JP6058449B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents

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    • H02P6/06Arrangements for speed regulation of a single motor wherein the motor speed is measured and compared with a given physical value so as to adjust the motor speed

Description

本発明は、ブラシレスモータの駆動装置に関し、3相ブラシレスモータをセンサレスで駆動する駆動装置に関する。
特許文献1には、3相同期電動機において、パルス電圧によって誘起される非通電相の誘起電圧(パルス誘起電圧)を検出し、この誘起電圧と基準電圧とを比較し、該比較の結果に応じて通電モードを順次切り替えていく、同期電動機の駆動システムが開示されている。
特開2009−189176号公報
ところで、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス状の電圧を2相に印加している間において検出するが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、パルス電圧のデューティ比が小さいと(電圧印加時間であるパルス幅が短いと)、前記振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしてしまい、これによってパルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングを誤判定してしまう可能性があった。
また、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティ比によって大きさが変化し、デューティ比が小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があった。
一方で、モータの回転速度を低下させるためには、デューティ比を小さくする必要があるため、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度を低下させることが困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、脱調の発生を抑制しつつ、ブラシレスモータを低回転速度で駆動できる駆動装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明では、モータ回転速度の低下に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角するようにした。
上記発明によると、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角すると、同じデューティ比でのモータトルクが減ってモータ回転速度が低下するので、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度をより低下させることが可能となる。
本発明の実施形態における油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態におけるモータ制御装置及びブラシレスモータの構成を示す回路図である。 本発明の実施形態におけるブラシレスモータの矩形波駆動制御のプロセスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における間引き矩形波駆動制御でのパルス幅(デューティ比)の設定特性を説明するためのタイムチャートである。 本発明の実施形態における矩形波駆動制御の切り替え特性を説明するための線図である。 本発明の実施形態における間引き矩形波駆動制御でのデューティ比の演算プロセスを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における通電モード及び標準の切り替えタイミングを示す線図である。 本発明の実施形態における標準の切り替えタイミングでの回転子の位置及び励磁磁束の方向を示す図である。 本発明の実施形態における標準の切り替えタイミングでの発生トルクの特性を示す線図である。 本発明の実施形態における切り替え電圧と切り替えタイミングとの相関を示す線図である。 本発明の実施形態における15deg進角した切り替えタイミングでの回転子の位置及び励磁磁束の方向を示す図である。 本発明の実施形態における切り替えタイミングを15deg進角した時のモータトルクを示す図である。 本発明の実施形態における切り替えタイミングを30deg進角した時のモータトルクを示す図である。 本発明の実施形態における切り替えタイミングを60deg進角した時のモータトルクを示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、ブラシレスモータの駆動装置の適用例として、自動車用の自動変速機の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムは、変速機構(TM)7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
そして、電動オイルポンプ1は、例えば、エンジンがアイドルストップによって停止されたときに作動され、変速機構7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、アイドルストップ中における油圧の低下を抑制する。
電動オイルポンプ1は、ブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動され、ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3により、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいて制御される。モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動する駆動装置である。
