JP2013183550A - ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブラシレスモータの逆回転を検出できる駆動装置を提供し、以って、逆回転での運転を抑制できるようにする。
【解決手段】1つの通電モードを継続させてブラシレスモータを初期位置に位置決めした後(ステップS102)、通電モードを切り替えてブラシレスモータを起動させる(ステップS103)。ブラシレスモータを起動させると、そのときの通電モードにおける非通電相の電圧と逆転判定用閾値とを比較して、逆回転の有無を判定する(ステップS104)。逆回転を判定すると、通電を停止させることでブラシレスモータを一旦停止させ(ステップS105)、その後、初期位置に位置決めするための時間を修正してから(ステップS106)、再度、初期位置への位置決めを行ってブラシレスモータを起動させる(ステップS102、ステップS103)。
【選択図】図5

Description

本発明は、ブラシレスモータの複数相のうちで通電する相を選択する通電モードを、非通電相の電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置に関する。
特許文献1には、巻線の端子電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、ブラシレスモータの回転子の回転位置を検出し、この回転位置に応じて巻線に通電する、ブラシレスモータの制御装置が開示されている。
特開平11−341869号公報
ところで、通電モードの切り替えタイミングとしての回転位置を所謂センサレスで検出し、通電モードを切り替えるモータ駆動制御においては、初期位置への位置決めができておらず、モータが逆方向に回転している状態で駆動を開始すると、ブラシレスモータのイナーシャが大きくかつ負荷が小さい条件では、正回転時と同じ通電制御を行うことで逆回転運転が継続し、逆回転運転のまま放置されてしまう可能性があった。
例えば、油圧式機械に作動油を供給するポンプを駆動するブラシレスモータにおいて、モータが逆回転すると、ポンプに必要とされる流量、油圧が得られず、油圧式機械が正常に動作しなくなってしまう可能性がある。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ブラシレスモータの逆回転を検出できる駆動装置を提供し、以って、逆回転での運転を抑制できるようにすることを目的とする。
そのため、本願発明では、ブラシレスモータの複数相のうちで通電する相を選択する通電モードを、非通電相の電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、前記ブラシレスモータの起動時に、非通電相の電圧が前記通電モードに応じた範囲を外れた場合に、前記ブラスレスモータの逆回転を判定するようにした。
上記発明によると、ブラシレスモータの逆回転を検出でき、逆回転での運転を抑制することが可能となる。
実施形態において、本願発明に係る同期電動機の駆動装置を適用する、油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。 実施形態におけるモータ制御装置及びブラシレスモータの構成を示す回路図である。 実施形態における制御器の構成を示すブロック図である。 実施形態におけるブラシレスモータの通電パターンを示すタイムチャートである。 実施形態におけるブラシレスモータの起動処理を示すフローチャートである。 実施形態におけるブラシレスモータの位置決め処理の詳細を示すフローチャートである。 実施形態における位置決め処理の作用を説明するための図である。 実施形態において起動時に正回転した場合の非通電相の電圧と角度位置との相関を示す図である。 実施形態において起動時に逆回転した場合の非通電相の電圧と角度位置との相関を示す図である。 実施形態における通電モード(5)におけるモード切替閾値及び逆転判定用閾値を非通電相の電圧と角度位置との相関上で示す図である。 実施形態における通電モード(6)におけるモード切替閾値及び逆転判定用閾値を非通電相の電圧と角度位置との相関上で示す図である。 実施形態において温度による電圧変化による誤判定の発生を説明するための図である。 実施形態においてゼロクロスを前提条件として逆回転の検知を行う例を示す図である。 実施形態における逆転判定用閾値の学習を説明するための図である。 実施形態における電圧検出値のシフトによる誤検出の様子を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明に係るブラシレスモータの駆動装置を適用する一例としての、自動車のオートマチックトランスミッションAT用の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムでは、変速機(TM)7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、ブラシレスモータ2で駆動される電動式オイルポンプ1とを備えている。
また、エンジンの制御システムとして、自動停止条件の成立時にエンジンを停止し、自動始動条件が成立するとエンジンを再始動するアイドルストップ制御機能を備えている。
そして、アイドルストップ制御によってエンジンが停止している間は、機械式オイルポンプ6もその動作を停止するため、アイドルストップ中は、電動式オイルポンプ1を用いて、変速機7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、油圧の低下などを抑制する。
電動式オイルポンプ1は、直結したブラシレスモータ2により駆動される。ブラシレスモータ2は、AT制御装置(ATCU)4からの指令を受け取るモータ制御装置(MCU)3によって制御される。
ブラシレスモータ2の駆動装置であるモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動制御して電動式オイルポンプ1を駆動し、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機7やアクチュエータ8に供給する。
