本発明による組合せは、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例(および特に式(VI)の化合物)を含む。
本発明は、1種以上の補助化合物とHsp90阻害または修飾活性を有する化合物との組合せを提供し、前記組合せはHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療に有用である。
したがって、例えば、本発明の組合せは、癌の罹患率の緩和または低減において有用である。
第一の態様において、本発明は、1種以上の補助化合物と、式(I)の化合物:
[式中、
R1は、ヒドロキシまたは水素であり;
R2は、ヒドロキシ、メトキシまたは水素であり(ただし、R1およびR2の少なくとも一方はヒドロキシである);
R3は、水素;ハロゲン;シアノ;C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ;ここで、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されており;
R4は、水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基または3〜7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビル−アミノから選ばれ、各場合においてこの非環式C1−5ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ部分は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されており;
あるいは、R3およびR4は一緒になって、5〜7環員の単環式炭素環式または複素環式環を形成し;
R5およびR6は一緒になって、それらが結合している窒素原子と一緒になって8〜12環員を有する二環式複素環式基を形成し、そのうち5個以下の環員が酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子であり;ここで、この二環式複素環式基は、1種以上の置換基R10 により場合により置換されており;
R8は、水素およびフッ素から選ばれ;かつ
R10は、
ハロゲン;
ヒドロキシ;
トリフルオロメチル;
シアノ;
ニトロ;
カルボキシ;
アミノ;
モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ;
3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびに
基Ra−Rb
から選ばれ、ここで、
Raは、結合、O、CO、X1C(X2)、C(X2)X1、X1C(X2)X1、S、SO、SO2、NRc、SO2NRcまたはNRcSO2であり;かつ
Rbは、水素;3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−8非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ)、および3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されているC1−12ヒドロカルビル(C1−10ヒドロカルビルなど)から選ばれ、ここで、このC1−12ヒドロカルビル(またはC1−10ヒドロカルビル基)の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO2、NRc、X1C(X2)、C(X2)X1またはX1C(X2)X1により場合により置換されていてもよく;
Rcは、Rb、水素およびC1−4ヒドロカルビルから選ばれ;かつ
X1は、O、SまたはNRcであり、X2は、=O、=Sまたは=NRcである]
(場合により、化合物2−(2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸は除く)またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドとを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを提供する。
本発明はまた、とりわけ、以下のものを提供する。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の予防または治療に用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の予防または治療方法であって、それを必要とする被験体に、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを投与することを含む方法。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減を目的とした薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減方法であって、それを必要とする被験体に、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療に用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減に用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和および低減方法であって、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼの阻害剤として用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼの阻害方法であって、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼと、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ阻害性組合せとを接触させることを含む方法。
Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼの活性を阻害することによる細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾に用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを使用して、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼの活性を阻害することによる細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾方法。
本明細書に記載される病態の予防または治療で用いるための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
本明細書に定義されるいずれか1つ以上の用途のための薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せおよび薬学的に許容される担体を含む、経口投与に適した形態の医薬組成物。
1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せおよび薬学的に許容される担体を含む、非経口投与(例えば静脈内(i.v.)投与による)に適した形態の医薬組成物。
1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せおよび薬学的に許容される担体を含む、例えば注射または点滴による静脈内(i.v.)投与に適切な形態の医薬組成物。
薬剤に使用するための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
上記および本明細書の他の箇所に記載のいずれかの用途および方法のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される化合物とを含む(または本質的それらから成る)組合せ。
スクリーニングされ、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼに対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、または罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防における使用のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
スクリーニングされ、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼに対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、または罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せの使用。
(i)患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状がHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼに対して活性を有する化合物による治療に感受性があるものかどうかを判定すべく患者をスクリーニングすること、ならびに(ii)患者の疾病または症状がそのような感受性を有することが示された場合に、その後、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを患者に投与することを含む、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼが仲介する病態または症状の診断および治療方法
補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とが物理的に結合している、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とが非物理的に結合している、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
薬学的パック、キットまたは患者パックの形態である、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せ。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療で用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例をその必要のある被験体(被験体は1種以上の補助化合物による治療を受けている)に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、Hsp90により仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、Hsp90により仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
Hsp90により仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例をその必要のある被験体(被験体は1種以上の補助化合物による治療を受けている)に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
1種以上の補助化合物で治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、1種以上の補助化合物と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを含む(または本質的にそれらから成る)組合せを、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和または軽減に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和または軽減用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
1種以上の補助化合物で治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和または軽減方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を、Hsp90の活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和または軽減方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を、Hsp90の活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、Hsp90の阻害剤として用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体におけるHsp90の阻害方法であって、前記Hsp90と本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを接触させることを含む方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体におけるHsp90の活性を阻害することによる細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾に用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を使用する、Hsp90の活性を阻害することによる1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾方法。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における、本明細書に記載される病態の予防または治療で用いるための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物で治療を受けている被験体における本明細書で定義される1つ以上の用途のための薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、もしくは罹患する危険性があると判定された患者(患者は1種以上の補助化合物による治療を受けている)における病態または症状の治療あるいは予防における使用のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、または罹患する危険性があると判定された患者(患者は1種以上の補助化合物による治療を受けている)における病態または症状の治療あるいは予防用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
(i)患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状がHsp90対して活性を有する化合物による治療に感受性があるものかどうかを判定すべく患者(患者は1種以上の補助化合物による治療を受けている)をスクリーニングすること、ならびに(ii)患者の疾病または症状がそのような感受性を有することが示された場合に、その後、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を患者に投与することを含む、Hsp90が仲介する病態または症状の診断あるいは治療方法。
本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例との併用療法に用いる、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例による治療を受けている患者の治療または予防用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)の使用。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている患者の治療または予防用薬剤の製造のための、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
ヒトなどの温血動物における癌の治療方法であって、有効量の1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)を、有効量の本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例と順次(例えば、前後に)または同時に該動物に投与することを含む方法。
治療上有効な量の1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)と、治療上有効な量の本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例とを投与することを含む、哺乳類における癌の併用療法の方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率を緩和あるいは低減させるための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
哺乳類における腫瘍増殖を阻害するための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
癌を予防、治療または管理する必要のある患者における癌を予防、治療または管理するための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている癌に罹患する患者における反応率を促進または増加させるために用いる、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている癌に罹患する患者における反応率を促進または増加させる方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を前記補助化合物と組合せて患者に投与することを含む方法。
Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(またはその罹患率の緩和または低減)方法であって、本発明の組合せをその必要のある被験体に投与することを含み、前記Hsp90により仲介される病態もしくは症状が抗癌剤(例えば、本明細書に記載の1種以上の補助化合物)に対する耐性の発達である方法。
(i)抗癌剤に対して悪性細胞を感作させる、(ii)抗癌剤に対する耐性の発生率を緩和または低減させる、(iii)抗癌剤に対する耐性を後退させる、(iv)抗癌剤の活性を増強させる、(v)抗癌剤に対する耐性の発現を遅延または防止させる方法であって、本発明の組合せ(ここで前記抗癌剤が、例えば、本明細書に記載の1種以上の補助化合物である)をその必要のある被験体に投与することを含む方法。
癌の治療方法であって、本発明の組合せをその必要のある被験体に投与することを含み、薬剤耐性が現れないことを特徴とする方法。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている被験体におけるHsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(またはその罹患率の緩和または低減)方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を前記被験体に投与することを含み、前記Hsp90により仲介される病態もしくは症状が前記補助化合物に対する耐性の発達である方法。
(i)1種以上の補助化合物に対して悪性細胞を感作させる、(ii)1種以上の補助化合物に対する耐性の発生率を緩和または低減させる、(iii)1種以上の補助化合物に対する耐性を後退させる、(iv)1種以上の補助化合物の活性を増強させる、(v)1種以上の補助化合物に対する耐性の発現を遅延または防止させる方法であって、該補助化合物(補助化合物は、例えば、本明細書に記載される補助化合物の1種以上から選ばれる)による治療を受けている被験体に本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例を投与することを含む方法。
1種以上の補助化合物(例えば、本明細書に記載される補助化合物の1種以上から選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている被験体における癌の治療方法であって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはその任意のサブグループもしくは例をその必要のある被験体に投与することを含み、薬剤耐性(例えば、該補助化合物に対する)が現れないことを特徴とする方法。
1種以上の任意の付属化合物(本明細書に記載されるような)を含む、本発明の組合せ、化合物、方法、使用および他の実施形態。
上記の組合せ、方法、使用などにおいて、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)または(VIIb)の化合物は、そのサブグループ、その酸付加塩(特に、L−乳酸)および結晶形態を包含する。
発明の具体的説明
本明細書では、「修飾」なる語は、熱ショックタンパク質Hsp90の活性、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えばGSK−3)および/またはオーロラキナーゼおよび/または本明細書に記載される他のいかなるキナーゼの活性に関して使用される場合、前記熱ショックタンパク質/キナーゼの生物学的活性のレベルの変化を意味することを意図している。したがって、修飾は、関連する熱ショックタンパク質/キナーゼ活性の増加または減少をもたらす生理学的変化を包含する。後者の場合では、修飾は「阻害」として記載されてもよい。修飾は、直接的または間接的に生じてもよく、任意のメカニズムにより、ならびに例えば遺伝子発現のレベル(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾を含む)、熱ショックタンパク質/キナーゼ活性のレベルに直接的または間接的に作用する修飾エレメントをコードする遺伝子発現のレベル、任意の生理的なレベルで仲介されてもよい。したがって、修飾は、遺伝子増幅(すなわち複数の遺伝子コピー)を含む熱ショックタンパク質/キナーゼの増加した発現/抑制された発現または過剰発現もしくは低発現および/または転写効果による増加した発現または減少した発現に加えて、変異による((脱)活性化を含む)熱ショックタンパク質/キナーゼの過剰活性(または低活性)および(脱)活性化を意味してもよい。「修飾された」、「修飾している」および「修飾する」なる語は適宜解釈されるべきである。
本明細書では、例えば、熱ショックタンパク質、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えばGSK−3)および/またはオーロラキナーゼおよび/または本明細書に記載の他のいかなるキナーゼに関して使用される(そして、例えば、様々な生理的なプロセス、疾病、状態、症状、処置、治療あるいは介入に対して使用される)「仲介される」なる語は、制限的に作用することを意味し、その用語が使用される様々なプロセス、疾病、状態、症状、治療および介入において熱ショックタンパク質Hsp90および/または前記キナーゼが生物学的役割を果たすものである。この用語が、疾病、状態または症状に対して適用される場合において、熱ショックタンパク質Hsp90および/または前記キナーゼにより果たされる生物学的役割は、直接的または間接的であってもよく、疾患、状態または症状の病徴の発現(またはその病因または進行)のために、必要および/または十分であってもよい。したがって、熱ショックタンパク質Hsp90活性および/またはキナーゼ活性(特に異常なレベルの熱ショックタンパク質Hsp90活性および/またはキナーゼ活性(例えば、Hsp90/キナーゼ活性過剰発現))は、必ずしも疾病、状態または症状の近因である必要がなく、むしろ前記熱ショックタンパク質Hsp90に仲介されるおよび/または前記キナーゼに仲介される疾病、状態または症状は、Hsp90および/または前記キナーゼが部分的にのみ関わる、多元的な病因および複雑な進行を有するものを含んでいると理解される。この用語が、治療、予防または介入に対して適用される場合において(例えば、本発明の「Hsp90に仲介される治療」および「Hsp90に仲介される予防」において)、Hsp90および/またはキナーゼにより果たされる役割は直接的または間接的であってもよく、または、治療、予防または介入の転帰の操作のために必要および/または十分であってもよい。したがって、Hsp90が仲介する病態もしくは症状は、ある特定の抗癌剤あるいは治療に対する耐性(特に本明細書に記載される1種以上の補助化合物に対する耐性を含む)の発達を含む。
「介入」なる語は、任意のレベルで生理学的変化をもたらす任意の作用を定義するために本明細書において使用される技術用語である。したがって介入は、任意の生理的なプロセス、事象、生化学的経路または細胞の事象/生化学的事象の誘導または抑制を含んでもよい。本発明の介入は、典型的には、疾病もしくは症状の療法、治療または予防を行う(またはそれらに寄与する)。
本発明の組合せは、個別に投与された場合の個々の化合物の治療上の効果と比較して、治療上有効な効果を生じる可能性がある。
「有効な」なる語は、相加作用、相乗作用、副作用の減少、毒性の減少、疾患進行に要する時間の増加、生存時間の増加、別の薬剤に対するある薬剤の感作もしくは再感作、または反応率改良のような有利な効果を含む。有利には、有効な効果により、同一の治療効果がもたらされるおよび/または維持される一方で、患者に対して投与されるべき各々またはいずれかの成分の用量が減少でき、その結果として化学療法の毒性が減少する。
本文脈における「相乗的な」効果は、組合せの成分が個別に提供された場合の治療上の効果の合計よりも大きい、組合せによりもたらされる治療上の効果を指す。
本文脈における「相加的な」効果は、組合せの成分のいずれかが個別に提供された場合の治療上の効果よりも大きい、組合せによりもたらされる治療上の効果を指す。
本明細書で用いる「反応率」なる語は、固形腫瘍の場合では所定の時点(例えば、12週)での腫瘍サイズの減少の程度を指す。したがって、例えば、50%の反応率は、腫瘍サイズの50%の減少を意味する。本明細書における「臨床反応」への言及は50%以上の反応率を指す。「部分反応」は50%よりも少ない反応率として本明細書において定義される。
本明細書では、「組合せ」なる語は、2種以上の化合物および/または薬剤(本明細書において成分とも呼ばれる)に対して使用されたとき、物質の中で前記2種以上の化合物/薬剤が結合していることを意味することを意図している。この文脈における「組合せた」および「組合せる」なる語は適宜解釈されるべきである。
組合せ中の2種以上の化合物/薬剤の結合は物理的または非物理的であってもよい。物理的に結合された組合せ化合物/薬剤の例としては以下のものが挙げられる。
混合剤(例えば、同一の単位用量内に)中に2種以上の化合物/薬剤を含む組成物(例えば、一体型の製剤)、
2種以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に結合している(例えば、架橋、分子的な凝集または共通の賦形剤部分への結合により)物質を含む組成物、
2種以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に共にパックされている(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)またはエマルジョン滴上に、またはそれらの内部に配置された)物質を含む組成物、
2種以上の化合物/薬剤が共にパックされているか、または共に提供されている(例えば、一連の単位用量の一部として)、薬学的キット、薬学的パックまたは患者パック。
非物理的に結合された組合せ化合物/薬剤の例としては以下のものが挙げられる。
2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、前記2種以上の化合物/薬剤の物理的結合を形成するための、前記少なくとも一方の化合物の即時結合のための説明書とを含む物質(例えば、非一体型の製剤)、
2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、前記2種以上の化合物/薬剤による併用療法のための説明書とを含む物質(例えば、非一体型の製剤)、
2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、前記2種以上の化合物/薬剤の他方が投与された(または投与されている)患者集団への投与のための説明書とを含む物質、
2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方を、前記2種以上の化合物/薬剤の他方と組合せて使用するために特に適した量または形態で含む物質。
本明細書では、「併用療法」なる語は、2種以上の化合物/薬剤(上記に定義された)の組合せの使用を含む療法を意味することを意図している。したがって、本明細書における「併用療法」、「組合せ」への言及、および化合物/薬剤の「組合せ」の使用は、全体として同一の治療計画の一部として投与される化合物/薬剤を指してもよい。それゆえ、2種以上の化合物/薬剤の各々の薬量は異なってもよく、各々は同時にまたは異なる時間で投与されてもよい。したがって、組合せの化合物/薬剤は順次に(例えば、前後して)または同時に投与されてもよい(同一の医薬製剤(すなわち一緒に)、または異なる医薬製剤(すなわち個別に)のどちらかにおいて)。同一の製剤での同時投与は一体型の製剤であるが、異なる医薬製剤での同時投与は非一体型である。併用療法の2種以上の化合物/薬剤の各々の薬量はまた投与経路に関連して異なってよい。
本明細書では「薬学的キット」なる語は、任意にすべて共通の外装内に含まれる、投薬手段(例えば、計測装置)および/または送達手段(例えば、吸入器またはシリンジ)と共にある、医薬組成物の1つ以上の単位用量の一群を意味する。2種以上の化合物/薬剤の組合せを含む薬学的キットにおいて、個々の化合物/薬剤は一体型の製剤または非一体型の製剤のいずれであってもよい。単位用量はブリスターパック内に含まれてもよい。薬学的キットは任意に使用説明書をさらに含んでもよい。
本明細書では「薬学的パック」なる語は、任意に共通の外装内に含まれる、医薬組成物の1つ以上の単位用量の一群を意味する。2種以上の化合物/薬剤の組合せを含む薬学的パックにおいて、個々の化合物/薬剤は、一体型の製剤または非一体型の製剤であってもよい。単位用量はブリスターパック内に含まれていてもよい。薬学的パックは任意に使用説明書をさらに含んでもよい。
本明細書では「患者パック」なる語は、治療コース全体に対する医薬組成物を含む、患者に対して処方されたパッケージを定義する。患者パックは通常1個以上のブリスターパックを含んでいる。患者パックは、薬剤師がバルク供給から患者の処方分の医薬品を分ける伝統的処方と比較して、伝統的処方では通常は同封されていない、患者パック中に含まれる添付文書を患者が常に利用できるという点において優れている。添付文書の含有は、医師の指示に対する患者のコンプライアンスを改善することが示されている。
本発明の組合せは、別々に投与された場合の個々の化合物/薬剤の治療上の効果と比較して、治療上有効な効果をもたらし得る。
本明細書で使用される「補助化合物」なる語は、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例と組合された場合に有効な組合せをもたらす化合物を定義し得る。補助化合物はしたがって、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例に対する補助剤として作用し得るか、さもなくば組合せの有効性に寄与し得る(例えば、本明細書で定義されるように相乗効果または付加効果を奏するか反応率を向上させることによる)。
式(I)の化合物
この節では、本明細書の他の全ての節と同様に、文脈上他の意味に解する場合を除き、式(I)の化合物に対する言及は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)および(VIIb)を含む本明細書で定義される式(I)の全てのサブグループを包含し(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態そして特に式(VI)を含む)、「サブグループ」とは、本明細書で定義される全ての好ましい選択肢、実施態様、例および具体的な化合物を包含する。
さらに、具体的な化合物(とりわけ、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)または(VIIb)の化合物のいずれかを含む)に対する言及は(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態そして特に式(VI)または本明細書で定義されるその任意のサブグループまたは例あるいは本明細書に記載される補助化合物に対するものも含む)、後述されるようなそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態、好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物を包含する。
次の一般的な好ましい選択肢および定義は、文脈上他の意味に解する場合を除き、R1〜R8、R10、Ra、Rb、Rc、X1およびX2の各々、ならびにそれらの種々のサブグループ、部分定義、例および実施態様に当てはまる。
本明細書において式(I)に対する言及はいずれも、文脈上他の意味に解する場合を除き、式(I)の範囲内の化合物およびそのサブグループ、ならびにその好ましい選択肢および例についても当てはまるものとする。
本明細書において「炭素環式」基および「複素環式」基とは、文脈上他の意味に解する場合を除き、芳香族環系と非芳香族環系の双方を含む。従って、例えば、「炭素環式基および複素環式基」とは、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和炭素環系および複素環系を含む。一般に、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より一般的には5〜10環員を含み得る。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より一般的には3〜7、例えば5〜7、好ましくは5または6環員を含む基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より一般的には9または10環員を含むものがある。
本明細書において「二環式」とは、両環によって少なくとも1個の環員が共有されるように一緒に結合された2環を有する基を意味する。よって、二環式基は縮合環(両環によって2環員が共有されている)、スピロ環式(両環によって1環員が共有されている)または架橋環(両環によって3個以上の環員が共有されている)であり得る。
炭素環式基または複素環式基は5〜12環員、より一般的には5〜10環員を有するアリールまたはヘテロアリール基であり得る。本明細書において「アリール」とは、芳香族性を有する炭素環式基を意味し、本明細書において「ヘテロアリール」とは、芳香性を有する複素環式基を表す。「アリール」および「ヘテロアリール」とは、1個以上の環が非芳香族であるが、少なくとも1つの環が芳香族である、多環式(例えば、二環式)環系を包含する。このような多環式系では、この基は芳香環によって結合されてもよいし、または非芳香環によって結合されてもよい。アリール基またはヘテロアリール基は、単環式基または二環式基であってよく、非置換型であっても、1個以上の置換基、例えば、本明細書で定義される1個以上の基R10で置換されていてもよい。
「非芳香族基」とは、芳香性を持たない不飽和環系、部分飽和および完全飽和炭素環式環系および複素環式環系を包含する。「不飽和」および「部分飽和」とは、環構造が1を超える価数の結合を共有する原子を含む環を意味し、すなわち、その環は少なくとも1つの多重結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む。「完全飽和」および「飽和」とは、環原子間に多重結合がない環を意味する。飽和炭素環式基としては、以下で定義されるシクロアルキル基が挙げられる。部分飽和炭素環式基としては、以下で定義されるシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられる。シクロアルケニル基のさらなる例として、シクロヘキセニルがある。
ヘテロアリール基の例としては、5〜12環員、より一般的には5〜10環員を含む単環式基および二環式基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員単環式環であるか、または縮合5員環および6員環、または2つの縮合6員環から、またはさらなる例としては、2つの縮合5員環から形成された二環式構造であり得る。各環は、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される最大約4個までのヘテロ原子を含んでいてもよい。一般に、ヘテロアリール環は、最大4個までのヘテロ原子、より一般的には最大3個までのヘテロ原子、より一般的には最大2個まで、例えば、1個のヘテロ原子を含む。一つの実施態様では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、あるいはインドールまたはピロール窒素の場合のように実質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子数は、環のアミノ基置換基を含め、5個未満である。
5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基が挙げられる。
6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンが挙げられる。
二環式ヘテロアリール基は、例えば、次のものから選ばれる基であってもよい。
a)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したベンゼン環;
b)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリジン環;
c)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピリミジン環;
d)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピロール環;
e)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラゾール環;
f)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したピラジン環;
g)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイミダゾール環;
h)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したオキサゾール環;
i)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソキサゾール環;
j)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチアゾール環;
k)1または2個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したイソチアゾール環;
l)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したチオフェン環;
m)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したフラン環;
n)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロヘキシル環;および
o)1、2または3個の環ヘテロ原子を含む5員または6員環と縮合したシクロペンチル環。
二環式ヘテロアリール基の1つのサブグループは、上記の(a)〜(e)および(g)〜(o)群からなる。
別の5員環と縮合した5員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1−b]チアゾール)およびイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2−a]イミダゾール)が挙げられる。
5員環と縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、ベンズフラン、ベンズチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、イソベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジン(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン)、ベンゾジオキソールおよびピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン)基が挙げられる。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンズオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基が挙げられる。
ヘテロアリール基の1つのサブグループとしては、ピリジル、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズフラニル、ベンズチエニル、クロマニル、チオクロマニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリルおよびベンズイソチアゾール、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾリル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、イソクロメニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニルおよびプテリジニル基が含まれる。
芳香環と非芳香環を含む多環式アリール基およびヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロナフタレン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンズフラン、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン、インドリンおよびインダン基が挙げられる。
炭素環式アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基が挙げられる。
非芳香族複素環式基の例としては、3〜12環員、典型的には4〜12環員、より一般的には5〜10環員を有する非置換または置換(1個以上のR10基による)の複素環式基が挙げられる。このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、典型的には窒素、酸素および硫黄から選ばれる1〜5個のヘテロ原子環員(より一般的には1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環員)を有する。
硫黄が存在する場合、隣接する原子および基の性質が許せば、硫黄は−S−、−S(O)−または−S(O)2−として存在してもよい。
これらの複素環式基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンのように)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンのように)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンのように)、環状アミド部分(例えば、ピロリドンのように)、環状チオアミド、環状チオエステル、環状エステル部分(例えば、ブチロラクトンのように)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンのように)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、モルホリンおよびチオモルホリン、ならびにそのS−オキシドおよびS,S−ジオキシド)を含み得る。複素環式基のさらなる例としては、環状尿素部分(例えば、イミダゾリジン−2−オンのように)を含むものがある。
複素環式基のあるサブセットでは、複素環式基は、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンのように)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンのように)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンのように)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンのように)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、チオモルホリン)を含む。
単環式非芳香族複素環式基の例として、5員、6員および7員の単環式複素環式基が挙げられる。具体例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン(N−メチルピペラジンなど)が挙げられる。さらなる例としては、チオモルホリンおよびそのS−オキシドおよびS,S−ジオキシド(特に、チオモルホリン)が挙げられる。なおさらなる例としては、アゼチジン、ピペリドン、ピペラゾン、およびN−アルキルピペリジン(N−メチルピペリジンなど)が挙げられる。
非芳香族複素環式基のあるの好ましいサブセットは、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS,S−ジオキシド、ピペラジン、N−アルキルピペラジン、およびN−アルキルピペリジンなどの飽和基からなる。
非芳香族複素環式基の別のサブセットは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS,S−ジオキシド、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジン(N−メチルピペラジンなど)からなる。
複素環式基の1つの特定のサブセットは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびN−アルキルピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン)、および場合によりチオモルホリンからなる。
非芳香族炭素環式基の例としては、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのシクロアルカン基、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基、ならびにシクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエン、テトラヒドロナフテニルおよびデカリニルが挙げられる。
好ましい非芳香族炭素環式基は単環式環であり、最も好ましくは飽和単環式環である。
典型的な例は、3員、4員、5員および6員の飽和炭素環式環、例えば、場合により置換されているシクロペンチルおよびシクロヘキシル環である。
非芳香族炭素環式基の1つのサブセットは、非置換型または置換型(1個以上のR10基による)の単環式基、特に、飽和単環式基、例えば、シクロアルキル基を含む。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、より典型的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、特に、シクロヘキシルが挙げられる。
非芳香族環式基のさらなる例としては、ビシクロアルカンおよびアザビシクロアルカンなどの架橋環系が挙げられるが、このような架橋環系は一般に好ましさが劣る。「架橋環系」とは、2つの環が2個を超える原子を共有している環系を意味する(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、131〜133ページ、1992年、参照)。架橋環系の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンおよびアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンが挙げられる。架橋環系の具体例は、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル基である。
本明細書における炭素環式基および複素環式基に関し、前記炭素環式環または複素環式環は、文脈上他の意味に解す場合を除き、非置換型であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基、基Ra−Rb[ここで、Raは、結合、O、CO、X1C(X2)、C(X2)X1、X1C(X2)X1、S、SO、SO2、NRc、SO2NRcまたはNRcSO2であり;Rbは、水素、3〜12環員を有する炭素環式および複素環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−18非芳香族ヒドロカルビルアミノ(モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノなど)、3〜12環員を有する炭素環式および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよいC1−12ヒドロカルビル基(C1−10ヒドロカルビル基など)から選ばれ、前記C1−12ヒドロカルビル基(またはC1−10ヒドロカルビル基)の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO2、NRc、X1C(X2)、C(X2)X1またはX1C(X2)X1で場合により置換されていてもよい]から選ばれる1種以上の置換基R10で置換されており;
RcはRb、水素およびC1−4ヒドロカルビルから選ばれ;
X1はO、SまたはNRcであり、X2は=O、=Sまたは=NRcである。
置換基R10が炭素環式基または複素環式基であるまたは含む場合、該炭素環式基または複素環式基は非置換型であってもよいし、またはそれ自体、1個以上のさらなる置換基R10で置換されていてもよい。式(I)の化合物の1つのサブグループでは、このようなさらなる置換基R10は炭素環式基または複素環式基を含んでよく、これらは典型的にはそれ自体さらに置換されない。式(I)の化合物のもう1つのサブグループでは、該さらなる置換基は炭素環式基または複素環式基を含まず、それ以外は、R10の定義において上記で挙げた基から選ばれる。
これらの置換基R10は、20個以下の非水素原子、例えば、15個以下の非水素原子、例えば、12個以下、または11個以下、または10個以下、または9個以下、または8個以下、または7個以下、または6個以下、または5個以下の非水素原子を含むように選択することができる。
前記炭素環式基および複素環式基が、同じまたは隣接する環原子上に1対の置換基を有する場合、前記2つの置換基は環式基を形成するように連結していてもよい。したがって、2つの隣接するR10基は、それらが結合している炭素原子またはヘテロ原子と一緒になって、5員のヘテロアリール環、または5員もしくは6員の非芳香族炭素環式環または複素環式環を形成していてもよく、ここで、該ヘテロアリール基および複素環式基は、N、OおよびSから選ばれるヘテロ原子環員を最大3個まで含む。例えば、環の隣接する炭素原子上の隣接する1対の置換基は1個以上のヘテロ原子および場合により置換されているアルキレン基を介して連結し、縮合オキサ−、ジオキサ−、アザ−、ジアザ−またはオキサ−アザ−シクロアルキル基を形成していてもよい。
このような連結置換基の例としては、
が挙げられる。
ハロゲン置換基の例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。フッ素および塩素が特に好ましい。
上記式(I)の化合物の定義において、また下記に用いられる、「ヒドロカルビル」とは、特に断りのない限り、全炭素骨格を有し、炭素原子と水素原子からなる脂肪族基、脂環式基および芳香族基を含む一般用語である。
ある場合においては、本明細書で定義されるように、炭素骨格を形成する1つ以上の炭素原子は特定の原子または原子群により置換されていてもよい。
ヒドロカルビル基の例としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環式アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、ならびに炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基が挙げられる。このような基は、非置換型であっても、または記載のように、本明細書で定義される1種以上の置換基で置換されていてもよい。以下で示す例および好ましい選択肢は、文脈上他の意味に解す場合を除き、式(I)の化合物についての種々の置換基の定義において言及される、ヒドロカルビル置換基またはヒドロカルビル含有置換基の各々に当てはまる。
本明細書において接頭辞「Cx−y」(ここで、xおよびyは整数である)は、所与の基における炭素原子の数を示す。したがって、C1−4ヒドロカルビル基は1〜4個の炭素原子を含み、C3−6シクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含むなどである。
本明細書において「非環式ヒドロカルビル」(例えば、「非環式C1−5ヒドロカルビル」の場合)とは、非環式ヒドロカルビル基、特に、本明細書で定義されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を意味する。
本明細書において「モノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ」とは、各々1〜5個の炭素原子を含む1個または2個のヒドロカルビル置換基を有する一置換または二置換アミン基を意味する。
好ましい非芳香族ヒドロカルビル基は、アルキルおよびシクロアルキル基などの飽和基である。
一般に、例えば、ヒドロカルビル基は、文脈上他の意味に解す場合を除き、最大10個までの炭素原子(より典型的には最大8個までの炭素原子)を有することができる。1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内で、特定の例としては、C1−8ヒドロカルビル基またはC1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基(例えば、C1−3ヒドロカルビル基またはC1−2ヒドロカルビル基またはC2−3ヒドロカルビル基またはC2−4ヒドロカルビル基)があり、具体例としては、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10ヒドロカルビル基から選ばれるいずれかの個々の値または値の組合せがある。
「アルキル」は、直鎖および分岐鎖双方のアルキル基を含む。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチルおよびn−ヘキシルおよびその異性体が挙げられる。1〜8個の炭素原子を有するアルキル基のサブセット内で、具体例としては、C1−6アルキル基、例えば、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基またはC1−2アルキル基またはC2−3アルキル基またはC2−4アルキル基)が挙げられる。
シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンに由来するものがある。シクロアルキル基のサブセット内で、シクロアルキル基は、3〜10個の炭素原子、より一般には3〜8個の炭素原子を有し、具体例としては、C3−6シクロアルキル基が挙げられる。
アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、ブタ−1,4−ジエニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。アルケニル基のサブセット内で、アルケニル基は2〜10個の炭素原子、より典型的には2〜8個の炭素原子を有し、具体例としては、C2−6アルケニル基、例えば、C2−4アルケニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。シクロアルケニル基のサブセット内で、シクロアルケニル基は、3〜10個の炭素原子、より典型的には3〜8個の炭素原子を有し、具体例としては、C3−6シクロアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニルおよび2−プロピニル(プロパルギル)基が挙げられる。アルキニル基のサブセット内で、アルキニル基は2〜10個の炭素原子、より典型的には2〜8個の炭素原子を有し、具体例としては、C2−6アルキニル基、例えば、C2−4アルキニル基が挙げられる。
炭素環式アリール基の例としては、置換および非置換フェニル基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、炭素環式アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基の例としては、フェネチル、ベンジル、スチリル、フェニルエチニル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルおよびシクロペンテニルメチル基が挙げられる。
本明細書においてC1−12ヒドロカルビル、C1−10ヒドロカルビルおよびC1−8ヒドロカルビルとは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、ベンジルおよびフェニルエチル基を包含し、前記の各基の好ましい選択肢および例は上記で定義された通りである。この定義の範囲内で、具体的なヒドロカルビル基としては、アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジルおよびフェニルエチル(例えば、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル)基があり、ヒドロカルビル基の1つのサブセットはアルキルおよびシクロアルキル基、特に、C1−4アルキルおよびシクロアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピルおよびシクロブチルである。
本明細書においてC1−5ヒドロカルビルとは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基を包含し、前記の基の好ましい選択肢および例は上記で定義された通りである。この定義の範囲内で、具体的なC1−5ヒドロカルビル基としては飽和C1−5ヒドロカルビル基、すなわちアルキルおよびシクロアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、ペント−2−イル(pent-2-yl)、ペント−3−イル(pent-3-yl)、3−メチルブト−2−イル(3-methylbut-2-yl)、2,2−ジメチルプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、メチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチルがある。
本明細書においてC1−5ヒドロカルビルなる語の範囲内にはまた、不飽和C1−5ヒドロカルビル基、すなわち、アルケン、シクロアルケンおよびアルキン基(例えば、ビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、アリル、メチルアリル、ジメチルアリル、アセチレニル、プロパルギル、シクロブテニルおよびシクロペンテニル)がある。
本明細書においてC1−4ヒドロカルビルとは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基を包含し、前記の基の好ましい選択肢および例は上記で定義された通りである。この定義の範囲内で、特定のC1−4ヒドロカルビル基としては、アルキルおよびシクロアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピルおよびシクロブチルがある。
ヒドロカルビル基は、存在し、記載されている場合には、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノならびに3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)の環員を有する単環式もしくは二環式炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されていてもよい。好ましい置換基としては、フッ素などのハロゲンが挙げられる。したって、例えば、置換ヒドロカルビル基は、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルなどの部分フッ素化または過フッ素化基であり得る。一実施態様では、好ましい置換基としては、3〜7環員、より一般的には3、4、5または6環員を有する単環式炭素環式基および複素環式基が挙げられる。
記載のように、ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子が、O、S、SO、SO2、NRc、X1C(X2)、C(X2)X1またはX1C(X2)X1(式中、X1およびX2は、上記で定義される通りであり、ただし、ヒドロカルビル基の少なくとも1つの炭素原子は残っている)(またはそのサブグループ)で場合により置換されていてもよい。例えば、ヒドロカルビル基の1個、2個、3個または4個の炭素原子は、列挙した原子または基のうちの1つで置換されていてもよく、置換する原子または基は、同一であっても、異なっていてもよい。一般に、置換される直鎖または骨格炭素原子の数は、それらに取って代わる基の直鎖または骨格原子の数に相当する。ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子が上記で定義される置換原子または基で置換されている基の例としては、エーテルおよびチオエーテル(CをOまたはSで置換)、アミド、エステル、チオアミドおよびチオエステル(C−CをX1C(X2)またはC(X2)X1で置換)、スルホンおよびスルホキシド(CをSOまたはSO2で置換)、アミン(CをNRcで置換)が挙げられる。さらなる例としては、尿素、カーボネート、およびカルバメート(C−C−CをX1C(X2)X1で置換)が挙げられる。
アミノ基が2個のヒドロカルビル置換基を有する場合、これらは、それらが結合している窒素原子と一緒に、かつ、場合により窒素、硫黄または酸素などの別のヘテロ原子と一緒に、連結して4〜7環員、より一般的には5〜6環員の環構造を形成してもよい。
本明細書において「アザ−シクロアルキル」とは、炭素環員の1つが窒素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、アザ−シクロアルキル基の例としては、ピペリジンおよびピロリジンが挙げられる。本明細書において「オキサ−シクロアルキル」とは、炭素環員の1つが酸素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、オキサ−シクロアルキル基の例としては、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランが挙げられる。同様に、「ジアザ−シクロアルキル」、「ジオキサ−シクロアルキル」および「アザ−オキサ−シクロアルキル」とは、それぞれ、2個の炭素環員が2個の窒素原子で、または2個の酸素原子で、または1個の窒素原子と1個の酸素原子で置換されているシクロアルキル基を意味する。よって、オキサ−C4−6シクロアルキル基には、3〜5個の炭素環員と1個の酸素環員が存在する。例えば、オキサ−シクロヘキシル基は、テトラヒドロピラニル基である。
本明細書において定義「Ra−Rb」には、炭素環部分または複素環部分に存在する置換基に関してか、または式(I)の化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、とりわけ、Raが、結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NRcC(O)、OC(S)、SC(S)、NRcC(S)、OC(NRc)、SC(NRc)、NRcC(NRc)、C(O)O、C(O)S、C(O)NRc、C(S)O、C(S)S、C(S)NRc、C(NRc)O、C(NRc)S、C(NRc)NRc、OC(O)O、SC(O)O、NRcC(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NRcC(S)O、OC(NRc)O、SC(NRc)O、NRcC(NRc)O、OC(O)S、SC(O)S、NRcC(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NRcC(S)S、OC(NRc)S、SC(NRc)S、NRcC(NRc)S、OC(O)NRc、SC(O)NRc、NRcC(O)NRc、OC(S)NRc、SC(S)NRc、NRcC(S)NRc、OC(NRc)NRc、SC(NRc)NRc、NRcC(NRcNRc、S、SO、SO2、NRc、SO2NRcおよびNRcSO2(ここで、Rcは上記で定義される通りである)から選ばれる化合物が含まれる。
部分Rbは、水素であってもよいし、あるいは3〜12(典型的には3〜10、より一般的には5〜10)環員を有する炭素環式基および複素環式基、ならびに上記で定義されたように場合により置換されているC1−8ヒドロカルビル基から選ばれる基であってもよい。ヒドロカルビル、炭素環式基および複素環式基の例は上記で示される通りである。
RaがOであり、RbがC1−10ヒドロカルビル基である場合、RaおよびRbは一緒になってヒドロカルビルオキシ基を形成する。好ましいヒドロカルビルオキシ基としては、アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ、より一般的にはエトキシおよびメトキシ、特にメトキシなどのC1−4アルコキシ)、シクロアルコキシ(例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどのC3−6シクロアルコキシ)およびシクロアルキアルコキシ(例えば、シクロプロピルメトキシなどのC3−6シクロアルキル−C1−2アルコキシ)といった飽和ヒドロカルビルオキシが挙げられる。
これらのヒドロカルビルオキシ基は、本明細書で定義される種々の置換基により置換されていてもよい。例えば、アルコキシ基は、ハロゲン(例えば、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシのように)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシエトキシのように)、C1−2アルコキシ(例えば、メトキシエトキシのように)、ヒドロキシ−C1−2アルキル(ヒドロキシエトキシエトキシのように)または環式基(例えば、上記で定義されるシクロアルキル基または非芳香族複素環式基)により置換されていてもよい。置換基として非芳香族複素環式基を有するアルコキシ基の例は、その複素環式基がモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4アルキル−ピペラジン、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどの飽和環状アミンであり、そのアルコキシ基がC1−4アルコキシ基、より一般にはメトキシ、エトキシまたはn−プロポキシなどのC1−3アルコキシ基であるものがある。
アルコキシ基は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの単環式基、ならびにN−ベンジル、N−C1−4アシルおよびN−C1−4アルコキシカルボニルなどのそのN−置換誘導体により置換されていてもよい。具体例としては、ピロリジノエトキシ、ピペリジノエトキシおよびピペラジノエトキシが挙げられる。
Raが結合であり、RbがC1−10ヒドロカルビル基である場合、ヒドロカルビル基Ra−Rbの例は上記で定義される通りである。ヒドロカルビル基はシクロアルキルおよびアルキルなどの飽和基であってもよく、このような基の具体例としては、メチル、エチルおよびシクロプロピルが挙げられる。ヒドロカルビル(例えば、アルキル)基は上記で定義される種々の基および原子で置換されていてもよい。置換アルキル基の例としては、フッ素および塩素などの1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(具体例としては、ブロモエチル、クロロエチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる)、またはヒドロキシで置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル)、C1−10アシルオキシで置換されたアルキル基(例えば、アセトキシメチルおよびベンジルオキシメチル)、アミノならびにモノ−およびジアルキルアミノで置換されたアルキル基(例えば、アミノエチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルおよびtert−ブチルアミノメチル)、アルコキシで置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチルのようにメトキシなどのC1−2アルコキシ)、ならびに上記で定義されるシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および非芳香族複素環式基などの環式基で置換されたアルキル基が挙げられる。
環式基で置換されたアルキル基の具体例としては、その環式基が、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4−アルキル−ピペラジン、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどの飽和環状アミンであり、そのアルキル基がC1−4アルキル基、より典型的にはメチル、エチルまたはn−プロピルなどのC1−3アルキル基であるものがある。環式基で置換されたアルキル基の具体例としては、ピロリジノメチル、ピロリジノプロピル、モルホリノメチル、モルホリノエチル、モルホリノプロピル、ピペリジニルメチル、ピペラジノメチルおよび上記で定義されるそのN−置換形態が挙げられる。
アリール基またはヘテロアリール基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジルおよびピリジルメチル基が挙げられる。
RaがSO2NRcであるとき、Rbは例えば水素または場合により置換されているC1−8ヒドロカルビル基、または炭素環式基もしくは複素環式基であってよい。RaがSO2NRcである場合のRa−Rbの例としては、アミノスルホニル、C1−4アルキルアミノスルホニルおよびジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基、およびピペリジン、モルホリン、ピロリジン、または場合によりN−置換されたピペラジン(N−メチルピペラジンなど)といった環状アミノ基から形成されたスルホンアミドが挙げられる。
RaがSO2である場合のRa−Rb基の例としては、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルおよびアリールスルホニル基、特に単環式アリールおよびヘテロアリールスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルが挙げられる。
RaがNRcである場合、Rbは例えば、水素または場合により置換されているC1−10ヒドロカルビル基、または炭素環式基もしくは複素環式基であってよい。RaがNRcである場合のRa−Rb基の例としては、アミノ、C1−4アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ)、ジ−C1−4アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノおよびジエチルアミノ)ならびにシクロアルキルアミノ(例えば、シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノおよびシクロヘキシルアミノ)が挙げられる。
R1〜R10の具体例および好ましい選択肢
R1およびR2
R1はヒドロキシまたは水素であり;R2はヒドロキシ、メトキシまたは水素である(ただし、R1およびR2の少なくとも一方はヒドロキシである)。
好ましくは、R1はヒドロキシまたは水素であり;R2はヒドロキシまたは水素である(ただし、R1およびR2の少なくとも一方はヒドロキシである)。
一実施態様において、R1はヒドロキシであり、R2は水素またはメトキシ、好ましくは、水素である。
別の実施態様では、R1は水素であり、R2はヒドロキシである。
さらなる実施態様では、R1はヒドロキシであり、R2はヒドロキシまたはメトキシである。
好ましい実施態様では、R1およびR2はともにヒドロキシである。
R8
R8は水素およびフッ素から選ばれる。好ましくは、R8は水素である。
R3
R3は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ、ここで、このC1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシ部分は各々場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基により置換されている。
化合物の1つのサブグループでは、R3は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ、ここで、各場合においてこのC1−5ヒドロカルビル部分は場合により、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシおよびアミノから選ばれる1種以上の置換基により置換されている。
化合物の別のサブグループでは、R3は、ハロゲン(例えば、塩素または臭素)、C1−5アルキルおよびC3−4シクロアルキルから選ばれる。
より典型的には、R3は、水素、塩素、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれる。
具体的なR3基としては、水素、C1−5アルキル、C2−5アルケニルおよびC3−4シクロアルキル基、好ましくは、第二級アルキルおよびアルケニル基(イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,2−ジメチルアリルおよび1,2−ジメチルプロピルなど)、またはシクロアルキル基(シクロプロピルなど)が挙げられる。
さらなる置換基R3のサブグループとしては、C1−5アルキル、C2−5アルケニルおよびC3−4シクロアルキル基、好ましくは、第二級アルキルおよびアルケニル基(イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,2−ジメチルアリルおよび1,2−ジメチルプロピルなど)、またはシクロアルキル基(シクロプロピルなど)からなる。
R1およびR2の一方だけがヒドロキシである場合、R3は水素以外であり得る。
ある特定の実施態様では、R1およびR2はともにヒドロキシであり、R3は水素である。
さらなる特定の実施態様では、R3はイソプロピルおよびtert−ブチルから選ばれる。
1つの一般的な実施態様では、R3はハロゲン以外である。
別の一般的な実施態様では、R3はフッ素以外であり得る。
さらなる一般的な実施態様では、R3はフッ素またはメトキシ以外であり得る。
R4
一実施態様では、R4は水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基、または3〜7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビルアミノから選ばれ、ここで、前記非環式C1−5ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されている。
化合物の1つのサブグループでは、R4は水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基、または3〜7環員を有する単環式炭素環式もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビルアミノから選ばれ、ここでC1−5ヒドロカルビル部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシおよびアミノから選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されている。
このサブグループ内で、R4はより典型的には水素、メトキシ、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、シアノ、ヒドロキシ、アミノおよびC3−6シクロアルキルから選ばれる。
より詳しくは、R4はサブセットR4aから選ばれ、前記サブセットR4aは水素、メトキシ、フッ素および塩素からなる。
好ましくは、R4は水素である。
別の実施態様では、R3およびR4は一緒になって5〜7環員の炭素環式環または複素環式環を形成する。前記炭素環式基および複素環式基は上記の「一般的な定義および好ましい選択肢」の節に挙げられたいずれの基であってもよいが、1つの具体的な基としては、R3およびR4がフェニル環と一緒になってジヒドロベンゾフラン基を形成する基である。
部分R1、R2、R3およびR4を含むフェニル環の具体例は表1に示す通りである。カルボニル基との結合点はアスタリスクにより示す。
表1
一実施態様では、フェニル部分は基A1〜A21から選ばれる。
別の実施態様では、フェニル部分は基A1〜A18から選ばれる。
好ましいフェニル部分としては、基A5、A7、A11、A13、A14、A15、A16、A17およびA18が挙げられる。
特に好ましいフェニル部分はA5、A7、A13、A14およびA17である。
特に好ましいフェニル部分はA11およびA13である。
1つの特に好ましいフェニル部分は基A13である。
R5およびR6
R5およびR6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(このうち最大5環員までは酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子である)を有する二環式複素環式基を形成している。
これらの二環式基は上記の「一般的な定義および好ましい選択肢」の節に挙げられているか、または下記の「特定のおよび好ましいサブグループ」の節に挙げられるいずれの基であってもよく、このような基は非置換であっても、あるいは本明細書で定義される1種以上の置換基R10で置換されていてもよい。
二環式複素環式基は一般に縮合環二環式基またはスピロ環式基であり、より典型的には縮合環二環式基である。本発明において対象とする特定の縮合環系は、5.6および6.6縮合環系である。これらの二環式複素環式基では、その環の一方は複素環式環であって、他方が炭素環式環であってもよいし、あるいは両環が複素環式であってもよい。
化合物の1つのサブグループでは、二環式複素環式基の環の一方が非芳香族であって、他方が芳香族である。好ましくは、基NR5R6の窒素原子は、この非芳香環の一部をなす。このような基の具体例としては、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン基がある。
このような基のより具体的な例としては、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン基があるが、ここで、前記テトラヒドロイソキノリン基はその非芳香環に置換基を持たない。
前記二環式複素環式環は場合により、本明細書で定義される1種以上の置換基R10で場合により置換されている。
一実施態様では、前記二環式複素環式環は、本明細書で定義される1、2または3個の置換基R10で置換されている。
別の実施態様では、前記二環式複素環式環は、本明細書で定義される1または2個の置換基R10で置換されている。
置換基R10は、前記二環式複素環式基を構成している2環のいずれか、または双方に結合していてよい。一実施態様では、基NR5R6の窒素原子を含む環は置換基R10を持たない。別の実施態様では、基NR5R6の窒素原子を含む環は置換基R10を有するが、その置換基はカルボン酸基以外である。
化合物の1つのサブグループでは、前記二環式複素環式基は非置換型であっても、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび基Ra−Rb(ここで、Raは結合、O、CO、C(O)O、C(O)NRc、NRcC(O)、NRcC(O)O、NRc、SO、SO2、SONRc、およびSO2NRcから選ばれ、Rbは水素;5または6環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ−またはジ−C1−8非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ)、カルボキシ、および3〜7環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により置換されていてもよいC1−10ヒドロカルビル(例えば、C1−8アルキルまたはC3−7シクロアルキルなどのC1−8ヒドロカルビル)から選ばれ、ここでこのC1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、C(O)O、C(O)NRcまたはNRcにより場合により置換されていてもよい)からなる群のR10aから選ばれる1、2または3個(好ましくは、1または2個)の置換基により置換されていてもよい。
化合物のこのサブグループ、ならびにそのサブグループ、好ましい選択肢および例の範囲内で、C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子がO、S、C(O)O、C(O)NRcまたはNRcで場合により置換されていてもよいと記載されている場合、そのエステル基およびアミド基の配向は、特に断りのない限り、いずれの向きであってもよい。
上記のサブグループでは、Rbが炭素環式基または複素環式基である場合、前記炭素環式基または複素環式基は本明細書で定義される1種以上の置換基R10で置換されていてもよい。例えば、Rbが炭素環式基または複素環式基である場合、前記炭素環式基または複素環式基は、CO2R14(ここで、R14は水素またはC1ー6アルキルである);ヒドロキシまたはC1−2アルコキシで場合により置換されているC1−4アルキル;ヒドロキシまたはC1ー2アルコキシで場合により置換されているC1−4アルコキシ;または基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記に定義される通りである)から選ばれる1種以上の置換基で置換されていてもよい。
より特定のサブグループでは、前記二環式複素環式基は非置換型であるか、あるいはハロゲン、OH、NH2、CH2OH、CH2NH2、O−C1−6−アルキル、NH−C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル、ヘテロシクリル、O−ヘテロアリール、O−C3−7シクロアルキル、O−ヘテロシクロアルキル、C(=O)C1−6アルキル、C(=O)OC1−6アルキル、C(=O)NH2、C(=O)NHC1−6アルキル、C(=O)N(C1−6アルキル)2、NH(C1−6アルキル)、N(C1−6アルキル)2、NC(=O)C1−6アルキル、C6アリール、OC6アリール、C(=O)C6アリール、C(=O)OC6アリール、C(=O)NH2、C(=O)NHC6アリール、C(=O)N(C6アリール)2、NH(C6アリール)、N(C6アリール)2、NC(=O)C6アリール、C5−6ヘテロシクリル、OC5−6ヘテロシクリル、C(=O)C5−6ヘテロシクリル、C(=O)OC5−6ヘテロシクリル、C(=O)NHC5−6ヘテロシクリル、C(=O)N(C5−6ヘテロシクリル)2、NH(C5−6ヘテロシクリル)、N(C5−6ヘテロシクリル)2、NC(=O)C5−6ヘテロシクリル、C(=O)NHC1−6アルキル、C5−6アリール、S(=O)C1−6アルキル、S(=O)N−C1−6アルキルおよびSO2N−C1−6アルキル;ならびに基[sol]、CH2[sol]、またはOCH2CH2[sol]からなる基R10bから選ばれる1、2または3個(好ましくは、1個または2個)の置換基で置換されている。ここで[sol]は以下の基から選ばれる。
化合物の別のサブグループでは、前記二環式環は非置換であるか、あるいは1、2または3個(例えば、1個または2個、例えば1個)の基R10c(ここで、R10cは基[sol]、CH2[sol]、またはOCH2CH2[sol])で置換されており、ここで[sol]は以下の基:
から選ばれ、(i)R10cは場合によりさらに基OCH2CH2CH2[sol]から選ばれ、かつ/または(ii)[sol]はさらにNHR11(ここで、R11はCOR12またはR12であり、R12はC1−4アルキル、アリールまたはアリール−C1−4アルキルである)から選ばれる。
化合物の別のサブグループでは、前記二環式環は非置換型であるか、あるいは1個または2個の置換基R10ccで置換されており、ここで、R10ccは、
ハロゲン;
CO2R14(ここで、R14は水素またはC1ー6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシにより場合により置換されているC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシにより場合により置換されているC1−4アルコキシ;または
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]もしくはOCH2CH2CH2[sol]から選ばれ、ここで[sol]は以下の基:
[ここで、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12またはR12であり;R12はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキルまたはCH2R15であり;かつ、R15は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13またはC(O)OR13から選ばれ;かつ、R13はC1−6アルキルである]
から選ばれる。
化合物のさらなるサブグループでは、前記二環式環は非置換であるか、あるいは1個または2個の置換基R10cccで置換されており、ここで、R10cccは、基[sol]またはCH2[sol]から選択され、ここで[sol]は以下の基:
[ここで、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12またはR12であり;R12はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキルまたはCH2R15であり;かつ、R15は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13またはC(O)OR13から選ばれ;かつ、R13はC1−6アルキルである]
から選ばれる。
化合物の別のサブグループでは、R10bまたはR10cまたはR10ccが基[sol]、CH2[sol]、OCH2CH2[sol]またはOCH2CH2CH2[sol]であり、[sol]が第一級または第二級アミン基を含む場合、この第一級または第二級アミン基は、アミド、カルバメートまたは尿素などのアシル誘導体を形成するように誘導体化することができる。例えば、このアミン基はC1−4アルコキシカルボニルアミノ基またはベンジルオキシカルボニルアミノ基などのカルバメートを形成するように誘導体化することができる。
化合物の1つのサブグループでは、R5およびR6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているジヒドロイソインドール基を形成しており、ここで、任意の置換基は本明細書で定義される基R10、R10a、R10b、R10cおよびR10ccならびにそのサブグループおよび例から選ばれる。
基NR5R6の具体例を表2に示す。カルボニル基との結合点はアステリスクにより示されている。
表2
好ましい基NR5R6の1つのセットは、基B8およびB30からなるか、これらを含む。
別の好ましい基NR5R6は基B8である。
好ましい基NR5R6のさらなるセットは、基B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B55、B57、B58、B59、B60、B61およびB62からなる。
好ましい基NR5R6のさらなるセットは、基B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61およびB62からなる。
好ましい基の別のセットは、B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B71、B72、B74、B75、B76、B77、B78、B79、B80、B81、B82、B83、B85、B86、B87、B93、B94、B95、B97、B98、B99、B100およびB101からなる。
基NR5R6のさらなるサブセットは、B43、B46、B48、B76、B82、B89、B91およびB96からなる。このサブセットの中で、より好ましい基としては、基B43、B46、B48、B76、B82、B89およびB91であり、B76、B82およびB89が特に好ましい。
具体的な好ましいサブグループ
本発明による使用のための化合物の1つのサブグループは一般式(II):
[式中、R3aは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ、ここで前記C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;
R4は、水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基、または3〜7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビル−アミノから選ばれ、ここで、前記非環式C1−5ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;
あるいはR3aおよびR4は一緒になって5〜7環員の単環式炭素環式環または複素環式環を形成し;
R5およびR6は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8〜12環員または9〜10環員)(このうち最大5個までの環員が酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R8は水素およびフッ素から選ばれる]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
本発明による使用のための化合物の別のサブグループは一般式(III):
[式中、R3bは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ、ここで前記C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;
R4は、水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基、または3〜7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビル−アミノから選ばれ、ここで前記非環式C1−5ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;
あるいはR3bおよびR4は一緒になって5〜7環員の単環式炭素環式環または複素環式環を形成し;
R5およびR6は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8〜12環員または9〜10環員)(このうち最大5個までの環員が酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R8は水素およびフッ素から選ばれる]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
本発明による使用のための化合物のさらなるサブグループは一般式(IV):
[式中、R2aは、ヒドロキシおよびメトキシから選ばれ(好ましくは、ヒドロキシ);
R3cは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシから選ばれ、ここで前記C1−5ヒドロカルビルおよびC1−5ヒドロカルビルオキシ部分は各々、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;
R4は、水素;基−(O)n−R7(ここで、nは0または1であり、R7は非環式C1−5ヒドロカルビル基、または3〜7環員を有する単環式炭素環式基もしくは複素環式基である);ハロゲン;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;およびモノ−またはジ−C1−5ヒドロカルビル−アミノから選ばれ、ここで、前記非環式C1−5ヒドロカルビル基ならびにモノおよびジ−C1−5ヒドロカルビルアミノ部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C1−2アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されており;あるいは、R3CおよびR4は一緒になって5〜7環員の単環式または複素環式炭素環を形成する;
R5およびR6は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、12環員まで(例えば、8〜12環員または9〜10環員)(このうち最大5個までの環員が酸素、窒素および硫黄から選ばれるヘテロ原子である)を有する二環式基を形成し;かつ
R8は水素およびフッ素から選ばれる]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
式(II)、(III)および(IV)の範囲内で、化合物の特定のサブグループは、NR5R6が10環員まで(例えば、9または10環員、好ましくは9環員)(このうち最大5個までの環員がO、NおよびSから選ばれるヘテロ原子である)の二環式環を形成しているものであり、前記単環式環または二環式環は、最大3個までの本明細書で定義される置換基R10、R10a、R10b、R10cおよびR10cc、より一般には最大2個までの置換基、例えば最大1個までの置換基で場合により置換されている。
二環式複素環式基NR5R6のより具体的な置換基は、サブグループR10cのメンバーと、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、エチル、シクロプロピル、ヒドロキシ、メチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、オキソ、メトキシメチル、カルボキシ、フェニル、C1−2アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アセチル、メチルスルホニルおよびピリジルからなるサブグループR10dの一部を形成するものである。このサブグループの範囲内で、置換基の1つのサブグループとしては、メチル、エチル、クロロ、フルオロ、ヒドロキシ、メチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、シクロプロピル、ヒドロキシエチル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、オキソ、メトキシメチルおよびアセチルが挙げられる。
例えば、NR5R6は、9または10環員(このうち1〜3個はヘテロ原子である)の5.6または6.6縮合二環式環を形成することができ、前記二環式環は、本明細書で定義される1種以上の置換基R10またはR10aまたはR10bまたはR10cまたはR10ccまたはR10dならびにそのサブグループ(サブセット)および例で場合により置換されている。
このサブグループの範囲内で、縮合二環式環の例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリン環などの非芳香環が、ベンゼンまたはピリジン環などの6員のアリールまたはヘテロアリール環と縮合しており、前記非芳香環に存在する窒素原子が式(II)、(III)または(IV)のカルボニル基と結合しているものがある。
具体的な縮合二環式環としては、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、テトラヒドロキノリンおよびテトラヒドロイソキノリン、ならびに芳香環の1または2個の炭素環員が窒素で置換されているそのアザアナログが挙げられる。
NR5R6により形成される二環式複素環式基の1つのサブグループは、本明細書で定義される基R10、R10a、R10bおよびR10cまたはR10ccおよび/またはR10dならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選ばれる1個以上(例えば、1、2または3個)の任意の置換基により場合により置換されているジヒドロイソインドールからなる。
好ましい化合物としては、基R3aまたはR3bまたはR3cが水素、ハロゲンおよびC1−5アルキルから選ばれるものがあり、このC1−5アルキル部分は各場合において、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシおよびアミノから選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されている。
より好ましくは、基R3aまたはR3bまたはR3cは、水素、またはヒドロキシ、ハロゲン、C1−2アルコキシおよびアミノから選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されているC3−5アルキル基である。特に、基R3aまたはR3bまたはR3cは、水素ならびにイソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチルおよび1,2−ジメチルプロピル基から選ばれる。
本発明による使用のための化合物の別のサブグループは、式(V):
[式中、R1は水素またはヒドロキシであり;R2aはヒドロキシまたはメトキシであり(ただし、R1およびR2aの少なくとも一方はヒドロキシである);R3dは、エチルならびに3〜6個の炭素原子の第二級および第三級アルキル基から選ばれ;R4aは、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;かつ、R5、R6およびR8は本明細書で定義される通りである(ただし、R1およびR2がともにヒドロキシである場合、R3dはさらに水素から選ばれ得る)]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
一実施態様では、R1およびR2がともにヒドロキシである場合、R3dは水素である。
別の実施態様では、R3dはエチルまたは第二級もしくは第三級アルキル基である。特に好ましいアルキル基R3dは、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルであり、特にイソプロピルである。
式(II)〜(V)の範囲内で、好ましい基NR5R6はジヒドロイソインドール基であり、前記ジヒドロイソインドール基は非置換型であってもよいし、あるいは本明細書で定義される1、2または3個の基R10、R10aまたはR10bまたはR10cまたはR10ccまたはR10dならびにそのサブグループ(サブセット)および例で置換されていてもよいが、ある特定の実施態様では非置換型である。
化合物の別の好ましいサブセットは、式(VI):
[式中、R1はヒドロキシまたは水素であり;R2aはヒドロキシまたはメトキシ(好ましくは、ヒドロキシ)であり(ただし、R1およびR2aの少なくとも一方はヒドロキシである);環Bは最大2個まで(好ましくは、0または1個)の窒素ヘテロ原子環員を含む芳香環であり;Tは基(CHR10)jであり、Qは基(CHR10)kであり、ここで、jおよびkは各々0、1、2または3であり(ただし、jとkの和は2または3である);nは0、1、2または3であり、R3、R4a、R8およびR10は本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
化合物の別の好ましいサブセットは、式(VIa):
[式中、R1はヒドロキシまたは水素であり;R2aはヒドロキシまたはメトキシ(好ましくは、ヒドロキシ)であり(ただし、R1およびR2aの少なくとも一方はヒドロキシである);環Bは最大2個まで(好ましくは、0または1個)の窒素ヘテロ原子環員を含む芳香環であり;Tは基(CHR10b)jであり、Qは基(CHR10b)kであり、ここで、jおよびkは各々0、1、2または3であり(ただし、jとkの和は2または3である);nは0、1、2または3であり、R3、R4a、R8およびR10bは本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
式(VI)または式(VIa)の範囲内の化合物の1つのサブグループでは、R1は水素である。
式(VI)または式(VIa)の範囲内の化合物の別のサブグループでは、R1はヒドロキシである。
式(VI)では、二環式基:
の例としては、以下の基C1〜C6が挙げられる。
好ましい基は基C1、C5およびC6である。
基C1〜C6では、部分R10は上記に定義される基R10であってもよいし、あるいは本明細書で定義される基R10b、R10c、R10ccまたはR10cccであってもよい。各場合において、nは好ましくは1、2または3、より好ましくは1または2、例えば1である。
現在のところ好ましい基は基C1である。
式(VI)の範囲内で、化合物の1つの特定の群は、式(VII):
[式中、R1、R2a、R3、R4a、R8およびR10bは本明細書で定義される通りであり、nは0、1、2または3(より好ましくは、0、1または2、例えば、0または1)である(ただし、R1およびR2aの少なくとも一方はヒドロキシである)]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
式(VI)および(VII)の範囲内で、置換基R3は好ましくは本明細書で定義される基R3dであり、かつ/または置換基R10bは存在しないか(n=0)、または本明細書で定義される基R10cおよびR10dならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選ばれる。好ましくは、R1およびR2aはともにヒドロキシである。
式(VII)の範囲内の本発明による使用のための化合物の1つの特定の群は、式(VIIa):
[式中、R3は水素、ハロゲン、C1−5アルキル、C2−5アルケニルおよびC3−4シクロアルキル基から選ばれ;R4aは水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;R8は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;かつ、R10は本明細書で定義される通りである]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
式(VIIa)の範囲内で、R10は、例えば、1、2または3個の本明細書で定義される基R10aまたはR10bまたはR10cまたはR10ccまたはR10dならびにそのサブグループ(サブセット)および例から選ばれ得る。
式(VII)の範囲内の本発明による使用のための化合物の1つの好ましい群は、式(VIIb):
[式中、R3は水素、ハロゲン、C1−5アルキル、C2−5アルケニルおよびC3−4シクロアルキル基から選ばれ;R4aは水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;R8は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;かつ、R10ccは、
ハロゲン;
CO2R14(ここで、R14は水素またはC1ー6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシにより場合により置換されているC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシにより場合により置換されているC1−4アルコキシ;または
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]もしくはOCH2CH2CH2[sol]から選ばれ、ここで[sol]は以下の基:
(ここで、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12またはR12であり;R12はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキルまたはCH2R15であり;かつ、R15は水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13またはC(O)OR13から選ばれ;かつ、R13はC1−6アルキルである)
から選ばれる]
で示されるもの、またはその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
さらなる実施態様では、この化合物は本明細書で定義される式(VI)、(VII)および(VIIa)の化合物のアザ−またはジアザ−アナログであってよく、ここで、前記5員環に結合しているベンゼン環の1または2個の炭素原子は窒素により置換されている。
例えば、式(VIIa)の化合物における基:
は、
により置換されていてもよい。
本明細書で定義される式(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)および(VIIb)(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)およびそのサブグループの各々では、nは好ましくは1、2または3であり、より好ましくは1または2である。一実施態様では、nは1である。
本発明による使用のための具体的な化合物としては、
(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−イル)−メタノン;
(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル−メタノン;
8−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−2−メチル−2,8−ジアザ−スピロ[4.5]デカン−1−オン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(5−エチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
(5−シクロプロピル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−sec−ブチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
[5−(3−アミノ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−tert−ブチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−メタノン;
(4,7−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(3−フルオロ−2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−フルオロ−4,6−ジヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン塩酸塩;
(5−クロロ−6−メトキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル)−メタノン;
(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(5−アミノ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル;
2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イルメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
{3−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−イソプロピルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
N−{2−[2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−エチル}−2−モルホリン−4−イル−アセトアミド;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン塩酸塩;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
[5−(2−アミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
4−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ジメチルアミノメチル−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[2−(2,2−ジメチル−プロピルアミノ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
[5−(2−シクロペンチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;および
(5−クロロ−6−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
ならびにその塩、溶媒和物、N−オキシドおよび互変異性体が挙げられる。
式(I)の好ましい個々の化合物としては、
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ジメチルアミノメチル−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−メタノン;
またはその塩、溶媒和物、N−オキシドおよび互変異性体がある。
個々の化合物の特に好ましいセットは、
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;および
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
またはその塩、溶媒和物または互変異性体からなる。
誤解を避けるため記述すると、R1基の各々の一般的かつ具体的な好ましい選択肢、実施態様および例は、本明細書で定義される基R2および/またはR3および/またはR4および/またはR5および/またはR6および/またはR10および/またはQおよび/またはTおよび/またはそのサブグループの各々の一般的かつ具体的な好ましい選択肢、実施態様および例と組み合わせることができ、このような組合せは全て本発明に包含されると理解すべきである。
