JP3860383B2 - 圧縮機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫などの冷凍システムの圧縮機の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パワーエレクトロニクスの進歩に伴い、あらゆる分野でパワー制御装置が使用されてきている。例えば、冷蔵庫や空気調和機などの冷凍システムの分野において省エネルギー等の目的でその圧縮機をインバータで制御し、可変速運転することにより冷凍能力を負荷状態に合わせて変化させることにより、機器の省エネルギーに大きく貢献している。
【0003】
特にブラシレスモータは、回転子に永久磁石を用いているため、高効率であるという特徴が有り、特に省エネルギーのために近年盛んに使用されるようになってきた。
【0004】
このような背景から圧縮機すなわちモータの駆動装置には様々な制御面での工夫がなされるようになってきた。
【0005】
このような従来のモータの駆動装置としては、たとえば特開平6−327286号公報に示されているとおりである。
【0006】
以下、従来のモータの駆動装置を図13を用いて説明する。図13は従来のモータの駆動装置のブロック図を示す。
【0007】
図13において、直流電源102から120度通電型インバータ101を介してブラシレスモータ103にパワーを供給する。
【0008】
モータの速度Nは速度検出手段109により検出し、通流率発生装置104で速度指令装置107から出力される速度指令NRと比較し誤差がゼロになるように通流率DT0を決定する。補正装置108では通流率DT0に対して電流が尻上がりの傾斜を持つように補正を加え、通流率DTを作成する。
【0009】
変調装置105はインバータのドライブ信号に対して通流率DTで変調を行いパルス幅変調信号PDを出力し、このパルス幅変調信号PDに応じてドライブ回路106でインバータのスイッチング素子T1〜T6を駆動するドライブ信号DVを発生する。
【0010】
インバータ101はドライブ信号DVによりチョッパ動作を行いモータに流れる電流を調整し、モータが指令速度NRで回転するように制御する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構成では、電流に尻上がりの傾斜を持たせるように通流率を調整するものであるため、トルクリップルに起因する振動や騒音は抑制することができる。
【0012】
冷蔵庫などの冷凍システムに使用されている圧縮機などの場合、モータはシェルと呼ばれる密閉容器の中にバネなどで懸架して納められている。そのため、モータ自体のトルクリップルによって振動や騒音が増加するものではない。
【0013】
しかし、ブラシレスモータのモータトルクは電流に比例することからモータトルクは前半は小さく後半へ行くほど大きくなる特性を有する。これは電流のピーク値が大きくなり、出力の電流力率を悪化させる。これによりブラシレスモータの電流が増加し、銅損が増加するため、モータ効率が悪化するという課題を有していた。
【0014】
ここでは、従来例として電流が尻上がりになるように通流率を変化させるような例を示したが、通流率が区間を通して一定となるような変調方法も良く行われる。この場合も積極的には尻上がりには制御しないものの、モータ巻線のインダクタンスの影響により転流初期には電流が流れにくく、やはり転流の後半に電流が増加してくることになるため、前記と同様にモータ効率は悪化する。
【0015】
一方、圧縮機はもともと負荷のトルク変動が大きく、モータのトルク変動では振動や騒音の影響を受けにくいという特性を持っているため、圧縮機に応用する場合はモータのトルク変動の抑制より、モータの効率アップの方が重要な要求性能である。
【0016】
本発明は、ブラシレスモータの電流波形を制御することにより、モータの効率を更に向上させ商品の大幅な省エネルギーを達成することができる圧縮機の駆動装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、回転数の広い運転範囲の全域でモータの高効率化を行うことができる圧縮機の駆動装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、どのような運転状態においてもモータの高効率化を行うことができる圧縮機の運転装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、起動などの運転状態が不安定であるときに安定した動作を提供できる圧縮機の運転装置を提供することを目的とする。
【0020】
また、圧縮機など1回転当たりの負荷変動が非常に大きな負荷に対してより大きなモータの高効率化を行うことができる圧縮機の駆動装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更するキャリア周波数変更手段とを有するものである。
【0022】
これにより、インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間においてブラシレスモータの電流を無負荷誘起電圧の波形と相似な波形とすることにより、モータの有効磁束使用率が向上し、電流波形のピーク値が低くなるため、モータの力率がアップし、モータの電流が減少するため、モータの銅損やインバータ回路損失を削減することができる。また、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更することにより、回転数が高くなり、周期が短くなっても分割区間内に2以上のPWM制御のパルスを入れることができるので、回転数の広い運転範囲の全域でモータの高効率化をすることができる。
【0027】
また、ブラシレスモータの回転数が安定してない時前記デューティ補正を行わずかつ回転数が安定した時前記デューティ補正を行う回転数安定判定手段を有するものである。
【0028】
