検出限界値Dlimとすることができる。
このようにして検出限界値Dlimを設定すれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制でき、更に、パルス誘起電圧として検出可能な電圧を発生させて通電モードの切り替えタイミングの判定を行えることになり、ブラシレスモータ2における脱調の発生を抑制できる。
従って、上記油圧ポンプシステムであれば、アイドルストップ中に、電動オイルポンプ1からのオイル供給を安定的に行わせて、油圧低下を効果的に抑制でき、また、ブラシレスモータ2でウォータポンプを駆動する場合には、冷却水の循環を安定的に行わせてエンジンの過熱を抑制できる。
なお、モータ印加デューティの検出限界値Dlimに基づく制限に加えて、連続的にパルス電圧を印加する時間を長くするために、キャリア周期を増大側(キャリア周波数を低下側)に変更してもよい。
また、前記通電モードの切り替えタイミングを判断するための閾値を学習する際には、モータ印加デューティ(デューティ比)を前記検出限界値Dlimとした状態で学習を実施させるとよい。
これは、前記検出限界値Dlimよりも大きなモータ印加デューティを設定している状態で閾値を学習させると、図13に示したようにモータ印加デューティが小さいほどパルス誘起電圧が小さくなるから、モータ印加デューティが学習時よりも小さくなった場合に、パルス誘起電圧が閾値を横切らず、通電モードの切り替えが不能になってしまう可能性があるためである。
従って、パルス誘起電圧検出時のモータ印加デューティを、最小値である前記検出限界値Dlimとした状態で閾値を学習させるようにし、たとえモータ印加デューティが最小値になったとしても、パルス誘起電圧が閾値に達し、通電モードの切り替えタイミングを判定できるようにする。
また、上記のように、前記検出限界値Dlimのデューティ比でパルス電圧を印加させている状態で、通電モードの切り替えタイミングを判断するための閾値の学習を実施した場合には、モータ温度やモータ電源電圧の変化に対し、下記のようにして検出限界値Dlimを補正するとよい。
図14に示すように、閾値を学習したときのモータ印加デューティ(デューティ比)をA1(A1=Dlim)、閾値を学習したときのモータ温度をT1とすると、モータ温度がT1よりも高いT2になると、通電モードの切り替えタイミング(切り替えを行う磁極位置)での実際のパルス誘起電圧の絶対値は低下する。即ち、デューティ比を検出限界値Dlimに固定した状態で、モータ温度が上昇すると、通電モードの切り替えタイミングでの実際のパルス誘起電圧の絶対値が低下するので、モータ温度が低いときに学習した閾値を、モータ温度がより高い条件でそのまま用いると、パルス誘起電圧が閾値に達しなくなり、通電モードの切り替えタイミングを判定できなくなってしまう可能性がある。
そこで、学習時のモータ温度T1よりも高いモータ温度T2になった場合には、モータ温度の上昇分によるパルス誘起電圧のレベル低下を補うように、検出限界値Dlimを増大補正して、モータ印加デューティが検出限界値Dlimに設定される場合でのパルス誘起電圧を増大させ、学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されるようにする。換言すれば、デューティ比を検出限界値Dlimとしたときの通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧のモータ温度による変化を抑制する方向に、検出限界値Dlimを変更する。
具体的には、学習時からの温度上昇代に対するデューティ増大補正量の相関を予め求めて記憶しておき、そのときのモータ温度T2と学習時のモータ温度T1との差からデューティの増大補正量を求め、該増大補正値で検出限界値Dlimを増大補正する。図14に示した例では、検出限界値Dlimをデューティ比A1からデューティ比A2にすることで補正する。
これにより、閾値の学習時におけるモータ温度から上昇変化しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
なお、モータ温度は、本実施形態の油圧ポンプシステムの場合には、オイル温度などで代表させることができ、オイル温度はセンサで直接的に検出できる他、エンジンの運転条件から推定することが可能である。また、モータ(巻線)の温度を検出するセンサを設けてもよい。
また、モータ温度を検出又は推定する手段を備えず、モータ温度が不明である場合には、モータ温度が最高温度になっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定できるように、検出限界値Dlimを予め増大補正する。
また、モータ温度が学習時よりも低下した場合には、通電モードの切り替えタイミングでの実際のパルス誘起電圧が増大変化することになる。この場合には、検出限界値Dlimを、非通電相(開放相)の電圧が正確に検出可能な範囲で減少補正すれば、実際のパルス誘起電圧は学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されることになる。但し、パルス誘起電圧が増大変化する場合には、閾値との比較に基づき通電モードの切り替え判定が行えるので、少なくともモータ温度の上昇変化に対する検出限界値Dlimの増大補正を行えば、脱調の発生を抑制できる。
なお、モータ印加デューティを検出限界値Dlimとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ温度毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ温度の変化に対応する検出限界値Dlimの補正を省略することが可能である。