エンジンの運転中は、エンジン駆動の機械式オイルポンプ6により、変速機7やアクチェータ8にオイル配管9を介してオイルパン10のオイルが供給される。このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であり、電動式オイルポンプ1に向かうオイルは逆止弁11によって遮断される。
エンジンがアイドルストップ制御によって停止すると、機械式オイルポンプ6の回転速度が低下してオイル配管9の油圧が低下するので、エンジンの停止と略同時に、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に向けて送信する。
起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動して電動式オイルポンプ1を回転させ、オイル配管5内の油圧を上昇させる。
機械式オイルポンプ6による油圧が低下する一方で、電動式オイルポンプ1の吐出圧が逆止弁11の開弁圧を超えるようになると、オイルは、オイル配管5,電動式オイルポンプ1,逆止弁11,変速機7及び/又はアクチェータ8,オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
尚、電動式オイルポンプ1を、変速機7におけるクラッチなどの摩擦係合要素の潤滑用や冷却用のオイルを供給するポンプとすることができ、また、オイルを供給する機器を変速機に限定するものではなく、例えば、車両の駆動用モータやインバータに冷却用のオイルを供給するポンプとすることができる。更に、後述するブラシレスモータの逆回転検出は、オイルポンプを駆動するブラシレスモータに限定されることなく、複数相のうちで通電する相を選択する通電モードを、非通電相の電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータであれば適用可能である。
図2は、モータ制御装置3及びブラシレスモータ2の詳細を示す。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、コンピュータを備えた制御器213とを含んで構成され、制御器213がAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ、換言すれば、3相同期電動機であり、U相,V相及びW相の3相巻線215U,215V,215Wが、図示省略した円筒状の固定子に設けられ、該固定子の中央部に形成された空間に永久磁石回転子216が配置される。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a〜218fを含んでなるスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有しており、スイッチング素子217a〜217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a〜217fのゲート端子は、制御器213に接続されており、制御器213は、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフを、PWM制御する。
制御器213は、ブラシレスモータ2の印加電圧を演算し、駆動回路212に出力するパルス幅変調信号を生成する回路である。
制御器213は、図3に示すように、PWM発生器251、ゲート信号切替器252、通電モード決定器253、比較器254、電圧閾値切替器255、非通電相電圧選択器256を含んでいる。
PWM発生器251は、指令トルクに応じて決定した印加電圧指令に基づき、パルス幅変調されたPWM波を生成する回路である。
通電モード決定器253は、モータ駆動回路212の通電モードを決定するモード指令信号を順次出力するデバイスであり、比較器254が出力するモード切替トリガ信号をトリガとして、通電モードを順次切り替える。
尚、通電モードとしては、後述するように、3相巻線215U,215V,215Wのうち、通電する2つの相を選択する6通りの通電モード(1)〜(6)が予め設定されている。
ゲート信号切替器252は、モータ駆動回路212の各スイッチング素子217a〜217fがどのような動作でスイッチングするかを、通電モード決定器253の出力であるモード指令信号に基づいて決定し、該決定に従い、最終的な6つのゲートパルス信号をパラレルにモータ駆動回路212に出力する。
電圧閾値切替器255は、通電モード毎に設定される非通電相、換言すれば、駆動電流を流さない巻線相の端子電圧と比較させる閾値を発生する回路であり、閾値の切り替えタイミングは、通電モード決定器253の出力であるモード指令信号に基づき決定される。
尚、電圧閾値切替器255が出力する閾値には、後述するように、通電モードの切り替えタイミングを検知するための閾値と、ブラシレスモータ2の逆回転を検知するための閾値とが含まれる。
非通電相電圧選択器256は、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧(端子電位)をモード指令信号に従い選択して出力する回路であり、前記端子電圧は、ブラシレスモータ2の中性点に対する電位差として出力される。
比較器254は、電圧閾値切替器255が出力する閾値と非通電相電圧選択器256が出力する非通電相の電圧とを比較し、通電モード決定器253にモード切替トリガを出力する。
尚、非通電相に発生する電圧は、2相の印加パルス電圧によって非通電相に誘起される電圧であり、磁極位置により磁気回路の飽和状態が変化することから、磁極位置に応じた誘起電圧が非通電相に発生することになり、非通電相の誘起電圧から、回転子位置、即ち、角度位置を推定して、通電モードの切り替えタイミングを検出することができる。
図4は、通電モード毎の各相への印加電圧を示す。