これにより、モータの動作が起動時や回転数変更時などの動作が不安定な時はデューティの制御が安定するように従来通り等幅なデューティで制御し、運転期間のほとんどを占める回転数が安定した時にはモータが高効率になるように制御することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ブラシレスモータを駆動するインバータと、前記ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の信号より前記ブラシレスモータの3相の固定子巻線のうち特定の2相を通電し順次切り替えることによって前記インバータを駆動させるインバータ制御手段と、前記インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更するキャリア周波数変更手段とからなる圧縮機の制御装置としたものであり、ブラシレスモータの電流を無負荷誘起電圧の波形と相似な波形とすることにより、モータの有効磁束使用率が向上し、電流波形のピーク値が低くなるため、モータの力率がアップし、モータの電流が減少するため、モータの銅損やインバータ回路損失を削減することができるという作用を有する。また、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更することにより、回転数が高くなり、周期が短くなっても分割区間内に2以上のPWM制御のパルスを入れることができるので、回転数の広い運転範囲の全域でモータの高効率化をすることができるという作用を有する。
【0034】
請求項2に記載の発明は、インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、前記ブラシレスモータの回転数が安定してない時前記デューティ補正を行わずかつ回転数が安定した時前記デューティ補正を行う回転数安定判定手段とからなる圧縮機の制御装置とするものであり、モータの動作が起動時や回転数変更時などの動作が不安定な時はデューティの制御が安定するように従来通り等幅なデューティで制御し、運転期間のほとんどを占める回転数が安定した時にはモータが高効率になるようにモータ電流を制御することができるという作用を有する。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6を用いて説明する。
【0037】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置のブロック図である。
【0038】
図2において、1は商用電源であり、日本の一般家庭の場合、100V50Hzまたは60Hzが一般的に使用されている。
【0039】
2はコンバータであり、商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換する。
【0040】
コンバータ2は4個の整流ダイオード2a〜2dをブリッジ接続して、商用電源1の整流を行う。また電解コンデンサ2eの正端子はブリッジ接続された整流ダイオード2aと整流ダイオード2cとの接続点に接続し、電解コンデンサ2fの負端子はブリッジ接続された整流ダイオード2bと整流ダイオード2dとの接続点に接続している。
【0041】
また、電解コンデンサ2eの負端子と電解コンデンサ2fの正端子とを直接接続している。リレー2gは、整流ダイオード2cと整流ダイオード2dとの接続点と、電解コンデンサ2eと電解コンデンサ2fとの接続点との間をONまたはOFFできる様に接続している。
【0042】
3はインバータであり、コンバータ2で整流された直流電圧出力を入力として任意周波数、任意電圧の三相交流に変換する。
【0043】
インバータ3はIGBT3a〜3fを各々三相ブリッジ接続しており、また各々のIGBT3a〜3fには並列に高速ダイオードが接続されている(図示せず)。高速ダイオードはIGBT3a〜3fがオフしたときの環流電流を流す働きをする。
【0044】
4は電流検知抵抗であり、インバータ3の直流電圧の負端子側に挿入している。この電流検出抵抗4の両端には電流に比例した電圧が発生する。
【0045】
5はブラシレスモータで、インバータ3の三相交流出力で駆動される。ブラシレスモータはローターにマグネットを持っており、このマグネットトルクをうまく利用することにより高効率化が可能である。このモータ5はインバータ3の出力周波数に応じた回転数で回転する。
【0046】
6は圧縮要素であり、ブラシレスモータ5の回転運動をクランク機構(図示せず)を用いて往復運動に変換し、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復することにより、冷媒ガスを圧縮する。
【0047】
7は圧縮機であり、ブラシレスモータ5と圧縮要素6とを支持要素8で懸架して密閉容器9に納められている。一般的には支持要素6としてバネが使用されている。
【0048】
10は位置検出手段であり、ブラシレスモータ5のローターの回転位置を相対的に検出するために、モータの誘起電圧から回転位置を検出する。
【0049】
11はインバータ制御手段であり、マイコンなどを使用しており、位置検出手段10の位置検出結果に基づきインバータ3のIGBT3a〜3fを駆動するための波形を生成したり、インバータ22の異常動作を検出して、保護動作などを行う。
【0050】
また、インバータ制御手段11はリレー2gのON/OFFを制御し、コンバータ2の出力電圧を調整する。リレー2gがOFFの時はコンバータ2の回路は全波整流回路となり出力は約140V得られる。また、リレー2gがONの時はコンバータ2の回路は倍電圧整流回路となり出力は約280V得られる。
【0051】
12は電流制御手段であり、インバータ3への駆動信号のPWM制御のデューティを調整することによりブラシレスモータ5の電流波形を制御する。ここでPWM制御とはパルス幅変調制御のことを意味し、モータの駆動周波数に対して十分大きな周波数であるキャリア周波数を選定する。一般的にはキャリア周波数は2kHz〜20kHz程度が使用される。