ブラシレスモータ2で駆動される電動オイルポンプ1は、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機構7やアクチュエータ8に供給する。
エンジン運転中は、エンジンで駆動される機械式オイルポンプ6が作動し、機械式オイルポンプ6から変速機構7やアクチェータ8に対してオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
一方、エンジンがアイドルストップによって一時的に停止すると、機械式オイルポンプ6が停止し、オイル配管9内の油圧が低下するので、エンジンがアイドルストップによって停止するときに、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に送信する。
モータ起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
そして、機械式オイルポンプ6の吐出圧が低下する一方で、電動オイルポンプ1の吐出圧が設定圧を越えると、逆止弁11が開弁し、オイルは、オイル配管5、電動オイルポンプ1、逆止弁11、変速機構7、アクチェータ8、オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
なお、上記の自動車用自動変速機の油圧ポンプシステムは、ブラシレスモータを適用するシステムの一例であり、ブラシレスモータをアクチュエータとして用いる種々のシステムに本願発明に係る駆動装置を適用することができる。
例えば、ブラシレスモータは、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータとすることができ、ブラシレスモータが駆動する機器をオイルポンプに限定するものではなく、また、ブラシレスモータを自動車に搭載されるモータに限定するものではない。
図2は、ブラシレスモータ2及びモータ制御装置(駆動装置)3の一例を示す回路図である。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相、V相及びW相の3相巻線215u、215v、215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a〜218fを含んでなるスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有しており、スイッチング素子217a〜217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、制御器213は、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフをパルス幅変調PWMによって制御する。
ブラシレスモータ2の駆動制御は、回転子の位置情報を検出するセンサを用いないセンサレスで行われ、更に、モータ回転速度に応じて、正弦波駆動と矩形波駆動とを切り替える。
正弦波駆動は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ2を駆動する方式である。この正弦波駆動では、回転子が回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)から回転子の位置情報を得る一方、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づき回転子位置を推定し、推定した回転子位置とPWMデューティとから、3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して、3相交流電流を流す。
また、矩形波駆動は、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターン(通電モード)を所定の切り替えタイミングに従って順次切り替えることでブラシレスモータ2を駆動する方式である。この矩形波駆動では、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相の誘起される電圧(変圧器起電圧、パルス誘起電圧)から回転子の位置情報を得て、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
ここで、正弦波駆動において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転域においても位置情報を検出できる。
そこで、正弦波駆動で位置情報を十分な精度で検出できる高回転域(設定値よりもモータ回転速度が高い領域)では、正弦波駆動でブラシレスモータ2を駆動し、正弦波駆動では十分な精度で位置情報を検出できない低回転域(設定値よりもモータ回転速度が低い領域、起動時を含む)では、矩形波駆動でブラシレスモータ2を駆動するようにしてある。
そして、ブラシレスモータ2のPWM制御においては、モータ回転速度の検出値と、目標モータ回転速度との偏差に応じてPWM制御のデューティ比を決定することで、実際のモータ回転速度を目標モータ回転速度に近づける。
以下では、本発明の特徴である、ブラシレスモータ2の矩形波駆動制御について詳述する。
制御器213は、通電モードの切り替えタイミングを判定するためのパルス誘起電圧の閾値を変更することで、切り替えタイミングを進角し、切り替えタイミングの進角によってモータ回転速度を低下させる機能を有している。
更に、制御器213は、上記の進角制御機能と共に、位置情報の検出頻度を低下させることで、パルス毎に位置情報の検出を行わせる場合に比べて平均デューティ比を低下させてモータ回転速度を低下させる機能を有する。
そして、制御器213は、目標回転速度若しくは実モータ回転速度の低下に応じて、前記切り替えタイミングの進角制御及び平均デューティ比を低下させる制御を実施することで、ブラスレスモータ2の回転速度の制御域をより低回転側に拡大する。
図3のフローチャートは、制御器213によって実施される矩形波駆動制御のプロセスの一例を示す。尚、図3のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に制御器213によって実行される。
まず、ステップS301では、矩形波駆動のパルス毎にパルス誘起電圧の検出を行い、当該パルス誘起電圧の検出値と、通電モードの切り替えタイミングに相当する設定電圧(閾値)とを比較し、パルス誘起電圧の検出値が設定電圧を横切ったときに通電モードの切り替えを行う、矩形波駆動制御でブラシレスモータ2を駆動する。なお、このステップS301での矩形波駆動制御を、以下では、標準の矩形波駆動制御と称する。
