JP6145274B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents
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Description
一方で、モータの回転速度を低下させるためには、デューティ比を小さくする必要があるため、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度を低下させることが困難であった。
図1は、ブラシレスモータの駆動装置を適用する、自動車用自動変速機の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムは、変速機構(TM)7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
電動オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動され、ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3により、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいて制御される。モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動する駆動装置である。
エンジン運転中は、エンジンで駆動される機械式オイルポンプ6が作動し、機械式オイルポンプ6から変速機構7やアクチェータ8に対してオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
モータ起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
なお、ブラシレスモータは、例えば、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータとすることができ、ブラシレスモータが駆動する機器をオイルポンプに限定するものではなく、また、ブラシレスモータを自動車に搭載されるモータに限定するものではない。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相、V相及びW相の3相巻線215u、215v、215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、制御器213は、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフをパルス幅変調PWMによって制御する。
正弦波駆動は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ2を駆動する方式である。この正弦波駆動では、回転子が回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)から回転子の位置情報を得る一方、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づき回転子位置を推定し、推定した回転子位置とPWMデューティとから、3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して、3相交流電流を流す。
ここで、正弦波駆動において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転域においても位置情報を検出できる。
図3及び図4のフローチャートは、制御器213による矩形波駆動制御の流れを示す。尚、図3及び図4のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に割り込み実行されるものとする。
前記設定速度MSSLは、回転子の位置情報の検出頻度の切り替えを行うモータ回転速度MSの閾値であり、図5に示すように、モータ回転速度MSが設定速度MSSLよりも高い速度域では、検出頻度を規定するN値(N=整数、かつ、N≧1)をN1とし、設定速度MSSLよりも低い速度域では、N値をN2(N1<N2)とする。
回転子の位置情報の検出頻度とは、図6に示すように、PWM周期のN回に1回だけ位置情報の検出を行う場合のNの値として規定される。
ここで、N=1とすれば、PWM周期毎に回転子の検出(パルス誘起電圧の検出)を行うことになり、また、N=2とすれば、図6(A)に示すように、回転子の検出を行った後は、1周期分だけ回転子の検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返すことになる。
