JP2019092353A - モータ駆動装置およびにこれを用いた冷蔵庫 - Google Patents

モータ駆動装置およびにこれを用いた冷蔵庫 Download PDF

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義典 竹岡
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Abstract

【課題】同期PWM制御を行うには高価なセンサや複雑な計算を可能にする高価な演算部が必要であり、また、圧縮機などの高温高圧のガスで密閉された空間では使用ができなかった。【解決手段】第一のPWM生成部10がPWM制御する周波数をブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積の整数倍としたことにより、誘起電圧ゼロクロスの検出タイミングで確実にオンすることができ、安価なコンパレータや低速なA/D変換であっても容易にゼロクロスを検出でき、低コストで駆動を実現することができる。また、センサレスのため、センサの配置が困難な高温高圧の密閉空間においても駆動が可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、ブラシレスDCモータを駆動するモータ駆動装置およびこれを用いた冷蔵庫に関する。
従来、この種のモータ駆動装置では、モータをPWM制御で駆動している。PWMのオン幅によってモータへの印加電圧を制御することになるため、現在の速度が低いほどPWMオン比率は低く、速度が高いほどPWMオン比率は高くなる。また、負荷に関しても同様に、負荷が軽いほどPWMオン比率は低く、負荷が重いほどPWMオン比率は高くなる。
PWM制御には、非同期PWM制御と同期PWM制御がある。非同期PWM制御はモータの駆動周波数とPWMのキャリア周波数との間で同期をとらず、運転を行う方法であり、同期PWM制御はモータの駆動周波数に対してPWMのキャリア周波数を整数倍に同期させる方法である。
同期PWM制御は、インバータ回路の温度上昇の抑制など高負荷時や高速駆動時などで使われている。また、同期PWM制御の位置検出には、レゾルバやホール素子などのセンサに加えモータに流れている電流値のオフセットを用いて行う方法(例えば、特許文献1参照)や、電流値を検出しdq座標変換などを用いて推定する方法などがある。
図7は特許文献1に記載された従来のモータ駆動装置である。図7に示すように、ブラシレスDCモータ101と、ブラシレスDCモータ101を駆動するための複数のスイッチング素子で構成されたインバータ102と、ブラシレスDCモータ101の角度を検出する角度検出部103と、ブラシレスDCモータ101に流れる電流を検出する電流検出部104と、角度検出部103で検出されたブラシレスDCモータの角度と電流検出部104で検出された電流値から目標電流とのズレを表す電流オフセット量を計算する電流オフセット量算出部105と、ブラシレスDCモータ101をPWM制御する駆動信号生成部106と、電流オフセット算出部105が算出する電流オフセット量から駆動信号生成部106の生成した駆動信号を補正しインバータ102のスイッチングを行う位相信号補正部107を備えている。
駆動信号生成部106は角度検出部103で検出されるブラシレスDCモータ101の位相角に応じて適切な駆動信号を生成し、位相信号補正部107は角度検出部103が出力する位相角のずれを補正し駆動を行っている。これにより、ブラシレスDCモータの位相角に適した電圧が印加され安定して駆動することができる。
特開2001−298992号公報
しかしながら特許文献1に示す従来の構成は、モータの位相情報はレゾルバ等の角度センサを利用しており、コストが高いという課題があった。また、圧縮機などの高温高圧のガスで密閉された空間では使用ができないという課題もあった。本発明は上記従来の課題を解決するもので、ブラシレスDCモータの位相角をセンサレスで安価に検出を可能にするとともに高温高圧の密閉空間において駆動可能なモータ駆動装置を提供する。
負荷を駆動するブラシレスDCモータと、前記ブラシレスDCモータをPWM制御するための波形を生成する第一のPWM生成部を備え、前記第一のPWM生成部がPWM制御する周波数を前記ブラシレスDCモータの駆動周波数と相数と極数の積の整数倍とすることで、前記ブラシレスDCモータの各相の基準となる誘起電圧や電流のゼロクロスを検出するタイミングで通電をオンする。
本発明のモータ駆動装置は、ブラシレスDCモータの位相をセンサレスで検出するため、センサが不要となり安価にブラシレスDCモータの位相角を検出することができるとともに、センサの配置が困難な高温高圧の密閉空間においても駆動が可能となる。また、センサレスで検出するための複雑なタイミングの計算が必要なくPWMオン中に表れるブラシレスDCモータの位置情報を確実に検出し安定した駆動が可能となる。
本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図 同実施の形態の第一のPWM生成部10が生成するPWM波形およびブラシレスDCモータ5の電流と端子電圧を表す波形図 同実施の形態の第二のPWM生成部11が生成するPWM波形およびブラシレスDCモータ5の電流と端子電圧を表す波形図 同実施の形態の第一のPWM生成部10が生成するPWMのスイッチング区間を変更した場合の波形図 同実施の形態の速度検出部7および第一のPWM生成部10の速度制御に関するフローチャート 同実施の形態の第二のPWM生成部11の速度制御に関する動作のフローチャート 従来のモータ駆動装置
第1の発明は、負荷を駆動するブラシレスDCモータと、前記ブラシレスDCモータをPWM制御するための波形を生成する第一のPWM生成部を備え、前記第一のPWM生成部がPWM制御する周波数を前記ブラシレスDCモータの駆動周波数と相数と極数の積の整数倍としたことにより、前記ブラシレスDCモータの各相の基準となる0度と180度を検出するタイミングで通電をオンすることとなり、ブラシレスDCモータの位相をセンサレスで検出するための複雑なタイミングの計算が必要なくPWMオン中に表れるブラシレスDCモータの位置情報を確実に検出し安定した駆動が可能となる。
