JP5345842B2 - プロテインキナーゼモジュレーターとしてのピラゾール誘導体を含む医薬組み合わせ - Google Patents

プロテインキナーゼモジュレーターとしてのピラゾール誘導体を含む医薬組み合わせ Download PDF

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Description

本発明は、プロテインキナーゼB(PKB)とプロテインキナーゼA(PKA)の活性を阻害または調節するピラゾール含有アリール−およびヘテロアリール−アルキルアミン化合物と1種以上(例えば、2種以上)の補助化合物との組み合わせ、PKBおよびPKAが仲介する病的状態または症状の処置または予防における該組み合わせの使用、およびPKBおよびPKAの阻害または調節活性を有する新規化合物を含んでなる組み合わせに関する。当該組み合わせを含有する医薬組成物も提供される。
発明の背景
プロテインキナーゼ
プロテインキナーゼは細胞内の広範なシグナル伝達過程の制御に役割を果たす構造的に関連する酵素の一大系統群を構成する(Hardie, G. and Hanks, S.(1995)The Protein Kinase Facts Book. I and II, Academic Press, San Diego, CA)。該キナーゼはそれがリン酸化する基質により幾つかの系統群に類別し得る(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質など)。配列モチーフはこれらのキナーゼ系統群のそれぞれに一般に対応して同定されている(例えば、Hanks, S.K., Hunter, T., FASEB J., 9:576-596(1995); Knighton, et al., Science, 253:407-414(1991); Hiles, et al., Cell, 70:419-429(1992); Kunz, et al., Cell, 73:585-596(1993); Garcia-Bustos, et al., EMBO J., 13:2352-2361(1994))。
プロテインキナーゼはその調節メカニズムによって特徴づけることができる。これらのメカニズムは、例えば、自己リン酸化、他のキナーゼよるトランスホスホリゼーション、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−脂質相互作用、およびタンパク質−ポリヌクレオチド相互作用などである。個々のプロテインキナーゼは一つを超えるメカニズムにより調節され得る。
キナーゼは多くの異なる過程、例えば、限定されるものではないが、標的タンパク質にリン酸基を付加することによる増殖、分化、アポトーシス、運動性、転写、翻訳および他のシグナル伝達過程を調整する。これらのリン酸化事象は分子のオン/オフスイッチとして作用し、このスイッチが標的タンパク質の生物学的機能を調節または調整する。標的タンパク質のリン酸化は、様々な細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、増殖と分化の因子など)、細胞周期事象、環境または栄養ストレスなどに応答して起こる。適切なプロテインキナーゼはシグナル伝達経路で機能して、例えば、代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネルもしくはポンプ、または転写因子を(直接または間接的に)活性化または不活化する。タンパク質のリン酸化に欠陥のある制御による非制御シグナル伝達は、多くの疾患に、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患と症状、中枢神経系の疾患と状態、および血管形成などに関わっている。
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、生体がもはや必要としなくなった細胞を除去する重要な生理的過程である。この過程は初期の胚増殖と発生において重要であり、細胞成分の非壊死制御分解、除去および回収を可能とする。アポトーシスによる細胞の除去は、増殖する細胞集団の染色体および遺伝子の統合性の維持においても重要である。細胞増殖サイクルには数種の既知のチェックポイントがあるが、そこではDNAの損傷と染色体の統合性が注意深くモニターされている。かかるチェックポイントでの異常検出に対する応答は、かかる細胞の増殖を阻止し、修復過程を開始させることである。その損傷または異常を修復できない場合は、欠陥とエラーの拡大を防止するために、損傷した細胞がアポトーシスを開始する。癌性細胞はその染色体DNAに、例外なしに、多数の突然変異、エラーまたは再配列を含んでいる。腫瘍の大多数がアポトーシス過程の開始に役割を持つひつ以上の過程に欠陥を有するために、それが部分的に発生すると広く信じられている。正常な制御メカニズムが癌性細胞を殺すことができず、エラーをコードする染色体またはDNAが増殖し続ける。結果として、これらのプロ−アポトーシスシグナルを回復すること、または非制御生存シグナルを抑制することは、癌処置の魅力的な一手段である。
取分け、酵素ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(P13K)、PDK1およびPKBを含むシグナル伝達経路は、多くの細胞中でのアポトーシスまたは生存に対する増強された応答を仲介することが以前から知られていた。この経路が、アポトーシスを抑制する多くの増殖因子により使用される重要な生存経路であることを示す相当量のデータが存在する。酵素P13Kは、一連の増殖因子および生存因子、例えば、EGF、PDGFによって活性化され、ポリホスファチジルイノシトールの生成を介して、キナーゼPDK1およびプロテインキナーゼB(PKB)(Aktとしても知られる)を含む下流シグナル伝達事象の活性化を開始する。このことはまた宿主組織、例えば、血管内皮細胞ならびに異常増殖にも当てはまる。PKBはN−末端PHドメインとC−末端調節ドメインと共にキナーゼドメインからなるタンパク質セリン/スレオニンキナーゼである。酵素PKBそれ自体は、PDK1によりThr308上で、また未だ同定されていないキナーゼによりSer473上でリン酸化される。完全な活性化は両方の部位でのリン酸化を必要とする一方で、基質に最適な接近距離を提供する脂質膜の細胞質表面に該酵素を固定するために、PIP3とPHドメイン間の会合が必要とされる。
活性化されたPKBは全体の生存応答に寄与する一連の基質を順次リン酸化する。我々はPKB依存性生存応答を仲介する役割をもつ因子のすべてを理解しているという確信はないが、幾つかの重要な作用が、プロ−アポトーシス因子BADとカスパーゼ9のリン酸化と不活化、フォークヘッド転写因子、例えば、核からのそれの排除に導くFKHRのリン酸化、および該カスケードにおける上流キナーゼのリン酸化によるNfカッパBの活性化であると信じられる。
PKB経路の抗アポトーシスおよび生存促進作用に加えて、該酵素は細胞増殖の増進に重要な役割をも演じる。この作用は再び数種の作用を介して仲介されると思われるが、その幾つかは、p21Cip1/WAF1のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤のリン酸化および不活化、細胞増殖の幾つかの側面を制御するキナーゼ、mTORのリン酸化と活性化であると考えられる。
ポリホスファチジル−イノシトールを脱リン酸化し、不活性化するホスファターゼPTENは、重要な腫瘍抑制タンパク質であり、通常PI3K/PKB生存経路を調整する作用をもつ。腫瘍形成におけるPI3K/PKB経路の意義は、PTENがヒト腫瘍における突然変異の最も一般的な標的の一つであるという観察から判定し得るが、このホスファターゼの突然変異はメラノーマ(Guldberg et al 1997, Cancer Research 57, 3660-3663)および進行した前立腺癌(Cairns et al 1997 Cancer Research 57, 4997)の〜50%以上に見出されている。これらの観察その他から、広範な腫瘍型が、増殖と生存のために強化されたPKB活性に依存していること、またPKBの適切な阻害剤に治療的に反応するであろうことが示唆される。
PKBにはアルファ、ベータおよびガンマと呼称される3種の密接に関連するイソ型が存在するが、これらの遺伝的研究は、それらが他とは異なるが重なり合う機能を有することを示唆している。証拠は、それらがすべて癌において役割を演じ得ることを示唆する。例えば、PKBベータは卵巣癌と膵臓癌の10〜40%で過剰発現されているか、または活性化されており(Bellacosa et al 1995, Int. J. Cancer 64, 280 - 285; Cheng et al 1996, PNAS 93, 3636-3641; Yuan et al 2000, Oncogene 19, 2324 - 2330)、PKBアルファはヒトの胃癌、前立腺癌および乳癌において増幅され(Staal 1987, PNAS 84, 5034 - 5037; Sun et al 2001, Am. J. Pathol. 159, 431 -437)、また上昇したPKBガンマ活性がステロイド非依存性乳房細胞株と前立腺細胞株に観察される(Nakatani et al 1999, J. Biol. Chem. 274, 21528 - 21532)ことが判明している。
PKB経路はまた正常組織の増殖と生存においても機能し、正常の生理に際して調整されて、細胞と組織の機能を制御し得る。従って、正常な細胞と組織の不所望の増殖と生存と関連する障害もまた、PKB阻害剤での処置から治療的に恩恵を受け得る。かかる障害の例は、細胞集団の長期の拡大および生存と関連する免疫細胞の障害であり、長期の、または上方制御された免疫応答に導くものである。例えば、同族体抗原またはインターロイキン−2などの増殖因子に対するTおよびBリンパ球の応答は、PI3K/PKB経路を活性化し、免疫応答に際して抗原特異的リンパ球クローンの生存を維持する役割を担う。リンパ球と他の免疫細胞が不適切な自己もしくは外来抗原に応答する条件下、または他の異常が長期の活性化に導くような条件下、PKB経路は重要な生存シグナルを与え、正常なメカニズムを妨げる;正常なメカニズムでは、活性化された細胞集団のアポトーシスを経て免疫応答を終結させる。多発性硬化症および関節炎などの自己免疫症状においては、自己抗原に応答してリンパ球集団の拡大を示す幾つもの証拠がある。外来抗原に不適切に応答するリンパ球の拡大は、アレルギー反応および喘息などの別の一群の症状の特徴である。要約すると、PKBを阻害することは免疫障害にとっての有益な処置となる。
PKBが役割を演じ得る正常細胞の不適切な拡大、成長、増殖、過形成および生存の他の例は、限定されるものではないが、アテローム性動脈硬化症、心筋症および糸球体腎炎を含む。
細胞増殖と生存における役割に加えて、PKB経路はインスリンによるグルコース代謝の制御において機能する。PKBのアルファおよびベータイソ型を欠くマウスから得られる証拠は、この作用がベータイソ型により仲介されることを示唆している。結果として、PKB活性のモジュレーターは、糖尿病、代謝性疾患および肥満などのグルコース代謝およびエネルギー貯留の機能不全のある疾患において用途を見出し得る。
サイクリックAMP−依存性プロテインキナーゼ(PKA)は、広範な基質をリン酸化するセリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、多くの細胞過程の調整、例えば、細胞増殖、細胞分化、イオンチャネル伝導、遺伝子転写および神経伝達物質のシナプス放出などに関わっている。その不活性な形状において、PKAは2つの調節サブユニットと2つの触媒サブユニットを含んでなるテトラマーである。
PKAはGプロテイン仲介シグナル伝達とそれらが調整する細胞過程との間の連環として作用する。グルカゴンなどのホルモンリガンドの膜貫通レセプターへの結合は、レセプター結合Gプロテイン(GTP結合加水分解タンパク質)を活性化する。その活性化により、Gプロテインのアルファサブユニットが解離し、アデニル酸シクラーゼに結合し、それを活性化する;次いで、それがATPをサイクリックAMP(cAMP)に変換する。このように生成したcAMPは、次いでPKAの調節サブユニットに結合し、会合した触媒サブユニットの解離に導く。PKAの触媒サブユニットは、調節サブユニットと会合しているときは不活性であるが、解離して活性となり、他の調節タンパク質のリン酸化に参加する。
例えば、PKAの触媒サブユニットは、グリコーゲンを分解してグルコースを放出する役割をもつ酵素、ホスホリラーゼのリン酸化に関わるキナーゼ・ホスホリラーゼキナーゼをリン酸化する。PKAはまたグリコーゲンシンターゼをリン酸化し、不活性化することによりグルコースレベルの調節にも関わっている。従って、PKA活性のモジュレーター(このモジュレーターはPKA活性を増大または低下させ得る)は、糖尿病、代謝性疾患および肥満などのグルコース代謝およびエネルギー貯留の機能不全のある疾患の処置または管理に有用であり得る。
また、PKAはT細胞活性化の急性阻害剤として確立されている。アンダールら(Anndahl et al.)は、HIV感染患者からのT細胞が、上昇したcAMPレベルを有し、正常T細胞よりもcAMP類似体による阻害に、より感受性であるということに基づいて、HIV誘発T細胞機能不全におけるPKA I型の可能な役割を検討した。その研究から、彼らはPKA I型の活性化上昇がHIV感染において進行性T細胞機能不全に寄与すること、またPKA I型が従って免疫調節療法を潜在的な標的であり得ることを結論として得た(E. M., Aukrust, P., Skalhegg, B. S., Mueller, F., Froland, S. S., Hansson, V., Tasken, K. Protein kinase A type I antagonist restores immune responses of T cells from HIV-infected patients. FASEB J. 12, 855--862(1998))。
PKAの調節サブユニットにおける突然変異が、内分泌組織を過剰活性化し得ることが認められている。
細胞調節におけるメッセンジャーとしてのPKAの多様性と重要性のために、cAMPの異常な応答はヒトの多様な疾患、例えば、異常細胞成長と増殖などに導き得る(Stratakis, C.A.; Cho-Chung, Y.S.; Protein Kinase A and human diseases. Trends Endrocri. Metab. 2002, 13, 50-52)。PKAの過剰発現は、卵巣癌、乳癌および大腸癌の患者からの細胞を含め、多様なヒトの癌細胞に観察されている。PKAの阻害は、それ故、癌処置方法の一つであろう(Li, Q.; Zhu, G-D.; Current Topics in Medicinal Chemistry, 2002, 2, 939-971)。
ヒトの疾患におけるPKAの役割についての総説は、例えば、文献(Protein Kinase A and Human Disease, Edited by Constantine A. Stratakis, Annals of the New York Academy of Sciences, Volume 968, 2002, ISBN 1-57331-412-9)を参照されたい。
数種の化合物群がPKAとPKBの阻害活性を有すると開示されている。
例えば、PKB阻害活性を有する一群のイソキノリニル−スルホンアミド−ジアミンがWO01/91754(Yissum)に開示されている。
WO0/07996(カイロン)はエストロゲンレセプターアゴニスト活性を有する置換ピラゾールを開示している。該化合物は取分けエストロゲン−レセプター仲介の乳癌の処置または予防に有用であると記載されている。PKB阻害活性は開示されていない。
WO00/31063(サール)はp38キナーゼ阻害剤として置換ピラゾール化合物を開示している。
WO01/32653(セファロン)は一群のピラゾロンキナーゼ阻害剤を開示している。WO03/059884(X−セプターセラピューティックス)は核レセプターのモジュレーターとしてのN−置換ピリジン化合物を開示している。
WO03/068230(ファルマシア)はp38MAPキナーゼモジュレーターとしての置換ピリドンを開示している。
WO00/66562(ドクター・レディーズ(Reddy's)リサーチファンデーション)は、抗炎症剤として使用する一群の1−フェニル置換ピラゾールを開示している。該1−フェニル基には、含イオウ置換基がスルホンアミドまたはスルホニル基として置換している。
補助化合物
多種多様な化合物が以下詳細に説明するように、本発明の組み合わせに適用し得る。
本発明の目的は、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)およびプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害もしくは調節活性を有する化合物を含んでなる治療組み合わせを提供することにあり、該組み合わせは組み合わせ中の個々の成分が示すそれぞれの作用と比較して、有利な効能効果を有する。
発明の要約
本発明は補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)とプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害もしくは調節活性を有する化合物との組み合わせを提供し、企図する組み合わせは、PKBおよび/またはPKAが仲介する疾患状態または症状の予防または処置に有用である。
第一の側面において、本発明は補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I):
Figure 0005345842
〔式中、
Aは1〜7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基は、RとNRの間に伸張する最大5個の原子の鎖長を有し、またEとNRの間に伸張する最大4個の原子の鎖長を有する;ただし、リンカー基の炭素原子の1個は所望により酸素または窒素原子と置換わっていてもよい;また、リンカー基Aの炭素原子はオキソ、フッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を所望により担持していてもよい;ただし、ヒドロキシ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置せず、またオキソ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置する;
Eは単環状または二環状の炭素環状またはヘテロ環基である;
はアリールまたはヘテロアリール基である;
およびRは独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される;ただし、該ヒドロカルビルおよびアシル部分は、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノおよびメトキシから選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい;
またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、イミダゾール基、および4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基から選択される環基を形成する;
またはRおよびRの一方は、それらが結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
またはNRおよびそれが結合するリンカー基Aの炭素原子は一緒になってシアノ基を形成する;
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、C1−5飽和ヒドロカルビルオキシ、シアノ、およびCFから選択される;また
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、C1−5飽和ヒドロカルビルオキシ、シアノ、CONH、CONHR、CF、NH、NHCORまたはNHCONHRから選択される;
は基R9aまたは(CH)R9aである;ただし、R9aは炭素環状またはヘテロ環状であってもよい単環状または二環基である;
該炭素環状またはヘテロ環基R9aは、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOである:また、Rは、水素、3〜12環員を有するヘテロ環基、およびヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環およびヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択される;ただし、C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xと所望により置き換わり得る)から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい;
は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択される;また、
はO、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRである。〕
で示される化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドを含有してなる組み合わせを提供する。
本発明の組み合わせは、本明細書に定義するように、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)で示される化合物を含有してなる(または本質的に、から成る)。従って、一態様において、本発明の組み合わせは本明細書に定義する一補助剤と式(I)で示される化合物を含有してなる(または本質的に、から成る)。別の態様において、本発明の組み合わせは本明細書に定義する2種以上の補助剤と式(I)で示される化合物を含有してなる(または本質的に、から成る)。
本発明はまた補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(Ia):
Figure 0005345842
〔式中、
Aは1〜7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基は、RとNRの間に伸張する最大5個の原子の鎖長を有し、またEとNRの間に伸張する最大4個の原子の鎖長を有する;ただし、リンカー基の炭素原子の1個は所望により酸素または窒素原子と置換わっていてもよい;また、リンカー基Aの炭素原子はオキソ、フッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を所望により担持していてもよい;ただし、ヒドロキシ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置せず、またオキソ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置する;
Eは単環状または二環状の炭素環状またはヘテロ環基である;
はアリールまたはヘテロアリール基である;
およびRは独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される;
またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
またはRおよびRの一方は、それらが結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
またはNRおよびそれが結合するリンカー基Aの炭素原子は一緒になってシアノ基を形成する;
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノおよびCFから選択される;また
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、CONH、CONHR、CF、NH、NHCORまたはNHCONHRから選択される;
はフェニルまたはベンジルであり、それぞれには、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOである:また、Rは、水素、3〜12環員を有するヘテロ環基、およびヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環およびヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択される;ただし、C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xと所望により置き換わり得る)から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい;
は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択される;また、
はO、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRである。〕
で示される化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドから成る組み合わせを提供する。
さらに提供されるのは、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(Ib):
Figure 0005345842
〔式中、
Aは1〜7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基は、RとNRの間に伸張する最大5個の原子の鎖長を有し、またEとNRの間に伸張する最大4個の原子の鎖長を有する;ただし、リンカー基の炭素原子の1個は所望により酸素または窒素原子と置換わっていてもよい;また、リンカー基Aの炭素原子はフッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を所望により担持していてもよい;ただし、ヒドロキシ基はNRに関してα炭素原子に位置しない;
Eは単環状または二環状の炭素環状またはヘテロ環基である;
はアリールまたはヘテロアリール基である;
およびRは独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される;
またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
またはRおよびRの一方は、それらが結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
またはNRおよびそれが結合するリンカー基Aの炭素原子は一緒になってシアノ基を形成する;
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノおよびCFから選択される;また
は、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、CONH、CF、NH、NHCORまたはNHCONHRから選択される;
はフェニルまたはベンジルであり、それぞれには、ハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOである:また、Rは、水素、3〜12環員を有するヘテロ環基、およびヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環およびヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択される;ただし、C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xと所望により置き換わり得る)から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい;
は水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択される;また、
はO、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRである。〕
で示される化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドから成る組み合わせである。
本発明はさらに以下のものを提供する:
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)およびそれ自体式(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義した式(I)で示されるいずれかの他のサブグループもしくは態様からなる組み合わせ。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせであって、プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する組み合わせ。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの使用であって、プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の予防または処置のための医薬の製造における使用。
・ プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の予防または処置の方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせを、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
・ 哺乳動物における異常な細胞増殖または異常に阻止された細胞死からなる、またはそこから生じる疾患または状態の処置方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせのプロテインキナーゼB活性阻害有効量を、該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ プロテインキナーゼBの阻害方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示されるキナーゼ阻害化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせと該キナーゼとを接触させることを含む方法。
・ プロテインキナーゼBの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせを使用することを含む方法。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせであって、プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する組み合わせ。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせの使用であって、プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置のための医薬の製造における使用。
・ プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置の方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせを、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
・ 哺乳動物における異常な細胞増殖または異常に阻止された細胞死からなる、またはそこから生じる疾患または状態の処置方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせのプロテインキナーゼA活性阻害有効量を、該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ プロテインキナーゼAの阻害方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示されるキナーゼ阻害化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせと該キナーゼとを接触させることを含む方法。
・ プロテインキナーゼAの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせを使用することを含む方法。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの使用であって、異常な細胞増殖または異常に阻止された細胞死から生じる疾患または状態の予防または処置のための医薬の製造における使用。
・ 哺乳動物における異常な細胞増殖からなる、またはそこから生じる疾患または状態の処置方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの異常細胞増殖または異常に阻止された細胞死阻害のための有効量を、該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ 哺乳動物における異常な細胞増殖または異常に阻止された細胞死からなる、またはそこから生じる疾患または状態の軽減または低減方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの異常細胞増殖の阻害有効量を、該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される新規化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせおよび医薬的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなり、医薬として使用する組み合わせ。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの使用であって、本明細書に開示した病状または状態のいずれか一つの予防または処置のための医薬の製造における使用。
・ 本明細書に開示した病状または状態のいずれか一つの予防または処置の方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物(例えば、治療有効量)または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせを患者(例えば、それを必要とする患者)に投与することを含む方法。
・ 本明細書に開示した病状または状態の発生を軽減または低減する方法であって、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物(例えば、治療有効量)または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせを患者(例えば、それを必要とする患者)に投与することを含む方法。
・ プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の診断および処置の方法であって、(i)患者をスクリーニングし、患者が罹患しているか、またはその可能性のあるその疾患または状態が、プロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物での処置に感受性であるか否かを判断すること;また(ii)患者がその疾患または状態に感受性であることが結果として示される場合、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせを該患者に投与することを含む方法。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループからなる組み合わせの使用であって、スクリーニングを済ませ、プロテインキナーゼBに対して活性を有する化合物での処置に感受性である疾患または状態に罹患していると、または罹患のリスクがあると判断された患者の病状または状態の処置または予防のための医薬の製造における使用。
・ プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の診断および処置の方法であって、(i)患者をスクリーニングし、患者が罹患しているか、またはその可能性のあるその疾患または状態が、プロテインキナーゼAに対して活性を有する化合物での処置に感受性であるか否かを判断すること;また(ii)患者がその疾患または状態に感受性であることが結果として示される場合、補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせを該患者に投与することを含む方法。
・ 補助化合物(例えば、1種、2種以上の補助化合物)および式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)で示される化合物または本明細書に定義したいずれかのそのサブグループもしくは態様からなる組み合わせの使用であって、スクリーニングを済ませ、プロテインキナーゼAに対して活性を有する化合物での処置に感受性である疾患または状態に罹患していると、または罹患のリスクがあると判断された患者の病状または状態の処置または予防のための医薬の製造における使用。
本発明はさらにまた請求項に提示した以下の組み合わせ、使用、方法、化合物および製造法を提供する:
・ 本明細書に定義した補助化合物および式(I)の化合物を含有してなる(または本質的に、からなる)組み合わせであって、該補助化合物と式(I)の化合物が物理的に会合している組み合わせ。
・ 本明細書に定義した補助化合物および式(I)の化合物を含有してなる(または本質的に、からなる)組み合わせであって、該補助化合物と式(I)の化合物が非物理的に会合している組み合わせ。
・ 医薬包装品、キットまたは患者包装品の形状である本明細書に定義した補助化合物および式(I)の化合物を含有してなる(または本質的に、からなる)組み合わせ。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する医薬の製造における本明細書に定義した式(I)で示される化合物の使用。
・ プロテインキナーゼBが仲介する病状または状態を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象が補助化合物での処置を受けている場合に、該対象に本明細書に定義した式(I)で示される化合物を投与することを含む方法。
・ 哺乳動物対象において異常細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患または状態を処置する方法であって、該対象が補助化合物での処置を受けている場合に、異常細胞増殖を阻害するために有効な量の本明細書に定義した式(I)で示される化合物を投与することを含む方法。
・ 哺乳動物対象において異常細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患または状態を処置する方法であって、該対象が補助化合物での処置を受けている場合に、PKB活性を阻害するために有効な量の本明細書に定義した式(I)で示される化合物を該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ 哺乳動物対象において免疫障害を処置する方法であって、該対象が補助化合物での処置を受けている場合に、PKB活性を阻害するために有効な量の本明細書に定義した式(I)で示される化合物を該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置に使用する医薬の製造における本明細書に定義した式(I)で示される化合物の使用。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、異常細胞増殖から生じる病状または状態の予防または処置に使用する医薬の製造における本明細書に定義した式(I)で示される化合物の使用。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、増殖、アポトーシスまたは分化に障害のある疾患の予防または処置に使用する医薬の製造における本明細書に定義した式(I)で示される化合物の使用。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼAが仲介する病状または状態の予防または処置の方法であって、本明細書に定義した式(I)で示される化合物を該対象に投与することを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている哺乳動物対象において異常細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患または状態を処置する方法であって、PKAを阻害する有効な量の本明細書に定義した式(I)で示される化合物を該対象に投与することを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている対象においてプロテインキナーゼAを阻害する方法であって、本明細書に定義した式(I)で示されるキナーゼ阻害化合物と該キナーゼを接触させることを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、プロテインキナーゼAの活性を阻害することにより細胞性プロセスを調節する方法であって、本明細書に定義した式(I)で示される化合物を使用することを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている哺乳動物対象において、免疫障害を処置する方法であって、本明細書に定義した式(I)で示される化合物のPKA活性阻害有効量を該哺乳動物に投与することを含む方法。
・ 補助化合物での処置を受けている対象において、癌細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、該癌細胞を本明細書に定義した式(I)で示される化合物と接触させることを含む方法。
・ 本明細書に定義した式(I)で示される化合物との併用療法に使用する補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)。
・ 補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法に使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 本明細書に定義した式(I)で示される化合物での処置を受けている患者の処置または予防に使用する医薬の製造のための補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)の使用。
・ 補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)による処置を受けている患者の処置または予防に使用する医薬の製造のための本明細書に定義した式(I)で示される化合物の使用。
・ ヒトなどの温血動物における癌の処置方法であって、本明細書に定義した式(I)で示される化合物の有効量と、連続して、例えば、前もしくは後に、または同時に、補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)の有効量とを当該動物に投与することを含む方法。
・ 哺乳動物における癌の併用療法であって、治療有効量の補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)および治療有効量の本明細書に定義した式(I)で示される化合物を投与することを含む方法。
