JP5552701B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents
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Description
また、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティ比によって大きさが変化し、デューティ比が小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があった。
また、本願発明の別の態様では、3相のブラシレスモータのうち2相にPWM(パルス幅変調)信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置において、前記パルス誘起電圧を前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで検出し、前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限し、連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定するようにしている。
図1は、自動車AT用油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示す自動車AT用油圧ポンプシステムでは、変速機7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
電動オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動される。ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3により、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいて制御される。
エンジン運転中は、エンジン駆動の機械式オイルポンプ6により、変速機7やアクチェータ8にオイル配管9を介してオイルパン10のオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
なお、本実施形態では、ブラシレスモータ2が、油圧ポンプシステムの電動オイルポンプ1を駆動するが、この他、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータなどであってもよく、ブラシレスモータ2が駆動する対象機器をオイルポンプに限定するものではない。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DC(Direct Current)ブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相,V相及びW相の3相巻線215u,215v,215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、スイッチング素子217a〜217fのオン/オフは、制御器213によるPWM動作で制御される。
すなわち、2相に対するパルス電圧の印加により、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwのうち非通電相に誘起される電圧(パルス誘起電圧)は、回転子の位置(磁極位置)により磁気回路の飽和状態が変化することに応じて変化する。このパルス誘起電圧の検出値と、通電モードにより異なる所定の閾値と、を比較することで、回転子の位置を推定し、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
なお、非通電相の端子電圧は、厳密にはグランドGND−端子間の電圧であるが、本実施形態では、中性点の電圧を別途検出し、この中性点の電圧とGND−端子間電圧との差を求めて、端子電圧Vu,Vv,Vwとしている。
通電モードは、電気角60degごとに順次切り替わる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)において、3相から選択された2相に対してパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する。
通電モード(2)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fを、240deg毎に120deg間通電することから、図3に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
このため、通電モードの切り替えタイミングに相当する磁極位置でのパルス誘起電圧を検出することで、閾値を実際の切り替えタイミングで発生する誘起電圧に近づける補正を行い、予め制御器213が記憶している閾値を補正結果に書き換える学習処理を行う。
具体的には、電源投入直後、又は、電動オイルポンプ1の停止直後など、ブラシレスモータ2の駆動要求が発生していないことを、閾値の学習条件とする。
以下に、閾値の学習処理の一例を示す。
例えば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を学習する場合には、まず、回転子216を通電モード(3)に対応する角度に位置決めする。
そして、通電モード(3)に対応する電圧印加を行ってから、回転子216が角度90degまで回転するのに要する時間の経過を待って、角度90degへの位置決めが完了したものと推定する。
角度90degへの回転子216の位置決めが完了すると、次いで、通電モード(3)に対応する電圧印加パターンから、通電モード(4)に対応する電圧印加パターン、即ち、Vu=−Vin、Vv=Vin、Vw=0に切り替える。
即ち、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えは、前述のように、角度90degで行わせるように設定されていて、角度90degになったか否か、換言すれば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えタイミングになったか否かは、通電モード(4)における非通電相であるW相の端子電圧Vwに基づいて判断する。