また、センサレスで位置検出を行うため、センサを配置することができない高温などの密閉空間においても前記ブラシレスDCモータを駆動することができる。
また、前記ブラシレスDCモータを駆動するためのスイッチング回数が少ないため、スイッチング損失が支配的となる低速で適用することにより、消費電力を低減した駆動ができる。
第2の発明は、特に第1の発明の前記第一のPWM生成部が生成する波形は、矩形波であるとしたことにより、前記ブラシレスDCモータの磁極位置の検出に必要な計算が単純となり、安価な構成が可能となる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明の前記ブラシレスDCモータの磁極位置を前記ブラシレスDCモータの誘起電圧から検出する位置検出部を備えたことにより、前記ブラシレスDCモータの各相の基準となる誘起電圧のゼロクロスが表れるタイミングで必要なPWMのオンをしており、精度よく前記ブラシレスDCモータの位置検出が可能となる。
第4の発明は、特に第1から第3のいずれかの発明の前記第一のPWM生成部は駆動周波数と前記ブラシレスDCモータの相数と極数の積の周期で周波数を切り換えるとしたことにより、前記ブラシレスDCモータ各相の基準位置の検出ごとに前記ブラシレスDCモータの駆動周波数を計算し速度に適したPWM制御する周波数が設定されることとなり、より確実に誘起電圧ゼロクロスの検出タイミングでPWMオンし精度よく前記ブラシレスDCモータの磁極位置を検出することができる。
第5の発明は、特に第3または第4の発明の前記ブラシレスDCモータの速度を制御するPWMの周波数が第一のPWM生成部で出力するPWM周波数よりも高い周波数で設定される第二のPWM生成部を備え、前記第一のPWM生成部が出力するPWMのオン比率が予め定めた値になった際は、前記第二のPWM生成部のPWMを前記第一のPWMに重畳させるとしたことにより、前記第一のPWM生成部が生成するPWMのオン比率が下限に到達し速度制御が困難なごく低速や非常に軽い負荷などの条件であっても、速度制御が可能となる。
また、非同期PWM制御を行うよりも前記第二のPWM生成部が生成するPWMのオン幅が広いため、スイッチングの際に前記ブラシレスDCモータに発生するリンギングが収束するのに十分な時間を確保できることとなり、精度良く前記ブラシレスDCモータの磁極位置を検出することができる。これにより、制御ズレなどなく、より効率の良い運転が可能となる。
第6の発明は、特に第1から第5のいずれかの発明の前記ブラシレスDCモータが組み込まれた圧縮機を備え、前記ブラシレスDCモータが駆動する負荷が前記圧縮機の圧縮要素であるとしたことにより、高温の密閉空間である圧縮機であってもセンサレスで位置検出できることとなり、安価にドライバと圧縮機を構成することができる。
第7の発明は、特に第6の発明の圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器、前記圧縮機の順に接続された冷凍サイクルを備え、前記圧縮機に組み込まれた前記ブラシレスDCモータを前記モータ駆動装置で駆動する冷蔵庫としたことにより、低速での運転率が高い冷蔵庫の消費電力を低減することとなり、安価に冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図である。図1において、交流電源1は一般的な商用電源で、日本においては実効値100Vの50または60Hzの電源である。
整流回路2は、交流電源1を入力として交流電力を直流電力に整流するものであり、ブリッジ接続された4個の整流ダイオード2a〜2dで構成される。
平滑部3は整流回路2の出力側に接続され、整流回路2の出力を平滑する。本実施の形態1においては平滑コンデンサやリアクタによって構成されるが、本実施の形態1においては回路構成の単純化のため、平滑コンデンサのみで構成している。
なお、リアクタを用いる場合は、交流電源1とコンデンサの間に挿入すればよく、整流ダイオード2a〜2dの前後どちらでも構わない。更にリアクタは、高周波除去手段を構成するコモンモードフィルタを回路に設けた場合、高周波除去手段のリアクタンス成分との合成成分を考慮する。
インバータ4は、平滑部3からの直流電力を交流電力に変換する。インバータ4は、6個のスイッチング素子4a〜4fを3相ブリッジ接続して構成される。また、6個の還流電流用ダイオード4g〜4lは、各スイッチング素子4a〜4fに、逆方向に接続される。
ブラシレスDCモータ5は、永久磁石を有する回転子5aと、3相巻線を有する固定子5bとから構成される。ブラシレスDCモータ5は、インバータ4により作られた3相交流電流が固定子5bの3相巻線に流れることにより、回転子5aを回転させる。また、ブラシレスDCモータ5の極数は要求される特性に応じて決定されるが、本実施の形態1では4極とする。
位置検出部6は、固定子5bの3相巻線に発生する誘起電圧から固定子5aの磁極位置を検出する。本実施の形態1においてはブラシレスDCモータ5の端子電圧を取得し、ブラシレスDCモータ5の回転子5aの磁極相対位置を検出する。具体的には、位置検出部6は、固定子5bの3相巻線に発生する誘起電圧と基準となる電圧を比較しゼロクロスを検出し、回転子5aの相対的な回転位置を検出している。誘起電圧のゼロクロスの基準となる電圧は、3相分の端子電圧から仮想中点を作っても良いし、直流母線電圧を取得しその電圧としても良い。本実施の形態1では仮想中点とし、ブラシレスDCモータ5の位置を誘起電圧から検出する方式は構成が簡単でより安価に構成することが可能となる。
速度検出部7は、位置検出部6が検出する位置情報からブラシレスDCモータ5の現在の駆動速度と過去一回転の平均速度を計算する。本実施の形態1では、誘起電圧のゼロクロス検出からの時間を測定し、この時間から現在の速度の計算を行う。また、誘起電圧ゼロクロスの間隔を区間経過時間として検出し、区間経過時間の過去一回転部の和を算出し、結果から一回転の平均速度を算出する。計算タイミングは、位置検出部6が誘起電圧のゼロクロスを検出するたびに行う。