ステップS302では、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であるか否かを判定する。
標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態とは、パルス幅変調(PWM)信号のデューティ比D(%)を下限値Dminまで低下させても、モータトルクが過剰で、モータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態を維持してしまう状態である。
ここで、前述の下限値Dminについて詳述する。
矩形波駆動では、前述のように、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づき回転子の位置情報を得るが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、通電モードの切り替えタイミングを正しく検出することができない。
そこで、電圧印加の開始直後のパルス誘起電圧の振れ期間(リンギング期間)を避けて、つまり、電圧印加の開始から所定時間以上経過してからパルス誘起電圧を検出する必要があり、パルス誘起電圧の振れ期間(リンギング期間)よりも長い電圧印加時間となるデューティ比D(%)とする必要がある。
また、デューティ比D(電圧印加時間)が小さいと、パルス誘起電圧の出力レベルが低下し、通電モードの切り替えタイミングの検出(位置情報の検出)が不能になったり、切り替えタイミングの検出精度が低下したりする可能性がある。
そこで、振れ期間を避けてパルス誘起電圧の検出が行える最小電圧印加時間を確保できるデューティ比Dと、切り替えタイミングの検出に必要な最小レベルのパルス誘起電圧を発生させることができるデューティ比Dとのうちの大きい方を、下限値Dminとして設定する。
そして、目標回転速度に実際の回転速度を近づけるために演算したデューティ比Dが、下限値Dminよりも低い場合には、最終的にPWM制御に用いるデューティ比Dに下限値Dminをセットすることで、PWM制御におけるデューティ比Dが下限値Dminを下回らないように制限する。
従って、デューティ比D=下限値Dminであるときのモータ回転速度が、標準の矩形波駆動制御において実現可能な最低モータ回転速度となる。このため、最低モータ回転速度を上回る目標回転速度については、下限値Dminを超える範囲でのデューティ比Dの変更によって実際のモータ回転速度を近づけることができる。一方、最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定された場合には、標準の矩形波駆動制御では、目標回転速度にまでモータ回転速度を下げることができない。
つまり、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができる状態であると判定されるのは、下限値Dminに応じた最低モータ回転速度を上回る目標回転速度が設定されている場合である。
また、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定されるのは、下限値Dminに応じた最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定されている場合である。
ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度に収束させることができていると判定すると、そのまま本ルーチンを終了させることで、標準の矩形波駆動制御を継続させる。
一方、ステップS302で、デューティ比Dが下限値Dminになっていて、かつ、実際のモータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態が設定時間以上継続している場合には、標準の矩形波駆動制御ではブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定して、ステップS303へ進む。
なお、デューティ比D=下限値Dminの状態で、かつ、実際のモータ回転速度>目標回転速度であることを条件として、ステップS303に進ませることができ、また、最低モータ回転速度を基準に設定した判定速度(判定速度≧最低モータ回転速度)よりも目標回転速度が低くなったときに、ステップS303に進ませることができる。
ステップS303では、デューティ比Dに応じたパルス幅での電圧印加をPWM制御周期毎に行い、パルス毎にパルス誘起電圧の検出を行う標準の矩形波駆動制御から、本願において間引き矩形波駆動制御と称する制御に移行させる。
間引き矩形波駆動制御とは、デューティ比Dを、パルス毎に、下限値Dminと同じ若しくは下限値Dminよりも大きな値の第1デューティ比D1と、下限値Dminを下回る第2デューティ比D2とに周期的に切り替えて、平均デューティ比Davが下限値Dminを下回るように制御し、第1デューティ比D1のときにパルス誘起電圧の検出を行わせ、第2デューティ比D2のときにパルス誘起電圧の検出を行わない(検出値を取得しても通電モードの切り替え判定に用いないことを含む)制御である。
つまり、間引き矩形波駆動制御は、ブラシレスモータ2の位置情報の検出をパルス毎に毎回行うのではなく、パルスN回当たり1回の割合で間引いて行う制御であり、位置情報の検出を間引いて行うことで、位置情報の検出を行わない周期のときに、下限値Dminを下回る第2デューティ比D2に設定することを可能とし、平均デューティ比Davが下限値Dminを下回るデューティ比Dとする制御である。
換言すれば、回転子の位置情報を検出するためにパルス誘起電圧の検出する場合には、デューティ比Dを下限値Dmin以上とする必要があるが、位置情報の検出のためのパルス誘起電圧の検出を行わないのであれば、デューティ比Dを下限値Dmin以上とする必要はなく、下限値Dminを下回るデューティ比Dの設定が可能であり、パルス誘起電圧の検出を行わないときに下限値Dminを下回るデューティ比Dとすることで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とすることができる。そして、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とすれば、デューティ比Dを下限値Dminとする場合に比べてモータトルクが低下し、モータ回転速度をより低下させることができる。