そこで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させている状態から通電モード(4)に切り替えた直後におけるW相の端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。そして、通電モード(4)の非通電相であるW相の端子電圧Vwが、閾値V4-5を横切ったときに(W相の端子電圧Vw=閾値V4-5になったとき)、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを実行させるようにする。
なお、閾値の更新処理においては、通電モードの切り替えを行う角度位置での非通電相の端子電圧Vを、そのまま閾値として記憶させても良いし、また、前回までの閾値と、今回求めた非通電相の端子電圧Vとの加重平均値を新たな閾値として記憶させても良いし、更に、過去複数回にわたって求めた非通電相の端子電圧Vの移動平均値を、新たな電圧閾値として記憶させても良い。
また、今回求めた非通電相の端子電圧Vが、予め記憶している正常範囲内の値であれば、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を行い、前記正常範囲から外れている場合には、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を禁止し、閾値を前回値のまま保持させるとよい。
また、非通電相の電圧が基準電圧に対してマイナス側に振れる(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)のモード切替において共通の閾値を設定し、非通電相の電圧が基準電圧に対してプラス側に振れる、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)のモード切替において共通の閾値を設定することができる。
但し、閾値の学習手段を上記のものに限定するものではなく、公知の種々の学習処理を適宜採用できる。
ステップS303では、電動オイルポンプ1(ブラシレスモータ2)の駆動要求が発生しているか否かを判断する。本実施形態の場合、アイドルストップ要求の発生が、電動オイルポンプ1の駆動要求の発生を示すことになる。
なお、ブラシレスモータ2の起動は、例えば、通電モード(3)に応じた電圧印加によって90degの位置に位置決めした後、通電モード(5)に切り替えて、ブラシレスモータ2を回転させ始め、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う角度位置である150degになったことを、通電モード(5)における非通電相であるV相の電圧が、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替え判定に用いる閾値を横切ったときに判定し、通電モード(6)への切り替えを行う。その後、非通電相の電圧と閾値とを比較して、通電モードを順次切り替えるようにする。
次に、前記ステップS304におけるモータ駆動制御の詳細を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
本実施形態の電動オイルポンプ1を回転駆動するブラシレスモータ2では、例えば、図6に示すように、オイル温度(ATF(Automatic Transmission Fluid)油温)が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定する。
ブラシレスモータ2がエンジンに冷却水を循環させるウォータポンプを駆動する場合には、冷却水温度が高いほど目標回転速度をより高い回転速度に設定することができる。
例えば、目標回転速度と実際の回転速度との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)によって、下式に従って印加電圧(入力電圧)の指令値を決定する。
印加電圧=回転速度偏差*比例ゲイン+回転速度偏差積分値*積分ゲイン
回転速度偏差=目標回転速度−実際の回転速度
ステップS344では、相通電をPWM制御するときにおいて、非通電相の電圧を検出可能なモータ印加デューティ(デューティ比)の下限である検出限界値Dlim(所定値)を決定する。検出限界値Dlimの決定方法については後で詳細に説明する。
ステップS346では、目標デューティDtをそのまま最終的なモータ印加デューティとして決定し、ステップS347へ進む。
また、通電モードの切り替え直後は、転流電流が発生し、係る転流電流の発生区間で検出した電圧を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤判断することになってしまう。そこで、通電モード切替直後の電圧検出値については、初回から設定回にわたって切り替えタイミングの判断には用いないようにする。前記設定回は、モータ回転速度及びモータ電流(モータ負荷)に応じて可変に設定することができ、モータ回転速度が高く、モータ電流が高いほど、前記設定回を大きな値に設定する。
そして、ステップS350(制限手段)では、ステップS349で設定したNに基づいて、PWMキャリアN周期のうち、ステップS347で非通電相の端子電圧を検出するときのPWM信号のデューティ比である検出時デューティD1を検出限界値Dlimとして決定する。換言すれば、検出時デューティD1の下限値を検出限界値Dlimに制限している。
また、ステップS351(設定手段)では、連続する検出タイミング間において、非通電相の端子電圧を検出しないときの(N−1)回分についてのPWM信号のデューティ比である非検出時デューティD2〜DN(≧0)を式(1)に従って設定する。
D2〜DN=(目標デューティDt*N−検出限界値Dlim)/(N−1)
なお、制御器213による制御を簡易にすべく、目標デューティDtが検出限界値Dlim以上の場合にN=1と設定してもよい。
次に、前記ステップS348における通電モードの切り替え制御の詳細を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