通電モードは、電気角60degごとに順次切り替わる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)においてスイッチング素子217a〜217fは、指令電圧に応じてパルス幅変調された信号で駆動される。
本実施形態では、永久磁石回転子216のN極がU相のコイルに対向する位置を0degの角度位置として、ブラシレスモータ2の角度を表すものとする。
そして、通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行う角度位置を30degに、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置を90degに、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行う角度位置を150degに、通電モード(6)から通電モード(1)への切り替えを行う角度位置を210degに、通電モード(1)から通電モード(2)への切り替えを行う角度位置を270degに、通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う角度位置を330degに設定してある。
通電モード(1)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流す。
通電モード(2)は、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(3)は、スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流す。
通電モード(4)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(5)は、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、W相からU相に向けて電流を流す。
通電モード(6)は、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
尚、例えば通電モード(1)において、下段のスイッチング素子217dの駆動するPWM波と逆位相のPWM波で上段のスイッチング素子217cを駆動し、下段のスイッチング素子217dがオンであるときに、上段のスイッチング素子217cをオフさせ、下段のスイッチング素子217dがオフであるときに、上段のスイッチング素子217cをオンさせるようにする相補制御方式で、各通電モード(1)〜(6)での通電制御を行わせることができる。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fは、240deg毎に120deg間通電されることから、図4に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
モータ制御装置3は、通電モードの切り替えを非通電相に発生する電圧と閾値との比較に基づき行うようになっており、モータ制御装置3は、所謂センサレスの通電制御を行う。
具体的には、非通電相電圧選択器256が3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧を選択して出力する一方、電圧閾値切替器255が通電モードに応じて通電モードの切り替え判定用の閾値を出力し、比較器254が、非通電相の端子電圧と閾値とを比較する。
そして、比較器254は、非通電相の端子電圧が閾値よりも高い若しくは低いと判断したときに、モード切替トリガを通電モード決定器253に出力し、通電モード決定器253は、次の通電モードへの切り替えを決定する。
ここで、モータ制御装置3が実行する、ブラシレスモータ2の起動制御を、図5のフローチャートに従って詳細に説明する。
図5のフローチャートにおいて、まず、ステップS101では、ブラシレスモータ2の起動要求が発生したか否かを判断する。前記起動要求は、例えば、アイドルストップ制御によるエンジンの停止指令に伴って出力される。
そして、ブラシレスモータ2の起動要求が発生すると、ステップS102へ進み、モータ2の位置決め処理を行う。
位置決め処理とは、ブラシレスモータ2を起動させる前に、ブラシレスモータ2の角度位置、換言すれば、磁極の向きを、既知の初期位置にまで動かす処理であり、係る初期位置からブラシレスモータ2を回転させ始めるようにする。
ステップS102における位置決め処理の詳細は、図6のフローチャートに示してある。
まず、ステップS201では、6通りの通電モード(1)〜(6)のうちから予め選択された1つの通電モードに従って、各相への通電を行う。
例えば図7に示すように、通電モード(3)に対応する相通電、即ち、Vu=0、Vv=Vin、Vw=−Vinに設定し、係る相通電状態を保持することで、ブラシレスモータ2の角度位置を、初期位置である90degに向けて変化させる。ここで、Vinは、位置決め用のトルクを発生させるために予め設定された電圧値である。
即ち、通電モード(3)に対応する印加電圧を各相に加えた状態を保持させると、U相,V相及びW相の合成磁束が、図7(A)に示すように90degの方向となり、係る合成磁束に永久磁石回転子216が引かれることでトルクが発生し、永久磁石回転子216のN極が90degの位置に近づくように、ブラシレスモータ2が回転することになる。
但し、位置決め処理を、通電モード(3)に対応する相通電による90degの初期位置への位置決めに限定するものではなく、他の通電モード(1),(2),(4)〜(6)のいずれか1つを選択することができる。
ここで、通電モード(1)では330degの初期位置に位置決めし、通電モード(2)では30degの初期位置に位置決めし、通電モード(4)では150degの初期位置に位置決めし、通電モード(5)では210degの初期位置に位置決めし、通電モード(6)では270degの初期位置に位置決めすることになる。
ステップS201で、ブラシレスモータ2を初期位置に位置決めするための相通電を行うと、次のステップS202では、ステップS201での相通電状態を、ブラシレスモータ2が初期位置まで回動するのに要する時間に相当する設定時間tSLだけ継続したか否かを判断する。
