JP5886095B2 - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシレスモータの複数相のうちでパルス電圧を印加する相を選択する通電モードを、非通電相の誘起電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置に関する。
特許文献1には、巻線の端子電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出し、この回転位置に応じて巻線に通電する、ブラシレスモータの制御装置が開示されている。
特開平11−341869号公報
ところで、3相のうち2相にパルス状の電圧を印加することによって非通電相に誘起される電圧(以下、パルス誘起電圧という)に基づいてモータの角度位置を検出し、通電モードを切り替える場合、パルス誘起電圧は、通電している相間の磁束変化率により発生するが、印加電圧のデューティ比が大きくなると、磁束変化率が小さくなってパルス誘起電圧が小さくなる。このため、デューティ比が高くなると、パルス誘起電圧に基づいて通電モードの切り替えタイミングを検出できなくなり、モータを脱調させてしまう可能性があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、デューティ比が高い領域でも、パルス誘起電圧に基づいて通電モードの切り替えタイミングを安定的に検出できる、ブラシレスモータの制御装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明では、ブラシレスモータの複数相のうちでパルス電圧を印加する相を選択する通電モードを、非通電相の誘起電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、デューティ制御のN(N≧2)周期に1回の割合で前記誘起電圧を検出する構成とし、前記誘起電圧を検出する周期におけるパルス電圧のデューティ比を、前記通電モードの切り替えタイミングの判定における許容最小値を超える誘起電圧を発生する固定デューティ比に設定するようにした。
上記発明によると、モータ操作量相当のデューティ比が高い領域でも、通電モードの切り替え判断に十分な大きさの誘起電圧を発生させることが可能となり、通電モードの切り替えタイミングを安定的に検出して、脱調の発生を抑制することができる。
実施形態において、本願発明に係る同期電動機の駆動装置を適用する、油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。 実施形態におけるモータ制御装置及びブラシレスモータの構成を示す回路図である。 実施形態における制御器の構成を示すブロック図である。 実施形態におけるブラシレスモータの通電パターンを示すタイムチャートである。 実施形態におけるブラシレスモータの駆動制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 実施形態におけるブラシレスモータの駆動制御の詳細を示すフローチャートである。 実施形態における目標モータ回転数の設定特性を示す線図である。 実施形態におけるPWM制御周期毎のデューティ比の設定特定を説明するための図である。 実施形態における基本デューティDBが固定値DFよりも低い低デューティ域でのデューティ比の設定特性を示す図である。 実施形態における基本デューティDBが固定値DFよりも高い高デューティ域でのデューティ比の設定特性を示す図である。 高デューティ比で脱調が発生する様子を説明するための図である。 実施形態におけるモータ回転数と誘起電圧の検出頻度(N周期)との相関を示す線図である。 実施形態における電源電圧と固定値DFとの相関を示す線図である。 実施形態におけるモータ温度と固定値DFとの相関を示す線図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明に係るブラシレスモータの駆動装置を適用する、自動車のオートマチックトランスミッションAT用の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムでは、変速機(TM)7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、ブラシレスモータ2で駆動される電動式オイルポンプ1とを備えている。
また、エンジンの制御システムとして、自動停止条件の成立時にエンジンを停止し、自動始動条件が成立するとエンジンを再始動するアイドルストップ制御機能を備えている。
そして、アイドルストップ制御によってエンジンが停止している間は、機械式オイルポンプ6もその動作を停止するため、アイドルストップ中は、電動式オイルポンプ1を用いて、変速機7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、油圧の低下などを抑制する。
電動式オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ2により駆動される。ブラシレスモータ2は、AT制御装置(ATCU)4からの指令を受け取るモータ制御装置(MCU)3によって制御される。
ブラシレスモータ2の駆動装置であるモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動制御して電動式オイルポンプ1を駆動し、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機7やアクチュエータ8に供給する。
尚、電動式オイルポンプ1を、変速機7におけるクラッチなどの摩擦係合要素の潤滑用や冷却用のオイルを供給するポンプとすることができ、また、オイルを供給する機器を変速機に限定するものではなく、例えば、車両の駆動用モータやインバータに冷却用のオイルを供給するポンプとすることができる。更に、ブラシレスモータ2は、オイルポンプを駆動するブラシレスモータに限定されるものではなく、複数相のうちで通電する相を選択する通電モードを、非通電相の誘起電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータであればよい。
エンジンの運転中は、エンジン駆動の機械式オイルポンプ6により、変速機7やアクチェータ8にオイル配管9を介してオイルパン10のオイルが供給される。このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であり、電動式オイルポンプ1に向かうオイルは逆止弁11によって遮断される。
エンジンがアイドルストップ制御によって停止すると、機械式オイルポンプ6の回転速度が低下してオイル配管9の油圧が低下するので、エンジンの停止と略同時に、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に向けて送信する。