・ 哺乳動物における異常細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患または状態の発生を軽減または低下させるために、補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法にて使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 哺乳動物における腫瘍の増殖を阻害するために、補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法にて使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)との併用療法において、それを必要とする患者の癌の予防、処置または管理のために使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 癌罹患患者において、該患者が補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)による処置を受けている場合に、その応答率を上昇または強化するために使用する本明細書に定義した式(I)で示される化合物。
・ 癌罹患患者においてその応答率を上昇または強化する方法であって、該患者が補助化合物(例えば、本明細書に開示した補助化合物のいずれかから選択される補助化合物)による処置を受けている場合、その方法が本明細書に定義した式(I)で示される化合物を該補助化合物と組み合わせて該患者に投与することを含む方法。
・ 補助化合物と、本明細書に定義した式(I)の化合物とを含有してなる(または本質的に、からなる)組み合わせの製造法であって、式(I)の化合物と補助化合物とを組み合わせることを含む方法。
一般優先性および定義
本明細書にて使用する場合、“調節”という用語は、PKBおよび/またはPKA活性に適用する場合、PKBおよび/またはPKA酵素の生物活性のレベルにおける変化を既定するものとする。従って、調節はPKAおよび/またはPKB活性の増減に影響する生理的変化を包含する。調節は直接的にまたは間接的に生じ、何らかのメカニズムが、ある生理的レベルで介在し得るもの、例えば、遺伝子発現レベルで(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾など)、PKAおよび/またはPKB活性レベルに直接または間接に作用する調節要素をエンコードする遺伝子の発現レベルで、または酵素(例えば、PKAおよび/またはPKB)活性レベル(例えば、アロステリックメカニズム、競合阻害、活性部位不活性化、フィードバック阻害経路の摂動などによる)で介在し得るものである。従って、調節はPKAおよび/またはPKBの上昇/抑制的発現または過剰−または過少発現(遺伝子増幅、すなわち、多重遺伝子コピーを含む)および/または転写作用による増加または低下発現、ならびに突然変異によるPKAおよび/またはPKBの高−(または低−)活性および活性化(不活性化を含む)を意味する。従って、“調節した”および“調節する”という用語はそのように解釈するべきである。
本明細書にて使用する場合、“仲介する”という用語は、本明細書に記載するPKBおよび/またはPKAとの関連で用いられ(そして、様々な生理学的プロセス、疾患、状態、症状、治療法、処置または介入にも適用)、この用語が適用される様々な生理学的プロセス、疾患、状態、症状、治療法、処置または介入が、そこでPKAおよび/またはPKBが生物学的役割を果たすものであるように、制限的に作動することを意味する。該用語が疾患、状態または症状に適用される場合には、PKAおよび/またはPKBが果たす役割は直接的または間接的であり、疾患、状態または症状の症候(またはその病因または進行)の発現にとって必要および/または十分であり得る。従って、PKAおよび/またはPKB活性(そして特にPKAおよび/またはPKB活性の異常レベル、例えば、PKAおよび/またはPKBの過剰発現)が、疾患、状態または症状の直接的な原因である必要は必ずしもない;むしろ、PKAおよび/またはPKBが仲介する疾患、状態または症状は、多様な要因が病因となり、また複雑に進行させるものであり、PKAおよび/またはPKBは部分的に関与するにすぎない。この用語が処置、予防または介入に適用される場合(例えば、本発明の“PKB仲介処置”および“PKB仲介予防”)、PKAおよび/またはPKBが果たす役割は直接的または間接的であり、また本発明の処置、予防または成果にとって必要であり、および/または十分であり得る。
“介入”という用語は、あるレベルでの生理学的変化に影響を与える何らかの作用を定義するために本明細書で使用する技術用語である。従って、介入は何らかの生理的プロセス、事象、生物学的経路または細胞学的/生化学的事象の誘発または抑制を含み得る。本発明の介入は、一般的に、疾患または状態の処置または予防に影響(または寄与)する。
以下の一般的優先性および定義は、特に文面に断りのない限り、部分A、EおよびRないしRおよびR、および一部の下位定義、そのサブグループまたは態様のそれぞれに適用するものとする。
本明細書にて式(I)に言及する場合は、その文面が別の意味を要するものでない限り、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、(V)および式(I)の範囲内の化合物の他のサブグループにも言及するものとする。
本明細書にて使用する場合、“炭素環状”および“ヘテロ環状”基と言う場合、特に文面に断りのない限り、芳香族および非芳香族環系の両方を含む。一般に、かかる基は単環状または二環状であり、例えば、3ないし12環員、より一般的には5ないし10環員を含み得る。単環基の例は、3、4、5、6、7、および8環員、より一般的には3ないし7、好ましくは5または6環員を含む基である。二環基の例は、8、9、10、11および12環員、より一般的には9または10環員を含む基である。
炭素環基またはヘテロ環基は5ないし12環員、より一般的には5ないし10環員を有するアリール基またはヘテロアリール基であり得る。本明細書にて使用する場合、“アリール”という用語は、芳香性を有する炭素環基をいい、“ヘテロアリール”という用語は芳香性を有するヘテロ環基を意味する場合に本明細書では使用する。用語“アリール”および“ヘテロアリール”とは多環状(例えば、二環状)の1個以上の環が非芳香性である環系を包含する;ただし、少なくとも1個の環は芳香性である。かかる多環状系において、該基には芳香環または非芳香環が結合していてもよい。該アリールまたはヘテロアリール基は単環基であっても、二環基であってもよく、また未置換であっても、1個以上の置換基、例えば、本明細書に定義した1個以上の基R10で置換されていてもよい。
非芳香性基という用語は、芳香性を有しない不飽和環系、取分け、部分的飽和および完全飽和の炭素環状およびヘテロ環状環系を包含する。用語“不飽和”および“部分的飽和”とは、環構造が1個を超える原子価結合を共有する原子を含む環をいう;すなわち、環が少なくとも1個の多価結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む。“完全飽和”という用語は環原子間に多価結合がない環をいう。飽和炭素環基は下記定義のようなシクロアルキル基を含む。部分的飽和炭素環基は下記定義のシクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロへプテニルおよびシクロオクテニルである。
ヘテロアリール基の例は、5ないし12個の環員、より一般的には5ないし10個の環員を含む単環状および二環基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員の単環状環、または縮合した5員環および6員環または2つの縮合した6員環から形成される二環状構造であり得る。各環は、窒素、イオウおよび酸素から一般に選択される約4個までのヘテロ原子を含み得る。一般に、ヘテロアリール環は3個までのヘテロ原子、より一般的には2個まで、例えば、単一のヘテロ原子を含む。一態様において、ヘテロアリール環は少なくとも1個の環窒素原子を含む。該へテロアリール環中の窒素原子は、イミダゾールまたはピリジンの場合のように、塩基性であるか、またはインドールまたはピロール窒素の場合のように、本質的に非塩基性であり得る。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、環のアミノ基置換基を含め、5個未満である。
5員のヘテロアリール基の例は、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基である。
6員のヘテロアリール基の例は、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンである。
二環系へテロアリール基は、例えば、以下から選択される基である:
a)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するベンゼン環;
b)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するピリジン環;
c)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するピリミジン環;
d)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するピロール環;
e)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するピラゾール環;
f)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するイミダゾール環;
g)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するオキサゾール環;
h)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するイソオキサゾール環;
i)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するチアゾール環;
j)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するイソチアゾール環;
k)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するチオフェン環;
l)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するフラン環;
m)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するオキサゾール環;
n)1または2個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するイソオキサゾール環;
o)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するシクロヘキシル環;および
p)1、2または3個の環へテロ原子を含む5または6員環に縮合するシクロペンチル環。
5員環に縮合する6員環をもつ二環性へテロアリール基の例は、限定されるものではないが、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ベンゾジオキソールおよびピラゾールピリジン基である。
2つの縮合した6員環を含む二環性へテロアリール基は、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンゾオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基である。
芳香環および非芳香環を含む多環状アリールおよびヘテロアリール基の例は、テトラヒドロナフタレン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン、インドリンおよびインダン基である。
炭素環状アリール基の例は、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基である。
非芳香族へテロ環基の例は、3ないし12個の環員、より一般的には5ないし10個の環員を有する基である。かかる基は単環状または二環状であり、例えば、典型的には1ないし5個のヘテロ原子環員(より一般的には、1、2、3または4個のへてろ原子環員)を有し、通常、窒素、酸素およびイオウから選択される。
該へテロ環基は、例えば、環状エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンにおけるように)、環状チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンにおけるように)、環状アミン部分(例えば、ピロリジンにおけるように)、環状スルホン(例えば、スルホランおよびフルホレンにおけるように)、環状スルホキシド、環状スルホンアミドおよびその組み合わせ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。非芳香族へテロ環基の他の例は、環状アミド部分(例えば、ピロリドンにおけるように)および環状エーテル部分(例えば、ブチロラクトンにおけるように)を含む。
単環状非芳香族へテロ環基の例は、5、6および7員の単環状へテロ環基である。具体例は、モルホリン、チオモルホリンおよびそのS−オキシドとS,S−ジオキシド(取分け、チオモルホリン)、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、N−アルキルピペリジン(例えば、N−メチルピペリジン)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、アゼチジン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジンおよびN−イソプロピルピペラジン)である。
単環状非芳香族へテロ環基の一サブグループは、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン)である。一般に、好適な非芳香族へテロ環基は、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、モルホリン、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジンである。非芳香族へテロ環基のさらなる具体例は、上記の好適な非芳香族へテロ環基の群の一部を形成するが、アゼチジンである。
非芳香族炭素環基の例は、シクロヘキシルおよびシクロペンチルなどのシクロアルカン基、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基、ならびにシクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエン、テトラヒドロナフテニルおよびデカリニルである。
本明細書において、炭素環およびヘテロ環基の定義のそれぞれは、以下の部分のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせを所望により除外し得る:
−置換または未置換のピリドン環;
−置換または未置換のピロロ[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
−置換または未置換のピラゾロン。
本明細書において、炭素環およびヘテロ環基に言及する場合、炭素環状またはヘテロ環状環は、文言上特に断りのない限り、未置換であるか、または1個以上の置換基R10により置換されていてもよい;R10はハロゲン、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3ないし12環員を有する炭素環およびヘテロ環基;基R−R(式中、Rは、結合、O、CO、XC(X)、C(X)X、XC(X)X、S、SO、SO、NR、SONRまたはNRSOである:また、Rは、水素、3〜12環員を有する炭素環およびヘテロ環基、およびヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、3〜12環員を有する炭素環およびヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよいC1−8ヒドロカルビル基から選択される;ただし、C1−8ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子はO、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)Xと所望により置き換わり得る;Rは水素およびC1−4ヒドロカルビルから選択される;そして、XはO、SまたはNRであり、Xは=O、=Sまたは=NRである)から選択される。
置換基R10が炭素環状またはヘテロ環基からなるか、またそれを含む場合、当該炭素環状またはヘテロ環基は未置換であるか、またはそれ自体1個以上のさらなる置換基R10により置換されていてもよい。式(I)で示される化合物の1サブグループにおいては、かかるさらなる置換基R10が炭素環状またはヘテロ環基でもよく、一般にそれ自体がさらに置換されていることはない。式(I)で示される化合物の別のサブグループにおいては、当該さらなる置換基が炭素環状またはヘテロ環基ではないが、R10の定義において上に記載の基から別のものとして選択される。
置換基R10は、それらが20個を超えない非水素原子、例えば、15個を超えない非水素原子、12個、または10個、または9個、または8個、または7個、または6個、または5個を超えない非水素原子を含むように選択するのがよい。
炭素環およびヘテロ環基が、隣接する環の炭素上に一対の置換基を有する場合、その2個の置換基は環基を形成するように結合してもよい。例えば、環の隣接炭素原子上の隣接する一対の置換基は、1個以上のヘテロ原子および置換されていてもよいアルキレン基を介して結合し、縮合したオキサ−、ジオキサ−、アザ−、ジアザ−またはオキサ−アザ−シクロアルキル基を形成してもよい。かかる結合した置換基の例は以下のとおりである:
Figure 0005345842
ハロゲン置換基の例は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。フッ素および塩素が特に好ましい。
上記式(I)で示される化合物の定義において、これ以降に使用する場合、“ヒドロカルビル”という用語は、特に断りのある場合を除いて、すべてが炭素の基本骨格を有する脂肪族、脂環式および芳香族基を包含する一般的用語である。一部の事例において、本明細書にて定義する場合、炭素基本骨格を形成する1個以上の炭素原子は、特定の原子または原子群と置換わり得る。ヒドロカルビルの例は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環状アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、および炭素環状アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル基である。かかる基は未置換であってもよいし、記載されているときには、本明細書に定義した1個以上の置換基で置換されていてもよい。以下に示す例示および優先性は、文脈から他の解釈が必要でない限り、式(I)で示される化合物の定義についての様々な置換基の定義において言及したヒドロカルビル置換基またはヒドロカルビル含有置換基のそれぞれに適用する。
一般に例示として、ヒドロカルビル基は、文脈から他の解釈が必要でない限り、8個までの炭素原子を有し得る。1ないし8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内の特定例は、C1−6ヒドロカルビル基、例えば、C1−4ヒドロカルビル基(例えば、C1−3ヒドロカルビル基またはC1−2ヒドロカルビル基)であり、具体例はC、C、C、C、C、C、CおよびCヒドロカルビル基から選択される個々の意義またはその組み合わせである。
用語“アルキル”は、直鎖および分枝鎖アルキル基の両方を包含する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、およびn−ヘキシルおよびその異性体である。1ないし8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内の特定例は、C1−6アルキル基、例えば、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基またはC1−2アルキル基)である。
シクロアルキルの例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンから誘導される基である。シクロアルキル基のサブセット内のシクロアルキル基は、3ないし8個の炭素原子を有し、特定の例はC3−6シクロアルキル基である。
アルケニル基の例は、限定されるものではないが、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、ブタ−1,4−ジエニル、ペンテニル、およびヘキセニルである。アルケニル基のサブセット内のアルケニル基は2ないし8個の炭素原子を有し、特定例はC2−6アルケニル基、例えば、C2−4アルケニル基である。
シクロアルケニル基の例は、限定されるものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニルおよびシクロヘキセニルである。シクロアルケニル基のサブセット内のシクロアルケニル基は3ないし8個の炭素原子を有し、特定例はC3−6シクロアルケニル基である。
アルキニル基の例は、限定されるものではないが、エチニルおよび2−プロピニル(プロパルギル)基である。2ないし8個の炭素原子を有するアルキニル基のサブセット内の特定例はC2−6アルケキル基、例えば、C2−4アルキニル基である。
炭素環状アリール基の例は、置換および未置換フェニル、ナフチル、インダンおよびインデン基である。
シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキニル、炭素環状アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル基の例は、フェネチル、ベンジル、スチリル、フェニルエチニル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルおよびシクロペンテニルメチル基である。
ヒドロカルビル基が存在し、かつ記載されているとき、該基には、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−4ヒドロカルビルアミノ、および3ないし12個(典型的には3ないし10個、より一般的に5ないし10個)の環員を有する単環状または二環状炭素環およびヘテロ環基から選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい。好適な置換基はフッ素などのハロゲンである。従って、例えば、置換されたヒドロカルビル基とは、部分的にフッ素化された、またはペルフルオロ化基、例えば、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルであり得る。一態様において、好適な置換基は、3〜7個の環員を有する単環状炭素環およびヘテロ環基である。
記載されているとき、ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子は、O、S、SO、SO、NR、XC(X)、C(X)XまたはXC(X)X(またはそのサブグループ)と所望により置き換わり得る(式中、XおよびXは本明細書にすでに定義したとおりである;ただし、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の炭素原子は残存する)。例えば、ヒドロカルビル基の1、2、3または4個の炭素原子は記載の原子または基の1個と置換可能であり、置き換わる原子または基は同一でも異なってもよい。一般に、置き換わった直鎖または基本骨格炭素原子の数は、それらを置き換える基の直鎖または基本骨格原子数に相当する。ヒドロカルビル基の1個以上の炭素原子が上記の置換原子または基に置き換わった基の例は、エーテルおよびチオエーテル(CがOまたはSと置換)、アミド、エステル、チオアミドおよびチオエステル(C−CがXC(X)またはC(X)Xと置換)、スルホンおよびスルホキシド(CがSOまたはSOと置換)、アミン(CがNRと置換)である。さらなる例は尿素、炭酸エステルおよびカルバミン酸エステル(C−C−CがXC(X)Xと置換)である。
アミノ基が2つのヒドロカルビル置換基を有する場合、それらはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、所望により窒素、イオウまたは酸素などの別のヘテロ原子と連結して4ないし7個の環員からなる環構造を形成する。
本明細書にて使用する場合、炭素環状もしくはヘテロ環状部分上に存在する置換基に関して、または式(I)で示される化合物上の他の位置に存在する他の置換基に関して、定義“R−R”は、取分け、Rが結合、O、CO、OC(O)、SC(O)、NRC(O)、OC(S)、SC(S)、NRC(S)、OC(NR)、SC(NR)、NRC(NR)、C(O)O、C(O)S、C(O)NR、C(S)O、C(S)S、C(S)NR、C(NR)O、C(NR)S、C(NR)NR、OC(O)O、SC(O)O、NRC(O)O、OC(S)O、SC(S)O、NRC(S)O、OC(NR)O、SC(NR)O、NRC(NR)O、OC(O)S、SC(O)S、NRC(O)S、OC(S)S、SC(S)S、NRC(S)S、OC(NR)S、SC(NR)S、NRC(NR)S、OC(O)NR、SC(O)NR、NRC(O)NR、OC(S)NR、SC(S)NR、NRC(S)NR、OC(NR)NR、SC(NR)NR、NRC(NRNR、S、SO、SO、NR、SONRおよびNRSOから選択される化合物である(式中、Rは上記定義のとおりである)。
部分は水素であるか、または3ないし12個の環員を有する炭素環およびヘテロ環基(典型的には、3ないし10個、より一般的には5ないし10個)および本明細書にすでに定義した置換基を所望により有するC1−8ヒドロカルビル基から選択される。ヒドロカルビル、炭素環およびヘテロ環基の例は、上記で提示したとおりである。
が0であり、RがC1−8ヒドロカルビル基であるとき、RおよびRは一緒になって、ヒドロカルビルオキシ基を形成する。好適なヒドロカルビルオキシ基は飽和のヒドロカルビルオキシ、例えば、アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ、より一般的にはエトキシおよびメトキシなどのC1−4アルコキシ、特にメトキシ)、シクロアルコキシ(例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどのC3−6シクロアルコキシ)およびシクロアルキルアルコキシ(例えば、シクロプロピルメトキシなどのC3−6シクロアルキル−C1−2アルコキシ)である。
該ヒドロカルビルオキシ基は本明細書に定義した種々の置換基で置換し得る。例えば、アルコキシ基は、ハロゲン(例えば、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルにおけるように)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシエトキシにおけるように)、C1−2アルコキシ(例えば、メトキシエトキシにおけるように)、ヒドロキシ−C1−2アルキル(ヒドロキシエトキシエトキシ)または環基(例えば、本明細書にすでに定義したシクロアルキルまたは非芳香族へテロ環基)で置換し得る。置換基として非芳香族へテロ環基を担持するアルコキシ基の例は、該へテロ環基が飽和の環状アミン、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4−アルキル−ピペラジン、C3−7−シクロアルキル−ピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどであり、アルコキシ基がC1−4アルコキシ基、より一般的にはC1−3アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシまたはn−プロポキシである基である。
アルコキシ基は、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの単環基およびN−ベンジル、N−C1−4アシルおよびN−C1−4アルコキシカルボニルなどのそのN−置換誘導体で置換してもよい。具体例はピロリジノエトキシ、ピペリジノエトキシおよびピペラジノエトキシである。
が結合であり、RがC1−8ヒドロカルビル基であるとき、ヒドロカルビル基R−Rの例は上記定義のとおりである。該ヒドロカルビル基はシクロアルキルおよびアルキルなどの飽和基であり、かかる基の具体例は、メチル、エチルおよびシクロプロピルである。該ヒドロカルビル(例えば、アルキル)基は、本明細書に定義した種々の基および原子で置換し得る。置換されたアルキル基の例は、フッ素および塩素などの1個以上のハロゲン原子(具体例は、ブロモメチル、クロロエチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、およびトリフルオロメチルなどのペルフルオロアルキル)、またはヒドロキシ(例えば、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル)、C1−8アシルオキシ(例えば、アセトキシメチルおよびベンジルオキシメチル)、アミノおよびモノ−およびジアルキルアミノ(例えば、アミノエチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルおよびtert−ブチルアミノメチル)、アルコキシ(例えば、メトキシなどのC1−2アルコキシ−メトキシエチルにおけるように)、および本明細書にすでに定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基および非芳香族へテロ環基などの環基である。
環基で置換されるアルキル基の特定の例は、該環基が飽和の環状アミン、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、C1−4アルキルピペラジン、C3−7シクロアルキルピペラジン、テトラヒドロピランまたはテトラヒドロフランなどであり、該アルキル基がC1−4アルキル基、より典型的には、メチル、エチルまたはn−プロピルなどのC1−3アルキル基である基である。環基で置換されるアルキル基の具体例は、ピロリジノメチル、ピロリジノプロピル、モルホリノメチル、モルホリノエチル、モルホリノプロピル、ピペリジニルメチル、ピペラジノメチルおよび本明細書に定義したそのN−置換体である。
アリール基およびヘテロアリール基で置換されるアルキル基の具体例は、ベンジル、フェネチルおよびピリジルメチル基である。
がSONRであるとき、Rは、例えば、水素または置換基を有していてもよいC1−8ヒドロカルビル基、または炭素環もしくはヘテロ環基であり得る。RがSONRであるときのR−Rの例は、アミノスルホニル、C1−4アルキルアミノスルホニルおよびジ−C1−4アルキルアミノスルホニル基、および環状アミノ基(例えば、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、またはN−メチルピペラジンなどの所望によりN−置換されたピペラジンなど)から形成されるスルホンアミドである。
がSOであるときの基R−Rの例は、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルおよびアリールスルホニル基であり、取分け、単環状アリールおよびヘテロアリールスルホニル基である。具体例は、メチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルである。
がNRであるとき、Rは、例えば、水素または置換基を有していてもよいC1−8ヒドロカルビル基、または炭素環もしくはヘテロ環基であり得る。RがNRであるときのR−Rの例は、アミノ、C1−4アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ)、ジ−C1−4アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノおよびジエチルアミノ)およびシクロアルキルアミノ(例えば、シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノおよびシクロヘキシルアミノ)である。
A、E、R ないしR およびR の具体的態様および優先性
基“A
式(I)において、Aは1〜7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基は、RとNRの間に伸張する最大5個の原子の鎖長を有し、またEとNRの間に伸張する最大4個の原子の鎖長を有する。これらの拘束内で、EおよびRの部分はそれぞれ基Aのいずれかの位置に結合し得る。
本明細書にて使用する場合、“最大の鎖長”という用語は問題の2ヶ所の部分間に直接存在する原子数をいい、存在し得る鎖中の分枝またはいずれの水素も勘定に入れない。例えば、以下に示す構造A:
Figure 0005345842
において、RとNR間の鎖長は3原子であるのに対し、EとNR間の鎖長は2原子である。
一般に、該リンカー基は最大の鎖長として3原子(例えば、1または2原子)を有することが目下は好ましい。
一態様において、該リンカー基はRとNR間に伸張する鎖長として1原子を有する。
別の態様において、該リンカー基はRとNR間に伸張する鎖長として2原子を有する。
さらなる態様において、該リンカー基はRとNR間に伸張する鎖長として3原子を有する。
該リンカー基はEとNR間に伸張する最大の鎖長として3原子を有することが好ましい。
特に好適な一群の化合物において、RとNR間に伸張する鎖長として2または3原子を有し、EとNR間に伸張する鎖長として2または3原子を有する。
リンカー基における炭素原子の1つは、酸素または窒素原子と所望により置き換わり得る。
窒素原子は、それが存在する場合、基Eに直接結合し得る。
一態様において、基Rが結合する炭素原子は酸素原子と置き換わる。
別の態様において、RとEは該リンカー基の同じ炭素原子に結合し、EとNR間に伸張する鎖における炭素原子は酸素原子と置き換わる。
窒素原子または酸素原子が存在する場合、該窒素または酸素原子およびNR基は、少なくとも2個の介入炭素原子により、空間的に離れていることが好ましい。
式(I)内の特定の一群の化合物において、基Eに直接連結するリンカー原子は炭素原子であり、リンカー基Aはすべて炭素の骨格をもつ。
リンカー基Aの炭素原子は、オキソ、フッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を担持する;ただし、該ヒドロキシ基はNR基に関して炭素原子α位には位置せず、また該オキソ基はNR基に関して炭素原子α位に位置する。典型的には、該ヒドロキシ基は、それが存在する場合、NR基に関してβ位に位置する。一般に、1個を超えないヒドロキシ基が存在する。フッ素が存在する場合、それは単一のフッ素置換基として存在し得るか、または例えば、ジフルオロメチレンもしくはトリフルオロメチル基で存在し得る。一態様において、フッ素原子はNR基に関してβ位に位置する。
NR基に隣接する炭素原子にオキソ基が存在する場合、式(I)で示される化合物はアミドであることが理解されよう。
本発明の一態様において、リンカー基Aにはフッ素原子が存在しない。
本発明の別の態様において、リンカー基Aにはヒドロキシ基が存在しない。
さらなる態様において、リンカー基Aにはオキソ基が存在しない。
式(I)で示される化合物の一群において、リンカー基Aにはヒドロキシ基もフッ素原子も存在しない;例えば、リンカー基Aは未置換である。
好ましくは、リンカー基Aの炭素原子が窒素原子と置換わっている場合、基Aは1個以上のヒドロキシ置換基を担持することはなく、より好ましくはヒドロキシ置換基を持たない。
EとNR間に4原子の鎖長がある場合、リンカー基Aは窒素原子を含まず、より好ましくは、すべてが炭素の骨格を有する。
インビボでの代謝分解に対する化合物の感受性を修飾するために、リンカー基AはNRに結合した炭素原子で分枝したコンフィギュレーションをもち得る。例えば、NR基に結合した炭素原子は一対のgem−ジメチル基に結合し得る。
式(I)で示される化合物の特定の一群において、該化合物のR−A−NRの部分が式R−(G)−(CH)−W−O−(CH)−(CR)−NR(式中、GはNH、NMeまたはOである;Wは基Eに結合し、(CH)−CR20、(CH)−Nおよび(NH)−CHから選択される;bは0または1であり、jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは0、1、2、または3であり、またpは0または1である;bおよびkの合計は0または1または1である;j、k、m、nおよびpの合計は4を超えない;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択されるか、またはCRがシクロプロピル基を形成する;また、R20は、水素、メチル、ヒドロキシおよびフッ素から選択される)で表される。
式(I)で示される化合物の別のサブグループにおいて、該化合物のR−A−NR部分が式R−(G)−(CH)−X−(CH)−(CR)−NR(式中、GはNH、NMeまたはOである;Xは基Eに結合し、(CH)−CH、(CH)−Nおよび(NH)−CHから選択される;jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは0、1、2、または3であり、またpは0または1である;j、k、m、nおよびpの合計は4を超えない;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択されるか、またはCRがシクロプロピル基を形成する)で表される。
特定の基CRはC(CH)である。
好ましくは、Xは(CH)−CHである。
該化合物のR−A−NR部分が式R−(G)−(CH)−X−(CH)−(CR)−NRによって表される場合の特定のコンフィギュレーションは以下のとおりである:
・ kが0であり、mが0または1であり、nが0、1、2または3であり、pが0である。
・ kが0であり、mが0または1であり、nが0、1または2であり、pが1である。
・ Xが(CH)−CHであり、kが1であり、mが0であり、nが0、1、2または3であり、pが0である。
・ Xが(CH)−CHであり、kが1であり、mが0であり、nが0、1または2であり、pが1である。
・ Xが(CH)−CHであり、GがOであり、kが1であり、mが0であり、nが0、1、2または3であり、pが0である。
該化合物のR−A−NRの部分が式R−(G)−(CH)−W−O−(CH)−(CR)−NRによって表される場合の特定のコンフィギュレーションは以下のとおりである:
・ kが0であり、mが0であり、Wが(CH)−CR20であり、jが0であり、R20が水素であり、bが1であり、nが2であり、pが0である。
・ kが0であり、mが0であり、Wが(CH)−CR20であり、jが0であり、R20がヒドロキシであり、bが0であり、nが1であり、pが0である。
・ kが0であり、mが0であり、Wが(CH)−CR20であり、jが0であり、R20がメチルであり、bが0であり、nが1であり、pが0である。
・ kが0であり、mが0であり、Wが(CH)−CR20であり、jが0であり、R20がフッ素であり、bが0であり、nが1であり、pが0である。
一つの好適なコンフィギュレーションにおいて、該化合物のR−A−NRの部分は式R−X−(CH)−NRによって表される;ただし、Xは基Eに結合して基CHであり、nは2である。
リンカー基Aの特定の例は、基R、EおよびNRに結合する点と共に、下記表1に示す。
Figure 0005345842
Figure 0005345842
現在好適な基は、A1、A2、A3、A6、A10、A11、A22およびA23である。
一つの特定の基のセットは、A1、A2、A3、A10およびA11である。
さらに特定の基のセットは、A2およびA11である。
別の特定の基のセットは、A6、A22およびA23である。
さらなる基のセットは、A1、A2およびA3である。
基A2において、星印はキラル中心を示す。このキラル中心にRコンフィギュレーションをもつ化合物は、本発明化合物の一つの好適なサブグループの代表である。

基Rはアリールまたはヘテロアリール基であり、一般的優先性および定義を標題とするセクションで示したかかる基のリストから選択し得る。
は単環状または二環状であり、好適な一態様においては、単環状である。単環状アリールおよびヘテロアリール基の特定の例は、2個までの窒素環員を含む6員のアリールおよびヘテロアリール基、およびO、SおよびNから選択される3個までの環員を含む5員のヘテロアリール基である。
かかる基の例は、フェニル、ナフチル、チエニル、フラン、ピリミジンおよびピリジンであり、フェニルが目下は好ましい。
基Rは未置換であるか、または5個までの置換基で置換し得る;また置換基の例は、上記の基R10に記載のものである。
特定のその置換基は、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;CONH;ニトロ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル(それぞれにはC1−2アルコキシ、カルボキシまたはヒドロキシで所望により置換されている);C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、OおよりSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員および6員のヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシ基;フェニル;フェニル−C1−4アルキル;フェニル−C1−4アルコキシ;へテロアリール−C1−4アルキル;ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシである;ただし、ヘテロアリール、へテロアリールオキシ、フェニル、フェニル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルコキシ、ヘテロアリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシ基それぞれには、C1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、CONH、C1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビルから選択される1、2または3個の置換基で所望により置換されており、そのそれぞれにはメトキシまたはヒドロキシで所望により置換されている。
好適な置換基は、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル(それぞれにはC1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換されている);C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、OおよりSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員および6員のヘテロアリール基(該へテロアリールには1個以上のC1−4アルキル置換基で所望により置換されている);フェニル;ピリジル;およびフェノキシである;ただし、、該フェニル、ピリジルおよびフェノキシ基それぞれには、C1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、C1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビルから選択される1、2または3個の置換基で所望により置換されており、そのそれぞれにはメトキシまたはヒドロキシで所望により置換されている。