但し、PWM周期毎のデューティ比を最低デューティ比DminA以上に制限すると、デューティ比を最低デューティ比DminAとしたときに得られるモータ回転速度が、ブラシレスモータ2の最低回転速度となり、係る最低回転速度を下回るモータ回転速度にまで低下させることができなくなる。
この場合、回転子の位置情報の取得は、デューティ比Aを最低デューティ比DminAとする周期で行われるから、パルス誘起電圧の振れ期間を避けて電圧検出が行え、かつ、電圧検出の分解能を上回るパルス誘起電圧を発生させることができ、回転子の位置を十分な精度で検出できる。
同様にして、N=3とした場合に実現可能な最低平均デューティ比Davminは、Davmin=DminA/3となる。
そして、目標モータ回転速度MStgと、実モータ回転速度MSとのいずれかが設定速度MSSL以上であれば、ステップS302へ進んで、検出頻度を規定するNの値をN1(N1≧1)に設定して、係るN1に従って、PWM周期毎のデューティ比を決定する。
ステップS302及びステップS312におけるデューティ比の決定は、図9のフローチャートに従って実施される。
そして、ステップS403では、目標デューティ比Dtgが最低デューティ比DminA以上であるか否かを判断する。
一方、目標デューティ比Dtgが最低デューティ比DminA未満であれば、ステップS405に進み、現時点で割り当てられているN値に従って、回転子の位置情報の検出タイミングを設定する。例えば、N=2であれば、PWM周期の2回に1回の割合で、回転子の位置情報の検出を行わせる。
例えば、N=2であれば、B=2×Dtg−DminAとして、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期におけるデューティ比Bを算出し、また、N=3であれば、A+B+B=DminA+B+B=3×Dtgであり、B=(3×Dtg−DminA)/2として、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期の2周期におけるデューティ比Bを算出する。
尚、B=(N×Dtg−DminA)/(N−1)の演算において、「N×Dtg−DminA」が0以下になった場合には、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期におけるデューティ比Bを0%に設定するものとする。これにより、最低平均デューティ比Davminは、Davmin=DminA/Nとなる。
図8に点線で示したブラシレスモータ2の特性(特性2)では、モータ回転速度MSがMS(1)より低く、MS(2)よりも高い速度は、平均デューティ比Davを最低平均デューティ比Davminよりも低くしないと実現できない。
そこで、ステップS303以降、及び、ステップS313以降では、最低平均デューティ比Davminまで平均デューティ比を低下させても、目標回転速度MStgにまでモータ回転速度MSを低下させることができない場合の処理を行う。
尚、本実施形態の矩形波駆動では、上記の通電パターンAが標準(デフォルト)の通電パターンとして設定されている。
通電パターンBは、図10に示すように、U相からW相に向けて電流を流す通電モード(B1)、V相からU相に向けて電流を流す通電モード(B2)、W相からV相に向けて電流を流す通電モード(B3)を、電気角120deg毎に切り替える通電パターンである。
そして、通電モード(B1)から通電モード(B2)への切り替えを行う回転子の角度位置を、通電パターンAにおいてA2→A3への切り替えを行う角度と同じ330degとし、通電モード(B2)から通電モード(B3)への切り替えを行う回転子の角度位置を、通電パターンAにおいてA4→A5への切り替えを行う角度と同じ90degとし、通電モード(B3)から通電モード(B1)への切り替えを行う回転子の角度位置を、通電パターンAにおいてA6→A1への切り替えを行う角度と同じ210degとする。
そして、通電モードの切り替えを行う角度は、非通電相のパルス誘起電圧と、そのときの通電モードに応じた閾値とを比較し、非通電相のパルス誘起電圧が閾値を横切ったタイミングとして検出される。
ここで、ΔMS>ΔMSSLであれば、通電パターンA(60deg切り替え)から通電パターンB(120deg切り替え)への切り替えは不要である、換言すれば、通電パターンAのままで、実モータ回転速度MSを目標モータ回転速度MStgに近づけることができる状態であり、そのまま本ルーチンを終了させることで、通電パターンAでの通電制御を継続させる。
ステップS305では、実モータ回転速度MSの最新検出値(今回値)と、本ルーチンの前回実行時点での実モータ回転速度MS(本ルーチンの実行周期分だけ前の時点での実モータ回転速度)との差の絶対値ΔtMSが所定値ΔtMSSL(ΔtMSSL>0)以下であるか否かを判定することで、実モータ回転速度MSが目標モータ回転速度MStgよりも高い状態で停滞しているか否かを判定する。