式(I)の化合物を構成する種々の官能基および置換基は、一般に式(I)の化合物の分子量が1000を超えないように選択される。より典型的には、化合物の分子量は750未満、例えば、700未満、または650未満、または600未満、または550未満である。より好ましくは、分子量は525未満、例えば、500以下である。
式(I)の1つの好ましい化合物は式(1)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)であり、
これは(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンという化学名を有する。
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの酸付加塩
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンは、酸付加塩の形態で存在してもよい。
酸付加塩は、無機および有機双方の多様な酸で形成できる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、ショウノウ酸(例えば、(+)ショウノウ酸)、ショウノウ−スルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデカン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸(本明細書において他の箇所では単にL−乳酸として言及される可能性がある)および(±)−DL−乳酸)、ラウリルスルホン酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸、およびナフタレン−1,5−ジスルホン酸)、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫黄、タンニン酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸、吉草酸およびキシナホ酸からなる群から選ばれる酸により形成された塩が挙げられる。
具体的な酸付加塩は、塩酸、乳酸(例えば、L−乳酸)または硫酸により形成された塩である。
好ましい塩は、乳酸(すなわち、乳酸塩、特にL−乳酸塩)から形成された塩である。
酸付加塩は、典型的には薬学上許容される塩であり、薬学上許容される塩の例は、ベルジュ(Berge)ら、1977年、「薬学的許容塩(Pharmaceutically Acceptable Salts)」、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)、第66巻、1〜19ページで検討されている。
固体の状態では、本発明の塩は、結晶性またはアモルファスまたはその混合物であってもよい。
一実施形態では、塩はアモルファスである。
アモルファス固体では、結晶形態で通常存在する3次元構造は存在せず、アモルファス形態での分子のお互いに対する位置は実質的にランダムである。例えば、ハンコック(Hancock)ら、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)、1997年、86、1参照。
別の実施形態では、酸付加塩は実質的に結晶性である。
酸付加塩は、「医薬用塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」、ハインリヒスタール(P. Heinrich Stahl)(編者)、カミールワーマス(Camille G. Wermuth)(編者)、ISBN:3−90639−026−8、ハードカバー、388ページ、2002年8月に記載されている方法のような従来の化学的方法により親化合物から合成することができる。そのような塩は一般的に、水、有機溶媒、またはそれら2つの混合物中で適切な酸と式(1)の化合物の遊離塩基形態を反応させることにより調製することができる。
例えば、酸付加塩は、溶媒(典型的には有機溶媒)または混合溶媒中で(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの遊離塩基の溶液を形成することおよび酸で前記溶液を処理して酸付加塩の沈澱物を形成することにより調製できる。
酸は、遊離塩基が溶解している溶媒と混和性がある溶媒に溶液として加えられてもよい。遊離塩基がまず溶解される溶媒は、前記酸付加塩が不溶性のものであってもよい。あるいは、遊離塩基がまず溶解される溶液は、前記酸付加塩が少なくとも部分的に溶解するものであってもよく、塩が溶液から析出するように、酸付加塩がそれほど可溶でない別の溶媒が続いて加えられる。
酸付加塩を形成する別の方法では、(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンは揮発性酸および場合により共溶媒を含む溶媒に溶解し、これにより揮発性酸との酸付加塩の溶液を形成し、得られた溶液をその後に濃縮または蒸発させて塩を単離する。このように調製することができる酸付加塩の一例は酢酸塩である。
塩は、典型的には有機溶媒から形成されると共に析出し、したがって溶液から固体の分離(例えば、濾過)により単離することができる。
ある酸塩は、当業者に公知の方法により遊離塩基および場合により他の酸付加塩に変換することができる。例えば、遊離塩基はアミン固定相(例えば、ストラタ(Strata)−NH2カラム)を有するカラムに塩溶液を通すことにより形成することができる。
あるいは、酸付加塩の水溶液を重炭酸ナトリウムで処理し、塩を分解し遊離塩基を沈殿させることができる。その後、遊離塩基は上述または本明細書の他の箇所に記載された方法の1つにより酸と組合されてもよい。
酸付加塩は、対応する遊離塩基と比較して多くの長所を有する。例えば、前記酸付加塩は遊離塩基と比較して下記の1つまたはそれ以上の利点がある:
より溶解度が大きく、したがって静脈内投与(例えば、点滴によって)により適している、
より安定性が高い(例えば、より長い保存期間)、
より高い熱安定性を有する、
さほど塩基性ではなく、したがって静脈内投与により適している、
生産に関して利点を有する、
水溶液に対してより高い溶解度を有する、
より好ましい物理化学的性質を有する、
向上した抗癌活性を有し得る、かつ
向上した治療指数を有し得る。
式(1)の化合物のL−乳酸塩の具体的な利点としては次のものが挙げられる:
水和されないので、処方がより容易である、
試験された遊離塩基や他の塩形態(すなわち、塩酸および硫酸により形成された塩)よりも多型が少ない、
吸湿性ではない、かつ
試験された遊離塩基や他の塩よりもよりよい溶解性の度合いを有する。
本明細書で用いる「安定」または「安定性」なる語は、化学的安定性と固体状態(物理的)安定性を含む。「化学的安定性」なる語は、化合物が単離された形態で保存できることを意味するか、または化合物が、例えば、本明細書に記載される薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントとともに混合物として提供される製剤の形態で、例えば、6か月またはそれ以上の期間、より通常には12か月またはそれ以上、例えば、18か月またはそれ以上の期間、通常の貯蔵条件下でほとんどもしくは全く化学的に劣化または分解しないことを意味する。「固体状態安定性」は、化合物が単離された形態で保存できることを意味するか、または化合物が、例えば、本明細書に記載される薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントとともに混合物として提供される固体製剤の形態で、通常の貯蔵条件下で、ほとんどもしくは全く固体変換(例えば、水和、失水、溶媒和物化、脱溶媒和物化、結晶化、再結晶化または固体相転移)しないことを意味する。
本明細書で使用される「吸湿性ではない」および「非吸湿性」なる語ならびに関連する語は、物質が高い相対湿度(例えば90%相対湿度)条件にさらされた場合に、水を5重量%(物質自体の重量に対して)以上吸収しない、かつ/または高湿度条件で結晶形態に変化をきたさない、かつ/または高相対湿度条件で結晶体内に水を吸収(内水)しないことを意味する。
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの結晶形態
別の好ましい実施形態では、式(1)の化合物、すなわち(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン、またはその酸付加塩は、実質的結晶形態で存在する。
「実質的に結晶性」により、式(1)の化合物またはその酸付加塩は、50%〜100%結晶性であることが意味され、より具体的には、式(1)の化合物またはその酸付加塩は少なくとも50%結晶性、または少なくとも60%結晶性、または少なくとも70%結晶性、または少なくとも80%結晶性、または少なくとも90%結晶性、または少なくとも95%結晶性、または少なくとも98%結晶性、または少なくとも99%結晶性、または少なくとも99.5%結晶性、または少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性であってもよい。
より好ましくは、式(1)の化合物またはその酸付加塩は、95%〜100%結晶性のものであってもよい(または95%〜100%結晶性のものから成る群から選ばれてもよい)、例えば、少なくとも98%結晶性、または少なくとも99%結晶性、または少なくとも99.5%結晶性、または少なくとも99.6%結晶性、または少なくとも99.7%結晶性、または少なくとも99.8%結晶性、または少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性である。
結晶形態は、固体の状態で、溶媒和されていても(例えば、水和)溶媒和されていなくてもよい(例えば、無水)。
一実施形態では、結晶形態は溶媒和されていない(例えば、無水)。
本明細書で用いる「無水」なる語は、塩(例えば、塩の結晶)のまわり、またはその中にいくらかの水分が存在する可能性を排除しない。例えば、塩(例えば、塩結晶)の表面に存在するいくらかの水分、あるいは塩(例えば、結晶)の塊の中に少量の水分が存在してもよい。典型的には、無水形態は、化合物の分子1個当たり水分子を0.4個未満含んでおり、より好ましくは化合物の分子1個当たり水分子を0.1個未満、例えば、水の分子を0個含んでいる。
別の実施形態では、結晶形態は溶媒和されている。結晶形態が水和されている場合、結晶形態は例えば結晶水の分子を最大3個まで、より通常は水の分子を最大2個まで、例えば水の分子1個または水の分子2個を含み得る。存在する水の分子の数が1個未満すなわち非整数である非化学量論的水和物が形成される可能性がある。例えば1個未満の水の分子が存在する場合、例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9個の水の分子が化合物の分子1個当たりに存在する可能性がある。
他の溶媒和物としては、エタノラートやイソプロパノラートのようなアルコラートが挙げられる。
本明細書に記載される結晶形態、その個々の結晶およびそれらの結晶構造は、本発明のさらなる態様である。
結晶形態およびその結晶構造は、単結晶X線結晶学、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定法(DSC)および赤外線分光法、例えば、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)を含む多くの手法を使い特性決定できる。様々な湿度条件下での結晶の性質は重量蒸気収着法によって、またXRPDによって分析することができる。
化合物の結晶構造の測定は、X線結晶学的方法により行なうことができ、本明細書や「結晶学の基礎(Fundamentals of Crystallography)」、ジャコバッツォ(C. Giacovazzo)、モナコ(H. L. Monaco)、ビテルボ(D. Viterbo)、スコルダリ(F. Scordari)、ジリ(G. Gilli)、ザノッティ(G. Zanotti)およびキャッティ(M. Catti)、(国際結晶学連合(International Union of Crystallography)/オックスフォード大学出版(Oxford University Press)、1992年、ISBN:0−19−855578−4(p/b)、0−19−85579−2(h/b))に記載されたような従来の方法によって行なうことができる。この手法は、単結晶のX線回折の分析および解釈を伴う。
あるいは、化合物の結晶構造は粉末X線回折(XRPD)固体法により分析することができる。XRPDは、本明細書および粉末X線回折入門(Introduction to X-ray Powder Diffraction)、(ロンジェンキンス(Ron Jenkins)およびロバートスナイダー(Robert L. Snyder)(ジョンワイリー&サンズ、ニューヨーク、1996年)に記載のような従来の方法にしたがって行なうことができる。XRPD回折図中で明確なピーク(ランダムなバックグラウンドノイズとは対照的に)の存在は、化合物が結晶化度を有していることを示す。
化合物の粉末X線図形は、X線回折スペクトルの回折角(2θ)パラメーターおよび面間隔(d)パラメーターによって特徴付けられる。これらは、ブラッグの式、nλ=2dSinθ(ここでn=l、λ=使用されるカソードの波長、d=面間隔、およびθ=回折角)により関連づけられる。本明細書では、面間隔、回折角および全体的な図形は、データの特徴により、粉末X線回折における結晶の識別のために重要である。結晶成長の方向、粒径および測定条件によって相対強度は変わりうるので、相対強度は厳密に解釈されるべきでない。さらに、回折角は通常2θ±0.2°の範囲内で一致する角度を意味する。ピークは主要ピークを意味し、上述した以外の回折角で半分までの大きさのピークを含む。
式(1)の化合物およびその酸付加塩は多くの異なった結晶形態で存在し、これらは我々の同時係属中のGB0620259.2およびUS特許仮出願番号60/829,243(共に2006年10月12日に出願)に詳細に記載されている。
関心を集める具体的な結晶塩は、下記に記載のL−乳酸塩である。
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンとL−乳酸とで形成された塩の結晶形態
式(1)の化合物の乳酸塩は、1つの不安定な形態(FL3)および2つの安定な形態(FL1およびFL2)で存在する。
形態FL1
別の実施形態では本発明の組合せは、XRPDパターンが16.81に回折角ピーク(2θ/°)を有することにより特徴付けられる結晶形態の(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩を含む。
好ましくは、このXRPDパターンはまた、6.53、13.10、14.13、14.40、17.22、18.65、19.52、19.82、22.33、22.84および23.09で回折角(2θ/°)ピークを示す。
より好ましくは、このXRPDパターンはさらに、6.18,8.39,11.08、15.21、16.21、20.49、20.76、21.13、22.02、23.94、25.19、26.41、26.95および27.81で回折角(2θ/°)ピークを示す。
最も好ましくは、このXRPDパターンは実質的に本明細書の図1に示されたとおりである。
形態FL1は、(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの遊離塩基をエタノールとEtOAcとの混合物(例えば、体積比3:5で)に懸濁すること;前記混合物にL−乳酸を加えること(例えば、L−乳酸はエタノール溶液の形態である);前記混合物を清澄化すること(例えば、透明になるまで加熱することによりおよび/または残留する固体をすべてろ過することによる);シード添加しながら清澄化した混合物を撹拌し結晶化した形態FL1を、例えば、ろ過により取り出すことにより調製できる。
形態FL2
別の実施形態では本発明の組合せは、XRPDパターンが22.34に回折角ピーク(2θ/°)を有することにより特徴付けられる結晶形態の(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩を含む。
好ましくは、このXRPDパターンはまた、8.03、10.71、11.98、13.13、15.39、16.09、16.61、17.26、18.17、18.82、20.40、21.01、21.53、22.34、22.56、23.71および27.70で回折角(2θ/°)ピークを示す。
より好ましくは、このXRPDパターンはさらに、24.30、24.65、26.56および28.29で回折角(2θ/°)ピークを示す。
最も好ましくは、このXRPDパターンは実質的に本明細書の図2に示されたとおりである。
X線結晶学的研究から、形態FL2は、単斜晶系空間群P21に属し293Kでa=5.8、b=16.6、c=14.9Å、β=98、α=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する結晶構造を有することが分かっている。FL2の結晶のパッキング図を本明細書の図3に示す。
したがって別の実施形態では本発明の組合せは、結晶性であり以下の特性を有する(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩を含む。
(a)図3に示される結晶構造を有する、かつ/または
(b)本明細書の表16の座標により定義される結晶構造を有する、かつ/または
(c)293Kでa=5.8、b=16.6、c=14.9Å、β=98、α=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する、かつ/または
(d)P21などの単斜晶系空間群に属する結晶構造を有する。
結晶形態FL2は、3つの結晶が存在することから名目上は三水和物である安定した水和物であるが、非対称ユニットにおける水の位置は、室内の温度および湿度では完全に(100%)占有されていない。形態FL2は固体の医薬組成物の調製に使用されてもよい。したがって、別の態様では本発明は、本明細書に定義される結晶形態FL2の(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩を含む固形医薬組成物を提供する。
形態FL2は、貧溶媒としてアセトンを使用して、飽和メタノール水溶液からの析出により調製することができる。より具体的には、結晶形態FL2は、メタノール:水(好ましくは9:1の比率で)形態FL1の飽和溶液を形成すること、その後アセトンを加えて形態FL2を析出させることを含む方法により調製することができる。
形態FL3
別の実施形態では本発明の組合せは、XRPDパターンが5.53に回折角ピーク(2θ/°)を有することにより特徴付けられる結晶形態の(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩を含む。
好ましくは、このXRPDパターンはまた、11.07、13.16、16.69、17.17、18.00、18.49、19.28、21.05、22.47および22.84で回折角(2θ/°)ピークを示す。
より好ましくは、このXRPDパターンはさらに、8.36、13.85、19.79、20.34、21.47、21.93、24.56、26.28、27.06、27.47および29.11で回折角(2θ/°)ピークを示す。
最も好ましくは、このXRPDパターンは実質的に本明細書の図4に示されたとおりである。
形態FL3は、貧溶媒としてヘプタンを使用して、飽和THF溶液からの析出により調製することができる不安定な形態である。したがって、別の態様では本発明は、結晶形態FL3の調製方法を提供し、この方法は、形態FL1の飽和THF溶液を形成し、その後ヘプタンを加えて形態FL3を析出させることを含む。
化合物(1)の酸付加塩および結晶形態の製薬学的用途
他の態様では、本発明は以下のものを提供する。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の予防または治療における使用のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の予防または治療方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せをその必要のある被験体に投与することを含む方法。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いる、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の罹患率を緩和または低減用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
Hsp90が仲介する病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せをその必要のある被験体に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療に用いる、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減に用いる、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せをHsp90活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せをHsp90活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
本明細書に記載される病態の予防または治療における使用のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
本明細書に定義される一つまたは複数の用途のため薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せと薬学的に許容される担体とを含む、経口投与に適した形態の医薬組成物。
本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せと薬学的に許容される担体とを含む、非経口投与(例えば静脈内投与(i.v.)による)に適した形態の医薬組成物。
本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せと薬学的に許容される担体とを含む、注射または点滴による静脈内投与(i.v.)に適した形態の医薬組成物。
薬剤に使用するための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
上記および本明細書の他の箇所に記載のいずれかの用途および方法のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態、本明細書に定義される化合物、を含む本明細書に定義される組合せ。
スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、または罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防における使用のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せ。
スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾病もしくは症状に罹患している、または罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せの使用。
Hsp90により仲介される病態もしくは症状の診断および治療方法であって、(i)患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状が、Hsp90に対する活性を有する化合物による治療に感受性があるものかどうかを判定すべく患者をスクリーニングすること、ならびに(ii)患者の疾病または症状がそのような感受性を有することが示された場合、その後、本明細書に定義される式(1)の化合物の酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)あるいは本明細書に定義される式(1)の化合物またはその酸付加塩(例えば、L−乳酸塩)の結晶形態を含む本明細書に定義される組合せを患者に投与することを含む方法。
生物学的活性および治療上の使用
本発明の組合せで使用する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)または(VIIb)の化合物ならびにそのサブグループ、酸付加塩(特に、L−乳酸塩)および結晶形態はHsp90の阻害剤であることから、広範な増殖性疾患の治療に有用となる。このような増殖性疾患の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、消化管系の癌(例えば、消化管間質性腫瘍)、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌);リンパ球系列の造血系腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセルリンパ腫またはバーケットリンパ腫);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病(myelogenous leukaemias)、イマチニブ感受性および抵抗性の慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患または前骨髄球性白血病);甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫または横紋筋肉種);中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫または神経鞘腫);黒色腫;精上皮腫;奇形腫;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。間葉由来の腫瘍としては、さらにユーイング肉腫が挙げられる。
これらの癌はHsp90阻害に感受性のある癌であり得、このような癌は「診断方法」と題された節に示される方法により判定することができる。
癌の1つの群として、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜乳癌);およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる。さらに、他の癌として、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
癌の別のサブセットとしては、リンパ球および骨髄細胞系列双方の造血系腫瘍、例えば、急性リンパ芽球性白血病および慢性リンパ性白血病(T細胞およびB細胞両方)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)が挙げられ、さらに、場合によっては慢性骨髄性白血病および多発性骨髄腫が挙げられる。
癌の好ましいサブセットは、ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌;慢性骨髄性白血病;アンドロゲン受容体依存性前立腺癌;Flt3依存性急性骨髄性白血病;Braf変異関連黒色腫;多発性骨髄腫;ベルケイド抵抗性の多発性骨髄腫;および消化管間質性腫瘍(GIST)からなる。
これらのうち特定の好ましい癌は、本明細書で定義される多発性骨髄腫およびベルケイド抵抗性の腫瘍タイプである。
他の癌の好ましいサブセットは、ホルモン抵抗性の前立腺癌、転移性黒色腫、HER2陽性乳癌、変異EGFR陽性非小細胞肺癌、およびグリベック抵抗性の消化管間質性腫瘍からなる。
また本発明の組合せは、ウイルス感染、寄生虫性疾患、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症および紅斑性狼瘡)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、炎症、I型およびII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、ならびに心疾患などの他の症状の治療にも使用することができる。
また本発明の組合せは、移植および免疫抑制にも臨床上の利益を示し得る。
また本発明の組合せは、既存治療薬または新規治療薬と併用した場合に上記の疾病に臨床上の利益を示し得る。
Hsp90クライアントタンパク質の活性と実験的証拠に基づけば、本発明は以下の疾患の治療に適用される。
ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌
ErbB2(HER−2)の過剰発現は乳癌の約30%に見られ、ハーセプチンによるErbB2受容体のダウンレギュレーションにより、細胞がタキソールに対して感受性を持つようになる。ErbB2の過剰発現は予後の悪さと薬剤耐性に関連している(ツガワ(Tsugawa)ら)1993年、オンコロジー(Oncology)、1993年;50:418)。
肺癌における変異EGFR
L858Rおよびエクソン19の欠失を含む、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)のキナーゼドメインの体細胞変異は、非小細胞肺癌(NSCLC)におけるゲフィチニブおよびエルロチニブ応答性の基礎にある。これらのチロシンキナーゼ阻害剤に対する獲得耐性には、いくつかの場合、第2の変異T790Mにより仲介される。ゲルダナマイシンなどのアンサマイシン系抗生物質は熱ショックタンパク質90(Hsp90)を強力に阻害し、適切なコンフォメーションへの折りたたみにシャペロンを必要とする発癌性キナーゼのユビキチン仲介性の分解を促進する。EGFR変異の細胞株をゲルダナマイシンに曝露すると、リン酸化AktおよびサイクリンD1の著しい枯渇ならびにアポトーシスが誘導された。これらのデータは、EGFRの変異による活性化は、安定性についてHsp90依存性に関連し、Hsp90の阻害がEGFR変異のNSCLC治療のための新たな戦略となり得ることを示唆する。
慢性骨髄性白血病
異常なBCR−Ablタンパク質は染色体の転座により作り出され、構成的に活性のあるAblキナーゼドメインが生じる。この転座はCMLの原因であることが示されている。P210BcrAblはHsp90の既知のクライアントタンパク質である。BCR−Abl陽性細胞株K562をHsp90阻害剤で処理するとアポトーシスが誘導された。Bcr−Abl阻害剤グリベック(Gleevec、登録商標)もまたK562細胞においてアポトーシスを誘導するが、グリベック(登録商標)耐性K562細胞はHsp90阻害剤に対する感受性を維持する(ゴレ(Gorre)ら、2002年、ブラッド(Blood)100:3041〜3044頁)。
アンドロゲン受容体依存性前立腺癌
アンドロゲン受容体キナーゼはHsp90クライアントタンパク質である。通常、外科手術で癌を治癒できない場合にホルモン補充療法が採用される。受容体の変異により癌はこのホルモン操作への抵抗性を有するようになる。受容体のHsp90調節は変異後であってもやはり有効である。
同じことがエストロゲン依存性乳癌についても言える。
Flt3依存性急性骨髄性白血病
チロシンキナーゼ受容体Flt3の内部重複により、その構成的活性化および発癌性がもたらされる。これらの内部重複は報告されている全AML癌の20%で見られ、予後の悪さの指標となる。CMLにおけるABLキナーゼの活性化とほぼ同様に、これは悪性腫瘍を生じる単一の遺伝子障害のもう1つの例に当たる。Flt3はHsp90クライアントタンパク質であることから、Hsp90阻害剤はこれらの患者に臨床上有益であるものと推測される(バリ(Bali)ら、2004年、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)64(10):3645〜52頁)。
Braf変異関連黒色腫
Brafはセリン/スレオニンキナーゼをコードし、全ての黒色腫の70%で変異している。これらの80%は、BRAFに増加したキナーゼ活性を与える単一のV599E点変異を示す。この変異はNIH3T3細胞においてもまた変化する(ビグネル(Bignell)ら、2002年、ネイチャー(Nature)417(6892):949〜54頁)。
多発性骨髄腫
Hsp90阻害剤17−AAGは、ボルテゾミブ抵抗性の多発性骨髄腫細胞株の増殖を強力に阻害する。IGF−1RおよびIL−6Rの細胞表面レベルは、17−aagで処理されたMM−1細胞でも減少する(ミチエーズ(Mitsiades)ら、ブラッド(Blood)、107:1092〜1100頁、2006年)。また、IL−6による多発性骨髄腫細胞のオートクライン刺激ならびに骨髄間質細胞のパラクライン刺激もHsp90クライアントIKKのダウンレギュレーションを介して減少する。
ベルケイド抵抗性の多発性骨髄腫
本発明の組合せは、セカンドライン治療中のマントル細胞リンパ腫、緩徐進行性非ホジキンリンパ腫、第IIIB期およびIV期細気管支肺胞上皮癌、進行性非小細胞肺癌、乳癌、前立腺癌および卵巣癌ならびに非ホジキンリンパ腫患者の治療を含む、ベルケイド抵抗性の腫瘍タイプの治療に使用することができる。
消化管間質性腫瘍(GIST)
GIST疾患は、特に、増殖因子(例えば、c−kit)の活性化または過剰発現に依存する疾患である。
B−CLL
ZAP−70はHsp90クライアントタンパク質であり、ZAP−70によるHsp90に対する要件はCLL細胞に限定され、このキナーゼが通常発現されるT細胞中では観察されない。したがって、ZAP−70のシャペロン依存性はZAP−70が発現される細胞の種類を条件とするのでZAP−70は同定されたHsp90クライアントの中ではユニークである。
Hsp90阻害剤が臨床上有益であり得る他の症状または疾患としては、限定されるものではないが、次のものがある。
神経変性疾患
ハンチントン病(HD)は、有効な治療の無い進行性の神経変性疾患である。Hsp90のGA阻害およびその結果としてのHspのアップレギュレーションは、神経細胞におけるハンチントンタンパク質の凝集の阻害に有効である(シトラー(Sittler)ら、2001年、ヒューマン・モレキュラー・ジェネティックス(Human Molecular Genetics)、10巻、12号、1307〜1315頁)。Hspのアップレギュレーションはまた、他のタンパク質の異常な折りたたみに起因する疾患、例えば、CJDおよびアルツハイマー病にも臨床上有益である可能性がある。
関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、および炎症性腸疾患を含む炎症性疾患
GAはHsp90からHSF−1を解離してHSF−1の活性化と核移行をもたらすことが示されている。HSF−1は次に転写因子として働き、Hsp90およびHsp70を誘導する。浮腫誘導マウスモデルにおいて、Hsp70の誘導は炎症の緩和に関連づけられている(イアナロ(Ianaro)ら、2004年、ヒューマン・モレキュラー・ジェネティックス(Human Molecular Genetics)、2001年、10巻、12号、1307〜1315頁)。さらに、GA処理は、TNF−αまたはPMAによるIκBキナーゼ(IKK)の活性化を阻害した。IκBaはNf−κBおよびAp−1のレギュレーターである(ボロエマー(Broemer)ら、2004年)。Ap−1およびNf−κBは炎症誘発性サイトカインの産生をもたらす主要な転写因子である(エオ(Yeo)ら、2004年、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem Biophys Res Commun.)30;320(3):816〜24頁)。炎症誘発性サイトカイン転写産物の安定性もまたp38MapKの阻害を介して調節される(ワックス(Wax)ら、2003年、リューマチズム(Rheumatism)、48巻、2号、541〜550頁)。
アテローム性動脈硬化症
ヒトアテローム性動脈硬化症の発症および進行において、炎症性細胞および免疫細胞が中心的役割を担うことが知られており(リガノ(Rigano)ら、ニューヨークアカデミー・オブ・サイエンス年報(Ann. N. Y. Acad. Sci.)、2007年、1107:1〜10頁)、Hsp90が頚動脈アテローム性動脈硬化症における自己抗原として作用することが提案されている。リガノらは、頚動脈アテローム硬化性プラークに罹患している60%の被験者の血清中に、Hsp90に特異的な抗体および細胞が存在するが、健康な被験者の血清中にはHsp90に特異的な抗体およびT細胞は存在しないことを見出した。したがって、本発明の組合せは、アテローム性動脈硬化症の治療または予防に有用である。
血管形成関連疾患(限定されないが、腫瘍血管形成、乾癬、関節リウマチおよび糖尿病性網膜症を含む)
内皮細胞における、血管形成の誘導は、Hsp90クライアントタンパク質であるeNOSおよびAktにより調節される(サン(Sun)およびリャオ(Liao)、2004年、アーティリオスクローシス・スランボーシス・アンド・ヴァスキュラー・バイオロジー(Arterioscler Thromb Vasc Biol.)24(12):2238〜44頁)。また、マウスモデルでは、低酸素誘導性因子(HIF)−1αの抑制は、胃腫瘍の増殖、血管形成および血管成熟を損ない得る(ストールツィング(Stoeltzing)ら、2004年、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J Natl Cancer Inst);96:946〜956頁)。
I型およびII型糖尿病
Hsp90の阻害は、Aktシグナル伝達ならびにe−nosに著しい作用を示す。これらは、I型糖尿病の高グルコースにより誘導される内皮細胞アポトーシス(リン(Lin)ら、2005年、ジャーナル・オブ・セルラー・バイオケミストリー(J Cell Biochem.)1;94(1):194〜201頁)およびII型糖尿病の高血圧症の発症(コバヤシ(Kobayashi)ら、2004年、ハイパーテンション(Hypertension)44(6):956〜62頁)における2つの重要なレギュレーターである。
免疫抑制および移植
Hsp90阻害は、T細胞の活性化に必要なT細胞特異的チロシンキナーゼであるLckをダウンレギュレーションすることが示されている(ヨルギン(Yorgin)ら、2000年、『ジャーナル・オブ・イムノロジー(J Immunol.)』15;164(6):2915〜23頁)。
心疾患
心虚血は、西洋諸国において最も多い死因である。Hsp、特に、Hsp70(ラディシコール処理により誘導)はラット心筋細胞において心臓保護活性を示す(グリフィン(Griffin)ら、2004年)。Hsp90が阻害されると、シャペロン複合体からHSF−1が遊離し、次に、Hsp遺伝子の活性化が起こる。Hsp90の阻害はまた、HIF−1のダウンレギュレーションをもたらし、これが虚血性心疾患および卒中の病因と関連づけられている。
感染症および抗ウイルス活性
C型肝炎ウイルスNS2/3プロテアーゼはHsp90クライアントタンパク質であり、Hsp90活性はウイルスのプロセッシングおよび複製に必要である(ウィトニー(Whitney)ら、2001年、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci USA)、20;98(24):13931〜5頁)。
本出願の導入部に記載したように、ウイルスRNA/DNAを有する宿主細胞の感染により、細胞タンパク質合成を、ウイルス核酸によりコードされる重要なウイルスタンパク質へと実質的に向けなおし、これにより、熱ショックタンパク質のアップレギュレーションがしばしば起こる。Hsp誘導の機能の1つは、ウイルス複製のための準備において生成される高レベルの「外来」タンパク質の安定化および折りたたみを補助することであり得ると考えられており、Hsp90阻害剤がウイルス複製を遮断可能であることが示されている(ナカガワ(Nagkagawa)ら)。したがって、本発明の化合物は、例えば、ウイルス複製の遮断または阻害によってウイルス感染に対して対抗するのに有用である。
したがって、別の態様において、本発明は、ウイルス感染(またはウイルス疾患)の予防または治療に用いるための、本明細書で定義される本発明の組合せを提供する。
さらなる態様では、本発明は以下を提供する。
ウイルス感染(またはウイルス疾患)の予防または治療用の薬剤を調製するための、本明細書で定義される本発明の組合せの使用。
ウイルス感染(またはウイルス疾患)の予防または治療方法であって、その必要のある被験体に本明細書で定義される本発明の組合せを投与することを含む方法。
宿主生物(例えば、哺乳類などの動物(例えば、ヒト))におけるウイルス複製の遮断または阻害に用いるための、本明細書で定義される本発明の組合せ。
宿主生物(例えば、哺乳類などの動物(例えば、ヒト))におけるウイルス複製の遮断または阻害に用いる薬剤を調製するための、本明細書で定義される本発明の組合せの使用。
宿主生物(例えば、哺乳類などの動物(例えば、ヒト))におけるウイルス複製の遮断または阻害方法であって、本明細書で定義される本発明の組合せを宿主生物に投与することを含む方法。
本発明の組合せを用いて治療し得るウイルス感染は、例えば、以下のウイルスのうちいずれか1つ以上による感染が挙げられる:
ピコルナウイルス、例えば、ライノウイルス(一般的な風邪ウイルス)、コクサッキーウイルス(例えば、コクサッキーBウイルス);および口蹄疫ウイルス;
肝炎ウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、およびE型肝炎ウイルス(HEV);
コロナウイルス(例えば、一般的な風邪ウイルスおよび重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス);
アデノウイルス、例えば、ヒトアデノウイルス(呼吸器および結膜感染の原因);
アストロウイルス(インフルエンザ様症状の原因);
フラビウイルス、例えば、黄熱病ウイルス;
オルソミクソウイルス、例えば、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA型、B型、およびC型ウイルス);
パラインフルエンザウイルス;
呼吸器多核体ウイルス;
エンテロウイルス、例えば、ポリオウイルス(灰白脊髄炎ウイルス);
パラミクソウイルス、例えば、麻疹(はしか)ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、およびイヌジステンパーウイルス(CDV);
トガウイルス、例えば、風疹(ドイツ麻疹)ウイルスおよびシンドビスウイルス;
以下のようなヘルペスウイルス:
単純ヘルペスウイルス(HSV)、例えば、熱性疱疹(口唇疱疹)、歯肉口内炎、疱疹性角膜炎、疱疹性湿疹;およびHSV脳炎を引き起こすHSV−1、ならびに生殖器病変、新生児感染、HSV髄膜炎、およびHSV直腸炎を引き起こすHSV−2;
水痘、先天性水痘症候群、および帯状疱疹を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルス(VZV);
伝染性単核細胞増加症、バーキットリンパ腫、および鼻咽頭癌を引き起こすエプスタイン−バーウイルス(EBV);
サイトメガロウイルス(CMV)、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV);
突発性発疹または小児薔薇疹を引き起こすヒトヘルペスウイルス6(HHV−6);
多くのAIDS患者の唾液中に見られカポジ肉腫と関連する、、カポジ肉腫関連ヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)またはカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV);
パポバウイルス、例えば、ポリオーマウイルスおよびヒトパピローマウイルス(HPV);
パルボウイルス;
ポックスウイルス、例えば、痘瘡ウイルス(ヒト天然痘ウイルス);
ラブドウイルス、例えば、狂犬病ウイルスおよび水疱性口内炎ウイルス(VSV);ならびに
レトロウイルス、例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV);およびヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)。
本発明の組合せが用いられ得る特定のウイルス感染は、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、HIV(HIVに感染した個体のAIDS発症の防止)、HPV、HCV、およびHCMVウイルスを含む。
ウイルス感染は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染以外であってもよい。
宿主生物または宿主細胞におけるウイルス複製を遮断または防止する薬剤としての本発明の組合せの活性は、当業者に公知の標準的な手法に従って求めることが可能である。
本発明の化合物は、単独の抗ウイルス剤として用いてもよく、アクシロビル、ガンシクロビル、オセルタミビル(タミフル(登録商標))、およびザナミビル(リレンザ(登録商標))、アマンチジン、リマンタジン、アデホビルジピボキシル、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ−2bおよびペグインターフェロンアルファ−2a)、ラミブジン、エンテカビル、リバビリン、ファムシクロビル、バルシシロビル(valcicylovir)、バラシクロビル、アジドチミジン(AZT−レトロビル(登録商標))、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ラミブジン、ラミブジン+アバカビル、フマル酸テノホビルジソプロキシル、フマル酸テノホビルジソプロキシル+エムトリシタビン、チプラナビル、ネルフィナビル、インジナビル、ラルテグラビル、リトナビル、ロピナビル+リトナビル、ダルナビル、アンプレナビル、エンフビルチド、サキナビル、ヒドロキシ尿素、VGV−1および抗ウイルス性ワクチンなどの抗ウイルス剤と併用してもよい。
したがって本発明は以下を提供する。
抗ウイルス剤である補助化合物との本明細書で定義される組合せ。
抗ウイルス剤である補助化合物との本明細書で定義される組合せを含む医薬組成物。
寄生虫性疾患
GAに関しては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のHsp90オーソログに対する抗マラリア活性が報告されている。マラリア原虫の増殖は、クロロキンにより見られるものと同じようなIC50でGAにより阻害された。GAはまた、熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性株に対しても有効である(カマール(Kamar)ら、2003年、マラリア・ジャーナル(Malar J.)15;2(1):30)。
本発明で使用する化合物(例えば、Hsp90の阻害剤として)の生物学的活性は、以下の実施例で示されるアッセイ、例えば、実施例80に記載される等温滴定熱量測定法(ITC)および実施例81に記載される抗増殖活性アッセイを用いて測定することができる。ITCアッセイにおいて、ある化合物が示す活性レベルはKd値として定義することができ、本発明で使用される好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のKd値を有する化合物である。抗増殖活性アッセイでは、アッセイにおいて、ある化合物が示す活性レベルはIC50値として定義することができ、本発明で使用する好ましい化合物は1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のIC50値を有する化合物である。
hERG
1990年代末頃、米国FDAによって認可された多くの医薬品が、心機能不全による死亡に関係していることが見出されたため、米国市場からの撤退を余儀なくされた。後に、これらの医薬品の副作用は、心臓細胞におけるhERGチャネルのブロッキングによる不整脈の発生であることが分かった。hERGチャネルは、カリウムイオンチャネルファミリーの1つであり、その最初のメンバーは、1980年代末頃に、ショウジョウバエの一種であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の変異体で見出された(ジャン(Jan,L.Y.)およびジャン(Jan,Y.N.)(1990年)「イオンチャネルのスーパーファミリー(A Superfamily of Ion Channels)」、ネイチャー(Nature)、345(6277):672を参照)。hERGカリウムイオンチャネルの生物物理特性は、サンギネッチ(Sanguinetti,M.C.)、ジアング(Jiang、C.)、クラン(Curran,M.E.)、およびキーティング(Keating,M.T.)(1995年)「遺伝性心不整脈と後天性心不整脈との機構的関連:HERGはIkrカリウムチャネルをコードする(A Mechanistic Link Between an Inherited and an Acquired Cardiac Arrhythmia:HERG encodes the Ikr potassium channel)」、『セル(Cell)』、81:299〜307頁、ならびにトルード(Trudeau,M.C.)、ウォームク(Warmke,J.W.)、ゲネツキー(Ganetzky,B.)、およびロバートソン(Robertson,G.A.)(1995年)「HERG、電位依存性カリウムチャネルファミリーにおけるヒトの内向き整流(HERG,a Human Inward Rectifier in the Voltage-Gated Potassium Channel Family)」、サイエンス(Science)、269:92〜95頁に記載されている。
hERGをブロックする活性の除去は、依然としてあらゆる新規な医薬品の開発における重要な懸案事項である。
式(1)の多くの化合物は、hERG活性が低く、Hsp90阻害活性とhERG活性とを確実に分離するということもまた分かっている。
特に、式(1)の好ましい化合物は、細胞増殖アッセイにおけるこれら化合物のIC50値の30倍よりも大きい、または40倍よりも大きいまたは50倍よりも大きいhERGに対する平均IC50値を有する。式(1)の好ましい化合物は、5μMよりも大きい、より具体的には10μMよりも大きい、より好ましくは15μMよりも大きいhERGに対する平均IC50値を有する。本発明による使用のためのいくつかの化合物は50μMよりも大きいhERGに対する平均IC50値を有する。
本発明で使用する化合物は有利なADME特性を有し、特に腫瘍分布が良好である。
熱ショックタンパク質および抗腫瘍薬耐性
すべてのタイプの治療的抗癌性介入は、標的腫瘍細胞に課されたストレスを必然的に増加させる。そのようなストレスの有害作用を緩和する際に、Hspは制癌剤および治療投与計画の効果への耐性に直接関係する。したがって、一般にストレスタンパク質機能(および特にHsp90)のモジュレーターまたは阻害剤は、以下の能力を有する化学療法薬の類を表わす。(i)抗癌薬剤および/または治療に対して悪性細胞を感作させること;(ii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発生率を緩和または低減させること;(iii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性を後退させること;(iv)抗癌薬剤および/または治療の活性を増強させること;(v)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発現を遅延または防止させること。
式(I)の化合物の調製方法
この節では、本願の他の全ての節と同様、文脈上他の意味に解す場合を除き、式(I)に対する言及は本明細書で定義されるその全てのサブグループおよび例(特に式(VI))を包含する。基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R10または他のいずれかの「R」基に言及する場合、対象となる基の定義は、文脈上他の意味に解す場合を除き、本願の上記および下記の節に示されている通りである。
式(I)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って調製することができる。例えば、式(I)の化合物は式(X):
の化合物またはその活性化形態および/または保護形態を式HNR5R6のアミンと、アミド結合を形成するのに適切な条件下で反応させ、その後、必要であれば保護基を除去し、場合により、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物に変換することによって製造することができる。
式HNR5R6のアミンは市販されているか、または当業者に周知の方法を用いて製造することができる(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis),第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)および有機合成(Organic Syntheses)、第1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)参照)。
前記カルボン酸(X)は、まず、カルボン酸を塩化チオニルで処理するか、または触媒量のジメチルホルムアミドの存在下で塩化オキサリルと反応させるか、またはこの酸のカリウム塩を塩化オキサリルと反応させるかにより、酸塩化物を形成して式(I)のアミドに変換することができる。次に、この酸塩化物を、トリエチルアミンなどの非干渉塩基の存在下でアミンHNR5R6と反応させることができる。この反応はジオキサンなどの極性溶媒中、室温前後で行うことができる。
上記の酸塩化物法を使用する代わりに、カルボン酸(X)を、ペプチド結合の形成に一般に用いられる種類のアミドカップリング試薬の存在下でアミンHNR5R6と反応させることによってアミド(I)に変換することができる。このような試薬の例としては、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(シーハン(Sheehan)ら、米国化学会誌(J. Amer. Chem. Soc.)、1955、77、1067)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(本明細書ではEDCまたはEDACと呼ばれるが、当技術分野ではEDCIおよびWSCDIとしても知られる)(シーハン(Sheehan)ら、ジャーナル・オブ・オーガニックケミストリー(J. Org. Chem.)、1961、26、2525)、ウロニウム系カップリング剤、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、およびホスホニウム系カップリング剤、例えば、1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス−(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(カストロ(Castro)ら、テトラへドロンレターズ(Tetrahedron Letters)、1990、31、205)が挙げられる。カルボジイミド系カップリング剤は、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(カルピノ(L. A. Carpino)、米国化学会誌(J. Amer. Chem. Soc.)、1993、115、4397)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(ケーニッヒ(Konig)ら、ケミシェベリヒテ(Chem. Ber.)、103、708、2024〜2034)と組み合わせて使用するのが有利である。好ましいカップリング試薬としては、EDC(EDAC)およびDCCとHOAtまたはHOBtとの組合せが挙げられる。
カップリング反応は、典型的にはアセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジンなどの非水性非プロトン性溶媒中、または場合により1種以上の混和性補助溶媒を伴う水性溶媒中で実施される。反応は、室温、または反応物の反応性が小さい場合(例えば、スルホンアミド基などの電子吸引性基を有する電子不足アニリンの場合)、適切な高温で実施できる。反応は、非干渉塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下で行うことができる。
式(I)の化合物への経路例を以下に詳細に記載する。
ベンゾイル部分が2−ヒドロキシ−5−置換安息香酸に由来する式(I)の化合物は、スキーム1に示される一連の反応により調製することができる。
スキーム1に示される合成経路の出発材料は、5−クロロ−2−ヒドロキシ安息香酸であり、市販されている。酸塩化物への変換は、塩化チオニルとともに加熱することにより行う。この酸塩化物はin situで用いて種々のアミンと反応させてもよいし、あるいは安定な白色固体として単離することもできる。この手順に、他の単純な2−ヒドロキシ−5−置換安息香酸を用いて2−ヒドロキシ−5−置換安息香酸の他のアミドを合成してもよい。
スキーム1:5−クロロ−2−ヒドロキシ安息香酸アミド
式(I)の化合物はまた、スキーム2に示される方法に従って調製することもできる。スキーム2に示される合成経路の出発材料は4−エチルアニソールであり、市販されている。カルボン酸への変換は、低温でリチオ化した後、得られたアニオンを固体二酸化炭素でクエンチすることにより行うことができる。このカルボン酸を、上記のようにペプチド結合の形成の際に一般に用いられる種類の標準的なアミドカップリング試薬を用い、種々のアミンとカップリングさせればよい。
メチルエーテルの脱保護は、三臭化ホウ素を用いて行うことができ(例えば、シンセシス(Synthesis)、1991年、469に記載の方法による)、式(I)の化合物が得られる。スキーム2に示されている方法を用いて他の単純な2−ヒドロキシ−5−置換安息香酸を調製することもでき、次にこれを適当なアミンとカップリングして式(I)の化合物を得ることができる。中間体である酸とアミン、アニリンまたはアミノ−複素環式化合物とをカップリングし、その後、保護基を除去するプロセスは簡潔で、本発明に有用な分子の大きなコンビナトリアルライブラリーの合成のために適している。コンビナトリアルライブラリーの例は、セネチ(Pierfausto Seneci)による、固相合成およびコンビナトリアル技術(Solid-Phase Synthesis and Combinatorial Technologies)、ワイリーインターサイエンス(Wiley-Interscience)、ニューヨーク、2000年、xii+637ページ、ISBN0471331953)に記載されている。
スキーム2
式(I)の化合物はまた、スキーム3に記載の方法に従って製造することもできる。出発材料3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸(X=tert−ブチル)は市販されており、アミドカップリング薬剤(上記に概説)を用い、式HNR5R6の広範なアミンとカップリングさせて本発明の化合物を得ることができる。スキーム3に示されている他の出発材料3−イソプロピル−4−ヒドロキシ安息香酸(X=イソプロピル)は、中間体種を加水分解してカルボン酸を得るフリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)型反応(ジャーナル・オブ・ケミカルソサエティー、ケミカルコミュニケーションズ(J Chem Soc, Chem Commun)1985年、1134)において四塩化炭素と銅粉末を用い、文献の手順を改変したものに従い、製造することができる。このフリーデル・クラフツ法は、他の単純な2−ヒドロキシ−3−置換安息香酸を製造するためにも使用可能である。
スキーム3:3−アルキル−4−ヒドロキシ安息香酸アミド
式(I)の化合物はまた、スキーム4に記載の方法に従って製造することもできる。2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−安息香酸アミドは、このスキームに示されるビ−ベンジルエーテル保護中間体から、カップリング試薬(上記に概説)を用いてアミドカップリングを行い、その後、水素ガスとパラジウム/炭素を用いて接触水素化を行うことにより製造することができる。この安息香酸中間体自体は、文献の手順(ジャーナル・オブ・インディアンケミカルソサエティー(J. Ind. Chem. Soc.)、1953年、30、269)を用い、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(商業ソースから)のフリーデル・クラフツアシル化により作製される。典型的には、フェノールのフリーデル・クラフツアシル化は、室温またはより高い温度(60〜120℃)でルイス酸触媒(三フッ化ホウ素または塩化アルミニウムなど)の存在下、フェノールをアシル化剤(酸塩化物または酸無水物など)で処理することにより行う。フェノール基のベンジル保護、ケトンのオレフィンへのウィッティヒ(Witting)反応、およびエステル加水分解(鹸化)は、有機合成の熟練者に周知の標準的な条件下で行うことができる(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis),第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)および有機合成(Organic Syntheses)、第1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)参照)。例えば、このウィッティヒ反応は不活性極性溶媒(テトラヒドロフランなど)中で行うことができ、アルデヒドまたはケトンを、ホスホニウム塩と塩基(ブチルリチウムまたはカリウムtert−ブトキシドなど)を反応させることにより製造することができるリンイリド種で処理することを含み得る。このカルボン酸へのエステル加水分解は通常、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液で処理することによって行う。この鹸化反応は、アルコール(例えば、メタノール)などの有機補助溶媒を用いて行うことができ、典型的には、反応混合物を極端でない温度、例えば、約50〜60℃まで加熱する。
この手順を用い、他の2,4−ジヒドロキシ−5−置換安息香酸を製造し、本明細書では特に例示していない式1の種々の化合物の例を合成することができるであろう。
スキーム4では、ウィッティヒ試薬MePPH3Brを用いてオレフィン(XXVI)を形成する代わりに、ケトン(XXV)と臭化メチルマグネシウムとを、標準的なグリニャール(Grignard)反応条件下で反応させて中間体のヒドロキシ化合物を得、次にこれを、酢酸ナトリウムおよび酢酸などの適切な試薬と反応させることで脱水してオレフィンを得ることができる。
スキーム4に示される中間体化合物2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(XXVII)とその前駆化合物(XXV)および(XXVI)は新規なものであると考えられ、これらの各化合物はそれ自体、本発明のさらなる態様をなす。
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸アミド(XXVIII)も新規なものであると考えられ、本発明のさらなる態様をなす。
スキーム4:2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−安息香酸アミド
スキーム4の中間体化合物2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(XXVII)は、当業者に周知の様々な方法を用いて製造することができる。例えば、化合物(XXVII)は、スキーム4Aに示される合成経路によって製造することができる。
スキーム4A
スキーム4Aに示されるように、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸を、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で臭化ベンジルを用いてベンジル化すると、ビス−ベンジルオキシ−ブロモ安息香酸ベンジルエステル(XXX)が得られる。次に、このエステル(XXX)を、パラジウム(0)またはパラジウム(II)化合物と塩基の存在下でカリウムイソプレニルトリフルオロボレートと反応させると、イソプロペニル−ビスベンジルエステル(XXXI)が得られる。このパラジウム化合物はPd(PPh3)4などのパラジウム(0)化合物または[1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム(II)化合物であり得る。塩基はn−ブチルアミンなどの有機塩基または金属炭酸塩、例えば、炭酸セシウムなどの無機塩基であり得る。このトリフルオロホウ酸カリウムイソプレニルとの反応は典型的には、還流温度で長時間、例えば15時間以上行う。得られたイソプロペニルビス−ベンジルオキシエステル(XXXI)を次に、例えば、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物を用い、一般には極端でない温度まで加熱して加水分解し、カルボン酸(XXVII)を得る。
式(I)の化合物はまた、スキーム5に示される経路に従って製造することもできる。4−ヒドロキシ−3−(1’,2’−ジメチル−プロピル)−安息香酸アミドは、アルキル置換酸から標準的なカップリング薬剤(上記に概説)を用いたアミドカップリングにより製造することができる。オレフィン酸は、それ自体、スキームに示されているように、アニソール中での熱転位による、前駆体エーテルのクライゼン(Claisen)転位の後に鹸化を行うことによって製造することができ、この場合、2つ以上のオレフィン異性体が生じるが、スキームでは主要な一方を示している。このようなクライゼン反応は文献から公知である(例えば、ジャーナル・オブ・ケミカルソサエティー(J. Chem. Soc)、パーキントランザクションズ(Perkin Trans)1、1981年、897参照)。エーテルは、それ自体、市販の4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの単純なアルキル化により製造することができる。このアルキル化および鹸化反応は簡単な改変であり、種々の条件下で行うことができる(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis),第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)および有機合成(Organic Syntheses)、第1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)参照)。この手順を用い、他の4−ヒドロキシ−3−置換安息香酸を製造し、本明細書では特に例示していない式1の種々の化合物の例を合成することができるであろう。
スキーム5:4−ヒドロキシ−3−(1’,2’−ジメチル−プロピル)−置換安息香酸アミド
式(I)の化合物はまた、スキーム6に示される方法に従って製造することもできる。2,4−ジヒドロキシ−5−ブロモ安息香酸を出発材料として用い、これは市販されている。簡単な保護と脱保護により安息香酸前駆体が得られ(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis),第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)および有機合成(Organic Syntheses)、第1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)参照)、これを様々なアミン(上記に概説)とのアミドカップリング反応に使用することができる。これらの前駆体アミドに対してスズキクロスカップリング法を行い、アルキル置換化合物を製造することができる。文献には広範なスズキカップリング条件が記載されており、ここで使用したものは米国化学会誌(J. Amer. Chem. Soc.)2003年、11148から選ばれた。スズキカップリング化学反応はまた、アルキル−アリールおよびアリール−アリール化合物の合成に広く適用可能である。スズキ反応は一般に、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)−パラジウムなどのパラジウム触媒と塩基(例えば、炭酸カリウムなどの炭酸塩)の存在下で行う。この反応は、水性溶媒系、例えば、水性エタノール中で行うことができ、この反応混合物は典型的には、例えば、100℃を超える温度まで加熱される。本発明による使用のための化合物の調製での使用に適した多くのボロネートが、例えばオーストラリア、ノーブルパークのボロンモルキュラーリミテッド(Boron Molecular Limited)社から、またはアメリカ、サンディエゴのコンビ−ブロック(Combi-Blocks)社から市販されている。ボロネートが市販されていない場合、当該技術分野で公知、例えば、ミヤウラ(N. Miyaura)およびスズキ(A. Suzuki)、ケミカルリビューズ(Chem.Rev.)、1995年、95、2457による総論に記載されているような方法により調製することができる。このように、対応するブロモ化合物をブチルリチウムのようなアルキルリチウムと反応させ、次いでボレートエステルと反応させることにより、ボロネートは製造される。得られたボロネートエステル誘導体は所望であれば加水分解されて、対応するボロン酸を生じる。スキーム6に示される一連の反応の最終生成物は、接触水素化(上記に概説)を行い、ベンジル保護基を除去し、アルキル置換基に対するスズキ反応で形成されたオレフィンを還元することにより形成される。この手順を用い、他の2,4−ヒドロキシ−5−置換安息香酸を製造し、本明細書では特に例示しない式Iの種々の化合物の例を合成することができるであろう。
スキーム6:2,4−ジヒドロキシ−5−(アルキル)−安息香酸アミド
例えば、式(VII)および(VIIa)の化合物のように、NR5R6が場合により置換されているイソインドリン基である式(I)の化合物は、スキーム7に示される方法またはそれと類似の方法により製造することができる。
スキーム7
スキーム7に示されるように、場合により置換されている1,2−ジメチルベンゼン(XI)を、過酸化ジベンゾイルの存在下でN−ブロモスクシンイミドとともに加熱すると、ジブロモ化合物(XII)が得られる。この反応は典型的には、四塩化炭素中で加熱還流しながら行う。次に、このジブロモ化合物(XII)を化合物PG−NH2(ここで、PGはトシルまたはパラ−メトキシベンジルなどの保護基である)と、PGがトシル基である場合には金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)、またはPGがパラ−メトキシベンジルである場合にはアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)などの塩基の存在下で反応させる。その後、保護基PGを除去してアミン(XIV)を得ることができる。このように、例えば、トシル基はフェノール、臭化水素酸およびプロパン酸の混合物とともに加熱することにより除去することができ、パラ−メトキシベンジル基はトリフルオロ酢酸とアニソールを用いた標準的な方法で除去することができる。その後、アミン(XIV)を上記のように式(X)のカルボン酸とカップリングさせる。
スキーム7の一連の反応の変形形態として、保護されたイソインドリン(XIII)または脱保護されたイソインドリン化合物(XIV)に存在する1個以上の官能基R10bを他のR10b基に変換することもできる。例えば、化合物(XIV)のR10b基がニトロ基であれば、例えば、パラジウム/炭素触媒の存在下での接触水素化により、これを還元して対応するアミノ基を得ることができる。さらなる例では、化合物(XIII)のR10bがエステル基(例えば、CO2Me)であれば、これを加水分解してカルボン酸を得、次にこれをモルホリンなどのアミンと反応させて対応するアミドを得ることができる。その後、保護基PGを除去する前に、さらなる官能基の相互変換を行うことができる(例えば、水素化リチウムアルミニウムでアミドを還元して対応するアミノメチル化合物を得る)。
イソインドリン化合物(XIV)のもう1つの合成法をスキーム8に示す。
スキーム8
スキーム8の出発材料はオルトジエステル(XV)であり、これを、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解し、対応するジカルボン酸(XVI)を得、その後、無水酢酸と反応させることにより環化を行い、無水フタル酸(XVII)を得る。この無水フタル酸(XVII)を高温(約210℃)でホルムアミドと反応させることにより、対応するフタルイミド(XVIII)に変換することができる。次に、フタルイミド(XVIII)を、テトラヒドロフラン中ボランなどの適切な還元剤を用いてイソインドリン(XIV)へと還元することができる。
本明細書で定義される式(VIIb)の化合物は式(XIX)の化合物またはその保護誘導体と式(XX):
(式中、n、R3、R4a、R8およびR10ccは本明細書で定義される通り)
の化合物を、上記および実施例に記載のアミド形成条件下で反応させることにより製造することができる。
式(XX)の多くの化合物が新規なものであり、それ自体、本明細書のさらなる態様をなす。よって、別の態様において、本発明は、式(XX)の化合物を提供する(ただし、それ自体が従来技術において既知であるいずれか、また全ての化合物を除く)。
式(XX)の範囲内で、特定の中間体は式(XXI):
[式中、nは0または1であり;MはNまたはCHOHであり、R25は水素またはメチルである(ただし、nが0であり、R25がメチルである場合、MはCHOHである)]
で示すことができる。
式(XXI)の範囲内の具体的な中間体は、以下の化合物(XXII)、(XXIII)および(XXIV)である。
式(XXI)の中間体は当業者に周知の方法またはそれと類似の方法により製造することができる。例えば、中間体XXIIは、適宜N保護された5−ブロモイソインドリンのリチウム−ハロゲン交換を行い、1−メチル−4−ピペリドンでクエンチした後、脱保護を行うことにより製造することができる。中間体XXIIは、4−BOC−ピペラジンと適宜N保護された5−ブロモイソインドリンのバックウォルド(Buchwald)パラジウムカップリングの後、脱保護を行うことによって製造することができる。中間体XXIVの製造方法の1つは、適宜N保護されたイソインドリン−5−カルボン酸からワインレブ(Weinreb)アミドを形成し、アルデヒドへと還元した後、還元的アミノ化と脱保護を行うというものである。
形成されたところで置換基が許容すれば、式(I)のある化合物またはその保護形態を式(I)の別の化合物に変換することができる。
例えば、R1およびR2がともに保護ヒドロキシ基(例えば、ベンジルオキシ基)であり、R3が臭素である場合、その臭素原子は、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中、トリフルオロ酢酸塩(例えば、トリフルオロ酢酸ナトリウム)およびヨウ化銅(I)と反応させることにより、トリフルオロメチルで置換することができる。
別の手順では、R8がフッ素である式(I)の化合物は、R8が水素である式(I)の化合物から求電子フッ素化により製造することができる。求電子フッ素化は、1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)または類似のN−フルオロ−ジアゾニア化合物などのフッ素化剤を用いて行うことができる。
さらなる手順では、R1およびR2がともにヒドロキシ基である式(I)の化合物を、硫酸ジメチルなどのメチル化剤1当量と反応させることによりモノメチル化して、R1およびR2の一方がメトキシ基である化合物を得ることができる。このメチル化反応は典型的には、例えば、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などの塩基の存在下、アセトニトリルなどの極性溶媒中で行う。2個のフェノール性ヒドロキシ基を含む中間体化合物に対しても同様のメチル化反応を行うことができる。
以下に記載される、また、本合成に用いられる手順の多くは当業者に周知のものであり、アルキル化、アシル化、官能基の相互変換ならびにこのような変換を実施するための試薬および条件は、例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、119、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ニューヨーク;フィーザーの有機合成試薬(Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis),第1〜17巻、ジョンワイリー、メアリーフィーザー編(ISBN:0−471−58283−2)および有機合成(Organic Syntheses)、第1〜8巻、ジョンワイリー、ジェレミア P.フリーマン(Jeremiah P.Freeman)編(ISBN:0−471−31192−8)に見出すことができる。
具体例および以下に概説する調製方法と同様に、記載されている経路に変更を加えれば、式1で示される化合物のさらに多くの例を合成することができるであろう。例えば、置換パターンが異なるまたは付加された別の安息香酸出発材料を製造することができるであろう。
上記の反応の多くのものでは、分子の望まない位置で反応が起こらないように1個以上の基を保護する必要のある場合がある。保護基の例ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(グリーン(T. Green)およびワッツ(P. Wuts);第3版、ジョンワイリー&サンズ、1999年)に見出すことができる。
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH3、−OAc)として保護することができる。例えば、R1および/またはR2がヒドロキシである式(I)の化合物においてヒドロキシ基がフェノール性ヒドロキシ基である場合、好ましい保護基はベンジル基である。
アルデヒドまたはケトン基は、例えば、第一級アルコールとの反応により、カルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR)2)に変換される、それぞれ、アセタール(R−CH(OR)2)またはケタール(R2C(OR)2)として保護することができる。アルデヒド基またはケトン基は、酸の存在下で、過剰の水を用いて加水分解により容易に再生される。アミン基は、例えば、アミド(−NRCO−R)またはウレタン(−NRCO−OR)として、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH3);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH2C6H5、−NH−Cbz)として;t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH3)3、−NH−Boc)として;2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH3)2C6H4C6H5、−NH−Bpoc)として、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)として、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)として、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)として、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)として、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)として、または2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として保護することができる。アミン、例えば、環状アミンおよび複素環式N−H基のための他の保護基としては、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基ならびにベンジル基、例えば、パラ−メトキシベンジル(PMB)基が挙げられる。カルボン酸基は、エステル、例えば、C1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例えば、C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミドとして保護することができる。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(−S−CH2NHC(=O)CH3)として保護することができる。
式(I)の化合物の精製方法
前記化合物は当業者に周知のいくつかの方法で単離および精製することができ、このような方法の例としては、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)およびHPLCなどのクロマトグラフィー技術が挙げられる。分取LC−MSは、本明細書に記載の化合物などの小有機分子の精製に用いる標準的かつ有効な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)の方法は、粗物質のよりよい分離とMSによるサンプルの検出の向上を得るために可変である。分取勾配LC法の至適化には、カラム、揮発性溶離剤および改質剤、ならびに勾配の変更を含む。分取LC−MS法を至適化し、その後それらを化合物の精製に用いるための方法は当技術分野で周知のものである。このような方法は、ローゼントレター(Rosentreter U)、フーバー(Huber U.);分取LC/MSにおける至適部分採取(Optimal fracion collecting in preparative LC/MS);ジャーナル・オブ・コンビナトリアルケミストリー(J. Comb. Chem.);2004年;6(2)、159〜64およびリースター(Leister W)、ストラウス(Strauss K)、ビスノスキ(Wisnoski D)、ジャオ(Zhao Z)、リンズリー(Lindsley C.)、化合物ライブラリの予備精製および解析的分析のためのカスタムハイスループット分取液体クロマトグラフィー/質量分析計プラットフォームの開発(Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries);ジャーナル・オブ・コンビナトリアルケミストリー(J. Comb. Chem.);2003年;5(3);322〜9に記載されている。
あるいは、逆相法の代わりに、順相分取LCに基づく方法を用いてもよい。ほとんどの分取LC−MS系では逆相LCと揮発性酸性改質剤を用いるが、これはこの手法が小分子の精製に極めて有効であり、これらの溶離剤が陽イオンエレクトロスプレー質量分析に適合しているからである。他のクロマトグラフィー溶液、上記の分析法で概説したような、例えば順相LC、あるいは緩衝移動相、塩基性改質剤などを代わりに用いて化合物を精製することもできる。
本発明による使用のための補助化合物
本発明は、式(I)の化合物および1種以上の補助化合物を含む(または本質的にそれらから成る)組合せを提供する。
任意の幅広い種類の補助化合物(本明細書で定義される式(I’)および(III’)のものを含む)が本発明の組合せにおいて使用されてもよい。
一実施形態では、組合せは、補助化合物として1種以上の式(I’)の化合物を含む。このような実施形態では、組合せは、式(I’)の化合物を1種を含んでもよい。
別の実施形態では、組合せは、補助化合物として式(III’)の1種以上の化合物を含む。このような実施形態では、組合せは、式(III’)の化合物を1種含んでもよい。
別の実施形態では、組合せは、補助化合物として式(I’)の1種以上の化合物および式(III’)の1種以上の化合物を含む。このような実施形態では、組合せは、式(I’)の化合物1種および式(III’)の化合物を1種を含んでもよい。
したがって、本発明の組合せは、式(I)の1種以上の化合物ならびに式(I’)の1種以上の化合物および/または式(III’)の1種以上の化合物を含んでも(本質的にそれらから成っても)よい。
本発明による使用のための補助化合物の適切な投与量は、WO2005/002552、WO2006/070195およびWO2007/077435の教示を参照することにより決定できる。これら文献は参照により本書に援用される。当業者であれば、任意の特定の組合せに関して選択される化合物、化合物が供される具体的な使用、および治療される患者を考慮して、上記の教示に基づき適切な投与量を容易に決定することができる。例えば、当業者であれば、1種以上の補助化合物および式(I)の化合物の投与量を控えることができる可能性がある。
式(I’)の補助化合物に関する一般的な好ましい選択肢および定義
以下に詳細に記載されるように幅広い種類の式(I’)の化合物が本発明の組合わに適用される。したがって、本発明の組合せで用いる式(I’)の化合物は次の化合物の類(a)および(b)を含む。
(a)WO2005/002552の化合物
WO2005/002552の化合物は、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)に記載の式(I)のものならびにWO2005/002552で定義されるそのサブグループ、実施形態および例に対応し、式中、R1、R2、R3、R4、AおよびXは、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)中と同義である。式(I)の化合物の様々なサブグループ、実施形態および例を記載するPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)の内容は参照により本書に援用される。
PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)の式(I)は本明細書では式(I’)として言及され、本明細書での式(I’)への言及は適宜解釈されるべきである。
したがって、本発明の組合せで用いる式(I’)の化合物は下記式で表され、
PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)における式(I)ならびにWO2005/002552において定義されるそのサブグループ、実施形態および例に対応し、式中、R1、R2、R3、R4、AおよびXは、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)中と同義である。
本発明の組合せで用いる式(I’)の好ましい化合物は、式(I”)の化合物、
またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドであり、式中、MはD1基およびD2基から選ばれ、
そして、
(A)MはD1基の場合:
Xは、O、NHおよびNCH3から選ばれ、
Aは、結合およびNR2基から選ばれ、ここでR2は水素またはメチルであり、
Eは、結合、CH2、CH(CN)およびC(CH3)2から選ばれ、
R1は下記のものから選ばれる:
(i)ヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている3〜5環員を有するシクロアルキル基、
(ii)O、N、SおよびSO2から選ばれる1もしくは2個のヘテロ原子環員を有する4〜6環員を有する飽和複素環基(前記複素環基はC1−4アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されているが、非置換4−モルホリニル、非置換テトラヒドロピラン−4−イル、非置換2−ピロリジニル、ならびに非置換および1−置換ピペリジン−4−イルを除く)、
(iii)下記式で表される2,5−置換フェニル基、
式中、(a)XがNHまたはN−CH3の場合、R3は塩素およびシアノから選ばれ、(b)XがOの場合、R3はCNである、
(iv)CR6R7R8基(R6及びR7はそれぞれ水素およびメチルから選ばれ、R8は、水素、メチル、C1−4アルキルスルホニルメチル、ヒドロキシメチルおよびシアノから選ばれる)、
(v)メチル、エチル、メトキシおよびエトキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリダジン−4−イル基、
(vi)置換基がメチル、エチル、アミノ、フッ素、塩素、アミノおよびメチルアミノから選ばれる、置換イミダゾチアゾール基、
(vii)場合により置換されている1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルまたは場合により置換されている2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル基(各々の場合の置換基はハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれ、ここで前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)、
(viii)ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されている3−ピリジル(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されているが、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−(ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−アミドおよび2,6−ジメトキシ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−ニコチンアミドを除く)、
(ix)ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているチオモルホリンあるいはそのS−オキシドまたはS,S−ジオキシド(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)、また、
E−AがNR2の場合、R1はさらに下記から選ばれる:
(x)2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−メトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、シクロヘキシル、非置換4−テトラヒドロピラニル、およびtert−ブチル、
(xi)NR10R11基(R10およびR11はそれぞれC1−4アルキルあるいはR10およびR11は結合してNR10R11がO、N、SおよびSO2から選ばれる第2のヘテロ原子環員を場合により含む4〜6環員を有する飽和複素環基を形成し、前記複素環基はC1−4アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されている)、
(xii)ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2、CONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリドン(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)、
E−AがC(CH3)2NR2またはCH2−NR2の場合、R1はさらに下記から選ばれる:
(xiii)非置換2−フリルおよび2,6−ジフルオロフェニル、また、
E−AがC(CH3)2NR2の場合、R1はさらに下記から選ばれる:
(xiv)非置換フェニル、また、
EがCH2の場合、R1はさらに下記から選ばれる:
(xv)非置換テトラヒドロピラン−4−イル、そして、
(B)MがD2基である場合:
Aは、結合およびNR2基から選ばれ、ここでR2は水素またはメチルであり、
Eは、結合、CH2、CH(CN)およびC(CH3)2から選ばれ、
R1は下記から選ばれる:
(xvi)下記式で表される2−置換3−フリル基、
式中、R4およびR5は同一または異なって水素およびC1−4アルキルから選ばれるか、あるいはR4およびR5は結合しておりNR4R5がO、NH、NMe、SまたはSO2から選ばれる第2のヘテロ原子または基を場合により含有する5または6員飽和複素環基を形成し、前記5または6員飽和環はヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている、
(xvii)下記式で表される5−置換2−フリル基、
式中、R4およびR5は同一または異なって水素およびC1−4アルキルから選ばれるか、あるいはR4およびR5は結合しておりNR4R5がO、NH、NMe、SまたはSO2から選ばれる第2のヘテロ原子または基を場合により含有する5または6員飽和複素環基を形成し、前記5または6員飽和複素環基はヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている、ただし、前記化合物は5−ピペリジン−1−イルメチル−フラン−2−カルボン酸[3−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミドではない、
(xviii)下記式で表される基、
式中、R9は、水素、メチル、エチルまたはイソプロピルであり;Gは、CH、O、S、SO、SO2またはNHであり、前記基はC1−4ヒドロカルビル、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、フッ素、アミノ、モノ−およびジ−C1−4アルキルアミノから選ばれる1、2または3個の置換基により場合により置換されており(前記C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4ヒドロカルビルオキシ基はそれぞれ、ヒドロキシ、フッ素、アミノ、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノで場合により置換されている)、そして
(xix)下記式で表される3,5−二置換フェニル基、
式中、Xは、O、NHおよびNCH3から選ばれる、また、
(C)MがD1基の場合:
XはOであり;AはNR2基であり、ここでR2は水素であり;Eは結合であり;R1は2,6−ジフルオロフェニルであり;したがって、式(I)の化合物は下記からなる群より選ばれる酸と形成された塩から選ばれる酸付加塩である:酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(例えば、(+)ショウノウ酸)、カプリン酸、カプリル酸、炭酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデカン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、塩酸、イセチオン酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸および(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、吉草酸およびキシナホ酸。
(b)1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素およびそのアナログ
本発明の組合せで用いる式(I’)の化合物は、式(AA)で表される1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基であってもよい。
この化合物は本明細書においてその化学名1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素として言及されるか、あるいは便宜上「化合物(AA)」、「前記化合物(AA)」または「式(AA)の化合物」として言及される可能性がある。これらの同義語はそれぞれ、上記式(AA)で表される化合物を指し、化学名1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素で表される。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩およびクエン酸塩は、本発明の組合せで用いる好ましい式(I)の化合物である。
化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基およびその乳酸塩またはクエン酸塩またはこれらの混合物に関する言及はそれらの範囲内にすべての溶媒和物、互変異性体および同位体ならびに文脈が許す場合はN−オキシド、他のイオン形態およびプロドラッグを含む。したがって、この式で表される代替となる互変異性体1−シクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素への言及は、上記化合物に言及すると理解すべきである。
上記式に対応する化合物は、WO2006/070195において包括的そして詳細に記載されている。この内容は参照により本書に援用される。
具体的および好ましい式(I’)の化合物
式(I’)の化合物は、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)に記載の式(I)のものならびにWO2005/002552で定義されるそのサブグループ、実施形態および例に対応し、式中、R1、R2、R3、R4、AおよびXは、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)中と同義である。式(I)の化合物の様々なサブグループ、実施形態および例を記載するPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)の内容は参照により本書に援用される。
PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)の式(I)は本明細書では式(I’)として言及され、本明細書での式(I’)への言及は適宜解釈されるべきである。
したがって、本発明の組合せで用いる式(I’)の化合物は下記式で表され、
PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)における式(I)ならびにWO2005/002552において定義されるそのサブグループ、実施形態および例に対応し、式中、R1、R2、R3、R4、AおよびXは、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)中と同義である。具体的な式(I’)の化合物は、例えばPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)における式(II)〜(IXa)の化合物およびそのいずれのサブグループ、PCT/GB2004/002824(WO2005/002552)において列挙された化合物、およびPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)における実施例部分で例示された化合物で定義されたものである。
式(I’)の化合物
本発明の組合せで用いる式(I’)の化合物は下記式で表される、
またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドであり、
式中、
X’は、CR5’またはNであり、
A’は、結合または−(CH2)m−(B’)n−であり、
B’は、C=O、NRg(C=O)またはO(C=O)であり、ここでRgは、水素または、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで場合により置換されているC1−4ヒドロカルビルであり、
mは、0、1または2であり、
nは、0または1であり、
R0’は、水素であるか、または存在する場合にはNRgと一緒になって−(CH2)p−基(pは2〜4である)を形成し、
R1’は、水素、3〜12環員を有する炭素環式基もしくは複素環式基、または場合により置換されているC1−8ヒドロカルビル基であり、
R2’は、水素、ハロゲン、メトキシ、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはメトキシで場合により置換されているC1−4ヒドロカルビル基であり、
R3’およびR4’は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3個までがN、OおよびSから選ばれるヘテロ原子であり得る5〜7環員を有する、場合により置換されている縮合炭素環式環または複素環式環を形成し、
R5’は、水素、R2’基またはR10’基であり、ここでR10’は、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基、Ra−Rb基であり(Raは、結合、O、CO、X1C(X2)、C(X2)X1、X1C(X2)X1、S、SO、SO2、NRc、SO2NRcまたはNRcSO2であり、Rbは、水素、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されているC1−8ヒドロカルビル基から選ばれ、前記C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO2、NRc、X1C(X2)、C(X2)X1またはX1C(X2)X1で場合により置換されていてもよい)、
Rcは、水素およびC1−4ヒドロカルビルから選ばれ、
X1は、O、SまたはNRcであり、X2は、=O、=Sまたは=NRcであり、
ならびにその塩、N−オキシド、互変異性体および溶媒和物である、あるいは
本発明で使用する具体的な式(I’)の化合物はWO2005/002552からの式(III)の化合物であり、
式中、R1、R2およびR6〜R9はWO2005/002552と同義である。
本発明で使用するさらなる化合物群はWO2005/002552の式(Va)で表すことができ、
式中、R6a〜R9a、R13、R14およびR16ならびにそのサブグループは、WO2005/002552と同義である。
本発明で使用する他の化合物群はWO2005/002552の式(VII)および(VIIa)の化合物であり、
式中、R1dはWO2005/002552において定義されたR1、R1a、R1bまたはR1c基である。
下記に概説される式(I’)の例示物は、WO2005/002552の109〜257ページに記載されているように調製することができる。
好ましい式(I’)の化合物は、1−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素ならびにその塩、N−オキシド、互変異性体および溶媒和物であり、特にその塩である。
式(I”)の化合物に関する一般的な好ましい選択肢および定義
次の一般的な好ましい選択肢および定義が、文脈上他の意味を表す場合を除き、式(I”)におけるD1、D2,A、E、X、XaおよびR1〜R9部分の各々、ならびにそれらの様々なサブグループ、部分定義、例および実施形態に適用される。
本明細書において式(I”)に対するいずれの言及もまた、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(II”)〜(VIII”)に関する言及および式(I”)に包含される化合物の他のいずれのサブグループに関する言及であると理解される。
本明細書では「飽和」なる語は、環原子間に多重結合がない環を意味する。
本明細書では「ヒドロカルビル」なる語は、その用語が単独で使用されていても「ヒドロカルビルオキシ」のように複合語の一部分として使用されていても、骨格の全てが炭素である脂肪族基および脂環式基を含む包括的な用語である。ヒドロカルビル基の例としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキルが挙げられる。具体的なヒドロカルビル基としては、アルキルおよびシクロアルキル基などの飽和基がある。
ヒドロカルビルオキシ基の例としては、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルケノキシ、アルケニロシキ、アルキニロキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルケニルアルキルオキシが挙げられる。具体的なヒドロカルビルオキシ基としては、アルコキシのような飽和基がある。
本明細書で用いる接頭語「C1−n」(nは整数)はその基における炭素原子数を表す。したがって、C1−4ヒドロカルビル基は1〜4個の炭素原子を有し、一方C1−3ヒドロカルビルオキシ基は1〜3個の炭素原子を有しており、他のものも同様である。
C1−4ヒドロカルビル基の例としては、C1−3ヒドロカルビル基またはC1−2ヒドロカルビル基が挙げられ、具体例としてはC1、C2、C3およびC4ヒドロカルビル基から選ばれる個々の値または値の組合せがある。
「アルキル」なる語は、直鎖および分岐鎖両方のアルキル基を包含する。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルがある。
シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタンおよびシクロペンタン由来のものがある。
アルケニル基の例としては、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、およびブタ−1,4−ジエニルがある。
シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニルおよびシクロブテニルがある。
アルキニル基の例としては、エチニルおよび2−プロピニル(プロパルギル)基がある。
シクロアルキルアルキルおよびシクロアルケニルアルキルの例としては、シクロプロピルメチルが挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシおよびtert−ブトキシがある。
アルキル基がモノ−アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基の一部を形成する場合、アルキル基は上述したアルキル基の例のいずれであってもよい。具体的なアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノおよびi−ブチルアミノがある。具体的なアルキル−およびジアルキルアミノ基としては、メチルアミノおよびジメチルアミノがある。
本明細書で用いる「飽和複素環基」なる語は、隣接する環員の間に多重結合を含まない複素環基を意味する。飽和複素環基は、O、SおよびNから選ばれる1または2個のヘテロ原子環員を含んでいてもよい。
文脈によっては複素環基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環状アミド部分(例えば、ピロリドンの場合)、環状チオアミド、環状チオエステル、環状尿素(例えば、イミダゾリジン−2−オンの場合)、環状エステル部分(例えば、ブチロラクトンの場合)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレン)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびその組合せ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。
飽和複素環基は、特に明記しない限り、典型的には単環式で通常4、5あるいは6環員を有する。
4環員を有する飽和複素環基の具体例としては、アゼチジン基がある。
5環員を有する飽和複素環基の例としては、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられる。
6環員を有する飽和複素環基の例としては、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピペリドン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−メチルピペラジンなどのN−アルキルピペラジンが挙げられる。
式(I”)のサブグループ(A)および(B)におけるD1、D2、A、E,R1〜R9およびXに関する具体的な実施形態および好ましい選択肢
1つの一般的な実施形態では、MはD1基である。
他の一般的な実施形態では、MはD2基である。
Xは、O、NHおよびNCH3から選ばれる。ある具体的な実施形態では、XはOである。
Aは結合およびNR2基から選ばれ、ここでR2は水素またはメチルである。
一実施形態では、Aは結合である。
別の実施形態では、AはNR2であり、ここでR2は水素またはメチルである。
Eは、結合、CH2、CH(CN)およびC(CH3)2から選ばれる。
化合物の1つのサブグループでは、Eは結合である。
化合物の他のサブグループでは、EはCH2である。
化合物のさらなるサブグループでは、EはCH(CN)である。
化合物のもう一つのサブグループでは、EはC(CH3)2である。
MがDl基である場合、R1は基(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(x)、(xi)、(xii)、(xiii)、(xiv)および(xv)から選ぶことができる。
基(i)〜(xv)の一覧のそれぞれの基は、本発明の組合せで用いる独立した実施形態を表わす。
実施形態(i)では、R1は、ヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルで場合により置換されている3〜5環員のシクロアルキル基である。
具体的なシクロアルキル基としては、場合により置換されているシクロプロピル基およびシクロブチル基があり、より典型的には場合により置換されているシクロプロピル基である。好ましい実施形態では、R1は非置換シクロプロピル基である。
実施形態(ii)では、R1は、O、N、SおよびSO2から選ばれる1または2個のヘテロ原子環員を含む4〜6環員の飽和複素環基であり、前記複素環基は場合によりC1−4アルキル、アミノまたはヒドロキシで置換されているが、非置換4−モルホリニル、非置換テトラヒドロピラン−4−イル、非置換2−ピロリジニル、ならびに非置換および1−置換ピペリジン−4−イルは除く。
飽和複素環基の例は、上記「一般的な好ましい選択肢および定義」の節に記載した通りである。
飽和複素環基の具体例としては、次のものが挙げられる、
O、NおよびSから選ばれる1個のヘテロ原子環員を含有する5員環(非置換2−ピロリジニルを除く)、
O、NおよびSから選ばれる2個のヘテロ原子環員を含有する6員環(非置換4−モルホリニルを除く)。
飽和複素環基は置換されていても置換されていなくてもよい。一実施形態では、飽和複素環基は非置換である。別の実施形態では、飽和複素環基は、1または2個のC1−4アルキル基、例えば、1または2個のメチル基で置換されている。
ある具体的な複素環基は、場合により置換されているテトラヒドロフラン基(例えば、テトラヒドロフラン−2−イルおよびテトラヒドロフラン−3−イル)であり、より好ましくは非置換テトラヒドロフラン基である。
実施形態(iii)では、R1は下記式で表される2,5−置換フェニル基であり、
式中(a)XがNHまたはN−CH3である場合、R3は塩素とシアノ基から選ばれ、(b)XがOの場合、R3はCNである。
実施形態(iii)の化合物の1つのサブグループでは、XはN−CH3であり、R3は塩素とシアノから選ばれる。
実施形態(iii)の化合物の他のサブグループでは、XはOであり、R3はCNである。
実施形態(iv)では、R1はCR6R7R8基であり、ここでR6およびR7はそれぞれ水素およびメチルから選ばれ、R8は水素、メチル、C1−4アルキルスルホニルメチル、ヒドロキシメチルおよびシアノから選ばれる。
実施形態(iv)の範囲内で、R1の具体例は、メチル、シアノメチル、HOCH2C(CH3)2−、および2−メチルスルホニルエチルである。
実施形態(iv)の範囲内で、R1のさらに具体的な例は、メチルおよびイソプロピルである。
実施形態(v)では、R1は、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリダジン−4−イル基である。ピリダジニル基はピリダジン−3−イルまたはピリダジン−4−イルであってもよいが、典型的にはピリダジン−4−イルである。具体的な置換基としてはメトキシ基であり、例えば、ピリダジニル基は2個のメトキシ置換基を有してもよい。
実施形態(vi)では、R1は、置換基がメチル、エチル、アミノ、フッ素、塩素、アミノおよびメチルアミノから選ばれる、置換イミダゾチアゾール基である。具体的な置換基はメチルである。