1サブグループの化合物において、Rについての置換基は、ヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル(それぞれにはC1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換されている)から選択される。
5個までの置換基が存在し得るが、より典型的には、0、1、2、3または4個の置換基が、好ましくは、0、1、2または3個、より好ましくは、0、1または2個の置換基が存在する。
一態様において、基Rは未置換であるか、またはヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル(それぞれにはC1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換されている)から選択される5個までの置換基が置換する。
さらなる態様において、基Rは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、シアノ、フェニルオキシ、ピラジニルオキシ、ベンジルオキシ、メチルおよびメトキシから選択される1個または2個の置換基を有する。
別の態様において、基Rは、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、メチルおよびメトキシから選択される1個または2個の置換基を有する。
がフェニル基であるとき、置換基組み合わせの具体例は、モノ−クロロフェニルおよびジクロロフェニルである。
置換基組み合わせのさらなる例は、Rがヒドロキシフェニル、フルオロクロロフェニル、シアノフェニル、メトキシフェニル、メトキシ−クロロフェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、フェノキシフェニル、ピラジニルオキシフェニルまたはベンジルオキシフェニルであるときのものである。
が6員のアリールまたはヘテロアリール基であるとき、置換基は6員環上のパラ位置に存在するのが有利である。置換基がパラ位置に存在する場合、それはフッ素原子よりも大きなサイズであることが好ましい。
およびR
式(I)で示される化合物の一群において、RおよびRは、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから独立して選択され、その場合のヒドロカルビルおよびアシル部分には、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノおよびメトキシから選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい。
ヒドロカルビル部分に、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシ基が置換する場合、一般的に、NRの置換基と窒素原子との間には少なくとも2個の炭素原子が存在する。置換されたヒドロカルビル基の具体例は、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルである。
本発明化合物の別の一群において、RおよびRは独立して水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される。
典型的に、ヒドロカルビル基は、置換、未置換に関係なく、アルキル基であり、より一般的には、C、CまたはCアルキル基、好ましくはメチル基である。一つの特定サブグループの化合物において、RおよびRは独立して、水素およびメチルから選択され、従って、NRはアミノ、メチルアミノまたはジメチルアミノ基となる。特定の一態様において、NRはアミノ基であり得る。別の特定態様において、NRはメチルアミノ基であり得る。
別の態様において、C1−4ヒドロカルビル基はシクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはシクロブチル基であり得る。
別の群の化合物において、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、イミダゾール基および4〜7環員を有し、所望によりOおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を含む飽和単環状へテロ環基から選択される環基を形成する。
さらなる化合物群において、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7環員を有し、所望によりOおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を含む飽和単環状へテロ環基を形成する。
飽和単環状へテロ環基は未置換であるか、または本明細書の上記一般的優先性および定義の部で定義した1個以上の置換基R10が置換し得る。しかし、一般的には、ヘテロ環基上の置換基は比較的小さな置換基、例えば、C1−4ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル)、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノおよびジメチルアミノである。特定の基はメチル基である。
飽和単環状環は、アザシクロアルキル基、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼパン環であり、かかる環は典型的には未置換である。あるいは、該飽和単環状環は、OおよびNから選択されるさらなるヘテロ原子を含み得、かかる基の例はモルホリンおよびピペラジンである。追加のN原子が環内に存在する場合、このものはNH基またはN−C1−4アルキル基の一部、例えば、N−メチル、N−エチル、N−プロピルまたはN−イソプロピルを形成し得る。
NRがイミダゾール基を形成する場合、該イミダゾール基は未置換であるか、または、例えば、1個以上の比較的小さな置換基、例えば、C1−4ヒドロカルビル(例えば、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピルおよびブチル)、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノおよびジメチルアミノが置換し得る。特定の基はメチル基である。
さらなる化合物群においては、RおよびRの一方がそれらの結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、所望によりOおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を含む飽和単環状へテロ環基を形成する。
かかる化合物の例は、NRとAが、式:
Figure 0005345842
[式中、tおよびuはそれぞれ、0、1、2または3である;ただし、tとuの合計は2ないし4の範囲に入るものとする]
で示される単位を形成する化合物を包含する。
かかる化合物のさらなる例は、NRとAが、式:
Figure 0005345842
[式中、vおよびwはそれぞれ、0、1、2または3である;ただし、vとwの合計は2ないし5の範囲に入るものとする]
で示される環基を形成する化合物を包含する。環状化合物の特定の例は、vおよびwが共に2である化合物である。
かかる化合物のさらなる例は、NRとAが、式:
Figure 0005345842
[式中、xおよびwはそれぞれ、0、1、2または3である;ただし、xとwの合計は2ないし4の範囲に入るものとする]
で示される環基を形成する化合物を包含する。環状化合物の特定の例は、xが2で、wが1である化合物である。

式(I)において、Rは、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、C1−5飽和ヒドロカルビルオキシ、シアノ、およびCFから選択される。
より典型的には、Rは、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、およびCFから選択される。Rについての好適な意義は水素およびメチルである。特定の態様において、Rは水素である。

式(I)において、Rは、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、C1−5飽和ヒドロカルビルオキシ、シアノ、CONH、CONHR、CF、NH、NHCORおよびNHCONHRから選択される;NHCONHRのRは基R9aまたは(CH)R9aであり、R9aは炭素環状またはヘテロ環状であり得る所望により置換されてよい単環状または二環基である。
炭素環およびヘテロ環基の例は、上記の一般的優先性および定義の部に記載がある。
一般的に、炭素環およびヘテロ環基は単環状である。
好ましくは、炭素環およびヘテロ環基は芳香性である。
基Rの特定例は所望により置換されてよいフェニルまたはベンジルである。
好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、CONH、CONHR、CF、NH、NHCORおよびNHCONHRから選択される;ここで、Rは所望により置換されてよいフェニルまたはベンジルである。
より好ましくは、Rは、水素、ハロゲン、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、CF、NH、NHCORおよびNHCONHRから選択される;ただし、Rは所望により置換されてよいフェニルまたはベンジルである。
基Rは、典型的には未置換のフェニルまたはベンジルであるか、または、ハロゲン;ヒドロキシ;トリフルオロメチル;シアノ;カルボキシ;C1−4アルコキシカルボニル;C1−4アシルオキシ;アミノ;モノ−またはジ−C1−4アルキルアミノ;ハロゲン、ヒドロキシまたはC1−2アルコキシで所望により置換されているC1−4アルキル;ハロゲン、ヒドロキシまたはC1−2アルコキシで所望により置換されているC1−4アルコキシ;フェニル、O、NおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含む5員および6員のヘテロアリール基;およびO、SおよびNから選択される2個までのヘテロ原子を含む飽和の炭素環およびヘテロ環基;から選択される1、2または3個の置換基が置換するフェニルまたはベンジルである。
部分の具体例は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、シアノ、CF、NH、NHCOR9bおよびNHCONHR9bである(式中、R9bはフェニルまたはベンジルであり、ヒドロキシ、C1−4アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、C1−4ヒドロカルビルオキシ(例:アルコキシ)およびC1−4ヒドロカルビル(例:アルキル)(C1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換)で所望により置換されている)。
の好適な例は、水素、メチルおよびシアノである。好ましくは、Rは水素またはメチルである。
基“E
式(I)において、Eは単環状または二環状の炭素環状またはヘテロ環基であり、上記の一般的優先性および定義に示した基から選択し得る。
好適な基Eは単環状と二環状のアリールおよびヘテロアリール基であり、取分け、6員の芳香族またはヘテロ芳香族環を含む基、例えば、フェニル、ピリジン、ピラジン、ピリダジンまたはピリミジン環である;さらに特定すると、フェニル、ピリジン、ピラジンまたはピリミジン環であり、より好ましくはピリジンまたはフェニル環である。
二環式基の例は、ベンゾ縮合およびピリド縮合基であり、その場合の基Aおよびピラゾール環は共にベンゾまたはピリド部分に結合している。
一態様において、Eは単環基である。
単環基の特定例は単環状のアリールおよびヘテロアリールであり、例えば、フェニル、チオフェン、フラン、ピリミジン、ピラジンおよびピリジンである;現在好ましいのはフェニルである。
単環状のアリールおよびヘテロアリールの一サブセットは、フェニル、チオフェン、フラン、ピリミジンおよびピリジンからなる。
非芳香族単環基の例は、シクロヘキサンおよびシクロペンタンなどのシクロアルカン、およびピペラジンおよびピペラゾンなどの含窒素環を包含する。
基Aおよびピラゾール基は基Eの隣接環員には結合しない。例えば、ピラゾール基はメタまたはパラの相対的配向の基Eに結合し得る。かかる基Eの例は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2,5−ピリジレンおよび2,4−ピリジレン、1,4−ピペラジニル、および1,4−ピペラゾニルである。さらなる例は1,3−ジ置換5員環である。
基Eは未置換であるか、または4個までの置換基Rを有し得る;Rは本明細書にてすでに定義した基R10から選択し得る。しかし、より典型的には、置換基Rはヒドロキシ;オキソ(Eが非芳香族であるとき);ハロゲン(例:塩素および臭素);トリフルオロメチル;シアノ;C1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換されているC1−4ヒドロカルビルオキシ;およびC1−2アルコキシまたはヒドロキシで所望により置換されているC1−4ヒドロカルビルから選択される。
好ましくは、0〜3個の置換基が存在し、より好ましくは0〜2個の置換基が存在し、例えば、0または1個の置換基が存在する。一態様において、基Eは未置換である。
Eは以下のもの以外であり得る:
−置換基を有するピリドン基;
−置換基を有するチアゾール基;
−置換基を有するか、または未置換のピラゾールまたはピラゾロン基;
−置換基を有するか、または未置換の二環式縮合ピラゾール基;
−チオフェン環に縮合するフェニル環またはチオフェン環に縮合する6員の含窒素へテロアリール環;
−置換基を有するか、または未置換のピペラジン基。
基Eは5または6構成員を有し、O、NおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含むアリールまたはヘテロアリールであり、基Eは以下の式により表される:
Figure 0005345842
[式中、はピラゾール基に対する結合点を示し、“a”は基Aの結合を示す;
rは0、1または2である:
UはNおよびCR12aから選択される;また、
VはNおよびCR12bから選択される;ただし、R12aおよびR12bは同一または異なって、それぞれが水素であるか、またはC、N、O、F、ClおよびSから選択される10個までの原子を含む置換基である;ただし、R12aおよびR12bの合わせたものに存在する非水素原子の合計数は10を超えないものとする;
またはR12aおよびR12bはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、OおよびNから選択される2個までのヘテロ原子を含む未置換の5員もしくは6員の飽和もしくは不飽和の環を形成する;また、
10は本明細書にすでに定義したとおりである]。
好適な一群の化合物において、Eは基:
Figure 0005345842
[式中、はピラゾール基に対する結合点を示し、“a”は基Aの結合を示す;
P、QおよびTは同一または異なって、N、CHおよびNCR10から選択される;ただし、基Aは炭素原子に結合している;U、VおよびR10は本明細書にすでに定義したとおりである]である。
12aおよびR12bの例は、水素および10個を超えない非水素原子を有する上記定義の置換基R10である。R12aおよびR12bの特定の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、フッ素、塩素、メトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエチル、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、CONH、COEt、COH、アセトアミド、アゼチジニル、ピロリジノ、ピペリジン、ピペラジノ、モルホリノ、メチルスルホニル、アミノスルホニル、メシルアミノおよびトリフルオロアセトアミドである。
好ましくは、UがCR12aであり、および/またはVがCR12bであるとき、炭素原子環員Cに直接結合するR12aおよびR12b中の原子または基は、H、O(例:メトキシにおけるように)、NH(例:アミノおよびメチルアミノにおけるように)およびCH(メチルおよびエチルにおけるように)から選択される。
リンカー基Eの特定の例は、基A()とピラゾール環()に対する結合点と共に、以下の表2に示す。
Figure 0005345842
表中の置換基R13は、メチル、塩素、フッ素およびトリフルオロメチルから選択される。
以下の所望による除外は、本明細書に定義した、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそのサブグループまたはその下位定義におけるEの定義に適用し得る:
・ Eが、ピラゾール基に関してパラ位置に結合するイオウ原子を有するフェニル基以外であること。
・ Eが、置換または未置換のベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾールまたはベンゾチアゾール以外であること。
式(I)で示される化合物の1サブグループは、以下の一般式(II):
Figure 0005345842
[式中、基Aはベンゼン環のメタまたはパラ位置に結合する;qは0〜4である;R、R、R、RおよびRは式(I)およびそのサブグループ、実施例および優先性に関して本明細書に定義したとおりである;また、Rは本明細書にすでに定義した置換基である]
を有する。式(II)において、qは好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、最も好ましくは0である。好ましくは、基Aはベンゼン環のパラ位置に結合する。
式(II)の範囲内の本発明一特定サブグループの化合物は、式(II):
Figure 0005345842
[式中、A'は基Aの残基であり、RないしRは本明細書に定義したとおりである]
によって表される。
式(III)の範囲内の好適な一群の化合物は、式(IV):
Figure 0005345842
[式中、zは0、1または2である;R20は水素、メチル、ヒドロキシおよびフッ素から選択され、RないしRは本明細書に定義したとおりである;ただし、zが0の場合、R20はヒドロキシ以外である]
によって表される。
式(III)の範囲内の別の一群の化合物は、式(V):
Figure 0005345842
[式中、RおよびRないしRは本明細書に定義したとおりである]
によって表される。式(V)において、Rは好ましくは、水素およびC1−4ヒドロカルビル、例えば、メチル、エチルおよびイソプロピルなどのC1−4アルキルから選択される。より好ましくは、Rは水素である。
式(II)ないし(V)のそれぞれにおいて、Rは好ましくは本明細書に定義する所望により置換基を有するフェニル基である。
本発明の別のサブグループの化合物において、Aは1ないし7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基はRおよびNR間に伸張する最大の鎖長として5個の原子を有し、EおよびNR間に伸張する最大の鎖長は4個の原子からなる;ただし、リンカー基の炭素原子の1個が酸素または窒素原子と所望により置き換わり得る;また、リンカー基Aの炭素原子はフッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を所望により担持する;ただし、ヒドロキシは、それが存在する場合、NR基に関してα位の炭素原子に位置しない;また
は、水素、C1−5飽和ヒドロカルビル、シアノ、CONH、CF、NH、NHCORおよびNHCONHRから選択される。
疑いを避けるために、基Rの一般的および具体的優先性、態様および例は、それぞれ基Rおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRの一般的および具体的優先性、態様および例と組み合わせ得ること、またかかる組み合わせのすべてがこの適用に包含されることを理解すべきである。
式(I)で示される化合物を構成する種々の官能基および置換基は、一般に、式(I)の化合物の分子量が1000を超えないように選択する。より一般的には、該化合物の分子量が750未満、例えば、700未満、または650未満、または600未満、または550未満である。より好ましくは、該分子量が525未満、例えば、500以下である。
本発明の具体的化合物は以下の例に示すとおりであり、これらから選択する:
2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオニトリル;
2−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−フェニル−エチルアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
2−[3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1−フェニル−エチルアミン;
3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
3−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
{3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
{3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
{3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド;
3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−(4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−フェニル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−4−フェニル−ピペリジン;
ジメチル−{3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−ピリジン−2−イル−プロピル}−アミン;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチルアミン;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン(R);
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン(S);
4−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−モルホリン;
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−ピロリジン−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−イソプロピルアミン;
ジメチル−{2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
{2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチルアミン;
{2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(R);
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(S);
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペラジン;
1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペリジン;
4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
N−メチル−2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−エチルアミン;
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−イミダゾール−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
メチル−{2−(4−フェノキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
{2−(4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
メチル−{2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
メチル−{2−フェノキシ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチルアミン;
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−ピロリジン−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
4−{4−[3−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
メチル−{3−ナフタレン−2−イル−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−アミン;
ジメチル−(4−{3−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−フェニル)−アミン;
{3−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
4−{4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェニル}−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル;
3−(4−フェノキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
1−メチル−4−{フェニル−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−[1,4]ジアゼパン;
{3−(3−クロロ−フェノキシ)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
メチル−{2−フェニル−2−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−エチル}−アミン;
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
4−[4−(3−イミダゾール−1−イル−1−フェノキシ−プロピル)−フェニル]−1H−ピラゾール;
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノール;
1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
{2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
{2−(3−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド;
2−(4−{2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−イソニコチンアミド;
{2−(3−クロロ−フェノキシ)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
3−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−プロパン−1−オール;
2−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−エタノール;
3−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−プロパン−1−オール;
2−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−エタノール;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−シクロプロピルメチルアミン;
メチル−[2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−(4−ピリジン−3−イル−フェニル)−エチル]−アミン;
4−{3−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−フェノール;
3−(4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−モルホリン;
(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸;
(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸メチルエステル;
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−ベンゾニトリル;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
1−(4−クロロ−フェニル)−2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
2−アミノ−1−(4−クロロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−安息香酸;
4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−[4,4']ビピリジニル;
3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
2−メチルアミノ−1−(4−ニトロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−プロピルアミン;
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
4−(2−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
{2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェノキシ)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
{3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;および
C−(4−クロロ−フェニル)−C−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチルアミン;
およびその塩、溶媒和物、互変異性体およびN−オキシド。
一態様において、式(I)で示される化合物は以下の群から選択される:
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン(R);
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
{3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン;
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチル−アミン;および
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン。
式(I)で示される化合物のさらなるサブセットは以下の化合物からなる:
4−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(R異性体);
およびその塩、溶媒和物、互変異性体およびN−オキシド。
塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグおよび同位元素
本欄においては、この出願の他のすべての欄同様に、文面上特に断りのない限り、式(I)に言及した場合、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびに本明細書に定義したその他のサブグループ、優先性および例示すべてに言及したことを意味する。
特に断りのない限り、特定の化合物(取分け、式(I)で示される化合物または本明細書に記載した補助化合物のいずれをも含む)に言及した場合、例えば、以下に考察するそのイオン性、塩、溶媒和物、および保護形状物をも包含する。
多くの化合物(式(I)の化合物および本明細書に記載した補助化合物の多くを含む)は、塩形態で、例えば、酸付加塩または、ある場合には、炭酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩などの有機および無機塩基の塩形態で存在し得る。かかる塩はすべて本発明の範囲内であり、化合物(例えば、式(I)で示される化合物または補助化合物)に言及した場合、その化合物の塩をも包含する。本出願の先の欄におけると同様、式(I)に言及した場合は、文脈から他の解釈が必要でない限り、すべて式(II)およびそのサブグループにも言及したものと解釈されるべきである。
塩形態は文献[Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl(Editor), Camille G. Wermuth(Editor), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388 pages, August 2002]に記載の方法に従い、選択し、調製し得る。例えば、酸付加塩は、遊離の塩基を有機溶媒(この溶媒には所定の塩形態が不溶であるか、または難溶である)に溶かし、次いで適当な溶媒中に必要な酸を加えて、その塩を溶媒から沈殿させる。
酸付加塩は広範囲の酸、無機または有機酸両方で形成し得る。酸付加塩の例は、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例:L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)−カンファー酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、コハク酸、クエン酸、シクラム酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例:D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例:L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例:(+)−L−乳酸および(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例:ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例:p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸類およびカチオン交換樹脂からなる群より選択される酸と形成される塩である。
一特定群の酸付加塩は、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸と形成される塩である。
別の群の酸付加塩は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸から形成される塩である。
本発明の組み合わせに含まれる化合物は、塩を形成する酸のpKaに左右されるが、モノまたはジ塩として存在し得る。強酸の場合、塩基性ピラゾールの窒素、ならびにNR基の窒素原子が塩形成に関与し得る。例えば、該酸が約3未満のpKaをもつ場合(例えば、塩酸、硫酸またはトリフルオロ酢酸などの酸)、該化合物は一般に2モル当量の酸と塩を形成する。
該化合物がアニオン性であるか、またはアニオンとなり得る官能基(例:−COOHは−COOとなり得る)を有する場合、塩は適切なカチオンにより形成される。適切な無機カチオンの例は、限定されるものではないが、NaおよびKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類カチオン、およびAl3+などその他のカチオンである。適切な有機カチオンの例は、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH )および置換アンモニウムイオン(例:NH、NH 、NHR 、NR )である。一部の適切な置換アンモニウムイオンの例は、以下から誘導されるイオンである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるイオンである。一般の四級アンモニウムイオンの例はN(CH) である。
該化合物がアミン官能基を含む場合、これらは例えば、当業者周知の方法に従って、アルキル化剤と反応させることにより、四級アンモニウム塩を形成させ得る。かかる四級アンモニウム塩化合物は、式(I)の範囲内にある。
アミン官能基を含む化合物は、N−オキシドをも形成し得る。本明細書においてアミン官能基を含む化合物(例えば、式(I)の化合物)に言及したときは、N−オキシドをも包含する。
化合物が数個のアミン官能基を含む場合は、1個以上の窒素原子が酸化されてN−オキシドを形成し得る。N−オキシドの特定例は三級アミンまたは含窒素へテロ環の窒素原子のN−オキシドである。
N−オキシドは対応するアミンを過酸化水素または過酸などの酸化剤(例えば、ペルオキシカルボン酸)で処理することにより形成し得る[参照例:Advanced Organic Chemistry, by Jerry March, 4th Edition, Wiley Interscience, pages]。より詳しくは、N−オキシドは文献[L. W. Deady Syn. Comm. 1977, 7, 509-514]記載の手法に従い調製し得る;その場合、アミン化合物をm−クロロ過安息香酸(MCPBA)と、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で反応する。
本発明における組み合わせの化合物(例えば、式(I)の化合物)は、多くの異なる幾何異性体および互変異性体として存在可能であり、かかる化合物に言及したときは、かかる形状のすべてを包含する。疑いを回避するために、化合物が幾何異性体および互変異性体として存在可能で、その一つのみが具体的に記載されているか、または示されている場合であっても、他のものもすべて包含される(特に、式(I)の場合)。
例えば、式(I)の化合物において、ピラゾール基は以下の2つの互変異性体AおよびBを取り得る。
Figure 0005345842
単純化すると、一般式(I)は形状Aを描出するが、この式は形状Aと形状Bの両方を包含すると解釈すべきである。
本発明組み合わせのいずれかの構成化合物(例えば、式(I)の)が一つ以上のキラル中心を含み、2種以上の光学異性体の形状で存在し得る場合、当該化合物に言及することは、文面上他の必要性のない限り、そのすべての光学異性体(例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマー)を、個々の光学異性体として、または2種以上の光学異性体の混合物として含むことである。
例えば、基Aは一つ以上のキラル中心を含み得る。従って、EおよびRが共にリンカー基A上の同じ炭素原子に結合している場合、当該炭素原子は一般にキラルであり、その結果、式(I)の化合物は一対のエナンチオマーとして存在する(その化合物に一つを超えるキラル中心が存在する場合には一対を超えるエナンチオマー)。
光学異性体はその光学活性(すなわち、+または−異性体として)により特徴づけ、同定するか、またはカーン(Cahn)らが発展させた“RとS”命名法を用いる絶対立体化学により特徴づけ得る[Cahn, Ingold and Prelog, Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 4th Edition, John Wiley & Sons, New York, 1992, pages 109-114; Cahn, Ingold & Prelog, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1966, 5, 385-415]。
光学異性体はキラルクロマトグラフィー(キラル支持体上のクロマトグラフィー)を含む多くの技法により分離可能であり、かかる技法は当業者周知である。
キラルクロマトグラフィーに替わる方法として、光学異性体はキラル酸とのジアステレオマー塩を形成することによっても分離し得る;キラル酸とは、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−カンファースルホン酸であり、このジアステレオマーを選択的結晶化により分離して、その塩を解離し、遊離塩基の個々のエナンチオマーを得る。
本発明組み合わせのいずれか1種の構成化合物(例えば、式(I)の化合物)が2種以上の光学異性体の形状として存在する場合、一対のエナンチオマー中の一方のエナンチオマーは、例えば、生物学的活性において他のエナンチオマーよりも利点を有する可能性がある。従って、このような場合、一対のエナンチオマーの一方のみを、または複数のジアステレオマーの1つのみを本発明の組み合わせの1成分として用いることが望ましい。従って、本発明は1つ以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含む組み合わせを提供する;この場合、少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)の式(I)で示される化合物が単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)として存在する。一般的な一態様において、総量99%以上(例えば、実質的にすべて)の式(I)で示される化合物が、単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)として存在する。
カルボン酸基またはヒドロキシル基を担持する化合物(例えば、式(I)の化合物)のカルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルなどのエステルもまた考慮される(また、式(I)の化合物の場合に、その式に包含されるものとする)。本発明の一態様において、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を担持する式(I)で示される化合物のエステルを包含する。本発明の別の態様において、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を担持する式(I)で示される化合物のエステルを包含しない。エステルの例は基−C(=O)OR(式中、Rはエステル置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20へテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)を含む化合物である。エステル基の特定の例は、限定されるものではないが、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH)、および−C(=O)OPhである。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、−OC(=O)R(式中、C1−7アルキル基、C3−20へテロシクリル基、またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の具体例は、限定されるものではないが、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH)、−OC(=O)Ph、および−OC(=O)CHPhである。