第一のPWM生成部10では、位置検出部6で誘起電圧のゼロクロスを検出するたびに速度検出部7で検出された一回転の平均速度と外部から入力される目標速度を比較し、目標速度のほうが一回転の平均速度より高ければ、ブラシレスDCモータ5への印加電圧を上げるようPWMのオン比率を設定し、目標速度が一回転の平均速度より低ければ、ブラシレスDCモータ5に印加する電圧を下げるようPWMのオン比率を設定し、一致していれば、ブラシレスDCモータ5に印加する電圧を維持するようPWMのオン比率を設定しブラシレスDCモータ5の速度を制御する。
また、第一のPWM生成部10では、120度通電の矩形波を出力する。位置検出部6で検出された位置検出のタイミングと速度検出部7で計算した速度からタイミングを計算し、切り換える。ブラシレスDCモータ5は3相モータであるので、通電相の通電期間は電気角で60度ごとに組合せが変わり、一つの相の通電期間は基本的に120度通電後、60度オフを繰り返す。スイッチング素子4a、4c、4eはそれぞれ120度ずつずれ順番に通電が開始される。スイッチング素子4b、4d、4fも同様に120度ずつずれ、順番に通電が開始される。更にスイッチング素子4aとスイッチング素子4b、スイッチング素子4cとスイッチング素子4d、スイッチング素子4eとスイッチング素子4fは180度ずれて通電が開始される。これによって回転磁界が形成されブラシレスDCモータ5が回転する。
更に、第一のPWM生成部10では、PWM制御するための周波数を計算する。PWM制御の周波数であるキャリア周波数は速度検出部7で検出されるブラシレスDCモータ5を駆動している周波数とブラシレスDCモータ5の相数と極数の積から決定する。例えばブラシレスDCモータ5が現在駆動している速度が20Hzであれば、ブラシレスDCモータ5の相数が3で極数が4なのでPWMのキャリア周波数は240Hzの整数倍となる。
これは、位置検出部6でブラシレスDCモータ5の磁極位置を検出する周期と一致しており、誘起電圧0クロスが表れるタイミングにあわせてPWMのオンを行うことができる。本実施の形態1では、駆動周波数と相数と極数の積の倍数を1とし、駆動周波数に相数と極数の積である12をかけた値をPWMのキャリア周波数として、第二のPWM生成部11へと出力する。第一のPWM生成部10がキャリア周波数を決定する際の倍数が小さいほどスイッチング回数が少なくなり、スイッチング損失が減少するため、スイッチング損失が支配的な低消費電力領域での消費電力低減効果が大きくなる。
また、キャリア周波数を計算する頻度は位置検出部6でブラシレスDCモータ5の磁極位置が検出されるごとに行う。つまり、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積の周期でキャリア周波数を計算する。
第二のPWM生成部11では、位置検出部6で誘起電圧のゼロクロスを検出するたびに、速度検出部7で検出する現在の速度と目標速度から第一のPWM生成部10で生成されたブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積のキャリア周波数を持つPWM波形に、第一のPWM生成部10のPWMのキャリア周波数よりも高いキャリア周波数を持つPWMを重畳させ、ドライブ部12へ出力する。ただし、第二のPWM生成部11では第一のPWM生成部10で生成されるPWMのオン比率が所定より高い間は、第一のPWM生成部10の生成したPWM波形をそのまま出力し、所定の値となった際に目標速度よりも現在の速度が高ければオン比率を100%未満としたPWMを重畳させる。第二のPWM生成部11で生成したPWMを重畳させるかどうかを決定する所定の値は予め決定しておき、例えば50%とする。所定の値を50%とすることで、120度通電の通電区間の開始からPWMをオンさせた場合、誘起電圧ゼロクロス発生までが50%となるため、120度通電の開始からPWMをオンさせれば確実に誘起電圧ゼロクロスを検出できることとなる。
ドライブ部12は、第二のPWM生成部11から出力される第一のPWM生成部10が生成したPWM波形もしくは、第二のPWM生成部11で第一のPWM生成部10のPWM波形により高周波のPWMを重畳させたPWMの信号によって、インバータ4のスイッチング素子4a〜4fのオンまたはオフ(以下、オン/オフとし記す)する。
モータ駆動装置13は、整流回路2、平滑部3、インバータ4、位置検出部6、速度検出部7、印加電圧決定部8、電圧検出部9、第一のPWM生成部10、第二のPWM生成部11、ドライブ部12で構成され、交流電源1に接続し、ブラシレスDCモータ5を駆動する。
圧縮機17の圧縮方式(機構方式)は、ロータリー型やスクロール型など、任意の方式が用いられる。本実施の形態1においては、レシプロ型を採用しており、圧縮要素である冷媒の漏れが少なく低速では効率よく圧縮することができる。圧縮機17は、レシプロ型であるため、ブラシレスDCモータ5の回転子5aに接続されたクランクシャフト(図示せず)により、回転運動は往復運動に変換される。そして、クランクシャフトに接続されたピストン(図示せず)は、シリンダ(図示せず)内を往復することとなり、シリンダ内の冷媒を圧縮する。
圧縮機17で圧縮された冷媒は、凝縮器19、減圧器20、蒸発器21を順に通って、再び圧縮機17に戻る冷凍サイクルを構成する。この時、凝縮器19では放熱を、蒸発器21では吸熱を行うので、冷却や加熱を行うことができる。
冷蔵庫22は、圧縮機17、凝縮器19、減圧器20、蒸発器21で構成された冷凍サイクルを搭載し、蒸発器21で冷却された空気を冷蔵室や冷凍室に送ることで筐体内部を冷却する。
以上のように構成されたモータ駆動装置13について、図面を交えて説明する。まず、図2を用いて第一のPWM生成部10が生成するPWM波形と、ブラシレスDCモータ5とインバータ4のスイッチング素子4aの間の電流と端子電圧の変化を説明する。
