JP2009543770A - Cdk及びgskの阻害のためのピラゾール誘導体の組合せ剤 - Google Patents

Cdk及びgskの阻害のためのピラゾール誘導体の組合せ剤 Download PDF

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Abstract

(a)式(0):
【化1】
Figure 2009543770

[式中、
Xは、基R−A−NR−又は5員もしくは6員の炭素環又はヘテロ環であり;
Aは、結合、SO、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは水素又は、所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
Yは、結合又は1〜3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
は、水素、3〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1または2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基で置換されていてよく;
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ、又は所望によりハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
は、水素及び3個〜12個の環メンバーの炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
は、水素又は所望によりハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
の化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物;及び
(b)式(I'''):
【化2】
Figure 2009543770

[式中、
は、2,6−ジクロロフェニルであり;
2a及びR2bは、両方とも水素であり;そして
は、式(A)の基:
【化3】
Figure 2009543770

〔式中、RはC1−4アルキルである。〕
である。]
の化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、
を含む、組合せ剤。

Description

技術分野
本発明は、本明細書に定義する1個以上の式(0)の化合物と、本明細書に定義する1個以上の式(I''')の化合物を含む(又は、実質的にそれらからなる)組合せ剤(所望により、本明細書に記載する1個以上の付加的(auxiliary)化合物とさらに組み合わされてよい)、該組合せ剤の製造法、及び該組合せ剤の種々の治療的使用に関する。また、該組合せ剤を含む医薬組成物も提供する。
背景技術
本発明の組合せ剤は、式(0)のピラゾール化合物及びサイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば、GSK3)の活性を阻害又は調節する式(I''')の化合物及び所望により1個以上の付加的化合物を含む。この付加的化合物自体は、タンパク質キナーゼ調節又は阻害活性を示してもよいが、かかる活性は本組合せ剤のピラゾール成分の活性(以下参照)とは顕著に相違していてよい。故に、存在する付加的化合物の種類に応じて、本組合せ剤は全体として以下のものを含む1種以上の種々のタンパク質キナーゼの活性を阻害又は調節し得る。
タンパク質キナーゼ
タンパク質キナーゼは、細胞内で種々のシグナル伝達経路の制御を行う構造的に関連を有する大きな酵素ファミリーを構成する(Hardie, G. and Hanks, S. (1995) The Protein Kinase Facts Book. I and II, Academic Press, San Diego, CA)。このキナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/トレオニン、脂質など)によってファミリーに分類され得る。これらキナーゼファミリーの各々には一般的に対応する配列モチーフが同定されている(例えば、Hanks, S.K., Hunter, T., FASEB J., 9: 576−596 (1995); Knighton, et al., Science, 253: 407−414 (1991); Hiles, et al., Cell, 70: 419−429 (1992); Kunz, et al., Cell, 73: 585−596 (1993); Garcia−Bustos, et al., EMBO J., 13: 2352−2361 (1994))。
タンパク質キナーゼは、その調整機構によって特徴付けされ得る。これらの機構には、例えば自己リン酸化、他のキナーゼによるリン酸転移反応、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用及びタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用が含まれる。各タンパク質キナーゼは1個以上の機構で調整されることもある。
キナーゼは、標的タンパク質にリン酸基を付加することによって、増殖、分化、アポトーシス、運動性、転写、翻訳及び他のシグナル伝達過程を含み、これらに限定されない種々の細胞過程を制御する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節又は制御できる分子的オン/オフスイッチとして機能する。標的タンパク質のリン酸化は、種々の細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖及び分化因子など)、細胞周期事象、環境的又は栄養的ストレスなどに応答して起こる。適当なタンパク質キナーゼはシグナル伝達経路で、例えば代謝酵素、制御タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネル又はポンプ又は転写因子などを(直接的に又は間接的に)活性化又は不活性化するように機能する。タンパク質リン酸化制御の欠陥に基づく無制御なシグナル伝達は、例えば炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患及び状態、中枢神経系の疾患及び状態、及び血管形成を含む多数の疾患に関与している。
サイクリン依存性キナーゼ
真核細胞分裂の過程は広義にG1、S、G2及びMと呼ばれる一連の逐次的な期に分類される。細胞周期の種々の期を経る正しい進行が、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)として公知のタンパク質ファミリー及びサイクリンと称される一連の多様な同族タンパク質パートナーの空間的及び時間的制御に厳密に依存することが証明されている。Cdkはcdc2(別称cdk1)相同セリン−トレオニンキナーゼタンパク質であって、配列依存的状況で種々のポリペプチドのリン酸化における基質としてATPを利用できる。サイクリンは特異的cdkパートナータンパク質への結合及び選択性を規定するために利用される「サイクリンボックス」と称される約100アミノ酸を含む相同性領域によって特徴付けられるタンパク質ファミリーである。
細胞周期を通した種々のcdk及びサイクリンの発現レベル、分解速度及び活性化レベルの調節は、cdkが酵素的に活性を有する、一連のcdk/サイクリン複合体の周期的な形成を起す。この複合体の形成は個々の細胞周期チェックポイントでの通過を制御して、細胞分裂の持続を可能にする。所定の細胞周期チェックポイントにおける予め必要な生化学的基準を満足しなければ、すなわち必要なcdk/サイクリン複合体が形成されなければ、細胞周期の停止及び/又は細胞アポトーシスが起きる。癌に顕れるような異常な細胞増殖は、しばしば正しい細胞周期制御の喪失に起因すると思われる。cdk酵素活性の阻害は、それ故に異常に増殖する細胞に増殖停止及び/又は死滅させる手段を提供する。cdk及びcdk複合体の多様性及び細胞周期を仲介する重要な役割は、規定された生化学的理論的根拠に基づいて選択される広範な領域の治療用標的に可能性を提供する。
細胞周期のG1期からS期への進行は、主にcdk2、cdk3、cdk4及びcdk6により、D型及びE型サイクリンのメンバーとの結合を介して制御される。D型サイクリンはG1制限ポイントの通過を可能にするために有効と思われるが、他方、cdk2/サイクリンE複合体はG1期からS期への移行に重要である。続くS期を通ってG2期に入る進行では、cdk2/サイクリンA複合体が必要と考えられる。有糸分裂及びこれを誘発するG2期からM期への移行は両方とも、cdk1とA型及びB型サイクリンの複合体により制御される。
G1期では、網膜芽腫タンパク質(Rb)及び例えば、p130のような関連ポケットタンパク質は、cdk(2、4及び6)/サイクリン複合体の基質である。G1を経由する進行は、部分的には、cdk(4/6)/サイクリンD複合体によるRb及びp130の過リン酸化、故に不活性化によって促進される。Rb及びp130の過リン酸化は例えば、E2Fのような転写因子の放出を起し、例えば、サイクリンEのための遺伝子のようなG1期を経る進行及びS期への移行に必要な遺伝子の発現を起す。サイクリンEの発現はcdk2/サイクリンE複合体の形成を促進して、これがRbのさらなるリン酸化を経てE2Fレベルを増幅又は維持する。cdk2/サイクリンE複合体はまたDNA複製に必要な、例えばヒストン生合成に関与するとされるNPATのような他種タンパク質もリン酸化する。G1進行及びG1/S移行はマイトージェン刺激Myc経路によっても制御され、cdk2/サイクリンE経路に注入される。Cdk2はまたp21レベルのp53制御によってp53仲介DNA損傷応答経路にも関与している。p21はcdk2/サイクリンEのタンパク質阻害剤であって、G1/S移行を阻止又は遅延することができる。そこで、cdk2/サイクリンE複合体はRb、Myc及びp53各経路からの生化学的刺激がある程度集積される点を表し得る。そこで、Cdk2及び/又はcdk2/サイクリンE複合体は、異常に分裂している細胞の細胞周期を停止し、又は制御を回復するように設計される治療剤の良好な標的を代表する。
cdk3の細胞周期における厳密な役割は明らかではない。同族サイクリンのパートナーはまだ同定されていないが、cdk3のドミナント・ネガティブ型は細胞をG1に滞留させ、そこでcdk3がG1/S移行の制御に役割を果たすことが示唆されている。
多くのcdkは細胞周期制御に関与するとされているが、cdkファミリーのあるメンバーが他の生化学的過程に関与している証拠がある。これは正確な神経発達に必要であり、例えば、タウ、NUDE−1、シナプシン1、DARPP32及びMunc18/シンタクシン1A複合体のような数種のニューロンタンパク質のリン酸化を起すとされているcdk5によって例示される。ニューロンのcdk5は通常、p35/p39タンパク質に結合することによって活性化される。しかし、Cdk5の活性はp35の切断型であるp25の結合によって脱制御され得る。p35からp25への変換、及びそれに続くcdk5活性の脱制御は、虚血、興奮毒性及びβアミロイドペプチドによって誘発され得る。従ってp25は例えば、アルツハイマー病のような神経変性疾患の病因とされ、この病気を目的とする治療剤の標的として興味を持たれている。
Cdk7は、cdc2 CAK活性を有し、サイクリンHに結合する核タンパク質である。Cdk7は、RNAポリメラーゼIIのC−端ドメイン(CTD)活性を有するTFIIH転写複合体の要素として同定されている。これはTat仲介生化学的経路を経るHIV−1転写の制御と関連付けられている。Cdk8はサイクリンCに結合し、RNAポリメラーゼIIのCTDのリン酸化に関連付けられている。同様にしてcdk9/サイクリン−T1複合体(P−TEFb複合体)はRNAポリメラーゼIIの伸張制御に関連付けられている。PTEF−bはまた、サイクリンT1との相互作用を介するウイルストランスアクチベータTatによるHIV−1ゲノムの転写活性化に必要である。それ故Cdk7、cdk8、cdk9及びP−TEFb複合体は抗ウイルス治療剤の可能性のある標的である。
cdk/サイクリン複合体活性の分子レベルでの仲介では一連の刺激性及び阻害性リン酸化、又は脱リン酸化の事象が必要である。Cdkリン酸化は、cdk活性化キナーゼ(CAK)及び/又は例えば、wee1、Myt1及びMik1のようなキナーゼのグループによって行われる。脱リン酸化は、例えば、cdc25(aおよびc)、pp2a又はKAPのようなホスファターゼによって行われる。
Cdk/サイクリン複合体活性は内在性細胞タンパク質性阻害剤の二つのファミリー:Kip/Cipファミリー、又はINKファミリーによって制御され得る。INKタンパク質は、cdk4及びcdk6に特異的に結合する。p16ink4(別称MTS1)は可能性のある腫瘍抑制遺伝子であり、多数の原発性癌では変異しているか又は欠失している。Kip/Cipファミリーは、例えば、p21Cip1、Waf1、p27Kip1及びp57kip2のようなタンパク質を含む。上記のように、p21はp53により誘発され、cdk2/サイクリン(E/A)及びcdk4/サイクリン(D1/D2/D3)複合体を不活性化することができる。非定型的低レベルのp27発現が乳癌、結腸癌及び前立腺癌で観察されている。逆に固形腫瘍におけるサイクリンEの過剰発現が患者の予後不良に関連することが証明されている。サイクリンD1の過剰発現は、食道癌、乳癌、扁平上皮癌、及び非小細胞性肺癌腫と関連付けられている。
増殖細胞における細胞周期の協調および駆動におけるcdk、及びそれらの関連タンパク質の中枢的役割は上記で概要を記載した。cdkが重要な役割を果たしている生化学的経路の幾つかも記載している。一般的cdk、又は特定のcdkを標的とする治療剤を用いる、例えば、癌などの増殖性疾患を処置するための単剤療法の開発は、それ故非常に有望である可能性がある。Cdk阻害剤は例えば、特にウイルス感染症、自己免疫疾患及び神経変性疾患のような他の状態の処置にも使用可能である。Cdkを標的とする治療剤は、既存の、又は新規の治療剤との併用療法で使用する時に上記疾患の処置で臨床効果を示し得る。Cdkを標的とする抗癌療法はDNAとは直接的な相互作用がなく、二次的腫瘍発生の危険が少ないので、多数の既存の抗腫瘍剤よりも有益である可能性がある。
グリコーゲンシンターゼキナーゼ
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は、ヒトで遍在的に発現される2種のイソ型(GSK3α及びβGSK3β)として存在するセリン−トレオニンキナーゼである。GSK3は、胚発生、タンパク質合成、細胞増殖、細胞分化、微小管動力学、細胞運動性及び細胞アポトーシスに役割を果たすとされている。そのようなものとして、GSK3は例えば、糖尿病、癌、アルツハイマー病、発作、癲癇、運動神経疾患及び/又は頭部外傷のような疾患状態の進行に影響するとされている。系統発生学的にはGSK3はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に最も近い。
GSK3が認識するコンセンサスペプチド基質配列は(Ser/Thr)−X−X−X−(pSer/pThr)であり、ここでXは任意のアミノ酸(位置(n+1)、(n+2)、(n+3))であり、pSer及びpThrは各々ホスホセリン及びホスホトレオニンである(n+4)。GSK3は最初のセリン又は位置(n)でトレオニンをリン酸化する。位置(n+4)のホスホセリン又はホスホトレオニンは基質のターンオーバーを最大にするためにGSK3をプライミングするのに必要であると思われる。GSK3αのSer21、又はGSK3βのSer9にあるリン酸はGSK3を阻害する。突然変異生成及びペプチド競合の試験で、GSK3のリン酸化N端末が自己阻害機構によってホスホペプチド基質(S/TXXXpS/pT)と競合できるというモデルができた。GSK3α及びGSKβが各々チロシン279及び216のリン酸化によって制御されるかもしれないことを示すデータもある。これらの残基をPheに変異させるとインビボでキナーゼ活性の低下が起きた。GSK3βのX線結晶学的構造からGSK3の活性化及び制御の全ての側面が明らかになる。
GSK3は哺乳動物インスリン応答経路の一部を構成し、グリコーゲンシンターゼをリン酸化し、それにより不活性化できる。GSK3の阻害によるグリコーゲンシンターゼ活性の上方制御、及びそれによるグリコーゲン合成の上方制御は、身体組織がインスリン刺激に耐性になる状態であるII型糖尿病又はインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)を処置する潜在的手法であると考えられる。肝臓、脂肪、又は筋肉組織における細胞のインスリン応答は、細胞外インスリン受容体へのインスリンの結合によって誘発される。これが、インスリン受容体基質(IRS)タンパク質のリン酸化、及びそれに続く細胞膜への捕捉を起す。さらにIRSタンパク質のリン酸化がホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)の細胞膜への捕捉を始動し、そこで二次メッセンジャーホスファチジルイノシチル−3,4,5−トリホスフェート(PIP3)の遊離が可能になる。これが3−ホスホイノシチド依存性(dedependent)タンパク質キナーゼ1(PDK1)とタンパク質キナーゼB(PKB又はAkt)との膜への共局在化を促進し、そこでPDK1がPKBを活性化する。PKBは各々Ser9又はSer21のリン酸化を経て、GSK3α及び/又はGSKβをリン酸化し、それによって阻害することができる。次にGSK3の阻害は、グリコーゲンシンターゼ活性の上方制御を開始させる。GSK3を阻害できる治療剤はインスリン刺激に見られるものと類似する細胞応答を誘導できる可能性がある。さらなるGSK3のインビボ基質は真核細胞性タンパク質合成開始因子2B(eIF2B)である。eIF2Bはリン酸化によって不活化されるので、タンパク質生合成を抑制できる。例えば、「ラパマイシンの哺乳動物標的」タンパク質(mTOR)の不活化によるGSK3の阻害はこうしてタンパク質生合成を上方制御できる。最後に、キナーゼ例えば、マイトージェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ1(MAPKAP−K1又はRSK)によるGSK3のリン酸化を経るマイトージェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路によるGSK3活性の制御について証拠がある。これらのデータはGSK3活性がマイトージェン、インスリン及び/又はアミノ酸の刺激によって調節され得ることを示唆する。
GSK3βが脊椎動物Wntシグナル伝達経路における重要な成分であることも証明されている。この生化学経路は正常な胚発生のために必須であることが示されており、正常な組織における細胞増殖を制御する。GSK3はWnt刺激に応答して阻害される。これが、GSK3基質、例えばアキシン(Axin)、アデノーマポリープ(大腸腺腫様ポリポーシス)(APC)遺伝子産物及びβカテニンの脱リン酸化を起す。Wnt経路の制御異常が多くの癌に関連付けられている。APC及び/又はβ−カテニンでの変異は結腸直腸癌及びその他の腫瘍に共通している。β−カテニンは細胞接着にも重要であることが証明されている。そこで、GSK3は細胞接着の過程もある程度調節し得る。上記の生化学的経路とは別に、サイクリンD1のリン酸化を介する細胞分裂の制御におけるGSK3のデータがあり、例えば、c−Jun、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α(C/EBPα)、c−Myc及び/又は例えば、活性化T細胞の核因子(NFATc)、熱ショック因子−1(HSF−1)及びc−AMPレスポンスエレメント結合タンパク質(CREB)のような他の基質のような転写因子のリン酸化におけるGSK3のデータがある。組織特異的ではあるがGSK3は細胞アポトーシス調節にも役割を果たしていると思われる。アポトーシス促進機構を介して細胞のアポトーシスを調節するGSK3の役割は、特に神経のアポトーシスが起きる状態に関連し得る。その例は頭部外傷、発作、癲癇、アルツハイマー病及び運動神経疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症及びピック病である。インビトロでは、GSK3が微小管関連タンパク質タウを過リン酸化できることが証明されている。タウの過リン酸化は微小管への正常な結合を妨害し、細胞内タウフィラメントの形成に至り得る。このフィラメントの進行性蓄積は時にはニューロンの障害及び変性に至ると考えられる。故に、GSK3の阻害によるタウリン酸化の阻害は、神経変性効果を限定及び/又は予防する手段を提供するかもしれない。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
細胞周期の進行はサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、及びCDK阻害剤(CDKi)の作用の組合せによって制御され、それは負の細胞周期調節剤である。p27KIP1は細胞周期制御におけるCDKiキーであって、その分解はG1/S移行のために必要である。増殖中のリンパ球ではp27KIP1の発現がないにも拘らず、いくつかの侵攻性B細胞リンパ腫が異常なp27KIP1の染色を示すことが報告されている。この型のリンパ腫ではp27KIP1の異常に高度な発現が見られる。この知見の臨床的関係の分析は、この型の腫瘍では単変量分析でも多変量分析でも、高レベルのp27KIP1発現は悪い予後のマーカーであることを示した。これらの結果は、不利な臨床的意義を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)では、異常なp27KIP1発現があることを示し、この異常なp27KIP1タンパク質が他の細胞周期制御タンパク質との相互作用を介して機能しなくなり得ることを示唆する(Br. J. Cancer. 1999 Jul;80(9):1427−34。)p27KIP1はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫で異常な発現を示し、臨床結果の不良と関連している(Saez A, Sanchez E, Sanchez−Beato M, Cruz MA, Chacon I, Munoz E, Camacho FI, Martinez−Montero JC, Mollejo M, Garcia JF, Piris MA. Department of Pathology, Virgen de la Salud Hospital, Toledo, Spain)。
慢性リンパ球性白血病
B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)は西半球で最も多い白血病であって、毎年約10000症例が診断されている(Parker SL, Tong T, Bolden S, Wingo PA: Cancer statistics, 1997. Ca. Cancer. J. Clin. 47: 5, (1997))。他の型の白血病と比べて、CLLの予後は全体として良好であって、最も進行した段階の患者でも3年生存率は中間値である。
症候性CLLを示す患者への初期治療としてのフルダラビンの追加は、従来使用されているアルキル化剤による処置と比較して高い完全応答率(3%に対して27%)及び無進行生存期間(17月に対して33月)を示す。治療後完全な臨床的応答を達成することはCLLの生存率を改善に向けた最初の段階であるが、患者の大多数は完全な緩解を達成しないか、又はフルダラビンに応答しない。さらに、フルダラビンで処置した全CLL患者は最終的に再発し、その単剤療法としての役割は純粋に一時的である(Rai KR, Peterson B, Elias L, Shepherd L, Hines J, Nelson D, Cheson B, Kolitz J, Schiffer CA: A randomized compari− son of fludarabine and chlorambcil for patient with previously untreated chronic lympho−matic leukemia, A CALGB SWOG, CTG/NCI−C and ECOG Inter−Group Study. Blood 88: 141a, 1996 (abstr 552, suppl 1)。それ故、この疾患の治療におけるさらなる進歩を実現するには、フルダラビンの細胞傷害性を補足し、内因性CLL薬耐性因子が誘導する耐性を排除する新しい作用機序を有する新規医薬を同定することが、必要であり得る。
最も広範に研究されている、CLL患者における治療への反応の悪さ及び生存率の悪さを予言する一貫した因子は、点変異又は染色体17p13欠失によって特徴付けられるp53機能の異常である。実際、p53機能の異常を示すCLL患者がアルキル化剤又はプリン類似体療法のいずれにも実際上反応しないことが多数の一施設症例で報告されている。CLLについてp53変異に関連する薬剤耐性を克服できる治療剤の導入は、この疾患の処置に大きな進歩をもたらす可能性がある。
サイクリン依存性キナーゼの阻害剤、フラボピリドール(flavopiridol)及びCYC202は、B細胞慢性リンパ球性白血病(B−CLL)から採取した悪性腫瘍細胞にインビトロでアポトーシスを誘導する。
フラボピリドール暴露は、カスパーゼ3活性の刺激及び、B−CLLに過剰に発現される細胞周期の負の調節剤であるp27(kip1)のカスパーゼ依存性開裂をもたらす(Blood. 1998 Nov 15; 92(10): 3804−16, Flavopyridol induces apoptosis in chronic lymphomatic leukemia cells via activation of caspase−3 without evidence of bcl−2 modulation or dependence on functional p53. Byrd JC, Shinn C, Waselenko JK, Fuchs EJ, Lehman TA, Nguyen PL, Flinn IW, Diehl LF, Sausville E, Grever MR)。
オーロラ(Aurora)キナーゼ
比較的最近、細胞周期のG2及びM期に関与する細胞分裂の制御剤であるオーロラキナーゼとして知られるセリン/トレオニンキナーゼの新ファミリーが発見された。
オーロラキナーゼの厳密な役割はまだ解明されていないが、有糸分裂チェックポイント制御、染色体動力学及び細胞質分裂に一部役割を果たす(Adams et al., Trends Cell Biol., 11: 49−54 (2001)。オーロラキナーゼは、間期細胞の中心体、双極性紡錘体の極及び有糸分裂装置の中心体に位置する。
哺乳動物では今迄にオーロラキナーゼファミリーのメンバー3種が発見されている(E. A. Nigg, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2: 21−32 (2001))。それは次の通りである:
・オーロラA(文献上の別称オーロラ2);
・オーロラB(文献上の別称オーロラ1);及び
・オーロラC(文献上の別称オーロラ3)。
各オーロラキナーゼは高度に相同性の触媒ドメインを有するが、そのN末端部分はかなり異なる(Katayama H, Brinkley WR, Sen S.; The Aurora kinase: role in cell transformation and tumorigenesis; Cancer Metastasis Rev. 2003 Dec; 22(4): 451−64)。
オーロラキナーゼAとBの基質にはキネシン様運動タンパク質、紡錘体装置タンパク質、ヒストンH3タンパク質、動原体タンパク質及び腫瘍抑制タンパク質p53を含むことが同定されている。
オーロラAキナーゼは紡錘体形成に関与し、早期G2期の間は中心体に局在し、そこで紡錘体関連タンパク質をリン酸化すると考えられている(Prigent et al., Cell, 114: 531−535 (2003))。Hirota et al, Cell, 114: 585−598 (2003) はオーロラAタンパク質キナーゼを欠失する細胞は細胞分裂に入れないことを発見した。さらに、種々の種におけるオーロラA遺伝子の変異又は崩壊は中心体分離及び成熟欠損、紡錘体異常及び染色体分離欠損を含む異常な細胞分裂を起こすことが発見された(Adams, 2001)。
オーロラキナーゼは一般に大部分の正常な組織では低いレベルで発現されるが、例外は分裂している細胞を有する組織、例えば、胸腺及び精巣である。しかしながら、高レベルのオーロラキナーゼが多数のヒトの癌に見出されている(Giet et al., J. Cell. Sci.112: 3591−361 (1999) and Katayama (2003)。さらに、オーロラAキナーゼは、多数のヒトの癌において増幅されることが明らかな染色体の20q13領域に位置付けられている。
こうして、例えば明確なオーロラAの過剰発現がヒトの乳癌、卵巣癌及び膵臓癌に検出されている(Zhou et al., Nat. Genet. 20: 189−193 (1998), Tanaka et al., Cancer Res., 59: 2041−2044 (1999) および、 Han et al., cancer Res., 62: 2890−2896, (2002)参照)。
さらに、Isola, American Journal of Pathology 147,905−911 (1995) はオーロラA遺伝子座(20ql3)の増幅がリンパ節転移陰性乳癌患者の悪い予後と相関することを報告している。
オーロラAの増幅及び/又は過剰発現はヒトの膀胱癌にも観察され、オーロラAの増幅は異数性及び攻撃的臨床様式に関連付けられている(Sen et al., J. Natl.Cancer Inst, 94: 1320−1329 (2002)参照)。
オーロラAの発現亢進は、50%を超える結腸直腸癌(Bischoff et al., EMBO J., 17: 3052−3065 (1998) and Takahashi et al., Jpn. J. Cancer Res., 91: 1007−1014 (2000))、卵巣癌(Gritsko et al. Clin. Cancer Res., 9: 1420−1426 (2003)参照)、及び胃腫瘍(Sakakura et al., British Journal of Cancer, 84: 824−831 (2001)参照)で検出されている。
Tanaka et al. Cancer Research, 59: 2041−2044 (1999)は、乳癌の侵襲性導管腺癌の94%にオーロラAの過剰発現の証拠を見出した。
高レベルのオーロラAキナーゼは、腎臓、子宮頚部、神経芽細胞腫、黒色腫、リンパ腫、膵臓及び前立腺の腫瘍細胞系列にも見られるBischoff et al. (1998), EMBO J., 17: 3052−3065 (1998); Kimura et al. J. Biol. Chem., 274: 7334−7340 (1999); Zhou et al., Nature Genetics, 20: 189−193 (1998); Li et al., Clin Cancer Res. 9 (3): 991−7 (2003) 。
オーロラBは白血病細胞を含むヒト腫瘍細胞系統多数に高度に発現される[Katayama et al., Gene 244: 1−7]。この酵素のレベルは初期結腸癌の臨床病期(Duke's stage)の関数として上昇する[Katayama et al., J. Natl Cancer Inst., 91: 1160−1162 (1999)]。
高レベルのオーロラ3(オーロラC)は正常組織では生殖細胞に限定される傾向があるが、腫瘍細胞系統数種に検出されている(Kimura et al. Journal of Biological Chemistry, 274: 7334−7340 (1999) 参照)。結腸直腸癌の約50%ではオーロラ3の過剰発現がTakahashi et al., Jpn J. Cancer Res. 91: 1007−1014 (2001) に報告されている。
増殖性疾患におけるオーロラキナーゼの役割に関する他の報告はBischoff et al., Trends in Cell Biology 9: 454−459 (1999); Giet et al. Journal of Cell Science, 112: 3591−3601 (1999) および Dutertre, et al. Oncogene, 21: 6175−6183 (2002) に見出される。
Royceらは、初期乳癌の約1/4にオーロラ2遺伝子(別称STK15又はBTAK)の発現が見られることを報告した(Royce ME, Xia W, Sahin AA, Katayama H, Johnston DA, Hortobagyi G, Sen S, Hung MC; STK15/Aurora−A expression in primary breast tumors is correlated with nuclear grade but not with prognosis; Cancer. 2004 Jan 1;100(1): 12−9)。
子宮内膜癌腫(EC)は、少なくとも2種の癌を含む:子宮内膜様癌(EEC)はエストロゲン関連腫瘍であって、これはしばしば正倍数体で予後が良好である。非子宮内膜様癌腫(NEEC:漿液性及び透明細胞形)はエストロゲンに関連せず、しばしば異数体であって、臨床的に悪性である。オーロラはNEECの55%で増幅されているが、どのEECでも増幅されていないことが見出された(P<又は=0.001)(Moreno−Bueno G, Sanchez−Estevez C, Cassia R, Rodriguez−Perales S, Diaz−Uriarte R, Dominguez O, Hardisson D, Andujar M, Prat J, Matias−Guiu X, Cigudosa JC, Palacios J. Cancer Res. 2003 Sep 15; 63(18):5697−702)。
Reichardtら(Oncol Rep. 2003 Sep−Oct;10(5): 1275−9)は神経膠腫におけるPCRによる定量的DNA分析を用いてオーロラ増幅について研究し、異なるWHOグレード(1xII段階、1xIII段階、3xIV段階)における腫瘍16例中5例(31%)がオーロラ2遺伝子のDNA増幅を示すことが判明したと報告している。オーロラ2遺伝子の増幅はヒトの神経膠腫では非ランダム的な遺伝子変化であって、腫瘍形成の遺伝子経路に一定の役割を担うとの仮説を提唱した。
Hamada et al (Br. J. Haematol. 2003 May; 121(3): 439−47)の結果もオーロラ2が非ホジキンリンパ腫の疾患活動性のみならず腫瘍形成をも明示する有力な候補であることを示唆する。この遺伝子の機能の制限に基づく腫瘍細胞増殖の遅延は非ホジキンリンパ腫に対する一つの治療手法であり得る。
Gritsko et al (Clin Cancer Res. 2003 Apr; 9(4): 1420−6)の研究では、オーロラAのキナーゼ活性とタンパク質レベルを原発性卵巣腫瘍患者92例で検討した。インビトロでのキナーゼ分析は44症例(48%)でオーロラAキナーゼ活性が上昇していた。オーロラAタンパク質レベルの増加が52例(57%)で検出された。オーロラAの高タンパク質レベルはキナーゼ活性の上昇とよく相関した。
Li et al (Clin. Cancer Res. 2003 Mar; 9(3): 991−7)の結果は膵臓腫瘍及び癌細胞系統ではオーロラA遺伝子が過剰発現されることを示し、オーロラAの過剰発現が膵臓腫瘍形成に一定の役割を果たすであろうことを示唆する。
同様に、オーロラA遺伝子の増幅及びそれがコードする関連する細胞分裂キナーゼの発現増加はヒト膀胱癌における異数性及び侵襲的臨床経過に関連することが示された。 (J. Natl. Cancer Inst. 2002 Sep 4; 94(17): 1320−9)。
いくつかのグループによる研究(Dutertre S, Prigent C., Aurora−A overexpression leads to override of the microtubule−kinetochore attachment checkpoint; Mol. Interv. 2003 May; 3(3): 127−30 及び Anand S, Penrhyn−Lowe S, Venkitaraman AR., Aurora A amplification overrides the mitotic spindle assembly checkpoint, inducing resistance to taxol, Cancer Cell. 2003 Jan; 3(1): 51−62)はオーロラキナーゼ活性の過剰発現はある種の現在の癌治療法に対する耐性との関連を示唆する。例えばマウス胚線維芽細胞におけるオーロラAの過剰発現はタキサン誘導体の細胞毒性に対する細胞の感受性を低下させる。それ故、オーロラキナーゼ阻害剤は現治療法に対する耐性ができた患者では殊に有用であり得る。
今日までに行われた研究によればオーロラキナーゼ、殊にオーロラキナーゼA及びオーロラキナーゼBの阻害が腫瘍進行を停止させるに有効な手法となることは明らかである。
Harrington et al(Nat Med. 2004 Mar; 10(3): 262−7)はオーロラキナーゼの阻害剤がインビボで腫瘍の増殖を抑制し、腫瘍緩解を誘導することを証明している。本試験ではオーロラキナーゼ阻害剤は癌細胞の増殖を遮断し、白血病、結腸直腸及び乳癌細胞株を含む癌細胞系統の範囲で細胞死を誘発した。これに加え白血病細胞にアポトーシスを誘導することで白血病を処置する可能性が証明された。VX−680は、患者からの難治性原発性急性骨髄性白血病(AML)細胞を有効に殺した(Andrews, Oncogene, 2005, 24, 5005−5015)。
最近の報告はオーロラキナーゼA及びBがヒト白血病細胞中で過剰発現されること;及び小分子のオーロラキナーゼ阻害剤が原発性急性骨髄細胞の増殖に対して活性であること;を示す(Harrington et al, 2004)。さらに、急性前骨髄球性白血病ではa t(15:17)転座(PML3)で破壊されたPML遺伝子の産物では、オーロラAと相互作用し、そのキナーゼ活性を抑制することが最近報告されている。さらにPMLが腫瘍抑制剤であること及びその破壊は白血病のみでなく、リンパ腫及びいくつかの固形腫瘍でも共通であろうという事実が明らかになりつつある(Xu et al, Molecular Cell 17: 721-732, 2005)。
オーロラ阻害剤に特に感受性である癌には、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、神経膠腫及び非子宮内膜様子宮内膜癌が含まれる。オーロラ阻害剤に特に感受性である白血病には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞リンパ腫(マントル細胞)、及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)が含まれる。さらなる白血病は急性前骨髄球性白血病を含む。
C−Abl
BCRコード配列を切断したc−abl遺伝子に融合させる染色体転座事象は、c−ablのチロシンキナーゼ活性を非常に増加し、慢性骨髄性白血病(CML)患者全体の95%におけるトランスフォーミング剤である。この転座は染色体9と22の間で起こり、染色体22を変化させてフィラデルフィア(Ph+)染色体とし、これは細胞遺伝学的方法で識別できる。BCR遺伝子とAbl遺伝子との配列の融合はBcr−Abl遺伝子産物のオリゴマー化を起こし、トランス自己リン酸化と活性化を増加する。c−ablタンパク質の自己阻害ドメインも遺伝子融合の結果除去される。c−ablの細胞内局在化も遺伝子融合の結果に影響を受ける。Bcr−Ablの腫瘍形成効果は複雑であるが、Ras、Erk及びJun経路の活性化によるG1期からS期への移行の誘導を含むと考えられている。Bcr−AblはまたPI3K/Akt経路による細胞の生存に影響を与える。Bcr−Ablの腫瘍形成効果は動物モデルで証明されており、Bcr−Ablタンパク質はマウスでCML症状を確立できることを示す。
CMLは致死的疾患であって、3段階:慢性期、移行期、及び急性転化期を経て進行する。CMLは初期段階では高分化型好中球の増殖によって特徴付けられる。疾患が進行すると過剰な数の骨髄性又はリンパ性の前駆細胞が産生される。この疾患の慢性期は何年も継続し、その後、さらに複数の遺伝子変異で特徴付けられる急性転化期に移行する。CMLは主として成人に起き、疾患顕在化後の平均生存は5年間である。CMLは初期にはc−ablのATP競合阻害剤であるイマニチブ(Gleevec)による処置が成功している。この薬剤は第I相臨床試験で95%の寛解が得られている。慢性相のCML患者に対してイマニチブに対する持続性応答が観察されているが、急性転化期では寛解は2〜6ヶ月に過ぎない。残念ながらCML患者ではイマニチブに対する耐性獲得の進展は15%/年と推測されている。
BCR−ABLにおけるキナーゼドメイン変異はイマニチブに対する獲得耐性の最も一般的ま機構であって、症例の50%〜90%に起きる。イマニチブ耐性の最も一般的な原因は、c−ablキナーゼドメインにおける点変異の発生によるものであり、それがイマニチブの結合に直接的又は間接的に影響を与える。25種を超えるAblキナーゼドメインの異なる変異がイマニチブで処理したCML患者で同定されており、イマニチブに対する臨床的耐性に関連する(Hematology Shah 2005 (1): 183)。これらの変異はイマニチブに対して程度の異なる感受性を示す。イマニチブは不活性な又は閉じた構造のABLキナーゼドメインに結合し、結合によりタンパク質に種々の構造的変化を誘導することが証明されている。耐性関連変異はイマニチブを直接結合するアミノ酸位置に起きると思われるが、大多数はイマニチブが結合する特異的構造をとらないようにキナーゼドメインを防止すると思われる。研究によれば、いくつかの僅かな耐性にしか関与せず、その結果、症例によっては用量増加が応答を回復すると予想されることが証明された。第二世代BCR−ABL阻害剤(例えば、BMS354825、AMN−107)との併用が多数のイマニチブ耐性c−abl変異を有効に阻害することが証明された。しかし現在、殆どのイマニチブ耐性c−abl変異T315Iに対する有効性が証明された臨床的薬剤は存在しない。
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)
FLT3(fms様チロシンキナーゼ3の短形態)は、血小板由来増殖因子(PDGF)、コロニー刺激因子1(CSF1)、及びKITリガンド(KL)に対する受容体に構造的に関連するクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。FLT3はキナーゼインサートと称される特異的親水性インサートによって二分される細胞内チロシンキナーゼドメインを含む。
FLT3とその特異的リガンドであるFLT3リガンド(FL)は、造血前駆細胞の制御に役割を果し、多分化能、骨髄性及びB−リンパ様前駆細胞に対応するCD34−陽性骨髄細胞を含む造血細胞上及び単球細胞上に発現する。
FLT3活性化変異は、急性骨髄性白血病に最も高頻度に観察される変異の一つである。最も高頻度の変異は長さの変異(LM)又は遺伝子内タンデム重複(ITD)であって、エクソン11及び時にはイントロン11とエクソン12に属する重複配列又はインサートからなる。
FLT3遺伝子における遺伝子内タンデム重複及び/又は各挿入及び稀には欠失は、急性骨髄性白血病(AML)全体の20〜25%、骨髄芽症候群(MDS)の5〜10%及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)に関与している。
FLT3タンパク質の変異は、負の制御ドメインの崩壊に起因するチロシンキナーゼ活性の構成的活性化を起す。この活性化はraf−MEK−ERK経路を含む増殖因子依存性経路数種の刺激を起し、白血病細胞の増殖及び生存に寄与する。そこで、FLT3のキナーゼ活性の阻害は、例えば、上記のようなFLT3活性に依存する上記疾患の有効な処置になろう。
3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ−1(PDK1)
3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ−1(PDK1)は、タンパク質キナーゼのAGCサブファミリーに属する多数のキナーゼの活性を制御する重要な役割を担っている(Alessi, D. et al., Biochem. Soc. Trans, 29, p1−14, 2001)。これにはタンパク質キナーゼB(PKB/AKT)、p70リボソームS6キナーゼ(S6K)(Avruch, J. et al., Prog. Mol. Subcell. Biol., 2001, p115−154, 2001)及びp90リボソームS6キナーゼ(Frodin, M. et al., EMBO J., 19, p2924−2934, 2000)が含まれる。血清及びグルココルチコイド制御キナーゼ(SGK)のキナーゼ活性もPDK−1によってリン酸化され、活性化され得る。他の可能性のある基質は、タンパク質キナーゼC、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)、PRK1及びタンパク質キナーゼGを含む。
PDK1仲介シグナル伝達はインスリン及び増殖因子に応答して、及び細胞外マトリックスへの細胞の付着(インテグリンシグナル伝達)の結果として、活性化される。この酵素が活性化されると、例えば、細胞の生存、成長、増殖及びブドウ糖制御のような経路を制御する重要な役割を担う重要な制御タンパク質をリン酸化して多数の多様な細胞の事象を仲介する(Lawlor, M.A. et al., J. Cell Sci., 114, p2903−2910, 2001)、(Lawlor, M.A. et al., EMBO J., 21, p3728− 3738, 2002)。PDK−1阻害剤はそれ故、例えば、糖尿病や癌のような疾患の新しい医療的処置法を提供し得る。
PDK1は、N末端触媒ドメインとC末端プレクスクリン(pleckstrin)相同(PH)ドメインを有する556アミノ酸タンパク質であって、活性化ループでこれらのキナーゼをリン酸化することによってその基質を活性化する(Belham, C. et al., Curr. Biol., 9, pR93−96, 1999)。前立腺及びNSCLを含む多数のヒト癌は、例えば、PTEN変異又はある種の重要な制御タンパク質の過剰発現のような多数の異なる遺伝子事象の結果として上昇したPDK1シグナル伝達経路機能を有する(Graff, J.R., Expert Opin. Ther. Targets, 6, p103−13, 2002; Brognard, J., et al., Cancer Res., 61 p3986−97, 2001)。癌を処置するための有望な機構としてのPDK1の阻害は、PDK1に指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドを有するPTEN陰性ヒト癌系統(IJ87MG)のトランスフェクションによって証明された。その結果、PDK1タンパク質レベルの低下は細胞の増殖と生存率の低下を示した(Flynn, P., et al., Curr. Biol., 10, p1439−42, 2000)。それ故、PDK−1の阻害は癌治療の有望な標的を提供し得る。
刺激を受けていない細胞では殆どが不活性型で存在するPKB/AKTをPDK−1仲介リン酸化すると、この酵素が触媒的に活性な型に変換される。これはAKTの活性化ループドメインのAKT2のトレオニン−309及びAKT1のテオニン−308におけるリン酸化によって起きる。AKTは正常な非刺激細胞では低い、基礎的レベルの活性化を示すが、腫瘍細胞ではAKTはしばしば構成的に活性化される。これは種々のシグナル伝達分子の上方制御;又は癌細胞に一般的に見出される、例えば、Pl−3キナーゼ、増殖因子受容体(例えば、EGFRファミリーのメンバー)、Ras、Src及びBCR−ABL活性化のような、AKTの活性化を促進できる発癌性変異、によって起きる。腫瘍抑制因子PTENの欠損は癌細胞のAKT活性を増強するための別な手段である(Besson, A. et al., Eur. J. Biochem. (1999), Vol. 263, No. 3, pp. 605−611)。PTENの変異又はPTENタンパク質の下方制御は多数の腫瘍及び癌の細胞系統に見出される。PTENは、例えば、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェート及びホスファチジルイノシト−3,4−ビスホスフェートのようなPl−3キナーゼの産物からD−3ホスフェートを除去するホスファターゼである(Myers, M. P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1998), Vol.95, No. 23, pp.13513−13518; Stambolic, V. et al., Cell (1998), Vol. 95 p29−39)。PTENの欠損は、それ故、Pl−3キナーゼの産物を増加し、AKTの構成的活性化を促進する効果を示す。AKTのレベルが高度に上方制御された癌は、PDK−1/AKT経路の阻害剤の効果に特に感受性であり得る。
それ故、PDK1は成長、増殖及び生存を含む多数の細胞機能を制御するPI3Kシグナル伝達経路の重要なメディエーターである。従って、この経路の阻害はPDK1阻害剤が非常に広範囲なヒトの癌の増殖に影響を与え、癌進行の多くの決定的要件に影響する。
血管内皮増殖因子(VEGFR)
慢性増殖性疾患はしばしば著しい血管形成を伴い、これが炎症性及び/又は増殖性の状態に寄与又はその状態を維持するか、又は血管の侵襲性増殖による組織破壊を導く(Folkman, EXS, 79, 1−81 (1997); Folkman, Nature Medicine, 1, 27−31 (1995); Folkman and Shing, J. Biol. Chem., 267, 10931 (1992))。
血管形成という語は一般的に、新しい血管又は更新される血管の発達又は新規血管発達の記載に使用される。これは必要で生理学的に正常な過程であって、これによって脈管構造が胚で確立される。血管形成は一般的に、殆どの正常な成人組織では起きないが、その例外は排卵、月経及び外傷治癒の部位である。しかし多数の疾患が持続的かつ無統制な血管形成によって特徴付けられる。例えば関節炎では新しい毛細血管が関節に侵入して軟骨を破壊する(Colville−Nash and Scott, Ann. Rhum. Dis., 51, 919 (1992))。糖尿病(及び種々の眼科疾患多種)では新しい血管が黄斑又は網膜又はその他の眼構造に侵入し、失明を引き起こし得る(Brooks, et al., Cell, 79, 1157 (1994))。アテローム性動脈硬化の過程は血管形成に関連付けられている(Kahlon, et al., Can. J. Cardiol., 8, 60 (1992))。腫瘍の増殖と転移は、血管形成依存性であることが見出されている(Folkman, Cancer Biol, 3, 65 (1992); Denekamp, Br. J. Rad., 66,181 (1993); Fidler and Ellis, Cell, 79,185 (1994))。
主要な疾患における血管形成の関与についての認識には血管形成阻害剤の同定及び開発を目的とする研究を伴ってきた。この阻害剤は一般に例えば、血管形成シグナルによる内皮細胞の活性化;分解酵素の合成及び放出;内皮細胞の移動;内皮細胞の増殖;及び毛細血管の形成のような血管形成カスケードにおける各標的に応じて分類される。それ故、血管形成は多数の段階で起こり、これらの種々の段階における血管形成を阻止するように働く化合物を発見して開発する試みが進行中である。
例えば、癌及び転移(O’Reilly, et al., Cell, 79, 315 (1994); Ingber, et al., Nature, 348, 555 (1990))、眼科疾患(Friedlander, et al., Science, 270,1500 (1995))、関節炎(Peacock, et al., J. Exp. Med., 175, 1135 (1992); Peacock et al., Cell. Immun., 160,178 (1995))及び血管腫(Taraboletti, et al., J. Natl. Cancer Inst., 87, 293 (1995))のような種々の疾患に種々の機構で作用する血管形成阻害剤が有益なことを教示する刊行物が多数ある。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は細胞の原形質膜を通して生化学的シグナルを伝達するために重要である。これら膜貫通分子は特徴的に細胞質膜のセグメントを通して細胞内チロシンキナーゼドメインに結合する細胞外リガンド結合ドメインからなる。受容体へのリガンドの結合は受容体が関与するチロシンキナーゼ活性の刺激を起こし、これが受容体及び他の細胞内タンパク質の双方にあるチロシン残基のリン酸化が起き、多様な細胞の応答に到る。現在までにアミノ酸配列相同性によって定義される異なるRTKサブファミリー少なくとも19種が同定されている。
ポリペプチドである血管内皮増殖因子(VEGF)はインビトロでは内皮細胞に対して分裂促進剤であり、インビボでは血管形成応答を刺激する。VEGFはまた不適切な血管形成にも関連付けられている(Pinedo, H.M., et al., The Oncologist, 5(90001), 1−2 (2000))。VEGFRはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)である。PTKは細胞の機能に関与するタンパク質の特異的なチロシン残基のリン酸化を触媒して細胞増殖、生存及び分化を制御する(Wilks, A.F., Progress in growth factor, 2, 97−111 (1990); Courtneidge, S.A., Dev. Supp.l,57−64 (1993); Cooper, J.A., Semin. Cell Biol., 5(6), 377−387 (1994); Paulson, R.F., Semin. Immunol., 7(4), 267−277 (1995); Chan, A.C., Curr. Opin.Immunol., 8(3), 394−401 (1996))。
VEGFに対するPTK受容体3種:VEGFR−1(Flt−1);VEGFR−2(Flk−1又はKDR)及びVEGFR−3(Flt−4)が同定されている。この受容体は血管形成に関連し、シグナル伝達に関与している(Mustonen, T., et al., J. Cell Biol., 129, 895−898 (1995))。
特に興味深いのはVEGFR−2であって、これは膜貫通受容体PTKであって本来内皮細胞に発現される。VEGFによるVEGFR−2の活性化は、腫瘍の血管形成を開始するシグナル伝達経路の重要な段階である。VEGFの発現は腫瘍細胞には構成的であって、ある種の刺激に対する応答として上方制御され得る。そのような刺激の一つは低酸素症であって、腫瘍と関連宿主組織の双方でVEGF発現が上方制御される。VEGFリガンドは細胞外VEGF結合部位と結合することによってVEGFR−2を活性化する。これがVEGFRの受容体二量体化及びVEGFR−2の細胞内キナーゼドメインにあるチロシン残基の自己リン酸化を導く。このキナーゼドメインはホスフェートをATPからチロシン残基に移動させるように働き、VEGFR−2の下流のシグナル伝達タンパク質結合部位を提供し、最終的には血管形成を開始させる(McMahon, G. , The Oncologist, 5(90001), 3−10 (2000))。
VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位を阻害すると、チロシン残基のリン酸化が遮断されて血管形成の開始が阻止される。
FGFR
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは有糸分裂誘発、外傷治癒、細胞分化及び血管形成及び発育を含む広範な生理学的機能を制御する。正常及び悪性の細胞成長ならびに増殖は自己分泌ならびに傍分泌因子として作用する細胞外シグナル伝達分子の局所的濃度変化に影響を受ける。自己分泌FGFシグナル伝達はステロイドホルモン依存性癌及びホルモン非依存性状態の進行に特に重要であろう(Powers, et al., Endocr. Relat. Cancer, 7, 165−197 (2000))。
FGFとそれらの受容体は、いくつかの組織及び細胞系統に高レベルで発現され、過剰発現は悪性表現型に寄与すると信じられる。さらに、多数の癌遺伝子は増殖因子受容体をコードする遺伝子と相同で、ヒトの膵臓癌ではFGF依存性シグナル伝達に異常活性化の可能性がある(Ozawa, et al., Teratog. Carcinog. Mutagen., 21, 27−44 (2001))。
2種の原始型メンバーは酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF又はFGF1)及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF又はFGF2)であり、今までに少なくとも20種の異なるFGFファミリーメンバーが同定されている。FGFに対する細胞性応答は四つの型の高親和性膜貫通タンパク質チロシンキナーゼ線維芽細胞増殖因子受容体1〜4(FGFR1〜FGFR4)を経て伝達される。リガンドに結合すると、この受容体は特定の細胞質チロシン残基を二量体化し、自己リン酸化又はトランスリン酸化して細胞内シグナルを伝達して、最後に核転写因子エフェクターを制御する。
このキナーゼは増殖中の内皮細胞に加えて各種腫瘍においても活性化されるのでFGFR1経路の中断は腫瘍細胞増殖に影響を及ぼすはずである。腫瘍関連血管構造におけるFGFR1の過剰発現及び活性化は腫瘍血管形成におけるこれらの分子の役割を示唆する。
線維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性及び/又は塩基性線維芽細胞増殖因子ならびにケラチン合成細胞増殖因子のリガンドに高い親和性を示す。線維芽細胞増殖因子受容体2は造骨細胞の増殖および分化中に各FGFの強力な骨原性効果も伝達する。複雑な機能変化を誘導する線維芽細胞増殖因子受容体2の変異は、頭骨縫合の異常な骨化(頭蓋骨癒合症)を誘導することが示され、膜内骨形成におけるFGFRシグナル伝達の重要な役割を暗示する。例えば早期頭骨縫合の骨化によって特徴付けられるApert(AP)症候群では殆どの症例は線維芽細胞増殖因子受容体2に機能獲得を起す点変異に関連している(Lemonnier, et al., J. Bone Miner. Res., 16, 832−845 (2001))。
ヒトにおける骨格発達のいくつかの重症な異常は、アペ−ル症候群、クルゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ・スチブンソン脳回転状頭皮症候群及びパイフェル症候群を含み、これは線維芽細胞増殖因子受容体2の変異の発生と関連がある。全てでなくとも殆どのパイフェル症候群(PS)の症例は線維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子のデノボ変異によって起き(Meyers, et al., Am. J. Hum. Genet., 58, 491−498 (1996); Plomp, et al., Am. J. Med. Genet., 75, 245−251 (1998))、線維芽細胞増殖因子受容体2における変異がリガンド特異性を統御する重要な常態の一つを破ることが最近証明された。すなわち線維芽細胞増殖因子受容体の変異スプライシング型の二種:FGFR2c及びFGFR2bは非定形的FGFリガンドに結合し、それによって活性化される能力を獲得している。このリガンド特異性の欠損はシグナル伝達の異常を導き、この病的症候群の重症な表現型は線維芽細胞増殖因子受容体2の転位によるリガンド依存性活性化の結果であることを示唆する(Yu, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97, 14536−14541 (2000))。
FGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝子異常、例えば染色体転座又は点変異は、異所性に発現されるか又は脱制御された、構成的に活性なFGFR3受容体を与える。このような異常は、膀胱癌、肝細胞癌、口鱗細胞癌及び頚部癌における多発性骨髄腫の一部に関連付けられている(Powers, C.J., et al., Endocr. Rel. Cancer, 7, 165 (2000), Qiu, W., et al., World Journal Gastroenterol, 11(34) 2005)。従って、FGFR3阻害剤は多発性骨髄腫、膀胱及び頚部癌の処置に有用であり得る。
本化合物はそれ自体として腫瘍形成及び腫瘍の増殖阻止又はアポトーシス誘発、特に血管形成を阻害する手段を提供する点で有用である。本化合物は例えば、癌のような増殖性疾患を処置又は予防するために有用である。特に受容体チロシンキナーゼの活性化変異を有するか、又は受容体チロシンキナーゼの上方制御を有する腫瘍は、この阻害剤に特に感受性であり得る。本明細書に記載する特異的RTKのアイソフォームの何れかの活性化変異を有する患者はRTK阻害剤を用いる処置が特に有効なことを見出し得る。
FGFR4の過剰発現は前立腺癌及び甲状腺癌双方の劣悪な予後と関連付けられている(Ezzat, S., et al. The Journal of Clinical Investigation, 109, 1 (2002); Wang et al. Clinical Cancer Research, 10 (2004))。これに加えて、生殖系列多形(Gly388Arg)は肺癌、乳癌、結腸癌及び前立腺癌の発生率増加に関連している(Wang et al. Clinical Cancer Research, 10 (2004))。
RET
Ret癌原遺伝子は、末梢及び中枢神経系及び腎臓を含む種々の組織が発達する間に発現される受容体チロシンキナーゼをコードする。retヌルマウスに見られる異常は、Retが腸ニューロンの後腸への移動及び神経分布及び腎臓発達中の尿管突起上皮の増殖と分岐に重要であることを示唆する(Nature 367, 380−383, 1994)。
RET受容体チロシンキナーゼでの変異は種々の疾患における表現型異種性の典型的な例を提供する。RETの機能獲得変異はヒトの癌に関連付けられており、特に遺伝的及び非遺伝的な甲状腺癌を起す。RETのチロシンキナーゼドメインを非相同遺伝子パートナーに近接させる遺伝子転位は、甲状腺の散発性乳頭癌腫(PTC)に見出されている。この再編成はキメラRET/PTC癌遺伝子を産生する。生殖腺癌では、RETの点変異は多発性内分泌腫瘍形成タイプ2(MEN2A及び2B)及び髄様甲状腺癌腫(FMTC)を招く。MEN2変異とPTC遺伝子転位は共にRETの固有なチロシンキナーゼ活性を増強し、最終的にRETの下流にある標的を活性化する。
そこで、RETの体細胞遺伝子転位は甲状腺小突起癌(PTC)及び多発性内分泌腫瘍形成(MEN)2A型及び2B型における生殖腺点変異及び家族性髄様甲状腺癌腫(FMTC)に見出される。逆に機能喪失型変異は腸神経系の先天性奇形ヒルシュスプルング病の進展を招く(Naoya Asai et al, Pathology International, Volume 56 Page 164, April 2006)
SRC
Srcファミリーキナーゼ(SFK)はメンバー9種を含み、その中の3種(Src、Fyn、Yes)は遍在性に発現される。Src自体はヒト悪性腫瘍の病原であるとされている。c−Srcの活性化変異体は培養中のヒト細胞を形質転換でき、Srcタンパク質の発現及び/又は活性化が上皮癌の中で増加している。結腸癌ではしばしば隣接する正常粘膜と比較してSrc活性が上昇している。さらに、Src活性化は原発性腫瘍に比べて転移巣で頻繁に上昇しており、これは侵襲及び転移における該タンパク質の役割を示唆する。さらに、Srcの発現は疾患の進行に強く相関する。同様にしてSrcの発現及び活性化は乳癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、肺癌、頭頸部癌及び胃癌では正常組織と比較して上昇している。
EGFR及びPDGFR
悪性腫瘍は無制御な細胞増殖の産物である。細胞増殖は増殖促進因子と増殖阻害因子との間の微妙なバランスによって制御されている。正常な組織ではこれらの因子の産生および活性は、臓器の正常な無欠性および機能を維持する、制御および調節された方法で増殖する分化された細胞を与える。悪性腫瘍細胞はこの制御を免れ、天然のバランスが妨害され(種々の機構によって)無制御な異常細胞増殖が起きる。増殖の促進因子の一つは上皮増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)は肺、乳腺、前立腺、結腸、卵巣、頭頸部の癌を含むヒト固形腫瘍多数の発生と進行とを起こすとされている。EGFRは受容体4種、すなわちEGFR(HER1又はErbB1)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)及びErbB4(HER4)からなるファミリーのメンバーである。この受容体は細胞膜内に存在する大きなタンパク質であって、各々特異的外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及びチロシンキナーゼ酵素活性を有する内部ドメインを有する。EGFがEGFRに結合するとチロシンキナーゼを活性化して細胞に増殖および複製を起す反応を誘発する。EGFRは多種の型の癌細胞表面に異常な高レベルで見出され、この細胞はEGFの存在下に過剰に分裂する。EGFR活性の阻害はそれ故、癌治療の化学療法剤研究の標的である。この阻害は、例えば抗体を使用する細胞表面の標的EGFRの直接的妨害によって、又は後続するチロシンキナーゼ活性の阻害によって、達成できる。
EGFRチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例には、チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブ及びエルロチニブが含まれる。ゲフィチニブは化学名4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンであり、非小細胞肺癌の処置に使用され、例えば、乳癌及び結腸直腸癌のようなEGF受容体を過剰発現する固形腫瘍について現在開発中である。エルロチニブは化学名N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンであり、これも非小細胞肺癌の処置に使用され、例えば、膵臓癌のような多様な他種固形腫瘍の処置に向けて開発中である。
腫瘍発達に重要な他の増殖因子は、血小板由来増殖因子(PDGF)であり、これはペプチド増殖因子の一ファミリーを構成し、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を経てシグナル伝達し、成長、増殖及び分化を含む種々の細胞の機能を刺激する。PDGFの発現は神経膠芽腫及び前立腺癌腫を含む多数の種々の固形腫瘍で証明されている。チロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマニチブは化学名4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミド ・メタンスルホネートであって、Bcr−Ablオンコタンパク質及び細胞表面チロシンキナーゼ 受容体c−Kitの活性を遮断し、それ自体は慢性骨髄性白血病及び消化器間質性腫瘍の治療用に承認されている。メシル酸イマニチブはまたPDGFRキナーゼの強力な阻害剤であって、慢性骨髄単球白血病及び 多形神経膠芽腫の処置に関して、この疾患におけるPDGFR内の活性化変異の証拠に基づいて現在治験中である。これに加えてソラフェニブ(BAY 43−9006)は化学名4−(4−(3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミドを有し、細胞増殖を阻害するためにRafシグナル伝達経路及び腫瘍血管形成を阻害するために、VEGFR/PDGFRシグナル伝達カスケードの双方を標的とする。ソラフェニブは肝臓癌及び腎臓癌を含む多数の癌の処置に向けて研究中である。
式(0)の化合物
以下に詳述するように式(0)の広範な化合物は本発明の組合せ剤に適用できる。本発明の組合せ剤に使用する式(0)の化合物は、WO2005/012256(その内容を引用により本明細書中に包含される)の式(0)の化合物及びそこに定義されるその種々の可能性のある置換基、サブグループ、態様及び例示に対応する。式(0)の化合物の種々の可能性のある置換基、サブグループ、態様及び例示を記載するWO2005/012256の内容を参照により本明細書に包含する。
WO2005/012256(PCT/GB2004/003179)の式(0)の化合物は、本明細書でも式(0)として示すが、本明細書の式(0)への言及はそのように解釈されるべきである。
式(I''')の化合物
以下に詳述するように式(I''')の広範な化合物が本発明の組合せ剤に適用可能である。本発明の組合せ剤で使用する式(I''')の化合物はWO2006/077416に記載の式(I)の化合物に対応し、そこに定義されろその種々の可能性のある置換基、サブグループ、態様及び例示を含む。式(I)の化合物(すなわち本明細書の式(I''')の化合物)の種々の可能性のある置換基、サブグループ、態様及び実施例を記載するWO2006/077416の内容を参照により本明細書中に包含させる。
本明細書(特にこのセクション)では一般に、文脈に反しない限り、式(I''')の化合物への参照は本明細書に定義する式(I''')の全サブグループを含み、用語「サブグループ」は本明細書に定義の全ての好適例、態様、例示及び特定化合物を含む。本明細書中、式(I''')への言及は、文脈に反しない限り、式(I''')の化合物の全てのサブグループ及びその好適例及び例示を言及するものと解釈されるべきである。
WO2006/077416の式(I)は本明細書では式(I''')として示すが、本明細書での式(I''')への言及はそのように解釈されるべきである。
付加的化合物
以下に詳述するように本発明の組合せ剤には広範な所望の付加的化合物がさらに組み合わされ得る。この所望の付加的化合物は抗癌剤であり得る。
1個以上の式(0)の化合物;及び、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ(例えば、GSK3)の活性を阻害又は調節(特に阻害)する1個以上の式(I''')の化合物;及び、所望により1個以上の付加的化合物を含む(又は、それらから実質的に構成される)治療用組合せ剤を提供することは本発明の目的の一つである。かかる組合せ剤は、腫瘍細胞増殖に対して、本組合せ剤の成分が示す各々の効果と比較して有利で有益な効果を示すであり得る。
Du PontのWO02/34721は一群のインデノ[1,2−c]ピラゾール−4−オンをサイクリン依存性キナーゼの阻害剤として開示する。
Bristol Myers SquibbのWO01/81348は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤としての5−チオ−、スルフィニル−及びスルホニル−ピラゾロ[3,4−b]−ピリジンの使用を記載する。
Bristol Myers SquibbのWO00/62778 は、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の一クラスを開示する。
CyclacelのWO01/72745A1は、2−置換−4−ヘテロアリールピリミジン及びその製造、それを包含する医薬組成物及びそのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤としての使用及びそれ故に、例えば、癌、白血病、乾癬などのような増殖性疾患の処置における使用を記載する。
AgouronのWO99/21845は、例えば、CDK1、CDK2、CDK4及びCDK6のようなサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を阻害する4−アミノチアゾール誘導体を記載する。この発明はまた、かかる化合物を含む医薬組成物の治療的又は予防的使用、及びかかる化合物の有効量を投与する悪性腫瘍およびその他の疾患の処置法を対象とする。
AgouronのWO01/53274は、CDKキナーゼ阻害剤としてN含有ヘテロ環基に結合するアミド置換ベンゼン環を含み得る化合物クラスを開示する。
WO01/98290(Pharmacia および Upjohn)は、タンパク質 キナーゼ阻害剤としての3−アミノカルボニル−2−カルボキサミドチオフェン誘導体のクラスを開示する。
AgouronのWO01/53268及びWO01/02369は、例えば、サイクリン依存性キナーゼ又はチロシンキナーゼのようなタンパク質キナーゼの阻害を介して細胞増殖を仲介又は阻止する化合物を開示する。このAgouronの化合物はインダゾール環の3位に直接的に又はCH=CH基又はCH=N基を介して結合するアリール又はヘテロアリール環を有する。
WO00/39108及びWO02/00651(共にDu Pont Pharmaceuticals)は、トリプシン様セリンプロテアーゼ酵素、特に第Xa因子及びトロンビンの阻害剤であるヘテロ環化合物を記載する。この化合物は抗凝血剤として、又は血栓塞栓症の予防に有用であると記載される。
US2002/0091116(Zhu et al.)、WO01/19798及びWO01/64642は、ヘテロ環化合物の広範な群を第Xa因子の阻害剤として開示する。1−置換ピラゾールカルボキサミドのいくつかが開示され、例示されている。
US6,127,382、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/ 19052及びWO97/ 19062(全てAllergan)は、癌を含む種々の過剰増殖性疾患の処置に有用なレチノイド様活性を示す化合物を記載する。
WO02/070510(Bayer)は、心臓血管疾患の処置に有用なアミノジカルボン酸化合物のクラスを記載する。この文献はピラゾールを一般的に記載するが、ピラゾールの具体的例示はない。
WO97/03071(Knoll AG)は、中枢神経系疾患の処置に使用するヘテロシクリル−カルボキサミド誘導体のクラスを開示する。ヘテロ環基の例としてピラゾールを一般的に記載しているが、特定のピラゾール化合物の開示も例示もない。
WO97/40017 (Novo Nordisk)は、タンパク質チロシンホスファターゼの調節剤である化合物を記載する。
WO03/020217(Connecticut大学)は、ピラゾール−3−カルボキサミドのクラスを神経学的状態の処置に用いるカンナビノイド受容体調節剤として開示する。この化合物が癌化学療法に使用できるとの記載(15頁)があるが、この化合物が抗癌剤として活性であるかどうか、又はこれが他の目的で投与されるかどうかは明記されていない。
WO01/58869(Bristol Myers Squibb)は、特に種々の疾患の処置に使用できるカンナビノイド受容体調節剤を開示する。癌の処置も言及されているが、予期される主な使用は呼吸器疾患の処置である。
WO01/02385(Aventis Crop Science)は、1−(キノリン−4−イル)−1H−ピラゾール誘導体を殺菌剤として開示する。1−無置換ピラゾールを合成中間体として開示している。
WO2004/039795(Fujisawa)は、1−置換ピラゾール基を含むアミドをアポリポタンパク質 B分泌の阻害剤として開示する。この化合物を高脂質血症のような状態の処置に有用であると述べている。
WO2004/000318(Cellular Genomics)は、種々のアミノ−置換単環をキナーゼ調節剤として開示する。例示されている化合物はいずれもピラゾールではない。
WO2005/012256(Astex Technology Limited)は、例えば、癌のような状態及び病態の処置に使用するための種々のキナーゼの阻害剤としての活性を有する種々の式(0)の化合物を開示する。
WO2006/077424(Astex Therapeutics Limited)は、細胞毒性化合物又はシグナル伝達阻害剤と式(0)の化合物の組合せ剤を開示する。
WO2006/077426(Astex Therapeutics Limited)は、式(0)の種々の化合物及び塩がサイクリン依存性キナーゼ及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害剤としての活性を有するとして開示する。
WO2006/077416(Astex Therapeutics Limited)は、サイクリン依存性キナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3及びオーロラキナーゼの阻害剤としての活性を有する種々の式(I''')の化合物を開示する。
発明の概要
本発明に従えば:
(a)式(0):
Figure 2009543770