なお、モータ回転速度は、通電モードの切り替え周期に基づき算出される。また、前記設定速度として、例えば、低速センサレス制御への移行を判断する第1設定速度と、低速センサレス制御の停止を判断する第2設定速度(>第1設定速度)とを設定し、センサレス制御の切り替えが短時間で繰り返されることを抑制するとよい。
詳細には、30degをそのときのモータ回転速度に基づいて時間に換算し、零クロス時点から30degに相当する時間が経過した時点で、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、ステップS384へ進んで、次の通電モードに切り替える。
ここで、ステップS344における検出限界値Dlimの決定方法を詳細に説明する。
例えば、図11に示すように、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの谷(カウンタ値が減少から増大に転じる点)、換言すれば、パルス印加電圧のパルス幅PWの中央付近を、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合、パルス電圧の印加直後(立ち上がり直後)の非通電相のパルス誘起電圧が振れる期間(電圧振れ時間)が前記パルス幅PWの1/2よりも長いと、パルス誘起電圧が振れている間に、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることになってしまい、非通電相のパルス誘起電圧を精度良く検出することができない。
そこで、検出限界値Dlim(%)を式(A)に従って演算する。
式(A)…Dlim=max(電圧振れ時間、A/D変換時間)*2/キャリア周期*100
なお、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの山(カウンタ値が増大から減少に転じる点)を非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合や、PWM切替りタイミングを非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合にも、上記のようにして検出限界値Dlimを算出する。
また、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)を任意のタイミングに設定できる場合には、図12に示すように、電圧振れ時間が経過した直後からA/D変換処理を開始させるようにすれば、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)を可及的に短いパルス内で行わせることができると共に、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
式(B)…Dlim=(電圧振れ時間+A/D変換時間)/キャリア周期*100
即ち、電圧振れ時間とA/D変換時間との総和よりも長いパルス幅PWとし、電圧振れ時間の経過直後からA/Dを開始させるようにすれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
そこで、電圧検出回路で検出可能なパルス誘起電圧(電圧検出の分解能を上回る電圧)を発生させるモータ印加デューティの最小値を、前記検出限界値Dlimとするとよい。
このようにして検出限界値Dlimを設定すれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制でき、更に、パルス誘起電圧として検出可能な電圧を発生させて通電モードの切り替えタイミングの判定を行えることになり、ブラシレスモータ2における脱調の発生を抑制できる。
なお、モータ印加デューティの検出限界値Dlimに基づく制限に加えて、連続的にパルス電圧を印加する時間を長くするために、キャリア周期を増大側(キャリア周波数を低下側)に変更してもよい。
これは、前記検出限界値Dlimよりも大きなモータ印加デューティを設定している状態で閾値を学習させると、図13に示したようにモータ印加デューティが小さいほどパルス誘起電圧が小さくなるから、モータ印加デューティが学習時よりも小さくなった場合に、パルス誘起電圧が閾値を横切らず、通電モードの切り替えが不能になってしまう可能性があるためである。
また、上記のように、前記検出限界値Dlimのデューティ比でパルス電圧を印加させている状態で、通電モードの切り替えタイミングを判断するための閾値の学習を実施した場合には、モータ温度やモータ電源電圧の変化に対し、下記のようにして検出限界値Dlimを補正するとよい。
これにより、閾値の学習時におけるモータ温度から上昇変化しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
また、モータ温度を検出又は推定する手段を備えず、モータ温度が不明である場合には、モータ温度が最高温度になっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定できるように、検出限界値Dlimを予め増大補正する。
なお、モータ印加デューティを検出限界値Dlimとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ温度毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ温度の変化に対応する検出限界値Dlimの補正を省略することが可能である。
そこで、学習時のモータ電源電圧よりも低い電源電圧になった場合には、モータ電源電圧の低下分によるパルス誘起電圧のレベル低下を補うように、検出限界値Dlimを増大補正して、モータ印加デューティが検出限界値Dlimに設定される場合でのパルス誘起電圧を増大させ、学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されるようにする。換言すれば、デューティ比を検出限界値Dlimとしたときの通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の電源電圧による変化を抑制する方向に、検出限界値Dlimを変更する。