起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動して電動式オイルポンプ1を回転させ、オイル配管5内の油圧を上昇させる。
機械式オイルポンプ6による油圧が低下する一方で、電動式オイルポンプ1の吐出圧が逆止弁11の開弁圧を超えるようになると、オイルは、オイル配管5,電動オイルポンプ1,逆止弁11,変速機7及び/又はアクチェータ8,オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
図2は、モータ制御装置3及びブラシレスモータ2の詳細を示す。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、コンピュータを備えた制御器213とを含んで構成され、制御器213がAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ、換言すれば、3相同期電動機であり、U相,V相及びW相の3相巻線215U,215V,215Wが、図示省略した円筒状の固定子に設けられ、該固定子の中央部に形成された空間に永久磁石回転子216が配置される。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a〜218fを含んでなるスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有しており、スイッチング素子217a〜217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a〜217fのゲート端子は、制御器213に接続されており、制御器213は、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフを、PWM制御する。
制御器213は、ブラシレスモータ2の印加電圧を演算し、駆動回路212に出力するパルス幅変調信号を生成する回路である。
制御器213は、図3に示すように、PWM発生器251、ゲート信号切替器252、通電モード決定器253、比較器254、電圧閾値切替器255、電圧閾値学習器256、非通電相電圧選択器257を含んでいる。
PWM発生器251は、指令トルクに応じて決定した印加電圧指令に基づき、パルス幅変調されたPWM波を生成する回路である。
通電モード決定器253は、モータ駆動回路212の通電モードを決定するモード指令信号を順次出力するデバイスであり、比較器254が出力するモード切替トリガ信号をトリガとして、通電モードを順次切り替える。
尚、通電モードとしては、後述するように、3相巻線215U,215V,215Wのうち、通電する2つの相を選択する6通りの通電モード(1)〜(6)が予め設定されている。
ゲート信号切替器252は、モータ駆動回路212の各スイッチング素子217a〜217fがどのような動作でスイッチングするかを、通電モード決定器253の出力であるモード指令信号に基づいて決定し、該決定に従い、最終的な6つのゲートパルス信号をパラレルにモータ駆動回路212に出力する。
電圧閾値切替器255は、通電モード毎に設定される非通電相、換言すれば、駆動電流を流さない巻線相の端子電圧と比較させる閾値を発生する回路であり、閾値の切り替えタイミングは、通電モード決定器253の出力であるモード指令信号に基づき決定される。
非通電相電圧選択器257は、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧(端子電位)をモード指令信号に従い選択して出力する回路であり、前記端子電圧は、ブラシレスモータ2の中性点に対する電位差として出力される。
比較器254は、電圧閾値切替器255が出力する閾値と非通電相電圧選択器257が出力する非通電相の電圧とを比較し、通電モード決定器253にモード切替トリガを出力する。
尚、非通電相に発生する電圧は、2相の印加パルス電圧によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧であり、磁極位置により磁気回路の飽和状態が変化することから、磁極位置に応じた誘起電圧が非通電相に発生することになり、非通電相の誘起電圧から、回転子位置、即ち、角度位置を推定して、通電モードの切り替えタイミングを検出することができる。
また、電圧閾値学習器256は、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値(非通電相の電圧の判定基準値)を更新して記憶するデバイスである。
切り替えタイミングの判定のために検出する非通電相のパルス誘起電圧は、ブラシレスモータ2の製造ばらつき、電圧検出回路の検出ばらつきなどによって変動するため、係る誘起電圧のばらつきに対して、閾値として固定値を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤って判定することになってしまう。
そこで、電圧閾値学習器256は、通電モードの切り替えタイミングに相当する磁極位置でのパルス誘起電圧を検出することで、閾値を実際の切り替えタイミングで発生する誘起電圧に近づける補正を行い、電圧閾値切替器255が通電モード毎に記憶している閾値を、補正結果に書き換える、閾値の学習処理を実行する。
図4は、各通電モードにおける各相への電圧印加状態を示す。
通電モードは、電気角60degごとに順次切り替わる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)において、3相から選択された2相に対してパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する。
本実施形態では、U相のコイルの角度位置を、回転子(磁極)の基準位置(角度0degの位置)とし、通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行う回転子の角度位置(磁極位置)を30degに、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う回転子の角度位置を90degに、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う回転子の角度位置を150degに、通電モード(6)から通電モード(1)への切り替えを行う回転子の角度位置を210degに、通電モード(1)から通電モード(2)への切り替えを行う回転子の角度位置を270degに、通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う回転子の角度位置を330degに設定している。