図4は、間引き矩形波駆動制御におけるPWM信号の一例を示す。
図4では、間引き度合(位置情報の検出頻度)を、PWM周期のN回に1回だけ位置情報の検出を行う場合のNの値として規定する。
図4(A)は、N=2とした例であり、回転子の位置検出を行った後は、1周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返す。つまり、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定と、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定とを交互に繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とする例である。
また、図4(B)は、N=3又はN=4とした例であり、N=3の場合、回転子の位置検出を行った後は、2周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返すことになる。つまり、N=3の場合、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定を行った後は、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定を2パルスだけ連続させることを繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満であってN=2の場合よりも低い値に設定できるようにする。
また、N=4の場合、回転子の位置検出を行った後は、3周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返すことになる。つまり、N=4の場合、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定を行った後は、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定を3パルスだけ連続させることを繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満であってN=2,3の場合よりも更に低い値に設定できるようにする。
このように、Nの値が大きくするほど、回転子の位置情報(パルス誘起電圧)の検出頻度が低くなり、平均デューティ比Davをより低くすることができる。
そして、N値を一定とする状態で、回転子の位置検出を行う周期でのデューティ比D(つまり、第1デューティ比D1)を固定とし、回転子の位置検出を行わない周期でのデューティ比D(つまり、第2デューティ比D2)を増減することで、平均デューティ比Davを変更することができる。
なお、Nの値は固定とすることができ、また、目標回転速度(又は実モータ回転速度)が低くなるほど、より大きな値に変更することができる。
目標回転速度(又は実モータ回転速度)が低くなるほど、Nの値をより大きな値に変更し、検出頻度を低下させる構成であれば、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れが大きくなってしまうことを抑制しつつ、より低回転域までモータ回転速度を低下させることができる。
図5は、標準の矩形波駆動制御でのデューティ比Dと、間引き矩形波駆動制御でのデューティ比Dとの違いを説明するための図である。
標準の矩形波駆動制御では、PWM周期毎に同じデューティ比Dで制御するから、実現可能な最低デューティ比D(最低平均デューティ比Dav)は下限値Dminとなる。
これに対し、間引き矩形波駆動制御では、例えば、位置検出を行うパルスでの第2デューティ比D2を下限値Dminに保持し、位置検出を行わないパルスの第2デューティ比D2を下限値Dminから低下させることで平均デューティ比Davが下がり、第2デューティ比D2を0%としたときの平均デューティ比Davが、そのときの検出頻度(N値)で実現できる最低平均デューティ比Davminとなり、N=2では、Dmin/2が最低平均デューティ比Davminとなる。
制御器213が実行する間引き矩形波駆動制御でのデューティ比Dの演算処理の一例を、図6のフローチャートに基づき説明する。
ステップS401では、実モータ回転速度と目標回転速度との偏差に基づき目標印加電圧を決定し、次のステップS402では、目標印加電圧を与えるための目標デューティ比Dtgを演算する。
ステップS403では、目標デューティ比Dtgが下限値Dmin以上であるか否かを判断する。
目標デューティ比Dtgが下限値Dmin以上であれば、PWM周期毎に目標デューティ比Dtgのパルス幅を与えることで、PWM周期毎に位置情報の検出が可能であるから、ステップS404へ進み、目標デューティ比DtgをそのままPWM周期毎のデューティ比Dに設定する。
一方、目標デューティ比Dtgが下限値Dmin未満であれば、ステップS405に進み、実モータ回転速度又は目標回転速度に応じて決定したN値に従って、回転子の位置情報の検出タイミングを設定する。例えば、N=2であれば、PWM周期の2回に1回の割合で、回転子の位置情報の検出を行わせる。
次いで、ステップS406では、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1を下限値Dminに設定し、更に、ステップS407では、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2≧0%)を、N値及び目標デューティ比Dtgに従って算出する。
例えば、N=2であれば、D2=2×Dtg−Dminとして、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2を算出し、また、N=3であれば、D1+D2+D2=Dmin+D2+D2=3×Dtgであり、D2=(3×Dtg−Dmin)/2として、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期の2周期における第2デューティ比D2を算出する。