図2のaはスイッチング素子4aに入力されるドライブ部12からの駆動信号、図2のbはスイッチング素子4bに入力されるドライブ部12からの駆動信号、図2のcはスイッチング素子4cに入力されるドライブ部12からの駆動信号、図2のdはスイッチング素子4dに入力されるドライブ部12からの駆動信号、図2のeはスイッチング素子4eに入力されるドライブ部12からの駆動信号、図2のfはスイッチング素子4fに入力されるドライブ部12からの駆動信号を表す。さらに、図2のgはスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間に流れる電流を表し、図2のhはスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間の端子電圧を表している。図2のgの電流の向きはスイッチング素子4aからブラシレスDCモータ5の向きを正とする。
図2のT1からT2、T2からT3、T3からT4,T4からT5,T5からT6、T6からT7がPWMの1キャリアを表し、それぞれの区間において少なくとも1相はスイッチングを行っている。具体的には、T1からT2の区間ではスイッチング素子4bがスイッチングを行っており、T2からT3の区間ではスイッチング素子4eがスイッチングを行っており、T3からT4の区間ではスイッチング素子4dがスイッチングを行っており、T4からT5の区間ではスイッチング素子4aがスイッチングを行っており、T5からT6の区間ではスイッチング素子4fがスイッチングを行っており、T6からT7の区間ではスイッチング素子4cがスイッチングを行っている。スイッチング素子4a〜4fは前半でオンし後半でオフしているとしハイアクティブで駆動している。そして、スイッチング行った次のキャリアでスイッチング素子4a〜4fは100%通電としている。これによりオフ時にモータ電流が還流しオン中とオフ中の電流のバランスがよくなり効率の良い運転が行える。
PWMのキャリア周波数は、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の整数倍としているが、スイッチングを行う回数は整数倍と等しく、本実施の形態1においては、1倍であるので、1回となっている。
一方で、T1からT7の6キャリアでブラシレスDCモータ5の電気角1周期となる。スイッチング素子4a〜4fに対して、インバータ4の上側のスイッチング素子である4a、4c、4eを電気角で120度ずつずらした波形とし、同様にインバータ4の下側のスイッチング素子である4b、4d、4fも電気角120度ずつずらした波形とすることで回転磁界をつくり、ブラシレスDCモータ5を回転させる。また、ブラシレスDCモータ5は3相4極であるとしたので、電気角2周期分で一回転となる。つまり、12キャリアで1回転となるため、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数の12倍が第一のPWM生成部10のキャリア周波数となる。
T4からT5の区間において、T4からT8の間はスイッチング素子4aがオンし、図2のgに示す電流が単調に増加し、T8からT5の間はスイッチング素子4aがオフし、電流が単調に減少する。
T5からT6の区間においては、スイッチング素子4aは100%オンとなっているが、スイッチング素子4fがスイッチングを行っているため、電流の増減が発生する。
T6からT9の区間においては、スイッチング素子4aがオフするため、電流が0に収束していく。電流が0になるまでの間、図2のgに示す電流は還流電流用ダイオード4hを通りブラシレスDCモータ5に流れるため、図2のhに示すスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間の端子電圧とグランド間では還流電流用ダイオード4hの電位差のみを持つこととなり、0V付近に張り付き、端子電圧に誘起電圧があらわれない。
T9からT10の区間は図2のgに示すスイッチング素子4aからブラシレスDCモータ5に流れる電流は0となり、図2のhに示す端子電圧につながらないスイッチング素子4cとスイッチング素子4fがオンしているため、インバータ4の直流母線間電圧の中点と誘起電圧の交点が誘起電圧ゼロクロスとして検出できる区間となる。
このようにT9からT10の区間で少なくとも誘起電圧ゼロクロスが検出されるまで第一のPWM生成部が生成するPWMをオンし、指令速度と現在の速度の差に応じてPWMのオン幅を増減させる。これによって確実に位置検出を可能にし、位置検出一回につきスイッチングが1回と非常に小さいスイッチング損失となり、ブラシレスDCモータ5の高い磁極位置検出精度と損失低減と負荷に応じた任意の速度での駆動を実現できる。
また、第一のPWM生成部10のキャリア周波数の計算タイミングは位置検出部6でブラシレスDCモータ5の誘起電圧ゼロクロスを検出後に行われる。位置検出を行ってからPWMオフ開始のタイミングを決定し、次のPWMのオンのタイミングを決定するので、速度応答性が高い制御することができる。
次に、第二のPWM生成部11に関して、図3を用いて説明する。図2のa〜fで示される波形に第二のPWM生成部11が、第一のPWM生成部10で生成されるPWM周波数よりも高周波のPWMを重畳させた際の波形である。図2と同様に図3のa〜fはスイッチング素子4a〜4fの駆動波形を示し、図3のgはスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間に流れる電流を表し、図3のhはスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間の端子電圧を表している。
図2のT4からT5の区間の第一のPWM生成部10で生成したPWM波形に対して、図3ではT204からT205でより高周波のPWMを重畳させている。図2のT4からT8の第一のPWM生成部10がスイッチング素子4aをオンさせているが、図3ではその第一のPWM生成部10がオンとした区間をT204からT208でより周波数の高いPWM周期でオンオフを行っている。
T221からT222の区間では第一のPWM生成部10が生成するスイッチング素子4aに対するドライブ信号がオンしており、第二のPWM生成部11が生成するスイッチング素子4aに対するドライブ信号もオンしているため、図3のgに示すスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間に流れる電流は増加する。