そして、位置決め処理のための通電開始から設定時間tSLが経過すると、実際にブラシレスモータ2が初期位置にまで回転したものと推定して、起動動作に移行させるようにする。
以上、ステップS102における位置決め処理の内容を例示したが、位置決め処理としては、公知の種々の処理を適宜採用できることは明らかである。
ステップS102で初期位置への位置決めを行うと、次のステップS103では、初期位置からブラシレスモータ2を起動させるための最初の通電モードへの切り替えを行う。
起動時の通電モードの切り替えパターンとしては、例えば、位置決めに用いた通電パターンの次の通電モードを1つ飛ばした通電モードに切り替えることができる。
ここで、通電モード(3)に対応する印加電圧を各相に加えた状態を保持させ、90degの位置に位置決めした場合には、通電モード(4)を飛ばして、通電モード(3)から通電モード(5)に切り替えることで、ブラシレスモータ2を起動させる。その後、通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えタイミングである150degの角度位置になっていることが、非通電相に発生する電圧(誘起電圧)と、通電モード(5)におけるモード切り替えタイミングを判定するための閾値との比較に基づいて検出されると、次の通電モード(6)に切り替え、その後、通電モード(6)→(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→・・・と順次切り替えて、ブラシレスモータ2を駆動させる。
図8は、位置決め用として用いた通電モード(3)から通電モード(5)に切り替えてブラシレスモータ2を起動させる制御を行った場合における、ブラスレスモータ2の回転位置と、非通電相に発生する電圧との相関を示す。
まず、図8(A)に示すように、通電モード(3)に対応する印加電圧を各相に加えた状態を設定時間tSLだけ継続させることで、90degの初期位置に位置決めする。
そして、設定時間tSLが経過した時点で通電モード(5)に切り替えると、図8(B)に示すように、励磁磁束角度が210degに切り替わることで、90degの初期位置から図8で反時計回りの正回転方向にブラスレスモータ2を回転させるトルクが発生する。
90degの初期位置から正回転方向にブラスレスモータ2が回転することで、角度位置150degになり、この150degになったことが、通電モード(5)における非通電相の電圧と、通電モード(5)におけるモード切り替えタイミングを判定するための閾値との比較に基づき検出されると、図8(C)に示すように、次の通電モード(6)への切り替えを実施する。
以後、通電モード(6)→通電モード(1)→通電モード(2)→・・・と順次切り替えることで、ブラシレスモータ2が駆動される。
ところで、図9に示すように、例えば、通電モード(3)に対応する印加電圧を各相に加えることで、図9で時計回りの逆回転方向にブラシレスモータ2が回転して初期位置の90degに近づく場合に、慣性によって初期位置を通り越すことがある。
この初期位置を通り越して逆回転しているときに、ブラシレスモータ2を起動させるべく、図9(B)に示すように、通電モード(5)に切り替えてしまうと、通電モード(5)における励磁磁束角度である210degに向けて逆回転のまま近づき、慣性が大きくかつ負荷が小さい条件下では、図9(C)に示すように、更に通電モード(6)に切り替えても、通電モード(6)における励磁磁束角度である270degに向けて逆回転のまま近づき、逆回転が継続して回転方向が修正されない場合がある。
上記のようにして、ブラシレスモータ2が逆回転すると、電動オイルポンプ1も逆回転し、所望の吐出流量、吐出圧を得られなくなって、油圧ポンプシステムの動作に不具合を生じる。
そこで、図5のフローチャートのステップS103において、起動のために通電モードの切り替えを行うと、次のステップS104では、通電モード毎の逆転判定用閾値REと、そのときの通電モードにおける非通電相に発生する電圧(誘起電圧)とを比較することで、ブラシレスモータ2が逆回転しているか否かを判定する。
例えば、通電モード(3)で初期位置への位置決めを行い、通電モード(3)から通電モード(5)に切り替えてブラシレスモータ2を起動させる場合、通電モード(5)における非通電相であるV相の電圧は、各角度位置に対して図10に示すように変化する。
ここで、通電モード(3)によって90degに位置決めし、通電モード(5)に切り替えることでブラシレスモータ2が正回転する場合には、90degから210degに向けて回転し、通電モード(6)への切り替えタイミングである150degの位置に至ることになる。
そこで、通電モード(5)における150degの位置での非通電相の電圧(マイナスの電圧)を、通電モード(5)におけるモード切り替え判定を行う閾値として予め設定しておく。そして、通電モード(5)の状態で、非通電相の電圧が閾値よりも低くなると、そのときの角度位置が150degであって、次の通電モード(6)への切り替えタイミングであると判断し、通電モード(6)への切り替えを実行させるようにする。
一方、通電モード(3)から通電モード(5)に切り替えた場合に、ブラシレスモータ2が逆回転すると、回転位置が90deg→30deg→0deg→330deg→270degと変化し、330deg付近までは、非通電相の電圧は大きな変化を示さないが、非通電相であるV相の電圧は270deg直後にプラス側の最大値を示す。
そこで、通電モード(5)では、270deg付近で発生する電圧(プラスの電圧)を、逆転判定用閾値REとして予め設定する。
尚、通電モード(1)では30deg付近、通電モード(3)では150deg付近で発生する電圧(プラスの電圧)を、逆転判定用閾値REとして予め設定する。また、通電モード(2)では90deg付近、通電モード(4)では210deg付近、通電モード(6)では330deg付近で発生する電圧(マイナスの電圧)を逆転判定用閾値REとして予め設定する。