実施形態(vii)では、R1は、場合により置換されている1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルまたは場合により置換されている2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル基であり、ここで各々の場合の置換基は、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシである(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)。
具体的な置換基は、メチル、エチル、フッ素、塩素(好ましくは、ジヒドロインドールまたはジヒドロイソインドールのアリール環上にのみ)、CONH2、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメトキシから選ばれる。
実施形態(vii)の化合物の1つのサブグループでは、前記ジヒドロイソインドールまたはジヒドロインドールは各々非置換である。
実施形態(viii)では、R1は、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基で場合により置換されている3−ピリジル(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)であるが、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミドおよび2,6−ジメトキシ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−ニコチンアミドを除く)。
一実施形態では、R1は、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選ばれる1あるいは2個の置換基で場合により置換されている3−ピリジル(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)であるが、R1が3−ピリジル、XがO、Aが結合、Eが結合である場合、ピリジルは、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルおよびC2−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基を有し、ここで前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている。
具体的な置換基は、メチル、エチル、フッ素、塩素、CONH2、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノおよびメトキシから選ばれる。さらに具体的な置換基は、メチル、エチル、フッ素、塩素、CONH2、アミノ、メチルアミノおよびジメチルアミノから選ばれる。
化合物の1つのサブグループでは、前記3−ピリジル基は非置換である。
実施形態(ix)では、R1は、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2またはCONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているチオモルホリンあるいはそのS−オキシドまたはS,S−ジオキシドである(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)。
化合物の1つのサブグループでは、前記チオモルホリンあるいはそのS−オキシドまたはS,S−ジオキシドは非置換である。
実施形態(x)では、E−AはNR2であり、R1は2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−メトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、シクロヘキシル、非置換4−テトラヒドロピラニルおよびtert−ブチルから選ばれる。
実施形態(xi)では、E−AはNR2であり、R1はNR10R11基であり、ここでR10およびR11はそれぞれC1−4アルキル、またはR10およびR11は結合してNR10R11がO、N、SおよびSO2から選ばれる第2のヘテロ原子環員を場合により含む4〜6環員を有する飽和複素環基を形成し、前記複素環基はC1−4アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されている。
この実施形態の範囲内で、化合物の1つのサブグループは、R10およびR11がそれぞれC1−4アルキル、特にメチルである化合物群である。
化合物の他のサブグループとしては、R10およびR11は結合してNR10R11がO、N、SおよびSO2から選ばれる第2のヘテロ原子環員を場合により含む4〜6環員を有する飽和複素環基を形成し、前記複素環基はC1−4アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されている化合物群がある。前記飽和複素環基は、上記「一般的な好ましい選択肢および定義」の節で記述された窒素含有飽和複素環基のいずれかであり得るが、具体的な飽和複素環基としては、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびN−C1−4アルキル−ピペラジニル基が挙げられる。そのような基は典型的には非置換もしくは1または2個のメチル基により置換されており、ある具体的な実施形態では、非置換である。
実施形態(xii)では、E−AはNR2であり、R1はヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1−4モノ−およびジアルキルアミノ、CONH2、CONH−C1−4アルキル、C1−4アルキルならびにC1−4アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリドン基である(前記C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている)。
前記ピリドン基は、例えばメチルなどのアルキル基でN−置換されていてもよく、そうでなければ非置換である。
実施形態(xiii)では、E−AはC(CH3)2NR2またはCH2−NR2であり、R1は非置換2−フリルおよび2,6−ジフルオロフェニルから選ばれる。
実施形態(xiv)では、E−AはC(CH3)2NR2であり、R1は非置換フェニルである。
実施形態(xv)では、EはCH2であり、R1は非置換テトラヒドロピラン−4−イルである。
MがD2基である場合、R1は基(xvi)、(xvii)、(xviii)および(xix)から選ぶことができる。
基(xvi)〜(xix)の一覧のそれぞれの基は、本発明の組合せで用いる別々の実施形態を表わす。
実施形態(xvi)では、R1は下記式の2−置換3−フリル基であり、
式中、R4およびR5は同一または異なって水素およびC1−4アルキルから選ばれるか、あるいはR4およびR5は結合しておりNR4R5がO、NH、NMe、SまたはSO2から選ばれる第2のヘテロ原子または基を場合により含有する5または6員飽和複素環基を形成し、前記5または6員飽和環はヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている。
一実施形態では、R1は下記式の2−置換3−フリル基であり、
式中、R4およびR5は同一または異なって水素およびC1−4アルキルから選ばれるか、あるいはR4およびR5は結合しておりNR4R5がO、NH、NMe、SまたはSO2から選ばれる第2のヘテロ原子または基を場合により含有する5または6員飽和複素環基を形成し、前記5または6員飽和環はヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されていてもよいが、Aが結合でEが結合である場合、R4およびR5は結合しておらず、NR4R5は非置換ピペリジンを形成する。
具体的な飽和複素環基は「一般的な好ましい選択肢および定義」の節で上記に記載した通りであるが、具体的な飽和複素環基としては、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびN−C1−4アルキル−ピペラジニル基が挙げられる。そのような基は典型的には非置換あるいは1または2個のメチル基で置換されており、1つの具体的な実施形態では非置換である。
R4およびR5が水素およびC1−4アルキルから選ばれる化合物の具体例としては、メチルアミノおよびジメチルアミノ基があり、より典型的にはジメチルアミノ基である。
実施形態(xvii)では、R1は下記式の5−置換2−フリル基である。
式中、R4およびR5は同一または異なって水素およびC1−4アルキルから選ばれる、あるいはR4およびR5は結合しておりNR4R5がO、NH、NMe、SまたはSO2から選ばれる第2のヘテロ原子または基を有してもよい5または6員飽和複素環基を形成し、前記5または6員飽和複素環基はヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている、ただし、前記化合物は5−ピペリジン−1−イルメチル−フラン−2−カルボン酸[3−(5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミドではない。
具体的な飽和複素環基は「一般的な好ましい選択肢および定義」の部分で上記に記載した通りであり、特定の飽和複素環基にはピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびN−C1−4アルキル−ピペラジニル基が挙げられる。そのような基は典型的には非置換あるいは1または2個のメチル基で置換されており、1つの特定の実施形態では、非置換である。
実施形態(xviii)では、R1は下記式で表される基である。
式中、R9は水素、メチル、エチルまたはイソプロピルであり;GはCH、O、S、SO、SO2またはNHであり、前記基はC1−4ヒドロカルビル、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、フッ素、アミノ、モノ−およびジ−C1−4アルキルアミノから選ばれる1、2または3個の置換基により場合により置換されている(前記C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4ヒドロカルビルオキシ基はそれぞれ、ヒドロキシ、フッ素、アミノ、モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノで場合により置換されている)。
実施形態(xix)の範囲内の化合物の1つのサブグループでは、GはOおよびCHから選ばれる。
実施形態(xviii)では、R1基は典型的には非置換あるいは1または2個のメチル基により置換されており、より典型的には非置換である。
実施形態(xix)では、R1は下記式の3,5−二置換フェニル基である。
式中、XaはXと同様にO、NHおよびNCH3から選ばれる。
好ましくは、XaはN−CH3である。
R1−A−部分の具体例は表Xに示されており、星印はR1−E−A−C(=O)−NH−基におけるカルボニル基C=Oへの結合地点を表す。
表Xにおいて、好ましいR1−E−A−基としては、A1、A4、A10、A11、A13、A20、A22、A23、A24、A29、A30、A31、A32、A38、A42、A43、A44、A46、A47、A49、A54およびA56が挙げられる。
別の実施形態では、R1−E−AはA57、A58またはA59である。
R1−E−A−の好ましいサブセットとしては、A1、A4、A20、A24、A30、A44、A46およびA54が挙げられる。このサブセットの中で、1つの具体的なR1−A−基としては、A24である。
本発明の組合せで用いる化合物の1つのサブグループは、式(II”)で表わされる。
式中、R1、E、AおよびXは本明細書で定義した通りである。
式(II”)の範囲内で、化合物の1つサブセットは、XがOであるサブセットである。
式(II”)の化合物の1つのサブグループは、式(III”)により表わすことができる。
式(III”)の範囲内で、化合物の1つのサブセットは、Eが結合であるサブセットである。
式(III”)の範囲内の化合物の他のサブセットは、EがCH2またはC(CH3)2であるサブセットである。
式(III”)の範囲内の1つの特に好ましい実施形態では、Eは結合であり、R2はH、そしてR1は本明細書で定義されるシクロアルキル基(i)である。一実施形態では、シクロアルキル基はシクロプロピルまたはシクロブチルであり得る。より好ましくは、R1はシクロプロピル基である。
誤解を避けるため記述すると、R1基の一般的なおよび具体的な好ましい選択肢、実施形態および例のそれぞれは、R2および/またはR3および/またはR4および/またはR5および/またはR6および/またはR7および/またはR8および/またはR9および/またはR10および/またはR11および/またはD1および/またはD2および/またはAおよび/またはEおよび/またはXおよび/またはXaの一般的なおよび具体的な好ましい選択肢、実施形態および例ならびに本明細書で定義されるそれらのサブグループと組合わされてもよいと理解するべきであって、そのような組合せはすべて本明細書に包含される。
式(I’)の化合物を構成する様々な官能基および置換基は、典型的には、式(I’)の化合物の分子量が1000を超えないように選ばれる。より通常は、化合物の分子量は750未満、例えば、700未満、650未満、600未満、または550未満になる。より好ましくは、分子量は525未満、例えば、500以下である。
式(I”)のサブグループ(C)の化合物
式(I”)の化合物の1つのサブグループ(すなわち式(I”)のサブグループ(C))において、MはD1基であり、XはOであり、AはNR2基(R2は水素)であり、Eは結合であり、R1は2,6−ジフルオロフェニルである、そして前記化合物は、選択された酸の群から形成された酸付加塩である。
したがって、一実施形態では、前記組合せは下記の群から選ばれる酸から形成される1−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の酸付加塩を含有する:酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(例えば、(+)ショウノウ酸)、カプリン酸、カプリル酸、炭酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデカン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、塩酸、イセチオン酸、イソ酪酸、乳酸(例えば(+)−L−乳酸および(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、吉草酸およびキシナホ酸。
一実施形態では、前記酸付加塩は下記の群から選ばれる酸から形成される:アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、安息香酸、ショウノウ酸(例えば、(+)ショウノウ酸)、カプリン酸、カプリル酸、炭酸、シクラミン酸、ドデカン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、ラウリルスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、セバシン酸、ステアリン酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸およびキシナホ酸。
一実施形態では、前記酸付加塩は下記の群から選ばれる酸から形成される:酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸(エシル酸)、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸。
さらなる実施形態では、前記酸付加塩は下記の群から選ばれる酸から形成される:アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルコン酸、馬尿酸、グルタミン酸、セバシン酸、ステアリン酸および酒石酸。
他の具体的な実施形態では、前記化合物は塩酸と形成される酸付加塩である。
好ましい塩としては、所定の液体担体(例えば、水)での溶解度が前記液体担体(例えば、水)に対して25mg/mlより大きく、より典型的には50mg/mlより大きく、好ましくは100mg/mlより大きい塩である。そのような塩は、液体形態(例えば、注射または点滴によって)での投与に特に有利である。
本発明の組合せで用いる溶解度が25mg/mlより大きい塩としては、D−グルクロン酸塩、メシル酸塩、エシル酸塩およびDL−乳酸塩が挙げられる。後者3つの塩の溶解度は100mg/mlを越える。
したがって1つの具体的な実施形態では、前記組合せは1−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素のメシル酸塩を含有する。
他の具体的な実施形態では、前記組合せは1−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素のエシル酸(エタンスルホン酸)塩を含有する。
さらなる具体的な実施形態では、前記組合せは1−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素のDL−乳酸塩を含有する。一実施形態では、前記乳酸塩はL−乳酸塩である。
式(I’)のサブグループ(C)の化合物(すなわち酸付加塩)が由来する遊離塩基または親化合物は式(IA)で表される。
本発明の組合せで用いる具体的な化合物は、下記の実施例において示された通りである。
本発明の組合せで用いる1つの好ましい化合物は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素(化合物(AA))ならびにその塩(例えば、乳酸塩またはクエン酸塩またはこれらの混合物)、溶媒和物および互変異性体である。
一実施形態では、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩は、酢酸塩、メシル酸塩、エタンスルホン酸塩、DL−乳酸塩、アジピン酸塩、D−グルクロン酸塩、D−グルコン酸塩または塩酸塩であってもよい。
化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素(化合物(AA))の乳酸塩およびクエン酸塩ならびにそれらの混合物および結晶
本発明はとりわけ、補助化合物と、1種以上の化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩および/またはクエン酸塩(またはその結晶形態)とを含む組合せを提供する。
本発明はまた、前記化合物(AA)、その乳酸塩および結晶形態を含む組合せの新規な調製方法を提供する。
本発明はさらに、前記組合せの治療上の使用を提供する。
したがって、第一の態様において、本発明は1種以上の補助化合物と、乳酸塩、クエン酸塩およびこれらの混合物から選ばれる1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩とを含む組合せを提供する
前記塩が由来する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基は下記式(AA)で表される。
式(AA)の化合物は、本明細書ではその化学名1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素として言及される可能性がある。これらの同義語はそれぞれ、上記式(I)で表される化合物を指し、化学名1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素を有する。
化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基およびその乳酸塩またはクエン酸塩あるいはこれらの混合物に関する言及はそれらの範囲内にすべての溶媒和物、互変異性体および同位体ならびに文脈が許す場合は、N−オキシド、他のイオン形態およびプロドラッグを含む。したがって、この式で表される代替となる互変異性体1−シクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素への言及は上に示す式(AA)の化合物に言及すると理解されるべきである。
本発明はまた、下記請求項に開示されるようなさらなる組合せ、使用、方法およびプロセスを提供する。
便宜上、L−乳酸およびクエン酸から形成される塩は、本明細書ではそれぞれ、L−乳酸塩およびクエン酸塩と呼ばれる可能性がある。
1つの具体的な実施形態では、塩はL−乳酸塩またはD−乳酸塩であり、好ましくはL−乳酸塩である。
別の実施形態では、塩はクエン酸から形成される塩である。
より具体的には、塩はL−乳酸塩およびクエン酸塩の混合物である。
固体の状態では、本発明の組合せで用いる乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は、結晶性またはアモルファスまたはその混合物であってもよい。
一実施形態では、乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩はアモルファスである。
アモルファス固体では、結晶形態で通常存在する3次元構造は存在せず、アモルファス形態での分子のお互いに対する位置は実質的にランダムである。例えば、ハンコック(Hancock)ら、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)、1997年、86、1参照。
別の実施形態では、乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は実質的に結晶性である、すなわち、これら塩は50%〜100%結晶性、より具体的には、これら塩は少なくとも50%結晶性、または少なくとも60%結晶性、または少なくとも70%結晶性、または少なくとも80%結晶性、または少なくとも90%結晶性、または少なくとも95%結晶性、または少なくとも98%結晶性、または少なくとも99%結晶性、または少なくとも99.5%結晶性、または少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性であってもよい。
さらなる実施形態では、乳酸塩またはクエン酸塩は、50%〜100%結晶性の乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩から成る群から選ばれる、例えば、少なくとも50%結晶性、少なくとも60%結晶性、少なくとも70%結晶性、少なくとも80%結晶性、少なくとも90%結晶性、少なくとも95%結晶性、少なくとも98%結晶性、少なくとも99%結晶性、少なくとも99.5%結晶性、少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性である。
より好ましくは、乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は、95%〜100%結晶性のものであってもよい(または95%〜100%結晶性のものから成る群から選ばれてもよい)、例えば、少なくとも98%結晶性、または少なくとも99%結晶性、または少なくとも99.5%結晶性、または少なくとも99.6%結晶性、または少なくとも99.7%結晶性、または少なくとも99.8%結晶性、または少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性である。
実質的に結晶性の塩の一例は、L−乳酸で形成された結晶塩である。
実質的に結晶性の塩の他の例は、クエン酸で形成された結晶塩である。
本発明の組合せで用いる塩は、固体の状態で、溶媒和されていても(例えば、水和)溶媒和されていなくてもよい(例えば、無水)。
一実施形態では、塩は溶媒和されていない(例えば、無水)。
溶媒和されていない塩のさらなる例は、本明細書で定義される乳酸(特にL−乳酸)で形成された結晶塩である。
一実施形態では、式(AA)の塩の結晶形態は、L−乳酸塩およびクエン酸塩(特に、L−乳酸塩)から選ばれる。
本明細書で用いる「無水」なる語は、塩(例えば、塩の結晶)のまわり、またはその中にいくらかの水分が存在する可能性を排除しない。例えば、塩(例えば、塩結晶)の表面に存在するいくらかの水分、あるいは塩(例えば、結晶)の塊の中に少量の水分が存在してもよい。典型的には、無水形態は、化合物の分子1個当たり水分子を0.4個未満の含んでおり、より好ましくは化合物の分子1個当たり水分子を0.1個未満、例えば、水の分子を0個含んでいる。
別の実施形態では、乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は溶媒和されている。塩が水和されている場合、塩は例えば結晶水の分子を3個まで、より通常は水の分子を2個まで、例えば水の分子1個または水の分子2個を含み得る。存在する水の分子の数が1未満すなわち非整数である非化学量論的水和物が形成される可能性がある。例えば1個未満の水の分子が存在する場合、例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9個の水の分子が化合物の分子1個当たりに存在する可能性がある。
他の溶媒和物としては、エタノラートやイソプロパノラートのようなアルコラートが挙げられる。
一実施形態では、乳酸塩(特にL−乳酸塩)は、例えば、水および/またはエタノールで溶媒和される。
本発明の組合せで用いる乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は、「医薬用塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use)」、ハインリヒスタール(P.Heinrich Stahl)(編者)、カミールワーマス(Camille G.Wermuth)(編者)、ISBN:3−90639−026−8、ハードカバー、388ページ、2002年8月、に記載されている方法のような従来の化学的方法により親化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素から合成することができる。そのような塩は一般的に、水、有機溶媒、またはそれら2つの混合物(一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が使用される)中で適切な酸と親化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素を反応させることにより調製することができる。
前記組合せは、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩を調製する工程を含む方法により調製されてもよく、前記方法は溶媒(典型的には有機溶媒)または混合溶媒中で1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基の溶液を形成する工程および酸で前記溶液を処理して塩の沈澱物を形成する工程を含む。
前記酸は、遊離塩基が溶解している溶媒と混和性がある溶媒に溶液として加えられてもよい。遊離塩基がまず溶解される溶媒は、その塩が不溶性のものであってもよい。あるいは、遊離塩基がまず溶解される溶液は、塩が少なくとも部分的に溶解するものであってもよく、塩が溶液から析出するように、塩がそれほど可溶でない別の溶媒が続いて加えられる。
塩を形成する別の方法では、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素は揮発性酸および場合により共溶媒を含む溶媒に溶解し、これにより揮発性酸との塩の溶液を形成し、得られた溶液をその後に濃縮または蒸発させて塩を単離する。
前記組合せは、本明細書で定義される1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩を形成する工程を含む方法により調製されてもよく、前記方法は式(I)で表される化合物
を有機溶媒中で本明細書で定義される有機または無機酸で処理する工程、および場合により、このようにして形成された塩を単離する工程を含む。
乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は、典型的には有機溶媒から形成されると共に析出し、したがって溶液から固体の分離(例えば、濾過)により単離することができる。
本発明のある塩形態は、当業者に公知の方法により遊離塩基および場合により他の塩形態に変換することができる。例えば、遊離塩基はアミン固定相(例えば、ストラタ(Strata)−NH2カラム)を有するカラムに塩溶液を通すことにより形成することができる。あるいは、塩の水溶液を重炭酸ナトリウムで処理し、塩を分解し遊離塩基を沈殿させることができる。その後、遊離塩基は上述または本明細書の他の箇所に記載された方法の1つにより酸と組合されてもよい。
乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩は、対応する遊離塩基と比較して多くの長所を有する。例えば、塩は遊離塩基と比較して下記の1つまたはそれ以上の利点がある。
溶解度が大きい、特に水溶液において溶解度がより高く、したがって静脈内投与(例えば、点滴によって)により適している、
溶液のpHの制御を可能にし、したがって静脈内投与により適している、
より安定性が高い、例えば、熱安定性(例えば、より長い保存期間)、
製造に関して利点がある、
より優れた物理化学的特徴がある、
向上した抗癌活性があり得る、そして
向上した治療係数を持ち得る。
本発明の組合せで用いる結晶性乳酸塩(特にL−乳酸塩)は、下記の理由で特に有利である。
非吸湿性である、
無水性であり水和物を形成しない、
単一の多形相である、
結晶性である、
保管安定性がある、
明確な融点を有し、DSC実験で形態変化を起こさない、
水に対して優れた溶解性を有し、緩衝系でより優れた溶解性を付与する。
本明細書で用いる「安定」または「安定性」なる語は、化学的安定性と固体状態(物理的)安定性を含む。「化学的安定性」なる語は、化合物が単離された形態で保存できることを意味するか、または化合物が、例えば、本明細書に記載される薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントとともに混合物として提供される製剤の形態で、通常の貯蔵条件下で、ほとんどもしくは全く化学的に劣化または分解しないことを意味する。「固体状態安定性」は、化合物が単離された形態で保存できることを意味するか、または化合物が、例えば、本明細書に記載される薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントとともに混合物として提供される固体製剤の形態で、通常の貯蔵条件下で、ほとんどもしくは全く固体変換(例えば、水和、失水、溶媒和物化、脱溶媒和物化、結晶化、再結晶化または固体相転移)しないことを意味する。
液体(例えば、水性)医薬組成物の調製に用いる好ましい塩は、任意の液体担体(例えば、水または緩衝系)での溶解度が液体担体(例えば、水)に対して1mg/mlより大きい、典型的には5mg/mlより大きい、より典型的には15mg/mlより大きい、さらにより典型的には20mg/mlより大きい、そして好ましくは25mg/mlより大きい式(AA)および(I’)の塩(すなわち、本明細書で定義される乳酸塩、クエン酸塩またはそれら混合物)である。
他の態様では、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩またはこれらの混合物を、例えば、液体担体(例えば、水または緩衝系)に対して1mg/mlより大きい、典型的には5mg/mlより大きい、より典型的には15mg/mlより大きい、より典型的には20mg/mlより大きい、および好ましくは25mg/mlより大きい濃度で含有する水溶液に基づく組合せを含む医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態では、前記医薬組成物は1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素のL−乳酸塩を、液体担体(例えば、水)に対して1mg/mlより大きい、典型的には5mg/mlより大きい、より典型的には15mg/mlより大きい、典型的には20mg/mlより大きい、および好ましくは25mg/mlより大きい濃度で含有する水溶液に基づく組合せを含む。
他の態様では、本発明は1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)またはクエン酸塩またはこれらの混合物の水溶液に基づく組合せを提供し、前記水溶液のpHは2〜6、例えば2〜5、そしてさらに詳細には4〜6、例えば4〜5である。
上記に定義された水溶液では、塩は本明細書に記載のいずれの塩でもよいが、1つの好ましい実施形態ではL−乳酸塩である。1つの好ましい実施形態では、塩はL−乳酸塩およびクエン酸塩の混合物である。
本発明はまた、1種または2種以上の対イオンおよび場合により1種または2種以上のさらなる対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の水溶液に基づく組合せを提供する。一実施形態では、対イオンのうちの1種は乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる。別の実施形態では、対イオンのうちの1種はクエン酸塩などの本明細書に記載されているような製剤用緩衝剤に由来する。さらなる実施形態では、塩化物イオン(例えば、食塩水からの)などの1種または2種以上のさらなる対イオンが存在してもよい。
本発明はしたがって、L−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種または2種以上の対イオンおよび場合により1種または2種以上のさらなる塩化物イオンなどの対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の水溶液に基づく組合せを提供する。
1種を超える対イオンがある状況では、プロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の水溶液は、対イオンの混合物、例えばL−乳酸塩対イオンとクエン酸塩対イオンと場合により1種または2種以上のさらなる対イオン(塩化物イオンなど)との混合物含む可能性がある。
本発明はしたがって、L−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種または2種以上の対イオンおよび場合により1種または2種以上のさらなる対イオン(塩化物イオンなど)とのプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の、およびこれらの混合物の水溶液に基づく組合せを提供する。
本発明はまた、1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素と場合により1種または2種以上の静注用賦形剤(等浸透圧製剤を達成するための希釈のため)との水溶液に基づく組合せを提供する。一実施形態では、対イオンの1種はL−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる。別の実施形態では、対イオンのうちの1種はクエン酸塩などの本明細書に記載される製剤用緩衝剤に由来する。さらなる実施形態では、1種または2種以上のヘキソース糖、例えば、デキストロース(D−グルコース)などの米国薬局方および英国医学会薬学会共同編集処方集で詳述されるような静注用賦形剤が存在していてもよい。本発明はしたがって、L−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素と、場合により1種または2種以上のデキストロースなどの静注用賦形剤との水溶液に基づく組合せを提供する。1種を超える対イオンがある状況では、プロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の水溶液は、対イオンの混合物、例えば、乳酸塩対イオンとクエン酸塩対イオンととの混合物および場合により1種または2種以上のデキストロースなどの静注用賦形剤を含む可能性がある。本発明はしたがって、L−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素と場合により1種または2種以上のさらなるデキストロースなどの静注用賦形剤との、およびこれらの混合物との水溶液に基づく組合せを提供する。
水溶液はとりわけクエン酸塩イオン(例えば、クエン酸塩緩衝剤)の溶液中に乳酸塩を溶解することにより、または乳酸塩イオンの溶液中にクエン酸塩を溶解することにより形成することができる。乳酸塩イオンおよびクエン酸イオンは溶液中に乳酸塩:クエン酸塩比で10:1以下、例えば10:1〜1:10、より好ましくは8:1未満、または7:1未満、または6:1未満、または5:1未満、または4:1未満、または3:1未満、または2:1未満、または1:1未満、より具体的には1:1〜1:10までで存在してもよい。一実施形態では、乳酸塩イオンおよびクエン酸イオンは溶液中に乳酸塩:クエン酸塩比で1:1〜1:10、例えば1:1〜1:8、または1:1〜1:7、または1:1〜1:6、または1:1〜1:5、例えばほぼ1:4.4で存在する。
塩の水溶液は緩衝化されていても緩衝化されていなくてもよく、一実施形態では緩衝化されている。
他の態様では、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩またはクエン酸塩またはこれらの混合物を含有する凍結乾燥された製剤を含む医薬組成物に基づく組合せが提供され、前記製剤のpHは2〜6、例えば2〜5、より具体的には4〜6、例えば4〜5である。
上記に定義された凍結乾燥された製剤の1つの好ましい実施形態では、塩はL−乳酸塩である。
本発明はまた、1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の凍結乾燥された製剤に基づく組合せを提供する。一実施形態では、対イオンの一種はL−乳酸である。別の実施形態では、対イオンのうちの1種はクエン酸塩などの本明細書に記載される製剤用緩衝剤に由来する。
本発明はしたがって、L−乳酸塩およびクエン酸塩から選ばれる1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の凍結乾燥された製剤に基づく組合せを提供する。1種を超える対イオンがある状況では、プロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の水溶液は、対イオンの混合物、例えば、L−乳酸塩およびクエン酸塩対イオンの混合物を含む可能性がある。
本発明はしたがって、乳酸塩、クエン酸塩およびこれらの混合物から選ばれる1種または2種以上の対イオンとによってプロトン化された形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の凍結乾燥された製剤に基づく組合せを提供する。
上記に定義された凍結乾燥された製剤の1つの好ましい実施形態では、塩はL−乳酸塩であり、緩衝塩はクエン酸塩である。
一実施形態では、乳酸塩イオンおよびクエン酸イオンは、凍結乾燥された製剤に乳酸塩:クエン酸塩比で10:1以下、例えば10:1〜1:10、より好ましくは8:1未満、または7:1未満、または6:1未満、または5:1未満、または4:1未満、または3:1未満、または2:1未満、または1:1未満、より具体的には1:1〜1:10、例えば1:1〜1:8、または1:1〜1:7、または1:1〜1:6、または1:1〜1:5、例えばほぼ1:4.4で存在する。
塩の凍結乾燥された製剤は、緩衝化されていても緩衝化されていなくてもよく、一実施形態では緩衝化されている。
乳酸で形成された塩という文脈では、好ましい緩衝剤は、クエン酸から形成されNaOHまたはHClで適正なpH(例えば、溶液においてほぼpH4.5)へ調整された緩衝剤である。このpHでおよびクエン酸塩緩衝剤中では、遊離塩基はそれぞれ約80mg/mlの溶解度を有する。
凍結乾燥された製剤はその後、食塩水またはデキストロース(好ましくはデキストロース)などの静注用賦形剤を含有する無菌水溶液へ再構成される。
本発明の組合せに用いる塩は、典型的には薬学上許容される塩であり、薬学上許容される塩の例は、ベルジュ(Berge)ら、1977年、「薬学的許容塩(Pharmaceutically Acceptable Salts)」、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)、第66巻、1〜19ページで検討されている。しかしながら、医薬上許容されない塩も中間体として製造してもよく、これをその後薬学上許容される塩に変換してもよい。このような医薬上許容されない塩の形態もまた本発明により適用される。
化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素はまた、N−オキシドを形成し得る。N−オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)などの酸化剤で対応するアミンを処理することにより形成できる(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ページ、参照)。より具体的には、N−オキシドはデディー(L.W.Deady)(シンセティックコミュニケーションズ(Syn. Comm.)、1977年、7、509〜514)の方法により製造することができ、この方法ではアミン化合物を、例えばジクロロメタンなどの不活性溶媒中でm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
本発明で用いる乳酸塩またはクエン酸塩が由来する化合物1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素は、多数の異なる互変異性型で存在する可能性があり、本明細書中での前記化合物への言及はこのような形態の全てを含むものである。
より具体的には、本発明の組合せで用いる1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩およびクエン酸塩において、ベンゾイミダゾール基は以下の2つの互変異性型AおよびBのいずれをとってもよい。便宜上、下記一般式はA型およびB型を示すが、これら式には4つすべての互変異性体型が含まれるものとみなされる。
さらに、1−シクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩またはクエン酸塩の文脈では、すなわち別の互変異性体への言及は、明らかに1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素と同一の化合物の乳酸またはクエン酸塩への言及である。
ピラゾール環もまた互変異性を示すことがあり、下記の2つの互変異性型CおよびDで存在し得る。
さらに、尿素のシスとトランス配座も可能である。
本発明の組合せで用いる1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(例えば、L−乳酸塩)またはクエン酸塩および塩への言及はまた、1個以上の同位体置換による変形を含み、特定の元素への言及はその範囲内に元素の全ての同位体を含む。例えば、水素への言及はその範囲内に1H、2H(D)および3H(T)を含む。同様に、炭素と酸素への言及はそれらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cならびに16Oおよび18Oを含む。
同位体は放射性であってもよいし非放射性であってもよい。一例では、前記化合物は放射性同位体を含まない。そのような化合物は治療上の使用に好ましい。他の場合にはしかしながら、前記化合物は1種以上の放射性同位体を含んでもよい。そのような放射性同位体を含んでいる化合物は診断の場合に役立つ。
また1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素および塩への言及には、それらのいかなる多形相、溶媒和物(例えば、水和物)、錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体または包接化合物、あるいは金属との錯体)を包含する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の結晶構造
上述のように、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩またはクエン酸は、アモルファスでも実質的に結晶性でもよい。1つの具体的な実施形態では、乳酸塩またはクエン酸塩は実質的に結晶性である。「実質的に結晶性」なる語は上記に定義した意味を有する。特に1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素は実質的に結晶性である。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)が実質的に結晶性の場合、単一の結晶形態が支配的である可能性がある、しかし他の結晶形態は僅かに、好ましくは無視できる量で存在してもよい。
結晶形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素は約5重量%以下の他の結晶形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素を含んでおり、特に約1重量%以下の他の結晶形態のもの含んでいる。
好ましい実施形態では、本発明は実質的に結晶性の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩(例えば、本明細書で定義される乳酸塩(特にL−乳酸塩))に基づく組合せ(前記塩の単一の結晶形態を含み、前記塩の他のどのような結晶形態も5重量%以下でのみ含まれる)を提供する。
好ましくは、単一の結晶形態には、他の結晶形態が4重量%未満または3重量%未満または2重量%未満伴われ、特に他の結晶形態は約1重量%以下で含まれる。より好ましくは、単一の結晶形態には、他の結晶形態が0.9重量%未満または0.8重量%未満または0.7重量%未満または0.6重量%未満または0.5重量%未満または0.4重量%未満または0.3重量%未満または0.2重量%未満または0.1重量%未満または0.05重量%未満または0.01重量%未満、例えば0重量%未満伴われる。
結晶およびその結晶構造は、単結晶X線結晶学、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定法(DSC)および赤外線分光法、例えば、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)を含む多くの手法を使い特性決定できる。様々な湿度条件下での結晶の性質は重量蒸気収着法によって、またXRPDによって分析することができる。
化合物の結晶構造の測定は、X線結晶学的方法により行なうことができ、本明細書や「結晶学の基礎(Fundamentals of Crystallography)」、ジャコバッツォ(C. Giacovazzo)、モナコ(H. L. Monaco)、ビテルボ(D. Viterbo)、スコルダリ(F. Scordari)、ジリ(G. Gilli)、ザノッティ(G. Zanotti)およびキャッティ(M. Catti)、(国際結晶学連合(International Union of Crystallography)/オックスフォード大学出版(Oxford University Press)、1992年、ISBN0−19−855578−4(p/b)、0−19−85579−2(h/b))に記載されたような従来の方法によって行なうことができる。この手法は、単結晶のX線回折の分析および解釈を伴う。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩および二水和物遊離塩基の結晶構造は、WO2006/070195に記載されているようにX線結晶学的手法によって測定されている。
WO2006/070195の表2および表4は1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の結晶の座標データを示し、該データはCrystallographic Information File(CIF)形式である(ホール(Hall)、アレン(Allen)およびブラウン(Brown)、アクタ・クリスタログラフィカ(Acta Cryst.)、1991年、A47、655−685;http://www.iucr.ac.uk/iucr-top/cif/home.html参照)。PDBファイル形式(例えば、EBI巨大分子構造データベース(EBI Macromolecular Structure Database)(ヒンクストン、英国)に整合性を有する形式)のような他のファイル形式も当業者に使用され、また好まれることがある。しかしながら、WO2006/070195(その内容は参照により本書に援用される)の表の座標を示したり操作するための異なったファイル形式の使用は、本発明の範囲内であることが明からである。表中のカッコ内の数値は偏差(s.u.、標準不確かさ)を表わす。乳酸塩の結晶構造はWO2006/070195の図4および図5に示されている。
一実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供し、前記乳酸塩は結晶性であり、WO2006/070195の205ページの実施例71の表4(その内容は参照により本書に援用される)の座標に定義されるような結晶構造を有する。
別の実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供し、前記乳酸塩は結晶性でありWO2006/070195の図4および図5に記載のような結晶構造を有する。
別の実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供し、前記乳酸塩は結晶性であり、斜方晶系空間群P212121(#19)に属し97(2)Kで、a=9.94(10)、b=15.03(10)、c=16.18(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する。
別の実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供し、前記乳酸塩は結晶性であり、室温で、a=10.08(10)、b=15.22(10)、c=16.22(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する。
したがって、別の実施形態では、本発明は、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供し、前記乳酸塩は結晶性であり:
(a)図4および図5に示される結晶構造を有する、かつ/または
(b)WO2006/070195の205〜209ページの実施例71の表4(その内容は参照により本書に援用される)の座標により定義される結晶構造を有する、かつ/または
(c)97(2)Kで、a=9.94(10)、b=15.03(10)、c=16.18(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する、かつ/または
(d)室温で、a=10.08(10)、b=15.22(10)、c=16.22(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する、かつ/または
(e)斜方晶系空間群P212121(#19)に属する結晶構造を有する。
実質的に結晶性の塩には、例えば、塩を再結晶させるかそうでなければ精製するために使用される有機溶媒あるいは水などの他の溶媒が実質的に残存していないことが好ましい。
一実施形態では、式(AA)の化合物の乳酸塩(特にL−乳酸塩)、特に1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩の結晶は、残存溶媒(例えば、水または有機溶媒)が10重量%未満、例えば5%未満の残存溶媒が含まれている結晶である。
一実施形態では、結晶塩(例えば、乳酸塩、特にL−乳酸塩)は無水であり、「無水」なる語は上記に定義した意味を有する。
別の実施形態では、結晶性の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩は、残存有機溶媒(例えば、エタノール)を約0〜5重量%の範囲で(例えば、約2重量%のエタノールを)含有する。
あるいは、結晶構造は粉末X線回折(XRPD)固体法により分析することができる。XRPDは、WO2006/070195および粉末X線回折入門(Introduction to X-ray Powder Diffraction)、(ロンジェンキンス(Ron Jenkins)およびロバートスナイダー(Robert L. Snyder)(ジョンワイリー&サンズ、ニューヨーク、1996年)に記載のような従来の方法にしたがって行なうことができる。XRPD回折図中で明確なピーク(ランダムなバックグラウンドノイズとは対照的に)の存在は、化合物が結晶化度を有していることを示す。
化合物の粉末X線図形は、X線回折スペクトルの回折角(2θ)パラメーターおよび面間隔(d)パラメーターによって特徴付けられる。これらは、ブラッグの式、nλ=2dSinθ(ここでn=l、λ=使用されるカソードの波長、d=面間隔、およびθ=回折角)により関連づけられる。本明細書では、面間隔、回折角および全体的な図形は、データの特徴により、粉末X線回折における結晶の識別のために重要である。結晶成長の方向、粒径および測定条件によって相対強度は変わりうるので、相対強度は厳密に解釈されるべきでない。さらに、回折角は通常2θ±0.2°の範囲内で一致する角度を意味する。ピークは主要ピークを意味し、上述した以外の回折角で半分までの大きさのピークを含む。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩形態および遊離塩基形態の両方はXRPDで特性決定されている。それぞれの場合、粉末X線回折パターンは、回折角(2θ)、面間隔(d)および/または相対強度によって表される。WO2006/070195の表3、表5および表6(その内容は参照により本書に援用される)は、遊離塩基形態、乳酸塩形態および二水和物遊離塩基形態の1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の回折角値に相当するX線回折スペクトルの面間隔(d)値を示す。
したがって、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素は、本質的にWO2006/070195の図3、図6、図7または図8および/または表3、表5または表6(その内容は参照により本書に援用される)に示される粉末X線回折パターンを有する。
本発明はしたがって、実質的にWO2006/070195の図3、図6、図7または図8に示される粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩(例えば、乳酸塩、特にL−乳酸塩)の結晶に基づく組合せを提供する。好ましくは、本発明の組合せに使用される化合物は、WO2006/070195の図3、図6、図7または図8および/またはWO2006/070195の204〜205ページの実施例70の表3(その内容は参照により本書に援用される)および/またはWO2006/070195の209〜210ページの実施例72の表5(その内容は参照により本書に援用される)および/またはWO2006/070195の211ページの実施例72の表6(その内容は参照により本書に援用される)で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示し、任意に同様の相対強度を有する化合物である。
本発明はさらに、本質的にWO2006/070195の図6に示される粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)の結晶に基づく組合せを提供する。したがって、別の実施形態では、本発明は、図6で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示す1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の実質的に結晶性の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。好ましくは、ピークは図6のピークと同様の相対強度を有する。したがって、本発明は、実質的に図6で示される粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の実質的に結晶性の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。
前記乳酸塩の粉末X線回折パターンは、回折角(2θ)および面間隔(d)でのピークの存在、および好ましくはWO2006/070195の実施例72の表5(その内容は参照により本書に援用される)に示される強度によって特徴付けることができる。
したがって本発明は、WO2006/070195の実施例72の表5(その内容は参照により本書に援用される)の回折角(2θ±1.0°、例えば±0.2°、特に±0.1°)に特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを示すシクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。
本発明はまた、17.50、18.30、19.30、19.60および21.85±1.0°、例えば±0.2°、特に±0.1°の回折角2θに主要なピークを示すシクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)の結晶に基づく組合せを提供する。
したがって本発明は、一実施形態では12.40、15.20、15.60、17.50、18.30、18.50、19.30、19.60、21.85および27.30±1.0°の2θでのX線回折パターンにおけるピークによって特徴付けられるシクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)の結晶形態に基づく組合せを提供する。
シクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)の結晶はまた、特徴的粉末X線回折パターンは格子面間の間隔(表5のd(Å)(参照により本書に援用される))により表わされるという点で特徴付けられる。
さらなる実施形態では、本発明は、その特徴的ピークが5.06、4.85、4.60、4.53および4.07、より具体的には、7.13、5.83、5.68、5.06、4.85、4.79、4.60、4.53、4.07および3.26Åの粉末X線回折の格子面間隔(d)として現われる粉末X線回折パターンを有するシクロプロピル−3−[3−(6−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特にL−乳酸塩)の結晶に基づく組合せを提供する。
したがって別の実施形態では、本発明は、17.50、18.30、19.30、19.60および21.85°、より具体的には12.40、15.20、15.60、17.50、18.30、18.50、19.30、19.60、21.85、27.30°の回折角(2θ)ならびに5.06、4.85、4.60、4.53および4.07、より具体的には7.13、5.83、5.68、5.06、4.85、4.79、4.60、4.53、4.07および3.26Åの面間隔(d)における主要なピークの存在により特徴付けられる粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の実質的に結晶性の乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、前記回折角(2θ)および面間隔(d)でのピークの存在ならびに好ましくはWO2006/070195の実施例72の表5(その内容は参照により本書に援用される)に示される強度によって特徴付けられる粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の実質的に結晶性のL−乳酸塩に基づく組合せを提供する。
本発明の組合せで用いる結晶性の塩はまた、示差走査熱量測定法(DSC)によって特性決定できる。
前記乳酸塩はDSCにより分析されており、190℃で始まりを示し、194〜197℃でピークを示す。
それ故、他の態様では本発明は、無水でありDSCにかけられた場合190℃で始まりを示しかつ/または194〜197℃で吸熱ピークを示すその乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。
したがって本発明のさらなる態様は、図6、図7または図8で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示しさらに熱分析(DSC)による始まりが190℃を示しかつ/または194〜197℃でピーク近傍に分解を伴う吸熱ピークを示す1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の乳酸塩(特に、L−乳酸塩)に基づく組合せである。
高湿度条件での本発明の組合せで用いる塩の性質は、例えばWO2006/070195の実施例68に記載されているような標準的な重量蒸気収着(GVS)法によって分析することができる。
前記乳酸塩は、高相対湿度条件で安定した無水結晶形態で存在することができ、そのような状況下で結晶構造に変化が起こらない。
本発明の組合せで用いる塩はさらに、赤外線分光法、例えばFTIRによって特性決定できる。
前記乳酸塩の赤外線スペクトル(KBrディスク法)は、3229、2972および1660cm−1に特徴的ピークを有する。
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、KBrディスク法を用いて分析された場合、3229、2972および1660cm−1に特徴的ピークを有する赤外線スペクトルを示す1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の(好ましくは実質的に結晶性の)乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく組合せを提供する。
上記の段落から明らかなように、本発明の組合せで用いる乳酸塩(特にL−乳酸塩)は多くの異なった物理化学パラメーターによって特徴付けることができる。したがって、好ましい場合において、本発明の組合せは、結晶性で下記の任意の1つまたは複数(どのような組合せでもよい)またはすべてパラメーターによって特徴付けられる1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素のL−乳酸塩(特にL−乳酸塩)に基づく。
(a)図4および図5に示される結晶構造を有する、かつ/または
(b)本明細書においてはWO2006/070195の実施例71の表4(その内容は参照により本書に援用される)の座標により定義される結晶構造を有する、かつ/または
(c)97(2)Kで、a=9.94(10)、b=15.03(10)、c=16.18(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する、かつ/または
(d)室温で、a=10.08(10)、b=15.22(10)、c=16.22(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する、かつ/または
(e)斜方晶系空間群P212121(#19)に属する結晶構造を有する、かつ/または
(f)17.50、18.30、19.30、19.60および21.85°、より具体的には12.40、15.20、15.60、17.50、18.30、18.50、19.30、19.60、21.85および27.30°の回折角(2θ)および/または5.06、4.85、4.60、4.53および4.07、より具体的には7.13、5.83、5.68、5.06、4.85、4.79、4.60、4.53,4.07および3.26Åの面間隔(d)における主要なピークの存在を特徴とする粉末X線回折パターンを有する、かつ/または
(g)場合によりWO2006/070195の図6または実施例72の表5(その内容は参照により本書に援用される)のピークと同様の相対強度を有する、図6または表5(参照により本書に援用される)で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示す、かつ/または
(h)実質的に図6に示される粉末X線回折パターンを有する、かつ/または
(i)無水でありDSCに供された場合190℃で始まりを示しかつ/または194〜197℃で吸熱ピークを示す、かつ/または
(j)KBrディスク法を用いて分析された場合、3229、2972および1660cm−1に特徴的ピークを有する赤外線スペクトルを示す。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基の結晶構造
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基も、アモルファスまたは実質的に結晶性であってよい。1つの具体的な実施形態では、遊離塩基は実質的に結晶性であり、「実質的に結晶性」なる語は上記に定義した意味を有する。一実施形態では、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基は、二水和物結晶形態で存在する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の二水和物遊離塩基の結晶構造は、X線結晶学的手法によって測定されている。
一実施形態では本発明は、結晶性であり(i)WO2006/070195の203〜204ページの実施例69の表2(その内容は参照により本書に援用される)の座標により定義される結晶構造を有しかつ/または(ii)結晶が単斜晶系空間群P21/n(#14)に属しa=7.66(10)、b=15.18(10)、c=17.71(10)Å、β=98.53(2)°、α=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の二水和物遊離塩基に基づく組合せを提供する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基形態はXRPDで特性決定されている。その結果、1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基形態は、実質的にWO2006/070195の図3、図6、図7または図8および/または実施例70および72の表3、表5または表6(その内容は参照により本書に援用される)に示される粉末X線回折パターンを有する。
したがって一実施形態では本発明は、WO2006/070195の図3、図6、図7または図8および/または実施例69の表3および/または表5および/または表6(その内容は参照により本書に援用される)で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピーク(前記ピークは場合により同じ相対強度を有する)を有する粉末X線回折パターンを示す1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基の結晶に基づく組合せを提供する。
本発明はまた、WO2006/070195のページ204〜205の実施例70の表3(その内容は参照により本書に援用される)の回折角(2θ±1.0°、例えば±0.2°、特に±0.1°)に特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを示す1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基の結晶に基づく組合せを提供する。
さらなる実施形態では本発明は、その特徴的ピークがWO2006/070195のページ204〜205の実施例70の表3(その内容は参照により本書に援用される)の格子面間隔(d)として現われる粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素遊離塩基の結晶に基づく組合せを提供する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基は、図3および/または表3(参照により本書に援用される)で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示し、さらに熱分析(DSC)によれば193℃近傍に分解を伴う発熱ピークを示す。
さらなる実施形態では本発明は、その特徴的ピークがWO2006/070195のページ204〜205の実施例70の表3(その内容は参照により本書に援用される)の格子面間隔(d)として現われる粉末X線回折パターンを有する1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基の結晶に基づく組合せを提供する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の遊離塩基は、図3および/または表3(参照により本書に援用される)で示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示し、さらに熱分析(DSC)によれば193℃近傍に分解を伴う発熱ピークを示す。
式(I’)の化合物の生物学的活性
これらはWO2005/002552、WO2006/070195およびWO2007/077435(138ページ以下参照)に記載されおり、これら文献の内容は、参照により本書に援用される。
式(I’)の化合物、オーロラキナーゼの阻害剤である。例えば、前記化合物はオーロラAおよび/またはオーロラBを阻害する。前記化合物はまた、サイクリン依存性キナーゼに対する活性も有する。例えば、前記化合物は、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK9キナーゼ、特にCDK2に対する活性を有する。式(I’)の化合物はまた、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に対して活性を有する。
CDKおよびオーロラキナーゼおよびグリコーゲンシンターゼキナーゼを修飾または阻害するこの活性の結果として、本発明の組合せは、異常に分裂する細胞の細胞周期を停止させる、またはその制御を回復させる手段を提供に有用である。したがって、本明細書で定義される新規な用途に加え、前記化合物は、癌など増殖性疾患の治療または予防に有用であることが予想される。本発明の化合物はまた、ウイルス感染、II型またはインスリン非依存性糖尿病、自己免疫疾患、頭部損傷、卒中、癲癇、神経変性疾患(アルツハイマー病など)、運動神経性疾患、進行性の核上麻痺、皮質基底核変性症およびピック病、例えば、自己免疫疾患および神経変性疾患などの症状の治療に有用となる。
本発明の化合物の乳酸塩またはクエン酸塩が有用になる病態および症状のサブグループの1つは、ウイルス感染、自己免疫疾患および神経変性疾患から成る。
CDKは、細胞周期、アポトーシス、転写、分化およびCNS機能の調節に役割を果たす。したがってCDK阻害剤は、癌などの増殖、アポトーシスまたは分化に障害がある疾病の治療に有用であり得る。特に、RB+ve腫瘍は特にCDK阻害剤に感受性があり得る。RB−ve腫瘍もCDK阻害剤に感受性があり得る
阻害可能な癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、例えば、腺癌、小細胞性肺癌および非小細胞性肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、例えば、外分泌膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌または皮膚癌、例えば、扁平上皮癌;リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞性リンパ腫またはバーケットリンパ腫;骨髄系の造血系腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群または前骨髄球性白血病;甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍、例えば、線維肉腫または横紋筋肉種;中枢または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、グリオーマまたは神経鞘腫;メラノーマ;精上皮腫;奇形癌;骨肉種;色素性乾皮症;角化棘細胞種;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。さらに、リンパ系の造血系腫瘍には小リンパ球性リンパ腫が含まれ得る。
前記癌は、サイクリン依存性キナーゼの阻害に感受性のある1種以上の任意の癌であってもよい。特定の癌がサイクリン依存性キナーゼまたはオーロラキナーゼによる阻害に感受性のあるものかどうかは、以下の実施例で示すような細胞増殖アッセイにより、または「診断方法」と題した節で示されるような方法により判定することができる。
CDKはまた、アポトーシス、増殖、分化および転写においても役割を果たすことが知られており、したがってCDK阻害剤は、癌以外の以下の疾病の治療においても有用でありうる:ウイルス感染、例えば、ヘルペスウィルス、ポックスウィルス、エプスタイン・バーウィルス、シンドビスウィルス、アデノウィルス、HIV、HPV、HCVおよびHCMV;HIV感染個体におけるAIDS発現の予防;慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫仲介糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患および自己免疫性糖尿病;心血管系疾患、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮および小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、卒中および再灌流障害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発またはアルコール関連肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症および関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患および癌性疼痛。
いくつかのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤も、他の抗癌剤と組み合わせて使用できることが分かった。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤フラボピリドールは、併用療法において他の抗癌剤とともに使用されてきた。
したがって、異常細胞増殖を含む疾病もしくは症状を治療するための本発明の医薬組成物、使用または方法において、一実施形態における異常細胞増殖を含む疾病もしくは症状は癌である。
癌の一群としては、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜性乳癌)およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる。さらに、他の癌としては、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
癌の他のサブセットとしては、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌および非小細胞肺癌が挙げられる。
式(I’)の化合物はオーロラキナーゼに対して活性を有するので、本発明のオーロラキナーゼ阻害化合物が有用になる癌の具体例としては、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜性乳癌);卵巣癌(例えば、原発性卵巣癌);膵臓癌;ヒト膀胱癌;結腸直腸癌(例えば、原発性結腸直腸癌);胃癌;腎臓癌;子宮頸癌;神経芽腫;メラノーマ;リンパ腫;前立腺癌;白血病;非類内膜性子宮内膜癌;グリオーマ;および非ホジキンリンパ腫が挙げられる。
オーロラ阻害剤に特に反応性の高い癌としては、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、グリオーマおよび非類内膜性子宮内膜癌が挙げられる。
オーロラ阻害剤に特に反応性の高い癌の具体的なサブセットは、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肝臓癌、胃癌および前立腺癌から成る。
オーロラ阻害剤が特に適用可能な癌の他のサブセットは、血液の癌、特に白血病である。したがって、さらなる実施形態では、式(AA)の化合物の乳酸塩またはクエン酸塩は、血液の癌、特に白血病を治療するために使用される。具体的な白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫(マントル細胞)および急性リンパ芽球性白血病(ALL、別名:急性リンパ性白血病)から選ばれる。一実施形態では、白血病は、再発性または治療抵抗性急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病および慢性骨髄性白血病から選ばれる。他の白血病としては急性前骨髄球性白血病が挙げられる。
癌の一群としては、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜性乳癌)およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる。さらに、他の癌としては、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。
癌の他のサブセットとしては、リンパ系の造血系腫瘍、例えば、白血病、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫)が挙げられる。
ある具体的な癌としては慢性リンパ性白血病がある。もう1つの具体的な癌としてはマントル細胞リンパ腫がある。他の具体的な癌としてびまん性大B細胞リンパ腫がある。
オーロラキナーゼ阻害活性を有する本発明の組合せは、高レベルのオーロラキナーゼの存在が伴うまたは高レベルのオーロラキナーゼの存在を特徴とするタイプの癌、例えば、この文脈で本明細書の導入の節で言及された癌の治療または予防に特に有用である。そのような癌は髄芽細胞腫を含む。
式(I’)の化合物はVEGFR活性の阻害剤であり得る。さらに、前記化合物はEpHおよびFGFR活性の阻害剤でもある。それゆえ、前記化合物は、特に血管新生の阻害により、組織異常増殖を防ぐもしくは組織異常増殖にアポトーシスを誘発する手段の提供に有用となる。したがって、前記化合物は、癌などの増殖性疾患の治療または予防に有用となることが予測される。特に、VEGFRの活性化変異体またはVEGFRのアップレギュレーションを伴う腫瘍、および高レベルの血清乳酸脱水素酵素を有する患者は、前記阻害剤に特に感受性がある可能性がある。本明細書で検討されているような特定のVEGFRのアイソフォームのうちのいずれの活性化変異体を有する患者にも、VEGFR阻害剤による治療が特に有益である可能性がある。例えば、クローン前駆細胞がVEGFRを発現する可能性がある急性白血病細胞でのVEGFRの過剰発現である。また、FGFR1、FGFR2またはFGFR3などのFGFRのアイソフォームのうちのいずれの活性化変異体、アップレギュレーションまたは過剰発現を伴う特定の腫瘍は、本発明の化合物に特に感受性がある可能性があり、そのような特定の腫瘍を有する本明細書で検討されるような患者にも本発明の化合物を使用した治療が特に有益である可能性がある。前記治療は上述されたような受容体チロシンキナーゼの変異型に関係するかまたは対象とすることが好ましい。
Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1およびChk2阻害活性を有する式(I’)の化合物を含む本発明の組合せは、次の疾病および白血病の治療または予防に特に有用である:真性多血症;本態性血小板増加症;特発性骨髄線維症;若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球性AML(AML M7);巨核球性白血病;フィラデルフィア染色体陰性CML;慢性骨髄性白血病(CML);イマチニブ耐性CML;急性骨髄性白血病(AML);骨髄異形成症候群(MDS);および急性リンパ芽球性白血病(ALL)。
したがってさらなる実施形態では、本発明の組合せは次の疾病を治療するために使用される:真性多血症;本態性血小板増加症;特発性骨髄線維症;若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球AML(AML M7);巨核球性白血病;フィラデルフィア染色体陰性CML;またはイマチニブ耐性CML。
さらなる実施形態では本発明の組合せは、真性多血症、本態性血小板増加症および特発性骨髄線維症(骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症を含む)などの骨髄増殖性障害(MPD)を治療するために使用される。
さらに本発明の組合せは、悪性腫瘍がBCR−ablに起因する疾病、特にフィラデルフィア染色体陽性の治療に使用され得る。さらなる実施形態では、式(AA)の化合物の乳酸塩またはクエン酸塩は、骨髄増殖性症候群およびフィラデルフィア染色体陽性白血病(フィラデルフィア染色体陽性CMLおよびフィラデルフィア染色体陽性ALLなど)を治療するために使用される。特に、式(AA)の化合物の乳酸塩およびクエン酸塩は、フィラデルフィア染色体陽性ALLを治療するために使用される。
VEGFR阻害活性を有する本発明の組合せは、加齢黄斑変性症(AMD)、特に湿潤型加齢黄斑変性症、虚血性増殖性網膜症(未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症など)および血管腫などの眼疾患の治療または予防に特に有用である。したがってさらなる実施形態では、本発明の組合せは、加齢黄斑変性症、特に湿潤型加齢黄斑変性症、虚血性増殖性網膜症(未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症など)および血管腫などの眼疾患の治療に使用される。前記治療は、上述されたようなキナーゼの変異型に関連するかまたは対象とすることが好ましい可能性がある。そのような変異を伴う腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなどの当業者に公知および本明細書に記載のような技術を使用して行なうことができる。
サイクリン依存性キナーゼ、オーロラキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3、VEGFR、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1およびChk2の阻害剤としての本発明の組合せの活性は、下記実施例において記載されたアッセイを使用して測定することができ、ある化合物が示す活性のレベルはIC50値として決定することができる。
FGFR3などのFGFR、Ret、EphB2またはEphB4などのEphあるいはcSrc阻害活性を有する本発明の組合せは、次の疾病の治療および予防に特に有用である:甲状腺乳頭癌;多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、ヒルシュスプルング病、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、パイフェル症候群(PS)、多発性骨髄腫、頭頸部癌および上皮癌。
したがってさらなる実施形態では、前記組合せは、多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など)およびヒルシュスプルング病の治療に使用される。
本発明の組合せはFGFRに対する活性を有するので、具体的な癌としては、多発性骨髄腫、膀胱癌、肝細胞性癌、口腔扁平細胞癌、頚部癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌および結腸癌が挙げられる。FGFR1などのFGFR阻害活性を有する本発明の組合せは、乳癌、特に古典的小葉癌(CLC)の治療または予防に特に有用になる。FGFR2またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の組合せは、骨疾患の治療または予防に特に有用になる。
さらに、FGFR1、FGFR2またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の組合せは、進行性線維症が症状である病状の治療または予防に特に有用になる。本発明の組合せが治療に有用である可能性のある線維性疾患はとしては、例えば、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、そして自然創傷治癒過程における線維組織の異常または過剰蓄積示す疾病が挙げられる。特に本発明の組合せはまた、肺線維症、特に特発性肺線維症の治療に有用となる可能性が有る。
本発明の組合せはPDGFRを阻害するので、本発明の組合せはまた、多形性グリア芽腫などのグリア芽腫、前立腺癌、消化管間質性腫瘍、肝臓癌、腎臓癌、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、そして高好酸球症候群、希な増殖性血液疾患(rare proliferative hematological disorder)、隆起性皮膚線維肉腫および浸透性皮膚腫瘍を含む多くの腫瘍および白血病タイプの治療に有用である可能性がある。
FGFR3などのFGFR、Ret、EphB2またはEphB4などのEphあるいはcSrcの阻害剤としての本発明の組合せの活性は、下記実施例において記載されたアッセイを使用して測定することができ、ある組合せが示す活性のレベルはIC50値として決定することができる。
さらなる態様では、本発明は以下のものを提供する、
VEGFR、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2が仲介する病態もしくは症状の予防または治療方法であって、前記方法はそれが必要な被検者に治療上有効な量の本発明の組合せを投与することを含む方法、
VEGFR、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2が仲介する病態もしくは症状の予防または治療に用いる本発明の組合せ、
VEGFR、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2が仲介する病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための本発明の組合せの使用、
FGFR3などのFGFR、Ret、EphB2またはEphB4などのEph、あるいはcSrcが仲介する病態もしくは症状の予防または治療方法であって、前記方法はそれが必要な被検者に治療上有効な量の本発明の組合せを投与することを含む方法、
FGFR3などのFGFR、Ret、EphB2またはEphB4などのEph、あるいはcSrcが仲介する病態もしくは症状の予防または治療に用いる本発明の組合せの乳酸塩(特に、L−乳酸塩)およびクエン酸塩、
FGFR3などのFGFR、Ret、EphB2またはEphB4などのEph、あるいはcSrcが仲介する病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための本発明の組合せの使用。
したがって、本発明の組合せは、上記およびWO2007/077435(138ページ以下参照)に記載の疾病および疾患のいずれの治療おいて、ならびにWO2005/002552およびWO2006/070195に記載の疾病および疾患のいずれの治療において適用がある(これら文献の内容は、参照により本書に援用される)。
変異キナーゼ
変異キナーゼに関連した式(I’)の化合物の使用は、WO2007/077435(146ページ以下参照)に記載されている(この文献の内容は、参照により本書に援用される)。
したがって本発明は、下記のものの防止または治療(例えば、予防または緩和)のための本発明の組合せを提供する:
A.BCR−abl、VEGFR、PDGFR、EGFR、Flt3、JAK(例えば、JAK2もしくはJAK3)、C−abl、PDK1、Chk(例えば、Chk1もしくはChk2)、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2もしくはEphB4)またはSrc(例えば、cSrc)であるキナーゼが仲介する病態もしくは症状、あるいは
B.癌細胞が、
(a)スレオニンゲートキーパー変異、または
(b)薬剤耐性ゲートキーパー変異、または
(c)イマチニブ耐性変異、または
(d)ニロチニブ耐性変異、または
(e)ダサチニブ耐性変異、または
(f)KITにおけるT670I変異、または
(g)PDGFRにおけるT674I変異、または
(h)EGFRにおけるT790M変異、または
(i)ablにおけるT315I変異
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌、あるいは
C.BCRabl、c−kit、PDGF、EGF受容体またはErbB2の変異型である変異分子標的を発現する癌、あるいは
D.他の抗癌剤と結合または相互作用するが式(AA)または(I’)の化合物と結合または相互作用をしないタンパク質の領域に変異を有するキナーゼ、例えば、c−abl、c−kit、PDGFR(PDGFR−ベータおよびPDGFR−アルファを含む)およびErbBファミリーのメンバー(EGFR(ErbBl)、HER2(ErbB2)、ErbB3およびErbB4など)、エフリン受容体ファミリーのメンバー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB5、EphB6など)、c−Src、およびJAKファミリーのキナーゼ(TYK2など)から選ばれる変異キナーゼが仲介する疾病。
別の態様において本発明は、下記のための本発明の組合せを提供する:
BCR−abl、VEGFR、PDGFR、EGFR、Flt3、JAK(例えば、JAK2またはJAK3)、C−abl、PDK1、Chk(例えば、Chk1またはChk2)、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはSrc(例えば、cSrc)であるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の予防または治療;
BCR−abl、VEGFR、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1、Chk2、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはcSrcであるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の予防または治療;
BCR−ablに起因する悪性腫瘍の病態もしくは症状の治療または予防;
悪性腫瘍がフィラデルフィア染色体陽性の悪性腫瘍(例えば、フィラデルフィア染色体陽性CMLおよびフィラデルフィア染色体陽性ALLなどのフィラデルフィア染色体陽性白血病)および骨髄増殖性症候群から選ばれる、BCR−ablに起因する悪性腫瘍の病態もしくは症状の治療または予防;
VEGFRが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状が加齢黄斑変性症(例えば、湿潤型加齢黄斑変性症);虚血性増殖性網膜症(例えば、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症);および血管腫から選ばれる病態および症状などの眼疾患または症状である、VEGFRが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2であるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状が真性多血症、本態性血小板増加症、特発性骨髄線維症、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、巨核球性白血病、巨核球性AML(AML M7)、フィラデルフィア染色体陰性CMLおよびイマチニブ耐性CMLから選ばれる1種以上の疾病もしくは症状(どのような組合せでもよい)である、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2であるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状が真性多血症、本態性血小板増加症および骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症を含む特発性骨髄線維症などの骨髄増殖性障害(MPD)から選ばれる、Flt3、JAK、C−abl、PDK1、Chk1またはChk2であるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはcSrcであるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状が甲状腺乳頭癌、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、ヒルシュスプルング病、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、パイフェル症候群(PS)、多発性骨髄腫、頭頸部癌および上皮癌から選ばれる(どのような組合せでもよい)、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはcSrcであるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状がアペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)などのヒトの骨格発生異常から選ばれる、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはcSrcであるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
病態もしくは症状が甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型などの甲状腺癌から選ばれる、FGFR(例えば、FGFR3)、Ret、Eph(例えば、EphB2またはEphB4)あるいはcSrcであるキナーゼが仲介する病態もしくは症状の治療または予防;
癌細胞が、
(a)スレオニンゲートキーパー変異、または
(b)薬剤耐性ゲートキーパー変異、または
(c)イマチニブ耐性変異、または
(d)ニロチニブ耐性変異、または
(e)ダサチニブ耐性変異、または
(f)KITにおけるT670I変異、または
(g)PDGFRにおけるT674I変異、または
(h)EGFRにおけるT790M変異、または
(i)ablにおけるT315I変異
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌の治療または予防;
癌細胞が、
(a)スレオニンゲートキーパー変異、または
(b)薬剤耐性ゲートキーパー変異、または
(c)T315Iイマチニブ耐性変異、または
(d)KITにおけるT670I変異、または
(e)PDGFRにおけるT674I変異、または
(f)EGFRにおけるT790M変異
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌の治療または予防;
癌細胞が、
(a)スレオニンゲートキーパー変異、または
(b)薬剤耐性ゲートキーパー変異、または
(c)T315Iイマチニブ耐性変異、または
(d)KITにおけるT670I変異、または
(e)PDGFRにおけるT674I変異
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌の治療または予防用薬剤の製造;
薬剤が、消化管間質性腫瘍(GIST)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、高好酸球症候群および隆起性皮膚線維肉腫の1種以上(どのような組合せでもよい)の治療または予防用であって、癌細胞が、
(a)スレオニンゲートキーパー変異、または
(b)薬剤耐性ゲートキーパー変異、または
(c)イマチニブ耐性変異、または
(d)ニロチニブ耐性変異、または
(e)ダサチニブ耐性変異、または
(f)KITにおけるT670I変異、または
(g)PDGFRにおけるT674I変異、または
(h)EGFRにおけるT790M変異、または
(i)ablにおけるT315I変異
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌の治療または予防用薬剤の製造;
薬剤が、ニロチニブ耐性、ダサチニブ耐性またはイマチニブ耐性CMLの治療または予防用であって、癌細胞が、
(c)イマチニブ耐性変異、または
(d)ニロチニブ耐性の変異、または
(e)ダサチニブ耐性の変異、
である薬剤耐性キナーゼ変異を含む癌の治療または予防;
BCRabl、c−kit、PDGF、EGF受容体またはErbB2の変異型である変異分子標的を発現する癌の治療または予防;
他の抗癌剤と結合または相互作用するが式(I)または(I’)の組合せと結合または相互作用をしないタンパク質の領域に変異を有するキナーゼ、例えば、c−abl、c−kit、PDGFR(PDGFR−ベータおよびPDGFR−アルファを含む)、およびErbBファミリーのメンバー(EGFR(ErbBl)、HER2(ErbB2)、ErbB3およびErbB4など)、エフリン受容体ファミリーのメンバー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA8、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB5、EphB6など)、c−Src、およびJAKファミリーのキナーゼ(TYK2など)から選ばれる変異キナーゼが仲介する疾病の治療または予防;
眼疾患または症状(加齢黄斑変性症[例えば、湿潤型加齢黄斑変性症];虚血性増殖性網膜症[例えば、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症];および血管腫);骨髄増殖性障害(MPD)(真性多血症、本態性血小板増加症および骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症を含む特発性骨髄線維症など);若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球性白血病(巨核球性AML(AML M7)を含む);フィラデルフィア染色体陰性CML;イマチニブ耐性CML;ニロチニブ耐性CML;ダサチニブ耐性CML;消化管間質性腫瘍(GIST);多形性グリア芽腫、慢性骨髄単球性白血病(CMML)などのグリア芽腫;高好酸球症候群;隆起性皮膚線維肉腫;フィラデルフィア染色体陽性悪性腫瘍(例えば、フィラデルフィア染色体陽性CMLおよびフィラデルフィア染色体陽性ALLなどのフィラデルフィア染色体陽性白血病);骨髄増殖性症候群;多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、パイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など);およびヒルシュスプルング病から選ばれる疾病および症状のいずれか1種以上(どのような組合せでもよい)の予防または治療;
眼疾患または症状(加齢黄斑変性症[例えば、湿潤型加齢黄斑変性症];虚血性増殖性網膜症[例えば、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症];および血管腫);骨髄増殖性障害(MPD)(真性多血症、本態性血小板増加症および骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症を含む特発性骨髄線維症など);若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球性白血病(巨核球性AML(AML M7)を含む);フィラデルフィア染色体陰性CML;イマチニブ耐性CML;消化管間質性腫瘍(GIST);多形性グリア芽腫、慢性骨髄単球性白血病(CMML)などのグリア芽腫;高好酸球症候群;隆起性皮膚線維肉腫;フィラデルフィア染色体陽性悪性腫瘍(例えば、フィラデルフィア染色体陽性CMLおよびフィラデルフィア染色体陽性ALLなどのフィラデルフィア染色体陽性白血病);骨髄増殖性症候群;多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群、パイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など);およびヒルシュスプルング病から選ばれる疾病および症状のいずれか1種以上(どのような組合せでもよい)の治療または予防;
加齢黄斑変性症(例えば、湿潤型加齢黄斑変性症);虚血性増殖性網膜症(例えば、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症);および血管腫から選ばれる疾病および症状(どのような組合せでもよい)などの眼疾患または症状のいずれか1種以上の治療または予防;
真性多血症、本態性血小板増加症および骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症を含む特発性骨髄線維症などの骨髄増殖性障害(MPD);若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球性AML(AML M7)を含む巨核球性白血病;フィラデルフィア染色体陰性CML;およびイマチニブ耐性CMLから選ばれる疾病および症状のいずれか1種以上(どのような組合せでもよい)の治療または予防;
BCR−ablによりもたらされた悪性腫瘍、特にフィラデルフィア染色体陽性悪性腫瘍、例えば、フィラデルフィア染色体陽性CMLおよびフィラデルフィア染色体陽性ALLなどのフィラデルフィア染色体陽性白血病の治療または予防;
骨髄増殖性症候群の治療または予防;
アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)などのヒトの骨格発生異常、甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型などの甲状腺癌ならびにヒルシュスプルング病から選ばれる疾病および症状のいずれか1種以上(どのような組合せでもよい)の治療または予防;
消化管間質性腫瘍(GIST);多形性グリア芽腫、慢性骨髄単球性白血病(CMML)などのグリア芽腫;高好酸球症候群;隆起性皮膚線維肉腫から選ばれる病態もしくは症状の治療または予防;
イマチニブ耐性CML、ニロチニブ耐性CMLおよびダサチニブ耐性CMLから選ばれる病態もしくは症状の治療または予防;
イマチニブ耐性CMLの治療または予防;
骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症の治療または予防。
加えて、本発明はまた次のものの治療のための本発明の組合せを提供する:
加齢黄斑変性症、特に湿潤型加齢黄斑変性症、および血管腫などの眼疾患ならびにフィラデルフィア染色体陽性ALL;
真性多血症;本態性血小板増加症;特発性骨髄線維症;若年性骨髄単球性白血病(JMML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);巨核球性AML(AMM M7)を含む巨核球性白血病;フィラデルフィア染色体陰性CML、イマチニブ耐性CML、消化管間質性腫瘍(GIST)、高好酸球症候群または隆起性皮膚線維肉腫(そのような治療を必要とする患者に有効量の本明細書およびPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)で定義される式(I)の組合せもしくは式(AA)の組合せを投与することによる);
加齢黄斑変性症、特に湿潤型加齢黄斑変性症、および血管腫、などの眼疾患ならびにフィラデルフィア染色体陽性ALL(そのような治療を必要とする患者に有効量の本明細書およびPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)で定義される式(I)の組合せもしくは式(AA)の組合せを投与することによる);
加齢黄斑変性症、特に湿潤型加齢黄斑変性症、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症などの虚血性増殖性網膜症ならびに血管腫などの眼疾患;
加齢黄斑変性症、特に湿潤型加齢黄斑変性症、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症などの虚血性増殖性網膜症ならびに血管腫などの眼疾患(そのような治療を必要とする患者に有効量の本明細書およびPCT/GB2004/002824(WO2005/002552)に定義する式(I)の組合せもしくは式(AA)の組合せを投与することによる);
フィラデルフィア染色体陽性ALLの治療;
多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など)、およびヒルシュスプルング病の治療;
多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など)、またはヒルシュスプルング病の治療;
多発性骨髄腫、上皮癌、頭頸部癌、ヒトの骨格発生異常(アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ベーレ・スティーブンソン脳回状頭皮症候群およびパイフェル症候群(PS)など)、甲状腺癌(甲状腺乳頭癌、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、多発性内分泌腺腫(MEN)2A型および2B型など)、またはヒルシュスプルング病の治療。
本発明はまた下記請求項に開示されるさらなる組合せ、使用、方法、化合物およびプロセスを提供する。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素(式(AA)の化合物)の利点
利点は、WO2007/077435(153ページ以下参照)に記載されている(この文献の内容は参照により本書に援用される)
式(I’)の化合物の調製方法
式(I’)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って製造することができる。
前記方法は、WO2005/002552およびWO2006/070195に記載の通りであり、それらの内容は参照により本書に援用される。特に、関連する方法に関係するWO2005/002552の88〜96ページの内容が参照により本書に援用される。特に、関連する方法に関係するWO2006/070195の90〜101ページの内容が参照により本書に援用される。
例えば、式(I’)の化合物は、WO2005/002552に記載のように調製されてもよく、その内容は参照により本書に援用される。したがって「式(I)の化合物」に関する言及は「式(I’)の化合物」に関する言及であると解釈すべきことを除けば、WO2005/002552の88〜96ページの開示は参照により本書に援用される。
式(I”)の化合物の調製方法
式(I”)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って製造することができる。
例えば、式(I”)の化合物は、WO2006/070195に記載のように調製されてもよく、その内容は参照により本書に援用される。特にWO2006/070195の式(I)の化合物の調製に関連するWO2006/070195の90〜101ページの内容が本明細書における式(I”)の化合物に適用できる。したがって、「式(I)の化合物」に関する言及は「式(I”)の化合物」に関する言及であると解釈すべきことを除けば、WO2006/070195の90〜101ページの開示は参照により本書に援用される。
1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の製造方法
当該方法はWO2006/070195に記載の通りであり、その内容は参照により本書に援用される。特に、関連する方法に関係する2006/070195の102〜109ページの内容が参照により本書に援用される。
本発明は、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(2−アミノ−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アミドまたは4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(2−アミノ−5−モルホリン−4−イルメチル−フェニル)−アミドおよびそれらの保護された形態を化学中間体として提供する工程を含む本発明の組合せの調製方法を包含する。WO2006/070195の式(XXVII)の具体的な好ましい化学中間体の1つは[3−(2−アミノ−4−モルホリン−4−イルメチル−フェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルである。WO2006/070195の式(XXVIII)の特に好ましい化学中間体の1つは[3−(2−アミノ−5−モルホリン−4−イルメチルフェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルである。
3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イルアミンまたはその塩の製造方法あるいは1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素またはその塩の製造方法におけるWO2006/070195の式(XXVIIa)の化合物は下記の工程を含む方法によって製造することができる、
(i)PGが酸で除去可能なアミン保護基すなわちAPGである式(XXIX)の化合物と、
(ii)EDCおよびHOBtなどのカップリング剤の存在下、有機溶媒中で式(XXXI)の化合物とを反応させる工程。
本明細書に記載の方法は任意に結晶形態(例えば、本明細書に定義される結晶形態)を得るために塩を再結晶させるさらなる工程を有する。
精製方法
WO2006/070195と同様であり、その内容は参照により本書に援用される。特に、生成に関するWO2006/070195の109〜111ページの内容が参照により本書に援用される。
再結晶
WO2006/070195と同様であり、その内容は参照により本書に援用される。特に、再結晶に関するWO2006/070195の110〜111ページの内容が参照により本書に援用される。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、および同位体
特定の化合物に対する言及(とりわけ、補助化合物あるいは本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはそのサブグループもしくは例を含む、あるいは本明細書に記載の補助化合物に対する)は、例えば、以下に検討されるそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態;好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物;より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物も含む。
多くの化合物(本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)のもの(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはそのサブグループもしくは例、および本明細書に記載の補助化合物)は、例えば酸付加塩、または特定の場合には有機塩基および無機塩基の塩、例えば、フェノール酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩の形態で存在し得る。全てのこのような塩が本発明の範囲内であり、化合物(例えば、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)のもの(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはそのサブグループもしくは例)に対する言及には前記化合物の塩の形態を含む。