T222からT223の区間では、第一のPWM生成部10が生成するスイッチング素子4aに対するドライブ信号がオンしているが、第二のPWM生成部11が生成するスイッチング素子4aに対するドライブ信号はオフしているため、図3のgに示すスイッチング素子4aとブラシレスDCモータ5の間に流れる電流は減少する。
一方でT208からT205の区間では、第一のPWM生成部10が生成するスイッチング素子4aのドライブ信号がオフしているため、第二のPWM生成部11が生成する信号にかかわらず電流が単調に減少する。
このように、第一のPWM生成部10と第二のPWM生成部11が生成するPWM波形がともにオンの場合のみ、ドライブ信号をオンさせ、どちらか一つでもオフしている場合は、ドライブ信号をオフさせることで、第一のPWM生成部10と第二のPWM生成部11の波形を重畳させたPWM波形で位置検出および任意の速度での駆動が可能となる。更にスイッチング回数は120度全体をスイッチングするよりも減少するため、スイッチング損失を低減することができる。
次に、スイッチング区間の違いに関して、図2および図4を用いて説明する。図4は図2と同様に、図4のa〜fはスイッチング素子4a〜4fのドライブ信号を示し、図4のgはスイッチング素子4aからブラシレスDCモータ5に流れる電流を、図4のhはスイッチング素子4aとブラシレスDCモータの間の端子電圧を表している。
図2において、120度の通電区間のうちT4からT5の前半の60度をスイッチングし、T5からT6の後半の60度を100%通電としているが、図4では、120度通電区間のうちT404からT405の前半の60度を100%通電とし、T405からT406の後半の60度をスイッチングすることで駆動を行っている。スイッチング区間の60度のうち、図2のT4からT8と同様にT405からT408の前半をオンさせT408からT406と同様に後半をオフさせる。T404からT406の120度の区間でスイッチングのオンとオフが1回ずつとなるためよりインバータ4のスイッチング損失が低減される。
また、端子電圧は図2のhと図4のhで示すように異なるが、位置検出を行う区間である図2のT9からT10の区間と図4のT409からT410の区間は相似な波形となり位置検出は正確に行うことができる。そして、電流は図2のgと図4のgで示すように、ほぼ同じ波形となる。
次に図5を用いて第一のPWM生成部10でのブラシレスDCモータ5の速度制御の詳細について説明を行う。図5は速度検出部7および第一のPWM生成部10の速度制御に関する動作のフローチャートである。
まず、STEP101において、位置検出部6がブラシレスDCモータ5の磁極位置の基準である誘起電圧ゼロクロスを検出したかどうかを速度検出部7が判定を行う。判定の結果、誘起電圧ゼロクロスが検出されていなければ再びSTEP101に移行し、再度判定を行う。
一方、STEP101において、誘起電圧ゼロクロスが検出されていれば、STEP102へと移行する。
STEP102では、速度検出部7が誘起電圧ゼロクロスの検出間隔からブラシレスDCモータ5の駆動速度を計算する。ブラシレスDCモータ5は3相4極モータであるので、モータ一回転の中で12回誘起電圧ゼロクロスが発生する。よって速度の計算は位置検出間隔の12倍で1秒を除算することでブラシレスDCモータ5の1秒間あたりの回転数である駆動周波数を計算することができる。計算を終えるとSTEP103へ移行する。
STEP103では、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン幅が下限にもかかわらず速度が超過していることを表すフラグである下限フラグがセットされているかを確認する。セットされていなければ第一のPWM生成部10のみでブラシレスDCモータ5の速度制御が可能であり、速度制御を行うためにSTEP104へ移行する。
STEP104では、STEP102で速度検出部7が計算した速度が外部より入力される目標速度より速いかを判定する。目標速度は外部から入力されるが、冷蔵庫22など、冷蔵庫22の庫内の温度によって決定される。例えば、予め食品保存に適した温度として決定された目標温度より冷蔵庫22の庫内温度が高ければ低い目標速度が設定され、目標温度が低ければ高い目標速度が設定される。特に冷蔵庫22の電源投入時など庫内が冷却されていない状態では、目標速度が高く設定される。この目標速度より現在の速度が速ければ、STEP105へ移行する。
STEP105では、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率が過剰であるので、PWMオン比率を減少させるにあたり、減少させることが可能かどうかの判定を行う。第一のPWM生成部10で生成するPWMのオン比率が下限となっていなければ更にオン比率を減少させることができるので、STEP106へ移行する。
STEP106では、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率を減少させ、STEP107へ移行する。
STEP107では、第一のPWM生成部10のPWMのオン比率と速度検出部7で検出したブラシレスDCモータの速度から第一のPWM生成部10のPWMキャリア周期を計算し、次にオンするタイミングおよびブラシレスDCモータ5への通電パターンを切り換える転流タイミングを計算し、設定する。第一のPWM生成部10のキャリア周波数は、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数と極数と相数の積で決定するので、本実施の形態においては、駆動周波数と12の積となる。現在の駆動周波数が20Hzだとすると、キャリア周波数は240Hzとなる。キャリア周期は240分の1秒となり、今回のキャリアの開始からの経過時間を除いた時間後に、次のPWMのキャリアの開始タイミングであるオンへのスイッチングタイミングと転流タイミングを設定する。そして、STEP108に移行する。