通電モード(1)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流す。
通電モード(2)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(3)は、スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(5)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、W相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
尚、上記通電制御の場合、例えば通電モード(1)では、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流すようにしたが、下段のスイッチング素子217dの駆動するPWM波と逆位相のPWM波で上段のスイッチング素子217cを駆動し、下段のスイッチング素子217dがオンであるときに、上段のスイッチング素子217cをオフさせ、下段のスイッチング素子217dがオフであるときに、上段のスイッチング素子217cをオンさせるようにする相補制御方式で、各通電モード(1)〜(6)での通電制御を行わせることができる。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fを、240deg毎に120deg間通電することから、図4に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
図5のフローチャートは、モータ制御装置3によるブラシレスモータ2の駆動制御の概略を示す。
ステップS301では、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値の学習条件、換言すれば、電圧閾値学習器256の作動条件が成立しているか否かを判断する。
例えば、電源投入直後、又は、電動オイルポンプ1の停止直後など、ブラシレスモータ2の駆動要求が発生していないことを、閾値の学習条件とする。
そして、学習条件が成立していれば、ステップS302へ進んで、閾値の学習を実施する。
以下に、閾値の学習処理の一例を示す。
例えば、通電モード(4)から次の通電モードへの切り替え判定に用いる閾値V4-5を学習する場合には、まず、回転子216を通電モード(3)に対応する角度に位置決めする。
通電モード(3)に対応する印加電圧、即ち、Vu=0、Vv=Vin、Vw=−Vinを各相に加えると、U相,V相及びW相の合成磁束に永久磁石回転子216が引かれることでトルクが発生し、永久磁石回転子216のN極が、角度90degまで回転することになる。
そして、通電モード(3)に対応する電圧印加を行ってから、回転子216が角度90degまで回転するのに要する時間の経過を待って、角度90degへの位置決めが完了したものと推定する。
尚、通電モード(3)に対応する相通電を行った場合に回転子216が引き付けられる角度90degは、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置である。
角度90degへの回転子216の位置決めが完了すると、次いで、通電モード(3)に対応する電圧印加パターンから、通電モード(4)に対応する電圧印加パターン、即ち、Vu=−Vin、Vv=Vin、Vw=0に切り替える。
そして、通電モード(3)に対応する印加電圧から通電モード(4)に対応する印加電圧に切り替えた直後における、通電モード(4)での非通電相であるW相の端子電圧Vwを検出し、該端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から次の通電モードへの切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。
即ち、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えは、前述のように、角度90degで行わせるように設定されていて、角度90degになったか否か、換言すれば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えタイミングになったか否かは、通電モード(4)における非通電相であるW相の端子電圧Vwに基づいて判断する。
ここで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させることで、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置(90deg)にブラシレスモータ2を位置決めすることができる。そして、係る位置決めした状態から通電モード(4)に切り替えれば、通電モード(4)に切り替えた直後のW相の端子電圧Vwは、角度位置90degにおける非通電相の端子電圧Vを示すことになる。
そこで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させている状態(位置決め状態)から通電モード(4)に切り替えた直後におけるW相の端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から次の通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新し、更新後の値を記憶する。そして、通電モード(4)の非通電相であるW相の端子電圧Vwが、閾値V4-5を横切ったときに(W相の端子電圧Vwが閾値V4-5以上になったときに)、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを実行させるようにする。
他の通電モードの切り替えに用いる閾値も同様にして、更新学習を行える。
尚、閾値の更新処理(学習)においては、通電モードの切り替えを行う角度位置で検出した非通電相の端子電圧Vを、そのまま閾値として記憶させることができ、また、前回までの閾値と、今回求めた非通電相の端子電圧Vとの加重平均値を新たな閾値として記憶させることもでき、更に、過去複数回にわたって求めた非通電相の端子電圧Vの移動平均値を、新たな閾値として記憶させることもできる。
また、今回求めた非通電相の端子電圧Vが、予め記憶している正常範囲内の値であれば、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を行い、前記正常範囲から外れている場合には、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を禁止し、閾値を前回値のまま保持させることができる。