一方、ΔtMS≦ΔtMSSLであれば、実モータ回転速度MSが目標モータ回転速度MStgよりも高い状態で停滞していることになり、ステップS306へ進む。
実モータ回転速度MSが目標モータ回転速度MStgよりも高い状態で停滞している状態が所定時間TSL以上継続している場合には、平均デューティ比Davを、そのときのN値(検出頻度)での最低平均デューティ比Davminまで低下させても、目標モータ回転速度MStgにまで実モータ回転速度MSを低下させることができない状態であると判定し、ステップS307へ進む。
ステップS307では、電気角60deg毎に通電モードを切り替える通電パターンAから、電気角120deg毎に通電モードを切り替える通電パターンBに切り替える。つまり、平均デューティ比Davを最低平均デューティ比Davminまで低下させても、目標モータ回転速度MStgにまで実モータ回転速度MSを低下させることができない場合に、通電モード(パルス電圧を印加する相)の切り替え周期である電気角を増大方向に変更する。
この図11に示すように、同一の平均デューティ比Davで印加電圧を制御しても、通電パターンBでのモータトルクは、通電パターンAでのモータトルクの3/4程度であり、通電パターンAから通電パターンBに切り替えると、モータトルクの低下によってモータ回転速度MSは、目標モータ回転速度MStgに向けて低下することになる。
図5に示す例では、目標回転速度MStgがMStg1である場合には、通電パターンAにおいて平均デューティ比Davを下げることで、実モータ回転速度MSを目標回転速度MStg1まで低下させることができる。
そこで、最低平均デューティ比Davmin1にまで平均デューティ比Davを低下させても、目標回転速度MStg2にまでモータ回転速度MSを低下させることができない場合には、それまでの通電パターンAから通電パターンBに切り替えることで、モータトルクを減らし、回転速度MSminよりも低い回転速度である目標モータ回転速度MStg2にまで回転速度を低下させることができるようにする。
上記のようにして、通電パターンBに切り替えた後は、ステップS303で、現時点の通電パターンが、電気角120deg毎に通電モードを切り替える通電パターンBであると判定されることで、ステップS308へ進むようになる。
一方、|ΔMS|≦所定値ΔMSSLaである場合、つまり、モータ回転速度MSが目標モータ回転速度MStg付近に達している場合にはステップS309へ進み、|ΔMS|≦所定値ΔMSSLaである状態が設定時間TSLcon以上継続しているか否かを判定する。
ステップS310では、通電パターンAに戻しても、平均デューティ比Davを最低平均デューティ比Davmin以上として、目標回転速度MStgに収束させることができるか否かを判断する。
即ち、図12に示すように、通電パターンAとしたときに実モータ回転速度MSを目標モータ回転速度MStgとするための要求平均デューティ比が、最低平均デューティ比Davmin以上の速度域では、通電パターンAを選択し、通電パターンAとしたときに実モータ回転速度MSを目標モータ回転速度MStgとするための要求平均デューティ比が、最低平均デューティ比Davmin未満となる速度域では、通電パターンBを選択する。
ステップS302へ進んだときのN値よりもステップS312へ進んだ場合には、N値がより大きな値に設定されることで、設定速度MSSLよりも低い速度域では、設定速度MSSLよりも高い速度域に比べて最低平均デューティ比Davminはより低い値となる。
現時点での通電パターンが通電パターンBである場合は、ステップS314以降へ進んで、通電パターンAに戻すことができるか否かを、ステップS308〜ステップS310と同様にして判断する。
一方、|ΔMS|≦所定値ΔMSSLaである場合、つまり、目標モータ回転速度MStg付近に達している場合にはステップS315へ進み、|ΔMS|≦所定値ΔMSSLaである状態が設定時間TSLcon以上継続しているか否かを判定する。
ステップS316では、通電パターンAに戻しても、平均デューティ比Davを最低平均デューティ比Davmin以上として、目標回転速度MStgに収束させることができるか否かを判断する。
図5に示す例では、目標回転速度MStgがMStg2に設定されたことで、通電パターンBに切り替えた後、目標モータ回転速度MStgがMStg3に切り替わった場合には、N値が増え(位置情報の検出頻度が減り)、最低平均デューティ比DavminがDavmin2に下がったことで、通電パターンAに戻しても、最低平均デューティ比Davmin2以上の平均デューティ比Davで目標回転速度MStg3に収束させることができるので、通電パターンAに戻すことになる。