【0052】
このキャリア周波数の中でデューティを調整することにより、出力の電圧を変化させることができる。ここで、デューティとはオン時間とキャリア周期の比を示し、デューティが大きいほど出力の電圧は高くなる。
【0053】
13は電流検出手段であり、電流検出抵抗4の両端の電圧を検出し、そこから現在の負荷トルクを知ることができる。これはブラシレスモータ5に流れるモータ電流は負荷トルクに比例するという特性を利用したものである。
【0054】
14は電圧検出手段であり、コンバータ2の出力電圧を検出する。ここでは商用電源1での電圧変動やリレー2gによる整流方式の切替による電圧の変化を検出する。
【0055】
15は冷凍システム制御手段15であり、この冷凍システム制御手段15で圧縮機7を含む冷凍システム全体の制御を行い、コンプレッサの回転数も決定し、インバータ制御手段11に指令を行う。この回転数の指令は例えばシリアル通信などを使用して行う。
【0056】
16は急凍スイッチで、冷凍システムのユーザー側に取り付けられ、ユーザーが急速に冷凍したい物を投入したときにスイッチを押す。すると冷凍システム制御手段15はコンプレッサの回転数を高回転数とし、インバータ制御手段11に指令する。
【0057】
17は温度入力手段で、冷凍システムの庫内温度(例えば、冷蔵庫の場合は、冷凍室の温度)を検出する。冷凍システム制御手段15はこの温度入力手段17の出力を基に、コンプレッサの回転数を決定し、インバータ制御手段11に指令信号を送る。
【0058】
18は負荷駆動手段であり、冷凍システム制御手段15によって駆動され、ファンモータや霜取りヒータ(図示せず)などを駆動する。
【0059】
図1のように構成された圧縮機の制御装置についてその動作を説明する。
【0060】
圧縮機7で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは凝縮器(図示せず)で放熱、液化し、減圧器(図示せず)で減圧され、蒸発器(図示せず)で蒸発(気化)する。この時、周囲の空気から熱を奪い、空気を冷却する。この冷却された空気をファンなどで攪拌することにより庫内を冷却する。
【0061】
この庫内の温度を温度入力手段17を用いて検出する。また、温度入力手段17はこれ以外にも外気温度など冷凍システムの制御に必要な温度を検出してくる。
【0062】
冷凍システム制御手段15ではこの温度入力手段17からの温度情報を元に最適な状態で冷凍システムの圧縮機7が運転できる様に制御を行う。一般的には庫内温度が低いほど圧縮機7のブラシレスモータ5の回転数を低下させ冷凍能力を低くして運転する。また、外気温度が低いほど圧縮機7のブラシレスモータ5の回転数を低下させ冷凍能力を低くして運転する。
【0063】
また、冷凍システム使用者の意志で急速な冷凍を希望する場合、急凍スイッチ16を操作することにより、圧縮機7のブラシレスモータ5の回転数を高速にして冷凍能力を高くして運転する。これを一定時間、または再度急凍スイッチ16が操作される(状態の強制解除)まで高速運転を継続する。これにより、庫内に置かれた被冷却物が急速に冷却されることになる。
【0064】
冷凍システム制御手段15が決定した回転数をインバータ制御手段11に指令回転数として送る。インバータ制御手段11ではブラシレスモータ5の回転数がこの指令回転数になるように出力電圧を調整する。この出力電圧の調整は一般的にはPWM制御のデューティを変えることによって行われる。
【0065】
ブラシレスモータ5はモータの回転とインバータの出力が完全に一致する必要が有り、その役割を位置検出手段10が行う。ブラシレスモータ5の巻線の誘起電圧を検出し、そのロータ(図示せず)の回転位置の相対位置を検出し、その信号に従ってインバータ3の最適なIGBTをオンさせる。
【0066】
ブラシレスモータの駆動においては、3相巻線のうち2相に電流を流すことによって駆動する。すなわち位置検出手段10の信号によって、インバータ3の駆動する2相を決定し、その後位置検出手段10の信号の変化に合わせて駆動する相を順次切り替えていく。この駆動する相が変化してから次の変化を行うまでを2相通電区間と呼ぶ。
【0067】
また、インバータ制御手段11は、ブラシレスモータ5を高回転数で運転する時は、リレー2gをオンさせる。これによりコンバータ2は倍電圧整流の回路となり、コンバータ2の出力電圧は高くなる。また、ブラシレスモータ5を低回転数で運転する時は、リレー2gをオフさせる。これによりコンバータ2は全波整流の回路となり、コンバータ2の出力電圧は低くなる。このように回転数によりコンバータ2の出力電圧を変えることにより、ブラシレスモータ5の効率の高い状態で使用できる様になる。
【0068】
次に図1における電流制御手段12について図1及び図2を用いて説明する。
【0069】
図2は本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置の電流制御手段12のブロック図を示す。
【0070】
図2において、20は転流手段である。位置検出手段10の出力からインバータ3の駆動するIGBTを選択する。
【0071】
21は速度検出手段である。位置検出手段10の出力からブラシレスモータ5の回転数を検出する。ブラシレスモータは同期式モータであり滑りは発生しないので、モータの回転数N〔r/s〕はインバータの出力周波数F〔Hz〕、ブラシレスモータ5の極数をPとすると、次式で表される。
【0072】
【数1】
【0073】
22はタイマ手段であり、速度検出手段21で検出したモータの回転数から得られる時間をベースにタイマ時間を設定する。そのタイマ時間Ttは次式で表される。ここで、nは1回の切替区間(60度)内における分割数を示す。
【0074】
【数2】
【0075】