また、閾値の初期値として設計値を記憶させておき、閾値の学習を1度も経験していない未学習状態では、閾値として初期値(設計値)を用いて通電モードの切り替えタイミングを判断させることができる。
また、非通電相の電圧が基準電圧に対してマイナス側に振れる(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)の通電モード切替において共通の閾値を設定し、非通電相の電圧が基準電圧に対してプラス側に振れる、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)の通電モード切替において共通の閾値を設定することができる。
更に、例えば、前述のようにして学習した閾値V4-5を、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)のモード切替において共通の閾値とし、(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)のモード切替においては、閾値V4-5と絶対値が同じマイナスの閾値を共通の閾値として用いることができる。
但し、閾値の学習手段を上記のものに限定するものではなく、公知の種々の学習処理を適宜採用できる。
上記のようにして、ステップS302で、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値を学習した場合、及び、ステップS301で学習条件が成立していないと判断した場合には、ステップS303へ進む。
ステップS303では、電動オイルポンプ1(ブラシレスモータ2)の駆動要求が発生しているか否かを判断する。本実施形態の場合、アイドルストップ要求の発生が、電動オイルポンプ1の駆動要求の発生を示すことになる。
ここで、電動オイルポンプ1の駆動要求が発生すれば、ステップS304へ進み、そのときの通電モードでの非通電相の電圧を閾値と比較することで、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、通電モードを順次切り替えることで、ブラシレスモータ2を駆動させるセンサレスのモータ駆動制御を実施する。
尚、ブラシレスモータ2の起動処理においては、例えば通電モード(3)に応じた電圧印加によって90degの位置に位置決めした後、通電モード(5)に切り替えて、ブラシレスモータ2を回転させ始める。そして、通電モード(5)から次の通電モードへの切り替えを行う角度位置である150degになったことを、通電モード(5)における非通電相であるV相の電圧が、通電モード(5)からの通電モードの切り替え判定に用いる閾値を下回ったときに判定し、通電モード(6)への切り替えを行う。その後、非通電相の電圧と閾値とを比較して、通電モードを順次切り替えるようにする。
一方、電動オイルポンプ1の駆動要求が発生していない場合は、ステップS304を迂回して本ルーチンを終了させて、ブラシレスモータ2への通電が停止される状態に保持する。
ここで、ステップS304におけるモータ駆動制御の詳細を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS351では、ブラシレスモータ2の目標回転数(rpm)を演算する。
電動オイルポンプ1を回転駆動するブラシレスモータ2では、例えば、図7に示すように、オイルの温度が高いほど目標回転数をより高い回転数に設定する。
また、ブラシレスモータ2がエンジンに冷却水を循環させるウォータポンプを駆動する場合には、冷却水温度が高いほど目標回転数をより高い回転数に設定することができる。
ステップS352では、ステップS351で演算した目標回転数と実際のモータ回転数(rpm)とに基づいて、印加電圧、換言すれば、モータ入力電圧の指令値を演算する。
例えば、目標回転数と実際の回転数との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)に基づき、下式に従って印加電圧の指令値を決定する。
印加電圧=回転数偏差*比例ゲイン+回転数偏差の積分値*積分ゲイン
回転数偏差=目標回転数−実回転数
但し、印加電圧の指令値の決定方法を、目標モータ回転数に基づくものに限定するものではなく、例えば、電動オイルポンプ1の目標吐出圧と実吐出圧との偏差に基づき、印加電圧の指令値を決定する方法や、要求トルクに基づき印加電圧の指令値を決定する方法など、公知の決定方法を適宜採用できる。また、目標値に実際値を近づけるための印加電圧の演算処理を、比例積分制御に限定するものではなく、比例積分微分制御(PID制御)など公知の演算処理方法を適宜採用できる。
上記のように、回転数偏差に基づいて印加電圧の指令値を算出すると、更に、相電流及び電源電流に応じて指令値を補正する処理を実施する。
ここで、印加電圧の指令値の補正に用いる電源電流としては、検出回路による検出値を用い、印加電圧の指令値の補正に用いる相電流としては、電源電圧とデューティ比とから、相電流演算値=電源電圧/デューティ比として算出される値を用いる。
そして、電源電流用の第1電流制限値(第1上限値)と、相電流用の第2電流制限値(第2上限値)とを設け、下式に従って電流制限値と電流値との差分を演算する。
第1差分=第1電流制限値−電源電流検出値
第2差分=第2電流制限値−相電流演算値
ここで、第1差分と第2差分とのうち、より小さい方を選択し、更に、選択した差分が0以下であって、電流制限値を電源電流検出値及び/又は電源電流検出値が上回っている場合には、下式のように、差分にゲインを乗算して、印加電圧の指令値(入力電圧)の補正項を算出する。
電流補正項=電流ゲイン*min(第1差分、第2差分)
これにより、電源電流及び相電流が制限値(上限値)を超えないように、印加電圧の指令値が補正される。
ステップS353では、上記のようにして決定された印加電圧の指令値に基づき、モータ印加デューティ比を決定する。
まず、モータ操作量相当のデューティ比である基本デューティ比DB(%)を、基本デューティ比DB=印加電圧の指令値/電源電圧*100として算出する。
そして、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングでのデューティ比については、予め記憶した固定値DFに設定する一方、非検出タイミングでのデューティ比については、固定値DFと基本デューティ比DBとの差分だけ基本デューティ比DBを補正した値とする。これにより、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングと、非検出タイミングとで、デューティ比(パルス幅)が異なるようになる。
ここで、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングは、デューティ制御の複数周期N毎に1回として設定する。前記複数周期Nは、一定値とすることができる他、後述するように、モータ回転速度などに応じて変更することができる。