つまり、ステップS407における、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2<Dmin)は、D2=(N×Dtg−Dmin)/(N−1)として算出される。
尚、D2=(N×Dtg−Dmin)/(N−1)の演算において、「N×Dtg−Dmin」が0以下になった場合には、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2を0%に設定するものとする。これにより、最低平均デューティ比Davminは、Davmin=Dmin/Nとなる。
また、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1は、下限値Dminよりも高い値に設定することができる。
また、N値が3以上であって、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期が連続する場合に、第2デューティ比D2の値を異なる値に設定することができる。
上記の間引き矩形波駆動制御では、回転子の位置検出をPWM周期毎に毎回行わずに間引いて行うことで、平均デューティ比Davを下限値Dminよりも低下させることができ、N値を増やすことで平均デューティ比Davをより低下させることができる。
しかし、N値を増やすと、回転子の位置検出の頻度が低下することで、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れが生じ、ブラシレスモータ2が脱調する可能性があり、N値は、切り替えタイミングの検出遅れが許容範囲内となる値に制限する必要がある。
換言すれば、切り替えタイミングの検出遅れによる脱調が発生しない範囲での最大N値であるときの平均デューティ比Davが、間引き矩形波駆動制御で制御可能な最小の平均デューティ比Davminとなって、この最小の平均デューティ比Davminに制御したときのモータ回転速度が、間引き矩形波駆動制御によって実現可能な最低モータ回転速度となり、この最低モータ回転速度を下回る目標回転速度に制御することはできない。
図3のフローチャートのステップS303では、間引き矩形波駆動制御によってモータ回転速度を目標回転速度に近づけるが、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定されると、次のステップS304で、間引き矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定されることになる。
間引き矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態になると、ステップS305へ進み、間引き矩形波駆動制御と並行して、通電モードの切り替えタイミングを進角させる制御を実施することで、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を下回る目標回転速度にまでモータ回転速度を低下させる。
ステップS305における間引き矩形波駆動制御と切り替えタイミングの進角制御との並行実施で実現可能な最低モータ回転速度を基準に、目標回転速度の設定範囲の下限値に設定される。そして、標準の矩形波駆動制御で実現できないレベルにまで目標回転速度が低下したときには、標準の矩形波駆動制御から間引き矩形波駆動制御に移行させ、更に、間引き矩形波駆動制御で実現できないレベルにまで目標回転速度が低下したときには、間引き矩形波駆動制御と切り替えタイミングの進角制御との併用に移行する。
なお、間引き矩形波駆動制御において平均デューティ比Davを最低値Davminまで低下させた状態で、かつ、実際のモータ回転速度>目標回転速度であることを条件として、ステップS305に進ませることができ、また、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を基準に設定した判定速度よりも目標回転速度が低くなったときに、ステップS305に進ませることができる。
上記のように、間引き矩形波駆動制御と進角制御とを併用すれば、標準の矩形波駆動制御或いは間引き矩形波駆動制御では実現できない低回転にまでモータ回転速度を低下させることができる。
例えば、車両のオイルポンプやウォータポンプの場合、循環経路内における温度ばらつきの増大を抑えるための循環を行わせたい場合があり、この場合に、無用に高い回転速度でモータを駆動することは、消費電力の増大や騒音の増大を招くことになり、必要な循環量を確保できる程度の低速でモータを駆動させることが望まれる。このような場合に、間引き矩形波駆動制御と進角制御とを併用して、モータ回転速度を十分に低下させることができれば、必要な循環量を確保しつつ、可及的に消費電力や騒音を抑制することができる。
以下では、切り替えタイミングの進角制御について詳述する。
図7は、矩形波駆動制御における通電モードの切り替え制御であって、進角制御の非実行時(標準の矩形波駆動制御又は間引き矩形波駆動制御)における標準の切り替えタイミングを例示する。
図7に示した例では、6通りの通電モード(1)〜(6)を電気角60deg毎に切り替える。
6通りの通電モード(1)〜(6)において、通電モード(1)ではU相からV相に向けて電流を流し、通電モード(2)ではU相からW相に向けて電流を流し、通電モード(3)ではV相からW相に向けて電流を流し、通電モード(4)ではV相からU相に向けて電流を流し、通電モード(5)ではW相からU相に向けて電流を流し、通電モード(6)ではW相からV相に向けて電流を流す。そして、電気角60deg毎に、通電モード(1)→通電モード(2)→通電モード(3)→通電モード(4)→通電モード(5)→通電モード(6)→通電モード(1)→・・・の順で通電モードを順次切り替える。
U相のコイルの角度位置を、回転子の基準位置(角度0deg)としたときに、通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行う回転子の角度位置を30degとし、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う回転子の角度位置を90degとし、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う回転子の角度位置を150degとし、通電モード(6)から通電モード(1)への切り替えを行う回転子の角度位置を210degとし、通電モード(1)から通電モード(2)への切り替えを行う回転子の角度位置を270degとし、通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う回転子の角度位置を330degとしてある。