タイマ手段22のスタートのタイミングは転流手段20の切り替えるタイミング(60度の通電区間、すなわち2相通電区間の始まり)でスタートする。既にタイマが動作している場合には、再スタートする。このタイマ時間が終了すると、各分割区間のタイミングを発生することができる。本実施例では説明の簡素化のため、n=3(分割区間20度)として以降説明をしていく。
【0076】
23は区間判定手段であり、タイマ手段22の出力により分割区間を判定する。すなわち現時点は、分割区間の0度から20度、20度から40度、40度から60度のどの分割区間かを判定する。以降説明の簡素化のため以上の分割区間をそれぞれ分割区間A、分割区間B、分割区間Cとする。
【0077】
24はデューティ補正手段であり、区間判定手段23で判定された分割区間を基にデューティを補正するデータを選択する。例えば分割区間Aでは補正量+10%、分割区間Bでは補正量+5%、分割区間Cでは補正量0%をそれぞれ選択する。
【0078】
25はデューティ設定手段であり、速度検出手段21の出力(実回転数)と指令回転数とを比較し両者が一致する様にデューティを設定する。例えば、指令回転数<実回転数の場合、デューティを小さくする。逆に、指令回転数>実回転数の場合、デューティを大きくする。また指令回転数=実回転数の場合はデューティを維持する。この調整されたデューティから更にデューティ補正手段24で決められた補正量を補正したデューティ量を出力する。
【0079】
26はデューティ発生手段であり、デューティ設定手段25で設定されたデューティに従ってパルス信号を発生する。
【0080】
27は合成手段であり、転流手段20で作られた転流信号とデューティ発生手段26で作られたパルス信号とを合成して、インバータ3のIGBT3a〜3fのドライブ信号を出力する。
【0081】
28は状態検出手段であり、電流検出手段13で検出した電流の状態、電圧検出手段14で検出した直流電圧の状態、温度入力手段17で検出した庫内温度や外気温度などの状態、速度検出手段21からの実回転数の状態を検出し、必要なデューティ補正値の演算を行い、デューティ補正手段にその結果を出力し、出力デューティの補正をおこなう。
【0082】
29はキャリア周波数変更手段であり、冷凍システム制御手段15から送られてくる設定回転数、または速度検出手段21で検出された実回転数により、最適なキャリア周波数を選択し、デューティ発生手段26に指令を出し、PWM制御のパルスのキャリア周波数を変更する。
【0083】
次に、デューティの補正の動作について図1から図3を用いて説明する。
【0084】
図3は本発明の実施の形態1のデューティ補正の動作を示す流れ図である。
【0085】
S1で位置信号の変化の有無を判定する。位置検出手段10の位置信号の変化を判定している。位置信号の変化があればS2へ進み、変化がなければS5へ進む。
【0086】
S1で信号変化が発生したので、まずS2で出力の切り替えを転流手段20で行う。この切り替えはロータの回転位置に従ってモータが最も効率の高いタイミングで行うものである。
【0087】
次に、S3でタイマ手段22にタイマ時間をセットする。ここでのタイマ時間は前述した様に回転数で変化し、転流手段20が出力を切り替える、言い換えれば位置検出手段10の位置信号が変化するまでの2相通電区間である電気角60度の間を複数の分割区間に分けるタイマ時間を指す。本実施例は3分割するものとして説明を行っているので、電気角20度に相当する時間をタイマ時間としている。
【0088】
S4ではタイマをリスタートする。ここでは前回のタイマ時間が残っている場合などについても一旦そのタイマをクリアし、新たにセットされたタイマ時間で再スタートを行う。
【0089】
S5ではタイマ手段22のタイムアップを確認する。タイムアップしていなければS5を継続し、タイムアップしていればS6に進む。
【0090】
S6はタイムアップした後、現在はどの分割区間にいるかを区間判定手段23で判定する。これはカウンタなどを用い位置信号変化後何回目のタイムアップかによって分割区間を判定できる。もし、規定回数以上のタイムアップがあった場合には無視することも可能である。このようにすることによって誤動作の防止をすることができる。
【0091】
S6で判定された分割区間に対し、S7ではデューティ補正手段24で決められたデューティ補正値をデューティ設定手段25に送ることにより、デューティの変更及び実際のパルス出力を行う。次にS8でタイマ手段22をリスタートする。
【0092】
このように動作させることにより、出力の転流が切り替わる間の電流を決められた分割区間毎に制御することができる。
【0093】
次に、デューティの補正を行ってどのようにブラシレスモータ5を制御するのかについて説明する。
【0094】
図4は本発明の実施の形態1のブラシレスモータ5の無負荷誘起電圧波形のタイミング図である。
【0095】
図4において縦軸は誘起電圧の電圧値を示し、横軸は時間を示す。通常の停止状態ではこの波形は観測できないが、ロータを外部から直接回すことによってこの波形が観測できる。もちろんこの時インバータからの電圧は一切印加していないものとする。また、これらの電圧波形はスター結線された中性点と各相の端子との波形を示している。
【0096】
実線はU相の端子の無負荷誘起電圧波形、破線はV相の端子の無負荷誘起電圧波形、一点鎖線はW相の端子の無負荷誘起電圧波形を示す。各波形はピーク値付近でその電圧はほぼ平坦な波形となっており、かつ120度づつ位相がずれた波形をしている。また、その周期Tは回転数とモータの極数によって決まり、周期Tが小さくなればなるほど無負荷誘起電圧は大きくなる。
【0097】
この無負荷誘起電圧の平坦な部分で電圧を印加して、なおかつモータ電流をこの無負荷誘起電圧波形と同じ波形にすると、ブラシレスモータは最もトルクを発生し易く、かつ力率も向上するので最も効率の高い運転とすることができる。
【0098】
しかし、実際にはモータ巻線のインダクタンス成分や抵抗成分により電流波形は一次遅れとなり、立ち上がり時に電流が増加しにくく、後半へ行くほど電流が増加してトルクを多く発生させるという動作を行うため、この無負荷誘起電圧波形と同一波形の電流を流すことは困難となる。本発明においては電流制御手段12を設けることにより、モータ電流波形を制御し、無負荷誘起電圧の電圧波形と同一のモータ電流波形とするようにしている。