一方、モータの電源電圧も、通電モードの切り替えタイミング(切り替えを行う磁極位置)での実際のパルス誘起電圧の絶対値に影響を与え、図15に示すように、モータ電源電圧が学習時よりも低下すると、通電モードの切り替えタイミング(切り替えを行う磁極位置)での実際のパルス誘起電圧の絶対値は低下し、パルス誘起電圧が閾値に達しないことで通電モードの切り替えタイミングを判定できなくなってしまう可能性がある。
そこで、学習時のモータ電源電圧よりも低い電源電圧になった場合には、モータ電源電圧の低下分によるパルス誘起電圧のレベル低下を補うように、検出限界値Dlimを増大補正して、モータ印加デューティが検出限界値Dlimに設定される場合でのパルス誘起電圧を増大させ、学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されるようにする。換言すれば、デューティ比を検出限界値Dlimとしたときの通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の電源電圧による変化を抑制する方向に、検出限界値Dlimを変更する。
具体的には、学習時からの電源電圧の低下代に対するデューティ増大補正量の相関を予め求めて記憶しておき、そのときの電源電圧と学習時の電源電圧との差からデューティの増大補正量を求め、該増大補正値で検出限界値Dlimを増大補正する。図15に示した例では、検出限界値Dlimをデューティ比A1からデューティ比A3にして補正する。
これにより、閾値の学習時からモータ電源電圧が低下しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
また、モータ電源電圧が学習時よりも増加した場合には、通電モードの切り替えタイミングでの実際のパルス誘起電圧が増大変化することになる。この場合には、検出限界値Dlimを、非通電相(開放相)の電圧が正確に検出可能な範囲で減少補正すれば、実際のパルス誘起電圧は学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されることになる。但し、パルス誘起電圧が増大変化する場合には、閾値との比較に基づき通電モードの切り替え判定が行えるので、少なくともモータ電源電圧の低下に対する検出限界値Dlimの増大補正を行えば、脱調の発生を抑制できる。
なお、モータ印加デューティを検出限界値Dlimとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ電源電圧毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ電源電圧の変化に対応する検出限界値Dlimの補正を省略することが可能である。
また、モータ温度に基づく補正と、電源電圧に基づく補正とを双方を、検出限界値Dlimに対して施せば、モータ温度及び電源電圧の変化があっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
また、パルス誘起電圧の振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしたり、A/D変換の途中でパルス電圧の印加が途絶えたりして、パルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になることを抑制するためには、パルス電圧の印加時間を長くすればよく、パルス電圧の印加時間をより長くする方法として、後述するパルスシフトを実施するとよい。
上記のパルスシフトは、1周期における電圧印加時間の総和であるデューティ比を変更することなく、連続する電圧印加時間を長くする手段であり、係るパルスシフトを実施した上で、前述の検出限界値Dlimによるデューティ比の制限を実施すれば、検出限界値Dlimを低く抑制して、デューティ比の可変範囲を広く確保できる。
図16は、一般的なPWM信号生成を示す。
図16において、三角波キャリアの中間値Dの値が電圧=0であり、また、電圧指令値をBとし、V相のPWM信号は、三角波キャリアと電圧指令値D+Bを比較した結果を用い、W相のPWM信号は、三角波キャリアと電圧指令値D−Bを比較した結果を用いている。
即ち、V相の上段スイッチング素子は、三角波キャリアよりも電圧指令値D+Bが高い期間においてONとなり、W相の下段スイッチング素子は、三角波キャリアが電圧指令値D−Bよりも高い期間においてONとなる。
しかし、図16に示すPWM信号生成では、デューティが小さいとV相とW相とが共に通電している時間であるパルス電圧の印加時間(図16中の斜線の期間)が短く、非通電相に誘起される電圧を精度良く検出することが難しい。
そこで、図17に示すパルスシフトを実施することで、図17に示したPWM信号生成と同一のデューティで2相が共に通電している連続時間(パルス電圧の印加時間)をより長くし、非通電相に誘起される電圧の検出精度を向上させることができる。
図17に示すパルスシフトでは、三角波キャリアの山・谷(上昇・下降)のタイミングで、電圧指令値に対して補正を行っている。
具体的には、三角波キャリアの上昇期間では、電圧指令値を電圧=DからXだけ離れるように、電圧指令値D+BについてはD+B+A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B−A(但し、A=X−B)に補正し、三角波キャリアの下降期間では、電圧指令値を電圧=Dに近づけるように、電圧指令値D+BについてはD+B−A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B+A(但し、A=X−B)に補正している。
上記の電圧指令値の補正によって、三角波キャリアの下降期間でV相とW相とが共に通電している時間が短くなる分だけ、三角波キャリアの上昇期間でV相とW相とが共に通電している時間が長くなり、デューティ(1周期におけるオン時間)を変えずに、2相が共に通電している連続時間(パルス電圧の印加時間)を長くすることができ、パルス誘起電圧の振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしたり、A/D変換中に電圧印加が途絶えることを抑制できる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付すことでその説明を省略又は簡潔にする。