ここで、通電モード(5)での正回転時であれば、非通電相の電圧が逆転判定用閾値REを上回る前に、非通電相の電圧が閾値を下回ることになる。一方、通電モード(5)での逆回転時であれば、非通電相の電圧が閾値を下回る前に、非通電相の電圧が逆転判定用閾値REを上回ることになるから、最初にどちらの閾値を横切ったかによって、正回転しているか、逆回転しているかを判別することができる。
換言すれば、例えば、通電モード(3)で初期位置に位置決めし、通電モード(3)から通電モード(5)に切り替えて起動させる場合、通電モード(5)で正回転していれば、通電モード(6)への切り替え判定が行われる前に、逆転判定用閾値REをプラス側の最大電圧とする範囲を外れて、非通電相の電圧が高くなることはなく、前記範囲を外れて非通電相の電圧が高くなれば、ブラスレスモータ2が逆回転しているものと推定できる。
また、例えば、通電モード(6)では、図11に示すように、通電モード(1)への切り替えタイミングである210deg付近で発生する電圧(プラスの電圧)を、通電モード(6)におけるモード切り替え判定を行う閾値6-1に設定する。そして、通電モード(6)において非通電相の電圧が閾値6-1よりも高くなれば、210degの位置であると判断して、通電モード(1)に切り替える。
一方、通電モード(6)で、ブラシレスモータ2が逆回転した場合には、非通電相の電圧が閾値6-1を上回るようになる前に、非通電相の電圧が330deg付近で大きくマイナス側に振れるので、330deg付近で発生する電圧(マイナスの電圧)を、逆転判定用閾値REとして予め設定する。
同様にして、通電モード毎に通電モードの切り替えタイミングを判断するための閾値、及び、逆転判定用閾値REが設定される。
尚、次の通電モードの切り替えタイミングの判定用の閾値として、通電モード(1)、(3)、(5)に共通の値を設定し、通電モード(2)、(4)、(6)に共通の値を設定することができる。同様に、逆転判定用閾値REとして、通電モード(1)、(3)、(5)に共通の値を設定し、通電モード(2)、(4)、(6)に共通の値を設定することができる。
図5のフローチャートのステップS104では、そのときの通電モードでの非通電相の電圧が、通電モード(1)、(3)、(5)の場合には、逆転判定用閾値REよりも高いか否かを判断し、通電モード(2)、(4)、(6)の場合には、逆転判定用閾値REよりも低いか否かを判断する。そして、通電モード(1)、(3)、(5)の場合、逆転判定用閾値REよりも高い場合にブラシレスモータ2が逆回転していると判断し、通電モード(2)、(4)、(6)の場合、逆転判定用閾値REよりも低い場合にブラシレスモータ2が逆回転していると判断する。
尚、非通電相の電圧の絶対値が逆転判定用閾値REの絶対値よりも大きい状態を設定回数以上連続して検出した場合に、逆回転を判定することができる。
そして、逆回転していると推定した場合には、ステップS105へ進んで、ブラシレスモータ2への通電を一旦停止してブラシレスモータ2の回転を停止させ、その後、ステップS102の位置決め処理に戻って、起動処理のやり直し(再起動)を実施し、ブラシレスモータ2を正回転させるようにする。
従って、ブラシレスモータ2が逆回転している状態のままに放置されることを抑制して、ブラシレスモータ2を正回転方向に駆動することができる。従って、油圧ポンプシステムでは、エンジンの一時停止状態で、変速機7やアクチェータ8などに、所望の流量、圧力で作動油を供給できるようになる。
ここで、ブラシレスモータ2を逆回転させてしまった原因は、初期位置に収束する前の逆回転中に通電モードの切り替えを行ったためであると推定できる。そこで、ステップS102の位置決め処理に戻る前に、ステップS106では、初期位置に位置決めするために、1つの通電モードに保持させる設定時間tSLを、前回(逆回転発生時)よりも長くし、位置決め処理における逆回転中に通電モードが切り替えられてしまうことを抑制する。これにより、再起動処理において、再び逆回転させてしまうことを抑制できる。
尚、再起動を設定回数だけ繰り返しても、ブラシレスモータ2が正回転しない場合には、故障判定を行って、モータの起動を禁止することができる。
ステップS104で逆回転を判定しなかった場合には、ステップS107へ進み、そのときの通電モードから次の通電モードへの切り替えタイミングの判定に用いる閾値と非通電相の電圧(誘起電圧)とを比較することで、モードの切り替えタイミングであるか否かを判断する。
そのときの通電モードにおいてブラシレスモータ2が逆回転しているものの、逆転判定用閾値REに基づく逆回転判定に至っていない場合には、ステップS104及びステップS107でNOの判定がなされることでステップS104へ戻り、逆転判定用閾値REに基づく逆回転判定がなされたときに、ステップS105へ進むことになる。
一方、そのときの通電モードにおいてブラシレスモータ2が正回転していれば、ステップS104でNOと判定され、ステップS107へ進む処理を繰り返し、通電モードの切り替えタイミングにおいてステップS107でYESと判定されて、ステップS108以降へ進むことになる。
位置決め処理の通電モードから通電モードを切り替えた状態でモータが正回転している場合には、その後に回転方向が反転して逆回転状態になることは殆どないものと想定されるので、以後は、ステップS107での通電モードの切り替えタイミングの判断と、ステップS108での通電モードの切り替えを繰り返すことで、所謂センサレスでの駆動制御を継続する。
ステップS109では、モータ回転速度が設定速度以上に高くなったか否かを判断し、モータ回転速度が設定速度以上になると、回転子が回転することによって発生する誘起電圧である速度起電力のゼロクロスポイントで通電モードを切り替える、センサレス制御(高速センサレス制御)に移行する。
前記設定速度は、速度起電力が低下することで、速度起電力に基づき正確な位置情報が得られなくなる低速域と、速度起電力が十分に高く、速度起電力に基づき正確な位置情報が得られる高速域とを分ける閾値である。