ステップS318では、制御偏差ΔMSが負の所定値ΔMSSL以下であるか否かを判定し、ΔMS>ΔMSSLであれば、通電パターンAから通電モードBへの切り替えは不要であり、そのまま本ルーチンを終了させることで、通電パターンAでの通電制御を継続させる。
ここで、ΔtMS>ΔtMSSLであれば、実モータ回転速度MSが変化しており、今後、目標モータ回転速度MStgに近づく可能性があるので、そのまま本ルーチンを終了させることで、通電パターンAでの通電制御を継続させる。
ステップS320では、実モータ回転速度MSが目標モータ回転速度MStgよりも高い状態で停滞している状態が所定時間TSL以上継続しているか否かを判定する。
ステップS321では、通電パターンを、電気角60deg毎に通電モードを切り替える通電パターンAから、電気角120deg毎に通電モードを切り替える通電パターンBに切り替える。
従って、回転子の位置情報の検出頻度の低下だけでは到達させることができない低回転速度に、ブラシレスモータ2を制御することができ、ブラスレスモータ2の回転速度範囲を低速側に拡大することができる。
なお、通電パターンを通電パターンAと通電パターンBとの間で切り替える場合、同じ平均デューティ比Davで通電させると、前述のように、モータトルクが増減変化することでトルク変動が大きくなる場合がある。この通電パターンの切り替えに伴うトルク変動は、デューティ比の変更によって低減することができ、係るデューティ比の変更処理を付加したモータ制御を、図13及び図14のフローチャートに従って説明する。
そこで、図13及び図14のフローチャートにおいて、図3及び図4のフルーチャートと同じ処理内容のステップには、同じステップ番号を付して詳細な説明は省略し、以下では、通電パターンの切り替えに伴うデューティ比の変更処理を説明する。
通電パターンAから通電パターンBへの切り替えを行う場合に、デューティ比が一定であるとモータトルクが低下するから、デューティ比を増大方向に変更すれば、モータトルクの減少方向への変化を抑制し、通電パターンの切り替えに伴うモータトルクの変動を抑制できる。
これにより、通電パターンの切り替え後における目標回転速度への収束応答性を低下させることなく、通電パターンの切り替えに伴うモータトルクの変動を抑制できる。
通電パターンBから通電パターンAへの切り替えを行う場合に、デューティ比が一定であるとモータトルクが増大するから、デューティ比を減少方向に変更すれば、モータトルクの増大方向への変化を抑制し、通電パターンの切り替えに伴うモータトルクの変動を抑制できる。
上記のように通電パターンの切り替えに伴うモータトルクの変動を抑制できれば、モータ回転速度の変化に伴ってモータトルクが一時的に大きく変動することを抑制でき、目標回転速度に対する追従性を向上させることができる。
そして、電動オイルポンプ1を駆動するブラシレスモータ2では、吐出量の急激な変化を抑制して、油圧を安定的に制御することができる。
ここで、図15に示すように、通電モードの切り替えタイミングを、通電パターンAでの切り替えタイミングに同期するタイミングから遅らせることで、通電パターンBでのトルク変動を抑制することができる。
なお、通電パターンBにおいて通電モードの切り替えを遅らせる角度は、30degに限定されるものではなく、トルク変動を十分に抑制できる角度として適宜設定することができる。また、通電パターンBにおいて通電モードの切り替えを遅らせる角度を、モータ回転速度などに応じて変更して、モータ回転速度の変化に対してトルク変動量が変化することを抑制することができる。
図16のフローチャートにおいて、ステップS501では、通電パターンAにおける通電モードの切り替えタイミングに同期する基本切り替えタイミング(90deg、210deg、330degのいずれか)のうち、現在の通電モードから次の通電モードへの切り替えタイミングを、非通電相のパルス誘起電圧と閾値との比較に基づいて検出したか否かを判定する。
一方、ステップS501で、次の通電モードへの基本切り替えタイミングが検出されていると判定すると、ステップS502へ進み、次の通電モードへの基本切り替えタイミングを検出してから、所定角度(例えば30deg)だけ回転したか否かを判定する。
ステップS502で、次の通電モードへの基本切り替えタイミングを検出してからの回転角が所定角度に達していないと判定すると、ステップS503へ進み、現在の通電モードを継続させる。
上記のようにして、通電パターンBにおける通電モードの切り替えタイミングを遅らせることで、通電パターンBでのトルク変動を抑制できれば、電動オイルポンプ1の吐出量が安定し、油圧の変動を抑制することができる。
図17、図18及び図19のフローチャートは、N値をモータ回転速度MSの変化に応じて3種類に切り替え、かつ、通電パターンA、Bの切り替え設定を行う、モータ駆動制御の一例を示す。
