JP6159852B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents
ブラシレスモータの駆動装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6159852B2 JP6159852B2 JP2016124227A JP2016124227A JP6159852B2 JP 6159852 B2 JP6159852 B2 JP 6159852B2 JP 2016124227 A JP2016124227 A JP 2016124227A JP 2016124227 A JP2016124227 A JP 2016124227A JP 6159852 B2 JP6159852 B2 JP 6159852B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voltage
- pulse
- phase
- energization mode
- duty ratio
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
また、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティ比によって大きさが変化し、デューティ比が小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があった。
図1は、自動車AT(オートマチック・トランスミッション)用油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示す自動車AT用油圧ポンプシステムでは、変速機7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
電動オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動される。ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3により、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいて制御される。
エンジン運転中は、エンジン駆動の機械式オイルポンプ6により、変速機7やアクチェータ8にオイル配管9を介してオイルパン10のオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
尚、本実施形態では、ブラシレスモータ2が、油圧ポンプシステムの電動オイルポンプ1を駆動するが、この他、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータなどであってもよく、ブラシレスモータ2が駆動する対象機器をオイルポンプに限定するものではない。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相,V相及びW相の3相巻線215u,215v,215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、スイッチング素子217a〜217fのオン/オフは、制御器213によるパルス幅変調(PWM)動作で制御される。
PWM発生器251は、印加電圧指令(指令電圧)に基づき、パルス幅変調されたPWM波を生成する回路である。
尚、通電モードとは、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターンを示す。
ゲート信号切替器252は、モータ駆動回路212の各スイッチング素子217a〜217fがどのような動作でスイッチングするかを、通電モード決定器253の出力であるモード指令信号に基づいて決定し、該決定に従い、6つのゲートパルス信号をモータ駆動回路212に出力する。
非通電相電圧選択器257は、モード指令信号に従い、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧の検出値を選択し、比較器254及び電圧閾値学習器256に出力する回路である。
尚、非通電相の端子電圧は、厳密にはグランドGND−端子間の電圧であるが、本実施形態では、中性点の電圧を別途検出し、この中性点の電圧とGND−端子間電圧との差を求めて、端子電圧Vu,Vv,Vwとしている。
尚、パルス誘起電圧は、2相に対するパルス電圧の印加によって非通電相に誘起される電圧であって、回転子の位置(磁極位置)により磁気回路の飽和状態が変化することから、回転子の位置に応じた誘起電圧が非通電相に発生することになり、非通電相の誘起電圧から回転子位置を推定して、通電モードの切り替えタイミングを検出することができる。
切り替えタイミングの判定のために検出する非通電相のパルス誘起電圧は、ブラシレスモータ2の製造ばらつき、電圧検出回路の検出ばらつきなどによって変動するため、係る誘起電圧のばらつきに対して、閾値として固定値を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤って判定することになってしまう。
そこで、電圧閾値学習器256は、通電モードの切り替えタイミングに相当する磁極位置でのパルス誘起電圧を検出することで、閾値を実際の切り替えタイミングで発生する誘起電圧に近づける補正を行い、電圧閾値切替器257が記憶している閾値を、補正結果に書き換える。
通電モードは、電気角60degごとに順次切り替わる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)において、3相から選択された2相に対してパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する。
通電モード(2)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fを、240deg毎に120deg間通電することから、図4に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
ステップS301では、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値の学習条件、換言すれば、電圧閾値学習器256の作動条件が成立しているか否かを判断する。
具体的には、電源投入直後、又は、電動オイルポンプ1の停止直後など、ブラシレスモータ2の駆動要求が発生していないことを、閾値の学習条件とする。
以下に、閾値の学習処理の一例を示す。
例えば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を学習する場合には、まず、回転子216を通電モード(3)に対応する角度に位置決めする。