塩は、「医薬用塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」、ハインリヒスタール(P. Heinrich Stahl)(編者)、カミールワーマス(Camille G. Wermuth)(編者)、ISBN:3−90639−026−8、ハードカバー、388ページ、2002年8月、に記載されている方法などの通常の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中の適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。
酸付加塩は、無機および有機双方の様々な酸と形成される。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、ショウノウ−スルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸からなる群から選ばれる酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成された塩が挙げられる。
化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COO−となり得る)を有する場合には、塩は、適切な陽イオンを伴って形成できる。適切な無機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類金属陽イオン、ならびにAl3+などの他の陽イオンが挙げられる。適切な有機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH4 +)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が挙げられる。いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸類に由来するのものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CH3)4 +が挙げられる。
化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物も式(I)の範囲内にある。
化合物の塩形態は典型的には医薬上許容される塩であり、医薬上許容される塩の例は、ベルジュ(Berge)ら、1977年、「薬学的許容塩(Pharmaceutically Acceptable Salts)」、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)、第66巻、1〜19ページで検討されている。しかしながら、医薬上許容されない塩も中間形態として製造されてよく、これらはその後医薬上許容される塩へと変換することができる。このような医薬上許容されない塩形態も、例えば本発明の化合物の精製または分離に有用である場合があり、本発明の一部をなす。
アミン官能基を含む化合物(例えば、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)のものまたはそのサブグループもしくは例)はN−オキシドを形成し得る。アミン官能基を含むこのような化合物に対する言及には、N−オキシドも包含される。
化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1個以上の窒素原子を酸化してN−オキシドを形成できる。N−オキシドの具体例としては、窒素含有複素環の第三級アミンまたは窒素原子のN−オキシドがある。
N−オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で対応するアミンを処理することにより形成できる(例えば、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ページ、参照)。より具体的には、N−オキシドはデディー(L.W.Deady)(シンセティックコミュニケーションズ(Syn. Comm.)、1977年、7、509〜514)の方法により製造することができ、この方法ではアミン化合物を、例えばジクロロメタンなどの不活性溶媒中でm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
本発明の組合せに含まれる化合物(例えば、本明細書で定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物またはそのサブグループもしくは例)は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在する可能性があり、式(I)の化合物には、このような形態の全てが含まれる。誤解を避けるため記述すると、化合物はいくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在でき、1つのみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり意図される(そして、例えば、式(I)に包含される)。
互変異性型の例としては、例えば、ケト型、エノール型、およびエノレート型があり、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ−ニトロなどの場合がある。
本発明の組合せの構成要素化合物(例えば、式(I)の化合物)が1つ以上のキラル中心を有し、かつ、2種以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物には、特に断りのない限り、その全ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、混合物(例えば、ラセミ混合物)または2種以上の光学異性体として含む。
前記光学異性体はそれらの光学活性(すなわち、+および−異性体、またはdおよびl異性体として)特徴付けおよび同定することができるか、カーン(Cahn)、インゴールド(Ingold)およびプレログ(Prelog)により開発された「RおよびS」命名法を用いて絶対立体化学に基づき特徴付けられる、機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ジョンワイリー&サンズ、ニューヨーク、1992年、109〜114ページ参照、およびさらにカーン、インゴールド&プレログ(Cahn、 Ingold & Prelog)、アンゲヴァンテケミーインターナショナルエディション(Angew. Chem. Int. Ed.)、Engl.、1966年、5、385〜415参照。
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)をはじめとする様々な技術によって分離することができ、このような技術は当業者に周知のものである。
キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−ショウノウ−スルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離することができる。
化合物(例えば、式(I)の)が2種以上の光学異性型で存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。したがって、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体の1種のみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1つ以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有し、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。一般的な一実施態様では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在していてもよい。
化合物は、1つ以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の全ての同位体を含む。例えば、水素の場合、その範囲内に1H、2H(D)、および3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cと、16Oおよび18Oを含む。
これらの同位体は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一実施態様では、これらの化合物は放射性同位体を含まない。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、別の実施態様では、これらの化合物は1個以上の放射性同位体を含んでもよい。このような放射性同位体を含む化合物は診断の場合に有用であり得る。
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有するエステル、例えば、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステル(例えば、式(I)の化合物の)も、式(I)に包含される。エステルの例としては、基−C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)を含む化合物が挙げられる。エステル基の具体例としては、限定されるものではないが、−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH3)3および−C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、−OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の特定の例としては、限定されるものではないが、−OC(=O)CH3(アセトキシ)、−OC(=O)CH2CH3、−OC(=O)C(CH3)3、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CH2Phが挙げられる。
一般的な一実施態様では、式(I)ならびにその部分式、サブグループ、好ましい選択肢および例は、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルなどのエステルを包含しない。
特定の一つの実施態様では、式(I)ならびにその部分式、サブグループ、好ましい選択肢および例は、R2がヒドロキシであり、エステルがヒドロキシ基R2により形成されるヒドロキシ化合物のエステルを包含しない。
また、式(I)には、化合物の多形相、溶媒和物(例えば、水和物)、錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体または包接化合物、または金属との錯体)、および化合物(例えば、式(I)の化合物)のプロドラッグが含まれる。「プロドラッグ」とは、例えば、生体内で生物有効化合物に(例えば、1種以上の補助化合物または式(I)の化合物に)変換される任意の化合物を意味する。
例えば、いくつかのプロドラッグは、有効化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝上不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)は開裂して活性薬物となる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成でき、適切であれば、親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護し、その後、必要に応じて脱保護する。
このような代謝上不安定なエステルの例としては、式−C(=O)ORのものが挙げられ、ここで、Rは、
C1−7アルキル
(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);
C1−7アミノアルキル
(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ−C1−7アルキル
(例えば、アシルオキシメチル;
アシルオキシエチル;
ピバロイルオキシメチル;
アセトキシメチル;
1−アセトキシエチル;
1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;
1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;
1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;
シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;
1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;
1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;
(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および
1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)
である。
また、一部のプロドラッグは酵素的に活性化されて有効化合物を生じ、またある化合物はさらなる化学反応により有効化合物を生じる(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTなどの場合)。例えば、プロドラッグは糖誘導体または他のグリコシド複合体でもよく、またはアミノ酸エステル誘導体でもよい。
本発明による使用のための任意の付属化合物および治療
任意の幅広い種類の付属化合物が本発明の組合せのさらなる構成要素として場合により使用されてもよい。そのような付属化合物は抗癌剤であってもよい。
この節においては、本明細書の他の節すべてと同じく、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、式(I)の化合物に対する言及は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)および(VIIb)(特に式(VI))を含む本明細書で定義される式(I)のすべてのサブグループ(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)を包含する、そして「サブグループ」なる語は、本明細書で定義される好ましい選択肢、実施形態、例および具体的な化合物をすべて包含する。
好ましくは、本発明の組合せで用いる任意の付属化合物は、以下の類から選ばれる:
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤(コルチコステロイド、抗アンドロゲン、抗エストロゲンおよびGNRAを含む);
2.サイトカインおよびサイトカイン活性化剤;
3.レチノイドおよびレキシノイド
4.モノクローナル抗体(例えば、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体);
5.カンプトテシン化合物および他のトポイソメラーゼI阻害剤;
6.代謝拮抗剤;
7.ビンカアルカロイドおよび他のチューブリン標的化剤;
8.タキサン;
9.エポチロン;
10.白金化合物;
11.DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤(アントラサイクリン誘導体を含む);
12.アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
13.シグナル伝達阻害剤(PKA/PKB阻害剤およびPKB経路の阻害剤を含む);
14.CDK阻害剤;
15.COX−2阻害剤;
16.HDAC阻害剤;
17.選択的免疫反応モジュレーター;
18.DNAメチル基転移酵素阻害剤;
19.プロテアソーム阻害剤;
20.オーロラ阻害剤;
21.Hsp90阻害剤(補助Hsp90阻害剤を含む);
22.チェックポイント標的剤;
23.DNA修復阻害剤
24.Gタンパク質共役受容体阻害剤の阻害剤
25.他の治療剤または予防薬;例えば、化学療法に伴う副作用のいくつかを減少または緩和する薬剤。そのような薬剤の具体的な例としては、制吐剤、および化学療法に伴う好中球減少の持続性を防止または減少させる薬剤、および赤血球レベルまたは白血球レベルの減少から生じる合併症を予防する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げられる。また、ビスフォスフォネート剤(例えば、ゾレドネート、パミドロネートおよびイバンドロネート)などの骨吸収を阻害する薬剤、炎症反応を抑制する薬剤(デキサメタゾン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンなど)、および天然ホルモンのソマトスタチンの薬理学的特性を模倣する薬理学的特性を備えた長時間作用性のオクタペプチドである酢酸オクトレオチドを含む、脳ホルモンソマトスタチンの合成型のような、先端肥大症患者において成長ホルモンおよびIGF−Iの血中濃度を減少させるために使用される薬剤が挙げられる。さらには、ロイコボリン(葉酸レベルを減少させる薬剤に対する解毒剤として使用される)またはフォリン酸それ自体などの薬剤、および浮腫および血栓塞栓症発作を含む副作用の治療のために使用することができる酢酸メゲストロールのような薬剤が挙げられる。
本発明の組合せが1種以上の付属化合物を含む実施形態において、付属化合物は好ましくはリストA(上記)の類(1)(特に、コルチコステロイド)、(4)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(17)、(18)、(19)、(23)および(24)からそれぞれ選ばれる。最も好ましくは、1種以上の付属化合物は上記リストの類(1)(特にコルチコステロイド)、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(18)、(19)および(24)からそれぞれ選ばれる。
本発明の組合せが2種以上の付属化合物を含む実施形態において、その場合は2種以上の付属化合物はそれぞれ、好ましくは上述のリストの類(1)〜(24)から選ばれる。
本発明の組合せが2種以上の付属化合物を含む実施形態において、その場合は2種以上の付属化合物は、好ましくは上述のリストの類(1)(特にコルチコステロイド)、(2)、(3)、(17)、(22)、(23)および(24)からそれぞれ選ばれる。
本発明の組合せ中に存在する化合物の各々は、個別に異なる用量スケジュールで、および異なる経路を通じて投与されてもよい。
式(I)の化合物および補助化合物は、同時にまたは順次に投与されてもよい。順次に投与される場合、それらは短い間隔で(例えば、5〜10分の期間にわたって)、またはより長い間隔(例えば、1、2、3、4時間またはそれ以上離れて、または必要とされる場合には、さらにより長い期間離れて)で投与することができるが、正確な投与レジメンは治療用薬剤の特性に対応する。
本発明の組合せはまた、放射線療法、光力学療法、遺伝子療法などの非化学療法的治療;手術および栄養制限食と併用して投与されてもよい。
1種以上の補助化合物との併用療法における使用に関して、本発明の化合物および1、2、3、4種またはそれ以上の補助化合物は、例えば、2、3、4種またはそれ以上の補助化合物を含む投薬形態で、ともに製剤化することができる。あるいは、本発明の組合せの構成成分化合物は個別に製剤化され、キットの形態で一緒に提供されてもよく、任意でそれらの使用説明書が添付される。
本発明の組合せが1種以上の付属化合物を含む実施形態において、付属化合物は好ましくは類(1)(特に、コルチコステロイド)、(4)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(17)、(18)、(19)、(23)および(24)からそれぞれ選ばれる。最も好ましくは、1種以上の付属化合物は類(1)(特にコルチコステロイド)、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(18)、(19)および(24)からそれぞれ選ばれる。
本発明の組合せが2種以上の付属化合物を含む実施形態において、その場合は2種以上の付属化合物は好ましくは上述の類(1)〜(24)からそれぞれ選ばれる。
本発明の組合せが2種以上の付属化合物を含むさらなる実施形態は以下の場合を包含する:
レノリダミドとサリドマイドとの組合せ;
類(1)(好ましくはコルチコステロイド)と(12)と(17)(好ましくはレノリダミドまたはサリドマイド)とからそれぞれ選ばれる前述の類2つ以上の組合せ;
類(1)(好ましくはコルチコステロイド)と(7)と(11)とからそれぞれ選ばれる前述の類2つ以上の組合せ;
類(1)(好ましくはコルチコステロイド)と(19)との前述の類2つの組合せ;
類(18)と類(23)との前述の類2つの組合せ;
類(10)と(23)との前述の類2つの組合せ;
類(1)(好ましくはコルチコステロイド)、(4)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(17)、(18)、(19)、(23)および/または(24)からそれぞれ選ばれる前述の類2つ以上の組合せ;
(1)(好ましくはコルチコステロイド)、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(18)、(19)および/または(24)からそれぞれ選ばれる前述の類2つ以上の組合せ;および
(1)(好ましくはコルチコステロイド)、(11)、(12)、(17)および/または(19)からそれぞれ選ばれる前述の類2つ以上の組合せ;
本明細書における具体的な付属化合物に関する言及は、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、そしてより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を包含するように意図される。
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤
定義:本明細書で用いる「コルチコステロイド」、「抗アンドロゲン」、「抗エストロゲン」、「抗アンドロゲン剤」および「抗エストロゲン剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、そしてより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、本明細書において記載されるものおよびそのアナログを指す。
生物学的活性:本明細書において記載される1つ以上の薬理作用によって作用する、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤(抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤を含む)は、適切な抗癌剤として同定されている。「ホルモン療法」なる用語は、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤に言及する目的で総称として使用される。
技術背景:乳房および前立腺などのホルモンによる増殖制御に感受性のある組織において腫瘍が形成される特定のタイプの癌の治療において、ホルモン療法は重要な役割を果たす。したがって、例えば、エストロゲンは、特定の乳癌の増殖を促進し、テストステロンは、前立腺癌の増殖を促進する。そのような腫瘍の増殖は特異的なホルモンに依存するので、身体の中の特定のホルモンのレベルを増加または減少させることで腫瘍増殖に影響することが可能かどうかを調べるために、多くの研究が行なわれている。ホルモン療法は、ホルモン活性の操作によってこれらのホルモン感受性組織における腫瘍増殖を制御することを試みるものである。
リンパ球前駆細胞またはある種の白血病、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫などの成熟リンパ球に由来する癌はしばしば、プレドニゾロン、プレジソン(predisone)、デキサメタゾンを含むコルチコステロイドによる治療に対する感受性を保持する(成熟リンパ球により示された)。結果として、1種以上のコルチコステロイドによる治療がこれらの疾病の治療にしばしば組み入れられる。したがって、本発明との使用が考えられるものはコルチコステロイドである。
乳癌に関して、腫瘍増殖はエストロゲンにより刺激され、したがって抗エストロゲン剤はこのタイプの癌の治療について提案され広く使用されている。そのような薬剤の最も広く使用されるものの1つは、エストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオールの拮抗型阻害剤であるタモキシフェンである。タモキシフェンは、ERに結合した場合、受容体の立体的な形状の変化を誘導し、DNA上のエストロゲン応答エレメントに対する結合を阻害する。正常な生理学的条件下では、エストロゲン刺激は、形質転換増殖細胞b(TGF−b)(腫瘍細胞増殖のオートクライン阻害剤)の腫瘍細胞の産生を増加させる。タモキシフェン治療の正味の効果は、これらの経路の遮断により、乳癌増殖のオートクライン刺激を減少させることである。さらに、タモキシフェンは、周囲の組織によるインスリン様成長因子(IGF−1)の局所的産生を減少させる:IGF−Iは乳癌細胞に対するパラクライン増殖因子である(ジョーダン(Jordan)およびマーフィー(Murphy)、「エンドクリンリビューズ(Endocr.Rev.)」、1990年、1 1;578〜610)。疾病の管理への他の手法としては、アロマターゼ(エストラジオールの産生に決定的な酵素)の阻害によるエストラジオールの血中濃度を下げることである。アナストラゾール、レトロゾールおよびエキサメスタン(examestane)を含むタモキシフェンおよびアロマターゼ阻害剤は両方とも、アジュバント療法および転移性という環境(例えば、転移性乳癌)において閉経後の女性の乳癌の治療において広く使用される。タモキシフェンはまた、ER陽性腫瘍に罹患した更年期前の女性において使用される。長期的なタモキシフェン治療については、様々な潜在的な副作用(例えば、子宮内膜癌の可能性および血栓塞栓症の発生)がある。アロマターゼ阻害剤は一般にタモキシフェンよりもよく許容されるが、患者はしばしば、筋骨格系疼痛および骨粗鬆症をもたらす著しい骨損失に悩む。
タモキシフェンと広く同様の作用を有する他のエストロゲン受容体アンタゴニスト(または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM))としては、トレミフェンおよびラロキシフェンが挙げられる。トレミフェンは、化学名が2−(4−[(Z)−4−クロロ−1,2−ジフェニル−1−ブテニル]−フェノキシ)−N,N−ジメチルエチルアミンであり、転移性乳癌の治療のために使用される非ステロイド性のSERMであり、副作用としては火照り、悪心およびめまいが挙げられる。ラロキシフェンは、化学名が[6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル]−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−フェニル]−メタノン塩酸塩であり、乳癌の治療を目的として研究されているベンゾチオフェンSERMであり、副作用としては火照りおよび下肢痙攣が挙げられる。
腫瘍組織中のERの発現を減少させることにより作用する、化学名が7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)−ノニル]エストラ−1,3,5−(10)−トリエン−3,17−ベータ−ジオールであるフルベストラントはしばしばタモキシフェンとアロマターゼ阻害剤による治療に続いて使用される(例えば、進行性乳癌の二次治療として)。副作用としては火照りおよび子宮内膜の刺激が挙げられる。
前立腺癌細胞はほぼ必ずアンドロゲン受容体を過剰発現しており、したがって該疾病の治療では抗アンドロゲンが広く使用される。抗アンドロゲンは、アンドロゲン受容体に結合し、ジヒドロテストステロンの結合を妨げるアンドロゲン受容体アンタゴニストである。ジヒドロテストステロンは、癌性前立腺細胞を含む前立腺細胞の新たな増殖を刺激する。抗アンドロゲンの一例としては、化学名(R,S)−N−(4−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)プロパンアミドと呼ばれるビカルタミドがあり、進行性前立腺癌の治療のために黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログとの組合せにおける使用について承認されており、副作用としては火照り、骨痛、血尿症および胃腸病徴が挙げられる。ジヒドロテストステロンの血中濃度を下げる別の手段は、フルタミドを用いてテストステロンからのジヒドロテストステロンの産生を直接的に阻害することである。
一実施形態では、ホルモン療法剤としては、フルベストラント、トレミフェンおよびラロキシフェンが挙げられる。
ホルモンによる癌治療のさらなる型は、プロゲスチンアナログの使用を含む。プロゲスチンはプロゲステロンの合成型であり、卵巣および子宮内膜の裏打ちによって分泌されるホルモンである。プロゲステロンは、エストロゲンと共に作用して、乳房の発達および月経周期の間の子宮内膜細胞の増殖を促進する。プロゲスチンは、副腎(特に閉経後の女性の代替供給源)のエストロゲンの産生の抑制により、エストロゲン受容体レベルを低下させるか、または腫瘍ホルモン代謝を変化させて作用するであろうと考えられている。
プロゲスチンアナログは子宮癌(例えば、進行性子宮癌)または腎臓癌の管理において使用される。多数の抗エストロゲン治療の選択肢が利用可能であるために、この使用はそれほど一般的ではないが、プロゲスチンアナログはまた進行性乳癌の治療のために使用することができる。プロゲスチンアナログは、ホルモン療法剤として前立腺癌のために時々使用される。プロゲスチンアナログの一例としては、酢酸メゲストロール(別名:酢酸メゲストレル(megestrel))であり、化学名が17α−アセチルオキシ−6−メチルプレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンであり、下垂体ゴナドトロピン産生の推定上の阻害剤であり、結果としてエストロゲン分泌を減少させる。当該薬剤は、進行性乳癌または進行性子宮内膜癌(すなわち再発性疾患、手術不能疾患または転移性疾患)の待期的療法のために使用され、副作用としては浮腫および血栓塞栓症発作が挙げられる。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:本発明による使用のための特に好ましい抗エストロゲン剤はタモキシフェンである。タモキシフェンは、例えば、商品名ノルバデックス(Nolvadex)としてアストラゼネカ(AstraZeneca)社から市販されており、例えば、英国特許明細書第1064629号および第1354939号に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
さらに他の好ましい抗エストロゲン剤はドロロキシフェンである。フルベストラントは、例えば、商品名ファスロデックス(Faslodex)としてアストラゼネカ社から市販されており、例えば欧州特許明細書第138504号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ラロキシフェンは、例えば、商品名エビスタ(Evista)としてイーライ・リリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company)社から市販されており、例えば米国特許明細書第4418068号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。トレミフェンは、例えば、商品名フェアストン(Fareston)としてシェーリング(Schering)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4696949号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。抗エストロゲン剤ドロロキシフェンは、例えば、米国特許明細書5047431号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよく、本発明に従って使用することもまた可能である。
本発明よる使用のために好ましい抗アンドロゲンはビカルタミドであり、例えば商品名カソデックス(Casodex)としてアストラゼネカ社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第100172号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。本発明による使用のための他の好ましいホルモン療法剤としては、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール(letrazole)、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、ルプロリド(luprolide)、酢酸メゲストロール/メゲストレル、アミノグルテチミド(あるいはアミノグルテタミドとも綴る)およびフルタミドが挙げられる。
本発明よる使用のための他の好ましいホルモン療法剤としては、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、ルプロリド、酢酸メゲストロール/メゲストレル、アミノグルテチミドおよびベキサロテンが挙げられる。
好ましいプロゲスチンアナログは酢酸メゲストロール/メゲストレルであり、例えば、商品名メゲース(Megace)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ(Bristol Myers Squibb)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第2891079号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
したがって、本発明の組合せに使用されるこれらの抗癌剤の具体的な実施形態としては以下のものが挙げられる:タモキシフェン;トレミフェン;ラロキシフェン;メドロキシプロゲステロン;メゲストロール/メゲストレル;アミノグルテチミド;レトロゾール;アナストロゾール;エキセメスタン;ゴセレリン;ルプロリド;アバレリクス;フルオキシメストロン(fluoxymestrone);ジエチルスチルベストロール;ケトコナゾール;フルベストラント;フルタミド;ビカルチミド(bicalutimide);ニルタミド;シプロテロンおよびブセレリン。
したがって、抗アンドロゲンおよび抗エストロゲンが、本発明の組合せにおける使用のために検討される。
別の実施形態において、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストまたはホルモン修飾剤は、フルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲストレルおよびフルタミドである。
別の実施形態において、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストまたはホルモン修飾剤は、フルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲストレルおよびベキサロテンである。
一実施形態において、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤としては、コルチコステロイド、抗アンドロゲン、抗エストロゲンおよびGNRAが挙げられる。別の実施形態において、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤としては、抗アンドロゲン、抗エストロゲンおよびGNRAが挙げられる。
薬量:抗アンドロゲンまたは抗エストロゲン剤は、特定の薬剤および治療されている症状に応じて、有利には約1〜100mgの1日投与量で投与される。タモキシフェンは、有利には、5〜50mg、好ましくは1日2回10〜20mg(または1日1回20mg)の用量で経口的に投与され、治療上の効果を達成および維持するのに十分な期間で該療法剤が継続される。
他の好ましい抗エストロゲン剤に関しては、フルベストラントは、有利には毎月250mg点滴の形式で投与され(毎月250〜750mgの用量もまた用いられてもよいが);トレミフェンは、有利には、1日1回約60mgの用量で経口的に投与され、治療上の効果を達成および維持するのに十分な期間で該療法剤が継続され;ドロロキシフェンは、有利には、1日1回約20〜100mgの用量で経口的に投与され;ラロキシフェンは、有利には、1日1回約60mgの用量で経口的に投与される。
好ましい抗アンドロゲンであるビカルタミドに関して、これは一般的に1日に50mgの経口投与量で投与される。
好ましいプロゲスチンアナログである酢酸メゲストロール/メゲストレルに関して、これは一般的に1日4回40mgの経口投与量で投与される。
上記の用量は、一般的に例えば治療の1過程あたり、1回、2回またはそれ以上投与されてもよく、例えばそれを毎日あるいは7、14、21または28日ごとに(とりわけ7、14、21または28日ごとに)繰り返してもよい。
アロマターゼ阻害剤
本発明の組合せに用いるホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤のうちで、好ましいものはアロマターゼ阻害剤である。
閉経後の女性における循環エストロゲンの主要な供給源は、副腎のアンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)のエストロゲン(エストロンおよびエストラジオール)への末梢組織中のアロマターゼ酵素による変換からである。アロマターゼの阻害または不活性化を介するエストロゲン枯渇は、閉経後のいくらかの患者のための、ホルモン依存性乳癌の効果的および選択的な治療である。そのようなホルモン修飾剤の例としては、エキセメスタン、アナストロゾール、レトロゾールおよびアミノグルテチミドなどの、アロマターゼ阻害剤または不活性化因子が挙げられる。
エキセメスタン(化学名6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン)は、タモキシフェン療法後に疾患が進行した閉経後の女性における進行性乳癌の治療のために使用され、副作用としては火照りおよび悪心が挙げられる。アナストロゾール(化学名α,α,α’,α’−テトラメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ベンゼンジアセトニトリル)は、ホルモン受容体陽性早期乳癌に罹患した閉経後の女性の補助治療のために、およびホルモン受容体陽性またはホルモン受容体不明の局所的進行性乳癌または転移性乳癌に罹患した閉経後の女性の一次治療のためにも、および閉経後の女性におけるタモキシフェン療法後の疾患進行をともなう進行性乳癌の治療のために使用される。アナストゾールの投与は、通常、胃腸障害、筋骨格系疼痛、発疹および頭痛を含む副作用をもたらす。レトロゾール(化学名4,4’−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチレン)−ジベンゾニトリル)は、ER陽性乳癌のアジュバント療法のために、そしてホルモン受容体陽性またはホルモン受容体不明の局所的進行性乳癌または転移性乳癌に罹患した閉経後の女性の一次治療のために、そして閉経後の女性における抗エストロゲン療法後の疾患進行をともなう進行性乳癌の治療のために使用され、可能性のある副作用としては時折の一時的な血小板減少および肝臓トランスアミナーゼ上昇が挙げられる。
アミノグルテチミド(化学名3−(4−アミノフェニル)−3−エチル−2,6−ピペリジンジオン)は、乳癌の治療のためにもまた使用されるが、副作用は皮疹ならびに血小板減少および白血球減少症(それほど一般的ではない)が生ずる。
好ましいアロマターゼ阻害剤としては、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンおよびアミノグルテチミドが挙げられる。レトロゾールは、例えば、商品名フェマーラ(Femara)としてノバルティス(Novartis)社から市販されており、例えば米国特許明細書第4978672号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アナストロゾールは、例えば、商品名アリミデックス(Arimidex)としてアストラゼネカ社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4935437号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。エキセメスタンは、例えば、商品名アロマシン(Aromasin)としてファルマシア社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4978672号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アミノグルテチミドは、例えば、商品名シタドレン(Cytadren)としてノバルティス社から市販されており、例えば、米国特許明細書第2848455号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アロマターゼ阻害剤のボロゾールは、例えば、欧州特許明細書第293978号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されよもく、本発明に従って使用することもできる。
好ましいアロマターゼ阻害薬に関して、これらは一般的に1〜1000mgの範囲の1日経口投与量で投与され、例えば、レトロゾールは1日1回約2.5mgの用量;アナストロゾールは1日1回約1mgの用量;エキセメスタンは1日1回約25mgの用量;およびアミノグルテチミドは1日2〜4回250mgの用量である。
特に好ましいのは、本明細書において記載される薬剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンおよびアミノグルテチミドから選択されるアロマターゼ阻害剤である。
GNRA
本発明の組合せで用いるホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン修飾剤のうちで、好ましいものはGNRAクラスの薬剤である。
定義:本明細書では「GNRA」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは、溶媒和物)と共に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびGnRHアンタゴニスト(以下に記載されるものを含む)を定義するように意図される。
技術背景:ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストは、脳の視床下部から放出された場合、ゴナドトロピンを生ずるように脳下垂体を刺激する。ゴナドトロピンは、精巣のアンドロゲン合成および卵巣のエストロゲン合成を刺激するホルモンである。GnRHアゴニストが初めて投与された場合、該GnRHアゴニストはゴナドトロピン放出の増加を引き起こし得るが、継続的な投与により、GnRHはゴナドトロピン放出を遮断し、したがってアンドロゲンおよびエストロゲンの合成を減少させることになる。GnRHアナログは転移性前立腺癌を治療するために使用される。GnRHアナログは更年期前の女性の転移性乳癌の治療のためにも承認されている。GnRHアナログの例としては、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリドが挙げられる。これとは対照的に、アベレリクス(aberelix)などのGnRHアンタゴニストは、アゴニスト効果を持たないので、初期のGnRH上昇を引き起こさない。しかしながら、GnRHアンタゴニストは治療指数の幅が狭いために、GnRHアンタゴニストの使用は現在のところGnRHアゴニストおよび抗アンドロゲンなどの他のホルモン療法に耐性のある進行性前立腺癌に限定される。
酢酸ゴセレリンは、LHRHまたはGnRHの合成デカペプチドアナログであり、化学構造はピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NH2アセテートであり、乳癌および前立腺癌および子宮内膜症の治療のために使用され、副作用としては火照り、気管支炎、不整脈、高血圧症、不安および頭痛が挙げられる。酢酸ロイプロリドは、GnRHまたはLHRHの合成ノナペプチドアナログであり、化学名は5−オキソ−L−プロリル−L−ヒスチジル−L−トリプトフィル−L−セリル−L−チロシル−D−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニル−N−エチル−L−プロリンアミドアセテートである。酢酸ロイプロリドは、前立腺癌、子宮内膜症および乳癌の治療のために使用され、副作用は酢酸ゴセレリンの副作用に類似する。
アバレリクスは、合成デカペプチドAla−Phe−Ala−Ser−Tyr−Asn−Leu−Lys−Pro−Alaであり、化学名はN−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−アラニル−L−セリル−N−メチル−L−チロシル−D−アスパラギニル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リシル−L−プロリル−D−アラニンアミドである。アバレリクスはロエスキ(R.W.Roeske)、WO9640757に従って調製することができる(1996年、インディアナ大学基金(Indiana Univ. Found.))。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:本発明による使用のために好ましいGnRHアゴニストおよびアンタゴニストとしては、特にゴセレリン、ロイプロリド/ロイポレリン(leuporelin)、トリプトレリン、ブセレリン、アバレリクス、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリドを含む本明細書において記載されるGNRAのいずれもが挙げられる。特に、ゴセレリンおよびロイプロリドが好ましい。酢酸ゴセレリンは、例えば、商品名ゾラデックス(Zoladex)としてアストラゼネカ社から市販されており、例えば、米国特許明細書第5510460号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。酢酸ロイプロリドは、例えば、商品名リュプロン(Lupron)としてタップ・ファーマシュティカルズ(TAP Pharmaceuticals)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第3914412号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ゴセレリンは商品名ゾラデックスとしてアストラゼネカ社から市販されており、例えば、ICI社の特許公報US4100274またはヘキスト(Hoechst)社の特許公報EP475184中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ロイプロリドは、アメリカにおいては商品名リュプロンとしてタップ・ファーマシュティカルズから、およびヨーロッパにおいては商品名プロスタップ(Prostap)としてワイス(Wyeth)社から市販されており、例えばアボット(Abbott)社の特許公報US4005063中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。トリプトレリンは商品名トレルスター(Trelstar)としてワトソン・ファルマ(Watson Pharma)社から市販されており、例えば、チュレーン(Tulane)社の特許公報US5003011中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ブセレリンは商品名スプレファクト(Suprefact)として市販されており、例えばヘキスト社の特許公報US4024248中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アバレリクスは商品名プレナキシス(Plenaxis)としてプラエシス・ファーマシューティカルズ(Praecis Pharmaceuticals)社(現在は、GSKの一部)から市販されており、例えばジャン(Jiang)ら、ジャーナルオブメディカルケミストリー(J. Med. Chem.)(2001年)、44(3)、453〜467またはポリペプチド・ラボラトリーズ(Polypeptide Laboratories)社の特許公報WO2003055900記載されるように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
本発明よる使用のための他のGnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストとしては、オーソ・ファーマシューティカル(Ortho Pharmaceutical)からのヒストレリン、ロシュ(Roche)社からの酢酸ナファレリン、およびシレ・ファーマシューティカルズ(Shire Pharmaceuticals)社からのデスロレリンが挙げられるが、これらに限定されない。
薬量:GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストは、有利には、1.8mg〜100mgの用量で(例えば、ゴセレリンについては毎月3.6mgまたは3か月ごとに10.8mg、あるいはロイプロリドについては毎月7.5mg、3か月ごとに22.5mgまたは4か月ごとに30mg)投与される。
好ましいGnRHアナログに関しては、これらは一般的には以下の用量で、すなわち、酢酸ゴセレリンは4週ごとに3.6mg皮下インプラントとして、およびロイプロリドは毎月の7.5mg筋肉内デポーとして投与される。
2.サイトカインおよびサイトカイン活性化剤
定義:「サイトカイン」なる語は技術用語であり、本明細書におけるサイトカインに関する言及は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)に加えて、サイトカインそれ自体を包含するように意図される。「サイトカイン活性化剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)に加えて、内因性サイトカインの産生または生体内におけるその活性を(直接または間接的に)誘導、強化、刺激、活性化または促進する任意の薬剤を包含するように意図される。
技術背景:サイトカインは、二次細胞の機能を制御する能力を有する、免疫系の細胞によって主に産生されるタンパク質またはポリペプチドの類である。抗癌療法に関しては、サイトカインは増殖を制御するかまたは癌細胞を直接的に殺し、腫瘍の増殖を制御するために免疫系をより効果的に修飾するために使用される。
インターフェロン(IFN)アルファおよびインターロイキン−2などのサイトカインは、増殖停止または細胞死を誘導する。INF−アルファは、悪性メラノーマ、慢性骨髄性白血病(CML)、毛様細胞性白血病およびカポジ肉腫の治療に使用される。インターロイキン−2は、単独で、またはIFN−アルファとの組合せのどちらかで、悪性メラノーマおよび腎細胞癌に使用される。
サイトカインは、腫瘍細胞と戦うために免疫細胞を刺激することを含む様々な異なるメカニズムを介して抗腫瘍作用を示す。例えば、T細胞増殖因子であるIL−2は、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を促進する。インターフェロンおよび顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などの他のサイトカインは抗原提示細胞に作用し、鍵となる免疫のエフェクターB細胞およびエフェクターT細胞の活性化を促進する。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:特にインターフェロン(インターフェロン−γおよびインターフェロンαなど)およびインターロイキン(例えば、インターロイキン2)を含む、本明細書において記載されるいずれのサイトカインおよびサイトカイン修飾剤も、本発明に適用される可能性がある。インターフェロンα−2b(組換え)は、イントロン(INTRON)(登録商標)Aの商品名でシェリング・プラウ(Schering Plough)社から市販されている。
他の好ましいインターフェロンとしては、ロフェロン(ROFERON)の商品名でロシュ社から入手可能なインターフェロンα−2aが挙げられる。
特に好ましいインターロイキンは、カイロン(Chiron)社から入手可能なプロロイキン(PROLEUKIN)(登録商標)IL−2(アルデスロイキン)である。
薬量:インターフェロンは具体的な兆候に応じたスケジュールでの注射によって投与される。悪性メラノーマのイントロンA治療のためには、1週あたり連続して5日間2000万IU/m2の用量での静注として誘導療法を4週間、続いて1週あたり3回の1000万IU/m2の用量での皮下(SC)注射として維持療法を48週間で含むスケジュールが好ましい。非ホジキンリンパ腫のイントロンA治療のためには、アントラサイクリン含有化学療法レジメンと併用して、最大18か月間までの1週あたり3回の500万IUの皮下注射のスケジュールが好ましい。
CMLのためにロフェロンAの推奨される初回用量は、皮下注射または筋肉注射として毎日9MIUの投与である。臨床経験に基づいて、短期の耐性は、投与の第一週の間における毎日3日間の3MIU〜毎日3日間の6MIUから、治療期間の間に毎日9MIUの標的用量まで、徐々にロフェロンAの用量を増加させることにより改善され得る。毛様細胞白血病のためのロフェロンAの導入用量は、16〜24週間、毎日3MIUを皮下注射または筋肉注射として投与されるものである。皮下投与は、血小板減少の患者(血小板数<50000)、または出血のリスクがある患者のために特に提案されるが、これらに限定されない。推奨される維持用量は、3MIUを1週あたり3回(tiw)である。
プロロイキンについては、以下のスケジュールが、転移性腎細胞癌(転移性RCC)または転移性メラノーマに罹患する成人患者を治療するために使用さている(各治療過程は、休止期間によって分割される2つの5日間の治療サイクルからなる):600000IU/kg(0.037mg/kg)用量を、最大で14用量で15分間の静注によって8時間ごとに投与する。9日間の休止に続いて、もう1回14用量(耐えられる限り、一過程あたり最大で28用量)でスケジュールを繰り返す。
サイトカイン活性化剤:好ましいサイトカイン活性化剤としては以下のものが挙げられる:(a)中外製薬(Chugai Pharmaceuticals)からのピシバニール(癌治療のためのIFN−ガンマ誘導分子);(b)第一製薬(Daiichi)からのロムルチド(コロニー刺激因子放出の刺激によってサイトカインネットワークを活性化する);(c)科研製薬(Kaken Pharmaceutical)からのシゾフィラン(マイトーゲン刺激された末梢血単核細胞によるIFN−ガンマおよびIL−2の産生を刺激し、子宮頚部腫瘍および肺腫瘍治療において有用である、スエヒロタケから単離されたベータ1−3、ベータ1−6D−グルカン);(d)ローラス・セラピューティクス(Lorus Therapeutics)からのビルリジン(肉腫、メラノーマ、膵臓腫瘍、乳房腫瘍、肺腫瘍およびカポジ肉腫の治療のための、IL−17合成およびIL−12放出を刺激する、NKアゴニストおよびサイトカイン放出モジュレーター);および(e)非小細胞肺癌、肝細胞癌、メラノーマ、癌腫、肺腫瘍、脳腫瘍および腎腫瘍の治療において有用であるチモシンアルファ1(主としてTh1サイトカインの増産のための免疫反応促進へ向けられる複数の生物学的活性を有する28合成アミノ酸ペプチド)。
3.レチノイドおよびレキシノイド
定義:「レチノイド」なる語は、本明細書において開示された具体的なレチノイドだけでなく、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)もまた包含する広い意味で本明細書で用いる技術用語である。「レキシノイド」なる語は、レチノイドX受容体に特異的に結合する合成薬剤を意味する。
技術背景:トレチノインは、レチノールの内在性代謝物質である。トレチノインは、ヒト骨髄細胞株を含むいくつかの造血系前駆細胞株において最終分化を誘導する。急性前骨髄球性白血病(APL)は、第15染色体と第17染色体との間の特異的な転座と関連しており、レチノイン酸受容体−αは第17染色体に位置する。転座は分化を阻害し発癌をもたらすようであり、トレチノインが高用量で使用された場合、これを克服する可能性がある。トレチノインは、通常、治療の8〜119日の間の寛解までの時間で、APL患者の64〜100%に寛解を誘導する。治療の間の獲得耐性は特に持続的投薬(4〜6か月)で一般的である。アリトレチノインは、レチノイド受容体のRXRサブファミリーに選択的と考えられる9−cis−レチノイン酸誘導体である。この選択性は、胎児暴露での先天性欠損、皮膚表面および粘膜表面のかぶれまたは骨格異常を含むレチノイド治療の著しい副作用を低減する一方で、治療上の抗腫瘍効果を維持し得る。局所用のアリトレチノインはカポジ肉腫の治療のために米国では承認されている。ベキサロテン(ターグレチン;LGD−1069)(レチノイドX受容体(RXR)に選択的な抗腫瘍レチノイド)の経口製剤およびゲル(局所用)製剤は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療のために利用可能である。
US6,127,382、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/19052およびWO97/19062(すべてアラガン)は各々、癌を含む様々な過剰増殖性疾患の治療に使用されるレチノイド様活性を有する化合物を記載している。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:本発明による使用のために好ましいレチノイドとしては、特にトレチノイン(オールトランス型レチノイン酸)、アリトレチノインおよびベキサロテンを含む本明細書において開示されるレチノイドのいずれもが挙げられる。トレチノイン(レタクニル(Retacnyl)、アクノテン(Aknoten)、トレチン(Tretin)M)は、商品名ベサノイド(Vesanoid)としてロシュ社から市販されており、例えば、ヴァンドープ(D.A. van Dorp)、アレンス(J.R. Arens)、Rec.Trav.Chim.65、338(1946);ローブソン(C.D. Robeson)ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)77、4111(1955);マーベット(R. Marbet)、DE2061507;US3746730(1971年、1973年、両方ともホフマン・ラ・ロシュ(Hoffmann-La Roche)社)中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アリトレチノイン(9−cis−トレチノイン、パンレキシン(Panrexin))は、商品名パンレチン(Panretin)としてリガンド・ファーマシューティカルズ(Ligand Pharmaceuticals)社から市販されており、例えば、ローブソン(C.D.Robeson)ら、ジャーナル・オブ・アメリカンケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)77、4111(1955);マツイ(M. Matsui)ら、ジャーナル・オブ・ビタミノロジー(J. Vitaminol.)4、178(1958);べーム(M.F. Boehm)ら、ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)37、408(1994)中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ベキサロテン(ターグレキシン(Targrexin)、ターグレット(Targret))は、商品名ターグレチンとしてエーザイから市販されており、例えば、べーム(M.F.Boehm)ら、WO9321146(1993年、リガンド・ファーマシューティカルズ);ドーソン(M.L.Dawson)ら、US5466861(1995年、SRI Int;ラ・ホーヤ癌研究所基金(La Jolla Cancer Res.Found.))中に記載されているように、またはそれに類似した類似した方法によって調製されてもよい。
薬量:トレチノインは、有利には、完全寛解後の30日間、または最大90日まで、2つの分割された用量で経口で25mg/m2/日〜45mg/m2/日の用量で投与される。アリトレチノインゲル0.1%は、有利には、皮膚のカポジ肉腫障害へ1日当たり2回の適用によって初期投与される。
ベキサロテンは、有利には、300mg/m2/日で毎日、単一の経口用量として初期投与される。用量は200mg/m2/日に、次に100mg/m2/日に調整されてもよく、または毒性のために必要であれば一時的に中断される。8週間の治療後に腫瘍反応がないならば、そして300mg/m2/日の初回用量が良好な耐容性を示すならば、注意深くモニターしながら用量を400mg/m2/日まで高めてもよい。ベキサロテンゲルは、有利には、第一週の間には最初に一日おきに1回適用される。適用頻度は、個々の障害耐性に従って、毎日1回、次に毎日2回、次に毎日3回、および最終的に毎日4回まで一週間間隔で増加されてもよい。
4.モノクローナル抗体
どのようなモノクローナル抗体(例えば、限定されるものではないが、1種以上の細胞表面抗原に対する)も本発明の組合せで使用されてもよい。抗体特異性は、当業者に周知の様々な技術のいずれかを使用して分析または測定されてもよい。
定義:本明細書で用いる「モノクローナル抗体」なる語は、任意のソースからの抗体を指し、したがって完全ヒト型抗体、およびさらに他の種に由来する構造または特異性を決定する要素を含む抗体を含む(およびそれらは、例えばキメラ抗体またはヒト化抗体と呼ぶことができる)。
技術背景:モノクローナル抗体は高特異性であり、したがって疾患特異的標的に結合して作用することができ、それによって正常細胞を救い、従来の化学療法よりも少ない副作用をもたらすので、モノクローナル抗体の使用は現在、抗癌性化学療法において広く認められている。
様々な癌の治療のための抗体化学療法の標的として研究されてきた細胞の一群は、腫瘍細胞において過剰発現または異常発現されるクラスター分類(CD)分子、例えば腫瘍細胞表面上で(最も顕著には、造血系起源の腫瘍において)過剰発現されるCD20、CD22、CD33およびCD52を含む、細胞表面抗原を有する細胞である。これらのCD標的に対する抗体(抗CD抗体)としては、モノクローナル抗体のリツキシマブ(別名:リツキサマブ)、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガミシンが挙げられる。
リツキシマブ/リツキサマブは、再発、治療耐性、低悪性度または濾胞性リンパ腫を含む、B細胞非ホジキンリンパ腫の治療のために広範囲に使用される、マウス/ヒトキメラ抗CD20モノクローナル抗体である。この製品は慢性リンパ性白血病および関節リウマチを含む様々な他の徴候のためにも開発されている。リツキシマブ/リツキサマブの副作用としては、低酸素症、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、心室細動または心原性ショックが挙げられ得る。トシツモマブは、非ホジキンリンパ腫およびリンパ性白血病の治療のために、ヨウ素−131で標識された細胞特異的な抗CD20抗体である。トシツモマブで起こりうる副作用としては、血小板減少および好中球減少を含む。ゲムツズマブ・オゾガミシンは、CD33に対して特異的なヒトモノクローナル抗体に結合された細胞毒性薬(カリケアマイシン)である。カリケアマイシンは、アドリアマイシンよりも1000倍以上強力である非常に強力な抗腫瘍剤である。いったん細胞の内部に放出されたならば、カリケアマイシンはDNAのマイナーグルーブへ配列特異的に結合し、リアレンジメントを受け、フリーラジカルを露出し、二本鎖DNAの切断を引き起こし、アポトーシス(プログラム細胞死)をもたらす。ゲムツズマブ・オゾガミシンは急性骨髄性白血病の二次治療として使用され、起こりうる副作用としては、アナフィラキシーなどの重症の過敏性反応が挙げられ、肝毒性も挙げられる。
アレムツズマブ(ミレニアム・ファーマシューティカルズ(Millennium Pharmaceuticals)、キャンパス(Campath)としても知られる)はCD52に対するヒト化モノクローナル抗体であり、TNF−アルファ、IFN−ガンマおよびIL−6の分泌を誘導し、慢性リンパ性白血病および非ホジキンリンパ腫の治療のために有用である。
好ましい選択肢:本発明による使用のために好ましいモノクローナル抗体としては、アレムツズマブ、CD20、CD22およびCD33を含む抗CD抗体が挙げられる。特に好ましいのは、上記のような抗CD抗体(例えばCD20、CD22、CD33)を含む、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体である。他の好ましいモノクローナル抗体としてはインターロイキン6(IL−6)を標的とするものが挙げられる。
具体的な実施形態:一実施形態において、モノクローナル抗体は、クラスター分類のCD分子(例えばCD20、CD22、CD33およびCD52)に対する抗体である。別の実施形態では、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガミシンから選択される。本発明に従って使用されてもよい他のモノクローナル抗体としては、ベバシズマブが挙げられる。
例示的な製剤:本明細書において記載されるように、本発明による使用のための細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体としては、CD52抗体(例えばアレムツズマブ)および他の抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33)が挙げられる。組合せのうちの個々の構成要素により示されるそれぞれの効果と比較して、例えば、腫瘍細胞増殖に対して有利で有効な効果を示す細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(例えば、抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33))を含む治療上の組合せが好ましい。
CD52選択性も、特定のリガンドと細胞内放出されるジフテリア毒素(デニロイキンディフィトクス(denileukin difitox);オンタック)との組合せによって達成された。この手法は皮膚T細胞リンパ腫の治療における使用に関して認可されており、他の種類の非ホジキンリンパ腫の治療に関して研究中である。
さらに、癌治療において腫瘍細胞自体以外のストラクチャーを標的とすることも有効であることが示された。この手法は、循環する血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体であるベバクジマブ(bevacuzimab)を使用して新血管形成を阻害するのに最も効果的である。この手法は広範囲の悪性腫瘍の治療に有用である可能性がある。
細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD抗体)の好ましい例としては、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガミシンが挙げられる。リツキシマブ/リツキサマブは、商品名マブセラ(Mabthera)としてFホフマン・ラ・ロシュ社から市販されており、またPCT特許明細書第WO94/11026号中に記載されているように得てもよい。トシツモマブは商品名ベキサール(Bexxar)としてグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)社から市販されており、また米国特許明細書第5595721中に記載されるように得てもよい。ゲムツズマブ・オゾガミシンは商品名マイロターグ(Mylotarg)としてワイス・リサーチ(Wyeth Research)社から市販されており、また米国特許明細書第5,877,296号中に記載されているように得てもよい。
生物学的活性:モノクローナル抗体(例えば1種以上の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体)は、適切な抗癌剤として同定されている。抗体は様々なメカニズムを介して効果を奏する。抗体は重要な細胞の増殖因子または受容体を遮断するか、直接アポトーシスを誘導するか、標的細胞に対して結合するか、放射性同位体および毒素のような細胞毒性負荷を送達することができる。
薬量:抗CD抗体は、例えば、体表面の1平方メートルあたり5〜400mg(mg/m2)の用量で投与されてもよく、特にゲムツズマブ・オゾガミシンは、例えば約9mg/体表面m2の用量で投与されてもよく、リツキシマブ/リツキサマブは、例えば4用量で静注として約375mg/m2の用量で週に一度投与されてもよく、トシツモマブの用量は、放射性同位体の適切な送達を確保するため、患者の年齢、体重、性別および症状などの通常の臨床的指標に従って、各患者について個別に量を定めなくてはならない。
これらの用量は、例えば、治療の1過程あたり1回、2回またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
5.カンプトテシン化合物
定義:本明細書で用いる「カンプトテシン化合物」なる語は、カンプトテシンそれ自体、または上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、本明細書において記載されるカンプトテシンのアナログを指す。
技術背景:カンプトテシン化合物は、中国の樹木カンプトテシン・アクミナタ(Camptothecin acuminata)およびインドの樹木クサミズキ(Nothapodytes foetida)に由来する非水溶性アルカロイドである親化合物カンプトテシンに関連または由来する化合物である。カンプトテシンは、DNA合成に対する強力な阻害活性を有しており、様々な実験系において腫瘍細胞増殖に対する高い活性が示されてきた。しかしながら抗癌治療におけるカンプトテシンの臨床用途は、高い毒性により著しく制限され、カンプトテシンの抗腫瘍の効果の有効性を保持しながらその毒性を減少させようと様々なアナログが開発されている。そのようなアナログの例としては、イリノテカンおよびトポテカンが挙げられる。
これらの化合物は、DNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であることが分かっている。トポイソメラーゼは、真核生物細胞のDNAトポロジーを変化させることができる酵素である。トポイソメラーゼは重要な細胞機能および細胞増殖について重大である。真核生物細胞には、2つの類のトポイソメラーゼ(すなわちタイプI、タイプII)がある。トポイソメラーゼIはおよそ100000の分子量を有する単量体酵素である。当該酵素はDNAに結合して一時的な一本鎖切断を導入し、二重らせんをほどき(またはそれをほどくことを可能にし)、続いてDNA鎖から分離する前に切断をふさぐ。
イリノテカン(すなわち、7−エチル−10−(4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ)カルボニルオキシ−(20S)−カンプトテシン)およびその塩酸塩(別名:CPT11)には、向上した有効性、減少された毒性および優れた水溶性が見出されている。イリノテカンは、様々な癌(特に結腸直腸癌)の治療において臨床的有効度を有することが分かっている。他の重要なカンプトテシン化合物は、臨床試験においていくつかの固形腫瘍(特に、卵巣および子宮頸癌ならびに肺小細胞癌、あるいは卵巣癌および非小細胞肺癌)に対する有効性を示すトポテカン(すなわち、(S)−9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシン)である。
例示的な製剤:注射投与用非経口医薬製剤でカンプトテシン化合物を含むものは、0.9%滅菌生理食塩水の10ml中に、カンプトテシン化合物の水溶性塩(例えばEP0321122、特にその中の実施例中に記載されている化合物)100mgを溶解し、次に溶液を滅菌し、溶液を適切な容器に入れることによって調製することができる。
生物学的活性:本発明の組合せのカンプトテシン化合物は、上記のようにDNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であり、様々な癌に対する活性を有している。
先行技術文献:WO01/64194(ヤンセン(Janssen))は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤およびカンプトテシン化合物の組合せを開示している。EP137145(ローヌ・プーラン・ローラー(Rhone Poulenc Rorer)社)は、イリノテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。EP321122(スミスクライン・ビーチャム(SmithKline Beecham)社)は、トポテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。
問題:カンプトテシン化合物はヒトにおいて化学療法剤として広く使用されているが、それらはすべての患者において、またはすべての型の腫瘍に対して治療上効果的なわけではない。したがって腫瘍増殖に対するカンプトテシン化合物の抑制的有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるためにカンプトテシン化合物のより低用量の使用のための手段もまた提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましいカンプトテシン化合物としては、上記のイリノテカンおよびトポテカンが挙げられる。イリノテカンは、例えば商品名「カンプト(Campto)」としてローヌ・プーラン・ローラー社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第137145号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。トポテカンは、例えば、商品名「ハイカムチン(Hycamtin)」としてスミスクライン・ビーチャム社から市販で入手可能であり、例えば欧州特許番号第321122号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。他のカンプトテシン化合物は、例えば、イリノテカンおよびトポテカンについて上記のものと類似した方法によって、従来の方法で調製されてもよい。
具体的な実施形態:一実施形態において、カンプトテシン化合物はイリノテカンである。別の実施形態では、カンプトテシン化合物は、イリノテカン以外のカンプトテシン化合物、例えば、トポテカンなどのカンプトテシン化合物である。
薬量:カンプトテシン化合物は、有利には、治療の1過程あたり、体表面積1平方メートルあたり、0.1〜400mg(mg/m2)、例えば1〜300mg/m2の用量で、特にイリノテカンについては約100〜350mg/m2の用量で、およびトポテカンについては約1〜2mg/m2の用量で投与される。これらの用量は治療の1過程あたり例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、これを毎日あるいは7、14、21または28日ごと、とりわけ7、14、21または28日ごとに繰り返してもよい。
6.代謝拮抗剤
定義:「抗代謝化合物」および「代謝拮抗剤」なる語は同義語として使用され、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、抗代謝化合物または本明細書で記載されるような抗代謝化合物のアナログを定義する。したがって、本明細書において言及される抗代謝化合物(他には代謝拮抗剤として知られる)は、癌細胞の生理現象および増殖に不可欠な代謝プロセスを妨害する抗癌剤の大きなグループを構成する。そのような化合物としては、DNA合成を阻害するヌクレオシド誘導体(ピリミジンヌクレオシドアナログまたはプリンヌクレオシドアナログのいずれか)、およびチミジル酸シンターゼおよび/またはジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤が挙げられる。
技術背景:代謝拮抗剤(または抗代謝化合物)は、癌細胞の生理現象および増殖に不可欠な代謝プロセスを妨害する抗癌剤の大きなグループを構成する。そのような化合物としては、DNA合成を阻害するヌクレオシド誘導体(ピリミジンヌクレオシドアナログまたはプリンヌクレオシドアナログのいずれか)、およびチミジル酸シンターゼおよび/またはジヒドロ葉酸還元酵素酵素の阻害剤が挙げられる。抗腫瘍のヌクレオシド誘導体は長年様々な癌の治療のために使用されてきた。これらの誘導体の最も古くそして最も広く使用されるものの中に5−フルオロウラシル(5−FU)があり、これは結腸直腸腫瘍、乳房腫瘍、肝腫瘍および頭頸部腫瘍のような多数の癌を治療するために使用されている。
5−FUの細胞傷害効果を促進するために、得られるチミジル酸シンターゼ/5−FU複合剤を安定させるため(これによりその阻害が高まる)ロイコボリンが使用されてきた。しかしながら、様々な要因(例えば、腫瘍耐性、胃腸への影響および血液学的影響を含む毒性、静脈内投与の必要性)から、5−FUの使用は制限される。これらの短所を克服するため様々な手法が採用されてきた。当該手法には、全身毒性の減少による、または腫瘍に到達する活性薬物量を増加させることによってのいずれかで5−FUの生体利用率の低さを克服し、さらに5−FUの治療指数を改善させる提案が含まれる。
5−FUを超える良好な治療上の利点を提供するような化合物の1つはカペシタビン(化学名:[1−(5−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−4−ピリミジニル]−カルバミン酸ペンチルエステル)である。カペシタビンは5−FUのプロドラッグであり、経口服用後に十分に吸収され、腫瘍に対する薬理学的活性のある濃度の5−FUを送達する。カペシタビンは5−FUに比べて潜在的に優れた活性を提供することに加えて、長期投与による経口治療にもまた使用することができる。
ゲムシタビンは、化学名が2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−シチジンであり、非小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌および膵臓癌、特に非小細胞肺癌および膵臓癌含む様々な癌の治療において使用されてきたヌクレオシドアナログである。さらなる抗腫瘍ヌクレオシドとしては、シタラビンおよびフルダラビンが挙げられる。化学名が1−β−D−アラビノフラノシルシトシンであるシタラビン(別名:アラ−C)は、急性白血病、慢性骨髄性白血病および赤白血病の治療において有用であることが分かっている。化学名が1−β−D−アラビノフラノシルシトシンであるシタラビン(別名:アラ−C)は、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄性白血病(急性転化期)、急性リンパ性白血病および赤白血病の治療において有用であることが見出されている。フルダラビンは、DNA合成阻害剤であり、化学名が9−β−D−アラビノフラノシル−2−フルオロ−アデニンであり、治療耐性のB細胞慢性リンパ性白血病の治療のために使用される。抗癌性化学療法において使用される他の抗葉酸代謝拮抗剤としては、酵素阻害剤のラルチトレキセド、ペメトレキセドおよびメトトレキサートが挙げられる。ラルチトレキセド(化学名N−[5−[N−[(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)−メチル−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸)は、葉酸系チミジル酸シンターゼ阻害剤であり、進行性結腸直腸癌の治療において使用される。ペメトレキセド(化学名N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸、二ナトリウム塩)は、チミジル酸シンターゼおよびトランスフェラーゼの阻害剤であり、以前に治療された患者における中皮腫および局所的進行性または転移性非小細胞肺癌(SCLC)の治療のために使用される。メトトレキサート(化学名N−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]−エチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸)は、ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害を介してDNA複製を阻害することによって細胞分裂を妨げ、結果として細胞死をもたらす代謝拮抗剤であり、急性リンパ性白血病の治療のために、ならびにさらに乳癌、頭頸部の類表皮癌、肺癌(特に肺扁平上皮癌および小細胞肺癌)および進行期の非ホジキンリンパ腫、特に乳癌、頭頸部の類表皮癌および進行期の非ホジキンリンパ腫の治療において使用される。
生物学的活性:本発明の組合せの抗代謝化合物は、上記のような癌細胞の生理現象および増殖に不可欠な代謝プロセスを妨害し、様々な癌に対する活性を有する。
問題:これらの抗癌剤は多数の副作用(特に骨髄抑制、およびいくつかの症例において悪心および下痢)がある。したがって、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、より低用量での使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のために好ましい抗代謝化合物としては、本明細書において言及される、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビンなどの抗腫瘍のヌクレオシド、ならびにラリトレキセド(ralitrexed)、ペメトレキセドおよびメトトレキサートなどの酵素阻害剤が挙げられる。したがって本発明による使用のために好ましい抗代謝化合物としては、本明細書において言及される、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビンを含む抗腫瘍のヌクレオシド誘導体が挙げられる。本発明による使用のために好ましい他の抗代謝化合物としては、ラリトレキセド、ペメトレキセドおよびメトトレキサートを含む酵素阻害剤が挙げられる。
5−フルオロウラシルは広く市販されているか、または例えば、米国特許明細書第2802005号において記載されているように調製されてもよい。ゲムシタビンは、例えば、商品名ジェムザール(Gemzar)としてイーライ・リリー・アンド・カンパニー社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第122707号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。カペシタビンは、例えば、商品名ゼローダ(Xeloda)としてホフマン・ラ・ロシュ社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第698611号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。シタラビンは、例えば、商品名サイトサール(Cytosar)として、ファルマシア・アンド・アップジョン(Pharmacia and Upjohn)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第3116282号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。フルダラビンは、例えば、商品名フルダラ(Fludara)としてシェーリング社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4357324号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ラリトレキセドは、例えば、商品名トミュデックス(Tomudex)としてアストラゼネカ社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第239632号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ペメトレキセドは、例えば、商品名アリムタ(Alimta)としてイーライ・リリー・アンド・カンパニー社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第432677号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。メトトレキサートは、例えば、商品名メトトレキサート−レダリー(Methotrexate-Lederle)としてレダリー・ラボラトリーズ(Lederle Laboraories)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第2512572号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。本発明の組合せで用いる他の代謝拮抗剤としては、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、2’−デオキシコフォルマイシンおよびヒドロキシウ
レアが挙げられる。
具体的な実施形態:一実施形態では、抗代謝化合物はゲムシタビンである。別の実施形態では、抗代謝化合物は、5−フルオロウラシルまたはフルダラビン以外の抗代謝化合物、例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレキセド、ペメトレキセドまたはメトトレキサートなどの抗代謝化合物である。
薬量:代謝拮抗剤化合物は、上述の要因に応じた用量で投与されることになる。具体的な好ましい代謝拮抗剤の用量の例を具体例として以下に示す。抗腫瘍ヌクレオシドに関して、有利には、体表面積1平方メートルあたり10〜2500mg(mg/m2)、例えば700〜1500mg/m2、特に5−FUについては200〜500mg/m2、ゲムシタビンについては800〜1200mg/m2、カペシタビンについては1000〜1200mg/m2、シタラビンについては100〜200mg/m2、およびフルダラビンについては10〜50mg/m2の1日投与量で投与される。
以下の酵素阻害剤に関して、可能な用量の例を示す。ラルチトレキセドは約3mg/m2の用量で、ペメトレキセドは500mg/m2の用量で、およびメトトレキサートは30〜40mg/m2の用量で投与することができる。
上述の用量は、一般的に治療の1過程あたり例えば1回、2回、それ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
7.ビンカアルカロイド
定義:本明細書で用いる「ビンカアルカロイド」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、ビンカアルカロイド化合物または本明細書において記載されるビンカアルカロイド化合物のアナログを指す。
技術背景:本発明の組合せで用いるビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ(ビンカ・ロセア(Vinca rosea))の抽出物に関連しているか、またはそれらに由来する抗腫瘍のビンカアルカロイドである。これらの化合物の中で、ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、白血病、リンパ腫および精巣癌の治療のために重要な臨床的薬剤であり、ビノレルビンは肺癌および乳癌に対する活性を有する。
生物学的活性:本発明の組合せのうちのビンカアルカロイド化合物は、チューブリン標的化剤であり、様々な癌に対する活性を有する。
問題:ビンカアルカロイドによる治療は著しい毒性を伴う。例えば、ビンブラスチンは、薬剤投与後7〜10日で最下点(ナディア)に達する白血球減少症を引き起こし、その後に7日以内に回復が続いて起こるが、一方ビンクリスチンではいくつかの神経学的な毒性(例えば、肢のしびれおよび震え、深部腱反射の喪失、ならびに遠位四肢筋肉組織の衰弱)を示す。ビノレルビンはある程度の毒性を果粒球減少の形態で有するが、緩やかな血小板減少および他のビンカアルカロイドよりも少ない神経毒性のみがある。したがって、腫瘍増殖に対する抗腫瘍ビンカアルカロイドの抑制的有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、抗腫瘍ビンカアルカロイドのより低用量の使用のための手段もまた提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましい抗腫瘍ビンカアルカロイドとしては、ビンデシン、ビンベシル(vinvesir)、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが挙げられる。本発明による使用のための特に好ましい抗腫瘍ビンカアルカロイドとしては、上述のビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンが挙げられる。ビンブラスチンは、商品名ベルバン(Velban)としてイーライ・リリー社から、例えば、注射用硫酸塩として市販されており、例えば、ドイツ特許明細書第2124023号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ビンクリスチンは、商品名オンコビン(Oncovin)としてイーライ・リリー社から例えば注射用硫酸塩として市販されており、例えば、上記のドイツ特許明細書第2124023号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ビンクリスチンは名称オンコ(Onco)−TCS(登録商標)としてリポソーム製剤としてもまた入手可能である。ビノレルビンは、例えば、商品名ナベルビン(Navelbine)としてグラクソ・ウエルカム(Glaxo Wellcome)社から注射用酒石酸塩として市販されており、例えば、米国特許明細書第4307100号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。他の抗腫瘍のビンカアルカロイドは従来の方法で、例えば、ビノブラスチン(vinoblastine)、ビンクリスチンおよびビノレルビンについて上記のものと類似した方法によって調製されてもよい。
他の好ましいビンカアルカロイドはビンデシンである。ビンデシンはカサランサス(catharanthus)属由来の二量体アルカロイドのビンブラスチンの合成誘導体であり、商品名エルディシン(Eldisine)としてリリー(Lilly)社、および商品名フィルデシン(Fildesin)として塩野義製薬(Shionogi)から入手可能である。ビンデシンの合成の詳細は、リリー社の特許DE2415980(1974年)中に、およびバーネット(C. J. Burnett)ら、ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)21、88(1978年)によって記載されている。
具体的な実施形態:一実施形態においてビンカアルカロイド化合物は、ビノブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンから選ばれる。別の実施形態では、ビンカアルカロイド化合物はビノブラスチンである。
薬量:抗腫瘍のビンカアルカロイドは、有利には、治療の1過程あたり、体表面積1平方メートルあたり2〜30mg(mg/m2)の用量で、特にビンブラスチンについては約3〜12mg/m2の用量で、ビンクリスチンについては約1〜2mg/m2の用量で、およびビノレルビンについては約10〜30mg/m2の用量で投与される。これらの用量は、治療の1過程あたり、例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば1、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
8.タキサン(タキソイド)
定義:本明細書で用いる「タキサン化合物」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくは塩または互変異性体またはそのN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、タキサン化合物または本明細書において記載されるタキサン化合物のアナログを指す。
技術背景:タキサンはタキサン環系を有する化合物の類であり、イチイ(イチイ属(Taxus))樹木の特定の種からの抽出物に関連または由来する。これら化合物は、腫瘍細胞増殖に対する活性を有することが見出され、この類の特定の化合物は病院において様々な癌の治療のために使用されてきた。したがって、例えば、パクリタキセルは、セイヨウイチイ(タクサス・ブレビホリア(Taxus brevifolia))の樹皮から単離されたジテルペンであり、10−アセチルバクシン(acetylbacctin)(イチイ針葉および小枝から得られた前駆物質)からの部分合成、または全合成によって産生することができる、ホールトン(Holton)ら、ジャーナル・オブ・アメリカンケミカルソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)116;1597〜1601(1994年)およびニコラウ(Nicholau)ら、ネイチャー(Nature)367:630(1994年)を参照。パクリタキセルは抗新生物活性を示し、より最近では、パクリタキセルの抗腫瘍の活性は微小管重合の促進に起因することが証明されている(クマール(Kumar N. J.)、バイオロジカルケミストリ−(Biol. Chem.)256:1035〜1041(1981);ロウィンスキー(Rowinsky)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J. Natl. Cancer Inst..)82:1247〜1259(1990年);およびシフ(Schiff)ら、ネイチャー(Nature)277:655〜667(1979年))。パクリタキセルは、臨床試験でいくつかのヒト腫瘍における有効性が現在実証されている(マクガイア(McGuire)ら、アメリカ内科学会誌(Ann.Int.Med.)、111:273〜279(1989年);ホームズ(Holmes)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J. Natl. Cancer Inst.)83:1797〜1805(1991年);コーン(Kohn)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J. Natl. Cancer Inst..)86:18〜24(1994年);およびコーン(Kohn)ら、米国臨床腫瘍学会(American Society for Clinical Oncology、12(1993年))。パクリタキセルは、卵巣癌、乳癌および肺癌の治療のために使用され、特に、例えば卵巣癌およびさらに乳癌の治療のために使用されている。
より最近では、アルブミンと複合体化されたパクリタキセルのナノモル製剤は、パクリタキセルのみと少なくとも同じくらい有効であり、骨髄抑制的ではないことが示されている。(APP;アブラキサン)。パクリタキセルのグルタミン酸とのm複合体(mconjugates)もまた開発中である。
病院で用いられている他のタキサン化合物は、進行性乳癌の治療において特定の有効性を有することが示されてきたドセタキセルである。ドセタキセルは、賦形剤系中でパクリタキセルよりも高い溶解度を示し、したがってこれにより医薬組成物中での扱い易さおよび使い易さが増す。
生物学的活性:本発明の組合せのタキサン化合物はチューブリン標的化剤であり、様々な癌に対する活性を有する。
問題:タキサンの臨床的な使用は、タキサンの使用に関連した副作用を許容できない多くの患者が存在することから、治療指数の幅が狭いことを実証した。したがって、腫瘍増殖に対するタキサン化合物の抑制的有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、タキサン化合物のより低用量の使用のための手段もまた提供する必要がある。水溶液中でのさらに高い溶解度を有するタキサンの開発もまた望ましいだろう。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましいタキサン化合物としては、本明細書において言及されるパクリタキセルアブラキサンまたはドセタキセルが挙げられる。パクリタキセルは、例えばブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から商品名タキソール(Taxol)として市販されており、ドセタキセルは、サノフィ・アベンティス社(以前はローヌ・プーラン・ローラー社)から商品名タキソテール(Taxotere)として市販されている。双方の化合物および他のタキサン化合物は従来の方法、例えば、EP253738、EP253739およびWO92/09589中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
具体的な実施形態:一実施形態において、タキサン化合物はパクリタキセルである。別の実施形態では、タキサン化合物はドセタキセルである。
薬量:タキサン化合物は、有利には、治療の1過程あたり、体表面積1平方メートルあたり50〜400mg(mg/m2)、例えば75〜250mg/m2の用量で、特にパクリタキセルについては約175〜250mg/m2の用量で、およびドセタキセルについては約75〜150mg/m2の用量で投与される。これらの用量は、治療の1過程あたり例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
9.エポチロン
定義:本明細書では「エポチロン」なる語は、パクリタキセルと同様の作用機序を有するが、前臨床モデルにおいて耐タキサン環境中で活性の潜在的利点を有する細胞毒性マクロライドの類を定義するために使用される。エポチロンであるイクサベピロン、パツピロン(patupilone)、BMS−310705、KOS−862およびZK−EPOは癌治療に関する早期臨床試験が行われている。パツピロンによる初期研究では下痢が用量規定的に起こることが示されたが、第1相試験ではエポチロンの用量規定毒性は一般に神経毒性と好中球減少であることが示された。イクサベピロンにより誘導されたニューロパチーはスケジュール依存性である可能性がある。タキサン耐性の転移性乳癌における反応率は比較的低いが、イクサベピロンおよびパツピロンはホルモン耐性の転移性前立腺癌においておよびタキサン耐性の卵巣癌で有望な有効性を示した。
技術背景:エポチロンAおよびエポチロンBはもともと粘液細菌Sorangium cellulosumの抗菌発酵産物として単離された。その後すぐに、これらの薬剤は微小管を安定させ核分裂停止を誘導することが実証された。これらの薬剤の細胞毒性活性はタキサンの細胞毒性活性と同様のメカニズムに依存するが、エポチロンは2つの鍵となる利点を有する。第1に、これらの薬剤は多剤耐性ポンプP−糖タンパク質に対する基質ではない。第2に、これらの薬剤は、産生(細菌起源のために)そして操作の両方が容易である。これらの薬剤の分子およびそれらアナログの完全なまたは部分的な化学合成は、修飾を可能にしてこれらの有効性を増強する(マニ(Mani)ら、抗癌剤(Anticancer Drugs)2004年、15(6):553−8)。いくつかのエポチロンまたはエポチロン誘導体は、細胞株および腫瘍異種移植片に対して効果的であることが示されており、現在臨床試験中である(グッディン(Goodin)ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(J. Clin. Oncol.)2004年、22(10):2015−25)。思いがけない微小管安定化剤の同定源は海産生物であった。ラウリマリド(laulimalide)およびイソラウリマリド(isolaulimalide)は、P−糖タンパク質を発現する細胞株に対してでさえも強いパクリタキセル様活性を有する海産海綿Cacospongia mycofijiensisの天然産物である。両方の点で類似したエルエテロビン(Eluetherobin)はエレウテロビア(Eleutherobia)種の軟質サンゴの産物である。
生物学的活性:微小管の形成は、ヒト細胞中に存在するα−チューブリンおよびβ−チューブリン両方の複数のアイソフォームを備えたヘテロ二量体性α/β−チューブリンサブユニットの重合を伴う。完全な微小管機能は、紡錘体の形成および機能に必要であり、チューブリンサブユニットまたは重合された微小管のいずれかと結合する薬剤で処理された細胞は、紡錘体形成における変化、ならびにアポトーシスの誘導に関連する細胞周期G2/M期での停止を示す。微小管を標的にする化合物は、様々な植物種および海産種による微小管標的性化合物の収斂進化により例示される強力な細胞毒性剤である。現在の臨床開発における3種のエポチロン(エポチロンB、アザ−エポチロンBおよびデゾキシエポチロンB)に関する公開済みの研究は、これらの化合物が細胞培養モデルおよび異種移植片において広範囲の抗腫瘍活性を有するということを示す。さらに、エポチロンは、細胞培養研究においてパクリタキセルより一般に細胞毒性が高く、IC50値は様々な腫瘍細胞株においてナノモル未満または低ナノモル範囲である(ボラグ(Bollag)ら、キャンサーリサーチ(Cancer Res)55:2325−2333、1995年;リー(Lee)ら、クリニカルキャンサーリサーチ(Clin Cancer Res)7:1429−1437、2001年;チヨウ(Chou)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci)米国、95:9642−9647、1998年;ニューマン(Newman)ら、キャンサーケモセラピー・アンド・ファーマコロジー(Cancer Chemother Pharmacol)48:319−326、2001年)。前臨床試験ではまたエポチロンとタキサンとの間で薬剤耐性メカニズムに関して重要な違いが示された。特に、P−糖タンパク質の過剰発現は、細胞培養モデル中のエポチロンB、アザ−エポチロンBおよびデゾキシエポチロンBの細胞毒性に対する影響は少ない。P−糖タンパク質を過剰発現する細胞株でのエポチロンB、アザ−エポチロンBおよびデゾキシエポチロンBの細胞毒性の比較は、デゾキシエポチロンBは最も影響されないが、アザ−エポチロンBはP−糖タンパク質の発現により最も影響を受けるということを示唆する。しかしながら注目すべきことは、P−糖タンパク質を過剰発現する細胞株中でのこれらの化合物のIC50値間の差は、これらの細胞株中でのこれらIC50値とパクリタキセルのIC50値との間の差と比較して小さいということである。タキサンに対する臨床的耐性におけるP−糖タンパク質発現の重要性は依然として不明確であるが、これらの結果は、高レベルのP−糖タンパク質発現に特徴付けられる悪性腫瘍を有する患者ではエポチロンはタキサンより活性がある可能性があることを示唆する。生体内研究では、様々なスケジュールを使用して、パクリタキセル感受性およびパクリタキセル耐性の腫瘍モデルにおいてエポチロンは活性があることが示されている。間欠的に毎日のまたは毎週のスケジュールを使用してマウスに静脈内投与した場合、アザ−エポチロンBは卵巣、結腸、および乳房異種移植において高い活性があり、パクリタキセル耐性の卵巣異種移植片モデル(Pat−7)において治癒をもたらす。特に、パクリタキセルとは異なり、アザ−エポチロンBは臨床前モデルで経口投与された場合に効果的である。この現象は腸粘膜におけるP−糖タンパク質の発現に関連する可能性が高く、その結果エポチロンではなくパクリタキセルの低吸収をもたらす。
問題:エポチロンに関して感覚性ニューロパチーおよび骨髄抑制が文書に記載されている。
好ましい選択肢:現存する構造活性データはエポチロンと微小管との間の相互作用に対するいくつかの洞察を提供する。数グループからの結果によると、C12−13エポキシドにおけるまたはその近傍での修飾が微小管安定化活性に影響を与え得ることを示す(ワートマン(Wartmann)およびアルトマン(Altmann)、カレントメディシナルケミストリー−アンチキャンサーエージェント(Curr Med Chem Anti-Canc Agents)2:123−148、2002年)。例えば、メチル基がエポチロンAのC12位に付加すると、エポチロンBになり、これは生体外チューブリン重合の誘導においてエポチロンAまたはパクリタキセルより約2倍も強力である(コワルスキー(Kowalski)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)272:2534−2541、1997年;ニコラウ(Nicolaou)ら、ネイチャー387:268−272、1997年、アブストラクト428)。さらに、デゾキシエポチロンB(別名:エポチロンDまたはKOS−862)はC12−13エポキシドを欠き、エポチロンAまたはエポチロンBより生体外においてより強力な微小管安定剤であるので、C12−13におけるエポキシドが微小管結合に必要ではないことは明らかである。エポチロンの他の領域を修飾することの効果に関する入手可能なデータは少ない。C9−C12領域を改変させることにより(分子モデリングに基づいて)微小管結合を改善する試みにもかかわらず、この部分における改変は細胞毒性活性の喪失をもたらした。対照的に、エポチロンBのラクトン中の酸素をラクタムで置換(アザ−エポチロンB、別名:BMS−247550)することは、微小管重合活性または細胞毒性を損なわない。様々な他のエポチロンアナログが合成されているが、注目すべきは微小管安定化活性を高めることが常に細胞毒性の増加をもたらすとは限らないということである、これは細胞内蓄積および代謝安定性などの他の変数の重要性のためと推測される(ワートマン(Wartmann)およびアルトマン(Altmann)、カレントメディシナルケミストリー−アンチキャンサーエージェント(Curr Med Chem Anti-Canc Agents)2:123−148、2002年)。実際、デゾキシエポチロンBのC12位のメチル基をプロパノール基で置換することは、白血病細胞株CCRF−CEMに対するデゾキシエポチロンBと同程度に効果的な化合物をもたらすが、P−糖タンパク質を過剰発現するサブ株に対しては活性が著しく少ない(IC50は、デゾキシエポチロンBについて17nmol/Lであり、プロパノール誘導体については167nmol/Lである)(チヨウ(Chou)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci)95:9642−9647、1998年)。自然発生するエポチロンのさらなる修飾(エポチロンBのC−21置換誘導体であるBMS−310705など)は溶解度を改善するために行われている(リー(Lee)ら、米国癌学会会報(Proc Am Assoc Cancer Res)43:a3928、2002年)。
具体的な実施形態:一実施形態では、エポチロン化合物はBMS−247550である。別の実施形態では、エポチロン化合物はデゾキシエポチロンであり、また別の実施形態では、エポチロン化合物はBMS−310705である。
薬量:BMS−247550は、21日ごとに3時間にわたって40mg/m2、または3週ごとに5日間毎日1時間にわたって6mg/m2の量で投与される。単回投与で3週ごとのスケジュールに従う最初の患者18人において粘膜炎および好中球減少が頻発したため、投与量を32mg/m2に減少させた。EPO906は、1試行において毎週2.5mg/m2で3週間その後に1週間の休薬期間、または3週ごとに6mg/m2を一度の用量で投与される。KOS−862は、3週ごとの単回投与、3週ごとに1日量の3倍、3週ごとに一定割合の用量、および1週量を3週間と1週間の休薬期間の投薬計画が行われる。
10.白金化合物
定義:本明細書で用いる「白金化合物」なる語は、白金配位化合物を含む、腫瘍細胞増殖を阻害するいずれの白金化合物も指し、化合物は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、イオン形態の白金および本明細書で記載されるような白金化合物のアナログを提供する。
技術背景:癌の化学療法治療において、シスプラチン(cis−ジアミノジクロロ白金(II))は、様々なヒト固形悪性腫瘍(例えば、精巣癌、卵巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、食道癌、肺癌)の治療において長年結果よく使用されてきた。
より最近では、他のジアミノ−白金錯体(例えば、カルボプラチン(ジアミノ(1,1−シクロブタン−ジカルボキシラト)白金(II))もまた様々なヒト固形悪性腫瘍の治療において化学療法剤としての有効性が示されており、カルボプラチンは卵巣癌および肺小細胞癌の治療、とりわけ卵巣癌の治療について承認されている。さらなる抗腫瘍白金化合物は、化学名が(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト−白金(II)であるオキサリプラチン(L−OHP)(第3世代のジアミノ−シクロヘキサン白金系の細胞毒性薬)である。オキサリプラチンは、シスプラチンと比較して癌の前臨床モデルにおける腎毒性の欠如およびより高い有効性に基づいて、例えば、転移性結腸直腸癌の治療のために使用される。オキサリプラチンは5−FUと組合せて転移性結腸直腸癌の治療に使用され、上部消化管癌の治療に関し研究中である。経口白金誘導体は前立腺癌の治療に関し研究中である。
生物学的活性:本発明の組合せの白金化合物は様々な癌に対する活性を有する。
問題:シスプラチンおよび他の白金化合物はヒトにおける化学療法剤として広く使用されているが、それらはすべての患者においてまたはすべての型の腫瘍に対して治療上効果的なわけではない。さらに、腎臓障害、骨髄抑制およびニューロパチーなどの毒性の問題を引き起こし得る比較的高い投与量レベルでそのような化合物を投与する必要がある。さらに、そして特にシスプラチンでは、当該化合物は、白血球減少、貧血および血小板減少に加えて、様々な程度の悪心および嘔吐を患者にもたらす。したがって有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、より低用量の使用のための手段もまた提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましい白金化合物としては、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンが挙げられる。他の白金化合物としては、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II)、オンナプラチン(onnaplatin)、およびテトラプラチンが挙げられる。シスプラチンは、水、滅菌生理食塩水または他の適切な賦形剤による構成用粉末として、例えば、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から商品名プラチノール(Platinol)として市販されている。シスプラチンは、例えば、カウフマン(G. B. Kauffman)およびコーワン(D. O. Cowan)、「無機合成(Inorg. Synth.)」7、239(1963年)によって記載されるように、またはそれに類似した方法によってもまた調製されてもよい。カルボプラチンは、例えば、商品名パラプラチン(Paraplatin)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4140707号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。オキサリプラチンは、例えば、商品名エロキサチン(Eloxatin)としてサノフィ・サンテラボ(Sanofi-Synthelabo)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4169846号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。他の白金化合物およびそれらの医薬組成物は、市販されており、かつ/または従来の技術によって調製することができる。