【0099】
次に図1から図4の様に構成された圧縮機の制御装置についてその動作を全体的に説明する。
【0100】
図5は本発明の実施の形態1の圧縮機のタイミング図である。
【0101】
図5において、A)からC)は各々位置信号X、位置信号Y、位置信号Zを示す。これはブラシレスモータ5の誘起電圧から位置検出手段10で検出された位置信号を示す。
【0102】
D)からI)は各々ドライブ信号U、ドライブ信号/U、ドライブ信号V、ドライブ信号/V、ドライブ信号W、ドライブ信号/Wを示す。ここで/のついていないものは上アーム、/のついているものは下アームのIGBTのドライブ信号を示す。但し、ここでPWM制御のパルスは省略しているが、上アームまたは下アームのいずれかに合成することにより電圧制御が可能となる。
【0103】
ここで位置信号X、Y、Zとドライブ信号U、/U、V、/V、W、/Wとは単純な論理回路で発生しており各波形のタイミングは一致している。
【0104】
J)はデューティを示しており、破線は従来の圧縮機の制御装置によるデューティを、実線は本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置によるデューティを示す。
【0105】
K)はモータ電流波形を示しており、破線は従来の圧縮機の制御装置によるモータ電流波形を、実線は本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置によるモータ電流波形を示す。
【0106】
圧縮機の制御装置によるデューティは図5のJ)に破線で示している様に常に一定のデューティを印加していたため、電流波形は図5のK)に破線で示している様に尻上がりの電流波形となる。すなわちモータのインダクタンス成分により切り替え初期は電流が流れにくく後半で電流を流すことにより全体的なトルクを出している。
【0107】
しかしながら、このような電流波形では電流ピーク値が上がり、力率が低下するので、電流が大きくなりモータの銅損が増加するためにモータの効率が低下することとなる。
【0108】
そこで、本発明の実施の形態1における圧縮機の制御装置においては、モータ電流をU相からV相に流す状態の区間、すなわち時刻t1からt4の期間が2相通電区間である。この2相通電区間をさらに3つの分割区間t1からt2、t2からt3、t3からt4に分割する。その各分割区間でデューティをJ)に示すように段階的に補正を行う。以降の2相通電区間についても動作は同様であるので説明は省略する。
【0109】
このように、デューティは図5のJ)に実線で示している様に2相通電区間の60度を更に3分割し、20度毎の各分割区間でデューティが大きい状態から、小さい状態になる様に印加している。もちろんこの時にデューティの平均値は従来と同等になるのはいうまでもない。
【0110】
このようにすることにより、電流波形は図5のK)に実線で示している様に前半に電圧(デューティ)が高く電流の立ち上がりが早くなり、後半では電圧(デューティ)を低くするために電流の増加を防止している。
【0111】
これにより図4に示した無負荷誘起電圧波形と同一の平坦な電流波形を得ることができる。これによりモータのトルクを有効に発生することができると共に、電流のピーク値を抑えることができるので、力率が向上し、電流が減少し、モータの銅損が減少することによりモータの効率をあげることができる。
【0112】
次にデューティの補正量について図6から図9を用いて更に詳しく説明する。
【0113】
図6は本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置のデューティ補正の流れ図である。
【0114】
図6において、S10からデューティ補正をスタートする。S11で位置信号変化を検出する。S11で検出した位置信号をもとにS12で回転数を検出する。これは例えば一定時間内の位置信号の変化の回数をカウントするか、位置信号の変化するまでの時間を計測するか等の方法により検出できる。
【0115】
S13では、S12で検出した回転数データに基づいてPWM制御のパルスのキャリア周波数を決定する。ここでこの両者の関係について更に詳しく説明する。
【0116】
PWM制御を行いたい時、その所定の分割区間においては少なくとも2パルス以上のパルスが必要である。それより少なくなると十分なPWM制御ができないことになる。また、PWM制御のキャリア周波数を上げるとモータの効率が上がるが、スイッチングロスの増加によりインバータ効率が下がるので、トータルの効率が最も高くなるポイントが有る。これは設計により変化するが一般的には数kHz程度のキャリア周波数が最適値となることが多い。
【0117】
本発明の実施の形態1における圧縮機の制御装置においては、分割された分割区間は電気角20度の分割区間であり、この間に2パルス以上のパルスが入る様にキャリア周波数を決定する。
【0118】
例えば、4極モータの場合、回転数が41r/s以下ではキャリア周波数3kHz、回転数がそれよりも大きく69r/s以下ではキャリア周波数5kHz、回転数がそれよりも大きいときは7kHzという様に、キャリア周波数の切り替えを行う。キャリア周波数7kHzでは回転数97r/sまで制御可能である。それ以上の回転数が必要な場合にはもっとキャリア周波数をあげればよい。
【0119】
このようにキャリア周波数を回転数で切り替えることにより、最も効率が高くなる様な運転が可能となる。
【0120】
S14では電気角60度の時間を演算する。これは回転数から容易に演算することができる。次に3分割された電気角20度の分割区間の時間を演算し記憶する。これも電気角60度の時間から容易に演算できる。
【0121】