そして、通電モード(3)に対応する電圧印加を行ってから、回転子216が角度90degまで回転するのに要する時間の経過を待って、角度90degへの位置決めが完了したものと推定する。
角度90degへの回転子216の位置決めが完了すると、次いで、通電モード(3)に対応する電圧印加パターンから、通電モード(4)に対応する電圧印加パターン、即ち、Vu=−Vin、Vv=Vin、Vw=0に切り替える。
即ち、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えは、前述のように、角度90degで行わせるように設定されていて、角度90degになったか否か、換言すれば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えタイミングになったか否かは、通電モード(4)における非通電相であるW相の端子電圧Vwに基づいて判断する。
そこで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させている状態から通電モード(4)に切り替えた直後におけるW相の端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。そして、通電モード(4)の非通電相であるW相の端子電圧Vwが、閾値V4-5を横切ったときに(W相の端子電圧Vw=閾値V4-5になったとき)、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを実行させるようにする。
尚、閾値の更新処理においては、通電モードの切り替えを行う角度位置での非通電相の端子電圧Vを、そのまま閾値として記憶させても良いし、また、前回までの閾値と、今回求めた非通電相の端子電圧Vとの加重平均値を新たな閾値として記憶させても良いし、更に、過去複数回にわたって求めた非通電相の端子電圧Vの移動平均値を、新たな電圧閾値として記憶させても良い。
また、今回求めた非通電相の端子電圧Vが、予め記憶している正常範囲内の値であれば、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を行い、前記正常範囲から外れている場合には、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を禁止し、閾値を前回値のまま保持させるとよい。
また、非通電相の電圧が基準電圧に対してマイナス側に振れる(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)のモード切替において共通の閾値を設定し、非通電相の電圧が基準電圧に対してプラス側に振れる、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)のモード切替において共通の閾値を設定することができる。
但し、閾値の学習手段を上記のものに限定するものではなく、公知の種々の学習処理を適宜採用できる。
ステップS303では、電動オイルポンプ1(ブラシレスモータ2)の駆動要求が発生しているか否かを判断する。本実施形態の場合、アイドルストップ要求の発生が、電動オイルポンプ1の駆動要求の発生を示すことになる。
尚、ブラシレスモータ2の起動は、例えば通電モード(3)に応じた電圧印加によって90degの位置に位置決めした後、通電モード(5)に切り替えて、ブラシレスモータ2を回転させ始め、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う角度位置である150degになったことを、通電モード(5)における非通電相であるV相の電圧が、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替え判定に用いる閾値を横切ったときに判定し、通電モード(6)への切り替えを行う。その後、非通電相の電圧と閾値とを比較して、通電モードを順次切り替えるようにする。
ここで、前記ステップS304におけるモータ駆動制御の詳細を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
本実施形態の電動オイルポンプ1を回転駆動するブラシレスモータ2では、例えば、図7に示すように、オイル温度(ATF油温)が高いほど目標回転数(目標モータ回転速度)をより高い回転数に設定する。
ブラシレスモータ2がエンジンに冷却水を循環させるウォータポンプを駆動する場合には、冷却水温度が高いほど目標回転数(目標モータ回転速度)をより高い回転数に設定することができる。
例えば、目標回転数と実際の回転数との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)によって、下式に従って印加電圧(入力電圧)の指令値を決定する。
印加電圧=回転数偏差*比例ゲイン+回転数偏差積分値*積分ゲイン
回転数偏差=目標回転数−実回転数
ステップS354(デューティ制限手段)では、ステップS352で決定した印加電圧(入力電圧)、及び、ステップS353で決定した制限値Dutyminを基にモータ印加デューティ(デューティ比)を決定する。
そして、基本デューティ(%)が制限値Dutymin(Dutymin>0%)よりも大きい場合には、基本デューティをそのまま最終的なモータ印加デューティとし、基本デューティ(%)が制限値Dutyminよりも小さい場合には、制限値Dutyminをモータ印加デューティとすることで、モータ印加デューティが制限値Dutyminを下回ることがないように制限する。
しかし、後述するように、制限値Dutyminを下回るモータ印加デューティで制御した場合、センサレス制御において通電モードの切り替えタイミングを誤って判断し、脱調する可能性があるので、ブラシレスモータ2の駆動要求がある状態では、回転数偏差に基づく印加電圧の要求を満たすよりも、脱調の抑制を優先すべきであり、上記のようにして、モータ印加デューティが制限値Dutyminを下回ることがないように制限する。
尚、基本デューティ(%)が制限値Dutyminよりも小さく、制限値Dutyminをモータ印加デューティとしている場合には、比例積分制御(PI制御)における回転数偏差積分値が蓄積して過大となることを抑制するために、回転数偏差積分値の更新を停止するなどの対策を施すことが好ましい。
また、通電モードの切り替え直後は、転流電流が発生し、係る転流電流の発生区間で検出した電圧を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤判断することになってしまう。そこで、通電モード切替直後の電圧検出値については、初回から設定回にわたって切り替えタイミングの判断には用いないようにする。前記設定回は、モータ回転数及びモータ電流(モータ負荷)に応じて可変に設定することができ、モータ回転数が高く、モータ電流が高いほど、前記設定回を大きな値に設定する。