具体的な実施形態:一実施形態において、白金化合物は、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II)、オンナプラチン、テトラプラチン、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選ばれる。別の実施形態では、白金化合物はシスプラチン以外の白金化合物、例えば、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II)、オンナプラチン、テトラプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金化合物であり、好ましくはカルボプラチンおよびオキサリプラチンから選ばれる。
薬量:白金配位化合物は、有利には、体表面積1平方メートルあたり1〜500mg(mg/m2)、例えば50〜400mg/m2または500mg/m2(例えば、50〜400mg/m2)、特にシスプラチンについては約75mg/m2の用量で、カルボプラチンについては約300〜500mg/m2(例えば、300mg/m2)の用量で、およびオキサリプラチンについては約50〜100mg/m2の用量で投与される。これらの用量は、治療の1過程あたり例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、例えばそれは7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
11.トポイソメラーゼ2阻害剤
定義:本明細書で用いる「トポイソメラーゼ2阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、トポイソメラーゼ2阻害剤または上記のようなトポイソメラーゼ2阻害剤のアナログを指す。
技術背景:抗癌剤の重要な類は、DNA転写および翻訳の間に蓄積する緊張を解放するために二本鎖切断を誘導する酵素トポイソメラーゼ2の阻害剤からなる。したがってこの酵素の機能を阻害する化合物は、細胞毒性であり抗癌剤として有用である。
開発されており癌化学療法で用いるトポイソメラーゼ2阻害剤の中には、ポドフィロトキシンがある。当該薬剤は、DNAトポイソメラーゼ2との相互作用によるDNA鎖切断の誘導またはフリーラジカルの形成を含む作用機序によって作用する。ポドフィロトキシン(マンドレーク植物から抽出される)は、小児白血病、小細胞肺癌、精巣腫瘍、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫を含むいくつかのヒト新生物において有意な治療上の活性を示す、2つの配糖体が開発されている親化合物である。ポドフィロトキシンは、小児白血病、小細胞肺癌、精巣腫瘍、ホジキン病および大細胞型リンパ腫において活性を有する。これらの誘導体は、化学名が4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]であるエトポシド(VP−16)、および化学名が4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−2−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]であるテニポシド(VM−26)である。
しかしながらエトポシドおよびテニポシドの両方には、特定の毒性の副作用、特に骨髄抑制がある。他の重要な類のトポイソメラーゼ2阻害剤は、重要な抗腫瘍剤であり、グリコシド結合によって結合される希な糖(ダウノサミン)を持ったテトラサイクリン環構造を有することによって特徴づけられる、真菌のストレプトミセスピューティクス変種カエシウス(Streptomyces peuticus var. caesius)から得られる抗生物質およびそれらの誘導体を含むアントラサイクリン誘導体である。これらの化合物の中で、最も広く使用されるものとしては、ダウノルビシン(化学名7−(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−lyxo−へキソシルオキシ(hexosyloxy))−9−アセチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−4−メトキシ−5,12−ナフタセンキノン)、ドキソルビシン(化学名10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシルアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン)およびイダルビシン(ザベドス(登録商標))(化学名9−アセチル−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオン)であるが挙げられる。
ダウノルビシンおよびイダルビシンは主として急性白血病の治療のために使用されてきたが、ドキソルビシンは様々な固形腫瘍(特に乳癌)に対して広く試験されている。癌化学療法において有用である別のアントラサイクリン誘導体はエピルビシンである。エピルビシン(化学名(8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−アラビノ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン)は、肝臓中のウリジン二リン酸−グルクロノシルトランスフェラーゼによるグルクロン酸化に関与する異化代謝経路を有するドキソルビシンアナログであり(ドキソルビシンとは異なり)、これはより短い半減期および減少した心毒性の原因であると考えられる。この化合物は、子宮頸癌、子宮内膜癌、進行性乳癌および膀胱癌を含む様々な癌の治療のために使用されるが、骨髄抑制および心毒性の副作用がある。後者の副作用は、一般的により高蓄積量で深刻な心筋症を示すアントラサイクリン誘導体に典型的である。さらなるタイプのトポイソメラーゼ2阻害剤は、ミトキサントロン(化学名1,4−ジヒドロキシ−5,8−ビス[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル]アミノ]−9,10−アントラセンジオンを有する)によって代表され、多発性硬化症、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、乳房腫瘍、前立腺腫瘍および肝腫瘍の治療のために使用される。他のものとしては、ロソキサントロンおよびアクチノマイシンDが挙げられる(後者の薬剤の別名はダクチノマイシンおよびコスメゲンリオバック(Cosmegen Lyovac)(登録商標))。
ミトキサントロンの投与からの副作用としては、骨髄抑制、悪心、嘔吐、口内炎および脱毛が挙げられる。
生物学的活性:本発明の組合せのトポイソメラーゼ2阻害剤は上記のような様々な癌に対して活性を有する。
問題:上述のように、この類の細胞毒性化合物は副作用に関連している。したがって、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、より低用量の使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましいトポイソメラーゼ2阻害剤化合物としては、本明細書で定義されるような、アントラサイクリン誘導体、ミトキサントロンおよびポドフィロトキシン誘導体が挙げられる。
本発明による使用のための好ましい抗腫瘍アントラサイクリン誘導体としては、上述の、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンが挙げられる。ダウノルビシンは、例えば、商品名セルビジン(Cerubidine)としてベッドフォード・ラボラトリーズ(Bedford Laboratories)からの塩酸塩として市販で入手可能であり、例えば、米国特許明細書第4020270号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。急性骨髄性白血病におけるダウノルビシンの治療指数は、リポソーム(ダウノキソーム(Daunoxome)、ギレアデ(Gilead)/ディアトス(Diatos)社)中に分子を閉じ込めることにより向上され得る。ドキソルビシンは、例えば、商品名アドリアマイシン(Adriamycin)として、ファルマシア・アンド・アップジョン社から市販で入手可能であり、例えば、米国特許明細書第3803124号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ドキソルビシン誘導体は、PEG付加された塩酸ドキソルビシンおよびリポソーム封入ドキソルビシンクエン酸塩を含んでいる。PEG付加された塩酸ドキソルビシンは、商品名カエリクス(Caeylx)としてシェーリング・プラウ・ファーマシューティカルズ(Schering-Plough Pharmaceuticals)社から市販されており、PEG付加されていないリポソーム封入ドキソルビシンクエン酸塩は、例えば商品名ミオセット(Myocet)としてセファロン(Cephalon)社から市販されている。イダルビシンは、例えば、商品名イダマイシン(Idamycin)として、ファルマシア・アンド・アップジョン社から塩酸塩として市販されており、例えば、米国特許明細書第4046878号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。エピルビシンは、例えば、商品名ファルモルビシン(Pharmorubicin)として、ファルマシア・アンド・アップジョン社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4058519号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ミトキサントロンは、例えば、商品名ノバントロン(Novantrone)として、OSI・ファーマシューティカルズ(OSI Pharmaceuticals)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4197249号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
他の抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、従来の方法で、例えば、具体的なアントラサイクリン誘導体について上記したものと類似した方法で調製されてもよい。
本発明による使用のための好ましい抗腫瘍抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体としては、上述のエトポシドおよびテニポシドが挙げられる。エトポシドは、例えば、商品名ベプシド(VePesid)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第111058号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。テニポシドは、例えば、商品名ブモン(Vumon)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から商業上入手可能であるか、または、例えばPCT特許明細書第WO93/02094号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。他の抗腫瘍のポドフィロトキシン誘導体は、従来の方法で、例えば、エトポシドおよびテニポシドについて上記したものと類似した方法によって調製されてもよい。
具体的な実施形態:一実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、アントラサイクリン誘導体、ミトキサントロンまたはポドフィロトキシン誘導体である。別の実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンから選ばれる。さらなる実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤は、エトポシドおよびテニポシドから選ばれる。したがって、好ましい実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤はエトポシドである。別の実施形態では、トポイソメラーゼ2阻害剤はドキソルビシン以外のアントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンなどのトポイソメラーゼ2阻害剤である。
薬量:抗腫瘍のアントラサイクリン誘導体は、有利には、体表面積1平方メートルあたり10〜150mg(mg/m2)、例えば15〜60mg/m2の用量で、特にドキソルビシンについては約40〜75mg/m2の用量で、ダウノルビシンについては約25〜45mg/m2の用量で、イダルビシンについては約10〜15mg/m2の用量で、およびエピルビシンについては約100〜120mg/m2の用量で投与される。
ミトキサントロンは、有利には、短期の静注として約12〜14mg/m2の用量で約21日ごとに投与される。
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、有利には、30〜300mg/m2体表面積、例えば、50〜250mg/mの用量で、特にエトポシドについては約35〜100mg/mの用量で、およびテニポシドについては約50〜250mg/m2の用量で投与される。
上述の用量は、一般的に治療の1過程あたり例えば1回、2回、それ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
12.アルキル化剤
定義:本明細書で用いる「アルキル化剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、アルキル化剤または本明細書で記載されるようなアルキル化剤のアナログを指す。
技術背景:癌化学療法で用いるアルキル化剤は、DNAなどの生物学的に重要な高分子に対して生理学的条件下でアルキル基を提供する能力を持つ、共通する特徴を有する化学物質の多様な群を包含する。ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアなどのより重要な薬剤の大部分では、活性のあるアルキル化部分は、複雑な分解反応(それらのいくつかは酵素的である)後に生体内で生成される。アルキル化剤の最も重要な薬理作用は、細胞増殖(特にDNA合成および細胞分裂)に関係する基本的機構を妨害するものである。急速に増殖する組織におけるDNAの機能および全体性を妨害するアルキル化剤の能力は、治療上の適用および多くの有毒性についての基礎を提供する。したがって類としてのアルキル化剤は、抗腫瘍の活性について研究されており、当該化合物の特定のものは広く抗癌治療で使用されてきたが、それらは共通して骨髄成分に対して用量規定毒性をもたらし、より少ない程度であるが腸粘膜に対して用量規定毒性をもたらす傾向がある。
アルキル化剤の中で、ナイトロジェンマスタードは、ビス−(2−クロロエチル)系列の存在によって特徴づけられ、シクロホスファミド(化学名2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリンオキサイド)およびクロラムブシル(化学名4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−ベンゼンブトイック(benzenebutoic)酸)を含む、抗腫瘍の化合物の重要なグループを代表する。シクロホスファミドは、広範囲の臨床活性を有しており、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、バーキットリンパ腫および乳癌に関する多くの効果的な組合せ薬物の構成要素として使用される。シクロホスファミドはまた、悪性リンパ腫に関する組合せの構成要素として使用されている。
イホスファミド(Ifosfamide)(別名:イホスファミド(ifosphamide))は、シクロホスファミドの構造的アナログであり、その作用機序は同一であると推測される。イホスファミドは化学名が3−(2−クロロエチル)−2−[(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−オキサイドであり、子宮頸癌、肉腫および精巣癌の治療に対して使用されるが、重度の尿毒性効果がある可能性がある。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病および非ホジキンリンパ腫に関して使用されている。クロラムブシルはまた、CLLおよび悪性リンパ腫(リンパ肉腫を含む)の治療に関して使用されている。
別の重要な類のアルキル化剤は、2−クロロエチルカルボニウムイオンの形成により自発的な非酵素的分解を行う能力によって特徴づけられるニトロソウレアである。そのようなニトロソウレア化合物の例としては、カルムスチン(BiCNU(登録商標)またはBCNU)(化学名1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素)およびロムスチン(CCNU)(化学名1−(2−クロロエチル)シクロヘキシル−1−ニトロソ尿素)が挙げられる。カルムスチンおよびロムスチンはそれぞれ脳腫瘍および消化管新生物の治療における重要な治療上の役割を有するが、それらの治癒的価値を限定する深刻で累積的な骨髄抑制を引き起こす。
別の類のアルキル化剤は、化学名が1,4−ブタンジオールジメタンスルフォナートであり、慢性の骨髄由来性(骨髄性、骨髄球性または顆粒球性)白血病の治療のために使用される化合物のブスルファンによって代表されるビス−アルカンスルホネート基を有する二官能性アルキル化剤によって代表される。しかしながらそれは、重症の骨髄機能不全を誘導し、重篤な汎血球減少症を結果として生じ得る。この特性は、血液幹細胞移植に先立つ調整剤としての広範囲の使用につながっている。
別の類のアルキル化剤は、DNAに結合することにより架橋ならびにDNAの合成および機能の阻害を引き起こす抗腫瘍薬剤として作用する、含窒素3員環を含むアジリジン化合物である。そのような薬剤の一例は、ストレプトマイセス・カエスピトーサス(Streptomyces caespitosus)から単離され、化学名が7−アミノ−9α−メトキシマイトサンである抗生物質であるマイトマイシンである。
マイトマイシンは、胃腺癌、膵臓腺癌、結腸腺癌および乳腺腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、ならびに放射線との組合せで頭頸部癌を治療するために使用され、副作用としては骨髄抑制、腎毒性、間質性肺臓炎、悪心および嘔吐が挙げられる。
生物学的活性:本発明と組合せるアルキル化剤の最も重要な薬理作用の1つは、上記に本明細書で定義されるように、細胞増殖に関する基本的機構を妨害する能力である。急速に増殖する組織におけるDNAの機能および全体性を妨害するこの能力は、様々な癌に対する治療上の適用のための基礎を提供する。
問題:上述のように、この類の細胞毒性化合物は副作用と関連している。したがって、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、より低用量の使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のために好ましいアルキル化剤としては、上述のナイトロジェンマスタード化合物であるシクロホスファミド、イホスファミドおよびクロラムブシル、ならびにニトロソウレア化合物であるカルムスチンおよびロムスチンが挙げられる。本発明による使用のための好ましいナイトロジェンマスタード化合物としては、上述のシクロホスファミド、イホスファミドおよびクロラムブシルが挙げられる。シクロホスファミドは、例えば、商品名サイトキサン(Cytoxan)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、例えば英国特許明細書第1235022号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。クロラムブシルは、例えば、商品名リューケラン(Leukeran)としてグラクソ・スミスクライン社から市販されており、例えば、米国特許明細書第3046301号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。イホスファミドは、例えば、商品名ミトキサナ(Mitoxana)としてバクスター・オンコロジー(Baxter Oncology)社から市販されており、例えば、米国特許明細書第3732340号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。本発明による使用のために好ましいニトロソウレア化合物としては、上述のカルムスチンおよびロムスチンが挙げられる。カルムスチンは、例えば、商品名ビックヌー(BiCNU)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、例えば、欧州特許明細書第902015号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ロムスチンは、例えば、商品名シーヌー(CeeNU)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、例えば、米国特許明細書第4377687号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ブスルファンは、例えば、商品名ミレラン(Myleran)としてグラクソ・スミスクライン社から市販されており、例えば、米国特許明細書第2917432号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。マイトマイシンは、例えば、商品名ムタマイシン(Mutamycin)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されている。他のものとしては、エストラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、ビスクロロエチルニトロスウレア(bischloroethylnitrosurea)、シクロヘキシルクロロエチルニトロスウレア(cyclohexylchloroethylnitrosurea)、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロスウレア(methylcyclohexylchloroethylnitrosurea)、ニムスチン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾリマイド(temozolimide)およびチオテパが挙げられる。
具体的な実施形態:一実施形態では、アルキル化剤は、シクロホスファミド、イホスファミドおよびクロラムブシルから選択されるナイトロジェンマスタード化合物である。別の実施形態では、アルキル化剤はカルムスチンおよびロムスチンから選択されるニトロスウレア(nitrosurea)である。さらなるアルキル化剤としてはブスルファンが挙げられる。一実施形態では、アルキル化剤は、上記で本明細書で定義されるように、マイトマイシンCまたはシクロホスファミド以外のものである。
薬量:ナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレアのアルキル化剤は、有利には、体表面積1平方メートルあたり100〜9000、例えば100〜2500mg(mg/m2)、例えば100〜5000、100〜2500または120〜500mg/m2の用量で、特にシクロホスファミドについては約100〜5000、例えば100〜500mg/m2の用量で、イホスファミドについては500〜9000mg/m2、例えば500〜2500mg/m2の用量で、クロラムブシルについては約0.1〜0.2mg/kgの用量で、カルムスチンについては約150〜200mg/m2の用量で、およびロムスチンについては約100〜150mg/m2の用量で投与される。ブスルファンなどのビス−アルカンスルホネート化合物については、典型的な用量は1〜2mg/m2(例えば、約1.8mg/m2)であってもよい。
マイトマイシンのようなアジリジンアルキル化剤は、例えば15〜25mg/m2、好ましくは約20mg/m2の用量で投与することができる。
上述の用量は、治療の1過程あたり例えば1回、2回、それ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
13.本発明による使用のためのシグナル伝達阻害剤
定義:本明細書で用いる「シグナル伝達阻害剤」(または「シグナル変換阻害剤」)なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、シグナル伝達阻害剤または本明細書で記載されるようなシグナル伝達阻害剤のアナログを指す。
技術背景:悪性腫瘍は、制御されない細胞増殖の結果である。細胞増殖は、増殖促進因子と増殖抑制因子との間での微妙なバランスによって制御される。正常組織において、これらの因子の産生および活性は、器官の正常な全体性および機能を維持するような、制御および調節された形で増殖する分化細胞をもたらす。悪性細胞はこの制御を回避し、自然なバランスは妨害され(様々なメカニズムによる)、無秩序で異常な細胞増殖が生じる。
増殖を促す1つの原動力は表皮増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)は、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌を含む多くのヒト固形腫瘍の発生および進行に関連付けられている。EGFRは4つの受容体、すなわちEGFR(HERlまたはErbl)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)からなるファミリーのメンバーである。これらの受容体は細胞膜に存在する巨大タンパク質であり、それぞれ特異的な外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびチロシンキナーゼ酵素活性がある内部ドメインを有する。EGFがEGFRに結合すると、チロシンキナーゼを活性化し、細胞を増殖させ分裂させる反応を引き起こす。EGFRは多くのタイプの癌細胞の表面で異常に高いレベルで見られ、前記癌細胞はEGFの存在下で過度に分裂する可能性がある。EGFR活性の阻害はしたがって癌の治療における化学療法研究の標的となっている。そのような阻害は、例えば、抗体の使用またはその後のチロシンキナーゼ活性の阻害によって細胞表面上の標的EGFRに対する直接的な干渉によって果たすことができる。
EGRFを標的とする抗体の例としては、モノクローナル抗体であるトラスツズマブおよびセツキシマブが挙げられる。原発性乳腺癌におけるヒト表皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は、特定の患者についての臨床予後の悪さと相関することが示されてきた。トラスツズマブは、HER2受容体の細胞外ドメインに高親和性および高特異性で結合し、高度に精製された、組換DNAに由来するヒト化IgG1カッパモノクローナル抗体である。生体外および生体内の前臨床試験から、トラスツズマブ単独の投与またはパクリタキセルもしくはカルボプラチンとの組合せにおける投与は、HER2遺伝子産物を過剰発現する乳房腫瘍に由来する細胞株の増殖を著しく阻害することが示されてきた。臨床試験では、トラスツズマブは乳癌の治療において臨床活性を有することが示されてきた。トラスツズマブの最も一般的な副作用は、発熱および悪寒、疼痛、衰弱、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、呼吸困難、鼻炎および不眠症である。特に厄介なことは、大多数の患者における可逆的心筋症の発症である。トラスツズマブは、HER2タンパク質の過剰発現を示す初期および転移性乳癌、特に転移性乳癌の治療に関して承認されている。
セツキシマブは、イロテカン(irotecan)治療耐性の結腸直腸癌(CRC)の治療、および放射線療法と組合せて頭頸部癌の治療に使用されてきた。セツキシマブは、転移性膵臓癌および非小細胞肺癌を含む様々な他の癌の治療に使用される単一薬剤および他の薬剤との組合せの両方としてもまた評価されている。セツキシマブの投与は、呼吸困難および低血圧を含む深刻な副作用を引き起こし得る。
本発明の組合せで用いる他の適切なモノクローナル抗体はパニツムマブである。アムジェン(Amgen)社(もとはイミュネックス・アンド・アブジェニクス)社は(腎臓癌、非小細胞肺癌の単独療法、およびCRCでは一次治療として標準的な化学療法との組合せ、進行性CRCでは三次治療として、特に転移性結腸直腸癌(MCC)を治療するためそして標準的な化学療法が上手くいかなかった患者においてなどの癌治療の可能性に関連して)パニツムマブ(ABX−EGF)(EGFレセプターに対する完全ヒトモノクローナル抗体)を開発している。したがって、ABX−EGFは、癌治療のため単独療法として投与できまた独立した手法を補完するため化学療法および放射線療法と共に投与することができる。
ABX−EGFは、ヒトEGFRに対する完全ヒト化IgG2モノクローナル抗体である。ABX−EGFなどの完全ヒトモノクローナル抗体は、キメラ抗体(多量のマウスタンパク質を含む)に比べいくつかの利点を有する。該抗体はヒト抗マウス抗体(HAMA)を生ぜず、従って患者における過敏性反応を誘導する危険性は減少し、抗体は増加した生体内寿命を示すであろう。そのような検討は長期投与にとって重要であり得る。
前記抗体はWO98/50433に記載されているように、およびそれと類似した方法で調製することができる。
パニツムマブは、静注により0.01〜5.0mg/kgの範囲の用量で週に一度、6.0mg/kgで2週ごとに一度、または9.0mg/kgで3週ごとに一度投与されてもよい。
結腸直腸癌患者における三次単独療法としてパニツムマブを試験する極めて重要な第3相試験において、患者は2週ごとにパニツムマブを投与された。
ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤であるティピファニブ(tipifarnib)はrasに仲介される経路を通るシグナル伝達を防ぎ、骨髄性白血病の治療に関して研究中である。
EGRFチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブおよびエルロチニブが挙げられる。ゲフィチニブ(化学名4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン)は、非小細胞肺癌の治療のために使用される。ゲフィチニブはまた、EGF受容体を過剰発現する乳癌および結腸直腸癌などの他の固形腫瘍のに関して研究されている。ゲフィチニブを投与された患者が、間質性肺疾患および目の炎症を発症する可能性があることが見出されている。エルロチニブ(化学名N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンを有する)も非小細胞肺癌の治療のために使用され、膵臓癌などの様々な他の固形腫瘍の治療のために開発されており、最も一般的な副作用は、発疹、食欲不振および疲労であり、報告されているさらに深刻な副作用は間質性肺疾患である。
抗癌性研究の標的として注目される別の増殖因子は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは、創傷治癒、網膜症、乾癬、炎症性障害、腫瘍増殖および転移を含む血管新生の過程の間の血管形成の鍵となる調節因子である。VEGFの過剰発現がヒト悪性疾患における浸潤および転移に強く関連していることが、研究から示されてきた。
細胞の表面上のVEGF抗原を標的とする抗体の一例としては、VEGFに結合して阻害する組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体であるモノクローナル抗体ベバシズマブである。ベバシズマブは、化学療法剤(例えば、5−フルオロウラシル)との組合せで結腸直腸癌の治療のために使用されてきた。ベバシズマブは、転移性乳癌、転移性非小細胞肺癌および腎細胞癌などの他の固形腫瘍に対して見込みのある治療として開発されている。ベバシズマブに関連する最も重篤な有害事象としては、胃腸穿孔、高血圧性クリーゼ、ネフローゼ症候群およびうっ血性心不全が挙げられる。この成長因子により開始されるシグナル伝達カスケード中の別の場所においてVEGFの作用を標的とする開発中の他の治療薬としては、スーゲン/ファイザー社によりスーテントの商品名で市販され、VEGF受容体のキナーゼ活性を阻害するスニチニブが挙げられる。スーテントは、消化管間質性腫瘍における第三相試験において有効性を示し、かつ腎癌の治療に関して規制認可を受けている。
腫瘍発生に重要な他の増殖因子は、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)によってシグナル伝達し、成長、増殖および分化を含む様々な細胞機能を刺激するペプチド増殖因子のファミリーを含む血小板由来増殖因子(PDGF)である。PDGF発現はグリア芽腫および前立腺癌を含む多くの異なった固形腫瘍で実証されている。チロシンキナーゼ阻害剤イマチニブメシレート(化学名4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミドメタンスルフォネート)は、Bcr−Abl癌タンパク質および細胞表面チロシンキナーゼ受容体c−Kitの活性を遮断し、それ自身、慢性骨髄性白血病と消化管間質性腫瘍の治療のために承認されている。イマチニブメシレートはまたPDGFRキナーゼの強力な阻害剤であり、慢性骨髄単球性白血病と多形性グリア芽腫においてPDGFR中での活性化変異の証拠に基づいて、慢性骨髄単球性白血病と多形性グリア芽腫の治療のために現在評価されている。最も頻繁に報告される当該薬物に関連する有害事象は、浮腫、悪心、嘔吐、痙攣および筋腱系疼痛であった。
癌化学療法のためのさらなる増殖因子の標的は、細胞増殖を引き起こす生体の連鎖的な化学反応において鍵となる酵素であるRafの阻害である。この経路の異常な活性化は、メラノーマの2/3を含む大部分の癌の進行における共通因子である。Rafキナーゼの作用の遮断によって、これらの腫瘍の進行を覆すことは可能かもしれない。そのような阻害剤の1つは、化学名が4−(4−(3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミドであるソラフェニブ(別名:BAY43−9006およびネクサバール)である。ソラフェニブは、細胞増殖を阻害するためにRafシグナル伝達経路、および腫瘍血管新生を阻害するためにVEGFR/PDGFRシグナル伝達カスケードの両方を標的とする。RafキナーゼはRas経路の特異的酵素である。Ras遺伝子中の変異は、膵臓癌の90%、結腸癌の50%および非小細胞肺癌の30%を含む、すべてのヒト癌のおよそ20%において生じる。ソラフェニブは、肝臓癌および腎臓癌を含む多数の癌の治療に関して研究されている。ソラフェニブの最も一般的な副作用は、疼痛、腫れおよび手および/または足の発赤ならびにさらに発疹、疲労および下痢である。
生物学的活性:本発明の組合せのシグナル伝達阻害剤は、上記のような細胞シグナル伝達タンパク質の特異的な阻害剤であり、様々な癌に対して活性を有する。シグナル伝達阻害剤と式Iの化合物の組合せは、多くの型の癌の治療および診断に有用であり得る。シグナル伝達阻害剤(例えば、イレッサ(Iressa)、アバスチン(Avastin)またはハーセプチン(herceptin)またはグリベック(Gleevec)(登録商標))などの分子的に標的化された薬剤との組合せは、EGF受容体、VEGF受容体、ErbB2、BCRabl、c−kit、PDGFなどの関連する分子標的が発現または活性化された癌に関して特に適用される可能性がある。当業者に公知の技術、およびRT−PCRおよびFISHなどの本明細書において記載される技術を使用して、そのような腫瘍の診断を行なうことができる。
問題:腫瘍増殖に対するシグナル伝達阻害剤の抑制性の有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、シグナル伝達阻害剤のより低用量の使用のための手段もまた提供する必要がある。
好ましい選択肢:本発明による使用のための好ましいシグナル伝達阻害剤としては、本明細書において言及される、モノクローナル抗体であるトラスツズマブおよびセツキシマブなどのEGFR標的化抗体、ゲフィチニブおよびエルロチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、パンツマブ(pantumab)およびベバシズマブなどのVEGF標的化抗体、メシル酸イマチニブなどのPDGFR阻害剤、ならびにソラフェニブなどのRaf阻害剤が挙げられる。
好ましいEGFR標的化抗体としては、モノクローナル抗体であるトラスツズマブおよびセツキシマブが挙げられる。トラスツズマブは、商品名ハーセプチンとしてジェネンテック(Genentech)社から市販されており、また米国特許明細書第5821337号に記載されているように得てもよい。セツキシマブは、商品名エルビタックス(Erbitux)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市販されており、またPCT特許明細書第WO96/40210号に記載されているように得てもよい。
好ましいEGFRチロシンキナーゼ阻害剤としては、ゲフィチニブおよびエルロチニブが挙げられる。ゲフィチニブは、商品名イレッサとしてアストラゼネカ社から市販されており、またPCT特許明細書第WO96/33980号に記載されているように得てもよい。エルロチニブは、商品名タルセバ(Tarceva)としてジェネンテック/ロシュ社から市販されており、またPCT特許明細書第WO96/30347号に記載されているように得てもよい。
好ましいVEGF標的化抗体はベバシズマブであり、商品名アバスチンとしてジェネンテック社から市販されており、またPCT特許明細書第WO94/10202号に記載されているように得てもよい。
ソラフェニブおよびスニチニブもまた好ましい。
好ましいPDGFR阻害剤はメシル酸イマチニブであり、商品名グリベック(Gleevec)(登録商標)(別名:グリベック(Glivec)(登録商標))としてノバルティス社から市販されており、また欧州特許明細書第564409号に記載されているように得てもよい。
好ましいRaf阻害剤はソラフェニブであり、バイエル(Bayer)社から市販されており、またPCT特許明細書第WO00/42012号に記載されているように得られてもよい。
具体的な実施形態:一実施形態では、シグナル伝達阻害剤はゲフィチニブ(イレッサ)である。別の実施形態では、シグナル伝達阻害剤は、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブおよびソラフェニブから選ばれる。
本発明のさらなる組合せとしては、次のシグナル伝達阻害剤が挙げられる:ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ(vatalinib)およびCHIR−258、特にダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブおよびバタリニブ(vatalinib)。
BMSはダサチニブ(スプライセル(Sprycel)またはBMS−354825)(経口多重標的キナーゼ阻害剤)を慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ芽球性白血病(ALL)および固形腫瘍の1日に2回投与する治療の可能性に関して開発している。該薬物はまた、多発性骨髄腫(MM)および他の血液悪性腫瘍に関して調査中である。ダサタニブ(Dasatanib)は、Ph+CMLおよびAMLにおいて50〜90mgで1日に2回投与する臨床試験、そしてまたイマチニブ耐性患者において効果的であることが証明された。血小板減少と好中球減少はダサチニブの臨床評価中で観察される副作用であった。
Src/Ablキナーゼ阻害剤であるダサチニブの構造は下記のとおりである。
ダサチニブはWO00/062778、WO2005/076990およびWO2005/077945に記載の方法またはそれらと類似した方法で調製することができる。
ノバルティス社は、白血病の治療の可能性に関して、ニロチニブ(AMN−107)(BCR−ABL、c−kitおよびPDGFを標的とする経口投与可能なシグナル伝達阻害剤)を開発している。該化合物は、慢性骨髄性白血病(CML)ならびに再発性または治療抵抗性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、全身性肥満細胞症または慢性好酸球性白血病(高好酸球症候群)、治療抵抗性消化管間質性腫瘍(GIST)に関して研究されている。有害事象としては、血液学的有害事象、頭痛、疲れ、筋痙縮および悪心嘔吐が挙げられる。初期の臨床研究において、1日2回の投与で約400mgの用量が、CML、AMLおよびALLを治療するのに効果的であることが証明された。
ニロチニブの構造を下記に示す。WO2004/005281およびWO2005/049032に記載の方法またはそれらと類似した方法で調製することができる。
バタラニブ(Vatalanib)(PTK787/ZK222584)は、結腸直腸癌の治療の可能性に関してノバルティス(かつてはチバ・ガイギー)社およびシェーリング社により開発中であるVEGF受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤である。該化合物は、転移性結腸直腸癌(未治療および前治療された転移性結腸直腸癌患者)の第一および第二選択薬として、結腸直腸癌に関して試験に入った。シェーリング社およびノバルティス社はまた、他の固形腫瘍、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)(再発しているまたは一次治療に治療抵抗性のIIIb/IV期の疾患を有する患者における二次治療単独療法として)、腎細胞癌および膠芽腫、ならびに可能性として前立腺癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌および肺小細胞癌においてバタラニブを研究している。さらに、バタラニブはまた、加齢黄斑変性症(AMD)に関して研究されている。バタラニブは、臨床研究において毎日1250mgまでの投与量で判定されている。有害事象としては、悪心/嘔吐、疲れ、運動失調、倦怠、高血圧、頭痛、めまい、下痢、高血圧に加えて意識喪失および神経毒性が挙げられる。
バタラニブ(構造を下記に示す)は、WO98/35958に記載の方法またはそれと類似した方法で調製することができる。
トシル酸ラパチニブ(lapatinib ditosylate)(タイカーブ(Tykerb)またはGW2016/572016)(ErbB2およびEGFRのデュアルチロシンキナーゼ阻害剤)は、固形腫瘍の治療の可能性に関してグラクソ・スミスクライン(GSK)社により開発されている。
トシル酸ラパチニブは、乳癌、肺癌、胃癌、膀胱癌および頭頸部癌、特に、腫瘍がHER−2を発現する治療抵抗性、進行性または転移性乳癌を有し、以前に単一薬剤としてそしてカぺシタビンおよびパクリタキセルを含む他の療法剤との組合せで効果の無かった患者の治療に関してを含む様々な腫瘍に関して研究中である。該化合物はまた、腎細胞癌、進行性および転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に関してならびに乳癌に関連した脳転移の治療において試験に入った。初期の臨床評価において、ラパチニブは、500〜1500mgの範囲にわたる用量で1日2回および1日1回のスケジュールで、および750〜1250mgの用量で1日2回投与で評価されている。副作用としては、胃腸のガス症状、発疹、頭痛および肝機能検査異常が挙げられる。
キナゾリン化合物、および二トシル酸塩、無水物または水和物形態(例えば、下記に示した構造のもの(ラパチニブ))は、WO00/202552およびWO99/35146に記載の方法またはそれと類似した方法を用いて合成することができる。
バンデタニブ(vandetanib)(ZD−6474、ザクティマ(zactima)、かつてはAZD−6474)は、甲状腺、肺、乳房、頭頸部、脳(すなわちグリオーマ)および多発性骨髄腫を含む固形および血液腫瘍の1日1回の経口治療の可能性に関してアストラゼネカ社により開発中である。バンデタニブは、EGFおよびRET受容体チロシンキナーゼに対する活性も有する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼの一連の阻害剤のうちの1つである。臨床研究では、単独療法としておよび併用療法において、1日に100〜300mgの範囲でバンデタニブの用量を研究している。観察される一般的な副作用は、発疹、疲れ、悪心、下痢、無症性の補正QT間隔の延長であった。
ZD−6474は、WO01/32651に記載の方法またはそれと類似した方法で調製することができる。
CHIR−258(GFKI−258、構造を示す)は、様々な種類の癌の経口治療の可能性がある、強力なVEGF、FGFおよびPDGF受容体キナーゼ阻害剤である。ノバルティス社(かつてはカイロン(Chiron)社)は、急性骨髄性白血病(AML)患者および多発性骨髄腫(MM)における研究を開始した。
CHIR−258は、WO02/22598およびWO2005/046590に記載の方法またはそれと類似した方法で調製することができる。
本発明の組合せで用いる別の適切なシグナル伝達阻害剤はアキシチニブ(axitinib)(AG−013736)である。ファイザー社は、癌の治療の可能性に関する抗血管形成剤として、ファイザー社の完全所有子会社であるアグロン・ファーマシューティカルズ社により発見されたVEGF、PDGFおよびCSF−1受容体チロシンキナーゼの経口阻害剤であるアキシチニブ(AG−13736、AG−013736)を開発している。アキシチニブは、乳癌、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、メラノーマおよび癌腫に関して研究されている。該化合物はまた、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(MDS)の治療に関して調査されている。
アキシチニブは、WO2004/087152、WO2006/048746およびWO2006/048745に記載の方法またはそれと類似した方法で調製することができる。アキシチニブは1日2回5mgで経口投与される。
薬量:EGFR抗体に関して、当該抗体は一般的に体表面積1平方メートルあたり1〜500mg(mg/m2)の用量で投与され、トラスツズマブは有利には1〜5mg/m2体表面積、特に2〜4mg/m2の用量で投与され、セツキスマブ(cetuxumab)は有利には約200〜400mg/m2、好ましくは約250mg/m2の用量で投与される。
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に関して、当該阻害剤は一般的に100〜500mgの一日経口投与量で投与され、例えばゲフィチニブは約250mgの用量で、およびエルロチニブは約150mgの用量で投与される。
VEGFモノクローナル抗体ベバシズマブに関して、これは一般的に約1〜10mg/kg、例えば約5mg/kgの用量で投与される。
PDGF阻害剤であるイマチニブに関して、これは一般的に1日あたり約400〜800mg、好ましくは1日あたり約400mgの用量で投与される。
Raf阻害剤であるソラフェニブに関して、これは1日800mgの用量で投与される。
これらの用量は、治療の1過程あたり、例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
PKA/PKB阻害剤およびPKB経路阻害剤
本発明の組合せで用いる別の好ましい類のシグナル伝達阻害剤は、PKA/PKB阻害剤およびPKB経路阻害剤である。
PKB経路阻害剤は、PKBの活性化(キナーゼ自体の活性)を阻害するか、または下流の標的を修飾し、経路の増殖効果および細胞生存効果を遮断するものである。経路における標的酵素としては、フォスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、哺乳類のラパマイシン標的タンパク質(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼならびにフォークヘッド転座因子が挙げられる。PI3−キナーゼ/PKB/PTEN経路のうちのいくつかの構成要素は腫瘍形成に関係する。増殖因子受容体チロシンキナーゼに加えて、インテグリン依存性細胞接着およびGタンパク質共役受容体は、アダプター分子を介してPI3−キナーゼを直接的および間接的に活性化する。PTEN(p53に次いで癌において最も一般的には変異する腫瘍抑制遺伝子)の機能喪失、PI3−キナーゼにおける腫瘍形成性変異、PI3−キナーゼの増幅、およびPKBの過剰発現は、多くの悪性腫瘍で実証されている。さらに、インスリン様増殖因子受容体の刺激によるPI3−キナーゼ/PKB経路を介する持続的なシグナリングは、表皮増殖因子受容体阻害剤に対する耐性メカニズムである。
広範囲にわたるヒト腫瘍においてp110αをコードする遺伝子中のランダムでない体細胞変異が見出されたことから、変異したPI3−キナーゼ酵素に関する腫瘍形成性の役割が示唆される(サミュエルズ(Samuels)ら、サイエンス(Science)、304 554、2004年4月)。それ以来、p110αにおける変異は次のヒト腫瘍で検出されている:結腸癌(32%)、肝細胞癌(36%)ならびに子宮内膜(endometroid)癌および明細胞癌(20%)。p110αは現在乳房腫瘍(25〜40%)において最も一般的に変異している遺伝子である。フォークヘッドファミリーの転座がしばしば急性白血病で生じる。
そのような薬剤が増殖を阻害し癌細胞における細胞毒性剤に対する耐性を克服する可能性があると予想されるので、PI3−キナーゼ/PKB/PTEN経路はこのように抗癌剤の開発のための魅力的な標的である。
PKB経路阻害剤の例としては、セマフォア(Semaphore)などのPI3K阻害剤、SF1126、およびラパマイシンアナログなどのMTOR阻害剤が挙げられる。ノバルティス社からのRAD001(エベロリムス)は、化合物ラパマイシンの経口投与可能な誘導体である。該化合物は、免疫抑制剤および抗癌剤としての適用がある抗増殖性の薬物として開発されている新規なマクロリドである。RAD001は、細胞内受容体タンパク質(FKBP−12)に対する高親和性を介して増殖因子依存性細胞増殖に対する活性を発揮する。結果として生じるFKBP−12/RAD001複合体は、次にmTORと結合して、下流のシグナル伝達事象を阻害する。該化合物は、現在様々な腫瘍学的徴候に対して臨床開発の最中である。ワイス・ファーマシューティカルズ(Wyeth Pharmaceuticals)からのCCI 779(テムシロレムス(temsirolemus))およびアリアド・ファーマシューティカルズ(Ariad Pharmaceuticals)からのAP23573もまたラパマイシンアナログである。アリアド・ファーマシューティカルからのAP23841およびAP23573もmTORを標的とする。ハーバード(Harvard)からのカルモデュリン阻害剤は、フォークヘッド転座阻害剤である(Nature Reviews drug discovery、抗癌剤探索のためのPI3K/AKT経路の利用(Exploiting the PI3K/AKT Pathway for Cancer Drug Discovery)、へネシー(Bryan T. Hennessy),スミス(Debra L.Smith)、ラム(Prahlad T.Ram)、ルー(Yiling Lu)およびミルズ(Gordon B.Mills)、2005年12月、第4巻;988〜1004ページ)。
定義:「PKA/PKB阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、プロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)の抑制活性または修飾活性を有する化合物を定義するために本明細書で用いる。
「PKB経路阻害剤」なる語は、PKBの活性化(キナーゼそれ自体の活性)を阻害するかまたは下流の標的を修飾(経路の増殖効果および細胞生存効果を遮断)する化合物を定義するために本明細書で用いる(フォスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、哺乳類のラパマイシン標的タンパク質(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼならびにフォークヘッドの転座を含む本明細書で記載されるようなこの経路中の1種以上の標的酵素を含む)。
技術背景:KRX−0401(ペリフォシン(Perifosine)/NSC639966)は、主として細胞膜に標的化されるシグナル伝達経路で作用する(PKBリン酸化の阻害を含む)、合成の置換ヘテロ環アルキルフォスフォコリンである。KRX−0401は、可能性のある経口抗癌剤として第1相試験において評価されている。用量規定毒性は、悪心、嘔吐および疲労を含んでいた。胃腸毒性はより高用量で増加した。治療耐性の肉腫における第II相試験が計画されている。
API−2/TCNは、腫瘍細胞におけるPKBシグナル経路の低分子阻害剤である。API−2/TCNの第I相および第II相の臨床試験は進行性腫瘍に対して行われている。API−2/TCNは、肝毒性、高トリグリセリド血症、血小板減少および高血糖を含むいくつかの副作用を示した。
RX−0201は、固形腫瘍の治療のためのAKTプロテインキナーゼ阻害薬として開発されている。第I相試験は進行悪性腫瘍患者において2004年7月に開始された。この試験からのデータは、RX−0201はAktの過剰発現を阻害し、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、肝腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍および胃腫瘍における癌増殖を抑制し、耐容性が良好であることを示した。2005年3月までに、米国オーファンドラッグステータスが、いくつかの固形腫瘍タイプについてRX−0201に与えられた。
塩酸エンザスタウリン(LY317615)は、血管新生を抑制し、抗血管新生の活性に基づいた臨床開発のために推進された。それは選択的PKCβ阻害剤として記載される。塩酸エンザスタウリンはまた直接的な抗腫瘍効果を有し、GSK3βのリン酸化を抑制する。塩酸エンザスタウリンは、グリオーマおよび非ホジキンリンパ腫の治療に関して現在研究されている。
SR−13668は、生体外および生体内の両方で乳癌細胞におけるリン酸化AKTを著しく阻害する経口活性のある特異的なAKT阻害剤であると主張されている。マウスにおける生体内評価から、抗腫瘍の活性のために必要な用量よりも10倍多い用量であっても副作用がないことが示された。
PX−316は、PKBのPHドメインに結合するD−3−デオキシ−ホスファチジル−ミオ−イノシトールであり、細胞質中でPKBを捕らえ、したがってPKB活性化を阻害する。抗腫瘍活性は初期の異種移植片において見られ、耐容性は良好だった。
2,3−ジフェニルキノキサリン核または5,6−ジフェニルピラジン−2(1H)−オン核に基づいた、PKBのアロステリックな選択的阻害剤が開発されてきた(メルク社)。
KRX−0401:ヨーロッパにおいて行なわれた毎週投薬される第I相試験において、推奨される第II相の用量は600/mg/週であった。米国において行なわれた後続研究は、用量が分けられて4〜6時間の間隔で投与される場合、はるかに高用量でも耐容性が良好であることを示した。さらに、KRX−0401は、100時間の範囲で非常に長い半減期を有することが示されてきた。これにより、比較的非毒性の断続的な投薬スケジュールの可能性が非常に妥当性のあるものになる。
API−2の第I相試験は、5日間の連続的な点滴スケジュールを使用して行われた。用量レベルは、10mg/m2/日×5日〜40mg/m2/日×5日にわたった。最初に、過程は3〜4週ごとに繰り返された。累積的な毒性が示されるようになると、過程間の間隔は6週ごとに変更された。第II相試験のために推奨されるスケジュールは、6週ごとに20mg/m2/日を5日間行なうものである。TCN−Pの第II相試験は、5日間の連続的な点滴スケジュールを使用して、転移性または再発性子宮頚部扁平上皮癌において行われた。開始用量は35mg/m2×5日であり、過程は6週ごとに繰り返された。
さらなるPKB阻害剤としては、ケリックス・バイオファーマシューティカルズ(Keryx Biopharmaceuticals)からのペリフォシンが挙げられる。ペリフォシンは、ヒト腫瘍細胞株に対して著しい細胞傷害効果を発揮し、現在主要なヒト癌の治療のためにいくつかの第II相試験において検査されている、経口のAkt阻害剤である。KRX−0401(ペリフォシン/NSC639966)は以下の構造を有する。
KRX−0401は、アステ・メディカ(Aste Medica)の特許公報DE4222910またはゼノポート(Xenoport)の特許公報US2003171303に従って調製することができる。
API−2/TCN(トリシリビン)は以下の構造を有する。
API−2/TCNは、ボドー(Bodor)の特許公報WO9200988またはリバファーム(Ribapharm)の特許公報WO2003061385に従って調製することができる。
エンザスタウリン塩酸塩は以下の構造を有する。
エンザスタウリン塩酸塩は、イーライ・リリー社の特許公報WO2004006928に従って調製することができる。
SR13668は以下の構造を有する。
SR13668は、SRIインターナショナルの特許公報US2004043965に従って調製することができる。
NL−71−101は以下の構造を有する。
NL−71−101は、バイオケミストリー(Biochemistry)(2002年)、41(32)、10304〜10314、またはペプトー(Peptor)の特許公報WO2001091754に従って調製することができる。
デベロジェン(DeveloGen)(かつてはペプトー)は、癌治療の可能性に関して、NL−71−101(プロテインキナーゼB(PKB)阻害剤)を研究している[466579]、[539004]。2003年の初めに、リード化合物の最適化が行なわれていた[495463]。2004年2月までに、該会社は、プロテインキナーゼBプログラムに対する特定の開発権をアウトライセンスしようとしていた[523638]。
NL−71−101は、PKA、PKGおよびPKC(それぞれ9、36および104μMのIC50値で)と比べ、PKB(3.7μMのIC50値で)活性を阻害することを示すデータが2002年に発表された。NL−71−101は、PKBが50および100μMの濃度で増幅されるOVCAR−3腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導した[466579]。この化合物は以下の構造を有する。
具体的な実施形態:検討される実施形態としては、抗癌剤が上記の1種以上の具体的な化合物から選ばれるPKB阻害剤である組合せが挙げられる。
14.CDK阻害剤
定義:本明細書において「CDK阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害または修飾する化合物を指す。
技術背景:CDKは、細胞周期、アポトーシス、転写、分化および中枢神経系機能の調節において役割を果たす。したがって、CDK阻害剤は、癌などの、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾患の治療に適用される可能性がある。特に、RB+ve腫瘍は、CDK阻害剤に対して特に感受性があり得る。RB−ve腫瘍もまたCDK阻害剤に対して感受性があり得る。
本発明による組合せにおいて使用され得るCDK阻害剤の例としては、セリシクリブ(seliciclib)、アルボシジブ(alvocidib)、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032(別名:SNS−032)、PHA533533、PD332991、ZK−304709およびAZD−5438が挙げられる。
セリシクリブ(ロスコビチン(roscovitine)のR異性体であり、他にはCYC202として知られる)は、化学名が(2R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)−アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノールである。セリシクリブは、リンパ性白血病、非小細胞肺癌、糸球体腎炎、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫および乳癌を含む様々な癌の治療の可能性に関して、臨床試験において評価されている。臨床試験において観察される毒性としては、悪心/嘔吐ならびに衰弱、皮疹および低カリウム血症が挙げられる。他の毒性としては、可逆的な腎機能障害およびトランスアミナーゼ上昇、ならびに嘔吐が挙げられた。
アルボシジブ(他にはフラボピリドール、HMR1275またはL86−8275として知られ、化学名5,7−ジヒドロキシ−8−(4−N−メチル−2−ヒドロキシピリジル)−6’−クロロフラボンである)は、食道癌、胃癌、前立腺癌、肺癌および結腸癌、ならびにさらに慢性リンパ性白血病、および多発性骨髄腫、リンパ腫を含む様々な癌の治療の可能性に関して臨床試験において研究されており、観察される最も一般的な毒性は、下痢、腫瘍疼痛、貧血、呼吸困難および疲労であった。
7−ヒドロキシスタウロスポリン(他にはUCN−01として知られる)は、慢性リンパ性白血病、膵臓腫瘍および腎腫瘍を含む様々な癌の治療の可能性に関して臨床試験において評価されており、観察される有害事象としては、悪心、頭痛および高血糖が挙げられた。
JNJ−7706621(化学名N3−[4−(アミノスルホニル)−フェニル]−1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン)は、メラノーマおよび前立腺癌の治療の可能性に関して前臨床試験の対象である。BMS−387032(化学名N−[5−[[[5−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキサゾリル]−メチル]チオ]−2−チアゾリル]−4−ピペリジンカルボキサミド)は、腎細胞癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌および平滑筋肉腫などの転移性固形腫瘍に罹患する患者のための見込みのある抗癌剤として、第I相試験において評価されている。この薬物は、一次毒性として示される一時的な好中球減少があり、耐容性は良好であった。他の副作用としては、一時的な肝臓アミナーゼ上昇、胃腸毒性、悪心、嘔吐、下痢および食欲不振を含んでいた。PHA533533(化学名(αS)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−α−メチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)−ベンゼン−アセトアミド)は、前立腺腫瘍、結腸腫瘍および卵巣腫瘍などの様々な癌の治療の可能性に関して前臨床試験の対象である。PD332991(化学名8−シクロヘキシル−2−[[4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル]アミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン)は、様々な癌の治療の可能性に関して前臨床試験の対象である。前臨床データは、生体内モデルにおける著しい腫瘍退縮を実証し、PD332991が高度に選択的で強力なCDK4阻害剤であることを示唆する。
ZK−304709は、PCT特許明細書第WO02/096888号中に記載された、経口の2重特異性CDKおよびVEGFRキナーゼの阻害剤であり、様々な癌の治療の可能性に関して前臨床試験の対象である。AZD−5438は、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤であり、固形癌の治療について前臨床開発中である。セリシクリブは、例えば、PCT特許明細書第WO97/20842号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。アルボシジブは、例えば、米国特許明細書第4900727号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。7−ヒドロキシスタウロスポリンは、例えば、米国特許明細書第4935415号中記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。JNJ−7706621は、例えば、PCT特許明細書第WO02/057240号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。BMS−387032は、例えば、PCT特許明細書第WO01/44242号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。PHA533533は、例えば、米国特許明細書第6455559号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。PD332991は、例えば、PCT特許明細書第WO98/33798号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。ZK−304709は、例えば、PCT特許明細書第WO02/096888号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:検討される実施形態としては、抗癌剤が、1種以上の上記の具体的な化合物から選択されるCDK阻害剤である組合せが挙げられる。したがって、本発明による組合せで用いる好ましいCDK阻害剤としては、セリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991およびZK−304709が挙げられる。本発明よる組合せで用いる具体的なCDK阻害剤としては、セリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991およびZK−304709が挙げられる。
薬量:CDK阻害剤は、例えば1日に、0.5〜2500mg/kg、より好ましくは10〜1000mg/kg、あるいは0.001〜300mg/kg、より好ましくは0.01〜100mg/kgの用量で、特にセリシクリブについては10〜50mgの用量で、アルボシジブについては上述の米国特許明細書第4900727号に従う用量で、7−ヒドロキシスタウロスポリンについては0.01〜20mg/kgの用量で、JNJ−7706621については0.001〜300mg/kgの用量で、BMS−387032については0.001〜100mg/kg、より好ましくは0.01〜50mg/kg、および最も好ましくは0.01〜20mg/kgの用量で、PHA533533については10〜2500mgの用量で、PD332991については1〜100mg/kgの用量で、およびでZK−304709については0.5〜1000mg、好ましくは50〜200mgの用量で投与されてもよい。
これらの用量は、治療の1過程あたり例えば1回、2回、それ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
15.COX−2阻害剤
定義:「COX−2阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の活性を阻害または修飾する化合物を定義するために本明細書で使用される。
生物学的活性:本明細書に記載されるような1種以上の薬理作用を介して作用するCOX−2阻害剤は、適切な抗癌剤として同定されてきた。
技術背景:最近では、癌化学療法における研究は、癌の病因学におけるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の役割に焦点を合わせてきた。疫学的調査から、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば関節炎などの症状を治療するアスピリンおよびイブプロフェンを繰り返し服用する人は、結腸直腸ポリープ、結腸直腸癌および結腸直腸癌に起因する死亡が低率であることが示されている。NSAIDは、炎症過程において生体によって産生され前癌組織によってもまた産生されるシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害する。例えば結腸癌において、COX−2レベルの劇的な増加が観察される。腫瘍増殖のための鍵となる要因の1つは、腫瘍の増加したサイズを維持する血液の供給である。多くの腫瘍が、癌の周囲に網目状に新しい血管を生成するように生体を誘発する化学経路(血管新生と呼ばれる過程)を利用することができる。COX−2はこの過程において役割を持つと考えられる。したがって、COX−2の阻害が癌の治療のために効果的であろうことが結論付けられ、COX−2阻害剤がこの目的のために開発されている。例えば、セレコキシブ(化学名4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミド)は、膀胱癌および食道癌、腎細胞癌、子宮頸癌、乳癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫ならびに非小細胞肺癌を含む様々な癌の治療のために研究されている選択的なCOX−2阻害剤である。
薬量:COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)は、100〜200mgのような用量で、例えば毎日、投与することができる。
前記用量は、例えば治療の1過程あたり1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
問題:最も一般的な副作用は、頭痛、腹痛、消化不良、下痢、悪心、鼓腸および不眠症である。患者に対する有害な毒性副作用についての可能性を減少させるように、COX−2阻害剤のより低用量の使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:一実施形態では、COX−2阻害剤はセレコキシブである。セレコキシブは、例えば商品名セレブレックス(Celebrex)としてファイザー社から市販されており、また例えばPCT特許明細書第WO95/15316号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
市販されている他の2つのCOX−2阻害剤は、アルコキシア(Arcoxia)(メルク社からのエトリコキシブ(etoricoxib))およびノバルティス社のCOX−2阻害剤ルミラコキシブ(Prexige)である。
16.HDAC阻害剤
定義:「HDAC阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害または修飾する化合物を定義するために本明細書で使用される。
生物学的活性:本明細書で記載されるような1種以上の薬理作用を介して作用するHDAC阻害剤は、適切な抗癌剤として同定されている。
技術背景:ヒストンの可逆的アセチル化は、DNAに対する転写因子のアクセシビリティーを変化させることによって作用する、遺伝子発現の主要な調節因子である。正常細胞において、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)およびヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HDA)は共に、バランスを維持するために、ヒストンのアセチル化のレベルを制御する。HDAの阻害は過アセチル化されたヒストンの蓄積をもたらし、それは様々な細胞反応をもたらす。HDAの阻害剤(HDAI)は、癌細胞へのHDAの阻害剤の治療上の効果について検討されてきた。HDAI研究の分野における最近の進展は、腫瘍の治療のために適切な有効化合物を提供した。
蓄積した証拠から、HDAIは他の化学療法剤との組合せで使用された場合により有効であることが示唆されている。有効性および安全性の両方について、相乗的および相加的な長所がある。HDAIとの化学療法剤の組合せの治療上の効果は、組合せにおける各構成要素のより低い安全用量域をもたらすことができる。
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤の研究は、ヒストン脱アセチル化酵素が細胞増殖および分化において重要な役割を果たすことを示す。阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)はG1およびG2期の両方で細胞周期の停止を引き起こし、異なる細胞株の形質転換した表現型を復帰させて、フレンド白血病細胞および他のものの分化を誘導する。TSA(およびスベロイラニリド(suberoylanilide)ヒドロキサム酸(SAHA))は、細胞増殖を阻害、最終分化を誘導、そしてマウスにおける腫瘍の形成を阻害することが報告されている(フィニン(Finnin)ら、ネイチャー(Nature)、401:188〜193、1999年)。
トリコスタチンAが線維化(例えば肝臓線維化、肝硬変)の治療において有用であることもまた報告されている。(ヘールツ(Geerts)ら、1998年3月11日に公開の欧州特許出願EP0 827 742)。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:本発明による使用のための好ましいHDAC阻害剤は、TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103およびPXD−101(上述)から選ばれる。
したがって、本発明での使用に適したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の合成阻害剤としては、ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson and Johnson)からのJNJ−16241199、ノバルティス社からのLAQ−824、メチルジーン(MethylGene)からのMGCD−0103、およびプロリフィックス(Prolifix)からのPXD−101が挙げられる。
JNJ−16241199は以下の構造を有する。
MGCD−0103は以下の構造を有する。
LAQ−824は以下の構造を有する。
本発明での使用に適したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の他の阻害剤としては、限定されるものではないが、アボット・ラボラトリーズからのペプチドのクラミドシン(chlamydocin)およびA−173もまた挙げられる。
A−173は以下の構造を備えたスクシンイミド大環状化合物である。
薬量:一般的には、HDAC阻害剤については、治療上効果的な量は、0.005mg/kg体重〜100mg/kg体重、および特に0.05mg/kg体重〜10mg/kg体重と予測される。1日を通じて適切な間隔で2、3または4回以上のサブ用量として必要な用量を投与することが適切かもしれない。前記サブ用量は、例えば0.5〜500mgを含む単位用量形態、および特に単位用量形態あたり10mg〜500mgの有効成分として製剤化されてもよい。
17.選択的免疫反応モジュレーター
選択的免疫反応モジュレーターとしてはレナリドマイドおよびサリドマイドが挙げられる。
レナリドマイド(レブリミド)は、セルジーン(Celgene)により開発された経口サリドマイド誘導体であり、TNF−アルファおよびインターロイキン−1ベータの強力な阻害剤であり、5q−骨髄異形成症候群多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病グリオーマ、皮膚T細胞リンパ腫および上皮性卵巣癌の治療に関して開発されている。
レナリドマイド(3−(4−アミノ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン)は次の構造を有する。
サリドマイドは、その催奇形効果の報告の結果として広く認知されるようになった(最も顕著なものは、1960年代にヨーロッパおよびカナダにおいてサリドマイドの投与を受けた女性に生まれた12000人に及ぶ子供における四肢奇形)鎮静および制吐薬である。セルジーンは、サリドマイドを経口TNF−アルファ阻害剤として開発および発売した(ファーミオン(Pharmion)に売却)。いくつかの種の腫瘍形成におけるサリドマイドの抗腫瘍活性の可能性に関する広範囲な臨床上の証拠(再発性/治療抵抗性多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)および骨髄異形成症候群(MDS)における顕著な活性)が蓄積されている。また、急性骨髄性白血病、骨髄様化生を伴う骨髄繊維症、腎細胞癌、悪性グリオーマ、前立腺癌、カポジ肉腫および結腸直腸癌における生物学的活性の証拠がある。
サリドマイド(1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン)は次の構造を有する。
薬量:サリドマイドは、有利には、耐えられる限り連続的に100〜800mg/日の用量で投与されてもよい。レナリドマイドは、有利には、耐えられる限り連続的に5〜40mgの用量で投与さてもよい。
18.DNAメチル化酵素阻害剤
本明細書では「DNAメチル化酵素阻害剤」または「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、直接的または間接的にDNAのメチル化を混乱、破壊、遮断、修飾または阻害する化合物を指す。それらはまた「低メチル化剤(hypomethylating agents)」とも呼ばれる。
生物学的活性:本明細書で記載されるような1種以上の薬理作用を介して作用するDNAメチル化酵素阻害剤は、適切な抗癌剤として同定されてきた。
技術背景:癌化学療法のための標的の1つはDNA合成であり、これは腫瘍DNAの適切なメチル化に依存する可能性がある。直接的または間接的にDNAのメチル化を混乱、破壊、遮断、修飾または阻害する化合物は有用な抗癌剤であり得る。
DNAメチル化酵素阻害剤のテモゾロマイドは、多形性神経膠芽腫の治療のために使用され、進行した転移性悪性メラノーマ(進行した転移性悪性メラノーマに罹患する患者の一次治療など)に罹患する患者の一次治療に使用される、また初回再発の悪性グリオーマの治療に関して研究および使用されている。この化合物は、生理的なpHで、有効化合物(グアニン残基のO6位でのDNAのメチル化の原因であるモノメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド(MTIC))への迅速な化学変換を受ける(それはDNAメチルトランスフェラーゼの発現抑制を引き起こし、そのため低メチル化を生ずると思われる)。
問題:テモゾロマイド治療に関連した最も一般的な副作用は、悪心、嘔吐、頭痛、疲労、血小板減少および便秘である。DNAメチル化酵素阻害剤の抑制性の有効性を増加させ、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、シグナル伝達阻害剤のより低用量の使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:一実施形態では、DNAメチル化酵素阻害剤は、テモゾロマイド(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソイミダゾ[5,1−d]−as−テトラジン−8−カルボキサミド)である。テモゾロマイドは、例えば、商品名テモダール(Temodar)としてシェーリング社から市販されており、また例えば、ドイツ特許明細書第3231255号中に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
本発明の組合せで使用するさらなるDNAメチル化酵素阻害剤は、下記に示す構造を有するデシタビン(別名:ダコジェン(Dacogen))である。
スーパージェンおよびMGIファーマはデシタビン(ダコジェン)(DNA上のシトシン残基のメチル化を防ぎ、遺伝子プロモーターの低メチル化を起こし、これにより抑制された遺伝子を再活性化するDNAメチル化酵素の阻害剤)を開発した。デシタビン/ダコジェンは、生体外で広範囲の悪性細胞に細胞毒性がある。これは、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)および骨髄異形成症候群(MDS)に対する有意な活性を示す。デシタビン/ダコジェンは、骨髄異形成症候群(MDS)および二次性MDS(慢性骨髄単球性白血病、不応性貧血、環状鉄芽球性不応性貧血、芽球増加性不応性貧血および移行期芽球増加性不応性貧血を含む)の治療に関して示唆されている。
デシタビン/ダコジェンはデオキシシチジン(2’−デオキシ−5−アザシチジンのベータ−D−アノマー)のアナログである。これは、窒素によるピリミジン環の第5位の置換によりデオキシシチジンと異なる。デシタビンは、関連するアナログであるファーミコンの5−アザシチジン(ビダザ(Vidaza))(リボース糖を含む)とは対照的に、デオキシリボースを含んでいる。デシタビンはしたがって、デオキシヌクレオシドであり、RNAに組み込まれる5−アザシチジンとは対照的に、DNA(RNAではなく)に組み込まれる。デシタビンおよび5−アザシチジンは、ピリミジン環の第5位での修飾により、シトシンアラビノシドおよびゲムシタビンなど他のピリミジンアナログと異なる。これらの後者の薬剤にはないこの顕著な特徴は、DNAメチル化酵素の阻害の原因である。シュードイソシチジン(Pseudoisocytidine)および5−フルオロ−2’−デオキシシチジン(ピリミジン環の第5位の修飾を有する別のアナログ)もまた脱メチル化を阻害する。
デシタビン/ダコジェンは、治療サイクルとして6週ごとに3日間8時間ごとに3時間の期間にわたって15mg/m2投与されるか、サイクルとして通常6週ごとに1週間または2週間1日当たり20mg/m2で送達される1時間の注入という1日の服薬スケジュールで投与される。
中毒量ではデシタビン/ダコジェンは、白血球減少症、血小板減少および体重減少をもたらす。デシタビンの主要な毒性は骨髄抑制であり、これは治療剤の投与量および継続期間に比例する。効果は高投与量(>200mg/m2/日)で顕著であり、骨髄抑制は他の細胞毒性剤の同時投与により増強される。好中球減少性感染および骨髄抑制の他の合併症は致命的であると判明した。非血液学的な副作用としては、悪心、嘔吐、粘膜炎および脱毛が挙げられる。
デシタビン/ダコジェンおよび他のアナログは、スーパージェンのUS−03432549で概説されるようにそしてWO006/017278およびWO2006/037024でさらに検討されているように調製することができる。
本発明の組合せで用いるさらなるDNAメチル化酵素阻害剤は、アザシチジン(azacytidine)(別名:5−アザシチジン(azacitidine)、5−アザシチジン(azacytidine)またはビダザ)であり、皮下投与される低メチル化剤でありDNAメチル化酵素阻害剤である。これは、不応性貧血(RA)または環状鉄芽球性RA、芽球増加性RA、移行期芽球増加性RAおよび慢性骨髄単球性白血病を含むすべての骨髄異形成症候群(MDS)サブタイプの治療に用いられる。
5−アザシチジン(ビダザ)は、MDS治療に関して1日2回皮下にまたは静脈経路投与を通して投与することができる。
これは、チェコスロバキア科学アカデミー(Ceskoslovenska Akademie Ved)からのDE1922702、GB1227691およびFR2008048ならびにファーミオンからのWO2004082618、WO2004082619およびWO2004082822に記載されているように、ならびにそれらに類似した方法により調製することができる。
薬量:DNAメチル化剤(例えばテモゾロマイド)は、体表面積1平方メートルあたり0.5〜2.5mg(mg/m2)、特に約1.3mg/m2のような用量で投与することができる。これらの用量は、治療の1過程あたり例えば1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
19.プロテアソーム阻害剤
定義:本明細書では「プロテアソーム阻害剤」なる語は、細胞周期に関与する生物学的過程などの、多くの短期間の生物学的過程の半減期を直接的または間接的に混乱、破壊、遮断、修飾または阻害する化合物を指す。該用語はしたがって、プロテアソーム(他の細胞タンパク質のターンオーバーに関与する巨大タンパク質複合体)の作用を遮断する化合物を包含する。該用語はまた、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を包含する。
生物学的活性:本明細書で記載されるような1種以上の薬理作用を介して作用するプロテアソーム阻害剤は、適切な抗癌剤として同定されてきた。
技術背景:別の類の抗癌剤はプロテアソーム阻害剤である。プロテアソームは、細胞周期に関与する生物学的過程などの、多くの短期間の生物学的過程の半減期を制御する。したがって、プロテアソームの機能不全は、細胞周期の異常制御および抑制されない細胞増殖を引き起こしうる。
細胞周期は、正のシグナルおよび負のシグナルによって制御される。正常細胞において、プロテアソームは、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤などの細胞周期を阻害するタンパク質を破壊する。プロテアソーム機能の阻害は、細胞周期停止および細胞死を引き起こす。ひとつには腫瘍細胞はより急速に分裂するので、そしてひとつには腫瘍細胞の正常な制御経路の多くは破壊されているので、腫瘍細胞は正常細胞よりもプロテアソーム機能の阻害の効果に対してより感受性がある。プロテアソーム阻害に対する正常細胞と癌細胞の分化応答についてのメカニズムは完全には理解されていない。全体として、癌細胞はプロテアソーム阻害剤に対してより感受性があり、その結果プロテアソームの阻害剤は特定の癌の効果的な治療になり得る。
そのようなプロテアソーム阻害剤の1つはボルテジミブ(bortezimib)であり、その化学名は[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]−ボロン酸である。ボルテジミブは、プロテアソームの触媒部位内の鍵となるアミノ酸(すなわちスレオニン)と特異的に相互作用する。ボルテジミブは、多発性骨髄腫および他の多くの癌(白血病およびリンパ腫、ならびに前立腺癌、膵臓癌および結腸直腸癌を含む)の治療のために使用されている。さらに、ベルケイド(Velcade)は非ホジキンリンパ腫の治療に有用である。
問題:ボルテジミブによる最も一般的な副作用は、悪心、疲労感、下痢、便秘、血小板数減少、発熱、嘔吐および食欲減退である。ボルテジミブはまた末梢神経障害を引き起こしうる。したがって、患者に対する有害な毒性の副作用の可能性を減少させるように、より低用量の使用のための手段を提供する必要がある。
好ましい選択肢および具体的な実施形態:本発明による使用のための好ましいプロテアソーム阻害剤としては、ボルテジミブが挙げられる。ボルテジミブは、例えば、商品名ベルケイドとしてミレニアム・ファーマシューティカルズ社から市販されており、また例えば、PCT特許明細書第WO96/13266号に記載されているように、またはそれに類似した方法によって調製されてもよい。
薬量:プロテアソーム阻害剤(ボルテジミブなど)は、100〜200mg/m2のような用量で投与することができる。前記用量は、例えば治療の1過程あたり1回、2回、またはそれ以上投与されてもよく、それは例えば7、14、21または28日ごとに繰り返されてもよい。
抗生物質のブレオマイシンもまた、本発明による抗癌剤として細胞毒性薬として使用されすることができる。
20.オーロラ阻害剤
本発明の一実施形態では、補助化合物はオーロラキナーゼの阻害剤またはモジュレーターである。そのようなオーロラ阻害剤またはモジュレーターは本明細書に記載される様々なオーロラ阻害剤から選ばれてもよく、好ましい補助オーロラ阻害剤は下記により詳細に検討される。
定義:本明細書では「オーロラキナーゼ阻害剤」なる語(または単に「オーロラ阻害剤」)は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、本明細書に記載されるオーロラキナーゼアイソフォームA、Bおよび/またはCのいずれの活性を阻害または修飾する化合物を指す。
技術背景:オーロラキナーゼは、細胞周期の制御に、および特に細胞の有糸分裂の過程において役割を果たす(オーロラキナーゼは細胞周期の分裂期において重要な役割を有する)。したがって、オーロラキナーゼ阻害剤は、癌などの増殖、細胞分裂、分化の障害がある疾患の治療に適用される可能性がある。特に有糸分裂および/または紡錘体欠陥を伴う腫瘍は、CDK阻害剤に感受性がある可能性ある。
オーロラキナーゼの阻害は有糸分裂過程を実質的に破壊することが示されており、オーロラAの阻害からは初期の有糸分裂効果、およびオーロラBの阻害によれば後期の細胞質分裂異常に導く。有糸分裂または細胞周期チェックポイントを活性化、妨害、修飾する薬剤とオーロラキナーゼ阻害剤とを組合せることは、細胞毒性に対する細胞の感受性を高める、有益な組合せ効果が観察される(アナンド(Anand S)、ペンリン・ロウ(Penrhyn-Lowe S)、ベンキタラマン(Venkitaraman AR.)、キャンサーセル(Cancer Cell.)2003年1月;3(1):51−62)。この文脈では、タキサン、エポチロンまたはビンカアルカロイドとオーロラキナーゼ阻害剤との組合せが有益である。特定のタキサン、エポチロンおよびビンカアルカロイドは本明細書に記載されている。
付属オーロラキナーゼ阻害剤の例としては、AZD1152、MK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235、特にMK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235が挙げられる。AZD1152は臨床評価を受けている。AZD1152は、血漿中で活性部分AZD1152−HQPA(AZD−1152ヒドロキシ−QPA、構造を下記に示す)に急速に変換されるプロドラッグである。進行した悪性固形腫瘍を有する患者における初期の研究において、週に2時間AZD1152を点滴すると、p53非依存性の細胞の多核化および倍数性が誘導され、結果としてアポトーシスを生じた。これらの初期の研究は、好中球減少は用量制限的毒性(ASCO 2006)であることを示す。
AZD1152およびAZD1152−HQPAは、WO02/00649に記載されているように、またはそれに類似した方法により合成することができる。
MK0457(VX−680)は臨床評価を受けている。MK0457は、28日ごとに連続的な5日間の注入で治療抵抗性悪性腫瘍を有する患者に投与されている。これらの初期の研究は、好中球減少が用量制限的毒性(ASCO 2006)であることを示す。
MK0457は、ハリントン(Harrington)ら、ネイチャーメディシン(Nat Med.)2004年5月;10(3):262−7)ならびにWO02/057259、WO02/059111、WO02/059112、WO02/062789、WO02/068415、WO02/066461、WO02/050065、WO02/050066そして特にWO2004/000833に記載されているように、およびそれらに類似した方法により合成することができる。
PHA−739358(構造を下記に示す)は現在、第1相用量漸進多施設臨床試験においてネルビアノ・メディカル・サイエンス(Nerviano Medical Sciences Srl)により評価されている。
PHA−739358は、ファンチェリ(Fancelli)ら、ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)(2005年)、48(8)、3080−3084およびWO02/12242に記載されているように、およびそれらに類似した方法により合成することができる。
MLN−8054(化学名4−[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−5H−ベンゾ[c]ピリミド[4,5−e]アゼピン−2−イルアミノ]−安息香酸)は現在、第1相用量漸進多施設臨床試験において、リンパ腫を含む治療抵抗性固形腫瘍に罹患する患者で評価されている。
MLN−8054は、WO2005/111039に記載されているように、およびそれに類似した方法により合成することができる。
スーパージェンは2006年4月のモンティジェン(Montigen)の買収に続き、膵臓癌を含む様々な癌の治療の可能性に関して、MP−235(HPK−62)(4−(6,7−ジメトキシ−9H−1,3,9−トリアザ−フルオレン−4−イル)−ピペラジン−1−カルボチオ酸[4−(ピリミジン−2−イルスルファモイル)−フェニル]−アミド(構造を示す))を含む、アポトーシスを誘導し細胞分裂を阻害する一連の低分子オーロラ−2キナーゼ阻害剤を研究している。MP−235は、WO2005/037825に記載されているように、およびそれに類似した方法により合成することができる。
さらなるオーロラ化合物としては、式(I’)の追加の化合物、式(I”)のさらなる化合物を含む本明細書に記載のものが挙げられ、WO2005/002552(PCT/GB2004/002824)の式(I)において記載されたものも挙げられる。WO2005/002552は参照により本書に援用され、そこに記載の式(I)の化合物に関連する。
21.Hsp90阻害剤
本発明の一実施形態では、補助薬剤はHsp90の阻害剤である。
本発明の組合せにおける補助薬剤として使用する好ましいHsp90阻害剤は、本明細書で定義される式(I)の化合物である。しかしながら、本発明の組合せで使用するHsp90阻害剤はまた、Hsp90阻害または修飾活性を有する下記により詳細に記載される補助Hsp90阻害剤を含む。したがって、本発明の組合せは2種以上の本明細書に定義される式(I)の化合物を含んでもよい(または本質的にそれらから成ってもよい)。
本明細書の式(I)のHsp90阻害剤に加えて、本発明の組合せは1種以上の補助Hsp90阻害剤またはモジュレーターを含んでもよい。そのような補助Hsp90阻害剤またはモジュレーターは本明細書に記載される様々なHsp90阻害剤から選ばれてもよく、好ましい補助Hsp90阻害剤は下記により詳細に検討される。
定義:本明細書で用いるHsp90阻害剤なる語は、本明細書に記載される熱ショックタンパク質90の活性を阻害または修飾する化合物を意味する。
「補助Hsp90阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、本明細書に記載される熱ショックタンパク質の活性を阻害または修飾し、本明細書で定義される式(I)の構造に一致しない化合物を指す。
技術背景:熱、毒素、放射線、感染、炎症および酸化体を含む細胞ストレスに応答して、すべての細胞は共通の一連の熱ショックタンパク質(Hsp)を産生する(マカリオ(Macario)およびデマカリオ(de Macario)2000年)。大部分の熱ショックタンパク質は分子シャペロンとして作用する。シャペロンは、折りたたみの中間段階でタンパク質と結合し安定させ、タンパク質がその機能的状態に折りたたまれることを可能にする。Hsp90は正常条件下で最も豊富にあるサイトゾルHspである。Hsp90には、主な型であるHsp90αおよび少量の型であるHsp90βの2種類のヒトアイソフォームがある。Hsp90は折りたたみの後期でタンパク質を結合し、そのタンパク質基質のほとんどがシグナル伝達に関与するという点で他のHspsと区別される。Hsp90のN末端ポケットで結合したATPは加水分解されていることが示されている。このATPアーゼ活性は、クライアントタンパク質における構造変化を可能にするために必要とされるHsp90における構造変化をもたらす。
Hsp90の活性化は、様々な他のシャペロンタンパク質との相互作用によってさらに調節され、Hsp70、Hip、Hop、p23およびp50cdc37を含む他のシャペロンとの複合体で単離することができる。他の多くのコシャペロンタンパク質もHsp90と結合することが実証されている。Hsp90は、正常細胞中の「潜在的」複合体とは対照的に、腫瘍細胞中の「活性化」マルチシャペロン複合体内で主に見出されるといういくつかの証拠がある。
癌表現型に関連した遺伝的不安定性が増加すると、変性タンパク質または変異タンパク質の産生が増加する。ユビキチン経路はまた、変性タンパク質または誤った折りたたみ構造のタンパク質から細胞を保護する働きをする(プロテアソーム分解のためにこれらのタンパク質を標的化することにより)。変異タンパク質は本来的に変性しており、したがって構造不安定性を示す可能性およびシャペロン系に対する必要条件が大きい(ジャンニーニ(Giannini)ら、モレキュラーセルバイオロジー(Mol.Cell Biol.)2004年;24(13):5667−76)。
報告されているHsp90クライアントタンパク質の数は現在100を超える。そのクライアントタンパク質の多くが細胞シグナル伝達、増殖および生存に関与するので、Hsp90は腫瘍学の対象として大きな関心を得ている。細胞増殖および生存に関与することが示されたHsp90プロテインキナーゼクライアントタンパク質は次のものを含む:細胞Src(c−Src)、ErbB2(Her2/neu)、ポロ様キナーゼ(Plks)、Akt(PKB)、c−Raf、B−RAF、Mek、上皮成長因子レセプター(EGFR)、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、c−met、Cdk1、Cdk2、Cdk4およびCdk6、Wee−1、変異p53、低酸素誘引因子−1a(HIF−1a)。
Hsp90阻害剤の例としては、ハービマイシン(herbimycin)、ゲルダナマイシン(geldanamycin)(GA)、17−AAG(例えば、Kos−953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024(経口プリン)およびIPI−504、特に17−AAG(例えば、Kos-953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024およびIPI−504が挙げられる。好ましい化合物は、17−AAG(例えば、Kos−953およびCNF−1010)、17−DMAG(Kos−1022)およびIPI−504などのゲルダナマイシンアナログである。
アンサマイシン抗生物質ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)および17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)は、ATPの結合をブロックし成熟した複合体への変換を防ぐATP結合部位阻害剤である(グレナート(Grenert)ら、1997年、ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)、272:23834−23850)。Hsp90は遍在的に発現されているにもかかわらず、GAおよびそのアナログは、正常細胞株に比べて腫瘍細胞株に由来したHsp90に高い結合親和性を有する(カマル(Kamal)ら、ネイチャー、2003年;425:407−410)。GAはまた、腫瘍細胞においてさらに強力な細胞毒性活性を示し、異種移植マウスモデルにおいて腫瘍内でさらに高い濃度で隔離されている(ブラジデック(Brazidec)、ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)2004年、47、3865−3873)。さらに、Hsp90のATPアーゼ活性は癌細胞の中で増加しており、癌細胞中のストレスレベルの増加を示している。Hsp90遺伝子増幅もまた、癌の後期に起こることが報告されている(ジョリー(Jolly)およびモリモト(Morimoto)、ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(JNCI)第92巻、第19号、1564−1572、2000年)。
17−AAG(NSC−330507、17−アリルアミノゲルダナマイシン)はゲルダナマイシンの注射可能な半合成誘導体であり、癌の治療の可能性に関して国立癌研究所(NCI)および英国癌研究所と共同でコーサンバイオサイエンシズ(Kosan Biosciences)により開発中の、メリーランド大学にて同定されたHsp90のポリケチド阻害剤である。17−AAGの研究は、メラノーマ、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫(HL)において、および慢性骨髄性白血病(CML)に関してはイマチニブ(qv)との併用療法として開始されている。
17−AAGの構造は下記に概説される。17−AAGはWO02/36574に記載されているように、およびこれに類似の方法で調製することができる。
KOS−953は、元の製剤中に使用されるDMSO−卵レシチン賦形剤を置換する、患者の耐容性の向上およびより高い安定性を提供する目的でコーサンにより開発された17−AAG製剤である。これは、WO2005/110398に記載されているように、およびこれに類似の方法で調製することができる。
コンフォーマ(Conforma)は、癌の静注治療の可能性に関して、17−AAG(qv)の有機溶媒を含まない脂質ベースの製剤であるCNF−1010を開発している。これは、WO03/026571、WO02/069900およびWO2006/050333に記載されているように、およびこれらに類似の方法で調製することができる。17−AAGの経口製剤はコンフォーマによりUS2006/0067953中で記載されている。
17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン塩酸塩、NSC−707545、構造を示す)は17−AAG(qv)のアナログである。これは水溶性のゲルダナマイシン誘導体であり、進行性の固形腫瘍に関して研究されている。コーサンは、国立癌研究所(NCI)からのライセンスを受け、固形腫瘍の治療の可能性に関してKOS−1022(17−DMAG)の静注用製剤を開発している。コーサンはまた、同じ適応に関してKOS−1022(qv)の経口製剤を開発している。
17−DMAGはWO03/013430に記載されているように、およびこれに類似の方法で調製することができる。
インフィニティー(Infinity)は、癌の治療の可能性に関して、静脈投与用水性製剤中で可溶な17−AAG(qv)のさらなるアナログであるHsp90阻害剤IPI−504を開発している。インフィニティーは、多発性骨髄腫(MM)および消化管間質性腫瘍(GIST)におけるIPI−504の研究を開始し、該化合物には他の血液癌および固形腫瘍に対して見込みがある。
IPI−504の構造(18,21−ジデヒドロ−17−デメトキシ−18,21−ジデオキソ(dideoxo)−18,21−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニルアミノ)−ゲルダナマイシンモノ塩酸塩と呼ばれる17−AAGの還元形態は)を下記に示す。これはWO2005/063714に記載されているように、およびこれに類似の方法で調製することができる。
コンフォーマセラピューティクスは、癌の治療の可能性に関して、CNF−2024(合成経口Hsp90阻害剤)を開発している。CNF−2024は経口プリンアナログである。
これはジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)2006年、49:817−828に記載されているように調製することができる。
22.チェックポイント標的剤
細胞増殖周期は複雑なプロセスであり、このプロセスの間は細胞はまずその染色体を複製し、その後細胞分裂または細胞質分裂を受ける。この周期の様々な段階で全ての適切な事象が起こるまでこの周期を経るさらなる進行を妨ぐためのメカニズムが存在する。これにより、必須の連続的な方式で細胞が該周期を経て進行し、細胞のDNAの全体性が確保される。そのようなチェックポイントの一つは有糸分裂において起こることが知られている。これは有糸分裂チェックポイントまたは紡錘体チェックポイントなどと様々に呼ばれる。すべての染色体がこれらの中心体を介して紡錘体に適切に結合されるまで細胞はこのチェックポイントで保持される。このチェックポイントにおける欠陥は、癌細胞に特有である異数性の表現型、または娘細胞における染色体の不均衡を導く。いくつかの癌治療はこのチェックポイントの破壊により作用する(染色体の誤った配置または早期の細胞質分裂を引き起こし、これにより腫瘍細胞の優先的な死をもたらすチェックポイントの活性化を導く)ことが知られている。例えば、タキサンおよびエポチロンは、紡錘体微小管の安定化を引き起こし正常な紡錘体収縮過程を妨げる類の薬剤である。ビンカアルカロイドは、微小管中の主要なタンパク質であるチューブリンに対する作用を通じて紡錘体形成を妨げる作用をする別の類の薬剤である。白金化合物およびヌクレオシドアナログ(5−FUなど)を含むDNAの損傷を引き起こすまたはDNA複製を破壊する薬剤は、チェックポイントにおける細胞停止およびその後の細胞死をもたらす。これら薬剤はしたがって、これらの治療上の作用のために、機能しているチェックポイントを必要とする。
オーロラキナーゼには細胞周期の有糸分裂期における重要な役割がある。オーロラキナーゼの阻害は、オーロラAの阻害からは初期の有糸分裂効果、およびオーロラBの阻害からは後期の細胞質分裂異常を導く有糸分裂過程の実質的な破壊をもたらすことが示されている。有糸分裂または細胞周期チェックポイントを活性化、妨害、修飾する薬剤とオーロラキナーゼ阻害剤とを組合せることは、細胞毒性に対する細胞の感受性を高めることができ、有益な組合せ効果が観察できると考えられている(アナンド(Anand S)、ペンリン・ロウ(Penrhyn-Lowe S)、ベンキタラマン(Venkitaraman AR.)、キャンサーセル(Cancer Cell)2003年、1月;3(1):51−62)。この文脈において、タキサン、エポチロンまたはビンカアルカロイドとオーロラキナーゼ阻害剤との組合せが有益であろうと予想される。特定のタキサン、エポチロンおよびビンカアルカロイドは本明細書に記載されている。
さらなるチェックポイント標的剤は、シスプラチンなどの白金化合物および5−FUなどのヌクレオシドアナログを含むDNAの損傷を引き起こしまたはDNA複製を破壊してチェックポイントにおける細胞停止およびその後の細胞死をもたらすものである。この文脈において、白金化合物およびヌクレオシドアナログとオーロラキナーゼ阻害剤との組合せは、細胞毒性に対する細胞の感受性を高めることができ、有益であろう予想される。特定の白金化合物およびヌクレオシドアナログは本明細書に記載されている。
本発明のオーロラ阻害剤と組合せて使用してまた特に有益であろうと予想される、細胞周期チェックポイントを活性化、妨害または修飾するさらなるチェックポイント標的化薬剤としては、ポロ様キナーゼ阻害剤(Plk)、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリー阻害剤およびキネシン阻害剤が挙げられる。ポロ様キナーゼは、M期中での細胞周期進行の重要な調節因子である。Plkは、紡錘体装置の集合におよびCDK/サイクリン複合体の活性化に関与する。Plk1は、Cdc25Cのリン酸化および活性化によってCDKのチロシン脱リン酸化を調節する。CDK1活性化は、次に紡錘体形成およびM期への進入を引き起こす。Chk1およびChk2などのチェックポイントキナーゼの重要性は本明細書に記載されている。
したがって、有糸分裂チェックポイントを破壊して作用し、よって本発明の化合物と組合せて有益であり得る開発中の他の薬剤としては、ポロ様キナーゼ阻害剤(例えば、BI−2536)、CHKキナーゼ阻害剤(例えば、イロフルベン(Irofulven)(CHK2阻害剤)、7−ヒドロキシスタウロスポリン(CHK1およびPKC両方の阻害剤であるUCN−01)、およびPD−321852)、BUBキナーゼファミリー阻害剤、ならびにCK0106023、CK−0060339およびSB−743921(下記に構造を示す)などのキネシン阻害剤(別名:有糸分裂キネシン紡錘体タンパク質(KSP)阻害剤)。
CK0106023、CK−0060339およびSB−743921はWO01/30768およびWO01/98278に記載されているように、およびこれらに類似の方法で調製および使用することができる。
CHKキナーゼ阻害剤としては、イロフルベン、UCN−01およびPD−321852が挙げられる。イロフルベン(構造を示す)は、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、乳癌、肺癌、結腸癌およびグリオーマを含む治療抵抗性および再発性腫瘍の治療の可能性に関する、イルジンS(illudin S)(Omphalotus illudens種のキノコからの毒素)に由来の半合成化合物である。イロフルベンはWO98/05669に記載されているように、またはこれに類似の方法で調製することができる。
PD−321852(チェックポイントキナーゼChkI阻害剤)(構造を示す)は、癌の治療の可能性に関してファイザー社により研究されている。
PD−321852は、WO01/53274、WO01/53268および特にWO03/091255に記載されているように、またはこれらに類似の方法で調製および使用することができる。
BI−2536(下記に構造を示す)は、固形腫瘍の治療の可能性に関する、セリン−スレオニンキナーゼのポロ様キナーゼ−1(PLK−1)の阻害剤である。BI−2536はWO2004/076454、WO2006/018220、WO2006/018221およびWO2006/018222に記載されているように、またはこれらに類似の方法で調製および使用することができる。
さらに、G2/M期の細胞を停止するチェックポイント標的剤もまた、同様の有益な効果を得るために本発明のオーロラキナーゼ阻害剤と組合せられ得る。したがって、白金化合物およびCDK阻害剤はしたがって、本発明の組合せと組合せて有益である可能性があることが予想され、よってそれらはさらなるチェックポイント標的剤となる。特定の白金化合物およびCDK阻害剤は本明細書に記載されている。
したがって、本発明による使用のためのチェックポイント標的剤の例としては、白金化合物、ヌクレオシドアナログ、CDK阻害剤、タキサン、ビンカアルカロイド、ポロ様キナーゼ阻害剤、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリー阻害剤およびキネシン阻害剤、特に白金化合物、ヌクレオシドアナログ、タキサンおよびビンカアルカロイド、より具体的には、タキサンおよびビンカアルカロイドなどの有糸分裂チェックポイントを標的とするチェックポイント標的剤が挙げられる。本発明の具体的な組合せは、シスプラチンまたはビンブラスチンまたはタキソールまたは5FU、特にタキソールを含む。
23.DNA修復阻害剤
DNA修複阻害剤としてはPARP阻害剤が挙げられる。
定義:本明細書では「PARP阻害剤」なる語は、上記のように、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、アイソトープおよび保護形態(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、およびより好ましくはその塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を含む、ポリアデノシン二リン酸リボース(ポリ(ADP−リボース))核酵素のファミリーの活性を阻害または修飾する化合物を定義するために使用される。また、PARP阻害剤はまた「DNA修複阻害剤」と呼ばれ得る。
生物学的活性:PARP阻害剤は、化学療法増感剤としての役割があり(例えば、抗癌療法後にDNA修複を妨げることによる)、抗癌治療に対する患者の全体的な応答の増強における役割を有する可能性がある。PARP阻害剤はまた、DNA修複における内因的欠損のある主要を有する患者における抗ガン剤として独立して作用し得る。