図8は、標準の切り替えタイミングでの回転子の位置と励磁磁束角度との相関の一例を示す。
図8(A)は、回転子の角度位置が330degとなって通電モード(2)から通電モード(3)に切り替えた状態であり、通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置(コイル励磁磁束)に向けて回転させるトルクが発生する。
通電モード(3)としたときの90degの角度位置に向けた回転トルクは、図8(B)に示す回転子のN極が0degの位置になったときに最大となり、図8(C)に示す回転子の角度位置が30degになったときに、通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えが行われる。
そして、通電モード(4)では、図8(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
図9は、上記のような通電モードの切り替え制御(標準の切り替えタイミング)によって発生するモータトルクの特性例を示す。即ち、通電モードの切り替えタイミングからモータトルクは漸増し、切り替え周期の半分の30degだけ回転した位置(通電モード(3)では0degの位置)で最大トルクを示した後、次の切り替えタイミングまでの間で漸減して切り替えタイミングで最小トルクとなることを繰り返し、切り替えタイミングから30degだけ回転した位置での最大トルクと、切り替えタイミングでの最小トルクとの中間値が平均発生トルクとなる。
通電モードの切り替えを行わせる角度位置の検出は、非通電相のパルス誘起電圧が、切り替え電圧(閾値電圧)との比較に基づいて行われる。例えば、通電モード(2)に従って通電を行っている場合には、非通電相であるV相に発生するパルス誘起電圧の検出値と、通電モード(3)への切り替えを行う330degの角度位置でのパルス誘起電圧に基づき予め設定してある切り替え電圧(閾値電圧)との比較し、パルス誘起電圧の検出値が切り替え電圧(閾値電圧)を横切ったときに、切り替えを行う330degの角度位置を検出し、通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う。
一方、通電モードの切り替えタイミングの進角制御では、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる切り替え電圧(閾値電圧)の絶対値をより小さい値に変更することで、標準の切り替えタイミングよりも進角した位置で通電モードの切り替えを行わせる。
図10は、回転子の角度位置に対するパルス誘起電圧の変化を例示する図であって、パルス誘起電圧が上昇変化し、切り替え電圧(切り替え電圧>0V)に達した時点を、通電モードの切り替えタイミングとして検出する場合を例示する。
なお、通電モードに応じて切り替え電圧(閾値電圧)は、プラスの電圧又はマイナスの電圧として設定され、マイナスの切り替え電圧が設定される通電モードでは、パルス誘起電圧が減少変化して、マイナスの切り替え電圧を横切ったタイミングを、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する。
ここで、切り替え電圧として、通電モード(1)〜(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置で行う場合に対応する標準の切り替え電圧Vthsが通電モード毎に決められ、制御器213のメモリに格納されている。
そして、制御器213は、モータ回転速度を低下させるための切り替えタイミングの進角制御を行わず、通電モード(1)〜(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置で行わせる場合には、メモリに格納されている標準の切り替え電圧Vthsとパルス誘起電圧の検出値とを比較して切り替えタイミングの検出を行う。
一方、制御器213は、通電モード(1)〜(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置の位置よりも進角させた位置で行わせる場合には、標準の切り替え電圧Vthsの絶対値をより小さく変更した進角制御用の切り替え電圧Vthavを設定し、この進角制御用の切り替え電圧Vthavとパルス誘起電圧の検出値とを比較して切り替えタイミングの検出を行う。
図10は、パルス誘起電圧が上昇変化して切り替え電圧Vthを横切ったタイミングを、通電モードの切り替えタイミングとして検出する通電モードにおける進角制御を示す。図10に示す例では、標準の切り替え電圧Vthsよりも小さい進角制御用の切り替え電圧Vthav(Vths>Vthav>0)を設定することで、パルス誘起電圧が標準の切り替え電圧Vthsに達する前に進角制御用の切り替え電圧Vthavに到達することになり、切り替えタイミングが標準の切り替え電圧Vthsと進角制御用の切り替え電圧Vthavとの差分に応じた角度だけ進角することになる。
図11は、切り替えタイミングを15degだけ進角した場合、つまり、通電モード(1)〜(6)の切り替えを15deg、75deg、135deg、195deg、255deg、315degの位置で行わせる例での回転子の位置と励磁磁束角度との相関を示す。
図11(A)は、回転子の角度位置が標準の330degよりも15degだけ進角した315degとなったときに通電モード(2)から通電モード(3)に切り替えた状態であり、通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
通電モード(3)としたときの90degの角度位置に向けた回転トルクは、図11(B)に示す回転子のN極が0degの位置になったときに最大となる。
標準の切り替え制御では30degになってから通電モード(4)への切り替えを行うが、図11に示す15degの進角制御では、図11(C)に示す15degの角度位置で通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行う。係る通電モードの切り替えによって、図11(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