そして、目標のモータ回転速度MStgと、実際のモータ回転速度MSとのいずれかが設定速度MSSL2以上であれば、ステップS602へ進み、目標のモータ回転速度MStgと、実際のモータ回転速度MSとのいずれかが設定速度MSSL1(MSSL1>MSSL2)以上であるか否かを判定する。
ステップS603では、NをN1(N1≧1)に設定して、係るN1に従って、PWM周期毎のデューティ比を決定する。
概略的には、通電パターンAで通電制御している状態で、目標回転速度MStgに向けてモータ回転速度MSを低下させることができなくなると通電パターンBに切り替え、通電パターンBでモータ回転速度MSが目標回転速度MStgに収束し、通電パターンAに戻しても、最低平均デューティ比Davmin以上の平均デューティ比Davで同等のモータトルクを発生できる場合には、通電パターンBから通電パターンAに切り替える。
ステップS613では、NをN2(N2>N1≧1)に設定して、ステップS603に進む場合よりも検出頻度を下げ、係るN2に従って、PWM周期毎のデューティ比を決定する。ここで、ステップS603に進む場合よりもNの値が大きく設定される(検出頻度を低下させる)ことで、図20に示すように、最低平均デューティ比Davminが低下することになる。
概略的には、通電パターンBでモータ回転速度MSが目標回転速度MStgに収束し、通電パターンAに戻しても、最低平均デューティ比Davmin以上の平均デューティ比Davで同等のモータトルクを発生できる場合には、通電パターンBから通電パターンAに切り替え、通電パターンAで通電制御している状態で、目標回転速度MStgに向けてモータ回転速度MSを低下させることができなくなると通電パターンBに切り替える。
ステップS623では、NをN3(N3>N2>N1≧1)に設定して、ステップS613に進む場合よりも更に検出頻度を下げ、係るN3に従って、PWM周期毎のデューティ比を決定する。ここで、ステップS613に進む場合よりもNの値が大きく設定される(検出頻度を低下させる)ことで、図20に示すように、最低平均デューティ比Davminが更に低下することになる。
概略的には、通電パターンBでモータ回転速度MSが目標回転速度MStgに収束し、通電パターンAに戻しても、最低平均デューティ比Davmin以上の平均デューティ比Davで同等のモータトルクを発生できる場合には、通電パターンBから通電パターンAに切り替え、通電パターンAで通電制御している状態で、目標回転速度MStgに向けてモータ回転速度MSを低下させることができなくなると通電パターンBに切り替える。
ところで、通電パターンAに比べて通電パターンBのトルク変動が大きく、モータ回転速度の変動が大きくなる傾向があるため、モータ回転速度の変動が設定レベルを超える場合に、通電パターンBでの通電制御を行わずに通電パターンAでの通電制御を行うようにすることで、モータ回転速度の変動を抑制できる。
図21及び図22のフローチャートに示すルーチンは、図3及び図4のフローチャートに対して、モータ回転速度の変動が設定レベルを超えているか否かを判定するステップを追加したものであり、他のステップは、図3及び図4のフローチャートに示すルーチンと同様な処理内容であるため、図3及び図4のフローチャートに示すルーチンと同じ処理を行うステップについては、同じステップ番号を付して詳細な説明は省略する。
なお、モータ回転速度の変動検出については、後で詳細に説明する。
一方、モータ回転速度の変動が検出されている場合、つまり、通電パターンAで通電制御している状態でのモータ回転速度の変動が設定レベルを超えている場合には、モータ回転速度を目標に向けて低下させることができない状況であるとしても、通電パターンBに切り替えることで更にモータ回転速度の変動が大きくなることを抑制すべく、そのまま本ルーチンを終了させて、通電パターンAでの駆動制御を継続させる。
モータ回転速度の変動が検出されている場合には、モータ回転速度が目標に収束しているか否かを判定することなく、ステップS311に進んで通電パターンAに戻し、モータ回転速度の変動を低減させる。
モータ回転速度の変動に基づく、通電パターンの選択は、ステップS301で、目標のモータ回転速度MStg及び実際のモータ回転速度MSが設定速度MSSL未満であると判定した場合にも同様にして行う。
モータ回転速度の変動が検出されている場合には、モータ回転速度が目標に収束しているか否かを判定することなく、ステップS317に進んで通電パターンAに戻し、モータ回転速度の変動を低減させる。
一方、ステップS313で通電パターンAを選択していると判定すると、ステップS318−1に進んで、モータ回転速度の変動(設定レベルを超える変動)が検出されているか否かを判定する。