そして、前記設定速度未満の低速域では、速度起電力に基づき位置情報を得て通電モードの切り替えを行わせると、モータが脱調する可能性があるので、非通電相に発生する回転子の位置に応じた誘起電圧に基づき位置情報を得て通電モードの切り替えタイミングを決定する低速センサレス制御を行わせる。
一方、前記設定速度以上の高速域では、速度起電力のゼロクロスポイントに基づき、高い感度で位置情報を得られるので、速度起電力に基づき位置情報を得て通電タイミングを切り替える高速センサレス制御を行わせる。
ステップS109で、モータ回転速度が設定速度以上に高いと判断すると、ステップS110へ進み、速度起電力が基準電圧(中性点電位)である0Vを横切ったか否かを判断し、速度起電力が基準電圧である0Vを横切ったゼロクロスポイントにおいて、ステップS111へ進んで、通電モードの切り替えを行う。
ところで、非通電相に発生する誘起電圧は、モータの温度条件でその振幅が変化し、高温時には振幅が小さく(電圧の絶対値の最大値が小さく)、低温時時には高温時に比べてより振幅が大きくなる(電圧の絶対値の最大値がより大きくなる)。
そのため、逆回転判断に用いる逆転判定用閾値REを、高温時に適合させると、振幅が大きくなる低温時に、正回転状態であるにも関わらず、逆転判定用閾値REを非通電相の電圧が横切ってしまい、逆回転状態であると誤判定する可能性がある。逆に、逆転判定用閾値REを、低温時に適合させると、振幅が小さくなる高温時に、逆回転状態であるにも関わらず、逆転判定用閾値REを非通電相の電圧が横切らず、逆回転を検出できなくなってしまう場合がある。
図12は、一例として、通電モード(5)における温度条件の違いによる非通電相の電圧の変化を示す。
この図12に示すように、非通電相の電圧の振幅が小さくなる高温時に、逆回転を検知できるように、逆転判定用閾値REを適合し、係る高温時に適合する逆転判定用閾値REを低温時にも用いるとする。
すると、非通電相の電圧の振幅が大きくなる低温時に、初期位置の90degの位置で通電モード(5)に切り替えたときに、非通電相の電圧が逆転判定用閾値REを上回っていることで、モータが逆回転していると判定されることになってしまう。
係る誤判定を抑制するための方法としては、逆転判定用閾値REを、モータ温度毎に予め設定しておき、そのときのモータ温度に応じて逆転判定用閾値REを選択する方法がある。
また、逆転判定用閾値REを、温度が高い条件(例えば、最大温度時)に適合する固定値とする一方で、非通電相の電圧が基準電圧(中性点電位)である0Vを横切ったこと(ゼロクロス)を検知した後に、非通電相の電圧が逆転判定用閾値REよりも高い(若しくは低い)と判定したときに、逆回転状態であると判断させることで、低温時に、正回転を逆回転であると誤判定することを抑制できる。
図13に示すように、初期位置である90degで通電モード(5)に切り替えたときに、非通電相の電圧が、逆転判定用閾値REを上回っていたとしても、切り替え後にゼロクロスを検知していないので、ゼロクロスの検知を逆回転判定の前提条件とすれば、ここで、逆回転の判定がなされてしまうことを抑制できる。そして、モータが正回転していれば、非通電相の電圧が再度逆転判定用閾値REを上回るようになる前に、通電モード(6)への切り替え判定がなされることになる。
一方、モータが逆回転している場合、図13に示す例では、30degの位置でゼロクロスが検知され、その後、非通電相の電圧が逆転判定用閾値REを上回ることで、逆回転していることが検知される。
上記の場合、逆転判定用閾値REを温度が高い条件に適合する固定値として、逆転判定用閾値REの適合を簡易としつつ、低温状態においても誤判定を抑制できる。
尚、ゼロクロスを検知した後であることを逆回転判定の前提条件とする場合のゼロクロスは、基準電圧である0V近傍の電圧を経験したことを判断するためのものであり、0V近傍(0Vを除く)に設定した電圧を横切ったか否か、若しくは、0Vを含む電圧範囲内の電圧を経験したか否かなどを判断させることができる。
また、通電モードを切り替えた直後の非通電相の電圧が、逆転判定用閾値REよりも高いか若しくは低いことで、逆回転を誤判定してしまうことの対策としては、以下のような手段がある。
即ち、通電モードを切り替えた直後の非通電相の電圧を検出し、この検出電圧に余裕分ΔVを加算した電圧(余裕分だけ0Vからより離れる電圧)を、逆転判定用閾値REとして設定する。係る構成とすれば、モード切り替え直後の電圧レベルで逆回転が判定されることを抑制でき、逆回転によって、モード切り替え直後よりもより高い(又はより低い)電圧になった時点で逆回転を判定させることができる。
また、基本の逆転判定用閾値REを予め記憶しておき、通電モードを切り替えた直後の非通電相の電圧を検出し、この検出電圧に余裕分ΔVを加算した電圧の絶対値が、基本の逆転判定用閾値REの絶対値よりも大きくなった場合に、逆転判定用閾値REを、検出電圧+ΔVに切り替えることができる。
また、回路のばらつきやブラシレスモータ2のばらつきによって、非通電相の電圧の検出値がばらつき、逆転判定用閾値REに基づく逆回転判定の精度が低下することを抑制するために、逆転判定用閾値REを学習することができる。
ここで、通電モード(1)では、30degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとし、通電モード(2)では、90degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとし、通電モード(3)では、150degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとし、通電モード(4)では、210degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとし、通電モード(5)では、270degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとし、通電モード(6)では、330degにおける非通電相の電圧を逆転判定用閾値REとする。