図12は、上記のように通電モードの切り替えタイミングを15degだけ進角制御した場合に発生するモータトルクの一例を示す。
例えば、通電モード(3)のときに、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるのは、標準の切り替えタイミングでも15degだけ進角した切り替えタイミングでも同じであって、同等の最大トルクを示す。
一方、切り替えタイミングを15degだけ進角した場合、切り替えタイミングにおける回転子の角度位置と切り替え後の通電モードでの励磁磁束角度との差(N極の向きと励磁磁束角度とがなす角度)が、標準の切り替えタイミングである場合よりも進角した分だけ拡大して120degから135degになり、通電モードの切り替え当初での発生トルクが、標準の切り替えタイミングの場合よりも低下することになる。
これにより、15degの進角制御を行った場合には、最大トルクは標準の切り替えタイミングとした場合と同等であるものの、平均モータトルクが標準の切り替えタイミングである場合よりも低下する。
図13は、通電モードの切り替えタイミングを30degだけ進角制御した場合、つまり、通電モード(1)〜(6)の切り替えタイミングを0deg、60deg、120deg、180deg、240deg、300degとしたときに発生するモータトルクを示す。
30degの進角を行った場合も、例えば通電モード(3)のときには、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるが、この最大トルクを示す位置で通電モード(4)への切り替えが行われることになる。そして、通電モード(4)への切り替えが行ったときには、励磁磁束角度が150degであるのに対し、回転子の角度位置が0degの位置であって、切り替えタイミングにおける回転子の角度位置と切り替え後の通電モードでの励磁磁束角度との差(N極の向きと励磁磁束角度とがなす角度)が150degに拡大するため、切り替えタイミングでの最小トルクが、進角量が15degである場合よりも小さくなり、結果として、進角量が15degである場合に比べて進角量を30degとしたときの平均トルクが低くなる。
図14は、通電モードの切り替えタイミングを60degだけ進角制御した場合、つまり、例えば通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを330degから270degの位置に変更する場合に発生するモータトルクを示す。
進角量が60degであると、通電モードの切り替えタイミングにおけるN極の向きと励磁磁束角度との正反対の向き(180degずれ)となってトルクが0となり、更に、N極の向きと励磁磁束角度とがなす角度が90degになる前に次の通電モードへの切り替えがなされてしまうため、進角量が15degや30degである場合よりも最大トルクが低下する。
このため、進角量を60degとした場合には、進角量が15degや30degである場合よりも更に平均トルクが低下することになる。
このように、切り替えタイミングの進角制御においては、進角量が大きくなるほど平均モータトルクはより大きく低下することになる。
従って、間引き矩形波駆動制御によって平均デューティ比Davを限界値まで低下させても、目標回転速度まで実際のモータ回転速度を低下させることができない場合に、通電モードの切り替えタイミングを進角する(切り替え電圧の絶対値をより小さく変更する)進角制御を実施することで、実際のモータ回転速度を目標回転速度まで低下させることが可能となる。
ここで、切り替え電圧の絶対値の減少量の制御による進角量の増減によって平均トルクの減少量を調整することができるので、例えば、間引き矩形波駆動制御によって平均デューティ比Davを限界値Davminまで低下させた状態を保持したまま、実際のモータ回転速度が目標回転速度に近づくように切り替え電圧の絶対値の減少量を制御することで、実際のモータ回転速度を目標回転速度付近に収束させることができる。
進角量(切り替え電圧の絶対値)は、予め目標デューティ比Dtg(目標印加電圧)毎に割り付けておき、そのときの目標デューティ比Dtgから進角量を求めて、当該進角量に従って通電モードの切り替えタイミングを設定することができる。
つまり、間引き矩形波駆動制御では、平均デューティ比Davが目標デューティ比Dtgに近づくように制御するが、間引き矩形波駆動制御における平均デューティ比Davの下限Davminを下回る目標デューティ比Dtgには追従することができない。そこで、平均デューティ比Davを下限値Davminに保持させておき、この平均デューティ比Davの下限値Davminと目標デューティ比Dtgとの差分に相当する過剰トルク分を、通電モードの切り替えタイミングの進角制御で相殺させ、目標デューティ比Dtgの低下に対応するトルクを発生させる。
上述した、標準の矩形波駆動、間引き矩形波駆動、進角制御に使い分けを、図5を参照しつつ詳述する。
目標デューティ比Dtgが高い領域では、標準の矩形波駆動によりPWM周期毎に目標デューティ比Dtgに一致するデューティ比Dで制御する。そして、目標デューティ比Dtgが下限値Dminを下回るようになると、間引き矩形波駆動によって、下限値Dminに一致するデューティ比Dによる制御と下限値Dminを下回るデューティ比Dによる制御とを繰り返すことで実平均デューティ比Davを目標デューティ比Dtg(Dtg<Dmin)に一致させる。
更に、間引き矩形波駆動で制御可能な最低平均デューティ比Davminを下回る目標デューティ比Dtgになると、最低平均デューティ比Davminに保持したままで、通電モードの切り替えタイミングを進角させることで、目標デューティ比Dtg(Dtg<Davmin)相当のモータトルクを発生させる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、上記に示した制御例では、モータ回転速度の低下に応じて、標準の矩形波駆動→間引き矩形波駆動→間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御の順で切り替えるようにしたが、例えば、標準の矩形波駆動→切り替えタイミングの進角制御→間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御の順で切り替えることができる。