一方、モータ回転速度の変動が検出されている場合、つまり、通電パターンAで通電制御している状態でのモータ回転速度の変動が設定レベルを超えている場合には、モータ回転速度を目標に向けて低下させることができない状況であるとしても、通電パターンBに切り替えることで更にモータ回転速度の変動が大きくなることを抑制すべく、そのまま本ルーチンを終了させて、通電パターンAでの駆動制御を継続させる。
上記制御によれば、通電パターンBを選択することによって回転変動が過大になってしまうことを抑制できる。
ステップS701では、目標回転速度MStgの前回値と今回値との差の絶対値(単位時間当たりの目標回転速度MStgの変化量)が設定値以内であるか否か、つまり、目標回転速度MStgが前回(所定時間前)から変化していないか否かを判定する。
ステップS701で、単位時間当たりの目標回転速度MStgの変化量が設定値を超えていると判定した場合、又は、ステップS702で、継続時間が設定時間に達していないと判定した場合、つまり、目標回転速度MStgの安定状態ではない場合には、ステップS705へ進んで、回転変動の検出に用いる変数(後述する、経過時間ST、角度変化積分値IAE)をクリアした後、本ルーチンを終了させる。
ステップS703では、現時点で選択されている通電パターンが通電パターンA(60deg切り替え)、通電パターンB(120deg切り替え)のいずれかであるかを判定する。
通電パターンAに従って通電モードの切り替えを行っている場合には、モータ回転速度の変動が過度に大きくなることはなく、通電パターンBに従って通電モードの切り替えを行っている場合にモータ回転速度の変動が過度に大きくなる可能性があるため、通電パターンAの場合には、実際の回転変動を検出することなく、回転変動がないとの判定を下すようにしてある。
ステップS703で通電パターンBを選択していると判定すると、ステップS706へ進み、前回の判定結果がモータ回転速度の変動が有るとの判定結果であったか否かを判定する。
次いで、ステップS708では、モータ回転角度の前回値と今回値との差の絶対値AE、つまり、単位時間当たりの角度変化量の絶対値AE(AE=|今回角度−前回角度|)を演算する。
ステップS710では、経過時間STから、角度変化積分値IAEの許容値OKIAEを算出する。
許容値OKIAEは、経過時間ST毎に許容値OKIAEを記憶するテーブルを参照して求めることができる他、経過時間STを変数とする関数f(ST)に基づき算出することができ、経過時間STが長いほどより大きな値に設定される。
一方、ステップS711において、IAE≧OKIAEであると判定した場合には、ステップS712へ進み、許容レベルを超える回転変動が発生している(回転変動有り)との判定結果に切り替え、更に、経過時間ST、角度変化積分値IAEをクリアする。
ステップS713では、目標回転速度MStgが安定してからの経過時間STの計測を行う。
更に、ステップS715では、前記角度変化量の絶対値AEを、前回までの積分値IAEに加算して、AEの積分値(積算値)である角度変化積分値IAE(IAE=IAEold+AE)を更新する。
そして、ステップS717では、角度変化積分値IAEと許容値OKIAE(閾値)とを比較し、IAE≧OKIAEであって、モータ回転変動が有る場合には、そのまま本ルーチンを終了させることで、回転変動有りの判定結果を維持させる。
ここで、IAE<OKIAEである状態の継続時間が設定時間未満であれば、そのまま本ルーチンを終了させることで、回転変動有りの判定結果を維持させ、IAE<OKIAEである状態の継続時間が設定時間を超えると、ステップS719へ進んで、回転変動が無い(変動は十分に小さい)との判定結果に切り替え、更に、経過時間ST、角度変化積分値IAEをクリアする。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
(イ)3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
モータ回転速度に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を、60degと120degとのいずれかに設定する、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、切り替え周期である電気角を60degとする場合に比べて、120degとする場合にはモータトルクが減るので、電気角を60degから120degに変更することで、モータ回転速度を低下させることができる。