[式中、
Xは、基R1−A−NR4−又は5員もしくは6員の炭素環又はヘテロ環であり;
Aは、結合、SO、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であって、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシにより置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
は、水素、3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシ、C1−4−ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個又は2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基で置換されていてよく;
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、又はC1−4ヒドロカルビル基であって、所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシル又はC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよく;
は、水素及び3〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくヘテロ環基から選択され;そして
は、水素又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物;及び
(b)式(I'''):
Figure 2009543770

[式中、
は、2,6−ジクロロフェニルであり;
2a及びR2bは、共に水素であり;
そして、Rは基:
Figure 2009543770

(式中、RはC1−4アルキルである。)
である。]
で示される化合物、又はその塩、互変異性体、溶媒和物及びN−オキシド、
を含む(又は、実質的にそれらからなる)組合せ剤が提供される。
本発明はまた添付の特許請求項に記載するさらなる組合せ剤、使用、方法、化合物及び工程も提供する。
一般的好適例及び定義
本明細書中、文脈に反しない限り、式(0)への言及は、WO2005/012256に記載の式(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II')、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)及びWO2005/012256に記載の式(0)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II')、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)のサブグループ、例示又は態様を含む。さらに本明細書中、文脈に反しない限り、WO2006/077416に記載の式(I''')の化合物への言及は、本明細書に定義の式(I''')の全サブグループを含み、用語「サブグループ」は本明細書に定義する全ての好適例、態様、例示及び特定の化合物を含む。本明細書の式(I''')へのいずれの言及も、文脈に反しない限り、式(I''')の言及及び式(I''')内の化合物のサブグループ及びその好適例及び例示であると理解すべきである。
本明細書で用いる用語「調節」は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、オーロラキナーゼ及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えばGSK3)及び/又は本明細書に記載の他種キナーゼのいずれかの活性に適用されるとき、各キナーゼの生物学的活性レベルでの変化の定義を意図している。故に、調節は関連するキナーゼ活性の増加又は減少を起す生理学的変化を包括する。後者の場合、調節は「阻害」と記載することもある。この調節は直接的又は間接的に起こってもよく、いかなる機構及びいかなる生理学的レベルで仲介してもよく、これには、例えば遺伝子発現のレベル(例えば転写、翻訳及び/又は翻訳後修飾を含む);キナーゼ活性、例えば、オーロラキナーゼ、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)活性及び/又は本明細書に記載した他のキナーゼの活性のレベルに直接的に又は間接的に作用する調節エレメントをコードする遺伝子の発現のレベル;又は酵素のレベル(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3))活性及び/又は本明細書に記載する他のキナーゼ(例えばアロステリック機構、競合的阻害、活性部位不活性化、フィードバック阻害経路の混乱によるものなど)を含む。そこで、調節はキナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)又は他の本明細書に記載のキナーゼ)の上昇又は低下した発現又は過剰又は過少発現を意味することもあり、これには、遺伝子増幅(すなわち遺伝子コピー数増加)及び/又は転写効果による発現の増加又は減少、ならびに変異によるタンパク質キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)及び/又は本明細書に記載の他のタンパク質キナーゼ)の過剰(又は低)活性、及び活性化又は脱活性化((脱)活性化を含む)が含まれる。用語「調節された」、「調節すること」及び「調節する」はそのように理解すべきである。
本明細書で用いる用語「オーロラキナーゼの上方制御」は、オーロラキナーゼの発現増加又は過剰発現を含むと定義され、これには遺伝子増幅(すなわち遺伝子コピー数増加)及び転写効果による発現増加、及び変異による活性化も含むオーロラキナーゼの過剰活性及び活性化が含まれる。
本明細書で用いる用語「仲介」は、本明細書に記載するキナーゼに関して使用する時は(例えば、本明細書に記載するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3))(また、例えば種々の生理学的過程、疾患、段階、状態、療法、処置又は介入に適用)、本用語が適用される種々の過程、疾患、段階、状態、処置及び介入が、キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3))が生物学的役割を果たすものとして限定的に作用することを意図している。この用語を疾患、段階又は状態に適用する場合には、キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3))による生理学的役割は直接的でも間接的でもよく、疾患、段階又は状態の兆候の出現に必要及び/又は充分であってもよい(又はその病因又は進行)。そこで、キナーゼの活性(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)活性)(及び特に異常なレベルのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)活性、例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)の過剰発現)は、必ずしも疾患、段階又は状態の根本的な原因である必要はなく、キナーゼにより仲介される疾患、段階又は状態(例えば、CDK−及び/又はGSK−(例えば、GSK3−)仲介疾患、段階又は状態)が、キナーゼ(例えば、CDK及び/又は GSK3)が部分的にのみ関与する複数の病因及び複雑な進行を有するものも含むと意図されている。この用語を処置、予防又は介入に適用する場合(例えば、本発明の「CDK−仲介処置」及び「GSK3−仲介予防」など)、そのキナーゼ(例えば、CDK及び/又はGSK3)が果たす役割は直接的でも間接的でもよく、処置の操作、予防又は介入の結果に必要及び/又は充分であればよい。そこで、キナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)及び/又はオーロラキナーゼ及び/又は本明細書に記載する他種キナーゼのいずれか)により仲介される疾患の段階又は状態には、特定の抗癌薬剤又は処置に対する耐性(本明細書に記載する付加的化合物1個以上に対する特定の耐性を含む)の結果出現する疾患の段階又は状態を含む。
本明細書で用いる用語「介入」は任意のレベルで生理学的変化に影響を与える手法を定義するために使用される当技術分野の用語である。そこで、この介入は生理学的過程、事象、生化学的経路又は細胞学的・生化学的事象のいずれかの誘導又は抑制を含むこともある。本発明の介入は典型的には疾患又は状態の治療、処置又は予防に効果を与える(又は寄与する)。
本発明の組合せ剤は個別に投与する時の個々の化合物の治療効果と比較して治療的に有効な効果を与えることもある。
用語「有効な」は、例えば、相加性、相乗性、副作用減少、毒性減少、疾患進行時間の延長、寿命の延長、薬剤の感作もしくは再感作、又は応答率の改善などの有益な効果を含む。有利には、有効な効果は患者に投与する一方又は双方の成分の用量低下が可能になるものでもよく、その結果、同じ治療効果を得るか及び/又は維持するための化学療法の毒性が低下する。
本文脈での「相乗効果」は組合せ剤によって達成される効果が、組合せ剤の各成分が単独で存在するときの効果の合計よりも大きいことを示す。
本文脈での「相加効果」は組合せ剤によって達成される効果が、組合せ剤の各成分のいずれかが単独で存在するときの治療効果よりも大きいことを示す。
本明細書で用いる用語「応答率」は、固形腫瘍の場合にある時点、例えば12週の間に腫瘍サイズが減少する程度を示す。そこで、例えば応答率50%は腫瘍サイズの50%低下を意味する。本明細書での「臨床的応答」は50%以上の応答率を示す。「部分的応答」は本明細書では50%以下の応答率を示す。
本明細書で用いる用語「組合せ剤」は、2種以上の化合物及び/又は薬剤(本明細書では成分とも称する)に適用する時には、化合物/薬剤2種以上を混合して含む物体を定義することを意図している。本文脈での「組合せ」及び「組み合わせた」はそのように理解すべきものである。
組合せ剤中での2種以上の化合物/薬剤の結合は、物質的であっても非物質的であってもよい。物質的に混合した化合物/薬剤の例は次のものを含む:
・2種以上の化合物/薬剤を混合して(例えば同一単位用量内中に)含む組成物(例えば、単位製剤);
・2種以上の化合物/薬剤が、化学的/物理化学的に結合している(例えば、架橋、分子凝集又は共通媒体の部分構造への結合によるものなど)物質を含む組成物;
・2種以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的に共封入されている(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子又はナノ粒子)又はエマルジョン液滴に又は内に配置)された物質を含む組成物;
・化合物/薬剤2種以上が一緒に封入又は提供(例えば、単位用量の列の一部として)医薬キット、医薬パック又は患者用パック。
非物理的に結合した化合物/薬剤の例は次のものを含む:
・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を、2種以上の化合物/薬剤の物理的混合を形成するために少なくとも1種の化合物と即時結合するための指示書と共に含む物質(例えば、非単位製剤);
・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を2種以上の化合物/薬剤を用いる組合せ剤療法のための指示書と共に含む物質(例えば、非単位製剤);
・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を2種以上の化合物/薬剤の他方を投与するか投与されている患者に投与するための指示書と共に含む物質;
・2種以上の化合物/薬剤の少なくとも1種を2種以上の化合物/薬剤の他方との組合せ剤における使用に特に適する量又は形態で含む物質。
本明細書で用いる用語「組合せ療法」には2種以上の化合物/薬剤の組合せ剤(上記定義のもの)の使用を含む治療法を定義することが意図されている。そこで、本明細書における「組合せ療法」、「組合せ剤」及び「組合せでの」化合物/薬剤の使用への言及は、全体として同じ処置レジメンとして投与される化合物/薬剤への言及であり得る。それ自体として、2種以上の化合物/薬剤の各々の薬量は異なっていてもよく:各々は同時に又は異なる時間に投与してもよい。故に、本組合せ剤の化合物/薬剤は、逐次的(例えば、前又は後に)又は同時的に、同じ医薬製剤中(すなわち一緒に)、又は異なる医薬製剤中(すなわち別々に)投与してもよいことは認識され得る。同時に同じ製剤は単位製剤であり、同時に異なる医薬製剤は非単位製剤である。組合せ剤療法における2種以上の各化合物/薬剤の薬量は投与経路に関して異なっていてよい。
本明細書で用いる用語「医薬キット」は、投与方法(例えば、定量デバイス)及び/又は送達手段(例えば、吸入器又は注射器)と一緒の、医薬組成物の1個以上の単位用量を定義し、所望により共通の外包装内に含まれていてよい。2種以上の化合物/薬剤の組合せ剤を含む医薬キットでは、個々の化合物/薬剤は単位又は非単位製剤であってもよい。単位用量はブリスターパックに包含されてもよい。医薬キットは所望によりさらに使用のための指示書を含んでいてもよい。
本明細書で用いる用語「医薬パック」は、所望により共通の外包装内に包含されていてよい医薬組成物の1個以上の単位用量配置であると定義される。2種以上の化合物/薬剤の組合せ剤を含む医薬パックでは、個々の化合物/薬剤は単位であっても非単位であってもよい。単位用量はブリスターパックに包含されていてよい。医薬パックは所望によりさらに使用のための指示書を含んでいてもよい。
本明細書で用いる用語「患者用パック」は、各患者に処方された治療の全コース用の医薬組成物を含む包装であると定義される。患者用パックは通常1個以上のブリスターパックを含む。患者用パックには、薬剤師が多量の医薬から患者の分量を分ける慣例的処方と比較して、通常の患者の処方には存在しない患者用パックに包含される説明書を患者が容易に利用できるという利点がある。この説明書の包含が、医者の指示に対する患者のコンプライアンスを改善することが証明されている。
本発明の組合せ剤は、別々に投与する個々の化合物/薬剤の治療効果と比較して治療的に有効な効果を示す。
本明細書で用いる用語「付加的化合物」は、組合せ剤(又は本明細書に定義する式(0)及び/又は(I''')の化合物)と組み合わせると有効な組合せ剤(本明細書に定義するもの)を生じる化合物であると定義される。この付加的化合物はそれ故、本発明の組合せ剤の構成要素への付加物として作用するか、又はそうでなければ組合せ剤の効果に(例えば、相乗的又は相加的な効果を示し又は本明細書に定義する応答率を改善することによって)貢献し得る。
本明細書で用いる用語「チェックポイントを標的とする薬剤」は、細胞周期チェックポイントの活性化を開始させるように作用する薬剤の機能的クラスの薬剤、又は増殖中の腫瘍細胞における細胞周期チェックポイントの正常な作用を阻害又は調節する薬剤であると定義される。それ故この用語は細胞周期チェックポイントを標的とする種々の薬剤(例えば、白金化合物、ヌクレオシド類似体、CDK阻害剤、タキサン、エポチロン、ニチニチソウアルカロイド、ポロ様キナーゼ阻害剤、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリーの阻害剤及びキネシン阻害剤を含む)を包含する。
チェックポイントへの指向はいかなる機構により仲介されてもよく、例えば紡錘体微小管の安定化(例えば、種々のタキサンが仲介する紡錘体収縮の防止)又は紡錘体形成防止(例えば、種々のビンカアルカロイドにより仲介される)、又は細胞の損傷(例えば、白金化合物又はヌクレオシド類似体が起すDNA損傷)を起す薬剤を含む細胞増殖中のチェックポイント活性化を起す薬剤によるものであってよい。故に、チェックポイントを標的とする薬剤は典型的には染色体誤整列を起すか又は未成熟細胞質分裂を起して腫瘍細胞の死滅にいたる。チェックポイントを標的とする薬剤は、例えばフローサイトメトリー、DNA染色、細胞周期マーカーのウェスタンブロット分析(例えば、サイクリン)及び種々の顕微鏡技術(例えば、焦点顕微鏡)による直接的可視化を含む、細胞周期動力学評価(例えば、多核細胞化事象の検出)のための当業者に既知の種々の技術によって同定できる。
式(0)の化合物の一般的な好適例及び定義
広範な式(0)の化合物は、以下のようにして本発明の組合せ剤に利用できる。発明の組合せ剤で使用するための式(0)の化合物は、WO2005/012256(この内容は参照により本明細書に包含される)の式(0)の化合物及びその明細書に定義する種々の可能な置換基、サブグループ、態様及び例示に対応する。式(0)の化合物の種々の可能な置換基、サブグループ、態様及び例示を記載するWO2005/012256の内容は参照により本明細書に包含される。
ここにWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)の式(0)の化合物は、本明細書でも式(0)と記載され、本明細書の式(0)への言及もそのように解釈されるべきである。
そこで、本発明の組合せ剤に使用する式(0)の化合物は、式:
Figure 2009543770

[式中、
Xは、R1−A−NR4−基又は5員もしく6員の炭素環又はヘテロ環であり;
Aは、結合、SO、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であって、ここでRは水素又はC1−4ヒドロカルビルであって、所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよく;
Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
は、水素、3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシ、C1−4−ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−8−ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個又は2個は所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基で置換されていてよく;
は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)又はC1−4ヒドロカルビル基であって、所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシル又はC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよく;
は、水素及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
は、水素又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物であって、WO2005/012256(PCT/GB2004/003179)の式(0)に対応し、またWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)に記載の種々の可能な置換基、サブグループ、態様及び例示を含み、そうしてWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)に規定の一般的な好適例及び定義は文脈に反しない限り、その各部分構造X、Y、R、R〜R及び置換基、部分構造、下位定義(sub−definition)、下位群又は態様に適用するものである。
特に、X、R及びRの一部分を形成する炭素環及びヘテロ環基は所望によりWO2005/012256が定義するように置換されていてよい。
特に式(0)の化合物は、例えばPCT/GB2004/003179 (WO2005/012256) に定義される式(I0)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)の化合物、及びそのサブグループ;PCT/GB2004/003179(WO2005/ 012256)に列挙された化合物;PCT/GB2004/ 003179(WO2005/012256)の実施例部分に列挙されている化合物であり、PCT/GB2004/ 003179(WO2005/012256)の上記セクションを参照により本明細書中に引用する。
WO2005/012256に記載のCDK阻害性化合物の好適なサブグループは、式(Va):
Figure 2009543770

[式中、
14aは、水素、所望によりフッ素(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル及び2,2,2−トリフルオロエチル)で置換されていてよいC1−4アルキル)、シクロプロピルメチル、フェニル−C1−2アルキル(例えば、ベンジル)、C1−4アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル及びt−ブチルオキシカルボニル)、フェニル−C1−2アルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、C1−2−アルコキシ−C1−2アルキル(例えば、メトキシメチル及びメトキシエチル)、及びC1−4アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)から選択されるが、ここにフェニル基が存在するとき、それは所望によりフッ素、塩素、所望によりフルオロで置換されていてよいC1−4アルコキシ又はC1−2−アルコキシ及び、所望によりフルオロ又はC1−2−アルコキシで置換されていてよいC1−4アルキルから選択される1個〜3個の置換基で置換されていてよく;
wは、0、1、2又は3であり;
は、水素又はメチル、最も好ましくは水素であり;
rは、0、1又は2であり;
11は、水素及びC1−3アルキルから選択され(より好ましくは、水素およびメチルから選択され、最も好ましくは水素である);そして
19は、フッ素;塩素;所望によりフルオロ又はC1−2−アルコキシで置換されていてよいC1−4アルコキシ;及び、所望によりフルオロ又はC1−2−アルコキシで置換されていてよいC1−4アルキルから選択される]
で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である。
WO2005/012256の式(VIb)の特定の化合物は:
4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;
4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミド;
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;及び
4−(2−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;
又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物を含む。
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド化合物は酸付加塩の形で存在してもよく、これは塩酸で形成する塩又はWO2006/077426 に記載の塩であってもよく、この内容は参照により本明細書中に包含される。
例えば、この酸付加塩は、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳酸(例えば、(+)樟脳酸)、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデカン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、イセチオン酸、イソ酪酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸及び(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、蓚酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、バレリアン酸及びキシナホ酸(xinafoic acid)からなる群から選択される酸と形成される塩から選択され得る。
酸付加塩のサブグループの一つは、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、アスパラギン酸(例えば、L−アスパラギン酸)、カプロン酸、炭酸、クエン酸、ドデカン酸、フマル酸、ガラクタル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えば、D−グルコン酸)、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、グリコール酸、馬尿酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸及び(±)−DL−乳酸)、マレイン酸、パルミチン酸、リン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(例えば、(+)−L−酒石酸)及びチオシアン酸からなる群から選択される酸と形成される塩を含む。
特に、この塩はメタンスルホン酸及び酢酸、及びこれらの混合物から選択される酸で形成される酸付加塩である。
一態様では、この塩はメタンスルホン酸と形成される酸付加塩である。
他の態様では、この塩は酢酸と形成される酸付加塩である。
この塩は4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸・ピペリジン−4−イルアミドからWO2006/077426に記載の方法によって製造できる。
この塩は実質的に結晶性であり;すなわち50%〜100%結晶性であり、特に少なくとも50%結晶性、又は少なくとも60%結晶性、又は少なくとも70%結晶性、又は少なくとも80%結晶性、又は少なくとも90%結晶性、又は少なくとも95%結晶性、又は少なくとも98%結晶性、又は少なくとも99%結晶性、又は少なくとも99.5%結晶性、又は少なくとも99.9%結晶性、 例えば100%結晶性であり得る。
さらに好ましくはこの塩は95%〜100%結晶性、例えば少なくとも98%結晶性、又は少なくとも99%結晶性、又は少なくとも99.5%結晶性、又は少なくとも99.6%結晶性、又は少なくとも99.7%結晶性又は少なくとも99.8%結晶性又は少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性のものであり得る(又はこれらからなる群から選択され得る)。
実質的に結晶性の塩の例は、メタンスルホン酸と形成される結晶性塩である。実質的に結晶性の塩の他の例は酢酸と形成される結晶性塩である。
本発明塩は固体状態で、溶媒和(例えば、水和)されていてよく、非溶媒和(例えば、無水)物であってもよい。
一態様では、塩は非溶媒和体(例えば、無水物)である。非溶媒和塩の例はメタンスルホン酸と形成される結晶性塩である。
一態様では、この塩は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩であって、それは結晶性であり、次のパラメータの一個以上(任意の組合せで)又は全部によって特徴付けられる:
(a)WO2006/077426の図1及び図2に示す結晶構造を有する;及び/又は
(b)WO2006/077426の実施例2の座標で定義される結晶構造を有する;及び/又は
(c)結晶格子パラメータ、93K、a=8.90(10)、b=12.44(10)、c=38.49(4)Å、α=β=γ=90°;及び/又は
(d)Pbca(#61)のような斜方晶系空間群に属する結晶構造を有する;及び/又は
(e)WO2006/077426の表A(及びWO2006/077426の表Bにも記載されているものもある)に記載の回折角(2θ)及び面間距離(d)の主ピークの存在によって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有するが、例えばそのX線粉末回折像はWO2006/077426の表Cに記載の回折角(2θ)、面間距離(d)での主ピーク及び強度の存在で特徴付けられる粉末X線回折像を有する; 及び/又は
(f)WO2006/077426の図3に示すX線粉末回折像と同じ回折角におけるピークを示すが、所望によりそのピークはWO2006/077426の図3のピークと同じ相対強度を持っていてもよい;及び/又は
(g)実質的にWO2006/077426の図3に示すX線粉末回折像を有する;及び/又は
(h)無水物であって、DSCに付する時に吸熱ピークを379〜380℃、例えば、379.8℃に示す;及び/又は
(i)KBrディスク法を用いて分析したとき、3233、3002、2829、1679、1632、1560、1430、1198、1037、909及び784cm−1 に特徴的ピークを含む赤外線スペクトルを示す。
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの酸付加塩(例えば、メシレート及びアセテート及びその混合物、好ましくはメシレート)を含む水溶液を含む特定の医薬組成物はWO2006/ 077426に記載されている。
式(0)の化合物を用いる処置法はWO2005/012256の105〜107頁及びWO2006/077426の58〜61頁に、さらには本明細書に記載されている。患者が罹患し、又は罹患の恐れがある疾患又は状態がCDKに対する活性を有する化合物での処置に感受性がであるか否かを決定するための患者の診断法はWO2005/012256の107〜111頁、及びWO2006/077426の62〜65頁、さらには本明細書に記載されている。
式(0)の好適な化合物は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドである。
従って、好適な組合せ剤は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを含む(又は、それらから本質的に構成される)。
本発明の別な組合せ剤は4−(2、6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを塩酸、メタンスルホン酸及び/又は酢酸で形成された酸付加塩から選択された塩の形で含む(又は、それらから本質的に構成される)。
これに加えて、本発明の組合せ剤は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩を含む(又は、それらから本質的に構成される)。
これに加えて、本発明の組合せ剤は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩を結晶形で含む(又は、それらから本質的に構成される)。
式(0)の化合物の製法はWO2005/012256、WO2006/ 077416及びWO2006/077426に記載されており、その内容を本明細書に参考のため包含させる。特に、WO2005/012556の91〜101頁に記載の関連工程に関する内容を参照により本明細書中に包含させる。特に、WO2006/074416の33〜39頁に記載の関連工程に関する内容を参照により本明細書中に包含させる。特に、WO2006/077426の30〜36頁に記載の関連工程に関する内容を参照により本明細書中に包含させる。
式(0)の化合物の生物学的活性はWO2005/012556の88〜91頁及びWO2006/077426の39〜49頁に記載があり、その開示を参照により本明細書中に包含させ、さらに本明細書にも記載する。
式(I''')の化合物の一般的好適例と定義
以下に詳述するように、広範な式(I''')の化合物は本発明の組合せ剤に利用される。本発明の組合せ剤で使用する式(I''')の化合物は、WO2006/ 077416に記載の式(I)の化合物に対応し、その種々の可能性のある置換基、サブグループ、態様及び例示は本明細書に定義する。式(I)の化合物(すなわち本明細書の式(I'''))の種々の可能な置換基、サブグループ、態様及び例示を記載のWO2006/ 077416の内容を本明細書に参考のため包含させる。
一般に本明細書(特にこのセクション)では、文脈に反しない限り、式(I''')の化合物への言及は本明細書に定義する式(I''')のサブグループ全てを含み、用語「サブグループ」は本明細書に定義する、好適例、態様、例示及び特定化合物の全てを含む。本明細書では式(I''')への言及は、文脈に反しない限り、式(I''')に含まれる全ての化合物及びその全てのサブグループ及びその全ての好適例及び例示へ言及するものと理解すべきである。
WO2006/077416の式(I)は本明細書では式(I''')と称し、本明細書での式(I''')への言及はそのように理解すべきである。
以下に記述するように、式(I''')は式:
Figure 2009543770

[式中、
は、2,6−ジクロロフェニルであり;
2a及びR2bは、両方とも水素であり;
そして、R
Figure 2009543770

(式中、RはC1−4アルキルである。)
で示される基である。]
で示される化合物、又はその塩、互変異性体、溶媒和物およびN−オキシドである。
この範囲内に、多数の「サブグループ」、好適例、態様、例示及び特定の化合物が存在し、本明細書における式(I''')への言及は、文脈に反しない限り、式(I''')内の化合物の全てのサブグループ、およびその全ての好適例及び例示へ言及すると理解すべきであって、以下の各章は本発明の組合せ剤に使用する式(I''')の化合物に関するある種の一般的好適例及び定義を記載する。
このC1−4アルキル基はC、C、C又はC4アルキル基であり得る。C1−4アルキル基のグループ内には
・C1−3アルキル基;
・C1−2アルキル基;
・C2−3アルキル基;及び
・C2−4アルキル基;
のサブグループがある。
一つの特定のサブグループはC1−3アルキルである。特定のC1−4アルキル基はメチル、エチル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル及びtert−ブチルの各基である。C1−4アルキル基の他のサブグループはメチル、エチル、i−プロピル及びn−プロピルの各基からなる。一つの好適な基はメチル基である。
他の特定のR基はエチル及びイソプロピルである。従って、好適な組合せ剤は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミドを含む(又は、それらから本質的に構成される)。
さらなる組合せ剤は、実質的に結晶性の4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミド又はその結晶形を含む(又は、それらから本質的に構成される)。
さらなる組合せ剤は、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミドを含む製剤を包含する(又は、それらから本質的に構成される)。
このような態様では、本化合物は4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミド(例えば、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミドの結晶形)であり得る。
式(I')の中で好ましい化合物は、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミドである。
本化合物4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミドは実質的に結晶性であり得る;すなわち50%〜100%結晶性であってもよい。4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミドの結晶形は、本発明者らの出願US 60/746541及びUS 60/830967に開示してあり、その内容を参照により本明細書に包含させる。
より具体的に、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)アミド化合物は少なくとも55%結晶性、又は少なくとも60%結晶性、又は少なくとも65%結晶性、又は少なくとも70%結晶性、又は少なくとも75%結晶性、又は少なくとも80%結晶性、又は少なくとも85%結晶性、又は少なくとも90%結晶性、又は少なくとも95%結晶性、又は少なくとも98%結晶性、又は少なくとも99%結晶性、又は少なくとも99.5%結晶性、又は少なくとも99.9%結晶性、例えば100%結晶性であり得る。
本化合物の結晶形は溶媒和(例えば、水和)又は非溶媒和(例えば、無水)であってもよい。一態様では、この結晶形は溶媒和(例えば、水和)されている。他の態様では、この結晶形は非溶媒和物(例えば、無水物)である。
一態様では、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミドの結晶形は、下記パラメータのいずれか一個以上(任意の組合せで)又は全てによって特徴付けられる結晶形、すなわち:
・本明細書の図1及び図2(及びUS 60/746541及びUS 60/830967)に記載する結晶構造を有する;及び/又は
・本明細書の表1(及びUS 60/746541及びUS 60/830967に記載)の値により定義される結晶構造を有する;及び/又は
・結晶格子パラメータ:a=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有する;及び/又は
・例えば、C2/c(#15)のような単斜晶系空間群に属する結晶構造を有する;及び/又は
・表A及び所望により表Bに記載の回折角(2θ)及び面間距離(d)の主ピークの存在によって特徴付けられるX線粉末回折像を有する;
Figure 2009543770

Figure 2009543770
及び/又は
・本明細書の図3(及びUS 60/746541 and US 60/830967の記載)に示すX線粉末回折像と同じ回折角にピークを示し、所望によりそのピークは本明細書の図3(及びUS 60/746541及びUS 60/830967の記載)のピークと同じ相対強度を有する;及び/又は
・実質的に本明細書の図3(及びUS 60/746541 and US 60/830967の記載)に示すX線粉末回折像を有する;及び/又は
・無水物であって、DSCでは吸熱ピークを293−296℃、例えば 294.5〜295℃にを示す;及び/又は
・ユニバーサル減弱全反射(UATR)を用いて分析すると3362、3019、2843、1677、1577、1547、1533、1326、1150、926、781、667cm−1にある特性ピークを含む赤外線スペクトルを示す
結晶形である。
表1
space group: C2/c (# 15)
unit cell at 104K with a, b & c having 5% s.u.:
a = 9.150
b = 31.320
c = 7.930
alpha = gamma = 90.00
beta = 113.30