そして、例えば、通電モード(1)のときに逆回転判定に用いる逆転判定用閾値REを学習させる場合には、図14に示すように、まず、通電モード(2)による継続通電によって30degに位置決めし、この状態から通電モード(1)に切り替えた直後の非通電相の電圧を、通電モード(1)での30degの位置の電圧として検出し、この検出した電圧に基づいて通電モード(1)のときに逆回転判定に用いる逆転判定用閾値REを更新させる。
また、ゼロクロスの検知を逆回転判別の前提条件とする場合に、非通電相の電圧の検出値が、プラス方向又はマイナス方向にシフトするオフセットが発生していると、図15に示すように、ゼロクロスを検知できず、逆回転しているのに逆回転を判別できなくなる場合がある。そこで、オフセットに対して閾値や非通電相の電圧検出値などを補正することで、オフセットが生じてもゼロクロスを検知できるようにする。
具体的には、まず、オフセット電圧(電圧検出値のシフト分)を以下のようにして算出する。
「通電モード(1)、(3)、(5)の場合」
オフセット電圧=逆転判定用閾値RE−|逆転判定用閾値RE−モード切替閾値|/2
「通電モード(2)、(4)、(6)の場合」
オフセット電圧=モード切替閾値−|モード切替閾値−逆転判定用閾値RE|/2
尚、オフセット電圧の算出に用いる逆転判定用閾値RE及びモード切替閾値は、いずれも実際の電圧検出値に基づき更新された学習値であるものとする。例えば、通電モード(5)であれば、270degの位置で検出された電圧に基づき学習した逆転判定用閾値RE、及び、150degの位置で検出された電圧に基づき学習したモード切り替え判定用閾値に基づいて、オフセット電圧を算出する。
そして、上式に従って算出したオフセット電圧に基づき、相電圧の検出値を補正するか、又は、閾値(学習値)を補正する。
相電圧検出値=相電圧検出値−オフセット電圧
モード切替閾値=モード切替閾値−オフセット電圧
逆転判定用閾値RE=逆転判定用閾値RE−オフセット電圧
モード切替閾値の学習は、一例として、以下のようにして行われる。
例えば、通電モード(4)から次の通電モードへの切り替え判定に用いる閾値V4-5を学習する場合には、まず、モータ2を通電モード(3)に対応する角度に位置決めする。
通電モード(3)に対応する印加電圧、即ち、Vu=0、Vv=Vin、Vw=−Vinを各相に加えると、U相,V相及びW相の合成磁束に永久磁石回転子216が引かれることでトルクが発生し、永久磁石回転子216のN極が、角度90degまで回転することになる。
そして、通電モード(3)に対応する電圧印加を行ってから、回転子216が角度90degまで回転するのに要する時間の経過を待って、角度90degへの位置決めが完了したものと推定する。
角度90degへの回転子216の位置決めが完了すると、次いで、通電モード(3)に対応する電圧印加パターンから、通電モード(4)に対応する電圧印加パターン、即ち、Vu=−Vin、Vv=Vin、Vw=0に切り替える。
そして、通電モード(3)に対応する印加電圧から通電モード(4)に対応する印加電圧に切り替えた直後における、通電モード(4)での非通電相であるW相の端子電圧Vwを検出し、該端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から次の通電モードへの切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。
即ち、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えは、前述のように、角度90degで行わせるように設定されていて、角度90degになったか否か、換言すれば、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えタイミングになったか否かは、通電モード(4)における非通電相であるW相の端子電圧Vwに基づいて判断する。
ここで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させることで、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行う角度位置(90deg)に位置決めすることができ、係る状態で通電モード(3)から通電モード(4)に切り替えれば、通電モード(4)に切り替えた直後のW相の端子電圧Vwは、角度位置90degにおける非通電相の端子電圧Vを示すことになる。
そこで、通電モード(3)に対応する印加電圧を継続させている状態から通電モード(4)に切り替えた直後におけるW相の端子電圧Vwに基づき、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替え判定に用いる閾値V4-5を更新して記憶する。そして、通電モード(4)の非通電相であるW相の端子電圧Vwが、閾値V4-5に至ったときに、通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを実行させるようにする。
他の通電モードの切り替えに用いる閾値も同様にして、更新学習を行える。
尚、閾値の更新処理においては、通電モードの切り替えを行う角度位置での非通電相の端子電圧Vを、そのまま閾値として記憶させても良いし、また、前回までの閾値と、今回求めた非通電相の端子電圧Vとの加重平均値を新たな閾値として記憶させても良いし、更に、過去複数回にわたって求めた非通電相の端子電圧Vの移動平均値を、新たな電圧閾値として記憶させても良い。
また、今回求めた非通電相の端子電圧Vが、予め記憶している正常範囲内の値であれば、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を行い、前記正常範囲から外れている場合には、今回求めた非通電相の端子電圧Vに基づく閾値の更新を禁止し、閾値を前回値のまま保持させるとよい。
また、閾値の初期値として設計値を記憶させておき、閾値の学習を1度も経験していない未学習状態では、閾値として初期値(設計値)を用いて通電モードの切り替えタイミングを判断させるようにする。
また、非通電相の電圧が基準電圧に対してマイナス側に振れる(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)の通電モード切替において共通の閾値を設定し、非通電相の電圧が基準電圧に対してプラス側に振れる、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)の通電モード切替において共通の閾値を設定することができる。
更に、例えば、前述のようにして学習した閾値V4-5を、(2)→(3)、(4)→(5)、(6)→(1)の通電モード切替において共通の閾値とし、(1)→(2)、(3)→(4)、(5)→(6)の通電モード切替においては、閾値V4-5と絶対値が同じ閾値を共通の閾値として用いることができる。
但し、閾値の学習手段を上記のものに限定するものではなく、公知の種々の学習処理を適宜採用できる。
ところで、ブラシレスモータ2の回転速度が目標回転速度に達しない場合にモータ駆動系の故障を診断する場合、ブラシレスモータ2が逆回転していることで、回転速度が上昇しない場合も、駆動系の故障と判断される可能性がある。しかし、上記のようにして逆回転を検出できれば、逆回転によって回転速度が上昇しない場合に、これを駆動系の故障として誤検知することを抑制できる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)前記ブラシレスモータの起動時に、前記ブラシレスモータの位置決めを行うための通電時間を、逆回転を判定した後の再起動時には、逆回転判定前よりも長い時間とする、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、位置決め処理で逆回転している状態で、起動が開始されてしまうことが抑制され、再起動時に再び逆回転してしまうことを抑制できる。
(ロ)前記通電モードの切り替え直後の非通電相の電圧に基づき前記範囲を設定する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、非通電相の電圧の振幅が大きい場合であっても、切り替え直後の非通電相の電圧に基づき、逆回転が誤判定されることを抑制できる。
(ハ)前記ブラシレスモータの温度に応じて、逆回転を判定する電圧範囲を変更する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、ブラシレスモータの温度の変化によって、非通電相の電圧の振幅(レベル)が変化しても、逆回転が誤判定されることを抑制できる。
(ニ)前記ブラシレスモータの第1角度位置での非通電相の電圧を、逆回転を判定する電圧範囲を規定する第1閾値として学習する、請求項1〜3のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、モータや回路のばらつきによって非通電相の電圧の検出値にばらつきが生じても、逆回転の有無を精度よく判定することができる。
(ホ)前記ブラシレスモータの第2角度位置での非通電相の電圧を、前記通電モードの切り替え判定に用いる第2閾値として学習し、前記第1閾値と前記第2閾値とに基づいて、前記非通電相の電圧検出値のオフセットを検出し、
前記オフセットに基づいて前記非通電相の電圧検出値、前記第1閾値、前記第2閾値のうちの少なくとも1つを補正する、請求項(ニ)記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、非通電相の電圧検出値が所期値からずれるオフセットが生じても、係るオフセット分を補正して、通電モードの切り替え、逆回転の判定、更に、ゼロクロスの検出などを精度よく行える。
(ヘ)前記ブラシレスモータに対し、前記通電モードのうちの1つに従って通電することで、前記第1角度位置に位置決めし、前記第1閾値を学習させる通電モードに切り替えた直後における非通電相の電圧に基づいて前記第1閾値を更新する、請求項(ニ)記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、逆回転を判定する電圧範囲を規定する第1閾値を、精度よく学習して、各種のばらつきがあっても、逆回転を精度よく検出できる。
(ト)前記基準電圧が中性点の電位であり、この中性点の電位を0Vとして、非通電相の電圧を検出し、
前記通電モードの切り替え後に前記非通電相の電圧が一旦0Vになってから、前記非通電相の電圧に基づき逆回転しているか否かを判定する、請求項2記載のブラシレスモータの駆動装置。
上記構成によると、前記通電モードの切り替え後に、所謂ゼロクロスを検出してから、非通電相の電圧が通電モードに応じた範囲を外れているか否かに基づき逆回転の有無を判定する。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御器、215U,215V,215W…巻線、216…永久磁石回転子、217a〜217f…スイッチング素子、251…PWM発生器、252…ゲート信号切替器、253…通電モード決定器、254…比較器、255…電圧閾値切替器、256…非通電相電圧選択器

Claims (3)

  1. ブラシレスモータの複数相のうちで通電する相を選択する通電モードを、非通電相の電圧に基づいて順次切り替えるブラシレスモータの駆動装置であって、
    前記ブラシレスモータの起動時に、非通電相の電圧が前記通電モードに応じた範囲を外れた場合に、前記ブラスレスモータの逆回転を判定する、ブラシレスモータの駆動装置。
  2. 前記通電モードの切り替え後に前記非通電相の電圧が一旦基準電圧になってから、前記非通電相の電圧に基づき逆回転しているか否かを判定する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
  3. 前記逆回転を検出した場合は、前記ブラシレスモータの停止後に再起動する、請求項1又は2記載のブラシレスモータの駆動装置。
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