さらに考慮されるのは、該化合物の多形相形状、本発明組み合わせの構成化合物(および特に、式(I)の化合物)の溶媒和物(例:水和物)、複合体(例:シクロデキストリンなどの化合物との包摂複合体または包摂化合物、または金属との複合体)、およびこれら構成化合物のプロドラッグである。“プロドラッグ”とは、例えば、インビボで生物学的に活性な化合物に(例えば、補助化合物に、または式(I)の化合物に)変換される化合物を意味する。
例えば、ある種のプロドラッグは活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝的に活性なエステル)である。代謝に際して、エステル基(−C(=O)OR)が切断されて活性な薬物を生じる。かかるエステルは、例えば、親化合物のカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかをエステル化することにより形成し得る;その際、適切な場合には、親化合物に存在する他の反応性基をあらかじめ保護し、次いで、要すれば脱保護する。
かかる代謝的に活性なエステルは、式−C(=O)ORにおいて、RがC1−7アルキル(例:−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);C1−7アミノアルキル(例:アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ−C1−7アルキル(例:アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)−カルボニルオキシエチルであるエステルである。
また、一部のプロドラッグは酵素的に活性化されて、活性化合物を生じるか、またはさらなる化学反応により活性化合物を生じる化合物(例えば、抗原指向酵素プロドラッグ療法(ADEPT)、遺伝子指向酵素プロドラッグ療法(GDEPT)およびリガンド指向酵素プロドラッグ療法(LIDEPT))である。例えば、該プロドラッグは糖誘導体もしくは他のグリコシド接合体であり得るか、またはアミノ酸エステル誘導体であり得る。
本明細書にて使用する場合、用語“組み合わせ”とは、2種以上の化合物に適用し、2種以上の化合物が会合している物質と定義するものとする。この文脈において、“組み合わせた”および“組み合わせる”という用語は、それに準じて解釈されるべきである。
組み合わせにおける2種以上の化合物の会合は、物理的であっても、非物理的であってもよい。物理的に会合し組み合わせた化合物の例は以下のとおりである:
・ 混合物中(例えば、同じ単位用量内)に2種以上の化合物を含有してなる組成物(例えば、単位として用いる製剤);
・ 2種以上の化合物が化学的/物理化学的に結合(例えば、架橋、分子集合または共通のビークル部分への結合)した物質を含有してなる組成物;
・ 2種以上の化合物が化学的/物理化学的に同時に包埋(例えば、液状小胞、粒子(例えば、ミクロまたはナノ粒子)またはエマルジョン小滴)した物質を含有してなる組成物;
・ 2種以上の化合物が同時包装または同時提供(例えば、単位用量アレイの一部として)される医薬キット、医薬包装品または患者包装品;
非物理的に会合し組み合わせた化合物の例は以下のとおりである:
・ 2種以上の化合物の少なくとも1つと、少なくとも1種の化合物の一次的会合が2種以上の化合物の物理的会合を形成するとする説明書と共に含んでなる物質(例えば、非単位製剤);
・ 2種以上の化合物の少なくとも1つと、2種以上の化合物による併用療法についての説明書と共に含んでなる物質(例えば、非単位製剤);
・ 2種以上の化合物の少なくとも1つを、2種以上の化合物の他方が投与された(または投与されている)患者集団に対しての説明書と共に含んでなる物質;
・ 2種以上の化合物の少なくとも1つを、2種以上の化合物の他方と組み合わせて使用するために特異的に適合する量または形状で含んでなる物質。
本明細書にて使用する場合、“併用療法”という用語は、2種以上の化合物(上記に定義)の組み合わせの使用を含んでなる治療法を定義するためのものである。従って、本出願において“併用療法”、“組み合わせ”および“組み合わせた”化合物の使用というとき、同一の全投与計画の一部として投与される化合物をいう。2種以上の化合物のそれぞれの薬用量はそれ自体異なり得る:それぞれの化合物は同時にまたは異なった時間に投与し得る。それ故、評価されることは、組み合わせの化合物は連続して(例えば、前後して)または同時に、同じ医薬製剤として(すなわち、一緒にして)または異なる医薬製剤として(すなわち、別々に)投与し得ることである。同じ剤形で同時にということは、単位として用いる剤形としてであり、一方、異なる剤形で同時にということは、単位としてのものではないということである。併用療法における2種以上の化合物のそれぞれの薬用量も投与ルートに関して異なり得る。
本明細書にて使用する場合、“医薬キット”という用語は、投与手段(例えば、計量器具)および/または送達手段(例えば、吸入器または注射筒)と一緒になった、1つ以上の単位用量の配列からなる医薬組成物をいい、所望によりそれらのすべてを共通の外装容器に納める。2種以上の化合物の組み合わせを含んでなる医薬キットにおいては、個々の化合物を単位として用いる、または単位としては用いない剤形であり得る。単位量はPTP包装に納め得る。該医薬キットには所望によりさらに使用説明書を入れ得る。
本明細書にて使用する場合、“医薬包装品”という用語は、1つ以上の単位用量の配列からなる医薬組成物であって、所望により共通の外装品内に納めた組成物と定義する。2種以上の化合物の組み合わせを含んでなる医薬包装品においては、個々の化合物を単位として用いる、または単位としては用いない剤形であり得る。単位量はPTP包装に納め得る。該医薬包装品には所望によりさらに使用説明書を入れ得る。
本明細書にて使用する場合、“患者包装品”という用語は、患者向けに処方した包装品であって、処置の全コースのための医薬組成物を入れた包装品と定義する。患者包装品は通常1つ以上のPTP包装を含む。患者包装品は、薬剤師が大量の備品から患者量の医薬を分割する伝統的な処方を超える利点を有する;また、患者は、通常患者の処方には見当たらない患者包装品に納められた添付文書を常に手にする。包装品に添付文書を含めることで、医師の指示に対する患者のコンプライアンスが改善されることが示されている。
本発明の組み合わせは、別々に投与した場合の個々の化合物の治療効果に比例した治療上有効な作用を生じ得る。
用語“有効な”とは、相加性、相乗性、副作用低減、毒性低減、疾患進行時間延長、生存期間延長、1つの薬剤の別の薬剤への感作または再感作、または応答率の改善などの有利な作用である。有利なことは、有効な作用が患者に投与すべき成分のそれぞれ、またはいずれかの用量を低下させても得られる可能性があり、それによって化学療法の毒性を低下させ得る一方、同じ治療作用を生じるか、および/または維持することができる。有効な組み合わせは、例えば、本明細書に記載した方法(下記実施例109参照)により判定し得る。
本文面において“相乗”効果とは、組み合わせにより生じる治療効果が、組み合わせの成分が個々に示すときの治療効果の合計よりも大きいことをいう。
本文面において“相加”効果とは、組み合わせにより生じる治療効果が、組み合わせの成分が個々に示すときの治療効果のいずれよりも大きいことをいう。
本明細書にて使用する場合、“応答率”という用語は、固形腫瘍の場合、所定の時点、例えば、12週間での腫瘍サイズの減少の程度をいう。従って、50%の応答率とは、腫瘍サイズが50%減少したことを意味する。本明細書にて“臨床応答”という場合は、50%以上の応答率をいう。“部分的応答”とは、応答率が50%未満であることと定義する。
本明細書にて使用する場合、“補助化合物”という用語は、式(I)で示される化合物と組み合わせたときに、有効な組み合わせ(本明細書に定義)を生じる化合物と定義するものとする。補助化合物は従って式(I)で示される化合物に対して付加物として作用し得るか、またはさもなくば、組み合わせの有効性に(例えば、相乗効果もしくは相加効果を生じることにより、または本明細書に定義した応答率を改善することにより)寄与することが可能である。組み合わせが2種以上の補助化合物を含有してなる態様においては、2種の補助化合物のそれぞれが独立して有効であり得るか、または2種以上の化合物のそれぞれを式(I)の化合物と組み合わせたときに、有効な組み合わせを生じ得る。
式(I)で示される化合物の製造法
本欄では、本出願の他のすべての欄と同様に、文面上特に断りのない限り、式(I)に言及したこたは、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびに本明細書に定義したその他のサブグループ、優先性および例示すべてに言及したことを意味する。
式(I)で示される化合物は、式(X)で示される化合物と、式(XI)で示される化合物またはそのN−保護誘導体との反応により製造し得る:
Figure 0005345842
式中、A、E、およびRないしRは上記に定義したとおりであり、基XおよびYの一方は塩素、臭素もしくはヨウ素またはトリフルオロメタンスルホン酸エステル(トリフレート)基であり、基XおよびYの他方はボロネート残基、例えば、ボロン酸エステルまたはボロン酸残基である。
反応は、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒および塩基(例:炭酸カリウムなどの炭酸塩)の存在下に、典型的なスズキカップリング条件下に実施し得る。反応は水性溶媒系、例えば、水性エタノール中で実施可能であり、反応混合物は一般に、加熱、例えば、100℃を超える温度での加熱に付す。
スズキカップリング工程を含む図解合成経路をスキーム1に示す。スキーム1に示す合成経路の出発物質は、ハロ置換アリール−またはヘテロアリールメチルニトリル(XII)(式中、Xは塩素、臭素もしくはヨウ素原子またはトリフレート基である)である。該ニトリル(XII)は、水酸化ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリの存在下、水性エタノールなどの水性溶媒系中で、アルデヒドRCHOと縮合する。反応は室温で実施し得る。
得られる置換アクリロニトリル誘導体(XIII)は、次いで、ニトリル基を還元せずに、アルケン二重結合を選択的に還元する還元剤で処理する。この目的には、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素を用い、置換アセトニトリル誘導体(XIV)を得ることができる。反応は一般にエタノールなどの溶媒中で、通常、例えば、約65℃までの温度に加熱して実施する。
還元したニトリル(XIV)は次いで、上記のスズキカップリング条件下に、ピラゾールエステル(XV)とカップル反応させ、式(I)において、A−NRが置換アセトニトリル基である化合物を得る。
Figure 0005345842
置換アセトニトリル化合物(XVI)は、次いで、ラネーニッケルなどの還元剤とエタノール中アンモニアで処理して、対応するアミン(XVII)に還元し得る。
スキーム1に示す合成経路は、式(I)において、アリールもしくはヘテロアリール基Eがアミノ基に関してβ位置に結合するアミノ化合物を生じる;縮合工程における2種の出発物質の官能基は逆となって、その結果、式X−E−CHO(式中、Xは塩素、臭素、ヨウ素またはトリフレート基である)の化合物が、式R−CH−CNの化合物と縮合して、置換アクリロニトリル誘導体を生じる;次いで、これを対応するアセトニトリル誘導体に還元し、ピラゾールホウ酸エステル(XV)とカップリングさせ、シアノ基を還元してアミノ基とする。
式(I)において、Rがアミノ基に関してα位置に結合する化合物は、スキーム2に示す一連の反応により製造し得る。
スキーム2において、出発物質はハロ−置換アリール−またはヘテロアリールメチルグリニャール試薬(XVIII、X=臭素または塩素)であり、このものはジエチルエーテルなどの乾燥エーテル中、ニトリルR−CNと反応させ、中間体イミン(図示せず)を得る;これを水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤を用い還元して、アミン(XIX)を得る。アミン(XIX)は、上記のスズキカップリング条件下、ボロネートエステル(XV)と反応させてアミン(XX)を得ることができる。
Figure 0005345842
式(I)で示される化合物は、置換ニトリル化合物(XXI)からも製造し得る:
Figure 0005345842
[式中、PGはテトラヒドロピラニル基などの保護基である]。ニトリル(XXI)は式R−(CH)−CHO(式中、rは0または1である)で示されるアルデヒドと縮合させ、得られる置換アクリロニトリルは次いで、上記スキーム1に述べた条件と同様の条件下で還元して、対応する置換ニトリルとする。次いで、保護基PGは適切な方法で除去することができる。次いで、上記の適当な還元剤を使用することで、該ニトリル化合物を還元して対応するアミンとする。
ニトリル化合物(XXI)は標準的なグリニャール条件下で、式R−(CH)−MgBrで示されるグリニャール試薬と反応させ、次いで脱保護して、式(XXII)で示される構造を有する本発明のアミノ化合物を得ることもできる。
Figure 0005345842
上掲の製造手法において、アリールまたはヘテロアリール基Eとピラゾールとのカップリング反応は、パラジウム触媒と塩基の存在下に、ハロ−ピラゾールまたはハロ−アリールまたはヘテロアリール化合物とボロン酸エステルまたはボロン酸との反応により実施する。本発明化合物の製造に使用するのに適切な多くのボロン酸エステルが、市販品として、例えば、ボロン・モレキュラー(株)(Boron Molecular Limited)(ノーブルパーク、オーストラリア)から、またはコンビ−ブロックス・インク(Combi-Blocks Inc)(サンディエゴ、米国)から入手し得る。ボロン酸エステルが市場で入手できない場合は、当該技術上既知の方法、例えば、総説誌(N. Miyaura and A. Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95, 2457)に記載された方法により製造することができる。このように、ボロン酸エステルは対応する臭素−化合物と、ブチルリチウムなどのアルキルリチウムとを反応させ、次いで、ホウ酸エステルと反応させることにより製造することができる。得られるボロン酸エステル誘導体は、所望により加水分解して、対応するボロン酸とすることができる。
式(I)において基Aが基Eに結合する窒素原子を含む化合物は、周知の合成手法により、式(XXIII)の化合物またはその保護体から合成することができる。式(XXIII)で示される化合物は、式(XV)の化合物(スキーム1)と、4−ブロモアニリンなどの式Br−E−NH2で示される化合物とのスズキカップリング反応により得ることができる。
Figure 0005345842
式(I)において、RおよびEが同じ炭素原子に連結する化合物は、スキーム3に示すように製造し得る。
Figure 0005345842
スキーム3において、Xが臭素、塩素、ヨウ素またはトリフレート基であるアルデヒド化合物(XXIV)は、塩基の存在下にシアノ酢酸エチルと縮合させて、シアノアクリル酸エステル中間体(XXV)を得る。縮合反応は、一般に、塩基、好ましくはピペリジンなどの非水酸化物の存在下に、ディーン−スタークの条件下に加熱して実施する。
次いで、シアノアクリル酸エステル中間体(XXV)は、アクリル酸エステル部分の炭素−炭素二重結合に、ミカエル付加反応により、基Rを導入するのに適するグリニャール試薬RMgBrと反応させる。グリニャール反応はテトラヒドロフランなどの非プロトン性極性溶媒中、例えば、0℃付近の低温で実施し得る。グリニャール反応の産物はシアノプロピオン酸エステル(XXVI)であり、これを加水分解反応と脱カルボキシル化反応に付して、プロピオン酸誘導体(XXVII)とする。加水分解反応と脱カルボキシル化反応の工程は、酸性媒体中、例えば、硫酸と酢酸の混合物中、加熱によって実施し得る。
プロピオン酸誘導体(XXVII)は、アミド結合の形成に適する条件下で、アミンHNRとの反応により、アミド(XXVIII)に変換する。プロピオン酸誘導体(XXVII)とアミンHNRとのカップリング反応は、好ましくはペプチド結合形成に共通に使用されるタイプの試薬の存在下で実施される。かかる試薬の例は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sheehan et al, J. Amer. Chem Soc. 1955, 77, 1067)、1−エチル−3−(3'−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(以下、EDCまたはEDAC)(Sheehan et al, J. Org. Chem., 1961, 26, 2525)、ウロニウムに基づくカップリング剤、例えば、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム(HATU)およびホスホニウムに基づくカップリング剤、例えば、ヘキサフルオロリン酸1−ベンゾ−トリアゾリルオキシトリス−(ピロリジノ)ホスホニウム(PyBOP)(Castro et al, Tetrahedron Letters, 1990, 31, 205)である。カルボジイミドに基づくカップリング剤は、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(L. A. Carpino, J. Amer. Chem. Soc., 1993, 115, 4397)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(Konig et al, Chem. Ber., 103, 708, 2024-2034)と組み合わせて、有利に使用される。好適なカップリング剤はEDC(EDAC)およびDCCとHOAtまたはHOBtとの組み合わせである。
カップリング反応は一般に非水性、非プロトン性溶媒、例えば、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドもしくはN−メチルピロリジン、または水性溶媒と所望によりの1種以上の混和性補助溶媒中で実施する。反応は室温で実施し得る;または反応剤が反応性に劣る場合(例えば、スルホンアミド基など電子求引性基をもつ電子欠乏アニリンの場合)、適当な上昇温度で実施し得る。反応は不干渉性塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミンの存在下に実施し得る。
アミンHNRがアンモニアであるとき、アミドカップリング反応は、アンモニア添加前のカルボン酸を活性化するために、1,1'−カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて実施し得る。
代替法として、カルボン酸の反応性誘導体、例えば、無水物または酸塩化物を使用し得る。無水物などの反応性誘導体との反応は、一般に、ピリジンなどの塩基の存在下、室温で、アミンと無水物を攪拌することにより実施する。
アミド(XXVIII)は、上記のスズキカップリング条件下に、ボロネート(XV)との反応により、式(XXX)で示される化合物(この化合物は式(I)においてAがNRに隣接するオキソ置換基を有する化合物に相当する)に変換し得る。アミド(XXX)は塩化アルミニウムの存在下、水素化アルミニウムリチウムなどのヒドリド還元剤により還元して式(XXXI)で示されるアミンとする(このアミンは式(I)においてAがCH−CH−CH−である化合物に相当する)。還元反応は一般にエーテル溶媒、例えば、ジエチルエーテル中、溶媒の還流温度までの加熱下に実施する。
アミド(XXVIII)とボロネート(XV)とを反応させることよりもむしろ、該アミドを、例えば、エーテル溶媒中、外界温度で、水素化アルミニウムリチウム/塩化アルミニウムで還元してアミン(XXIX)とし、次いでこれを上記のスズキカップリング条件下でボロネート(XV)と反応させてアミン(XXX)を得ることもできる。
1個以下のメチレン基を含むアミン(XXIX)同族体を得るために、カルボン酸(XXVII)を標準的方法によりアジドに変換し、次いで、ベンジルアルコールなどのアルコールの存在下に、クルチウス転移反応に付してカルバミン酸エステルとする(参照:Advanced Organic Chemistry, 4th edition, by Jerry March, John Wiley & sons, 1992, pages 1091-1092)。カルバミン酸ベンジルは次工程のスズキカップリング反応において、アミンの保護基として機能することができ、カルバミン酸エステル基のベンジルオキシカルボニル部分はカップリング工程後に、標準的方法により除去することができる。別法としてカルバミン酸ベンジル基は水素化アルミニウムリチウムなどのヒドリド還元剤により処理して、NRがアミノ基の代わりにメチルアミノ基である化合物を得る。
式(X)においてXが塩素、臭素またはヨウ素であり、Aが基CH−CH−である中間体化合物は、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコール溶媒中、水素化シアノホウ素ナトリウムの存在下に、標準的還元的アミノ化の条件下、式(XXXII)で示されるアルデヒド化合物の、式HNRで示されるアミンによる還元的アミノ化反応により製造することができる:
Figure 0005345842
アルデヒド化合物(XXXII)は、例えば、デス−マーチン・ペルヨージナン(参照:Dess, D.B.; Martin, J.C. J. Org. Soc., 1983, 48, 4155 and Organic Syntheses, Vol. 77, 141)を使用する対応するアルコール(XXXIII)の酸化により入手し得る。
Figure 0005345842
式(I)においてA、NおよびRが共に環基を形成する化合物は、式(XV)で示されるボロネート化合物と、式(XXXIV)で示される環状中間体またはそのN−保護誘導体とのスズキカップリング反応により形成し得る。
Figure 0005345842
式(XXXIV)においてRが所望により置換基を有するフェニル基などのアリール基である環状中間体は、アリール化合物R−Hの、式(XXXV)で示される化合物によるフリーデル−クラフトアルキル化反応により形成し得る:
Figure 0005345842
アルキル化反応は、一般に、例えば、5℃未満の低下温度で、塩化アルミニウムなどのルイス酸の存在下に実施する。
フリーデル−クラフト反応は、式(X)で示される一連の中間体の調製に一般に適用可能であることが分かっている。従って、式(X)の化合物を作製する一般的な方法においては、式(LXX)で示される化合物を、例えば、ハロゲン化アルミニウム(例:AlCl)の存在下、フリーデル−クラフトアルキル化条件下に、式R−Hの化合物と反応させる。
Figure 0005345842
式(I)においてNR部分がA部分のCH基に結合する化合物のさらなる製造法において、式(XXXVI)で示される化合物は、上記の還元的アミノ化条件下で、式HNRのアミンとカップル結合することができる。式(XXXVI)および(XXXVII)において、A'は基Aの残基である−すなわち、A'およびCHは一緒になって基Aを形成する。アルデヒド(XXXVII)は、例えば、デス−マーチン・ペルヨージナンによる対応するアルコールの酸化により形成し得る。
Figure 0005345842
式(XXXIV)で示される中間体の合成のための上記タイプのフリーデル−クラフトアルキル化手法は、式(X)においてXが臭素である中間体を調製するためにも使用し得る。かかる手法の例をスキーム4に示す。
Figure 0005345842
スキーム4に示す合成経路のための出発物質は、市販品として入手可能であるか、または当業者周知の方法により、例えば、アルデヒドBr−E−CHOとヨウ化トリメチルスルホニウムとの反応により作製し得る。エポキシド(XXXVIII)は、アミンHNRと、エポキシドによる開環反応に適した条件下で反応させ、式(XXXIX)で示される化合物とする。開環反応はエタノールなどの極性溶媒中、室温で、または所望によりゆるやかな加熱下に、典型的には大過剰のアミンにより実施し得る。
次いで、アミン(XXXIX)はフリーデル−クラフトアルキル化反応に寄与し得るアリール化合物RH、典型的には、フェニル化合物と反応させる(参照例:Advanced Organic Chemistry, by Jerry March, pages 534-542)。従って、式(XXXIX)で示されるアミンは、典型的には、塩化アルミニウム触媒の存在下に、室温またはその近辺の温度でアリール化合物RHと反応させる。アリール化合物RHが液状であるとき、例えば、メトキシベンゼン(例:アニソール)またはクロロベンゼンなどのハロベンゼンの場合、該アリール化合物が溶媒としても働き得る。さもなくば、反応性の低い溶媒としてニトロベンゼンなどを使用してもよい。アミン(XXXIX)による化合物RHのフリーデル−クラフトアルキル化反応は、式(X)においてXが臭素であり、AがCHCHである化合物に相当する式(XL)の化合物を与える。
スキーム4におけるヒドロキシ中間体(XXXIX)は、式(X)において基Rに隣接する炭化水素リンカー基Aの炭素原子が酸素原子と置換わっている化合物を製造するためにも使用し得る。従って、式(XXXIX)で示される化合物またはそのN−保護誘導体(式中、RまたはRは水素である)は、ミツノブのアルキル化条件下に、例えば、アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィンの存在下に、式R−OHのフェノール性化合物と反応させることができる。反応は典型的には、テトラヒドロフランなどの極性非プロトン性溶媒中、外界温度などの緩和な温度で実施し得る。
ヒドロキシ中間体(XXXIX)のさらなる使用は、対応するフルオロ化合物の製造のためのものである。従って、ヒドロキシ基がピリジン:フッ化水素複合体(オラーの試薬)によりフッ素と置き換えることができる。次いで、このフッ素化中間体をスズキカップリング反応に付して、フッ素化炭化水素基Aをもつ式(I)の化合物を得る。式(I)で示されるフッ素化化合物は、別法として、ヒドロキシ中間体(XXXIX)またはその保護体をスズキ反応条件下にピラゾールボロン酸またはボロネートと先ずカップリング結合させ、次いで得られる式(I)の化合物のヒドロキシ基をピリジン:フッ化水素複合体によりフッ素と置き換えることにより製造することができる。
式(I)において部分:
Figure 0005345842
が、基:
Figure 0005345842
[式中、A”は基Aの炭化水素残基である]
である化合物は、スキーム5に示す反応順序によって製造し得る。
Figure 0005345842
スキーム5に示すように、アルデヒド(XXIV)は標準的なグリニャール条件下でグリニャール試薬RMgBrと反応させて二級アルコール(XLI)とする。次いで、二級アルコールは式(XLII)においてR'およびR'が基RおよびRを表すか、またはアミノ保護基を表し、A”が基Aの残基であり、X'がヒドロキシ基または脱離基である化合物と反応させ得る。
アミン保護基は、例えば、フタロイル基であり得、その場合NR'Rはフタルイミノ基である。
X'がヒドロキシ基であるとき、化合物(XLI)と(XLII)との反応は、トルエンスルホン酸触媒縮合反応の形態を取り得る。別法として、X'がハロゲンなどの脱離基であるとき、アルコール(XLI)は先ず水素化ナトリウムなどの強塩基で処理してアルコラートを形成させ、次いでこれを化合物(XLII)と反応させる。
得られる式(XLIII)の化合物は、次いで、上記のタイプの典型的なスズキカップリング条件下に、ピラゾールボロネート試薬(XV)とのスズキカップリング反応に付し、式(XLIV)で示される化合物とする。次いで、保護されたアミン基NR'R'から保護基を除去し、式(I)で示される化合物とする。
式(I)において部分:
Figure 0005345842
が、基:
Figure 0005345842
[式中、A”は基Aの炭化水素残基である]
である化合物は、スキーム6に示す反応順序によって製造し得る。
Figure 0005345842
スキーム6における出発物質は、文献記載の方法またはそれと類似の方法(例えば、J. Med. Chem., 2004, 47, 3924-3926に記載の方法)により調製し得るクロロアシル化合物(XLV)である。化合物(XLV)は水/テトラヒドロフランなどの極性溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムなどのヒドリド還元剤により還元することにより、二級アルコール(XLVI)に変換する。
次いで、二級アルコール(XLVI)は、ミツノブアルキル化反応の条件下、例えば、上記のようにアゾジカルボン酸ジエチルおよびトリフェニルホスフィンの存在下に、式R−OHのフェノール性化合物と反応させて、アリールエーテル化合物(XLVII)を得る。
アリールエーテル化合物(XLVII)中の塩素原子は、次いで、アミンHNRとの反応により置換し、式(XLVIII)の化合物とする。該求核置換反応は該アミンとアリールエーテルとを、アルコールなどの極性溶媒中、上昇温度、例えば、100℃で加熱することにより実施し得る。加熱はマイクロ波ヒーターにより有利に達成し得る。得られるアミン(XLVIII)は次いで上記の式(XV)のボロネートによるスズキカップリング手法に付し、化合物(XLIX)を得る。
スキーム6に示した反応順序の変法においては、二級アルコール(XLVI)をアミンHNRとの求核置換反応に付し、次いで、ミツノブのエーテル形成反応により基Rを導入することができる。
式(I)においてEおよびRが基Aの同じ炭素原子に結合する化合物への別のルートをスキーム7に図示する。
Figure 0005345842
スキーム7においては、N−保護ピラゾリルボロン酸(L)をスズキカップリング条件下にシアノ化合物X−E−CN(式中、Xは典型的には臭素または塩素などのハロゲンである)と反応させる。ピラゾール環の1位の保護基PGは、例えば、トリフェニルメチル(トリチル)基でもよい。ボロン酸(L)はEP1382603に記載された方法またはその類似の方法によって製造し得る。
得られるニトリル(LI)は次いでグリニャール試薬R−MgBrと反応させてRを導入し、ケトン(LII)を形成し得る。ケトン(LII)はアルキルリチウム、特にブチルリチウムなどの強塩基の存在下に、ジフェニルホスフィノイルメチルアミン(LIII)との反応によりエナミン(LIV)に変換する。
エナミン(LIV)は次いでパラジウム/炭素触媒による水素化に付してエナミンの二重結合を還元し、1−フェネチル基を除去する。保護基PGがトリチル基であるとき、水素化はトリチルをも除去し、式(LV)の化合物を生じる。
別法として、エナミン(LIV)は文献(Tetrahedron: Asymmetry 14(2003)1309-1316)記載の条件下、ヒドリド還元剤により還元し、キラル分離に付すことができる。保護基2−フェネチルおよび保護基PGの除去は、式(LV)で示される化合物の光学活性体を与える。
式(X)で示され、AおよびRが結合して酸素原子を含む環を形成する中間体は、スキーム8に図示した一般法により製造することができる。
Figure 0005345842
スキーム8においては、ケトン(LVI)をヨウ化トリメチルスルホニウムと反応させて、エポキシド(LVII)を形成する。反応は典型的にジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中、水素化ナトリウムなどのヒドリド塩基の存在下に実施する。
エポキシド(LVII)をアルコール(例:イソプロパノール)などの極性溶媒中、トリエチルアミンなどの非干渉性塩基の存在下、通常、緩和な加熱、例えば、約50℃までの加熱下に、エタノールアミンでの開環反応に付す。次いで、得られる二級アルコールをエタノール性ジクロロメタンなどの溶媒中、濃硫酸で処理することにより環化し、モルホリン環を形成する。
次いで、モルホリン中間体(LIX)をスズキカップリング条件下にボロネート(XV)と反応させて、式(LX)で示される化合物とする;このものは式(I)においてA−NRがモルホリン基を形成する化合物に相当する。
エポキシド(LVII)とエタノールアミンとの反応の代わりに、モノ−またはジ−アルキルアミンと反応させることが可能であり、それによって部分:
Figure 0005345842
を含む化合物へのルートを提供する。
およびRが共に水素である化合物は、DMSOなどの極性溶媒中、エポキシド(LVII)とカリウムフタルイミドとを反応させることにより製造することができる。スズキカップリング工程に際して、フタルイミド基は部分的加水分解を受け、対応するフタラミン酸を生じる;これをヒドラジンで切断してアミノ基NHとする。別法として、該フタラミン酸は標準的アミド形成試薬を用い再環化してフタルイミドとし、次いでフタロイル基をヒドラジンにより除去してアミンとすることができる。
式(I)においてAおよびNRが組合わさって環基を形成する化合物へのさらなる合成ルートをスキーム9に図示する。
Figure 0005345842
スキーム9において、出発物質(LXI)は典型的にはジ−アリール/ヘテロアリールメタンであり、そこでのアリール/ヘテロアリールの一方または双方が、EおよびR間のメチレン基上に形成されるアニオンの形成を安定化または容易にし得る。例えば、Rとして有利なのはピリジン基であり得る。出発物質(LXI)はナトリウムヘキサメチルジシラジドなどの非干渉性強塩基の存在下、テトラヒドロフランなどの極性溶媒中、N−保護ビス−2−クロロエチルアミン(LXII)と低温(例えば、0℃付近)で反応させて、N−保護環状中間体(LXIII)を得る。保護基はBoc基などの標準的アミノ保護基であればよい。環化反応に続いて、中間体(LXIII)をスズキカップリング条件下で式(XV)のボロネートとカップル反応させ、次いで、脱保護して式(I)の化合物とする。
式(I)において部分:
Figure 0005345842
が、基:
Figure 0005345842
[式中、“Alk”はメチルまたはエチルなどの小型のアルキル基である]
である化合物は、スキーム10に示す合成ルートによって形成し得る。
Figure 0005345842
スキーム10においては、式(LXIV)で示されるカルボン酸を塩酸などの酸触媒の存在下に、メタノールで処理してエステル化する。次いで、エステル(LXV)をリチウムジイソプロピルアミド(LDA)などの強塩基およびヨウ化メチルなどのヨウ化アルキルと低温(例えば、0℃ないし−78℃)で反応させる。分枝型エステル(LXVI)は次いで加水分解して酸(LXVII)とし、上記のタイプの標準的アミド形成条件下で、アミンHNRとカップル結合させる。次いで、このアミド(LXVIII)を水素化アルミニウムリチウムによりアミン(LXIX)に還元し、このアミン(LXIX)を次いでスズキカップリング条件下でピラゾールボロネートまたはボロン酸と反応させ、式(I)で示される化合物とする。
形成した式(I)で示される多くの化合物は、標準的官能基相互変換により、式(I)で示される他の化合物へ変換することができる。例えば、式(I)においてNRがニトリル基の一部を形成する化合物は、対応するアミンに還元することができる。NRがNH基である化合物は、還元的アルキル化反応により対応するアルキルアミンに、または環基に変換することができる。Rが塩素または臭素などのハロゲン原子を含む化合物は、スズキカップリング反応により、アリールまたはヘテロアリール置換基をR基に導入するために使用し得る。式(I)で示される1化合物を式(I)で示される別の化合物へ相互変換するさらなる例は、下記実施例中に見出し得る。官能基相互変換およびかかる変換を実施するための試薬と条件のさらなる例は、例えば、文献[Advanced Organic Chemistry, by Jerry March, 4th edition, 119, Wiley Interscience, New York, Fiesers' Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-17, John Wiley, edited by Mary Fieser(ISBN: 0-471-58283-2), and Organic Syntheses, Volumes 1-8, John Wiley, edited by Jeremiah P. Freeman(ISBN: 0-471-31192-8)]に見出し得る。
上記反応の多くにおいて必要なことは、当該分子の不所望の位置で起こり得る反応を防止するために、1つ以上の基を保護することである。官能基の保護基、保護方法、および脱保護方法の例は、文献(Protective Groups in Organic Synthesis(T. Green and P. Wuts; 3rd Edition; John Wiley and Sons, 1999))に見出し得る。
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として保護し得る;例えば、t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH、−OAc)などである。アルデヒドまたはケトン基は、それぞれ、例えば、アセタール(R−CH(OR))またはケタール(RC(OR))として保護し得る;この場合、カルボニル基(>C=O)は、たとえば、一級アルコールとの反応でジエーテル(>C(OR))に変換される。該アルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下に大過剰の水により加水分解して容易に再生される。アミン基は、たとえば、アミド(−NRCO−R)またはウレタン(−NRCO−OR)として保護し得る;例えば、メチルアミド(−NHCO−CH);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz);t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH3)3、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH)、−NH−Bpoc、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)、または2−(フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)などである。環状アミンおよびヘテロ環状N−H基などのアミンのためのその他の保護基は、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基、およびパラ−メトキシベンジル(PMB)基などのベンジル基である。カルボン酸基はエステルとして保護し得る;例えば、C1−7アルキルエステル(例:メチルエステル;t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例:C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例:ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えば、メチルアミドとして保護し得る。チオール基は、例えば、チオエーテル(−SR)、例えば、ベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)として保護し得る。
式(I)で示される化合物またはその前駆体におけるピラゾール基の1(H)位置は、様々な基により保護することができる;該保護基はその基が接触する反応条件の性質に従って選択する。ピラゾールN−Hの保護基の例は、テトラヒドロピラニル、ベンジルおよび4−メトキシベンジル基である。
本発明にて使用する補助化合物
広範囲の補助化合物のいずれもが本発明の組み合わせにて使用し得る。具体例を以下の欄1〜18に詳細に説明する。
好ましくは、補助化合物は以下に示す群AないしEから選択する:
A群
本発明の一側面において、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用する補助化合物は、以下の分類から独立して選択される:
1.シグナル伝達阻害剤;
2.補助的PKB阻害剤:
3.CDK阻害剤;
4.COX−2阻害剤;
5.HDAC阻害剤:
6.DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;
7.プロテオソーム阻害剤;
8.2種以上の前記分類の組み合わせ。
本明細書にて特定の補助化合物に言及している場合(例えば、シグナル伝達阻害剤、補助PKB阻害剤、CDK阻害剤、COX−2阻害剤、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤またはプロテオソーム阻害剤に言及している場合)、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも含むものとする。
B群:細胞毒性化合物
本発明の別の側面において、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と共に使用する補助化合物は、細胞毒性化合物である。細胞毒性は当業者周知の広範な技法のいずれかによりアッセイまたは定量し得る。
好ましくは、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用する細胞毒性化合物は以下の分類から選択される。
1.カンプトテシン化合物;
2.代謝拮抗物質;
3.ビンカアルカロイド;
4.タキサン類;
5.白金化合物;
6.DNA結合剤およびトポII阻害剤(アンスラサイクリン誘導体を含む);
7.アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
8.2種以上の前記分類の組み合わせ。
エポチロンは本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用する適切な細胞毒性剤の別の分類を構成する。従って、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用する細胞毒性化合物は以下の分類から選択される:
1.カンプトテシン化合物;
2.代謝拮抗物質;
3.ビンカアルカロイド;
4.タキサン類;
5.エポチロン;
6.白金化合物;
7.DNA結合剤およびトポII阻害剤(アンスラサイクリン誘導体を含む);
8.アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
9.2種以上の前記分類の組み合わせ。
本明細書にて特定の細胞毒性化合物に言及している場合(例えば、カンプトテシン化合物、代謝拮抗物質、ビンカアルカロイド、タキサン類、白金化合物、DNA結合剤、トポII阻害剤(アンスラサイクリン誘導体を含む)ならびにアルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む)に言及している場合)、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも含むものとする。
C群:モノクローナル抗体