第2実施形態におけるモータ制御装置3は、ステップS304のモータ駆動制御において、目標デューティDtが検出限界値Dlim未満となった場合に、非通電相の端子電圧を検出するための検出タイミングの設定を行わずにNを固定値としたこと、すなわち図5におけるステップS349を省略した点で、第1実施形態と相違する。
図18は、第2実施形態でN=2と固定した場合におけるステップS304のモータ駆動制御の詳細を示すフローチャートである。
ステップS401では、制御器213のROM(Read Only Memory)などに記憶された固定の検出タイミング(PWM信号の周期に応じて2周期に1回)に基づいて、2回のうち1回検出するときの検出時デューティD1を検出限界値Dlimとして設定する。
ステップS402では、2回のうち1回検出しないときの非検出時デューティD2を下式に従って設定する。
D2=目標デューティDt*2−検出限界値Dlim
第2実施形態におけるモータ制御装置3によれば、目標デューティDtが検出限界値Dlim未満となった場合に、非通電相の端子電圧を検出するための検出タイミングの設定を行う必要がないので、制御器213の演算負荷を軽減することができる。
以上、好ましい実施形態を具体的に説明したが、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、モータ温度の上昇変化に対して前記所定値を増大補正するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ温度が上昇し、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値が低下することで、通電モードの切り替え判定ができなくなることを抑制すべく、前記所定値を増大補正して通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値の低下を抑制する。
(ロ)請求項2又は(イ)に記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、モータ電源電圧の低下に対して前記所定値を増大補正するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ電源電圧が低下し、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値が低下することで、通電モードの切り替え判定ができなくなることを抑制すべく、所定値を増大補正して通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値の低下を抑制する。
(ハ)請求項2並びに(イ)及び(ロ)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、前記パルス電圧の印加開始直後において前記パルス誘起電圧が変動する時間と、前記パルス誘起電圧をA/D変換するのに要する時間と、の総和の時間でパルス電圧が印加されるときのデューティ比を前記所定値として設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス誘起電圧が変動する時間を避け、かつ、A/D変換時間を確保でき、パルス誘起電圧をA/D変換によって精度良くサンプリングできる。
(ニ)請求項2並びに(イ)及び(ロ)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、前記バルス電圧の印加開始直後において前記パルス誘起電圧が変動する時間と、前記パルス誘起電圧をA/D変換するのに要する時間とのうちの長い方の時間の2倍以上の時間でパルス電圧が印加されるときのデューティ比を前記所定値として設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、例えば、パルス電圧を印加している間の中間点でA/D変換処理を開始する場合に、パルス誘起電圧が変動する期間中にA/D変換が開始されてしまうことを抑制でき、かつ、A/D変換中にパルス電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
(ホ)請求項2及び(イ)〜(ニ)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記非通電相に誘起される誘起電圧と閾値とを比較して、前記通電モードの切り替えタイミングを判定するモード切替判定手段と、
前記パルス電圧のデューティ比を前記所定値とした状態で、前記モード切替判定手段における閾値を学習する閾値学習手段と、
を更に含んで構成されたブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、デューティ比を所定値とすることで、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧が低い状態で閾値を学習することになり、所定値以上のデューティ比において、学習した閾値に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定できる。
(ヘ)(イ)又は(ロ)に記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記非通電相に誘起される誘起電圧と閾値とを比較して、前記通電モードの切り替えタイミングを判定するモード切替判定手段と、
前記パルス電圧のデューティ比を前記所定値とした状態で、前記モード切替判定手段における閾値を学習する閾値学習手段と、を更に備え、