loop_
_atom_site_label
_atom_site_type_symbol
_atom_site_fract_x
_atom_site_fract_y
_atom_site_fract_z
_atom_site_U_iso_or_equiv
_atom_site_adp_type
_atom_site_occupancy
_atom_site_symmetry_multiplicity
_atom_site_calc_flag
_atom_site_refinement_flags
_atom_site_disorder_assembly
_atom_site_disorder_group
Cl1 Cl 1.55055(16) 0.20997(4) 1.6202(2) 0.0376(4) Uani 1 1 d . . .
Cl2 Cl 0.97743(17) 0.20548(4) 1.6837(3) 0.0447(5) Uani 1 1 d . . .
S1 S 0.57041(12) 0.07771(3) 0.25572(15) 0.0212(3) Uani 1 1 d . . .
O7 O 1.3597(5) 0.14890(12) 1.8380(5) 0.0376(10) Uani 1 1 d . . .
O14 O 1.0227(4) 0.12633(10) 1.1610(5) 0.0266(8) Uani 1 1 d . . .
O22 O 0.4600(4) 0.04232(10) 0.1911(5) 0.0285(9) Uani 1 1 d . . .
O23 O 0.6695(4) 0.08741(13) 0.1578(5) 0.0282(9) Uani 1 1 d . . .
N1 N 1.2370(5) 0.02604(12) 1.5929(6) 0.0215(9) Uani 1 1 d . . .
H1 H 1.2665 0.0019 1.6538 0.026 Uiso 1 1 calc . . .
N2 N 1.1481(5) 0.02788(12) 1.4095(6) 0.0241(10) Uani 1 1 d . . .
N6 N 1.2053(5) 0.13987(12) 1.5365(6) 0.0226(9) Uani 1 1 d . . .
H6 H 1.1513 0.1533 1.4330 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
N15 N 0.9606(5) 0.05870(11) 1.0508(6) 0.0192(9) Uani 1 1 d . . .
H15 H 0.9804 0.0313 1.0720 0.023 Uiso 1 1 calc . . .
N19 N 0.6881(4) 0.06785(12) 0.4705(5) 0.0185(9) Uani 1 1 d . . .
C3 C 1.1279(5) 0.06988(14) 1.3718(7) 0.0196(10) Uani 1 1 d . . .
C4 C 1.2051(5) 0.09437(14) 1.5332(7) 0.0210(10) Uani 1 1 d . . .
C5 C 1.2765(6) 0.06537(16) 1.6738(8) 0.0240(11) Uani 1 1 d . . .
H5 H 1.3393 0.0714 1.7992 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
C7 C 1.2811(6) 0.16340(14) 1.6846(7) 0.0243(11) Uani 1 1 d . . .
C8 C 1.2638(7) 0.21135(14) 1.6550(8) 0.0239(11) Uani 1 1 d . . .
C9 C 1.3834(6) 0.23627(16) 1.6278(7) 0.0260(11) Uani 1 1 d . . .
C10 C 1.3723(7) 0.27967(18) 1.6094(8) 0.0331(13) Uani 1 1 d . . .
H10 H 1.4564 0.2955 1.5978 0.040 Uiso 1 1 calc . . .
C11 C 1.2352(7) 0.30098(16) 1.6076(8) 0.0333(14) Uani 1 1 d . . .
H11 H 1.2266 0.3311 1.5928 0.040 Uiso 1 1 calc . . .
C12 C 1.1136(7) 0.27794(18) 1.6273(8) 0.0354(14) Uani 1 1 d . . .
H12 H 1.0207 0.2921 1.6242 0.043 Uiso 1 1 calc . . .
C13 C 1.1291(6) 0.23383(16) 1.6518(8) 0.0321(14) Uani 1 1 d . . .
C14 C 1.0327(5) 0.08684(14) 1.1863(7) 0.0218(11) Uani 1 1 d . . .
C16 C 0.8492(5) 0.07270(14) 0.8678(7) 0.0184(10) Uani 1 1 d . . .
H16 H 0.7916 0.0985 0.8838 0.022 Uiso 1 1 calc . . .
C17 C 0.9342(5) 0.08479(14) 0.7426(7) 0.0211(11) Uani 1 1 d . . .
H17A H 0.9903 0.0595 0.7223 0.025 Uiso 1 1 calc . . .
H17B H 1.0142 0.1073 0.8019 0.025 Uiso 1 1 calc . . .
C18 C 0.8119(5) 0.10120(15) 0.5567(7) 0.0225(10) Uani 1 1 d . . .
H18A H 0.7612 0.1276 0.5760 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
H18B H 0.8665 0.1080 0.4743 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
C20 C 0.6048(5) 0.05454(15) 0.5920(7) 0.0242(11) Uani 1 1 d . . .
H20A H 0.5265 0.0319 0.5305 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
H20B H 0.5466 0.0792 0.6132 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
C21 C 0.7264(6) 0.03785(14) 0.7776(7) 0.0234(11) Uani 1 1 d . . .
H21A H 0.6712 0.0302 0.8584 0.028 Uiso 1 1 calc . . .
H21B H 0.7798 0.0120 0.7578 0.028 Uiso 1 1 calc . . .
C24 C 0.4560(6) 0.12321(16) 0.2544(8) 0.0279(12) Uani 1 1 d . . .
H24A H 0.5263 0.1479 0.2999 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
H24B H 0.3984 0.1181 0.3338 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
H24C H 0.3796 0.1288 0.1288 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
経口投与に適する剤形の式(I''')の化合物及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物はWO2006/077416の37〜48頁に記載されている。
特に、実質的に非結晶固体溶液を含む医薬組成物において、該固体溶液は(a)式(I''')の化合物、例えば実施例1の化合物;及び(b)以下からなる群から選択されるポリマー:ポリビニルピロリドン(ポビドン)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、ゼラチン、架橋ポリアクリル酸(カルボマー)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)、メチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、メタクリレートコポリマー、及び水溶性塩例えば、メタクリル酸及びメタクリレートコポリマーのナトリウム及びアンモニウム塩、酢酸セルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びプロピレングリコールアルギネート、を含み、ここで該化合物と上記ポリマーの比率は約1:1〜約1:6、例えば1:3であり、クロロホルム又はジクロロメタンの何れか一つとメタノール又はエタノールの何れか一つの混合物、好ましくはジクロロメタン/エタノールの1:1比混合物からスプレー乾燥する。
さらなる組成物は、本発明者らの出願US 60/746541及びUS 60/830967に開示してあり、その内容を参照により本明細書包含させる。
この化合物を用いる処置法はWO2006/077416の48〜52頁に記載され、さらに本明細書にも記載する。患者が罹患しているか、又は罹患の恐れがある疾患又は状態が、CDKに対する活性を有する化合物を用いる処置に感受性であるか否かを判断するための患者の診断法は52〜56頁に記載され、さらに本明細書にも記載する。
式(I''')の化合物の生物学的活性はWO2006/074416の25〜30頁に記載されており、その開示を参照により本明細書に包含させ、さらに本明細書にも記載する。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ及び同位体
特定の化合物(とりわけ、式(0)及び(I''')の化合物又は本明細書に記載の付加的化合物を含む)への言及は、例えば下記の通りのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護形態;好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物;及び、さらに好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物への言及を含む。
そのような塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ 及び同位体はWO2005/012256の81〜88頁及びWO2006/077426にその式(0)の化合物(上記の通り本明細書の式(0)の化合物)に関連して記載されている。このWO2005/012256及びWO2006/077426の開示は参照により本明細書に包含され、式(0)の化合物の塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ及び同位体に関する教示は種々の化合物(中でも式(0)、式(I''')の化合物又は本明細書に記載の付加的化合物を含む)に拡張されるべきである。
そのような塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ及び同位体は、WO2006/077416の18〜25頁にその式(I)の化合物(前述のように本明細書の式(I''')の化合物)に関連して記載されている。ここにWO2006/077416の開示を参照により本明細書に包含させ、式(I)の化合物の塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ及び同位体に関する教示は種々の化合物に拡張するものである(特に式(0)、式(I''')のいずれかで示される化合物又は本明細書に記載の付加的化合物を含む)。
本発明の組合せ剤成分としての式(I''')の化合物の利点
これはWO2006/077416の28〜30頁に記載されており、この開示を本明細書に参照により包含させる。
式(I''')の化合物の製造法
これはWO2006/077416の30〜36頁に記載されており、この開示を本明細書に参照により包含させる。
式(I''')の化合物の製造法はWO2005/012256、 WO2006/ 077416及びWO2006/077426に記載されており、その内容を本明細書に参照により包含させる。特に、WO2006/074416の33〜39頁にある関連する工程に関する内容を本明細書に参照により包含させる。
式(I''')の化合物の精製法
これはWO2006/077416の36〜37頁に記載されており、この開示を本明細書に参照により包含させる。
生物学的活性
式(I''')の化合物の生物学的活性はWO2006/077416の25〜28頁に記載されており、この開示を本明細書に参照により包含させる。式(0)の化合物の生物学的活性はWO2005/012556の88〜91頁及びWO2006/077426の39〜49頁に記載されており、この開示を本明細書に参照により包含させる。
式(0)及び式(I''')の化合物はサイクリン依存性キナーゼの阻害剤である。例えば、式(0)及び式(I''')の化合物は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6及びCDK9から選択されるサイクリン依存性キナーゼ、及び特にCDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5及びCDK9から選択されるサイクリン依存性キナーゼ、の阻害剤である。式(0)及び式(I''')の化合物はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)に対しても活性を示す。
CDK及びグリコーゲンシンターゼキナーゼを調節又は阻害する活性の結果、式(0)及び式(I''')の化合物は異常に分裂している細胞の細胞周期を停止させ、又は制御を回復する手段を提供するために有用であり得る。それ故、この化合物は例えば、癌のような増殖性疾患の処置又は予防に有用であり得る。式(0)及び式(I''')の化合物は、例えば、ウイルス感染症、II型又はインスリン非依存性糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、発作、癲癇、神経変性疾患例えば、アルツハイマー病、運動神経疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症及びピック病例えば自己免疫病及び神経変性疾患のような状態の処置に有用であり得る。
式(0)及び式(I''')の化合物が有用であり得る疾患及び状態のサブグループの一つはウイルス感染症、自己免疫疾患及び神経変性疾患からなる。
CDKは細胞周期、アポトーシス、転写、分化及びCNS機能の制御に一定の役割を果たす。それ故、CDK阻害剤は増殖、アポトーシス又は分化に異常のある疾患、例えば、癌の処置に有用である。特にRB+腫瘍は、CDK阻害剤に対して感受性であり得る。RB−腫瘍もCDK阻害剤に感受性であり得る。
阻害される癌の例は、これに限定するものではないが、癌腫、例えば膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸直腸癌、例えば結腸腺肉腫及び結腸腺腫)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、例えば腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌例えば、外分泌膵臓癌、胃癌、頚部癌、甲状腺癌、前立腺癌、又は皮膚癌、例えば扁平上皮癌;リンパ系の造血器腫瘍、例えば白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病又はバーケットリンパ腫;骨髄系の造血器腫瘍、例えば急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群、又は前骨髄性白血病;濾胞性甲状腺癌;間葉性腫瘍、例えば線維肉腫又はハブドミオザルコーマ(habdomyo−sarcoma);中枢又は末梢神経系の腫瘍、例えば星状膠細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫又は神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌腫;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫(keratoctanthoma);濾胞性甲状腺癌;又はカポジ肉腫を含む。
この癌はCDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5及びCDK6から選択されるサイクリン依存性キナーゼ1個以上、例えばCDK1、CDK2、CDK4及びCDK5、例えば、CDK1及び/又はCDK2から選択されるCDKキナーゼの1個以上の阻害に感受性の癌であり得る。
特定の癌がサイクリン依存性キナーゼによる阻害に感受性のものであるかどうかは、下記の実施例に記載する細胞増殖アッセイによって、又は「診断法」と表題を付けた上記のセクションに記載する方法によって決定できる。
CDKはアポトーシス、増殖、分化及び転写に一定の役割を果たすことが知られており、それ故CDK阻害剤は癌以外の下記疾患:ウイルス感染症、例えばヘルペスウイルス、天然痘ウイルス、エプシュタインバールウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、HIV、HPV、HCV及びHCMV;HIV感染者のAIDS発症予防;慢性炎症性疾患、例えば全身性エリテマトーデス、自己免疫性糸球体腎炎、リューマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患及び自己免疫性糖尿病;心血管疾患、例えば心臓肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症、網膜色素変性、脊髄性筋萎縮症及び小脳変性;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、心筋梗塞関連虚血性傷害、発作及び再潅流傷害、不整脈、動脈硬化、トキシン誘発又はアルコール関連肝疾患;血液学疾患、例えば、慢性貧血及び再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば骨粗しょう症及び関節炎;アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓病及び癌性疼痛の処置にも有用であり得る。
そこで異常細胞増殖を含む疾患又は状態を処置する本発明の医薬組成物、使用又は方法では、異常細胞増殖を含む疾患又は状態は、一態様では癌である。
癌の一群はヒトの乳癌(例えば、初発乳癌、リンパ節転移陰性の乳癌、侵襲性乳管癌、非類内膜乳癌);及びマントル細胞リンパ腫を含む。これに加えて、他の癌は結腸直腸癌及び子宮内膜癌である。
癌の別な群はリンパ系造血器腫瘍、例えば白血病、慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫及びB細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を含む。
一つの特定の癌は、慢性リンパ球性白血病である。他の特定の癌はマントル細胞リンパ腫である。他の独特な癌はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
癌の別な群は乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌及び非小細胞肺癌を含む。
式(0)及び式(I''')の化合物のサイクリン依存性キナーゼ及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の阻害剤としての活性は本明細書に記載するアッセイ法を用いて測定でき、所与の化合物が示す活性のレベルはIC50で定義することができる。
本発明の使用法のための所望の付加的化合物
広範な種々の付加的化合物を所望により本発明の組合せ剤の追加的構成成分として加えて使用してもよい。そのような所望の付加的化合物は抗癌剤であってもよい。特定的な組合せ剤は、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド及びその塩、及び4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミド、及び1個以上の本明細書に記載する所望の付加的化合物を含む(又は、それらから本質的に構成される)。
本明細書のこの部分及び他の部分全てにおいて、文脈に反しない限り、式(0)への言及は、WO2005/012256に記載の式(I)、(I0)、(Ia)、(Ib)、(II')、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)、及びWO2005/012256に記載の式(0)、(I0)、(Ia)、(Ib)、(II')、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)のサブグループ、例示又は態様への言及を含む。さらにその上、この明細書では一般に、文脈に反しない限り、式(I''')の化合物への言及は本明細書に規定し、WO2006/077416に記載の式(I''')のサブグループ全てへの言及を含み、用語「サブグループ」はWO2006/077416に記載の全ての好適例、態様、例示及び本明細書に規定する特定的な化合物を含む。本明細書の式(I''')への言及は文脈に反しない限り、式(I''')内の化合物すべてのサブグループ及びその好適例及び例示への言及と解すべきである。
好ましくは、本発明の組合せ剤で使用するための所望の付加的化合物は次表のリストから選択される:
リストA
1. ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤(コルチコイド、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤及びGNRAを含む);
2. サイトカイン及びサイトカイン活性化剤;
3. レチノイド及びレキシノイド;
4. モノクローナル抗体(細胞表面抗原へのモノクローナル抗体を含む);
5. カンプトテシン化合物及びその他のトポイソメラーゼI阻害剤;
6. 代謝拮抗剤;
7. ビンカアルカロイド及びその他のチューブリンを標的とする薬剤;
8. タキサン;
9. エポチロン;
10. 白金化合物;
11. DNA結合剤及びトポII阻害剤(アントラサイクリン誘導体を含む);
12. アルキル化剤(アチリジン−、窒素マスタード−及びニトロソウレア−アルキル化剤を含む);
13. シグナル伝達阻害剤(PKA/B阻害剤及びPKB経路阻害剤を含む);
14. CDK阻害剤(付加的CDK阻害剤を含む);
15. COX−2阻害剤;
16. HDAC阻害剤;
17. 選択的免疫応答調節剤;
18. DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;
19. プロテアソーム阻害剤;
20. オーロラ阻害剤;
21. Hsp90阻害剤;
22. チェックポイントを標的とする薬剤;
23. DNA修復阻害剤;
24. G−タンパク質結合受容体阻害剤。
本発明の組合せ剤が付加的化合物1個以上を含む態様では、付加的化合物は、好ましくは上記リストAのクラス(1)(特にコルチコステロイド)、(4)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(17)、(18)、(19)、(23)及び(24)から独立して選択される。最も好ましくは、付加的化合物1個以上は上記リストAのクラス(1)特にコルチコステロイド、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(18)、(19)及び(24)から独立して選択される。
本発明の組合せ剤が2腫以上の付加的化合物を含む態様では、2腫以上の付加的化合物は、好ましくは上記リストAのクラス(1)〜(24)から独立して選択される。
本発明の組合せ剤が2腫以上の付加的化合物を含む態様では、2腫以上の付加的化合物は、好ましくは上記リストAのクラス(1)(特にコルチコステロイド)、(2)、(3)、(17)、(22)、(23)及び(24)から独立して選択される。
リストB
ある種の態様では、組合せ剤において式(I)の化合物と共に使用するための所望の付加的化合物は次のクラスから選択される:
1. ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤及びGNRAを含む);
2. モノクローナル抗体(例えば、細胞表面抗原へのモノクローナル抗体);
3. カンプトテシン化合物及びその他のトポイソメラーゼI阻害剤;
4. 代謝拮抗剤;
5. ビンカアルカロイドその他のチューブリンを標的とする薬剤;
6. タキサン;
7. エポチロン;
8. 白金化合物;
9. DNA結合剤及びトポII阻害剤(アントラサイクリン誘導体を含む);
10. アルキル化剤(アチリジン、窒素マスタード及びニトロソウレア−アルキル化剤を含む);
11. シグナル伝達阻害剤(PKA/B 阻害剤及びPKB経路阻害剤を含む);
12. CDK阻害剤(付加的CDK阻害剤を含む);
13. COX−2阻害剤;
14. HDAC阻害剤;
15. DNAメチラーゼ阻害剤;
16. プロテアソーム阻害剤;
17. オーロラ阻害剤;
18. Hsp90阻害剤;
19. 上記クラス(4)、(6)及び/又は(11)の2種以上の組合せ剤;
20. 上記クラス(3)〜(6)、 (8)、 (9) 及び/又は (11)の2種以上の組合せ剤;
21. 上記クラス(10)及び/又は(12)〜(16)の2種以上の組合せ剤;
22. 上記クラス(1〜6)〜(8〜16)の2種以上の組合せ剤;
23. 上記クラス(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(10)、(11)及び(16)の2種以上の組合せ剤;
24. 上記クラス(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(10)の2種以上の組合せ剤;
25. 上記クラス(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(10)の2種以上の組合せ剤;
26. 上記クラス(4)、(6)及び(8)の2種以上の組合せ剤;
27. 上記クラス(7)及び(1)〜(6)及び/又は(8)〜(18)の2種以上の組合せ剤;
28. 上記クラス(7)、(17)及び(18)の2種以上の組合せ剤。
本発明の組合せ剤が2種以上の付加的化合物を含む態様では、2種以上の付加的化合物は好ましくは上記のクラス1〜18から独立して選択される。
本明細書における特定の付加的化合物への言及は、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物及びさらに好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)への言及を含むことを意図している。
上記の種々の化合物/化合物クラスを以下に詳記するが、化合物クラスの番号は上記クラスAで用いたものに対応する。
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤
定義:
本明細書で用いる用語「コルチコステロイド」、「抗アンドロゲン剤」、「抗エストロゲン剤」、「抗アンドロゲン剤剤」及び「抗エストロゲン剤」は、本明細書に記載するもの及びその類似体を意味し、そのイオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、及びより好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
生物学的活性:
本明細書に記載の1個以上の薬理学的作用を経て働くホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤剤及び抗エストロゲン剤を含む)は好適な抗癌剤として同定されている。用語「ホルモン療法」は、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤を集合的に意味するために使用する。
技術的背景:
ホルモン療法は、例えば、乳腺及び前立腺のようなホルモン増殖制御に感受性の組織に腫瘍が形成される、ある型の癌の処置に重要な役割を果たす。そこで例えばエストロゲンは、ある種の乳癌の増殖を促進し、テストステロンは前立腺癌の増殖を促進する。このような腫瘍の増殖は特異的ホルモンに依存性であり、体内のある種のホルモンのレベルを上昇又は下降させることによって腫瘍増殖に影響を与えることができるか否かについて相当な研究が行われている。ホルモン療法はホルモンの活性を操作することによってこれらのホルモン感受性組織の腫瘍増殖制御を試みる。
リンパ球前駆体又は成熟リンパ球のいずれかに由来する癌、例えば、ある型の白血病、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫は、しばしば成熟リンパ球が示すプレドニソロン、プレドニソン及びデキサメタゾンを含むコルチコステロイドを用いる処置に対して感受性を保持する。その結果、1個以上のコルチコステロイドを用いる処置はしばしばこれらの疾患の処置に導入される。本発明ではコルチコステロイドの併用が意図されている。
乳癌に関しては、腫瘍増殖はエストロゲンによって刺激されるので、抗エストロゲン剤はこの型の癌を処置する目的で提案され、広く使用されてきた。最も広く使用されるこの種の薬剤の一つはタモキシフェンであって、これはエストロゲン受容体(ER)への結合についてのエストラジオールの競合的阻害剤である。ERに結合すると、タモキシフェンはこの受容体の三次元構造に変化を誘発し、DNAのエストロゲン応答要素への結合を阻害する。正常な生理学的条件下では、エストロゲン刺激は腫瘍細胞増殖の自己分泌阻害剤であるトランスフォーミング増殖細胞b(TGF−b)の腫瘍細胞形成を増加させる。この経路を阻害することによって、タモキシフェン処置の正味の効果は乳癌増殖の自己分泌刺激を減少させることにある。これに加えて、 タモキシフェンは周辺組織によるインスリン様増殖因子(IGF−1)の局所的産生を減少させる:IGF−1は乳癌細胞の傍分泌増殖因子である(Jordan and Murphy, Endocr. Rev., 1990, 11; 578−610)。疾患制御の別な手法はエストラジオールの産生に必須な酵素であるアロマターゼの阻害によってエストラジオールの循環レベルを低下させることである。タモキシフェンとアナストラゾール、レトロゾール及びエキサメスタンを含むアロマターゼ阻害剤の両方は、アジュバント処置及び転移性設定(setting)(例えば、転移乳癌)の両方で閉経後乳癌患者の処置に広く用いられている。タモキシフェンはER陽性腫瘍を有する月経閉止前の女性でも使用される。長期のタモキシフェン処置には種々の副作用、例えば内膜癌の可能性及び血栓塞栓事象などの発生の可能性がある。アロマターゼ阻害剤は一般にタモキシフェンよりも耐容されるが患者はしばしば筋骨格疼痛及び骨粗しょう症に至る明確な骨量減少を経験する。
広くタモキシフェン類似の作用を示すその他のエストロゲン受容体アンタゴニスト(又は選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM))は、トレミフェン及びラロキシフェンを含む。トレミフェンは非ステロイド性SERMであって、化学名2−(4−[(Z)−4−クロロ−1,2−ジフェニル−1−ブテニル]−フェノキシ)−N,N−ジメチルエチルアミンを有し、転移乳癌の処置に使用され、その副作用はほてり、悪心及び眩暈を含む。ラロキシフェンはベンゾチオフェンSERMであって、化学名[6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル]−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]−フェニル]メタノン塩酸塩を有し、乳癌の処置について研究中であり、副作用はほてり及び下肢痙攣を含む。
フルベストラントは腫瘍組織におけるERの発現を低下させることによって作用し、化学名7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]エストラ−1,3,5−(10)−トリエン−3,17β−ジオールを有し、しばしばタモキシフェン及びアロマターゼ阻害剤での処置に続いて(例えば、進行乳癌の第二選択処置)使用される。処置がほてり及び子宮内膜刺激を伴い得る。
前立腺癌細胞は殆ど必ずアンドロゲン受容体を過剰発現するので、この疾患の処置には抗アンドロゲン剤が広く使用される。抗アンドロゲン剤はアンドロゲン受容体拮抗剤であって、アンドロゲン受容体に結合してジヒドロテストステロンの結合を妨害する。ジヒドロテストステロンは癌性前立腺細胞を含む前立腺細胞の新規増殖を刺激する。抗アンドロゲン剤の一例はビカルタミドであって、化学名(R,S)−N−(4−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)プロパンアミドを有し、進行前立腺癌の処置用として黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体との併用が承認されており、副作用はほてり、骨疼痛、血尿及び胃腸症候群である。ジヒドロテストステロンの循環レベルを低下させる別な手段はフルタミドを用いてテストステロンからの産生を直接的に阻害するものである。
一態様では、ホルモン療法はフルベストラント、トレミフェン及びラロキシフェンを含む。
ホルモン性癌治療の別な型はプロゲスチン類似体の使用を含む。プロゲスチンは卵巣及び子宮内膜が分泌するホルモンであるプロゲステロンの合成型である。エストロゲンと共に作用して、プロゲステロンは月経周期の間に乳腺と内膜細胞の発育を促進する。プロゲスチンは副腎(特に閉経後の婦人では別途補給源である)からのエストロゲンの産生を抑制することによって、エストロゲン受容体レベルを低下させるか、腫瘍のホルモン代謝を変化させて作用するであろうと考えられ得る。
プロゲスチン類似体は子宮癌(例えば、進行性子宮癌)又は腎臓癌の管理に使用される。これはまた進行性乳癌の処置に使用できるが、多数の抗エストロゲン剤処置が選択できるのでその使用はあまり一般的ではない。時には、プロゲスチン類似体は前立腺癌のホルモン療法にも使用される。プロゲスチン類似体の例は、メゲストロールアセテート(別称メゲストレルアセテート)であって、化学名17α−アセチルオキシ−6−メチルプレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンを有し、脳下垂体性腺刺激ホルモン産生の推定的阻害剤であって、結果としてエストロゲン分泌を減少させる。この薬剤は乳腺又は内膜の進行癌(すなわち再発、手術不能又は転移性の癌)の緩和的処置に使用され、副作用は浮腫及び血栓塞栓事象を含む。
好適例及び特定の態様:
本発明で使用するための特定的で好適な抗エストロゲン剤はタモキシフェンである。タモキシフェンは例えばAstraZeneca plcから商品名Nolvadexの下に市販されており、又は例えばU.K. patent specifications 1064629及び1354939に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。
さらに別の好適な抗エストロゲン剤はドロロキシフェンである。フルベストラントは例えばAstraZeneca plc から商品名Faslodexの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書138504に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ラロキシフェンは例えばEli Lilly and Companyから商品名Evistaの下に市販されているか、例えば米国特許明細書4418068に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。トレミフェンは例えばSchering Corporationから商品名Farestonの下に市販されているか、例えば米国特許明細書4696949に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。抗エストロゲン剤ドロロキシフェンは例えば米国特許明細書5047431に記載の方法又は類似の方法によって製造でき、本発明に従って使用できる。
本発明で使用するのに好ましい抗アンドロゲン剤はビカルタミドであって、例えばAstra Zeneca plc から商品名Casodexの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書100172に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。本発明に従って使用するのに好ましい別なホルモン治療剤はタモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトロゾール(letrazole)、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、リュープロリド(luprolide)、メゲストロール/メゲストレルアセテート、アミノグルテチミド(別綴アミノグルテタミド(aminogluthethamide))及びフルタミドを含む。
本発明に従って使用するのに好ましい他のホルモン治療剤は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトロゾール(letrazole)、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、リュープロリド(luprolide)、メゲストロール/メゲストレルアセテート、アミノグルテチミド及びベキサロテンを含む。
好適なプロゲスチン類似体はメゲストロール/メゲストレルアセテートであって、例えばBristol−Myers Squibb Corporationから商品名Megaceの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書2891079に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。
そこで、本発明の組合せ剤で使用するためのこれら抗癌剤の特定の態様は:タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール/メゲストレル、アミノグルテチミド、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、ゴセレリン、リュープロリド、アバレリックス、フルオキシメストロン、ジエチルスチルベストロール、ケトコナゾール、フルベストラント、フルタミド、ビカルチミド、ニルタミド、シプロテロン及びブセレリンを含む。
このようにして、抗アンドロゲン剤及び抗エストロゲン剤が本発明の組合せ剤での使用を意図されている。
別な態様では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤又はホルモン調節剤はフルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲストレル及びフルタミドである。
別な態様では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤又はホルモン調節剤はフルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲストレル及びベキサロテンである。
一態様では、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤はコルチコステロイド、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤及びGNRAを含む。別な態様ではホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤は抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤及びGNRAを含む。
薬量:
この抗アンドロゲン剤又は抗エストロゲン剤は有益にはその薬剤及び処置する状態によって、約1〜100mgの投与量で投与する。タモキシフェンは有益には5〜50mg、好ましくは一日2回10〜20mg(又は一日1回20mg)経口投与し、治療効果を達成し、維持するために充分な期間継続する。
他の好適な抗エストロゲン剤に関しては:フルベストラントは有益には毎月250mg(毎月250〜750mgの用量も採用できる)注射剤の形で投与する;トレミフェンは有益には毎日1回約60mgを経口投与し、治療効果を達成し、維持するために充分な期間この処置を継続する;ドロロキシフェンは有益には一日1回約20〜100mgの投与量を経口投与し;ラロキシフェンは有益には一日1回約60mgを経口投与する。
好ましい抗アンドロゲン剤であるビカルタミドに関しては、一般に毎日50mgの経口用量を投与する。
好ましいプロゲスチン類似体であるメゲストロール/メゲストレルアセテートに関しては、一般に一日4回経口用量40mgを投与する。
上記投与量は一般に例えば処置の間に1回、2回又はそれ以上投与するが、これを例えば毎日又は7、14、21又は28日毎に、特に7、14、21又は28日毎に投与を反復してもよい。
アロマターゼ阻害剤
本発明の組合せ剤に使用するホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤で、好適なものはアロマターゼ阻害剤である。
閉経後の女性において、循環エストロゲンの主要な供給源は末梢組織におけるアロマターゼ酵素による副腎のアンドロゲン(アンドロステンジオン及びテストステロン)からエストロゲン(エストロン及びエストラジオール)への変換である。アロマターゼ阻害によるエストロゲンの欠乏又は不活化はホルモン依存性乳癌の閉経後患者に対する有効で選択的な処置である。ホルモン調節剤の例は、アロマターゼ阻害剤又は不活性化剤、例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトロゾール及びアミノグルテチミドを含む。
エキセメスタンは化学名6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンを有し、タモキシフェン療法後に進行した閉経後女性の進行乳癌の処置に使用され、副作用はほてりと悪心を含む。アナストロゾールは化学名、α,α,α',α'−テトラメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ベンゼンジアセトニトリルを有し、ホルモン受容体陽性早期乳癌を有する閉経後女性のアジュバント処置;及びホルモン受容体陽性又はホルモン受容体未知局所進行性又は転移乳癌を有する閉経後女性の第一次処置;及びタモキシフェン療法後に進行した閉経後女性の進行乳癌の処置;に使用される。通常アナストロゾールの投与は、胃腸障害、筋骨格疼痛、発疹及び頭痛を含む副作用を起す。レトロゾールは化学名4,4'−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチレン)−ジベンゾニトリルを有し、ER陽性乳癌のアジュバント治療に;ホルモン受容体陽性又はホルモン受容体未知局所進行性又は転移乳癌を有する閉経後女性の第一次処置のために;及び抗エストロゲン剤療法後に進行した閉経後女性の進行乳癌の処置のために;使用され、その可能性のある副作用は偶発的で過渡的な血小板減少症及び肝トランスアミナーゼの上昇を含む。
アミノグルテチミドは化学名3−(4−アミノフェニル)−3−エチル−2,6−ピペリジンジオンを有し、乳癌の処置に使用されるが、皮膚発疹及び時には血小板減少症及び白血球減少症の副作用がある。
好ましいアロマターゼ阻害剤はレトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン及びアミノグルテチミドを含む。レトロゾールは例えばNovartis A.G.から商品名Femaraの下に市販されており、または例えば米国特許明細書4978672に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。アナストロゾールは例えばAstraZeneca plcから商品名Arimidexの下に市販されており、または例えば米国特許明細書4935437に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。エキセメスタンは例えばPharmacia Corporationから商品名Aromasinの下に市販されており、または例えば米国特許明細書4978672に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。アミノグルテチミドは例えばNovartis A.G. から商品名Cytadrenの下に市販されており、または例えば米国特許明細書2848455に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。アロマターゼ阻害剤ボロゾールは例えば欧州特許明細書293978に記載の方法又は類似の方法によって製造でき、また本発明に従って使用できる。
好適なアロマターゼ阻害剤に関して、一般に1〜1000mgの経口1日投与量範囲で投与され、例えばレトロゾールは一日1回約2.5mgの用量で;アナストロゾールは一日1回約1mgの用量で;エキセメスタンは一日1回約25mgの用量で;及びアミノグルテチミドは一日2〜4回250mgの用量で投与される。
特に好適なものは本明細書に記載する薬剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン及びアミノグルテチミドから選択されるアロマターゼ阻害剤である。
GNRA
本発明の組合せ剤に使用するためのホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモン拮抗剤及びホルモン調節剤の中で、好適なものはGNRAクラスの薬剤である。
定義:
本明細書で用いる用語「GNRA」は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト及びアンタゴニスト(以下に記載するものを含む)を、上記の通りイオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、及びさらに好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)と共に定義することを意図する。
技術的背景:
脳の脳下垂体から放出されると、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストは脳下垂体を刺激してゴナドトロピンを産生する。ゴナドトロピンは精巣におけるアンドロゲン合成及び卵巣におけるエストロゲン合成を刺激するホルモンである。GnRHアゴニストを初めて投与すると、ゴナドトロピン放出が増加するが、投与を継続すると、GnRHはゴナドトロピン放出を遮断し、それ故アンドロゲンとエストロゲンとの合成が減少する。GnRH類似体は転移前立腺癌を処置するために使用される。これは閉経前女性における転移乳癌の処置が承認されている。GnRH 類似体の例は酢酸ゴセレリン及び酢酸リュープロリドを含む。これとは対照的に、GnRH 拮抗剤例えば、アベレリックスはアゴニスト効果を持たないので初期のGnRHの上昇を起さない。しかしながら、治療指数が狭いので、現在その使用は例えば、GnRH アゴニスト及び抗アンドロゲン剤のような他のホルモン処置に難治性の進行前立腺癌に限定されている。
酢酸ゴセレリンはLHRH又はGnRHの合成デカペプチド類似体であって、化学構造ピロ−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NHアセテートを有し、乳癌及び前立腺癌及び内膜症の処置に使用され、副作用はのぼせ、気管支炎、不整脈、高血圧、不安及び頭痛を含む。リュープロリドアセテートはGnRH又はLHRHの合成ノナペプチド類似体であり、化学名5−オキソ−L−プロリル−L−ヒスチジル−L−トリプトフィル−L−セリル−L−チロシル−D−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニル−N−エチル−L−プロリンアミドアセテートを有する。リュープロリドアセテートは前立腺癌、内膜症、及び乳癌の処置に使用され、副作用はゴセレリンアセテートのものと類似している。
アバレリックスは合成デカペプチド Ala−Phe−Ala−Ser−Tyr−Asn−Leu−Lys−Pro−Alaであって、化学名N−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−アラニル−L−セリル−N−メチル−L−チロシル−D−アスパラギニル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リシル−L−プロリル−D−アラニンアミドを有する。アバレリックスはR. W. Roeske, WO9640757 (1996 to Indiana Univ. Found.)に従って製造できる。
好適例及び特定の態様:
本発明に従って使用するのに好ましいGnRHアゴニスト及び拮抗剤は、本明細書に記載するGNRAのいずれをも含み、特にゴセレリン、リュープロリド/リューポレリン、トリプトレリン、ブセレリン、アバレリックス、酢酸ゴセレリン及び酢酸リュープロリドを含む。特に好ましいのはゴセレリン及びリュープロリドである。酢酸ゴセレリンは例えばAstraZeneca plc から商品名Zoladexの下に市販されており、または例えば米国特許明細書5510460に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。酢酸リュープロリドは例えばTAP Pharmaceuticals Inc.から商品名Lupronの下に市販されており、または例えば米国特許明細書3914412に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ゴセレリンはAstraZenecaから商品名Zoladex の下に市販されており、または例えばICI 特許公報US4100274又はHoechst 特許公報EP475184に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。リュープロリドは、米国では TAP Pharmaceuticals Inc.から商品名Lupron及び欧州ではWyeth から商品名Prostapの下に市販されており、または例えばAbbott 特許公報US4005063に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。トリプトレリンは、Watson Pharmaから商品名Trelstarの下に市販されており、または例えばTulane 特許公報US5003011に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ブセレリンは、商品名Suprefactの下に市販されており、または例えばHoechst 特許公報US 4024248に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。アバレリックスは、Praecis Pharmaceuticalsから商品名Plenaxisの下に市販されており、または例えばJiang et al., J Med Chem (2001), 44(3), 453−467又はPolypeptide Laboratories 特許公報WO2003/ 055900に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。
本発明で使用するための他のGnRHアゴニスト及び拮抗剤は、これに限定するものではないが、Ortho Pharmaceutical CorpのHistrelin、Rocheの酢酸ナファレリン、及びShire PharmaceuticalsのDeslorelinを含む。
薬量:
このGnRHアゴニスト及び拮抗剤は有益にはゴセレリンは毎月1.8〜100mg、例えば3.6mg又は3月毎に10.8mgの用量で;リュープロリドは毎月7.5mg、3ヶ月毎に22.5mg又は4ヶ月毎に30mgの用量で投与される。
好適なGnRH類似体に関しては、一般に次の用量で投与される:すなわち酢酸ゴセレリンは4週間毎に3.6mg皮下インプラントとして、及びリュープロリドは毎月7.5mg筋肉内デポー製剤として投与される。
2.サイトカイン及びサイトカイン活性化剤
定義:
用語「サイトカイン」は当技術分野の用語であって、本明細書に言及するサイトカインはサイトカインそれ自体を、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)と共に包含することを意図する。用語「サイトカイン活性化剤」は、(直接的または間接的に)内因性サイトカイン産生又はその活性を、インビボで、増強、刺激、活性化又は促進する薬剤を、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)と共に包含することを意図する。
技術的背景:
サイトカインは、主として第二の細胞の機能を制御する能力を有する免疫系の細胞により産生される、タンパク質又はポリペプチドのクラスである。抗癌治療法に関しては、サイトカインは癌細胞の増殖又は死滅を直接的に制御するために、及び腫瘍の増殖をより有効に制御する免疫系を調節するために使用する。
サイトカイン、例えば、インターフェロン(IFN)α及びインターロイキン−2は増殖休止又は腫瘍細胞死を誘導する。IFN−αは悪性黒色腫、慢性骨髄性白血病(CML)、毛様細胞白血病及びカポジ肉腫の処置に使用される。インターロイキン−2は単独で又はIFN−αとの組合せ剤として悪性黒色腫及び腎臓細胞癌の処置に使用される。
サイトカインは腫瘍と戦う免疫細胞の刺激、例えばT細胞増殖因子を含む広範な種々の機構を介して抗腫瘍活性を示す。IL−2はT細胞及びナチュラルキラー細胞(NK)の活性化を促進する。例えば、インターフェロン及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のような他のサイトカインは抗原提示細胞に作用して重要な免疫エフェクターB細胞及びT細胞の活性化を促進する。
好適例及び特定の態様:
本明細書に記載するサイトカイン及びサイトカイン調節剤は、独特なインターフェロン(例えば、インターフェロン−γ及びインターフェロンα)及びインターロイキン(例えば、インターロイキン2)を含み、いずれも本発明で利用できる。インターフェロンα−2b(組換え)はSchering Ploughから商品名INTRON(商標)Aの下に市販されている。
他の好適なインターフェロンにはインターフェロンα−2aが含まれ、Rocheから商品名ROFERONの下に市販されている。
特に好適なインターロイキンはPROLEUKIN(商標)IL−2(アルデスロイキン)であって、Chiron Corpから市販される。
薬量:
インターフェロンは特定の適応症に依存する計画による注射で投与される。悪性黒色腫のイントロンA処置のためには、好ましくは4週間当り20000000IU/mの投与量の連続5日間静脈内(iv)点滴の導入療法と、それに続く48週間にわたる毎週3回用量10,000,000IU/mの3回皮下注射(SC)の維持療法を含む計画を行う。非ホジキンリンパ腫のイントロンA処置には、好ましくは5000000IU皮下投与を毎週3回18ヶ月アントラサイクリン含有化学療法と組み合わせて行う。
CMLに対するRoferon−Aの推奨される開始用量は1日9MIUを皮下又は筋肉内に注射で投与する。臨床的経験に基づき、短期間耐容性が、Roferon−Aの用量を徐々に投与第1週の毎日3MIU3日間から、毎日6MIU3日間に増加させ、さらに目標とする1日9MIUを処置期間にわたって投与することによって改善できる。ヘアリー白血病のRoferon−A誘導用量は毎日3MIUを16〜24週間皮下又は筋肉内注射で投与する。皮下投与は、これに限定するものではないが、血小板減少症患者(血小板数<50000)又は出血の恐れがある患者には特に推奨される。推奨される維持用量は毎週3回3MIU(tiw)である。
PROLEUKINでは、転移腎臓細胞癌(転移RCC)又は転移黒色腫の成人患者を処置するためには:600,000IU/kg(0.037mg/kg)用量を8時間毎に15分間IV点滴によって、最大14回投与(この計画は5日処置サイクル2回、ただし1回分休薬)までの計画が施されている。9日間の休薬後、この計画をさらに14回、さらに耐容性があれば最大28回まで反復する。
サイトカイン活性化剤:
好適なサイトカイン活性化剤は:(a)癌治療用IFNγ誘導分子である中外製薬のPicibanil;(b)コロニー刺激因子放出を刺激してサイトカインネットワークを活性化する第一製薬のRomurtide;(c)マイトージェン刺激末梢血単球細胞によってIFN−γ及びIL−2の産生を刺激し、子宮頸腫瘍及び肺腫瘍の処置に有用である、スエヒロタケから単離されたβ1−3、β1−6−D−グリカンである科研製薬のSizofiran;(d)肉腫、黒色腫、膵臓腫瘍、乳腺腫瘍、肺臓腫瘍及びカポジ肉腫の治療に有用である、IL−17の合成及びIL−12の放出を刺激しNKアゴニスト及びサイトカイン放出調節剤であるLorus Therapeutics IncのVirulizin;(e)非小細胞肺癌、肝細胞癌、黒色腫、カルチノマ、及び肺、脳及び腎臓腫瘍の処置に有用である、Th1サイトカインの産生増加のための免疫反応強化に対する多様な生物学的活性を有する合成28アミノ酸ペプチドであるチモシン α1。
3.レチノイド及びレキシノイド
定義:
本明細書で用いる用語「レチノイド」は、本明細書に開示する特定のレチノイドのみでなく、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含むものにも使用する用語である。複数形の用語「レキシノイド」はレチノイドX受容体に特異的に結合する合成剤を示す。
技術的背景:
トレチノインはレチノールの内因性代謝物である。これはヒト骨髄細胞系統を含む数種の造血前駆体細胞系統における末端分化を誘導する。急性前骨髄球白血病(APL)は染色体15と17との間の特異的転座に関連する;レチノイン酸受容体−αは染色体17に位置する。この転座は分化を阻害し、発癌を導くと思われ;トレチノインは高用量を用いればこれを克服し得る。トレチノインはAPL患者の64〜100%で寛解をもたらし、寛解までの期間は通常処置期間8〜119日である。治療中の獲得耐性は特に長期間投与(4〜6ヶ月)では一般的である。アリトレチノインは9−シスレチノイン酸誘導体であって、レチノイド受容体のRXRサブファミリーに選択的であると思われる。この選択性は治療的抗新生物効果を維持するが、胎児暴露における先天性欠損、皮膚及び粘膜表面の刺激又は骨格異常を含むレチノイド治療の明らかな副作用は低下する。局所的アリトレチノインは米国ではカポジ肉腫の処置について承認されている。レチノイドX受容体(RXR)選択的抗腫瘍レチノイドであるベキサロテン(Targretin; LGD−1069)の経口及びゲル(局所)製剤は皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の処置のために使用できる。
US 6127382、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/19052及びWO97/19062(全てAllergan)は癌を含む過剰増殖性疾患の処置に有用なレチノイド様活性を示す化合物を記載する。
好適例及び特異的態様:
本発明に従って使用するのに好ましいレチノイドは特にトレチノイン(全トランスレチノイン酸)、アリトレチノイン及びベキサロテンを含む本明細書に開示する全てのレチノイドを含む。トレチノイン(Retacnyl、Aknoten、Tretin M)はRocheから商品名Vesanoid の下に市販されており、例えばD. A. van Dorp, J. R. Arens, Rec. Trav. Chim. 65, 338 (1946); C. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111 (1955); R. Marbet, DE 2061507; US 3746730 (1971, 1973 both to Hoffmann−La Roche)に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。アリトレチノイン(9−cis−トレチノイン、 Panrexin)はLigand Pharmaceuticalsから商品名Panretinの下に市販されており、又は例えばC. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111 (1955); M. Matsui et al., J. Vitaminol. 4, 178 (1958); M. F. Boehm et al., J. Med. Chem. 37, 408 (1994) に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。ベキサロテン(Targrexin、Targret)はEisai Incから商品名Targretinの下に市販されており、又は例えばM. F. Boehm et al., WO9321146 (1993 to Ligand Pharm.); M. L. Dawson et al., US 5466861 (1995 to SRI Int.; La Jolla Cancer Res. Found.)に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。
薬量:
トレチノインは有益には完全寛解後30日間又は最大90日間25mg/m/日〜45mg/m/日の1日2回経口用量を投与する。アリトレチノインゲル0.1%は有益には最初に1日2回皮膚KS病変に投与する。
ベキサロテンは有益には最初に1日1回の経口用量300mg/m/日を投与する。この用量は毒性のために必要ならば200mg/m/日、次に100mg/m/日にするか、又は一時的に休薬する。8週間処置して腫瘍の応答がなければ、及び300mg/m/日の初期用量が十分に耐容性であるとき、用量は注意深く監視しながら400mg/m/日に増量してもよい。ベキサロテンゲルは初期には有益には第1週は1日おきに1回投与する。投与頻度は個体の病巣耐容に応じて週間隔で1日1回まで増加し、次に1日2回に、次に3回に、最後には4回まで増加してもよい。
4.モノクローナル抗体
これに限定するものではないが、例えば、1個以上の細胞表面抗原を含むモノクローナル抗体は、本発明の組合せ剤に使用され得る。抗体の特異性は当技術分野でよく知られている広範な種々の技術を用いてアッセイ又は決定され得る。
本明細書で用いる用語「モノクローナル抗体」は如何なる起源からの抗体でもよく、それ故、完全ヒト型のもの及びまた他種に由来する構造的又は特異性決定エレメントを含むもの(例えば、キメラ抗体又はヒト化抗体と言えるもの)も含む。
技術的背景:
モノクローナル抗体の使用は高度に特異的で、疾患特異的標的に結合して疾患に影響を与えることができ、それで正常細胞に害を与えず慣例的化学療法よりも副作用が少ないので、現在では抗癌化学療法では広く受け入れられている。
種々の癌の処置に対する抗体化学療法のための標的として研究されてきた1群の細胞は腫瘍細胞では過剰発現又は異常発現されるクラスター・デジグネーション(CD)分子を含む細胞表面抗原を有し、例えば造血器由来の腫瘍細胞表面に過剰発現されるCD20、CD22、CD33及びCD52である。これらCDを標的とする抗体(抗CD抗体)は、モノクローナル抗体リツキシマブ(別称リツキサマブ)、トシツモマブ及びゲムツズマブ オゾガミシンを含む。
リツキシマブ/リツキサマブ(rituxamab)は、マウス/ヒトのキメラ抗CD20モノクローナル抗体であって、再発性、難治性、低悪性度又は濾胞性のリンパ腫を含むB細胞非ホジキンリンパ腫の処置のために広範に使用されている。この商品は慢性リンパ球性白血病及びリューマチ性関節炎を含むその他の種々の適応症についても開発中である。リツキシマブ/リツキサマブの副作用は低酸素症、肺浸潤、急性呼吸困難症候群、心筋梗塞、心室細動又は心臓発作を含む。トシツモマブは細胞特異的な抗CD20抗体であって、ヨード131で標識されており、非ホジキンリンパ腫及びリンパ球性 白血病の処置に用いられる。トシツモマブの可能性のある副作用は血小板減少症及び好中球減少症である。ゲムツズマブ−オゾガマイシンはCD33に特異的なヒトモノクローナル抗体に結合する細胞毒性薬剤(カリケアマイシン)である。カリチアマイシンは非常に強力な抗腫瘍剤であって、アドリアマイシンよりも1000倍以上強力である。細胞内に放出されるとカリチアマイシンは配列特異的な様式でDNAの副溝に結合し、転位し、遊離ラジカルを露出し、二本鎖DNAの切断を導き、細胞アポトーシス(プログラムされた細胞死)を起す。ゲムツズマブ−オゾガミシンは急性骨髄性白血病の二次選択薬として使用され、その副作用はアナフィラキシーのような重症の過敏症反応及び肝臓毒性を含む。
アレムツズマブ(別称Campath、Millennium Pharmaceuticals)はCD52に対するヒト化モノクローナル抗体であって、慢性リンパ球性白血病及び非ホジキンリンパ腫の処置に有用であって、TNF−α、IFN−γ及びIL−6の分泌を誘導する。
好適例:
本発明に従って使用される好適なモノクローナル抗体は、アレムツズマブ、CD20、CD22及びCD33を含む抗CD抗体を含む。特に好適なものは細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体であって、上記の抗CD抗体(例えば、CD20、CD22、CD33)を含む。他の好適なモノクローナル抗体にはインターロイキン6(IL−6)を標的とするものを含む。
特定の態様:
一態様では、このモノクローナル抗体はクラスター・デジグネーションCD分子、例えばCD20、CD22、CD33及びCD52に対する抗体である。別の態様では、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体はリツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブ及びゲムツズマブ−オゾガミシンから選択される。本発明に従って使用できるその他のモノクローナル抗体はベバシズマブを含む。
製剤例:
本発明に従って使用するための細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体は本明細書に記載のCD52抗体(例えば、アレムツズマブ)及びその他の抗CD抗体(例えばCD20、CD22及びCD33)を含む。好適なものは治療用組合せ剤であって、細胞表面抗原、例えば抗CD抗原(例えば、CD20、CD22及びCD33)に対するモノクローナル抗体を含み、組合せ剤の各成分が示す効果と比較して、例えば腫瘍細胞増殖に対して有益な効果を示すものである。
CD52選択性は特異的リガンドと細胞内に放出されるジフテリアトキシンとの併用によっても達成される(デニロイキンジフチトクス(denileukin difitox); Ontak)。この試みは皮膚T細胞リンパ腫における腫瘍での使用について承認されており、他のタイプの非ホジキンリンパ腫を処置するために治験中である。
これに加えて、腫瘍細胞以外の標的構造自体も癌治療に有効であることが証明されている。この手法は循環血管内皮増殖因子に指向するモノクローナル抗体ベバクジマブ(bevacuzimab)を使用する新血管形成阻害において最も有効である。この手法は広範囲の悪性腫瘍の処置に有用であり得る。
細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD抗体)の好適な例は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブ及びゲムツズマブ−オゾガマイシンを含む。リツキシマブ/リツキサマブはF Hoffman−La Roche Ltdから商品名Mabtheraの下に市販されているか、又はPCT特許明細書WO94/11026に記載の通り得ることができる。トシツモマブはGlaxoSmithKline plcから商品名Bexxarの下に市販されているか、又はU.S. Patent specification No 5595721に記載の通り得ることができる。ゲムツズマブ オゾガミシンはWyeth Researchから商品名Mylotargの下に市販されているか、又はU.S. Patent specification 5877296に記載の通り得ることができる。
生物学的活性:
モノクローナル抗体(例えば、1個以上の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体)は適切な抗癌剤として同定されている。抗体は種々の機構により効果を示す。これらは、細胞の必須な増殖因子又は受容体を妨害して、直接アポトーシスを誘導し、標的細胞に結合でき、又は例えば、放射性同位体及びトキシンのような細胞毒素ペイロードを送達できる。
薬量:
抗CD抗体は体表面積平方米当り5〜400mg(mg/m)の用量で投与できる;特にゲムツズマブ−オゾガミシンは例えば約9mg/m体表面積の用量で投与できる;リツキシマブ/リツキサマブは例えば約375mg/mの用量でIV点滴として1週間1回投与を4回投与できる;トシツモマブの投与量は個々の患者について放射性同位体が送達できるように、例えばその患者の年齢、体重、性別及び状態のような通常の臨床的パラメータに従って定量しなければならない。この投与量は処置コースあたり例えば1回、2回又はそれ以上投与でき、これは例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
5.カンプトテシン化合物
定義:
本明細書で用いる用語「カンプトテシン化合物」は、カンプトテシンそれ自体又は本明細書に記載するカンプトテシンの類似体を意味し、その上記イオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)も含む。
技術的背景:
カンプトテシン化合物は中国産樹木カンレンボクCamptotheca acuminata及びインド産樹木クサミズキNothapodytes foetidaに由来する水不溶性アルカロイドである、カンプトテシンに関連又は由来する化合物である。カンプトテシンはDNA生合成に対して強力な阻害活性を有し、種々の実験系で腫瘍細胞増殖に対して高い活性が示されている。しかし、その抗癌療法での臨床的使用は、高い毒性によって極度に限定されており、カンプトテシンの抗腫瘍効果の力価は保持するが毒性を低下させる試みから種々の類似体が開発されている。そのような類似体の例にはイリノテカン及びトポテカンを含む。
これらの化合物はDNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であることが見出された。トポイソメラーゼは真核細胞でDNAのトポロジーを変化できる酵素である。これは重要な細胞機能及び細胞増殖のために必須である。真核細胞のトポイソメラーゼは、タイプI及びタイプIIの2種類ある。トポイソメラーゼIは分子量約100000の単量体酵素である。この酵素はDNAに結合して一過性の一本鎖破壊を誘発し、二重らせんを巻き戻し(又は巻戻させ)、続いて破壊を封し、その後DNA鎖から分離する。
イリノテカン、すなわち7−エチル−10−(4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ)カルボニルオキシ−(20S)−カンプトテシン、及びその塩酸塩、別称CPT11は力価改善、毒性低下及び優れた水溶性が見出された。イリノテカンは種々の癌、特に結腸直腸癌の処置に臨床効果を有することが見出された。別な重要なカンプトテシン化合物はトポテカン、すなわち(S)−9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシンは、臨床試験では数種の固形腫瘍、特に卵巣癌及び頚部癌及び小細胞肺癌又は卵巣癌及び非小細胞肺癌に対する効果を示す。
製剤例:
カンプトテシン化合物を含む注射投与による非経腸用医薬製剤はカンプトテシン化合物の水溶性塩(例えばEP 0321122及び特にその実施例に記載の化合物)100mgを滅菌0.9%食塩水10mLに溶解し、溶液を滅菌し、溶液を適当な容器に充填することによって製造できる。
生物学的活性:
本発明組合せ剤のカンプトテシン化合物は上記DNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であり、種々の癌に活性を有する。
先行文献:
WO01/64194(Janssen)はファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤とカンプトテシン化合物との組合せ剤を開示する。EP 137145(Rhone Poulenc Rorer)はイリノテカンを含むカンプトテシン化合物を開示する。EP 321122(Smith Kline Beecham)はトポテカンを含むカンプトテシン化合物を開示する。
課題:
カンプトテシン化合物はヒトの化学療法剤として広く使用されているが、全ての患者又は全てのタイプの腫瘍に治療的に有効な訳ではない。それ故、腫瘍増殖に対するカンプトテシン化合物の阻害活性を増強する必要があり、また患者に対する不都合な毒性副作用を低減するために低用量でカンプトテシン化合物を使用する方法を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用する好適なカンプトテシン化合物は上記イリノテカン及びトポテカンを含む。イリノテカンは例えばRhone−Poulenc Rorerから商品名Camptoの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書137145 の記載の通りに又はその類似方法によって得ることができる。トポテカンは例えばSmithKline Beechamから商品名Hycamtinの下に市販されており、又は例えばEuropean patent number 321122に記載の方法又はその類似方法によって得ることができる。他のカンプトテシン化合物は常法、例えばイリノテカン及びトポテカンについて記載したものと類似の方法によって製造できる。
特定の態様:
一態様では、カンプトテシン化合物はイリノテカンである。別な態様では、カンプトテシン化合物はイリノテカン以外のカンプトテシン化合物、例えばトポテカンのようなカンプトテシン化合物である。
薬量:
カンプトテシン化合物は有益には治療の過程で体表面積平方米当り0.1〜400mg(mg/m)の用量、例えば1〜300mg(mg/m)、特にイリノテカンでは約100〜350mg(mg/m)用量;及びトポテカンでは約1〜2mg(mg/m)用量を投与する。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは7日、14日、21日又は28日毎に、特に7日、14日、21日又は28日毎に毎日投与してもよい。
6.代謝拮抗剤
定義:
用語「抗代謝化合物」及び「代謝拮抗剤」は同義語として使用され、本明細書に記載する抗代謝化合物又は抗代謝化合物の類似体を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)も含む。故に、本明細書で言及する抗代謝化合物、別称代謝拮抗剤は癌細胞の生理学と増殖に必須な代謝過程を阻害する抗癌剤の大きな群を構成する。この化合物はヌクレオシド誘導体、DNA合成を阻害するピリミジン又はプリンヌクレオシド類似体、及びチミジレートシンターゼ及び/又はジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤を含む。
技術的背景:
代謝拮抗剤(又は抗代謝化合物)は癌細胞の生理学と増殖に必須な代謝過程を阻害する抗癌剤の大きな群を構成する。この化合物はヌクレオシド誘導体、DNA合成を阻害するピリミジン又はプリンヌクレオシド類似体及びチミジレートシンターゼ及び/又はジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤を含む。抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は種々の癌の処置に多年にわたって使用されてきた。この誘導体の中で最も古く、最も広く使用されているものは5−フルオロウラシル(5−FU)であって、例えば、結腸直腸、乳腺、肝臓及び頭頚部の腫瘍などの多数の癌を処理するために使用されてきた。
5−FUの細胞毒性効果を強化するために、ロイコボリンを用いて得られるチミジレートシンターゼ/5−FU複合体を安定化してその阻害を強化する。しかし、例えば腫瘍の耐性、胃腸及び血液学的効果を含む毒性、及び血管内投与の必要性など種々の因子が5−FUの使用を制限している。この欠陥を克服するために、全身的毒性の低下又は腫瘍に到達する活性薬剤量の増加によって5−FUの低い生物学的利用能を克服するため、及び5−FUの治療係数を増強するための提案を含む種々の手法が採用されている。
5−FUを超える改善された治療的利点を提供するそのような化合物の一つはカペシタビンであって化学名[1−(5−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−4−ピリミジニル]−カルバミン酸ペンチルエステルを有する。カペシタビンは5−FUのプロドラッグであり、経口投与で良好に吸収され、腫瘍に薬理学的に活性な濃度の5−FUを腫瘍に送達する。5−FUを超える優れた活性を提供する可能性と同様に、これはまた長期投与の経口治療に使用できる。
ゲムシタビンはヌクレオシド類似体であり、化学名2'−デオキシ−2',2'−ジフルオロシチジンを有し、非小細胞性肺癌、乳癌、卵巣癌及び膵臓癌、特に非小細胞肺癌及び膵臓癌を含む種々の癌の処置に使用されている。さらに抗腫瘍ヌクレオシドはシタラビン及びフルダラビンを含む。シタラビン別称ara−Cは化学名1−β−D−アラビノフラノシルシトシンを有し、急性白血病、慢性骨髄性白血病及び赤血白血病の処置に有用性が見出されている。フルダラビンはDNA合成阻害剤であって、化学名9−β−D−アラビノフラノシル−2−フルオロアデニンを有し、難治性B細胞慢性リンパ球性白血病の処置に使用されている。抗癌化学療法に使用される他の抗葉酸代謝拮抗剤は酵素阻害剤ラルチトレキセド、ペメトレキセド及びメトトレキサートを含む。ラルチトレキセドは葉酸に基づくチミジレートシンターゼ阻害剤であって、化学名N−[5−[N−[(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)−メチル−N−メチルアミノ]−2−テオニル]−L−グルタミン酸を有し、進行結腸直腸癌の処置に使用される。ペメトレキセドはチミジレートシンターゼ及びトランスフェラーゼの阻害剤であって、化学名N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸二ナトリウム塩を有し、中皮腫及び以前から処置されている患者の局所的な進行又は転移非小細胞肺癌(SCLC)の処置に使用されている。メトトレキサートはジヒドロフォレート還元酵素の阻害によってDNA複製を阻害して細胞分裂を阻害して細胞死を起す代謝拮抗剤であって化学名N−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]−エチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸を有し、急性リンパ球性白血病、及び乳癌、頭頚部の類表皮腫及び肺癌、特にその扁平細胞及び小細胞型、及び進行段階の非ホジキンリンパ腫、特に乳癌、頭頚部の類表皮癌、及び進行段階の非ホジキンリンパ腫の処置に使用される。
生物学的活性:
本発明の組合せ剤の抗代謝化合物は上記癌細胞の生理学と増殖に必須な代謝経路を阻害し、種々の癌に対する活性を有する。
課題:
この抗癌剤は特に骨髄抑制及び時には悪心及び下痢など多数の副作用を有する。それ故、患者への不都合な副作用の可能性を低下させるために低い用量を使用する手段を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましい抗代謝化合物は、本明細書に記載する抗腫瘍ヌクレオシド例えば、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン及びフルダラビンのようなもの及び酵素阻害剤例えば、ラリトレキセド、ペメトレキセド及びメトトレキサートを含む。そこで、本発明に従って使用するのに好ましい抗代謝化合物は本明細書に参照する5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン及びフルダラビンを含む抗腫瘍ヌクレオシド誘導体である。本発明に従って使用するのに好ましい他の抗代謝化合物は、ラリトレキセド、ペメトレキセド及びメトトレキサートを含む酵素阻害剤である。
5−フルオロウラシルは広範に市販されており、又は例えば米国特許明細書2802005に記載のようにして製造できる。ゲムシタビンは例えばEli Lilly and Companyから商品名Gemzarの下に市販されており、又は例えばEuropean patent specification No.122707に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。カペシタビンは例えばHoffman−La Roche Incから商品名Xelodaの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書698611に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。シタラビンは例えばPharmacia and Upjohn Co. から商品名Cytosarの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書3116282に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。フルダラビンは例えばSchering AGから商品名Fludaraの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4357324に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。ラリトレキセドは例えばAstraZeneca plcから商品名Tomudexの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書239632に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。ペメトレキセドは例えばEli Lilly and Companyから商品名Alimtaの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書432677に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。メトトレキサートは例えばLederle Laboraoriesから商品名Methotrexate−Lederleの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書2512572に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。本発明の組合せ剤に使用するための他の代謝拮抗剤は6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、2'−デオキシコホルマイシン及びヒドロキシ尿素を含む。
特定の態様:
一態様では、抗代謝化合物はゲムシタビンである。他の一態様では、抗代謝化合物5−フルオロウラシル又はフルダラビン以外の抗代謝化合物は、例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレキセド、ペメトレキセド又はメトトレキサートのような抗代謝化合物である。
薬量:
この抗代謝化合物は上記因子に依存する用量で投与されよう。特に好適な代謝拮抗剤の用量の例を以下に示す。抗腫瘍ヌクレオシドに関しては治療の過程で体表面積平方米当り1日投与量10〜2500mg(mg/m)、例えば700〜1500mg/m、特に5−FUでは用量200〜500mg/m、ゲムシタビンでは用量800〜1200mg/m、カペシタビンでは用量1000〜1200mg/m、シタラビンでは用量100〜200mg/m及びフルダラビンでは用量10〜50mg/mを投与するのが有利である。
次の酵素阻害剤について可能な用量を例示する。そこで、ラルチトレキセドは約3mg/mの用量で;ペメトレキセドは500mg/mの用量で;及びメトトレキサートは30〜40mg/mの用量で;投与できる。
上記投与量は、一般に治療の過程毎に例えば1回、2回又はそれ以上投与してもよく、これを例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
7.ビンカアルカロイド
定義:
本明細書で用いる用語「ビンカアルカロイド」は、ビンカアルカロイド化合物又はビンカアルカロイド化合物の本明細書に記載する類似体であって、その上記のようなイオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
本発明の組合せ剤に使用するためのビンカアルカロイドは抗腫瘍ビンカアルカロイドであって、ニチニチソウ(Vinca rosea)抽出物に関連又は由来する。この化合物群には、ビンブラスチン及びビンクリスチンは白血病、リンパ腫及び精巣癌処置に重要な臨床薬剤であり、ビノレルビンは肺癌及び乳癌に対する活性を有する。
生物学的活性:
本発明組合せ剤のビンカアルカロイド化合物はチューブリンを標的とする薬剤であって種々の癌に対して活性を示す。
課題:
ビンカアルカロイドを用いる処置には明確な毒性がある。例えば、ビンブラスチン白血球欠乏症を起し、投与後7日〜10日で最低となり、その後7日で回復するが、一方ビンクリスチンは、例えば四肢の麻痺及び震え、深部腱反射の喪失及び四肢遠位筋肉組織の衰弱などいくつかの神経学的毒性を示す。ビノレルビンは顆粒球減少症の形で毒性を示すが、他のビンカアルカロイドよりも穏やかな紡錘細胞減少症及び少ない神経毒性を示す。それ故、腫瘍増殖に対する抗腫瘍ビンカアルカロイドの阻害効果を増強し、さらに低い用量で抗腫瘍ビンカアルカロイドを使用して患者の不都合な毒性副作用の可能性を低減する方法を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましい抗腫瘍ビンカアルカロイドはビンデシン、ビンベシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンを含む。本発明に従って使用するための特に好適な抗腫瘍ビンカアルカロイドは、上記ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン含む。ビンブラスチンは例えば注射用硫酸塩としてEli Lilly and Coから商品名Velbanの下に市販されているか、例えば独特許明細書2124023 に記載の方法又は類似の方法で製造できる。ビンクリスチンは例えば注射用硫酸塩としてEli Lilly and Coから商品名Oncovinの下に市販されているか、例えば上記独特許明細書2124023 に記載の方法又は類似方法によって製造できる。ビンクリスチンは商品名Onco−TCS(商標)でリポソーム製剤の下に市販されている。ビノレルビンは例えば注射用酒石酸塩としてGlaxo Wellcomeから商品名Navelbineの下に市販されているか、例えば米国特許明細書4307100に記載の方法又は類似方法によって製造できる。他の抗腫瘍ビンカアルカロイドは、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンについて記載した方法に類似の方法など、常法によって製造できる。
他の好適なビンカアルカロイドはビンデシンである。ビンデシンはニチニチソウ属アルカロイド、ビンブラスチン二量体の合成誘導体であって、Lilly から商品名Eldisine として及び塩野義製薬から商品名Fildesinの下に市販されている。ビンデシン合成の詳細はLilly patent DE 2415980 (1974)及びC. J. Burnett et al., J. Med. Chem. 21, 88 (1978) に記載されている。
特定の態様:
一つの態様では、ビンカアルカロイド化合物はビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンから選択される。他の態様では、ビンカアルカロイド化合物はビンブラスチンである。
薬量:
この抗腫瘍ビンカアルカロイドは有益には治療の過程で体表面積平方米当り2〜30mg(mg/m)用量、特にビンブラスチンでは約3〜12mg/mの投与量、ビンクリスチンでは約1〜2mg/mの投与量、及びビノレルビンでは用量約10〜30mg/mの投与量を投与する。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは1日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
8.タキサン(タキソイド)
定義:
本明細書で用いる用語「タキサン化合物」はタキサン化合物又はタキサン化合物の本明細書に記載する類似体を示し、上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含むものを意味する。
技術的背景:
タキサン類はタキサン環系を有し、樹木イチイの1種(Taxus)から抽出するか、それから誘導するか、関連する一群の化合物である。この化合物は腫瘍細胞増殖に対する活性が見出されており、この群のある化合物は種々の癌の処置に臨床的に使用されている。例えば、パクリタキセルはイチイTaxus brevifoliaの樹皮から分離したジテルペンであって、イチイの針葉及び小枝から得られる前駆体10−アセチルバクチンからの部分合成によって又は全合成によって製造できる、Holton et al, J Am Chem Soc 116; 1597−1601 (1994)及びNicholau et al, Nature 367: 630 (1994) 参照。パクリタキセルは抗新生物活性が見出されており、最近その抗腫瘍活性が微小管重合の促進にあることが樹立されたKumar NJ., Biol. Chem. 256: 1035−1041 (1981); Rowinsky et al, J. Natl. Cancer Inst. 82: 1247−1259 (1990); and Schiff et al, Nature 277: 655−667 (1979) 。パクリタキセルは今では数種のヒト腫瘍を臨床試験中である。McGuire et al, Ann. Int. Med., 111: 273−279 (1989); Holmes et al, J. Natl. Cancer Inst. 83: 1797−1805 (1991); Kohn et al J. Natl. Cancer Inst. 86: 18−24 (1994); and Kohn et al, American Society for Clinical Oncology, 12 (1993)。パクリタキセルは卵巣、乳腺及び肺の癌の処置に使用されており、特に例えば卵巣癌及び乳癌の処置に有用である。
最近アルブミンと複合体化されたパクリタキセル 複合体のナノモル製剤がパクリタキセル単独と比較して少なくとも同程度に有効で、骨髄抑制が少ないことが証明された(APP;アブラキサン)。パクリタキセルとグルタミン酸との結合体も開発中である。
臨床的に使用される他のタキサン化合物はドセタキセルであって、進行乳癌の処置に独特な効果を示す。ドセタキセルはパクリタキセルよりも賦形剤系に良好な溶解性を示し、それ故に操作しやすく、医薬組成物とて利用しやすい。
生物学的活性:
本発明組合せ剤のタキサン化合物はチューブリンを標的とする薬剤であって、種々の癌に対して活性を示す。
課題:
タキサンの臨床的使用は治療指数が狭く、多くの患者は服用に随伴する副作用に耐容できない。それ故、腫瘍増殖に対するタキサン化合物の阻害効果を増加させ;患者に有害な毒性副作用の可能性を低下させるタキサン化合物を低用量で使用する方法を提供する必要がある。水溶性の高いタキサン類の開発も好ましい。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましいタキサン化合物は本明細書に記載のパクリタキセル−アブラキサン又はドセタキセルを含む。パクリタキセルは例えば商品名タキソールとしてBristol Myers Squibbから市販され、ドセタキセルは商品名タキソテールとしてSanofi−Aventis (以前の Rhone−Poulenc Rorer)から市販される。両化合物及びその他のタキサン化合物は常法、例えばEP 253738、 EP 253739およびWO92/09589 に記載の方法又はそれに類似の方法で製造できる。
特定の態様:
一つの態様では、このタキサン化合物はパクリタキセルである。他の態様では、タキサン化合物はドセタキセルである。
薬量:
タキサン化合物は有益には治療の過程で体表面積平方米当り50〜400mg(mg/m)用量、例えば75〜250mg/m、特にパクリタキセルは約175〜250mg/mの投与量で及びドセタキセルは約75〜150mg/mの投与量で投与する。この用量は治療の過程で例えば1回、2回又はそれ以上投与し、特に7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
9.エポチロン
定義:
本明細書で用いる用語「エポチロン」は一群の細胞毒性マクロライドであって、パクリタキセルと類似な作用機構を有し、前臨床モデルではタキサン耐性環境で有益な可能性があるものを定義するために使用する。エポチロン類:イクサベピロン、パツピロン、BMS−310705、KOS−862及びZK−EPOは癌の処理について初期臨床試験中である。エポチロンの第I相試験では用量限定的な毒性は一般的神経毒性及び好中球減少症であるが、パツピロンの初期研究では下痢が用量限定的である。イクサベピロンが起す神経障害はスケジュール依存性であり得る。タキサン難治性転移乳癌における反応率は相対的に穏当であるが、イクサベピロン及びパツピロンはホルモン難治性転移前立腺癌及びタキサン難治性卵巣癌では有望な効果を示した。
技術的背景:
エポチロンA及びBは、最初ミクソバクテリアSorangium cellulosumの抗カビ性発酵産物として分離された。その直後、この薬剤が微小管を安定化して有糸分裂停止を誘導することが判明した。エポチロンの細胞毒性の活性はタキサンの機構と同じ機構に依存するが、エポチロンにはいくつかの重要な利点がある。第一に、多剤耐性ポンプP−グリコタンパク質の基質ではない。第二に、製造が容易で(細菌起源なので)操作しやすい。この化合物及びその類似体の化学合成は全合成も部分合成も効果を強化する修飾を可能にするMani et al. Anticancer Drugs 2004; 15(6): 553-8。数種のエポチロン又はエポチロン誘導体は細胞系列及び腫瘍移植に効果を示し、現在臨床試験中である(Goodin et al. J Clin Oncol 2004; 22 (10): 2015−25)。予想外の微小管安定剤が海洋生物で同定された。ラウリマライド及びイソラウリマライドは海綿Cacospongia mycoijiensisの天然物であって、P−gp発現細胞系統に対してさえ強いパクリタキセル様活性を示す。両点で類似のエルテロビンはソフトサンゴEleutherobia speciesの産物である
生物学的活性:
微小管の形成はヒトの細胞に存在するα−チューブリン及びβ−チューブリン双方のアイソフォームを有するヘテロ二量体α/β−チューブリンサブユニットの重合を含む。無傷のチューブリン機能は有糸分裂紡錘体の形成と機能に必要であり、チューブリンサブユニット又は重合した微小管のどちらかに結合する薬剤で処理した細胞は紡錘体形成が変化し、ならびに細胞周期のG2/M期で停止して、これがアポトーシス誘導に関連する。微小管を標的とする化合物は強力な細胞毒性薬剤であって、種々の植物及び海洋生物種による微小管標的化合物の近似の進化によって例示される。エポチロン3種、エポチロンB、アザ−エポチロンB、及びデオキシエポチロンBに関する現行臨床開発の研究発表によればこれらの化合物は細胞培養レベル及び異種移植片ではスペクトルの広い抗腫瘍活性を示す。さらに、培養細胞研究ではエポチロンは一般にパクリタキセルよりも細胞毒性が強く、種々の腫瘍細胞系統ではIC50値はナノモル以下又は低ナノモルの範囲内である(Bollag et al. Cancer Res 55:2325−2333, 1995; Lee et al. Clin Cancer Res 7: 1429−1437, 2001; Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A, 95: 9642−9647, 1998; Newman et al. Cancer Chemother Pharmacol 48: 319−326, 2001)。前臨床試験はエポチロンとタキサンとの間の薬剤耐性機構に重要な差違を証明した。特に、P−グリコタンパク質の過剰発現は培養細胞モデルではエポチロンB、アザエポチロン B及びデオキシエポチロンの細胞毒性にはほとんど影響しない。P−グリコタンパク質過剰発現細胞系統におけるエポチロンB、アザエポチロン B及びデオキシエポチロンBの細胞毒性効果の比較は、P−グリコタンパク質発現によってデオキシエポチロンBが最も影響が少なく、一方アザエポチロン Bは最も影響を受けることを示唆する。しかし、P−グリコタンパク質過剰発現細胞系統におけるこれら化合物のIC50の間の差違はこの細胞系統におけるパクリタキセルのIC50と比較して小さいことに注目すべきである。タキサンに対する臨床的耐性におけるP−グリコタンパク質発現の意義は不明確だが、この結果は高レベルのP−グリコタンパク質発現によって特徴付けられる悪性腫瘍患者ではエポチロンがタキサンよりも活性であろうことを示唆する。種々の計画を用いるインビボ研究は、エポチロンがパクリタキセルに感受性及び耐性の腫瘍モデルに活性であることを示す。断続的な毎日又は毎週投与レジメンでマウスに静脈内投与する時には、アザエポチロンBは卵巣、結腸、及び乳腺異種移植に高度に活性であり、パクリタキセル耐性の卵巣異種移植モデル(Pat−7)では治癒を誘導した。パクリタキセルとは異なり、アザエポチロンBは前臨床モデルで経口投与でも活性であることは注目に値する。この現象はパクリタキセルでは低い吸収を示すが、エポチロンは示さない腸粘膜におけるP−グリコタンパク質の発現に関連するようである。
課題:エポチロンについて感覚ニューロパシー及び骨髄抑制が報告されている。
好適例:
現存する構造−活性データはエポチロンと微小管との間の相互作用に洞察を提供する。数グループの結果は、C12−13エポキシド近辺での修飾が微小管安定化活性に影響を与えることを示す(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti−Canc Agents 2: 123−148, 2002)。例えば、メチル基をエポチロンAのC12位に付加してエポチロンBを得るが、これがインビトロでチューブリン重合化についてエポチロンA又はパクリタキセルの約2倍強力である(Kowalski et al. J Biol Chem 272: 2534−2541, 1997; Nicolaou et al. Nature 387: 268−272, 1997, abstr 428)。これに加えて、デオキシエポチロン B(別称エポチロンD又はKOS−862)にはこのC12−13のエポキシドがないが、インビトロではエポチロンA又はBよりも強力な微小管安定化剤であるからC12−13のエポキシドが微小管結合には必要でないことは明らかである。エポチロンの他の領域の修飾による効果に関するデータは少ない。C9−C12領域の改変による微小管結合改善の試み(分子モデリングに基づく)にも関らず、この領域の改変は細胞毒性の活性喪失を招く。これに反して、エポチロンBのラクトン酸素をラクタムで置き換えてラクタムにしても(アザエポチロンB、別称BMS−247550)、微小管重合活性又は細胞毒性を低減しない。他のさまざまなエポチロン 類似体が合成されているが、微小管安定化活性の増加が必ずしも細胞毒性の増加を起さないことは注目に値する、これはおそらく、例えば、細胞の蓄積及び代謝安定化のような他の因子の重要性のためであろう(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti−Canc Agents 2: 123−148, 2002)。事実、デオキシエポチロン BのC12位にあるメチル基のプロパノール基による置換は白血病細胞系統CCRF−CEM に対してデスオキシエポチロンBと同程度の活性を有するが、P−グリコタンパク質過剰発現サブラインに対して明らかに活性が低い化合物を与える(デスオキシエポチロンBの17nmol/Lに対してプロパノール誘導体の167nmol/LのIC50)(Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A 95:9642−9647, 1998)。天然起源エポチロンの更なる修飾が、例えば、エポチロンBのC−21−置換誘導体であるBMS−310705のような、溶解度を改善するために行われている(Lee et al. Proc Am Assoc Cancer Res 43: a3928, 2002)。
特定の態様:一態様では、このエポチロン化合物はBMS−247550である。他の態様ではエポチロン化合物はデオキシエポチロンであり、他の態様ではエポチロン化合物はBMS−310705である。
薬量:
BMS−247550は21日毎に40mg/mを3時間にわたり、又は3週間に5日間毎日6mg/mを1時間にわたり投与する。3週毎の計画の一投与量について最初の試験の患者18名における粘膜炎と好中球減少症の頻度のために投与量を32mg/mに減らした。EPO906は1回に毎週2.5mg/mを3週間とそれに続く1週間休薬及び3週間毎に1回6mg/mを投与する。KOS−862の計画は3週毎に1回投与;3週毎に1日投与量3回投与;3週間毎に固定用量;及び3週間週毎に投与、1週休薬;である。
10.白金化合物
定義:
本明細書で用いる用語「白金化合物」は白金配位化合物、イオンの形の白金を提供する化合物及び本明細書に記載する白金化合物の類似体を含む腫瘍細胞増殖阻害性白金化合物のいずれかを示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)も含む。
技術的背景:
癌の処置においてシスプラチン(cis−ジアミノジクロロ白金(II))は、悪性腫瘍、例えば精巣癌、卵巣癌及び頭頚部癌、膀胱癌、食道癌及び肺癌など種々のヒトの固形腫瘍の処置に多年にわたって成功裏に使用されている。
最近、他のジアミノ白金複合体、例えばカルボプラチン(ジアミノ(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II))などがヒトの固形悪性腫瘍の処置における化学療法剤としての効果が証明され、カルボプラチンは卵巣癌及び小細胞肺癌、特に卵巣癌の処置のために承認されている。他の抗腫瘍白金化合物はオキサリプラチン(L−OHP)、第三世代ジアミノシクロヘキサン白金による細胞毒性薬であって、化学名(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II)を有する。オキサリプラチンは、シスプラチンと比較して腎毒性がなく、前臨床モデルでの高い効果に基づいて例えば転移結腸直腸癌の処置に使用されている。オキサリプラチンは5−FUとの組合せ剤として転移結腸直腸癌の処置に使用され、上部胃腸癌の処置が治験中である。経口投与用白金誘導体は前立腺癌の処置について試験中である。
生物学的活性:
本発明組合せ剤の白金化合物は種々の癌に対する活性を有する。
課題:
シスプラチン及びその他の白金化合物はヒトで化学療法剤として広く使用されているが、全ての患者で全ての型の腫瘍に対して治療的に有効ではない。さらに、この化合物は例えば、腎障害、骨髄抑制及び神経障害など毒性が出るほど高用量で投与する必要がある。また、特にシスプラチン化合物は悪心、患者で種々の程度の嘔吐ならびに白血球減少症、貧血及び血小板減少症などを起す。それ故、効果の増強と不都合な毒性副作用を起す可能性を低下させるために低用量で使用する方法を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましい白金化合物はシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンを含む。他の白金化合物は、クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II); オンナプラチン;及びテトラプラチンを含む。シスプラチンは例えば Bristol−Myers Squibb Corporationから水、滅菌食塩水又は他の適当な基剤と調合する粉末として商品名Platinolで市販される。シスプラチンは例えばG. B. Kauffman and D. O. Cowan, Inorg. Synth. 7, 239 (1963)に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。カルボプラチンは例えばBristol−Myers Squibb Corporationから商品名Paraplatinの下に市販されており、又は例えば 米国特許明細書4140707に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。オキサリプラチンは例えばSanofi−Synthelabo Incから商品名Eloxatinの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4169846に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。他の白金化合物及びその医薬組成物は市販されるか、及び/又は常用技術で製造できる。
特定の態様:
一態様では、白金化合物はクロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタラト)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンから選択される。他の態様では、この白金化合物はシスプラチン以外の白金化合物、例えば白金化合物:クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、 カルボプラチン又はオキサリプラチンであり、好ましくはカルボプラチン及びオキサリプラチンから選択される。
薬量:
白金配位化合物は有益には体表面積平方米当り1〜500mg(mg/m)、例えば50〜400mg/m又は500mg/m(例えば、50〜400mg/m )の用量、特に、シスプラチンでは約75mg/mの投与量、カルボプラチンでは約300〜500mg/m、例えば、300mg/mの投与量、及びオキサリプラチンでは約50〜100mg/mの投与量で投与される。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上投与でき、これは例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復できる。
11.トポイソメラーゼ2阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「トポイソメラーゼ2阻害剤」はトポイソメラーゼ2阻害剤又は本明細書に記載するトポイソメラーゼ2阻害剤の類似体を示し、上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
抗癌剤の重要なクラスの一つはトポイソメラーゼ2酵素の阻害剤であって、DNAの二本鎖を切断して転写及び翻訳中の緊張蓄積を開放する。そこでこの酵素の機能を阻害する化合物は細胞毒性を示し、抗癌剤として有用である。
開発されて癌化学療法に使用されているトポイソメラーゼ2阻害剤の中には、ポドフィロトキシンがある。この薬剤はDNAトポイソメラーゼ2との相互作用又は遊離ラジカルの形成によるDNA鎖切断の誘発を含む作用機構によって作用する。植物マンダラゲから抽出されたポドフィロトキシンを親化合物として2種の配糖体が開発され、いずれも小児科白血病、肺小細胞癌、精巣腫瘍、ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫を含む数種のヒト新生物に明白な治療活性を示す。ポドフィロトキシンは小児科白血病、肺小細胞癌腫、精巣腫瘍、ホジキン病及び大細胞リンパ腫に効果を示す。この両誘導体はエトポシド(VP−16)であって化学名4'−デメチルエピポドフィロトキシン・9−[4,6−O−(R)エチリデン−β−D−グルコピラノシド]を有し;及びテニポシド(VM−26)であって化学名4'−デメチルエピポドフィロトキシン・9−[4,6−O−(R)−2−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]を有する。
しかし、エトポシド及びテニポシドは、両方とも有害な副作用、特に骨髄抑制がある。別の重要なクラスのトポイソメラーゼ2阻害剤にはアントラサイクリン誘導体があり、これは重要な抗腫瘍剤であって、放線菌Streptomyces peuticus var. caesiusから得られた抗生物質及びその誘導体であって、テトラサイクリン環構造とグリコシド結合で付着する独特な糖ダウノサミンによって特徴付けられる。この化合物の中には、最も汎用されている化学名7−((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソヘキソシルオキシ)−9−アセチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−4−メトキシ−5,12−ナフタセンキノンを有するダウノルビシン;化学名10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンを有するドキソルビシン;及び化学名9−アセチル−[((3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオンを有するイダルビシン(Zavedos(商標))がある。
ダウノルビシンとイダルビシンは、主に急性白血病の処置に使用されており、一方ドキソルビシンは、固形腫瘍、特に乳癌に対してさらに広く試験されている。有用な抗癌化学療法剤である他のアントラサイクリン誘導体はエピルビシンである。エピルビシンは化学名(8S−cis)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−アラビノヘキソシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンを有し、ドキソルビシン類似体であり、肝臓のウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼによるグルクロニド化を含む代謝経路を持ち(ドキソルビシンの場合と違って)、これが短い半減期と低い心臓毒性の原因であると信じられている。この化合物は頚部癌、内膜癌、進行乳癌及び膀胱癌を含む種々の癌の処置に使用されているが、骨髄抑制及び心臓毒性の副作用がある。後者の副作用はアントラサイクリン誘導体に特有であって、一般に高蓄積用量では重症の心筋症を示す。別な型のトポイソメラーゼ2阻害剤の代表はミトキサントロンであり、化学名1,4−ジヒドロキシ−5,8−ビス[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル]アミノ]−9,10−アントラセンジオンを有し、多発性硬化症、非ホジキンンリンパ腫、急性骨髄性白血病、及び乳腺腫瘍、前立腺腫瘍及び肝腫瘍の処置に使用されている。その他にロソキサントロンとアクチノマイシンD(別称Dアクチノマイシン・Cosmegen Lyovac(商標))とがある。
ミトキサントロン投与の副作用には骨髄抑制、悪心、嘔吐、口内炎及び脱毛症がある。
生物学的活性:
本発明組合せ剤のトポイソメラーゼ2阻害剤は上記のような種々の癌に対して活性を示す。
課題:
このクラスの細胞毒性化合物は上記のような副作用を示す。そこで患者の不都合な毒性副作用の可能性を低下させるために低用量を使用するための手段を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましいトポイソメラーゼ2阻害剤化合物は、本明細書に記載するアントラサイクリン誘導体、ミトキサントロン及びポドフィロトキシン誘導体を含む。
本発明に従って使用するのに好ましい抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は上記ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン及びエピルビシンを含む。ダウノルビシンは塩酸塩として例えばBedford Laboratoriesから商品名Cerubidineの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4020270に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ダウノルビシンの治療係数は、急性骨髄性白血病ではこの分子をリポソームにカプセル化すると改善される(Daunoxome; Gilead/Diatos)。ドキソルビシンは例えばPharmacia and Upjohn Coから商品名Adriamycinの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書3803124に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ドキソルビシン誘導体はペグリル化ドキソルビシン塩酸塩とリポソームにカプセル化したクエン酸ドキソルビシンサイトレートとを含む。ペグドキソルビシン塩酸塩はSchering−Plough Pharmaceuticalsから商品名Caeylxの下に市販されており;非ベグリル化リポソームカプセル化クエン酸ドキソルビシンは例えばCephalon Europeから商品名Myocetの下に市販されている。イダルビシンは塩酸塩として例えばPharmacia & Upjohnから商品名Idamycinの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4046878に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。エピルビシンは例えばPharmacia and Upjohn Coから商品名Pharmorubicinの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4058519に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。ミトキサントロンは例えばOSI Pharmaceuticalsから商品名Novantroneの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4197249に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。
他の抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は常法、例えば特定のアントラサイクリン誘導体について上記したものと類似の方法によって製造できる。
本発明に従って使用するのに好ましい抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は上記エトポシド及びテニポシドを含む。エトポシドは例えばBristol−Myers Squibb Coから商品名VePesidの下に市販されており、又は例えばEuropean patent specification No111058に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。テニポシドは例えばBristol−Myers Squibb Coから商品名Vumonの下に市販されており、又は例えばPCT特許明細書WO93/02094に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。他の抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は常法、例えばエトポシドとテニポシドとについて記載した方法と類似の方法によって製造できる。
特定の態様:
一つの態様では、トポイソメラーゼ2阻害剤はアントラサイクリン誘導体、ミトキサントロン又はポドフィロトキシン誘導体である。他の態様では、トポイソメラーゼ2阻害剤はダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン及びエピルビシンから選択される。さらに別な態様では、トポイソメラーゼ2阻害剤はエトポシド及びテニポシドから選択される。そこで、好適な態様では、トポイソメラーゼ2阻害剤はエトポシドである。他の態様では、トポイソメラーゼ2阻害剤はドキソルビシン以外のアントラサイクリン誘導体、例えばトポイソメラーゼ2阻害剤、例えば、ダウノルビシン、イダルビシン及びエピルビシンである。
薬量:
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有益には体表面積平方米当り10〜150mg(mg/m)の投与量、例えば15〜60mg/mの投与量、特にドキソルビシンでは約40〜75mg/mの投与量、ダウノルビシンでは約25〜45mg/mの投与量、イダルビシンでは約10〜15mg/mの投与量及びエピルビシンでは約100〜120mg/mの投与量を投与する。
ミトキサントロンは有益には21日毎に約12〜14mg/mの投与量を短時間静脈内点滴として投与する。
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は有益には体表面積平方米当り30〜300mg/mの投与量、例えば50〜250mg/mの投与量、特にエトポシドでは約35〜100mg/mの投与量、及びテニポシドでは約50〜250mg/mの投与量を投与する。
上記投与量は一般に処置過程中、例えば1回、2回又はそれ以上投与でき、これは例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復できる。
12.アルキル化剤
定義:
本明細書で用いる用語「アルキル化剤」は、アルキル化剤又は本明細書に記載するアルキル化剤の類似体を示し、上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
癌化学療法に使用されるアルキル化剤は広い範囲の化学物質を包括するが、生理学的条件下に生物学的に必要なDNAのような巨大分子にアルキル基を付与する能力を有するという共通の特徴がある。例えば、窒素マスタード及びニトロソウレアのような重要な薬剤の殆どでは、活性アルキル化部分構造は複雑な分解反応の後にインビボで作製され、その反応のいくつかは酵素反応である。アルキル化剤の最も重要な薬理学的作用は細胞増殖に関連する基本的機構、特にDNA合成及び細胞分裂を阻害するものである。急速に増殖しつつある組織のDNA機能の完全性を阻害するアルキル化剤の能力はその治療的適用及び多数の毒性の根拠を提供する。それ故、アルキル化剤は一つのクラスとして抗腫瘍活性について研究され、これら化合物のいくつかは抗癌療法に広く使用されているが、骨髄に及び程度は低いが腸粘膜に、用量限定的毒性を起す共通の傾向がある。
アルキル化剤の中で、窒素マスタードはビス−(2−クロロエチル)基の存在で特徴付けられる抗腫瘍化合物の重要な一群を代表し、これにはシクロホスファミド、化学名2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサアザホスホリンオキシド及びクロランブシル、化学名4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−ベンゼンブト酸を含む。シクロホスファミドはスペクトルの広い臨床的活性を示し、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、バーキットリンパ腫及び乳癌に対して有効な多数の併用薬剤の一成分として使用される。シクロホスファミドは悪性リンパ腫に対する組合せ剤の一成分としても使用されている。
イホスファミド(ifosfamide; 別綴ifosphamide)はシクロホスファミドの構造類似体であって、その作用機構は同一であると考えられる。これは化学名3−(2−クロロエチル)−2−[(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサアザホスホリン−2−オキシドを有し、頚部癌、肉腫及び精巣癌に使用されるが重症の尿路毒性を示すことがある。クロランブシルは慢性リンパ球性白血病及び非ホジキンリンパ腫の処置に使用されている。クロランブシルはCLL及びリンパ肉腫を含む悪性リンパ腫の処置に使用されている。
アルキル化剤の他の重要なクラスは自発的非酵素的分解を起して2−クロロエチルカルボニウムイオンを形成する能力によって特徴付けられるニトロソウレアである。ニトロソウレア化合物の例は、カルムスチン(BiCNU(商標)又はBCNU)、化学名1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア;及びロムスチン(CCNU)、化学名1−(2−クロロエチル)シクロヘキシル−1−ニトロソウレア;を含む。カルムスチン及びロムスチンには脳腫瘍及び消化器新生物の処置に各々重要な治療的役割があるが、この化合物は治療法の価値を限定する深刻な蓄積性の骨髄抑制を示す。
アルキル化剤の他のクラスはビス−アルカンスルホネート基を有する双機能性アルキル化剤によって代表され、代表として化合物、化学名1、4−ブタンジオールジメタンスルホネートを有するブスルファンで代表され、慢性骨髄性(骨髄性、骨髄球型又は顆粒球性)白血病の処置に使用される。しかし、重症の骨髄機能不全を誘発して汎血球減少症を起す。この性質がこの化合物の血液学的幹細胞移植前の準備制御剤としての使用を普及させた。
アルキル化剤の他のクラスは窒素含有3員環であるアチリジン化合物であって、DNAに結合し、架橋し、DNAの合成と機能を阻害することにより抗腫瘍剤として作用する。このような薬剤の例は放線菌Streptomyces caespitosusから分離した抗生物質マイトマイシンであって、化学名7−アミノ−9α−メトキシミトザンを有する。
マイトマイシンは胃、膵臓、結腸及び乳腺の腺腫、小細胞及び非小細胞肺癌の処置、放射線と併用して頭頚部癌の処置に使用されており、副作用は骨髄抑制、腎毒性、間質性肺炎、悪心及び嘔吐を含む。
生物学的活性:
本発明の組合せ剤におけるアルキル化剤の最も重要な薬理学的作用の一つは、本明細書に上記した細胞増殖に関する基本的機構を妨害する能力にある。急速に増殖しつつある組織においてDNAの機能と完全性を妨害するこの能力は種々の癌に対する治療的応用のための根拠を提供する。
課題:
このクラスの細胞毒性化合物は、上記のような副作用を示す。そこで、患者の不都合な毒性副作用の可能性を低減するために低用量で使用する手段を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましいアルキル化剤は上記窒素マスタード化合物:シクロホスファミド、イホスファミド及びクロランブシル及びニトロソウレア化合物:カルムスチン及びロムスチンを含む。本発明に従って使用するのに好ましい窒素マスタード化合物は上記シクロホスファミド、イホスファミド及びクロランブシルを含む。シクロホスファミドは例えばBristol−Myers Squibb Corporationから商品名Cytoxanの下に市販されており、又は例えばU.K. patent specification No. 1235022に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。クロランブシルは例えばGlaxoSmithKline plcから商品名Leukeranの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書3046301に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。イホスファミドは例えば Baxter Oncologyから商品名Mitoxanaの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書3732340に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。本発明に従って使用するのに好ましいニトロソウレア化合物は上記カルムスチン及びロムスチンを含む。カルムスチンは例えば Bristol−Myers Squibb Corporationから商品名BiCNUの下に市販されており、又は例えば欧州特許明細書902015に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。ロムスチンは例えば Bristol−Myers Squibb Corporationから商品名CeeNUの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書4377687に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。ブスルファンは例えば GlaxoSmithKline plcから商品名Myleranの下に市販されており、又は例えば米国特許明細書2917432に記載の製法又はそれと類似の製法によって製造できる。マイトマイシンは例えばBristol−Myers Squibb Corporationから商品名Mutamycinの下に市販されている。その他にはエストラムスチン、 メクロルエタミン、メルファラン、ビスクロロエチルニトロソウレア、シクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア、ニムスチン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾリミド及びチオテパを含む。
特定の態様:
一態様では、アルキル化剤はシクロホスファミド、イホスファミド及びクロランブシルから選択される窒素マスタード化合物である。別の態様では、アルキル化剤はカルムスチンとロムスチンから選択されるニトロソウレアである。アルキル化剤はさらにブスルファンである。一態様では、アルキル化剤は本明細書に上記したもので、マイトマイシンC又はシクロホスファミド以外のものである。
薬量:
窒素マスタード又はニトロソウレアアルキル化剤は有益には、体表面積平方米当り100〜9000mgの投与量、例えば、100〜2500mg(mg/m)の投与量量、例えば100〜5000、100〜2500又は120〜500mg/mの投与量、特にシクロホスファミドでは約100〜5000例えば、100〜500mg/mの投与量、イホスファミドでは500〜9000mg/m、例えば、500〜2500mg/mの投与量、クロランブシルでは約0.1〜0.2mg/kgの投与量、カルムスチンでは約150〜200mg/mの投与量及びロムスチンでは約100〜150mg/mの投与量を投与する。ビスアルカンスルホネート化合物、例えば、ブスルファンでは典型的な用量は1〜2mg/m、例えば、約1.8mg/mである。
アチリジンアルキル化剤、例えば、マイトマイシンは、例えば15〜25mg/mの投与量、好ましくは約20mg/mの投与量を投与できる。
上記投与量は一般に処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上投与でき、これは例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復できる。
13.本発明に従って使用するシグナル伝達阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「シグナル伝達阻害剤」(又は「シグナルトランスダクション阻害剤」)はシグナル伝達阻害剤又は本明細書に記載するシグナル伝達阻害剤の類似体を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
悪性腫瘍は無制御な細胞増殖の産物である。細胞増殖は増殖促進因子及び増殖阻害因子の間の微妙なバランスによって制御されている。正常な組織では、これら因子の産生及び活性は制御および調節された方法で増殖する分化した細胞を与え、これがその器官の正常な完全性と機能を維持する。悪性細胞はこの制御を免れ;天然のバランスが妨害され(さまざまな機構で)、無制御で異常な細胞増殖が起きる。
増殖を駆動する一つは上皮増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)はヒトの肺、乳房、前立腺、結腸、卵巣、頭頚部の腫瘍を含む多数の固形腫瘍の発生と進行の原因とされている。EGFRは受容体4種、すなわちEGFR (HER1又はErbB1)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)及びErbB4(HER4)からなるファミリーのメンバーである。この受容体は大きなタンパク質であって細胞膜に存在し、各々特定の外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及びチロシンキナーゼ酵素活性を有する内部ドメインからなる。EGFがEGFRに付着すると、チロシンキナーゼを活性化して細胞の増殖と分裂を起す反応を始動させる。EGFRは異常な高レベルでEGFの存在下に過剰に分裂する多種の癌細胞の表面に見出される。それ故、EGFR活性の阻害は癌治療の化学療法研究における標的である。このような阻害は、例えば抗体の使用又は後続するチロシンキナーゼ活性の阻害による細胞表面上にある標的EGFRの直接的阻害によって行うことができる。
EGFRを標的とする抗体の例はモノクローナル抗体トラスツズマブ及びセツキシマブである。ヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は原発性乳癌で患者の悪い予後に関連することが示されている。トラスツズマブは高度に精製された組換えDNA由来ヒト化モノクローナルIgG1κ抗体であって、HER2受容体の細胞外ドメインに高い特異性と親和性で結合する。インビトロ及びインビボの前臨床研究でトラスツズマブ単独又はパクリタキセル又はカルボプラチンとの組合せ剤としての投与はHER2遺伝子産物を過剰に発現する乳腺腫瘍由来細胞系統の増殖を明確に阻害することを示された。臨床試験ではトラスツズマブが乳癌の処置での臨床的活性を有することが示された。トラスツズマブの最も普通の有害な影響は発熱と悪寒、疼痛、衰弱、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、呼吸困難、鼻炎及び不眠である。特に困るのは多くの患者で可逆性である心筋症の発症である。トラスツズマブは初期及び転移乳癌、特にHER2タンパク質過剰発現を示す転移乳癌の処置に対して承認されている。
セツキシマブはイロテカン(irotecan)難治性結腸直腸癌(CRC)の処置に使用され、また放射線療法と併用して頭頚部癌の処置に使われている。これは単剤として及び他の薬剤との組合せ剤として転移膵臓癌及び非小細胞肺癌を含む種々の癌の処置における使用について治験中である。セツキシマブの投与は呼吸困難及び低血圧を含む深刻な副作用を起すことがある。
本発明の組合せ剤で使用するために適当なモノクローナル抗体はパニツムマブである。 Amgen Inc(以前はAbgenix Inc)はEGF受容体に対する完全ヒト型モノクローナル抗体パニツムマブ(ABX−EGF)を例えば、:腎臓癌、非小細胞肺癌及びCRCに対する単剤療法;組合せ剤として第一次療法としての標準的化学療法;進行CRCでの三次選択単剤療法;特に転移結腸直腸癌(MCC)の処置;及び標準的化学療法を行わなかった患者;のような癌の処置の可能性について開発中である。ABX−EGFは、癌の処置のための補体非依存的手法として、単剤として又は化学療法又は放射線療法と共に投与される。
ABX−EGFはヒトEGFRに対する完全ヒト化IgG2モノクローナル抗体である。ABX−EGFのような完全ヒト化モノクローナル抗体は、かなりの量のマウスタンパク質を含むキメラ抗体と比べてヒト抗マウス抗体(HAMA)ができない;患者の過敏反応を誘発する危険が減少し、それ故この抗体はインビボで生存期間増加を示す;など数種の利点を有する。このような配慮は長期投与では重要である。これはWO98/50433に記載のようにして、又はそれと類似の方法で製造できる。
パニツムマブは1週毎1回0.01〜5.0mg/kgの投与量、2週毎1回6.0mg/kgの投与量、又は3週毎1回9.0mg/kgの投与量の静脈内点滴で投与できる。結腸直腸癌患者の第三次単剤療法としてのパニツムマブを試験する第3相臨床試験では、2週毎にパニツムマブを患者に投与した。ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤ティピファルニブはras−仲介経路を介するシグナル伝達を阻止し、骨髄性白血病の処置について治験中である。
EGFRチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例は、チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブ及びエルロチニブを含む。化学名4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを有するゲフィチニブは、非小細胞肺癌の処置に使用される。これはEGF受容体を過剰発現する他の固形腫瘍、例えば、乳癌及び結腸直腸癌についても研究された。ゲフィチニブの投与を受けた患者は間質性肺疾患及び眼科刺激を発症し得ることが見出されている。エルロチニブは化学名 N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンを有し、非小細胞肺癌の処置に使用され、種々の他の固形腫瘍、例えば、膵臓癌の処置について開発中である。最も普通の副作用は皮膚発疹、食欲不振及び疲労であり;重篤な副作用、間質性肺疾患の報告もある。
抗癌研究の標的として注目を集めている別な増殖因子は血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGFは創傷治癒、網膜症、乾癬、炎症性疾患、腫瘍の増殖及び転移を含む血管形成過程の間の脈管形成の重要な制御剤である。研究の結果、VEGFの過剰発現がヒトの悪性疾患での侵襲及び転移に深く関連していることが証明された。
細胞表面のVEGF抗原を標的とする抗体の例は、モノクローナル抗体ベバシズマブであって、これはVEGFに結合し、阻害する組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベバシズマブは、例えば5−フルオロウラシルのような化学療法剤と併用して結腸直腸癌の処置に使用されている。ベバシズマブはまた例えば、転移乳癌、転移非小細胞肺癌及び腎臓細胞癌のような固形腫瘍の処置の可能性について開発中である。ベバシズマブに関連する最も重篤な有害事象は胃腸穿孔、高血圧、ネフローセ症候群及び鬱血性心不全を含む。増殖因子が開始するシグナルトランスダクションカスケードの別な場所でVEGFの作用を標的とする他の治療剤で、開発中のものはSugen/Pfizerから商品名Sutentとして発売されているスニチニブを含み、これはVEGF 受容体のキナーゼ活性を阻害する。Sutentは第III相臨床試験で胃腸基質腫瘍での有効性が示された。
腫瘍発生における他の重要な増殖因子は、血小板由来増殖因子(PDGF)であって、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を経てシグナルを伝達し、成長、増殖及び分化を含む種々の細胞機能を刺激する、ペプチド増殖因子の一ファミリーを構成する。PDGFの発現は、神経膠腫及び前立腺癌を含む多数の種々の固形腫瘍で証明されている。チロシンキナーゼ阻害剤メシル酸イマチニブは化学名4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミド・メタンスルホネートを有し、Bcr−Ablオンコタンパク質及び細胞表面チロシンキナーゼ受容体c−Kitの活性を遮断し、それ自体は慢性骨髄性白血病及び胃腸基質腫瘍の処置について承認されている。メシル酸イマニチブはPDGFRキナーゼの強力な阻害剤でもあって、慢性骨髄単球型白血病及び多形神経膠腫の処置について、これら疾患におけるPDGFRの活性化変異の証拠に基づいて現在治験中である。最も頻繁に報告された薬剤関連有害事象は浮腫、悪心、嘔吐、痙攣及び筋骨格痛である。
化学療法のための別な増殖因子標的はRafの阻害であって、この酵素は細胞増殖を始動させる体内化学反応の連鎖反応における重要な酵素である。この経路の異常な活性化は黒色腫2/3を含む殆どの癌の発生における共通の因子である。Rafキナーゼの活性を遮断すると、腫瘍の進行を逆行でき得る。この阻害剤の一つはソラフェニブ(別称BAY 43−9006及びNexavar)であって、化学名4−(4−(3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミドを有する。ソラフェニブはRafシグナル伝達経路を標的として細胞増殖を阻害し、同時にVEGFR/PDGFRシグナル伝達カスケードを標的として腫瘍血管形成を阻害する。RafキナーゼはRas経路の特異的酵素である。Ras遺伝子での変異はヒトの癌全ての約20%に起き、これは膵臓癌の90%、結腸癌の50%及び非小細胞肺癌の30%を含む。ソラフェニブは肝臓癌及び腎臓癌を含む多数の癌の処置のために研究中である。ソラフェニブの普通の副作用は疼痛、腫脹、手及び/又は足の赤味、及び発疹、疲労及び下痢である。
生物学的活性:
本発明の組合せ剤のためのシグナル伝達阻害剤は細胞のシグナル伝達タンパク質特異的な上記阻害剤であって種々の癌に活性を示す。式Iで示される化合物とシグナル伝達阻害剤との組合せ剤は多種の癌の処置と診断に有益であり得る。例えばシグナル伝達阻害剤(例えば、Iressa、Avastin、herceptin、Gleevec(商標))のような分子を標的とする薬剤を有する組合せ剤は、例えば、EGF受容体、VEGF受容体、ErbB2、BCRabl、c−kit、PDGFのような関連分子標的を発現するか、活性化される癌に関する独特な適用をもつであり得る。このような腫瘍の診断は、当業者に知られた技術及び本明細書に記載する、例えばRTPCR及びFISHを用いて行うことができる。
課題:
腫瘍増殖に対するシグナル伝達阻害剤の阻害効果を増強すること、及び患者の有害な毒性副作用の可能性を低減するためにシグナル伝達阻害剤を低用量で使用する手段を提供する必要がある。
好適例:
本発明に従って使用するのに好ましいシグナル伝達阻害剤は、本明細書に示すEGFRを標的とする抗体、例えば、モノクローナル抗体トラスツズマブ及びセツキシマブ、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブ、VEGFを標的とする抗体ベバシズマブ、PDGFR阻害剤例えば、メシル酸イマチニブ及びRaf阻害剤例えば、ソラフェニブを含む。
好適なEGFRを標的とする抗体は、モノクローナル抗体トラスツズマブ及びセツキシマブを含む。トラスツズマブはGenentech Incから商品名Herceptinの下に市販されており、又は米国特許明細書5821337に記載の方法で得られる。セツキシマブはBristol−Myers Squibb Corporationから商品名Erbituxの下に市販されており、又はPCT特許明細書WO96/40210に記載の方法で得られる。
好適なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤はゲフィチニブ及びエルロチニブを含む。ゲフィチニブはAstraZeneca plcから商品名Iressaの下に市販されており、又はPCT特許明細書WO96/33980に記載の方法で得られる。エルロチニブはGenentech/ Rocheから商品名Tarcevaの下に市販されており、又はPCT特許明細書WO96/30347に記載の方法で得られる。
VEGFを標的とする好適な抗体はベバシズマブであって、Genentech Incから商品名Avastinの下に市販されており、又はPCT特許明細書WO94/10202に記載の方法で得られる。
好ましいPDGFR阻害剤はメシル酸イマチニブであって、Novartis AGから商品名Gleevec(別称Glivec(商標))の下に市販されており、又はEuropean patent specification No 564409に記載の方法で得られる。
好ましいRaf 阻害剤はソラフェニブであって、Bayer AGから市販され、又はPCT特許明細書WO00/42012に記載の方法で得られる。
特定の態様:
一態様ではシグナル伝達阻害剤はゲフィチニブ(Iressa)である。他の態様では、シグナル伝達阻害剤はトラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブ及びソラフェニブから選択される。
本発明の別の組合せ剤は次のシグナル伝達阻害剤:ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ及びCHIR−258、特にダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ及びバタリニブを含む。
BMSはダサチニブ(Sprycel又はBMS−354825)を、慢性骨髄性白血病(CML)、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び固形腫瘍の1日2回処置の可能性のある、経口多標的キナーゼ阻害剤として開発中である。この薬剤はまた多発性骨髄腫(MM)及びその他の血液学的悪性腫瘍について治験中である。ダサタニブは毎日2回50〜90mgを投与するPh+CML及びAML及びイマニチブ耐性患者の臨床試験で有効性が証明された。血小板減少症及び好中球減少症はダサチニブの臨床評価中に観測された副作用である。
Src/Ablキナーゼ阻害剤ダサチニブの構造は次の通りである。
Figure 2009543770