本発明の別の側面において、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と共に使用する補助化合物は、モノクローナル抗体である。いずれのモノクローナル抗体(例えば、1種以上の細胞表面抗原に対する抗体)も本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用し得る。抗体の特異性は、当業者周知の広範な技法のいずれかによりアッセイまたは定量し得る。
D群
本発明の別の側面において、本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用する補助化合物は、以下の分類から選択される:
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAを含む);
2.サイトカインおよびサイトカイン活性化剤;
3.レチノイド類;
4.2種以上の前記分類の組み合わせ。
本明細書にて特定の補助化合物に言及している場合(例えば、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニスト、ホルモン調節剤、サイトカイン、サイトカイン活性化剤およびレチノイド類に言及している場合)、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも含むものとする。
E群:多様な組み合わせ
本発明の別の側面においては、2種以上の補助化合物が本発明のプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害または調節活性を有する化合物と組み合わせて使用され、かかる態様において、2種以上の補助化合物は以下の分類から独立して選択される:
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤およびGNRAを含む);
2.サイトカインおよびサイトカイン活性化剤;
3.レチノイド類;
4.2種以上の前記分類(1)ないし(3)の組み合わせ;
5.モノクローナル抗体;
6.カンプトテシン化合物;
7.代謝拮抗物質;
8.ビンカアルカロイド;
9.タキサン類;
10.エポチオン;
11.白金化合物;
12.DNA結合剤およびトポII阻害剤(アンスラサイクリン誘導体を含む);
13.アルキル化剤(アジリジン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアアルキル化剤を含む);
14.2種以上の前記分類(6)〜(12)の組み合わせ。
15.シグナル伝達阻害剤;
16.補助PKB阻害剤;
17.CDK阻害剤;
18.COX−2阻害剤;
19.HDAC阻害剤;
20.DNAメチラーゼ阻害剤;
21.プロテオソーム阻害剤;
22.2種以上の前記分類(14)〜(20)の組み合わせ;
23.2種以上の前記分類(1)〜(21)の組み合わせ。
本明細書にて特定の補助化合物に言及している場合、そのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも含むものとする。
1.ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤
定義:
本明細書にて使用する場合、用語“抗アンドロゲン”、“抗エストロゲン”、“抗アンドロゲン剤”および“抗エストロゲン剤とは、上記のイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも含む本明細書記載のもの、およびその類似体をいう。
生物活性:
本明細書に記載の1種以上の薬理作用を介して作用するホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤(抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤を含む)は、適切な抗癌剤として確認されている。
技術背景:
ホルモン療法は、乳房および前立腺などのホルモン増殖制御に感受性である組織において腫瘍が形成される場合の、ある種の癌の処置に重要な役割を演じる。従って、例えば、エストロゲンはある種の乳癌の成長を促進し、テストステロンは一部の前立腺癌の成長を促進する。かかる腫瘍の成長は特異的なホルモンに依存するので、体内でのある種のホルモンレベルの増減により腫瘍の成長に影響を与えることが可能であるかどうかを検討するために、多数の研究が行われている。ホルモン療法は、ホルモンの活性を操作することにより、これらホルモン感受性組織における腫瘍成長を制御する試行である。
乳癌については、腫瘍の成長がエストロゲンによって促進されるため、抗エストロゲン剤がこのタイプの癌に提案され、広く使用されている。最も広く使用されているかかる薬剤の一つはタモキシフェンであるが、このものはエストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオールに対する競合的阻害剤である。タモキシフェンは、ERに結合して、受容体の三次元形状に変化を誘発し、DNA上のエストロゲン応答要素への結合を阻害する。正常な生理条件では、エストロゲンの刺激が腫瘍細胞増殖の自己分泌阻害剤である形質転換増殖細胞b(TGF−b)の腫瘍細胞産生を増大させる。タモキシフェン処置の正味の作用は、これらの経路を遮断することにより、乳癌成長の自己分泌促進を低下させることである。さらに、タモキシフェンは周辺組織によるインスリン様増殖因子(IGF−1)の局所産生を低下させる:IGF−1は乳癌細胞にとってのパラ分泌増殖因子である(Jordan and Murphy, Endocr. Rev., 1990, 1 1; 578-610)。タモキシフェンは転移した乳癌を有するか、または該疾患の再発の危険が高い閉経後の女性のために選択される内分泌処置剤である。タモキシフェンはER陽性腫瘍の閉経前女性においても使用される。長期のタモキシフェン処置には様々な潜在的副作用がある;例えば、子宮内膜癌の可能性および血栓塞栓事象の発生などである。
他のエストロゲン受容体アンタゴニストまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、フルベストラント、トレミフェンおよびラロキシフェンである。フルベストラントは化学名が7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]エストラ−1,3,5−(10)−トリエン−3,17−ベータ−ジオールであり、進行した乳癌の第2線の処置として使用されるが、ホット・フラッシュおよび子宮内膜刺激などの副作用を伴う。トレミフェンは非ステロイド系SERMであり、その化学名は2−(4−[(Z)−4−クロロ−1,2―ジフェニル−1−ブテニル]フェノキシ)−N,N−ジメチルエチルアミンであって、転移性乳癌の処置に使用されるが、その副作用はホット・フラッシュ、吐き気および目眩である。ラロキシフェンはベンゾチオフェンSERMで、化学名が塩酸[6−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チエン−3−イル]−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]メタノンであり、乳癌の処置が検討されているが、ホット・フラッシュと脚痙攣の副作用がある。
前立腺癌については、かかる癌細胞が高レベルのアンドロゲン受容体を発現し、従って、抗アンドロゲン剤がこの疾患の処置に使用されている。抗アンドロゲン剤はアンドロゲン受容体アンタゴニストであり、アンドロゲン受容体に結合してジヒドロテストステロンの結合を妨害する。ジヒドロテストステロンは癌性前立腺細胞を含む前立腺細胞の新たな増殖を促進する。抗アンドロゲン剤の一例はビカルタミドである;このものは化学名を(R,S)−N−(4−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)プロパンアミドといい、進行した前立腺癌の処置に、黄体ホルモン遊離ホルモン(LHRH)類似体との組み合わせで使用することが承認されているが、ホット・フラッシュ、骨疼痛、血尿および胃腸症候などの副作用を有する。
さらなるタイプのホルモンによる癌処置は、プロゲスチン類似体を使用することからなる。プロゲスチンはプロゲステロンの合成体である。プロゲステロンは卵巣および子宮の内膜層が分泌するホルモンである。エストロゲンでの作用で、プロゲステロンが月経周期に際して、乳房の発達と内膜細胞の増殖を促進する。プロゲスチンは副腎からのエストロゲンの産生を抑制し(特に閉経後の女性における今までのものに替わる供給源)、エストロゲン受容体レベルを低下させ、または腫瘍ホルモンの代謝を変更することにより作用すると信じられる。
プロゲスチン類似体は一般に進行した子宮癌の管理に使用される。それらは進行した乳癌の処置に使用することができる;しかし、この使用はあまり一般的ではない;多くの抗エストロゲン処置が所望により利用可能だからである。プロゲスチン類似体は前立腺癌のホルモン療法としてしばしば使用される。プロゲスチン類似体の一例は酢酸メゲストロール(別名:酢酸メゲストレル)である;化学名は17α−アセチルオキシ−6−メチルプレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンであり、下垂体ゴナドトロフィン産生の推定阻害剤であり、その結果、エストロゲン分泌が低下する。該薬物は乳房または子宮内膜の進行した癌腫の一時的な処置(すなわち、再発、手術不可、または転移性疾患)に使用され、その副作用は浮腫と血栓塞栓性エピソードである。
優先性および具体的態様:
本発明に従って使用するために特に好適な抗エストロゲン剤はタモキシフェンである。タモキシフェンは市販品、商品名ノルバデックスとして、アストラゼネカ株式公開会社から入手し得るか、または例えば、英国特許明細書UK1064629および1354939に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。
他の好適な抗エストロゲン剤は、フルベストラント、ラロキシフェンおよびトレミフェンである。さらに別の好適な抗エストロゲン剤はドロロキシフェンである。フルベストラントは市販品、商品名フェスロデックスとして、アストラゼネカ株式公開会社から入手し得るか、または例えば、欧州特許明細書EP138504に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。ラロキシフェンは市販品、商品名エビスタとして、イーライ・リリー株式会社から入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4418068に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。トレミフェンは市販品、商品名ファレストンとして、シェーリング・コーポレーションから入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4696949に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。抗エストロゲン剤ドロロキシフェンは、例えば、米国特許明細書US5047431に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得るものであり、本発明に従い使用することができる。
本発明に従い使用する好適な抗アンドロゲンはビカルタミド(bicalutamide)である;これは市販品、例えば、商品名カソデックスとして、アストラゼネカ株式公開会社から入手し得るか、または例えば、欧州特許明細書EP100172に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。本発明に従い使用する好適な他の抗アンドロゲン剤は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、トレミフェン、ドロロキシフェン、レトラゾール、アナストラゾール、エクセメスタン、ビカルタミド、ルプロリド、メゲストロール/酢酸メゲストレル、アミノグルテチミドおよびベキサロテンである。
好適なプロゲスチン類似体はメゲストロール/酢酸メゲストレルであり、市販品、例えば、商品名メゲースとして、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US2891079に記載されたように、もしくはその類似の方法により製造し得る。
従って、本発明の組み合わせにて使用するこれら抗癌剤の具体的態様は以下のものである:タモキシフェン;トレミフェン;ラロキシフェン;メドロキシプロゲステロン;メゲストロール/メゲストレル;アミノグルテチミド;レトロゾール;アナストロゾール;エキセメスタン;ゴセレリン;ロイプロリド;アバレリックス;フルオキシメストロン;ジエチルスチルベストロール;ケトコナゾール;フルベストラント;フルタミド;ビカルチミド;ニルタミド;サイプロテロンおよびブセレリン。
従って、本発明の組み合わせに使用することを期待されるのは、抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤である。
他の態様において、ホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストまたはホルモン調節剤は、フルベストラント、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、トレミフェン、メゲストロール/メゲストレルおよびベキサロテンである。
薬用量:
抗アンドロゲン剤または抗エストロゲン剤は、特定の薬剤および処置すべき症状に左右されるが、有利には、約1ないし100mgの日用量で投与される。タモキシフェンは、有利には、5ないし50mg、好ましくは10ないし20mgの用量を1日2回(または1日1回20mg)経口投与し、治療効果を達成し、維持するために十分な時間治療を続ける。
その他の好適な抗エストロゲン剤について:フルベストラントは有利には月に250mgを注射の形態で投与する(250〜750mg/月の用量も採用し得るが);トレミフェンは有利には、1日1回約60mgの用量で経口投与し、治療効果を達成し、維持するために十分な時間治療を続ける。ドロロキシフェンは有利には、1日1回約20〜100mgの用量で経口投与する;また、ラロキシフェンは有利には、1日1回約60mgの用量で経口投与する。
好適な抗アンドロゲンビカルタミドに関して、このものは一般に1日50mgの経口用量で投与する。
好適なプロゲスチン類似体メゲストロール/酢酸メゲストレルに関して、このものは一般に1日4回40mgの経口用量で投与する。
上記の投与量は一般に、例えば、処置の過程ごとに1回、2回またはそれ以上投与可能であり、その過程は、例えば、7、14、21または28日間毎日反復し得る。
アロマターゼ阻害剤
本発明の組み合わせに使用するホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤について、好適なものはアロマターゼ阻害剤である。
閉経後の女性においては、循環するエストロゲンの主たる起源が、末梢組織におけるアロマターゼ酵素による副腎および卵巣のアンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)からエストロゲン(エストロンおよびエストラジオール)への変換からのものである。アロマターゼの阻害または不活性化によるエストロゲン欠乏化は、ホルモン依存性乳癌の一部の閉経後患者にとっての有効な選択的処置である。かかるホルモン調節剤の例はアロマターゼ阻害剤または不活化剤、例えば、エクゼメスタン、アナストロゾール、レトロゾールおよびアミノグルテチミドである。
エクゼメスタンは化学名、6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンを有し、閉経後女性の進行した乳癌の処置に、タモキシフェン治療後にその疾患が進行した女性に使用するが、副作用としてのぼせおよび悪心がある。アナストロゾールは化学名、α,α,α',α'−テトラメチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ベンゼンジアセトニトリルを有し、ホルモン受容体陽性の初期乳癌をもつ閉経後女性の補助的処置に、またホルモン受容体陽性もしくはホルモン受容体未知の局所進行もしくは転移乳癌をもつ閉経後女性の第一線処置に、またタモキシフェン治療後に疾患が進行性である閉経後女性の進行した乳癌の処置に使用される。アナストロゾールの投与は、通常、胃腸障害、紅潮および頭痛などの副作用を生じる。レトロゾールは化学名、4,4'−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチレン)−ジベンゾニトリルを有し、ホルモン受容体陽性もしくはホルモン受容体未知の局所進行もしくは転移乳癌をもつ閉経後女性の第一線処置に、また抗エストロゲン療法後に疾患が進行性である閉経後女性の進行した乳癌の処置に使用される。可能性のある副作用は、しばしば起こる一過性の血小板減少症および肝臓トランスアミナーゼの上昇である。アミノグルテチミドは化学名、3−(4−アミノフェニル)−3−エチル−2,6−ピペリジンジオンを有し、乳癌の処置にも使用されるが、副作用として皮膚の紅潮およびあまり一般的ではないが血小板減少症と白血球減少症を生じる。
好適なアロマターゼ阻害剤は、レトロゾール、アナストロゾール、エクゼメスタンおよびアミノグルテチミドである。レトロゾールは、例えば、ノバルティス(株)から商品名フェマラとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4978672に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。アナストロゾールは、例えば、アストラゼネカ株式公開会社から商品名アリミデックスとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4935437に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。エクゼメスタンは、例えば、ファルマシア・コーポレーションから商品名アロマシンとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4978672に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。アミノグルテチミドは、例えば、ノバルティス(株)から商品名シタドレンとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US2848455に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。アロマターゼ阻害剤、ボロゾールは例えば欧州特許明細書EP293978に記載のように、またはその類似の方法により製造可能であり、本発明に従っても使用し得る。
好適なアロマターゼ阻害剤に関して、これらは一般に、1ないし1000mgの範囲の経口日用量で投与する;例えば、レトロゾールは1日1回約2.5mgの用量;アナストロゾールは1日1回約1mgの用量;エクゼメスタンは1日1回約25mgの用量;およびアミノグルテチミドは1日2〜4回250mgの用量である。
取分け好適なアロマターゼ阻害剤は本明細書に記載した薬剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、エクゼメスタンおよびアミノグルテチミドから選択される。
GNRA類
本発明の組み合わせに使用するホルモン、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニストおよびホルモン調節剤について、好適な薬剤はGNRA分類の薬剤である。
定義:
本明細書にて使用する場合、GNRAという用語は性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストおよびアンタゴニスト(下記のものを包含)および上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)と定義するものとする。
技術背景:
脳の視床下部から放出された場合、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストは脳下垂体を刺激して性腺刺激ホルモンを産生する。性腺刺激ホルモンは睾丸においてはアンドロゲン合成を刺激し、卵巣においてはエストロゲン合成を刺激する。GnRHアゴニストを最初に投与したとき、それらは性腺刺激ホルモン放出を増大させるが、連続して投与すると、GnRHが性腺刺激ホルモン放出をブロックして、その結果アンドロゲンとエストロゲンの合成を低下させる。GnRH類似体は転移性前立腺癌の処置に使用される。それらは閉経前女性の転移性乳癌の処置に認可されている。GnRH類似体の例は酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリドである。対照的に、アベレリックスなどのGnRHアンタゴニストはアゴニスト作用を有しないので、初期のGnRHの急上昇を起こさない。しかし、その治療指数が狭いため、それらの使用は、現在、GnRHアゴニストおよび抗アンドロゲンなどの他のホルモンでの処置に抵抗する進行性の前立腺癌に限られている。
酢酸ゴセレリンはLHRHまたはGnRHの合成デカペプチド類似体であり、ピロ-Glu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ser(Bu)-Leu-Arg-Pro-Azgly-NH2の化学構造を有し、乳癌および前立腺癌、また子宮内膜症の処置に使用される;その副作用はのぼせ、気管支炎、不整脈、高血圧、不安および頭痛である。酢酸ロイプロリドはGnRHまたはLHRHの合成ノナペプチド類似体であり、酢酸5−オキソ−L−プロリル−L−ヒスチジル−L−トリプトフィル−L−セリル−L−チロシル−D−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニル−N−エチル−L−プロリンアミドの化学名を有する。酢酸ロイプロリドは前立腺癌、子宮内膜炎、および乳癌の処置にも使用され、副作用は酢酸ゴセレリンと同様である。
アバレリックスは合成デカペプチドAla-Phe-Ala-Ser-Tyr-Asn-Leu-Lys-Pro-Alaであり、その化学名はN−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−アラニル−L−セリル−N−メチル−L−チロシル−D−アスパラギニル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リジル−L−プロリル−D−アラニンアミドである。アバレリックスは文献(R. W. Roeske, WO9640757(1996年インディアナ大学財団))に従い製造し得る。
優先性および具体的態様:
本発明に従い使用する好適なGnRHアゴニストおよびアンタゴニストは、本明細書に記載のGNRA類のいずれをも含み、例えば、取分け、ゴセレリン、ロイプロリド/ロイプロリン、トリプトレリン、ブセレリン、アバレリックス、酢酸ゴセレリンおよび酢酸ロイプロリドである。特に好適なのは、ゴセレリンおよびロイプロリドである。酢酸ゴセレリンは、例えば、アストラゼネカ株式公開会社から商品名ゾラデックスとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US5510460に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。酢酸ロイプロリドは、例えば、TPAファーマシューティカル・インクから商品名ルプロンとして市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US3914412に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。ゴセレリンはアストラゼネカから商品名ゾラデックスとして市販入手し得るか、または例えば、ICI特許公開US4100274またはヘキスト特許公開EP475184に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。ロイプロリドは米国ではTPAファーマシューティカル・インクから商品名ルプロンとして、また欧州ではワイスから商品名プロスタップとして市販入手可能であり、または例えば、アボットの特許公開US4005063に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。トリプトレリンはワツソン・ファーマから商品名トレルスターとして市販入手可能であり、またツーラン(Tulane)特許公開US5003011に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。ブセレリンは商品名スープリファクト(Suprefact)として市販入手可能であり、または例えば、ヘキストの特許公開US4024248に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。アバレリックスはプレーシス(Praecis)ファーマシューティカルスから商品名プレナキシスとして市販入手可能であり、または例えば、文献(Jiang et al., J Med Chem(2001), 44(3), 453-467)、またはポリペプチド・ラボラトリーズの特許公開WO2003055900に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。
本発明に従い使用する他のGnRHアゴニストおよびアンタゴニストは、限定されるものではないが、オルト・ファーマシューティカルス・コープからのヒストレリン、ロシュからの酢酸ナファレリン、およびシャイアー(Shire)ファーマシューティカルスからのデスロレリンである。
薬用量:
GnRHアゴニストおよびアンタゴニストは、有利には、1.8mgないし100mgの用量で、例えば、ゴセレリンについては月に3.6mgまたは3ヶ月ごとに10.8mgを、またはロイプロリドについては月に7.5mg、3ヶ月ごとに22.5mgまたは4ヶ月ごとに30mgを投与する。
好適なGnRH類似体に関しては、これらは一般に以下の用量で投与される;すなわち、酢酸ゴセレリンは4週ごとに3.6mg皮下移植、またロイプロリドは毎月7.5mgの筋肉内デポ剤として投与する。
2.サイトカインおよびサイトカイン活性化剤
定義:
“サイトカイン”という用語は技術用語であり、本明細書にてサイトカインに言及した場合、それはサイトカインそれ自体、および上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を包含するものとする。“サイトカイン活性化剤”という用語は、インビボにおいて内因性のサイトカイン産生を(直接的または間接的に)誘発、増強、刺激、活性化または促進する薬剤、および上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)を包含するものとする。
技術背景:
サイトカインは免疫系の細胞が優先的に産生する一群のタンパク質またはポリペプチドであり、第二の細胞の機能を制御する能力を有する。抗癌療法に関連するサイトカインは増殖を制御するか、または直接に癌細胞を殺すために、また腫瘍の成長を制御するためにより効率的に免疫系を調節するために使用する。
サイトカイン、例えば、インターフェロン(IFN)アルファおよびIL−6などは、腫瘍細胞と直接相互作用し、増殖抑止またはアポトーシス細胞死を誘発することが示されている。IFN−アルファは悪性メラノーマ、慢性骨髄性白血病(CML)、毛状細胞性白血病、およびカポジ肉腫の処置に使用される。
サイトカインはまた免疫細胞を刺激し、様々な異なる経路をとおして腫瘍に抵抗し、抗腫瘍作用を示す。例えば、T細胞増殖因子、IL−2は、T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞増殖を促進する。インターフェロンおよび顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)などの他のサイトカインは、抗原提示細胞に作用して、重要な免疫エフェクターB細胞とT細胞の活性化を容易にする。
IL−2は転移性メラノーマおよび腎細胞癌腫の両方において、単独で、またはIFN−アルファとの組み合わせで使用する。取分け、後期の腎癌において、IL−2は最善の処置である。
優先性および具体的態様:
本明細書に記載したサイトカインおよびサイトカイン−調節剤のいずれもが、取分けインターフェロン(インターフェロン−γおよびインターフェロンαなど)およびインターロイキン(例;インターロイキン2)を含め、本発明の対象であることが分かる。インターフェロンα−2b(組換え)はイントロン(登録商標)Aの商品名でシェリングプラウから入手し得る。
他の好適なインターフェロンはインターフェロンα−2aであり、ロフェロンの商品名でロシュから入手し得る。
取分け好適なインターロイキンはプロロイキン(登録商標)IL−2(アルデスロイキン)であり、カイロン・コープから入手し得る。
薬用量:
インターフェロンは特定の適応症に依存するスケジュールで、注射により投与する。悪性メラノーマのイントロンA処置のためには、好ましくは、1週間5連続日の誘発処置を4週間、2000万IU/m2の用量で静脈内(IV)注入し、次いで、維持処置を週3回を48週間、1000万IU/m2の用量で皮下(SC)注射することからなるスケジュールで実施する。非ホジキンリンパ腫のイントロンA処置のためには、好ましくは、週3回500万IUの皮下投与を18ヶ月まで、アンスラサイクリンを含む化学療法計画と組み合わせるスケジュールで行う。
ロフェロン−Aの推奨される初期投与量は、1日9MIUを皮下または筋肉内注射として投与する。臨床経験に基づくと、処置期間持続のために、短期耐容性はロフェロン−Aの投与量を最初の週は3日間1日3MIU投与とし、次の3日間を1日6MIUとし、目標の1日9MIUまで徐々に増量することにより改善し得る。毛状細胞性白血病に対するレフェロン−Aの誘導用量は、16ないし24週間1日3MIUとし、皮下または筋肉内注射として投与する。限定されるものではないが、血小板減少症の患者(血小板数<50,000)に対して、または出血の恐れのある患者に対しては、皮下投与が特に提唱される。推奨される維持量は週3回(tiw)3MIUである。
プロロイキンについては、以下のスケジュールを用いて、転移性腎細胞癌腫(転移性RCC)または転移性メラノーマの成人患者を処置している(各投与コースは、休止期間を置いて2回の5日間処置サイクルからなる):600,000IU/kg(0.037mg/kg)量を8時間ごとに15分間のIV注入により、最大14用量投与する。9日間の休止の後、さらに14用量のスケジュールを繰り返すが、耐容性であれば、1コース最大28用量とする。
サイトカイン活性化剤:
好適なサイトカイン活性化剤は以下のものである:(a)ピシバニル(中外製薬)、癌腫処置用のIFN−ガンマ誘発分子;(b)ロムルチド(第一)、コロニー刺激因子放出の刺激により、サイトカインネットワークを活性化する;(c)シゾフィラン(科研化学)、スエヒロタケ(きのこ)から単離されたベータ1−3、ベータ1−6 D−グルカンであり、分裂促進因子刺激末梢血単核細胞によるIFN−ガンマとIL−2の産生を刺激し、子宮頚部腫瘍と肺腫瘍の処置に有用である;(d)ビルリジン(ローラス(Lorus)セラピューティック・インク)、NKアゴニストおよびサイトカイン放出モジュレーター、IL−17合成およびIL−12放出を刺激し、肉腫、メラノーマ、膵臓腫瘍、乳房腫瘍、肺腫瘍、およびカポジ肉腫第III期膵臓性の処置に;および(e)チモシン・アルファ1、多様な生物活性をもつ合成28個アミノ酸ペプチド、主としてTh1サイトカインの産生増大のために免疫応答上昇を目的とし、非小細胞肺癌、肝細胞癌腫、メラノーマ、癌腫、および肺脳腎腫瘍の処置に有用。
3.レチノイド類
定義:
“レチノイド”という用語は本明細書にて使用する技術用語であり、広い意味で、本明細書に開示した具体的レチノイドのみならず、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
トレチノインはレチノールの内在性代謝物である。このものは数種の造血性前駆体細胞株、例えば、ヒト骨髄細胞株の終末分化を誘発する。急性前骨髄性白血病(APL)は染色体15および17間の特異的転座と関係する;レチノイン酸受容体−αは染色体17に位置する。転座が生じると分化を阻害し、癌発生に導く;トレチノインは高用量で使用した場合、これを克服し得る。トレチノインはAPL患者の64〜100%に寛解を誘発し、その寛解期間は通常治療の8ないし119日である。治療に際しての後天性の耐性は取分け長期投与(4〜6ヶ月)に共通である。アリトレチノインは9−シス−レチノイン酸誘導体であり、レチノイド受容体のRXRサブファミリーに選択的であると思われる。この選択性は治療的抗新生物形成作用を保持しながら、胎児暴露による出産障害、皮膚および粘膜表面の刺激または骨格異常などのレチノイド療法の有意な副作用を低減する。局所のアリトレチノインはカポジ肉腫の処置用に米国で認可されている。ベキサロテン(ターグレチン;LGD−1069)、レチノイドX受容体(RXR)選択的抗腫瘍レチノイドの経口およびゲル(局所)製剤は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の処置に利用し得る。
US6,127,382、WO01/70668、WO00/68191、WO97/48672、WO97/19052およびWO97/19062(すべてアレルガンに)はそれぞれが、癌を誘発する種々の過剰増殖性疾患の処置に使用するレチノイド様活性を有する化合物を記載している。
優先性および具体的態様:
本発明に従って使用する好適なレチノイドは、本明細書に開示したレチノイドのいずれをも含む;取分け、トレチノイン(全トランス−レチノイン酸)、アリトレチノインおよびベキサロテンである。トレチノイン(レタクニル、アクノテン、トレチンM)はロシュから商品名ベサノイドとして市販入手でき、例えば、文献(D. A. van Dorp, J. R. Arens, Rec. Trav. Chim. 65, 338(1946); C. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111(1955); R. Marbet, DE2061507;US3746730(1971年、1973年、共にホフマン−ラ・ロシュに)記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。アリトレチノイン(9−シス−トレチノイン、パンレキシン)はリガンドファーマシューティカルスから商品名パンレチンとして市販入手でき、例えば、文献(C. D. Robeson et al., J. Am. Chem. Soc. 77, 4111(1955); M. Matsui et al., J. Vitaminol. 4, 178(1958); M. F. Boehm et al., J. Med. Chem. 37, 408(1994)に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。ベキサロテン(タルグレキシン、タルグレット)はリガンドファーマシューティカルスから商品名タルグレチンとして市販入手でき、例えば、文献(M. F. Boehm et al., WO9321146(1993年;リガンド・ファームに); M. L. Dawson et al., US5466861(1995年;SRI Int.; La Jolla Cancer Res. Found.))に記載のように、またはその類似の方法により製造し得る。
薬用量:
トレチノインは、25mg/m2/日ないし45mg/m2/日の投与量を2分割用量で、完全寛解後30日間または最大90日まで経口で有利に投与する。アリトレチノインゲル0.1%は当初、皮膚KS病巣に1日2回の塗布により有利に投与する。ベキサロテンは当初、300mg/m2/日の1日1回の経口投与で有利に投与する。投与量は200mg/m2/日から、次いで100mg/m2/日に調整可能であり、また毒性のため要すれば一時中止してもよい。処置の8週間後に腫瘍の応答がなければ、また当初の投与量300mg/m2/日に十分に耐容性であるなら、注意深くモニターしながら、投与量を400mg/m2/日まで増量してもよい。ベキサロテンは最初の1週間1日おきに1回有利に塗布する。塗布の頻度は、個々人の病巣の耐容性に従って、週ごとの間隔で1日1回、次いで1日2回、次いで1日3回、最終的には1日4回に増量できる。
4.モノクローナル抗体
いずれのモノクローナル抗体(例えば、1種以上の細胞表面抗原に対し)も本発明の組み合わせにおいて使用し得る。抗体の特異性は当業者周知の広範な技法のいずれかによてアッセイまたは決定し得る。
定義:
本明細書にて使用する場合、“モノクローナル抗体”という用語は、いずれの起源の抗体をもいい、従って、完全にヒト型であるもの、また他の種に由来する構造または要素を決定する特異性を有するものを包含する(また、例えば、キメラまたはヒト化抗体に言及することもできる)。
技術背景:
現在、モノクローナル抗体の使用は、抗癌性化学療法において広く受け容れられている;その理由は、それらが高度に特異的であり、従って、疾患特異的標的に結合し、影響を与えることが可能で、そのため正常細胞に危害を及ぼさず、また伝統的な化学療法よりも副作用が少ないからである。
種々の癌の処置のために、抗体化学療法の標的として検討されている一群の細胞は、クラスター提示(CD)分子からなる細胞表面抗原を担持する細胞であり、CD分子は腫瘍細胞で過剰発現されるか、または異常に発現される;例えば、CD20、CD22、CD33およびCD52は腫瘍細胞表面で過剰発現され、最も顕著には造血起源の腫瘍において発現される。これらのCD標的に対する抗体(抗CD抗体)は、モノクローナル抗体リツキシマブ(別名:リツキサマブ)、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガマイシンである。
リツキシマブ/リツキサマブはマウス/ヒトのキメラ抗CD20モノクローナル抗体であり、非ホジキンリンパ腫、例えば、再発不応低級または濾胞性リンパ腫などの処置に広範に使用されている。該製品は様々な他の適応症、例えば、慢性リンパ性白血病などのために開発されつつある。リツキシマブ/リツキサマブの副作用は、低酸素症、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、心室細動または心臓性ショックなどである。トシツモマブはヨウ素−131で標識した細胞特異性抗CD20抗体であり、非ホジキンリンパ腫およびリンパ性白血病の処置用である。トシツモマブの可能な副作用は、血小板減少症および好中球減少症である。ゲムツズマブ・オゾガマイシンはCD33に特異的なヒトモノクローナル抗体に結合した細胞毒性薬物(カリケアマイシン(Calicheamicin))である。カリケアマイシンは非常に強力な抗腫瘍剤であり、アドリアマイシンの1,000倍以上の効力がある。細胞内で放出されると、カリケアマイシンは配列特異的様式でDNAのマイナー溝に結合し、転移を受けて、フリーラジカルに露呈し、二本鎖DNAを切断に導き、細胞をアポトーシス(プログラムされた細胞死)に至らしめる。ゲムツズマブ・オゾガマイシンは急性骨髄性白血病の第2線処置に使用される;可能性のある副作用は、アナフィラキシーなどの深刻な過敏反応および肝毒性である。
アレツズマブ(ミレニアム・ファーマシューティカルズ;カンパスとしても知られる)はCD52に対するヒト化モノクローナル抗体であり、慢性リンパ性白血病およびTNF−アルファ、IFN−ガンマおよびIL−6の分泌を誘発する非ホジキンリンパ腫の処置に有用である。
優先性:
本発明に従って使用するモノクローナル抗体は抗CD抗体、例えば、アレツズマブ、CD20、CD22およびCD33である。取分け好ましいのは、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体であり、例えば、上記の抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33)である。
具体的態様:
一態様において、モノクローナル抗体はクラスター提示CD分子、例えば、CD20、CD22、CD33およびCD52に対する抗体である。別の態様において、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガマイシンから選択される。本発明に従って使用し得る他のモノクローナル抗体はベバシズマブである。
代表的剤形:
本発明に従って使用する細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体は、CD52抗体(例:アレムツズマブ)および本明細書に記載した他の抗CD抗体(例えば、CD20、CD22およびCD33)である。好ましいのは、細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体、例えば、抗CD抗体(例:CD20、CD22およびCD33)を含んでなる治療用組み合わせであり、この組み合わせは、例えば、組み合わせの個々の成分が示すそれぞれの作用と比較して、腫瘍細胞増殖に対して有利な有効作用を示す。
細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体(抗CD抗体)の好適な例は、リツキシマブ/リツキサマブ、トシツモマブおよびゲムツズマブ・オゾガマイシンである。リツキシマブ/リツキサマブはFホフマン−ラ・ロシュ(株)から、商品名マブテラとして市販入手し得るか、またはPCT特許明細書WO94/11026に記載のように入手し得る。トシツモマブはグラクソ・スミスクライン株式公開会社から、商品名ベクザールとして市販入手し得るか、または米国特許明細書US5595721に記載のように入手し得る。ゲムツズマブ・オゾガマイシンはワイス・リサーチから、商品名マイロターグ(Mylotarg)として市販入手し得るか、または米国特許明細書US5,877,296に記載のように入手し得る。
生物活性:
モノクローナル抗体(例えば、1種以上の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体)は、適切な抗癌剤として同定されている。抗体は様々なメカニズムを介して有効となる。それらは本質的な細胞増殖因子または受容体を遮断するか、直接アポトーシスを誘発するか、標的な細胞に結合するか、または放射性同位体および毒物などの細胞毒運搬体を送達し得る。
薬用量:
該抗CD抗体は、例えば、体表面積平方メートル当り5ないし400mg(mg/m)の投与量で投与し得る;取分け、ゲムツズマブ・オゾガマイシンは、例えば、約9mg/m(体表面積)の投与量で投与し得る;リツキシマブ/リツキサマブは、例えば、約375mg/mの投与量で、IV注入として1週間に1回、4回投与する;トシツモマブについての投与量は、年齢、体重、性別および患者の症状などの通常の臨床パラメータに従って、各患者個々人について量を決めねばならない。
これらの投与量は、例えば、処置のコース当り1回、2回またはそれ以上で投与し、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返し得る。
5.カンプトテシン化合物
定義:
本明細書にて使用する場合、カンプトテシン化合物とは、カンプトテシンそれ自体、または本明細書に記載したカンプトテシンの類似体であり、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