尚、モータ回転速度は、通電モードの切り替え周期に基づき算出される。また、前記設定速度として、例えば、低速センサレス制御への移行を判断する第1設定速度と、低速センサレス制御の停止を判断する第2設定速度(>第1設定速度)とを設定し、センサレス制御の切り替えが短時間で繰り返されることを抑制することが好ましい。
詳細には、30degをそのときのモータ回転速度に基づいて時間に換算し、ゼロクロス時点から30degに相当する時間が経過した時点で、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、ステップS359へ進んで、次の通電モードに切り替える。
ここで、ステップS353における制限値(下限値)Dutyminの決定方法を詳細に説明する。
例えば、図9に示すように、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの谷(カウンタ値が減少から増大に転じる点)、換言すれば、パルス印加電圧のパルス幅PWの中央付近を、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合、パルス電圧の印加直後(立ち上がり直後)の非通電相のパルス誘起電圧が振れる期間(電圧振れ時間)が前記パルス幅PWの1/2よりも長いと、パルス誘起電圧が振れている間に、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることになってしまい、非通電相のパルス誘起電圧を精度良く検出することができない。
そこで、制限値Dutymin(%)を式(A)に従って演算する。
式(A)…Dutymin=max(電圧振れ時間、A/D変換時間)*2/キャリア周期*100
尚、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの山(カウンタ値が増大から減少に転じる点)を非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合や、PWM切替りタイミングを非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)とする場合にも、上記のようにして制限値Dutyminを算出する。
また、非通電相の電圧のA/D変換タイミング(サンプリングタイミング)を任意のタイミングに設定できる場合には、図10に示すように、電圧振れ時間が経過した直後からA/D変換処理を開始させるようにすれば、非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)を可及的に短いパルス内で行わせることができると共に、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
式(B)…Dutymin=(電圧振れ時間+A/D変換時間)/キャリア周期*100
即ち、電圧振れ時間とA/D変換時間との総和よりも長いパルス幅PWとし、電圧振れ時間の経過直後からA/Dを開始させるようにすれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制できる。
そこで、電圧検出回路で検出可能なパルス誘起電圧(電圧検出の分解能を上回る電圧)を発生させるモータ印加デューティの最小値を、前記制限値(下限値)Dutyminとすることが好ましい。
このようにして制限値Dutyminを設定すれば、パルス誘起電圧が振れている間に非通電相のパルス誘起電圧のA/D変換(サンプリング)が行われることを抑制でき、かつ、A/D変換処理中に通電相に対する電圧の印加が停止してしまうことを抑制でき、更に、パルス誘起電圧として検出可能な電圧を発生させて通電モードの切り替えタイミングの判定を行えることになり、ブラシレスモータ2における脱調の発生を抑制できる。
尚、モータ印加デューティの制限値Dutyminに基づく制限に加えて、連続的にパルス電圧を印加する時間を長くするために、キャリア周期を増大側(キャリア周波数を低下側)に変更してもよい。
これは、前記制限値Dutyminよりも大きなモータ印加デューティを設定している状態で閾値を学習させると、図11に示したようにモータ印加デューティが小さいほどパルス誘起電圧が小さくなるから、モータ印加デューティが学習時よりも小さくなった場合に、パルス誘起電圧が閾値を横切らず、通電モードの切り替えが不能になってしまう可能性があるためである。
また、上記のように、前記制限値Dutyminのデューティ比でパルス電圧を印加させている状態で、通電モードの切り替えタイミングを判断するための閾値の学習を実施した場合には、モータ温度やモータ電源電圧の変化に対し、下記のようにして制限値Dutyminを補正するとよい。
これにより、閾値の学習時におけるモータ温度から上昇変化しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
また、モータ温度を検出又は推定する手段を備えず、モータ温度が不明である場合には、モータ温度が最高温度になっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定できるように、制限値Dutyminを予め増大補正する。
尚、モータ印加デューティを制限値Dutyminとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ温度毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ温度の変化に対応する制限値Dutyminの補正を省略することが可能である。
そこで、学習時のモータ電源電圧よりも低い電源電圧になった場合には、モータ電源電圧の低下分によるパルス誘起電圧のレベル低下を補うように、制限値Dutyminを増大補正して、モータ印加デューティが制限値Dutyminに設定される場合でのパルス誘起電圧を増大させ、学習時におけるパルス誘起電圧付近に保持されるようにする。換言すれば、デューティ比を制限値Dutymin(下限値)としたときの通電モードの切り替えタイミングにおけるパルス誘起電圧の電源電圧による変化を抑制する方向に、制限値Dutyminを変更する。
これにより、閾値の学習時からモータ電源電圧が低下しても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
尚、モータ印加デューティを制限値Dutyminとして、パルス誘起電圧のレベル判定に用いる閾値を学習する場合に、モータ電源電圧毎に閾値を学習させることができ、この場合、モータ電源電圧の変化に対応する制限値Dutyminの補正を省略することが可能である。
また、モータ温度に基づく補正と、電源電圧に基づく補正とを双方を、制限値Dutyminに対して施せば、モータ温度及び電源電圧の変化があっても、パルス誘起電圧と閾値との比較に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定して、通電モードの切り替えを順次行える。