ダサチニブは WO00/062778、WO2005/076990 およびWO2005/077945に記載の方法又は類似の方法で得られる。
NovartisはBCR−ABL、c−kit及びPDGFを標的とする経口投与可能なシグナル伝達阻害剤であるニロチニブ(AMN−107)を白血病の処置の可能性について開発中である。この化合物は慢性骨髄性白血病(CML)及び再発又は難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、全身性肥満細胞症又は慢性好酸球白血病(好酸球増加症候群)、再発胃腸基質腫瘍(GIST)について治験中である。有害な事象は造血器有害事象、頭痛、疲労、筋痙攣、悪心及び嘔吐を含む。初期臨床試験は1日2回400mgオーダー用量の投与ではCML、AML及びALLの処置に有効性を示した。
ニロチニブの構造は次の通りである。これはWO2004/005281およびWO2005/049032に記載の方法又は類似の方法で得られる。
Figure 2009543770
バタラニブ(PTK787 / ZK222584)はNovartis AG(以前はCiba−Geigy)及びSchering AG、が開発中のVEGF受容体チロシンキナーゼ血管形成阻害剤であって、結腸直腸癌の処置に可能性がある。この化合物は結腸直腸癌、転移結腸直腸癌の第一次及び第二次処置(未処置及び前処置転移結腸直腸癌患者)について臨床試験を開始した。ScheringとNovartisはバタラニブを、例えば、第一次療法後に再発又は第一次療法には難治性で、IIIb/IV段階にある患者での第二次単剤療法として、他の固形腫瘍例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌及び神経膠腫及び可能性としては前立腺、卵巣、乳腺、膵臓及び小細胞肺の癌について治験中である。これに加えてバタラニブは年齢依存性黄斑変性(AMD)についても研究中である。バタラニブは毎日1250mgまでの用量で臨床研究されている。有害事象は悪心/嘔吐、疲労、運動失調、昏睡、高血圧、頭痛、眩暈、下痢、高血圧ならびに失神及び神経毒性を含む。
バタリニブ(次式構造)はWO98/35958に記載の方法又は類似方法で製造できる。
Figure 2009543770
ラパチニブジトジレート(Tykerb又はGW2016 / 572016)は、ErbB2及びEGFRの両チロシンキナーゼの阻害剤であって、GlaxoSmithKline plc(GSK)が固形腫瘍の処置の可能性について開発中である。これは乳腺、肺臓、胃、膀胱及び頭頚部の癌を含む種々の腫瘍について、特に腫瘍がHER−2を発現し、単剤又はカペシタビン及びパクリタキセルを含む他剤との組合せ剤の両方での以前の療法が不成功であった難治性進行乳癌又は転移乳癌の患者の処置について治験中である。この化合物は腎細胞癌、進行及び転移非小細胞肺癌(NSCLC)について及び乳癌の脳転移の処置について臨床試験に入った。初期臨床ではラパチニブは1日2回及び1日1回の投与レジメンで500〜1500mgの投与量;及び1日2回750〜1250mgの投与量について評価した。副作用は胃腸のガス症状、発疹、頭痛及び肝機能異常を含む。下記構造式のキナゾリン化合物(ラパチニブ)とそのジトジレート塩、無水物又は水和物形はWO00/202552およびWO99/35146に記載の方法又は類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
バンデタニブ(ZD−6474;Zactima;以前はAZD−6474)はAstraZenecaが甲状腺、肺臓、乳腺、頭頚部、脳(すなわち神経膠腫)及び多発性骨髄腫を含む固形腫瘍及び血液学腫瘍の毎日1回経口処置の可能性について開発中である。これは血管内皮増殖因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤の一つであって、EGF及びRET受容体チロシンキナーゼに対しても活性を有する。臨床試験はバンデタニブ毎日100〜300mgの投与量範囲の単剤及び組合せ剤について検討した。観察された普通の有害な影響は発疹、疲労、悪心、下痢、無症候性QTc延長である。ZD−6474はWO01/32651に記載の方法又は類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
CHIR−258(GFKI−258;次式構造)は強力なVEGF、FGF及びPDGF受容体キナーゼの阻害剤であって、種々の形の癌の経口的処置に可能性がある。Novartis(以前はChiron)は急性骨髄性白血病(AML)患者及び多発性骨髄腫(MM)で試験を始めた。CHIR−258はWO02/22598およびWO2005/046590に記載の方法又は類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
本発明の組合せ剤で使用するために適当な他のシグナル伝達阻害剤はアキシチニブ(AG−013736)である。Pfizerはアキシチニブ(AG−13736、AG−013736)、VEGF、PDGF及びCSF―1受容体チロシンキナーゼの経口阻害剤を開発中で、これはPfizerの完全所有子会社Agouron Pharmaceuticalsが、癌の処置のための抗血管形成剤として発明したものである。乳癌、腎臓細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌 (NSCLC)、黒色腫及びカルシノマについて治験中である。この化合物はまた急性骨髄性白血病及び骨髄異常形成症候群(MDS)の処置について治験中である。
Figure 2009543770

これはWO2004/087152、 WO2006/048746およびWO2006/048745に記載の方法又は類似の方法で合成できる。アキシチニブは5mg/po/BIDで投与してもよい。
薬量:
EGFR抗体は一般に体表面積平方米当り1〜500mg(mg/m)の投与量を投与する。トラスツズマブでは有益には体表面積平方米当り1〜5mg/mの投与量、特に2〜4mg/mの投与量;セツクスマブでは有益には約200〜400mg/mの投与量、好ましくは約250mg/mの投与量;を投与する。
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤は、一般に1日経口投与量100〜500mg、例えばゲフィチニブは約250mgの投与量、エルロチニブは約150mgの投与量を投与する。
VEGFモノクローナル抗体に関しては、ベバシズマブは一般に約1〜10mg/kgの投与量、例えば約5mg/kgの投与量を投与する。
PDGF阻害剤イマニチブは一般に1日約400〜800mg、好ましくは1日約400mgの投与量を投与する。
Raf阻害剤ソラフェニブは、1日800mgの投与量を投与する。
この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上投与でき、これは例えば7日、14日、21日又は28日毎に反復できる。
PKA/B阻害剤及びPKB経路阻害剤
本発明の組合せ剤に使用するためのシグナル伝達阻害剤の好適な一群はPKA/B阻害剤及びPKB経路阻害剤である。
PKB経路阻害剤は、この経路の増殖性及び細胞生存効果を遮断して、PKBの活性化、キナーゼそれ自体の活性を阻害、又は下流の標的を変調するものである。この経路の標的酵素はホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、ラパマイシンの哺乳動物標的(MTOR)、PDK−1及びp70S6キナーゼ及びフォークヘッド転写因子を含む。PI3−キナーゼ/PKB/PTEN経路の成分数種が発癌に関係があるとされている。増殖因子受容体チロシンキナーゼに加えて、インテグリン依存性細胞の接着及びG−タンパク質連携受容体が、直接的におよびアダプター分子を介して間接にPI3−キナーゼを活性化する。PTEN(p53後の癌での最も通常の変異腫瘍抑制遺伝子)の機能喪失、PI3−キナーゼの発癌性変異、PI3−キナーゼの増幅及びPKBの過剰発現は多数の悪性腫瘍で同定されている。これに加えてインスリン様増殖因子受容体の刺激によるPI3−キナーゼ/PKB経路を介する持続的シグナル伝達は上皮増殖因子受容体阻害剤に対する耐性機構である。
ヒト腫瘍の一定範囲内のp110αをコードする遺伝子における非ランダムな体細胞変異の発見は、変異PI3−キナーゼ酵素の発癌的役割を示唆する(Samuels, et al., Science, 304 554, April 2004)。p110αでの変異は今迄に次のヒト腫瘍に検出されている:結腸(32%)、肝細胞(36%)及び子宮内膜及び明細胞癌(20%)。p110αは今では乳腺腫瘍で最も普通に変異している遺伝子である(25〜40%)。フォークヘッドファミリー転座は急性白血病ではしばしば起きている。
そこで、PI3−キナーゼ/PKB/PTEN経路は細胞障害剤が増殖を阻害し、障害剤に対する癌細胞の耐性を克服すると期待されるので、抗癌剤開発の格好の標的である。
PKB経路阻害剤の例はPI3K阻害剤例えば、セマフォア(Semaphore)、SF1126及びMTOR阻害剤、例えばラパマイシン類似体を含む。NovartisからのRAD001(everolimus)はラパマイシン化合物の経口投与可能な誘導体である。この化合物は新規マクロライドであって、抗増殖剤として免疫抑制及び抗癌剤としての利用に向けて開発中である。RAD001は細胞内受容体タンパク質FKBP−12への高親和性によって細胞の増殖因子依存性増殖への活性を示す。得られるFKBP−12/RAD001錯体は次にmTORと結合して下流のシグナル伝達事象を阻害する。この化合物は広範な腫瘍学適応に向けて臨床開発中である。Wyeth PharmaceuticalsのCCI 779 (temsirolemus)及びAriad PharmaceuticalsからのAP23573 もラパマイシン類似体である。Ariad PharmaceuticalからのAP23841及びAP23573もmTORを標的とする。Harvardのカルモジュリン阻害剤はフォークヘッド転座阻害剤である(Nature Reviews drug discovery、 Exploiting the PI3K/AKT Pathway for Cancer Drug Discovery; Bryan T. Hennessy, Debra L. Smith, Prahlad T. Ram, Yiling Lu and Gordon B. Mills; December 2005, Volume 4; pages 988−1004)。
定義:
本明細書で用いる用語「PKA/B阻害剤」はタンパク質キナーゼB(PKB)及び/又はタンパク質キナーゼA(PKA)を阻害又は変調する活性を有する化合物であって、上記イオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
本明細書で用いる用語「PKB経路阻害剤」はPKBの活性化、キナーゼ自体の活性を阻害し、又は下流の標的を変調して、経路の増殖及び細胞生存効果を遮断(ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、ラパマイシンの哺乳動物標的(MTOR)、PDK−1及びp70S6キナーゼ及びフォークヘッド転座を含み、本明細書に記載する経路の1個以上の標的酵素を含む)する化合物を定義する。
技術的背景:
KRX−0401(ペリホシン/NSC 639966)は合成置換ヘテロ環アルキルホスホコリンであって、本来シグナルトランスダクション経路を標的とする細胞膜に作用し、PKBリン酸化の阻害を含む。KRX−0401は経口抗癌剤としての第1相評価を受けた。用量限定的な毒性は悪心、嘔吐及び疲労を含む。高用量で胃腸毒性が増加した。難治性肉腫についての第II相臨床試験が計画されている。
API−2/TCNは腫瘍細胞におけるPKBシグナル伝達経路の低分子阻害剤である。API−2/TCNの第I及びII相臨床試験が進行腫瘍で行われた。API−2/TCNは肝臓毒性、高グリセリド血症、血小板減少症及び高血糖症を含む副作用を示した。
RX−0201は固形腫瘍の処置用AKTタンパク質キナーゼ阻害剤として開発中である。2004年7月に進行悪性腫瘍患者で第I相臨床試験を開始した。これから得たデータはRX−0201がAktの過剰発現を阻害すること、及び脳、乳腺、頚部、肝臓、肺臓、卵巣、前立腺及び胃の腫瘍で癌の増殖を抑制すること及び良く耐容されることを示した。RX−0201は米国で2005年3月に数種の固形腫瘍について稀用薬扱いになった。
エンザスタウリンHCl(LY317615)は血管形成を抑制し、抗血管形成活性に基づく臨床開発に進められており、選択的PKCβ阻害剤であると報告されている。これは直接的抗腫瘍効果を示し、GSK3βリン酸化を抑制する。これは神経膠腫及び非ホジキンリンパ腫の処置について現在治験中である。
SR−13668は経口的活性の特異的AKT阻害剤であると報告されており、インビトロ及びインビボの両方で乳癌細胞のホスホAKTを明瞭に阻害する。マウスでのインビボ評価は抗腫瘍活性に必要な量の10倍量で有害な影響を示さなかった。
PX−316はD−3−デオキシホスファチジルミオイノシトールであって、PKBのPHドメインに結合し、細胞質内に捕捉してPKB活性化を防止する。抗腫瘍活性は早期異種移植片に見られ、良く耐容される。
2,3−ジフェニルキノキサリンのコア又は5,6−ジフェニルピラジン−2(1H)−オンのコアに基づくPKBのアロステリックな選択的阻害剤が開発された(Merck)。
KRX−0401:欧州で行った第I相毎週投与研究で、第II相用量は毎週600/mgと設定した。米国で行ったその後の研究で、用量を分割して4時間又は6時間間隔で投与すればさらに大用量でも耐容されることが判明した。これに加えて、KRX−0401は100時間程度の非常に長い半減期を示すことが判明した。これで比較的低毒性の周期性投与レジメンができそうである。
API−2の第I相臨床試験は5日間連続点滴を用いて行われた。用量は10mg/m/日×5日間〜40mg/m/日×5日間とした。最初はこの処置を3〜4週間毎に反復したが、蓄積性の毒性が顕在化したので各処置間の間隔を6週毎に変更した。第II相臨床試験の投与レジメンは20mg/m/日×5日間6週毎とした。TCN−Pの第II相臨床試験は転移又は再発頚部扁平上皮細胞癌で5日間連続点滴法によって行った。初期用量は35mg/m×5日間とし、これを6週毎に反復した。
別のPKB阻害剤はKeryx Biopharmaceuticalsからのペリホシンを含む。ペリホシンは経口用Akt阻害剤で、ヒト腫瘍細胞系統に顕著な細胞毒性を示し、現在ヒトの癌の処置に向けた数種の第II相臨床試験を実施中である。KRX−0401(ペリホシン/NSC639966)は次の構造を有する:
Figure 2009543770