カンプトテシン化合物は親化合物であるカンプトテシンに関係するかまたはそれから誘導される化合物である;カンプトテシンは中国産樹木、カンレンボク(Camptothecin acuminata)およびインド産樹木、クサミズキ(Nothapodytes foetida)に由来する水不溶性アルカロイドである。カンプトテシンはDNA生合成に対して強い阻害活性を有し、また種々の実験系において、腫瘍細胞増殖に対しての高い活性が示されている。しかし、抗癌治療におけるその臨床使用は、その高い毒性のために著しく制限されるため、カンプトテシンの毒性を低下させ、一方でその抗腫瘍作用の効力を維持することを試行して、様々な類似体が開発されている。かかる類似体の例は、イリノテカンおよびトポテカンである。
これらの化合物はDNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であることが判明している。トポイソメラーゼは真核細胞におけるDNAトポロジーを変化させ得る酵素である。それらは重要な細胞性機能および細胞増殖にとって非常に重要である。真核細胞におけるトポイソメラーゼには2つの分類、すなわち、I型およびII型がある。トポイソメラーゼIは分子量約100,000を有する単量体酵素である。該酵素はDNAに結合し、一過性の一本鎖切断を導入し、二重らせんを解いて(または解けるようにして)、次いでDNA鎖から解離させる前にその切断を修復する。
イリノテカン、すなわち、7−エチル−10−(4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ)カルボニルオキシ−(20S)−カンプトテシンおよびその塩酸塩(CPT11としても知られる)は効力が改善され、毒性が低下し、優れた水溶性を有することが判明している。イリノテカンは種々の癌、取分け結腸直腸癌の処置に臨床的効力を有することが判明している。もう一つの重要なカンプトテシン化合物はトポテカン、すなわち、(S)−9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシンであり、このものは臨床治験において、数種の固形腫瘍、取分け卵巣癌および非小細胞肺癌腫に効力のあることを示した。
代表的剤形:
カンプトテシン化合物を含有し、注射により投与し得る非経口医薬製剤は、カンプトテシン化合物の水溶性塩100mg(例えば、EP0321122、特にその実施例に記載された化合物)を無菌の0.9%食塩水10mlに溶かし、その溶液を滅菌し、適切な容器に充填することにより調製し得る。
生物活性:
本発明の組み合わせのカンプトテシン化合物は、上記のように、DNAトポイソメラーゼIの特異的阻害剤であり、種々の癌に対して活性を有する。
先行技術文献:
WO01/64194(ヤンセン)はファルネシルトランスフェラーゼ・阻害剤とカンプトテシン化合物の組み合わせを開示している。EP137145(ローン・プーラン・ローラー)はイリノテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。EP321122(スミスクライン・ビーチャム)はトポテカンを含むカンプトテシン化合物を開示している。
課題:
カンプトテシン化合物はヒトにおいて化学療法剤として広く用いられているが、それらはすべての患者に、またはすべてのタイプの腫瘍に治療的に有効であるというわけではない。従って、カンプトテシン化合物の腫瘍増殖に対する阻害効力を増大させ、患者に対する有害な毒性副作用の潜在能力を低減させるために、低用量でカンプトテシン化合物を使用する手段を提供する必要性がある。
優先性:
本発明により使用する好適なカンプトテシン化合物は、上に言及したイリノテカンとトポテカンである。イリノテカンは、例えば、ローン・プーラン・ローラーから商品名“カンプト”として市販入手可能であり、また欧州特許明細書EP137145に記載されているように、またはその類似の方法により製造し得る。トポテカンは、例えば、スミスクライン・ビーチャムから商品名“ハイカムチン”として市販入手可能であり、また欧州特許EP321122に記載されているように、またはその類似の方法により製造し得る。他のカンプトテシン化合物は常套の方法で、例えば、イリノテカンおよびトポテカンについて上記した方法に類似の方法で製造し得る。
具体的態様:
一態様において、該カンプトテシン化合物はイリノテカンである。別の態様において、該カンプトテシン化合物はイリノテカン以外のカンプトテシン化合物であり、例えば、トポテカンなどのカンプトテシン化合物である。
薬用量:
該カンプトテシン化合物は、例えば、体表面積平方メートル当り0.1ないし400mg(mg/m)の投与量で、例えば、1ないし300mg/mの用量で投与し得る;取分け、イリノテカンは処置のコース当り約100ないし350mg/mおよびトポテカンは約1ないし2mg/mの用量で投与する。これらの投与量は、例えば、処置のコース当り1回、2回またはそれ以上で投与し、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返し得る。
6.代謝拮抗剤
定義:
“代謝拮抗化合物”および“代謝拮抗剤”という用語は同義語として使用し、本明細書に記載するように、代謝拮抗化合物または代謝拮抗化合物の類似体と定義し、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。従って、本明細書で言及する代謝拮抗化合物、あるいは代謝拮抗剤としても知られる化合物は、癌細胞の生理と増殖に極めて重要な代謝過程に干渉する抗癌剤の大きなグループ構成するものである。かかる化合物は、ヌクレオシド誘導体、DNA合成を阻害するピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体、およびチミジレートシンターゼおよび/またはジヒドロ葉酸リダクターゼ酵素の阻害剤である。
技術背景:
代謝拮抗剤(または代謝拮抗化合物)は、癌細胞の生理と増殖に極めて重要な代謝過程に干渉する抗癌剤の大きなグループを構成する。かかる化合物はヌクレオシド誘導体、DNA合成を阻害するピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体、およびチミジレートシンターゼおよび/またはジヒドロ葉酸リダクターゼ酵素の阻害剤である。抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、何年もの間、様々な癌の処置に使用されている。これらの誘導体で最古の最も広く使用されているのは5−フルオロウラシル(5−FU)であり、多くの癌、例えば、結腸直腸、乳房、肝臓および頭頚部腫瘍を処置するために使用されている。
5−FUの細胞毒性作用を高めるために、ロイコボリンはチミジレートシンターゼのレベルを調節するための薬物と共に使用されている;該シンターゼのレベルは5−FUの作用に悪性の細胞が感受性であることを確認するために非常に重要である。しかし、種々のファクターが5−FUの使用を制限する;例えば、腫瘍の耐性、毒性、さらに胃腸管と血液学的作用、および静脈内投与の必要性などのためである。これらの不利益を克服するために様々の方法が採られているが、例えば、5−FUの生物利用能の乏しさを克服するための提案、また5−FUの治療指数を高めるための提案がなされているが、これらは全身の毒性を低下させることにより、または腫瘍に到達する活性薬物の量を増やすことにより行う。
5−FUを超える改善された治療の有益性を提供する一例の化合物は、カペシタビンである;このものは化学名[1−(5−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−4−ピリミジニル]−カルバミン酸ペンチルエステルを有する。カペシタビンは経口投与後、良好に吸収され、薬理活性濃度の5−FUを腫瘍に送達する5−FUのプロドラッグであり、全身が活性な薬物に接触するのを少なくするものである。5−FUに潜在的に優れた活性を付与することは勿論、このものは長期投与による経口投与にも使用し得る。もう一つの抗腫瘍ヌクレオシド誘導体はゲムシタビンである;このものの化学名は2'−デオキシ−2',2'−ジフルオロ−シチジンであり、非小細胞肺癌および膵臓癌を含む様々な癌の処置に使用されている。さらなる抗腫瘍性ヌクレオシドはシタラビンとフルダラビンである。シタラビンはアラ−Cとしても知られ、化学名が1−β−D−アラビノフラノシルシトシンであり、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(芽球期)、急性リンパ性白血病および赤白血病の処置に有用であることが判明している。フルダラビンはDNA合成阻害剤であり、その化学名は9−β−D−アラビノフラノシル−2−フルオロ−アデニンである;このものは難治性B細胞慢性リンパ性白血病の処置に有用である。抗癌化学療法に使用される他の代謝拮抗剤は、酵素阻害剤ラルチトレクスド(raltitrexed)、ペメトレクスド(pemetrexed)およびメトトレキセートである。ラルチトレックスドは葉酸に基づくチミジレートシンターゼ阻害剤であり、その化学名はN−[5−[N−[(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)−メチル−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸である;このものは進行した結腸直腸癌の処置に使用される。ペメトレクスドはチミジレートシンターゼとトランスフェラーゼの阻害剤であり、その化学名はN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸ジナトリウム塩である;このものはすでに処置を受けている患者の中皮腫および局所性の進行したまたは転移性非小細胞肺癌(SCLC)の処置に使用される。メトトレキセートはジヒドロ葉酸リダクターゼ阻害を介してDNA複製を阻害することにより細胞分裂を中断し、結果として細胞死に至らしめる代謝拮抗剤であり、その化学名はN−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]−エチルアミノ]−L−グルタミン酸である;このものは急性リンパ性白血病の治療に、また乳癌、頭頚部の類表皮癌、および肺癌、取分け、扁平細胞および小細胞型のもの、進行期非ホジキンリンパ腫の処置に使用される。
生物活性:
本発明の組み合わせの代謝拮抗化合物は、上記のように癌細胞の生理と増殖に極めて重要な代謝過程に干渉し、様々な癌に対する活性を示す。
課題:
これらの抗癌剤は多くの副作用、取分け、骨髄抑制および一部の事例で吐き気および下痢を示す。それ故、患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減するために、低用量で使用する手段を提供する必要がある。
優先性:
本発明に従って使用する好適な代謝拮抗性化合物は、抗腫瘍性ヌクレオシド、例えば、本明細書で言及した5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビン、およびラリトレクスド(ralitrexed)、ペメトレクスドおよびメトトレキセートなどの酵素阻害剤である。従って、本発明に従って使用する好適な代謝拮抗性化合物は、抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、例えば、本明細書に言及した5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビンおよびフルダラビンである。本発明に従って使用する好適な他の代謝拮抗性化合物は、ラリトレクスド(ralitrexed)、ペメトレックスドおよびメトトレキセートなどの酵素阻害剤である。
5−フルオロウラシルは市販品として広く入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US2802005に記載されているように製造し得る。ゲムシタビンは、例えば、イーライ・リリー(株)から商品名ゲムザールとして市販入手可能であり、また欧州特許明細書EP122707に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。カペシタビンは、例えば、ホフマン−ラ・ロシュ・インクから商品名キセローダとして市販入手可能であり、また欧州特許明細書EP698611に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。シタラビンは、例えば、ファルマシアとアップジョン(株)から商品名サイトサールとして市販入手可能であり、また米国特許明細書US3116282に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。フルダラビンは、例えば、シェリング(株)から商品名フルダラとして市販入手可能であり、また米国特許明細書US4357324に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ラリトレクスド(ralitrexed)は、例えば、アストラゼネカ株式公開会社から商品名トムデックスとして市販入手可能であり、また欧州特許明細書EP239632に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ペメトレクスドは、例えば、イーライ・リリー(株)から商品名アリムタとして市販入手可能であり、また欧州特許明細書EP432677に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。メトトレキセートは、例えば、レダリーラボラトリーズから商品名メトトレキセート−レダリーとして市販入手可能であり、また米国特許明細書US2512572に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。本発明の組み合わせに使用する他の代謝拮抗剤は、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、2'−デオキシコフォマイシンおよびヒドロキシウレアである。
具体的態様:
一態様において、代謝拮抗性化合物はゲムシタビンである。別の態様において、代謝拮抗性化合物は5−フルオロウラシルまたはフルダラビン以外の代謝拮抗性化合物であり、例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、ラリトレクスド、ペメトレクスドまたはメトトレキセートなどの代謝拮抗性化合物である。
薬用量:
代謝拮抗性化合物は上記のファクターに左右される投与量で投与される。特に好適な代謝拮抗剤の投与量の例は、以下に例示することで示す。抗腫瘍ヌクレオシドに関しては、これらは体表面積の平方メートル当り10ないし2500mgの日用量(mg/m)で有利に投与される;例えば、700ないし1500mg/mであり、特に、5−FUの場合、200ないし500mg/mの投与量、ゲムシタビンの場合、800ないし1200mg/mの投与量、カペシタビンの場合、1000ないし1200mg/mの投与量、シタラビンの場合、100〜200mg/mの投与量で、またフルダラビンの場合、10ないし50mg/mの投与量である。
以下の酵素阻害剤の場合、例示は可能な投与量として示す。従って、ラルチトレクスド(raltitrexed)は約3mg/mの投与量で、ペメトレクスドは500mg/mの投与量で、またメトトレキセートは30〜40mg/mの投与量で投与し得る。
上に示した投与量は一般に、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
7.ビンカアルカロイド
定義:
本明細書にて使用する場合、用語“ビンカアルカロイド”は本明細書に記載するビンカアルカロイド化合物またはビンカアルカロイド化合物の類似体をいい、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
本発明の組み合わせにて使用するビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ植物(Vinca rosea)の抽出物に関係する、またはそれから由来する抗癌性ビンカアルカロイドである。これらの化合物の中で、ビンブラスチンおよびビンクリスチンは白血病、リンパ腫および睾丸癌の処置のための重要な臨床薬物であり、ビノレルビンは肺癌および乳癌に対して活性を有する。
生物活性:
本発明の組み合わせのビンカアルカロイド化合物はチューブリン標的剤であり、種々の癌に対する活性を有する。
課題:
ビンカアルカロイドは毒物学的作用の悩みをもつ。例えば、ビンブラスチンは薬物投与後7日ないし10日で最低値に達する白血球減少症を惹き起こすが、その後7日以内に回復する;一方、ビンクリスチンはある種の神経系毒性、例えば、四肢の麻痺と振顫、深部腱反射の喪失および末端肢筋組織の衰弱などが示されている。ビノレルビンは顆粒球減少症の形でのある種毒性を示すが、他のビンカアルカロイドよりも控えめな血小板減少症と弱い神経毒性を示すのみである。従って、腫瘍成長に対する抗腫瘍ビンカアルカロイドの阻害効力を増大させること、また患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、抗腫瘍性ビンカアルカロイドを低用量で使用するための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適な抗腫瘍性ビンカアルカロイドは、ビンデシン、ビンベシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンである。本発明に従って使用する特に好適な抗腫瘍性ビンカアルカロイドは、上に言及したビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンである。ビンブラスチンは、例えば、注射用硫酸塩としてイーライ・リリー(株)から商品名ベルバンの名称で市販入手可能であり、またドイツ特許明細書GE2124023に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ビンクリスチンは、例えば、注射用硫酸塩としてイーライ・リリー(株)から商品名オンコビンの名称で市販入手可能であり、またドイツ特許明細書DE2124023に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ビンクリスチンはまたリポソーム製剤としてもオンコ−TCS(商標)の名称で入手し得る。ビノレルビンは、例えば、注射用酒石酸塩としてグラクソウエルカムから、商品名ナベルビンの名称で市販入手可能であり、また米国特許明細書US4307100に記載されているように、またはそれに類似の方法で製造し得る。他の抗腫瘍性ビンカアルカロイド化合物は常套の方法に従い、例えば、ビノブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンについて上に記載した方法に類似の方法で製造し得る。
別の好適なビンカアルカロイドはビンデシンである。ビンデシンは二量体カサランタス(catharantus)アルカロイド、ビンブラスチンの合成誘導体であり、エルディシンの商品名でリリーから、またフィルデシンの商品名で塩野義から入手し得る。ビンデシンの合成の詳細はリリーの特許DE2415980(1974)および文献(C. J. Burnett et al., J. Med. Chem. 21, 88(1978))に記載されている。
具体的態様
一態様において、ビンカアルカロイド化合物はビノブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンから選択される。別の態様において、ビンカアルカロイド化合物はビノブラスチンである。
薬用量:
抗腫瘍性ビンカアルカロイドは、体表面積の平方メートル当り2ないし30mgの用量(mg/m)で有利に投与される;特に、処置のコースごとにビンブラスチンの場合、約3ないし12mg/mの投与量、ビンクリスチンの場合、約1ないし2mg/mの投与量、またビノレルビンの場合、約10ないし30mg/mの投与量である。これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、1、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
8.タキサン類
定義:
本明細書にて使用する場合、“タキサン化合物”という用語は、本明細書に記載するタキサン化合物またはタキサン化合物の類似体をいい、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
タキサン類はタキサン環系を有する一分類の化合物であり、イチイ(タクサス;Taxus)のある種樹木からの抽出物に関係するか、またはそれから由来する。これらの化合物は腫瘍細胞増殖に対して活性を有することが判明しており、この分類のある種化合物は様々な癌の処置のために臨床において使用されている。このように、例えば、パクリタキセルはイチイ(タクサス・ブレビフォリア;Taxus brevifolia)の樹木の樹皮から単離されたジテルペンであり、イチイの棘および小枝から得られる前駆体、1−アセチルバックチンからの部分合成により、または全合成により製造し得る;参照:Holton et al, J. Am. Chem. Soc. 116; 1597-1601(1994)およびNicholau et al, Nature 367:630(1994)。パクリタキセルは抗新生物形成活性を示すが、より最近にはその抗腫瘍活性が微小管重合の促進によるものであることが確立された;Kumar N.J., Biol. Chem. 256: 1035-1041(1981); Rowinsky et al, J. Natl. Cancer Inst. 82: 1247-1259(1990); およびSchiff et al, Nature 277: 655-667(1979)。パクリタキセルは現在臨床治験において、数種のヒトの腫瘍に有効であることが証明されている;McGuire et al, Ann. Int. Med., 111:273-279(1989); Holmes et al, J. Natl. Cancer Inst. 83: 1797-1805(1991); Kohn et al J. Natl. Cancer Inst. 86: 18-24(1994); およびKohn et al, American Society for Clinical Oncology, 12(1993)。パクリタキセルは、例えば、卵巣癌、さらには乳癌の処置に使用されている。
臨床に使用されている別のタキサン化合物は、進行した乳癌の処置に特別の有効性を有することが示されているドセタキセルである。ドセタキセルはパクリタキセルよりも添加剤系においてより良好な溶解性を示している;それ故、その取扱がより容易になり、医薬組成物に使用することができる。
生物活性:
本発明の組み合わせのタキサン化合物はチューブリン標的剤であり、種々の癌に対して活性を有する。
課題:
タキサンの臨床使用は治療指数が狭く、多くの患者がその使用と関係する副作用に耐えることができないと証明されている。従って、腫瘍成長に対するタキサン化合物の阻害効力を増大させること、また患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、タキサン化合物を低用量で使用するための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適なタキサン化合物は、本明細書に言及したパクリタキセルとドセタキセルである。パクリタキセルは、例えば、タキソールの商品名でブリストル・マイヤー・スクイッブから市販品として入手可能であり、またドセタキセルはタキソテレの商品名でローン−プーラン・ローラーから市販品として入手可能である。両化合物および他のタキサン化合物は、常套の方法で、例えば、EP253738、EP253739およびWO92/09589に記載されている方法、またはそれに類似の方法により製造し得る。
具体的態様;
一態様において、タキサン化合物はパクリタキセルであり、別の態様において、タキサン化合物はドセタキセルである。
薬用量:
タキサン化合物は、体表面積の平方メートル当り50ないし400mgの用量(mg/m)、例えば、75ないし250mg/mで有利に投与される;特に、処置のコースごとにパクリタキセルの場合、約175ないし250mg/mの投与量、またドセタキセルの場合、約75ないし150mg/mの投与量である。これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
9.エポチロン
定義:
本明細書にて使用する場合、“エポチロン”という用語は、パクリタキセルに似た作用メカニズムを有するが、全臨床モデルのタキサン抵抗性環境において活性であるという潜在的な利点をもつ細胞毒性マクロライドの一分類を定義するために使用する。エポチロンのイクサベピロン(ixabepilone)、パツピロン(patupilone)、BMS−310705、KOS−862およびZK−EPは、癌処置のための初期臨床治験中である。第I相治験は、エポチロンの投与量限定毒性が一般に神経毒性と好中球減少症であること示したが、パツピロンでの初期研究は、下痢が用量限定的であることを示した。イクサベピロンにより誘発される神経病はスケジュール依存性であり得る。タキサン不応転移性乳癌における応答率は比較的控えめであるが、イクサベピロンおよびパツピロンはホルモン不応転移性前立腺癌において、またタキサン難治性卵巣癌において有望な効力を示した。
技術背景:
エポチロンAおよびBは最初は粘液細菌ソランギウム・セルロサム(Sorangium cellulosum)の抗真菌発酵産物として単離された。その後間もなく、これらの薬剤が微小管を安定化し、有糸分裂停止を誘発することが証明された。エポチロンは微小管結合をタキソールと競合することが知られている。それらの細胞毒性活性はタキサンと同じメカニズムによるが、エポチロンは一組の重要な利点を有する。第一に、それらは多剤耐性ポンプP−糖タンパク質の基質ではない。第二に、それらは産生すること(それらがバクテリア起源であるため)および操作することが共に容易である。これらの分子およびその類似体の化学合成は、全合成であっても、部分合成であっても、それらの効力を高めるための修飾を可能とする(Mani et al. Anticancer Drugs 2004;15(6):553-8)。数種のエポチロンまたはエポチロン誘導体が細胞株および腫瘍異種移植片に対して有効であることが示されており、現在、臨床治験中である(Goodin et al. J Clin Oncol 2004;22(10): 2015-25)。微小管安定化剤の同定用の予想外の起源は海産生物であった。ラウリマリド(Laulimalide)およびイソラウリマリドは海綿(カコスポンギア・マイコフィジエンシス;Cacospongia mycofijiensis)の天然物であり、P−gp発現細胞株に対してさえ、強力なタキソール様活性を有する。両方の側面で類似しているエルエテロビン(Eluetherobin)はソフト珊瑚のエルエテロビア(Eleutherobia)種の産物である。
生物活性:
微小管の形成には、ヘテロ二量体α/β−チューブリンサブユニットとヒト細胞中に存在するα−およびβ−チューブリン双方の多数イソ型との重合が関わる。未処理の微小管機能は、有糸分裂紡錐体の形成と機能化に必要とされ、チューブリンサブユニットまたは重合した微小管に結合する薬剤で処理した細胞は、紡錐体形成に変化を示し、同時に細胞周期のG2/M期で停止し、それがアポトーシスの誘発と関連する。微小管を標的とする化合物は、強力な細胞毒性剤であり、例示すると、様々な植物および海産種による微小管標的化合物の収束進化である。現在臨床開発中の3種のエポチロンの公表された研究では、エポチロンB、アザ−エポチロンB、およびデソキシエポチロンBのこれら化合物が、細胞培養モデルにおいて、また異種移植片において、広域スペクトルの抗腫瘍活性を示すことを示している。さらに、エポチロンは細胞培養研究において、一般にパクリタキセルよりも強い細胞毒性を有し、そのIC50値が様々な腫瘍細胞系において、ナノモル以下または低ナノモルの範囲にある(Bollag et al. Cancer Res 55:2325-2333, 1995; Lee et al. Clin Cancer Res 7:1429-1437, 2001; Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A 95:9642-9647, 1998; Newman et al. Cancer Chemother Pharmacol 48:319-326, 2001)。前臨床研究もまたエポチロンとタキサンとの間の薬物耐性に関して重要な差異を示している。取分け、P−糖タンパク質の過剰発現は、細胞培養モデルにおいて、エポチロンB、アザ−エポチロンB、およびデソキシエポチロンBに殆ど影響しない。P−糖タンパク質過剰発現細胞の中で、エポチロンB、アザ−エポチロンB、およびデソキシエポチロンBの細胞毒作用を比較すると、P−糖タンパク質発現の影響はデソキシエポチロンBに対して最小であり、アザ−エポチロンBが最も影響を受けることを示唆する。しかし、留意すべきことは、P−糖タンパク質の過剰発現細胞系におけるこれら化合物のIC50値間の差が、これら細胞系におけるこれらの値とパクリタキセルに対するIC50値との間の差と比較して小さいことである。タキサンに対する臨床耐性におけるP−糖タンパク質発現の意義は不明確であるが、これらの結果は、エポチロンが高レベルのP−糖タンパク質発現を特徴とする悪性の患者において、タキサンよりもより活性であり得ることを示唆する。インビボの研究では、種々のスケジュールを用いるパクリタキセル感受性および抵抗性の腫瘍モデルにおいて、エポチロンが活性であることを示す。隔日または隔週のスケジュールによってマウスに静脈内投与するとき、アザ−エポチロンBは卵巣、結腸、および乳房の異種移植片において高い活性を示し、パクリタキセルに耐性である卵巣異種移植片モデル(Pat−7)において治癒を誘発する。銘記されることは、パクリタキセルと違って、アザ−エポチロンBは前臨床モデルにおいて経口投与するときに有効である。この現象は腸管粘膜におけるP−糖タンパク質の発現に関係していると思われ、その結果、エポチロンではなく、パクリタキセルの吸収が乏しくなる。
課題:
エポチロンによる知覚神経障害は文献証明されている。
優先性:
既存の構造−活性データは、エポチロンと微小管の間の相互作用にある種の洞察を与える。幾つかのグループからの結果は、C12−13エポキシドでの、またはその近傍での修飾が微小管安定化活性に影響し得ることを示している(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti-Canc Agents 2:123-148, 2002)。例えば、エポチロンAのC12位置にメチル基を付加すると、エポチロンBを生じ、それがインビトロの微小管重合誘発において、得ポロチンAまたはパクリタキセルの約2倍の効力となる(Kowalski et al. J Biol Chem 272: 2534-2541, 1997; Nicolaou et al. Nature 387:268-272, 1997, abstr 428)。さらに、明らかなことは、C12−13エポキシドが微小管結合のために必要ではないということであるが、その理由はデソキシエポチロンB(エポチロンDまたはKOS−862としても知られる)がC12−13エポキシドを欠如し、エポチロンAまたはBよりもインビトロでより強力な微小管安定剤であるからである。エポチロンの他の領域を修飾することの影響については、利用できるデータが少ない。C9−C12領域を変化させることにより微小管結合を改善(分子のモデル化に基づく)するための試みにも関わらず、この領域の変更は細胞毒活性の喪失に至った。対照的に、エポチロンBのラクトン酸素をラクタムと置換えても(アザ−エポチロンB,BMS−247550としても知られる)、微小管−重合活性または細胞毒性を損なうことがない。様々な他のエポチロン類似体が合成されているが、留意すべきことは、微小管安定化活性の増大が常に細胞毒性の増大に繋がるものではないということである;恐らく細胞蓄積および代謝安定性など他の変化が重要であるからである(Wartmann and Altmann, Curr Med Chem Anti-Canc Agents 2:123-148, 2002)。事実、デソキシエポチロンBのC12位のメチル基をプロパノール基と置換えても、白血病細胞株CCRF−CEMに対してはデソキシエポチロンB同様に有効な化合物が得られる;しかし、P−糖タンパク質を過剰発現するサブラインに対しては、有意に活性が低い(デソキシエポチロンBについてのIC50は17nmol/L、それに対してプロパノール誘導体については167nmol/L)(Chou et al. Proc Natl Acad Sci U S A 95:9642-9647, 1998)。
溶解性を改善するために、天然産エポチロンをさらなに修飾する努力がなされている;例えば、BMS−310705はエポチロンBのC−21置換誘導体である(Lee et al. Proc Am Assoc Cancer Res 43:a3928, 2002)。
具体的態様:
一態様において、エポチロン化合物はBMS−247550である。別の態様において、エポチロン化合物はデソキシエポチロンであり、別態様において、エポチロン化合物はBMS−310705である。
薬用量:
BMS−247550は21日ごとに3時間にわたり40mg/mを投与量とするか、または6mg/mを3週間ごとに5日間毎日1時間にわたり投与する。3週間ごとの単回投与スケジュールにおいて最初の18名の患者において粘膜炎と好中球減少症の頻発のために、用量を32mg/mに減量した。EPO906は1治験において、3週間、週に2.5mg/mとし、次いで1週間の休薬とするか、また3週間ごとに6mg/mとして投与する。KOS−862は3週間ごとに単回、3週間ごとに日用量3回、3週間ごとに一定量での投与、および3週間毎週投与と1週間休薬のスケジュールである。
10.白金化合物
定義:
本明細書にて使用する場合、“白金化合物”という用語は、腫瘍細胞増殖阻害白金化合物をいい、白金配位化合物、白金をイオンの形状で提供する化合物、および本明細書に記載の白金化合物の類似体を包含し、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
癌の化学療法処置において、シスプラチン(シス−ジアミノジクロロ白金(II))は、何年もの間、種々のヒト固形悪性腫瘍、例えば、睾丸癌、卵巣癌および頭頚部、膀胱、食道と肺の癌の処置に成功裏に使用されている。
より最近、他のジアミノ白金複合体、例えば、カルボプラチン(ジアミノ(1,1−シクロブタン−ジカルボキシラト)白金(II))が種々のヒト固形悪性腫瘍の処置において、化学療法剤としての効果を示した;カルボプラチンは卵巣癌の処置について認可されている。さらなる抗腫瘍性白金化合物はオキサリプラチン(L−OHP)であり、このものは第三世代のジアミノ−シクロヘキサン白金に基づく細胞毒性薬物である;この化合物の化学名は(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサロト-白金(II)である。オキサリプラチンは、例えば、腎毒性の欠損していること、またシスプラチンに比較して、癌の前臨床モデルにおいてより高い有効性を示すことに基づき、転移性結腸直腸癌の処置に使用される。
生物活性:
本発明の組み合わせの白金化合物は種々の癌に対して活性を有する。
課題:
シスプラチンおよび他の白金化合物はヒトにおける化学療法剤として広く使用されているが、それらは患者すべてに、またはすべての腫瘍に対して治療的に有効である訳ではない。さらに、かかる化合物は腎臓損傷などの毒性の問題を起こし得る比較的高い投与量で投与する必要がある。また、取分けシスプラチンの場合、該化合物は患者にいろいろな程度で吐き気および嘔吐を惹き起こし、さらには白血球減少症、貧血および血小板減少症を惹き起こす。それ故、効力を増大させること、また患者に対する有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、低用量で使用するための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適な白金化合物は、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンである。他の白金化合物は、塩化クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II);ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;およびテトラプラチンである。シスプラチンは、例えば、商品名プラチノールとしてブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから、水、無菌食塩水または他の適切なビークルで構成するための粉末として市販入手可能である。また、シスプラチンは、例えば、文献(G. B. Kauffman and D. O. Cowan, Inorg. Synth. 7, 239(1963))に記載の方法またはその類似の方法により製造し得る。カルボプラチンは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから、商品名パラプラチンの名称で市販入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4140707に記載の方法またはそれに類似の方法により製造し得る。オキサリプラチンは、例えば、サノフィ−シンセラボ・インクから商品名エロキサチンとして入手し得るか、または例えば、米国特許明細書US4169846に記載の方法またはそれに類似の方法により製造し得る。他の白金化合物およびそれらの医薬組成物は市販品として入手可能であるか、および/または常套の技法により製造し得る。
具体的態様:
一態様において、該白金化合物は、塩化クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II);ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される。別の態様において、該白金化合物はシスプラチン以外の白金化合物、例えば、塩化クロロ(ジエチレンジアミノ)白金(II);ジクロロ(エチレンジアミノ)白金(II);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−シス−(ピルバト)白金(II);オンナプラチン;テトラプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金化合物である;好ましくは、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される。
薬用量:
該白金配位化合物は、例えば、体表面積平方メートル当り1ないし500mg(mg/m)の投与量で、例えば、50ないし400mg/mの用量で投与し得る;取分け、シスプラチンは約75mg/m、カルボプラチンは約300mg/m、またオキサリプラチンは約50〜100mg/mの用量で投与する。これらの投与量は、例えば、処置のコース当り1回、2回またはそれ以上で投与し、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返し得る。
11.トポイソメラーゼ2阻害剤
定義:
本明細書にて使用する場合、“トポイソメラーゼ2阻害剤”という用語は、上に記載したトポイソメラーゼ2阻害剤またはトポイソメラーゼ2阻害剤の類似体をいい、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
抗癌剤の重要な分類は酵素トポイソメラーゼ2の阻害剤であり、このものはDNAの転写および翻訳に際し強まったストレスを開放するために二本鎖を切断する。この酵素の機能を阻害する化合物は、従って、細胞毒性であり、抗癌剤として使用する。
癌療法において開発され、使用されているトポイソメラーゼ2阻害剤の中ですぐれているのは、ポドフィロトキシンである。これらの薬物は、DNAトポイソメラーゼ2との相互作用によるDNA鎖切断の誘発またはフリーラジカルの形成を伴う作用メカニズムにより作用する。マンドレーク植物から抽出されるポドフィロトキシンは、親化合物であり、そこから2つのグリコシドが生じ、それらが数種のヒト新生物、特に小児白血病、小細胞肺癌腫、睾丸腫瘍、ホジキン病、および大細胞リンパ腫などに有意な治療活性を示す。これらの誘導体はエトポシド(VP−16)(化学名:4'−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド])およびテニポシド(VM−26)(化学名:4'−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−0−(R)−2−テニリデン−β−D−グルコピラノシド])である。
しかし、エトポシドおよびテニポシドは共にある種の毒性副作用、取分け骨髄抑制を悩みとする。別の重要な分類のトポイソメラーゼ2阻害剤は、アンスラサイクリン誘導体であり、このものは重要な抗腫瘍剤であって、真菌ストレプトマイセス・ピューティクス var.セシウス(Streptomyces peuticus var. caesius)から得られる抗生物質とその誘導体からなり、グリコシド結合により結合した稀な糖ダウノサミンをもつテトラサイクリン環構造をもつことを特徴とする。これらの化合物の中、最も広く使用されているのはダウノルビシン(化学名:7−(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソヘキソシルオキシ)−9−アセチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−4−メトキシ−5,12−ナフタセンキノン);ドキソルビシン(化学名:10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−l−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン)およびイダルビシン(化学名:9−アセチル−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオン)である。
ダウノルビシンとイダルビシンは主として急性白血病の処置に使用されているが、ドキソルビシンはヒト新生物に対して広範な活性を示し、例えば、種々の固形腫瘍、取分け乳癌に対して活性である。癌化学療法に有用な別のアンスラサイクリン誘導体はエピルビシンである。エピルビシンは化学名(8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−アラビノ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンを有し、肝臓においてウリジン二リン酸−グルクロノシルトランスフェラーゼによるグルクロン酸抱合を伴う異化経路(ドキソルビシンと異なる)を有するドキソルビシン類似体である;このものはより短期の半減期と低減した心毒性の原因となると信じられる。該化合物は種々の癌、例えば、子宮頚部癌、子宮内膜癌、進行した乳癌および膀胱癌などの処置に使用されているが、骨髄抑制および心臓毒性などの副作用が悩みである。後者の副作用は高用量で一般に重篤な心筋症を示すアンスラサイクリン誘導体の典型であるが、この副作用がこれら化合物を投与し得る用量を制限する。さらなるタイプのトポイソメラーゼ2阻害剤はミトキサントロンで代表される;化学名は1,4−ジヒドロキシ−5,8−ビス[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル]アミノ]−9,10−アンスラセンジオンであり、多発性硬化症、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、および乳房、前立腺および肝臓腫瘍の処置に使用する。その他はロソキサントロンおよびアクチノマイシンDである。
ミトキサントロン投与による副作用は骨髄抑制、吐き気、嘔吐、胃炎、脱毛症などであるが、心臓毒性はアンスラサイクリンよりも弱い。
生物活性:
本発明の組み合わせのトポイソメラーゼ2阻害剤は、上記の様々な癌に対して活性を有する。
課題:
この分類の細胞毒性化合物は、上記のように副作用と関連する。従って、患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、低用量使用のための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適なトポイソメラーゼ2阻害剤化合物は、本明細書に定義したようにアンスラサイクリン誘導体、ミトキサントロンおよびポドフィロトキシンである。
本発明に従って使用する好適な抗腫瘍性アンスラサイクリン誘導体は、上に言及したダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンである。ダウノルビシンは、例えば、ベッドフォード・ラボラトリーズから塩酸塩として、商品名セルビジンの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US4020270に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ドキソルビシンは、例えば、ファルマシアおよびアップジョンから商品名アドリアマイシンの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US3803124に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ドキソルビシン誘導体はペグ化ドキソルビシン塩酸塩およびリポソーム埋包ドキソルビシンクエン酸塩を含む。ペグ化ドキソルビシン塩酸塩はシェリング−プーラウ・ファーマシューティカルスから商品名セイルックス(Caeylx)として市販入手可能である;リポソーム埋包ドキソルビシンクエン酸塩はエランコーポレーションから商品名マイセットとして市販入手可能である。イダルビシンは例えば、ファルマシアおよびアップジョンから塩酸塩として、商品名イダマイシンの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US4046878に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。エピルビシンは、例えば、ファルマシアおよびアップジョンから商品名ファルモルビシンの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US4058519に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ミトキサントロンは、例えば、OSIファーマシューティカルスから商品名ノバントロンの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US4197249に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。
他の腫瘍性アンスラサイクリン誘導体は、常套の方法、例えば、特定のアンスラサイクリン誘導体についての上記の方法と類似の方法で製造し得る。
本発明に従って使用する好適な抗腫瘍抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、上に言及したエトポシドとテニポシドである。エトポシドは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ(株)から商品名ベペシドの名称で市販入手可能であるか、または例えば欧州特許明細書EP111058に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。テニポシドは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ(株)から商品名ブモンの名称で市販入手可能であるか、または例えばPCT特許明細書WO93/02094に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。他の抗腫瘍性ポドフィロトキシン誘導体は、常套の方法、例えば、特定のエトポシドおよびテニポシドについての上記の方法と類似の方法で製造し得る。
具体的態様:
一態様において、トポイソメラーゼ2阻害剤は、アンスラサイクリン誘導体、ミトキサントロンまたはポドフィロトキシン誘導体である。別の態様において、該トポイソメラーゼ2阻害剤は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンから選択される。さらなる態様において、トポイソメラーゼ2阻害剤はエトポシドおよびテニポシドから選択される。従って、好適な態様において、トポイソメラーゼ2阻害剤はエトポシドである。別の態様において、トポイソメラーゼ2阻害剤はドキソルビシン以外のアンスラサイクリン誘導体であり、例えば、ダウノルビシン、イダルビシンおよびエピルビシンなどのトポイソメラーゼ2阻害剤である。
薬用量:
抗腫瘍性アンスラサイクリン誘導体は、体表面積平方メートル当り10ないし150mg(mg/m)の投与量で、例えば、15ないし60mg/mの用量で有利に投与し得る;取分け、ドキソルビシンは約40〜75mg/m、ダウノルビシンは約25〜45mg/m、イダルビシンは約10〜15mg/m、またエピルビシンは約100〜120mg/mの用量で投与する。
ミトキサントロンは略21日ごとの短時間脈内注入により、約12〜14mg/mの投与量で有利に投与する。
抗腫瘍性ポドフィロトキシン誘導体は、体表面積平方メートル当り30ないし300mg/mの投与量で、例えば、50ないし250mg/mの用量で有利に投与し得る;取分け、エトポシドは約35〜100mg/m、またテニポシドは約50〜250mg/mの用量で投与する。
上記の投与量は一般に、例えば、処置のコース当り1回、2回またはそれ以上で投与し、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返し得る。
12.アルキル化剤
定義:
本明細書にて使用する場合、“アルキル化剤”または“アルキル化剤類”という用語は、本明細書に記載するアルキル化剤類またはアルキル化剤類の類似体をいい、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
癌化学療法に使用されるアルキル化剤類は、共通の特徴を有する多様なグループの化学物質を包含し、生理的条件下で、DNAなどの生物学的に活性な高分子にアルキル基を供与する能力を有する。ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアなどのより重要な薬剤の殆どにより、活性なアルキル化部分が、複雑な分解反応(そのあるものは酵素的である)の後に、インビボで生成される。アルキル化剤類の最も重要な薬理作用は、細胞増殖と関わる基本的なメカニズム、取分けDNA合成と細胞分裂を妨害するものである。急速に増殖する組織において、DNA機能と完全性に干渉するアルキル化剤の能力は、それらの治療適用性とそれらの毒としての性質の多くの基礎をなすものである。従って、一分類としてのアルキル化剤類は、骨髄要素に対し、また程度は低いが腸粘膜に対し、用量を制限する毒性の原因となる共通の性質を有する傾向があるにかかわらず、それらの抗腫瘍活性について研究されており、またこれら化合物のあるものは、抗癌療法に広く使用されている。
アルキル化剤類の中でも、ナイトロジェンマスタード類は抗腫瘍性化合物の重要な一群を代表し、ビス−(2−クロロエチル)基の存在を特徴とし、シクロホスファミド(化学名:2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリンオキシド)およびクロルアンブシル(化学名:4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−ベンゼン酪酸)を包含する。シクロホスファミドは広いスペクトルの臨床活性を有し、悪性リンパ腫、ホジキン病、バーキットリンパ腫のための多くの薬物組み合わせの成分として、また乳癌処置のための補助療法において使用される。
イホスファミド(別名:イフォスファミド)はシクロホスファミドの構造類似体であり、その作用メカニズムは同じであると思われる。その化学名は3−(2−クロロエチル)−2−[(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン−2−オキシドであり、子宮頚部癌、肉腫、および睾丸癌の処置に使用されるが、重篤な尿毒性作用を有し得る。クロルアンブシルは慢性白血球白血病およびリンパ肉腫などの悪性リンパ腫の処置に使用されている。
もう一つの重要な分類のアルキル化剤はニトロソウレアであり、自発的非酵素分解を受け、同時に2−クロロエチルカルボニウムイオンを形成する能力を特徴とする。かかるニトロソウレア化合物の例は、カルムスチン(BCNU)(化学名:1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア)およびロムスチン(CCNU)(化学名:1−(2−クロロエチル)シクロヘキシル−1−ニトロソウレア)である。カルムスチンおよびロムスチンはそれぞれ脳腫瘍および胃腸新生物の処置に重要な治療的役割を有するが、これらの化合物は強い蓄積性の骨髄抑制を起こし、それがこれらの臨床的価値を制限する。
もう一つの分類のアルキル化剤は、ビスアルカンスルホネート基を有するニ官能性アルキル化剤によって代表され、化合物ブスルファン(化学名:1,4−ブタンジオール・ジメタンスルホン酸エステル)によって代表される;このものは慢性骨髄性(骨髄の、骨髄性または顆粒球性)白血病の処置に使用される。しかし、重篤な骨髄不全を誘発し、重篤な汎血球減少症に至る。
もう一つの分類のアルキル化剤は、含窒素3員環を含むアジリジン化合物であり、DNAに結合して架橋に導き、DNA合成と機能を阻害することにより抗腫瘍剤として作用する。かかる薬剤の一例はストレプトマイセス・カエスピトーサス(Streptomyces caespitosus)から単離されるマイトマイシンであり、その化学名は7−アミノ−9α−メトキシミトサンである。
マイトマイシンは、胃、膵臓、結腸および乳房の腺癌、および非小細胞肺癌の処置に、また放射線との組合せで、頭頚部癌の処置に使用され、その副作用は、骨髄抑制、腎毒性、間質性肺炎、吐き気および嘔吐である。
生物活性:
本発明の組み合わせにおけるアルキル化剤の最も重要な薬理作用の一つは、本明細書にてすでに定義した細胞増殖と関係する基本的なメカニズムを妨げる能力である。急速に増殖する組織において、DNA機能と整合性に干渉するこの能力は、種々の癌に対してのそれらの適応の基礎を提供する。
課題:
この分類の細胞毒性化合物は上記同様の副作用を有する。従って、患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、低用量使用のための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適なアルキル化剤は、上で言及したナイトロジェンマスタード化合物シクロホスファミド、イホスファミド/イフォスファミドおよびクロルアンブシル、およびニトロソウレア化合物カルムスチンおよびロムスチンである。本発明に従って使用する好適なナイトロジェンマスタード化合物は、上で言及したシクロホスファミド、イホスファミド/イフォスファミドおよびクロルアンブシルである。シクロホスファミドは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから商品名サイトキサンの名称で市販入手可能であるか、または例えば英国特許明細書GP1235022に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。クロルアンブシルは、例えば、グラクソ・スミスクライン株式公開会社から商品名ロイケランの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US3046301に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。イホスファミド/イフォスファミドは、例えば、バクスター・オンコロジーから商品名ミトキサナの名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US3732340に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。本発明に従って使用する好適なニトロソウレア化合物は、上に言及したカルムスチンおよびロムスチンである。カルムスチンは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから商品名BiCNUの名称で市販入手可能であるか、または例えば欧州特許明細書EP902015に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ロムスチンは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから商品名シーNU(CeeNU)の名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US4377687に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。ブスルファンは、例えば、グラクソ・スミスクライン株式公開会社から商品名マイレラン(Myleran)の名称で市販入手可能であるか、または例えば米国特許明細書US2917432に記載されたように、またはそれに類似の方法で製造し得る。マイトマイシンは、例えば、ブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから商品名ムタマイシンの名称で市販入手可能である。他のものは、エストラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、ビスクロロエチルニトロソウレア、シクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロソウレア、ニムスチン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾリミドおよびチオテパである。
具体的態様:
一態様において、アルキル化剤はシクロホスファミド、イホスファミド/イフォスファミドおよびクロルアンブシルから選択されるナイトロジェンマスタード化合物である。別の態様において、アルキル化剤はカルムスチンおよびロムスチンから選択されるニトロソウレアである。アルキル化剤はさらにブスルファンを包含する。一態様において、アルキル化剤類はマイトマイシンCまたはシクロホスファミド以外の本明細書にすでに記載したものである。
薬用量:
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレアアルキル化剤は、体表面積平方メートル当り100ないし2500mg(mg/m)の投与量で、例えば、120ないし500mg/mの用量で有利に投与し得る;取分け、シクロホスファミドは約100〜500mg/m、イホスファミド/イフォスファミドは約500〜2500mg/m、クロルアンブシルは約0.1〜0.2mg/m、カルムスチンは約150〜200mg/m、またロムスチンは約100〜150mg/mの用量で投与する。ブスルファンなどのビス−アルカンスルホネート化合物の場合、代表的な投与量は1〜2mg/m、例えば、約1.8mg/mであり得る。
マイトマイシンなどのアジリジンアルキル化剤は、例えば、15ないし25mg/mの用量で、好ましくは約20mg/mで投与し得る。
上記の投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
13.シグナル伝達阻害剤
定義:
本明細書にて使用する場合、“シグナル伝達阻害剤”という用語は、本明細書に記載するシグナル伝達阻害剤またはシグナル伝達阻害剤の類似体をいい、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景;
悪性腫瘍は制御不能細胞増殖の産物である。細胞の成長は増殖促進因子と増殖阻害因子との間の微妙なバランスによって制御される。正常組織におけるこれらの因子の産生と活性は、器官の正常な完全性と機能性を維持するコントロールおよび制御の様式で増殖する分化した細胞を生じせしめる。悪性細胞はこの制御を回避する;自然のバランスが損なわれ(様々なメカニズムを介して)、非制御の異常細胞増殖が起こる。
増殖のための1つの駆動力は上皮増殖因子(EGF)であり、EGFの受容体(EGFR)は、多くのヒト固形腫瘍、例えば、肺、乳房、前立腺、結腸、卵巣、頭頚部の腫瘍の発生と進行に関与している。EGFRは4種の受容体、すなわち、EGFR(HER1またはErbB1)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)、およびErbB4(HER4)からなるファミリーメンバーである。これらの受容体は細胞膜に存在する巨大タンパク質であり、それぞれが特異的外部リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼ酵素活性を有するドメインを有する。EGFがEGFRに結合すると、それがチロシンキナーゼを活性化し、細胞を増殖増加させる反応の引き金を引く。EGFRは多くのタイプの癌細胞の表面に、異常に高いレベルで見出されるが、癌細胞はEGFの存在下に過剰に分裂する。EGRF活性の阻害は、従って、癌処置における化学療法研究の目標であった。かかる阻害は細胞表面上の標的EGRFに直接干渉することにより、例えば、抗体の使用により、または引き続くチロシンキナーゼ活性を阻害することにより実施し得る。
EGRFを標的とする抗体の例は、モノクローナル抗体トラスツズマブおよびセツキシマブである。原発性乳癌におけるヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は、特定患者の質の悪い臨床予後と相関することが示されている。トラスツズマブは高度に精製された組換えDNA−由来のヒト化モノクローナルIgC1カッパ抗体であり、HER2受容体の細胞外ドメインに、高い親和性と特異性をもって結合する。インビトロおよびインビボでの前臨床研究では、トラスツズマブを単独またはパクリタキセルもしくはカルボプラチンとの組合せで投与すると、HER2遺伝子産物を過剰発現する乳房腫瘍由来細胞株の増殖を有意に阻害することが示されている。臨床研究では、トラスツズマブが乳癌の処置において、臨床活性を有することが示されている。トラスツズマブの最も共通の有害作用は、発熱と悪寒、疼痛、無力症、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、呼吸困難、鼻炎、および不眠症である。トラスツズマブは、1回以上の化学療法投薬を受けたことのある患者におけるHER2タンパク質の過剰発現を伴う転移性乳癌の処置について認可を受けている。
セツキシマブはイロテカン難治性結腸直腸癌の処置に使用されている。このものはまた単一薬剤として、および様々な他の癌、例えば、頭頚部癌、転移性膵臓癌腫、および非小細胞肺癌などの処置に使用する他の薬剤との組合せで、評価されつつある。セツキシマブの投与は重篤な副作用、例えば、呼吸困難および低血圧を起こし得る。
EGRFチロシンキナーゼ活性を標的とする薬剤の例は、チロシンキナーゼ阻害剤、ゲフィチニブおよびエルロチニブである。ゲフィチニブは化学名、4−(3−クロロ−4−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンと呼称し、非小細胞肺癌の処置に使用されているが、さらに乳癌および結腸直腸癌などEGF受容体を過剰発現する他の固形腫瘍についても開発がなされている。ゲフィチニブを投与されている患者は、肺に炎症を起こす間質性肺疾患を発症し得ることが判明している。眼刺激もゲフチニブ受容患者に観察されている。エルロチニブは化学名、N−(3−エチニル−フェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンと呼称し、非小細胞肺癌の処置に使用されているが、さらに膵臓癌などの様々な他の固形腫瘍の処置のために開発がなされている;最も共通の副作用は、発疹、食欲減退および疲労感などである;報告されているより深刻な副作用は間質性肺疾患である。
抗癌研究の標的として注目を集めている別の増殖因子は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは血管形成プロセス、例えば、創傷治癒、網膜症、乾癬、炎症性障害、腫瘍成長および転移などに際しての血管新生の重要な調節剤である。研究では、VEGFの過剰発現がヒトの悪性疾患において、浸潤および転移と強く関連していることを示している。
細胞表面上のVEGF抗原を標的とする抗体の一例は、モノクローナル抗体ベカシズマブである;このものはVEGFに結合し、阻害する組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベカシズマブは、例えば、5−フルオロウラシルとの組合せで結腸直腸癌の処置に使用されている。ベカシズマブは転移性乳癌、転移性非小細胞肺癌および腎細胞癌腫などの他の固形腫瘍の有力な処置として開発されつつある。ベカシズマブと関連する最も深刻な有害事象は、胃腸穿孔、高血圧発症、ネフローゼ症候群およびうっ血性心不全である。この増殖因子により開始されるシグナル伝達カスケートにおける交互点でのVEGFの作用を標的とする開発中の他の治療剤は、スニチニブ(sunitinib)であり、このものはスーテントの商品名でスーゲン/ファイザーにより市場に出されるが、VEGF受容体のキナーゼ活性を阻害するものである。スーテント(Sutent)は第III相治験において、胃腸の腫瘍に有効であることが証明されている。
腫瘍発生において重要なもう一つの増殖因子は、血小板由来増殖因子(PDGF)であり、ペプチド増殖因子の系列からなる;この因子は細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を介してシグナルを送り、種々の細胞機能、例えば、成長、増殖、および分化などを刺激する。PDGFは多くの異なる固形腫瘍、例えば、グリア芽細胞腫および前立腺癌で証明されている。チロシンキナーゼ阻害剤メシル酸イマチニブは、化学名、メシル酸4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−イルピリジニル]アミノ]−フェニル]ベンズアミドと呼称し、Bcr−Ab1発癌タンパク質の活性と細胞表面チロシンキナーゼ受容体c−Kitを遮断するが、そのまま慢性骨髄性白血病と胃腸間質性腫瘍の処置に認可されている。メシル酸イマチニブはPDGFRキナーゼの強力な阻害剤でもあり、骨髄単球性白血病および多形性グリア芽細胞腫の処置について、これらの疾患がPDGFR中で突然変異を活性化するという証拠に基づいて、現在評価されつつある。最も頻繁に報告された薬物関連の有害事象は、浮腫、吐き気、嘔吐、痙攣および筋骨格疼痛であった。
癌化学療法のさらなる増殖因子標的は、細胞増殖の引き金を引く体内化学の連鎖反応において重要な酵素であるRafの阻害である。この経路の異常な活性化が、3分の2のメラノーマを含む殆どの癌の発生における共通の因子である。Rafキナーゼの作用を遮断することにより、これら腫瘍の進行を逆転させることが可能であり得る。かかる阻害剤のひとつはソラフェニブ(BAY43−9006)(化学名:4−(4−(3−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミド)である。ソラフェニブは細胞増殖を阻害するためにRafシグナル伝達経路を、また腫瘍血管形成を阻害するためにVEGFR/PDGFRシグナル伝達カスケードを標的とする。RafキナーゼはRas経路における特異的酵素である。Ras遺伝子における突然変異は全ヒト癌の約20パーセントに起こり、膵臓癌の90パーセント、結腸癌50のパーセント、および非小細胞肺癌の30パーセントに起こる。ソラフェニブは肝癌および腎臓癌を含む多くの癌の処置について検討されている。ソラフェニブの最も共通の副作用は、疼痛、腫脹、手および/または足の紅潮、またのぼせ、疲労感および下痢である。
生物活性:
本発明組み合わせのシグナリング阻害剤は上記の細胞シグナル伝達タンパク質の特異的阻害剤であり、様々な癌に対して活性を有する。式(I)で示される化合物とシグナリング阻害剤との組み合わせは多くのタイプの癌の処置と診断に有益であり得る。シグナリング阻害剤(例:イレッサ、アバスチン、ヘルセプチン、またはグリベック(商標))などの分子的に標的とする薬剤との組み合わせは、関連する分子標的、例えば、EGF受容体、VEGF受容体、ErbB2、BCRab1、c−kit、PDGFなどを発現するか、または活性化した癌と関連して、特別の適用を見出し得よう。かかる腫瘍の診断は当業者既知の技法およびRTPCRおよびFISHなどの本明細書に記載する技法により実施し得る。
課題;
腫瘍増殖に対しシグナリング阻害剤の阻害効率を増大させること、また患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、シグナリング阻害剤を低用量で使用するための手段を提供することが必要である。
優先性:
本発明に従って使用する好適なシグナリング阻害剤は、本明細書に言及したEGFRを標的とする抗体、例えば、トラスツズマブおよびセツキシマブ;EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ゲフィチニブおよびエルロチニブ;VEGF標的化抗体のベバシズマブ;PDGFR阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ;およびRaf阻害剤、例えば、ソラフェニブである。
EGFRを標的とする好適な抗体はモノクローナル抗体、トラスツズマブおよびセツキシマブである。トラスツズマブはジェネテック・インクから商標名ヘルセプチンの名称で市販入手可能であるか、または米国特許明細書US5821337に記載されたように入手し得る。セツキシマブはブリストル−マイヤー・スクイブ・コーポレーションから商標名エルビタックスの名称で市販入手可能であるか、またはPCT特許明細書WO96/40210に記載されたように入手し得る。
好適なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブおよびエルロチニブである。ゲフィチニブはアストラゼネカ株式公開会社から商品名イレッサの名称で市販入手可能であるか、またはPCT特許明細書WO96/33980に記載されたように入手し得る。エルロチニブはファイザー・インクから商品名タルセバの名称で市販入手可能であるか、またはPCT特許明細書WO96/30347に記載されたように入手し得る。
VEGFを標的とする好適な抗体はベバシズマブであり、ジェネテック・インクから商品名アバスチンの名称で市販入手可能であるか、またはPCT特許明細書WO94/10202に記載されたように入手し得る。
好適なPDGFR阻害剤はメシル酸イマチニブであり、ノバルティス(株)から商品名グリベック(商標)(別名グリベック;登録商標)の名称で市販入手可能であるか、または欧州特許明細書EP564409に記載されたように入手し得る。
好適なRaf阻害剤はソラフェニブであり、バイエル(株)から入手し得るか、またはPCT特許明細書WO00/42012に記載されたように入手し得る。
具体的態様:
一態様において、シグナリング阻害剤はゲフィチニブ(イレッサ)である。他の態様において、シグナリング阻害剤は、トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、メシル酸イマチニブおよびソラフェニブから選択される。
薬用量:
EGFR抗体に関して、これらは一般に体表面積平方メートル当り1ないし500mg(mg/m)の投与量で投与する;トラスツズマブは体表面積当り1ないし5mg/mの投与量、取分け2ないし4mg/mで有利に投与される;セツクスマブは約200ないし400mg/mの投与量、好ましくは約250mg/mで有利に投与される。
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に関して、これらは一般に一日100ないし500mgの経口投与量で投与される;例えば、ゲフィチニブは約250mgの投与量で、またエルロチニブは約150mgの投与量で投与される。
VEGFモノクローナル抗体ベバシズマブに関して、このもは一般に約1ないし10mg/kg、例えば、約5mg/kgの投与量で投与される。
PDGF阻害剤、イマチニブに関しては、このもは一般に1日あたり約400ないし800mg/kg、好ましくは、1日あたり約400mg/kgの投与量で投与される。
Raf阻害剤、ソルフェニブに関しては、このものはなお評価中であるが、可能な投与量は1日約800mgである。
これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
PKA/B阻害剤、PKB経路阻害剤および補助的PKB阻害剤
本発明の組み合わせに使用するシグナリング阻害剤のもう一つの好適な分類は、PKA/B阻害剤、PKB経路阻害剤および補助的PKB阻害剤である。
PKB経路阻害剤は、PKBの活性化、キナーゼそれ自体の活性を阻害するか、または下流標的を調節し、該経路の増殖作用および細胞生存作用を遮断する阻害剤である。該経路の標的酵素は、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、ラパマイシンの哺乳動物標的(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼおよびフォークヘッド転座である。PI3−キナーゼ/PKN/PTEN経路の数種の成分は発癌に関係している。増殖因子受容体チロシンキナーゼに加えて、インテグリン依存性細胞接着およびG−タンパク質結合受容体は、アダプター分子を介して直接的間接的にPI3−キナーゼを活性化する。PTENの機能的喪失(癌においてもっとも共通の変異した腫瘍抑制遺伝子でp53の後に続く)、PI3キナーゼの発癌遺伝子変異、PI3−キナーゼの増幅およびPKBの過剰発現が、多くの悪性度において確立されている。さらに、インスリン様増殖因子受容体の刺激によるPI3−キナーゼ/PKB経路を介しての持続性シグナル伝達は、上皮増殖因子受容体阻害剤に対する耐性のメカニズムである。
一連のヒト腫瘍においてp110αをエンコードする遺伝子の非ランダム体細胞突然変異の発見は、変異したPI3−キナーゼ酵素のための発癌遺伝子の役割を示唆する(Samuels, et al., Science, 304 554, April 2004)。p110αにおける突然変異はそれ以来以下のヒト腫瘍において検出されている:結腸(32%)、肝細胞性(36%)および子宮内膜様明細胞癌(20%)。p110αは現在、乳房腫瘍において最も共通の変異遺伝子である(25〜40%)。フォークヘッド系統群の転座が急性白血病においてしばしば起こる。
PI3−キナーゼ/PKB/PTEN経路は、従って、制癌剤開発にとって魅力的な標的である;その理由は、かかる薬剤が癌細胞において増殖を阻害し、細胞毒性剤に対する耐性に打ち勝つことが期待されるからである。
PKB経路阻害剤の例は、セマホアー、SF1126などのPI3K阻害剤およびラパマイシン類似体などのMTOR阻害剤である。ノバルティスのRAD001(エベロリムス)は、化合物ラパマイシンの経口利用可能な誘導体である。該化合物は新規マクロライドであり、免疫抑制剤および抗癌剤としての適用をもつ抗増殖剤として開発されている。RAD001は細胞内受容体タンパク質FKBP−12に対し高い親和性をとおして、細胞の増殖因子依存性増殖に対してその活性を発揮する。生成するFKBP−12/RAD001複合体は次いでmTORと結合して、下流のシグナル伝達事象を阻害する。該化合物は広範囲の腫瘍適応症について、現在臨床開発中である。ワイス・ファーマシューティカルスのCCI779(テムシロレムス(temsirolemus))およびアリアッド・ファーマシューティカルスのAP23573もラパマイシン類似体である。アリアッド・ファーマシューティカルのAP23841およびAP23573もmTORを標的とする。ハーバードのカルモジュリン・阻害剤はフォークヘッド転座阻害剤である。(Nature Reviews drug discovery, Exploiting the PI3K/AKT Pathway for Cancer Drug Discovery; Bryan T. Hennessy, Debra L. Smith, Prahlad T. Ram, Yiling Lu and Gordon B. Mills; December 2005, Volume 4; pages 988-1004)。
本発明の組み合わせにおいて補助剤として使用する好適なPKA/B阻害剤は、本明細書に定義した式(I)の化合物である。本発明の組み合わせにおいて使用するPKB経路阻害剤は、下記により詳細に記載する補助PKB阻害剤ならびにプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害もしくは調節活性を有する式(I)で示される化合物である(本明細書に記載)。従って、本発明の組み合わせは本明細書に定義した式(I)で示される2種以上の化合物を含有してなる(または、から本質的になる)。好適な補助PKB阻害剤は下記により詳細に検討する。
定義:
用語“PKA/B阻害剤”はプロテインキナーゼB(PKB)および/またはプロテインキナーゼA(PKA)阻害もしくは調節活性を有する式(I)で示される化合物を定義するために本明細書では使用し、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
用語“補助PKB阻害剤”はプロテインキナーゼB(PKB)を阻害または調節し、また本明細書に定義した式(I)の構造には一致しない化合物を定義するために本明細書では使用し、上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
用語“PKB経路阻害剤”は、PKBの活性化、キナーゼそれ自体の活性を阻害するか、または下流標的を調節し、該経路の増殖作用および細胞生存作用を遮断する化合物である(本明細書に記載した該経路の1種以上の標的酵素を含み、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)、PKBそれ自体、ラパマイシンの哺乳動物標的(MTOR)、PDK−1およびp70 S6キナーゼおよびフォークヘッド転座を含む)。
技術背景:
KRX−0401(ペリフォシン/NSC639966)は合成置換へテロ環状アルキルホスホコリンであり、主としてシグナル伝達経路を標的として細胞膜で作用し、PKBリン酸化を含む。KRX−0401は有力な経口抗癌剤として、第I相研究で評価されている。投与を制限する毒性は、吐き気、嘔吐および疲労感である。胃腸の毒性は高用量で増大した。難治性肉腫の第II相試験が計画されている。
API−2/TCNは腫瘍細胞におけるPKBシグナル経路の小分子阻害剤である。API−2/TCNの第I相およびII相治験は進行した腫瘍に関して実施されている。API−2/TCNは肝毒性、高トリグリセリド血症、血小板減少症、および高血糖症などいくつかの副作用を示した。高用量での重篤な副作用のために、API−2/TCNは臨床上制限があった。
RX−0201は固形腫瘍の処置のためにAKTプロテインキナーゼンヒビターとして開発中である。2004年7月、第I相試験が進行性または転移癌の患者で開始された。この試験からのデータはDX−0201がAktの過剰発現を阻害し、脳、乳房、子宮頚部、肝臓、肺、卵巣、前立腺および胃の腫瘍で細胞増殖を抑制し、十分に耐容性を示した。2005年3月までに、数種の固形腫瘍タイプについて、RX−0201に米国希少薬の地位が付与された。
エンザスタウリンHCl(LY317615)は血管形成を抑制し、抗血管形成活性に基づいて、臨床開発が進められた。このものは選択的PKCβ阻害剤として記載される。このものはまた抗腫瘍作用を有し、GSK3βリン酸化を抑制する。
SR−13668は、乳癌細胞のホスホ−AKTをインビトロおよびインビボの両方で有意に阻害する経口活性特異的AKT阻害剤であると主張される。マウスでのインビボ評価では、抗腫瘍活性に必要とされる用量の10倍以上の用量で有害な作用のないことを示した。
PX−316はD−3−デオキシ−ホスファチジル−ミオ−イノシトールであって、PKBのPHドメインに結合し、それを細胞質中に取り込み、結果としてPKBの活性化を防止する。抗腫瘍活性は初期の異種移植片に見られ、耐容性も良好であった。
2,3−ジフェニルキノキサリンコアまたは5,6−ジフェニルピラジン−2(1H)−オンコアに基づくPKBのアロステリック選択的阻害剤が開発されている(メルク)。
KRX−0401:欧州で実施されている第I相の週ごとの投与の研究において、推奨された第II相の用量は600/mg/週であった。引き続き米国で実施された研究では、相当に高投与量でも、投与量を分割し、4ないし6時間の間隔で投与した場合、良好に耐容性であることを示した。さらに、KRX−0401は100時間の範囲で非常に長い半減期をもつことが示されている。このことは比較的非毒性の間歇的投与スケジュールの可能性を非常に説得性のあるものとする。
API−2の第I相試験は連続5日間の注入スケジュールで実施された。投与レベルは10mg/sq m/日×5日ないし40mg/sq m/日×5日の範囲であった。当初、コースは3ないし4週ごとに反復した。蓄積毒性が明らかになるにつれて、コース間の間隔が6週ごとに変わった。第II相の治験で推奨されるスケジュールは6週ごとに5日間の20mg/sq m/日である。TCN−Pの第II相試験は子宮頚部の転移または再発扁平上皮癌で実施し、連続5日間の注入スケジュールとした。開始時投与量は35mg/m×5日とし、このコースを6週ごとに反復した。
さらなるPKB阻害剤はカーリックス・バイオファーマシューティカルス(Keryx Biopharmaceuticals)からのペリフォシンである。ペリフォシンはヒト腫瘍細胞株に対し顕著な細胞毒性を示す経口Akt阻害剤であり、現在、主要なヒトの癌の処置について、数種の第II相試験にて試験が行われている。KRX−0401(ペリフォシン/NSC639966)は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
このものは、アステ・メディカ(Aste Medica)の特許公開DE4222910またはキセノポート(Xenoport)の特許公開US2003171303に従って製造し得る。
API−2/TCN(トリチリビン;Triciribine)は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
このものは、ボーダー(Bodor)の特許公開WO9200988またはリバファーム(Ribapharm)の特許公開WO2003061385に従って製造し得る。
エンザスタウリン(Enzastaurin)塩酸塩は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
このものは、イーライ・リリーの特許公開WO2004006928に従って製造し得る。
SR13668は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
このものは、SRIインターナショナルの特許公開US2004043965に従って製造し得る。
NL−71−101は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
このものは、文献(Biochemistry(2002), 41(32), 10304-10314)の記載またはペプター(Peptor)の特許公開WO2001091754に従って製造し得る。
デベロジェン(以前のペプター)は、有力な癌処置用のプロテインキナーゼB(PKB)阻害剤NL−71−101を研究中である[466579]、[539004]。2003年の初頭、この化合物は誘導最適化を受けていた [495463]。2004年2月まで、会社はそのプロテインキナーゼBプログラムに対し、一定の開発権のアウトライセンスを求めていた[523638]。
2002年、データが公開され、NL−71−101はPKBの活性をPKA、PKGおよびPKC以上に阻害することを示した;そのIC50値はそれぞれ3.7、9、36および104マイクロMであった。NL−71−101はオブカー−3(OVCAR-3)腫瘍細胞においてアポトーシスを誘発した;該細胞中、PKBは50および100マイクロMの濃度で増幅される[466579]。この化合物は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
具体的態様:
期待される態様は、抗癌剤が上記の具体的化合物の1種以上から選択されるPKBである組み合わせである。
14.CDK阻害剤
定義:
本明細書に使用する場合、“CDK阻害剤”という用語は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害または調節する化合物をいい、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
技術背景:
CDKは細胞周期の調節、アポトーシス、転写、分化およびCNS機能において役割を演じる。それ故、CDK阻害剤は癌などの、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾患の処置に適用を見出し得る。取り分け、RB+ve腫瘍は特にCDK阻害剤に感受性であり得る。RB−ve腫瘍もまたCDK阻害剤に感受性であり得る。
本発明に従い組み合わせに使用し得るCDK阻害剤の例は、セリシクリブ(seliciclib)、アルボシジブ(alvocidib)、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991、ZK−304709およびAZD−5438である。
セリシクリブはロスコビチン(roscovitine)のR異性体であり、さらにはCYC202として既知である;化学名は(2R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)−アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノールである。種々の癌の有力な処置のために臨床試験で評価されつつあるが、対象の癌は、リンパ性白血病、非小細胞肺癌、糸球体腎炎、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、および乳癌である。臨床試験にて観察された毒性は、吐き気/嘔吐および無力症、皮疹、および低カリウム血症である。他の毒性は可逆性腎臓障害とトランスアミニティス、および嘔吐である。
アルボシジブ(alvocidib)は、フラボピリドール、HMR1275またはL86−8275としても知られ、その化学名は5,7−ジヒドロキシ−8−(4−N−メチル−2−ヒドロキシピリジル)−6'−クロロフラボンである;臨床試験では様々な癌の有力な処置について検討されており、その対象は、食道、胃、前立腺、肺および結腸の癌、また慢性リンパ性白血病、および多発性骨髄腫、リンパ腫である;観察される最も共通の毒性は、下痢、腫瘍痛、貧血、呼吸困難症および疲労感であった。
7−ヒドロキシ−スタウロスポリンはUCN−01としても知られ、種々の癌の有力な処置のために臨床試験で評価されつつある;対象の癌は慢性リンパ性白血病、膵臓腫瘍および腎臓腫瘍である;観察される有害事象は、吐き気、頭痛および高血糖である。