STEP108では、STEP107で計算したキャリア周波数と第一のPWM生成部10のPWMオン比率から第一のPWM生成部10が生成するPWMのオフタイミングを決定する。例えば、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数が20Hzで第一のPWM生成部10のPWMのオン比率が60%であれば、240分の1秒の60%がオンするため、今回のPWMの開始から2.5ms後にオンからオフに切り換えるようオフタイミングを設定する。そして設定後に処理を抜ける。
一方、STEP105において、第一のPWM生成部10のPWMのオン比率が下限であった場合に、STEP109に移行する。
STEP109では、第一のPWM生成部10ではこれ以上、PWMのオン比率を下げることができないため、第二のPWM生成部11によってブラシレスDCモータ5の速度制御ができるよう、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン幅が下限にもかかわらず速度が超過していることを表すフラグである下限フラグをセットする。そして、STEP107、STEP108を順次実行し第一のPWM生成部10のPWM波形を生成する。
一方、STEP104において、速度検出部7で検出するブラシレスDCモータ5の現在の速度が目標速度よりも、遅いもしくは一致するならば、STEP110へ移行する。
STEP110では、速度検出部7で検出するブラシレスDCモータ5の現在の速度が目標速度よりも遅いかを判定する。遅ければ、STEP111へ移行する。
STEP111では、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率が上限未満かどうかを判定し、上限未満であればSTEP112へ移行する。
STEP112では第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率を増加させる。そして、STEP107、108へと移行する。
一方、STEP111で、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率が上限以上であれば、第一のPWM生成部10のPWMのオン比率を維持し、STEP107、108へと移行する。
一方、STEP110で、目標速度とブラシレスDCモータ5の速度が一致していれば、第一のPWM生成部10のPWMのオン比率を維持し、STEP107、STEP108へと移行する。
また、STEP103において、下限フラグがセット済みであれば、第一のPWM生成部10のPWMのオン比率を下限に保ったまま、STEP107、STEP108へ移行していく。
これらの処理を繰り返すことによって、第一のPWM生成部10は、ブラシレスDCモータ5の速度が、目標速度に対して不足し加速が必要な場合に加速し、目標速度に対して過剰で減速が必要な場合に減速し、目標速度と一致していれば速度を維持することができる。
また、第一のPWM生成部10は60度ごとに通電相を切り換えることでブラシレスDCモータ5を回転させるための回転磁界を生成するが、回転磁界の生成は図5のフローを行う前に生成し、各通電相にどれだけの電圧を印加するかを図5のフローによって決定している。
また、第一のPWM生成部のPWMオン比率の下限を50%とするとことで、少なくとも位置検出部6での誘起電圧ゼロクロス検出までPWMのオンが継続し、誘起電圧ゼロクロスを検出することが可能となる。第一のPWM生成部10のPWMのオン比率の下限以下では、第一のPWM生成部10で速度制御することができないが、ブラシレスDCモータ5の固定子5bの巻き線のターン数を多くしたり、回転子5aの磁力を強くするなど誘起電圧を調整することで、システムの通常運転に必要な最低速度での最小負荷でも第一のPWM生成部10のPWMのオン比率が下限を上回るようにすることができる。
次に、図6を用いて、第二のPWM生成部11でのブラシレスDCモータ5の速度制御の詳細について説明を行う。図6は第二のPWM生成部11の速度制御に関する動作のフローチャートである。また、図6で示す第二のPWM生成部12の処理は、図5で示す処理を行った直後に実行される。
STEP201において、図5のSTEP109で設定される下限フラグが設定されているか判定を行う。下限フラグがセットされていればSTEP202へ移行する。
STEP202では速度検出部7で検出されるブラシレスDCモータの現在の速度が外部から入力される目標速度よりも速いかを確認する。現在の速度が目標速度よりも速い場合、STEP203へ移行する。
STEP203では、現在の速度が目標速度よりも速いため、第二のPWM生成部11が生成するPWMのオン比率が下限よりも大きく減少できるかを判定を行う。第二のPWM生成部11と第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率の下限はそれぞれ個別に設定される。第二のPWM生成部11が生成するPWMのオン比率が下限よりも大きい場合、STEP204へ移行する。
STEP204では、第二のPWM生成部11のPWMオン比率を減少させ、STEP205へ移行する。
STEP205では、予め決定しておいた第二のPWM生成部のキャリア周波数と第二のPWM生成部11のPWMオン比率からPWMのオフタイミングを計算し設定する。第二のPWM生成部で生成するPWMのキャリア周波数はブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積の少なくとも3倍あればよく、全領域で一定のキャリア周波数を使用する場合は、最高駆動周波数をベースに決定すればよい。例えば、本実施の形態の最高駆動周波数は100Hzとすると、ブラシレスDCモータ5の相数が3で極数が4であるため、3600Hzのキャリア周波数を設定する。また、低速、中速、高速など速度に応じて何段階かにキャリア周波数を設定しても良い。そして第二のPWM生成部11のオフ時間を設定後に処理を終了する。