技術背景:PARP酵素は、200個を超えるADP−リボース単位からなる分枝ポリマーであるポリ(ADP−リボース)を合成する。ポリ(ADPリボース)のタンパク質アクセプターは、DNAの全体性を維持することに直接的または間接的に関与する。該タンパク質アクセプターとしては、ヒストン、トポイソメラーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼならびにCa2’およびMg2依存性エンドヌクレアーゼが挙げられる。PARPタンパク質は多くの組織中、最も顕著には免疫系、心臓、脳および生殖系列細胞中で高レベルで発現される。正常な生理学的条件下では、PARP活性は最小限である。しかしながら、DNAの損傷は500倍に及ぶPARPの即時活性化を引き起こす。
PARPは、損傷を受けたDNAフラグメントにより活性化され、一旦活性化されると、ヒストンおよびPARP自体を含む様々な核タンパク質への最大100個のADPリボース単位の付加を触媒する。3−アミノベンズアミドなどのPARP阻害剤が、例えば過酸化水素または電離放射線に応答して全体的なDNA修複に影響を及ぼすことも公知である。DNA鎖切断の修復におけるPARPの極めて重要な役割は、特に電離放射線により直接的にまたは、メチル化剤(特にテモゾラミド(temozolamide)、トポイソメラーゼI阻害剤ならびにシスプラチンおよびブレオマイシンなどの他の化学療法剤)により誘導されたDNA損傷の酵素的修復の後に間接的に引き起こされた場合において十分に確証されている。ノックアウトマウス、トランスドミナント阻害モデル(DNA結合ドメインの過剰発現)、アンチセンスおよび低分子量阻害剤を使用した様々な研究は、DNA損傷の誘発の後に修復および細胞生存におけるPARPの役割を実証した。PARP酵素活性の阻害は、DNA損傷治療に対する腫瘍細胞の感受性増加を引き起こすはずである。
PARP阻害剤は、恐らくDNA鎖切断の再結合を妨げるPARP阻害剤の能力によりおよびいくつかのDNA損傷シグナル伝達経路に影響を及ぼすことにより、(低酸素)腫瘍細胞に放射線感受性を与えるのに効果的であり、腫瘍細胞が放射線療法後にDNAの致死および亜致死であり得る損傷からの回復を妨げるのに効果的であるということが報告されている。PARP阻害剤は癌を治療するために使用されている。先端技術の最近の包括的な検討は、インベスティゲーショナルドラッグス(IDrugs)2001年、4(7):804においてリ(Li)およびジャン(Zhang)により発表された。
好ましい選択肢および実施形態:本発明による使用のために好ましいPARP阻害剤は、バイエル社から市販のベンダムスチン(5−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−1−メチル−2−ベンズイミダゾール酪酸またはα−[1−メチル−5−[ビス(βクロロエチル)アミノ]−2−ベンズイミダゾリル]酪酸)、イノテックファーマシューティカルズ(Inotek Pharmaceuticals)からのINO−1001(パーデックス(Pardex))、バイパーサイエンシズ(BiPar Sciences)からのBSI−201、ファイザー社からのAG−014699、および小野薬品工業からのONO−2231(N−[3−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−フタラジニル)フェニル]−4−モルホリンブタンアミドメタンスルフォネート)から選ばれる。
薬量:PARP阻害剤は、有利には、20〜100mgの1日投与量(例えば、ベンダムスチンに関しては21日サイクルにわたり30〜60分の注入で80〜120mg/m2(静脈内))で投与される。重要なPARP阻害剤は、転移性悪性メラノーマにおいて第3相併用試験が行われているファイザー社の製品である。これは、21日サイクルの投与のうちの1〜5日目に静脈内投与される。
24.Gタンパク質共役型受容体阻害剤(GPCR)
好ましいGPCRは、アトラセンタン(Atrasentan)(3−ピロリジンカルボン酸,4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−[2−(ジブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−(4−メトキシフェニル)−,[2R−(2アルファ,3ベータ,4アルファ)]−)。アボット・ラボラトリーズからのアトラセンタンは、前立腺腫瘍の治療のための強力かつ選択的なエンドセリンA受容体拮抗剤である。また、グリオーマ、乳房腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍、卵巣腫瘍、結腸直腸腫瘍および腎腫瘍など他の癌型においての生物学的活性の証拠がある。
薬量:アトラセンタンは、有利には、例えば毎日10mgの用量で経口投与されてもよい。
抗癌剤の組合せ
本発明の組合せは、本明細書に記載されるいずれの疾病および疾患の治療に使用されてもよい。
本発明の組合せは、2種以上の付属化合物を含んでもよい。そのような実施形態において、付属化合物は抗癌剤であってもよい。そのような実施形態において、前記2種以上の抗癌剤は独立して、カルボプラチン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ゲムシタビンおよびビノレルビンから選ばれてもよい。好ましくは、前記2種以上のさらなる抗癌剤は、カルボプラチン、タキソールおよびビノレルビン、またはカルボプラチンおよびタキソールである。
白金薬剤、タキソール、タキソテール、ゲムシタビン、ペメトレキセド、マイトマイシン、イホスファミド、ビノレルビン、エルロチニブおよびベバシズマブとの組合せ、あるいは、式(I)の化合物とカルボプラチンおよびタキソールとのまたはシスプラチンおよびゲムシタビンとの組合せは、非小細胞肺癌の治療のために特に適している。
一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、5−FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、CPT11、ベバシズマブ、セツキシマブおよびパンツマブ(pantumab)(ベクチビックス)から選ばれる。好ましくは、前記2種以上の抗癌剤は、5−FU、ロイコボリンおよびCPT11、または5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチン、CPT11およびセツキシマブである。
5−FU、ロイコボリンおよびCPT11との組合せ、あるいは5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンと式(I)の化合物との組合せ(それぞれの組合せはベバシズマブと共に)は、結腸癌の治療のために特に適している。
一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、メトトレキサート、タキサン、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン)、ハーセプチン、ラパチニブ、ベバシズマブ、ミトザントロン、エポチロン、5−FUおよびシクロホスファミドから選ばれる。一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、タキサン、アントラサイクリン(例えばドキソルビシン)、ハーセプチン、5−FUおよびシクロホスファミドから選ばれる。一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、5−FU、メトトレキサート、シクロホスファミド、ドキソルビシンから選ばれる。好ましくは、前記2種以上の抗癌剤は、5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミド、または5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド、またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドである。
5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミドとの組合せ、あるいは5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドとの組合せ、あるいはドキソルビシンおよびシクロホスファミドとの組合せは乳癌の治療のために特に適している。
一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、リツキシマブおよびプレドニゾンから選ばれる。好ましくは、前記2種以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、またはシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾンであり、リツキシマブがあってもなくてもよい。
シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、リツキシマブおよびプレドニゾンとの組合せは、非ホジキンリンパ腫(特に高悪性度非ホジキンリンパ腫)の治療のために特に適している。シクロホスファミド、ビンクリスチン、リツキシマブおよびプレドニゾンとの組合せは、非ホジキンリンパ腫(特に低悪性度非ホジキンリンパ腫)の治療のために特に適している。
一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、ビンクリスチン、サリドマイド、ドキソルビシン、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンから選ばれる。好ましくは、前記2種以上の抗癌剤は、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンである。
ビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイドおよびデキサメタゾンとの組合せは、多発性骨髄腫の治療のために特に適している。
一実施形態では、前記2種以上の抗癌剤は独立して、フルダラビン、アルメンツザマブおよびリツキサマブから選ばれる。好ましくは、前記2種以上の抗癌剤は、フルダラビンおよびリツキサマブである。
フルダラビンおよびリツキサマブとの組合せは、慢性リンパ球性白血病の治療のために特に適している。
一実施形態では、本発明の組合せは次から選ばれる2種以上の抗癌剤(シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサンおよびマイトマイシンCなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、DNA結合剤、モノクローナル抗体、シグナル伝達阻害剤、および微小管阻害剤(チューブリン標的化剤))の組合せを場合により含まない。
一実施形態では、本発明の組合せは、抗アンドロゲン、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤およびCDK阻害剤から選ばれる少なくとも1つの抗癌剤を含む。
疾患特異的抗癌剤の組合せ
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫の治療に特に適するのは、本発明の組合せと次から選ばれる付属化合物との併用である:(a)モノクローナル抗体(例えば、インターロイキン6を標的とするもの)、(b)プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、(c)プロテアソーム阻害剤およびコルチコステロイド(例えば、ベルケイドおよびデキサメタゾン)、ならびに(d)コルチコステロイド、アルキル化剤およびレノリダミド/サリドマイド(例えば、プレドニゾロン、メルファランおよびサリドマイド)。
メラノーマ
メラノーマの治療に特に適するのは、本発明の組合せと次から選ばれる付属化合物との併用である:(a)DNAメチル化酵素阻害剤/低メチル化薬剤(例えば、テモゾラミド)、(b)アルキル化薬(例えば、ダカルバジンまたはフォテムスチン(fotemustine))、ならびに(c)DNAメチル化酵素阻害剤/低メチル化薬剤(例えば、テモゾラミド)およびDNA修複阻害剤/PARP阻害剤。
乳癌
乳癌の治療に特に適するのは、本発明の組合せと次から選ばれる付属化合物との併用である:(a)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブおよびベビシザマブ(bevicizamab))、(b)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブおよびベビシザマブ)およびタキサン、ならびに(c)代謝拮抗剤(例えば、カペシタビン)およびシグナル伝達阻害剤(例えば、ラパチニブ)。
前立腺癌
前立腺癌の治療に特に適するのは、本発明の組合せとホルモンおよびGタンパク質共役受容体阻害剤との併用である。
非小細胞肺癌(NSCLC)
NSCLCの治療に特に適するのは、本発明の組合せと次から選ばれる付属化合物との併用である:(a)白金化合物およびタキサン、ならびに(b)白金化合物および代謝拮抗剤。
具体的な本発明の組合せ
具体的な本発明による組合せは、次の2種以上の抗癌剤を含む。
癌(および特に急性骨髄白血病)の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、アントラサイクリン、Ara C(別名:シタラビン)、6−メルカプトプリン、チオプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガミシンおよび顆粒球コロニー刺激因子の2種以上から選ばれる。あるいは、前記2種以上の抗癌剤は独立して、アントラサイクリン、Ara C(別名:シタラビン)、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガミシンおよび顆粒球コロニー刺激因子の2種以上から選ばれてもよい。
癌(および特に乳癌)の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、ベバシズマブ、タキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビン、特に5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドから選ばれる。好ましくは、癌(および特に乳癌)の治療に関して、前記2種以上の抗癌剤はまた独立して、タキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビン、特に5−FU、メトトレキサートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドから選ばれてもよい。
典型的な投薬レジメンは以下のものを含む:
シクロホスファミドを1日100mg/m2経口×14日間、ドキソルビシンを30mg/m2静注で1日目および8日目に、およびフルオロウラシルを500mg/m2静注で1日目および8日目に、以上を28日ごとに繰り返す。
シクロホスファミドを600mg/m2静注で1日目に、およびドキソルビシンを60mg/m2静注で1日目に、以上を21日ごとに。
癌(特に慢性リンパ球性白血病(CLL))の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、アレムツズマブ、クロラムブシル、シクロホスファミド、アルメンツズマブ(almentuzumab)、ビンクリスチン、プレジニゾロン(predinisolone)、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブ、特にフルダラビンおよびリツキサマブから選ばれる。好ましくは、癌(特に慢性リンパ球性白血病(CLL))の治療に関して、前記2種以上の抗癌剤は独立して、クロラムブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレジニゾロン、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブ、特にフルダラビンおよびリツキサマブから選ばれる。
癌(特に慢性骨髄性白血病(CML))の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、ヒドロキシウレア、シタラビン、デサチニブ(desatinib)、ニロチニブおよびイマチニブから選ばれる。
癌(特に結腸癌治療)に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、パンツマブ(pantumab)、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド(raltirexed)、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11、特に5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT11、あるいはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンから選ばれる。
あるいは、癌(特に結腸癌治療)に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11、ならびに特に5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT11、あるいはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンから選ばれる。
典型的な投薬レジメンは以下のものを含む:
フルオロウラシルを400〜425mg/m2静注で1〜5日目に、およびロイコボリンを20mg/m2静注で1〜5日目に、以上を28日ごとに繰り返す。
イリノテカンを100〜125mg/m2静注で90分にわたって1、8、15および22日目に、フォリン酸を20mg/m2静注で1、8、15および22日目に、ならびにフルオロウラシルを400〜500mg/m2静注で1、8、15および22日目に、以上を42日ごとに疾患進行まで繰り返す。
オキサリプラチンを500mlのD5W中85mg/m2静注で120分にわたって1日目に、フォリン酸を200mg/m2の120分にわたる静注で1および2日目に、フォリン酸の後にフルオロウラシルを400mg/m2静注ボーラス投与で1および2日目に、次にフルオロウラシルを600mg/m2持続静注で22時間にわたって1および2日目に、以上を12日ごとに最大12サイクル繰り返す。
癌(特に多発性骨髄腫治療)に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニゾン、シクロホスファミド、エトポシド、パミドロネート、サリドマイド、ゾレドロネートおよびボルテゾミブ、特にビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンから選ばれる。
癌(特に非ホジキンリンパ腫治療)に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、シクロホスファミド、ドキソルビシン/ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン/Onco−TCS(V/O)、プレドニゾロン、メトトレキサート、シタラビン、ブレオマイシン、エトポシド、リツキシマブ/リツキサマブ、フルダラビン、シスプラチンおよびイホスファミド(ifosphamide)、特に高悪性度非ホジキンリンパ腫には、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、または低悪性度非ホジキンリンパ腫には、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾンから選ばれる。
癌(特に非小細胞肺癌(NSCLC))の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビン、特にタキソールおよびカルボプラチン、またはゲムシタビンおよびシスプラチンから選ばれてもよい。
典型的な投薬レジメンは以下のものを含む:
ゲムシタビンを1000mg/m2静注で1、8および15日目に、ならびにシスプラチンを75〜100mg/m2静注で1日目に、以上を28日ごとに4〜6のサイクル繰り返す。
パクリタキセルを135〜225mg/m2静注で3時間にわたって1日目に、およびカルボプラチンを血中濃度曲線下面積6.0で静注で1日目に、以上を21日ごとに4〜6のサイクル繰り返す。
ドセタキセルを75mg/m2静注で1日目に、およびカルボプラチンを血中濃度曲線下面積5または6で静注で1日目に、以上を21日ごとに4〜6のサイクル繰り返す。
ドセタキセルを75mg/m2の静注で1日目に、およびシスプラチンを75mg/m2の静注で1日目、以上を21日ごとに4〜6サイクル繰り返す。
癌(特に卵巣癌)の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン)、ドキソルビシン、リポソームのドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、メルファランおよびミトキサントロンから選ばれる。
癌(特に前立腺癌)の治療に関して、2種以上の抗癌剤は独立して、ミトキサントロン、プレドニゾン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロン、メゲストロール/メゲストレル、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸、プレドニゾロンおよびタキソテールから選ばれる。
医薬製剤
本発明の組合せの有効化合物を単独で投与することもできるが、1種以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、フィラー、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の物質と、任意で他の治療または予防剤(例えば、化学療法に伴う副作用のいくつかを減少させるまたは緩和する薬剤)と一緒に、少なくとも1種の本発明の組合せの有効化合物を含有する医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが好ましい。このような薬剤の具体例としては、制吐剤、および化学療法に伴う好中球減少の持続性を防止または減少させる薬剤、および赤血球レベルまたは白血球レベルの減少から生じる合併症を予防する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げられる。
したがって、本発明はさらに、上記に定義される医薬組成物ならびに、本明細書に記載される1種以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤、または他の物質と一緒に、上記に定義される少なくとも1種の有効化合物を混合することからなる、医薬組成物の製造方法を提供する。
本明細書において「薬学上許容される」なる語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なく、被験体(例えば、ヒト)の組織との接触に用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比で釣り合いがとれた化合物、物質、組成物および/または投与形態を意味する。担体、賦形剤などの各々はまた、その製剤の他の成分と適合するという点で「許容される」ものでなければならない。
したがって、さらなる態様において本発明は本明細書で定義される組合せを医薬組成物の形態で提供する。
前記医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、点眼投与、点耳投与、直腸投与、膣内投与または経皮投与に適したいずれの形態であってもよい。前記組成物が非経口投与を意図したものである場合、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与用に処方することもできるし、あるいは注射、点滴または他の送達手段により標的臓器または組織に直接送達するために処方することもできる。送達はボーラス注射、短時間点滴または長時間点滴によるものとすることもでき、また、受動的送達であっても、または適切な輸液ポンプの利用を介したものでもよい。
非経口投与に適した医薬製剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、共溶媒、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(エマルション製剤を形成および安定化するため)、リポソーム形成のためのリポソーム成分、高分子ゲルを形成するためのゲル化可能なポリマー、凍結乾燥保護剤、ならびにとりわけ有効成分を可溶形態で安定化させるための薬剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする薬剤の組合せを含有していてもよい水性および非水性無菌注射液が挙げられる。非経口投与用医薬製剤はまた、懸濁化剤および増粘剤を含む水性および非水性無菌懸濁剤の形態をとってもよい(ストライクリー(R.G. Strickly)、経口および注射製剤における賦形剤の溶解(Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations)、ファーマシューティカルリサーチ(Pharmaceutical Research)、第21巻2号、2004年、201−230ページ)。
イオン性の薬剤分子は、その薬剤のpKaが製剤のpH値と十分に離れている場合には、pH調整により所望の濃度まで可溶化させることができる。許容される範囲は、静脈内投与および筋肉内投与ではpH2〜12であるが、皮下ではpH2.7〜9.0である。溶液のpHは塩形態の薬剤、塩酸もしくは水酸化ナトリウムなどの強酸/塩基、緩衝剤溶液(限定されるものではないが、グリシン、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、または炭酸塩が挙げられる)のいずれかにより制御される。
注射製剤では多くの場合、水溶液と水溶性有機溶媒/界面活性剤(すなわち、共溶媒)との組合せが用いられる。注射製剤に用いられる水溶性有機溶媒および界面活性剤としては、限定されるものではないが、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、グリセリン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP;ファーマソルブ(Pharmasolve))、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ソルトール(Solutol)HS15、クレモホールEL、クレモホールRH60およびポリソルベート80が挙げられる。このような製剤は、必ずというわけではないが、通常、注射前に希釈される。
プロピレングリコール、PEG300、エタノール、クレモホールEL、クレモホールRH60およびポリソルベート80は市販の注射製剤に用いられている、完全に水混和性の有機溶媒および界面活性剤であり、互いに併用が可能である。得られる有機注射製剤は通常、静脈内ボーラスまたは静脈内注入前に少なくとも2倍希釈される。
あるいは、水に対する溶解度の上昇はシクロデキストリンとの分子複合体形成によっても達成することができる。
リポソームは外側の脂質二重膜および内側の水性核からなる、閉じられた球状小胞であり、全体の直径が100μm未満である。疎水性の程度によって、中程度の疎水性薬剤であれば、薬剤をリポソーム内に封入またはインターカレーションした場合に、リポソームにより可溶化させることができる。疎水性薬剤はまた、薬剤分子を脂質二重膜の一体部分とした場合にも、リポソームにより可溶化させることができ、この場合、この疎水性薬剤は脂質二重膜の脂質部分に溶解される。典型的なリポソーム製剤はリン脂質を5〜20mg/mlで含む水、等張剤、pH5〜8の緩衝液、および必要に応じてコレステロールを含む。
前記製剤は単回用量容器または複数用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供することもできるし、使用直前に無菌液体担体、例えば、注射水を加えるだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することもできる。
前記医薬製剤は、組合せの1種またはそれ以上の構成要素(またはその塩)を凍結乾燥させることにより製造することができる。凍結乾燥とは、組成物をフリーズドライする手順をさす。よって、本明細書においてフリーズドライと凍結乾燥は同義語として用いられる。典型的な方法としては、化合物を可溶化させ、得られた製剤を明澄化し、濾過除菌し、凍結乾燥に適当な容器(例えば、バイアル)に無菌的に移すことである。バイアルの場合には、リオストッパー(lyo-stopper)で軽く栓をする。製剤は標準条件下で凍結するまで冷却し、凍結乾燥を行った後に密閉キャップをし、安定な凍結乾燥製剤を形成させることができる。この組成物は典型的には残留水分含量が低く、例えば、凍結乾燥物の重量の5重量%未満、例えば1重量%未満である。
前記凍結乾燥製剤は、他の賦形剤、例えば、増粘剤、分散剤、緩衝剤、酸化防止剤、保存剤および張力調整剤を含み得る。典型的な緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩およびグリシンが挙げられる。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、チオ尿素、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソールおよびエチレンジアミン四酢酸塩が挙げられる。保存剤としては、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。必要に応じて張力調整のために、上述の緩衝剤ならびにデキストロースおよび塩化ナトリウムを使用することができる。
凍結乾燥技術では一般に、プロセスを容易にするため、かつ/または凍結乾燥塊に嵩および/または機械的強度をもたせるために増量剤を用いる。増量剤は、前記化合物またはその塩とともに凍結乾燥した際に物理的に安定な凍結乾燥塊を生じ、より適切な凍結乾燥プロセスとし、さらに、迅速かつ完全な再構成をもたらす、水溶性の高い固体粒子希釈剤を意味する。増量剤はまた溶液を等張とするためにも利用することができる。
水溶性増量剤は、凍結乾燥に典型的に用いられる薬学上許容される不活性の固体材料のいずれのものであってもよい。このような増量剤としては、例えば、グルコース、マルトース、スクロースおよびラクトースなどの糖類、ソルビトールまたはマンニトールなどのポリアルコール、グリシンなどのアミノ酸、ポリビニルピロリジンなどのポリマー、ならびにデキストランなどの多糖類が挙げられる。
有効化合物の重量に対する増量剤の重量比は典型的には、約1〜約5の範囲、例えば、約1〜約3、例えば、約1〜2の範囲である。
あるいは、医薬製剤は、濃縮および適当なバイアルへの密封が可能な溶液の形態で提供することもできる。投与形態の滅菌は、製剤過程の適当な段階で、濾過によるか、またはバイアルとその内容物とをオートクレーブ処理することにより行うことができる。供給された製剤は、例えば、適切な無菌点滴パック中に希釈するなど、送達前にさらなる希釈または調製が必要な場合がある。
即時調合注射溶液および懸濁液は無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
本発明の好ましい一実施形態では、前記医薬組成物は、例えば注射または点滴による静注投与に適切な形態である。
別の好ましい実施形態では、前記医薬組成物は皮下(s.c.)投与に適した形態である。
経口投与に適した医薬投与形としては、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁剤、舌下錠、ウエハー剤またはパッチ剤ならびにバッカルパッチ剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、公知の技術にしたがって処方することができる。例えば、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、マック(Mack)出版社、イーストン、ペンシルベニア州、米国、参照。
したがって、錠剤組成物は、単位用量の有効化合物を、不活性希釈剤または担体、例えば、糖または糖アルコール(ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールなど)、および/または非糖由来希釈剤(炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはセルロースもしくはその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン(コーンスターチなど)など)とともに含有することができる。錠剤はまた、標準的な成分、例えば、結合剤および造粒剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、および発泡剤(例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物)を含有してもよい。このような賦形剤は公知であり、ここでは詳細に記載する必要はない。
カプセル製剤は、硬質ゼラチン種であっても軟質ゼラチン種であってもよく、固体、半固体または液体状の有効成分を含有することができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来の均等物から形成することができる。
固形投与形態(例えば、錠剤、カプセル剤など)はコーティングを施しても施さなくともよいが、典型的には例えば、保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有する。前記コーティング(例えば、オイドラギット(Eudragit)(登録商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で有効成分が放出されるように設計することができる。したがって、コーティングは胃腸管内の特定のpH条件下で分解するように選択することができ、これにより選択的に胃または回腸もしくは十二指腸で化合物を放出する。あるいはまたはさらに、コーティングは、苦味のある薬剤など不快な味を消すために矯味剤として使用することができる。コーティングは、不快な味を消す手助けをする糖分または他の物質を含んでもよい。
コーティングの代わりにまたはコーティングに加えて、放出制御剤、例えば、胃腸管において酸性度またはアルカリ性度が変化する条件下で化合物を選択的に放出するようにすることができる放出遅延剤を含んでなる固体マトリックス中に薬剤を提供してもよい。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、投与形態が胃腸管を通過するにつれて実質的に連続的に崩壊する崩壊性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。さらなる別法としては、有効化合物を、化合物の放出の浸透圧制御をもたらす送達系に処方することもできる。浸透圧放出性および他の遅延放出性または徐放性製剤は当業者に周知の方法にしたがって製造することができる。
前記医薬製剤は単一のパッケージ、通常はブリスターパック中に全コースの治療薬を含んだ「患者パック」として患者に提供することができる。患者パックは、調剤師がバルク供給から患者分の医薬を分配する従来の処方箋調剤に優る利点があり、患者は患者パックに入っている、患者の処方箋調剤では見ることができない添付文書をいつでも見ることができる。添付文書を包含しておけば、患者が医師の指示をよりよく遵守することが示されている。
局所使用のための組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴および挿入物(例えば、眼内挿入物)が挙げられる。このような組成物は、公知の方法にしたがって処方することができる。
非経口投与用の組成物は典型的には無菌水性もしくは油性溶液または微細懸濁液として提供されるか、あるいは注射用無菌水で即時構成できる微細無菌粉末の形態で提供されてもよい。
直腸投与または膣内投与用の製剤の例としては、ペッサリーおよび坐剤が挙げられ、これらは、例えば、有効化合物を含有する付形成形材またはワックス材から形成することができる。したがって、単位用量の坐剤またはペッサリーは、有効成分と1種以上の従来の固体担体(例えば、コカバター)とを混合することおよび得られる混合物を付形することにより調製されてもよい。成形可能なワックス材のさらなる例としては、高分子量ポリアルキルエングリコール(例えば、高分子量ポリエチレングリコール)などポリマーが挙げられる。
あるいは、膣内投与の場合、前記製剤は、有効成分と場合により1種以上の賦形剤または希釈剤とを含浸させたタンポンとして提供されてもよい。直腸および膣内投与に適した他の製剤としては、クリーム、ゲル、発泡体、ペーストおよびスプレーが挙げられる。
局所組成物のさらなる例としては、有効成分と場合により1種以上の賦形剤または希釈剤とを含浸させた包帯および絆創膏などの包帯材を含んでいる。使用され得る担体としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの多価アルコールが挙げられる。適切な賦形剤は、当該技術分野において公知の適切なものである。
吸入投与用組成物は、吸入可能な粉末組成物または液状もしくは粉末スプレーの形態をとってもよく、粉末吸入装置またはエアゾールディスペンシング装置を用いた標準的な形態で投与することができる。このような装置は周知である。吸入投与用の粉末製剤は、典型的には有効化合物をラクトースなどの不活性固体粉末希釈剤とともに含む。
本発明の組合せおよび/またはその構成要素化合物は、一般的には単位投与形態で提供され、それ自体、所望の生物活性レベルを与えるのに十分な化合物を典型的に含んでいる。例えば、製剤は1ナノグラム〜2グラムの有効成分、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの有効成分を含んでいてもよい。この範囲内での化合物の具体的な部分範囲としては、0.1ミリグラム〜2グラムの有効成分(より通常は、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラム)、または1マイクログラム〜20ミリグラム(例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラム〜2ミリグラムの有効成分)である。
経口投与用の組成物に関しては、単位投与形態は1ミリグラム〜2グラム、より典型的には、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜1グラム、例えば、100ミリグラム〜1グラムの有効化合物を含んでいてもよい。
有効化合物は、投与を必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに十分な量で投与する。
治療方法
本発明の組合せは、Hsp90クライアントタンパク質および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼにより仲介される様々な病態もしくは症状の予防または治療において有用となる。そのような病態および症状の例は上述されている。
上記組合せは、一般的にこのような投与を必要とする被験体(例えば、ヒトまたは動物の患者、好ましくはヒト)に対して投与される。
上記組合せは、治療上または予防上有用であり一般的に毒性のない量で典型的に投与されることになる。しかしながら、特定の状況において(例えば、生命を脅かす疾病の場合には)、本発明の組合せを投与する利点は、いかなる毒性効果または副作用の短所に勝ることがあり、この場合には組合せを毒性を伴う量で投与することが望ましいと考えられる可能性がある。
上記組合せは、有用な治療上の効果を維持するために長期間にわたって投与されてもよいし、または短期間のみ投与されてもよい。あるいは、継続的投与、または持続的で間欠的な投与(例えば、パルス的投与)を提供する方法で投与されてもよい。
典型的な1日量は、体重1キログラムあたり100ピコグラム〜100ミリグラム、より典型的には体重1キログラムあたり5ナノグラム〜25ミリグラム、およびより通常には体重1キログラムあたり10ナノグラム〜15ミリグラム(例えば、10ナノグラム〜10ミリグラム、およびより典型的には1キログラムあたり1マイクログラム〜1キログラムあたり20ミリグラム、例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム)の範囲でありえるが、必要な場合はより高用量またはより低用量で投与されてもよい。例えば、毎日、または2もしくは3もしくは4もしくは5もしくは6もしくは7もしくは10もしくは14もしくは21もしくは28日ごとに繰り返し投与することができる。
一具体的服薬スケジュールでは、患者に1日に1時間から4時間、最大10日間、特に1週間に最大2日間、3で2週間毎に点滴を施し、この処置は所望の間隔(例えば、3〜6週間、特に3週間毎)で繰り返される。
より詳しくは、患者に3週間の間に2週間、週に2回、1日に1時間点滴を施し、この処置を3週間毎に繰り返す。
あるいは、患者に4週間の間に3週間、週に2回、1日に1時間点滴を施し、この処置を4週間毎に繰り返す。
別の具体的服薬スケジュールでは、患者に1日に1時間、最大10日間、特に1週間に最大5日間点滴を施し、この処置を所望の間隔(例えば、2〜4週間、特に3週間毎)で繰り返される。
より詳しくは、患者に5日間、1日に1時間点滴を施し、この処置を3週間毎に繰り返す。
別の具体的服薬スケジュールでは、患者に、30分〜1時間にわたり点滴を施し、続いて様々な継続時間(例えば、1〜5時間、例えば、3時間)の維持点滴を施す。
さらなる具体的服薬スケジュールでは、患者に12時間〜5日間の持続点滴、特に24時間から72時間の持続点滴を施す。
しかしながら、最終的には投与量および使用する組成物の種類は、治療する疾病または生理状態の性質と見合うものとなり、医師の裁量によることになる。
本明細書で定義される組合せは、単一の治療薬として投与してもよいし、特定の病態(例えば、上記で定義される癌などの新生物疾患)の治療用の1種以上の他の化合物との併用療法において投与することができる。そのような化合物の例は、「本発明による使用のための任意の付属化合物」と題した節で記載されている。
本発明の組合せとともに投与されてもよい(同時にまたは異なる時間間隔であるかどうかにかかわらず)、他の治療用薬剤または治療の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
トポイソメラーゼI阻害剤
代謝拮抗剤
チューブリン標的化薬剤
DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
アルキル化剤
モノクローナル抗体
抗ホルモン
シグナル伝達阻害剤
プロテアソーム阻害剤
DNAメチルトランスフェラーゼ
サイトカインおよびレチノイド
クロマチン標的化療法、例えば、HDACまたはHATモジュレーター
放射線療法、および、
他の治療剤または予防薬;例えば、化学療法に伴う副作用のいくつかを減少または緩和する薬剤。そのような薬剤の具体的な例としては、制吐剤、および化学療法に伴う好中球減少の持続性を防止または減少させる薬剤、および赤血球レベルまたは白血球レベルの減少から生じる合併症を予防する薬剤、例えば、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)が挙げられる。また、ビスフォスフォネート剤(例えば、ゾレドネート、パミドロネートおよびイバンドロネート)などの骨吸収を阻害する薬剤、炎症反応を抑制する薬剤(デキサメタゾン、プレドニゾンおよびプレドニゾロンなど)、および天然ホルモンのソマトスタチンの薬理学的特性を模倣する薬理学的特性を備えた長時間作用性のオクタペプチドである酢酸オクトレオチドを含む、脳ホルモンソマトスタチンの合成型のような、先端肥大症患者において成長ホルモンおよびIGF−Iの血中濃度を減少させるために使用される薬剤が挙げられる。さらには、ロイコボリン(葉酸レベルを減少させる薬剤に対する解毒剤として使用される)またはフォリン酸それ自体などの薬剤、および浮腫および血栓塞栓症発作を含む副作用の治療のために使用することができる酢酸メゲストロールのような薬剤が挙げられる。
他の療法剤とさらに組合せた本発明の組合せの場合、前記2種以上の治療剤は、個別に違う用量スケジュールで、および異なる経路を通じて投与されてもよい。
前記組合せが、1、2、3、4種またはそれ以上の他の治療薬(好ましくは1種または2種、より好ましくは1種)と投与される場合は、前記構成要素は同時にまたは順次に投与できる。順次に投与される場合、それらは短い間隔で(例えば、5〜10分の期間にわたって)、またはより長い間隔(例えば、1、2、3、4時間またはそれ以上離れて、または必要とされる場合には、さらにより長い期間離れて)で投与することができるが、正確な投与レジメンは治療用薬剤の特性に対応する。
本発明の組合せはまた、放射線療法、光力学療法、遺伝子療法などの非化学療法的治療;手術および栄養制限食と併用して投与されてもよい。
別の化学療法剤との併用療法における使用に関して、前記組合せおよび1、2、3、4種またはそれ以上の他の治療剤は、例えば、2、3、4種またはそれ以上の治療剤を含む投薬形態で、ともに製剤化することができる。あるいは個々の治療剤は、個別に製剤化されキットの形態で一緒に提供されてもよく、任意でそれらの使用説明書が添付される。
当業者は、通常の知識により、用いる投与レジメンおよび組合せ療法が分かるであろう。
診断方法
本発明の組合せの投与前に、患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状が、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼに対する活性を有する化合物を含む組合せによる治療に対して感受性のある疾病または症状であるかどうかを決定するために患者をスクリーニングしてもよい。
患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状が、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼに対する活性を有する化合物を含む組合せによる治療に対して感受性のある疾病または症状であるかどうかを決定するためのスクリーニングである場合には、関連する診断方法は、WO2005/002552、WO2006/070195およびWO2007/077435の関連する節に記載されている(これら文献の開示は、参照により本書に援用される)。
患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状が、Hsp90に対する活性を有する化合物を含む組合せによる治療に対して感受性のある疾病または症状であるかどうかを決定するためのスクリーニングである場合には、本発明の組合せの投与前に、患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾病または症状が、Hsp90に対する活性を有する化合物による治療に対して感受性のある疾病または症状であるかどうかを決定するために患者をスクリーニングしてもよい。この場合、患者から採取した生体サンプルを分析して、その患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある癌などの症状または疾病がHsp90クライアントタンパク質の変異もしくは過剰な活性化をもたらす遺伝的異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうかを判定することができる。Hsp90クライアントタンパク質の活性化をもたらすこのような異常の例としては、Bcr−ABL転座、Flt−3内部重複、およびBraf変異、またはErbB2の過剰発現が挙げられる。
よって、患者をアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断試験に供してもよい。診断なる語はスクリーニングも含む。本発明者らはマーカーに、例えば、Braf、BCR−abl、Flt3および他の罹患クライアントタンパク質を同定するためのDNA組成の測定をはじめとする遺伝マーカーも包含する。マーカーなる語にはまた、ErbB2などのタンパク質が含まれ、タンパク質もしくはいくつかの断片もしくは分解産物、そして酵素に関しては酵素活性のレベルまたは濃度が含まれる。タンパク質(例えば、リン酸化されたものまたはされていないもの)および上述のタンパク質のmRNAレベルも活性の変化を特徴付けるために評価することができる。例えば、リン酸化AKTのレベルはHsp90阻害剤に対する感受性の指標となり得る。
診断試験は典型的には、例えば、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(脱落した腫瘍細胞の単離および濃縮)、糞便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹水、頬内からの塗抹標本、生検または尿から選ばれる生体サンプルに対して行なわれる。
このスクリーニング方法は典型的には、直接配列決定、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質マイクロアレイ分析、質量分析によるプロテオーム解析、免疫組織化学法、または特異抗体を用いた検出を含む。
タンパク質の変異およびアップレギュレーションの同定および分析方法は、当業者に周知である。スクリーニング方法としては、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはin situハイブリダイゼーション、または免疫ブロット法などの標準的な方法が挙げられる。
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、該mRNAのcDNAコピーを作成した後、該cDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、オースベル(Ausubel, F. M.)ら(編者)、分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、2004年、ジョンワイリー&サンズ、またはイニス(Innis, M. A.)ら(編者)、PCRプロトコル:方法および応用の手引き(PCR Protocols:a guide to methods and applications)、1990年、アカデミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ、に記載のような標準的な方法により行う。核酸技術に関する反応および操作はまた、サムブルック(Sambrook)ら、2001年、第3版、モレキュラークローニング:レボラトリーマニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。あるいは、RT−PCR用の市販キット(例えば、ロシュモレキュラーバイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)社)、または米国特許第4,666,828号;第4,683,202号;第4,801,531号;第5,192,659号;第5,272,057号;第5,882,864号および第6,218,529号に開示の方法が使用でき、これらは参照により本書に援用される。
mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の例として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)がある(アンゲラー(Angerer)、1987年、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Meth. Enzymol)、152:649参照)。
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要な工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるためそして非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)核酸混合物と生物学的構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような用途に用いるプローブは典型的には、例えば、放射性同位体または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするに十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド〜約1000以上のヌクレオチドである。また、白血病細胞集団でFlt3およびBcr−Abl転座を検出するために使用できる染色体再配列の細胞遺伝学的検出用の市販のFISHプローブも存在する。FISHを行うための標準的な方法は、オースベル(Ausubel, F. M.)ら(編者)、分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、2004年、ジョンワイリー&サンズ、およびバートレット(John M. S. Bartlett)による、in situハイブリダイゼーションにおける蛍光:癌の分子診断、方法およびプロトコルにおける技術的概観(Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview in Molecular Diagnosis of Cancer,Methods and Protocols、第2版;ISBN:1−59259−760−2;2004年3月、077−088ページ;シリーズ:分子医学における方法(Series: Methods in Molecular Medicine)に記載されている。
遺伝子発現プロファイリング法は、デプリモ(DePrimo)ら、BMCキャンサー、2003年、3:3に記載されている。要するに、このプロトコルは次の通りである:第一鎖cDNA合成を誘導(priming)するための(dT)24オリゴマーを用い、全RNAから二本鎖cDNAを合成した後、ランダムヘキサマープライマーを用い、第二鎖cDNAを合成する。この二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いるcRNAの生体外転写の鋳型として用いる。アフィメトリクス(Affymetrix)(サンタクララ、カリフォルニア州、米国)が記載しているプロトコルに従い、cRNAを化学的にフラグメント化した後、ヒトゲノムアレイ上で一晩ハイブリダイズさせる。
あるいは、mRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法により評価することができる。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、BCR−ABL転座の指標となる「フィラデルフィア染色体」の検出のためのこのような周知の技術を全て認識しているであろう。
したがって、これらの技術はいずれも、本発明の組合せによる治療に特に適した腫瘍を同定するために使用することができる。
以下の実施例に記載される具体的実施形態を参照して本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらの実施例では、次の省略形を用いる場合がある。
AcOH 酢酸
BOC tert−ブチルオキシカルボニル
Bn ベンジル
CDI 1,1−カルボニルジイミダゾール
DMAW90 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H2O(90:18:3:2)
DMAW120 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H2O(120:18:3:2)
DMAW240 溶媒混合物:DCM:MeOH、AcOH、H2O(240:20:3:2)
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド
Et3N トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
Et2O ジエチルエーテル
h 時間
HOAt 1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min. 分
P.E. 石油エーテル
r.t. 室温
SiO2 シリカ
TBTU N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
プロトン磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、特に断りのない限り、Bruker AV400機にて、DMSO−d6またはMeOH−d4(示されている通り)中、27℃、400.13MHzで操作して記録し、次のように表す:化学シフトδ/ppm(プロトン数、多重度:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br=ブロード)。残存するプロトン性溶媒は内部標準として用いた。
本実施例では、製造された化合物を、以下に示す系および作動条件を用いる液体クロマトグラフィーおよび質量分析により同定した。種々の同位体を有する原子が存在し、1つの質量で示される場合には、その化合物に関して表示されている質量はモノアイソトピック質量である(すなわち、35Cl;79Brなど)。以下に記載するように種々の系を用い、これらの系は極めて類似した操作条件下で実施されるように装備および設定を行った。使用した操作条件は、以下にも記載する。
システムの説明:
システム1(分析システム):
HPLCシステム:Waters 2795
質量検出器:Micromass Platform LC
PDA検出器:Waters 2996 PDA
システム2(分取および分析システム):
HPLCシステム:Waters Fractionlynxシステム
質量検出器:Waters ZQ
PDA検出器:Waters 2996 PDA
システム3(分取および分析システム):
HPLCシステム:Agilent 1100システム
質量検出器:LC/MSD
UV検出器:Agilent MWD
操作条件:
酸性分析条件:
溶出剤A:H2O(0.1%ギ酸)
溶出剤B:CH3CN(0.1%ギ酸)
勾配:3.5分間で5〜95%溶出剤B(15分w/カラム2)
流速:0.8ml/分
カラム1:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A、2.0×50mm
カラム2:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A、2.0×150mm
塩基性分析条件:
溶出剤A:H2O(10mM NH4HCO3バッファー、NH4OHでpH=9.2に調整)
溶出剤B:CH3CN
勾配:3.5分間で5〜95%溶出剤B
流速:0.8ml/分
カラム:Phenomenex Gemini 5μ 2.0×50mm
MS条件(Watersシステム):
キャピラリー電圧:3.6kV(ESネガティブでは3.40kV)
コーン電圧:25V
イオン源温度:120℃
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブ、ネガティブまたはポジティブ・ネガティブ
MS条件(Agilentシステム):
キャピラリー電圧:4000V(ESネガティブでは3500V)
フラグメンター/ゲイン:150/1
乾燥ガス温度/流速:350℃/13.0L/分−1
噴霧圧:50psig
スキャン範囲:125〜800amu
イオン化モード:エレクトロスプレーポジティブまたはネガティブ
各実施例の出発材料は特に断りのない限り市販されている。
A.一般合成法
以下の一般法では、示されている容量は、当業者に明らかなように、反応スケールに応じて変更することができる。
方法A1
アミドカップリング(酸塩化物法)
ベンゼン(またはトルエン)中の、カルボン酸(1当量)および塩化チオニル(1.5当量)の混合物を撹拌し、還流下で2時間保持した。この温溶液に過剰量のアミンを滴下し、混合物を室温で15分間撹拌した。あるいは、この酸塩化物を蒸発により単離した後、ジクロロメタン:トリエチルアミンの9:1混合物に再溶解し、その後、アミンを加え、この混合物を窒素下、室温で1〜18時間撹拌した。いずれの場合でも、この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および2M塩酸で連続的に抽出した。有機層を真空乾燥させて減量し、酢酸エチルでのトリチュレーションまたはシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中酢酸エチルの混合物で溶離)もしくはいくつかの場合では分取HPLC/MSのいずれかにより純粋な生成物を得た。
方法A2
アミドカップリング(EDC、HOBt法)
ジクロロメタン(10ml)中、この酸(1当量)の撹拌溶液を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.2当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.2当量)およびアミン(1.5当量)で連続的に処理し、この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を2M塩酸および2M水酸化ナトリウムで連続的に洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去して生成物を得た。これらの生成物は純粋な形態で得られたか、シリカでのカラムクロマトグラフィー(適当であれば石油エーテル中酢酸エチルまたは酢酸エチル中メタノールの混合物で溶離)により精製した。
方法A3
アニソールまたはベンジルエーテルの脱アルキル化(BBr3法)
0℃のジクロロメタン中、アニソールまたはベンジルエーテル(1当量)の撹拌溶液を、ジクロロメタン中三臭化ホウ素の1M溶液(1つの脱保護基につき1.5当量)で滴下処理し、この混合物を2時間撹拌した。水および重炭酸ナトリウム飽和水溶液を加えることでこの反応物をクエンチし、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。ジエチルエーテルもしくは酢酸エチルでのトリチュレーションまたはシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中酢酸エチルの混合物で溶離)のいずれかにより純粋な生成物を得た。
方法A4
アミドカップリング(EDC、HOAt法)
ジメチルホルムアミド(5ml)中、この酸(1当量)の撹拌溶液を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.2当量)、1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール(1.2当量)およびアミン(1.5当量)で連続的に処理し、この混合物を室温で一晩撹拌した。DMFを蒸発させ、粗物質をEtOAcに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウムで連続的に洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。生成物は純粋な形で得られたか、シリカでのカラムクロマトグラフィー(適当であれば石油エーテル中酢酸エチルまたは酢酸エチル中メタノールの混合物で溶離)により精製した。
方法A5
水素化
エタノール(5〜10ml)、メタノール(5〜10ml)またはメタノール/DCM(3ml/3ml)中、保護誘導体(1当量)と触媒量の10%パラジウム/炭素(一般に30〜50mg)の撹拌溶液を水素雰囲気下、室温で2〜16時間撹拌した。触媒を濾去し、メタノール(5ml)で洗浄し、溶媒を真空下で除去して生成物を得た。場合によっては、一般にエーテルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによる精製が必要であった。
方法A6
スズキカップリング
窒素下、臭化アリール(1当量、一般に0.5mmol)、ボロン酸またはカリウムビニルトリフルオロボレート誘導体(1.2当量)および炭酸セシウム(3当量)をTHF(10ml)に溶解させた。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(0.1当量)、その後、水(1ml)を加えた。この混合物は暗く変色し始め、黒化した。次に、この混合物を、反応が完了するまで(8〜45時間)窒素下で加熱還流した。混合物を冷却し、DCMで希釈し、硫酸マグネシウムを加えた。この混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣を石油エーテル/エーテル混合物中、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、一般に良好な収率(約60〜80%)で生成物を得た。
方法A7
レゾルシノールモノ−O−メチル化
アセトニトリル(基質1mmol当たり10ml)中、レゾルシノール(1当量)および炭酸カリウム(2.2当量)の撹拌溶液に、硫酸ジメチル(1当量)を加え、この混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し残渣をジクロロメタンと水とで分液し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテルと酢酸エチルの混合物で溶離)の後、または分取HPLC/MSにより、純粋な生成物を得た。
方法A8
求電子芳香族フッ素化
アセトニトリル(基質1mmol当たり15ml)中、基質(1当量)の溶液に、1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(1当量)を加え、この混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルと水とで分液した。有機層を分離し、真空乾燥させて減量した。シリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテルと酢酸エチルの混合物で溶離)の後、または分取HPLC/MSにより、純粋な生成物を得た。
B.カルボン酸中間体の合成
製法B1
4−ヒドロキシ−3−イソプロピル安息香酸
50%水酸化ナトリウム水溶液(120ml)中、2−イソプロピルフェノール(27.2g、0.2mol)の撹拌溶液に、四塩化炭素(28ml、0.26mol)および銅粉末(1.0g)を加え、この混合物を16時間、還流下で維持した。この混合物を冷却した後、濃塩酸を加えてpH2以下に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で抽出し、水層を、濃塩酸を極めて慎重に加えることでpH2以下に酸性化した。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄し、分離し、溶媒を真空下で除去し、4−ヒドロキシ−3−イソプロピル安息香酸(12.5g、35%)を鮮紅色固体として得、さらなる精製をせずに用いた。1H NMR(DMSO−d6)12.36(1H,br s),10.13(1H,br s),7.73(1H,d),7.63(1H,dd),6.85(1H,d),3.22(1H,m),1.19(6H,d).MS:[M−H]+179.
あるいは、必要であれば、この粗生成物を、ジベンジル化[5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチルの合成(BnBr、K2CO3、MeCN、還流)に関して下記の製法B5で概説される条件に従う]、色の濃い不純物の除去を目的としたシリカでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中3〜5%の酢酸エチルで溶離)および接触水素化[上記で概説される方法A5(10%Pd/C、EtOH、H2)に従う]を含む三段階法を用いて精製し、4−ヒドロキシ−3−イソプロピル安息香酸を無色の固体として得ることができる。
製法B2
5−エチル−2−メトキシ安息香酸
窒素雰囲気下、無水ジエチルエーテル(100ml)中、4−エチルアニソール(11.7g、86.0mmol)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(10ml、88.0mmol)の撹拌溶液に、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、38.5ml、100.0mmol)を滴下し、この混合物を撹拌し、30℃で16時間維持した。この混合物を冷却し、無水ジエチルエーテル中、過剰量の固体二酸化炭素の混合物にゆっくり注いだ。この混合物を室温まで温めたところで、2M水酸化ナトリウムを加えてこの混合物を塩基性とし、水層を分離し、濃塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5−エチル−2−メトキシ安息香酸(5.7g、37%)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(DMSO−d6)12.50(1H,br s),7.48(1H,d),7.33(1H,dd),7.03(1H,d),2.56(2H,q),1.17(3H,q).MS:[M+H]+181.
製法B3
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−クロロ−安息香酸
水(10ml)およびジオキサン(10ml)中、水酸化ナトリウム(1.20g、30.0mmol)の撹拌溶液に、1−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−クロロ−フェニル)−エタノン[WO2004/0500087に従って製造](1.10g、3.0mmol)を加えた。臭素(1.44g、9.0mmol)を滴下し、この混合物を室温で3時間撹拌した。ジオキサンを真空蒸発により除去し、この混合物を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−クロロ−安息香酸(900mg、81%)を淡黄色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)12.58(1H,br s),7.77(1H,s),7.55−7.30(10H,m),7.11(1H,s),5.31(2H,s),5.27(2H,s).MS:[M+H]+369.
製法B4
3−(1,2−ジメチル−アリル)−4−ヒドロキシ−安息香酸
アセトニトリル(30ml)中、4−ヒドロキシ安息香酸エチル(1.66g、10.0mmol)および無水炭酸カリウム(2.07g、15.0mmol)を、3−メチル−2−ブテニルクロリド(1.35ml、12.0mmol)で処理し、この混合物を撹拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで溶媒を真空下で除去し、この混合物をジクロロメタンと水とで分液した。有機相を分離し、溶媒を真空下で除去し、4−(3−メチル−but−2−enイルオキシ)−安息香酸エチル(2.23g、95%)を淡黄色の液体として得、さらなる精製をせずに用いた。1H NMR(DMSO−d6)7.89(2H,d),7.04(2H,d),5.44(1H,t),4.62(2H,d),4.28(2H,q),1.77(3H,s),1.73(3H,s),1.31(3H,t).MS:[M+H]+235.
4−(3−メチル−but−2−enイルオキシ)−安息香酸エチル(2.23g、9.53mmol)をアニソール(8ml)に溶解させ、この混合物を撹拌し、還流下で4日間維持した。溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中、20%酢酸エチルで溶出し、3−(1,2−ジメチル−アリル)−4−ヒドロキシ−安息香酸エチル(600mg、27%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)10.32(1H,br s),7.67(1H,dd),7.62(1H,s),6.90(1H,d),4.90(1H,s),4.85(1H,s),4.25(2H,q),3.75(1H,q),1.61(3H,s),1.30(3H,t),1.26(3H,d).MS:[M+H]+235.
3−(1,2−ジメチル−アリル)−4−ヒドロキシ−安息香酸エチル(600mg、2.56mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(10ml)中、水酸化カリウム(560mg、10.0mmol)の溶液を加え、この混合物を撹拌し、還流下で16時間維持した。冷却したところで、メタノールを真空下で除去し、この溶液を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、3−(1,2−ジメチル−アリル)−4−ヒドロキシ−安息香酸(270mg、51%)を無色のガムとして得た。1H NMR(DMSO−d6)12.38(1H,br s),10.22(1H,br s),7.63(2H,m),6.88(1H,d),4.90(1H,s),4.87(1H,s),3.75(1H,q),1.60(3H,s),1.28(3H,d).MS:[M−H]+205.
製法B5
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸
三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(7.6ml)中の2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル(5.04g、30.0mmol)に、無水酢酸(3.06g、30.0mmol)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で3時間維持した後、室温まで冷却した。水(80ml)を加え、この混合物を室温で30分間撹拌した。得られた黄色固体を濾別し、真空下で吸引してできる限り乾燥させた。この固体をジクロロメタンに溶解させ、水で洗浄し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチルを鮮黄色固体として得(2.62g、42%)、さらなる精製をせずに用いた。1H NMR(DMSO−d6)12.58(1H,s),11.22(1H,s),8.33(1H,s),6.45(1H,s),3.90(3H,s),2.62(3H,s).MS:[M+H]+211.
5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル(2.62g、12.48mmol)をアセトニトリル(40ml)に溶解させ、無水炭酸カリウム(4.93g、35.7mmol)を加え、この撹拌混合物を臭化ベンジル(5.09g、29.75mmol)で処理し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を水とジクロロメタンとで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(3.48g、71%)を無色の固体として得、これを真空炉にて50℃で乾燥させ、さらなる精製をせずに用いた。1H NMR(DMSO−d6)8.21(1H,s),7.55(4H,m),7.43(4H,m),7.37(2H,m),7.04(1H,s),5.38(4H,s),3.79(3H,s),2.48(3H,s).MS:[M+H]+391.
0℃、窒素雰囲気下で、無水テトラヒドロフラン(20ml)中、臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.96g、5.5mmol)の撹拌懸濁液を、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、3.5ml、5.5mmol)で滴下処理し、得られた鮮黄色溶液を0℃で30分間撹拌した。無水テトラヒドロフラン(20ml)中、5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(1.95g、5.00mmol)の溶液を滴下し、得られた混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。メタノール(10ml)を加え、溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタンと水とで分液し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去して褐色のガムを得、これをシリカでのカラムクロマトグラフィーにより精製した。石油エーテル中、7%酢酸エチルで溶離し、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルを無色の固体として得た(700mg、36%)。1H NMR(DMSO−d6)7.59(1H,s),7.52(2H,d),7.64−7.32(8H,m),6.97(1H,s),5.28(2H,s),5.22(2H,s),5.09(1H,s),5.04(1H,s),3.76(3H,s),2.02(3H,s).MS:[M+H]+389.
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチル(700mg、1.80mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(4ml)中、水酸化カリウム(286mg、5.1mmol)の溶液を加え、この混合物を撹拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(600mg、89%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.52(2H,d),7.47−7.29(9H,m),6.82(1H,s),5.20(2H,s),5.17(2H,s),5.06(1H,s),5.04(1H,s),2.03(3H,s).MS:[M+H]+375.
製法B6
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−安息香酸
2,4−ジヒドロキシ−5−ブロモ安息香酸(5.16g、22.15mmol)をDMF(40ml)に溶解させ、炭酸カリウム(12.2g)および臭化ベンジル(8ml)を順次加えた。この混合物を窒素下、室温で18時間撹拌した。次に、水(25ml)中、水酸化カリウム(2g)の水溶液、その後、メタノール(50ml)を加え、この混合物を激しく撹拌しながら24時間加熱還流した。次に、この混合物を冷却し、1N HCl(250ml)に注いだ後、エーテル、次いでDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。得られた固体物質をP.E.その後、Et2O(3×50ml)で洗浄し、純粋な生成物を得た(5.2g、56%)。1H NMR(MeOH−d4)8.06(1H,s),7.51−7.30(10H,m),6.85(1H,s),5.22(2H,s),5.20(2H,s).MS:[M+H]+413.
製法B7
(Z)−4−ベンジルオキシ−3−(1−メチル−プロペニル)−安息香酸の合成
3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸メチル[Tetrahedron,2003,59,9173に従って製造](3.47g、15.0mmol)をアセトニトリル(50ml)に溶解させ、無水炭酸カリウム(3.11g、22.5mmol)を加え、この撹拌混合物を臭化ベンジル(3.08g、18.0mmol)で処理し、還流下で5時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を水とジクロロメタンとで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中10%の酢酸エチルで溶離し、4−ベンジルオキシ−3−ブロモ安息香酸メチル(3.6g、75%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)8.12(1H,d),7.96(1H,dd),7.51(2H,m),7.43(2H,t),7.35(2H,m),5.32(2H,s),3.84(3H,s).
4−ベンジルオキシ−3−ブロモ安息香酸メチル(1.61g、5.0mmol)、炭酸セシウム(4.89g、15.0mmol)、(E)−2−ブテン−2−イルボロン酸(600mg、6.0mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]パラジウム(II)クロリド(204mg、0.25mmol)を無水テトラヒドロフラン(100ml)に溶解させ、水(10ml)を加え、この混合物を撹拌し、窒素雰囲気下、還流下で16時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物をジクロロメタンと水とで分液した。有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中5%の酢酸エチルで溶離し、(Z)−4−ベンジルオキシ−3−(1−メチル−プロペニル)−安息香酸メチル(600mg、41%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.88(1H,dd),7.59(1H,d),7.40(4H,m),7.34(1H,m),7.23(1H,d),5.57(1H,q),5.21(2H,s),3.82(3H,s),1.94(3H,s),1.38(3H,d).
(Z)−4−ベンジルオキシ−3−(1−メチル−プロペニル)−安息香酸メチル(592mg、2.0mmol)をメタノール(20ml)に溶解させ、水(7ml)中、水酸化カリウム(336mg、6.0mmol)の溶液を加え、この混合物を撹拌し、還流下で3時間維持した。冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、(Z)−4−ベンジルオキシ−3−(1−メチル−プロペニル)−安息香酸(460mg、82%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.85(1H,dd),7.57(1H,d),7.40(4H,m),7.34(1H,m),7.18(1H,d),5.57(1H,q),5.21(2H,s),1.96(3H,s),1.40(3H,d).MS:[M+H]+283.
製法B8
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−tert−ブチル−安息香酸の合成
1−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−tert−ブチル−フェニル)−エタノン[WO2004/072051に従って製造](2.02g、5.2mmol)を1,4−ジオキサン(30ml)に溶解させ、水(30ml)中、水酸化ナトリウム(2.08g、52.0mmol)の溶液を加え、この混合物を撹拌し、臭素(0.8ml、15.6mmol)で滴下処理した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。1,4−ジオキサンを真空下で除去し、この混合物を、2M塩酸を加えてpH2以下に酸性化した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーに付した。石油エーテル中30%の酢酸エチルで溶離し、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−tert−ブチル−安息香酸(1.6g、79%)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(DMSO−d6)12.18(1H,br s),7.69(1H,s),7.52(4H,t),7.45−7.33(6H,m),6.93(1H,s),5.24(2H,s),5.23(2H,s),1.32(9H,s).MS:[M+H]+391.
製法B9
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸の合成(別法)
工程1:2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−安息香酸ベンジルエステルの合成
フランジリッドを取り付け、撹拌子、温度計、および滴下漏斗が入った10L容のジャケット付き容器に、アセトン(2.5L)、次いで、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸(100g、0.43mol)および炭酸カリウム(356g、2.58mol)を投入した。周囲温度でこの撹拌混合物に、約20ml/分の速度で臭化ベンジル(185ml、1.55mol)を加えた。この混合物を18時間60℃で加熱した後、45℃にした。水(1.5L)を加え、この混合物を30分間撹拌した。この混合物をEtOAc(2×1L)で抽出し、合わせた有機部分を真空下で減量した。この残渣にEt2O(200ml)および石油エーテル(1L)を加え、この混合物を30分間撹拌し、生じた固体を濾取し、真空乾燥させ、標題化合物(197.2g)を白色固体として得た。
工程2:カリウムイソプロペニルトリフルオロボレートの合成
N2雰囲気下、−78℃で撹拌している無水THF(250ml)中、2−ブロモプロペン(20ml、225mmol)の溶液に、30分かけてn−BuLi(ヘキサン中2.5M)(100ml、250mmol)を加え、この混合物を30分間撹拌した。この混合物に−78℃でホウ酸トリエチル(58ml、340mmol)を、反応混合物の温度が−65℃を超えないような速度でゆっくり加えた。次に、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌し、周囲温度までゆっくり温め、さらに90分間撹拌した。この混合物にフッ化水素カリウム(105g、1.35mol)、次いで水(250ml)を加えた。この混合物を周囲温度で14時間撹拌した後、乾固するまで減量した。
この手順を上記の通りに繰り返し、乾固するまで減量した後、さらなる後処理のため、この2回の残渣を合わせた。
合わせた残渣にアセトン(800ml)を加え、この混合物を1時間撹拌した後、濾過した。集めた固体をアセトン(200ml)で洗浄し、合わせた濾液を真空下で減量して固体を得た。この固体をEt2O(250ml)で析出させた後、真空乾燥させ、標題化合物(28.2g)を白色固体として得た。
工程3:2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸ベンジルエステルの合成
THF(800ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−安息香酸ベンジルエステル(42.9g、85.7mmol)、カリウムイソプロペニルトリフルオロボレート(14.0g、95.2mmol)および炭酸セシウム(83.8g、257.1mmol)の混合物に、Pd(PPh3)4(2.0g)、次いで水(150ml)を加えた。この混合物を還流下で72時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。この混合物を真空下で減量してTHFを除去した後、水(500ml)とEtOAc(300ml)とで分液した。有機部分をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で減量し、標題化合物(40.9g)を褐色油状物として得た。
工程3A
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸ベンジルエステルの別法合成
2−プロパノール/水(2:1、200ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−安息香酸ベンジルエステル(10.0g、20mmol)、カリウムイソプロペニルトリフルオロボレート(4.0g、27.2mmol)およびn−ブチルアミン(6.0ml、60mmol)の混合物をN2で5分間パージした。この混合物に[1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(816mg、1.09mmol)を加え、この混合物を還流下で20時間加熱した。この混合物を周囲温度まで冷却した後、水(400ml)で希釈し、EtOAc(2×300ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を1M HCl水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、セライトプラグで濾過し、濾液を真空下で減量し、標題化合物(11.1g)を褐色のガムとして得た。
工程4:2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸の合成
THF−MeOH−水(3:1:1、計300ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸ベンジルエステル(40.8g、87.9mmol)の溶液に、水酸化リチウム(8.42g、352mmol)を加えた。この混合物を16時間50℃で加熱し、周囲温度まで冷却した後、水(300ml)で希釈した。この混合物を、濃HCl(約30ml)を用いてpH約1とした後、EtOAc(2×200ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で減量した。固体残渣をP.E−MeOH(9:1、計300ml)に取り、このスラリーを周囲温度で1時間撹拌し、固体を濾取した。この固体を真空乾燥させ、標題化合物(26.8g)を灰白色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)12.30(s,1H),7.61(s,1H),7.53(d,J=7.0Hz,2H),7.47−7.31(m,8H),6.94(s,1H),5.23(d,J=14.0Hz,4H),5.08(d,J=9.0Hz,2H),2.04(s,3H).
製法B10
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸
工程1
1−(2−4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−エタノンの製法
投入材料:
S.No. 材料 量 当量
1. 1,3ジヒドロキシアセトフェノン 50g 1
2. 臭化ベンジル 97ml 3
3. アセトニトリル 750ml 15倍
4. 炭酸カリウム 115g 3
1,3ジヒドロキシアセトフェノン(50g)を、還流冷却器およびガードチューブを備えた2L容の一つ口丸底フラスコに入れた。アセトニトリル(750ml)、炭酸カリウム(115g)および臭化ベンジル(97ml)を加え、この混合物を還流下で16時間加熱した(90℃)。完了したところでアセトニトリルを減圧下で除去した。この反応混合物に水(200ml)を加えた後、酢酸エチル(500ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをn−ヘキサン(600ml)で洗浄し、生成物を得た。
得られた生成物の量: 105.1g
収率: 96.24%
性質: 固体
色: 褐色
工程2
2−4−ビス−ベンジルオキシ−1−イソプロペニルベンゼンの製法
投入材料:
S.No. 材料 量 当量
1. 工程1の化合物 20g 1
2. n−BuLi(1.6M) 92.6ml 2.3
3.メチル−トリフェニルホスホニウムヨージド 53.4g 2.2
4. THF 200ml 10倍
メチル−トリフェニルホスホニウムヨージド(53.4g)およびTHF(100ml)を、添加漏斗および窒素流入口を備えた1L容の三つ口丸底フラスコに導入し、この混合物を0℃まで冷却した。この反応混合物に0℃で15分かけてn−BuLi(92.6ml)を滴下した。この反応混合物を0℃で10分間撹拌し、さらに室温で30分間撹拌した。この反応混合物に0℃で10分かけてTHF(100ml)中、1−(2−4−ビス−ベンジルオキシ−フェニル)−エタノン(20g)を滴下し、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n−ヘキサン、生成物Rf約0.9)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物にメタノール(約100ml)を加え、溶媒を減圧下で除去して残渣を得た。この残渣にn−ヘキサン(1L)を加え、30分間還流させた(75℃)後、この混合物をセライトベッドで濾過し、このベッドをn−ヘキサン(500ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2 2%EtOAc/n−ヘキサン)によりさらに精製した。
得られた生成物の量: 12.5g
収率: 63.13%
性質: 液体
色: 無色
工程3
4−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール
投入材料:
S.No. 材料 量 当量
1. 2−4−ビス−ベンジルオキシ
−1−イソプロペニルベンゼン 12.5g 1
2. エタノール 125ml 10倍
3. 20%水酸化パラジウム 2g
500ml容の水素化フラスコ内の、エタノール(125ml)中、2−4−ビス−ベンジルオキシ−1−イソプロペニルベンゼン(12.5g)の混合物に、20%水酸化パラジウム(2g)を加えた。この反応混合物を80psiで36時間水素化した。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n−ヘキサン、生成物Rf約0.1)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物をセライトベッドで濾過し、このベッドをエタノール(300ml)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得、これをそのまま次の工程に用いた。
得られた生成物の量: 5.8g(粗物質)
性質: 固体
色: 無色
工程4
1−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−エタノン
投入材料:
S.No. 材料 量 当量
1. 4−イソプロピル−ベンゼン
−1,3−ジオール 5.8g 1
2. 三フッ化ホウ素エーテラート 28.7ml 6
3. 酢酸 4.55ml 2
還流冷却器および窒素流入口を備えた250ml容の一つ口丸底フラスコに、4−イソプロピル−ベンゼン−1,3−ジオール(5.8g)および三フッ化ホウ素エーテラート(28.7ml)を導入し、室温で10分間撹拌した。この反応混合物に酢酸(4.55ml)を加え、90℃で16時間撹拌した。完了したところで、この反応混合物に10%酢酸ナトリウム(300ml)を加えた後、前に室温で4時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(300ml)で抽出し、飽和重炭酸ナトリウム(100ml)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。この反応をTLC(10%EtOAc/n−ヘキサン、生成物Rf〜0.5)によりモニタリングした。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2、10%EtOAc/n−ヘキサン)によりさらに精製した。
得られた生成物の量: 3.2g
収率: 43.24%
性質: 固体
色: 無色
工程5
1−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−エタノン
投入材料:
S.No. 材料 量 当量
1. 1−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−エタノン
3.2g 1
2. 臭化ベンジル 5.89ml 3
3. 炭酸カリウム 6.82g 3
4. アセトニトリル 60ml 20倍
還流冷却器およびガードチューブを備えた250ml容の一つ口丸底フラスコ内の、1−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−エタノン(3.2g)、アセトニトリル(60ml)および炭酸カリウム(10.6g)の混合物に、臭化ベンジル(9.1ml)を加えた。この反応混合物を16時間還流した(90℃)。反応の進行をTLC(10%EtOAc/n−ヘキサン、生成物Rf約0.5)によりモニタリングした。完了したところで、アセトニトリルを減圧下で除去した。得られた残渣に水(100ml)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これにn−ヘキサン(150ml)を加えて生成物を得た。
得られた生成物の量: 5.1g
収率: 83.6%
性質: 固体
色: 無色
工程6
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸
投入材料:
S.No. 材料 量
1. 1−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)
−エタノン 7g
2. ヒポ臭化ナトリウム 水100ml中13g
3. ジオキサン 100ml
手順:
ガードチューブを備えた500ml容の一つ口丸底フラスコ内の、ジオキサン(100ml)中、1−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−エタノン(7g)の混合物を10℃まで冷却し、ヒポ臭化ナトリウム[水(100ml)中13g]を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応の進行をTLC(30%EtOAc/n−ヘキサン、生成物Rf約0.5)によりモニタリングした。完了したところで、この反応混合物に重亜硫酸ナトリウム(7g)を加え、0℃まで冷却した。この反応混合物をHCl(約10ml)でpH約2まで酸性化し、酢酸エチル(100ml)で抽出し、水(25ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2、10%EtOAc/n−ヘキサン)によりさらに精製した。
得られた生成物の量: 3.4g
収率: 48.3%
性質: 固体
色: 無色
C.イソインドリン中間体の合成
製法C1
4,7−ジフルオロイソインドリンの合成
四塩化炭素(50ml)中、1,4−ジフルオロ−2,3−ジメチルベンゼン(4.26g、30.0mmol)、N−ブロモスクシンイミド(10.68g、60.0mmol)および過酸化ジベンゾイル(水中75重量%、120mg)の混合物を撹拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、この混合物を濾過し、固体を四塩化炭素(10ml)で洗浄し、有機抽出物を合わせ、溶媒を真空下で除去し、2,3−ビス−ブロモメチル−1,4−ジフルオロベンゼン(9.0g、100%)を淡黄色の液体として得、これは放置すると固化した。1H NMR(DMSO−d6)7.36(2H,dd),4.78(4H,s).
激しく撹拌した、無水N,N−ジメチルホルムアミド(60ml)中、水素化ナトリウム(1.2g、鉱油中60重量%、30.0mmol)の懸濁液に、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中、4−トルエンスルホンアミド(2.44g、14.28mmol)の溶液を滴下した。この混合物を室温で1時間、110℃で1時間撹拌した後、60℃まで冷却し、N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中、2,3−ビス−ブロモメチル−1,4−ジフルオロベンゼン(4.28g、14.28mmol)の溶液を滴下した。この混合物を60℃で1時間、その後、室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンと1M塩酸とで分液した。有機層を分離し、5%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、有機相を分離し、溶媒を真空下で除去した。残渣をジエチルエーテルですすぎ、濾過し、固体を減圧下で吸引乾燥させ、4,7−ジフルオロ−2−(トルエン−4−スルホニル)イソインドリン(2.46g、56%)を淡黄褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.82(2H,d),7.43(2H,d),7.15(2H,dd),4.66(4H,s),2.36(3H,s).MS:[M+H]+310.
水(20ml)およびプロピオン酸(4ml)中、4,7−ジフルオロ−2−(トルエン−4−スルホニル)イソインドリン(2.36g、7.64mmol)、フェノール(2.36g、25.11mmol)、48%臭化水素の混合物を撹拌し、還流下で6時間維持した。室温まで冷却したところで、水(50ml)を加え、この混合物をジエチルエーテル(2×100ml)で抽出した。水層を、2M水酸化ナトリウムを加えることで塩基性化し、ジエチルエーテル(3×100ml)で抽出した。合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固させ、4,7−ジフルオロイソインドリン(586mg、50%)を褐色油状物として得、これは放置すると固化した。1H NMR(DMSO−d6)7.06(2H,dd),4.12(4H,s).MS:[M+H]+156.
製法C2
5−ヒドロキシイソインドリンヒドロブロミドの合成
メタノール(100ml)中、ジメチル4−メトキシフタレート(36.75g、0.16mol)の溶液を、水(50ml)中水酸化カリウム(28.0g、0.5mol)の溶液で処理し、この混合物を撹拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、メタノールを真空下で除去し、この混合物を、5M塩酸を加えることでpH2以下に酸性化した。固体物質を濾別し、水で洗浄し、減圧下で一晩吸引乾燥させ、4−メトキシフタル酸(31.8g、99%)を灰白色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)12.90(2H,br s),7.74(1H,d),7.12−7.05(2H,m),3.84(3H,s).MS:[M+H]+197.
無水テトラヒドロフラン(150ml)中、4−メトキシフタル酸(30.8g、0.16mol)の混合物に、無水酢酸(40ml)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、無水4−メトキシフタル酸(27.8g、99%)を灰白色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)8.02(1H,d),7.59(1H,d),7.49(1H,dd),3.97(3H,s).MS:[M+H]+179.
無水4−メトキシフタル酸(27.8g、0.16mol)およびホルムアミド(175ml)の混合物を撹拌し、210℃で5時間維持し、その後、一晩室温まで冷却した。この固体物質を濾別し、水(100ml)、50%アセトン水溶液(50ml)およびジエチルエーテル(200ml)で順次洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、4−メトキシフタルイミド(21.3g、77%)を淡黄色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)11.15(1H,br s),7.74(1H,d),7.33−7.28(2H,m),3.92(3H,s).
0℃の無水テトラヒドロフラン(425ml)中、4−メトキシフタルイミド(21.3g、0.12mol)の撹拌溶液を、テトラヒドロフラン(1M、340ml、0.34mol)中ボランの溶液で滴下処理し、得られた混合物を撹拌し、還流下で16時間維持した。この混合物を0℃まで冷却し、メタノール(150ml)、その後、5M塩酸(150ml)を滴下し、この混合物を撹拌し、還流下で3時間維持した。室温まで冷却したところで、有機溶媒を真空下で除去し、この混合物を水(750ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×750ml)で抽出した。水層を、5M水酸化ナトリウムを加えることでpH12以上に塩基性化し、ジクロロメタン(3×750ml)で抽出し、合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固させ、5−メトキシイソインドリン(8.34g、47%)を褐色油状物として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.13(1H,d),6.84(1H,d),6.74(1H,dd),4.05(2H,s),4.01(2H,s),3.73(3H,s).MS:[M+H]+150.
48%臭化水素酸水溶液(100ml)中、5−メトキシイソインドリン(8.34g、55.97mmol)を撹拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、5−ヒドロキシイソインドリンヒドロブロミド(11.32g、93%)を黄褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)9.63(1H,br s),9.32(2H,br s),7.18(1H,d),6.79(1H,d),6.76(1H,dd),4.42(2H,t),4.38(2H,t).MS:[M+H]+136.
製法C3
5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールの合成
3,4−ジメチルクロロベンゼン(10g、71.1mmol)、N−ブロモスクシンイミド(25g,142.2mmol)、および過酸化ベンゾイル(0.147g、0.6mmol)の混合物を80mlの四塩化炭素中で18時間還流した。冷却した後、不溶性物質を濾別し、少量の四塩化炭素で洗浄した。濾液と洗液とを合わせ、減圧下で濃縮し、主成分として20gの1,2−ビス−ブロモメチル−4−クロロ−ベンゼンを淡黄色油状物生成物として得た。
80mlの無水DMF(100ml)中、鉱油中60%の水素化ナトリウム(3.0g、0.125mmol)の懸濁液に、室温で激しく撹拌しながら1時間かけてDMF30ml中、パラ−トルエンスルホンアミド(5.6g、32.60mmol)の溶液を滴下した。添加後、この混合物を室温で1時間撹拌し、さらに1時間90℃で加熱した。この混合物に60℃の無水DMF20ml中、1,2−ビス−ブロモメチル−4−クロロ−ベンゼン(4g、14.18mmol)の溶液を滴下した後、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を氷上に注ぎ、得られた沈殿を濾取した。この沈殿を1N塩酸、5%炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、2.8gの5−クロロ−2−(トルエン−4−スルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを淡黄色固体として得た。MS:[M+H]+ 308
48%臭化水素酸8mlとプロピオン酸1.4mlの混合物に、2−(p−トルエンスルホニル)−5−クロロイソインドリン1.0gおよびフェノール1.0gを加えた後、この混合物を還流下で6時間加熱した。得られた反応混合物を水10mlで希釈し、酢酸エチル50mlで2回抽出した。水層を水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化し、酢酸エチルで3回抽出した。この抽出物を濃縮し、粗生成物を4N HCl/ジオキサンで希釈し、15分間撹拌した後、HClを蒸発させ、その後、トルエンとともに3回再蒸発させ、0.3gの5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール塩酸塩を黒色固体として得た。MS:[M+H]+ 153−15
製法C4
5−クロロ−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールの合成
四塩化炭素(40ml)中、1−クロロ−2−メトキシ−4,5−ジメチル−ベンゼン(3g、17.6mmol)、N−ブロモスクシンイミド(6.3g、35.3mmol)、および過酸化ベンゾイル(0.100g、0.41mmol)の混合物を還流下で18時間加熱した。冷却後、不溶性物質を濾去し、少量の四塩化炭素で洗浄し、濾液を蒸発させ、主成分として1,2−ビス−ブロモメチル−4−クロロ−5−メトキシ−ベンゼンを油状生成物として得た。MS:[M+H]+ 329
アセトン/水(10ml:12.5ml)中、1,2−ビス−ブロモメチル−4−クロロ−5−メトキシ−ベンゼン(理論的に仮定、17.6mmol)およびNa2CO3(12g、114mmol)の混合物に、アセトン(110ml)中、4−メトキシベンジルアミン(2.4g、17.6mmol)の溶液を滴下した後、室温で2時間撹拌し、真空濃縮した。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、2N HClで抽出した。水層を炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出し(2回)、乾燥させ(MgSO4)、真空下で蒸発させ、5−クロロ−6−メトキシ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(0.8g、2.6mmol)を褐色のガムとして得た。MS:[M+H]+ 304
トリフルオロ酢酸(6ml)中、5−クロロ−6−メトキシ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(600mg)およびアニソール(0.3ml)の溶液をCEMディスカバーマイクロ波合成装置にて180℃(50W)で40分間加熱した。この反応混合物を蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させた。この粗物質をDCMと水とで分液し、水層をDCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、5−クロロ−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(256mg)を緑色結晶として得た。MS:[M+H]+ 184
製法C5
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルアミントリフルオロアセテートの合成
四塩化炭素(150ml)中、4−ニトロ−o−キシレン(15.1g;0.1mol)の溶液を、N−ブロモスクシンイミド(36g;0.2mol)、次いで、過酸化ベンゾイル(1g)で処理し、その後、還流下で一晩加熱した。反応物を周囲温度まで冷却し、濾過し、濾液を蒸発させ、32gの粗1,2−ビス−ブロモメチル−4−ニトロ−ベンゼンを可動性の油状物として得た。この粗生成物をベンゼン(200ml)に溶解させた後、ベンゼン(100ml)中、2,4−ジメトキシベンジルアミン(15ml)およびトリエチルアミン(27.85ml)の溶液で30分かけて滴下処理し、その後、80℃で3時間加熱した。反応物を冷却し、水、次いで飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機相を2M HCl(2×150ml)で抽出した後、合わせた水相を2M NaOHで塩基性化し、EtOAcで抽出した(2回)。合わせたEtOAc層を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた後、EtOAc/P.E.(1:3〜1.2〜1:1)で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させ、10.15gの2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)8.12(2H,m),7.50(1H,d),7.25(1H,d),6.55(1H,d),6.52(1H,dd),3.93(4H,s),3.80(3H,s),3.78(2H,s),3.75(3H,s).