なお、進角制御で発生するトルク変動よりも間引き矩形波駆動で発生するトルク変動の方が小さく、間引き矩形波駆動で発生するモータ騒音よりも進角制御で発生するモータ騒音の方が小さくなるという傾向がある。
このため、標準の矩形波駆動→間引き矩形波駆動→間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御の順で切り替えることがトルク変動の抑制に有効で、標準の矩形波駆動→切り替えタイミングの進角制御→間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御の順で切り替えることが騒音の抑制に有効である。
また、ブラシレスモータ2が電動オイルポンプ1などの流体ポンプを駆動するアクチュエータである場合、オイルや水などの流体の粘度(粘性率)が高くポンプ負荷が高い場合には、進角制御による脱調の可能性が高まるため、進角制御を禁止したり、進角量を小さく抑制したりすることで、脱調の発生を抑制することができる。
また、モータ回転速度を増大させている過渡状態では、モータ回転速度が一定である定常状態に比べて、進角制御による逆転の可能性が減るので、定常時に比べて進角量をより大きくすることができる。一方、モータ回転速度を減少させている過渡状態では、モータ回転速度が一定である定常状態に比べて、進角制御による逆転の可能性が増えるので、定常時に比べて進角量をより小さく抑制することで、逆転を抑制できる。
また、モータ回転速度が高い場合には、低い場合よりも進角制御による逆転の可能性が減るので、進角量をより大きくすることができる。
また、ブラシレスモータ2の電源が車載バッテリである場合、他の機器と電源を共用することになるため、電源電圧の変動が発生し易くなる。そして、電源電圧が変化すると、同じ平均デューティ比でも発生トルクが変動し、標準の矩形波駆動、間引き矩形波駆動で制御できるモータ回転速度の範囲が変動する。そこで、電源電圧の変動に応じて標準の矩形波駆動から間引き矩形波駆動に移行させる回転速度、間引き矩形波駆動状態で進角制御を開始させる回転速度を変更することができる。
また、ブラシレスモータ2を起動させる場合には、間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御で通電制御を開始させることができ、また、間引き矩形波駆動又は標準の矩形波駆動で起動させた後、間引き矩形波駆動+切り替えタイミングの進角制御に移行させて起動状態での目標回転に収束させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)
前記第1デューティ比のパルスにおいて位置情報の取得を行い、前記第2デューティ比のパルスにおいて位置情報の取得を行わない、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、前記第2デューティ比のパルスにおいて位置情報の取得を行わないので、第1デューティ比に比べて第2デューティ比を小さくすることで、平均デューティ比を前記設定値よりも小さくして、モータ回転速度を低下させることができる。
(ロ)
前記第2デューティ比を0%にまで低下させた後、前記パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角させてモータ回転速度を低下させる、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、第2デューティ比を0%にまで低下させた状態での平均デューティ比が最低の平均デューティ比となり、デューティ比の制御ではそれ以上にモータ回転速度を低下させることができないので、通電モードの切り替えタイミングを進角して、モータ回転速度を更に低下させる。
(ハ)
前記パルス誘起電圧と設定電圧とを比較して、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを検出する構成であって、
前記モータ回転速度の低下に応じて前記設定電圧を変更して前記切り替えタイミングを進角する、請求項1から3のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、パルス誘起電圧と比較する設定電圧の変更幅に応じて、切り替えタイミングの進角量が決定される。
(ニ)
前記ブラシレスモータが、車両の流体ポンプを駆動するアクチュエータである、請求項1から3のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、車両の流体ポンプを駆動するアクチュエータとしてのブラシレスモータを低回転で駆動することで、例えば、流体の循環などを少ない消費電力で行わせることができる。
(ホ)
前記第2デューティ比とする頻度をモータ回転速度の低下に応じて増大させる、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、前記第2デューティ比とする頻度を低下させることで、平均デューティ比をより低下させることが可能となり、平均デューティ比の低下に応じてモータ回転速度を低下させることができる。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御器、215u,215v,215w…巻線、216…永久磁石回転子、217a〜217f…スイッチング素子



Claims (3)

  1. 3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
    モータ回転速度の低下に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角する、ブラシレスモータの駆動装置。
  2. 前記パルス幅変調信号のデューティ比が設定値を下回らないように制限する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
  3. モータ回転速度の低下に応じて、前記パルス幅変調信号のデューティ比を前記設定値よりも高い第1デューティ比と前記設定値を下回る第2デューティ比とに周期的に切り替えて平均デューティ比を前記設定値よりも低くする、請求項2記載のブラシレスモータの駆動装置。
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