モータ回転速度に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を、60degと120degとのいずれかに設定し、切り替え周期である電気角を60degから120degに切り替える場合にはデューティ比を増加させ、切り替え周期である電気角を120degから60degに切り替える場合にはデューティ比を減少させる、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、切り替え周期の電気角を60degから120degに切り替えるときのモータトルクの減少を抑制し、切り替え周期である電気角を120degから60degに切り替えるときのモータトルクの増大を抑制し、切り替え周期の切り替えに伴うモータトルクの変動を抑制できる。
モータ回転速度に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を、60degと120degとのいずれかに設定し、
パルス電圧を印加する2相の切り替えタイミングを、切り替え周期を電気角120degとする場合には、切り替え周期を電気角60degとする場合の切り替えタイミングに同期するタイミングから遅らせる、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、切り替え周期を電気角120degとする場合のモータトルクの変動を抑制できる。
パルス幅変調周期のN(Nは1以上の整数)回当たり1回のデューティ比が設定値を下回らないようにし、モータ回転速度の低下に応じて前記Nの値を増大方向に変更する、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、パルス幅変調周期のN回当たり1回のデューティ比が設定値を下回らないようにすることで、この設定値を下回らないデューティ比とされる周期で、パルス誘起電圧に基づく位置情報を取得できる一方、Nを2以上とすれば、設定値を下回るデューティ比が許容される周期が生じて、平均デューティ比を下げることができ、モータ回転速度を低下させることができる。
パルス幅変調周期のN(Nは1以上の整数)回当たり1回のデューティ比が設定値を下回らないようにし、モータ回転速度の低下に応じて前記Nの値を増大方向に変更し、
デューティ比の変更でモータ回転速度を低下させることができなくなった場合に、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を増大方向に変更する、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、Nの値を大きくすることで平均デューティ比を下げ、モータ回転速度を低下させることができるが、平均デューティ比を最低値まで下げたときのモータ回転速度よりも更に回転速度を低下させたい場合には、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を増大方向に変更することで、モータトルクを減少させ、モータ回転速度を低下させる。
モータ回転速度に応じて、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角を変更し、モータ回転速度の変動が発生した場合に、前記切り替え周期である電気角を減少方向に変更する、ブラシレスモータの駆動装置。
上記発明によると、パルス電圧を印加する相の切り替え周期である電気角が大きいと、モータトルクの変動が大きくなってモータ回転速度の変動が大きくなり易いので、モータ回転速度の変動が発生すると、切り替え周期の電気角を減少させて、モータ回転速度の変動を低減させる。
Claims (3)
- 3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相の選択パターンを、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替える制御手段を備えたブラシレスモータの駆動装置であって、
前記制御手段は、モータ回転速度を低下させるときに、前記パルス幅変調信号のデューティ比を設定値まで低下させると、前記選択パターンの切り替え周期である電気角を増大させる、ブラシレスモータの駆動装置。 - 前記制御手段は、前記パルス誘起電圧に基づく位置情報の取得が可能な最低デューティ比とする周期と前記最低デューティ比を下回るデューティ比とする周期とを設定するパルス幅変調制御を行い、
前記設定値は、前記パルス幅変調制御における平均デューティ比の最低値である、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。 - 前記制御手段は、電気角60deg毎に前記選択パターンを6通りに切り替える通電パターンから、電気角120deg毎に前記選択パターンを3通りに切り替える通電パターンに切り替える、請求項1又は2記載のブラシレスモータの駆動装置。
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