一方、STEP203で第二のPWM生成部11のPWMのオン比率が第二のPWM生成部11の下限以下だった場合、これ以上オン比率を下げることができないので、そのまま現在の第二のPWM生成部11のPWMのオン比率を保持したままSTEP205へ移行する。そして、STEP205で第二のPWM生成部11のPWMのオフタイミングを設定し、処理を終了する。
一方、STEP202において、速度検出部7で検出されるブラシレスDCモータの現在の速度が外部から入力される目標速度よりも遅いもしくは一致する場合、STEP206へ移行する。
STEP206では、速度検出部7で検出されるブラシレスDCモータの現在の速度が外部から入力される目標速度よりも遅いかを判定する。判定の結果、目標速度よりも遅ければSTEP207へ移行する。
STEP207で現在の速度が目標速度よりも遅いため、ブラシレスDCモータ5の速度上げるために、第二のPWM生成部11のPWMオン比率を上げることができるかどうかを、第二のPWM生成部11のPWMオン比率が第二のPWMのオン比率の上限未満かどうかで判定する。第二のPWM生成部11のPWMオン比率の上限も第一のPWM生成部10のPWMのオン比率の上限とは個別に設定し、第二のPWM生成部11のPWMのオン比率の上限は100%とする。上限はこれ以上、ブラシレスDCモータ5の速度を第二のPWM生成部11のPWM制御によって増加させることができない状態を表す。上限未満であった場合、オン比率を上げることができるとしてSTEP208へ移行する。
STEP208では、第二のPWM生成部11のPWMオン比率を上げることができるとして、第二のPWM生成部11のPWMオン比率を増加させSTEP205へ移行する。そして、STEP205でPWMのオフタイミングを決定し処理を終了する。
一方、STEP207で、第二のPWM生成部11のPWMオン比率が第二のPWMのオン比率の上限未満かどうかで判定した結果、上限以上であった場合、STEP209へ移行する。
STEP209では、第二のPWM生成部11のPWMオン比率が上限となり速度をこれ以上上げることがでないため、第一のPWM生成部10で速度制御ができるよう下限フラグをクリアする。そして、STEP205へ移行し、第二のPWM生成部11のPWMがオフしないよう生成し、処理を終了する。
また、STEP206で、速度検出部7で検出されるブラシレスDCモータの現在の速度が外部から入力される目標速度よりも遅いかを判定した結果、目標速度に一致し目標速度よりも遅くない場合、第二のPWM生成部11は第二のPWM生成部11のPWMのオン比率を保持し、STEP205に移行する。そしてSTEP205で第二のPWM生成部11が生成するPWMのオフタイミングを設定し処理を終了する。
一方で、SETP201において、下限フラグがセットされていなければ、第二のPWM生成部11のPMWのオン比率は第二のPWM生成部のPWMのオン比率の上限に一致しており、上限に一致した状態でSTEP205に移行する。そして、STEP205では、オフしないよう第二のPWM生成部11のPWMを生成し、処理を終了する。
以上の処理を繰り返すことで第二のPWM生成部11で速度制御可能となる。
ブラシレスDCモータ5の調整によって、システムの通常運転時は第一のPWM生成部10の速度制御のみで駆動することが可能となるが、ごく低速でゆっくり起動する場合や、瞬間的な高電圧により必要なPWMオン比率が低下するなどの過渡的な場合でも第二のPWM生成部11によって速度制御が可能となる。
次に、圧縮機17にモータ駆動装置13を適用した際の説明を行う。圧縮機17において、高温雰囲気・冷媒雰囲気・オイル雰囲気などで位置センサを取り付けることが著しく困難であったため、センサを用いずにモータの駆動のための磁極位置を検出できるセンサレス技術がほぼ必須である。モータ駆動装置13は、圧縮機17の内部に納められたブラシレスDCモータ5の回転子5aの磁極位置の検出を、圧縮機17の外部で検出可能なブラシレスDCモータ5の誘起電圧から位置検出部6が行うことができる。更に少なくとも位置検出部6での誘起電圧ゼロクロス検出するまで第一のPWM生成部10で生成するPWMをオンすることで、確実に位置検出部6は誘起電圧ゼロクロスを検出することができ、センサレスでも精度良くブラシレスDCモータ5を駆動することができる。
また、圧縮機17はレシプロ型の圧縮方式を採用しているとしたので、冷蔵庫など低速で駆動する時間が長いシステムにおいては非常に効率が良いが、圧縮工程と吸入工程が別々に行われるため、周期的に大きなトルク脈動が発生し、制御の応答性が悪いと固定子5bへの通電と回転子5aの位置がずれ効率が悪化する。モータ駆動装置13では、制御応答性を高めるため、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数を位置検出部6での誘起電圧ゼロクロス検出ごとに、図5に示すように誘起電圧ゼロクロス検出間隔から速度検出部7で速度を検出し、第一のPWM生成部10のオン時間およびキャリア周波数を変更することで、周期的なトルクの変化や速度の変化にも瞬時に対応することができる。
次に、冷蔵庫22について説明する。冷蔵庫22は庫内の負荷や外気温度によって必要な負荷は大きく変動する。その中で、冷蔵庫22が最も時間的に大きな割合を占めるのが、庫内の食品などの負荷が十分に冷却された状態である。この状態では、圧縮機17の圧縮負荷が減り、ブラシレスDCモータ5は低速低負荷で運転される。低速低負荷になるほど、インバータ4の導通損失は低減していき、スイッチング損失の割合が大きくなっていく。
この冷蔵庫22に対し、第一のPWM生成部10は精度良くブラシレスDCモータ5の磁極位置を検出し、ブラシレスDCモータ5の駆動周波数と極数と相数の積の整数倍に同期し駆動を行うため、スイッチング回数が非常に少ない状態で駆動が可能となる。特に低速や低負荷のインバータ4のスイッチング損失の割合が大きな領域で適用することで省エネ性能を大きく向上させることができる。