これはAste Medica 特許公報DE4222910又はXenoport 特許公報US2003171303に従って製造できる。
API−2/TCN(トリシリビン)は次の構造を有する:
Figure 2009543770

これはBodor 特許公報WO9200988又はRibapharm 特許公報WO2003061385に従って製造できる。
エンザスタウリン塩酸塩は次の構造を有する:
Figure 2009543770

これはEli Lilly 特許公報WO2004006928に従って製造できる。
SR13668は次の構造を有する:
Figure 2009543770

これはSRI International 特許公報US2004043965に従って製造できる。
NL−71−101は次の構造を有する:
Figure 2009543770

これは Biochemistry (2002), 41(32), 10304−10314又はPeptor 特許公報WO2001091754に従って製造できる。
DeveloGen(以前はPeptor)はタンパク質キナーゼB(PKB)阻害剤NL−71−101を癌の処置の可能性について研究中である[466579]、[539004]。2003年の初めにこの化合物のリード最適化を行っていた[495463]。2004年2月までに、この会社はタンパク質キナーゼB開発権のアウトライセンス先を探していた[523638]。2002年に発表したデータはNL−71−101がPKB、PKA、PKG及びPKCの活性をIC50値3.7、9、36及び104μM、で阻害することを示した。NL−71−101は、PKBが50μM及び100μM濃度に増幅したOVCAR−3腫瘍細胞にアポトーシスを誘導した[466579]。この化合物は次式構造を有する:
Figure 2009543770
特定の態様:
意図されている態様は、抗癌剤が上記特定的化合物の1個以上から選択されるPKB阻害剤である組合せ剤を含む。
14.CDK阻害剤
本発明の組合せ剤で補助剤として使用するのに好ましいCDK阻害剤は、本明細書に規定する式(0)又は(I''')の化合物である。しかし、本発明の組合せ剤で使用するCDK阻害剤は、以下に詳記するサイクリン依存性キナーゼを阻害又は調節する活性及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)を阻害又は調節する活性を有する付加的CDK阻害剤も含む。それ故、本発明の組合せ剤は本明細書に記載する式(I)の化合物2種以上を含む(又は本質的に構成される)。
本明細書の式(0)又は(I''')のCDK化合物に加えて、本発明の組合せ剤は1個以上の付加的CDKの阻害剤又は調節剤を含むことができる。この付加的CDK阻害剤又は調節剤は本明細書に記載する種々のCDK阻害剤から選択できるが、好適な付加的CDK阻害剤を以下に詳記する。
定義:
本明細書で用いる用語「CDK阻害剤」は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害又は調節できる化合物を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
本明細書で用いる用語「付加的CDK阻害剤」はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害又は調節する化合物であって、本明細書に定義する式(0)又は(I)の構造一致しないものを示し、上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
CDKは細胞周期、アポトーシス、転写、分化及びCNS機能の制御に一定の役割を果たす。それ故、CDK阻害剤は増殖、アポトーシス又は分化の障害がある癌のような疾患の処置への適用が判明し得る。特に、RB+ve腫瘍はCDK阻害剤に特に感受性があろう。RB−ve腫瘍もCDK阻害剤に感受性であり得る。
本発明に従う組合せ剤に使用され得るCDK阻害剤の例は、セリシクリブ、アルボシディブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032(別称SNS−032)、PHA533533、PD332991、ZK−304709及びAZD−5438を含む。
ロスコビチンのR異性体であるセリシクリブ、別称CYC202、は化学名(2R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)−アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノールを有する。これをリンパ性白血病、非小細胞肺癌、糸球体腎炎、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫及び乳癌を含む種々の癌の処置への可能性を臨床試験で評価している。臨床試験で観察された毒性は悪心/嘔吐、衰弱、皮膚発疹、カリウム減少血症を含む。その他の毒性は可逆性腎障害、トランスアミニティス、及び嘔吐を含む。
アルボシジブ、別称フラボピリドール、HMR1275又はL86−8275は化学名5,7−ジヒドロキシ−8−(4−N−メチル−2−ヒドロキシピリジル)−6'−クロロフラボンを有し、食道、胃、前立腺、肺臓及び結腸の癌を含む種々の腫瘍、及び慢性リンパ球性白血病、及び多発性骨髄腫、リンパ腫の処置での可能性について臨床試験が行わている;観察された最も普通の毒性は下痢、腫瘍疼痛、貧血、呼吸困難及び疲労を含む。
7−ヒドロキシスタウロスポリン、別称UCN−01は慢性リンパ球性白血病、膵臓腫瘍及び腎腫瘍を含む種々の癌の処置での可能性について臨床試験が行わている。観察された有害事象は悪心、頭痛及び高血糖症を含む。
JNJ−7706621は化学名N3−[4−(アミノスルホニル)−フェニル]−1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンを有し、黒色腫及び前立腺癌の処置の可能性について前臨床試験が行わている。BMS−387032は化学名N−[5−[[[5−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキサゾリル]−メチル]チオ]−2−チアゾリル]−4−ピペリジンカルボキサミドを有し、例えば、腎細胞癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌及び平滑筋肉腫のような転移固形腫瘍を有する患者での抗癌剤としての可能性を第I相臨床試験している;この薬剤は十分に耐容性であり、一次的毒性として一過性好中球減少症を伴う。他の副作用は一過性肝臓アミナーゼ上昇、消化器毒性、悪心、嘔吐、下痢及び食欲不振を含む。PHA533533は化学名(αS)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−α−メチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)ベンゼンアセトアミドを有し、例えば、前立腺、結腸及び卵巣の腫瘍のような種々の癌の処置での可能性について前臨床試験が行わている。PD332991は化学名8−シクロヘキシル−2−[[4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル]アミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンを有し、種々の癌の処置での可能性について前臨床試験が行わている。前臨床試験はこれが高度に選択的で強力なCDK4阻害剤であることを示唆し、インビボモデルでは顕著な腫瘍縮退を示す。
ZK−304709は経口用CDK及びVEGFRキナーゼ二重特異性阻害剤であって、PCT特許明細書WO02/096888に記載され、種々の癌の処置での可能性について前臨床試験が行わている。AZD−5438は選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤であって、固形癌の処置について前臨床試験が行わている。セリシクリブはPCT特許明細書WO97/20842に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。アルボシディブは例えば米国特許明細書4900727に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。7−ヒドロキシスタウロスポリンは例えば米国特許明細書4935415に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。JNJ−7706621は例えばPCT特許明細書WO02/057240に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。BMS−387032は例えばPCT特許明細書WO01/44242に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。PHA533533は例えば米国特許明細書6455559に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。PD332991は例えばPCT特許明細書WO98/33798に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。ZK−304709は例えばPCT特許明細書WO02/096888に記載の方法又はその類似法方法によって製造できる。
好適例及び特定の態様:
意図する態様は、抗癌剤が上記特定化合物の1個以上から選択されるCDK阻害剤である組合せ剤を含む。そこで、本発明の組合せ剤で使用するのに好ましいCDK阻害剤はセリシクリブ、アルボシディブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991及びZK−304709を含む。本発明の組合せ剤で使用するために独特なCDK阻害剤はセリシクリブ、アルボシディブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991及びZK−304709を含む。
薬量:
CDK阻害剤は例えば1日投与量、例えば0.5〜2500mg、より好ましくは10〜1000mg、あるいは0.001〜300mg/kg、より好ましくは0.01〜100mg/kgを、特にセリシクリブでは10〜50mgの投与量;アルボシディブでは上記米国特許明細書4900727に記載の用量;7−ヒドロキシスタウロスポリンでは0.01〜20mg/kgの投与量;JNJ−7706621では0.001〜300mg/kgの投与量;BMS−387032では0.001〜100mg/kgの投与量、より好ましくは0.01〜50mg/kgの投与量、最も好ましくは0.01〜20mg/kgの投与量;PHA533533では10〜2500mgの投与量;PD332991では1〜100mg/kgの投与量;及びZK−304709では0.5〜1000mgの投与量、好ましくは50〜200mgの投与量を投与できる。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
15.COX−2阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「COX−2阻害剤」はシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の活性を阻害又は調節する化合物を定義し、上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、 同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
生物学的活性:
本明細書に記載の通り、1個以上の薬理学的作用を介して作用するCOX−2阻害剤は適当な抗癌剤として同定されている。
技術的背景:
最近の癌化学療法の研究では、癌の病因論におけるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の役割が注目されている。疫学研究で例えば、関節炎のような状態を処置するために非ステロイド消炎剤(NSAID)例えばアスピリン及びイブプロフェン、を常用する者は、結腸直腸ポリープ、結腸直腸癌及び結腸直腸癌による死亡例の率が低いことが明らかになった。NSAIDは炎症過程で体内に産生されるシクロオキシゲナーゼ酵素を遮断するが、これは前癌組織でも産生される。例えば結腸癌では、COX−2レベルが劇的に増加する。腫瘍増殖の決定的な因子は増加したサイズを支持するための血液の供給である。多くの腫瘍は体に癌周辺に新しい血管網を構築する血管形成と呼ばれる過程を誘発する化学経路を利用できる。COX−2はこの過程に一定の役割を担うと信じられている。それ故、COX−2の阻害が癌の処置に有効であると結論付けられ、この目的のためにCOX−2阻害剤が開発されている。例えばセレコキシブは化学名4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドを有し、選択的COX−2阻害剤であって、膀胱癌、食道癌、腎細胞癌、頚部癌、乳癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫及び非小細胞肺癌を含む種々の癌の処置を目的として治験中である。
薬量:
COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)は1日投与量、例えば、100〜200mgを投与できる。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
課題:
最も普通の有害事象は頭痛、腹部痛、 消化不良、下痢、悪心、膨満及び不眠である。患者の有害毒性副作用の可能性を低下させるためにCOX−2阻害剤を低用量で使用する手段を提供する必要がある。
好適例及び特定の態様:
一つの態様ではCOX−2阻害剤はセレコキシブである。セレコキシブは例えばPfizer Incから商品名Celebrexの下に市販されているか、又は例えばPCT特許明細書WO95/15316に記載の方法又はそれと類似の方法によって製造できる。他の購入可能な2種のCOX−2阻害剤はArcoxia(etoricoxib: Merck)及びNovartisのCOX−2阻害剤lumiracoxib (Prexige)である。
16.HDAC阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「HDAC阻害剤」はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性を阻害又は調節する化合物を定義し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及び保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
生物学的活性:
本明細書に記載の通り1個以上の薬理学的作用を経て作用するHDAC阻害剤は適当な抗癌剤であることが同定されている。
技術的背景:
ヒストンの可逆的アセチル化はDNAへの転写因子の接近可能性を変化することによって作用する遺伝子発現の主な調節剤である。正常な細胞ではヒストンデアセチラーゼ(HDAC)及びヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HDA)は協同してヒストンのアセチル化レベルを制御してバランスを保つ。HDAの阻害はハイパーアセチル化ヒストンの蓄積を招き、細胞に種々の応答を起す。HDA阻害剤(HDAI)は、癌細胞での治療効果について研究されている。HDAI研究分野での最近の進歩は腫瘍を処置するために適当な活性化合物を提供している。
得られる事実はHDAIが他の化学療法剤と組み合わせて使用したとき、より有効であることを示唆する。これは効果と安全性について相乗的及び相加的利点である。化学療法剤とHDAIとの組合せ剤の治療効果は各成分の安全用量を低下できる。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の研究は、この酵素が細胞の増殖及び分化に重要な役割を果たすことを示す。阻害剤トリコスタチンA(TSA)は、G1期及びG2期で細胞周期停止を起し、種々の細胞系統での形質転換表現型を戻し、またフレンド白血病細胞及びその他の分化を誘導する。TSA(及びスベロイルアニリドヒドロキサム酸SAHA)は細胞増殖を阻害し、末端分化を誘導し、マウスで腫瘍形成を防止するとの報告がある(Finnin et al., Nature, 401: 188-193, 1999)。
トリコスタチンAが繊維症、例えば、肝臓繊維症及び肝硬変の処置に有用であるとの報告がある(1998年3月11日公開、Geerts et al., European Patent Application EP0 827 742)。
好適例及び特定の態様:
本発明に従って使用するのに好ましいHDAC阻害剤は上記TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103及びPXD−101から選択される。そこで、本発明で使用するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の好適な合成阻害剤はJohnson and Johnson IncからのJNJ−16241199、NovartisからのLAQ−824、Methyl GeneからのMGCD−0103及びProlifixからのPXD−101を含む。
JNJ−16241199は次の構造を有する:
Figure 2009543770
MGCD−0103は次の構造を有する:
Figure 2009543770
LAQ−824は次の構造を有する:
Figure 2009543770
本発明での使用に適する別なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、これに限定するものではないが、ペプチド・クラミドシン(chlamydocin)及び、Abbott LaboratoriesからのA−173を含む。A−173はサクシンイミドマクロ環状化合物であって、次の構造を有する:
Figure 2009543770
薬量:
一般に、HDAC阻害剤については治療的有効量が0.005mg/kg〜100mg/kg体重、特に0.005mg/kg体重〜10mg/kg体重であることが意図されている。この必要な用量は処置の過程で例えば1日を通して必要な用量を適当な間隔で2回、3回、4回又はそれ以上の分割用量として投与するのは適切であり得る。上記分割用量は、例えば活性成分を0.5〜500mg、特に10mg〜500mgを含む単位用量剤形に製剤化してもよい。
17.選択的免疫反応調節剤
選択的免疫反応調節剤はレナリドマイド(Revlimid)及びサリドマイドを含む。レナリドマイドはCelgeneが開発した経口サリドマイド誘導体であって、TNF−αとインターロイキン−1βとの強力な阻害剤であって、5q−骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、神経膠腫、皮膚T細胞リンパ腫及び上皮卵巣癌の処置に向けて開発中である。レナリドマイド(3−(4−アミノ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン)は次の構造を有する:
Figure 2009543770
サリドマイドは鎮静剤及び制吐剤であるが、1960年代に欧州及びカナダでサリドマイドを処方された女性から誕生した子供12000人に催奇性、特に四肢奇形が報告されて周知である。Celgeneはサリドマイドを経口TNF−α阻害剤として開発し、発売した(Pharmionに譲渡)。数種の新組織形成についてサリドマイドの潜在的抗腫瘍活性に関する臨床的事実が大量に蓄積されており、注目に値する活性は再発/難治性の多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)及び骨髄異形成症候群(MDS)に見られる。急性骨髄性白血病、骨髄性真組織形成のある骨髄繊維症、腎細胞癌、悪性神経膠腫、前立腺癌、カポジ肉腫及び結腸直腸癌にも生物学的活性の証拠がある。サリドマイド(1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン)は次の構造を有する:
Figure 2009543770
薬量:
サリドマイドは1日投与量100〜800mgを耐容する限り連続投与するのが有益であり得る。レナリドマイドでは5mgの投与量〜40mgの投与量を耐容する限り連続投与するのが有益であり得る。
18.DNAメチラーゼ阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「DNAメチラーゼ阻害剤」又は「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」は、直接的に又は間接的にDNAのメチル化を妨害する、中断する、遮断する、調節する、又は阻害する化合物を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。これは「低メチル化剤」とも称される。
生物学的活性:
DNAメチラーゼ阻害剤は本明細書に記載の通り1個以上の薬理学的作用を介して作用し、適切な抗癌剤として同定されている
技術的背景:
癌化学療法の標的の一つはDNA合成であるが、これは腫瘍DNAのメチル化に依拠するものでもよい。それ故、DNAのメチル化を直接的又は間接的に混乱し、途絶し、遮断し、調節し、又は阻害する化合物は抗癌剤として有用であり得る。
DNAメチラーゼ阻害剤テモゾロミドは多形神経膠芽腫の処置、及び進行転移悪性黒色腫患者の第一次処置(例えば、進行転移悪性黒色腫患者の第一次処置)に使用され、また悪性神経膠芽腫の最初の再発時の処置について治験され、使用されている。この化合物は生理学的pHで迅速な化学変化を受けて活性化合物、モノメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド(MTIC)に変換され、これがDNAのグアニン残基のO6位にメチル化を起す(これがDNAメチルトランスフェラーゼの発現抑制を導き、低メチル化を起すと思われる)。
課題:
テモゾロミド療法に伴う最も普通の副作用は悪心、嘔吐、頭痛、疲労、血小板減少症及び便秘である。DNAメチラーゼ阻害剤の阻害効果を増加して患者の有害な毒性副作用可能性を低減するDNAメチラーゼ阻害剤を低用量で使用するための手段を提供する必要がある。
好適例及び特定の態様:
一つの態様ではDNAメチラーゼ阻害剤はテモゾロミド(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソイミダゾ[5,1−d]−as−テトラジン−8−カルボキサミド)である。テモゾロミドは例えばSchering Corporationから商品名Temodarの下に市販されており、また例えば独特許明細書3231255に記載の方法又は類似の方法によって製造できる。
本発明の組合せ剤に使用するための別なDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤はデシタビン(別称ダコゲン)であり、その構造は次式の通りである:
Figure 2009543770
SuperGen IncとMGI Pharma IncはDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤デシタビン(ダコゲン)を開発し、DNA上のシトシン残基のメチル化を阻止して遺伝子プロモータの低メチル化を導いて、サイレント遺伝子を再活性化する。デシタビン/ダコゲンはインビトロで広範囲の悪性細胞に細胞傷害性である。これは急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)及び骨髄異形成症候群(MDS)に明確な活性を示す。デシタビン/ダコゲンは骨髄異形成症候群(MDS)及び第二次MDS(慢性骨髄単球性白血病、難治性貧血、環状鉄芽球のある難治性貧血、エクセスブラストのある難治性貧血及び形質変換でのエクセスブラストのある難治性貧血を含む)の処置に処方される。
デシタビン/ダコゲンはデオキシシチジンの類似体(2'−デオキシ−5−アザシチジンのβ−D−アノマー)である。ピリミジン環の5位が窒素で置換されている点がデオキシシチジンとは異なる。デシタビンは関連類似体とはデオキシリボースを含む点で、リボースを含むPharmion Corpの5−アザシチジン(Vidaza)とは対照的である。それ故、デシタビンはデオキシヌクレオシドであってDNAに取り込まれるが、RNAには取り込まれない点で、RNAに取り込まれる5−アザシチジンとは対照的である。デシタビンと5−アザシチジンはピリミジン環の5位が修飾されている点で他のピリミジン類似体、例えば、シトシンアラビノシド及びゲムシタビンとは異なる。後者の両薬剤には存在しないこの明白な特徴はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害の要因である。ピリミジン環の5位が修飾された別の類似体、シュードイソシチジン及び5−フルオロ−2'−デオキシシチジンも脱メチル化を阻害する。
デシタビン/ダコゲンは、6週間毎に3日間、8時間毎に3時間にわたる15mg/m投与を治療周期とするか、又は6週間毎に1週間又は2週間、毎日1時間、20mg/mの投与を治療周期とする。
毒性用量ではデシタビン/ダコゲンは白血球減少症、血小板減少症及び体重減少を起こす。デシタビンの主な毒性は骨髄抑制であり、投与量および投与期間に比例する。この効果は高投与量(>200mg/m)では顕著で、他の細胞毒性薬剤の同時的投与によって骨髄抑制が強化される。好中球減少症感染症その他の骨髄抑制の合併症は致死的である。非血清学的副作用は悪心、嘔吐、粘膜炎及び脱毛症を含む。
デシタビン/ダコゲン及びその類似体はUS−03432549に概説され、さらにSuperGen IncのWO006/017278およびWO2006/037024 に記載のようにして製造できる。
本発明の組合せ剤で使用するためのさらに別のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤アザシチジン(別称5−アザシチジン、5−アザシチジン又はVidaza)は皮下投与用低メチル化剤及びDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤である。これは難治性貧血(RA)又は環状鉄芽球のあるRA、エクセスブラストのあるRA、形質変換でのエクセスブラストのあるRA及び慢性骨髄単球白血病を含む全ての骨髄異形成症候群(MDS)サブタイプの処置に処方される。
5−アザシチジン(Vidaza)は、MDSの処置には毎日2回皮下又は静脈内経路で投与できる。
Figure 2009543770

これはCeskoslovenska Akademie VedのDE 1922702、GB 1227691及びFR 2008048 及びPharmionのWO2004082618、 WO2004082619及びWO2004082822に記載の方法及び類似の方法で製造できる。
薬量:
DNAメチル化剤(例えばテモゾロミド)は体表面積平方米当り例えば、0.5〜2.5mg(mg/m)の投与量、特に約1.3mg/mの投与量を投与できる。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
19.プロテアソーム阻害剤
定義
本発明で使用する用語「プロテアソーム阻害剤」は、例えば、細胞周期に含まれる経路のような多数の短寿命の生物学的経路の半減期を直接的又は間接的に妨害、中断、遮断、調節又は阻害する化合物を示す。それ故、この用語はプロテアソーム(他の細胞タンパク質のターンオーバーに関連する大きなタンパク質複合体)の作用を遮断する化合物を含む。この用語はまた上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)も包括する。
生物学的活性:
本明細書に記載の通りに1個以上の薬理学的作用によって作用するプロテアソーム阻害剤は適切な抗癌剤であることが同定されている。
技術的背景:
抗癌剤の他のクラスはプロテアソーム阻害剤である。プロテアソームは、例えば、細胞周期に含まれるような多数の寿命の短い生物学的経路の半減期を制御する。それ故、プロテアソームの機能不全は細胞周期の制御異常と無制御な細胞増殖を招く。
細胞周期は正及び負の両方のシグナルによって制御される。正常な細胞ではプロテアソームは細胞周期を阻害するタンパク質、例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤を破壊する。プロテアソーム機能の阻害は細胞周期の停止と細胞死を起す。腫瘍細胞は正常細胞よりもこの作用に感受性であるが、その理由は分裂が速いこと及び正常な制御回路が破壊されていることにある。プロテアソーム阻害に対する正常細胞及び癌細胞の異なる応答の機構は完全には理解されてはいない。全体として、癌細胞はプロテアソーム阻害剤に対してより感受性であり、その結果この阻害剤はある種の癌に対して有効な治療剤である。
このプロテアソーム阻害剤の一つはボルテジミブであり、化学名[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸を有する。ボルテジミブはプロテアソームの触媒部位における重要なアミノ酸、すなわちトレオニンと特異的に相互作用する。ボルテジミブは多発性骨髄腫の他に白血病、リンパ腫、及び前立腺、膵臓及び直腸結腸の癌を含む多数の癌の処置に使用されている。これに加えて、Velkadeは非ホジキンリンパ腫の処置に有用である。
課題:
ボルテジミブの最も一般的な副作用は、悪心、疲労、下痢、便秘、血小板数減少、発熱、嘔吐及び食欲減退である。ボルテジミブは末梢神経障害も起す。そこで、患者の有害な毒性副作用の可能性を低減する低用量で使用するための手段を提供する必要がある。
好適例及び特定の態様:
本発明に従って使用するのに好ましいプロテアソーム阻害剤はボルテジミブを含む。ボルテジミブは例えばMillennium Pharmaceuticals Incから商品名Velkadeの下に市販されており、また例えばPCT特許明細書WO96/13266に記載の方法又はその類似方法によって製造できる。
薬量:
プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテジミブ)は、例えば、100〜200mg/mの投与量で投与できる。この用量は処置の過程で例えば1回、2回又はそれ以上を投与してもよく、これは7日、14日、21日又は28日毎に反復してもよい。
抗生物質ブレオマイシンも本発明による抗癌剤で細胞傷害剤として使用できる。
20.オーロラ阻害剤
本発明の一態様では、付加的化合物はオーロラキナーゼの阻害剤である。本発明の組合せ剤で使用するオーロラ阻害剤を以下に詳記する。
定義:
本明細書で用いる用語「オーロラキナーゼ阻害剤」(又は略して「オーロラ阻害剤」)は本明細書に記載するオーロラキナーゼのアイソフォームA、B及び/又はCの何れかの活性を阻害又は調節する化合物を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及びその保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。
技術的背景:
オーロラキナーゼは細胞周期、特に細胞分裂の過程の制御に役割を演じている(細胞周期の有糸分裂期に重要な役割を有する)。それ故オーロラキナーゼ阻害剤は増殖、細胞分裂、分化に障害のある疾患、例えば、癌の処置に利用できよう。特に細胞分裂及び/又は紡錘体に欠陥のある腫瘍は、オーロラキナーゼ阻害剤に特に感受性であり得る。
オーロラキナーゼ阻害剤の例は、AZD1152、MK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235、特にMK0457(VX680)、PHA−739358、MLN−8054、MP−235を含む。AZD1152は臨床試験中である。AZD1152はプロドラッグであって、血中で迅速に活性型AZD1152−HQPA(AZD−1152ヒドロキシ−QPA;次式構造)に変換される。進行固形悪性腫瘍患者での早期試験では、AZD1152は毎週2時間点滴でp53に独立な細胞の多核化と倍数体を誘発し、アポトーシスが起きる。この早期試験は好中球減少症が用量限定的な毒性であることを示す(ASCO 2006)。
Figure 2009543770

AZD1152及びAZD1152−HQPAはWO02/00649に記載の方法又はその類似方法によって製造できる。
MK0457(VX−680)は臨床評価中である。MK0457は難治性悪性腫瘍患者に28日毎に5日連続点滴で投与されている。この早期試験によれば用量限定的な毒性は好中球減少症である(ASCO 2006)。
Figure 2009543770

MK0457はHarrington et al, Nat Med. 2004 Mar; 10(3): 262−7及びWO02/057259、WO02/059111、WO02/059112、WO02/062789、WO02/068415、WO02/066461、WO02/050065、WO02/050066及び特にWO2004/000833に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
PHA−739358は次式構造を有し、Nerviano Medical Sciences Srlが多施設中心で第I相投与量増加臨床試験で評価中である。
Figure 2009543770

PHA−739358は Fancelli et al, Journal of Medicinal Chemistry (2005), 48(8), 3080−3084及びWO02/12242に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
MLN−8054は化学名4−[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ベンゾ[c]ピリミド[4、5−e]アゼピン−2−イルアミノ]安息香酸(次式構造)を有し、現在リンパ腫を含む難治性固形腫瘍患者について多施設で第I相投与量増加臨床試験で評価中である。
Figure 2009543770

MLN−8054はWO2005/111039に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
SuperGen、は2006年4月にMontigenを合併後、MP−235(HPK−62)、(4−(6,7−ジメトキシ−9H−1,3,9−トリアザフルオレン−4−イル)ピペラジン−1−カルボチオ酸[4−(ピリミジン−2−イルスルファモイル)フェニル]アミド(次式構造)を含む、アポトーシスを誘導し、細胞分裂を阻害する一連の低分子オーロラ−2キナーゼ阻害剤を、膵臓癌を含む種々の癌の処置での可能性について研究している。MP−235はWO2005/037825に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
21.Hsp90阻害剤
定義:
本明細書で用いる用語「Hsp90阻害剤」は本明細書に記載する熱ショックタンパク質90の活性を阻害又は調節する化合物を示す。
技術的背景:
熱、毒素、放射線、感染、炎症及びオキシダントを含む細胞ストレスに応答して、全細胞は共通の熱ショックタンパク質(Hsp)のセットを産生する(Macario & de Macario 2000)。殆どの熱ショックタンパク質は分子シャペロンとして作用する。シャペロンは折りたたみの中間段階にあるタンパク質と結合し、安定化させて、タンパク質をその機能的状態になるように折りたたむ。正常な条件下ではHsp90は最も豊富な細胞質ゾルHspである。ヒトのHsp90アイソフォームには2種あり、多いフォームはHsp90α、少ないフォームはHsp90βである。Hsp90は折りたたみの後期段階でタンパク質を結合するが、基質のタンパク質が殆どシグナル形質導入に関与している点で他のHspと区別される。Hsp90のN端ポケットに結合するATPが加水分解されることが証明されている。このATPase活性がHsp90に立体配座変化を起し、これが結合相手タンパク質に立体配座を変化させるために必要である。
Hsp90の活性化は種々の他種シャペロンタンパク質との相互作用によってさらに調節され、Hsp70、Hip、Hop、p23及びp50cdc37を含む他種シャペロンとの複合体の中に分離できる。多数の他種コシャペロンタンパク質もHsp90に結合することが証明されている。Hsp90が正常細胞の「潜在性」複合体に対比して腫瘍細胞では主として「活性化」マルチシャペロン複合体内に見出されることにはいくつかの証拠がある。
癌表現型に関する遺伝子不安定性の増加は、非天然又は変異タンパク質の産生の増加を招く。ユビキチン経路はこれらタンパク質をプロテアソーム分解の標的とすることによって非天然又は不適当な折りたたみのタンパク質から細胞を保護することにも役立つ。変異タンパク質は本来天然ではないため、構造不安定性を示し、シャペロン系への必要性が増す可能性がある(Giannini et al., Mol Cell Biol. 2004; 24(13): 5667−76)。
報告されたHsp90結合相手タンパク質の数は今では100を超える。多くの結合相手タンパク質が細胞のシグナル伝達増殖及び生存に関与しているので、Hsp90は癌研究の標的として注目を集めている。細胞の増殖と生存に関係するHsp90タンパク質キナーゼの結合相手タンパク質は;細胞Src(c−Src)、ErbB2(Her2/neu)、Polo様キナーゼ(Plks)、Akt(PKB)、c−Raf、B−RAF、Mek、上皮増殖因子受容体(EGFR)、FMS−様チロシンキナーゼ3(FLT3)、c−met、Cdk1、Cdk2、Cdk4及びCdk6、Wee−1、変異p53、低酸素誘導因子−1a(HIF−1a)を含む。
Hsp90阻害剤の例は、ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)、17−AAG、例えば、Kos−953及びCNF−1010、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024(経口プリン)及びIPI−504、特に17−AAG例えば、Kos−953及びCNF−1010、17−DMAG(Kos−1022)、CNF−2024及びIPI−504を含む。好適な化合物はゲルダナマイシン類似体例えば、17−AAG例えば、Kos−953及びCNF−1010、17−DMAG (Kos−1022)及びIPI−504である。
アンサマイシン抗生物質ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)及び17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)はATP結合部位阻害剤であって、ATPの結合を遮断して成熟複合体への変換を阻止する(Grenert et al., 1997. J Biol Chem., 272: 23834−23850)。Hsp90は普遍的に発現されるが、GAとその類似体は腫瘍細胞系統に由来するHsp90には正常細胞系統に由来するものよりも高度な結合親和性を示す(Kamal et al., Nature 2003; 425: 407−410)。GAは腫瘍細胞にはより強力な細胞毒性活性を示し、異種移植マウスモデルでは高濃度で腫瘍内に隔離される(Brazidec J. Med. Chem. 2004, 47, 3865−3873)。さらに癌細胞内ではHsp90のATP−ase活性は上昇しており、その細胞でストレスが増加している指標になる。Hsp90遺伝子の増幅が癌の後期に起きているとの報告がある(Jolly and Morimoto JNCI Vol. 92, No. 19, 1564−1572, 2000)。
17−AAG(NSC−330507、17−アリルアミノゲルダナマイシン)はゲルダナマイシンの注射用半合成誘導体であり、Hsp90のポリケチド阻害剤であって、Maryland大学で同定され、Kosan BiosciencesがNational Cancer Institute (NCI)とUK Institute of Cancer Researchと協力して癌の処置の可能性について開発中である。17−AAGの研究は黒色腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)及びホジキンリンパ腫(HL)について開始され、又はイマニチブ(qv)との組合せ剤療法として慢性骨髄性白血病(CML)について開始されている。
17−AAGの構造は次式の通り。これはWO02/36574に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
KOS−953はKosanが開発した17−AAG製剤であって、患者の耐容性を改善し、大きな安定性を提供する目的で、初期製剤で使用されたDMSO−eggレシチン賦形剤に置き換えるものである。これはWO2005/110398に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
ConformaはCNF−1010すなわち17−AAG(qv)の溶媒不含脂質製剤を癌の静注処置の可能性について開発中である。これはWO03/026571、 WO02/069900及びWO2006/050333に記載の方法及びそれに類似の方法で製造できる。Conformaは17−AAGの経口投与剤をUS 2006/0067953に記載している。
17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン塩酸塩、NSC−707545;次式構造)は17−AAG(qv)の類似体である。これは水溶性のゲルダナマイシン誘導体であって、進行固形腫瘍について治験中である。National Cancer Institute(NCI)の許可の下、Kosanは固形腫瘍処置の可能性について、KOS−1022(17−DMAG)の脈管内用製剤を開発中である。Kosanはまた同じ適応でKOS−1022(qv)の経口製剤を開発中である。
Figure 2009543770

これはWO03/013430に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
Infinityは静脈内投与用水性製剤に可溶な17−AAG(qv)の別な類似体であるHsp90阻害剤、すなわちIPI−504を癌処置の可能性について開発中である。Infinityは多発性骨髄腫(MM)及び胃腸基質腫瘍(GIST)についてIPI−504の研究を開始したが、この化合物は他の血液学的腫瘍及び固形腫瘍についても可能性がある。17−AAGの還元体であるIPI−504の構造は化学名18,21−ジデヒドロ−17−デメトキシ−18,21−ジデオキソ−18,21−ジヒドロキシ−17−(2−プロペニルアミノ)ゲルダナマイシン・モノ塩酸塩であって、次式構造を有する。これはWO2005/ 063714に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
Conforma Therapeuticsは癌処置の可能性について合成経口Hsp90阻害剤であるCNF−2024を開発中である。CNF−2024は経口用プリン類似体である。これはJ Med Chem (2006) 49: 817−828に記載の方法で製造できる。
Figure 2009543770
22.チェックポイント標的剤
細胞増殖周期はまず細胞が染色体を複製し、次に細胞分裂又は細胞質分裂を行う複雑な経路である。この周期の種々の段階には、適当な事象が全て起きるまでそれ以上の進行を止める機構が存在する。これで細胞が必要な逐次的様式で周期を進捗する間に細胞DNAの完全性を確保する。このようなチェックポイントは細胞分裂中に存在することが知られている。これはそれぞれ細胞分裂又は紡錘体チェックポイントと呼ばれる。細胞は全ての染色体が中心体を経て有糸分裂紡錘体に適切に付着するまでこのチェックポイントに留め置かれる。このチェックポイントの異常は、癌細胞に典型的な異数体表現型や娘細胞における染色体不均衡を招く。ある種の癌治療法はこのチェックポイントが破壊され、染色体の整列不良又は未成熟細胞質分裂を起してチェックポイントが活性化し、これが腫瘍細胞の優先的細胞死を招くことによって作用することが知られている。例えばタキサンとエポチロンは紡錘体チューブリンを安定化して、正常な紡錘体収縮過程を阻止する一群の薬剤である。ビンカアルカロイドは別な群の薬剤であって、微小管の主要なタンパク質であるチューブリンに作用して紡錘体形成を阻止するように作用する。DNAの損傷又はDNA複製の途絶を起す薬剤には白金化合物及びヌクレオシド類似体例えば、5−FUを含み、チェックポイントでの細胞休止とそれに続く細胞死を招来する。そこでその治療的作用には機能性のあるチェックポイントが必要である。
チェックポイントを標的とする別な薬剤はDNA損傷又はDNA複製の破壊を起して、チェックポイントでの細胞停止及びそれに続く細胞死を起すもので、白金化合物例えば、シスプラチン及びヌクレオシド類似体例えば、5−FUを含む。ここに、オーロラキナーゼ阻害剤と白金化合物及びヌクレオシド類似体との併用は細胞を細胞傷害効果に対して敏感にすることができるので有益であろうと期待される。特定の白金化合物及びヌクレオシド類似体は本明細書に記載してある。
チェックポイントを標的とする別な薬剤であって、細胞周期チェックポイントを活性化、阻害又は調節し、本発明の組合せ剤で使用するために特に有益であると期待されるものは、例えば、polo様キナーゼ阻害剤(Plk)、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリーの阻害剤及びキネシン阻害剤を含む。polo様キナーゼはM期での細胞周期進行の重要な調節剤である。Plkは細胞分裂紡錘体装置の会合及びCDK/サイクリン複合体の活性化に関与する。Plk1はCdc25Cのリン酸化及び活性化によってCDKのチロシン脱リン酸化を制御する。CDK1活性化は紡錘体形成及びM期への移行を招来する。チェックポイントキナーゼ例えば、Chk1及びChk2の重要性は本明細書に記載してある。
そこで、途絶細胞分裂チェックポイントを途絶させ、それ故本発明の化合物と有益に組合せられる開発中の他の薬剤はpolo様キナーゼ阻害剤(例えば、BI−2536)、CHKキナーゼ阻害剤(例えば、イロフルベン(CHK2阻害剤)、7−ヒドロキシスタウロスポリン(UCN−01、CHK1とPKCとの阻害剤)及びPD−321852)、BUBキナーゼファミリーの阻害剤、及びキネシン阻害剤(別称細胞分裂キネシン紡錘体タンパク質(KSP)阻害剤)例えば、CK0106023、CK−0060339及びSB−743921(次式構造)を含む。
Figure 2009543770