これにより、閾値の学習時からモータ電源電圧が低下しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
なお、モータ印加デューティを検出限界値Dlimとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ電源電圧毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ電源電圧の変化に対応する検出限界値Dlimの補正を省略することが可能である。
また、モータ温度に基づく補正と、電源電圧に基づく補正とを双方を、検出限界値Dlimに対して施せば、モータ温度及び電源電圧の変化があっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
上記のパルスシフトは、1周期における電圧印加時間の総和であるデューティ比を変更することなく、連続する電圧印加時間を長くする手段であり、係るパルスシフトを実施した上で、前述の検出限界値Dlimによるデューティ比の制限を実施すれば、検出限界値Dlimを低く抑制して、デューティ比の可変範囲を広く確保できる。
図16において、三角波キャリアの中間値Dの値が電圧=0であり、また、電圧指令値をBとし、V相のPWM信号は、三角波キャリアと電圧指令値D+Bを比較した結果を用い、W相のPWM信号は、三角波キャリアと電圧指令値D−Bを比較した結果を用いている。
即ち、V相の上段スイッチング素子は、三角波キャリアよりも電圧指令値D+Bが高い期間においてONとなり、W相の下段スイッチング素子は、三角波キャリアが電圧指令値D−Bよりも高い期間においてONとなる。
そこで、図17に示すパルスシフトを実施することで、図17に示したPWM信号生成と同一のデューティで2相が共に通電している連続時間(パルス電圧の印加時間)をより長くし、非通電相に誘起される電圧の検出精度を向上させることができる。
具体的には、三角波キャリアの上昇期間では、電圧指令値を電圧=DからXだけ離れるように、電圧指令値D+BについてはD+B+A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B−A(但し、A=X−B)に補正し、三角波キャリアの下降期間では、電圧指令値を電圧=Dに近づけるように、電圧指令値D+BについてはD+B−A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B+A(但し、A=X−B)に補正している。
第2実施形態におけるモータ制御装置3は、ステップS304のモータ駆動制御において、目標デューティDtが検出限界値Dlim未満となった場合に、非通電相の端子電圧を検出するための検出タイミングの設定を行わずにNを固定値としたこと、すなわち図5におけるステップS349を省略した点で、第1実施形態と相違する。
図18は、第2実施形態でN=2と固定した場合におけるステップS304のモータ駆動制御の詳細を示すフローチャートである。
ステップS402では、2回のうち1回検出しないときの非検出時デューティD2を下式に従って設定する。
D2=目標デューティDt*2−検出限界値Dlim
以上、好ましい実施形態を具体的に説明したが、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
(イ)請求項2に記載のブラシレスモータの駆動装置において、
前記制限手段が、モータ温度の上昇変化に対して前記所定値を増大補正するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ温度が上昇し、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値が低下することで、通電モードの切り替え判定ができなくなることを抑制すべく、前記所定値を増大補正して通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値の低下を抑制する。
前記制限手段が、モータ電源電圧の低下に対して前記所定値を増大補正するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ電源電圧が低下し、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値が低下することで、通電モードの切り替え判定ができなくなることを抑制すべく、所定値を増大補正して通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の絶対値の低下を抑制する。
前記制限手段が、前記パルス電圧の印加開始直後において前記パルス誘起電圧が変動する時間と、前記パルス誘起電圧をA/D変換するのに要する時間と、の総和の時間でパルス電圧が印加されるときのデューティ比を前記所定値として設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス誘起電圧が変動する時間を避け、かつ、A/D変換時間を確保でき、パルス誘起電圧をA/D変換によって精度良くサンプリングできる。
前記制限手段が、前記バルス電圧の印加開始直後において前記パルス誘起電圧が変動する時間と、前記パルス誘起電圧をA/D変換するのに要する時間とのうちの長い方の時間の2倍以上の時間でパルス電圧が印加されるときのデューティ比を前記所定値として設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、例えば、パルス電圧を印加している間の中間点でA/D変換処理を開始する場合に、パルス誘起電圧が変動する期間中にA/D変換が開始されてしまうことを抑制でき、かつ、A/D変換中にパルス電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
前記非通電相に誘起される誘起電圧と閾値とを比較して、前記通電モードの切り替えタイミングを判定するモード切替判定手段と、
前記パルス電圧のデューティ比を前記所定値とした状態で、前記モード切替判定手段における閾値を学習する閾値学習手段と、