前記モータ温度の上昇変化又はモータ電源電圧の低下が、前記閾値を学習したときの温度からの上昇変化又は前記閾値を学習したときの電源電圧からの低下であるブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、閾値を学習したときの温度から上昇変化し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧が閾値に達しない可能性がある場合には、所定値を増大補正し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧の絶対値の増大を図る。また、閾値を学習したときの電源電圧から低下し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧が閾値に達しない可能性がある場合には、所定値を増大補正し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧の絶対値の増大を図る。
(ト)請求項2、並びに(イ)、(ロ)、(ホ)及び(へ)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、パルス誘起電圧の振れ時間,A/D変換時間,電圧検出回路の分解能のうちの少なくとも1つに基づき前記所定値を設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス誘起電圧の振れ時間を避けてパルス誘起電圧をサンプリングし、A/D変換時間を確保し、電圧検出回路の分解能を越えるパルス誘起電圧が発生するように、所定値を設定する。
また、連続して通電している時間が長いパルスシフトでのデューティ比を所定値以上に制限することで、パルスシフトを使用しない場合よりも低デューティ比でモータを駆動することが可能となり、極低回転時の省電力化を図ることができる。
(チ)請求項1〜5及び(イ)〜(ト)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記ブラシレスモータは電動ポンプを駆動し、該電動ポンプは車両又はエンジンに用いられる冷却水又は暖機用温水を吐出する電動ウォータポンプであるブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、ブラシレスモータの脱調を抑制しつつ所定値を下回るデューティ比で駆動できるので、電動ポンプの可変容量(流量)を低域で拡大させ、ポンプ性能を十分に発揮することができる。
(リ)請求項1〜請求項3及び(イ)〜(チ)のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記電圧検出手段は、前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合において、前記所定の検出タイミングを固定値とするブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合において、非通電相の端子電圧を検出するための検出タイミングを設定する必要がなくなるので、駆動装置における演算負荷を軽減することができる。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御器、215u,215v,215w…巻線、216…永久磁石回転子、217a〜217f…スイッチング素子

Claims (3)

  1. 3相のブラシレスモータのうち2相にパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
    前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで前記パルス誘起電圧を検出する検出間隔を、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に基づいて変化させる電圧検出手段と、
    前記実際の回転速度及び前記目標回転速度に基づいて演算される前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限する制限手段と、
    連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記実際の回転速度及び前記目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定する設定手段と、
    を含んで構成されたことを特徴とするブラシレスモータの駆動装置。
  2. 前記所定の検出タイミングで前記パルス誘起電圧を検出する検出間隔は、前記実際の回転速度又は前記目標回転速度が所定回転速度以上である場合、前記パルス幅変調信号の1周期であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータの駆動装置。
  3. 3相のブラシレスモータのうち2相にパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
    前記パルス誘起電圧を前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで検出する電圧検出手段と、
    前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限する制限手段と、
    連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定する設定手段と、
    を含んで構成されたことを特徴とするブラシレスモータの駆動装置。
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