TFA(18ml)中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(13g)をアニソール(6ml)で処理した後、CEMマイクロ波合成装置にて120℃(30ワット)で20分間加熱した(回分方式で6回行った)。この反応混合物を真空下で蒸発させ、残渣をDCMと水とで分液した。水層を分離し、DCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(3回)、9.8gの5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールトリフルオロ酢酸塩をベージュ色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)9.85(2H,br s),8.32(1H,d),8.25(1H,dd),7.70(1H,d),4.68(2H,s),4.65(2H,s).
メタノール(75ml)中、5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールトリフルオロ酢酸塩(9.8g)および10%パラジウム/炭素(1g)の混合物を室温、常圧下で16時間水素化した。この反応物をセライト(登録商標)で濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、8.76gの2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルアミン一トリフルオロ酢酸塩を暗褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)9.45(2H,br s),7.05(1H,d),6.60(2H,m),5.35(2H,br s),4.40(2H,s),4.30(2H,s).
製法C6
5−モルホリン−4−イルメチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールジトリフルオロアセテートの合成
出発材料として3,4−ジメチル安息香酸メチルを用い、製法C5に記載のものと同様にして工程1および2を行った。
4:1:1 THF−MeOH−H2O(60ml)中、2−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル(4.65g;14.2mmol)および水酸化リチウム一水和物(660mg;1.1当量)の混合物を室温で一晩撹拌した。さらに170mgの塩基を加え、撹拌を7時間続けた。この反応物を蒸発させた後、MeOH/トルエンとともに再蒸発させた(2回)。DMF(25ml)中、粗2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸リチウム塩(1.5g;4.7mmol)、モルホリン(820μl;2当量)、EDAC(1.1g;1.2当量)およびHOBt(760mg;1.2当量)の混合物を室温で一晩撹拌した後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと飽和NaHCO3とで分液し、EtOAc層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として2%、その後、5%MeOH/DCM)により精製し、1.1gの[2−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−モルホリン−4−イル−メタノンを赤色/褐色のガムとして得た。1H NMR(DMSO−d6)7.30−7.18(4H,m),6.56(1H,d),6.52(1H,dd),3.85(4H,s),3.78(5H,m),3.73(3H,s).
窒素雰囲気下、乾燥THF(20ml)中、[2−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン(1.05g;2.75mmol)の溶液を、1M水素化リチウムアルミニウム溶液で処理し、その後、室温で一晩撹拌した。飽和硫酸ナトリウム溶液を注意深く加えることで反応物をクエンチした後、EtOAc(40ml)で希釈し、セライト(登録商標)で濾過し、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として2%、その後、5%MeOH/DCM)により精製し、340mgの2−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−モルホリン−4−イルメチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを淡褐色のガムとして得た。
トリフルオロ酢酸(1.5ml)中、2−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−モルホリン−4−イルメチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(340mg)およびアニソール(350μl)の混合物を、CEMマイクロ波合成装置にて130℃で1時間加熱した後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させた。残渣をDCMと水とで分液した。水層を分離し、DCMで洗浄し(3回)、その後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(3回)、422mgの5−モルホリン−4−イルメチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールジトリフルオロアセテートを褐色のガムとして得た。1H NMR(DMSO−d6)10.30(1H,br s),9.60(2H,br s),7.55−7.45(3H,m),4.45(4H,s),4.45−4.30(2H,m),4.20−3.88(2H,m),3.70−3.55(2H,m),3.30−3.00(4H,m).
製法C7
エチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボキシラートトリフルオロアセテートの合成
TFA1ml中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル(215mg)およびアニソール(200μl)の溶液を、CEMディスカバーマイクロ波合成装置にて140℃で30分間加熱した。この反応物を水とDCMとで分液し、水層を分離し、DCMで洗浄した後、蒸発させ、トルエン/MeOHとともに再蒸発させ(2回)、105mgの標題化合物を得た。1H NMR(DMSO−d6)9.70(2H,br s),8.02(1H,s),8.98(1H,d),7.57(1H,d),4.60(2H,s),4.56(2H,s),3.89(3H,s).
製法C8
4−ヒドロキシ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン
無水3−ヒドロキシフタル酸(543mg、3.31mmol)、4−メトキシベンジルアミン(0.43ml、3.31mmol)および酢酸(3ml)の混合物を100℃で4時間加熱した。この混合物を冷却し、水(20ml)で希釈した。白色固体を濾取し、水でよく洗浄し、乾燥させ、標題化合物を得た(760mg、81%)。1H NMR(DMSO−d6)11.03(1H,s),7.61(1H,dd),7.28(1H,d),7.23−7.19(3H,m),6.89−6.86(2H,m),4.63(2H,s),3.71(3H,s).MS:[M−H]+282.
製法C9
4−ヒドロキシ−2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン
無水3−ヒドロキシフタル酸(1.24g、7.6mmol)、2,4−ジメトキシベンジルアミン(1.14ml、7.6mmol)および酢酸(5ml)の混合物を80℃で24時間加熱した。この混合物を冷却し、水(20ml)で希釈した。白色固体を濾取し、水でよく洗浄し、乾燥させ、標題化合物を得た(1.73g、73%)。1H NMR(DMSO−d6)11.00(1H,s),7.62(1H,dd),7.29(1H,d),7.21(1H,d),6.90(1H,d),6.56(1H,d),6.43(1H,dd),4.59(2H,s),3.79(3H,s),3.72(3H,s).MS:[M−H]+314.
製法C10
2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−イソインドール−1,3−ジオン
DMF(2ml)中、4−ヒドロキシ−2−(4−メトキシ−ベンジル)−イソインドール−1,3−ジオン(150mg、0.53mmol)および炭酸カリウム(200mg、1.4mmol)の懸濁液に、1−(2−ブロモ−エトキシ)−2−メトキシ−エタン(107mg、0.58mmol)を加えた。3.5時間後、触媒量のヨウ化カリウムを加えた。さらに17時間後、この混合物を60℃まで温めた。3時間後、さらなる分量の1−(2−ブロモ−エトキシ)−2−メトキシ−エタン(20mg、0.11mmol)を追加し、この混合物を60℃でさらに20時間維持した。この混合物を真空濃縮した後、残渣を酢酸エチルに取り、炭酸カリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮し、標題化合物を黄色油状物として得た(149mg、73%)。1H NMR(メタノール−d4)7.71(1H,t),7.43−7.40(2H,m),7.31−7.27(2H,m),6.87−6.83(2H,m),4.71(2H,s),4.37−4.34(2H,m),3.92−3.89(2H,m),3.77−3.74(5H,m),3.55−3.53(2H,m),3.33(3H,s).MS:[M+H]+386.
製法C11
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−イソインドール−1,3−ジオン
DMF(4ml)中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−イソインドール−1,3−ジオン(317mg、1.01mmol)、2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(160mg、1.11mmol)および炭酸カリウム(350mg、2.5mmol)の混合物を60℃で18時間加熱した。この混合物を真空濃縮し、酢酸エチルに取り、1N塩酸で2回抽出した。これらの水性抽出物を固体炭酸カリウムで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した(2回)。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮し、標題化合物(236mg、61%)を灰白色固体として得た。1H NMR(メタノール−d4)7.73(1H,t),7.44−7.40(2H,m),7.02(1H,d),6.51(1H,d),6.42(1H,dd),4.72(2H,s),4.33(2H,t),3.80(3H,s),3.76(3H,s),2.87(2H,t),2.40(6H,s).MS:[M+H]+385.
製法C12
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−イソインドール−1,3−ジオン
DMF(5ml)中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−イソインドール−1,3−ジオン(313mg、1.00mmol)、4−(3−クロロプロピル)モルホリン(160mg、1.11mmol)および炭酸カリウム(350mg、2.5mmol)の混合物を、60℃で18時間加熱した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸で2回抽出した。これらの水性抽出物を固体炭酸カリウムで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮し、黄色固体を得、これをメタノール/石油、次いで、酢酸エチル/クロロホルム/石油から再結晶させ、標題化合物(298mg、68%)を灰白色固体として得た。1H NMR(メタノール−d4)7.72(1H,t),7.41(1H,d),7.39(1H,d),7.02(1H,d),6.51(1H,d),6.43(1H,dd),4.72(2H,s),4.27(2H,t),3.81(3H,s),3.76(3H,s),3.68(4H,t),2.61(2H,t),2.50(4H,m),2.05(2H,qn).MS:[M+H]+441.
製法C13
2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−イソインドール−1,3−ジオン(149mg、0.38mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理した。この混合物を室温で4時間、60℃で1時間、その後、室温でさらに18時間維持した。その後、この混合物を氷中で冷却し、水(0.2ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.4ml)および水(0.4ml)を滴下することでクエンチした。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加え、その後、この混合物を室温で15分間撹拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄した。濾液を濃縮して残渣を得、これをSCXカートリッジに吸着させ、5%メタノール/ジクロロメタンで洗浄した後、メタノール/ジクロロメタン中10%の1Mアンモニアで溶離し、標題化合物を得た(134mg、97%)。1H NMR(メタノール−d4)7.43−7.39(2H,m),7.27(1H,t),6.99−6.96(2H,m),6.90(1H,d),6.88(1H,d),4.33(2H,s),4.28(2H,s),4.23(2H,s),4.18−4.15(2H,m),3.85−3.79(5H,m),3.67−3.64(2H,m),3.54−3.51(2H,m),3.33(3H,s).MS:[M+H]+358.
製法C14
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−イソインドール−1,3−ジオン(201mg、0.52mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理した。室温で7.5時間後、さらなる水素化リチウムアルミニウム溶液(5ml、5mmol)を追加し、この混合物をさらに18時間維持した。その後、この混合物を氷中で冷却し、水(0.4ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.8ml)および水(0.8ml)を滴下することでクエンチした。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加えた後、この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄した。濾液を濃縮し、標題化合物(192mg、103%)を褐色油状物として得、これをさらなる精製をせずに次の工程で用いた。1H NMR(メタノール−d4)7.24(1H,d),7.16(1H,t),6.82−6.78(2H,m),6.55(1H,d),6.51(1H,dd),4.12(2H,t),3.92(4H,s),3.86(2H,s),3.82(3H,s),3.80(3H,s),2.76(2H,t),2.33(6H,s).MS:[M+H]+357.
製法C15
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−イソインドール−1,3−ジオン(298mg、0.68mmol)を、THF(5ml、5mmol)中、水素化リチウムアルミニウムの1M溶液で処理し、室温で21時間維持した。この混合物を75℃まで1時間加熱した後、氷中で冷却し、水(0.2ml)、2N水酸化ナトリウム溶液(0.4ml)および水(0.4ml)を滴下することでクエンチした。硫酸マグネシウム、次いで酢酸エチルを加えた後、この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾去し、酢酸エチルでよく洗浄し、濾液を濃縮して粗生成物を得、これを、DCM中5%のメタノールで溶離するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。これにより標題化合物(233mg、83%)を赤色油状物として得た。1H NMR(メタノール−d4)7.24(1H,d),7.15(1H,t),6.80(1H,d),6.78(1H,d),6.56(1H,d),6.52(1H,dd),4.05(2H,t),3.94(2H,s),3.88(2H,s),3.87(2H,s),3.83(3H,s),3.80(3H,s),3.70−3.68(4H,m),2.54−2.50(2H,m),2.49−2.47(4H,m),2.00−1.93(2H,m).MS:[M+H]+413.
製法C16
4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
1,2−ジクロロエタン(2ml)中、2−(4−メトキシ−ベンジル)−4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(45mg、0.13mmol)の溶液をα−クロロエチルクロロホルメート(0.1ml、0.93mmol)で処理した。17時間後、メタノール(5ml)を加え、この混合物を3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、標題化合物を緑がかった黒色の固体として得、これをさらなる精製をせずに用いた。1H NMR(メタノール−d4)7.36(1H,t),6.98(2H,d),4.60(2H,s),4.57(2H,s),4.23−4.21(2H,m),3.85−3.83(2H,m),3.69−3.67(2H,m),3.57−3.54(2H,m),3.36(3H,s).MS:[M+H]+238.
製法C17
[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルオキシ)−エチル]−ジメチル−アミン
トリフルオロ酢酸(0.5ml)およびアニソール(0.5ml)中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(170mg、0.48mmol)の溶液を、マイクロ波照射下、150℃で10分間加熱した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水で2回抽出した。合わせた水性抽出物を濃縮し、標題化合物を紫色の油状物として得た(240mg、残留TFAおよび/または水を含む)。1H NMR(メタノール−d4)7.42(1H,t),7.07(1H,d),7.04(1H,d),4.64(4H,br s),4.47−4.44(2H,m),3.65−3.63(2H,m),3.01(6H,s).MS:[M+H]+207.
製法C18
4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
トリフルオロ酢酸(1.0ml)およびアニソール(0.5ml)中、2−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(233mg、0.56mmol)の溶液を、マイクロ波照射下、150℃で10分間加熱した。この混合物をジエチルエーテルで希釈し、水で2回抽出した。合わせた水性抽出物を濃縮して油状物を得、これをメタノールに溶解させ、真空濃縮し、標題化合物を褐色油状物として得た(348mg、残留TFAおよび/または水を含む)。1H NMR(メタノール−d4)7.40(1H,t),7.03(1H,d),6.99(1H,d),4.63(2H,s),4.59(2H,s),4.21(2H,t),4.14−4.04(2H,m),3.85−3.73(2H,m),3.61−3.52(2H,m),3.41−3.36(2H,m),3.25−3.13(2H,m),2.32−2.25(2H,m).MS:[M+H]+263.
製法C19
4−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールトリフルオロアセテートの合成
5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールと同様に製造(製法C5に記載)。1H NMR(DMSO−d6)9.73(2H,br s),7.60(1H,d),7.45(1H,d),7.35(1H,t),4.65(2H,s),4.55(2H,s).
製法C20
5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールの合成
ホルムアミド(75ml)中、無水4−ブロモフタル酸(25g)の混合物を200℃で16時間加熱した後、室温まで冷却した。この反応混合物を水(200ml)で希釈し、濾過し、濾過ケーキを水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、吸引乾燥させ、20.85gの薄芥子色の固体を得た。
0℃の無水THF(200ml)中、4−ブロモフタルイミド(20.85g;92.2mmol)の撹拌溶液に、280mlの1Mボラン−THF複合体を滴下した後、還流下で一晩加熱した。この反応物を0℃まで冷却した後、メタノール(100ml)、次いで2M HCl(100ml)で注意深く処理し、その後、還流下で3時間加熱した。この反応混合物を冷却し、有機相を蒸発させた。水性相を水(100ml)で希釈し、DCMで抽出した(3回)。水相を2M NaOHで塩基性化した後、DCMで抽出した(3回)。合わせたDCM抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、6.99gの5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを暗褐色のガム質固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.45(1H,s),7.36(1H,d),7.20(1H,d),4.05(4H,s).
製法C21
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステルトリフルオロアセテートの合成
2−(2,4−ジメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル(製法C6工程2の生成物)を、5−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールと同様に脱保護し(製法C5に記載)、標題化合物を得た。1H NMR(DMSO−d6)9.70(2H,br s),8.00(1H,s),7.95(1H,d),7.57(1H,d),4.60(4H,s),2.88(3H,s).
D.ベンジル化レゾルシノール中間体の合成
製法D1
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−メタノンの合成
DMF(4ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸(製法B10)および5−ヒドロキシイソインドリンからのA2)(100mg、0.2mmol)、1−クロロ−2−メトキシ−エタン(23.6mg、0.25mmol)およびK2CO3(34.5mg、0.25mmol)を合わせ、室温で2時間撹拌した。さらに0.25mmolの1−クロロ−2−メトキシ−エタンおよびK2CO3を加えた後、90℃で16時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈した後、濾過した。濾液を真空下で減量した後、100%石油エーテル〜100%酢酸エチルで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、115mgの標題化合物を無色のゲルとして得た。MS:[M+H]+ 552
製法D2
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
DMF(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(100mg、0.2mmol)、4−(3−クロロプロピル)モルホリン(82mg、0.5mmol)およびK2CO3(104mg、0.75mmol)の混合物を90℃で16時間加熱した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を真空下で減量し、0〜100%P.E./EtOAc、次いで0〜10%MeOH/EtOAcで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を無色のゲル(90.1mg)として得た。MS:[M+H]+ 621
製法D3
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
DMF(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(100mg、0.2mmol)、2−ジメチルアミノエチルクロリドHCl(72mg、0.5mmol)およびK2CO3(173mg、1.25mmol)の混合物を90℃で16時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を真空下で減量し、100%DCM、次いで90%DMAW90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を灰白色ゲルとして得た(79mg)。MS:[M+H]+ 565
製法D4
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイルクロリドの合成
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸(製法B10)(0.2g、0.53mmol)をDCM(10ml)に溶解させ、塩化オキサリル(1.5g、12mmol)および触媒量のDMFで処理した。この反応混合物を室温で14時間撹拌し、溶媒を真空下で除去した。この粗物質をトルエンに溶解させ、蒸発させた。粗2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイルクロリドを油状物として得た(200mg)。
製法D5
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
DMF(10ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸(505mg;1.3mmol)(製法B5)、5−ニトロイソインドリン、トリフルオロアセテート(360mg;1当量)、EDAC(300mg;1.2当量)、HOBt(210mg;1.2当量)およびNEt3(270μl;1.5当量)の溶液を室温で一晩撹拌した後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと2M HClとで分液し、EtOAc層を分離し、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として1:4、次いで1:2、次いで1:1 EtOAc/P.E.)により精製し、460mgの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ニトロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)メタノンを得た。MS:[M+H]+ 523.
エタノール(25ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ニトロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)メタノン(460mg;0.88mmol)の溶液を、塩化錫(II)二水和物(1g;5当量)で処理した後、還流下で一晩加熱し、その後、真空下で蒸発させた。残渣をEtOAcと飽和NaHCO3とで分液し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させ、380mgの(5−アミノ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノンを得た。
NMP(1ml)中、(5−アミノ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン(100mg;0.2mmol)、ビス(2−クロロエチル)エーテル(30μl;1.1当量)、ヒューニッヒ塩基(125μl;3.5当量)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(10mg)の混合物を、CEMマイクロ波合成装置にて150℃で30分間加熱した。さらに30μlのヒューニッヒ塩基および125μlのビス(2−クロロエチル)エーテルを追加し、同じ時間加熱を繰り返した。この反応混合物をEtOAcと飽和NH4Cl溶液とで分液し、EtOAc層を分離し、さらなる飽和NH4Cl溶液、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として1:2、次いで1:1、次いで2:1 EtOAc/P.E.)により精製し、60mgの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンを得た。MS:[M+H]+ 563
製法D6
2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸の合成
メタノール(10ml)および2M NaOH(10ml)中、2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル(390mg)の溶液を50℃で48時間加熱した後、蒸発させた。残渣を2M HClで酸性化し、固体を濾取し、水で洗浄し、吸引乾燥させ、255mgの2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸を白色固体として得た。[M+H]+ 520
実施例
上記の方法に従い、下表に示されている化合物を製造した。
(実施例17)
(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノンの合成
DMF(5ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−安息香酸(製法B10)(0.451g、1.2mmol)、EDC(0.276mg、1.44mmol)、HOAt(0.196mg、1.44mmol)、トリエチルアミン(0.5ml、3.6mmol)および5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(0.187g、1.2mmol)(製法C3)の溶液を室温で16時間撹拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO3で2回抽出し、有機相を水で3回洗浄した後、真空下で蒸発させ、0.5gの2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンを得た。MS:[M+H]+ 512
窒素下、0℃の乾燥DCM(10ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(0.5g、0.97mmol)の溶液に三塩化ホウ素(DCM中1M)を滴下した後、0℃で1時間撹拌し、室温まで温め、さらに3時間撹拌した。反応物を氷でクエンチし、DCMと水とで分液した。DCM層を乾燥させ(MgSO4)、真空下で蒸発させた後、80%P.E.:EtOAcで溶離するフラッシュシリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.1gの(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノンを白色固体として得た。MS:[M+H]+332.1H NMR(DMSO−d6)10.0(1H,s),9.60(1H,s),7.45(1H,br s),7.33(2H,br s),7.0(1H,s),6.4(1H,s),4.80(4H,br s),3.10(1H,m),1.15(6H,d).
(実施例18)
[5−(3−アミノ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン塩酸塩の合成
EtOAc(10ml)中、{3−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例46)(1g)の溶液を、EtOAC(20ml)中、HClの飽和溶液で処理した後、室温で2時間撹拌した。この反応混合物を蒸発させ、エタノールとともに再蒸発させた(3回)。標題化合物をクリーム色の泡沫として単離した(840mg)。1H NMR(DMSO−d6)10.05(1H,br s),9.60(1H,s),7.88(3H,br s),7.30−7.18(1H,m),7.05(1H,s),7.00−6.85(2H,m),6.42(1H,s),4.75(2H,br s),4.70(2H,br s),4.05(2H,t),3.10(1H,m),3.00−2.95(2H,m),2.00(2H,tt),1.15(6H,d).MS:[M+H]+371.
(実施例19)
(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
DMF(5ml)中、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸(520mg、2.33mmol)の溶液を、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(471mg、2.45mmol)、次いでHOBt(362mg、2.68mmol)で処理した。25分後、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(0.5ml、2.63mmol)を加え、その後、この混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルに取り、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残渣をメタノールで析出させ、標題化合物を灰色の固体として得た(328mg、44%)。1H NMR(DMSO−d6)10.45(1H,s),10.32(1H,s),7.36(1H,br s),7.35(1H,s),7.28(3H,br s),6.59(1H,s),4.77(2H,br s),4.71(2H,br s).MS:[M+H]+332/334.
(実施例20)
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン
20A.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
一般法A2に従い、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−安息香酸(1.02g、2.47mmol)から残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、0〜20%)により精製し、標題化合物を白色結晶性固体として得た(501mg、39%)。1H NMR(メタノール−d4)7.52(1H,s),7.49−7.46(2H,m),7.42−7.37(2H,m),7.34(t,2H),7.30−7.24(4H,m),7.23−7.20(3H,m),7.16(1H,d),6.94(1H,s),5.24(2H,s),5.16(2H,s),4.86(2H,s),4.60(2H,s).MS:[M+H]+514/516.
20B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ブロモ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(491mg、0.95mmol)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(649mg、4.8mmol)およびヨウ化銅(I)(364mg、1.91mmol)の混合物を真空下(0.04ミリバール)で6時間乾燥させた。このフラスコを窒素でフラッシュし、DMF(5ml)を加え、この混合物を150℃で17時間加熱した。室温まで冷却後、この混合物をDCM(100ml)で希釈し、セライトで濾過し、DCMですすいだ。濾液を濃縮乾固し、残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、0〜20%)により部分精製した。最も純粋な画分をメタノールから再結晶させ、標題化合物を白色固体として得た(140mg、29%)。1H NMR(メタノール−d4)7.60(1H,s),7.48−7.44(2H,m),7.40(2H,t),7.37−7.21(m,9H),7.17(1H,d),7.02(1H,s),5.29(2H,s),5.24(2H,s),4.88(2H,s),4.62(2H,s).MS:[M+H]+504.
20C.(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン
メタノール(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(140mg、0.28mmol)の溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(34mg)上で4時間水素化した。さらなる触媒(31mg)を追加し、さらに1.5時間水素化を続けた。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離した後、濾液を真空濃縮し、標題化合物を白色固体として得た(91mg、定量的)。1H NMR(DMSO−d6)10.79(1H,s),10.70(1H,s),7.40−7.35(2H,m),7.31−7.35(3H,m),6.61(1H,s),4.79(2H,br s),4.68(2H,br s).MS:[M+H]+324.
(実施例21)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}メタノン
DCM(3ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(96mg、0.26mmol)およびDMF(1滴、触媒)の溶液を氷中で冷却した後、塩化オキサリル(112μl、1.28mmol)で処理した。2時間後、この混合物を真空濃縮し、その後、トルエンと共沸した。得られた酸塩化物をDCM(4ml)に溶解させ、DCM(1ml)中、4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(0.26mmol、上記工程(ベンジル化手順C16)から定量的収量と仮定)およびトリエチルアミン(0.20ml、1.4mmol)の溶液に加えた。2時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、ブライン、重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して黒色の残渣を得た。これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油勾配、20〜33%)により部分精製し、中間体(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−{4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノンの不純なサンプルを得た。
メタノール(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−{4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(12mg)上で3時間水素化した。さらなる触媒(12mg)を追加し、水素化をさらに7時間続けた。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(塩基性法)により精製した。これにより標題化合物を白色固体として得た(17mg、二段階で16%)。1H NMR(メタノール−d4)7.25(1H,t),7.17(1H,s),6.95−6.82(2H,m),6.37(1H,s),4.89(2H,br s),4.83(H2Oと重複,br s),4.16(2H,br s),3.82(2H,br s),3.66(2H,br s),3.52(2H,br s),3.39−3.28(MeOHと重複,m),3.20(1H,sept),1.21(6H,d).MS:[M+H]+416.
(実施例22)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
DCM(5ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(189mg、0.50mmol)およびDMF(1滴、触媒)の溶液を氷中で冷却した後、塩化オキサリル(112μl、1.28mmol)で処理した。2時間後、この混合物を真空濃縮し、その後、トルエンと共沸した。得られた酸塩化物をDCM(5ml)に溶解させ、DCM(3ml)中、[2−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルオキシ)−エチル]−ジメチル−アミン(0.48mmol、上記工程(C17)からの定量的収量と仮定)およびトリエチルアミン(0.50ml、3.6mmol)の溶液に加えた。16時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸カリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/DCM勾配、5〜10%、次いで10%2Mメタノール性アンモニア/DCM)により部分精製し、中間体(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの不純なサンプルを得た。
メタノール(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(40mg)上で22時間水素化した。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(酸性法)により精製した。これにより標題化合物のギ酸塩を白色固体として得た(9mg、二段階で5%)。1H NMR(メタノール−d4)8.52(0.7H,s),7.29(1H,t),7.17(1H,s),6.98−6.86(2H,m(6.90(1H,d)を含む)),6.37(1H,s),4.89(2H,br s),4.87(2H,br s),4.28(2H,br s),3.29−3.5(3H,m(3.20(1H,sept)を含む)),2.81−2.51(6H,br.d),1.21(6H,d).MS:[M+H]+385.
(実施例23)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン
DCM(5ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(210mg、0.56mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.25ml、1.4mmol)の溶液をブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)(287mg、0.62mmol)で処理した。1時間後、DCM(5ml)中、4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(0.56mmol、上記工程(C18)から定量的収量と仮定)の溶液を加えた。4時間後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、1N水酸化ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して残渣を得、これをSCXカラムに吸着させた。これを10%メタノール/DCMで洗浄した後、生成物を25%2Mメタノール性アンモニア/DCM)で溶離し、中間体(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの不純なサンプルを得た。
メタノール(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの溶液を大気圧下、10%パラジウム/炭素(45mg)上で4時間水素化した。この混合物をセライトで濾過し、メタノールで溶離し、その後、濾液を真空濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(塩基性法)により精製した。これにより標題化合物を白色固体として得た(16mg、二段階で6%)。1H NMR(メタノール−d4)7.24(1H,t),7.18(1H,s),6.89(1H,d),6.84(1H,d),6.37(1H,s),4.87(2H,br s),4.78(2H,br s),4.11−4.04(2H,m),3.72−3.66(4H,m),3.21(1H,sept),2.60−2.42(6H,m),2.05−1.92(2H,m),1.21(6H,d).MS:[M+H]+441.
(実施例24〜47)
上記の方法に従い、実施例24〜47の化合物を製造した。
(実施例48)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−イソプロピルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
1,2−ジクロロエタン(10ml)中、[5−(3−アミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン塩酸塩(実施例57)(250mg、0.702mmol)の懸濁液に、アセトン(62μl、0.842mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(178mg、0.842mmol)および酢酸(48μl、0.842mmol)を加えた後、60℃で24時間加熱した。この反応混合物にさらにアセトン(52μl、0.702mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(149mg、0.702mmol)および酢酸(40μl、0.702mmol)を追加し、60℃でさらに2時間加熱した。次に、この反応混合物を濾過し、母液をフラッシュクロマトグラフィー[Biotage SP4:25M、流速25ml/分、勾配DCM中20%〜100%DMAW 90)により精製し、(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−イソプロピルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンを淡褐色の粘稠な油状物として得た(140mg、50%)。1H NMR(DMSO−d6)10.05(1H,br s);9.60(1H,br s);7.23(1H,br s);7.05(1H,s);6.93(1H,br s);6.85(1H,br s);6.40(1H,s);4.70(4H,br m);4.00(2H,t);3.10(1H,m);2.90(2H,t);2.80(1H,m);1.15(6H,d);1.00(6H,d).MS:[M+H]+399.
(実施例49)
N−{2−[2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−エチル}−2−モルホリン−4−イル−アセトアミドの合成
DMF(10ml)中、[5−(3−アミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン塩酸塩(100mg、0.255mmol)の溶液に、EDC(59mg、0.306mmol)、HOBt(41mg、0.306mmol)、モルホリン−4−イル−酢酸(37mg、0.255mmol)およびトリエチルアミン(43μl、0.306mmol)を加え、周囲温度で1時間撹拌した。この反応混合物にさらにEDC(20mg、0.104mmol)、HOBt(14mg、0.104mmol)、モルホリン−4−イル−酢酸(12mg、0.083mmol)およびトリエチルアミン(14μl、0.100mmol)を追加し、周囲温度でさらに2時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー[Biotage SP4:25S、流速25ml/分、勾配DCM中20%のDMAW 90〜100%のDMAW 90]、次いで分取HPLCにより精製し、N−{2−[2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−エチル}−2−モルホリン−4−イル−アセトアミドを無色の粘稠な油状物として得た(40mg、33%)。1H NMR(Me−d3−OD)7.20(1H,br s);7.18(1H,s);6.90(2H,br m);6.40(1H,s);4.10(2H,t);3.73(4H,m);3.63(2H,t);3.20(1H,m);3.18(2H,s);2.60(4H,m);1.25(6H,d).MS:[M+H]+484.
(実施例50)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
50A.5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
DMF(20ml)中、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(1.26g;6.4mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(1.53g;1.1当量)および4−ジメチルアミノピリジン(触媒量)の混合物を室温で一晩撹拌した後、蒸発させた。残渣をEtOAcとブラインとで分液し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。0%〜5%MeOH/DCMで溶離するBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、695mgの5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルを褐色のガムとして得た。1H NMR(DMSO−d6)7.55(1H,d),7.48(1H,d),7.30(1H,dd),4.63−4.51(4H,m),1.46(9H,s).
50B.5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、−78℃の無水THF(10ml)中、5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(429mg;1.44mmol)の撹拌溶液に、0.69mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液)を滴下した。この反応物を50分間撹拌した後、1−メチル−4−ピペリドン(212μl;1.2当量)を加え、−78℃でさらに60分間撹拌した後、室温まで温めた。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応物をクエンチした後、EtOAcで抽出した。EtOAc層を飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。SiO2でのフラッシュカラムクロマトグラフィー、0%〜10%2Mメタノール性アンモニア/DCMの勾配溶離により精製し、111mgの5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルを無色の油状物として得た。
50C.4−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−1−メチル−ピペリジン−4−オールの合成
THF(4ml)中、5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(107mg;0.32mmol)の溶液を濃塩酸(1.5ml)で処理した後、還流下で4時間加熱し、その後、蒸発させ、トルエンとともに再蒸発させ、4−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−1−メチル−ピペリジン−4−オール二塩酸塩を褐色のガムとして得た。
50D.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
DCM(5ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(145mg;1.2当量)の溶液をEDC(80mg;1.3当量)およびHOAt(66mg;1.5当量)で処理した後、室温で30分間撹拌した。次に、この溶液を、THF(5ml)およびDMF(2ml)中、4−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−1−メチル−ピペリジン−4−オール二塩酸塩(112mg;0.32mmol)およびトリエチルアミン(90μl;2当量)の混合物に加え、その後、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、水、1N NaOHおよびブラインで洗浄し、EtOAc層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。SiO2でのフラッシュカラムクロマトグラフィー、0%〜5%2Mメタノール性アンモニア/DCMの勾配溶離により精製し、104mgの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンを黄色ガラスとして得た。
50E.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(方法A5に記載のとおり)の水素化により、72mgの標題化合物をクリーム色の固体として得た。1H NMR(Me−d3−OD)7.35(2H,m),7.18(1H,br m),7.08(1H,s),6.25(1H,s),4.78(4H,m),3.10(1H,m),2.65(2H,m),2.45(2H,m),2.25(3H,s),2.00(2H,m),1.65(2H,m),1.10(6H,d).MS:[M+H]+411.
(実施例51)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノンの合成
51A.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
DMF(25ml)中、ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(2.85g;7.6mmol)、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(1.5g;1当量)、EDC(1.75g;1.2当量)およびHOBt(1.25g;1.2当量)の溶液を室温で一晩撹拌した後、蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、2M HCl、次いで飽和NaHCO3で洗浄した後、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。1:4〜1:3〜1:2 EtOAc/P.E.で溶離するBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いて精製し、2.45gの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンを淡褐色固体として得た。
51B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン
トルエン(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(200mg;0.36mmol)および1−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)ピペラジン(80mg;1.2当量)の溶液を(2−ビフェニル)−ジ−tert−ブチルホスフィン(6mg;5mol%)、トリス(ジベンジリデン)パラジウム(0)(10mg;2.5mol%)およびナトリウムtert−ブトキシド(50mg;1.4当量)で処理した後、CEMエクスプローラーマイクロ波合成装置にて120℃で30分間加熱した。この反応混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。DMAW 240−120−90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4−25S、25ml/分)により精製した後、生成物を含む画分を蒸発させ、105mgの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノンを酢酸塩として得た。
51C.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン塩酸塩
メタノール(10ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン酢酸塩の溶液を10%パラジウム/炭素(含水)で処理し、室温、常圧下で一晩水素化した後、濾過し、蒸発させた。粗化合物をDMAW 240−120−90−60で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4−25S、25ml/分)により精製した。生成物を含む画分を蒸発させ、飽和HCl/EtOAで処理した後、蒸発させ、メタノールとともに再蒸発させ、高真空下、60℃で一晩乾燥させた。(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン塩酸塩をクリーム色の固体として単離した(62mg)。1H NMR(DMSO−d6)12.40−12.00(2H,br m),9.75−9.55(1H,br m),7.45−7.05(3H,m),7.03(1H,s),6.45(1H,s),4.70−4.55(4H,m),3.85−3.65(6H,m),3.60−3.40(5H,m),3.15−3.05(1H,m),3.0−2.78(5H,m),2.30−2.20(2H,m),2.05−1.90(2H,m),1.15(6H,d).MS:[M+H]+479.
(実施例52)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
52A.4−{4−[2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−フェニル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
トルエン/水/エタノール(1ml:1ml:4ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(240mg、0.43mmol)、t−ブチル−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ピペラジンカルボンキシレート(210mg、1.25当量)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(12.5mg、2.5mol%)および炭酸カリウム(350mg、6当量)の混合物をCEMエクスプローラーマイクロ波合成装置にて135℃で30分間加熱した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。1:3、次いで1:1 EtOAc/P.E.で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4−25S、25ml/分)により精製した。生成物を含む画分を蒸発させ、85mgの4−{4−[2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−フェニル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。MS:[M+H]+ 736
52B.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
4−{4−[2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]−フェニル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(方法A5に記載のとおり)を水素化した後、BOC脱保護を行い(実施例70に記載のとおり)、DMAW 240−120−90で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage SP4、25S)および飽和HCl/EtOAcからの蒸発の後に10mgの標題化合物を塩酸塩として得た。1H NMR(Me−d3−OD)7.63(2H,d),7.55(2H,m),7.45−7.30(1H,m),7.25(1H,s),7.20(2H,d),5.03(4H,m),3.55(4H,m),3.47(4H,m),3.23(1H,m),1.25(6H,d).MS:[M+H]+458.
(実施例53)
2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン、およびジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
53A.5−ブロモ−2,4−ジメトキシ安息香酸メチルエステルの合成
アセトン(355ml)中、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸(24.9g、107mmol)の溶液をヨウ化メチル(39.9ml、640mmol)およびK2CO3(88g、640mmol)で処理した後、還流下で一晩加熱した。この塩を濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を蒸発乾固し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%DCM)により精製し、5−ブロモ−2,4−ジメトキシ安息香酸メチルエステルを無色の固体として得た(28g)。1H NMR(Me−d3−OD)7.98(1H,s),6.74(1H,s),3.99(3H,s),3.94(3H,s),3.85(3H,s).MS:[M+H]+275/277.
53B.−イソプロペニル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステルの合成
THF(195ml)中、カリウムイソプロピリデントリフルオロボレート(4.87g、32.7mmol)および5−ブロモ−2,4−ジメトキシ安息香酸メチルエステル(7.5g、27.3mmol)に、水(39ml)中、Cs2CO3(26.6g、81.8mmol)を加えた。この反応物を脱気し、Pd(PPh3)4(1.58g、1.36mmol)を加えた。この反応物を還流下で3日間加熱した後、水を加えることでクエンチし、EtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させると橙色の固体が残った。この生成物を再びEtOAcに取り、沈殿を濾過した。濾液を蒸発乾固し、5−イソプロペニル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステルを得た(6.2g)。1H NMR(Me−d3−OD)7.68(1H,s),6.66(1H,s),5.10−5.08(1H,m),5.02−5.00(1H,m),3.93(3H,s),3.92(3H,s),3.84(3H,s),2.08−2.06(3H,m).MS:[M+H]+237.
53C.5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステルの合成
MeOH(85ml)中、5−イソプロペニル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(6.0g、25.4mmol)の溶液を、室温、H2雰囲気下で3時間、10%Pd/Cとともに振盪した。触媒をGF/A濾紙で濾過したところ、わずかな微粉末が通過した。この濾液をシリカの小バッドに通し、蒸発乾固し、無色の固体を得た。この生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:石油の勾配溶離)により精製し、5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステルを無色の固体として得た(5.5g)。1H NMR(Me−d3−OD)7.68(1H,s),6.64(1H,s),3.94(3H,s),3.91(3H,s),3.84(3H,s),3.23(1H,sept),1.20(6H,d).MS:[M+H]+239.
53D.5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−安息香酸の合成
THF(46ml)および水(46ml)中、5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(5.5g、23.1mmol)およびNaOH(1.38g、34.6mmol)を50℃で一晩温めた。この反応物を冷却し、水およびEtOAcで希釈した。水層をHCl(1N水溶液)で中和した。生成物をEtOAcで抽出し(3回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固し、5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−安息香酸を淡桃色の固体として得た(4.7g)。1H NMR(DMSO−d6)12.1(1H,br s),7.62(1H,s),6.71(1H,s),3.95(3H,s),3.91(3H,s),3.19(1H,sept),1.18(6H,d).MS:[M+H]+225.
53E.(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシフェニル)メタノンの合成
N2下、無水DMF(33ml)中、5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ安息香酸(2.45g、10.9mmol)、HOBt(1.61g、11.9mmol)およびEDC(1.85g、11.9mmol)の混合物に、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(1.97g、9.95mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。NaOH(1M水溶液)で希釈することでこの反応物をクエンチし、生成物をEtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固すると褐色油状物が残った。この生成物を、勾配溶離(エーテル/石油)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシフェニル)−メタノンをベージュ色の固体として得た(3g)。1H NMR(Me−d3−OD)7.60−7.13(3H,m),7.14(1H,s),6.71(1H,s),4.89(2H,d),4.64(2H,d),3.93(3H,s),3.90(3H,s),3.27(1H,sept),1.20(6H,d).MS:[M+H]+404/406.
53F.5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−ビニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
MeOH(25ml)およびトルエン(25ml)中、(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシフェニル)メタノン(2.2g、5.44mmol)、および2−ビニル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボララン(1.2ml、6.53mmol)に、水(25ml)中、Na2CO3を加えた。この反応物を脱気し、Pd(PPh3)4(0.38g、0.05mmol)を加えた後、80℃で一晩加熱した。この反応物を、水を加え、EtOAcで抽出する(3回)ことで後処理した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー、勾配溶離(エーテル:石油)により精製し、5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−ビニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンを黄色油状物として得た(1.6g)。1H NMR(Me−d3−OD)7.47−7.15(3H,m),7.15(1H,s),6.82−6.72(1H,m),6.71(1H,s),5.79(1H,dd),5.24(1H,dd),4.90(2H,d),4.64(2H,d),3.93(3H,s),3.91(3H,s),3.27(1H,sept),1.23(6H,d).MS:[M+H]+352.
53G.(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−オキシラニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
DCM(22ml)中、(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−ビニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(0.80g、2.28mmol)に、0℃でmCPBA(0.61g、2.73mmol)を加えた。この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応物をNaOH(1M水溶液)で希釈し、生成物をEtOAcで抽出した。EtOAc層を再びNaOHで洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固し、粗(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−オキシラニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンを非常に薄い黄色の油状物として得た。MS:[M+H]+368
53H.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(化合物121H−i)および(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(化合物121H−ii)の合成
(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−(5−オキシラニル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(約120mg、粗物質)をEtOH中ジメチルアミン(20ml、〜33%、5.6M)に溶解させ、60℃で一晩加熱した。この反応物を蒸発乾固し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーMeOH:DCM(1:5)によりある程度精製して不純な物質を得、これをさらなる精製をせずに用いた。N2下、[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノンおよび[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノン(約100mg)の混合物に、DCM(5ml)、次いで三臭化ホウ素(3当量)を加えた。この反応物を完了するまで室温で撹拌した。反応物を氷でクエンチし、水およびEtOAcで希釈した。水層をEtOAcで抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、濾過し、蒸発乾固すると黄色残渣が残り、これを分取HPLCにより精製し、2つのレゾルシノール異性体を得た。
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン、(化合物121H−i)1H NMR(Me−d3−OD)7.42−7.30(3H,m),7.19(1H,s),6.39(1H,s),4.98−4.87(4H,m),4.03−3.97(1H,m),3.94−3.86(1H,m),3.68(1H,br s),3.22(1H,sept),2.40(6H,s),1.23(6H,d).MS:[M+H]+384.
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン、(化合物121H−ii)1H NMR(Me−d3−OD)7.39−7.25(3H,m),7.18(1H,s),6.38(1H,s),6.94−6.88(5H,m),3.22(1H,sept),2.77−2.68(1H,m),2.61−2.51(1H,m),2.42(6H,s),1.23(6H,d).MS:[M+H]+384.
(実施例54)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン塩酸塩の合成
54A.4−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
DMF(10ml)中、2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸(製法D6)(0.5g、0.96mmol)、EDC(0.22g、1.15mmol)、HOBT(0.196g、1.15mmol)およびBOCピペラジン(0.117ml、1.06mmol)の溶液を室温で48時間撹拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO3で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過した後、真空下で蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤として80%EtOAc−P.E.)により精製し、0.5gの4−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。MS:[M+H]+688.
54B.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン塩酸塩の合成
方法A5と同様の水素化を行い、(0.2g、0.30mmol)4−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[粗物質として使用]をEtOAcに溶解させた後、飽和EtOAc/HClで処理し、周囲温度で3時間撹拌し、反応物をエーテルで希釈し、固体を濾過し、0.19gの(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン塩酸塩を得た。1H NMR(Me−d3−OD)7.50−7.42(3H,m),7.18(1H,s),6.39(1H,s),5.00−4.95(4H,br s),3.92−3.79(4H,br s),3.35−3.28(4H,br s),3.26−3.15(1H,m),1.23(6H,d).MS:[M+H]+410.
(実施例55)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
55A.2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メトキシ−メチル−アミドの合成
DMF(20ml)中、2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸(製法D6)(1.76g、3.39mmol)、EDC(0.78g、4.06mmol)、HOBT(0.55g、4.06mmol)、Et3N(1ml、6.78mmol)およびN,O−ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(0.36g、3.72mmol)の溶液を室温で48時間撹拌した後、真空下で蒸発させた。この粗物質を酢酸エチルに溶解させ、飽和NaHCO3で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過した後、蒸発させ、1.84gの2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メトキシ−メチル−アミドを得た。MS:[M+H]+563
55B.2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルバルデヒドの合成
THF(5ml)中、2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド(0.226g、0.4mmol)の溶液を0℃まで冷却し、1M LiAlH4/THF(0.3ml、0.3mmol)で処理し、1時間撹拌し、さらにLiAlH4(0.05ml)を追加した後、30分間撹拌した。この反応物を飽和KHSO4溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、0.2gの2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルバルデヒドを得た。MS:[M+H]+504
55C.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
CH2Cl2(10ml)中、2−(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルバルデヒド(0.316g、0.63mmol)およびn−メチルピペラジン(63mg、0.63mmol)の溶液にAcOH(38mg、0.63mmol)およびNaBH(OAc)3(0.28g、1.33mmol)を加えた後、周囲温度で5時間撹拌した。この反応物を水でクエンチし、層を分離し、水層をCH2Cl2で洗浄した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、0.32gの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンを得た。MS:[M+H]+ 588
55D.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
MeOH/H2O[9.1]中、K2CO3(2当量)を加えること以外は、方法A5を用いて水素化を行った。メタノールを蒸発させた後、反応物を水で希釈し、1M HClを用いて中和し、CH2Cl2で抽出した(2回)。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で蒸発させた後、分取HPLCにより精製し、21mgの(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンを得た。MS:[M+H]+410.1H NMR(Me−d3−OD)7.37−7.23(3H,br s),7.19(1H,s),6.39(1H,s),4.94−4.87(4H,br s),3.57(2H,s),3.27−3.16(1H,m),2.67−2.39(8H,m),2.31(3H,s),1.23(6H,d).
(実施例56)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノンの合成
56A.4−ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩の合成
水(300ml)中、3−メトキシフタル酸ジメチル(69.45g、0.31mol)[ジャーナル・オブ・ケミカルソサエティー、パーキントランザクションズ(J. Chem. Soc, Perkin Trans.)1、1989、391に従って製造]の懸濁液を水酸化カリウム(43.7g、0.78mol)で処理し、この混合物を撹拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、反応過程で遊離したメタノールを真空下で除去し、5M塩酸を加えることでこの混合物をpH2以下に酸性化し、真空下で穏やかに蒸発させて結晶化を促進した。固体物質を濾別し、小さな氷で冷却した水で洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、3−メトキシフタル酸(51.0g、84%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)13.05(2H,br s),7.48(2H,m),7.33(1H,m),3.82(3H,s).MS:[M+H]+197.
無水テトラヒドロフラン(250ml)中、3−メトキシフタル酸(51.0g、0.26mol)の混合物に無水酢酸(70ml)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、得られた固体物質を真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、無水3−メトキシフタル酸(45.9g、99%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.97(1H,dd),7.63(1H,d),7.60(1H,d),4.02(3H,s).MS:[M+H]+179.
無水3−メトキシフタル酸(24.0g、134.8mmol)およびホルムアミド(120ml)の混合物を撹拌し、210℃で5時間維持した後、一晩室温まで冷却した。水(100ml)を加え、固体物質を減圧下で濾別した。この粗生成物を50%アセトン水溶液(50ml)およびジエチルエーテル(200ml)で順次洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、3−メトキシフタルイミド(8.95g、37%)を灰白色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)11.08(1H,br s),7.78(1H,dd),7.45(1H,d),7.36(1H,d),3.93(3H,s).MS:[M+H]+178.
0℃の無水テトラヒドロフラン(200ml)中、3−メトキシフタルイミド(8.95g、50.56mmol)の撹拌溶液を、テトラヒドロフラン中ボランの溶液(1M、150ml、0.15mol)で滴下処理し、得られた混合物を撹拌し、還流下で16時間維持した。この混合物を0℃まで冷却し、メタノール(60ml)、次いで5M塩酸(60ml)を滴下し、この混合物を撹拌し、還流下で4時間維持した。室温まで冷却したところで、有機溶媒を真空下で除去し、この混合物を水(250ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×250ml)で抽出した。水層を、5M水酸化ナトリウムを加えることでpH12以上に塩基性化し、ジクロロメタン(3×250ml)で抽出し、合わせた抽出物を真空下で蒸発乾固し、4−メトキシイソインドリン(4.44g、59%)を緑色油状物として得、これをさらなる精製をせずに用いた。1H NMR(DMSO−d6)7.18(1H,t),6.83(1H,d),6.78(1H,d),4.07(2H,s),4.02(2H,s),3.78(3H,s).MS:[M+H]+150.
48%臭化水素酸水溶液(50ml)中、4−メトキシイソインドリン(4.4g、29.53mmol)を撹拌し、還流下で16時間維持した。室温まで冷却したところで、溶媒を真空下で除去し、4−ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩(5.0g、78%)を淡橙色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)9.95(1H,br s),9.37(2H,br s),7.19(1H,t),6.84(1H,d),6.80(1H,d),4.48(2H,t),4.40(2H,t).MS:[M+H]+136.
56B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
N,N−ジメチルホルムアミド(50ml)中、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(8.1g、21.65mmol)、4−ヒドロキシイソインドリン臭化水素酸塩(4.91g、22.73mmol)、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(5.0g、25.98mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.5g、25.98mmol)およびトリエチルアミン(6ml、43.3mmol)の混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200ml)で処理した。この混合物を濾過し、固体物質を水で十分洗浄し、減圧下で吸引乾燥させ、真空炉にて50℃で一晩乾燥させ、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(10.25g、96%)を淡黄褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)(アミド回転理性体の混合物)9.68および9.60(1H,2x br s),7.45−7.25(10H,m),7.20−7.00(3H,m),6.82および6.72(1H,2xd),6.68(1H,m),5.23および5.22(2H,2xs),5.18(2H,s),5.11(1H,s),5.09(1H,s),4.77および6.67(2H,2xs),4.53および4.44(2H,2xs),2.04(3H,s).MS:[M+H]+492.
56C.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
DMF中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(2g;4.07mmol)、4−(3−クロロプロピル)モルホリン(1.66g;2.5当量)および炭酸セシウム(8.3g;6.25当量)の混合物を90℃で一晩加熱した後、蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。この粗物質を、0%〜10%MeOH/EtOAcの勾配溶離を用いるBiotage SP4(40S、40ml/分)を用いて精製し、1.8gの(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンを淡黄色のガムとして得た。MS:[M+H]+619。
56D.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノンの合成
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(方法A5に記載のとおり)の水素化の後、飽和HCl/EtOAcで処理し、温アセトンでトリチュレーションを行い、890mgの標題化合物(塩酸塩)をクリーム色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)10.78(1H,br s),10.05(1H,br s),9.55(1H,br s),7.30(1H,t),7.08(1H,s),6.98−6.90(2H,m),6.45(1H,s),4.80(2H,s),4.75(2H,s),4.15(2H,t),3.95(2H,br m),2.80(2H,br m),3.50−3.35(2H,br m),3.25(2H,br m),3.18−3.02(3H,br m),2.20(2H,br m),1.15(6H,d).MS:[M+H]+441.
(実施例57〜74)
上記の方法に従い、以下の化合物を製造した。
(実施例75)
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
75A.5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.97g、10mmol)をトルエンから蒸発させることにより共沸乾燥させた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(228mg、0.25mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(149mg、0.50mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(1.34g、13.9mmol)を加え、このフラスコを窒素でパージした。トルエン(25ml)、次いでN−メチルピペラジン(1.33ml、12mmol)を加え、この混合物を80℃まで2時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をエーテルで希釈し、セライトで濾過し、濃縮して残渣を得、これをシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、1%〜3%勾配)により精製した。これにより標題化合物を褐色固体として得た(1.45g、46%)。1H NMR(MeOH−d4)7.15(1H,m),6.94−6.88(2H,m),4.60−4.54(4H,m),3.20−3.17(4H,m),2.63−2.60(4H,m),2.34(3H,s),1.52(9H,s).MS:[M+H]+318.
75B.5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール二塩酸塩
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(247mg、0.78mmol)をジオキサン中4MのHCl(4ml、4mmol)で24時間処理した。真空濃縮により標題化合物を定量的収量で得、これをそのままカップリング反応に用いた。1H NMR(DMSO−d6)11.13(1H,br s),9.99(2H,br s),7.27(1H,d),7.02−7.00(2H,m),4.43−4.37(4H,m),3.82−3.75(2H,m),3.49−3.43(2H,m),3.15−3.10(4H,m),2.79−2.78(3H,s),1.52(9H,s).MS:[M+H]+218.
75C.(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
DMF(5ml)中、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸(176mg、0.93mmol)の溶液を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(179mg、0.93mmol)、次いでHOBt(126mg、0.93mmol)で処理した。45分後、この活性化酸の溶液を、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール二塩酸塩(290mg、0.78mmol)とトリエチルアミン(0.28ml、2mmol)の混合物に加え、その後、この混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルと水とで分液した(3回)。各抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した後、乾燥させ(MgSO4)、合わせて濃縮した。不溶性物質がいくらか残ったので、これを1N塩酸およびメタノールに溶解させた後、有機抽出物と合わせた。固体水酸化ナトリウムでpHを14に調整し、この混合物を一晩放置した。1N塩酸でpHを7に調整し、得られた沈殿を濾別した後、分取HPLCにより精製し、標題化合物を赤色固体として得た。これを、ジオキサン中4MのHClで処理することでその塩酸塩に変換し、真空濃縮し、エーテルでトリチュレーションを行い、褐色固体を得た(91mg、27%)。1H NMR(DMSO−d6)11.10(1H,br s),10.50(1H,br s),7.26−7.15(2H,m),7.02−6.93(2H,m),6.69(1H,s),4.72−4.61(4H,m),3.78−3.72(2H,m),3.45(2H,br s),3.12(4H,br s),2.78(3H,s).MS:[M+H]+386/388.
(実施例76)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジ−ヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
76A.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノンの合成
反応溶媒としてCH2Cl2を用い、方法A4に従い、2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(5.0g、13.4mmol)(製法B9)と5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(製法C20)のカップリングを行い、標題化合物(8.34g)をベージュ色の固体として得た。
76B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの合成
N2雰囲気下、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ブロモ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(8.30g、15.0mmol)、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(223mg、0.75mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(344mg、0.38mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.17g、22.5mmol)および1−メチル−ピペラジン(2.16ml、19.5mmol)の混合物に無水トルエン(100ml)を加えた。この混合物を80℃とし、この温度で16時間加熱した。この混合物を周囲温度まで冷却し、エーテル(150ml)で希釈し、セライトプラグで濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を真空下で減量し、残渣を、溶離剤CH2Cl2−DMAW 120(1:0〜0:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(9.39g)を赤色のガムとして得た。
76C.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル(−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
メタノール(200ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(8.61g、15.0mmol)および10%Pd/C(1.0g)の混合物を水素雰囲気(約1atm)下、周囲温度で18時間激しく撹拌した。この混合物をセライトプラグで濾過し、真空下で減量し、紫色の油状物を得た。この残渣を、溶離剤DMAW 120を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物をその酢酸塩として得た。この塩をMeOH(30ml)に取り、この溶液にEtOAc中飽和HCl(20ml)を加えた。この混合物を周囲温度で2時間撹拌し、生じた固体を濾取し、真空乾燥させ、標題化合物をその塩酸塩(2.64g)として白色固体として得た。
(実施例77)
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
DMF(5ml)中、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸(176mg、0.93mmol)の溶液を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(179mg、0.93mmol)、次いでHOBt(126mg、0.93mmol)で処理した。45分後、この活性化酸の溶液を、5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール二塩酸塩(290mg、0.78mmol)およびトリエチルアミン(0.28ml、2mmol)の混合に加え、その後、この混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、残渣を酢酸エチルと水とで分液した(3回)。各抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した後、乾燥させ(MgSO4)、合わせて濃縮した。不溶性物質がいくらか残ったので、これを1N塩酸およびメタノールに溶解させた後、有機抽出物と合わせた。固体水酸化ナトリウムでpHを14に調整し、この混合物を一晩放置した。1N塩酸でpHを7に調整し、得られた沈殿を濾別した後、分取HPLCにより精製し、標題化合物を赤色固体として得た。これを、ジオキサン中4MのHClで処理することによりその塩酸塩に変換し、真空濃縮し、エーテルでトリチュレーションを行い、褐色固体を得た(91mg、27%)。1H NMR(DMSO−d6)11.10(1H,br s),10.50(1H,br s),7.26−7.15(2H,m),7.02−6.93(2H,m),6.69(1H,s),4.72−4.61(4H,m),3.78−3.72(2H,m),3.45(2H,br s),3.12(4H,br s),2.78(3H,s).MS:[M+H]+386/388.
(実施例78)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの別法合成
78A.5−ブロモ−2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
ジクロロメタン(20ml)中、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(1.64g、8.23mmol)およびトリエチルアミン(1.4ml、9.9mmol)の溶液に、塩化トリチル(2.30g、8.23mmol)を加えた。18時間後、溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルに取り、水(2回)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。この粗物質を、1%トリエチルアミン/10%酢酸エチル/石油で溶離するシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、5−ブロモ−2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールを赤色がかった褐色の固体として得た(3.10g、85%)。1H NMR(CDCl3)7.91−7.84(1H,m),7.57(6H,d),7.45−7.41(1H,m),7.33−7.14(9H,m),6.95(1H,d),3.90(2H,s),3.86(2H,s).MS:Ph3C+243.
78B.1−メチル−4−(2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−ピペリジン−4−オール
窒素下、THF(20ml)中、5−ブロモ−2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(2.03g、4.6mmol)の溶液を−78℃まで冷却した。n−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M、2.0ml、5mmol)を5分かけて加え、10分後、1−メチル−4−ピペリドンを滴下した。さらに1時間後、冷却浴を外し、重炭酸ナトリウム溶液で反応物をクエンチした。この混合物を酢酸エチルで抽出した後、有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、0%〜5%で勾配溶離)により精製し、1−メチル−4−(2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−ピペリジン−4−オールを桃色の泡沫として得た(1.25g、57%)。1H NMR(MeOH−d4)7.56(6H,dd),7.28(6H,t),7.25−7.21(2H,m),7.15(3H,t),7.03(1H,d),3.92(2H,s),3.91(2H,s),2.70(2H,d),2.53(2H,td),2.33(3H,s),2.06(2H,td),1.70(2H,d).MS:[M+H]+475.
78C.4−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−1−メチル−ピペリジン−4−オール二塩酸塩
1−メチル−4−(2−トリチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−ピペリジン−4−オール(1.42g、3.0mmol)、5N塩酸(5ml)およびメタノール(10ml)の混合物を窒素下に置いた後、80分間加熱還流した。冷却後、この混合物を真空濃縮してメタノールを除去し、水で希釈し、酢酸エチルで洗浄した(2回)。水相を濃縮乾固し、標題化合物を定量的収量の黒色固体として得た。1H NMR(MeOH−d4)7.62(1H,s),7.57(1H,d),7.45(1H,d),4.64(2H,s),4.63(2H,s),3.49−3.46(4H,m),2.95(3H,s),2.40−2.32(2H,m),1.97(2H,dd).
78D.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(1.65g、4.4mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(843mg、4.4mmol)および1−ヒドロキシベンズトリアゾール(595mg、4.4mmol)をDMF(20ml)に溶解させた。35分後、この溶液を、DMF(5ml)およびトリエチルアミン(1.4ml、10mmol)中、4−(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−1−メチル−ピペリジン−4−オール二塩酸塩(1.22g、4.0mmol)の懸濁液に加えた。この混合物を3時間撹拌した後、真空濃縮した。残渣を酢酸エチルに取り、水(2N水酸化ナトリウム溶液でpH14に調整)およびブラインの混合物で洗浄した。水相を酢酸エチルでさらに2回抽出した後、合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン、2%〜10%で勾配溶離)により精製し、標題化合物を褐色泡沫として得た(1.62g、69%)。1H NMR(メタノール−d4)7.51−7.14(14H,m),6.85(0.5H,s),6.84(0.5H,s),5.16(2H,s),5.15(2H,s),5.10−5.08(1H,m),5.07−5.05(1H,m),4.87(1H,s),4.86(1H,s),4.61(2H,br s),2.78−2.70(2H,m),2.57(1H,td),2.54(1H,td),2.36(1.5H,s),2.34(1.5H,s),2.16−2.05(5H,m(2.09(3H,s)を含む)),1.78−1.70(2H,m).MS:[M+H]+589.
78E.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(実施例50F)(1.62g、2.75mmol)をメタノール(50ml)に溶解させ、遊離水素条件下、Hキューブ水素化装置を用い、10%パラジウム/炭素上、50℃で水素化した。濃縮し、標題化合物(1.14g、100%)を黄色固体として得た。なお、NMRおよび質量分析のデータは実施例50Eに示した。
(実施例79)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
79A.7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−オール臭化水素酸塩
製法C2の方法を用い、5−メトキシ−3−メチル−フタル酸ジメチルエステル(タムおよびコールズ(Tam and Coles)、シンセシス(Synthesis)1988年、383に従って製造)を5−メトキシ−3−メチル−フタル酸へ加水分解した。1H NMR(DMSO−d6)12.95(2H,br s),7.15(1H,d),7.04(1H,d),3.80(3H,s),2.29(3H,s).MS:[M−H]+209.
5−メトキシ−3−メチル−フタル酸を無水5−メトキシ−3−メチル−フタル酸に変換した。1H NMR(DMSO−d6)7.40(1H,d),7.34−7.33(1H,m),3.94(3H,s),2.58(3H,s).
無水5−メトキシ−3−メチル−フタル酸を用いて6−メトキシ−4−メチル−イソインドール−1,3−ジオンを製造した。1H NMR(DMSO−d6)11.05(1H,br s),7.13(1H,d),7.10(1H,d),3.88(3H,s),2.55(3H,s).
製法C2の方法に従って6−メトキシ−4−メチル−イソインドール−1,3−ジオンを還元し、6−メトキシ−4−メチル−イソインドールを得た。1H NMR(DMSO−d6)6.64(1H,s),6.57(1H,s),4.05(2H,s),3.96(2H,s),3.70(3H,s),2.16(3H,s).MS:[M+H]+164.
6−メトキシ−4−メチル−イソインドールを脱メチル化し、標題化合物をその臭化水素酸塩として得た。1H NMR(DMSO−d6)9.52(1H,br s),9.29(2H,br s),6.59(1H,s),6.56(1H,s),4.41(2H,t),4.34(2H,t),2.17(3H,s).
79B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(248mg、0.66mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル)]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(127mg、0.66mmol)および1−ヒドロキシベンズトリアゾール(89mg、0.66mmol)をDMF(5ml)に溶解させた。20分後、7−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−オール臭化水素酸塩(152mg、0.66mmol)およびトリエチルアミン(0.14ml、0.99mmol)を加えた。さらに3.5時間後、この混合物を真空濃縮し、残渣を1N塩酸および酢酸エチルで処理した。水相を取り出し、ブラインを加え、標題化合物を濾取し、灰色固体を得た(168mg、57%)。1H NMR(DMSO−d6)9.30(0.47H,s),9.24(0.53H,s),7.48−7.25(10H,m),7.09(0.47H,s),7.08(0.53H,s),6.99(0.47H,s),6.98(0.53H,s),6.56(0.47H,s),6.50(0.53H,s),6.48(0.47H,s),6.44(0.53H,s),5.24(0.47H,s),5.22(0.53H,s),5.18(2H,s),5.10−5.07(2H,m),4.70(0.47H,s),4.61(0.53H,s),4.46(0.47H,s),4.36(0.53H,s),2.17(1.41H,s),2.04(3H,s),1.99(1.59H,s).MS:[M+H]+506.
79B.(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル−メタノン
DMF(5ml)中、(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン(164mg、0.32mmol)、炭酸カリウム(112mg、0.81mmol)および2−(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(93mg、0.64mmol)の混合物を60℃で17時間、次いで90℃で6時間加熱した。さらなる炭酸カリウム(112mg、0.81mmol)および2−(ジメチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(93mg、0.64mmol)を追加し、この混合物を60℃で72時間維持し、最後にさらに24時間90℃で維持した。この混合物を真空濃縮した後、残渣を酢酸エチルと0.5N水酸化ナトリウム水溶液とで分液した。有機相をブラインで洗浄し(2回)、乾燥させ(MgSO4)、濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(酸性法)により精製し、標題化合物をギ酸塩として得た(37mg、20%)。1H NMR(MeOH−d4)8.51(1H,br s),7.43−7.27(7H,m),7.24−7.20(3H,m),7.17(0.5H,s),7.16(0.5H,s), 6.85(0.5H,s),6.84(0.5H,s),6.81(0.5H,s),6.77(0.5H,s),6.74(0.5H,s),6.62(0.5H,s),5.16(1H,s),5.14(3H,s),5.09(1H,m),5.06(1H,m),4.83(1H,s),4.74(1H,s),4.60(1H,s),4.48(1H,s),4.28(1H,t),4.23(1H,t),3.41(1H,t),3.37(1H,t),2.84(3H,s),2.81(3H,s),2.27(1.5H,s),2.09(3H,s),2.07(1.5H,s).MS:[M+H]+577.
79C.(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(37mg、0.06mmol)を、遊離水素条件下、Hキューブ水素化装置を用い、10%パラジウム/炭素上、50℃、メタノール中で水素化した。生成物を分取HPLC(塩基性法)により精製し、標題化合物を灰白色固体として得た(9mg、35%)。1H NMR(MeOH−d4)7.18(1H,s),6.77−6.65(2H,br.m),6.37(1H,s),4.85(水により不明瞭なCH2),4.77(2H,s),4.08(2H,t),3.20(1H,sept),2.81(2H,t),2.39(6H,s),2.22(3H,br s),1.21(6H,d).MS:[M+H]+399.
(実施例80)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
工程1
4−アセトキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
トルエン0.2Lに、レゾルシノールメチルエステル(50g、0.298mol)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.27g、0.0022mol、0.74mol%)を加え、次いで無水酢酸(30ml、0.318mol)を加えた。この溶液を50℃まで2時間加熱した。溶媒を50℃で小容量になるまで蒸発させて除去し、残渣をトルエンと1回共沸させた。まだ温かいうちに残油に直ちにトルエン(100ml)を加え、溶液をさらなる精製を行わずに工程2に用いた。
工程2
5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
N2下、工程1からのトルエン溶液を氷浴にて冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸(26ml)を30分間かけてゆっくりと加えた。撹拌したしたところ、白色の微細固体が形成され、これを撹拌しながら室温で16時間溶解させて、黄色溶液を得た。この溶液に塩化アセチル(2ml)を加え、溶液を室温でさらに1時間撹拌した。この溶液を、EtOAc(600ml)と水(400ml)に溶解したNaOAc.3H2O(40g)との撹拌冷却(0oC)溶液にカニューレを用いて導入した。有機相を水(2回、200ml)および飽和ブラインで洗浄し、乾燥させずに小容量になるまで蒸発させた。残渣をヘプタンと共沸させ(2回、100ml)、ヘプタン(100ml)を加え、結晶性固体を濾去し、焼結体上でヘプタンでよく洗浄し、乾燥させて49.5g(79%)を得た。
合わせたバッチの最終精製
合わせた固形物のバッチ(96.3g)を10%IPA/ヘプタン(250ml)で沸騰するまで加熱した後、室温そして最終的には0oCまで冷却し、濾過し、残渣を72時間乾燥させて(油ポンプ)、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーおよびNMRによれば純粋なものを得た(88.04g、91.5%)。
1H NMR(DMSO−d6)12.58(1H,s),11.22(1H,s),8.33(1H,s),6.45(1H,s),3.90(3H,s),2.62(3H,s).
工程3
5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(別の手順)
レゾルシノールメチルエステル(50g、0.298mol)およびアンバーリスト(Amberlyst)15樹脂(40g)をトルエン150ml中に(窒素雰囲気下で)懸濁させ、溶液を油浴にて70oC(内部温度56oC)で加熱した。塩化アセチル(22ml、308mmol)を5mlずつ30分間かけて加え、気体HClを発生させた(これをNaOH水溶液に窒素気流を通過させることで除去した)。この溶液を70oCで4.5時間撹拌した後、油浴温度(内部温度96oC)で3.5時間加熱した。溶液を50oCまで冷却し、EtOAc(100ml)を加え、この溶液をこの温度で濾過した。残留樹脂をEtOAc(50ml)で洗浄し、合わせた濾液を結晶性固体(固体と溶媒との総重量128g)のスラリーなるまで濃縮した。このスラリーにヘプタン(100ml)を加え、室温で10分経過後、固体を濾去した。残渣をヘプタン:トルエン(2:1、60ml)、次いでbp40〜60oCの石油エーテルで洗浄し、真空乾燥させ、収穫物1 29g(46.4%)を得た(NMRは、メチルエステルの鹸化から得られた物質(3%)を示した)。
濾液を小容量まで蒸発させ、ヘプタン(100ml)中の20%EtOAcを加えた。室温で16時間放置した後、4.75g(7.6%)の第2の収穫物を得た(収穫物1と同一のNMR)。
工程4
5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ−安息香酸メチルエステル
アセトニトリル(800ml)中の5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル(60.7g、0.29mol)および無水炭酸カリウム(87.8g、0.64mol)の撹拌混合物に臭化ベンジル(70ml、0.59mol)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で16時間保持した。室温まで冷却したところでこの混合物を水(3L)に注ぎ、2時間激しく撹拌した。固体を濾取し、水(2L)ですすぎ、減圧下で吸引乾燥させ、真空炉にて一晩60℃で一定質量になるまで乾燥させて、5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(112.1g、99%)をクリーム色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)8.21(1H,s),7.55(4H,m),7.43(4H,m),7.37(2H,m),7.04(1H,s),5.38(4H,s),3.79(3H,s),2.48(3H,s).MS:[M+H]+391.
工程5
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルエステル
無水テトラヒドロフラン(1L)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(92.8g、0.26mol)の撹拌懸濁液にカリウムtert−ブトキシド(29.1g、0.26mol)を加え、この混合物を室温で10分間撹拌し、5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(78.0g、0.2mol)を加え、この混合物を室温でさらに30分間撹拌した。メタノール(100ml)を加えて過剰のリンイリドをクエンチさせ、溶媒を真空下で除去して橙色油状物を得、これを放置すると結晶化した。残渣をメタノール(330ml)から再結晶化させた。固体を吸引濾過により採取し,メタノール(50ml)で洗浄し、減圧下で吸引乾燥させて2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルを淡黄色の針状物として得た。一晩放置したところ母液から物質の第2の収穫物(合わせた収率:56.55g、73%)が析出した。1H NMR(DMSO−d6)7.59(1H,s),7.52(2H,d),7.64−7.32(8H,m),6.97(1H,s),5.28(2H,s),5.22(2H,s),5.09(1H,s),5.04(1H,s),3.76(3H,s),2.02(3H,s).MS:[M+H]+389.
エステルのさらなる収穫物は以下のようにして得られた。結晶化残渣を真空下で蒸発乾固し、油状固体をヘプタン(250ml)中の5%酢酸エチルで処理した。激しく撹拌した混合物に、残渣から大量の固体のトリフェニルホスフィンオキシドが析出するまで酢酸エチルを少量ずつ加えた。固体を濾去し、濾液を真空下で蒸発乾固して橙色油状物を得た。メタノールからの再結晶化(上述のとおり)により、さらなる2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルを淡黄色の結晶性固体として得た(全収率85〜90%)。
工程6
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸
メタノール(750ml)および水(250ml)中の2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチル(61.0g、0.16mol)の撹拌懸濁液に水酸化カリウム(10.96g、0.19mmol)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で16時間保持した。冷却したところで有機溶媒を真空下で除去し、2M塩酸(200ml)を加えることで混合物をpH2以下に酸性化した。この混合物を水(2L)で希釈し、酢酸エチル(2L)で抽出し,有機層を分離し、溶媒を真空下で除去して2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(58.8g、100%)を無色の固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.52(2H,d),7.47−7.29(9H,m),6.82(1H,s),5.20(2H,s),5.17(2H,s),5.06(1H,s),5.04(1H,s),2.03(3H,s).MS:[M+H]+375.
工程7
ジ−プロプ−2−イニル−カルバミン酸ベンジルエステル
EtOAc(200ml)および10%K2CO3水溶液(700ml、507mmol)中のジプロパルギルアミン(46.7g、502mmol)の冷却(0oC)溶液に、EtOAc(500ml)中のN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(125g、502mmol)の溶液を20分間かけてゆっくりと加えた。この溶液を0℃で2時間、次いで室温で16時間撹拌した。相を分離し、有機相を10%K2CO3水溶液(700ml、507mmol)、次いで飽和ブライン(500ml)で洗浄し、EtOAcで1000mlに希釈して0.5M溶液を得た。
工程8
5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
トルエン(120ml)中のプロパルギルアルコール(26.4ml、424mmol)溶液を脱気した。上記0.5Mジイン(diyne)溶液(440ml、220mmol)を蒸発させ、残渣をトルエン(80ml)に溶解させた。この保護ジイン溶液およびウィルキンソン触媒(2.26g、2.44mmol、1.11%)を、温度が50〜100oCに保たれるように内部温度をモニタリングしながら14等分に分けて2時間かけて加えた。この溶液を30分間かけて50℃まで冷却し、溶液を蒸発させた(過剰のプロパルギルアルコールを除去した)。残渣をトルエン(500ml)および木炭(Darco4〜12メッシュ、20g)を用いて100℃で30分間加熱した後、セライトベッドで高温濾過し、褐色溶液を蒸発させた。残渣を80℃のEtOAc(400ml)に溶解させ、シリカゲル(クロマトグラフィーグレード、65g)を加え、加熱を20分間続けた。この溶液を熱いうちに濾過した後、蒸発させ(シード添加しながら)、淡褐色の固体を得た。10%EtOAc/ヘプタン(v/v、100ml)を加え、固体を濾去した。固体を焼結体上でヘプタン(100ml)で洗浄し、乾燥させ(50℃、油ポンプ、16時間)、59.0g(95%)の標題化合物を得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.51−7.16(m,8H),5.21(s,2H),4.74(s,2H),4.70(s,2H),4.61(s,2H).
工程9
5−メタンスルフォニルオキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
THF(470ml)およびEtOAc(770ml)中の5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(65.75g、0.232mol)の溶液にEt3N(39ml、0.28mol)を加えた。この溶液を氷浴にて冷却し、EtOAc(50ml)に溶解した塩化メタンスルホニル(19ml、0.245mol)の溶液を加えた(内部温度<12℃となるようにした)。氷浴にて2時間撹拌した後、塩化メタンスルホニル(1.9ml、0.95ml)およびEt3N(3.9ml)をさらに加えた(1時間のさらなる撹拌後に出発物質が残存しない(薄層クロマトグラフィーにより)ようにした)。NaHCO3(550ml)を加え、溶液を20分間撹拌した後、飽和ブライン(200ml)を加え、相を分離した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、シード添加しながら蒸発させて湿った固体を得、これを完全乾燥させずに次の工程で用いた。
工程10
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル二塩酸塩
工程9からの固体(0.232molとして)をアセトン(700ml)に溶解させ、この溶液をアセトン(330ml)中のK2CO3(48g)およびN−メチルピペラジン(50ml、0.45mol)の冷却(内部温度15〜17℃)懸濁液に45分間かけて加えた。この懸濁液を15℃で3時間撹拌し(薄層クロマトグラフィーによる出発物質の完全除去)、溶液を小容量まで蒸発させ、残渣をEtOAc(1000ml)および水(500ml)と飽和ブライン(50ml)との混合物で分液した。有機相を水(500ml)と飽和ブライン(150ml)との混合物で洗浄し、最後に飽和ブライン(300ml)で洗浄した。この溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、この溶液にMeOH(430ml、0.43mol)中の1MのHClを加えた。懸濁液を冷却し(0oCで30分間)、固体を濾去し、これを焼結体上でEtOAc次いでヘプタンで洗浄した後、固体を乾燥させ(油ポンプ、室温72時間)、66.34g(65%)の標題化合物の収穫物1を無色の固体として得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.64−7.51(m,2H),7.51−7.29(m,6H),5.23(s,2H),4.79(dd,J=16.2,6.1Hz,4H),4.49(s,2H),3.66(s,8H),3.03(s,3H).
別の工程10A
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル二塩酸塩
工程10Aを別の経路として用いて上記工程9および10に代えることができる。
DCM(100ml)中の二酸化マンガン(15.5g、178mmol)懸濁液に5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(3.35g、11.8mmol)を加え、室温で6時間撹拌した後、二酸化マンガン(5g、57mmol)をさらに加えた。さらに室温で1時間撹拌した後、セライト(7g)を加え、溶液をセライト(登録商標)ベッドで濾過し、澄んだ淡黄色溶液を得た。セライト(登録商標)をDCMで洗浄し、合わせた有機溶液の容量を蒸発により100mlに調整した。N−メチルピペラジン(1.31ml、11.8mmol)および酢酸(0.68ml)、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(4.98g、23.5mmol)を加えた。黄色溶液を16時間撹拌し、無色の溶液を得た。この溶液に2MのHCl(10ml、20mmol)を加えると沸騰した。30分後、水(10ml)およびK2CO3(5.5g、39.8mmol)を加え、有機相を乾燥させた(Na2SO4)。濾過後、ジオキサン(6ml)中の4MのHClを撹拌しながら加え、懸濁液を蒸発乾固した。残渣を温めながらMeOHに溶解させ、蒸発後、固体を焼結体上でEtOAc次いで石油(bp40〜60oC)で洗浄した後、50oCで真空乾燥させて3.61g(70%)の標題化合物を得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.65−7.51(2H,m),7.51−7.27(6H,m),5.23(2H,s),4.83−4.69(4H,m),4.49(2H,s),3.66(8H,d),3.03(3H,s)
工程11
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル二塩酸塩(工程10、59.8g、136.7mmol)にEtOAc(400ml)および10%K2CO3水溶液(400ml)を加えた。有機相を飽和ブライン(200ml)で洗浄した後、乾燥させた(MgSO4)。この溶液を濾過し、蒸発させて油状物とした(これを石油エーテル(bp40〜60oC)とともに放置すると結晶化した)。この固体を真空乾燥させて無色の固体を得た。48.8g(133.5mmol)。
この固体の一部(24.4g、66.8mmol)をMeOH(170ml)に溶解させ、溶液を窒素で脱気およびパージした後、10%Pd/C(1.22g)を加え、この混合物を1気圧で2.5時間水素化した。溶液を濾過し、蒸発させ、残渣をトルエンと30〜40oCで2回共沸させた。残渣をDMF(92ml)に溶解させ、溶液を直ちにN2で脱気およびパージした。
(注:この段階での生成物は、空気の影響を受けやすく、酸素と接触すると暗く変色する。DMF溶液を直ちに用いたが、N2雰囲気下で脱気およびパージすることにより保存することができる)
工程12
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
レゾルシン酸(工程6、23.7g、63.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(10.21g、66.7mmol)の溶液をDMF(92ml)に溶解させ、この溶液にN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(12.8g、66.8mmol)を加えた。溶液を室温で40分間撹拌し、この溶液を工程11からのアミンの溶液(66.8mmol)にDMF(5ml)洗液とともに加えた。この溶液を脱気し、室温で16時間撹拌した。この溶液に10%K2CO3(500ml)およびEtOAc(500ml)を加え、有機相を10%K2CO3(500ml)、水(4×100ml)および飽和ブライン(200ml)で順次洗浄した。この溶液を小容量になるまで蒸発させ、ヘプタン(250ml)中の20%EtOAcを加え、0oCで保存した。生じた固体を濾去し、ヘプタンで2回洗浄し、真空乾燥させて35.05g(94.4%)の標題化合物を得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.49−7.10(m,14H),6.86(d,J=2.5Hz,1H),5.17(d,J=2.5Hz,4H),5.09(d,J=11.3Hz,2H),4.88(s,2H),4.63(s,2H),3.54(d,J=16.0Hz,2H),2.50(s,7H),2.28(d,J=7.6Hz,3H),2.11(s,3H).