S16では、S15で演算された結果をタイマ手段22に設定する。S17では所定の分割区間に予め設定されているデューティ補正値を読み出してくる。これは回転数毎に最適な値が設定されている。
【0122】
そのデューティ補正値を、S18では電圧検出手段14により検出された直流電圧により更に補正を行い、S19では電流検出手段13で検出された直流電流により更に補正を行い、S20では温度入力手段17で検出された温度により更に補正を行うことにより、S21でデューティ補正値の決定を行う。このデューティ補正値で制御を行うこととなる。
【0123】
次にこのデューティの状態による補正について更に詳しく説明を行う。
【0124】
図7は本発明における直流電圧による最適デューティ補正量を示す相関図を示す。図7に示す様に直流電圧が低下すると最適デューティ補正量が増加する傾向にある。従って直流電圧は低下するとデューティの補正量を大きくする様に補正を行うとより最適な運転ができることになる。
【0125】
図8は本発明における回転数による最適デューティ補正量を示す相関図を示す。図8に示す様に回転数が低下すると最適デューティ補正量が減少する傾向にある。従ってS17によって読み出されるデューティ補正値はこのデータに基づいて設定されている。
【0126】
図9は本発明における負荷量による最適デューティ補正量を示す相関図を示す。図9に示す様に負荷量が低下すると最適デューティ補正量が増加する傾向にある。従って直流電圧は低下するとデューティの補正量を大きくする様に補正を行うとより最適な運転ができることになる。ここでいう負荷量は電流や温度によって決定することができ、電流が大きければ負荷が大きくなる。また、温度の場合は庫内温度または外気温度が高い方が負荷が大きくなる。
【0127】
以上説明した通り、本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置はつぎのような効果がある。
【0128】
ブラシレスモータ5を駆動するインバータ3と、ブラシレスモータ5の回転子の回転位置を検出する位置検出手段10と、位置検出手段10の信号よりブラシレスモータ5の3相の固定子巻線のうち特定の2相を通電し順次切り替えることによってインバータ3を駆動させるインバータ制御手段11と、インバータ3の2相通電区間内で電流がブラシレスモータ5の無負荷誘起電圧の波形と相似な波形となるように電流を制御する電流制御手段12とからなる圧縮機の制御装置とすることにより、ブラシレスモータの電流を無負荷誘起電圧の波形と相似な波形とすることにより、モータの有効磁束使用率が向上し、電流波形のピーク値が低くなるため、モータの力率がアップし、モータの電流が減少し、モータの効率を更に向上させ商品の大幅な省エネルギーを達成することができる。
【0129】
また、インバータ3の2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段24と、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更するキャリア周波数変更手段29とからなる圧縮機の制御装置とすることにより、回転数が上がり分割区間の周期が短くなってもその分割区間内に常に2以上のPWMのパルスが入るようにキャリア周波数を変更することができ、回転数の広い運転範囲の全域でモータの高効率化を行うことができる。
【0130】
また、インバータ3の2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段24と、インバータ3の状態を検出しデューティ補正手段24で設定されたデューティを更に変化させる状態検出手段28とからなる圧縮機の制御装置とすることにより、直流電圧やモータの電流、温度条件などにより、周囲の負荷状況が変化しても常に最大の効果が確保できる様にモータ電流を制御することができ、どのような運転状態においてもモータの高効率化を行うことができる。
【0131】
実施の形態1における説明において、位置検出手段10はブラシレスモータ5の誘起電圧を検出してロータの相対位置を検出する様にしたが、ホール素子など位置検出素子を使ったものや電流から位置を推定する方法でもよい。
【0132】
また、コンバータ2はリレー2gを使用して整流方法を切り替えて直流電圧を切り替える様にしたが、チョッパなどを使って電圧を任意に変化させてもよい。
【0133】
また、電圧検出手段は直流電圧を検出するようにしたが、入力電圧を検出してもよいことはいうまでもない。
【0134】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2の圧縮機の制御装置の電流制御手段12のブロック図である。図2と同一機能を有するものは同一番号を付与し、詳しい説明は省略する。
【0135】
図10において、40は回転数安定判定手段である。位置検出手段10の位置検出信号から回転数を検出し、指令回転数に対して安定していればデューティ補正を行う信号を送出し、安定していなければデューティ補正を行わない信号を送出する。
【0136】
41はAND手段であり、回転数安定判定手段40で回転数が安定していると判断されるとデューティ補正手段24の出力信号をデューティ設定手段25に送る。逆に回転数が安定しない時はデューティ補正手段24の出力信号をデューティ設定手段25に送らない。
【0137】
42はデューティ変更手段であり、回転数安定判定手段40で回転数が非安定状態から安定状態に状態が変化する時、すなわちデューティが補正されない状態から補正される状態に変化する時、強制的に基となるデューティ(これまでの回転数制御を行ってきたデューティ、以降このデューティを基底デューティと呼ぶ)を変更する。このときデューティの平均値が変化の前後で一致する様にデューティの変更を行う。
【0138】
43は回転数位置検出手段である。位置検出手段10の位置検出信号から機械的な回転位置を検出する。これはブラシレスモータは同期式で駆動されていることから検出できる。例えばモータが2極の時は電気角と機械角が一致し、4極の時は電気角の2周期と機械角が一致し、6極の時は電気角の3周期と機械角が一致する。従って電気角が判ることによって機械角の検出が可能となる。