を更に含んで構成されたブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、デューティ比を所定値とすることで、通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧が低い状態で閾値を学習することになり、所定値以上のデューティ比において、学習した閾値に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定できる。
前記非通電相に誘起される誘起電圧と閾値とを比較して、前記通電モードの切り替えタイミングを判定するモード切替判定手段と、
前記パルス電圧のデューティ比を前記所定値とした状態で、前記モード切替判定手段における閾値を学習する閾値学習手段と、を更に備え、
前記モータ温度の上昇変化又はモータ電源電圧の低下が、前記閾値を学習したときの温度からの上昇変化又は前記閾値を学習したときの電源電圧からの低下であるブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、閾値を学習したときの温度から上昇変化し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧が閾値に達しない可能性がある場合には、所定値を増大補正し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧の絶対値の増大を図る。また、閾値を学習したときの電源電圧から低下し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧が閾値に達しない可能性がある場合には、所定値を増大補正し、通電モードの切り替えタイミングでのパルス誘起電圧の絶対値の増大を図る。
前記制限手段が、パルス誘起電圧の振れ時間,A/D変換時間,電圧検出回路の分解能のうちの少なくとも1つに基づき前記所定値を設定するブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス誘起電圧の振れ時間を避けてパルス誘起電圧をサンプリングし、A/D変換時間を確保し、電圧検出回路の分解能を越えるパルス誘起電圧が発生するように、所定値を設定する。
また、連続して通電している時間が長いパルスシフトでのデューティ比を所定値以上に制限することで、パルスシフトを使用しない場合よりも低デューティ比でモータを駆動することが可能となり、極低回転時の省電力化を図ることができる。
前記ブラシレスモータは電動ポンプを駆動し、該電動ポンプは車両又はエンジンに用いられる冷却水又は暖機用温水を吐出する電動ウォータポンプであるブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、ブラシレスモータの脱調を抑制しつつ所定値を下回るデューティ比で駆動できるので、電動ポンプの可変容量(流量)を低域で拡大させ、ポンプ性能を十分に発揮することができる。
前記電圧検出手段は、前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合において、前記所定の検出タイミングを固定値とするブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合において、非通電相の端子電圧を検出するための検出タイミングを設定する必要がなくなるので、駆動装置における演算負荷を軽減することができる。
Claims (3)
- 3相のブラシレスモータのうち2相にパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで前記パルス誘起電圧を検出する検出間隔を、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に基づいて変化させる電圧検出手段と、
前記実際の回転速度及び前記目標回転速度に基づいて演算される前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限する制限手段と、
連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記実際の回転速度及び前記目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定する設定手段と、
を含んで構成されたことを特徴とするブラシレスモータの駆動装置。 - 前記所定の検出タイミングで前記パルス誘起電圧を検出する検出間隔は、前記実際の回転速度又は前記目標回転速度が所定回転速度以上である場合、前記パルス幅変調信号の1周期であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 3相のブラシレスモータのうち2相にパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する通電モードを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づいて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
前記パルス誘起電圧を前記パルス幅変調信号の周期に応じた所定の検出タイミングで検出する電圧検出手段と、
前記パルス幅変調信号のデューティ比が所定値未満となった場合、前記所定の検出タイミングにおける前記パルス幅変調信号のデューティ比である検出時デューティ比を前記所定値に制限する制限手段と、
連続する前記所定の検出タイミング間において、前記所定値に制限された前記検出時デューティ比と、前記電圧検出手段が前記パルス誘起電圧を検出しないときのパルス幅変調信号のデューティ比である非検出時デューティ比と、を加算平均した平均デューティ比が、前記ブラシレスモータの実際の回転速度及び前記ブラシレスモータの目標回転速度に応じたパルス幅変調信号のデューティ比に近づくように、前記非検出時デューティ比を設定する設定手段と、
を含んで構成されたことを特徴とするブラシレスモータの駆動装置。
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