図8は、基本デューティ比DBよりも固定値DFが小さい場合の一例を示す。
また、図8において、N=2に設定され、2周期に1回の割合で、非通電相の電圧を検出するようになっている。
制御周期の全てにおいて、基本デューティ比DBに相当するパルス幅を与える場合には、図8の上段に示すように、各制御周期におけるパルス幅を一定であるのに対し、ステップS353での処理では、非通電相の電圧を検出する周期においては、固定デューティ比DFに相当するパルス幅に縮小する一方、非通電相の電圧を検出しない周期においては、固定デューティ比DFと基本デューティ比DBとの差分だけ基本デューティ比DBを増大補正したデューティ比に対応するパルス幅に拡大し、縮小したパルス幅と拡大したパルス幅との平均が、基本デューティ比DBに相当するパルス幅になり、平均的には、基本デューティ比DBでブラシレスモータ2の通電が制御されるようにしてある。
換言すれば、非通電相の電圧を検出する周期においては、デューティ比を固定値DFとし、固定値DFとすることで制限されたデューティ比の分が相殺される方向に、非通電相の電圧を検出しない周期におけるデューティ比を、基本デューティ比DBから補正するようにしてある。
これにより、非通電相の電圧を検出するタイミングでのデューティ比は、基本デューティ比DBが変化しても、固定値DFに保持されるのに対し、非通電相の電圧を検出しないタイミングでのデューティ比は、基本デューティ比DBの変化、及び、基本デューティ比DBと固定値DFとの差に応じて変化する。
ここで、固定値DFは、基本デューティ比DBに連動して変化しない値であり、デューティ比と非通電相の電圧(誘起電圧)との相関において誘起電圧が最大値を示すデューティ比や、モータ回転数などの条件が変化しても、通電モードの切り替えタイミングの判定における許容最小誘起電圧を超える誘起電圧を発生するデューティ比として予め記憶されている。
尚、デューティ比の固定値DFは、幅を有することができ、例えば、0%<A%<固定値<B%<100%として固定値DFを設定し、基本デューティ比がA%とB%との間の値であれば、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングにおいて基本デューティ比DBをそのまま用い、基本デューティ比DBがA%を下回る場合に非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングにおけるデューティ比をA%とし、基本デューティ比がB%を上回る場合に非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングにおけるデューティ比をB%とすることができる。
換言すれば、固定値DFは、基本デューティ比DBの変化幅よりも、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングにおけるデューティ比を狭い範囲内で変化させるための制限値であり、非通電相の電圧を検出(取得)するタイミングにおけるデューティ比を、一点データに固定できる他、幅を持つことができる。
以下では、より具体的な例を示して、デューティ比を上記のようにして設定することの作用を説明する。
図9に示す例は、V相からW相に向けて通電する通電モード(3)において、基本デューティ比DBが固定値DFよりも小さい場合を示す。
図9(A)では、基本デューティ比DBで各制御周期でのパルス幅を決定しており、V相からW相に向けて通電するW相の下段がオンである期間において、通電モードの切り替え判定に十分な起電圧が非通電相に発生する。
これに対し、図9(B)では、非通電相であるU相の誘起電圧をデューティ制御の2周期に1回の割合で検出(取得)するものとし、この電圧検出タイミングにおいて、デューティ比を基本デューティ比DBよりも大きな固定値DFに設定してある。
更に、電圧検出タイミングにおいて、基本デューティ比DBよりも大きな固定値DFに設定したことで、平均のオン時間割合が基本デューティ比DBよりも大きくなることを抑制すべく、電圧非検出タイミングでのデューティ比を基本デューティDBよりも小さいデューティ比に設定してある。
ここで、デューティ比を固定値DFとする電圧検出タイミングにおいて、通電モードの切り替え判定に十分な起電圧が非通電相に発生する。
尚、図9に示した例では、V相の上段をONに保持し、V相の下段をOFFに保持し、W相の上段及び下段をPWM制御したが、V相の上段及び下段をPWM制御し、W相の下段をONに保持し、W相の上段をOFFに保持することができる。
一方、図10に示す例は、V相からW相に向けて通電する通電モード(3)において、基本デューティ比DBが固定値DFよりも大きい場合を示す。
図10(A)では、基本デューティ比DBで各制御周期でのパルス幅を決定しており、V相からW相に向けて通電するW相の下段がオンである期間において、非通電相に発生する起電圧が小さく、誘起電圧に基づき通電モードの切り替えタイミングを判定することができない状態になっている。
これに対し、図10(B)では、非通電相であるU相の誘起電圧をデューティ制御の2周期に1回の割合で検出(取得)するものとし、この電圧検出タイミングにおいて、デューティ比を基本デューティ比DBよりも小さい固定値DFに設定してある。
更に、電圧検出タイミングにおいて、基本デューティ比DBよりも小さい固定値DFに設定したことで、平均のオン時間割合が基本デューティ比DBよりも小さくなることを抑制すべく、電圧非検出タイミングでのデューティ比を基本デューティDBよりも大きいデューティ比に設定してある。
ここで、電圧検出タイミングにおいて、デューティ比を、基本デューティ比DBよりも小さい固定値DFとしたことで、基本デューティ比DBとした場合に比べて非通電相に発生する起電圧が大きくなり、通電モードの切り替え判定に十分な起電圧が得られるようになっている。
即ち、印加電圧の指令値に基づいて算出した基本デューティ比DBが、予め記憶した固定値DFよりも小さい場合には、非通電相の電圧を検出させる周期でのデューティ比を、基本デューティ比DBよりも大きい固定値DFに設定する。また、印加電圧の指令値に基づいて算出した基本デューティ比DBが、予め記憶した固定値DFよりも大きい場合には、非通電相の電圧を検出させる周期でのデューティ比を、基本デューティ比DBよりも小さい固定値DFに設定する。一方、非通電相の電圧を検出しない制御周期においては、デューティ比として、基本デューティ比DBと固定値DFとの差分を相殺する分だけ、基本デューティ比DBを補正したデューティ比とする。
これにより、印加電圧の指令値に基づいて基本デューティ比としてどのような値が設定されても、非通電相の電圧を検出させるタイミングにおいては、デューティ比は固定値DFとされる。