工程13
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
工程12からの生成物(4.7g)を1:1のMeOH/水(98ml)に溶解させ、N2でパージした後、10%Pd/CおよびK2CO3(2.38g、17.2mmol)を加え、懸濁液をH2雰囲気下で16時間水素化した。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣に2MのHCl水溶液(40ml)を加え、溶液を1:1のEtOAc/石油(40ml×2)で洗浄した後、NaOHを加えることでpHをpH8.5に調整し、EtOAc(50ml)を加えた。この溶液を60℃まで加熱し、水相を除去した。高温の有機相を水(30ml)で洗浄した後、小容量(約5ml)になるまで蒸発させ、シード添加しながら室温で16時間放置した。この結晶性物質に、1:1のEtOAc/石油(10ml)を加え、この混合物を濾過し、乾燥させて標題化合物を遊離塩基1.76gとして得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.29(s,3H),7.19(s,1H),6.39(s,1H),4.91(s,4H),3.56(s,2H),3.28−3.15(m,1H),2.53(s,8H),2.31(s,3H),1.23(d,J=6.9Hz,7H).
任意の工程14
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンの精製
いくつかの生成物のバッチにおいて、標題化合物(式中、X=H)は、少量の不純物2,4−ジヒドロキシ−5−(2−ヒドロキシプロプ−2−イル)−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(式中、X=OH)を含み得る。不純物は以下の方法によって除去することができる。
トルエン(20ml)中の不純物2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピルベンゾイル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロイソインドール(2.05g、5.0mmol)の撹拌懸濁液に無水酢酸(1.04ml、11.0mmol)を加え、得られた混合物を撹拌し、100℃で16時間保持した。室温まで冷却したところで溶媒を真空下で除去して褐色油状物を得、これをメタノール(20ml)に溶解させた。濃塩酸(1ml)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で5時間保持した。室温まで冷却したところで、有機溶媒および揮発性物質を真空下で除去し、残渣水溶液を水(25ml)で希釈し、激しく撹拌しながら10%炭酸カリウム水溶液を注意深く加えることでpH8に塩基性化した。ヘプタン(50ml)中の50%酢酸エチルを加え、この混合物を室温で16時間激しく撹拌した。固体物質を吸引濾過により採取し、ヘプタン(50ml)中の50%酢酸エチルですすぎ、減圧下で吸引乾燥し、真空炉にて50℃で一晩乾燥させて2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピルベンゾイル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロイソインドール(1.85g、90%)を灰白色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)10.07(1H,br s),9.60(1H,br s),7.24(3H,m),7.06(1H,s),6.40(1H,s),4.76(4H,br s),3.44(2H,s),3.10(1H,m),2.32(8H,m),2.14(3H,s),1.15(6H,d).MS:[M+H]+410.
(実施例81)
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
実施例81は、実施例80において示される経路と本質的に同じ処理工程を含むが、処理条件が規模の大きい反応により適したものである合成経路を示す。
工程1
4−アセトキシ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
トルエン(66L)中のレゾルシノールメチルエステル(16.5Kg、98.1mol)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(89.1g、0.73mol、7.4mol%)の加熱溶液(50oC)に無水酢酸(9.9L、104.9mol)をゆっくりと(2時間かけて)加えた。この溶液をさらに1.5時間50℃まで加熱し、その後、溶媒を50℃で小容量になるまで蒸発させて除去し、残渣をトルエンと1回共沸させた。温かいうちに残油に直ちにトルエン(33L)を加え、この溶液をさらなる精製をせずに工程2で用いた。
工程2
5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ−安息香酸メチルエステル
N2下、工程1からのトルエン溶液を氷浴にて冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸(9.44L)を3時間かけてゆっくりと加えた。撹拌したところで微細な白色固体が形成され、これを室温まで温めながら20時間かけて溶解させた後、室温で37時間撹拌して黄色溶液を得た。この溶液に塩化アセチル(726ml)を加え、溶液を室温でさらに1時間撹拌した。この溶液をEtOAc(217.8L)と水(145L)に溶解したNaOAc.3H2O(14.52Kg)との撹拌冷却(0oC)溶液にカニューレを用いて導入した。有機相を飽和ブラインで洗浄し(2回、72.6L)、5.5Kgまで蒸発させた。トルエン:イソプロパノール(2:3)を加え、結晶性固体を濾去し、乾燥させて融点124〜126℃の12.6Kg(二段階で61%)を得た。
工程3
5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ−安息香酸メチルエステル
アセトニトリル(184.5L)中の臭化ベンジル(16.14L、136mol)および無水炭酸カリウム(20.25Kg、147.6mol)の撹拌溶液に5−アセチル−2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル(14Kg、66.6mol、工程2)を6つに分けて5時間かけて加えた。この混合物を撹拌し、還流下で20時間保持し、室温まで冷却し、混合物を水(682L)の上に注ぎ、2時間激しく撹拌した。固体を遠心分離により採取し、減圧下で一晩真空炉にて60℃で一定質量まで乾燥させ、5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(23.5Kg、97.3%)を融点114〜115℃のクリーム色の固体として得た。
工程4
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルエステル
無水THF(60L)中のカリウムtert−ブトキシド溶液(6.72Kg、60.1mol)を、15℃の無水テトラヒドロフラン(213L)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(21.43Kg、60.1mol)および5−アセチル−2,4−ビス−ベンジルオキシ安息香酸メチル(21.3Kg、54.6mol、工程3)の撹拌懸濁液に3時間かけて加えた。この混合物を15℃で70分間撹拌し、60分間かけて20℃まで温めた。メタノール(27.3L)を加えて過剰のリンイリドをクエンチさせ、溶媒を真空濃縮した後、EtOAcおよび水を加えた。有機相を活性炭で処理し、濾過し、小容量になるまで蒸発させた。残渣を沸騰MeOHから結晶化させ、固体を吸引濾過により採取し、メタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させて、18.1Kg(85%)の2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチルを融点92〜94℃の淡黄色針状物として得た(高速液体クロマトグラフィーによる純度99.6%)。
工程5
2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸
メタノール(18.6L)および水(12.4L)中の2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸メチル(3.1Kg、8mol、工程4)の撹拌懸濁液に水酸化カリウム(0.527Kg、9.4mol)を加え、この混合物を撹拌し、還流下で3時間保持した。メタノールを部分真空下で容器から除去し、残りの溶液にトルエン(62L)を加えた。この溶液を40℃まで加熱し、この混合物に濃縮HCl(1.36L)を加えた。この二相混合物を50℃まで加熱し、相を分離する。有機相を50℃の水(31L)で洗浄し、有機相を減圧下で蒸発させて、2.851Kg(95%収率)の2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸を無色の固体として得た。
工程6
ジ−プロプ−2−イニル−カルバミン酸ベンジルエステル
水(17.5L)およびトルエン(12.5L)中のK2CO3(4Kg、29.0mol)の冷却(5℃)溶液にジプロパルギルアミン(2.50Kg、26.88mol)を加えた。クロロギ酸ベンジルオキシ(4.8Kg、28.14mol)をT<10℃となるような速度で加えた。この溶液を5℃で10分間撹拌した後、室温まで温めた。水相を分離し、有機相を0.2MのHCl(12.5L)、飽和NaHCO3(13.5L)およびブライン(17L)で洗浄し、得られた溶液を工程7で用いた(6.23Kgの含有量を示した、蒸発部分に基づいて102%)。
工程7
5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
トルエン(32.48L)中のプロパルギルアルコール溶液(2.11Kg、37.7mol)を脱気し、55℃まで加熱した。トルエン中のジ−プロプ−2−イニル−カルバミン酸ベンジルエステル(4.06Kg、17.86mol、工程6)の溶液およびウィルキンソン触媒(0.162Kg)を、温度<65℃となるように10等分に分けて加えた(発熱は、次の添加が行われるまでに緩和させた)。次いで、この溶液を55℃で1時間撹拌した後、20℃まで冷却した。DCM(8.12L)を加え、混合物を小容量になるまで濃縮した。トルエン(8L)を加え、溶液を一定重量になるまで蒸発させて5.72Kg(113%)の標題化合物を得た。
工程8
5−メタンスルフォニルオキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
DCM(55L)中の5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(11Kg、38.8mol、工程7)とEt3N(7.04L、50.6mol)との冷却溶液(5℃)に、内部温度<10℃となるように塩化メタンスルホニル(2.97L、38.4mol)を加えた。5℃で0.5時間撹拌した後、この溶液を以下の工程9で用いた。
工程9
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル二塩酸塩
工程8からの固体(0.232molとする)をアセトン(700ml)に溶解させ、この溶液をアセトン(330ml)中のK2CO3(48g)とN−メチルピペラジン(50ml、0.45mol)との冷却(内部温度15〜17℃)懸濁液に45分間かけて加えた。この懸濁液を15℃で3時間撹拌し(薄層クロマトグラフィーによる出発物質の完全除去)、溶液を小容量になるまで蒸発させ、残渣をEtOAc(1000ml)および水(500ml)と飽和ブライン(50ml)との混合物で分液した。有機相を水(500ml)と飽和ブライン(150ml)との混合物で洗浄し、最後に飽和ブライン(300ml)で洗浄した。この溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、この溶液にMeOH(430ml、0.43mol)中の1MのHClを加えた。この懸濁液を冷却し(0℃で30分間)、固体を濾去し、これを焼結体上でEtOAc次いでヘプタンで洗浄し、固体を乾燥させ(油ポンプ、室温72時間)、66.34g(65%)の標題化合物の収穫物1を無色の固体として得た。1H NMR(400MHz,Me−d3−OD):7.64−7.51(m,2H),7.51−7.29(m,6H),5.23(s,2H),4.79(dd,J=16.2,6.1Hz,4H),4.49(s,2H),3.66(s,8H),3.03(s,3H).
工程9
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
DCM(33L)およびN−メチルピペラジン(21.45L、193.4mol)を25℃で撹拌し、工程8からの溶液を温度が20〜30℃となるように最低30分間かけて加えた。この溶液をさらに30分間撹拌した後、水(55L)を加え、有機相を水で洗浄した(2×55L)。生成物を0.8MのHCl(66L)中に抽出し、層を分離した。水相をDCM(55L)で洗浄した後、2MのNaOHでpH10〜11に塩基性化し、生成物をEtOAc中に抽出した(2×55L)。合わせた有機相を濾過して固体を除去し、蒸発させた後、トルエンと共沸させ、一定重量になるまで乾燥させて6.63kg(47%収率、高速液体クロマトグラフィーによる純度98%)の標題化合物を得た。
工程10
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール
EtOH(13L)に溶解した5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(工程9、1.3Kg、3.55mol)の脱気溶液に10%Pd/C(0.065Kg)を加えた。この混合物に30℃で4時間またはNMRによる反応終了まで水素を通過させた。次いで、この溶液をN2雰囲気下で1時間撹拌した後、GF/Fフィルタに通して触媒を濾去し、次いで、キュノ(Cuno)フィルタを通して濾過した。濾液を小容量になるまで蒸発させ、トルエン(3.9L)と共沸させ、一定重量になるまで乾燥させて標題化合物を赤色/黒色の油状固体(0.78Kg)として得、これを必要となるまで窒素下で保存した。
工程11
(2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
25℃のDMF(21.2L)中の2,4−ビス−ベンジルオキシ−5−イソプロペニル−安息香酸(10.58Kg、28.3mol、工程5)の溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(4.82Kg、29.8mol)を加えた。25℃で20分後、DMF(7.2L)中の5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール(7.2Kg、31.1mol、工程10)の溶液を35℃未満の温度に維持し、この溶液を25℃で最低12時間撹拌した。生じた固体を濾去し、酢酸イソプロピルで洗浄し(2×21.6L)、35℃で一定重量になるまで乾燥させて、8.7Kg(77%収率、高速液体クロマトグラフィーによる純度97.5%)の標題化合物を得た。
工程12
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン
工程11からの生成物(0.9Kg、1.53mol)をイソプロパノール(6.8L)および水(1.04L)に溶解させ、N2でパージした後、10%Pd/C(90g)およびK2CO3(0.212Kg、1.53mol)を加え、懸濁液を圧力3バールのH2下で60〜70分間水素化した。この溶液を水(0.5L)で洗浄し、濾過した。濾液にHCl水溶液(30%塩酸、0.85Kg(水5.42Kgで希釈))を加え、溶液を60℃で真空濃縮した(10Lのイソプロパノールを除去)。この溶液に水(0.45L)を加え、濃縮を継続した(さらに10Lのイソプロパノールが除去されるまで)。水相をEtOAc(4.61L)で洗浄し、アセトニトリル(4.06L)で希釈し、濃縮アンモニア溶液(0.35Kg)を加えpH7.5〜8.5に中和した。懸濁液を2.5時間撹拌した後、固体を濾去した。残渣をアセトニトリルで洗浄し(2×0.8L)、40℃で一定重量に乾燥させて588g(94%収率)の標題化合物を得た。
(実施例82)
5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールの別の合成
82A.1−メチル−4−プロプ−2−イニル−ピペラジンの合成
アセトン(380ml)中の1−メチルピペラジン(37.7ml、337mmol)およびK2CO3(46.6g、337mmol)にアセトン(70ml)中の臭化プロパルギル(25ml、225mmol、トルエン中80%)を、N2下、0°Cで滴下した。反応物の内部温度を<10°Cに維持した。反応物を室温で3時間撹拌した。反応物を濾過し、その塩を少量のアセトンで洗浄した(2回)。濾液を合わせ、蒸発させて濃縮した(静かに)。残渣に水を加え、生成物をDCMで抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固して1−メチル−4−プロプ−2−イニル−ピペラジンを黄色油状物として得た。
82B.5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
EtOAc(30ml)中のN−boc−ジプロパルギルアミン溶液(36.3ml、226mmol、純度86%)を調製し、分液漏斗にてN2を通気させることにより脱気した。別の分液漏斗にて予め脱気したEtOAc(15ml)にトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(1.39g、1.50mmol、1mol%)を加えた。(注:CpRu(COD)Cl)を別の触媒として用いてもよい)。
メインの反応フラスコにて、1−プロパルギル−4−メチルピペラジン(32.3ml、150mmol、純度90%)をEtOAc(75ml)で希釈し、混合物にN2を通気することによって脱気した。この混合物を氷−水浴にて冷却した後、EtOAc中のトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(1.39g、1mol%)を加えた。N−boc−ジプロパルギルアミン/EtOAcをゆっくりと加え、穏やかな発熱を生じさせた。内部温度は25℃まで上昇し、この温度を維持した。添加が約3分の1(約45分)終了した後、発熱は次第に弱まった(N−boc−ジプロパルギルアミン/EtOAcをゆっくりと加え続けたにもかかわらず)。EtOAc(15ml、予め脱気)中のトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド触媒(1.39g、1mol%)の別の分量を調製し、反応物に極めてゆっくりと加えた。数分の後、新たな発熱が開始し、30℃まで進んだ。水浴に少量の氷をくわえることで反応物の温度をゆるやかに冷却した。一旦発熱が収まると、N−boc−ジプロパルギルアミン/EtOAcのゆっくりとした添加を続けた。添加は全体で2時間かけて行われた。その後、反応混合物を室温で一晩放置した後、EtOAcで希釈し、NH4Clで洗浄し(2回)(水溶液、飽和)、過剰の1−プロパルギル−4−メチルピペラジンを除去した。混合物を少量の水で希釈してその塩を溶解させた。有機層を水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。生成物を濾過し、蒸発乾固すると褐色油状物が残った。
得られた残油にn−ヘプタンを加えた。油/ヘプタンを赤色析出物が形成されるまで(約10分間)放置した。この析出物を濾過し、新らたなn−ヘプタンで洗浄した(2回)。濾液を乾燥させ、生成物を赤色油状物として得た。
この所望の生成物をトルエンスルホン酸(TsOH)塩を形成することによりさらに精製した。したがって、粗生成物をMeOH(20ml)に取り、TsOH.H2O(NMRによる予測純度に対して1当量)を加えた。この溶液を蒸発乾固した後、トルエンに溶解させ(1回)、再蒸発させた。得られた生成物をエーテルに取った。数分後、析出物および溶液が生じた。析出物を濾過し、濾液が無色になるまでさらなるエーテルで洗浄した(2回)。黄色固体を乾燥させ、生成物をTsOH塩として得た。MS:[M+H]+332。
82C.5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドールの合成
トシル酸イソインドリンをDCM(0.3M)に取り、TFA(12当量)を0℃でゆっくりと加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を蒸発乾固した後、トルエン/MeOHとともに蒸発させ(3回)、生成物を酸付加塩の混合物として得た。MS:[M+H]+232。
実施例82Cの化合物は、実施例80の方法の工程12に用いることができる。
(実施例83)
5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステルの別の合成
83A.2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチル
無水テトラヒドロフラン(25ml)中のベンジルアミン(3.21g、30.0mmol)を無水テトラヒドロフラン(50ml)中の3,4−ビス−(ブロモメチル)安息香酸メチル(9.66g、30.0mmol)(フルオロケム(Fluorochem)から入手)とトリエチルアミン(9ml、64.7mmol)との撹拌混合物に加え、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下40℃で除去し、残渣を酢酸エチル(100ml)と水(100ml)とで分液した。有機層をさらなる分量の水(100ml)で洗浄し、分離し、溶媒を真空下40℃で除去して、2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルを淡橙色固体として得、これを以下に示すようにさらなる精製をせずに直ちに用いた。1H NMR(DMSO−d6)7.82(2H,m),7.40−7.25(6H,m),3.90(3H,s),3.88(2H,s),3.84(4H,s)。MS:[M+H]+268。
83B.(2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール
2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチル(上記からの)を無水テトラヒドロフラン(75ml)に溶解させ、無水テトラヒドロフラン(75ml)中の水素化リチウムアルミニウム(1.71g、45.0mmol)の急速に撹拌した懸濁液に15分間かけて滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌し、1M硫酸ナトリウム溶液(12ml)をゆっくりと滴下することで過剰の水素化リチウムアルミニウムを無効化した。固体を濾去し、酢酸エチルですすぎ(2×50ml)、吸引乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、(2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール(7.15g、99%)を黄褐色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.40−7.30(4H,m),7.28(1H,m),7.17−7.10(3H,m),5.10(1H,t),4.47(2H,d),3.85(2H,s),3.82(2H,s),3.80(2H,s).MS:[M+H]+240.
83C.(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール
エタノール(60ml)中の(2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール溶液(2.39g、10.0mmol)に10%パラジウム活性炭素(200mg)を加え、得られた混合物をパー(Parr)装置に入れ、50℃まで加熱し、水素雰囲気下60psiで30時間振盪した。室温まで冷却したところで混合物を重力下で濾過し,固体をエタノールですすぎ(2×10ml)、溶媒を真空下で除去し、(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール(1.49g、100%)を灰白色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.20(1H,s),7.18(1H,d),7.12(1H,d),5.10(1H,br s),4.46(2H,s),4.05(4H,s).MS:[M+H]+150.
83D.5−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
無水テトラヒドロフラン(50ml)中の(2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル)−メタノール(1.34g、9.0mmol)の混合物を静かに温めて溶解を促進し、室温まで冷却した。トリエチルアミン(1.5ml、10.8mmol)を加え、撹拌混合物をクロロギ酸ベンジル(1.35ml、9.5mmol)を滴下して処理し、室温で3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチル(30ml)と2M塩酸(30ml)とで分液した。有機層を水(30ml)で洗浄し、分離し、溶媒を真空下で除去して桃色油状物を得、これを放置したところ固化した。固体をヘキサン(10ml)中10%酢酸エチルで析出させ、濾過し、ヘプタン(10ml)ですすぎ、吸引乾燥させて標題化合物(2.5g、98%)を淡桃色固体として得た。1H NMR(DMSO−d6)7.45−7.21(8H,m),5.20(1H,t),5.17(2H,s),4.71(2H,br s),4.64(2H,br s),4.50(2H,d).MS:[M+H]+284.
標題化合物は、実施例80の工程9において用いることができる。
生物学的活性
(実施例84)
結晶構造研究
式(1)の化合物は次の構造を有する。
式(1)の化合物およびその塩は数多くの異なる結晶形態で存在する。これらは、以下に記載の方法を用いて同定され、特性決定される。
一般的方法
単結晶回折方法論
φゴニオメーターを装着したESRF ID23.1ビームラインからのシンクロトロン照射(λ=0.775Å)およびADSCクアンタム(Quantum)315CCD検出器を用いて、結晶学的データを室温(20℃)で収集した。一方は高放射線量であり他方は低放射線量である2つのφ走査(φ=0〜180°およびΔφ=1°)で画像を収集した。検出器と結晶との間の距離は110mmであった。データ収集は、ProDCソフトウェアで制御し、画像の処理や目盛付けはDtrekで行った。
結晶構造は、SHELXS−97で実行される直接法を用いて解析され、SHELXL−97で精緻化された。水素原子は幾何学的見地で捉え、一方で、へテロ原子に結合した水素原子の位置はFo−Fc差マップの調査により確認した。水素原子の位置パラメータおよび熱パラメータは対応する非水素原子上にあるものとした。非水素原子の熱運動は異方性温度要因によりモデル化した。
粉体回折方法論
X線粉末回折(XRPD)データ収集用の試料を大理石乳鉢で静かに粉砕し、結晶解析用キャピラリー(ハンプトンリサーチ(Hampton Research)、石英またはガラスタイプ10、0.4または0.7mm径)中へ投入した。回折パターンは、リガク(Rigaku)回転陽極RU3HRからのCuKα線(λ=1.5418Å)、オスミックブルー(Osmic blue)共焦点光学機器、1/4cゴニオメーターおよびリガクHTCイメージプレート検出器を使用して、室温で収集した。250mmの検出器対結晶距離でφ軸を回転させながら、2D画像を収集した。データ収集はクリスタルクリア(CrystalClear)ソフトウェアにより制御し、2D画像はデータスクイーズ(Datasqueeze)により1Dプロット(2θ対強度)に変換した(0.02°工程で2θ範囲3〜30°にわたり方位角0<χ<360°で平均した強度)。自社のプログラムAstex XRPDを1D XRPDパターンの操作および視覚化に用いた。
滴定実験による塩化学量の測定
塩に関係し、塩の化学量が与えられる以下の実施例において、化学量は以下の滴定方法を用いて求めた。
150mMのKClと20mMのHClとの溶液(KCl/HCl溶液)を、滴定実験のバッチ毎に新しく調製した。一定分量1mlの溶液を滴定し、このように作成された電位差滴定曲線を対照曲線として用いた。全ての滴定は、メトラートレド(Mettler Toledo)MP220pH計測器を用いて、25℃で2μl工程で300mMのKOHを用いて行った。電極電位読取り値は、毎日のバッチ計測の前後に4つの標準緩衝剤で記録した。化合物(1)塩の試料(1〜3mg)を1mlのKCl/HCl溶液に溶解し、小型のマグネットスターラーを用いて激しく撹拌しながら滴定した。記録された電極電位を、4つの標準緩衝剤からの検量線を用いてpH値へと変換した。試料および対照滴定データを処理して、pH範囲2〜12のビヨラム(Bjerrum)プロットを作成した。ビヨラムプロットの計算および分析方法は、レビュー「物理化学的プロファイリング(溶解度、透磁率、帯電状態)(Physicochemical Profiling(Solubility, Permeability and Charge State))」、アブディーフ(A. Avdeef)、カレントトピックス・イン・メディカルケミストリー(Current Topics in Medicinal Chemistry)、2001年、277〜351頁)に記載されている。
化合物(1)塩の化学量は、開始nH(pH=2でのプロトン数)より推論される(すなわち、遊離塩基は−2のプロトンで開始し、単塩は−1のプロトンで開始し(化合物(1)+酸−)、一方、複塩はnH=0で開始する(化合物(1)2+酸2−または化合物(1)2+2*酸−))。
化合物(1)のL−乳酸塩の1:1塩結晶形態
(84A)化合物(1)のL−乳酸塩(形態FL1)
L−乳酸塩形態FL1を上記実施例2に記載の通りに調製した。
形態FL1は、空気中40℃かつ75%RHで少なくとも1カ月間安定している。形態FL1のXRPDパターンを図1に示す。主たるピークを表EX84Aに挙げる。
表EX84A.化合物(1)の乳酸塩(形態FL1)の主たるXRPDピーク
(84B)化合物(1)のL−乳酸(形態FL2)
形態FL2は、形態FL1のメタノール溶液の析出実験において観察された。単結晶X線分析により、形態FL2が水和されていることが分かった。3つの結晶水位置が非対称ユニットに存在するために見かけ上は三水和物であるが、室温かつ実験室湿度で完全に(100%)占有されていない。メタノール:水9:1中の形態FL1の飽和溶液を室温で調製した。約4倍の体積のアセトンでゆっくりと沈殿させることにより、空気中で安定した形態FL2を得た。形態FL2のXRPDパターンを図2に示す。主たるピークを表EXB(i)に挙げる。結晶のパッキング図を図3に示し、原子座標を表EX84B(ii)に挙げる。
表EX84B(i).化合物(1)乳酸塩(形態FL2)の主たるXRPDピーク
表EX84B(ii).化合物(1)乳酸塩(形態FL2)の結晶構造の単位胞パラメータおよびcif形式での座標
(84C)化合物(1)のL−乳酸(形態FL3)
形態FL3は、形態FL1のTHF溶液の析出実験において観察された。形態FL3は、空気中で形態FL1に形質転換する。形態FL1の飽和THF溶液を室温で調製した。約4倍の体積のヘプタンでゆっくりと析出させることにより、形態FL3を得た。形態FL3の形成直後の試料のXRPDパターンを図4に示す。主たるピークを表EX84C(i)に挙げる。FL3の試料を空気中で2日間乾燥させた。その後に行われたXRPD分析により、形態FL1に変換されていることが分かった。
表EX84C(i).化合物(1)乳酸塩(形態FL3)の主たるXRPDピーク
(実施例85)
等温滴定熱量測定
本発明の化合物の、ヒトHsp90タンパク質と結合する能力は、等温滴定熱量測定法を用いて測定した。
等温滴定熱量測定(ITC)実験は、VP−ITC滴定熱量計(マイクロカル社(Microcal Inc.)、ノーザンプトン、マサチューセッツ州、米国)を用いて行った。ヒトHsp90αN末端ドメインのクローニング、発現および精製は、出版済みの方法(ジェズ(Jez, J.M.)ら、ケミストリーアンドバイオロジー(Chem Biol.)、2003年、4月;10(4):361−8)に従って行った。ヒトHsp90αN末端ドメインと化合物との溶液は、25mM Tris、100mM NaCl、1mM MgCl2、1mM TCEP、5%DMSO、pH7.4を含む緩衝液中で調製した。溶液は全て滴定を行う前に濾過し脱気した。リガンドの注入毎に生じるエンタルピーの変化は、熱量シグナルの積分によって得た。データはOrigin7.0(マイクロカルソフトウェア社(Microcal Software Inc.)、ノーザンプトン、マサチューセッツ州)を用いて解析した。希釈液の熱を個々の各滴定の最終の注入を用いて予測し、データフィッティングの前に差し引いた。広範な親和性にわたって化合物解離定数(Kd)を得るために、種々のITC試験形式を用いた。結合の弱い化合物には、低c値ITC法を用いた(ターンブル(Turnbull W.B.)およびダラナス(Daranas A.H.)、ジャーナル・オブ・アメリカンケミカルソサエティー(J. Am. Chem. Soc.)、2003年12月3日;125(48):14859−66)、この場合、タンパク質は熱量測定セル中に10〜20μMで存在し、化合物濃度は注入シリンジ中で1〜20mMであった。この種の試験では、化学量論パラメーター(N)はデータフィッティングのため1で固定した。20〜0.004μM範囲におけるKdについて、結合部位濃度をKd(c値)で割ったものが5〜1000の間となるように試験を構成した。これらの試験の大部分では、熱量測定セル中のタンパク質濃度は4〜100μMの範囲であり、注入シリンジ中のリガンド濃度は50〜1500μMの範囲であった。まれではあるが化合物の溶解度が限定的である場合には、化合物溶液を熱量測定セルに入れ、c値を5〜1000の間に維持しつつ、注射シリンジからのタンパク質で滴定した。競合的ITC試験を用い、シグルスキヨルド(Sigurskjold, B.W.)、アナリティカルバイオケミストリー(Anal Biochem.)、2000年1月15日;277(2):260−6に記載の方法により、より弱い結合競合物の存在下で滴定を行うことにより、Kd<4nMにアクセスした。
実施例5、10、11、12、13、14、16、17、18、19、21、22、23、25、26、27、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、48、49、50、51、52、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および75の化合物を試験し、1マイクロモル未満のKd値を有することが分かった。
実施例5、10、12、13、14、16、17、18、19、21、22、23、25、26、27、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、48、49、50、51、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および75の化合物は、0.1マイクロモル未満のKd値を有し、これらの化合物のほとんどが0.01マイクロモル未満のKd値を有する。
(実施例86)
抗増殖活性
ヒト結腸癌細胞株HCT116などの多くの細胞株における細胞増殖を阻害する化合物の能力を測定することにより、本発明の化合物の抗増殖活性を測定することができる。細胞増殖の阻害はアラマーブルー(Alamar Blue)アッセイ(ノシアリ(Nociari, M.M)、シャレフ(Shalev, A.)、ベナイアス(Benias, P.)、ルッソ(Russo, C.)、ジャーナル・オブ・イミュノロジカルメソッズ(Journal of Immunological Methods)1998年、213、157〜167)を用いて測定される。前記方法はレザズリンをその蛍光産物レゾルフィンへ還元する生細胞の能力に基づいている。各増殖アッセイにおいては、細胞を96ウェルプレートに入れ、16時間培養してから、さらに72時間阻害剤化合物を加える。インキュベーションの終了時に10%(v/v)アラマーブルー(Alamar Blue)を加え、さらに6時間インキュベートしてから、535nM ex/590nM emにより蛍光産物を調べる。非増殖細胞アッセイの場合には、細胞を96時間集密状態で維持してから、さらに72時間阻害剤化合物を加える。生細胞の数を前記のようにアラマーブルーアッセイで調べる。細胞株はECACC(ヨーロピアンコレクションオブセルカルチャー(European Collection of cell Cultures))から入手できる。
実施例5、12、13、14、17、18、19、21、22、23、25、28、29、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、48、49、50、51、52、53、54、55、59、60、61、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、74および75の化合物を試験し、HCT116細胞株に対して1マイクロモル未満のIC50値を有することが分かった。
医薬製剤
(実施例87)
(i)錠剤製剤
式(I)の化合物を含有する錠剤組成物は、化合物50mgと、希釈剤としてのラクトース(BP)197mgと、滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgとを混合し、公知の方法で打錠することにより製造される。
(ii)カプセル製剤
カプセル製剤は、式(I)の化合物100mgとラクトース100mgを混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬ゼラチンカプセルに充填することにより製造される。
(iii)注射用製剤I
注射投与用の非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態)を、10%プロピレングリコールを含有する水に溶解し、有効化合物濃度1.5重量%とすることにより製造することができる。この溶液を次に濾過除菌し、アンプルに充填し、密閉する。
(iv)注射用製剤II
注射用の非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態)(2mg/ml)およびマンニトール(50mg/ml)を水に溶解し、溶液を濾過滅菌し、密封可能な1mlバイアルまたはアンプルへ充填することにより製造される。
(v)注射用製剤III
注射または注入によるiv送達用の製剤は、水に式(I)の化合物(例えば、塩形態)を20mg/mlで溶解することにより製造できる。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブ処理により滅菌する。
(vi)注射用製剤IV
注射または注入によるiv送達用の製剤は、緩衝剤(例えば、0.2M酢酸pH4.6)を含有した水に式(I)の化合物(例えば、塩形態)を20mg/mlで溶解することにより製造できる。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブ処理により滅菌する。
(vii)皮下注射用製剤
式(I)の化合物と医薬用コーン油とを混合し濃度を5mg/mlとすることにより皮下投与用組成物を調製する。得られた組成物を殺菌し、適切な容器に充填する。
(viii)凍結乾燥製剤
式(I)の処方化合物のアリコートを50mlバイアルへ入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥に際しては、−45℃でワンステップ凍結プロトコールを用いて組成物を凍結する。温度をアニーリングのために−10℃に上げ、次いで低下させて−45℃で凍結し、次いで約3400分かけて+25℃で一次乾燥させ、徐々に50℃まで昇温して二次乾燥を行う。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は80ミリトルに設定する。
(実施例88)治療効果アッセイ
1種以上の補助化合物(化合物II)と組合せた式(I)の化合物(化合物I)の効果は以下の技術を用いて評価される。
IC50シフトアッセイ
ヒト細胞株(例えば、HCT116、U87MG、A549)からの細胞は、それぞれ2.5×103、6.0×103または4.0×103細胞/ウェルの濃度で96ウェル組織培養プレート上に播種される。細胞を48時間回復させ、その後以下のように化合物または対照賦形剤(0.35%DMSO)を加える。
化合物を96時間同時に加える。
合計96時間の化合物のインキュベーションに続いて、細胞を氷冷された10%(w/v)トリクロロ酢酸により氷上で1時間固定し、次にプレート洗浄機(ラボシステムズ・ウェルウォッシュ・アセント(Labsystems Wellwash Ascent))を使用して、蒸留水により4回洗浄し、風乾する。次に細胞を室温で1%酢酸中の0.4%(w/v)スルホロダミンB(シグマ)により20分間染色し、次に1%(v/v)酢酸により4回洗浄し、風乾させ、色素を可溶化するために10mMトリス緩衝液を加える。色測的結果は、ワラック・ビクター
2(Wallac Victor
2)プレートリーダー(1420多重標識カウンター、パーキン・エルマー・ライフサイエンス(Perkin Elmer Life Sciences))で吸光度490nmでの読み取りによって定量する。様々な用量の化合物Iの存在下で、化合物IIのIC
50を測定する。無効用量の化合物Iの存在下でIC
50が下方へシフトする場合、相乗作用と決定する。化合物IIおよび化合物Iをともに投与したものに対する反応が、2つの化合物を個別に投与したものの合計と同等の効果をもたらした場合、相加作用と決定する。拮抗作用は、IC
50を上方へシフトにさせるもの、すなわち2つの化合物に対する反応が、2つの化合物の個別の効果の合計よりも少ない場合のものとして定義される。
(実施例89)組合せの効果の一般的な評価方法
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン(「化合物I」)と任意の補助化合物(「化合物II〜IV」)との組合せの効果は、以下の技術を用いて評価することができる。
1.組合せスクリーニングアッセイ
ヒト結腸癌細胞株HCT116(ECACC No.91091005)の細胞を、1ウェルにつき2×10
4細胞/mlの濃度および200μlで96ウェル組織培養プレートに播種する。以下の化合物または溶媒対照(0.2%DMSO)の添加の前に、細胞を一晩回復させる。
化合物を次のスケジュールのうちの1つに従い加える。
a)72時間同時に。
b)化合物Iを24時間、次に化合物II、IIIまたはIVをさらに48時間添加。
c)化合物II、IIIまたはIVを24時間、次に化合物Iをさらに48時間添加。
合計72時間の化合物のインキュベーションに続いて、アラマーブルー(登録商標)を10%(v/v)の最終濃度まで加え、37℃で6時間インキュベーションする。蛍光生成物をフュージョンリーダー(パーキンエルマー)上でd535/25x(励起)およびd590/20m(発光)で読み取ることにより定量する。
様々な濃度の化合物Iの存在下で化合物II、IIIまたはIVにより処理された細胞サンプルについて、蛍光を溶媒対照(0.2%DMSO)の百分率として測定する。個々の薬剤がそれぞれ直線的な用量反応曲線を示すと仮定する多重法を用いてデータを分析する。この仮定によれば多重線と呼ばれる理論曲線を作成することができ、これは予想される相加的反応を表わす。
化合物Iと合わせた化合物II、IIIまたはIVに対する反応が、2つの化合物の結果から個別に計算した理論上の多重線とほぼ同等な効果を生じる場合は相加作用とする。組合せ薬剤に対して観察される反応が理論上の多重線より大きい場合は相乗作用とする。組合せ薬剤に対して観察される反応が理論上の多重線より低い場合は拮抗作用とする。
均等
上記の実施例は、本発明を説明する目的で記載したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。上記に記載し、また、実施例で示す本発明の特定の実施形態に対して、本発明の原理から逸脱することなく、多くの改変および変更をなし得ることは容易に明らかである。このような改変および変更は総て本願に含まれるものとする。
また、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)1種以上の補助化合物と、式(VI)の化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドとを含む(または、本質的それらから成る)組合せ:
[式中、二環式基
は、構造C1、C5およびC6
から選ばれ、
式中、nは、0、1、2または3であり;
R 1 は、ヒドロキシまたは水素であり;
R 2a は、ヒドロキシまたはメトキシ(好ましくは、ヒドロキシ)であり(ただし、R 1 およびR 2a の少なくとも一方はヒドロキシである);
R 3 は、水素;ハロゲン;シアノ;C 1−5 ヒドロカルビルおよびC 1−5 ヒドロカルビルオキシから選ばれ;ここで、C 1−5 ヒドロカルビルおよびC 1−5 ヒドロカルビルオキシ部分はそれぞれ場合によりヒドロキシ、ハロゲン、C 1−2 アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−C 1−2 アルキルアミノ、ならびに5〜12環員のアリールおよびヘテロアリール基から選ばれる1種以上の置換基により置換されており;
R 4a は、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;
R 8 は、水素およびフッ素から選ばれ;かつ
R 10 は、
ハロゲン;
ヒドロキシ;
トリフルオロメチル;
シアノ;
ニトロ;
カルボキシ;
アミノ;
モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ;
3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびに
基R a−Rb から選ばれ、ここで、
R a は、結合、O、CO、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 、X 1 C(X 2 )X 1 、S、SO、SO 2 、NR c 、SO 2 NR c またはNR c SO 2 であり;かつ
R b は、水素;3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−8 非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ)、および3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されているC 1−12 ヒドロカルビル(C 1−10 ヒドロカルビルなど)から選ばれ、ここでC 1−12 ヒドロカルビル基(またはC 1−10 ヒドロカルビル基)の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO 2 、NR c 、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 またはX 1 C(X 2 )X 1 により場合により置換されていてもよく;
R c は、R b 、水素およびC 1−4 ヒドロカルビルから選ばれ;かつ
X 1 は、O、SまたはNR c であり、X 2 は、=O、=Sまたは=NR c である]。
(2)R 1 およびR 2a がともにヒドロキシである、(1)に記載の組合せ。
(3)R 3 が水素、塩素、C 1−5 ヒドロカルビルおよびC 1−5 ヒドロカルビルオキシから選ばれる、(1)または(2)に記載の組合せ。
(4)R 3 が水素、C 1−5 アルキル、C 2−5 アルケニルおよびC 3−4 シクロアルキル基、好ましくは、第二級アルキルおよびアルケニル基(イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,2−ジメチルアリルおよび1,2−ジメチルプロピルなど)、またはシクロアルキル基(シクロプロピルなど)から選ばれる、(3)に記載の組合せ。
(5)R 3 が水素、イソプロピルおよびtert−ブチルから選ばれる、(4)に記載の組合せ。
(6)R 4 が水素である、(1)〜(5)のいずれかに記載の組合せ。
(7)R 8 が水素である、(1)〜(6)のいずれかに記載の組合せ。
(8)R 1 、R 2a 、R 3 、R 4 およびR 8 が、表1の構造A5、A7、A11、A13、A14、A15、A16、A17およびA18のいずれか1つで示される通りであり、より好ましくは、構造A5、A7、A13、A14、A15およびA17のいずれか1つで示される通りである、(1)〜(7)のいずれかに記載の組合せ。
(9)R 10 が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび基R a −R b (ここで、R a は結合、O、CO、C(O)O、C(O)NR c 、NR c C(O)、NR c C(O)O、NR c 、SO、SO 2 、SONR c およびSO 2 NR c から選ばれ、R b は水素;5または6環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−8 非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ)、カルボキシ、および3〜7環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されているC 1−10 ヒドロカルビル(例えば、C 1−8 アルキルまたはC 3−7 シクロアルキルなどのC 1−8 ヒドロカルビル)から選ばれ、ここでC 1−8 ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、C(O)O、C(O)NR c またはNR c により場合により置換されていてもよい)からなる群のR 10a から選ばれる、(1)〜(8)のいずれかに記載の組合せ。
(10)R 10 が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび基R a −R b (ここで、R a は結合、O、CO、C(O)O、C(O)NR c 、NR c C(O)、NR c C(O)O、NR c 、SO、SO 2 、SONR c 、およびSO 2 NR c から選ばれ、R b は水素;5または6環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−8 非芳香族ヒドロカルビルアミノ、カルボキシ、および3〜7環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されている非芳香族C 1−10 ヒドロカルビルから選ばれ、ここでC 1−8 ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、C(O)O、NR c C(O)、C(O)NR c またはNR c により場合により置換されていてもよい)からなる群のR 10aa から選ばれる、(9)に記載の組合せ。
(11)nが0、1または2であり、かつ、R 10aa がフッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノおよび基R a −R b から選ばれ、
R a が、結合、O、CO、C(O)NR c 、NR c C(O)、NR c C(O)OおよびNR c から選ばれ、
R b が、
水素;
5または6環員を有し、O、NおよびSから選ばれる0、1または2個のヘテロ原子を含む炭素環式基および複素環式基;
ヒドロキシ、オキソ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−8 非芳香族ヒドロカルビルアミノ、カルボキシ、および3〜7環員を有し、O、NおよびSから選ばれる0、1または2個のヘテロ原子を含む炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されている非芳香族C 1−10 ヒドロカルビル(ここで、C 1−8 ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、C(O)O、NR c C(O)、C(O)NR c またはNR c により場合により置換されていてもよい)
から選ばれる、(10)に記載の組合せ。
(12)R b が、5または6環員を有し、O、NおよびSから選ばれる0、1または2個のヘテロ原子を含む、場合により置換されている非芳香族炭素環式基および複素環式基である、(11)に記載の組合せ。
(13)R 10 が、ハロゲン、OH、NH 2 、CH 2 OH、CH 2 NH 2、 O−C 1−6 −アルキル、NH−C 1−6 アルキル、アリール、ヘテロアリール、C 3−7 シクロアルキル、ヘテロシクリル、O−ヘテロアリール、O−C 3−7 シクロアルキル、O−ヘテロシクロアルキル、C(=O)C 1−6 アルキル、C(=O)OC 1−6 アルキル、C(=O)NH 2 、C(=O)NHC 1−6 アルキル、C(=O)N(C 1−6 アルキル) 2 、NH(C 1−6 アルキル)、N(C 1−6 アルキル) 2 、NC(=O)C 1−6 アルキル、C 6 アリール、OC 6 アリール、C(=O)C 6 アリール、C(=O)OC 6 アリール、C(=O)NH 2 、C(=O)NHC 6 アリール、C(=O)N(C 6 アリール) 2 、NH(C 6 アリール)、N(C 6 アリール) 2 、NC(=O)C 6 アリール、C 5−6 ヘテロシクリル、OC 5−6 ヘテロシクリル、C(=O)C 5−6 ヘテロシクリル、C(=O)OC 5−6 ヘテロシクリル、C(=O)NHC 5−6 ヘテロシクリル、C(=O)N(C 5−6 ヘテロシクリル) 2 、NH(C 5−6 ヘテロシクリル)、N(C 5−6 ヘテロシクリル) 2 、NC(=O)C 5−6 ヘテロシクリル、C(=O)NHC 1−6 アルキル、C 5−6 アリール、S(=O)C 1−6 アルキル、S(=O)N−C 1−6 アルキルおよびSO 2 N−C 1−6 アルキル;ならびに基[sol]、CH 2 [sol]、またはOCH 2 CH 2 [sol]からなる群のR 10b から選ばれ、ここで[sol]は以下の基:
から選ばれ、(i)R 10b は場合によりさらに基OCH 2 CH 2 CH 2 [sol]から選ばれ、かつ/または(ii)[sol]はさらにNHR 11 (ここで、R 11 はCOR 12 またはR 12 であり、R 12 はC 1−4 アルキル、アリールまたはアリール−C 1−4 アルキルである)から選ばれる、(1)〜(8)のいずれかに記載の組合せ。
(14)R 10 が基R 10c から選ばれ、R 10c は基[sol]、CH 2 [sol]またはOCH 2 CH 2 [sol]であり、ここで[sol]は以下の基:
から選ばれる、(1)〜(8)のいずれかに記載の組合せ。
(15)R 10 が、
ハロゲン;
CO 2 R 14 (ここで、R 14 は水素またはC 1−6 アルキルである);
ヒドロキシもしくはC 1−2 アルコキシにより場合により置換されているC 1−4 アルキル;
ヒドロキシもしくはC 1−2 アルコキシにより場合により置換されているC 1−4 アルコキシ;または
基[sol]、CH 2 [sol]、C(O)[sol]、OCH 2 CH 2 [sol]もしくはOCH 2 CH 2 CH 2 [sol]
からなる群のR 10cc から選ばれ、ここで[sol]は以下の基:
から選ばれ、X 4 はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R 11 は水素、COR 12 、C(O)OR 12 またはR 12 であり;R 12 はC 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、アリール、アリール−C 1−6 アルキルまたはCH 2 R 15 であり;かつ、R 15 は水素、C 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、ヒドロキシ−C 1−6 アルキル、ピペリジン、N−C 1−6 アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR 13 またはC(O)OR 13 から選ばれ;かつ、R 13 はC 1−6 アルキルである、(1)〜(8)のいずれかに記載の組合せ。
(16)R 3 が、エチル、ならびに3〜6個の炭素原子の第二級および第三級アルキル基からなる群のR 3d から選ばれる(ただしR 1 およびR 2 がともにヒドロキシである場合、R 3d はさらに水素からも選ばれ得る)、(1)〜(15)のいずれかに記載の組合せ。
(17)前記第二級および第三級アルキル基がイソプロピルおよびtert−ブチルから選ばれる、(16)に記載の組合せ。
(18)下記式(VII):
[式中、R 1 、R 2a 、R 3 、R 4a 、R 8 およびR 10b は(1)〜(17)のいずれかと同義であり、nは0、1、2または3(より好ましくは、0、1または2、例えば、0または1)である(ただしR 1 およびR 2a の少なくとも一方はヒドロキシである)]で表される、(1)〜(17)のいずれかに記載の組合せ。
(19)R 1 がヒドロキシである、(18)に記載の組合せ。
(20)下記式(VIIa):
[式中、R 3 は、水素、ハロゲン、C 1−5 アルキル、C 2−5 アルケニルおよびC 3−4 シクロアルキル基から選ばれ;R 4a は、水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;R 8 は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;
R 10 はハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;基R a −R b から選ばれ、ここでR a は、結合、O、CO、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 、X 1 C(X 2 )X 1 、S、SO、SO 2 、NR c 、SO 2 NR c またはNR c SO 2 であり;かつ、R b は、水素;3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−8 非芳香族ヒドロカルビルアミノ(例えば、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ)、および3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基により場合により置換されているC 1−12 ヒドロカルビル基(C 1−10 ヒドロカルビル基など)から選ばれ、ここでC 1−12 ヒドロカルビル基(またはC 1−10 ヒドロカルビル基)の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO 2 、NR c 、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 またはX 1 C(X 2 )X 1 により場合により置換されていてもよく;
R c は、R b 、水素およびC 1−4 ヒドロカルビルから選ばれ;かつ
X 1 は、O、SまたはNR c であり、X 2 は、=O、=Sまたは=NR c である]
で表される、(1)に記載の組合せ。
(21)R 10 が、(1)〜(20)のいずれかに定義される基R 10a またはR 10aa またはR 10b またはR 10c またはR 10cc である、(20)に記載の組合せ。
(22)下記式(VIIb):
[式中、R 3 は水素、ハロゲン、C 1−5 アルキル、C 2−5 アルケニルおよびC 3−4 シクロアルキル基から選ばれ;R 4a は水素、フッ素、塩素およびメトキシから選ばれ;R 8 は水素またはフッ素であり;nは0、1、2または3であり;かつ、R 10cc は、
ハロゲン;
CO 2 R 14 (ここで、R 14 は水素またはC 1−6 アルキルである);
ヒドロキシまたはC 1−2 アルコキシにより場合により置換されているC 1−4 アルキル;
ヒドロキシまたはC 1−2 アルコキシにより場合により置換されているC 1−4 アルコキシ;または
基[sol]、CH 2 [sol]、C(O)[sol]、OCH 2 CH 2 [sol]もしくはOCH 2 CH 2 CH 2 [sol]から選ばれ、ここで[sol]は、以下の基:
(ここで、X 4 はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R 11 は水素、COR 12 、C(O)OR 12 またはR 12 であり;R 12 はC 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、アリール、アリール−C 1−6 アルキルまたはCH 2 R 15 であり;かつ、R 15 は水素、C 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、ヒドロキシ−C 1−6 アルキル、ピペリジン、N−C 1−6 アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR 13 またはC(O)OR 13 から選ばれ;かつ、R 13 はC 1−6 アルキルである)から選ばれる]
で表される、(21)に記載の組合せ。
(23)R 8 が水素である、(9)〜(22)のいずれかに記載の組合せ。
(24)R 4a が水素である、(9)〜(23)のいずれかに記載の組合せ。
(25)R 3 がハロゲン、C 1−5 アルキル、C 2−5 アルケニルおよびC 3−4 シクロアルキル基から選ばれる、(18)〜(24)のいずれかに記載の組合せ。
(26)R 3 が塩素、臭素、シクロプロピルおよび分枝C 3−5 アルキルから選ばれる、(18)〜(24)のいずれかに記載の組合せ。
(27)R 3 がイソプロピルまたはtert−ブチルである、(26)に記載の組合せ。
(28)R 3 がイソプロピルである、(27)に記載の組合せ。
(29)nが1または2であり、かつ、R 10 が、
基[sol]またはCH 2 [sol](ここで[sol]は、以下の基:
[式中、X 4 はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R 11 は水素、COR 12 、C(O)OR 12 またはR 12 であり;R 12 はC 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、アリール、アリール−C 1−6 アルキルまたはCH 2 R 15 であり;かつ、R 15 は水素、C 1−6 アルキル、C 3−6 シクロアルキル、ヒドロキシ−C 1−6 アルキル、ピペリジン、N−C 1−6 アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR 13 またはC(O)OR 13 から選ばれ、かつR 13 はC 1−6 アルキルである]から選ばれる)からなる群のR 10ccc から選ばれる、(1)〜(28)のいずれかに記載の組合せ。
(30)nが1、2または3である、(1)〜(29)のいずれかに記載の組合せ。
(31)nが1または2である、(30)に記載の組合せ。
(32)nが1である、(31)に記載の組合せ。
(33)部分:
が本明細書の表2に示される基B8、B35、B36、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B45、B46、B48、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B71、B72、B74、B75、B76、B77、B78、B79、B80、B81、B82、B83、B85、B86、B87、B93、B94、B95、B97、B98、B99、B100およびB101のいずれか1つであってもよい、(20)〜(28)のいずれかに記載の組合せ。
(34)(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(5−エチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
(5−シクロプロピル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−sec−ブチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
(5−クロロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
[5−(3−アミノ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{4−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−tert−ブチル−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−メタノン;
(4,7−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(3−フルオロ−2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−フルオロ−4,6−ジヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン塩酸塩;
(5−クロロ−6−メトキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−アミノ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸メチルエステル;
2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボン酸;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−モルホリン−4−イルメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
{3−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−イソプロピルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
N−{2−[2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−エチル}−2−モルホリン−4−イル−アセトアミド;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン塩酸塩;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
[5−(2−アミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
4−[2−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[4−(ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ジメチルアミノメチル−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−{5−[2−(2,2−ジメチル−プロピルアミノ)−エトキシ]−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−メタノン;
[5−(2−シクロペンチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
(5−クロロ−6−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−7−メチル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
またはその塩、溶媒和物、N−オキシドもしくは互変異性体を含む、(1)に記載の組合せ。
(35)(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−(5−ジメチルアミノメチル−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−メタノン;
またはその塩、溶媒和物、N−オキシドもしくは互変異性体を含む、(34)に記載の組合せ。
(36)(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルアミノ)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
またはその塩、溶媒和物もしくは互変異性体を含む、(35)に記載の組合せ。
(37)前記化合物(たとえば、式VIの化合物)の少なくとも1つが塩、溶媒和物またはN−オキシドの形態である、(1)〜(36)のいずれかに記載の組合せ。
(38)前記化合物(たとえば、式VIの化合物)の少なくとも1つが塩または溶媒和物の形態である、(1)〜(36)のいずれかに記載の組合せ。
(39)前記補助化合物および式(VI)の化合物が物理的に結合した、(1)〜(38)のいずれかに記載の組合せ。
(40)前記補助化合物および式(VI)の化合物が、(a)混合剤(例えば、同一の単位用量内に)である、(b)化学的に/物理化学的に結合された(例えば、架橋、分子的な凝集または共通の賦形剤部分への結合による)、(c)化学的に/物理化学的に共にパックされた(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)またはエマルジョン滴上に、またはそれらの内部に配置された)、(d)混合されていないが共にパックされたか、または共に提供された(例えば、一連の単位用量の一部として)、(39)に記載の組合せ。
(41)前記補助化合物および式(VI)の化合物が非物理的に結合されている(1)〜(38)のいずれかに記載の組合せ。
(42)前記組合せが(a)化合物の少なくとも一方と、他方の化合物との物理的結合を形成するための、前記少なくとも一方の化合物の即時結合のための説明書とを、または(b)化合物の少なくとも一方と、他方の化合物との組合せ療法のための説明書とを、または(c)化合物の少なくとも一方と、他方の化合物が投与された(または投与されている)患者集団への投与のための説明書とを、または(d)化合物の少なくとも一方を、他方の化合物と組合せて使用するのために特に適した量または形態で含む、(41)に記載の組合せ。
(43)薬学的パック、キットまたは患者パック形態である、(1)〜(42)のいずれかに記載の組合せ。
(44)例えば、Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性の阻害剤として用いるための、薬剤で用いるための(1)〜(43)のいずれか1つに定義の組合せ。
(45)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療に用いる、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(46)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せを、その必要のある被験体に投与することを含む方法。
(47)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼより仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いるための、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(48)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せを、その必要のある被験体に投与することを含む方法。
(49)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療に用いる、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(50)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、(1)〜(43)のいずれかの組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(51)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減に用いる、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(52)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せを異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(53)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せをHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(54)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せをHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(55)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼの阻害方法であって、前記Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼと(1)〜(43)のいずれかに記載のHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ阻害性組合せとを接触させることを含む方法。
(56)(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せを使用してHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼ活性を阻害することによる、細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾方法。
(57)1種以上の補助化合物による治療を受けている被験体におけるHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療に用いるための、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物。
(58)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物を、その必要のある被験体(被験体は1種以上の補助化合物による治療を受けている)に投与することを含む方法。
(59)1種以上の補助化合物による治療を受けている被験体におけるHsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いるための、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物。
(60)Hsp90および/またはグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3および/またはサイクリン依存性キナーゼおよび/またはオーロラキナーゼにより仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物を、その必要のある被験体(被験体は1種以上の補助化合物による治療を受けている)に投与することを含む方法。
(61)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療に用いる、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物。
(62)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物を異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(63)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減に用いる、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物。
(64)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物を異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(65)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の治療方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物をHsp90活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(66)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率の緩和あるいは低減方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物をHsp90活性を阻害するのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含む方法。
(67)1種以上の補助化合物による治療を受けている被験体におけるHsp90の阻害方法であって、前記Hsp90と(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)のHsp90阻害化合物とを接触させることを含む方法。
(68)1種以上の補助化合物による治療を受けている被験体における細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾方法であって、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物を用いてHsp90の活性を阻害することを含む方法。
(69)1種以上の補助化合物による治療を受けている哺乳類における本明細書に記載の病態の予防または治療に用いる、(1)〜(38)のいずれかに定義の式(VI)の化合物。
(70)1種以上の補助化合物による治療を受けている被験体における本明細書に定義のいずれか1つまたは複数の用途のための、(1)〜(38)のいずれかに記載の式(VI)の化合物の使用。
(71)(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(72)1種以上の補助化合物と、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例と、医薬上許容される担体とを含む(または、本質的にこれらから成る)、経口投与に適した形態の医薬組成物。
(73)1種以上の補助化合物と、(1)〜(38)のいずれかに定義される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む(または、本質的にこれらから成る)、非経口投与(例えば静脈内(i.v.)投与による)に適した形態の医薬組成物。
(74)1種以上の補助化合物と、(1)〜(38)のいずれかに定義される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む(または、本質的にこれらから成る)、注射または点滴による静脈内(i.v.)投与に適した形態の医薬組成物。
(75)本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例との併用療法に用いる、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)。
(76)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法に用いる、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例。
(77)併用療法が、(1)〜(76)のいずれかに定義の予防、治療または方法を含む、(75)または(76)に記載の化合物。
(78)本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例による治療を受けている患者の治療または予防用薬剤の製造のための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)の使用。
(79)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている患者の治療または予防用薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例の使用。
(80)ヒトなどの温血動物における癌の治療方法であって、有効量の1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)と、有効量の本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例とを、順次(例えば、前後に)または同時に該動物に投与することを含む方法。
(81)治療上有効な量の1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)と、治療上有効な量の本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例とを投与することを含む、哺乳類における癌の併用療法の方法。
(82)哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾病または症状の罹患率を緩和あるいは低減させるための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例。
(83)哺乳類における腫瘍増殖を阻害するための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例。
(84)癌を予防、治療または管理する必要のある患者における癌を予防、治療または管理するための、1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)との併用療法で用いる、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例。
(85)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている癌に罹患する患者における反応率を促進または増加させるために用いる、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例。
(86)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている癌に罹患する患者における反応率を促進または増加させる方法であって、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例を前記補助化合物と組合せて患者に投与することを含む方法。
(87)1種以上の補助化合物と、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)もしくは(V)の化合物またはそのサブグループもしくは例またはその塩、溶媒和物、互変異性体あるいはN−オキシドとを含む(または本質的これらから成る)組合せ。
(88)Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(またはその罹患率の緩和または低減)方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せをその必要のある被験体に投与することを含み、前記Hsp90により仲介される病態もしくは症状が抗癌剤(例えば、本明細書に記載の1種以上の補助化合物)に対する耐性の発達である方法。
(89)(i)抗癌剤に対して悪性細胞を感作させる、(ii)抗癌剤に対する耐性の発生率を緩和または低減させる、(iii)抗癌剤に対する耐性を後退させる、(iv)抗癌剤の活性を増強させる、(v)抗癌剤に対する耐性の発現を遅延または防止させる方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ(ここで、前記抗癌剤は、例えば、本明細書に記載の1種以上の補助化合物である)をその必要のある被験体に投与することを含む方法。
(90)癌の治療方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せをその必要のある被験体に投与することを含み、薬剤耐性が現れないことを特徴とする方法。
(91)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書で開示される補助化合物のいずれかから選ばれる1種以上の補助化合物)による治療を受けている被験体におけるHsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(またはその罹患率の緩和または低減)方法であって、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例を前記被験体に投与することを含み、前記Hsp90により仲介される病態もしくは症状が前記補助化合物に対する耐性の発達である方法。
(92)(i)1種以上の補助化合物に対して悪性細胞を感作させる、(ii)1種以上の補助化合物に対する耐性の発生率を緩和または低減させる、(iii)1種以上の補助化合物に対する耐性を後退させる、(iv)1種以上の補助化合物の活性を増強させる、(v)1種以上の補助化合物に対する耐性の発現を遅延または防止させる方法であって、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例を、前記補助化合物(ここで、前記補助化合物は、例えば、本明細書に記載される補助化合物の1種以上から選ばれる)による治療を受けている被験体に投与することを含む方法。
(93)1種以上の補助化合物(例えば、本明細書に記載される補助化合物の1種以上から選ばれる1種以上の補助化合物)で治療を受けている被験体における癌の治療方法であって、本明細書に定義される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIa)、(VII)、(VIIa)もしくは(VIIb)の化合物(その酸付加塩、特にL−乳酸塩、および結晶形態を含む)またはその任意のサブグループもしくは例をその必要のある被験体に投与することを含み、薬剤耐性(例えば、該補助化合物に対して)が現れないことを特徴とする方法。
(94)前記補助化合物が下記式で表される補助化合物であるかまたはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドである、(1)〜(93)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物:
[式中、Xは、CR 5 またはNであり;
Aは、結合または−(CH 2 ) m −(B) n −であり;
Bは、C=O、NR g (C=O)またはO(C=O)であり(ここで、R g は、水素、またはヒドロキシもしくはC 1−4 アルコキシで場合により置換されているC 1−4 ヒドロカルビルである);
mは、0、1または2であり;
nは、0または1であり;
R 0 は、水素であるか、または存在する場合にはNR g と一緒になって、基−(CH 2 ) p −(ここで、pは2〜4である)を形成し;
R 1 は、水素、3〜12環員を有する炭素環式基もしくは複素環式基、または場合により置換されているC 1−8 ヒドロカルビル基であり;
R 2 は、水素、ハロゲン、メトキシ、またはハロゲン、ヒドロキシルもしくはメトキシで場合により置換されているC 1−4 ヒドロカルビル基であり;
R 3 およびR 4 は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、このうち最大3個までがN、OおよびSから選ばれるヘテロ原子であり得る5〜7環員を有する、場合により置換されている縮合炭素環式環または複素環式環を形成し;
R 5 は、水素、基R 2 または基R 10 であり、ここで、R 10 は、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;基R a −R b であり、R a は、結合、O、CO、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 、X 1 C(X 2 )X 1 、S、SO、SO 2 、NR c 、SO 2 NR c またはNR c SO 2 であり;R b は、水素、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されているC 1−8 ヒドロカルビル基から選ばれ、前記C 1−8 ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO 2 、NR c 、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 またはX 1 C(X 2 )X 1 で場合により置換されていてもよく;
R c は、水素およびC 1−4 ヒドロカルビルから選ばれ;
X 1 は、O、SまたはNR c であり、かつX 2 は=O、=Sまたは=NR c である]。
(95)前記補助化合物が式(IV’)で表される補助化合物であるかまたはその塩、N−オキシドもしくは溶媒和物(互変異性体)である、(94)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物:
[式中、Aは、NH(C=O)、O(C=O)またはC=Oであり;
R 6a 、R 7a 、R 8a およびR 9a は同一または異なって、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基;基R a −R b から選ばれ、ここでR a は、結合、O、CO、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 、X 1 C(X 2 )X 1 、S、SO、SO 2 、NR c 、SO 2 NR c またはNR c SO 2 であり;R b は、水素、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基、ならびにヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−またはジ−C 1−4 ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環式基および複素環式基から選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されているC 1−8 ヒドロカルビル基から選ばれ、ここでC 1−8 ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO 2 、NR c 、X 1 C(X 2 )、C(X 2 )X 1 またはX 1 C(X 2 )X 1 で場合により置換されていてもよいか;あるいは、2つの隣接する基R 6a 、R 7a 、R 8a またはR 9a は、これらが結合している炭素原子と一緒になって5員ヘテロアリール環または5員もしくは6員非芳香族複素環式環を形成してもよく、ここで該ヘテロアリールおよび複素環式基は、N、OおよびSから選ばれる最大3個までのヘテロ原子環員を含み;
R c は、水素およびC 1−4 ヒドロカルビルから選ばれ;かつ
X 1 は、O、SまたはNR c であり、X 2 は=O、=Sまたは=NR c であるか;あるいはR 6a 、R 7a 、R 8a およびR 9a から選ばれる隣接する置換基対は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、O、NおよびSから選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含む非芳香族5員または6員環を形成してもよく;
R 1a は、
(a)1〜3個の置換基R 10c で置換された6員単環式アリール基(ただし、アリール基がメチル基で置換されている場合、メチル基以外の少なくとも1つの置換基が存在する);
(b)単一のヘテロ原子環員を含んでおりそれが窒素であり、1〜3個の置換基R 10c で置換された6員単環式ヘテロアリール基;
(c)窒素および硫黄から選ばれる最大3個までのヘテロ原子環員を含み、1〜3個の置換基R 10c で場合により置換されている5員単環式ヘテロアリール基;
(d)単一の酸素ヘテロ原子環員と場合により窒素ヘテロ原子環員とを含み、1〜3個の置換基R 10c で置換された5員単環式ヘテロアリール基(ただし、ヘテロアリール基が窒素環員を含み、メチル基で置換されている場合、メチル基以外の少なくとも1つの置換基が存在する);
(e)最大4個までのヘテロ原子環員を有する二環式アリールおよびヘテロアリール基(ここで、一方の環は芳香族であり、他方の環は非芳香族であるか、両方の環が芳香族であり、これらの二環式基は1〜3個の置換基R 10c で場合により置換されている);
(f)窒素、酸素および硫黄から選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含み、1〜3個の置換基R 10c で場合により置換されている4員、6員および7員単環式C結合飽和複素環式基(ただし、複素環式基が6環員を有し、ヘテロ原子を1個のみ含みそれが酸素である場合、少なくとも1つの置換基R 10c が存在する);
(g)窒素、酸素および硫黄から選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含み、1〜3個の置換基R 10c で場合により置換されている5員単環式C結合飽和複素環式基(ただし、複素環式基が5環員を有し、ヘテロ原子を1個のみ含みそれが窒素である場合、ヒドロキシ以外の少なくとも1つの置換基R 10c が存在する);
(h)1〜3個の置換基R 10c で場合により置換されている4員および6員シクロアルキル基;
(i)1〜3個の置換基R 10c で置換されている3員および5員シクロアルキル基;および
(j)基Ph’CR 17 R 18 (ここで、Ph’は、1〜3個の置換基R 10c で置換されたフェニル基であり;R 17 およびR 18 は同一または異なって、それぞれ水素およびメチルから選ばれるか;あるいはR 17 およびR 18 は、これらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成しているか;あるいはR 17 およびR 18 の一方が水素であり、他方がアミノ、メチルアミノ、C 1−4 アシルアミノおよびC 1−4 アルコキシカルボニルアミノから選ばれる)
から選ばれ;
(k)また、R 6a 、R 7a 、R 8a およびR 9a の1つがモルホリノメチル基である場合、R 1a はさらに
(l)非置換フェニルおよび1個以上のメチル基で置換されたフェニル;
(m)単一のヘテロ原子環員を含みそれが窒素である、非置換6員単環式ヘテロアリール基;
(n)非置換フリル;
(o)単一の酸素ヘテロ原子環員と窒素ヘテロ原子環員を含み、非置換であるか、または1個以上のメチル基で置換された5員単環式ヘテロアリール基;
(p)ヘテロ原子を1個のみ含みそれが酸素である、非置換6員単環式C結合飽和複素環式基;および
(q)非置換3員および5員シクロアルキル基
から選ばれ;かつ、
(r)R 10c は、
(s)ハロゲン(例えば、FおよびCl);
(t)ヒドロキシル;
(u)ヒドロキシルおよびハロゲンから選ばれる1種以上の置換基で場合により置換されているC 1−4 ヒドロカルビルオキシ;
(v)ヒドロキシル、ハロゲン、ならびに窒素、酸素および硫黄から選ばれる1個または2個のヘテロ原子環員を含む5員および6員飽和複素環式環から選ばれる1種以上の置換基で置換されたC 1−4 ヒドロカルビル;
(w)S−C 1−4 ヒドロカルビル;
(x)C 1−4 アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選ばれる1〜3個の置換基で場合により置換されているフェニル;
(y)5または6環員(例えば、オキサゾール、ピリジル、ピリミジニル)を有し、N、OおよびSから選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含み、C 1−4 アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選ばれる1〜3個の置換基で場合により置換されているヘテロアリール基;
(z)N、OおよびSから選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含み、C 1−4 アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選ばれる1〜3個の置換基で場合により置換されている5員および6員非芳香族複素環式基(例えば、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジン、N−メチルピペラジノ、モルホリノ);
(aa)シアノ、ニトロ、アミノ、C 1−4 アルキルアミノ、ジ−C 1−4 アルキルアミノ、C 1−4 アシルアミノ、C 1−4 アルコキシカルボニルアミノ;
(bb)基R 19 −S(O) n −(ここで、nは0、1または2であり、R 19 は、アミノ;C 1−4 アルキルアミノ;ジ−C 1−4 アルキルアミノ;C 1−4 ヒドロカルビル;C 1−4 アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選ばれる1〜3個の置換基で場合により置換されているフェニル;ならびにN、OおよびSから選ばれる最大3個までのヘテロ原子を含み、1〜3個のC 1−4 アルキル基置換基で場合により置換されている5員および6員非芳香族複素環式基から選ばれる);および
(cc)基R 20 −Q−(ここで、R 20 は、C 1−4 アルキル、トリフルオロメチル、フルオロおよびクロロから選ばれる1〜3個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;Qは、OCH 2 、CH 2 O、NH、CH 2 NH、NCH 2 、CH 2 、NHCOおよびCONHから選ばれるリンカー基である)
から選ばれる]。
(96)前記補助化合物が下記式で表される補助化合物であるかまたはその塩である、(1)〜(93)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物:
[式中、Xは、O、NHおよびNCH 3 から選ばれ;
Aは、結合およびNR 2 基から選ばれ、ここでR 2 は水素またはメチルであり;
Eは、結合、CH 2 、CH(CN)およびC(CH 3 ) 2 から選ばれ;
R 1 は下記のものから選ばれる:
(i)ヒドロキシ、フッ素、アミノ、メチルアミノ、メチルまたはエチルにより場合により置換されている3〜5環員を有するシクロアルキル基;
(ii)O、N、SおよびSO 2 から選ばれる1もしくは2個のヘテロ原子環員を有する4〜6環員を有する飽和複素環基(前記複素環基はC 1−4 アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されているが、非置換4−モルホリニル、非置換テトラヒドロピラン−4−イル、非置換2−ピロリジニル、ならびに非置換および1−置換ピペリジン−4−イルを除く);
(iii)下記式で表される2,5−置換フェニル基、
式中、(a)XがNHまたはN−CH 3 の場合、R 3 は塩素およびシアノから選ばれ、(b)XがOの場合、R 3 はCNである;
(iv)CR 6 R 7 R 8 基(R 6 及びR 7 はそれぞれ水素およびメチルから選ばれ、R 8 は、水素、メチル、C 1−4 アルキルスルホニルメチル、ヒドロキシメチルおよびシアノから選ばれる);
(v)メチル、エチル、メトキシおよびエトキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリダジン−4−イル基;
(vi)置換基がメチル、エチル、アミノ、フッ素、塩素、アミノおよびメチルアミノから選ばれる、置換イミダゾチアゾール基;
(vii)場合により置換されている1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イルまたは場合により置換されている2,3−ジヒドロ−インドール−1−イル基(各々の場合の置換基はハロゲン、シアノ、アミノ、C 1−4 モノ−およびジアルキルアミノ、CONH 2 またはCONH−C 1−4 アルキル、C 1−4 アルキルならびにC 1−4 アルコキシから選ばれ、ここで前記C 1−4 アルキルおよびC 1−4 アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている);
(viii)ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C 1−4 モノ−およびジアルキルアミノ、CONH 2 またはCONH−C 1−4 アルキル、C 1−4 アルキルならびにC 1−4 アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されている3−ピリジル(前記C 1−4 アルキルおよびC 1−4 アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されているが、2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−(ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−アミドおよび2,6−ジメトキシ−N−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−ニコチンアミドを除く);
(ix)ハロゲン、シアノ、アミノ、C 1−4 モノ−およびジアルキルアミノ、CONH 2 またはCONH−C 1−4 アルキル、C 1−4 アルキルならびにC 1−4 アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているチオモルホリンあるいはそのS−オキシドまたはS,S−ジオキシド(前記C 1−4 アルキルおよびC 1−4 アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている);かつ
E−AがNR 2 の場合、R 1 はさらに下記から選ばれる:
(x)2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−メトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、シクロヘキシル、非置換4−テトラヒドロピラニル、およびtert−ブチル;
(xi)NR 10 R 11 基(R 10 およびR 11 はそれぞれC 1−4 アルキルあるいはR 10 およびR 11 は結合してNR 10 R 11 がO、N、SおよびSO 2 から選ばれる第2のヘテロ原子環員を場合により含む4〜6環員を有する飽和複素環基を形成し、前記複素環基はC 1−4 アルキル、アミノまたはヒドロキシで場合により置換されている);
(xii)ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、C 1−4 モノ−およびジアルキルアミノ、CONH 2 、CONH−C 1−4 アルキル、C 1−4 アルキルならびにC 1−4 アルコキシから選ばれる1または2個の置換基により場合により置換されているピリドン(前記C 1−4 アルキルおよびC 1−4 アルコキシ基は、ヒドロキシ、メトキシまたはアミノで場合により置換されている);
E−AがC(CH 3 ) 2 NR 2 またはCH 2 −NR 2 の場合、R 1 はさらに下記から選ばれる:
(xiii)非置換2−フリルおよび2,6−ジフルオロフェニル;かつ、
E−AがC(CH 3 ) 2 NR 2 の場合、R 1 はさらに下記から選ばれる:
(xiv)非置換フェニル;かつ、
EがCH 2 の場合、R 1 はさらに下記から選ばれる:
(xv)非置換テトラヒドロピラン−4−イル]。
(97)Eが結合、R 2 がH、およびR 1 がシクロアルキル基である、(96)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(98)前記シクロアルキル基がシクロプロピルまたはシクロブチルである、(97)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(99)前記補助化合物が1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素またはその塩である、(96)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(100)前記補助化合物が、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸(例えば、(+)ショウノウ酸)、ショウノウ−スルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデカノアート、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨー化水素酸、イセチオン酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(−)−D−乳酸)、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸およびキシナホ酸からなる群から選ばれる酸、さらにはアシル化アミノ酸およびカチオン交換樹脂との1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩である、(99)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(101)前記1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素の塩が、乳酸塩(例えば、L−乳酸塩)またはクエン酸塩である、(100)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(102)前記乳酸塩(例えば、L−乳酸塩)またはクエン酸塩が実質的に結晶性(例えば、50%〜100%結晶性、少なくとも50%結晶性、少なくとも60%結晶性、少なくとも70%結晶性、少なくとも80%結晶性、少なくとも90%結晶性、少なくとも95%結晶性、少なくとも98%結晶性、少なくとも99%結晶性、少なくとも99.5%結晶性、少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性)である、(101)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(103)前記1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素がL−乳酸塩であり、結晶性であって、下記の任意の1つまたは複数(どのような組合せでもよい)またはすべてのパラメーターによって特徴付けられる、すなわち前記塩が、
(a)WO2006/070195の図4および図5に示される結晶構造有する;かつ/または
(b)WO2006/070195のの実施例71の表4の座標により定義される結晶構造を有する;かつ/または
(c)97(2)Kで、a=9.94(10)、b=15.03(10)、c=16.18(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する;かつ/または
(d)室温で、a=10.08(10)、b=15.22(10)、c=16.22(10)Å、α=β=γ=90°の結晶格子パラメーターを有する;かつ/または
(e)斜方晶系空間群P2 1 2 1 2 1 (#19)に属する結晶構造を有する;かつ/または
(f)17.50、18.30、19.30、19.60および21.85°、より具体的にはさらに12.40、15.20、15.60、17.50、18.30、18.50、19.30、19.60、21.85および27.30°の回折角(2θ)および/または5.06、4.85、4.60、4.53および4.07、より具体的にはさらに7.13、5.83、5.68、5.06、4.85、4.79、4.60、4.53,4.07および3.26Åの面間隔(d)における主要なピークの存在を特徴とする粉末X線回折パターンを有する;かつ/または
(g)WO2006/070195の図6またはの実施例72における表5に示される粉末X線回折パターンのものと同様の回折角でピークを示し、前記ピークは場合によりWO2006/070195の図6またはWO2006/070195の表5におけるピークと同様の相対強度を有する;かつ/または
(h)実質的にWO2006/070195の図6に示す粉末X線回折パターンを有する;かつ/または
(i)、(i−1)無水であり、DSCに供された場合190℃で吸熱ピークを示すか;または(i−2)無水であり、DSCに供された場合190℃で始まりを示すか194〜197℃で吸熱ピークを示す;かつ/または
(j)KBrディスク法を用いて分析された場合、3229、2972および1660cm −1 に特徴的ピークを有する赤外線スペクトルを示す、(101)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(104)前記組合せが2種以上の補助化合物を含む、(1)〜(103)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(105)前記2種以上の補助化合物がそれぞれ独立して本明細書に記載の補助化合物のいずれかから選ばれる、(100)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(106)本明細書に記載の1種以上の付属化合物をさらに含む、(1)〜(105)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(107)(1)〜(38)のいずれかで定義される式(I)の化合物が、2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンである、(1)〜(106)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(108)(1)〜(107)のいずれかで定義される組合せの製造方法であって、式(X):
の化合物あるいはその活性化および/または保護形態を、アミド結合を形成するのに適切な条件下で、式HNR 5 R 6 のアミンと反応させ、その後、必要であれば保護基を除去し、場合により、式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物に変換させることを含む方法。
(109)ウイルス感染(またはウイルス性疾患)の予防または治療に用いるための、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(110)ウイルス感染(またはウイルス性疾患)の予防または治療用薬剤の製造のための、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せの使用。
(111)ウイルス感染(またはウイルス性疾患)の予防または治療方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せをその必要のある被験体に投与することを含む方法。
(112)宿主生物(例えば、哺乳類(例えば、ヒト)などの動物)におけるウイルス複製の遮断または阻害に用いる(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せ。
(113)宿主生物(例えば、哺乳類(例えば、ヒト)などの動物)におけるウイルス複製の遮断または阻害用薬剤の製造のための(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せの使用。
(114)宿主生物(例えば、哺乳類(例えば、ヒト)などの動物)におけるウイルス複製の遮断または阻害方法であって、(1)〜(43)のいずれかに記載の組合せを前記宿主細胞に投与することを含む方法。
(115)前記式(VI)の化合物が、2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノンのL−乳酸塩(例えば、結晶形態の)である、(1)〜(114)のいずれかに記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。
(116)前記補助化合物が、前記補助化合物が1−シクロプロピル−3−[3−(5−モルホリン−4−イルメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−尿素またはその塩である、(96)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物である、(115)に記載の組合せ、方法、化合物、使用または組成物。