CK0106023、CK−0060339及びSB−743921はWO01/30768 及び WO01/98278に記載の方法及びそれに類似の方法で製造し、使用できる。
CHKキナーゼ阻害剤はイロフルベン、UCN−01及びPD−321852を含む。イロフルベン(次式構造)はきのこOmphalotus illudensから分離した毒素イルジンSから誘導した半合成化合物であって、卵巣、前立腺、肝細胞、乳腺、肺臓及び結腸の癌及び神経膠腫を含む難治性及び再発腫瘍の処置に可能性がある。これはWO98/05669 に記載の方法及びそれに類似の方法で合成できる。
Figure 2009543770
PD−321852はチェックポイント キナーゼ Chk1阻害剤(次式構造)であって、Pfizer が癌の処置の可能性について研究している。これはWO01/53274、WO01/53268、特にWO03/091255に記載の方法及びそれに類似の方法で製造し、使用できる。
Figure 2009543770
BI−2536(次式構造)はセリン−トレオニンキナーゼpolo様キナーゼ−1(PLK−1)の阻害剤であって、固形腫瘍を処置できる可能性がある。これはWO2004/ 076454、 WO2006/018220、 WO2006/018221 及び WO2006/018222に記載の方法及びそれに類似の方法で製造し、使用できる。
Figure 2009543770
これに加えて、G2/M期において細胞を休止させるチェックポイントを標的とする薬剤は、同様な有益な効果を有する本発明の組合せ剤と併用できよう。それ故、白金化合物及びCDK阻害剤は本発明の組合せ剤との併用が有益であろうと期待され、別なチェックポイント標的薬剤である。特定の白金化合物及びCDK阻害剤は本明細書に記載してある。
そこで、本発明に従って使用するためのチェックポイント標的薬剤の例は白金化合物、ヌクレオシド類似体、CDK阻害剤、タキサン、ビンカアルカロイド、polo様キナーゼ阻害剤、CHKキナーゼ阻害剤、BUBキナーゼファミリーの阻害剤及びキネシン阻害剤、特に白金化合物、ヌクレオシド類似体、タキサン及びビンカアルカロイド、さらに特定的には細胞分裂チェックポイントを標的とするチェックポイント標的薬剤例えば、タキサン及びビンカアルカロイドを含む。本発明の特定的組合せ剤はシスプラチン又はビンブラスチン又はタキソール又は5−FU、特にタキソールを含む。
本発明に従って使用するためのチェックポイント標的薬剤の特定の例はpolo様キナーゼ阻害剤、CHKキナーゼ阻害剤、BUB キナーゼ ファミリーの阻害剤及びキネシン阻害剤を含む。一態様では、本発明の組合せ剤で使用するための任意の付加的薬剤はBI−2536、イロフルベン、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PD−321852、CK0106023、CK−0060339及びSB−743921から選択される。
23.DNA修復阻害剤
DNA修復阻害剤はPARP阻害剤を含む。
定義:
本明細書で使用するための用語「PARP阻害剤」は、ポリアデノシンジホスフェートリボース(ポリ(ADP−リボース))核酵素ファミリーの活性を阻害又は調節する化合物を示し、その上記イオン性、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及び保護体(好ましくはその塩もしくは互変異性体もしくは異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物、より好ましくは、その塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物)を含む。これは「DNA修復阻害剤」とも称される。
生物学的活性:
PARP阻害剤には化学増感剤としての役割(例えば抗癌剤療法後のDNA修復防止)があり、また抗癌剤療法に対する総体的な患者応答を強化する役割を果たすであり得る。PARP阻害剤はDNA修復に本質的欠陥のある腫瘍の患者では単独で抗癌剤として作用し得る。
技術的背景:
PARP酵素はADP−リボース単位を200個含む分枝ポリマーであるポリ(ADP−リボース)を合成する。ポリ(ADP−リボース)のタンパク質受容体は、直接的又は間接的にDNAの完全性の維持に関与している。これにはヒストン、トポイソメラーゼ、DNA及びRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、及びCa2'−及びMg2−依存性エンドヌクレアーゼを含む。PARPタンパク質は多数の組織、特に免疫系、心臓、脳及び生殖系細胞に高レベルで発現される。正常な生理学的条件下には、PARP活性は最小である。しかし、DNAの損傷は直ちにPARPを500倍まで活性化する。
PARPは損傷したDNA断片によって活性化され、一旦活性化されると、ヒストン及びPARP自体を含む種々の核タンパク質へのADP−リボース100ユニットまでの結合を触媒する。PARP阻害剤、例えば3−アミノベンズアミドが、例えば過酸化水素又はイオン化放射線に反応してDNA修復全体に影響を与えることが知られている。DNA鎖切断、特にイオン化放射線によって直接起きた時又は間接的にDNA損傷の酵素的修復後のメチル化剤、特にテモゾラミド、トポイソメラーゼI阻害剤及びその他の化学療法剤、例えば、シスプラチン及びブレオマイシンで誘発された時のDNA鎖切断の回復におけるPARPの枢要な役割は同定されている。ノックアウトマウス、トランス−優越阻害モデル(DNA結合ドメイン過剰発現)、アンチセンス及び低分子量阻害剤を用いる種々の試験は、DNA損傷誘導後の修復及び細胞生存におけるPARPの役割を証明する。PARP酵素活性の阻害は腫瘍細胞のDNA損傷処理に向けた感受性の増強を招くはずである。
PARP阻害剤は腫瘍細胞の放射線感作(低酸素)に有効であり、放射線療法後のDNAの潜在的致死及び致死的損傷からの回復防止に有効であると報告されているが、これはおそらくそのDNA鎖切断の再結合を阻止することによるか、いくつかのDNA損傷がシグナル伝達経路に影響を与えることによると思われる。PARP阻害剤は癌の処置に使用されている。当技術分野の最近の包括的な総説はLi and Zhang in IDrugs 2001, 4(7): 804に発表されている。
好適例及び特定の態様:
本発明に従う使用のために好適なPARP阻害剤は、Bayerからのベンダムスチン(5−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−1−メチル−2−ベンズイミダゾール酪酸又はα−[1−メチル−5−[ビス(β−クロロエチル)アミノ]−2−ベンズイミダゾリル]酪酸)、Inotek PharmaceuticalsのINO−1001(Pardex)、BiPar SciencesからのBSI−201、PfizerからのAG−014699及び小野薬品からのONO−2231(N−[3−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−フタラジニル)フェニル]−4−モルホリンブタンアミドメタンスルホネート)から選択される。
薬量:
PARP阻害剤は有益には1日投与量20〜100mg、例えばベンダムスチンでは80〜120mg/m脈管内点滴30〜60分を21日周期で投与する。重要なPARP阻害剤はPfizer製品で、転移黒色腫で第III相併用臨床試験中である。これは静脈内に第1日から第5日に21日周期で投与する。
24.Gタンパク質共役受容体(GPCR)の阻害剤
好適なGPCRはアトラセンタン(3−ピロリジンカルボン酸4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−[2−(ジブチルアミノ)−2−オキソエチル]−2−(4−メトキシフェニル)−、[2R−(2.α.,3.β.,4.α.)]−)である。Abbott Laboratoriesからのアトラセンタンは強力で選択的なエンドセリンA受容体拮抗剤であり、前立腺癌の処置に用いられる。例えば神経膠腫、乳腺腫瘍、肺臓腫瘍、脳腫瘍、卵巣腫瘍、直腸結腸腫瘍及び腎臓腫瘍のような別種の癌でも生物学的活性の証拠がある。
薬量:
アトラセンタンは有益には1日投与量例えば10mgを経口投与する。
抗癌剤の組合せ剤
本発明の組合せ剤は1種、2種以上の付加的化合物を含んでいてもよい。この態様では、付加的化合物は抗癌剤であってもよい。この態様では抗癌剤はカルボプラチン、シスプラチン、タキソール、タキソテール、ゲムシタビン、及びビノレルビンから独立して選択してもよい。好ましくはこの抗癌剤はカルボプラチン、タキソール及びビノレルビン、又はカルボプラチン及びタキソールである。
式(I)又は式(0)の化合物と式(I''')の化合物とカルボプラチン、タキソール及びビノレルビンとの組合せ剤あるいは式(I)又は式(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にカルボプラチン及びタキソールを加えたものは、非小細胞肺癌の処置に特に適する。
あるいは、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に白金剤、タキソール、タキソテール、ゲムシタビン、ペメトレキセド、マイトマイシン、イホスファミド、ビノレルビン、エルロチニブ及びベバシズマブとを加えたもの又はカルボプラチン及びタキソール又はシスプラチンとゲムシタビンとを加えたものは特に非小細胞肺癌の処置に好適である。
一態様では、この抗癌剤は5−FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、CPT11、及びベバシズマブから独立して選択される。好ましくは、この抗癌剤は5−FU、ロイコボリン及びCPT11又は5−FU、ロイコボリン及びオキサリプラチンである。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に5−FU、ロイコボリン及びCPT11を加えたもの又は式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に5−FU、ロイコボリン及びオキサリプラチンを加えたものは特に結腸癌の処置に適する。これに加えて、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に5−FU、ロイコボリン及びCPT11を加えたもの又は各々ベバシズマブを加えた5−FU、ロイコボリン及びオキサリプラチンを加えたものは特に結腸癌の処置に適する。
一態様では、抗癌剤はメトトレキサート、タキサン、アントラサイクリン例えば、ドキソルビシン、ハーセプチン、ラパチニブ、ベバシズマブ、ミトザントロン、エポチロン、5−FU、及びシクロホスファミドから独立して選択される。他の態様では、抗癌剤はメトトレキサート、タキサン、アントラサイクリン例えば、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−FU、及びシクロホスファミドから独立して選択される。一態様では、抗癌剤はタキサン、アントラサイクリン例えば、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−FU及びシクロホスファミドから独立して選択される。一態様では抗癌剤は5−FU、メトトレキサート、シクロホスファミド及びドキソルビシンから独立して選択される。好ましくは抗癌剤は5−FU、メトトレキサート及びシクロホスファミド又は5−FU、ドキソルビシン及びシクロホスファミド又はドキソルビシン及びシクロホスファミドである。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に5−FU、メトトレキサート及びシクロホスファミドを加えたもの、又は式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に5−FU、ドキソルビシン及びシクロホスファミドを加えたもの、又は式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にドキソルビシン及びシクロホスファミドを加えたもの、は特に乳癌の処置に適する。
一態様では、抗癌剤はシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン及びプレドニソンから独立して選択される。他の態様では、抗癌剤はシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、リツキシマブ及プレドニソンから独立して選択される。好ましくは抗癌剤はシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン及びプレドニソン又はシクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニソンであって、リツキシマブを加えてあってもなくてもよい。好ましくは、抗癌剤はシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン及びプレドニソン、又はシクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニソンである。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン及びプレドニソンを加えたものは、特に非ホジキンリンパ腫(及び特に高悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に適する。式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、リツキシマブ及びプレドニソンを加えたものは、特に非ホジキンリンパ腫(及び特に高悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に適する。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にシクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニソンを加えたものは特に非ホジキンリンパ腫(及び特に低悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に適する。式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にシクロホスファミド、ビンクリスチン、リツキシマブ及びプレドニソンを加えたものは特に非ホジキンリンパ腫(及び特に低悪性度非ホジキンリンパ腫)の処置に適する。
一態様では、抗癌剤はビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンから独立して選択してもよい。他の態様では、抗癌剤はビンクリスチン、サリドマイド、ドキソルビシン、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンから独立して選択する。好ましくは 抗癌剤はビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンである。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイド及びデキサメタゾンを加えたものは特に多発性骨髄腫の処置に適する。これに加えて、ビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンを加えた組合せ剤は特に多発性骨髄腫の処置に適する。
一態様では、抗癌剤は:(a)フルダラビン及びリツキサマブ又は(b)フルダラビン、アルメンツザマブ及びリツキサマブから独立して選択する。好ましくは抗癌剤はフルダラビン及びリツキサマブである。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にフルダラビン及びリツキサマブを加えたものは特に慢性リンパ球性白血病の処置に適する。
一態様では本発明の組合せ剤は、所望によりトポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、DNA結合剤、モノクローナル抗体、シグナルトランスダクション阻害剤及び微小管阻害剤(チューブリンを標的とする薬剤)例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5−FU、タキサン及びマイトマイシンCから選択される抗癌剤2種以上の組合せ剤を除外してもよい。
一態様では、本発明の組合せ剤は抗アンドロゲン剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、サイクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤及びCDK阻害剤から選択される抗癌剤少なくとも1種を含む。
疾患特異的抗癌組合せ剤
多発性骨髄腫
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイド及びデキサメタゾンを加えたものは特に多発性骨髄腫の処置に適する。これに加えて、ビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンを加えた組合せ剤は特に多発性骨髄腫の処置に適する。
式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に:(a)モノクローナル抗体(例えば、インターロイキン6を標的とするもの);(b)プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ);(c)プロテアソーム阻害剤及びコルチコステロイド(例えば、ベルケイド及びデキサメタゾン);及び(d)コルチコステロイド、アルキル化剤及びレノリダミド/サリドマイド(例えば、プレドニソロン、メルファラン及びサリドマイド)を加えたもの;は特に多発性骨髄腫の処置に適する。
黒色腫
黒色腫の処置に特に適するものは、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に:(a)DNAメチラーゼ阻害剤/低メチル化剤(例えば、テモゾラミド);(b)アルキル化剤(例えば、ダカルバジン又はフォテムスチン);及び(c)DNAメチラーゼ阻害剤/低メチル化剤(例えば、テモゾラミド)及びDNA修復阻害剤/PARP阻害剤;を加えたものである。
乳癌
乳癌の処置に特に適するものは、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に:(a)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブ及びベビシザマブ);(b)モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブ及びベビシザマブ)及びタキサン;及び(c)代謝拮抗剤(例えば、カペシタビン)及びシグナル伝達阻害剤(例えば、ラパチニブ)を加えたものである。
前立腺癌
特に前立腺癌の処置に適するものは、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤にホルモン及びGタンパク質共役受容体阻害剤を加えたものである。
非小細胞肺癌(NSCLC)
特にNSCLCの処置に適するものは、式(I)又は式(0)の化合物と式(I''')の化合物との組合せ剤に:(a)白金化合物及びタキサン;及び(b)白金化合物及び代謝拮抗剤を加えたものである。
本発明の特定の組合せ剤
本発明による特別な組合せ剤は、式(I)又は(0)の化合物と本明細書に規定する式(I''')の化合物及びそのサブグループとの組合せ剤に以下の2種以上の抗癌剤を加えたものを含む:すなわち、
癌(特に急性骨髄性白血病)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は、アントラサイクリン、Ara−C(別称シタラビン)、6−メルカプトプリン、チオプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ、オゾガミシン及び顆粒球コロニー刺激因子の2種以上から独立して選択される。これに加えて、癌(特に急性骨髄性白血病)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はアントラサイクリン、Ara−C(別称シタラビン)、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ、オゾガミシン及び顆粒球コロニー刺激因子の2種以上から独立して選択される。あるいは、この2種以上の抗癌剤は、アントラサイクリン、 Ara−C(別称 シタラビン)、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ、オゾガミシン及び顆粒球コロニー刺激因子の2種以上から独立して選択され得る。
癌(特に乳癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はベバシズマブ、タキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシン及びカペシタビン、特に5−FU、メトトレキサート及びシクロホスファミド;5−FU、ドキソルビシン及びシクロホスファミド;又はドキソルビシン及びシクロホスファミドから独立して選択される。好ましくは、癌(特に乳癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はタキサン、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシン及びカペシタビン、特に5−FU、メトトレキサート及びシクロホスファミド;5−FU、ドキソルビシン及びシクロホスファミド;又はドキソルビシン及びシクロホスファミドから独立して選択されてもよい。
典型的な投与レジメンは次のものを含む:
・シクロホスファミド毎日14日間100mg/m経口;ドキソルビシン1日目及び8日目に30mg/m静注;及びフルオロウラシル1日目及び8日目に500mg/m静注;28日毎に6周期まで反復。
・シクロホスファミドを1日目に600mg/m/静注;及びドキソルビシンを1日目に60mg/m静注;21日毎に4周期まで反復。
癌(特に慢性リンパ球性白血病(CLL))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はアレムツズマブ、クロランブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソロン、フルダラビン、ミトキサントロン及びリツキシマブ/リツキサマブ、特にフルダラビン及びリツキサマブから独立して選択される。好ましくは、癌(特に慢性リンパ球性白血病(CLL))の処置に用いる2種以上の抗癌剤は、クロランブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソロン、フルダラビン、ミトキサントロン及びリツキシマブ/リツキサマブ、特にフルダラビン及びリツキサマブから独立して選択される。
癌(特に慢性骨髄性白血病(CML))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はヒドロキシウレア、シタラビン、及びイマニチブから独立して選択される。これに加えて、癌(特に慢性骨髄性白血病(CML))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はヒドロキシウレア、シタラビン、インターフェロン−α及びイマニチブから独立して選択される。あるいは癌(特に慢性骨髄性白血病(CML))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はヒドロキシウレア、シタラビン、デサチニブ、ニロチニブ及びイマニチブから独立して選択される。
癌(特に結腸癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はセツキシマブ、5−フルオロウラシル、パンツズマブ、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11から独立して選択される。あるいは、癌(特に結腸癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はセツキシマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11、特に5−フルオロウラシル、ロイコボリン及びCPT11又はフルオロウラシル、ロイコボリン及びオキサリプラチンから独立して選択される。
あるいは、癌(特に結腸癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレキセド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11及びアバスチン、特に5−フルオロウラシル、ロイコボリン及びCPT11又はフルオロウラシル、ロイコボリン及びオキサリプラチンから独立して選択される。
典型的な投与レジメンは次のものを含む:
・フルオロウラシルを1日目〜5日目に400〜425mg/m静注;及びロイコボリンを1日目〜5日目に20mg/m静注;28日毎に6周期まで反復。
・イリノテカンを1日目、8日目、15日目、22日目に100〜125mg/m静注90分間;フォリン酸を1日目、8日目、15日目、22日目に20mg/m静注;及びフルオロウラシルを1日目、8日目、15日目、22日目に400〜500mg/m静注;疾患進行まで42日毎に反復。
・オキサリプラチンを1日目に85mg/m静注500mLD5W、120分間;フォリン酸を1日目、2日目に200mg/m静注120分間;フルオロウラシルを1日目と2日目に、400mg/m静注単回フォリン酸後;次にフルオロウラシルを1日目と2日目に600mg/m連続静注22時間;12周期まで12日毎に反復。
癌(特に多発性骨髄腫)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は、ビンクリスチン、ドキソルビシン、サリドマイド、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニソン、シクロホスファミド、エトポシド、パミドロネート、ゾレドロネート及びボルテゾミブ、特にビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンから独立して選択される。あるいは、癌(特に多発性骨髄腫)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニソン、シクロホスファミド、エトポシド、パミドロネート、ゾレドロネート 及びボルテゾミブ、特にビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾンから独立して選択される。
癌(特に非ホジキンリンパ腫)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、 ドキソルビシン/ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン/Onco−TCS(V/O)、プレドニソロン、メトトレキサート、シタラビン、ブレオマイシン、エトポシド、リツキシマブ/リツキサマブ、フルダラビン、シスプラチン、及びイホスファミド、特にシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン及び高悪性度NHL用にはプレドニソン又はシクロホスファミド、ビンクリスチン及び低悪性度NHL用にはプレドニソンから独立して選択される。
癌(特に非小細胞肺癌(NSCLC))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン及びビノレルビン、特にタキソール、ビノレルビン及びカルボプラチン又はタキソール及びカルボプラチンから独立して選択してもよい。あるいは癌(特に非小細胞肺癌(NSCLC))の処置に用いる2種以上の抗癌剤はベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン及びビノレルビンから独立して選択してもよい。癌(特に非小細胞肺癌(NSCLC))の処置に用いる特に好適な2種以上の抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン及びビノレルビン、特にタキソール、ビノレルビン及びカルボプラチン又はタキソール及びカルボプラチンから独立して選択される。特に2種以上の抗癌剤はゲムシタビンとシスプラチンから独立して選択される。
典型的な投与レジメンは次のものを含む:
・ゲムシタビンを1日目、8日目、15日目に1000mg/m静注;及びシスプラチンを1日目に75〜100mg/m静注;28日毎に4〜6周期まで反復。
・パクリタキセルを1日目に135〜225mg/m静注3時間;及びカルボプラチンを1日目にAUC6.0静注;21日毎に4〜6周期まで反復。
・ドセタキセルを1日目に75mg/m静注;及びカルボプラチンを1日目にAUC5又は6静注;21日毎に4〜6周期まで反復。
・ドセタキセルを1日目に75mg/m静注及びシスプラチンを1日目に75mg/m静注;21日毎に4〜6周期まで反復。
癌(特に卵巣癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤は白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン)、タキソール、ドキソルビシン、リポソーム封入ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、メルファラン及びミトキサントロンから独立して選択される。
癌(特に前立腺癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はミトキサントロン、プレドニソン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、シプロテロンアセテート、メゲストロール/メゲストレル、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸及びタキソテールから独立して選択される。あるいは、癌(特に前立腺癌)の処置に用いる2種以上の抗癌剤はミトキサントロン、プレドニソン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、シプロテロンアセテート、メゲストロール/メゲストレル、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸、プレドニソロン及びタキソテールから独立して選択される。
医薬製剤
本発明の組合せ剤の活性化合物は医薬用賦形剤を添加せずに投与することも可能であるが、活性化合物少なくとも1種と医薬的に許容される医薬的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、滑剤、又はその他の当業者に既知の物質及び所望により他の治療剤又は予防薬、例えば化学療法に関連する副作用の幾つかを低減又は緩和する薬剤1個以上を含む医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが望ましい。特にそのような薬剤の例には制吐剤及び化学療法に伴う好中球減少症を予防又は期間を短縮する薬剤及び赤血球又は白血球のレベル低下による合併症を防止する薬剤、例えばエリトロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及び顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含む。
そこで、本発明はさらに上記医薬組成物及び上記式(0)の活性化合物少なくとも1種を式(I''')の化合物少なくとも1種と所望により付加的化合物1個以上及び医薬的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定化剤又は本明細書に記載する他の物質を混合することを含む医薬組成物の製法を提供する。
本明細書に使用する用語「医薬的に許容される」は組合せ剤、化合物、物質、組成物、及び/又は用量剤に関して、正しい医学的判断の範囲内であり、対象(例えば、ヒトの)組織と接触する使用に適し、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題点もしくは合併症がなく、相応の合理的効果対リスク比を有することである。各担体、賦形剤などはその製剤の他成分と適合するという意味で「許容される」ものでなければならない。
従って、別な側面では、本発明は式(I''')の化合物と式(I)の化合物及びその本明細書に規定するサブグループを含む(又は実質的にそれからなる)組合せ剤を医薬的組成物の形で提供する。
医薬組成物は経口、非経腸、局所、鼻内、眼内、耳内、直腸内、膣内又は経皮投与のいずれかに適する剤形であることができる。非経腸投与を目的とする場合は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下への投与用に製剤化でき、又は標的とする器官又は組織への注射、点滴又はその他による直接的送達用に製剤化できる。この送達はボーラス注射、短時間点滴又は長時間点滴であってもよくまた受動送達でも適当な輸液ポンプを使うものであってもよい。
非経腸投与に適する医薬製剤は水性及び非水性の滅菌注射溶液を含むが、これは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、共溶媒、有機溶媒混合物、サイクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(乳剤の製造用及び安定化用)、リポソーム形成用リポソーム成分、ポリマーゲル形成用ゲル化可能なポリマー、凍結乾燥保護剤及び組合せ剤用の薬剤、特に溶液中で活性成分を安定化する薬剤及び意図するレシピエントの血液と等張にする組成物、を含んでいてもよい。非経腸投与用医薬製剤は水性及び非水性滅菌懸濁液の剤形であってもよく、これには懸濁剤及び増粘剤を含んでいてもよい(R. G. Strickly, Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, Vol 21(2) 2004, p 201−230)。
イオン化できる薬剤分子はその薬剤のpKが製剤のpH値から充分に離れていればpH調節によって所望の濃度に溶解できる。静脈内及び筋肉内投与できる範囲はpH2〜12であるが、皮下投与での範囲はpH2.7〜9.0である。溶液のpHは薬剤の塩型、例えば、塩酸又は水酸化ナトリウムのような強酸/強塩基のいずれかによって;又はこれに限定するものではないが、グリシン、クエン酸、アセテート、マレエート、コハク酸、ヒスチジン、リン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)又は炭酸を含む緩衝溶液を含む緩衝剤の溶液によって;制御される。
水性溶液及び水溶性有機溶媒/界面活性剤の混合物(すなわち共溶媒)はしばしば注射用製剤に使用される。注射用製剤で使用する水溶性有機溶媒及び界面活性剤は、これに限定するものではないがプロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、グリセリン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP;Pharmasolve)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ソルトールHS15、クレモホールEL、クレモホールRH60及びポリソルベート80を含む。このような製剤は、必ずではないが、通常注射前に希釈する。
プロピレングリコールPEG300、エタノール、Cremophor EL、Cremophor RH 60、及びポリソルベート80は完全に有機水混和性溶媒であり、市販の注射用製剤として使用される界面活性剤であり、各々相互に組合せて使用できる。得られる有機製剤は通常iv単回投与又は iv点滴投与の前に2倍に希釈する
あるいは、水溶性増強はシクロデキストリンを用いる分子複合体形成によっても達成できる。
リポソームは閉じた球状小胞で外側の脂質二層膜と内側の水性コアからなり、全体の直径は<100μmである。疎水性の程度に依存して、中等度に疎水性の薬剤はリポソームに封入または挿入すれば、リポソームによって可溶化できる。疎水性薬剤、疎水性薬剤が脂質二層膜の脂質部分に溶解して脂質二層膜の一部になれば、リポソームによって可溶化できる。典型的なリポソーム製剤は水と燐脂質5〜20mg/mL、等張化剤、緩衝剤pH5〜8及び 所望によりコレステロールを含む。
本製剤は例えばアンプル及びバイアルに密封して単回投与量又は複数回投与量の容器に入れて提供してもよく、また使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する凍結乾燥(フリーズドライ)状態で貯蔵し得る。
この医薬製剤は化合物を凍結乾燥して製造する。凍結乾燥は組成物を、フリーズ・ドライする工程を意味する。フリーズ・ドライと凍結乾燥とは本明細書では同義語として用いる。典型的な方法は化合物を溶解し、得られる製剤を浄化し、滅菌濾過し、滅菌的に凍結乾燥(例えば、バイアル)に適する容器に移す。バイアルの場合、リオ・ストッパー(lyo-stoppers)で部分的に栓をする。製剤を冷却して凍結し、標準的条件下に凍結乾燥し、次に密栓して安定な凍乾製剤を得る。この組成物は典型的には残存含水量が、例えば、凍乾剤の5重量%以下、例えば、1重量%以下と低い。
凍結乾燥製剤は他の賦形剤、例えば増粘剤、分散剤、緩衝剤、抗酸化剤、保存剤及び張性制御剤を含んでいてもよい。典型的な緩衝剤は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩及びグリシンを含む。抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセリン、チオウレア、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びエチレンジアミンテトラ酢酸塩を含む。保存剤は安息香酸とその塩、アスコルビン酸とその塩、p−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、フェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、塩化ベンズアルコニウム及び塩化セチルピリジニウムを含む。上記緩衝剤ならびにデキストロース及び塩化ナトリウムは、必要ならば張性調節にも使える。
増量剤は工程を容易にするため及び/又はバルク及び/又は凍結乾燥ケーキの力学的完全性を与えるために凍結乾燥技術で一般的に使用されている。増量剤は水に溶解度が高く、固体粒子希釈剤であって、その化合物又は塩と共に凍結乾燥すると物理的に安定な凍結乾燥ケーキ、適切な凍結乾燥工程及び迅速で完全な再構成を与える。増量剤は溶液を等張性にするためにも使用できる。
水溶性増量剤は凍結乾燥に典型的に使用される医薬的に許容される不活性固体物質のいずれであってもよい。この増量剤は、例えばグルコース、マルトース、蔗糖及び乳糖のような糖類;ソルビトール又はマンニトールのようなポリアルコール;グリシンのようなアミノ酸;ポリビニルピロリジンのようなポリマー;及びデキストランのような多糖類を含む。
増量剤の重量に対する活性化合物の重量は、典型的には約1対約5の範囲内であり、例えば約1対約3、例えば、約1対2の範囲内である。
あるいは、増量剤は溶液形態で提供され、それは濃縮して適当なバイアルに入れて密封され得る。投与形態の滅菌は製剤過程の適当な段階における濾過又はバイアルとその内容のオートクレーブ処理によって行ってもよい。この製剤は使用前に例えば適当な滅菌点滴パックでの希釈など希釈又は調製が必要なこともある。
即席の注射用溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製し得る。
本発明の好適な態様では、医薬組成物は静脈内投与、例えば注射又は点滴に適する剤形である。
非経腸注射用医薬組成物は医薬的に許容される滅菌水性又は非水性の液剤、分散剤、懸濁剤又はエマルジョンならびに使用直前に滅菌注射用溶液又は分散剤で再構成するための滅菌粉末を含むこともできる。適当な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤の例は水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールその他)、カルボキシメチルセルロース及びその適当な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)及び例えば、オレイン酸エチルのような注射用有機エステルを含む。適当な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング剤の使用によって;分散剤の場合は必要な粒子径の維持によって;及び界面活性剤の使用によって;維持できる。
本組成物は、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含んでいてもよい。微生物の作用の予防は、種々の抗最近及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の包含により確実にし得る。等張化剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム等の包含も望ましい。注射用医薬剤形は、例えば、アルミニウムモノステアレート及びゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を入れば持続的に吸収させることができる。
化合物又は組合せ剤が水性媒体中で安定でないか、又は水性媒体が低溶解性であるならば、有機溶媒中の濃縮物として製剤化できる。この濃縮物は次に水性系で低濃度に希釈し、投与の間の短時間、安定にできる。それ故、別の側面では、完全に1個以上の有機溶媒からなる非水性溶液を含む医薬組成物を提供し、そのまま投与するか又は通常には投与前に適当な静注用賦形剤(食塩、デキストロース;緩衝又は非緩衝)で希釈される(Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, 21(2), 2004, p201−230)。溶媒及び界面活性剤の例は、プロピレングリコール、PEG300、PEG400、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、Pharmasolve)、グリセリン、Cremophor EL、Cremophor RH 60及びポリソルベートである。特別な非水性溶液は70〜80%プロピレングリコールと20〜30%エタノールを含む。特に非水性溶液は70%プロピレングリコールと30%エタノールを含む。その他のものは80%プロピレングリコールと20%エタノールである。通常、この溶媒は併用して、また通常iv単回投与又はiv点滴投与の前に少なくとも2倍に希釈する。単回iv製剤の典型的な量はグリセリン、プロピレングリコール、PEG300、PEG400では〜50%、エタノールでは〜20%である。点滴iv製剤の典型的な量はグリセリンでは〜15%、DMAでは3%、プロピレングリコール、PEG300、PEG400及びエタノールでは〜10%である。
本発明の好適な一態様では、本医薬組成物は静脈内投与、例えば注射又は点滴に適する剤形である。静脈内投与では、溶液そのまま投与するか、又は投与前に点滴バッグ(例えば、0.9%食塩水又は5%でキストロースのような医薬的に許容される賦形剤を含む)に注入することができる。
別の好適な態様では本医薬組成物は皮下投与(sc)に適する剤形である。
経口投与に適する医薬的剤形は錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸薬、ロゼンジ剤、シロップ剤、液剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠、ウエハース剤又はパッチ剤及び口腔パッチ剤を含む。
医薬組成物は公知技術に従って製造できる。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, USAを参照。
そこで、錠剤組成物は活性化合物の単位投与量を不活性な希釈剤又は担体:例えば、糖類又は糖アルコール、例えば、乳糖、蔗糖、ソルビトール又はマンニトール;及び/又は非糖類希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、又はセルロース又はその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びデンプン、例えば、コーンスターチ;とともに含むことができる。錠剤は、例えば、標準的賦形剤、結合剤及び顆粒化剤、例えば、ポリビニルピロリドン;崩壊剤(例えば、膨潤用架橋ポリマー例えば、架橋カルボキシメチルセルロース);滑沢剤(例えば、ステアレート);保存剤(例えば、パラベン);抗酸化剤(例えば、BHT);緩衝剤(例えばリン酸又はクエン酸緩衝剤);及び発泡剤例えば、クエン酸重炭酸塩混合物;を含んでいてもよい。このような賦形剤は既知であり、ここで詳述する必要はない。
カプセル製剤は硬ゼラチン製又は軟ゼラチン製であってもよく、固体、半固体又は液体剤形の活性成分を含むことができる。ゼラチンカプセル剤は動物性ゼラチン又は合成ゼラチン又は植物由来ゼラチンから製造できる。
固体用量剤形(例えば、錠剤、カプセル剤など)はコーティングがあってもなくてもよいが、典型的には、例えば保護フィルムコーティング(例えば、蝋又はワニス)又は放出制御コーティングのようなコーティングを有し得る。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は消化管内の所望の位置で活性成分を放出するように設計できる。そこで、コーティングは消化管内で一定pH条件下に分解して、胃又は小腸又は十二指腸内で選択的に化合物を放出するように選択できる。
コーティングの代わりに又はコーティングに加えて、本薬剤は放出制御剤、例えば消化管の酸性又はアルカリ性の条件下に化合物を選択的に放出するのに適合させることができる放出遅延剤、を含む固体マトリックスに入れて提供することができる。あるいは、本マトリックス剤又は遅延放出コーティングは、崩壊可能なポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形であってもよく、このポリマーは薬剤が消化管を通るときに実質的に連続的に崩壊する。別な変形では化合物の放出を浸透圧制御する送達系に活性化合物を製剤化できる。浸透圧性放出及びその他の遅延放出又は持続放出製剤は、当業者によく知られた方法に従って製造できる。
医薬組成物は活性成分を約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%含む。本発明に従う医薬組成物は、例えば単位用量剤、例えば、アンプル剤、バイアル剤、坐剤、糖衣錠、錠剤又はカプセル剤であってもよい。
経口投与用医薬組成物は活性成分と固体の担体とを混合し、所望ならば得られる混合物を顆粒化し、所望又は必要ならば適当な賦形剤を添加後に、錠剤、糖衣錠コア錠又はカプセルとすることができる。それをプラスチックの担体に入れて所定量の活性成分を拡散又は放出させるようにすることもできる。
本発明の組合せ剤における使用のための化合物は、固体の分散剤として製剤化することもできる。固体の分散剤は2種以上の固体からなる均質な極めて微細な分散相である。固溶体(分子的分散系)は1種の固体分散剤であり、製薬技術での使用は良く知られており(Chiou and Riegelman, J. Pharm. Sci., 60, 1281−1300 (1971) 参照)、溶解速度向上及び水溶性の低い薬剤の生物学的利用能向上のために有用である。
薬剤の固体分散剤は一般に溶融法又は溶媒蒸発法によって製造される。溶融法では通常は半固体であるか蝋状である物質(賦形剤)を加熱して溶融させ、これに薬剤を溶解し、次に低温に冷却して固化する。次に固体の分散剤を粉砕し、篩過し、賦形剤と混合し、硬ゼラチンカプセルに封入するか、又は打錠して錠剤を得る。あるいは界面活性剤及び自身乳濁化する担体を利用すれば固体の分散剤を硬ゼラチンカプセルに溶融物として封入できる。溶融物を室温に冷却すれば固体のプラグがカプセル内部に形成される。
固体溶液は薬剤及び必要な賦形剤を水性溶液又は医薬的に許容される有機溶媒に溶解し、次いで医薬的に許容される方法、例えば、スプレー乾燥法を用いて溶媒を除去することによって製造できる。得られる個体は必要なら粉砕し、所望により賦形剤と混合し、錠剤とするか、カプセルに封入してもよい。
例えば、固体分散剤又は固溶体を製造するために特に適当なポリマー賦形剤はポリビニルピロリドン(PVP)である。
この組合せ剤は上記固溶体からなる固体剤形を含み得る。固体剤形は錠剤、カプセル剤及びチュアブル錠を含む。公知の賦形剤を固溶体と混合して所望の剤形とすることができる。例えば、カプセルは(a)崩壊剤及び滑剤;又は(b)崩壊剤、滑剤及び界面活性剤と混合した固溶体を含み得る。錠剤は固溶体を崩壊剤、滑剤、界面活性剤及び流動促進剤の少なくとも1種と混合して含むことができる。チュアブル錠は固溶体を増量剤、滑剤及び所望によりさらに甘味料(例えば、人口甘味料)及び適当な矯味剤と混合して含むことができる。
医薬製剤は一つの容器に処置の全コースを含む「患者用パック」に入れて患者に渡してもよい。これは通常はブリスターパックである。患者用パックは薬剤師が、患者がいつでも患者用パックに入れてある添付文書を入手できるように患者分の医薬をバルク供給から分配する点で、従来の処方箋調剤よりも利点がある。添付文書の封入は医師の指示に対する患者のコンプライアンスを改善することが証明されている。
従って、さらなる態様では、本発明は別々の用量単位を含むパッケージを提供するが、その一個以上は本明細書に定義する式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)の化合物及びそのサブグループを含み、及びその1個以上は式(I''')の化合物を含み、また所望によりその1個以上は付加的化合物を含む。本明細書に定義する式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)又は(VIII)の化合物及びそのサブグループ;本明細書に定義する式(I''')の化合物;及び所望により付加的阻害剤;を含む単位用量は本明細書に規定する活性成分を適量含有する。一つのパッケージには患者を所定の期間、例えば2週間、1月間又は3月間処置するために充分な錠剤、カプセル等を入れる。
局所使用のための組成物は軟膏、クリーム剤、スプレー剤、パッチ剤、ゲル剤、液滴剤及び挿入剤(例えば眼内挿入剤)を含む。この組成物は公知方法に従って製剤化できる。
非経腸投与用組成物は、典型的には滅菌水性又は油性溶液又は懸濁液として提供されるか、又は注射用滅菌水で即座に構成できる微細滅菌粉末の形で提供され得る。
直腸内又は膣内投与用製剤の例はペッサリー及び坐剤を含み、これは例えば活性化合物を含む成型可能な物質又はワックス材から製造され得る。
吸入投与用組成物は吸入可能な粉末組成物又は液剤又は粉末スプレー剤の剤形を取ることができ、粉末吸入装置又はエアロゾル投薬装置を用いて標準的な形で投与できる。そのような装置はよく知られている。吸入投与のためには、粉末化製剤は典型的には活性化合物を不活性固体粉末希釈剤、例えば乳糖と共に含む。
この組合せ剤又はその構成成分(例えば、式(I)又は(0)の化合物と式(I''')の化合物)は一般に単位投与量剤形で製造され、それ自体が典型的には所望の生物学的活性の所望のレベルを達成するに充分な化合物を含む。例えばこの製剤は活性成分1ナノグラム〜2グラム、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムを含んでいてもよい。この範囲内、特に化合物のサブレンジは活性成分0.1mg〜2g(通常には10mg〜1g、例えば、50mg〜500mg)、又は活性成分1μg〜20mg(例えば1μg〜10mg、例えば、0.1mg〜2mg)である。
経口組成物については、単位投与量形態は活性化合物1mg〜2g、より典型的には10mg〜1g、例えば50mg〜1g、例えば、100mg〜1gを含む。
この組合せ剤は必要とする患者(例えばヒト又は動物の患者)に所望の治療効果を達成するために充分な量を投与する。
処置方法
本発明の組合せ剤はサイクリン依存性キナーゼ及びグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患状態又は状態の予防又は処置に有用である。そのような疾患状態及び状態の例は上記である。
この組合せ剤は、一般に投与を必要とする対象、例えばヒト患者又は動物、好ましくはヒトに投与する。
この組合せ剤は、典型的には治療的又は予防的に有用な量、一般には非毒性的量で投与する。しかし、ある状況(例えば生命に危険のある疾患の場合)では、本発明の組合せ剤投与の利益は毒性又は副作用の欠点に優り、その場合、一定の毒性が伴う量で本組合せ剤を投与することが望ましいと考え得る。
本発明組合せ剤の構成化合物は有益な治療効果を持続するために長期にわたって投与してもよく、又は短期間だけ投与してもよい。あるいは本剤は律動的又は連続的様式で投与してもよい。
本組合せ剤を構成する化合物の典型的1日用量は100ピコグラム〜100mg/kg体重、より典型的には5ナノグラム〜25mg/kg体重、及びより通常には10ナノグラム〜15mg/kg(例えば、10ナノグラム〜10mg、また典型的には1μg/kg〜20mg/kg、例えば1μg〜10mg/kg)/kg体重の範囲であることができる。必要ならばこれより高い用量又は低い用量を投与してもよい。化合物は毎日投与することができ、又は例えば2日又は3日又は4日又は5日又は6日又は7日又は10日又は14日又は21日又は28日毎に反復して投与することもできる。
本発明組合せ剤を構成する化合物は、例えば1〜1500mg、2〜800mg又は5〜500mg、例えば、2〜200mg又は10〜1000mg、特に10、20、50及び80mgの用量範囲で経口投与してもよい。この化合物は1日1回以上投与してもよい。この化合物は連続的(すなわち治療計画中中断なしに毎日)に投与してもよい。あるいは、この化合物は間欠投与してもよく、すなわち一定期間、例えば1週間連続的に投与し、次に一定期間、例えば1週間中断し、次に一定期間、例えば1週間連続的に投与してもよいなどで処置レジメン期間中投与してもよい。間欠投与を含む処置計画の例は、1週投与、1週休薬;又は2週投与、1週休薬;又は3週投与、1週休薬;又は2週投与、2週休薬;又は4週投与、2週休薬;又は1週投与、3週休薬;の周期を1周期以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10周期以上反復するレジメンを含む。
しかし、究極的には投与する化合物の量及び使用する組成物の型は疾患の性質又は生理学的条件に相応し、医師の判断による。
従って、当業者は通常の一般的な知識によって使用すべき投与レジメン及び組合せ剤療法を知ることとなろう。好適な方法及び投与の順序及び各投与量及び組合せ剤の各成分の計画は、投与する式(0)の特定化合物及び式(I''')の化合物及び所望により付加的化合物、その投与経路、処置する特定腫瘍及び処置する宿主に依存することが認識される。最適な方法及び投与の順序及び用量及び計画は通常の方法及び本明細書に記載する常法を参照して当業者が容易に決定するものである。
本明細書に記載する本発明の組合せ剤はさらに特定的状態、例えば本明細書に上記した癌のような新生物疾患の処置のために他の化合物1個以上と組合せて投与できる。本発明の組合せ剤と同時に投与してもよい他の治療剤又は処置の例(同時に又は異なる時間的間隔で)は、これに限定するものではないが、次のものを含む:
・トポイソメラーゼI阻害剤;
・代謝拮抗剤;
・チューブリンを標的とする薬剤;
・DNA結合及びトポイソメラーゼII阻害剤;
・アルキル化剤;
・モノクローナル抗体;
・抗ホルモン剤;
・シグナル伝達阻害剤;
・プロテアソーム阻害剤;
・DNAメチルトランスフェラーゼ;
・サイトカイン及びレチノイド;
・クロマチンを標的とする療法;
・放射線療法;及び
・他の治療剤又は予防剤:例えば化学療法に伴う副作用のいずれかを低減又は寛解する薬剤。
このような薬剤の特定の例は制吐剤;及び化学療法に伴う好中球減少症を予防又は期間短縮する薬剤;及び赤血球又は白血球の低レベルに起因する合併症を防止する薬剤、例えばエリトロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、及び顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を含む。骨吸収を阻害する薬剤、例えば、ビホスホネート剤、例えばゾレドロネート、パミドロネート及びイバンドロネート;炎症性応答を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニソン及びプレドニソロン);及び、末端肥大症患者の成長ホルモン及びIGF−Iの血中濃度を低下させるために用いる薬剤、例えば、脳ホルモン・ソマトスタチンの合成型、すなわち天然ホルモン・ソマトスタチンの薬理学的性質に似た性質を有する長時間作用性オクタペプチドである酢酸オクトレオチド、も含む。さらに、葉酸の濃度を低下する薬剤に対する解毒剤として使用されるロイコボリンのような薬剤;又はフォリン酸自体;及び酢酸メゲストロールのような浮腫及び血栓塞栓事象を含む副作用の処置に使用できる薬剤も含む。
本発明の組合せ剤に存在する各化合物は個々に異なる投与計画で、異なる経路で投与してもよい。
式(0)の化合物及び式(I''')の化合物は同時又は逐次投与してもよい。逐次投与するときは、短い間隔(例えば5〜10分)で、又は長い間隔(例えば1、2、3、4時間又はそれ以上の時間離して、又は必要ならさらに長時間)で投与でき、その投与レジメンの詳細は治療剤の性質に対応する。
本発明の組合せ剤は非化学療法剤処置、例えば、放射線療法、光力学療法、遺伝子療法;外科手術及び食事療法と組み合わせて投与されてもよい。
組合せ剤療法で使用するには、式(I)の化合物及び式(I''')の化合物及び1、2、3、4種又はそれ以上の随意的な付加的化合物、例えば2、3、4種以上の付加的化合物を含む用量剤として製剤化する。あるいは、本発明の組合せ剤を構成する化合物を別々に製剤化して、所望により使用説明書と共にキットの形で一緒に投薬してもよい。
当業者は通常の一般的知識によって使用すべき投与レジメン及び組合せ剤療法を知り得る。
診断方法
本発明の組合せ剤はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)及び/又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK、例えば、GSK3)の活性を阻害又は調節するピラゾール化合物及び所望により付加的化合物1個以上を含む。この付加的化合物はそれ自体タンパク質キナーゼ調節又は阻害活性を示し、その活性は本組合せ剤のピラゾール成分とは全く異なっていてもよい(下記のように)。そこで、存在する付加的化合物の性質に依存して、組合せ剤全体は下記のものを含む種々の範囲のタンパク質キナーゼの1個以上の活性を阻害又は調節するものであってもよい。
式(0)の化合物及び式(I''')の化合物及び所望により本明細書に定義する付加的化合物を含む組合せ剤を投与する前に、患者が罹患し、又は罹患のおそれがある疾患又は状態がオーロラ及び/又はサイクリン依存性キナーゼに対する活性を有する組合せ剤での処置に感受性があるか否かを決定するために患者を選別してもよい。
例えば、患者から採取した生物学的標本を分析して、患者が罹患し、又は罹患のおそれがある疾患又は状態、例えば癌が、CDKの過剰活性化又は正常なCDK活性への経路の感受性化をもたらす遺伝的異常又は異常タンパク質発現によって特徴付けられるものであるかどうかを決定し得る。そのようなCDK2シグナルの活性化又は感受性化を起す異常の例は、サイクリンEの上方制御(Harwell RM, Mull BB, Porter DC, Keyomarsi K.; J Biol Chem. 2004 Mar 26; 279(13): 12695−705)、又はp21もしくはp27の欠失、又はCDC4変異体の存在(Rajagopalan H, Jallepalli PV, Rago C, Velculescu VE, Kinzler KW, Vogelstein B, Lengauer C.; Nature. 2004 Mar 4; 428 (6978):77−81)を含む。CDC4の変異体、サイクリンEの上方制御、特に過剰発現、又はp21あるいはp27の欠失を伴う腫瘍は、CDK阻害剤に対して特に感受性であり得る。あるいは、又はこれに加えて、患者から採取した生物学的標本を分析して、患者が罹患し、又は罹患のおそれがある疾患又は状態、例えば、癌がオーロラキナーゼの上方制御によって特徴付けられ、オーロラ阻害剤に感受性であるものであるかどうかを決定してもよい。用語「上方制御」は、発現上昇又は過剰発現を含み、これには遺伝子増幅(すなわち多重遺伝子コピー)及び転写作用による発現増加、及び突然変異による活性化を含む機能亢進及び活性化が含まれる。
そこで、患者に過剰発現、上方制御又はオーロラキナーゼ活性化に特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行うか、又は患者に、サイクリンEの上方制御、又はp21又はp27の欠失、又はCDC4変異体の存在に特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行えばよい。診断なる用語はスクリーニングを含む。マーカーには、例えば、オーロラ又はCDC4の変異を同定するためのDNA組成の測定を含む遺伝子マーカーが含まれる。用語「マーカー」は、オーロラ又はサイクリンEの上方制御に特徴的なマーカー、例えば、酵素活性、酵素レベル、酵素の状態(例えば、リン酸化有無)及び上記タンパク質のmRNAレベルに特徴的なマーカーを含む。サイクリンEの上方制御又はp21又はp27の欠失を有する腫瘍はCDK阻害剤に特に感受性であり得る。処置の前に腫瘍をサイクリンEの上方制御、又はp21又はp27の欠失について優先的にスクリーニングしてもよい。そこで、患者にサイクリンEの上方制御、又はp21又はp27の欠失に特徴的なマーカーを検出する診断試験を行えばよい。
この診断試験は典型的には腫瘍生検サンプル、血液サンプル(解離させた腫瘍細胞の単離及び富化)、糞便生検、喀痰、染色体分析、胸腔液、腹水、又は尿から選択される生物学的サンプルについて行う。
STK遺伝子(オーロラキナーゼAの遺伝子)のIle31変異を有する下位集団の一部を構成する個体は、ある型の癌に対する感受性が高いかもしれないと報告されている。Ewart−Toland et al., Nat Genet. 2003 Aug; 34(4): 403−12参照。それ故、癌を患っているそのような個体はオーロラキナーゼ阻害活性を有する組合せ剤の投与で利益を受けると思われる。癌に罹患した患者又は罹患のおそれがある患者を、Ile31変異を有する下位集団の一員であるかどうかについてアッセイする。これに加えて、ヒトの結腸直腸癌(Rajagopalan et al., Nature, 2004 Mar 4; 428 (6978): 77−81)及び内膜癌(Spruck et al., Cancer Res. 2002 Aug 15; 62(16): 4535−9)ではCDC4に変異(別称Fbw7又はArchipelago)が存在することが報告された。CDC4に変異を有する個体の同定はその患者がCDK阻害剤を用いる処置に特に適するであろうことを意味するかもしれない。処置の前に腫瘍をCDC4変異の存在について優先的にスクリーニングする。スクリーニング方法は典型的には直接的な配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、又は変異特異的な抗体を含む。
そのアイソフォームを含めてオーロラの活性化変異又はオーロラの上方制御を有する癌は、オーロラ阻害剤に特に感受性であり得る。腫瘍は、オーロラの上方制御又はIle31変異を有するオーロラについて優先的にスクリーニングする(Ewart−Toland et al., Nat Genet. 2003 Aug; 34(4): 403−12)。Ewart−TolandらはSTK15(アミノ酸置換F31Iを起す)に共通の遺伝子変異を同定したが、これはヒト結腸癌では優先的に増幅され、異数性度に関連する。この結果はヒトの癌の感受性においてSTK15のIle31変異が果たす重要な役割と一致する。特にオーロラAのこの多形は乳癌を発症させる遺伝子修飾剤であることが示唆されている(Sun et al, Carcinogenesis, 2004, 25(11), 2225−2230)。
オーロラA遺伝子は染色体20q13領域に位置し、多数の癌、例えば、乳腺、膀胱、結腸、卵巣、膵臓の癌でしばしば増幅されている。この遺伝子増幅を有する腫瘍の患者はオーロラキナーゼ阻害を標的とする処置に特に高感受性であり得る。
タンパク質、例えば、オーロラ異性体の変異及び上方制御、並びに染色体20q13増幅の同定法及び分析法は当業者に知られている。スクリーニング法は、これに限定するものではないが、例えば、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)又はインサイチュウ・ハイブリダイゼーションのような標準的方法を含む。
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍内のmRNAレベルはmRNAのcDNAコピーを作製し、続いてPCRによってcDNAを増幅することによって評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択及び増幅の条件は当業者に知られている。核酸の操作及びPCRは、例えば、次の文献に記載のような標準的方法で実施できる:例えばAusubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 2004, John Wiley & Sons Inc.,又はInnis, M.A. et−al., eds. PCR Protocols: a guide to methods and applications, 1990, Academic Press, San Diego。核酸技術を含む反応及び操作は次の文献にも記載されている:Sambrook et al., 2001, 3rd Ed, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press。あるいは市販のRT−PCRキット(例えば Roche Molecular Biochemicals)を使用してもよく、又は本明細書に参照により引用するUnited States patents 4666828、4683202、4801531、5192659、5272057、5882864、and 6218529に記載の方法を使用してもよい。
mRNA発現を評価するインサイチュウ・ハイブリダイゼーション技術の例は、蛍光インサイチュウ・ハイブリダイゼーション(FISH)(Angerer, 1987 Meth. Enzymol., 152: 649参照)である。
一般に、インサイチュウ・ハイブリダイゼーションは次の主な工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を増加させるための、及び非特異的結合を低下させるための、試料のプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造又は組織中の核酸のハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;及び(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。この方法で使用するプローブは典型的には、例えば放射性同位体又は蛍光リポーターで標識する。好適なプローブは、ストリンジェント条件下に標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能にするために充分な長さ、例えば長さ約50、100又は200ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチド又はそれ以上のものである。FISHを実行するための標準的な方法は次の文献に記載されている: Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 2004, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 2nd ed.; ISBN: 1−59259−760−2; March 2004, pps. 077−088; Series: Methods in Molecular Medicine。
あるいは、mRNAから発現されるタンパク質産物は、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートでの固相免疫アッセイ、ウエスタンブロッティング、二次元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリー、その他の当技術分野で知られている特定タンパク質検出の方法によってアッセイされる。検出法は部位特異的抗体の使用を含む。CDC4変異体、オーロラ上方制御及びオーロラ変異体の検出のためのこのような良く知られた技術は全て本発明の場合にも適用可能であることを当業者は認識し得る。
それ故、これらの技術は全て腫瘍を同定するために使用でき、特に本発明の組合せ剤による処置に適する。
CDC4の変異又は上方制御を有する腫瘍、特にサイクリンEの過剰発現のある腫瘍、又はp21又はp27の欠失がある腫瘍は、本組合せ剤の成分としてのCDK阻害剤に特に感受性であり得る。腫瘍は処置の前にサイクリンEの上方制御、特に過剰発現(Harwell RM, Mull BB, Porter DC, Keyomarsi K.; J Biol Chem. 2004 Mar 26; 279(13): 12695−705)又はp21又はp27の欠失又はCDC4変異(Rajagopalan H, Jallepalli PV, Rago C, Velculescu VE, Kinzler KW, Vogelstein B, Lengauer C.; Nature, 2004 Mar 4; 428(6978): 77−81)について優先的にスクリーニングしてもよい。
マントル細胞リンパ腫(MCL)を有する患者は、本明細書に略述する診断試験を用いて本発明の組合せ剤での処置のために選択され得る。MCLは、CD5及びCD20の同時発現、急速進行性および難治性の臨床経過、および頻繁なt(11;14)(q13;q32)の転座を示す小型〜中型リンパ球の増殖で特徴付けられる、非ホジキンリンパ腫の別個の臨床病理態である。マントル細胞リンパ腫(MCL)に見られるサイクリンD1 mRNAの過剰発現は、標準的診断マーカーである。Yatabeら(Blood. 2000 Apr 1;95(7): 2253−61)は、サイクリンD1陽性はMCLの標準的判断基準の一つに加えるべきであり、この新基準に基づいてこの難病の革新的療法を探索すべきであると提唱した。Jonesら(J. Mol. Diagn. 2004 May; 6(2): 84−9)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の診断の一助としてサイクリンD1(CCND1)発現のリアルタイム定量的逆転写酵素PCRアッセイ法を開発した。Howeら(Clin Chem. 2004 Jan; 50(1): 80−7)は、リアルタイム定量的RT−PCRを用いてサイクリンD1mRNA発現を評価し、CD19mRNAで標準化したサイクリンD1mRNAの定量的RT−PCRがMCLの血液、骨髄及び組織における診断に使用できることを発見した。あるいは、乳癌患者は上記診断試験を用いてCDK阻害剤での処置について選択できる。腫瘍細胞は普通サイクリンEを過剰発現し、サイクリンEが乳癌で過剰発現されることが証明されている(Harwell et al, Cancer Res, 2000, 60, 481−489)。それ故特に乳癌は本発明の組合せ剤で処置できる。
本発明の組合せ剤を投与する前に、患者をスクリーニングして患者が罹患し、又は罹患のおそれがある疾患又は状態がFlt3、C−abl、PDK1に対して活性を示す組合せ剤での処置に感受性があるか否かを決定し得る。この技術はFlt3、C−abl、PDK1キナーゼの上方制御又は変異によって起きる疾患又は状態のスクリーニングにも使用できる。この技術はVEGFRキナーゼの上方制御又は変異で起きる疾患又は状態の、これに限定するものではないが、標準的方法、例えば逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)又はインサイチュウ・ハイブリダイゼーションを含む、スクリーニングにも使用できる。
これに加えて、例えばVEGFR2の変異型は、例えば腫瘍生検のPCRを用いる直接的配列決定及び本明細書に上記したように直接PCR産物を配列決定方法で同定できる。当業者は上記タンパク質の過剰発現、活性化又は変異の検出のためのそのような良く知られた技術は全てこの場合にも適用できることを認識し得る。
タンパク質、例えばVEGFRの異常なレベルは、例えば本明細書に記載のアッセイなど、標準的な酵素アッセイを用いて測定できる。活性化又は過剰発現は、例えば、Chemicon Internationalから市販されるアッセイ法を用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによって組織標本、例えば腫瘍組織でも検出でき得る。対象とするチロシンキナーゼは検体溶解物から免疫沈降させて、その活性を測定する。
アイソフォームを含むVEGFRの過剰発現又は活性化を測定するための別な方法は、微小血管密度の測定を含む。これは例えばOrre and Rogers (Int J Cancer 1999, 84(2) 101−8)が記載した方法を用いて測定できる。アッセイ法はマーカーの使用も含み、例えばVEGFRの場合、これにはCD31、CD34及びCD105を含む(Mineo et al. J Clin Pathol. 2004 57(6) 591−7)。
FLT3の活性化変異はしばしば急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)及び症例によっては急性リンパ芽球性白血病(ALL)で観察される。FLT3の活性化異性体を有する癌患者はFLT3の阻害剤に最も感受性の高い指標として長さの変異又は内部タンデム重複変異の存在についてスクリーニングできる。
BCR−ablの耐性変異体、例えばT315Iを発現する細胞を有する腫瘍の患者は本明細書に記載する方法を用いて同定できる。
それ故本明細書に記載する方法に加えて、FLT3の活性化変異、C−Ablの変異体、例えば、T315Iの診断のために使用される。
抗真菌剤用途
他の側面では、本発明は式(I''')の化合物及び式(0)の化合物及びそのサブグループを含む(又は実質的にそれからなる)本明細書に定義する組合せ剤の抗真菌剤としての使用法を提供する。
本発明の組合せ剤は動物医薬(例えばヒトのような哺乳動物の処置で)で、又は植物の処置(例えば、農業及び園芸)で、又は一般的な抗真菌剤、例えば保存剤及び殺菌剤としても使用できる。
一態様では、本発明は本明細書に定義する組合せ剤を例えば、ヒトのような哺乳動物の真菌感染症の予防又は処置に使用するために提供する。
本明細書に定義する組合せ剤の、例えば、ヒトのような哺乳動物の真菌感染の予防又は処置に使用する薬剤の製造のための使用も提供する。
例えば、本発明の組合せ剤は、生物の中でもカンジダ(Candida)種、白癬菌(Trichophyton)種、小胞子菌(Microsporum)種又は表皮糸状菌(Epidermophyton)種に起因する局所真菌感染、又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(例えば、口腔カンジダ症及び膣カンジダ症)に起因する粘膜感染症に罹患した、又は罹患のおそれがあるヒトの患者に投与してもよい。本発明の組合せ剤は、例えばカンジダ・アルビカンス、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、コクシジオデス(Coccidiodies)、パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)、ヒストプラスマ(Histoplasma)またはブラストミセス(Blastomyces)に起因する全身性真菌感染の予防又は処置のために投与できる。
他の側面では、本発明は本明細書に定義する式(I''')の化合物及び式(0)の化合物及びそのサブグループを付加的薬剤及び農学的に許容される希釈剤又は担体と共に含む、農業(園芸を含む)で使用するための抗真菌組成物を提供する。
本発明はさらにその動物、植物又は種子、又は植物又は種子の場所を、本明細書に定義する組合せ剤の有効量で処理することからなる真菌に感染した動物(ヒトのような哺乳動物を含む)及び植物又は種子を処理する方法を提供する。
本発明はまた、植物又は種子を本明細書に定義する組合せ剤を含む抗真菌組成物の抗真菌有効量で処理することを含む植物又は種子の真菌感染症を処理する方法を提供する。
ディファレンシャルスクリーニングアッセイを使用して非ヒトCDK酵素に特異性を示す化合物を選択してもよい。真核病原体のCDK酵素に特異的に作用する化合物は抗真菌又は抗寄生虫薬剤として使用できる。CDKキナーゼの阻害剤であるCKSIはカンジダ症の処置に使用できる。抗真菌剤は本明細書に上記した型の感染に対して;又は衰弱及び免疫抑制のある患者に対して、例えば白血病及びリンパ腫を有する患者、免疫抑制療法を受けている者;及び糖尿病又はAIDSなどの疾患素因となる異常がある患者において一般的に発生する日和見感染症において、ならびに非免疫抑制患者に対しても使用できる。
当分野で記載されているアッセイ法は真菌症、例えば、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール菌症、ブラストミセス症、ジオトリクム症、クリプトコッカス症、クロモブラストミコーシス、コクシジオイデス症、コニオスポリウム症(conidiosporosis)、ヒストプラスマ症、マズラ菌症、リノスポリジウム症、ノカルジア症、パラアクチノミセス症、ペニシリウム症、モニリア症(monoliasis)又はスポロトリクム症のような真菌症の原因である真菌少なくとも1種の阻害に有用な薬剤をスクリーニングするために使用できる。ディファレンシャルスクリーニングアッセイを使用して酵母、例えば、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)からクローニングしたCDK遺伝子を用いてアスペルギルス症の処置に治療的に有効な抗真菌剤を同定でき、又は真菌感染がムコンニコシス(mucon−nycosis)ならば、CDKアッセイは酵母、例えば、リゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、アブシディア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモサ(Absidia ramosa)またはムコルプシルス(Mucorpusillus)から誘導できる。他のCDK酵素の供給源には病原菌ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)が含まれる。
例として、化合物の抗真菌活性のインビトロでの評価は最小阻害濃度(MIC)を決定することにより行うことができ、この濃度は特定の微生物が適当な培地中で増殖しなくなるときに供試化合物の濃度である。実際には特定濃度で供試化合物を含む一連の寒天プレートに、例えばカンジダ・アルビカンスの標準培養物を接種した後、次に各プレートを適当な期間37℃でインキュベーションする。次にプレートをカビ増殖の存在又は不在を検査し、適当なMIC値を記録する。あるいは、液体培地では濁度アッセイを行うが、このアッセイの実例を示すプロトコールは下記実施例に見出される。
化合物のインビボ評価は一連の用量レベルで腹腔内又は静脈内への注射又は経口投与によって真菌、例えば、カンジダ・アルビカンスまたはアスペルギルス・フラーブス菌株を感染させたマウスに投与して実行できる。化合物の活性は処理マウス群及び未処理マウス群での真菌感染の増殖をモニタリングすることにより(組織学又は感染からの真菌の採取により)評価できる。活性は化合物が感染致死作用に対して50%保護を示す用量レベル(PD50)として測定され得る。
ヒトでの抗真菌剤使用について、本明細書に記載の組合せ剤は単独で又は所望の投与経路及び標準的医薬的慣例に従って選択される医薬用担体と混合して投与できる。そこで、例えば上記「医薬製剤」のセクションに記載した製剤によって経口投与、非経腸投与、静脈内投与、筋肉内投与又は皮下投与できる。
ヒト患者への経口及び非経腸投与について、1日投与量レベルは経口経路又は非経腸経路のいずれかで投与する時には特に組合せ剤の有効性に依存して0.01〜10mg/kg(分割投与で)であり得る。組合せ剤又はその成分化合物の錠剤又はカプセルは、例えば有効化合物5mg〜0.5gを含んでいてもよく、必要に応じて1回で、または2回以上で投与できる。いずれの場合でも、医師が個々の患者に最適な実際の用量(有効量)を決定し、それは個々の患者の年齢、体重および応答によって異なる。
あるいは、抗真菌性組合せ剤は坐剤又はペッサリー剤の剤形で、又は局所投与用にローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏又は散布用粉剤の形で投与できる。例えば本剤はポリエチレングリコール又は液体パラフィンの水性エマルジョンからなるクリームに包含でき;1〜10%濃度で白蝋又は白色軟パラフィン基剤からなる軟膏に所望により安定化剤及び保存剤とともに混合することができる。
上記治療用の用途に加えて、ディファレンシャルスクリーニングアッセイで開発された抗真菌剤は、例えば食品の保存剤;家畜体重増加促進のための飼料添加物;又は例えば病院の器具及び病室の浄化など生物以外に用いる消毒剤;としても使用できる。同様にして、哺乳動物CDKと昆虫CDK、例えばショウジョウバエCDK5遺伝子(Hellmich et al. (1994) FEBS Lett 356: 317−21)との阻害の比較実験で、本明細書に記載の化合物からのヒト/哺乳動物の酵素および昆虫の酵素で区別される阻害剤の選択を可能にする。従って、本発明は殺虫剤での本発明の組合せ剤の使用及び製剤を例えば、ショウジョウバエのような昆虫の防除に使用することを明示的に意図している。
さらに他の態様では、一定のCDK阻害剤の対象を、哺乳動物酵素よりも植物CDKに対する阻害性特異性に基づいて本発明の組合せ剤での使用について選択できる。例えば植物CDKをヒト酵素1個以上とのディファレンシャルスクリーニングに付して植物酵素の阻害に大きな選択性のある化合物を選択できる。そこで、本発明は例えば、枯葉剤などのような農業的使用のための対象CDK阻害剤の製剤を特に意図している。
農業及び園芸目的のためには、本発明の組合せ剤は特定的使用及び意図する目的に適する組成物の形で使用してもよい。そこで本化合物は散布用粉末剤又は顆粒、種子粉衣、水性溶液、分散剤又は乳剤、浸液剤、スプレー、エアロゾル又は燻煙剤の形で使用できる。各組成物は分散用粉末、顆粒又は粒子又は使用前希釈用濃縮物の形でも供給できる。この組成物は農業及び園芸で許容される公知で通常の担体、希釈剤又はアジュバントを含んでいてもよく、常法に従って製造できる。本組成物には例えば除草活性又は殺虫活性を有する化合物又は別な抗真菌剤など他の活性成分を包含してもよい。本化合物及び組成物は多数の方法で利用でき、例えば直接植物の葉、幹、枝、種子又は根又は土壌その他の成長培地に使用でき、及び病気を根絶するためばかりでなく、植物又は種子を攻撃から保護する予防のためにも使用してもよい。一例として本組成物は活性成分0.01〜1重量%を含む。野外での使用では活性成分の推定適用量は50〜5000g/ヘクタールであってもよい。
本発明はまた森林消腐敗性真菌の制御;及び植物が生育している土壌、苗床、又は散水の管理;における本発明の組合せ剤の使用も意図する。また本発明は貯蔵穀物及び植物以外の場所を真菌の進入から保護するための本明細書に定義する組合せ剤の使用も意図している。
本発明化合物の結晶構造を示す。 本発明化合物の結晶構造を示す。 本発明化合物のX線粉末回折(XRPD)データを示す。 本発明化合物のDSCスキャンを示す。 本発明化合物の重量損失プロファイルを示す。 本発明化合物の水分収着/脱着プロファイルを示す。 本発明化合物の溶解実験の結果を示す。
実施例
説明的実施例を以下に記載し、別個の2セットであって、それぞれが、内的整合性(internal consistency)により番号付けされ、本発明の組合せ剤で使用される異なるクラスを構成する化合物に対応する。セットBの場合、該セットに例示される化合物は、セットAに例示された化合物の下位集団であることが特記されるべきである。各セットにおいて、実施例は、記載の及び上記に定義の任意の付加的化合物を含む組合せ剤に関して記載される。これらの実施例に記載の技術は、一般に適用され、式(0)の化合物と、本明細書に記載の任意の付加的化合物の何れかを含む式(I''')の化合物の組合せの有効性を評価するために用いられ得る。
セットA:式(0)の化合物に関する実施例
本発明は、以下の実施例に記載の具体的態様を参照することにより、ここに説明され得るが、それに限定されない。
実施例において、製造された化合物は、WO2005/012256(116頁以下参照)に記載の系及び操作条件を用いて、液体クロマトグラフィー及び質量分析(LC−MS)により特徴付けられた。
各実施例の出発物質は、他に特記されない限り市販されている。
WO2005/012256、121から222頁、実施例1から254は、引用により本明細書中に包含され、特に、下記の化合物の製造例は、具体的に本明細書に記載される。
・4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸フェニルアミド
・4−アセチルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−フェニルアセチルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−1H−インドール−3−イル−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−ベンゼンスルホニル−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[2−(5−アミノ−テトラゾール−1−イル)−アセチルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・N−[3−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−6−ヒドロキシ−ニコチンアミド
・4−[3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル−プロピオニルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−アセチルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(1−ヒドロキシ−シクロプロパンカルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・1−アセチル−ピペリジン−4−カルボン酸[3−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミド
・4−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロピオニルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−1H−イミダゾール−4−イル−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミド
・4−(3−モルホリン−4−イル−プロピオニルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミド
・4−(3−ピペリジン−1−イル−プロピオニルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−シクロヘキシルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−イソプロピルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロフェニル)−アミド
・4−(1−エチル−プロピルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−クロロ−ピラジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(ピラジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−ベンゾイルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(シクロヘキサンカルボニル−アミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(1−メチル−シクロプロパンカルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−ヒドロキシ−アセチルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(4−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(3−メチル−フラン−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(フラン−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(3H−イミダゾール−4−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・1H−インドール−3−カルボン酸[3−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミド
・4−(4−ヒドロキシメチル−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−メチル−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−メチル−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(2−メチル−チオphene−3−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・キノリン−2−カルボン酸[3−(4−フルオロ−フェニルカルバモイル)−1H−ピラゾール−4−イル]−アミド
・4−[(チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2−フルオロ−3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[2−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンゾイルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−フルオロフェニルアミド
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミド
・4−(シクロヘキシル−メチル−アミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(ピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−[(4−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−{[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−シクロヘキサンカルボン酸
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[5−フルオロ−2−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−フェニル]−アミド
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[5−フルオロ−2−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−アミド
・4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−モルホリン−4−イル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミド
・4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−メチルスルファモイルメチル−ベンジルアミド
・4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸アミド
・4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸フェニルアミド
・4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミド
・4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)アミド
・4−(3−ベンジルオキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミド
・4−(3−ヒドロキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジルアミド
・4−(5−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(3−ヒドロキシメチル−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸フェニルアミド
・塩酸4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド
・4−メタンスルホニルアミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4−フルオロ−フェニル)−アミド
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[1−(2−フルオロ−エチル)−ピペリジン−4−イル]−アミド
・4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アミド
・4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−アミド
・4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−アミド
・4−[3−クロロ−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンゾイルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸シクロヘキシルアミド
・4−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[1−(2,2−ジフルオロ−エチル)−ピペリジン−4−イル]−アミド
・4−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンゾイルアミノ]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸シクロヘキシルアミド
・4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド酢酸塩
・4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩。
化合物を下記の表に記載する。
Figure 2009543770