尚、図14のフローチャートは、ステップS354−1及びステップS354−2以外の各ステップにおいて、図6のフローチャートで説明した処理を同様にして行うので、ステップS354−1及びステップS354−2以外の各ステップでの処理内容の説明は省略する。
具体的には、ブラシレスモータ2の負荷が小さい場合に、モータ印加デューティを制限値Dutyminに切り替えるものとし、ブラシレスモータ2の負荷が小さい運転条件とは、例えば、ブラシレスモータ2の目標回転数(rpm)が規定回転数以下でかつモータ電流が規定電流以下であるときである。
ステップS354−2では、目標回転速度と実際の回転速度との偏差に基づいて決定した印加電圧(入力電圧)に基づくデューティ比に代えて、モータ印加デューティを制限値Dutyminに切り替える。
そこで、目標回転数(rpm)に実回転数を近づけるために要求されるデューティ比が制限値Dutyminを下回るような低負荷領域である場合、予めモータ印加デューティを制限値Dutyminに切り替えることで、パルス誘起電圧の振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングし、パルス誘起電圧を誤検出したり、電圧検出の分解能を下回るパルス誘起電圧になったりして、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になることを抑制する。
図15は、図14のフローチャートに示した処理を実施した場合の目標モータ回転速度、モータ電流、モータ印加デューティの変化の例を示すタイムチャートである。この図15に示すように、目標モータ回転数が規定回転数以下でかつモータ電流が規定電流以下の条件が揃えば、そのときのデューティ比とは無関係に一律に制限値Dutyminに切り替え、目標モータ回転数が規定回転数以下でかつモータ電流が規定電流以下の条件を脱すれば、目標回転数(rpm)に実回転数を近づけるために要求されるデューティ比をモータ印加デューティとする状態に復帰させる。
ここで、極低温時(負荷が大きい場合)でのポンプ吐出量の応答性を確保するために、ブラシレスモータ2の相通電におけるPWM制御におけるゲインを大きくすると、高温時(負荷が小さい場合)に吐出量を大きく低下させる指示を与えた場合、過度の補正を行ってしまう結果、ブラシレスモータ2(オイルポンプ1)を停止させてしまう可能性がある。
しかし、上記のようにして、ブラシレスモータ2の相通電をPWM制御するときのデューティを制限値Dutymin以上に制限すれば、高温時(負荷が小さい場合)に吐出量を大きく低下させる指示を与えても、デューティが制限値Dutyminよりも小さくならず、ブラシレスモータ2(オイルポンプ1)が停止してしまうことを避けることが可能であり、これによって油圧の低下を抑制できる。
上記のパルスシフトは、1周期における電圧印加時間の総和であるデューティ比を変更することなく、連続する電圧印加時間を長くする手段であり、係るパルスシフトを実施した上で、前述の制限値Dutyminによるデューティ比の制限を実施すれば、制限値Dutyminを低く抑制して、デューティ比の可変範囲を広く確保できる。
図16において、三角波キャリアの中間値Dの値が電圧=0であり、また、電圧指令値をBとし、V相のPWMは、三角波キャリアと電圧指令値D+Bを比較した結果を用い、W相のPWMは、三角波キャリアと電圧指令値D−Bを比較した結果を用いている。
即ち、V相の上段スイッチング素子は、三角波キャリアよりも電圧指令値D+Bが高い期間においてONとなり、W相の下段スイッチング素子は、三角波キャリアが電圧指令値D−Bよりも高い期間においてONとなる。
そこで、図17に示すパルスシフトを実施することで、図16に示したPWM生成と同一のデューティで2相が共に通電している連続時間(パルス電圧の印加時間)をより長くし、非通電相(開放相)に誘起される電圧の検出精度を向上させることができる。
具体的には、三角波キャリアの上昇期間では、電圧指令値を電圧=DからXだけ離れるように、電圧指令値D+BについてはD+B+A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B−A(但し、A=X−B)に補正し、三角波キャリアの下降期間では、電圧指令値を電圧=Dに近づけるように、電圧指令値D+BについてはD+B−A(但し、A=X−B)に補正し、電圧指令値D−BについてはD−B+A(但し、A=X−B)に補正している。
以上、好ましい実施形態を具体的に説明したが、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
Claims (6)
- 3相ブラシレスモータの3相のうちパルス電圧を印加する2相を選択する通電モードの切り替えによって前記3相ブラシレスモータを回転駆動する、ブラシレスモータの駆動装置であって、
前記3相のうちの2相にパルス電圧を印加することで非通電相に誘起される回転子の位置に応じたパルス誘起電圧と、前記通電モードに応じた閾値との比較に基づいて前記通電モードの切り替えタイミングを検出し、
前記パルス電圧のデューティ比が、前記パルス誘起電圧を検出するための最小デューティ比を下回らないように制限し、
前記パルス電圧のデューティ比を前記最小デューティ比としたときに前記切り替えタイミングで検出した前記パルス誘起電圧に基づき前記閾値を更新する、
ブラシレスモータの駆動装置。 - 前記最小デューティ比は、電圧検出の分解能を超える前記パルス誘起電圧を発生させる最小デューティ比である、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記最小デューティ比は、前記パルス誘起電圧が振れる時間と前記パルス誘起電圧のA/D変換処理時間との合計時間のパルス幅となるデューティ比である、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記パルス電圧のパルス幅の中央付近での前記パルス誘起電圧に基づいて前記通電モードの切り替えタイミングを検出し、
前記最小デューティ比は、前記パルス誘起電圧が振れる時間と前記パルス誘起電圧のA/D変換処理時間との長い方の時間の2倍のパルス幅となるデューティ比である、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。 - 前記最小デューティ比を前記ブラシレスモータの温度上昇に応じてより高い値に変更する、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記最小デューティ比を前記ブラシレスモータの電源電圧の低下に応じてより高い値に変更する、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016124227A JP6159852B2 (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | ブラシレスモータの駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016124227A JP6159852B2 (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | ブラシレスモータの駆動装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014253762A Division JP5960783B2 (ja) | 2014-12-16 | 2014-12-16 | ブラシレスモータの駆動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016167981A JP2016167981A (ja) | 2016-09-15 |