デューティ比が大きくなることで磁束変化率が小さくなり、誘起電圧が出難くなり、誘起電圧の検出値に基づく通電モードの切り替え判定を行えなくなる可能性があるが、非通電相の電圧を検出させるタイミングにおけるデューティ比を、十分に高い誘起電圧を発生するデューティ比に固定すれば、基本デューティ比DBが高い場合であっても、通電モードの切り替え判定を高精度に行え、脱調の発生を未然に抑制することができる。
また、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、デューティ比が小さいと(電圧印加時間が短いと)、前記振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしてしまい、これによってパルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングを誤判定してしまう可能性がある。これに対し、非通電相の電圧を検出させるタイミングにおけるデューティ比を固定すれば、前記振れ期間の後でパルス誘起電圧のサンプリングできる期間を確保でき、通電モードの切り替えタイミングを精度良く判定できる。
即ち、非通電相の電圧を検出させるタイミングにおけるデューティ比を固定値DFとすることで、基本デューティ比DBの高い側と低い側との双方で、誘起電圧を安定して取得することができ、以って、誘起電圧に基づく通電モードの切り替え判定の精度が向上し、脱調の発生を抑制することができる。
また、非通電相の電圧を検出させるタイミングにおけるデューティ比を固定値DFとする一方で、係る固定値DFを用いることで、平均的なデューティ比が基本デューティ比DBからずれることを抑制すべく、非検出ダイミングにおけるデューティ比を設定するので、例えば、モータ2の実回転速度を目標回転速度に近づけるためのモータ制御における収束性を維持できる。
図11は、デューティ比が高くなることで誘起電圧が発生し難くなり、これによって脱調が発生する様子を示す図である。
極低速領域で、モータ2の回転速度を目標に近づける制御を実施している状態において、負荷が高くモータ回転速度が目標に到達しないと、デューティ比を増大させてモータ回転速度を上昇させようとする。しかし、デューティ比を大きくすると、モータに流れる電流が大きくなるため、過大な電流が流れないようにするため、電流制限を行う必要があり、前述のようにして、電流制限値と電流値との差分に応じて、印加電圧の指令値を補正するようにしてある。
電流制限には、電源電流の制限と相電流の制限とがあるが、負荷が高い状態においては、相電流が先に制限値に達して、相電流が制限されるようになる。係る状態で、徐々にモータ回転速度が増加し、また、モータ2のコイル温度が上昇してコイル抵抗が増し、リミットに相電流が張り付いている状態で、デューティ比及び電源電流が大きくなる。その結果、通電している相間の磁束変化率が小さくなって、非通電相に誘起される電圧が小さくなり、誘起電圧に基づく通電モードの切り替え判定が行えなくなって、モータ2が脱調する。
ここで、デューティ比をより小さい値(固定値DF)に制限すれば、磁束変化率の減少が抑制されて、非通電相に誘起される電圧が大きくなり、誘起電圧に基づく通電モードの切り替え判定が可能になって、モータ2が脱調することを抑制できる。
非通電相の電圧の非検出タイミングにおけるデューティ比DNは、下式により算出することができる。
DN=(DB−DF)/(N−1)+DB
上式で、Nは、デューティ制御のN周期に1回の割合で非通電相の電圧を検出させるとするときのN周期であり、例えば、N=2であれば、基本デューティ比と固定値αとの差分だけ、非検出タイミングにおけるデューティ比DNを基本デューティ比から補正する。
また、N=3であれば、基本デューティ比と固定値αとの差分を、2周期のデューティ比DNにそれぞれ振り分けて補正することになる。
但し、例えば、固定値DF=50%とし、N=2としたときに、基本デューティ比DBが80%であるとすると、非検出タイミングにおけるデューティ比DNを110%にしないと、平均的なデューティ比が基本デューティ比DBにならず、実際には、平均的なデューティ比は基本デューティ比DBを下回ることになってしまう。
ここで、例えば、N周期=4周期に変更すれば、非検出タイミングにおけるデューティ比DNは、下式にようになる。
D2=(80%−50%)/(4−1)+80%=90%
従って、平均的なデューティ比を基本デューティ比DBとするために要求される、非検出タイミングにおけるデューティ比DNが100%を超える場合には、N周期をより大きな値に変更することで、100%≧デューティ比DNとして、平均的なデューティ比を基本デューティ比DB付近にすることができる。
一方、N周期を大きくするほど、非通電相の電圧の検出周期が長くなり、通電モードの切り替えタイミングが遅れる可能性があるので、平均的なデューティ比を基本デューティ比DB付近にすることができる範囲内でなるべく小さいN周期を、そのときの基本デューティ比DBに応じて設定することが好ましく、その場合、基本デューティ比DBが大きいほど、N周期を大きくすることになる。
また、通電モードの切り替え周期が短くなるモータ回転速度が高い領域では、切り替えタイミングの検出遅れによって脱調が発生し易くなる。そこで、図12に示すように、モータ回転数(rpm)が高いほど、N周期をより小さくして、脱調の発生を抑制することができる。
更に、平均的なデューティ比を基本デューティ比DBに近づけるために、100%よりも高いデューティ比D2が要求されるようになることを抑制する方法としては、固定値DFをより大きな値に変更する方法がある。
即ち、電源電圧やモータ温度(巻線温度)によって、誘起電圧の発生し易さが異なり、例えば、電源電圧が低いときに、デューティ比DXで十分な誘起電圧が出力されるが、より高いデューティ比DY(DY>DX)では、十分な誘起電圧が出力されないような場合であっても、電源電圧がより高くなれば、デューティ比DYで十分な誘起電圧が出力されるようになる場合がある。
そして、固定値DFをより高いデューティ比DYに変更すれば、デューティ比DNの増大補正幅が縮小されることになり、100%よりも高いデューティ比DNが要求されることが抑制され、平均的なデューティ比を基本デューティ比DBに近づけることができる。
そこで、図13に示すように、電源電圧が高いほど、固定値DFとしてより高いデューティ比を設定する。
また、モータ温度が高いときに、デューティ比DXで十分な誘起電圧が出力されるが、より高いデューティ比DY(DY>DX)では、十分な誘起電圧が出力されないような場合であっても、モータ温度がより低くなれば、デューティ比DYで十分な誘起電圧が出力されるようになる場合がある。