以上のように、本実施の形態1においては、負荷を駆動するブラシレスDCモータ5と、ブラシレスDCモータ5をPWM制御するための波形を生成する第一のPWM生成部10を備え、第一のPWM生成部10がPWM制御する周波数をブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積の整数倍としたことにより、ブラシレスDCモータ5の各相の基準となる0度と180度を検出するタイミングで通電をオンすることとなり、ブラシレスDCモータ5の位相をセンサレスで検出するための複雑なタイミングの計算が必要なくPWMオン中に表れるブラシレスDCモータの位置情報を確実に検出し安定した駆動が可能となる。
また、センサレスで位置検出を行うため、センサを配置することができない高温などの密閉空間においても前記ブラシレスDCモータを駆動することができる。
また、前記ブラシレスDCモータを駆動するためのスイッチング回数が少ないため、スイッチング損失が支配的となる低速で適用することにより、消費電力を低減した駆動ができる。
また、第一のPWM生成部10が生成する波形は、矩形波であるとしたことにより、ブラシレスDCモータ5の磁極位置の検出に必要な計算が単純となり、安価な構成が可能となる。
また、ブラシレスDCモータ5の磁極位置をブラシレスDCモータ5の誘起電圧から検出する位置検出部6を備えたことにより、ブラシレスDCモータ5の各相の基準となる誘起電圧のゼロクロスが表れるタイミングで必要なPWMのオンをしており、精度よくブラシレスDCモータ5の位置検出が可能となる。
また、第一のPWM生成部10はブラシレスDCモータ5の駆動周波数と相数と極数の積の周期で周波数を切り換えるとしたことにより、ブラシレスDCモータ5各相の基準位置の検出ごとにブラシレスDCモータ5の駆動周波数を計算し速度に適したPWM制御する周波数が設定されることとなり、より確実に誘起電圧ゼロクロスの検出タイミングでPWMオンし精度よくブラシレスDCモータ5の磁極位置を検出することができる。
また、ブラシレスDCモータ5の速度を制御するPWMの周波数が第一のPWM生成部10で出力するPWM周波数よりも高い周波数で設定される第二のPWM生成部11を備え、第一のPWM生成部10が出力するPWMのオン比率が予め定めた値になった際は、第二のPWM生成部11のPWMを第一のPWM生成部10が生成するPWMに重畳させるとしたことにより、第一のPWM生成部10が生成するPWMのオン比率が下限に到達し速度制御が困難なごく低速や非常に軽い負荷などの条件であっても、速度制御が可能となる
また、通常の非同期PWM制御と比べ、ブラシレスDCモータ5を駆動するためのスイッチング素子のスイッチングを行う区間が狭いため、スイッチング損失を低減し、消費電力を低減できる。
また、非同期PWM制御を行うよりも第二のPWM生成部11が生成するPWMのオン幅が広いため、スイッチングの際にブラシレスDCモータ5に発生するリンギングが収束するのに十分な時間を確保できることとなり、精度良くブラシレスDCモータ5の磁極位置を検出することができる。
また、ブラシレスDCモータ5が組み込まれた圧縮機17を備え、ブラシレスDCモータ5が駆動する負荷が圧縮機17の圧縮要素であるとしたことにより、高温の密閉空間である圧縮機17であってもセンサレスで位置検出できることとなり、安価にドライバと圧縮機を構成することができる。
また、圧縮機17、凝縮器19、減圧器20、蒸発器21、圧縮機17の順に接続された冷凍サイクルを備え、圧縮機17に組み込まれたブラシレスDCモータ5をモータ駆動装置13で起動する冷蔵庫としたことにより、低速での運転率が高い冷蔵庫22の消費電力を低減することとなり、安価に冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
本発明のモータ駆動装置は、低速でインバータ回路の損失を低減できる。これにより、冷蔵庫のみならず、エアコン、自動販売機やショーケース、ヒートポンプ給湯器における圧縮機に適用できる。
5 ブラシレスDCモータ
6 位置検出部
10 第一のPWM生成部
11 第二のPWM生成部
12 ドライブ部
13 モータ駆動装置
17 圧縮機
19 凝縮器
20 減圧器
21 蒸発器
22 冷蔵庫

Claims (7)

  1. 負荷を駆動するブラシレスDCモータと、前記ブラシレスDCモータをPWM制御するための波形を生成する第一のPWM生成部を備え、前記第一のPWM生成部がPWM制御する周波数を前記ブラシレスDCモータの駆動周波数と相数と極数の積の整数倍とするモータ駆動装置。
  2. 前記第一のPWM生成部が生成する波形は、矩形波であるとした請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記ブラシレスDCモータの磁極位置を前記ブラシレスDCモータの誘起電圧から検出する位置検出部を備えた請求項1または2のいずれかに記載のモータ駆動装置。
  4. 前記第一のPWM生成部は、駆動周波数と前記ブラシレスDCモータの相数と極数の積の周期で周波数を切り換える請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記ブラシレスDCモータの速度を制御するPWMの周波数が第一のPWM生成部で出力するPWM周波数よりも高い周波数で設定される第二のPWM生成部を備え、前記第一のPWM生成部が出力するPWMのオン比率が予め定めた値になった際は、前記第二のPWM生成部のPWMを前記第一のPWM生成部のPWMに重畳させる請求項3または4のいずれかに記載のモータ駆動装置。
  6. 前記ブラシレスDCモータが組み込まれた圧縮機を備え、前記ブラシレスDCモータが駆動する負荷が前記圧縮機の圧縮要素であるとした請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  7. 請求項6に記載の圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器、前記圧縮機の順に接続された冷凍サイクルを備え、前記圧縮機に組み込まれた前記ブラシレスDCモータを前記モータ駆動装置で起動する冷蔵庫。
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