【0139】
44はデューティ補正量変更手段であり、回転位置検出手段43で検出された位置に対してデューティ補正量を変更する。具体的には機械角1周期前の回転数、電圧、電流、温度などのデータを基に最適なデューティ補正量に変更する。
【0140】
45はタイマ時間決定手段であり、回転位置検出手段43で検出された位置に対してタイマ手段22に設定するタイマ時間を変更する。具体的には機械角1周期前の切替周期を基にその周期の1/3の時間(電気角20度分の時間)を設定する。
【0141】
以上の様に構成された圧縮機の制御装置の電流制御手段12の動作について図10及び図11を用いて詳しく説明する。
【0142】
図11は本発明の実施の形態2のデューティ補正の動作を示す流れ図である。
【0143】
S30で、回転数安定判定手段40で実回転数が指令回転数に対して安定しているかどうかを判定する。安定していればS31でデューティ補正手段24によるデューティ補正を実施し、S36に進む。S30で安定していない判定であればS32に進む。
【0144】
S32で、デューティ補正手段24によるデューティ補正はAND手段41で信号の流れを停止し、実施しない。すなわち回転数が安定している時にのみ、デューティ補正を実施することにより、起動時や回転数変化など動作が不安定な時は従来通りの制御をすることにより制御の安定性を確保する。
【0145】
S33で、再度回転数安定判定手段40で実回転数が指令回転数に対して安定しているかどうかを判定する。安定していなければS32から繰り返す。安定していればS34に進む。
【0146】
S34で、デューティ補正をスタートすると共に、S35でそれまでの基底デューティを変更し、S36に進む。例えばデューティ補正を20度の分割区間毎に+10%、+5%、+0%と変化させる場合、そのままこのデューティに補正を加えると平均デューティはそれまでの基底デューティの+5%のデューティとなる。
【0147】
デューティが急激に変化すると回転数が急激に変化する。これを防ぐためにデューティ補正がスタートすると同時に基底デューティを−5%に変更する事により、この回転数の急激な変化を防止する。
【0148】
S36で、回転位置検出手段43で回転位置を検出する。この回転位置は前述した様に機械的な回転位置であり機械角で表される。
【0149】
S37で、機械角1周期前の回転数、電圧、電流、温度などのデータを基に最適なデューティ補正量を決定すると共に、デューティ補正手段24に設定する。
【0150】
次にS38で、機械角1周期前の切替周期を基にその周期の1/3の時間(電気角20度分の時間)をタイマ手段22に設定する。
【0151】
圧縮機のように1回転当たりの負荷のトルク変動が非常に大きく、またその変化が周期的に起こる様な場合には、このように1周期前のデータを基に制御をすることが有効な手段のひとつである。
【0152】
この具体的な動作について、次に図12を用いて説明する。
【0153】
図12は本発明の実施の形態2の圧縮機の制御装置のタイミング図である。
【0154】
図12において、L)からN)は各々位置信号X、位置信号Y、位置信号Zを示す。これはブラシレスモータ5の誘起電圧から位置検出手段10で検出された位置信号を示す。
【0155】
O)からT)は各々ドライブ信号U、ドライブ信号/U、ドライブ信号V、ドライブ信号/V、ドライブ信号W、ドライブ信号/Wを示す。ここで/のついていないものは上アーム、/のついているものは下アームのIGBTのドライブ信号を示す。但し、ここでPWM制御のパルスは省略しているが、上アームまたは下アームのいずれかに合成することにより電圧制御が可能となる。
【0156】
ここで位置信号X、Y、Zとドライブ信号U、/U、V、/V、W、/Wとは単純な論理回路で発生しており各波形のタイミングは一致している。
【0157】
U)はトルクを示しており、実線は圧縮機の圧縮要素による負荷トルクを示しており、破線はモータトルクを示す。圧縮要素は往復動式圧縮要素であり一往復で吸入/圧縮を繰り返す構造であり、吸入時にはほとんど負荷トルクは必要無く、圧縮時に大きな負荷トルクが必要である。
【0158】
一方、モータトルクは負荷トルクと回転体の慣性モーメントによって変化し、急激なトルク変化をおこす負荷トルクに対応して、ゆっくりとした変化を示す。この時、モータトルクが負荷トルクより大きい時は回転は加速方向であり、モータトルクが負荷トルクより小さい時は回転は減速方向である。すなわち1回転当たりの回転数変動がV)に示す様に起こっていることとなる。
【0159】
このモータトルク変動、回転数変動は負荷トルクが大きい方が大きく、また回転数が低い方が大きい。これは回転数が低いと慣性モーメントが小さくなるためである。また、負荷トルクの変動は回転位置(機械角で示す)により決まっており、機械角は電気角を知る事により判ることができる。
【0160】
機械角360度の区間において2相通電区間での時間を各々T0からT11とする。このT0からT11は等幅ではなくV)の回転速度と同じく周期的に変動している。
【0161】
この各区間において、回転数や電圧、電流など負荷の状態を検出し、各々の区間に最適なデューティ補正量を決定する。そのデューティ補正量を次の機械角の同じ位置で使用する。すなわちT0での結果はT11の次の2相通電区間で使用し、順次前回の機械角が同等のデータを使用し、各2相通電区間毎にデューティ補正量を変更していく。
【0162】
また、同様にタイマ手段22にセットするタイマ時間も前回の同じ機械角での2相通電区間の時間をベースとして設定する。
【0163】
こうする事により、負荷変動が大きく、周期的に変化する場合にも最適なデューティ補正ができ効率が向上することとなる。
【0164】
以上説明した通り、本発明の実施の形態2の圧縮機の制御装置はつぎのような効果がある。
【0165】