そして、固定値DFをより高いデューティ比DYに変更すれば、デューティ比DNの増大補正幅が縮小されることになり、100%よりも高いデューティ比DNが要求されることが抑制され、平均的なデューティ比を基本デューティ比DBに近づけることができる。
そこで、図14に示すように、モータ温度が低いほど、固定値DFとしてより高いデューティ比を設定する。
以下では、図6のフローチャートに戻って説明を続ける。
ステップS353では、上記のようにして決定したデューティ比、及び、そのときの通電モードに基づいて、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフをPWM制御し、ブラシレスモータ2に電圧を印加する。
ステップS354では、そのときの通電モードにおける非通電相の電圧を検出する。
具体的には、デューティ比を固定値DFとする制御周期における通電区間において、通電モード(1)の場合はW相の電圧を検出し、通電モード(2)の場合はV相の電圧を検出し、通電モード(3)の場合はU相の電圧を検出し、通電モード(4)の場合はW相の電圧を検出し、通電モード(5)の場合はV相の電圧を検出し、通電モード(6)の場合はU相の電圧を検出する。このような非通電相の選択は、非通電相電圧選択器257が通電モード決定器253からの信号に基づいて行う。
ここで、非通電相の端子電圧の検出期間を、図10(B)を参照して説明する。V相からW相に向けて電流を流す通電モード(3)では、電圧検出相はU相であり、このU相の端子電圧を、W相下段のスイッチング素子217fのオン期間で、かつ、デューティ比として固定値DFが設定されている周期(N周期に1回)において検出する。
尚、同じ通電モード(3)において、V相のスイッチング素子217c、217dをPWM制御する場合には、V相上段のスイッチング素子217cのオン期間で、かつ、デューティ比として固定値DFが設定されている周期(N周期に1回)において、U相の端子電圧を検出する。
また、パルス電圧の印加直後は、パルス誘起電圧が振れ、ここでの検出値に基づいて通電モードの切り替えタイミングであるか否かを判断すると、切り替えタイミングを誤判定することになってしまう。そこで、誘起電圧の振れ期間の経過後に、通電モードの切り替え判定に用いる非通電相の電圧を検出する。
ステップ355では、低速センサレス制御の実施条件であるか否かを判断する。
本実施例では、通電モードの切り替えタイミングの検出方法として、非通電相に誘起する逆起電力(誘起電圧)と基準電圧(中性点電位:0V)とを比較して、逆起電力(誘起電圧)のゼロクロス点を検出し、このゼロクロス点を基準にして通電モードの切り替えタイミングを判定する方法と、2相の印加パルス電圧によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧と閾値とを比較して、通電モードの切り替えタイミングを判定する方法とを、モータ回転速度に応じて使い分けるようにしてある。
即ち、モータ回転測度が低いと、逆起電力が低くなって通電モードの切り替えタイミングを精度良く検出することが難しくなるので、モータの低回転域では、2相の印加パルス電圧によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧と閾値との比較に基づき、通電モードの切り替えタイミングを検出させるようにしてあり、パルス誘起電圧を用いた通電モードの切り替え判定を、低速センサレス制御と称するものとする。
一方、逆起電力が十分に大きくなるモータ回転速度が高い領域では、逆起電力のゼロクロス点を検出して、通電モードの切り替えタイミングを検出させるようにしてあり、逆起電力を用いた通電モードの切り替え判定を、高速センサレス制御と称するものとする。
従って、ゼロクロスに基づく通電モードの切り替え判定を行わせるか否かの境界とするモータ回転速度は、逆起電力のゼロクロスを安定的に検出することができるモータ回転速度の最小値であり、予め実験やシミュレーションによって決定して記憶しておく。
ステップS355で、低速センサレス制御の実施条件であると判断した場合、換言すれば、モータ回転速度が設定速度以下である場合には、ステップS356へ進み、非通電相の電圧と閾値とを比較する。
ステップS355で用いる閾値は、ステップS302で学習した閾値であり、通電モードに応じてプラス又はマイナスの値として設定される。そして、ステップS356では、非通電相の電圧が閾値を横切ったとき、換言すれば、非通電相の電圧がプラスの閾値以上になったとき、又は、非通電相の電圧がマイナスの閾値以下になったときに、通電モードの切り替えタイミングを判定してステップS358へ進み、次の通電モードへの切り替えを実施する。
具体的には、通電モード(1)である場合には、非通電相であるW相の電圧が、閾値V1-2以下になったときに、通電モード(2)への切り替えタイミングであると判断する。また、通電モード(2)である場合には、非通電相であるV相の電圧が、閾値V2-3以上になったときに、通電モード(3)への切り替えタイミングであると判断する。また、通電モード(3)である場合には、非通電相であるU相の電圧が、閾値V3-4以下になったときに、通電モード(4)への切り替えタイミングであると判断する。また、通電モード(4)である場合には、非通電相であるW相の電圧が、閾値V4-5以上になったときに、通電モード(5)への切り替えタイミングであると判断する。また、通電モード(5)である場合には、非通電相であるV相の電圧が、閾値V5-6以下になったときに、通電モード(6)への切り替えタイミングであると判断する。また、通電モード(6)である場合には、非通電相であるU相の電圧が、閾値V6-1以上になったときに、通電モード(1)への切り替えタイミングであると判断する。
一方、ステップS355で、低速センサレス制御の実施条件ではないと判断した場合、換言すれば、モータ回転速度が設定速度よりも高い場合には、ステップS357へ進み、高速センサレス制御によって通電モードの切り替えタイミングを判断する。
一例として、逆起電力圧が零レベル(中性点電位)を横切った時点、即ち、ゼロクロス点から更に30deg回転したと判断した時点を、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する、高速センサレス制御を実施する。詳細には、30degをそのときのモータ回転速度に基づいて時間に換算し、ゼロクロス時点から30degに相当する時間が経過した時点で、次の通電モードへの切り替えタイミングを判定し、ステップS358へ進んで、次の通電モードに切り替える。
ステップS359では、通電モードの切り替え周期に基づき、モータ回転速度(回転数rpm)を演算する。