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Figure 2009543770
実施例1
一般的方法A:アミノ−ピラゾールからのアミドの製造
Figure 2009543770

5mlのN,N−ジメチルホルムアミド中、適当な4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸アミド(0.23mmol)、EDAC(52mg;0.27mmol)及びHOBt(37mg;0.27mmol)の撹拌溶液に、対応するカルボン酸(0.25mmol)を添加し、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させ、残渣を分取LC/MSにより精製して生成物を得た。
一般的方法B:tert−ブトキシカルボニル基の除去によるピペリジン環窒素の脱保護
N−tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)保護基を有するピペリジン基を含む方法Aの生成物(40mg)を、飽和酢酸エチル/HClで処理し、室温で1時間撹拌した。固体が反応混合物から沈殿し、それを濾過し、エーテルで洗浄し、そして乾燥させて25mgの生成物を得た(LC/MS:[M+H]364)。
Figure 2009543770
実施例2:塩酸4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの製造
2A.4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
塩化2,6−ジクロロベンゾイル(8.2g;39.05mmol)を、ジオキサン(50ml)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(165Bと同様の方法で製造)(5g;35.5mmol)及びトリエチルアミン(5.95ml;42.6mmol)の溶液に注意深く添加し、次いで室温で5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をメタノール(50ml)及び2M水酸化ナトリウム溶液(100ml)で処理し、50℃で4時間加熱し、次いで蒸発させた。100mlの水を残渣に添加し、次いで、濃塩酸で酸性にした。固体を濾過により集め、水(100ml)で洗浄し、乾燥させて10.05gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸を淡紫色固体として得た。
2B.4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF(75ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6.5g、21.6mmol)、4−アミノ−1−BOC−ピペリジン(4.76g、23.8mmol)、EDC(5.0g、25.9mmol)及びHOBt(3.5g、25.9mmol)の混合物を、室温で20時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(100ml)と飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)の間に分配させた。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮した。残渣を5%MeOH−DCM(〜30ml)中に溶解した。不溶性物質を濾過により集め、DCMで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.38g)を白色固体として得た。濾液を真空下で濃縮し、残渣を1:2EtOAc/ヘキサンないしEtOAcの溶出勾配を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して、さらなる4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.54g)を白色固体として得た。
2C.4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド
MeOH(50mL)及びEtOAc(50ml)中、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.9g)の溶液を、飽和HCl−EtOAc(40mL)で処理し、次いで室温で一晩撹拌した。生成物はメタノールの存在により結晶化せず、故に反応混合物を蒸発させ、残渣をEtOAcで粉末化した。得られたオフホワイト色固体を濾過により集め、EtOAcで洗浄し、シンター上で乾燥させて、6.3gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを塩酸塩として得た(LC/MS:R 5.89、[M+H]382/384)。
実施例3:4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド酢酸塩の製造
Figure 2009543770

水(500ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド塩酸塩(実施例2C)(20.6g、50mmol)の溶液に、撹拌しながら、環境温度で、重炭酸ナトリウム(4.5g、53.5mmol)を添加した。混合物を1時間撹拌し、形成した固体を濾過により集め、真空下で乾燥させ、トルエンで共沸させて(×3)、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの対応する遊離塩基を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 10.20 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.25 (d, 1H), 7.60−7.50 (m, 3H), 3.70 (m, 1H), 3.00 (d, 2H), 2.50 (m, 2H), 1.70 (d, 2H), 1.50 (m, 2H)。
メタノール(150ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(10.0g、26.2mmol)の撹拌懸濁液に、氷酢酸(15ml、262mmol)を環境温度で添加した。1時間後、透明溶液を得て、それを真空下で濃縮し、トルエンで共沸させた(×2)。次いで。残渣をアセトニトリルで粉末化し(2×100ml)、固体を真空下で乾燥させて、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド酢酸塩(10.3g)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 10.20 (s, 1H), 8.40 (d, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.60 - 7.50 (m, 3H), 3.85 (m, 1H), 3.00 (d, 2H), 2.60 (t, 2H), 1.85 (s, 3H), 1.70 (d, 2H), 1.55 (m, 2H)。
実施例4:4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩の合成
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩は、下記のスキームに記載の合成経路で製造され得る。
Figure 2009543770
工程1:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770
デジタル温度計及びスターラーを備えた20Lの反応容器に、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1.117Kg、7.11mol、1wt)及びメタノール(8.950L、8vol)を入れた。反応混合物を窒素下で撹拌し、0ないし5℃まで冷却し、塩化チオニル(0.581L、8.0mol、0.52vol)を180分かけて添加し、得られた混合物を温めておき、18ないし22℃で一晩撹拌し、その後、H NMR分析(d−DMSO)が反応の完了を示した。反応混合物を40ないし45℃で減圧下で濃縮し、残渣をトルエンで処理して、減圧下、40ないし45℃で、再濃縮して(3×2.250L、3×2vol)、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルをオフホワイト色固体として得た(1.210Kg、99.5%)。
工程2:4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770
デジタル温度計及びスターラーを備えた20Lの反応容器に、窒素下でパラジウム炭素(10%湿式ペースト、0.170Kg、0.14wt)を入れた。別の容器において、エタノール(12.10L、10vol)中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.210Kg、7.07mol、1wt)のスラリーを30ないし35℃まで温めて溶解させ、該溶液を窒素下で触媒に添加した。連続して窒素−水素パージ後、水素雰囲気を導入し、反応混合物を、H NMR分析(d−DMSO)により反応の完了が示されるまで(5ないし10時間)28ないし30℃に維持した。パージを繰り返した後、反応混合物を窒素下で濾過し、溶液(liquor)を減圧下で濃縮して、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルを得た(0.987Kg、98.9%)。
工程3:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−
カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770
1,4−ジオキサン(8.90L、9vol)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(0.634Kg、4.49mol、1wt)の溶液を、窒素下で、トリエチルアミン(0.761L、5.46mol、1.2容量)で処理し、次いで塩化2,6−ジクロロベンゾイル(0.710L、4.96mol、0.72容量)で、内部温度が20ないし25℃の範囲に維持されるように処理した。残渣の塩化2,6−ジクロロベンゾイルを1,4−ジオキサン(0.990L、1容量)で濯ぎ、反応混合物を、TLC分析(溶離剤;酢酸エチル:ヘプタン 3:1;Rfアミン0.25、Rf生成物0.65)により完了が示されるまで(16時間)、18ないし25℃で撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを1,4−ジオキサンで洗浄して(2×0.990L、2×1容量)、合わせた濾液(赤色)をさらなる単離ないし工程4へと進めた。
工程4:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸の製造
Figure 2009543770
水酸化ナトリウム(0.484Kg、12.1mol)の水溶液(6.05L)に、工程3のエステルの溶液(1.099Kg、6.00L中3.50mol)を一度に添加した。反応混合物を、反応の完了がTLC分析(溶離剤;酢酸エチル:ヘプタン 3:1;Rfエステル0.65、Rf工程4基準)により決定されるまで20ないし25℃で撹拌した。反応混合物を、減圧下、45ないし50℃で濃縮し、油状残渣を水(9.90L)で希釈し、温度を30℃以下に維持されるように濃塩酸でpH1まで酸性化した。得られた沈殿を濾過により集め、水(5.00L)で洗浄し、フィルター上で吸引乾燥させ、次いでヘプタン(5.00L)で洗浄した。濾過ケーキを20Lのロータリーエバポレーター用フラスコに入れ、トルエンで共沸させて乾燥させ(2×4.50L)、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸を黄色固体として得た(1.044Kg、約99.5%)。
工程5:4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
Figure 2009543770
工程4の生成物(1.0wt)及びトルエン(10.0容量)を、磁性スターラー、滴下漏斗及び温度計を備えた適当なサイズのフランジ付きフラスコに入れた。内容物を窒素下で16ないし25℃で撹拌し、塩化チオニル(0.3容量)をゆっくり添加した。その後、該内容物を80ないし100℃まで加熱し、この温度で、H NMRにより反応が完了したと判断されるまで撹拌した。該内容物が撹拌できないほど高粘度になれば、さらなるトルエン(10容量まで)をこの工程で添加することができる。完了すれば、混合物を40ないし50℃まで冷却し、次いで真空下で45ないし50℃で濃縮乾固した。次いで、残渣をトルエンで共沸乾燥させた(3×2.0容量)。
単離した固体を適当なサイズのフラスコに移して、テトラヒドロフラン(5.0容量)を入れた。内容物を窒素下で16ないし25℃で撹拌し、トリエチルアミン(0.512容量)を添加した。別のフラスコに4−アミノ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.704wt)及びテトラヒドロフラン(5.0容量)を入れた。内容物を、完全な溶解が達成されるまで撹拌し、次いで溶液を反応フラスコに入れ、温度を16ないし30℃に維持した。その後、反応混合物を45ないし50℃まで加熱し、内容物を、H NMRにより反応の完了が判断されるまで撹拌した。次いで、該内容物を16ないし25℃まで冷却し、水(5.0容量)を入れた。混合ヘプタン(0.5容量)を添加し、該内容物を10分間まで撹拌し、層を分離させた。次いで、水層をテトラヒドロフラン:混合ヘプタン[(9:1)、3×5.0容量]で抽出した。有機層を合わせ、水(2.5容量)で洗浄し、次いで真空下で40ないし45℃で濃縮した。残渣をトルエンで共沸させ(3×5.0容量)、濃縮乾固させて、粗製の工程5の生成物を得た。
その後、固体を適当なサイズのフラスコに移し、メタノール:トルエン[(2.5:97.5)、5.0容量]を添加し、スラリーを窒素下で3ないし18時間撹拌した。該内容物を濾過し、濾過ケーキをトルエンで洗浄し(2×0.7容量)、次いで固体を真空下で40ないし50℃で乾燥させて、4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルをオフホワイト色固体として得た。
工程4の生成物の2個のバッチ(バッチ当たり0.831kg)を、この方法で処理して、全量2.366kg(収率88.6%)の4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。
工程6:メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド
Figure 2009543770
工程5の生成物(1.0wt)及び1,4−ジオキサン(30.0容量)を、磁性スターラー、滴下漏斗及び温度計を備えた適当なサイズのフランジ付きフラスコに入れた。内容物を窒素下で撹拌し、80ないし90℃まで加熱した。メタンスルホン酸(0.54容量)を30ないし60分かけて添加し、その後、内容物を95ないし105℃まで加熱して、反応がH NMRにより完了したと判断されるまで、この温度で撹拌した。反応の完了後、内容物を20ないし30℃まで冷却し、得られた沈殿を濾過により集めた。濾過ケーキを2−プロパノールで洗浄し(2×2.0容量)、フィルター上で3ないし24時間吸引乾燥させて、粗製のメタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを流動性のオフホワイト色固体として得た(80.0ないし120.0%w/w、不純物または溶質については未収集)。
工程5の生成物のいくつかのバッチをこの方法で処理し、各バッチの出発物質及び生成物の量の詳細を、以下の表1に記載する。
Figure 2009543770
工程6a:メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの再結晶
工程6の生成物を、Boc保護した工程5の生成物の残余レベルが0.25%を上回らないようにするために再結晶した。工程6の生成物の4個のバッチを、下記の方法を用いて再結晶した。
粗製の工程6の生成物及び2−プロパノール(10.0容量)を、磁性スターラー、滴下漏斗及び温度計を備えた適当なサイズのフラスコに入れた。内容物を窒素下で撹拌し、75ないし85℃で加熱した。その後、水(2.5容量まで)を、透明溶液が得られるまで該内容物に添加した。次いで、内容物を40ないし60℃まで冷却し、反応容量が約50%に減少するまで、真空下で40ないし50℃で濃縮した。2−プロパノール(3.0容量)を該フラスコに入れ、内容物を約3.0容量の溶媒が除去されるまで40ないし50℃で濃縮した。次いで、この方法を2−プロパノール(2×3.0容量)でさらに2度繰り返し、水含量を調べた。次いで、得られたスラリーを0ないし5℃まで冷却し、この温度で1ないし2時間撹拌した。内容物を濾過し、濾過ケーキを2−プロパノールで洗浄し(2×1.0容量)、次いでフィルター上で24時間吸引乾燥させた。固体を乾燥トレイに移し、45ないし50℃で一定重量になるまで真空乾燥させて、メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドをオフホワイト色固体として得た(60.0ないし100.0%w/w)。
4個のバッチの再結晶収率は85.6%ないし90.4%であり、再結晶した生成物の純度は、99.29%ないし99.39%であった。2回目の再結晶は、さらに純度が増加した。
この方法により製造されるメタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドは、379.8℃の融点を有した(DSCにより)。
工程5の残留Boc保護生成物の除去
いくつかの場合において、メタンスルホン酸塩が酢酸緩衝液中に溶解されるとき、残余の微量のBoc保護した遊離塩基からなる微細な沈殿が得られる。以下のいくつかの技術が、沈殿の除去または沈殿の形成の阻止に用いられ得る。
(a)濾過
200mMの酢酸緩衝液中メタンスルホン酸塩の混合物を、バイアルから滅菌針を用いて20mLの使い捨てシリンジに入れ、次いで、臨床グレードの0.2μmフィルター(Sartorius Minisartの使い捨て滅菌フィルターユニット)を該シリンジに取り付けた。シリンジのプランジャーをゆっくり下げて、濾液を清潔な透明ガラスバイアルに集めた。バイアルの内容物は、粒状物質を含まないメタンスルホン酸塩の透明な無色溶液であった。
(b)酸水溶液の加熱
水(10容量)中、メタンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸(0.4当量)の混合物を、100℃で4時間加熱し、次いで60℃まで冷却した。TLCによる分析は、メタンスルホン酸塩が単一成分として存在したことを示す。2−プロパノール(10容量)を添加し、混合物を40℃まで冷却した。混合物を真空下で約10容量まで減少させ、次いでさらなる量の2−プロパノール(10容量)を添加し、混合物を再び10容量まで減少させた。このサイクルをさらに3回繰り返した。混合物を氷浴中で冷却し、形成した固体を濾過により集め、2−プロパノール(5容量)で洗浄し、真空下で乾燥させて、メタンスルホン酸塩を白色からオフホワイト色の固体として得た。
(c)有機−水溶液抽出
水(10容量)中、メタンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸(0.4当量)の混合物を、100℃で3時間加熱し、次いで環境温度まで冷却した。この混合物にTHF−ヘプタン(9:1、10容量)を添加し、得られた混合物を激しく撹拌して溶液を得た。層を分離させ、水層をTHF−ヘプタン(9:1、2×10容量)で洗浄し、次いで酢酸エチル(2×10容量)で洗浄した。水層に2−プロパノール(10容量)を添加し、溶液を真空下で約5容量まで減少させ、次いでさらなる量の2−プロパノール(10容量)を添加し、混合物を再び5容量まで減少させた。このサイクルをさらに3回繰り返した。形成した固体を濾過により集め、2−プロパノール(5容量)で洗浄し、真空下で乾燥させて、メタンスルホン酸塩を白色からオフホワイト色の固体として得た。
(d)クロマトグラフィー
クロマトグラフィー技術の使用は、メタンスルホン酸塩から非極性不純物を除去するための経路を提供し得る。逆相方法の使用は、特に有用であり得る。
生物学的活性
式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)または(VIII)の化合物、及びWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)に定義の(故に、引用によりWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)の関連事項も本明細書中に包含される。以下参照)その下位群の、CDKキナーゼ、GSK−3キナーゼの阻害剤としての、及び細胞増殖の阻害剤としての生物学的活性は、以下に記載の実施例により証明される。
実施例5:CDK2キナーゼ阻害活性(IC 50 )の測定
WO2005/012256(これは、引用により本明細書中に包含される。)の213−214頁の実施例246を参照。
実施例6:CDK選択性アッセイ
WO2005/012256(これは、引用により本明細書中に包含される。)の214−215頁の実施例247を参照。
実施例7A:活性化CDK2/サイクリンAキナーゼ阻害活性アッセイ(IC 50 )の測定
WO2006/077426(これは、引用により本明細書中に包含される。)の98−99頁の実施例12を参照。
実施例7B:CDK1/サイクリンBアッセイ
WO2005/012256(これは、引用により本明細書中に包含される。)の217頁の実施例248Bを参照。
実施例8:CDK4のアッセイ方法
WO2005/012256(これは、引用により本明細書中に包含される。)の216−217頁の実施例249を参照。
実施例9:グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK−3)に対する阻害活性の測定
WO2005/012256(これは、引用により本明細書中に包含される。)の218−219頁の実施例251を参照。
実施例10:抗増殖活性
WO2006/077426(これは、引用により本明細書中に包含される。)の100−101頁の実施例15を参照。
HCT−116細胞株
ヒト結腸癌腫細胞株HCT116(ECACC番号91091005)に対するアッセイにおいて、実施例1の化合物は、20μM未満のIC50値を有する。
実施例11
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(“化合物I”)と補助化合物5FU、Gemcitibine、パクリタキセル及びイレッサ(化合物II)の組合せ剤の効果は、下記の技術を用いて評価された。
IC 50 シフトアッセイ
ヒト結腸癌腫細胞株HT29(ECACC番号91072201)細胞を、5×10細胞/ウェルの濃度で96ウェルの組織培養プレート上に播種した。細胞を一晩回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.2%DMSO)を下記の通りに添加した。
Figure 2009543770
化合物は、以下のスケジュールの1つに従って添加された;
a)同時に72時間。
b)化合物Iを24時間、次いで化合物IIを48時間。
c)化合物IIを24時間、次いで化合物Iを48時間。
計72時間の化合物とのインキュベーション後、アラマーブルー(商標)を終濃度10%(v/v)で添加し、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物を、Fusion Reader(Perkin Elmer)上でd535/25x(励起)及びd590/20m(発光)で読み取り定量した。種々の用量の化合物Iの存在における化合物IIのIC50が決定された。IC50が有効量以下の化合物Iの存在下で下方にシフトするとき、相乗効果が決定された。化合物II及び化合物I併用に対する応答が、2個の化合物個々の和と等しい効果である結果のとき、相加効果が決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上方シフトをもたらすものと定義され、すなわちそのようなとき、2個の化合物に対する応答が、2個の化合物個々の効果の和未満であった。
1.Gemcitibine
化合物I及びGemcitibineの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相加性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたか、またはGemcitibineが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたとき、観察された。得られたデータは、同時に添加される0.3μMの化合物Iの存在及び不存在下でのGemcitibineに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図1及び2に要約する。
2.パクリタキセル
化合物I及びパクリタキセルの組合せ剤は、スケジュール依存的IC50シフトアッセイにおいて相加または相乗性であることが示された。該実験は、A2780細胞で行われた。相加効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたとき観察され、相乗効果は、パクリタキセルが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたときに観察された。得られたデータは、0.3μMの化合物Iの存在及び不存在下でのパクリタキセルに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図3、4、5及び6に要約する。
3.5FU
化合物I及び5−FUの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいてやや相乗性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたとき観察された。得られたデータは、同時に添加されるとき0.15μMの化合物Iの存在及び不存在下で、5−FUに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図7及び8に要約する。
4.イレッサ
化合物I及びイレッサの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相乗性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたとき観察された。得られたデータは、0.2μMの化合物Iの存在及び不存在下で、イレッサに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図9及び10に要約する。これらのデータは、HCT116及びSkBR3細胞株で確認された。
実施例12
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(“化合物I”)とカンプトテシンの組合せ剤の効果は、下記の技術を用いて評価された。
1.IC 50 シフトアッセイ
ヒト結腸癌腫細胞株HT29(ECACC番号91072201)細胞を、5×10細胞/ウェルの濃度で96ウェルの組織培養プレート上に播種した。細胞を一晩回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.2%DMSO)を下記の通りに添加した。
Figure 2009543770
化合物は、下記のスケジュールの1つに従って添加された;
a)同時に72時間。
b)化合物Iを24時間、次いでカンプトテシンを48時間。
c)カンプトテシンを24時間、次いで化合物Iを48時間。
計72時間の化合物とのインキュベーション後、アラマーブルー(商標)を終濃度10%(v/v)で添加し、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物を、Fusion Reader(Perkin Elmer)上でd535/25x(励起)及びd590/20m(発光)で読み取り定量した。種々の用量の化合物Iの存在におけるカンプトテシンのIC50が決定された。IC50が有効量以下の化合物Iの存在下で下方にシフトするとき、相乗効果が決定された。カンプトテシン及び化合物I併用に対する応答が、2個の化合物個々の和と等しい効果である結果のとき、相加効果が決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上方シフトをもたらすものと定義され、すなわちそのようなとき、2個の化合物に対する応答が、2個の化合物個々の効果の和未満であった。
化合物I及びカンプトテシンの組合せ剤は、HT29細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相加性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたか、またはカンプトテシンが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたとき、観察された。同様の相加性が、化合物Iをカンプトテシンの前に添加したときに観察された。得られたデータは、スケジュール(b)(化合物Iが添加され、次いでカンプトテシンが添加される)における、0.1mMの化合物Iの存在及び不存在下でのカンプトテシンに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図11及び12に要約される。
実施例13
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(“化合物I”)とビンブラスチンの組合せ剤の効果は、下記の技術を用いて評価された。
1.IC 50 シフトアッセイ
ヒト結腸癌腫細胞株HT29(ECACC番号91072201)細胞を、5×10細胞/ウェルの濃度で96ウェルの組織培養プレート上に播種した。細胞を一晩回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.2%DMSO)を下記の通りに添加した。
Figure 2009543770
化合物は、下記のスケジュールの1つに従って添加された;
a)同時に72時間。
b)化合物Iを24時間、次いでビンブラスチンを48時間。
c)ビンブラスチンを24時間、次いで化合物Iを48時間。
計72時間の化合物とのインキュベーション後、アラマーブルー(商標)を終濃度10%(v/v)で添加し、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物を、Fusion Reader(Perkin Elmer)上でd535/25x(励起)及びd590/20m(発光)で読み取り定量した。種々の用量の化合物Iの存在におけるビンブラスチンのIC50が決定された。IC50が有効量以下の化合物Iの存在下で下方にシフトするとき、相乗効果が決定された。ビンブラスチン及び化合物I併用に対する応答が、2個の化合物個々の和と等しい効果である結果のとき、相加効果が決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上方シフトをもたらすものと定義され、すなわちそのようなとき、2個の化合物に対する応答が、2個の化合物個々の効果の和未満であった。
化合物I及びビンブラスチンの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相加性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたか、またはビンブラスチンが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたとき、観察された。得られたデータは、同時に添加されるとき0.3mMの化合物Iの存在及び不存在下でのビンブラスチンに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図13及び14に要約される。
実施例14
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(“化合物I”)とシスプラチンの組合せ剤の効果は、下記の技術を用いて評価された。
1.IC 50 シフトアッセイ
ヒト結腸癌腫細胞株HT29(ECACC番号91072201)細胞を、5×10細胞/ウェルの濃度で96ウェルの組織培養プレート上に播種した。細胞を一晩回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.2%DMSO)を下記の通りに添加した。
Figure 2009543770
化合物は、下記のスケジュールの1つに従って添加された;
a)同時に72時間。
b)化合物Iを24時間、次いでシスプラチンを48時間。
c)シスプラチンを24時間、次いで化合物Iを48時間。
計72時間の化合物とのインキュベーション後、アラマーブルー(商標)を終濃度10%(v/v)で添加し、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物を、Fusion Reader(Perkin Elmer)上でd535/25x(励起)及びd590/20m(発光)で読み取り定量した。種々の用量の化合物Iの存在におけるシスプラチンのIC50が決定された。IC50が有効量以下の化合物Iの存在下で下方にシフトするとき、相乗効果が決定された。シスプラチン及び化合物I併用に対する応答が、2個の化合物個々の和と等しい効果である結果のとき、相加効果が決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上方シフトをもたらすものと定義され、すなわちそのようなとき、2個の化合物に対する応答が、2個の化合物個々の効果の和未満であった。
化合物I及びシスプラチンの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相加性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたか、またはシスプラチンが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたとき、観察された。得られたデータは、同時に添加されるとき0.3mMの化合物Iの存在及び不存在下でのシスプラチンに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図15及び16に要約される。
実施例15
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(“化合物I”)とエトポシドの組合せ剤の効果は、下記の技術を用いて評価された。
1.IC 50 シフトアッセイ
ヒト結腸癌腫細胞株HT29(ECACC番号91072201)細胞を、5×10細胞/ウェルの濃度で96ウェルの組織培養プレート上に播種した。細胞を一晩回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.2%DMSO)を下記の通りに添加した。
Figure 2009543770
化合物は、下記のスケジュールの1つに従って添加された;
a)同時に72時間。
b)化合物Iを24時間、次いでエトポシドを48時間。
c)エトポシドを24時間、次いで化合物Iを48時間。
計72時間の化合物とのインキュベーション後、アラマーブルー(商標)を終濃度10%(v/v)で添加し、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物を、Fusion Reader(Perkin Elmer)上でd535/25x(励起)及びd590/20m(発光)で読み取り定量した。種々の用量の化合物Iの存在におけるエトポシドのIC50が決定された。IC50が有効量以下の化合物Iの存在下で下方にシフトするとき、相乗効果が決定された。エトポシド及び化合物I併用に対する応答が、2個の化合物個々の和と等しい効果である結果のとき、相加効果が決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上方シフトをもたらすものと定義され、すなわちそのようなとき、2個の化合物に対する応答が、2個の化合物個々の効果の和未満であった。
化合物I及びエトポシドの組合せ剤は、A2780細胞で行ったIC50シフトアッセイにおいて相加性であることが示された。この効果は、化合物が72時間の間同時に添加されたか、またはエトポシドが24時間添加され、次いで化合物Iがさらに48時間添加されたとき、観察された。得られたデータは、同時に添加されるとき0.075mMの化合物Iの存在及び不存在下でのエトポシドに対するIC50応答曲線の実施例を用いて、WO2006/077424の図17及び18に要約される。
実施例16:医薬製剤
(i)凍結乾燥製剤I
式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)または(VIII)の製剤化合物、及びWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)に定義の(故に、引用によりWO2005/012256(PCT/GB2004/003179)の関連事項も本明細書中に包含される。以下参照)その下位群のアリコートを、50mLバイアルに入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥中、組成物は、一工程の凍結プロトコール(−45℃)を用いて凍結される。温度をアニーリングのために−10℃まで上昇させ、その後凍結のため−45℃まで冷却し、次いで+25℃で約3400分間初乾させ、次いで50℃の温度への段階的増加により、さらなる工程で二次乾燥させる。初乾及び二次乾燥中の圧力は、80ミリトールに設定する。
(ii)注入製剤II
注射または注入による静脈内送達のための製剤は、水中、式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)または(VIII)の化合物、及び本明細書に定義のその下位群(例えば、塩形態)を、20mg/mlで溶解することにより製造され得る。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブにより滅菌する。
(iii)注入製剤III
注射または注入による静脈内送達のための製剤は、緩衝液(例えば、0.2Mアセテート、pH4.6)を含む水中、式(0)、(I)、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(IVa)、(Va)、(Vb)、(VIa)、(VIb)、(VII)または(VIII)の化合物、及び本明細書に定義のその下位群(例えば、塩形態)を、20mg/mlで溶解することにより製造され得る。次いで、バイアルを密封し、オートクレーブにより滅菌する。
(iv)注入製剤IV
注射による投与のための非経腸組成物は、10%プロピレングリコールを含む水中に化合物(例えば、塩形態)を、有効化合物の濃度が1.5重量%となるように溶解して製造され得る。次いで、溶液は濾過により滅菌され、アンプルに充填されて密封される。
(v)注入製剤V
注射のための非経腸組成物は、化合物(例えば、塩形態で)(2mg/ml)及びマンニトール(50mg/ml)を水に溶解し、溶液をフィルター滅菌して、密封可能な1mlバイアルまたはアンプルに充填することにより製造される。
(vi)皮下注射製剤VI
皮下投与のための組成物は、化合物と医薬品グレードのトウモロコシ油を、5mg/ml濃度となるように混合して製造される。該組成物は滅菌され、好適な容器に充填される。
(vii)錠剤製剤
本明細書に定義の化合物またはその酸付加塩を含む錠剤組成物は、50mgの化合物またはその塩と希釈剤として197mgのラクトース(BP)、及び滑剤として3mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、公知の方法で錠剤形に圧縮して製造される。
(viii)カプセル剤
カプセル剤は、本明細書に定義の100mgの化合物またはその酸付加塩と100mgのラクトースを混合し、得られる混合物を標準的な不透明の硬ゼラチンカプセル中に充填して製造される。
(ix)凍結乾燥製剤
本明細書に定義の製剤した化合物またはその酸付加塩のアリコートを、50mLバイアル中に入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥中、組成物は、一工程の凍結プロトコール(−45℃)を用いて凍結される。温度をアニーリングのために−10℃まで上昇させ、その後凍結のため−45℃まで冷却し、次いで+25℃で約3400分間初乾させ、次いで50℃の温度への段階的増加により、さらなる工程で二次乾燥させる。初乾及び二次乾燥中の圧力は、80ミリトールに設定する。
(x)静脈内投与に用いるための濃縮法
緩衝水溶液を、メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを0.2M酢酸ナトリウム塩/酢酸緩衝液(pH4.6)中、20mg/mlの濃度で溶解して製造する。
該緩衝溶液を、粒状物質を除去するために濾過しながら容器(例えば、クラス1ガラスバイアル)に充填し、次いでそれを密封して(例えば、Fluorotec stopperを用いて)、固定する(例えば、アルミニウムクリップで)。化合物及び製剤が十分に安定であるならば、該製剤は、121℃で好適な時間オートクレーブすることにより滅菌される。製剤がオートクレーブに安定ではないとき、それは適当なフィルターを用いて滅菌され、滅菌条件下で滅菌バイアル中に充填され得る。静脈内投与のため、溶液はそれ自体投与され得るか、または投与前に輸液バック(0.9%食塩水または5%デキストロースのような、薬学的に許容される賦形剤を含む)に注入され得る。
(xi)カンプトテシン化合物の注射製剤
カンプトテシン化合物を含む、注射投与のための非経腸製剤は、10mlの0.9%滅菌食塩水中、カンプトテシン化合物(例えば、EP0321122及び特にその実施例に記載の化合物)の水溶性塩100mgを溶解し、次いで該溶液を滅菌して、適当な容器に該溶液を充填して製造され得る。
実施例17:メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの結晶構造のX線回折による検出
WO2006/077426(それは、引用により本明細書中に包含される。)の81−85頁の実施例2及び図1を参照。
実施例18:4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド酢酸塩の製造
WO2006/077426(それは、引用により本明細書中に包含される。)の94−95頁の実施例8及び図2を参照。
セットB:式(I''')の化合物に関する実施例
本発明は、下記の実施例に記載の特定の態様を参照することにより、説明され得るが、限定されない。
実施例において、以下の略語を用いる。
Figure 2009543770
分析LC−MSシステム及び方法の記載
実施例において、製造される化合物は、以下に記載のシステム及び操作条件を用いて液体クロマトグラフィー及び質量分析により特徴付けられた。異なる同位体を有する原子が存在し、単一質量が見積もられるとき、化合物について見積もられた質量は、モノアイソトピック質量(すなわち、35Cl;79Brなど)である。いくつかのシステムが以下に記載のように用いられ、これらは極めて類似した操作条件を備え、その下で実行するように設定した。用いる操作条件を、以下にも記載する。
Waters プラットホーム LC−MSシステム:
HPLCシステム:Waters 2795
質量分析検出器:Micromass プラットホーム LC
PDA検出器:Waters 2996 PDA。
分析的酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:5−95%溶離剤Bで3.5分間
流速:0.8ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A、2.0×50mm。
分析的長時間酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:05−95%溶離剤Bで15分間
流速:0.4ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A、2.0×150mm。
プラットホーム MS条件:
キャピラリー電圧:3.6kV(ES negativeでは3.40kV)
コーン電圧:25V
スコア温度:120℃
スキャン範囲:100−800amu
イオン化モード:エレクトロスプレー陽性または
エレクトロスプレー陰性または
エレクトロスプレー陽性及び陰性。
Waters Fractionlynx LC−MSシステム:
HPLCシステム:2767自動化サンプラー−2525バイナリグラジエントポンプ
質量分析検出器:Waters ZQ
PDA検出器:Waters 2996 PDA。
分析的酸性条件:
溶離剤A:HO(0.1%ギ酸)
溶離剤B:CHCN(0.1%ギ酸)
勾配:5−95%溶離剤Bで4分間
流速:2.0ml/分
カラム:Phenomenex Synergi 4μ MAX−RP 80A、4.6×50mm。
Fractionlynx MS条件:
キャピラリー電圧:3.5kV(ES negativeでは3.2kV)
コーン電圧:25V(ES negativeでは30V)
スコア温度:120℃
スキャン範囲:100−800amu
イオン化モード:エレクトロスプレー陽性または
エレクトロスプレー陰性または
エレクトロスプレー陽性及び陰性。
質量指示(mass directed)精製LC−MSシステム
分取LC−MSは、本明細書に記載の化合物のような有機小分子の精製に用いる、標準的かつ効果的方法である。液体クロマトグラフィー(LC)及び質量分析(MS)のための方法は、粗物質のより良好な分離及びMSによるサンプルの改善された検出を提供するために変形され得る。分取グラジエントLC方法の最適化は、カラム、揮発性溶離剤及び修飾剤、ならびにグラジエントの変更を伴い得る。分取LC−MS方法を最適化し、次いで化合物を精製するのにそれらを用いる方法は、当技術分野で公知である。かかる方法は、Rosentreter U, Huber U.; Optimal fraction collecting in preparative LC/MS; J Comb Chem.; 2004; 6(2), 159−64、及びLeister W, Strauss K, Wisnoski D, Zhao Z, Lindsley C., Development of a custom high−throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries; J Comb Chem.; 2003; 5(3); 322−9に記載される。
分取LC−MSにより化合物を精製するための1つのかかるシステムを下記に記載するが、当業者は、記載の方法に代えて別のシステム及び方法が用いられ得ることを認め得る。特に、順相分取LCに基づく方法は、本明細書に記載の逆相方法の代わりに用いられ得る。ほとんどの分取LC−MSシステムは、逆相LC及び揮発性酸性修飾剤を用いるが、これは、該方法が、溶離剤が陽イオンエレクトロスプレー質量分析に適合するため、小分子の精製に非常に有効であるためである。上記の分析方法で概説されている通り、他のクロマトグラフ溶液、例えば順相LC、別の緩衝移動層、塩基性修飾剤などを代わりに使用して、化合物を精製し得る。
分取LC−MSシステム:
Waters Fractionlynx システム:
・ハードウェア:
2767 Dual Loop 自動サンプラー/フラクションコレクター
2525分取ポンプ
カラム選択用CFO(カラム流体形成体)
メークアップポンプとしてのRMA(Waters試薬マネージャー)
Waters ZQ質量分光計
Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器
Waters ZQ質量分光計
・ソフトウエア:
Masslynx 4.0
・Waters MS泳動条件:
キャピラリー電圧:3.5kV(ES negativeでは3.2kV)
コーン電圧:25V
イオン源温度:120℃
増幅器:500V
スキャン範囲:125−800amu
イオン化モード:エレクトロスプレー陽性または
エレクトロスプレー陰性
Agilent 1100 LC−MS分取システム:
・ハードウェア:
自動サンプラー:1100シリーズ “prepALS”
ポンプ:分取流量勾配用の1100シリーズ“PrepPump”及び分取流量のポンプ修飾因子のための1100シリーズ“QuatPump”
UV検出器:1100シリーズ“MWD”多波長検出器
MS検出器:1100シリーズ“LC−MSD VL”
フラクションコレクター:2דPrep−FC”
メークアップポンプ:“Waters RMA”
Agilent アクティブスプリッター
・ソフトウエア:
Chemstation:Chem32
・Agilent MS泳動条件:
キャピラリー電圧:4000V(ES negativeでは3500V)
フラグメンター/ゲイン:150/1
乾燥ガス流速:13.0L/分
ガス温度:350℃
ネブライザー圧:50psig
スキャン範囲:125−800amu
イオン化モード:エレクトロスプレー陽性または
エレクトロスプレー陰性
クロマトグラフ条件:
・カラム:
1.低pHクロマトグラフィー:
Phenomenex Synergy MAX−RP、10μ、100×21.2mm
(あるいは、より極性の化合物には、Thermo Hypersil−Keystone HyPurity Aquastar、5m、100×21.2mmを用いる)
2.高pHクロマトグラフィー:
Phenomenex Luna C18(2)、10μ、100×21.2mm
(あるいは、Phenomenex Gemini、5μ、100×21.2mmを用いる)
・溶離剤:
1.低pHクロマトグラフィー:
溶媒A:0+0.1%ギ酸、pH〜1.5
溶媒B:CHCN+0.1%ギ酸
2.高pHクロマトグラフィー:
溶媒A:0+10mM NHHCO+NHOH、pH=9.2
溶媒B:CHCN
3.メークアップ 溶媒:
MeOH+0.2%ギ酸(両タイプのクロマトグラフィー用)
・方法:
微量分析に従い、最も適当な分取クロマトグラフィータイプが選択された。典型的な常套法は、化合物構造に最も適するクロマトグラフィー(低または高pH)のタイプを用いて分析的LC−MSを行うことであった。微量分析が良好なクロマトグラフィーを示したとき、同タイプの適当な分取方法が選択された。低及び高pHクロマトグラフィーの両方のための典型的な泳動条件は、下記:
流速:24ml/分
勾配:一般的に全ての勾配は、95%A+5%Bで最初の0.4分の工程を有する。次いで、分析的トレースに従い、良好な分離を達成するために3.6分勾配を選択した(例えば早期保持化合物について5%ないし50%B;中程度保持化合物について35%ないし80%Bなど)。
洗浄:1.2分間の洗浄工程を、勾配の最後に行った。
再平衡化:2.1分間の再平衡化工程を、次の泳動用の系を準備するために行った。
メークアップ流速:1ml/分。
・溶媒:
全ての化合物は、通常、100%MeOHまたは100%DMSO中に溶解された。
数名の当業者からの情報により、分取LC−MSにより本明細書に記載の化合物を精製することができた。
実施例のそれぞれの出発物質は、他に特記されない限り、市販されている。
実施例1
・1A.4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
Figure 2009543770

塩化チオニル(2.90ml、39.8mmol)を、環境温度で、MeOH(100ml)中、4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸(5.68g、36.2mmol)の混合物にゆっくり添加し、該混合物を48時間撹拌した。該混合物を真空下で減量し、トルエンを含む共沸混合物を通して乾燥させて、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルを白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 14.4 (s, 1H), 8.9 (s, 1H), 3.9 (s, 3H)。
・1B.4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
Figure 2009543770

EtOH中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル及び10%Pd/Cの混合物を、水素雰囲気下で20時間撹拌した。混合物をセライト栓を通して濾過し、真空下で減少させ、トルエンを含む共沸混合物を通して乾燥させて、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルを得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.2 (s, 1H), 3.9 (s, 3H)。
・1C.4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
Figure 2009543770

塩化2,6−ジクロロベンゾイル(8.2g;39.05mmol)を、ジオキサン(50ml)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(5g;35.5mmol)及びトリエチルアミン(5.95ml;42.6mmol)の溶液に注意深く添加し、次いで室温で5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をメタノール(50ml)及び2M水酸化ナトリウム溶液(100ml)で処理し、50℃で4時間加熱し、次いで蒸発させた。100mlの水を残渣に添加し、次いで濃塩酸で酸性化した。固体を濾過により集め、水(100ml)で洗浄し、吸引乾燥させて、10.05gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸を淡紫色固体として得た(LC/MS:R=2.26、[M+H]300/302)。
・1D.4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF(75ml)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(6.5g、21.6mmol)、4−アミノ−1−BOC−ピペリジン(4.76g、23.8mmol)、EDC(5.0g、25.9mmol)及びHOBt(3.5g、25.9mmol)の混合物を、室温で20時間撹拌した。反応混合物を真空下で減量させ、残渣を酢酸エチル(100ml)と飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)の間に分配させた。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして真空下で減少させた。残渣を5%MeOH−DCM(〜30ml)中に溶解した。不溶性物質を濾過により集め、DCMで洗浄し、真空乾燥させて、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.38g)を白色固体として得た。濾液を真空下で減少させて、残渣をカラムクロマトグラフィーにより1:2EtOAc/ヘキサンないしEtOAcの勾配溶離を用いて精製して、さらなる4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.54g)を白色固体として得た。
・1E.塩酸4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド
Figure 2009543770

MeOH(50mL)及びEtOAc(50ml)中、4−{[4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.9g)の溶液を、飽和HCl−EtOAc(40mL)で処理し、次いで室温で一晩撹拌した。該生成物はメタノールの存在により結晶化せず、故に、反応混合物を蒸発させ、残渣をEtOAcで粉末化した。得られたオフホワイト色固体を濾過により集め、EtOAcで洗浄し、シンター上で吸引乾燥させて、6.3gの4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドを塩酸塩として得た(LC/MS:R=5.89、[M+H]382/384)。
・1F.4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
Figure 2009543770

アセトニトリル(10ml)中、塩酸4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(1mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(2.2mmol)を添加し、次いで塩化メタンスルホニル(1mmol)を添加した。混合物を環境温度で16時間撹拌し、次いで真空下で減少させた。残渣を酢酸エチルと水の間に分配させて、層を分離させ、有機部分を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で減少させて、表題化合物を得た。[M+H]460 R 2.67。LC/MS. 室温 2.67分;m/z460.11。
1H NMR: (400 MHz, DMSO−d6) δ 13.51 (s, 1H), 10.20 (s, 1H), 8.50 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.66 - 7.56 (m, 3H), 3.95 - 3.89 (m, 1H), 3.61 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 2.92 (s, 3H), 2.84 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 1.89 - 1.86 (m, 2H), 1.79 - 1.70 (m, 2H)。
実施例2
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−イソプロピル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
WO2006/077416の71頁の実施例2(引用により本明細書中に包含される)を参照。
実施例3
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−エチル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
WO2006/077416の71頁の実施例3(引用により本明細書中に包含される)を参照。
実施例4
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−プロピル−スルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド
WO2006/077416の72頁の実施例4(引用により本明細書中に包含される)を参照。
実施例5
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド及びその結晶の合成
化合物4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドは、上記のスキーム1に記載の、及び下記により詳細に記載の合成方法により製造され得る。
工程1:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770

4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1.350Kg、8.59Mol、1.0wt)及びメタノール(10.80L、8.0容量)を、磁性スターラー、コンデンサー及び温度計を備えたフランジ付きフラスコに充填した。懸濁液を窒素下で0ないし5℃まで冷却し、塩化チオニル(0.702L、9.62Mol、0.52容量)をこの温度で添加した。該混合物を15ないし25℃まで16ないし24時間温めた。反応の完了をH NMR分析により決定した(d−DMSO)。混合物を真空下、35ないし45℃で濃縮し、トルエン(2.70L、2.0容量)を残渣に充填して、真空下35ないし45℃で除去した。トルエンとの共沸をトルエン(2.70L、2.0容量)を用いて2回繰り返して、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル[1.467Kg、99.8%th、108.7w/w%、H NMR(d−DMSO)構造一致、空気不含有溶媒]をオフホワイト色固体として得た。
工程2:4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770

4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.467Kg、8.57Mol、1.0wt)及びエタノール(14.70L、10.0容量)の懸濁液を加熱し、溶解が完了するまで30ないし35℃で維持した。10%パラジウム炭素(10%Pd/C湿式ペースト、0.205Kg、0.14wt)を、窒素下で別のフラスコに充填し、真空/窒素パージサイクルを行った(×3)。エタノール中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの溶液を、触媒に添加し、真空/窒素パージサイクルを繰り返した(×3)。真空/水素パージサイクルを行い(×3)、該反応を水素雰囲気下で行った。反応混合物を、H NMR分析(d−DMSO)により完了したと見なされるまで、28ないし30℃で撹拌した。混合物を窒素下で濾過し、真空下、35ないし45℃で濃縮し、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル[1.184Kg、97.9%th、80.7%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、エタノール含有0.27%w/wに対して補正]をオフホワイト色固体として得た。
工程3:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの製造
Figure 2009543770

トリエチルアミン(1.42L、10.20Mol、1.2容量)を、15ないし25℃で窒素下にて、1,4−ジオキサン(10.66L、9.0容量)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.184Kg、8.39Mol、1.0wt)の溶液に添加した。塩化2,6−ジクロロベンゾイル(1.33L、9.28Mol、1.12容量)を、15ないし25℃で充填し、次いで連続して1,4−ジオキサン(1.18L、1.0容量)で濯ぎ、反応混合物を15ないし25℃で14ないし24時間撹拌した。反応の完了は、H NMR分析により決定した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを1,4−ジオキサン(2×1.18L、2×1.0容量)で洗浄し、合わせた濾液をさらなる単離なしに工程4に用いた。
工程4:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸の製造
Figure 2009543770

1,4−ジオキサン(6.47L、5.0容量)中、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(1.308Kg、4.16Mol、1.0wt)の溶液を、35ないし45℃で、一度に2M水酸化ナトリウム水溶液(7.19L、14.38Mol、5.5容量)に充填した。反応混合物を15ないし25℃で14ないし24時間冷却した。反応の完了をTLC分析により決定した。反応混合物を真空下で、45ないし50℃で濃縮した。得られた油状残渣を水(11.77L、9.0容量)で希釈し、15ないし30℃で、濃塩酸を用いてpH1まで酸性化した。沈殿を濾過により集め、水(5.88L、4.5容量)で洗浄し、フィルターを通して吸引乾燥させ、そしてヘプタン(5.88L、4.5容量)を添加して置換洗浄した。濾過ケーキを20Lのロータリーエバポレーター用フラスコに充填し、トルエンで共沸乾燥させて(2×5.23L、2×4.0容量)、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[1.207Kg、96.6%th、92.3%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、HPLC領域の98.31%]を黄色固体として得た。
工程5:4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
Figure 2009543770

反応混合物のサンプルを濾過し、濾過物をd6−DMSO中に溶解し、1H NMRスペクトルを得た。
溶出: 酢酸エチル。UV可視化。Rf エステル 0.5、 Rf 工程4 0.0。
塩化チオニル(0.25L、3.43Mol、0.3容量)を、窒素下、16ないし25℃で、トルエン(8.00L、10.0容量)中、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.806Kg、2.69Mol、1.0wt)の撹拌懸濁液に添加した。その後、内容物を80ないし100℃まで加熱し、その温度で16ないし24時間撹拌した。反応の完了を、H NMR分析により決定した。反応混合物を40ないし50℃まで冷却し、真空下、45ないし50℃で乾燥させて濃縮し、残渣を真空下、45ないし50℃でトルエン(3×1.60L、3×2.0容量)と共沸乾燥させて白色固体を得た。該固体を適当な容器に移し、テトラヒドロフラン(4.00L、5.0容量)を充填し、内容物を窒素下で撹拌して、トリエチルアミン(0.42L、3.01Mol、0.512容量)を16ないし25℃で添加した。次いで、テトラヒドロフラン(4.00L、5.0容量)中、4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.569Kg、2.84Mol、0.704wt)の溶液を、16ないし30℃で反応フラスコに添加し、反応混合物を45ないし50℃で2ないし16時間撹拌した。反応の完了を、H NMR分析により決定した。反応混合物を16ないし25℃まで冷却し、水(4.00L、5.0容量)及び混合ヘプタン(0.40L、0.5容量)でクエンチした。内容物を10分間撹拌し、層を分離させ、水層をテトラヒドロフラン:混合ヘプタン[(9:1)、3×4.00L、3×5.0容量]で抽出した。合わせた有機層を水(1.81L、2.5容量)で洗浄し、真空下、40ないし45℃で濃縮した。残渣をトルエンで共沸して(3×4.00L、3×5.0容量)、粗4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.257Kg、97.1%th、156.0%w/w、混入溶媒について0.90%w/w補正)を得た。化合物のいくつかのバッチをこの方法で調製し、該バッチを精製のために合わせた。
粗4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.22Mol、1.0wt)、トルエン(12.00L、4.87vol)及びメタノール(0.30L、0.13容量)を、窒素下、16ないし25℃で、3ないし18時間撹拌した。固体を濾過により単離し、濾過ケーキをトルエンで洗浄し(2×1.60L、2×0.7容量)、真空下、40ないし50℃で乾燥させて、4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[2.242Kg、86.6%th、139.2%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、HPLC領域により99.41%]をオフホワイト色固体として得た。
工程6:メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの製造
Figure 2009543770

4−{[4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボニル]アミノ}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.561Kg、1.16Mol、1.0wt)及び1,4−ジオキサン(14.00L、26.0容量)を窒素下で撹拌し、80ないし90℃まで撹拌した。メタンスルホン酸(0.30L、4.62Mol、0.54容量)を、80ないし90℃で30ないし60分かけて添加し、内容物を95ないし105℃まで加熱し、その温度で1ないし24時間維持した。反応の完了をH NMR分析により決定した。反応混合物を20ないし30℃まで冷却し、得られた沈殿を濾過により集めた。濾過ケーキをプロパン−2−オールで洗浄し(2×1.10L、2×2.0容量)、フィルター上で3ないし24時間吸引乾燥させて、メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド[0.558Kg、100.2%th、99.4%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、HPLC領域により98.13%]をオフホワイト色固体として得た。
工程7:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの製造
Figure 2009543770

メタンスルホン酸(0.055L、0.85Mol、0.1容量)を、15ないし40℃で、水(5.60L、10.0容量)中、メタンスルホン酸4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(0.562Kg、1.17Mol、1.0wt)の撹拌懸濁液に添加した。反応混合物を95ないし105℃まで加熱し、その温度で80ないし100分間撹拌した。反応の完了をHPLC分析により決定した。混合物を15ないし20℃まで冷却し、炭酸水素ナトリウム(1.224Kg、14.57Mol、2.18wt)を15ないし25℃で充填し、次いで酢酸エチル(4.20L、7.5容量)を充填し、必要なとき、温度を15ないし25℃に合わせた。塩化メタンスルホニル(0.455L、5.88Mol、0.81容量)を、15ないし25℃で、5つのアリコートに120ないし180分かけて添加し、反応混合物を30ないし45分間撹拌した。反応の完了をHPLC分析により決定した。酢酸エチルを真空下、35ないし45℃で除去し、得られたスラリーを濾過し、濾過ケーキを水(0.56L、1.0容量)で洗浄し、適当なサイズのフラスコに移した。水(2.81L、5.0容量)を充填し、混合物を15ないし25℃で30ないし40分間撹拌後、濾過し、濾過ケーキを水(0.56L、1.0容量)で洗浄し、パッド上で1ないし24時間吸引乾燥させた。集めた固体を真空下、40ないし50℃で乾燥させて、粗4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド[0.490Kg、90.7%th、87.2%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、HPLC領域により98.05%]をオフホワイト色固体として得た。
工程8:4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの再結晶
Figure 2009543770

粗4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(5.506Kg、11.96Mol、1.0wt)、N,N−ジメチルアセトアミド(8.00L、1.5容量)及びアセトン(11.00L、2.0容量)を、窒素下で撹拌し、40ないし50℃まで加熱した。得られた溶液を、ガラスマイクロファイバーペーパーを通して濾過により精製し、濾液を60ないし80℃まで加熱した。水(10.50L、2.0容量)を、還流がその間維持されるように、60ないし80℃で添加した。混合物を15ないし25℃まで冷却し、その温度で14ないし24時間放置し、結晶化した固体を濾過により単離し、濾過ケーキを水(6.00L、1.0容量)で洗浄して、適当な容器に移した。水(11.00L、2.0容量)を充填し、混合物を15ないし25℃で30ないし40分間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを水(6.00L、1.0容量)で洗浄し、フィルター上で少なくとも30分間吸引乾燥させた。固体を真空下で40ないし50℃で乾燥させて、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド[4.530Kg、82.3%th、82.3%w/w、H NMR(d−DMSO)構造一致、HPLC領域により99.29%]を白色固体として得た。
実施例6
4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの別の合成法
工程1:4−[(4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
Figure 2009543770