JP6159852B2 true JP6159852B2 (ja) | 2017-07-05 |
Family
ID=56898884
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016124227A Active JP6159852B2 (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | ブラシレスモータの駆動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6159852B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113057872B (zh) * | 2021-04-12 | 2022-07-08 | 四川千里倍益康医疗科技股份有限公司 | 电动按摩器及其与人体接触状态判断方法、降噪控制方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1169867A (ja) * | 1997-08-11 | 1999-03-09 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | センサレスdcブラシレスモータの制御駆動装置および制御駆動方法 |
JP3454691B2 (ja) * | 1997-09-26 | 2003-10-06 | 三洋電機株式会社 | 直流ブラシレスモータの駆動回路 |
JP2001119984A (ja) * | 1999-10-21 | 2001-04-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ブラシレスモータの制御装置 |
JP5175569B2 (ja) * | 2008-02-07 | 2013-04-03 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 同期電動機の駆動システム |
JP5216449B2 (ja) * | 2008-07-07 | 2013-06-19 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | モータ制御装置,電力変換装置及びハイブリッド車両 |
-
2016
- 2016-06-23 JP JP2016124227A patent/JP6159852B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016167981A (ja) | 2016-09-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5670258B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5438081B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
US8710788B2 (en) | Brushless motor drive apparatus and drive method | |
JP5552701B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5952502B2 (ja) | 3相ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5356320B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5561792B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
WO2018066566A1 (ja) | ブラシレスモータの制御装置及び制御方法 | |
JP5886095B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP2011200058A (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP6159852B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5960783B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5653264B2 (ja) | 同期電動機の駆動装置 | |
JP6150647B2 (ja) | ブラシレスモータの制御装置 | |
JP5852088B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP6058449B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP2015035858A (ja) | ブラシレスモータの駆動装置、及び駆動方法 | |
JP2013183550A (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP5422526B2 (ja) | ブラシレスモータの駆動装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160720 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160720 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170530 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170612 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6159852 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |