WO2014156847A1 - ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法 - Google Patents
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- H02P6/06—Arrangements for speed regulation of a single motor wherein the motor speed is measured and compared with a given physical value so as to adjust the motor speed
Definitions
- the present invention has been made in view of the above problems, and an object of the present invention is to provide a driving device and a driving method capable of driving a brushless motor at a low rotational speed while suppressing occurrence of step-out.
- the rotor position information is obtained based on the pulse induced voltage induced in the non-energized phase by applying the pulsed voltage to the energized phase. Since the voltage fluctuates, the switching timing of the energization mode cannot be detected correctly.
- the rotational torque directed to the 90 deg angular position when the third energization mode (3) is set is maximized when the N pole of the rotor shown in FIG. 11B is at the 0 deg position.
- switching to the fourth energization mode (4) is performed after 30 deg.
- the third energization is performed at an angular position of 15 deg shown in FIG.
- Switching from the mode (3) to the fourth energization mode (4) is performed.
- a torque for rotating the N pole of the rotor shown in FIG. 11D toward the angular position of 150 deg is generated.
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Abstract
本発明は、パルス電圧を印加する相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えるブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法に関する。本発明に係る駆動装置及び駆動方法では、矩形波駆動方式によってモータ回転速度を目標回転速度まで低下させることができなくなると、ブラシレスモータの位置情報の検出をパルス毎に毎回行うのではなく間引いて行う間引き制御に移行する。間引き制御では、位置情報の検出を行わない周期のときに、位置情報の検出に必要な下限値Dminを下回るデューティ比に設定する。更に、間引き制御によってもモータ回転速度を目標回転速度まで低下させることができなくなると、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角する。
Description
本発明は、ブラシレスモータの駆動装置及び駆動方法に関し、3相ブラシレスモータをセンサレスで駆動する駆動装置及び駆動方法に関する。
特許文献1には、3相同期電動機において、パルス電圧によって誘起される非通電相の誘起電圧、換言すれば、パルス誘起電圧を検出し、この誘起電圧と基準電圧とを比較し、該比較の結果に応じて通電モードを順次切り替えていく、同期電動機の駆動システムが開示されている。
ところで、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス状の電圧を2相に印加している間において検出するが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、パルス電圧のデューティ比が小さいと、前記振れ期間内でパルス誘起電圧をサンプリングしてしまい、これによってパルス誘起電圧を誤検出し、通電モードの切り替えタイミングを誤判定してしまう可能性があった。
また、非通電相のパルス誘起電圧は、パルス電圧のデューティ比によって大きさが変化し、デューティ比が小さいと、電圧検出の分解能を下回る電圧になってしまい、通電モードの切り替えタイミングの判定が不能になってしまう可能性があった。
一方で、モータの回転速度を低下させるためには、デューティ比を小さくする必要があるため、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度を低下させることが困難であった。
一方で、モータの回転速度を低下させるためには、デューティ比を小さくする必要があるため、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度を低下させることが困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、脱調の発生を抑制しつつ、ブラシレスモータを低回転速度で駆動できる駆動装置及び駆動方法を提供することを目的とする。
そのため、本発明に係る駆動装置では、ブラシレスモータの3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替える通電制御部と、前記通電制御部がパルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを、モータ回転速度の低下に応じて進角する進角制御部と、を備えるようにした。
また、本発明に係る駆動方法では、ブラシレスモータの3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替え、前記パルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを、モータ回転速度の低下に応じて進角するようにした。
また、本発明に係る駆動方法では、ブラシレスモータの3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替え、前記パルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを、モータ回転速度の低下に応じて進角するようにした。
上記発明によると、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角すると、同じデューティ比でのモータトルクが減ってモータ回転速度が低下するので、脱調の発生を抑制しつつモータ回転速度をより低下させることが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、ブラシレスモータの駆動装置の適用例として、自動車用の自動変速機の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムは、変速機構7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジンの出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
図1は、ブラシレスモータの駆動装置の適用例として、自動車用の自動変速機の油圧ポンプシステムを示すブロック図である。
図1に示す油圧ポンプシステムは、変速機構7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジンの出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
そして、電動オイルポンプ1は、例えば、エンジンがアイドルストップによって停止されたときに作動され、変速機構7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、アイドルストップ中における油圧の低下を抑制する。
電動オイルポンプ1は、ブラシレスモータ2により駆動され、ブラシレスモータ2は、モータ制御装置3により、AT制御装置4からの指令に基づいて制御される。モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動する駆動装置である。
電動オイルポンプ1は、ブラシレスモータ2により駆動され、ブラシレスモータ2は、モータ制御装置3により、AT制御装置4からの指令に基づいて制御される。モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を駆動する駆動装置である。
ブラシレスモータ2で駆動される電動オイルポンプ1は、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機構7やアクチュエータ8に供給する。
エンジン運転中は、エンジンで駆動される機械式オイルポンプ6が作動し、機械式オイルポンプ6から変速機構7やアクチェータ8に対してオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2は停止状態であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
エンジン運転中は、エンジンで駆動される機械式オイルポンプ6が作動し、機械式オイルポンプ6から変速機構7やアクチェータ8に対してオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2は停止状態であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
一方、エンジンがアイドルストップによって一時的に停止すると、機械式オイルポンプ6が停止し、オイル配管9内の油圧が低下するので、エンジンがアイドルストップによって停止するときに、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に送信する。
モータ起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
モータ起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
そして、機械式オイルポンプ6の吐出圧が低下する一方で、電動オイルポンプ1の吐出圧が設定圧を越えると、逆止弁11が開弁し、オイルは、オイル配管5、電動オイルポンプ1、逆止弁11、変速機構7、アクチェータ8、オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
なお、上記の自動車用自動変速機の油圧ポンプシステムは、ブラシレスモータを適用するシステムの一例であり、ブラシレスモータをアクチュエータとして用いる種々のシステムに本願発明に係る駆動装置を適用することができる。
例えば、ブラシレスモータは、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータとすることができ、ブラシレスモータが駆動する機器をオイルポンプに限定するものではなく、また、ブラシレスモータを自動車に搭載されるモータに限定するものではない。
例えば、ブラシレスモータは、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータとすることができ、ブラシレスモータが駆動する機器をオイルポンプに限定するものではなく、また、ブラシレスモータを自動車に搭載されるモータに限定するものではない。
図2は、ブラシレスモータ2及びモータ制御装置3の一例を示す回路図である。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータであり、U相、V相及びW相の3相巻線215u、215v、215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子216を回転可能に備える。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、マイクロコンピュータを備えた制御器213とを備え、制御器213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータであり、U相、V相及びW相の3相巻線215u、215v、215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子216を回転可能に備える。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a-218fを含んでなるスイッチング素子217a-217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有しており、スイッチング素子217a-217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a-217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、制御器213は、スイッチング素子217a-217fのオン、オフをパルス幅変調PWMによって制御する。
スイッチング素子217a-217fの制御端子(ゲート端子)は、制御器213に接続され、制御器213は、スイッチング素子217a-217fのオン、オフをパルス幅変調PWMによって制御する。
モータ制御装置3によるブラシレスモータ2の駆動制御は、回転子の位置情報を検出するセンサを用いないセンサレスで行われ、更に、モータ回転速度に応じて、正弦波駆動方式と矩形波駆動方式とを切り替える。
正弦波駆動方式は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ2を駆動する方式である。
モータ制御装置3は、正弦波駆動方式において、回転子が回転することによって発生する誘起電圧、つまり、速度起電圧から回転子の位置情報を得る。また、モータ制御装置3は、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づき回転子位置を推定し、推定した回転子位置とPWMデューティとから、3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して、3相交流電流を流す。
正弦波駆動方式は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ2を駆動する方式である。
モータ制御装置3は、正弦波駆動方式において、回転子が回転することによって発生する誘起電圧、つまり、速度起電圧から回転子の位置情報を得る。また、モータ制御装置3は、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づき回転子位置を推定し、推定した回転子位置とPWMデューティとから、3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して、3相交流電流を流す。
また、矩形波駆動方式は、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターン(通電モード)を所定の切り替えタイミングに従って順次切り替えることでブラシレスモータ2を駆動する方式である。
モータ制御装置3は、矩形波駆動方式において、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相の誘起される電圧、つまり、パルス誘起電圧から回転子の位置情報を得て、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
ここで、正弦波駆動方式において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動方式において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転域においても位置情報を検出できる出力レベルを維持する。
モータ制御装置3は、矩形波駆動方式において、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相の誘起される電圧、つまり、パルス誘起電圧から回転子の位置情報を得て、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
ここで、正弦波駆動方式において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動方式において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転域においても位置情報を検出できる出力レベルを維持する。
そこで、設定値よりもモータ回転速度が高く、正弦波駆動方式で位置情報を十分な精度で検出できる高回転領域では、モータ制御装置3は、正弦波駆動方式でブラシレスモータ2を駆動する。
一方、前記設定値よりもモータ回転速度が低く、正弦波駆動方式では十分な精度で位置情報を検出できない低回転領域では、モータ制御装置3は、矩形波駆動でブラシレスモータ2を駆動する。
なお、前記低回転領域には、ブラシレスモータ2の起動状態が含まれる。
そして、モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2のPWM制御において、モータ回転速度の検出値と目標モータ回転速度との偏差に応じてPWM制御のデューティ比を決定することで、実際のモータ回転速度を目標モータ回転速度に近づける。
一方、前記設定値よりもモータ回転速度が低く、正弦波駆動方式では十分な精度で位置情報を検出できない低回転領域では、モータ制御装置3は、矩形波駆動でブラシレスモータ2を駆動する。
なお、前記低回転領域には、ブラシレスモータ2の起動状態が含まれる。
そして、モータ制御装置3は、ブラシレスモータ2のPWM制御において、モータ回転速度の検出値と目標モータ回転速度との偏差に応じてPWM制御のデューティ比を決定することで、実際のモータ回転速度を目標モータ回転速度に近づける。
以下では、本発明の特徴である、ブラシレスモータ2の矩形波駆動制御について詳述する。
制御器213は、通電モードの切り替えタイミングを判定するためのパルス誘起電圧の閾値を変更することで、切り替えタイミングを進角し、切り替えタイミングの進角によってモータ回転速度を低下させる機能を有している。
制御器213は、通電モードの切り替えタイミングを判定するためのパルス誘起電圧の閾値を変更することで、切り替えタイミングを進角し、切り替えタイミングの進角によってモータ回転速度を低下させる機能を有している。
更に、制御器213は、上記の進角制御機能と共に、位置情報の検出頻度を低下させることで、パルス毎に位置情報の検出を行わせる場合に比べて平均デューティ比を低下させてモータ回転速度を低下させる機能を有する。
そして、制御器213は、目標回転速度若しくは実モータ回転速度の低下に応じて、前記切り替えタイミングの進角制御及び平均デューティ比を低下させる制御を実施することで、ブラスレスモータ2の回転速度の制御域をより低回転側に拡大する。
そして、制御器213は、目標回転速度若しくは実モータ回転速度の低下に応じて、前記切り替えタイミングの進角制御及び平均デューティ比を低下させる制御を実施することで、ブラスレスモータ2の回転速度の制御域をより低回転側に拡大する。
図3のフローチャートは、制御器213によって実施される矩形波駆動制御のプロセスの一例を示す。尚、図3のフローチャートに示すルーチンは、所定微小時間毎に制御器213によって実行される。
まず、ステップS301で、制御器213は、矩形波駆動のパルス毎にパルス誘起電圧の検出を行う。そして、制御器213は、パルス誘起電圧の検出値と、通電モードの切り替えタイミングに相当する設定電圧とを比較し、パルス誘起電圧の検出値が設定電圧を横切ったときに通電モードの切り替えを行う。つまり、制御器213は、矩形波駆動制御でブラシレスモータ2を駆動する。
なお、このステップS301での矩形波駆動制御を、以下では、標準の矩形波駆動制御と称する。
まず、ステップS301で、制御器213は、矩形波駆動のパルス毎にパルス誘起電圧の検出を行う。そして、制御器213は、パルス誘起電圧の検出値と、通電モードの切り替えタイミングに相当する設定電圧とを比較し、パルス誘起電圧の検出値が設定電圧を横切ったときに通電モードの切り替えを行う。つまり、制御器213は、矩形波駆動制御でブラシレスモータ2を駆動する。
なお、このステップS301での矩形波駆動制御を、以下では、標準の矩形波駆動制御と称する。
ステップS302で、制御器213は、標準の矩形波駆動制御によってブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であるか否かを判定する。
標準の矩形波駆動制御によってブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態とは、パルス幅変調(PWM)信号のデューティ比D(%)を下限値Dminまで低下させても、モータトルクが過剰で、モータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態を維持してしまう状態である。
標準の矩形波駆動制御によってブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態とは、パルス幅変調(PWM)信号のデューティ比D(%)を下限値Dminまで低下させても、モータトルクが過剰で、モータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態を維持してしまう状態である。
ここで、前述の下限値Dminについて詳述する。
矩形波駆動方式では、前述のように、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づき回転子の位置情報を得るが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、通電モードの切り替えタイミングを正しく検出することができない。
矩形波駆動方式では、前述のように、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づき回転子の位置情報を得るが、電圧印加の開始直後にはパルス誘起電圧が振れるため、通電モードの切り替えタイミングを正しく検出することができない。
そこで、電圧印加の開始直後のパルス誘起電圧が振れる期間を避けて、つまり、電圧印加の開始から所定時間以上経過してからパルス誘起電圧を検出する必要があり、パルス誘起電圧の振れ期間よりも長い電圧印加時間となるデューティ比D(%)とする必要がある。
また、デューティ比Dが小さいと、パルス誘起電圧の出力レベルが低下し、通電モードの切り替えタイミングの検出が不能になったり、切り替えタイミングの検出精度が低下したりする可能性がある。
また、デューティ比Dが小さいと、パルス誘起電圧の出力レベルが低下し、通電モードの切り替えタイミングの検出が不能になったり、切り替えタイミングの検出精度が低下したりする可能性がある。
そこで、パルス誘起電圧の振れ期間を避けてパルス誘起電圧の検出が行える最小のデューティ比Dと、切り替えタイミングの検出に必要な最小レベルのパルス誘起電圧を発生させることができるデューティ比Dとのうちの大きい方を、下限値Dminとして設定する。
そして、制御器213は、目標回転速度に実際の回転速度を近づけるために演算したデューティ比Dが、下限値Dminよりも低い場合には、最終的にPWM制御に用いるデューティ比Dに下限値Dminをセットすることで、PWM制御におけるデューティ比Dが下限値Dminを下回らないように制限する。
そして、制御器213は、目標回転速度に実際の回転速度を近づけるために演算したデューティ比Dが、下限値Dminよりも低い場合には、最終的にPWM制御に用いるデューティ比Dに下限値Dminをセットすることで、PWM制御におけるデューティ比Dが下限値Dminを下回らないように制限する。
従って、デューティ比D=下限値Dminであるときのモータ回転速度が、標準の矩形波駆動制御において実現可能な最低モータ回転速度となる。このため、制御器213は、最低モータ回転速度を上回る目標回転速度であれば、下限値Dminを超える範囲でのデューティ比Dの変更によって実際のモータ回転速度を近づけることができる。一方、制御器213は、最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定された場合、標準の矩形波駆動制御によっては、目標回転速度にまでモータ回転速度を下げることができない。
つまり、制御器213が、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができる状態であると判定するのは、下限値Dminに応じた最低モータ回転速度を上回る目標回転速度が設定されている場合である。
また、制御器213が、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定するのは、下限値Dminに応じた最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定されている場合である。
また、制御器213が、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定するのは、下限値Dminに応じた最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定されている場合である。
制御器213は、ステップS302で、標準の矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度に収束させることができていると判定すると、そのまま本ルーチンを終了させることで、標準の矩形波駆動制御を継続させる。
一方、デューティ比Dが下限値Dminになっていて、かつ、実際のモータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態が設定時間以上継続している場合、制御器213は、標準の矩形波駆動制御ではブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定して、ステップS303へ進む。
なお、デューティ比D=下限値Dminの状態で、かつ、実際のモータ回転速度>目標回転速度であることを条件として、制御器213は、ステップS303へ進む構成とすることができ、また、最低モータ回転速度を基準に設定した判定速度(判定速度≧最低モータ回転速度)よりも目標回転速度が低くなったときに、制御器213は、ステップS303に進む構成とすることができる。
一方、デューティ比Dが下限値Dminになっていて、かつ、実際のモータ回転速度が目標回転速度よりも高い状態が設定時間以上継続している場合、制御器213は、標準の矩形波駆動制御ではブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定して、ステップS303へ進む。
なお、デューティ比D=下限値Dminの状態で、かつ、実際のモータ回転速度>目標回転速度であることを条件として、制御器213は、ステップS303へ進む構成とすることができ、また、最低モータ回転速度を基準に設定した判定速度(判定速度≧最低モータ回転速度)よりも目標回転速度が低くなったときに、制御器213は、ステップS303に進む構成とすることができる。
制御器213は、ステップS303で、デューティ比Dに応じたパルス幅での電圧印加をPWM制御周期毎に行い、パルス毎にパルス誘起電圧の検出を行う標準の矩形波駆動制御から、本願において間引き矩形波駆動制御と称する制御に移行する。
間引き矩形波駆動制御とは、デューティ比Dを、下限値Dminと同じ若しくは下限値Dminよりも大きな値の第1デューティ比D1と、下限値Dminを下回る第2デューティ比D2とにパルス毎に周期的に切り替えて、平均デューティ比Davが下限値Dminを下回るように制御し、第1デューティ比D1のときにパルス誘起電圧の検出を行わせ、第2デューティ比D2のときにパルス誘起電圧の検出を行わない制御である。
なお、パルス誘起電圧の検出を行わないことには、電圧検出値を取得しても通電モードの切り替え判定に用いないことが含まれる。
間引き矩形波駆動制御とは、デューティ比Dを、下限値Dminと同じ若しくは下限値Dminよりも大きな値の第1デューティ比D1と、下限値Dminを下回る第2デューティ比D2とにパルス毎に周期的に切り替えて、平均デューティ比Davが下限値Dminを下回るように制御し、第1デューティ比D1のときにパルス誘起電圧の検出を行わせ、第2デューティ比D2のときにパルス誘起電圧の検出を行わない制御である。
なお、パルス誘起電圧の検出を行わないことには、電圧検出値を取得しても通電モードの切り替え判定に用いないことが含まれる。
つまり、間引き矩形波駆動制御は、ブラシレスモータ2の位置情報の検出をパルス毎に毎回行うのではなく、パルスN回当たり1回の割合で間引いて行う制御である。そして、位置情報の検出を間引いて行うことで、位置情報の検出を行わない周期のときに、下限値Dminを下回る第2デューティ比D2に設定することを可能とし、平均デューティ比Davが下限値Dminを下回るデューティ比Dとする制御である。
換言すれば、回転子の位置情報を検出するためにパルス誘起電圧の検出する場合には、デューティ比Dを下限値Dmin以上とする必要があるが、位置情報の検出のためのパルス誘起電圧の検出を行わないのであれば、デューティ比Dを下限値Dmin以上とする必要はなく、下限値Dminを下回るデューティ比Dの設定が可能である。そして、パルス誘起電圧の検出を行わないときに下限値Dminを下回るデューティ比Dとすることで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とすることができる。更に、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とすれば、デューティ比Dを下限値Dminとする場合に比べてモータトルクが低下し、モータ回転速度をより低下させることができる。
図4は、間引き矩形波駆動制御におけるPWM信号の一例を示す。
図4では、位置情報の検出頻度を、PWM周期のN回に1回だけ位置情報の検出を行う場合のNの値として規定する。
図4では、位置情報の検出頻度を、PWM周期のN回に1回だけ位置情報の検出を行う場合のNの値として規定する。
図4(A)は、N=2とした例であり、回転子の位置検出を行った後は、1周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返す。つまり、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定と、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定とを交互に繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満とする例である。
また、図4(B)は、N=3又はN=4とした例であり、N=3の場合、回転子の位置検出を行った後は、2周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返すことになる。つまり、N=3の場合、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定を行った後は、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定を2パルスだけ連続させることを繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満であってN=2の場合よりも低い値に設定できるようにする。
また、N=4の場合、回転子の位置検出を行った後は、3周期分だけ回転子の位置検出を停止し、次の周期で回転子の位置検出を行うことを繰り返すことになる。つまり、N=4の場合、下限値Dminを上回るデューティ比D1の設定を行った後は、下限値Dminを下回るデューティ比D2の設定を3パルスだけ連続させることを繰り返すことで、平均デューティ比Davを下限値Dmin未満であってN=2,3の場合よりも更に低い値に設定できるようにする。
このように、Nの値が大きくするほど、回転子の位置情報の検出頻度が低くなり、平均デューティ比Davがより低くなる。
そして、N値を一定とする状態で、回転子の位置検出を行う周期での第1デューティ比D1を固定とし、回転子の位置検出を行わない周期での第2デューティ比D2を増減することで、平均デューティ比Davが変更される。
そして、N値を一定とする状態で、回転子の位置検出を行う周期での第1デューティ比D1を固定とし、回転子の位置検出を行わない周期での第2デューティ比D2を増減することで、平均デューティ比Davが変更される。
なお、Nの値は固定とすることができ、また、目標回転速度又は実モータ回転速度が低くなるほど、より大きな値に変更することができる。
目標回転速度又は実モータ回転速度が低くなるほど、Nの値をより大きな値に変更し、検出頻度を低下させる構成であれば、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れが大きくなってしまうことを抑制しつつ、より低回転域までモータ回転速度を低下させることができる。
目標回転速度又は実モータ回転速度が低くなるほど、Nの値をより大きな値に変更し、検出頻度を低下させる構成であれば、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れが大きくなってしまうことを抑制しつつ、より低回転域までモータ回転速度を低下させることができる。
図5は、標準の矩形波駆動制御でのデューティ比Dと、間引き矩形波駆動制御でのデューティ比Dとの違いを説明するための図である。
標準の矩形波駆動制御では、PWM周期毎に同じデューティ比Dで制御するから、実現可能な最低デューティ比Dは下限値Dminとなる。
標準の矩形波駆動制御では、PWM周期毎に同じデューティ比Dで制御するから、実現可能な最低デューティ比Dは下限値Dminとなる。
これに対し、間引き矩形波駆動制御では、例えば、位置検出を行うパルスでの第2デューティ比D2を下限値Dminに保持し、位置検出を行わないパルスの第2デューティ比D2を下限値Dminから低下させることで平均デューティ比Davが下がる。そして、第2デューティ比D2を0%としたときの平均デューティ比Davが、そのときの検出頻度で実現できる最低平均デューティ比Davminとなる。例えば、N=2の場合、Dmin/2が最低平均デューティ比Davminとなる。
制御器213が実行する間引き矩形波駆動制御でのデューティ比Dの演算処理の一例を、図6のフローチャートに基づき説明する。
ステップS401で、制御器213は、実モータ回転速度と目標回転速度との偏差に基づき目標印加電圧を決定し、次のステップS402で、制御器213は、目標印加電圧を与えるための目標デューティ比Dtgを演算する。
ステップS401で、制御器213は、実モータ回転速度と目標回転速度との偏差に基づき目標印加電圧を決定し、次のステップS402で、制御器213は、目標印加電圧を与えるための目標デューティ比Dtgを演算する。
ステップS403で、制御器213は、目標デューティ比Dtgが下限値Dmin以上であるか否かを判断する。
目標デューティ比Dtgが下限値Dmin以上であれば、PWM周期毎に目標デューティ比Dtgのパルス幅を与えることで、PWM周期毎に位置情報の検出が可能であるから、制御器213は、ステップS404へ進み、目標デューティ比DtgをそのままPWM周期毎のデューティ比Dに設定する。
目標デューティ比Dtgが下限値Dmin以上であれば、PWM周期毎に目標デューティ比Dtgのパルス幅を与えることで、PWM周期毎に位置情報の検出が可能であるから、制御器213は、ステップS404へ進み、目標デューティ比DtgをそのままPWM周期毎のデューティ比Dに設定する。
一方、目標デューティ比Dtgが下限値Dmin未満であれば、制御器213は、ステップS405に進み、実モータ回転速度又は目標回転速度に応じて決定したN値に従って、回転子の位置情報の検出タイミングを設定する。例えば、N=2であれば、制御器213は、PWM周期の2回に1回の割合で回転子の位置情報の検出を行う。
次いで、制御器213は、ステップS406で、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1を下限値Dminに設定する。更に、ステップS407で、制御器213は、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2≧0%)を、N値及び目標デューティ比Dtgに従って算出する。
次いで、制御器213は、ステップS406で、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1を下限値Dminに設定する。更に、ステップS407で、制御器213は、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2≧0%)を、N値及び目標デューティ比Dtgに従って算出する。
例えば、N=2であれば、制御器213は、D2=2×Dtg-Dminとして、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2を算出する。また、N=3であれば、D1+D2+D2=Dmin+D2+D2=3×Dtgであり、制御器213は、D2=(3×Dtg-Dmin)/2として、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期の2周期における第2デューティ比D2を算出する。
つまり、制御器213は、ステップS407で、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2<Dmin)を、D2=(N×Dtg-Dmin)/(N-1)として算出する。
つまり、制御器213は、ステップS407で、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2(D2<Dmin)を、D2=(N×Dtg-Dmin)/(N-1)として算出する。
尚、D2=(N×Dtg-Dmin)/(N-1)の演算において、「N×Dtg-Dmin」が0以下になった場合、制御器213は、回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期における第2デューティ比D2を0%に設定する。これにより、最低平均デューティ比Davminは、Davmin=Dmin/Nとなる。
また、制御器213は、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1を、下限値Dminよりも高い値に設定することができる。
また、制御器213は、回転子の位置情報の検出を行うPWM周期における第1デューティ比D1を、下限値Dminよりも高い値に設定することができる。
また、制御器213は、N値が3以上であって回転子の位置情報の検出を行わないPWM周期が連続する場合に、第2デューティ比D2の値を異なる値に設定することができる。
上記の間引き矩形波駆動制御では、回転子の位置検出をPWM周期毎に毎回行わずに間引いて行うことで、平均デューティ比Davを下限値Dminよりも低下させることができ、N値を増やすことで平均デューティ比Davをより低下させることができる。
上記の間引き矩形波駆動制御では、回転子の位置検出をPWM周期毎に毎回行わずに間引いて行うことで、平均デューティ比Davを下限値Dminよりも低下させることができ、N値を増やすことで平均デューティ比Davをより低下させることができる。
しかし、N値を増やすと、回転子の位置検出の頻度が低下することで、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れが生じ、ブラシレスモータ2が脱調する可能性があり、N値は、切り替えタイミングの検出遅れが許容範囲内となる値に制限する必要がある。
換言すれば、切り替えタイミングの検出遅れによる脱調が発生しない範囲での最大N値であるときの平均デューティ比Davが、間引き矩形波駆動制御で制御可能な最小の平均デューティ比Davminとなる。そして、この最小の平均デューティ比Davminに制御したときのモータ回転速度が、間引き矩形波駆動制御によって実現可能な最低モータ回転速度となり、制御器213は、この最低モータ回転速度を下回る目標回転速度に制御することはできない。
換言すれば、切り替えタイミングの検出遅れによる脱調が発生しない範囲での最大N値であるときの平均デューティ比Davが、間引き矩形波駆動制御で制御可能な最小の平均デューティ比Davminとなる。そして、この最小の平均デューティ比Davminに制御したときのモータ回転速度が、間引き矩形波駆動制御によって実現可能な最低モータ回転速度となり、制御器213は、この最低モータ回転速度を下回る目標回転速度に制御することはできない。
図3のフローチャートのステップS303で、制御器213は、間引き矩形波駆動制御によってモータ回転速度を目標回転速度に近づけるが、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を下回る目標回転速度が設定されると、次のステップS304で、間引き矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態であると判定することになる。
間引き矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態になると、制御器213は、ステップS305へ進み、間引き矩形波駆動制御と並行して、通電モードの切り替えタイミングを進角させる制御を実施することで、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を下回る目標回転速度にまでモータ回転速度を低下させる。
間引き矩形波駆動制御でブラシレスモータ2の回転速度を目標回転速度にまで低下させることができない状態になると、制御器213は、ステップS305へ進み、間引き矩形波駆動制御と並行して、通電モードの切り替えタイミングを進角させる制御を実施することで、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を下回る目標回転速度にまでモータ回転速度を低下させる。
ステップS305における間引き矩形波駆動制御と切り替えタイミングの進角制御との並行実施で実現可能な最低モータ回転速度を基準に、目標回転速度の設定範囲の下限値に設定される。そして、標準の矩形波駆動制御で実現できないレベルにまで目標回転速度が低下したときには、制御器213は、標準の矩形波駆動制御から間引き矩形波駆動制御に移行させ、更に、間引き矩形波駆動制御で実現できないレベルにまで目標回転速度が低下したときには、間引き矩形波駆動制御と切り替えタイミングの進角制御との併用に移行する。
なお、間引き矩形波駆動制御において平均デューティ比Davを最低値Davminまで低下させた状態で、かつ、実際のモータ回転速度>目標回転速度であることを条件として、制御器213はステップS305に進むことができ、また、間引き矩形波駆動制御で実現可能な最低モータ回転速度を基準に設定した判定速度よりも目標回転速度が低くなったときに、制御器213はステップS305に進むことができる。
上記のように、間引き矩形波駆動制御と進角制御とを併用することで、制御器213は、標準の矩形波駆動制御或いは間引き矩形波駆動制御では実現できない低回転にまでモータ回転速度を低下させることができる。
例えば、車両のオイルポンプやウォータポンプの場合、循環経路内における温度ばらつきの増大を抑えるための循環を行わせたい場合がある。この場合に、無用に高い回転速度でモータを駆動することは、消費電力の増大や騒音の増大を招くことになり、必要な循環量を確保できる程度の低速でモータを駆動させることが望まれる。このような場合に、間引き矩形波駆動制御と進角制御とを併用して、モータ回転速度を十分に低下させることができれば、必要な循環量を確保しつつ、可及的に消費電力や騒音を抑制することができる。
例えば、車両のオイルポンプやウォータポンプの場合、循環経路内における温度ばらつきの増大を抑えるための循環を行わせたい場合がある。この場合に、無用に高い回転速度でモータを駆動することは、消費電力の増大や騒音の増大を招くことになり、必要な循環量を確保できる程度の低速でモータを駆動させることが望まれる。このような場合に、間引き矩形波駆動制御と進角制御とを併用して、モータ回転速度を十分に低下させることができれば、必要な循環量を確保しつつ、可及的に消費電力や騒音を抑制することができる。
以下では、切り替えタイミングの進角制御について詳述する。
図7は、矩形波駆動制御における通電モードの切り替え制御であって、進角制御の非実行時、つまり、標準の矩形波駆動制御又は間引き矩形波駆動制御における標準の切り替えタイミングを例示する。
図7は、矩形波駆動制御における通電モードの切り替え制御であって、進角制御の非実行時、つまり、標準の矩形波駆動制御又は間引き矩形波駆動制御における標準の切り替えタイミングを例示する。
図7に示した例では、6通りの通電モード(1)-(6)を電気角60deg毎に切り替える。
6通りの通電モード(1)-(6)において、第1通電モード(1)ではU相からV相に向けて電流を流し、第2通電モード(2)ではU相からW相に向けて電流を流し、第3通電モード(3)ではV相からW相に向けて電流を流し、第4通電モード(4)ではV相からU相に向けて電流を流し、第5通電モード(5)ではW相からU相に向けて電流を流し、第6通電モード(6)ではW相からV相に向けて電流を流す。そして、電気角60deg毎に、第1通電モード(1)→第2通電モード(2)→第3通電モード(3)→第4通電モード(4)→第5通電モード(5)→第6通電モード(6)→第1通電モード(1)→・・・の順で通電モードを順次切り替える。
6通りの通電モード(1)-(6)において、第1通電モード(1)ではU相からV相に向けて電流を流し、第2通電モード(2)ではU相からW相に向けて電流を流し、第3通電モード(3)ではV相からW相に向けて電流を流し、第4通電モード(4)ではV相からU相に向けて電流を流し、第5通電モード(5)ではW相からU相に向けて電流を流し、第6通電モード(6)ではW相からV相に向けて電流を流す。そして、電気角60deg毎に、第1通電モード(1)→第2通電モード(2)→第3通電モード(3)→第4通電モード(4)→第5通電モード(5)→第6通電モード(6)→第1通電モード(1)→・・・の順で通電モードを順次切り替える。
U相のコイルの角度位置を、回転子の基準位置(角度0deg)としたときに、第3通電モード(3)から第4通電モード(4)への切り替えを行う回転子の角度位置を30degとし、第4通電モード(4)から第5通電モード(5)への切り替えを行う回転子の角度位置を90degとし、第5通電モード(5)から第6通電モード(6)への切り替えを行う回転子の角度位置を150degとし、第6通電モード(6)から第1通電モード(1)への切り替えを行う回転子の角度位置を210degとし、第1通電モード(1)から第2通電モード(2)への切り替えを行う回転子の角度位置を270degとし、第2通電モード(2)から第3通電モード(3)への切り替えを行う回転子の角度位置を330degとしてある。
図8は、標準の切り替えタイミングでの回転子の位置と励磁磁束角度との相関の一例を示す。
図8(A)は、回転子の角度位置が330degとなって第2通電モード(2)から第3通電モード(3)に切り替えた状態であり、第3通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置(コイル励磁磁束)に向けて回転させるトルクが発生する。
図8(A)は、回転子の角度位置が330degとなって第2通電モード(2)から第3通電モード(3)に切り替えた状態であり、第3通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置(コイル励磁磁束)に向けて回転させるトルクが発生する。
第3通電モード(3)としたときの90degの角度位置に向けた回転トルクは、図8(B)に示す回転子のN極が0degの位置になったときに最大となり、図8(C)に示す回転子の角度位置が30degになったときに、第3通電モード(3)から第4通電モード(4)への切り替えが行われる。
そして、第4通電モード(4)では、図8(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
そして、第4通電モード(4)では、図8(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
図9は、上記のような通電モードの切り替え制御によって発生するモータトルクの特性例を示す。即ち、通電モードの切り替えタイミングからモータトルクは漸増し、切り替え周期の半分である30degだけ回転した位置で最大トルクを示した後、次の切り替えタイミングまでの間で漸減して切り替えタイミングで最小トルクとなることを繰り返し、切り替えタイミングから30degだけ回転した位置での最大トルクと、切り替えタイミングでの最小トルクとの中間値が平均発生トルクとなる。
通電モードの切り替えを行わせる角度位置の検出は、非通電相のパルス誘起電圧が、閾値との比較に基づいて行われる。例えば、第2通電モード(2)に従って通電を行っている場合には、非通電相であるV相に発生するパルス誘起電圧の検出値と、第3通電モード(3)への切り替えを行う330degの角度位置でのパルス誘起電圧に基づき予め設定してある閾値とを比較し、パルス誘起電圧の検出値が閾値を横切ったときに、切り替えを行う330degの角度位置を検出し、第2通電モード(2)から第3通電モード(3)への切り替えを行う。
一方、通電モードの切り替えタイミングの進角制御では、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる閾値の絶対値をより小さい値に変更することで、標準の切り替えタイミングよりも進角した位置で通電モードの切り替えを行わせる。
一方、通電モードの切り替えタイミングの進角制御では、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる閾値の絶対値をより小さい値に変更することで、標準の切り替えタイミングよりも進角した位置で通電モードの切り替えを行わせる。
図10は、回転子の角度位置に対するパルス誘起電圧の変化を例示する図であって、パルス誘起電圧が上昇変化し、パルス誘起電圧が閾値に達した時点を、通電モードの切り替えタイミングとして検出する場合を例示する。
なお、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いるパルス誘起電圧の閾値は、通電モードに応じてプラスの電圧又はマイナスの電圧として設定され、マイナスの閾値が設定される通電モードでは、パルス誘起電圧が減少変化してマイナスの閾値を横切ったタイミングを、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する。
なお、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いるパルス誘起電圧の閾値は、通電モードに応じてプラスの電圧又はマイナスの電圧として設定され、マイナスの閾値が設定される通電モードでは、パルス誘起電圧が減少変化してマイナスの閾値を横切ったタイミングを、次の通電モードへの切り替えタイミングとして検出する。
ここで、パルス誘起電圧の閾値として、通電モード(1)-(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置で行う場合に対応する標準の閾値Vthsが通電モード毎に決められ、制御器213のメモリに格納されている。
そして、制御器213は、モータ回転速度を低下させるための切り替えタイミングの進角制御を行わず、通電モード(1)-(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置で行わせる場合には、メモリに格納されている標準の閾値Vthsとパルス誘起電圧の検出値とを比較して切り替えタイミングの検出を行う。
そして、制御器213は、モータ回転速度を低下させるための切り替えタイミングの進角制御を行わず、通電モード(1)-(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置で行わせる場合には、メモリに格納されている標準の閾値Vthsとパルス誘起電圧の検出値とを比較して切り替えタイミングの検出を行う。
一方、制御器213は、通電モード(1)-(6)の切り替えを30deg、90deg、150deg、210deg、270deg、330degの位置の位置よりも進角させた位置で行わせる場合には、標準の閾値Vthsの絶対値をより小さく変更した進角制御用の閾値Vthavを設定し、この進角制御用の閾値Vthavとパルス誘起電圧の検出値とを比較して切り替えタイミングの検出を行う。
図10は、通電モードの切り替えタイミングの進角制御を説明するための図である。
図10に示す例では、標準の閾値Vthsよりも小さい進角制御用の閾値Vthav(Vths>Vthav>0)を設定することで、パルス誘起電圧が標準の閾値Vthsに達する前に進角制御用の閾値Vthavに到達することになり、通電モードの切り替えタイミングが標準の閾値Vthsと進角制御用の閾値Vthavとの差分に応じた角度だけ進角することになる。
図10に示す例では、標準の閾値Vthsよりも小さい進角制御用の閾値Vthav(Vths>Vthav>0)を設定することで、パルス誘起電圧が標準の閾値Vthsに達する前に進角制御用の閾値Vthavに到達することになり、通電モードの切り替えタイミングが標準の閾値Vthsと進角制御用の閾値Vthavとの差分に応じた角度だけ進角することになる。
図11は、通電モードの切り替えタイミングを15degだけ進角した場合、つまり、通電モード(1)-(6)の切り替えを15deg、75deg、135deg、195deg、255deg、315degの位置で行わせる例での回転子の位置と励磁磁束角度との相関を示す。
図11(A)は、回転子の角度位置が標準の330degよりも15degだけ進角した315degとなったときに第2通電モード(2)から第3通電モード(3)に切り替えた状態であり、第3通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
図11(A)は、回転子の角度位置が標準の330degよりも15degだけ進角した315degとなったときに第2通電モード(2)から第3通電モード(3)に切り替えた状態であり、第3通電モード(3)に応じてV相からW相に向けて電流を流すことで、回転子のN極を90degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
第3通電モード(3)としたときの90degの角度位置に向けた回転トルクは、図11(B)に示す回転子のN極が0degの位置になったときに最大となる。
標準の切り替え制御では30degになってから第4通電モード(4)への切り替えを行うが、図11に示す15degの進角制御では、図11(C)に示す15degの角度位置で第3通電モード(3)から第4通電モード(4)への切り替えを行う。係る通電モードの切り替えによって、図11(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
標準の切り替え制御では30degになってから第4通電モード(4)への切り替えを行うが、図11に示す15degの進角制御では、図11(C)に示す15degの角度位置で第3通電モード(3)から第4通電モード(4)への切り替えを行う。係る通電モードの切り替えによって、図11(D)に示す回転子のN極を150degの角度位置に向けて回転させるトルクが発生する。
図12は、上記のように通電モードの切り替えタイミングを15degだけ進角制御した場合に発生するモータトルクの一例を示す。
例えば、第3通電モード(3)のときに、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるのは、標準の切り替えタイミングでも15degだけ進角した切り替えタイミングでも同じであって、同等の最大トルクを示す。
例えば、第3通電モード(3)のときに、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるのは、標準の切り替えタイミングでも15degだけ進角した切り替えタイミングでも同じであって、同等の最大トルクを示す。
一方、切り替えタイミングを15degだけ進角した場合、切り替えタイミングにおける回転子の角度位置と切り替え後の通電モードでの励磁磁束角度との差が、標準の切り替えタイミングよりも進角した分だけ拡大して120degから135degになり、通電モードの切り替え当初での発生トルクが、標準の切り替えタイミングの場合よりも低下することになる。
これにより、15degの進角制御を行った場合には、最大トルクは標準の切り替えタイミングとした場合と同等であるものの、平均モータトルクが標準の切り替えタイミングである場合よりも低下する。
これにより、15degの進角制御を行った場合には、最大トルクは標準の切り替えタイミングとした場合と同等であるものの、平均モータトルクが標準の切り替えタイミングである場合よりも低下する。
図13は、通電モードの切り替えタイミングを30degだけ進角制御した場合、つまり、通電モード(1)-(6)の切り替えタイミングを0deg、60deg、120deg、180deg、240deg、300degとしたときに発生するモータトルクを示す。
30degの進角を行った場合も、例えば第3通電モード(3)のときには、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるが、この最大トルクを示す位置で第4通電モード(4)への切り替えが行われることになる。そして、第4通電モード(4)への切り替えが行ったときには、励磁磁束角度が150degであるのに対し、回転子の角度位置が0degの位置であって、切り替えタイミングにおける回転子の角度位置と切り替え後の通電モードでの励磁磁束角度との差が150degに拡大する。このため、切り替えタイミングでの最小トルクが、進角量が15degである場合よりも小さくなり、結果として、進角量が15degである場合に比べて進角量を30degとしたときの平均トルクが低くなる。
30degの進角を行った場合も、例えば第3通電モード(3)のときには、回転子のN極が0degの位置になったときにモータトルクが最大となるが、この最大トルクを示す位置で第4通電モード(4)への切り替えが行われることになる。そして、第4通電モード(4)への切り替えが行ったときには、励磁磁束角度が150degであるのに対し、回転子の角度位置が0degの位置であって、切り替えタイミングにおける回転子の角度位置と切り替え後の通電モードでの励磁磁束角度との差が150degに拡大する。このため、切り替えタイミングでの最小トルクが、進角量が15degである場合よりも小さくなり、結果として、進角量が15degである場合に比べて進角量を30degとしたときの平均トルクが低くなる。
図14は、通電モードの切り替えタイミングを60degだけ進角制御した場合、つまり、例えば第2通電モード(2)から第3通電モード(3)への切り替えを330degから270degの位置に変更する場合に発生するモータトルクを示す。
進角量が60degであると、通電モードの切り替えタイミングにおけるN極の向きと励磁磁束角度との正反対の向きとなってトルクが0となり、更に、N極の向きと励磁磁束角度とがなす角度が90degになる前に次の通電モードへの切り替えがなされてしまうため、進角量が15degや30degである場合よりも最大トルクが低下する。
このため、進角量を60degとした場合には、進角量が15degや30degである場合よりも更に平均トルクが低下することになる。
進角量が60degであると、通電モードの切り替えタイミングにおけるN極の向きと励磁磁束角度との正反対の向きとなってトルクが0となり、更に、N極の向きと励磁磁束角度とがなす角度が90degになる前に次の通電モードへの切り替えがなされてしまうため、進角量が15degや30degである場合よりも最大トルクが低下する。
このため、進角量を60degとした場合には、進角量が15degや30degである場合よりも更に平均トルクが低下することになる。
このように、通電モードの切り替えタイミングの進角制御においては、進角量が大きくなるほど平均モータトルクはより大きく低下することになる。
従って、間引き矩形波駆動制御によって平均デューティ比Davを限界値まで低下させても、目標回転速度まで実際のモータ回転速度を低下させることができない場合に、通電モードの切り替えタイミングを進角する制御を実施することで、実際のモータ回転速度を目標回転速度まで低下させることが可能となる。
従って、間引き矩形波駆動制御によって平均デューティ比Davを限界値まで低下させても、目標回転速度まで実際のモータ回転速度を低下させることができない場合に、通電モードの切り替えタイミングを進角する制御を実施することで、実際のモータ回転速度を目標回転速度まで低下させることが可能となる。
ここで、切り替え電圧の絶対値の減少量の制御による進角量の増減によって平均トルクの減少量を調整することができるので、例えば、間引き矩形波駆動制御によって平均デューティ比Davを限界値Davminまで低下させた状態を保持したまま、実際のモータ回転速度が目標回転速度に近づくように閾値Vthの絶対値の減少量を制御することで、実際のモータ回転速度を目標回転速度付近に収束させることができる。
通電モードの切り替えタイミングの進角量を、予め目標デューティ比Dtg毎に割り付けておき、そのときの目標デューティ比Dtgから進角量を求めて、当該進角量に従って通電モードの切り替えタイミングを設定することができる。
通電モードの切り替えタイミングの進角量を、予め目標デューティ比Dtg毎に割り付けておき、そのときの目標デューティ比Dtgから進角量を求めて、当該進角量に従って通電モードの切り替えタイミングを設定することができる。
つまり、間引き矩形波駆動制御では、平均デューティ比Davが目標デューティ比Dtgに近づくように制御するが、間引き矩形波駆動制御における平均デューティ比Davの下限Davminを下回る目標デューティ比Dtgには追従することができない。そこで、平均デューティ比Davを下限値Davminに保持させておき、この平均デューティ比Davの下限値Davminと目標デューティ比Dtgとの差分に相当する過剰トルク分を、通電モードの切り替えタイミングの進角制御で相殺させ、目標デューティ比Dtgの低下に対応するトルクを発生させる。
上述した、標準の矩形波駆動、間引き矩形波駆動、進角制御に使い分けを、図5を参照しつつ詳述する。
目標デューティ比Dtgが高い領域では、標準の矩形波駆動制御によりPWM周期毎に目標デューティ比Dtgに一致するデューティ比Dで制御する。そして、目標デューティ比Dtgが下限値Dminを下回るようになると、間引き矩形波駆動によって、下限値Dminに一致するデューティ比Dによる制御と下限値Dminを下回るデューティ比Dによる制御とを繰り返すことで実平均デューティ比Davを目標デューティ比Dtg(Dtg<Dmin)に一致させる。
更に、間引き矩形波駆動で制御可能な最低平均デューティ比Davminを下回る目標デューティ比Dtgになると、最低平均デューティ比Davminに保持したままで、通電モードの切り替えタイミングを進角させることで、目標デューティ比Dtg(Dtg<Davmin)相当のモータトルクを発生させる。
目標デューティ比Dtgが高い領域では、標準の矩形波駆動制御によりPWM周期毎に目標デューティ比Dtgに一致するデューティ比Dで制御する。そして、目標デューティ比Dtgが下限値Dminを下回るようになると、間引き矩形波駆動によって、下限値Dminに一致するデューティ比Dによる制御と下限値Dminを下回るデューティ比Dによる制御とを繰り返すことで実平均デューティ比Davを目標デューティ比Dtg(Dtg<Dmin)に一致させる。
更に、間引き矩形波駆動で制御可能な最低平均デューティ比Davminを下回る目標デューティ比Dtgになると、最低平均デューティ比Davminに保持したままで、通電モードの切り替えタイミングを進角させることで、目標デューティ比Dtg(Dtg<Davmin)相当のモータトルクを発生させる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、上記に示した制御例では、モータ回転速度の低下に応じて、「標準の矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えるようにしたが、例えば、「標準の矩形波駆動」→「切り替えタイミングの進角制御」→間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、上記に示した制御例では、モータ回転速度の低下に応じて、「標準の矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えるようにしたが、例えば、「標準の矩形波駆動」→「切り替えタイミングの進角制御」→間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることができる。
なお、進角制御で発生するトルク変動よりも間引き矩形波駆動で発生するトルク変動の方が小さく、間引き矩形波駆動で発生するモータ騒音よりも進角制御で発生するモータ騒音の方が小さくなるという傾向がある。
このため、「標準の矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることがトルク変動の抑制に有効で、「標準の矩形波駆動」→「切り替えタイミングの進角制御」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることが騒音の抑制に有効である。
このため、「標準の矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることがトルク変動の抑制に有効で、「標準の矩形波駆動」→「切り替えタイミングの進角制御」→「間引き矩形波駆動及び切り替えタイミングの進角制御」の順で切り替えることが騒音の抑制に有効である。
また、ブラシレスモータ2が電動オイルポンプ1などの流体ポンプを駆動するアクチュエータである場合、オイルや水などの流体の粘度が高くポンプ負荷が高い場合には、進角制御による脱調の可能性が高まるため、流体の粘度が所定よりも高いときに通電モードの切り替えタイミングの進角制御を禁止したり、流体の粘度の増大に応じて進角量を小さく抑制したりすることで、脱調の発生を抑制することができる。
また、モータ回転速度を増大させている過渡状態では、モータ回転速度が一定である定常状態に比べて、進角制御によってモータが逆転回転する可能性が減るので、定常時に比べて切り換えタイミングの進角量をより大きくすることができる。
一方、モータ回転速度を減少させている過渡状態では、モータ回転速度が一定である定常状態に比べて、進角制御による逆転の可能性が増えるので、定常時に比べて進角量をより小さく抑制することで、モータが逆転回転することを抑制できる。
一方、モータ回転速度を減少させている過渡状態では、モータ回転速度が一定である定常状態に比べて、進角制御による逆転の可能性が増えるので、定常時に比べて進角量をより小さく抑制することで、モータが逆転回転することを抑制できる。
また、モータ回転速度が高い場合には、低い場合よりも切り換えタイミングの進角制御による逆転の可能性が減るので、進角量をより大きくすることができる。
また、ブラシレスモータ2の電源が車載バッテリである場合、他の機器と電源を共用することになるため、電源電圧の変動が発生し易くなる。そして、電源電圧が変化すると、同じ平均デューティ比でも発生トルクが変動し、標準の矩形波駆動、間引き矩形波駆動で制御できるモータ回転速度の範囲が変動する。そこで、電源電圧の変動に応じて標準の矩形波駆動から間引き矩形波駆動に移行させるモータ回転速度、間引き矩形波駆動状態で進角制御を開始させるモータ回転速度を変更することができる。
また、ブラシレスモータ2の電源が車載バッテリである場合、他の機器と電源を共用することになるため、電源電圧の変動が発生し易くなる。そして、電源電圧が変化すると、同じ平均デューティ比でも発生トルクが変動し、標準の矩形波駆動、間引き矩形波駆動で制御できるモータ回転速度の範囲が変動する。そこで、電源電圧の変動に応じて標準の矩形波駆動から間引き矩形波駆動に移行させるモータ回転速度、間引き矩形波駆動状態で進角制御を開始させるモータ回転速度を変更することができる。
また、ブラシレスモータ2を起動させる場合には、間引き矩形波駆動と切り替えタイミングの進角制御とを併用する通電制御を開始させることができ、また、間引き矩形波駆動又は標準の矩形波駆動で起動させた後、間引き矩形波駆動と切り替えタイミングの進角制御とを併用する制御に移行させて起動状態での目標回転速度に収束させることができる。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御器、215u,215v,215w…巻線、216…永久磁石回転子、217a~217f…スイッチング素子
Claims (15)
- ブラシレスモータの駆動装置であって、
前記ブラシレスモータの3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替える通電制御部と、
前記通電制御部がパルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを、モータ回転速度の低下に応じて進角する進角制御部と、
を備える、ブラシレスモータの駆動装置。 - 前記パルス幅変調信号のデューティ比が設定値を下回らないように制限するデューティ制御部を更に備える、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記デューティ制御部は、前記パルス幅変調信号のデューティ比を前記所定値よりも高い第1デューティ比と当該第1デューティ比を下回る第2デューティ比とに周期的に切り替え、前記第2デューティ比をモータ回転速度の低下に応じて減少させる、請求項2記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記通電制御部は、前記第1デューティ比のパルスが出力されるときに位置情報の取得を行い、前記第2デューティ比のパルスが出力されるときに位置情報の取得を行わない、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記進角制御部は、前記第2デューティ比が閾値にまで低下した後に、前記パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角させてモータ回転速度を低下させる、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記進角制御部は、モータ回転速度の低下に応じてパルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを進角し、
前記デューティ制御部は、前記進角制御部によって前記タイミングが進角された状態で、デューティ比を前記第1デューティ比と前記第2デューティ比とに周期的に切り替える、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。 - 前記通電制御部は、前記パルス誘起電圧と設定電圧とを比較してパルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを検出し、
前記進角制御部は、前記モータ回転速度の低下に応じて前記設定電圧を変更して前記切り替えタイミングを進角する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。 - 前記デューティ制御部は、前記パルス幅変調信号のデューティ比を前記第2デューティ比とする頻度を、モータ回転速度の低下に応じて増大させる、請求項3記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記ブラシレスモータは、車両の流体ポンプを駆動するアクチュエータである、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記進角制御部は、前記流体ポンプが圧力を与える流体の粘度の増大に応じて前記タイミングの進角量を小さくする、請求項9記載のブラシレスモータの駆動装置。
- 前記進角制御部は、前記ブラシレスモータの電源電圧に応じて前記タイミングを進角させるモータ回転速度を変更する、請求項1記載のブラシレスモータの駆動装置。
- ブラシレスモータの駆動方法であって、
前記ブラシレスモータの3相のうちパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する2相を、非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替え、
前記パルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングを、モータ回転速度の低下に応じて進角する、
ブラシレスモータの駆動方法。 - 前記タイミングを進角するステップは、
前記パルス幅変調信号のデューティ比を所定値よりも高い第1デューティ比と前記第1デューティ比を下回る第2デューティ比とに周期的に切り替え、
前記第2デューティ比をモータ回転速度の低下に応じて減少させ、
前記第2デューティ比が閾値にまで低下した後に、前記パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを進角する、
請求項12記載のブラシレスモータの駆動方法。 - 前記パルス電圧を印加する2相を切り替えるステップは、
前記パルス誘起電圧と設定電圧とを比較してパルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを検出し、
前記タイミングを進角するステップは、
前記モータ回転速度の低下に応じて前記設定電圧を変更して前記切り替えタイミングを進角する、
請求項12記載のブラシレスモータの駆動方法。 - 前記ブラシレスモータが車両の流体ポンプを駆動するアクチュエータであり、
前記タイミングを進角するステップは、
前記流体ポンプが圧力を与える流体の粘度の増大に応じて前記タイミングの進角量を小さくする、
請求項12記載のブラシレスモータの駆動方法。
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CN112583306A (zh) * | 2019-09-30 | 2021-03-30 | 日本电产东测株式会社 | 马达驱动装置及电动油泵装置 |
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JP2009189176A (ja) * | 2008-02-07 | 2009-08-20 | Renesas Technology Corp | 同期電動機の駆動システム |
JP2009268225A (ja) * | 2008-04-24 | 2009-11-12 | Asmo Co Ltd | ブラシレスモータ制御装置及びブラシレスモータ |
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