以上、好ましい実施形態を具体的に説明したが、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、非通電相の電圧の検出タイミングにおけるデューティ比を、基本デューティ比とは異なる値に固定する処理を、誘起電圧のピーク値の絶対値が、通電モードの切り替え判定に用いる閾値の絶対値を下回る可能性がある、モータ回転速度の高い領域で行わせ、当該高回転域よりも回転速度の低い領域では、非通電相の電圧の検出タイミングを含む全制御周期におけるデューティ比を基本デューティ比とすることができる。
また、非通電相の電圧の検出タイミングにおけるデューティ比を、基本デューティ比とは異なる値に固定する場合、電流、電圧、温度に対する起電圧の相関を予め求めておくことで、取得した起電圧からモータの磁石の温度を推定することができる。そして、推定した磁石温度に基づき、モータの減磁(磁束の減少)が発生する温度域であるか否かを判定し、減磁の発生温度域においてモータを停止させるなどの処理を実施することが可能である。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)前記誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比を、一定値に固定する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ操作量相当のデューティ比(基本デューティ比)が変化しても、誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比は、誘起電圧の発生に好適な一定のデューティ比に保持され、誘起電圧に基づく通電モードの切り替えを安定的に行える。
(ロ)前記誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比の変化を制限した分だけ、前記非検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比を補正し、平均的にモータ操作量相当のデューティ比とする、請求項記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、例えば、誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比を、目標回転速度などから決定されるモータ操作量相当のデューティ比よりも低く制限すると、非検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比をモータ操作量相当のデューティ比よりも大きくなるように補正することで、誘起電圧の検出タイミングにおけるデューティ比と非検出タイミングにおけるデューティ比とが、平均的にモータ操作量相当のデューティ比となるようにし、モータのフィードバック制御における収束性を維持する。
(ハ)前記電源電圧が高いほど、前記誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比をより高いデューティ比に変更する、請求項記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、電源電圧が高く、低電圧時に比べて高い誘起電圧が発生する場合には、誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比をより高いデューティ比に変更しても、通電モードの切り替え判定を行える誘起電圧を発生させることができる。これにより、通電モードの切り替え判定を安定的に行わせつつ、誘起電圧の検出タイミングにおけるデューティ比をなるべく高くして、平均的にモータ操作量相当のデューティ比になるべく近いデューティ比を確保できる。
(ニ)前記モータ温度が低いほど、前記誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比をより高いデューティ比に変更する、請求項記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ温度が低く、高温時に比べて高い誘起電圧が発生する場合には、誘起電圧の検出タイミングにおけるパルス電圧のデューティ比をより高いデューティ比に変更しても、通電モードの切り替え判定を行える誘起電圧を発生させることができる。これにより、通電モードの切り替え判定を安定的に行わせつつ、誘起電圧の検出タイミングにおけるデューティ比をなるべく高くして、平均的にモータ操作量相当(例えば目標トルク相当)のデューティ比になるべく近いデューティ比を確保できる。
(ホ)PWM制御のN周期に1回の割合で、前記誘起電圧の検出タイミングを設定すると共に、モータ回転速度が速いほど、前記N周期をより小さい値に変更する、請求項記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータ回転速度の上昇に伴って、通電モードの切り替え周期がより短くなる場合に、誘起電圧の検出タイミングの周期をより短くし、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れによる脱調の発生を抑制する。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御器、215u,215v,215w…巻線、216…永久磁石回転子、217a〜217f…スイッチング素子、251…PWM発生器、252…ゲート信号切替器、253…通電モード決定器、254…比較器、255…電圧閾値切替器、256…電圧閾値学習器、257…非通電相電圧選択器

Claims (4)

  1. ブラシレスモータの複数相のうちでパルス電圧を印加する相を選択する通電モードを、非通電相の誘起電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
    デューティ制御のN(N≧2)周期に1回の割合で前記誘起電圧を検出する構成とし、前記誘起電圧を検出する周期におけるパルス電圧のデューティ比を、前記通電モードの切り替えタイミングの判定における許容最小値を超える誘起電圧を発生する固定デューティ比に設定する、ブラシレスモータの駆動装置。
  2. 前記固定デューティ比と指令デューティ比との差分に基づき前記誘起電圧を検出しない周期におけるパルス電圧のデューティ比を補正し、平均的なデューティ比を前記指令デューティ比とする、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
  3. 電源電圧が低いほど前記固定デューティ比をより小さいデューティ比に変更する、請求項1又は2記載のブラシレスモータの駆動装置。
  4. 前記固定デューティ比を指令デューティ比に応じて変更する、請求項1又は2記載のブラシレスモータの駆動装置。
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