4−ニトロピラゾール−3−カルボン酸(20.0g、127.4mmol)を、CHCl/DMF(99:1、400mL)中に懸濁し、塩化オキサリル(11.6mL、134mmol)で注意深く処理し、次いで室温で16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、次いでトルエンで再蒸発させて(×3)、黄色固体を得た。得られた酸塩化物をジオキサン(400mL)中に懸濁し、トリエチルアミン(26.4mL、190mmol)で処理し、次いで4−アミノ−1−BOC−ピペリジン(25.0g、125mmol)で処理して、室温で6時間撹拌した。反応混合物を濾過し、集められた固体を水(500mL)中に撹拌し、次いで再濾過した。集められた固体を真空下で乾燥させて、トルエンで共沸させて、表題化合物を得た(37.6g)。
工程2:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの合成
Figure 2009543770

4−[(4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル)−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(20.0g、59.0mmol)を、ジオキサン−CHCl(1:1、400ml)中に懸濁し、ジオキサン中4M HCl(100mL)で処理した。混合物を室温で16時間撹拌し、形成された固体を濾過により集め、真空下で乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(13.8g)。
工程3:4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009543770

ジオキサン−アセトニトリル(1:1、250mL)中、4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド(13.7g、50.0mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(17.4mL、125mmol)を添加し、次いで塩化メタンスルホニル(4.26mL、55.0mmol)を添加した。混合物を45℃で5時間撹拌し、次いで真空下で減量させた。残渣に水(500mL)を添加し、混合物を20分間撹拌し、固体を濾過により集めて、真空下で乾燥させ、トルエンと共沸させて(×3)、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(12.8g)。
工程4:4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009543770

4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(5.0g)をDMF(30mL)中に溶解し、10%パラジウム炭素(0.5g)で処理し、次いで室温で45psiで、反応が完了するまで水素化した。反応混合物をセライトを通して濾過し、真空下で減量させた。残渣を水(200mL)で粉末化し、得られた固体を濾過により集め、真空下で乾燥させ、トルエンで共沸させて(×3)、表題化合物を主な生成物として得た(3.5g)。
工程5:4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの合成
Figure 2009543770

ジオキサン(50mL)中、4−アミノ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド(3.4g、〜10mmol)及びトリエチルアミン(1.53mL、11mmol)の混合物に、45℃で、塩化2,6−ジクロロベンゾイル(1.4mL、10mmol)をゆっくり添加した。混合物を45℃で2時間加熱し、水(250mL)中に注ぎ、次いでEtOAcで抽出した(2×200mL)。合わせた有機抽出物を真空下で減量させて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによりP.E−EtOAc(1:0−0:1)で溶出して精製した。生成物を含む画分を真空下で減量させ、残渣を2M NaOH−MeOH水溶液(1:1、50mL)中に溶解し、環境温度で2時間撹拌した。MeOHを真空下で除去し、混合物をEtOAcで抽出した。有機部分を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で減少させた。残渣を、EtOHを用いて加温スラリー(hot slurry)により精製して、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(2.52g)。
実施例7
X線回折による4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶構造の決定
結晶を、実施例6に記載の通りに製造した化合物4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドのCHCl溶液の蒸発により得た。
回折実験に用いた結晶は無色であり、不整形の寸法は0.15×0.15×0.04mmであった。結晶学的データは、Rigaku rotating anode RU3HR、Osmic青色共焦点光学、AFC9 1/4 χ goniometer、及びRigaku Jupiter CCD検出器からのCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて104Kで収集された。画像を、2θ=15°での3ωスキャンおよび検出器と結晶距離67mmで2θ=90°の4スキャンで回収した。データ収集は、CrystalClearソフトウエアにより制御され、画像をDtrekで処理および秤量した。高吸収係数(μ=4.04mm−1)のため、データを4次オーダーフーリエ吸収補正(4th order Fourier absorption correction)を使用して補正しなければならなかった。結晶が単斜晶系空間群C2/c(# 15)に属し、結晶格子パラメータ a=9.15、b=31.32、c=7.93Å、β=113.3°、α=γ=90°を有することが判明した。短時間室温スキャン(One short room temperature scan)を行い、結晶格子パラメータおよび対称を同定した。対称は104Kで同等であり、結晶格子パラメータが同等であることが判明した(室温、a=9.19、b=31.31、c=8.09Å、β=115.2°)。ユニットセル寸法a、bおよびcは5%の偏差(s.u.、標準不確定度)を有する。
結晶構造は、SHELXS-97において実行された直接方法を使用して解釈した。15.67−0.84Å(2.82<θ<66.54)の分割範囲の合計2682の独特な反射についての強度データを、SHELXL-97による263結晶学的パラメータの精密化に使用した。最終統計学的パラメータは:wR2=0.1749(全データ)、R=0.0663(I>2σ(I)でのデータ)および適合度S=1.035であった。
遊離塩基の1分子のみが非対称ユニットであることが判明した。その非対称ユニットの元素組成はC1719ClSであり、結晶の計算した密度は1.47mg/mである。水素原子は幾何学的根拠で生じ、ヘテロ原子結合水素原子の位置は、Fo−Fc差の分布図の観察により同定した。水素原子の位置および熱パラメータを、対応する非水素原子に乗るように狭めた。非水素原子の熱運動は、異方性熱因子を模倣した(図1参照)。
結晶構造は、1個の分子内水素結合(N6−H...O14 2.812Å)及び1個の分子間水素結合を含む(図2参照)。該分子は、分子間H−結合(N1−H...O22 2.845Å)により鎖内に一緒に連結する。異なる鎖由来のジクロロフェニル部分は、一緒に積み重なり、コンパクトな3Dパッキングを形成する。
X線回折試験により作成した構造の熱楕円提示(thermal ellipsoid representation)を図1に、およびパッキングダイアグラムを図2に示す。
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの遊離塩基の構造を作製する原子の配位は、下記の表1にcif形式で記載される。
表1
space group: C2/c (# 15)
unit cell at 104K with a, b & c having 5% s.u.:
a = 9.150
b = 31.320
c = 7.930
alpha = gamma = 90.00
beta = 113.30

loop_
_atom_site_label
_atom_site_type_symbol
_atom_site_fract_x
_atom_site_fract_y
_atom_site_fract_z
_atom_site_U_iso_or_equiv
_atom_site_adp_type
_atom_site_occupancy
_atom_site_symmetry_multiplicity
_atom_site_calc_flag
_atom_site_refinement_flags
_atom_site_disorder_assembly
_atom_site_disorder_group
Cl1 Cl 1.55055(16) 0.20997(4) 1.6202(2) 0.0376(4) Uani 1 1 d . . .
Cl2 Cl 0.97743(17) 0.20548(4) 1.6837(3) 0.0447(5) Uani 1 1 d . . .
S1 S 0.57041(12) 0.07771(3) 0.25572(15) 0.0212(3) Uani 1 1 d . . .
O7 O 1.3597(5) 0.14890(12) 1.8380(5) 0.0376(10) Uani 1 1 d . . .
O14 O 1.0227(4) 0.12633(10) 1.1610(5) 0.0266(8) Uani 1 1 d . . .
O22 O 0.4600(4) 0.04232(10) 0.1911(5) 0.0285(9) Uani 1 1 d . . .
O23 O 0.6695(4) 0.08741(13) 0.1578(5) 0.0282(9) Uani 1 1 d . . .
N1 N 1.2370(5) 0.02604(12) 1.5929(6) 0.0215(9) Uani 1 1 d . . .
H1 H 1.2665 0.0019 1.6538 0.026 Uiso 1 1 calc . . .
N2 N 1.1481(5) 0.02788(12) 1.4095(6) 0.0241(10) Uani 1 1 d . . .
N6 N 1.2053(5) 0.13987(12) 1.5365(6) 0.0226(9) Uani 1 1 d . . .
H6 H 1.1513 0.1533 1.4330 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
N15 N 0.9606(5) 0.05870(11) 1.0508(6) 0.0192(9) Uani 1 1 d . . .
H15 H 0.9804 0.0313 1.0720 0.023 Uiso 1 1 calc . . .
N19 N 0.6881(4) 0.06785(12) 0.4705(5) 0.0185(9) Uani 1 1 d . . .
C3 C 1.1279(5) 0.06988(14) 1.3718(7) 0.0196(10) Uani 1 1 d . . .
C4 C 1.2051(5) 0.09437(14) 1.5332(7) 0.0210(10) Uani 1 1 d . . .
C5 C 1.2765(6) 0.06537(16) 1.6738(8) 0.0240(11) Uani 1 1 d . . .
H5 H 1.3393 0.0714 1.7992 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
C7 C 1.2811(6) 0.16340(14) 1.6846(7) 0.0243(11) Uani 1 1 d . . .
C8 C 1.2638(7) 0.21135(14) 1.6550(8) 0.0239(11) Uani 1 1 d . . .
C9 C 1.3834(6) 0.23627(16) 1.6278(7) 0.0260(11) Uani 1 1 d . . .
C10 C 1.3723(7) 0.27967(18) 1.6094(8) 0.0331(13) Uani 1 1 d . . .
H10 H 1.4564 0.2955 1.5978 0.040 Uiso 1 1 calc . . .
C11 C 1.2352(7) 0.30098(16) 1.6076(8) 0.0333(14) Uani 1 1 d . . .
H11 H 1.2266 0.3311 1.5928 0.040 Uiso 1 1 calc . . .
C12 C 1.1136(7) 0.27794(18) 1.6273(8) 0.0354(14) Uani 1 1 d . . .
H12 H 1.0207 0.2921 1.6242 0.043 Uiso 1 1 calc . . .
C13 C 1.1291(6) 0.23383(16) 1.6518(8) 0.0321(14) Uani 1 1 d . . .
C14 C 1.0327(5) 0.08684(14) 1.1863(7) 0.0218(11) Uani 1 1 d . . .
C16 C 0.8492(5) 0.07270(14) 0.8678(7) 0.0184(10) Uani 1 1 d . . .
H16 H 0.7916 0.0985 0.8838 0.022 Uiso 1 1 calc . . .
C17 C 0.9342(5) 0.08479(14) 0.7426(7) 0.0211(11) Uani 1 1 d . . .
H17A H 0.9903 0.0595 0.7223 0.025 Uiso 1 1 calc . . .
H17B H 1.0142 0.1073 0.8019 0.025 Uiso 1 1 calc . . .
C18 C 0.8119(5) 0.10120(15) 0.5567(7) 0.0225(10) Uani 1 1 d . . .
H18A H 0.7612 0.1276 0.5760 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
H18B H 0.8665 0.1080 0.4743 0.027 Uiso 1 1 calc . . .
C20 C 0.6048(5) 0.05454(15) 0.5920(7) 0.0242(11) Uani 1 1 d . . .
H20A H 0.5265 0.0319 0.5305 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
H20B H 0.5466 0.0792 0.6132 0.029 Uiso 1 1 calc . . .
C21 C 0.7264(6) 0.03785(14) 0.7776(7) 0.0234(11) Uani 1 1 d . . .
H21A H 0.6712 0.0302 0.8584 0.028 Uiso 1 1 calc . . .
H21B H 0.7798 0.0120 0.7578 0.028 Uiso 1 1 calc . . .
C24 C 0.4560(6) 0.12321(16) 0.2544(8) 0.0279(12) Uani 1 1 d . . .
H24A H 0.5263 0.1479 0.2999 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
H24B H 0.3984 0.1181 0.3338 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
H24C H 0.3796 0.1288 0.1288 0.042 Uiso 1 1 calc . . .
実施例8
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶のX線粉末回折(XRPD)実験
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶を、実施例5の工程8に記載の再結晶方法を用いて製造した。
X線粉末回折(XRPD)データ収集用結晶サンプルを、マーブルモーターにより穏やかに粉砕し、結晶学的キャピラリー(Hampton Research, 石英またはガラスタイプ10、直径0.4または0.7mm)に充填した。回折パターンを、Rigaku rotating anode RU3HR、Osmic blue confocal optics、AFC9 1/4 χ goniometer、及びRigaku HTC image plate検出器からのCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて室温で集めた。2D画像を回収し、その間、250mmの検出器と結晶間でφ軸を回転させた。データ回収を、CrystalCearソフトウエアで回収し、データスクイーズ(0.01°または0.02°工程において3−30°範囲の2θについて方位角0<χ<360°にわたり強度平均化)により2D画像を1Dプロットに変換した(2θ対強度)。社内プログラムAstexXRPDを1D XRPDパターンの操作および可視化に使用した(図3)。
Figure 2009543770
実施例9
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの物理化学的研究
実施例5の工程8の再結晶方法により製造された4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶を、示差走査熱量測定研究及び熱重量分析に用いた。
示差走査熱量測定試験
約1−3mgのサンプル(正確に秤量した)を、アルミニウムDSCパンに入れ、完全な密閉を確実にするためにアルミニウム蓋でクリンプした。サンプルを、次いで液体窒素冷却ユニットを備えたPyris Diamond DSC(Perkin−Elmer)に入れ、安定熱流応答が見られるまで25℃で平衡化した。20ml/分の流速での乾燥ヘリウムパージガスを使用して不活性雰囲気を産生し、加熱中のサンプル酸化を防止した。サンプルを、次いで25−400℃で200℃/分のスキャン速度でスキャンし、得られた熱流応答(mW)を温度に対して測定した。実験分析前に、装置はインジウム参照標準を使用して温度および熱流を較正した。
化合物のDSCスキャンを図4に示す。
熱重量分析
約5mgのサンプル(正確に秤量した)を、白金TGAパンに入れ、TGA7重量分析器に負荷した。試験下のサンプルを、次いで10℃/分(環境〜300℃)で加熱し、得られた重量変化をモニターした。20ml/分の流速での乾燥窒素パージガスを使用して不活性雰囲気を産生し、加熱中のサンプル酸化を防止した。分析前に、装置を、100mg参照標準を使用して重量を較正し、温度をAlumel対照標準を使用して較正した(キューリー点移行温度を使用して)。
化合物の重量損失プロファイルを図5に示す。
結果及び結論
得られたDSCサーモグラムから、一つの明確なおよび協同的吸熱性遷移が、約294.5−295℃での開始が見られ、結晶性格子の吸熱溶解の指標である。主融解吸熱前に顕著な遷移はなく、サンプルからの化学吸着(結合)揮発性物の損失がほとんど/全くないことを示し(脱水/脱溶媒和の結果)、ならびに非結晶内容物の検出可能な存在はなかった。この水和されたまたは溶媒和された状態が存在しないことはTGA(図5)を使用して同定され、それは、150℃までの約0.2%の質量損失を示した。これは、単に無水結晶性状態で、検出可能な多形不純物または多形遷移が起こらずにこの医薬形態が存在することを示唆する。
TGAプロット(図5)は、約288℃での顕著な事象を示し、これは主融解遷移前に開始し、わずかな程度の融解前または融解中のサンプルの熱融解部分的分解を示唆する。この分解工程は、300℃を超える温度で加速された。
実施例10
4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの水分吸着/脱離分析
実施例5の工程8の再結晶方法により製造した4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの結晶を、このサンプルを水和物状態の形成性向にするため、水分吸着/脱着分析に付した。
約20mgのサンプルをワイヤーメッシュ水分収着バランスパンに入れ、‘IgaSorp’水分吸着バランス(Hiden Analytical Instruments)に負荷し、25+/−0.1℃に維持した。サンプルを、次いで0%湿度環境(マスフロー制御装置を使用)に維持することにより、重量変化が記録されなくなるまで乾燥させた。その後、サンプルを、次いで10%RH増分で0−90%相対湿度(%RH)の傾斜プロファイルに付し、サンプルを各工程で平衡が達成されるまで維持した(99.5%工程完了)。
平衡に到達したら、装置内の%RHを次工程に上げ、平衡方法を繰り返した。吸着サイクル収量後、サンプルを、次いで同じ方法を使用して乾燥させた。次いで、吸着/脱着サイクル中の重量変化をモニターし、サンプルの吸湿性性質を決定した。
化合物の水分収着/脱着プロファイルを図6に示す。
サンプル(0%RHでの)の最初の乾燥中、分析前に粒子上に存在したゆるく結合した物理的吸着または非結合表面吸着水の除去に相当する、約0.01%の重量損失が見られた。その後、相対湿度を工程的に90%RHに上げ、対応する少量の重量の漸増がもたらされ、90%RHで平衡時に0.24%となった。種々の湿度での貯蔵により見られるこれらの僅かな程度の質量取り込みは、単純に粒子表面上の単層の水の表面吸着の結果であり、真の結晶性水和物形成事実はない。これは、本化合物が、吸湿性に関しては物理的に安定であり、高い湿度条件での貯蔵により水和状態に変換しないことを示唆する。
生物学的活性
実施例11
活性化CDK2/サイクリンAキナーゼ阻害活性測定アッセイ(IC 50
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の72−73頁の実施例5を参照。
実施例12
活性化CDK1/サイクリンBキナーゼ阻害活性測定アッセイ(IC 50
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の73頁の実施例6を参照。
実施例13
GSK3−βキナーゼ阻害活性アッセイ
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の73−74頁の実施例7を参照。
実施例14
抗増殖活性
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の74頁の実施例8を参照。
実施例15
経口バイオアベイラビリティの決定
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の74−75頁の実施例9を参照。
実施例16
ゼノグラフ試験
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の75−76頁の実施例10を参照。
実施例17
比較実施例
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の76−77頁の実施例11を参照。
製剤
実施例18
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の77−79頁の実施例12を参照。
実施例19
ポリビニルピロリドン(PVP)中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの固体分散体を含む製剤
本実施例は、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド及びK30グレードのポリビニルピロリドン(BASF ChemTrade GmbH of Burgbernheim, Germanyにより市販されるKollidon K30)のスプレー乾燥した固体分散体を含む顆粒組成物の製造を記載する。PVPの分子量は、44,000−54,000の範囲である。
該固体分散体は、エタノール及びジクロロメタンの1:1(v/v)混合物中に4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドを溶解して、50mg/mLの化合物濃度を得て、次いで、PVP K30を1:3の化合物:PVP比で添加して製造された。
次いで、溶質をNiro Mobile Minor 2000スプレー乾燥機中でスプレー乾燥させた。スプレー乾燥機から集めた粉末を、真空下で乾燥させた。
スプレー乾燥の条件は下記の通りであった:
ノズル内径(ID):1mm
チューブID:3mm
入口温度:180℃
排出温度:85℃
噴霧圧:1.0bar
プロセスガス流:3.2mbar(窒素の83kg/時間)
プロセスガス:窒素
溶液乾燥重量(化合物+PVP):1980g
流速:123g/分
収率:84.85%。
スプレー乾燥した固体分散体の粒径分布を、乾燥後、レーザー回折装置を用いて測定し、下記のD10、D50及びD90形状を得た:
D10/μm 17.53
D50/μm 49.08
D90/μm 93.26。
以下の実施例において、PVP中、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミドの固体分散体は、“式(I)の化合物/PVP”と称される。
以下の物質を高せん断ミキサーで30秒間混合した:
リン酸二カルシウム(Emcompress商標) 32.8g
ケイ化微結晶セルロース(ProSolv HD90商標) 10.9g
式(I)の化合物/PVP 35.2g
クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol商標) 11.1g
その後、粉末混合物をFreund roller compactorを用いて圧縮した。以下の設定が、リボンの製造に必要とされた:−
供給速度: 60rpm
ローラー速度: 2rpm
ローラー圧: 180kgf/cm
圧縮粉末のリボンを710μm篩いを通して挽き、得られた顆粒を適当な容器内に集めた。顆粒塊(9.0g)のアリコートを、Ac−Di−Sol(1.0g)のさらなるアリコートと混合した。サイズ0のカプセル中に充填され得る顆粒塊の量を決定した(軽く充填(flush-filled)およびきつく充填(tightly packed)の両方)。結果を以下にまとめる。
Figure 2009543770
崩壊試験
速溶型経口剤形のために、投与形態の崩壊及び活性成分の放出が15分以内に起こるが望ましい。故に、本明細書に記載のカプセル剤は、標準錠剤/カプセル崩壊装置(European Pharmacopoeia, 4th Edition)を用いて崩壊試験を行われる。蒸留水を崩壊媒体として用いた。崩壊媒体の容量は800mLであり、温度は37℃(+/−1℃)に維持した。剤形の分散/溶解性の評価は、観察のみで行った。崩壊時間は、以下の表に示す。
Figure 2009543770
溶解試験
カプセル剤の溶解速度は、(1)PVP及び式(I)の化合物のカプセル封入されていない、さらなる賦形剤を含まない固体分散体、及び(2)サイズ0のカプセル中にきつく充填された固体分散体(1)、及び(3)剤形サンプル、の溶解速度と比較された。
溶解試験は、European Pharmacopoeia, 4th Editionに記載のパドル装置を用いて行われた。
溶解実験の結果を図7に示す。図7は、4−(2,6−ジクロロ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミド及びPVPの固体分散体を含むいくつかの剤形についての時間に対する溶解の図であって、(1)は、カプセル封入されていない、さらなる賦形剤を含まない固体分散体のPVP及び式(I)の化合物を示し、(2)は、サイズ0のカプセル中にきつく充填された固体分散体(1)を示し、そして(3)は、製剤サンプルを示す。
結果は、カプセル封入されていない固体分散の溶解がカプセルサンプルの溶解よりも迅速であったことを示す。きつく充填したカプセル封入サンプルにおいて、PVPは恐らく粒子を一緒に結合させ、それ故に式(I)の化合物の溶解を遅延させる。興味深いことに、製剤サンプルは、製剤されていないカプセル封入サンプルと比較して、はるかに速い溶解プロファイルを示し、これは、製剤中の崩壊剤の高い割合が、PVPの結合能に反作用することを示す。
実施例20
抗真菌活性の決定
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の79−80頁の実施例13を参照。式(I)の化合物の抗真菌活性は、下記のプロトコールを用いて決定され得る。
実施例21
インビボでの全植物の真菌感染制御の生物学的評価のためのプロトコール
WO2006/077416(引用により本明細書中に包含される)の81頁の実施例14を参照。
実施例22
治療効果のためのアッセイ
式(I’’’)の化合物と式(0)の化合物(例えば、化合物I)の併用効果は、以下の技術を用いて評価され得る。
IC 50 シフトアッセイ
ヒト細胞系(例えば、HCT116、U87MG、A549)由来の細胞を、96ウェル組織培養プレート上にそれぞれ2.5×10、6.0×10、または4.0×10細胞/ウェル濃度で播種した。細胞を48時間回復させておき、その後、化合物(複数可)またはビークル対照(0.35%DMSO)を以下の通り添加した。
化合物を96時間の間、同時に添加した。
合計96時間の化合物インキュベーションの後、細胞を、氷上で1時間、氷冷した10%(w/v)トリクロロ酢酸で固定し、次いでプレート洗浄機(Labsystems Wellwash Ascent)を用いてdH0で4回洗浄し、空気乾燥させた。その後、細胞を、室温で20分間、1%酢酸中0.4%(w/v)スルホローダミンB(Sigma)で染色し、次いで、1%(v/v)酢酸で4回洗浄し、空気乾燥させて、その後、10mMトリス緩衝液を添加して色素を可溶化した。比色製品を、Wallac Victor2 plate reader (1420 multilabel counter, Perkin Elmer Life Sciences)上でAbs490nmにて読解して定量した。種々の用量の化合物Iの存在下で、化合物IIのIC50を決定した。相乗性は、IC50が、有効量以下の化合物Iの存在下で下方シフトしたとき決定された。相加性は、化合物II及び化合物I併用に対する応答が、2個の個々の化合物の和と効果が等しいとき決定された。アンタゴニスト効果は、IC50の上昇シフトがもたらされる、すなわち、2個の化合物に対する応答が、2個の個々の化合物の効果の和以下であったとき、定義された。
Figure 2009543770
均等物
以上の実施例は、本発明の説明を目的として示され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。多くの修飾及び変更が、本発明の基本的原則から逸脱することなく、上記及び実施例に記載の本発明の特定の態様に対して行われてよいことは容易に明らかであり得る。全てのかかる修飾及び変更は、本発明により包含されている。

Claims (154)

  1. (a)式(0):
    Figure 2009543770

    [式中、
    Xは、基R−A−NR−又は5員もしくは6員の炭素環又はヘテロ環であり;
    Aは、結合、SO、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシにより置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
    Yは、結合又は1、2又は3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
    は、水素、3〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1または2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基により置換されていてよく;
    は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)により置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    は、水素及び3個〜12個の環メンバーの炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
    は、水素又は所望によりハロゲン、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシにより置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物;及び
    (b)式(I'''):
    Figure 2009543770
    [式中、
    は、2,6−ジクロロフェニルであり;
    2a及びR2bは、両方とも水素であり;そして
    は、式(A)の基:
    Figure 2009543770
    〔式中、RはC1−4アルキルである。〕
    である。]
    で示される化合物、又はその塩、互変異性体、溶媒和物及びN−オキシド、
    を含む、組合せ剤。
  2. 式(0)が、式(I):
    Figure 2009543770

    [式中、
    Xは、基R−A−NR−又は5員もしくは6員の炭素環又はヘテロ環であり;
    Aは、結合、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシにより置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
    Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
    は、水素、3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC1−8−ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個または2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基により置換されていてよく;
    は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)により置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    は、水素及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
    は、水素又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)により置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  3. 式(0)が、式(Ix):
    Figure 2009543770

    [式中、
    Xは、基R−A−NR−であり;
    Aは、結合、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシにより置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
    Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
    は、水素、3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個又は2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基により置換されていてよく;
    は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    は、水素及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
    は、水素又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  4. 式(0)が、式(Ia):
    Figure 2009543770

    [式中、
    Xは、基R−A−NR−であり;
    Aは、結合、C=O、NR(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
    Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
    は、3個〜12個の環メンバーの炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりフッ素、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個又は2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基により置換されていてよく;
    は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)により置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    は、水素及び3個〜12個の環メンバーの炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
    は、水素、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  5. 式(0)が、式(Ib):
    Figure 2009543770

    [式中、
    Xは、基R−A−NR−であり;
    Aは、結合、C=O、NRg(C=O)又はO(C=O)であり、ここでRは、水素又は所望によりヒドロキシもしくはC1−4アルコキシで置換されていてよいC1−4ヒドロカルビルであり;
    Yは、結合又は1個、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン鎖であり;
    は、3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基、又は所望によりフッ素、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3個〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基であり、ここでヒドロカルビル基の炭素原子の1個又は2個は、所望によりO、S、NH、SO、SOから選択される原子又は基で置換されていてよく;
    は、水素、ハロゲン、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基であり;
    は、3個〜12個の環メンバーの炭素環及びヘテロ環基から選択され;そして
    は、水素、又は所望によりハロゲン(例えば、フッ素)、ヒドロキシもしくはC1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基である。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  6. AがC=Oである、請求項5に記載の組合せ剤。
  7. が水素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  8. が水素又はメチル、好ましくは水素である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  9. Yが結合である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  10. が、3個〜12個の環メンバー(例えば、5個〜10個の環メンバー)を有する炭素環もしくはヘテロ環基である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  11. 該炭素環及びヘテロ環基が単環である、請求項10に記載の組合せ剤。
  12. 該単環基がアリール基である、請求項11に記載の組合せ剤。
  13. 該アリール基が置換又は非置換フェニル基である、請求項12に記載の組合せ剤。
  14. 該炭素環及びヘテロ環基が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基、基R−R〔ここで、Rは、結合、O、CO、X1C(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONR又はNRSOであり;そして、Rは、水素、3〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基、並びに所望によりヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12個の環メンバーを有する炭素環及びヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択され、ここでC1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、所望によりO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xで置換されていてよく、Rは水素及びC1−4ヒドロカルビルから選択され、Xは、O、S又はNRであり、そしてXは、=O、=S又は=NRである。〕から選択される1個以上(例えば、1個、2個、3個又は4個)の置換基R10により置換される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  15. 置換基R10が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、基R−R〔ここで、Rが、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO又はSOであり;Rが、水素及び所望によりヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、及び3個〜6個の環メンバーを有する単環非芳香族炭素環もしくはヘテロ環置換基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択され、ここでC1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子が、所望によりO、S、SO、SO、XC(X)、C(X)X又はXC(X)Xで置換されていてもよく、XはO又はSであり;そして、Xは=O又は=Sである。〕からなる基R10aから選択される、請求項14に記載の組合せ剤。
  16. 該置換基が、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、基R−R〔ここで、Rが、結合又はOであり、Rが、水素、及び所望によりヒドロキシ、ハロゲン(好ましくはフッ素)及び5員もしくは6員の飽和炭素環及びヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基から選択される。〕から選択される、請求項15に記載の組合せ剤。
  17. が、環の2位、3位、4位、5位又は6位、1個、2個又は3個の置換基を有するフェニル環である、請求項13〜16のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  18. 該フェニル基が、2−モノ置換、3−モノ置換、2,6−ジ置換、2,3−ジ置換、2,4−ジ置換、2,5−ジ置換、2,3,6−トリ置換又は2,4,6−トリ置換される、請求項17に記載の組合せ剤。
  19. 該フェニル基が:
    (i)フッ素、塩素及びR−Rであって、(ここで、RがOであり、そしてRがC1−4アルキルである。)から選択される置換基で、2位でモノ置換、2位及び3位でジ置換、又は2位及び6位でジ置換されるか;又は
    (ii)フッ素、塩素及び所望により1個以上のフッ素原子で置換されていてよいC1−4アルコキシから選択される置換基で、2位でモノ置換;又はフッ素、塩素及びメトキシから選択される置換基で、2位及び5位でジ置換される、請求項18に記載の組合せ剤。
  20. AがCOであり、R−CO−が、本明細書の表1に列記される基、特に基J、AB、AH、AJ、AL、AS、AX、AY、AZ、BA、BB、BD、BH、BL、BQ及びBS;より特に、基AJ、AX、BQ、BS及びBAIから選択され、好ましくは基AJ及びBQである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  21. 式(0)が、式(II'):
    Figure 2009543770
    [式中、R、R、R及びYは、請求項1〜請求項20のいずれかに定義したものである]
    で示される化合物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  22. が:
    (a)所望によりフッ素;塩素;ヒドロキシ;所望により1個以上のC1−4アルキル基で置換されていてよい、O、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員の飽和ヘテロ環基;C1−4ヒドロカルビルオキシ;及び、C1−4ヒドロカルビル基(ここで、C1−4ヒドロカルビル及びC1−4ヒドロカルビルオキシ基は、所望によりヒドロキシ、フッ素、C1−2アルコキシ、アミノ、モノ−及びジ−C1−4アルキルアミノ、フェニル、ハロフェニル、3〜7個の環メンバー(より好ましくは、4、5又は6個の、例えば5又は6個の環メンバー)を有する飽和炭素環基、又は5もしくは6個の環メンバーを有し、O、S及びNから選択される2個までのヘテロ原子を含む飽和ヘテロ環基から選択される1個以上の置換基により置換されていてよい。);又は、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、から選択される1個以上(例えば、1個、2個もしくは3個)の置換基で置換されていてよいフェニル基;
    (i)O、S及びNから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む単環ヘテロアリール基;又は、O、S及びNから選択される1個のヘテロ原子を含む二環ヘテロアリール基(ここで、単環及び二環ヘテロアリール基は、各々所望によりフッ素;塩素;C1−3ヒドロカルビルオキシ;及び、所望によりヒドロキシ、フッ素、メトキシ、又はO、S及びNから選択される2個までのヘテロ原子を含む5員もしくは6員の飽和炭素環もしくはヘテロ環基で置換されていてよいC1−3ヒドロカルビル、から選択される1個以上の置換基で置換されていてよい。);
    (ii)3〜6個の環メンバーを有する置換又は非置換シクロアルキル基;及び
    (iii)所望によりフッ素、ヒドロキシ、C1−4ヒドロカルビルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、及び3〜12個の環メンバーを有する炭素環もしくはヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で置換されていてよいC1−4ヒドロカルビル基(ここで、ヒドロカルビル基の炭素原子の1個は、所望によりO、NH、SO及びSOから選択される原子又は基で置換されていてよい。);
    から選択される、請求項21に記載の組合せ剤。
  23. が、非置換フェニル、2−フルオロフェニル、2−ヒドロキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、2−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル、3−フルオロフェニル、3−メトキシフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−6−ヒドロキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシフェニル、2−フルオロ−5−メトキシフェニル、2−クロロ−6−メトキシフェニル、2−フルオロ−6−メトキシフェニル、2、6−ジクロロフェニル及び2−クロロ−6−フルオロフェニルから選択され、所望によりさらに5−フルオロ−2−メトキシフェニルから選択される、請求項22に記載の組合せ剤。
  24. が、2,6−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−6−メトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル及び2−クロロ−6−フルオロフェニルから選択される、請求項23に記載の組合せ剤。
  25. 式(0)が、式(IV):
    Figure 2009543770

    [式中、
    及びRは、請求項1〜24のいずれか一項に定義の通りであり;
    任意の第二の結合は、番号1及び番号2の炭素原子の間に存在してもよく;
    U及びTの一方は、CH、CHR13、CR1113、NR14、N(O)R15、O及びS(O)から選択され、またU及びTの他方は、NR14、O、CH、CHR11、C(R11及びC=Oから選択され;rは、0、1、2、3又は4であり;tは、0、1又は2であり;
    11は、水素、ハロゲン(特にフッ素)、C1−3アルキル(例えば、メチル)及びC1−3アルコキシ(例えば、メトキシ)から選択され;
    13は、水素、NHR14、NOH、NOR14及びR−Rから選択され;
    14は、水素及びR−Rから選択され;
    は、結合、CO、C(X)X、SO及びSONRから選択され;
    、R及びRは、請求項14〜24のいずれか一項に記載の通りであり;そして
    15は、所望によりヒドロキシ、C1−2アルコキシ、ハロゲン又は単環の5員もしくは6員の炭素環もしくはヘテロ環基で置換されていてよいC1−4飽和ヒドロカルビルから選択される。但し、UおよびTは同時にOではないものとする。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組合せ剤。
  26. 式(0)が、式(IVa):
    Figure 2009543770

    [式中、U及びTの一方は、CH、CHR13、CR1113、NR14、N(O)R15、O及びS(O)から選択され;U及びTの他方は、CH、CHR11、C(R11及びC=Oから選択され;rは、0、1又は2であり;tは、0、1又は2であり;
    11は、水素及びC1−3アルキルから選択され;
    13は、水素及びR−Rから選択され;
    14は、水素及びR−Rから選択され;
    は、結合、CO、C(X)X、SO及びSONRから選択され;
    15は、所望によりヒドロキシ、C1−2アルコキシ、ハロゲン又は単環の5員もしくは6員の炭素環もしくはヘテロ環基で置換されていてよいC1−4−飽和ヒドロカルビルから選択され;そして
    、R、R、R及びRは、請求項1〜請求項25のいずれか一項に定義の通りである。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項25に記載の組合せ剤。
  27. 式(0)が、式(Va):
    Figure 2009543770
    [式中、
    14aは、水素、所望によりフルオロにより置換されていてよいC1−4−アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル及び2,2,2−トリフルオロエチル)、シクロプロピルメチル、フェニル−C1−2−アルキル(例えば、ベンジル)、C1−4アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル及びt−ブチルオキシカルボニル)、フェニル−C1−2−アルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、C1−2−アルコキシ−C1−2−アルキル(例えば、メトキシメチル及びメトキシエチル)、及びC1−4アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル)から選択され、ここでフェニル部分が存在するとき、それは所望によりフッ素、塩素、所望によりフルオロ又はC1−2アルコキシで置換されていてよいC1−4アルコキシ、及び所望によりフルオロ又はC1−2アルコキシで置換されていてよいC1−4アルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
    wは、0、1、2又は3であり;
    は、水素又はメチル、最も好ましくは水素であり;
    11及びrは、請求項25または26に定義の通りであり;そして
    19は、フッ素、塩素、所望によりフルオロ又はC1−2アルコキシで置換されていてよいC1−4アルコキシ、及び所望によりフルオロ又はC1−2アルコキシで置換されていてよいC1−4アルキルから選択される。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項26に記載の組合せ剤。
  28. 該フェニル環が、2位及び6位にて、フッ素、塩素及びメトキシから選択される置換基でジ置換される、請求項27に記載の組合せ剤。
  29. 11が水素である、請求項25〜28のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  30. 14aが水素又はメチルである、請求項25〜29のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  31. 式(0)が、式(VIa):
    Figure 2009543770

    [式中、R20は、水素及びメチルから選択され;
    21は、フッ素及び塩素から選択され;そして
    22は、フッ素、塩素及びメトキシから選択されるか;又は
    21及びR22の一方は水素であり、他方は塩素、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びベンジルオキシから選択される。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項30に記載の組合せ剤。
  32. 式(0)が、式(VIb):
    Figure 2009543770

    [式中、R20は、水素及びメチルから選択され;
    21aは、フッ素及び塩素から選択され;そして
    22aは、フッ素、塩素及びメトキシから選択される。]
    で示される化合物、又はその塩もしくは互変異性体もしくはN−オキシドもしくは溶媒和物である、請求項31に記載の組合せ剤。
  33. 式(VIb)の化合物が、
    4−(2,6−ジフルオロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;
    4−(2,6−ジフルオロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メチルピペリジン−4−イル)アミド;
    4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド;及び
    4−(2−フルオロ−6−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミド
    から選択される、請求項32に記載の組合せ剤。
  34. 式(VIb)の化合物が、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドである、請求項33に記載の組合せ剤。
  35. 式(0)の化合物が塩形である、請求項1〜34のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  36. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドが塩形、好ましくは酸付加塩形である、請求項34に記載の組合せ剤。
  37. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドが、塩酸、メタンスルホン酸及び酢酸と共に形成される酸付加塩から選択された塩形である、請求項36に記載の組合せ剤。
  38. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの塩が、塩酸と共に形成される塩である、請求項37に記載の組合せ剤。
  39. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの塩が、メタンスルホン酸と共に形成される塩である、請求項37に記載の組合せ剤。
  40. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドの塩が、酢酸と共に形成される塩である、請求項37に記載の組合せ剤。
  41. 式(0)の化合物が、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載の組合せ剤。
  42. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ピペリジン−4−イルアミドのメタンスルホン酸塩が結晶形態である、請求項41に記載の組合せ剤。
  43. 式(I''')の化合物のRがC1−3−アルキルである、請求項1〜42のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  44. 式(I''')の化合物のRがメチルである、請求項43に記載の組合せ剤。
  45. 式(I''')の化合物のRがエチルである、請求項43に記載の組合せ剤。
  46. 式(I''')の化合物のRがn−プロピルである、請求項43に記載の組合せ剤。
  47. 式(I''')の化合物のRがイソプロピルである、請求項43に記載の組合せ剤。
  48. 式(I''')の化合物が、塩又はN−オキシドの形態でない、請求項43〜47のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  49. 式(I''')の化合物が、塩、溶媒和物又はN−オキシドの形態である、請求項43〜47のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  50. 式(I''')の化合物が、4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミドである、請求項43〜49のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  51. 該4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル)アミドが結晶形態である、請求項50に記載の組合せ剤。
  52. さらに1個以上の付加的化合物を含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  53. 該付加的化合物が、パクリタキセル及びドセタキセルから選択されるようなタキサン化合物を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  54. 該付加的化合物が、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレキセド、ペメトレキセド及びメトトレキサートから選択される抗代謝化合物である、請求項52に記載の組合せ剤。
  55. 該付加的化合物が、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、イマニチブ・メシレート、ソラフェニブ、デサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ、アキシチニブ及びCHIR−258から選択されるシグナル伝達阻害剤である、請求項52に記載の組合せ剤。
  56. 該付加的化合物が、サイトカイン、サイトカイン活性化剤又はレチノイド(例えば、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ及びインターフェロン−α)、インターロイキン(例えば、インターロイキン2)、トレチノイン、アリトレチノイン及びベキサロテンから選択されるもの)である、請求項52に記載の組合せ剤。
  57. 該付加的化合物がカンプトテシン化合物を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  58. 該カンプトテシン化合物が、カンプトテシン、イリノテカン及びトポテカンから選択される、請求項57に記載の組合せ剤。
  59. 該カンプトテシン化合物がトポテカンである、請求項58に記載の組合せ剤。
  60. 該カンプトテシン化合物がイリノテカンである、請求項58に記載の組合せ剤。
  61. 該付加的化合物が、ビノレルビン、ビンブラスチン及びビンクリスチンから選択されるようなビンカアルカロイド化合物を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  62. 該ビンカアルカロイド化合物がビノレルビンである、請求項61に記載の組合せ剤。
  63. 該ビンカアルカロイド化合物がビンブラスチンである、請求項61に記載の組合せ剤。
  64. 該ビンカアルカロイド化合物がビンクリスチンである、請求項61に記載の組合せ剤。
  65. 該付加的化合物が、クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンから選択されるような白金化合物を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  66. 該白金化合物が、クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、カルボプラチン又はオキサリプラチンから選択される、請求項65に記載の組合せ剤。
  67. 該白金化合物が、カルボプラチン又はオキサリプラチンである、請求項66に記載の組合せ剤。
  68. 該白金化合物がカルボプラチンである、請求項67に記載の組合せ剤。
  69. 該付加的化合物が、アントラサイクリン誘導体、ミトキサントロン及びポドフィロトキシン誘導体から選択されるようなトポイソメラーゼ2阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  70. 該トポイソメラーゼ2阻害剤が、ダウノルビシン、イダルビシン及びエピルビシンから選択される、請求項69に記載の組合せ剤。
  71. 該トポイソメラーゼ2阻害剤が、エトポシド及びテニポシドから選択される、請求項69に記載の組合せ剤。
  72. 該トポイソメラーゼ2阻害剤がエトポシドである、請求項71に記載の組合せ剤。
  73. 該付加的薬剤が、抗アンドロゲン剤又は抗エストロゲン剤である、請求項52に記載の組合せ剤。
  74. 該抗アンドロゲン剤が、アロマターゼ阻害剤(例えばレトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン又はアミノグルテチミド)である、請求項73に記載の組合せ剤。
  75. 抗アンドロゲン剤が、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトロゾール(letrazole)、アナストラゾール、エキセメスタン、ビカルタミド、リュープロリド(luprolide)、メゲストロールアセテート、アミノグルテチミド及びベキサロテンから選択される、請求項73に記載の組合せ剤。
  76. 該付加的薬剤が、GnRH類似体(例えば、ゴセレリン又はリュープロリド)である、請求項52に記載の組合せ剤。
  77. 該付加的薬剤が、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(又は、抗CD抗体)である、請求項52に記載の組合せ剤。
  78. 該細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が、CD20、CD22、CD33及びCD52から選択される、請求項77に記載の組合せ剤。
  79. 該細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が、リツキシマブ、トシツモマブ及びゲムツズマブから選択される、請求項77または78に記載の組合せ剤。
  80. 該細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が、完全長ヒト抗体及びキメラ抗体を含む、請求項77〜79のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  81. 該付加的化合物が、窒素マスタード化合物、ニトロソウレア化合物及びブスルファンから選択されるようなアルキル化剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  82. 該アルキル化剤が、イホスファミド及びクロランブシルから選択される、請求項81に記載の組合せ剤。
  83. 該アルキル化剤が、カルムスチン及びロムスチンから選択される、請求項81に記載の組合せ剤。
  84. 該アルキル化剤がブスルファンである、請求項81に記載の組合せ剤。
  85. 該付加的化合物が、TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103及びPXD−101から選択されるようなHDAC阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  86. 該付加的化合物が、セレコキシブであるようなCOX−2阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  87. 該付加的化合物が、テモゾロミド、デシタビン及び5−アザシチジンであるようなDNAメチル化阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  88. 該付加的化合物が、例えばボルテジミブであるようなプロテアソーム阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  89. 該付加的化合物が、例えばセリシクリブ、アルボシディブ、7−ヒドロキシスタウロスパリン、JNJ−7706621、BMS−387032、Pha533533、PD332991、ZK−304709及びAZD−5438から選択されるようなCDK阻害剤を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  90. 該CDK阻害剤が、JNJ−7706621、BMS−387032、Pha533533、PD332991、ZK−304709及びAZD−5438から選択される、請求項89に記載の組合せ剤。
  91. 該CDK阻害剤がJNJ−7706621である、請求項90に記載の組合せ剤。
  92. 抗代謝化合物、タキサン化合物、エポチロン、Hsp90阻害剤、シグナル伝達阻害剤、カンプトテシン化合物、ビンカアルカロイド化合物、白金化合物、トポイソメラーゼ2阻害剤、抗アンドロゲン剤、モノクローナル抗体(例えば、1個以上の細胞表面抗原に対するもの)、アルキル化剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤、CDK阻害剤及びオーロラ阻害剤から独立して選択される2種以上の付加的化合物を含む、請求項52に記載の組合せ剤。
  93. 該2種以上の付加的化合物の中のうち1種が、抗アンドロゲン剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤及びさらにCDK阻害剤から選択される、請求項92に記載の組合せ剤。
  94. 該2種以上の付加的化合物が、5−FU、メトトレキサート、シクロホスファミド及びドキソルビシンから選択される、請求項92に記載の組合せ剤。
  95. 該2種以上の付加的化合物がフルダラビン及びリツキサマブを含む、請求項92に記載の組合せ剤。
  96. 該付加的化合物がオーロラ阻害剤である、請求項52に記載の組合せ剤。
  97. 式(0)の化合物と式(I''')の化合物が物理的に結合されている、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  98. 該付加的化合物と式(0)の化合物が、
    (a)混合されている(例えば、同じ単位用量剤中に);
    (b)化学的/物理化学的に(例えば、架橋、分子凝集又は共通の媒体部分への結合により)結合されている;
    (c)化学的/物理化学的に共封入されている(例えば、脂質媒体上又は中に配置、粒子(例えば、マイクロ粒子又はナノ粒子)又は乳剤液滴);又は
    (d)混合していないが、共封入又は共提示されている(例えば、単位用量アレイの一部として)、
    請求項97に記載の組合せ剤。
  99. 該付加的化合物と式(0)の化合物が非物理的に結合されている、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  100. 該組合せ剤が、(a)少なくとも1個の化合物を、該少なくとも1個の化合物と他の化合物との物理的結合体を形成するための即時結合についての説明書と共に;又は(b)少なくとも1個の化合物を、他の化合物との併用療法についての説明書と共に;又は(c)少なくとも1個の化合物を、他の化合物を投与されていた(または、投与されている)患者集団への投与に関する説明書と共に;又は(d)少なくとも1個の化合物を、他の化合物との併用に特に適当な量又は剤形で、含む、請求項99に記載の組合せ剤。
  101. 医薬パック、キット又は患者パックの形態の、請求項1〜100のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  102. サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態の予防又は処置に使用するための、請求項1〜101のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  103. 請求項1〜102のいずれか一項に記載の組合せ剤を、それ必要とする対象に投与することを含む、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態を予防又は処置する方法。
  104. 請求項1〜102のいずれか一項に記載の組合せ剤を、それ必要とする対象に投与することを含む、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態を緩和又は発症を低減させる方法。
  105. 異常な細胞増殖の阻害に有効な量の請求項1〜102のいずれか一項に記載の組合せ剤を哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を処置する方法。
  106. 異常な細胞増殖の阻害に有効な量の請求項1〜102のいずれか一項に記載の組合せ剤を哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を緩和又は発症を低減させる方法。
  107. cdkキナーゼ(例えば、cdk1又はcdk2)又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性の阻害に有効な量の請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤を哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を処置する方法。
  108. cdkキナーゼ(例えば、cdk1又はcdk2)又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性の阻害に有効な量の請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤を哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を緩和又は発症を低減させる方法。
  109. サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3を阻害する方法であって、該キナーゼと請求項1〜96のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害組合せ剤を接触させることを含む、方法。
  110. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤を用いて、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3活性を阻害することにより細胞過程(例えば細胞分裂)を調節する方法。
  111. 本明細書に記載の疾患の予防又は処置に使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  112. 本明細書に記載の1個以上の用途に用いる医薬品を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の使用。
  113. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤と医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  114. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤と医薬的に許容される担体を経口投与に適する形態で含む、医薬組成物。
  115. 医薬に使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  116. 上記ならびに本明細書の別の部分に記載した使用及び方法のいずれかのための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  117. 式(I''')の化合物で処置中の対象において、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態の予防又は処置で使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  118. 式(I''')の化合物で処置中の対象におけるサイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態を予防又は処置するための医薬を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の使用。
  119. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を、式(I''')の化合物で処置中の、それを必要とする対象に投与することを含む、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態を予防又は治療するための方法。
  120. 式(I''')の化合物で処置中の哺乳動物対象における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を処置する方法であって、異常な細胞増殖を阻害するために有効な量の請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を投与することを含む、方法。
  121. 式(I''')の化合物で処置中の哺乳動物対象における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を処置する方法であって、サイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害するために有効な量の請求項1〜96のいずれか一項に記載の化合物を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
  122. 式(I''')の化合物で処置中の対象における異常な細胞増殖に起因する疾患又は状態の予防又は治療に用いる薬剤を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
  123. 式(I''')の化合物で処置中の対象におけるサイクリン依存性キナーゼ又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3により仲介される疾患又は状態を予防又は治療するための方法であって、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を該対象に投与することを含む、方法。
  124. 式(I''')の化合物で処置中の哺乳動物対象における異常な細胞増殖を含むか、もしくはそれに起因する疾患又は状態を処置する方法であって、cdkキナーゼ(例えば、cdk1又はcdk2)又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害するために有効な量の請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を該対象に投与することを含む、方法。
  125. 式(I''')の化合物で処置中の対象におけるcdkキナーゼ(例えば、cdk1又はcdk2)又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害する方法であって、該キナーゼと請求項1〜96のいずれか一項に記載のキナーゼ阻害性の式(0)の化合物を接触させることを含む、方法。
  126. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を用いてcdkキナーゼ(例えば、cdk1又はcdk2)又はグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3の活性を阻害することによって、式(I''')の化合物で処置中の対象における細胞過程を調節する方法。
  127. 該式(I''')の化合物を本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択する、請求項119〜126のいずれか一項に記載の方法。
  128. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤を(例えば、治療的有効量で)患者(例えば、それを必要とする患者)に投与することを含む、本明細書に記載の疾患又は状態のいずれかを処置又は予防する方法。
  129. (i)患者をスクリーニングして、該患者が罹患しているか、罹患のおそれがある疾患又は状態が、サイクリン依存性キナーゼに対して活性を有する化合物を用いる処置に感受性があるかどうかを決定すること;及び(ii)該患者の疾患又は状態が感受性であることが示されるとき、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤を患者に投与することを含む、サイクリン依存性キナーゼにより仲介される疾患又は状態を診断および処置する方法。
  130. スクリーニングされ、サイクリン依存性キナーゼに対する活性を有する化合物を用いる処置に感受性のある疾患又は状態に罹患しているか、罹患のおそれがあると決定された患者における疾患又は状態の処置又は予防に用いる薬剤を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の使用。
  131. 哺乳動物における腫瘍増殖を阻害するために使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  132. 腫瘍細胞の増殖を阻害するために使用する(例えば、哺乳動物で)ための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤。
  133. 哺乳動物(例えば、ヒト)において腫瘍増殖を阻害する方法であって、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の腫瘍増殖阻害に有効な量を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
  134. 腫瘍細胞(例えば、ヒトのような哺乳動物に存在する腫瘍細胞)の増殖を阻害する方法であって、該腫瘍細胞と請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の腫瘍細胞増殖阻害に有効な量を接触させることを含む、方法。
  135. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物との併用療法で使用するための、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)。
  136. 式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)との併用療法で使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  137. 併用療法が請求項1〜136のいずれか一項に記載の予防、処置又は方法を含む、請求項47又は請求項48の化合物。
  138. 請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物で処置中の患者の処置又は予防に使用するための薬剤製造のための、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)の使用。
  139. 式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)で処置中の患者の処置又は予防に使用するための薬剤を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の使用。
  140. ヒトのような温血動物の癌を処置する方法であって、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)の有効量を、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の有効量と逐次的に、例えば、前もしくは後に、又は同時に該動物に投与することを含む、方法。
  141. 哺乳動物における癌の併用療法であって、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)の治療的有効量と請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物の治療的有効量を投与することを含む、方法。
  142. 異常な細胞増殖を含むかそれに起因する哺乳動物の疾患又は状態の寛解又は発症を低減するために、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)との併用療法で使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  143. 哺乳動物において腫瘍増殖を阻止するための、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)との併用療法に使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  144. それを必要とする患者の癌を予防、処置又は管理するための、式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)との併用療法で使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  145. 式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)で処置中の癌患者において応答率を増強又は高める目的で使用するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物。
  146. 式(I''')の化合物(例えば、本明細書に記載の式(I''')の化合物のいずれかから選択される式(I''')の化合物)で処置中の癌患者において応答率を増強又は高める方法であって、式(I''')の化合物と請求項1〜96のいずれか一項に記載の式(0)の化合物を併用して患者に投与することを含む、方法。
  147. 本明細書に記載の治療的又は予防的使用のいずれかのための薬剤を製造するための、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の使用。
  148. 該組合せ剤が2種以上の付加的化合物を含む、請求項1〜147のいずれか一項に記載の発明。
  149. 2種以上の付加的化合物の各々が、本明細書に記載の付加的化合物のいずれかから独立して選択される、請求項148に記載の発明。
  150. 1個以上の付加的化合物が、レキシノイド、選択的免疫応答調節剤、DNA修復阻害剤及びGタンパク質共役受容体阻害剤から独立して選択される、請求項1〜149のいずれか一項に記載の発明。
  151. 1個以上の付加的化合物が、選択的免疫応答調節剤、DNA修復阻害剤及びGタンパク質共役受容体阻害剤から独立して選択される、請求項1〜150のいずれか一項に記載の発明。
  152. 該組合せ剤が:(a)2種以上の式(0)の化合物、及び/又は(b)2種以上の式(I''')の化合物を含む、請求項1〜151のいずれか一項に記載の発明。
  153. 式Iの化合物と付加的化合物を組み合わせる工程を含む、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の製造方法。
  154. 式(XVII):
    Figure 2009543770

    で示される化合物とSO基の導入に適するスルホニル化剤(例えば、塩化メタンスルホニルのような塩化スルホニル)を反応させる工程を含む、請求項1〜96のいずれか一項に記載の組合せ剤の製造方法。
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