ブラシレスモータ5の回転数が安定してない時前記デューティ補正を行わずかつ回転数が安定した時前記デューティ補正を行う回転数安定判定手段40を設ける事により、モータの動作が起動時や回転数変更時などの動作が不安定な時はデューティの制御が安定するように従来通り等幅なデューティで制御し、運転期間のほとんどを占める回転数が安定した時にはモータが高効率になるようにモータ電流を制御することができ、モータを高効率化することができる。
【0166】
また、位置検出手段10からの信号によりロータの機械的な回転位置を検出する回転位置検出手段43と、回転位置検出手段43によりデューティ補正値を変更するようにしたデューティ補正量変更手段44とを設けることにより、圧縮機などのように負荷変動の大きく、かつその負荷変動が周期的なものに対してもモータの効率を最大限あげることができる。
【0167】
なお、実施例では回転数の変動を防止するためにデューティ補正を行う際、基底デューティを変更するようにしたが、デューティ補正自体をゆっくり変化させる方法を用いても良い。
【0168】
【発明の効果】
以上の様に、本発明の圧縮機の制御装置は、ブラシレスモータを駆動するインバータと、前記ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の信号より前記ブラシレスモータの3相の固定子巻線のうち特定の2相を通電し順次切り替えることによって前記インバータを駆動させるインバータ制御手段と、前記インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更するキャリア周波数変更手段とからなる圧縮機の制御装置としたものであり、ブラシレスモータの電流を無負荷誘起電圧の波形と相似な波形とすることにより、モータの有効磁束使用率が向上し、電流波形のピーク値が低くなるため、モータの力率がアップし、モータの電流が減少するのでモータの銅損やインバータの回路損失が低減でき、高効率化となる。また、回転数が上がり分割区間の周期が短くなってもその分割区間内に常に2以上のPWMのパルスが入るようにキャリア周波数を変更することができるので、本発明のデューティ補正が広い運転範囲で可能となり、広い運転範囲で高効率化を実現することができる。
【0171】
また、インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、前記ブラシレスモータの回転数が安定してない時前記デューティ補正を行わずかつ回転数が安定した時前記デューティ補正を行う回転数安定判定手段とからなる圧縮機の制御装置とするものであり、モータの動作が起動時や回転数変更時などの動作が不安定な時はデューティの制御が安定するように従来通り等幅なデューティで制御し、運転期間のほとんどを占める回転数が安定した時にはモータが高効率になるようにモータ電流を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置の電流制御手段12のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1のデューティ補正の動作を示す流れ図
【図4】本発明の実施の形態1のブラシレスモータ5の無負荷誘起電圧波形のタイミング図
【図5】本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置のタイミング図
【図6】本発明の実施の形態1の圧縮機の制御装置のデューティ補正の流れ図
【図7】本発明における直流電圧による最適デューティ補正量を示す相関図
【図8】本発明における回転数による最適デューティ補正量を示す相関図
【図9】本発明における負荷量による最適デューティ補正量を示す相関図
【図10】本発明の実施の形態2の圧縮機の制御装置の電流制御手段12のブロック図
【図11】本発明の実施の形態2のデューティ補正の動作を示す流れ図
【図12】本発明の実施の形態2の圧縮機の制御装置のタイミング図
【図13】従来のモータ駆動装置のブロック図
【符号の説明】
3 インバータ
5 ブラシレスモータ
6 圧縮要素
7 圧縮機
Claims (2)
- 圧縮要素と、この圧縮要素を動かす3相の固定子巻線を持つブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを駆動するインバータと、前記ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の信号より前記ブラシレスモータの3相の固定子巻線のうち特定の2相を通電し順次切り替えることによって前記インバータを駆動させるインバータ制御手段と、前記インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、回転速度の指令値または実際の回転速度に応じて前記分割区間内に少なくとも2以上のPWM制御のパルスが入るようにキャリア周波数を変更するキャリア周波数変更手段とからなる圧縮機の制御装置。
- 圧縮要素と、この圧縮要素を動かす3相の固定子巻線を持つブラシレスモータと、前記ブラシレスモータを駆動するインバータと、前記ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の信号より前記ブラシレスモータの3相の固定子巻線のうち特定の2相を通電し順次切り替えることによって前記インバータを駆動させるインバータ制御手段と、前記インバータの2相通電区間を2以上の複数の分割区間に分割し、分割された各々の分割区間において電流波形が前記ブラシレスモータの無負荷誘起電圧波形と相似な波形となるようにPWM制御のデューティを変化させるようにしたデューティ補正手段と、前記ブラシレスモータの回転数が安定してない時前記デューティ補正を行わずかつ回転数が安定した時前記デューティ補正を行う回転数安定判定手段とからなる圧縮機の制御装置。
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