JNJ−7706621は化学名、N3−[4−(アミノスルホニル)−フェニル]−1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミンを有し、メラノーマおよび前立腺癌の有力な処置のための臨床試験対象である。BMS−387032は化学名、N−[5−[[[5−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキサゾリル]−メチル]チオ]−2−チアゾリル]−4−ピペリジンカルボキサミドを有し、転移性固形腫瘍、例えば、腎細胞癌腫、非小細胞肺癌、頭頚部癌腫および平滑筋肉腫などの患者にとって有力な抗癌剤として、第I相治験において評価された。該薬物は一次毒性として言及した一過性の好中球減少症をもつが、耐容性は良好であった。他の副作用は一過性の肝臓アミナーゼ上昇、胃腸毒性、吐き気、嘔吐、下痢および無酸素症であった。PHA533533は化学名、(αS)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−α−メチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)−ベンゼン-アセトアミドを有し、種々の癌、例えば、前立腺、結腸および卵巣の有力な処置のための前臨床試験の対象である。PD332991は化学名、8−シクロヘキシル−2−[[4−(4−メチル−1−ピペラジニル)フェニル]アミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンを有し、種々の癌の有力な処置のための前臨床試験の対象である。前臨床データは、それが高選択性の強力なCDK4阻害剤であり、インビボモデルにおいて顕著な腫瘍退縮を示すことを示唆している。
ZK−304709はPCT特許明細書WO02/096888に記載されている経口二重特異性CDKおよびVEGFRキナーゼ阻害剤であり、種々の癌の有力な処置のための前臨床試験の対象である。AZD−5438は選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤であり、固形癌の処置のために前臨床開発中である。セリシクリブ(Seliciclib)は、例えば、PCT特許明細書WO97/20842に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。アルボシディブ(Alvocidib)は米国特許明細書US4900727に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。7−ヒドロキシスタウロスポリンは、例えば、米国特許明細書US4935415に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。JNJ−7706621は、例えば、PCT特許明細書WO02/057240に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。BMS−387032は、例えば、PCT特許明細書WO01/44242に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。PHA533533は、例えば、米国特許明細書US6455559に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。PD332991は、例えば、PCT特許明細書WO98/33798に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。ZK−304709は、例えば、PCT特許明細書WO02/096888に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。
優先性および具体的態様:
検討される態様は、該抗癌剤が上記の具体的化合物の1種以上から選択されるCDK阻害剤である組み合わせである。従って、本発明に従って組み合わせに使用する好適なCDK阻害剤は、セリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、JNJ−7706621、BMS−387032、PHA533533、PD332991、ZK−304709およびAZD−5438である。
薬用量:
該CDK阻害剤は、例えば、日用量0.5ないし2500mg、より好ましくは10ないし1000mg、または別意では、0.001ないし300mg/kg、より好ましくは0.01ないし100mg/kgで投与し得る;取り分け、セリシクリブでは10ないし50mgの用量で;アルボシジブでは上記の米国特許明細書US4900727に従う投与量で;7−ヒドロキシスタウロスポリンについては0.01ないし20mg/kgの投与量で;JNJ−7706621については0.001ないし300mg/kgの投与量で;BMS−387032については0.001ないし100mg/kg、より好ましくは0.01ないし50mg/kg、最も好ましくは0.01ないし20mg/kgの投与量で;PHA533533については10ないし2500mgの投与量で;PD332991については1ないし100mg/kgの投与量で;またZK−304709については0.5ないし1000mg、好ましくは50ないし200mgの投与量で投与する。
これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
15.COX−2阻害剤
定義:
用語“COX−2阻害剤”はシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の活性を阻害または調節する化合物を定義するために本明細書では使用し、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
生物活性:
本明細書に記載した1種以上の薬理作用を介して作用するCOX−2阻害剤は、適切な抗癌剤として確認されている。
技術背景:
最近、癌化学療法における研究はシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素の役割に焦点が絞られている。疫学的研究では、関節炎などの症状を処置するために、例えば、アスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)を常時服用している人たちが、結腸直腸ポリープ、結腸直腸癌、および結腸直腸癌による死亡の率が低いことを示している。NSAIDはシクロオキシゲナーゼ酵素を遮断するが、この酵素は炎症過程において身体が産生し、また前癌状態の組織も産生する。例えば、結腸癌では、COX−2レベルの劇的な上昇が観察される。腫瘍増殖の重要なファクターの一つは、その増大したサイズを支える血液の供給である。多くの腫瘍は、その癌の周囲に新しい血管網を創出するために身体を刺激する化学的経路を利用することができる;このプロセスは血管新生と呼ぶ。COX−2はこのプロセスにおいて役割を有すると信じられる。それ故、結論されることは、COX−2の阻害が癌処置に有効であり得ること、またCOX−2阻害剤がこの目的で開発されたことである。例えば、化学名、4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドを有するセレコキシブは、様々な癌の処置のために開発されている選択的COX−2阻害剤である;対象の癌は、膀胱および食道癌、腎細胞癌腫、子宮頚部癌、乳癌、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫および非小細胞肺癌である。
薬用量:
COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)は100ないし200mgの投与量で投与し得る。
これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
課題:
最も共通の有害作用は、頭痛、腹痛、消化不良、下痢、吐き気、鼓腸および不眠症である。患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、COX−2阻害剤の低用量使用のための手段を提供することが必要である。
優先性および具体的態様:
一態様において、COX−2阻害剤はセレコキシブである。セレコキシブは、例えば、ファイザー・インクから商品名セレブレックスとして市販入手し得るか、または例えば、PCT特許明細書WO95/15316に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。
16.HDAC阻害剤
定義:
用語“HDAC阻害剤”は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性を阻害または調節する化合物を定義するために、本明細書では使用し、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
生物活性:
本明細書に記載した1種以上の薬理作用を介して作用するHDAC阻害剤は、適切な抗癌剤として確認されている。
技術背景:
ヒストンの可逆的アセチル化は、DNAへの転写因子の接近性を変化させることにより作用する遺伝子発現の主要な調節因子である。正常な細胞において、ヒストンデアセチラーゼ(HDAまたはHDAC)およびヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HDA)は一緒にヒストンのアセチル化のレベルを制御し、バランスを維持する。HDAの阻害は過アセチル化ヒストンの蓄積に至り、それが様々な細胞応答を生じる。HDAの阻害剤(HDAI)は癌細胞に対する治療効果について研究がなされている。HDAI研究の分野における最近の発展は、腫瘍の処置に適当な、高度に有効かつ安定な活性化合物を提供している。
ここから生じる証拠は、HDAIが他の化学療法剤との組合せで使用するとき、さらにより効果的であることを示唆する。そこには相乗的および相加的有益性があり、有効かつ安全である。化学療法剤とHDAIとの組み合わせの治療効果は、組み合わせにおける各成分のより低い安全な投与量を生じ得ることである。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤の研究は、事実上これらの酵素が細胞増殖と分化において重要な役割を演じていることを示している。阻害剤トリコスタチンA(TSA)はG1期およびG2期の両方で細胞周期の停止を引き起こし、形質転換した表現型の異なる細胞株に戻し、フレンド(Friend)白血病細胞その他の分化を誘発する。TSA(およびスベロイルアニリド・ヒドロキサム酸SAHA)は細胞増殖を阻害し、端末分化を誘発し、マウスの腫瘍形成を防止することが報告されている(Finnin et al., Nature, 401:188 - 193, 1999)。
トリコスタチンAはまた線維症、例えば、肝線維症および肝硬変の処置に有用であることが報告されている(Geerts et al., 欧州特許出願EPO827,742、1998年3月11日公開)。
優先性および具体的態様:
本発明に従って使用する好適なHDAC阻害剤は、TSA、SAHA、JNJ−16241199、LAQ−824、MGCD−0103およびPXD−101から選択される(上記参照)。
従って、本発明での使用に適するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の合成阻害剤は、ジョンソン・アンド・ジョンソン・インクのJNJ−16241199、ノバルティスのLAQ−824、メチルジーンのMGCD−0103、およびプロリフィックスのPXD−101である。
JNJ−16241199は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
MGCD−0103は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
LAQ−824は以下の構造を有する:
Figure 0005345842
本発明での使用に適するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の他の阻害剤は、限定されるものではないが、ペプチド・クラミドシン(chlamydocin)およびA−173(アボット・ラボラトリーズ)である。
A−173は以下の構造を有するコハク酸イミド多環状化合物である:
Figure 0005345842
薬用量:
一般に、HDAC阻害剤については、治療有効量が0.005mg/kgnaisi100mg/kg(体重)であり、取り分け、.005mg/kgないし10mg/kg(体重)であると予測される。必要な投与量は1日をとおして適切な間隔で2回、3回、4回またはそれ以上の分割用量で、必要な用量を投与することが適切である。当該分割用量は単位投与量の形態として、例えば、単位投与量の形態あたり0.5ないし500mg、取り分け10mgないし500mgの有効成分を含有する形態として製剤化し得る。
17.DNAメチラーゼ阻害剤
定義:
本明細書にて使用する場合、用語“DNAメチラーゼ阻害剤”または“DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤”は、直接または間接的に、DNAのメチル化を混乱させ、崩壊させ、遮断し、調節しまたは阻害する化合物をいい、さらに上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
生物活性:
本明細書に記載した1種以上の薬理作用を介して作用するDNAメチラーゼ阻害剤は、適切な抗癌剤として確認されている。
技術背景:
癌化学療法の一つの標的は、DNA合成であり、腫瘍DNAの適切なメチル化に依存し得る。直接または間接的に、DNAのメチル化を混乱させ、崩壊させ、遮断し、調節しまたは阻害する化合物は、それ故、有用な抗癌薬物であり得る。
DNAメチラーゼ阻害剤、テモゾロミド(temozolomide)は、多形性グリア芽細胞腫の処置に使用され、また最初の再発時の悪性グリオーマの処置、および進行した転移性悪性メラノーマの患者の第一線処置のために使用する。この化合物は生理的pHで活性化合物、モノメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド(MTIC)への急速な化学変換を受ける;このものはグアニン残基のO位置でのDNAのメチル化に関与する(これはDNAメチルトランスフェラーゼの発現抑制に導き、過少メチル化を生じると思われる)。
課題:
テモゾロミド療法と関連する最も共通の副作用は、吐き気、嘔吐、頭痛、疲労感および便秘である。DNAメチラーゼ阻害剤の阻害効果を増大させ、患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、シグナリング阻害剤の低用量使用のための手段を提供することが必要である。
優先性および具体的態様:
一態様において、DNAメチラーゼ阻害剤はテモゾロミド(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オクソイミダゾ[5,1−d]−as−テトラジン−8−カルボキサミド)である。テモゾロミドは、例えば、シェーリング・コーポレーションから商品名テモダールとして入手し得るか、またはドイツ特許明細書DE3231255に記載されたように、またはそれに類似の方法により製造し得る。
薬用量:
DNAメチル化剤(例えば、テモゾロミド)は体表面積平方メートル当り0.5ないし2.5mg(mg/m)の投与量で、取分け1.3mg/mで投与し得る。これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
18.プロテアソーム阻害剤
定義
本明細書にて使用する場合、用語“プロテアソーム阻害剤”は多くの短命な生物プロセス、例えば、細胞周期に関わるプロセスなどの半減期を直接または間接的に混乱させ、崩壊させ、遮断し、調節しまたは阻害する化合物をいう。それ故、この用語はプロテアソーム(他の細胞タンパク質の代謝回転に関与する大型タンパク質複合体)の作用を遮断する化合物を包含する。該用語はまた上記のそのイオン、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護体(好ましくはその塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物)をも包含する。
生物活性:
本明細書に記載した1種以上の薬理作用を介して作用するプロテアソーム阻害剤は、適切な抗癌剤として確認されている。
技術背景:
別の分類の抗癌剤はプロテアソーム阻害剤である。プロテアソームは多くの短命な生物プロセス、例えば、細胞周期に関わるプロセスなどの半減期を制御する。それ故、プロテアソーム機能不全は、細胞周期と制御不能細胞増殖の異常な制御に導き得る。
細胞周期は正および負のシグナル双方により制御される。正常細胞において、プロテアソームはサイクリン依存性キナーゼ阻害剤など、細胞周期を阻害するタンパク質を破壊する。プロテアソーム機能を阻害すると、細胞周期の停止と細胞死を惹き起こす。腫瘍細胞は正常細胞よりもこれらの作用に、より感受性である;その理由は、一部はそれらがより急速に分裂するからであり、また一部はそれらの調節経路が分断されるからである。正常および癌細胞のプロテアソーム阻害に対する分別応答のメカニズムは、完全には理解されていない。全体として、癌細胞はプロテアソーム阻害に対し、より感受性であり、結果として、これらの阻害剤が一定の癌について有効な処置であり得る。
プロテアソーム阻害剤の一つがボルテジミブ(bortezimib)であり、化学名が[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]−ボロン酸である。ボルテジミブはキーとなるアミノ酸、すなわち、スレオニンと、プロテアソームの触媒部位内で特異的に相互作用する。ボルテジミブは多発性骨髄腫の処置のために、また白血病とリンパ腫、および前立腺、膵臓および結腸直腸癌腫などの多くの他の癌のために使用されている。
課題:
ボルテジミブの最も共通の副作用は、吐き気、倦怠感、下痢、便秘、血小板血中数低下、発熱、嘔吐、および食欲低下である。ボルテジミブはまた末梢神経障害を起こし得る。
患者に有害な毒性副作用の可能性を低減させるために、低用量使用のための手段を提供することが必要である。
優先性および具体的態様;
本発明に従って使用する好適なプロテアソーム阻害剤はボルテジミブである。ボルテジミブは、例えば、ミレニアム・ファーマシューティカルス・インクから商品名ベルケードとして市販入手し得るか、または例えば、PCT特許明細書WO96/13266に記載されたように、またはその類似の方法により製造し得る。
薬用量:
プロテアソーム阻害剤(ボルテジミブなど)は、100ないし200mg/m2などの投与量で投与し得る。これらの投与量は、例えば、処置のコースごとに1回、2回またはそれ以上の回数で投与可能であり、その処置は、例えば、7、14、21または28日ごとに繰り返すことができる。
抗生物質ブレオマイシンもまた本発明により抗癌剤としての細胞毒性剤として使用し得る。
抗癌剤組み合わせ
本発明の組み合わせは2種以上の補助化合物を含有してなり得る。かかる態様において、補助化合物は抗癌剤であり得る。かかる態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、カルボプラチン、シスプラチン、タキソール、タキソテレ、ゲムシタビン、およびビノレルビンから選択し得る。好ましくは、2種以上のさらなる抗癌剤はカルボプラチン、タキソールおよびビノレルビン、またはカルボプラチンおよびタキソールである。
式(I)で示される化合物とカルボプラチン、タキソールおよびビノレルビンとの組み合わせ、または式(I)で示される化合物とカルボプラチンおよびタキソールとの組み合わせは、取分け非小細胞肺癌の処置に適切である。
一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、5−FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、CPT11、およびベバシズマブから選択される。好ましくは、2種以上の抗癌剤は、5−FU、ロイコボリンおよびCPT11、または5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンである。
式(I)で示される化合物と5−FU、ロイコボリンおよびCPT11との組み合わせ、または式(I)で示される化合物と5−FU、ロイコボリンおよびオキサリプラチンとの組み合わせは、取分け結腸癌の処置に適している。
一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、メトトレキセート、タキサン、アンスラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−FU、およびシクロホスファミドから選択される。一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、タキサン、アンスラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−FU、およびシクロホスファミドから選択される。一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、5−FU、メトトレキセート、シクロホスファミドおよびドキソルビシンから選択される。好ましくは、2種以上の抗癌剤は、5−FU、メトトレキセートおよびシクロホスファミド、または5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド、またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドである。
式(I)で示される化合物と5−FU、メトトレキセートおよびシクロホスファミドとの組み合わせ、または式(I)で示される化合物と5−FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドとの組み合わせ、またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドとの組み合わせは、取分け乳癌の処置に適している。
一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチン、およびプレドニソンから選択される。好ましくは、2種以上の抗癌剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニソン、またはシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニソンである。
式(I)で示される化合物と、シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニソンとの組み合わせは、取分け非ホジキンリンパ腫(および、取分け高度非ホジキンリンパ腫)の処理に適している。式(I)で示される化合物と、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニソンとの組み合わせは、取分け非ホジキンリンパ腫(および、取分け低度非ホジキンリンパ腫)の処理に適している。
一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、ビンクリスチン、ドキソルビシン、およびデキサメタゾンから選択される。好ましくは、2種以上の抗癌剤はビンクリスチン、ドキソルビシン、およびデキサメタゾンである。
式(I)で示される化合物と、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンとの組み合わせは、取分け多発性骨髄腫の処置に適している。
一態様において、2種以上の抗癌剤は独立して、フルダラビンおよびリツキサマブから選択される。好ましくは、2種以上の抗癌剤は、フルダラビンおよびリツキサマブである。
式(I)で示される化合物とフルダラビンおよびリツキサマブとの組み合わせは、取分け慢性リンパ性白血病の処置に適している。
一態様において、本発明の組合せは、所望により、トポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、DNA結合剤、モノクローナル抗体、シグナル伝達阻害剤および微小管阻害剤(チューブリン標的剤)、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサンおよびマイトマイシンCから選択される抗癌剤の2種以上の組合せを除外する。
一態様において、本発明の組合せは、抗アンドロゲン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、DNAメチル化阻害剤およびCDK阻害剤から選択される少なくとも1種の抗癌剤を含む。
本発明の具体的組み合わせ
本発明による特定の組み合わせは、本明細書に定義した式(I)で示される化合物およびそのサブグループと、以下の2種以上の抗癌剤とを含む:
癌(および取分け急性骨髄性白血病)処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、2種以上のアンスラサイクリン、アラC(別名、シタラビン)、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガマイシンおよび顆粒球コロニー刺激因子から選択される。あるいは、2種以上の抗癌剤は独立して、2種以上のアンスラサイクリン、アラC(別名、シタラビン)、ダウノルビシン、イダルビシン、ゲムツズマブ・オゾガマイシンおよび顆粒球コロニー刺激因子から選択される。
癌(および取分け乳癌)処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、ベバシズマブ、タキサン、メトトレキセート、パクリタケセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビンから選択される;特に、5−FU、メトトレキセートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびイホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドである。好ましくは、癌(および取分け乳癌)処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、タキサン、メトトレキセート、パクリタケセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、ドキソルビシン、ヘルセプチン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、エピルビシンおよびカペシタビンから選択される;特に、5−FU、メトトレキセートおよびシクロホスファミド;5FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド;またはドキソルビシンおよびシクロホスファミドである。
代表的投薬方法は以下のとおりである:
・ シクロホスファミド、100mg/m経口/日×14日;ドキソルビシン,30mg/m静脈内、第1日と第8日;フルオロウラシル、500mg/m静脈内、第1日と第8日、28日ごとに6サイクルまで反復する。
・ シクロホスファミド、600mg/m静脈内第1日、およびドキソルビシン、60mg/m静脈内、第1日、21日ごとに4サイクルまで反復する。
癌(および取分け慢性リンパ性白血病(CLL))処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、アレムツズマブ、クロルアンブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソロン、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブから選択される。好ましくは、癌(および取分け慢性リンパ性白血病(CLL))処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、クロルアンブシル、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソロン、フルダラビン、ミトキサントロンおよびリツキシマブ/リツキサマブから、特にフルダラビンおよびリツキサマブから選択される。
癌(および取分け慢性骨髄性性白血病(CML))処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、ヒドロキシウレア、シタラビン、およびイマチニブから選択される。
癌(および取分け結腸癌処置)のために、2種以上の抗癌剤は独立して、セツキシマブ、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレクスド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11から選択される;特に、5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT11またはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンである。
あるいは、癌(および取分け結腸癌処置)のために、2種以上の抗癌剤は独立して、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、ラルチレクスド、カペシタビン、ベバシズマブ、オキサリプラチン、CPT11およびアバスチンから選択される;特に、5−フルオロウラシル、ロイコボリンおよびCPT11またはフルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチンである。
代表的投薬方法は以下のとおりである:
・ フルオロウラシル、400〜425mg/m静脈内、第1日ないし第5日;ロイコボリン、20mg/m静脈内、第1日ないし第5日;28日ごとに6サイクルまで反復する。
・ イリノテカン、100〜125mg/m静脈内90分間、1、8、15および22日目;フォリン酸、20mg/m静脈内、1、8、15および22日目;およびフルオロウラシル、400〜500mg/m静脈内、1、8、15および22日目、疾患進行まで42日ごとに反復する。
・ オキサリプラチン、85mg/m静脈内、第1日120分間500mLのD5W中;フォリン酸、200mg/m2静脈内、120分間、第1日および第2日;フルオロウラシル、400mg/m2静脈内ボーラス、フォリン酸に続き、第1日および第2日、次いで、フルオロウラシル、600mg/m2連続静脈内22時間、第1日および第2日;12日ごとに12サイクルまで反復する。
癌(および取分け多発性骨髄腫の処置)のために、2種以上の抗癌剤は独立して、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メルファラン、プレドニソン、シクロホスファミド、エトポシド、パミドロネート、ゾレドロネートおよびボルテゾミブから選択される;特に、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびデキサメタゾンである。
癌(および取分け非ホジキンリンパ腫の処置)のために、2種以上の抗癌剤は独立して、シクロホスファミド、ドキソルビシン/ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン/オンコ−TCS(V/O)、プレドニソロン、メトトレキセート、シタラビン、ブレオマイシン、エトポシド、リツキシマブ/リツキサマブ、フルダラビン、シスプラチン、およびイホスファミドから選択される;特に、高度NHL用のシクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、ビンクリスチンおよびプレドニソン、または低度NHL用のシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニソンである。
癌(および取分け非小細胞肺癌(NSCLC))処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビンから選択される;特に、タキソール、ビノレルビンおよびカルボプラチン、またはタキソールおよびカルボプラチンである。癌(および取分け非小細胞肺癌(NSCLC)処置のために特に好ましい2種以上の抗癌剤は、独立して、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビンおよびビノレルビンから選択される;特に、タキソール、ビノレルビンおよびカルボプラチン、またはタキソールおよびカルボプラチンである。
代表的投薬方法は以下のとおりである:
・ ゲムシタビン、1000mg/m静脈内、1、8および15日目;およびシスプラチン、75〜100mg/m静脈内第1日;28日ごとに4〜6サイクル反復。
・ パクリタキセル、135〜225mg/m静脈内、3時間、第1日;およびカルボプラチン、AUC6.0静脈内第1日;21日ごとに4〜6サイクル反復。
・ ドセタキセル、75mg/m静脈内第1日;およびカルボプラチン、AUC5または6静脈内第1日;21日ごとに4〜6サイクル反復。
・ドセタキセル、75mg/m静脈内第1日;およびシスプラチン、75mg/m静脈内第1日;21日ごとに4〜6サイクル反復。
癌(および取分け卵巣癌)処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、白金化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、タキソール、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、メルファランおよびミトキサントロンから選択される。
癌(および取分け前立腺癌)処置のために、2種以上の抗癌剤は独立して、ミトキサントロン、プレドニソン、ブセレリン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、酢酸サイプロテロン、メゲストロール/メゲストレル、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、ゾレドロン酸およびタキソテレから選択される。
医薬製剤
本発明組み合わせ中の活性化合物は単独で投与することも可能であるが、好ましくは、少なくとも1つの本発明活性化合物と、1種以上の医薬的に許容される担体、補助剤、添加剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、滑沢剤、または当業者周知の他の物質、および所望によりその他の治療もしくは予防剤と共に含有してなる医薬組成物(例えば、製剤)として提供する。
従って、本発明はさらに、上に定義した医薬組成物および、上記定義の少なくとも1つの活性化合物と、本明細書に記載した1種以上の医薬的に許容される担体、添加剤、緩衝剤、補助剤、安定化剤、または他の物質とを一緒に混合してなる医薬組成物の製造法を提供する。
本明細書にて使用する場合、“医薬的に許容される”という用語は、信頼できる医学的判定の範囲内で、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に使用するのに適し、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や併発症をもたず、妥当な有益性/危険の比率に相応である化合物、物質、組成物、および/または投与形態に関係する。担体、添加剤などのそれぞれは、製剤の他の成分と両立し得るという意味で、“許容される”ものでなければならない。
式(I)で示される化合物を含有する医薬組成物は、既知の技法に従って製剤化し得る;参照例:Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, USA。
従って、さらなる側面において、本発明は本明細書に定義した式(I)で示される化合物およびそのサブグループの化合物を医薬組成物の形状で提供する。
該医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、耳用、直腸、膣内、または経皮投与に適する形状とすることができる。該組成物を非経口投与用としようとする場合は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与用に、または標的とする臓器もしくは組織に、注射、注入もしくは他の送達手段により直接送達するように製剤化し得る。該送達はボーラス注射、短時間注入または長時間注入により実施し得るか、または適当な注入ポンプの利用により実施し得る。
非経口投与用に適合する医薬製剤は、水性または非水性無菌注射溶液であって、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、補助溶媒、有機溶媒混合物、シクロデキストリン錯体形成剤、乳化剤(エマルジョン製剤を形成し、安定化するため)、リポソームを形成するリポソーム成分、ポリマーゲルを形成するゲル化可能なポリマー、凍結乾燥保護剤および取分け可溶性形状の有効成分を安定化し、意図した受容者の血中と製剤とを等張性とする薬剤を含有し得る溶液である。非経口投与のための医薬製剤もまた懸濁化剤および粘稠化剤を含有し得る水性または非水性無菌懸濁液の形状をも取り得る(R. G. Strickly, Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, Vol 21(2)2004, p 201-230)。
リポソームは外部の脂質二層膜と内部の水性コアから構成され、全体の直径が<100μmの閉鎖球状小胞である。疎水性のレベルにより、適度に疎水性の薬物は、該薬物がリポソーム内に包埋または挿入される場合に、リポソームにより可溶化され得る。疎水性の薬物は、該薬物分子が脂質二層膜の内在部分となるならば、リポソームにより可溶化することができ、この場合、該疎水性薬物は脂質二層の脂質部分に溶解する。
該製剤は単一用量または多数回用量の容器、例えば、封入アンプルおよびバイアルにて提供可能であり、また凍結乾燥(凍乾)条件で貯蔵することができ、この場合、使用直前に、例えば、注射用水などの無菌液状担体の添加のみを必要とする。
該医薬製剤は本明細書に定義した式(I)で示される化合物またはそのサブグループを凍乾することにより調製し得る。凍結乾燥とは、組成物を凍結し、乾燥する手法をいう。凍結乾燥および凍乾は従って、本明細書では同義語として使用する。
即席の注射溶液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製し得る。
非経口注射用の本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される無菌の水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンならびに使用直前に無菌の注射溶液または分散液に再構築し得る無菌の粉末を含んでなる。好適な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒または媒体は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースとその適当な混合物、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合には必要な粒径を維持することにより、また界面活性剤を使用することにより、維持することができる。
本発明の組成物は補助成分、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などを含み得る。微生物作用の予防は、様々の抗菌剤および抗カビ剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを包含させることにより確かなものとし得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含めることも望ましい。注射用医薬形状の延長された吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用因子を含ませることによりもたらし得る。
本明細書の好適な一態様において、該医薬組成物は、例えば、注射または注入による静脈内投与に適する形状にある。静脈内投与用溶液はそのまま投与し得るか、または投与前に点滴用バッグ(医薬的に許容される賦形剤、例えば、0.9%食塩水または5%デキストロース)に注射することができる。
別の好適な態様において、該医薬組成物は皮下(s.c.)投与に適した形状である。
経口投与に適する医薬投与形状は、錠剤、カプセル、ピル、ロゼンジ、シロップ、溶液、粉末、顆粒、エリキシルおよび懸濁液、舌下錠、ウエハスまたはパッチおよび口腔パッチである。
このように、錠剤組成物は、糖または糖アルコールなどの不活性希釈剤または担体、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールもしくはマンニトール;および/または非糖由来希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはセルロースもしくはその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびコーンスターチなどと共に、単位投与量の活性化合物を含み得る。錠剤は標準的な添加剤、例えば、結合剤および顆粒化剤、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例:架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例:ステアリン酸塩)、保存剤(例:パラベン)、抗酸化剤(例:BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸またはクエン酸バッファー)、およびクエン酸塩/炭酸塩混合物などの発泡剤をも含み得る。かかる添加剤は周知のものであり、ここで詳細に検討する必要はない。
カプセル製剤は硬ゼラチンまたは軟ゼラチンの種類のカプセルがあり、固形、半固形、または液状形の活性成分を収容し得る。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたは合成もしくは植物由来のその等価物から形成し得る。
固形の投与形態(例:錠剤、カプセルなど)は被覆されていても、未被覆であってもよいが、一般にはコーティング、例えば、保護フィルムコーティング(例:ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有する。コーティング(例:オイドラギット(商標)型ポリマー)は胃腸管内の所望の位置で活性成分を放出するように設計し得る。従って、コーティング胃腸管内の特定のpH条件下で崩壊するように選択し得、それによって選択的に胃内に、または回腸もしくは十二指腸内に化合物を放出する。
コーティングの代わりに、またはコーティングに加えて、薬物は放出制御剤、例えば、胃腸管内の多様な酸性またはアルカリ性の条件下で、選択的に化合物を放出させ得る放出遅延剤を含有してなる固形マトリックス中に提供し得る。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、投与形態が胃腸管を通過するにつれて、実質的に連続的に侵食される侵食性ポリマー(例:マレイン酸無水物ポリマー)の形態を採ることができる。さらなる代替法として、活性化合物は、該化合物の放出の浸透性制御を提供する送達システムに製剤化することができる。浸透放出および他の遅延放出または持続性放出製剤は当業者周知の方法に従って調製し得る。
該医薬組成物は約1%ないし約95%、好ましくは約20%ないし約90%の有効成分を含有してなる。本発明による医薬組成物は、例えば、単位用量形態、例えば、アンプル、バイアル、座剤、糖衣錠、錠剤またはカプセルの形態とし得る。
経口投与用の医薬組成物は、有効成分を固形担体と組合せ、得られる混合物を所望により顆粒化し、その混合物を、所望または必要により適切な添加剤後に、錠剤、糖衣錠またはカプセルに加工処理することにより得ることができる。また、それらを合成樹脂の担体に取り込ませて、正確な量の有効成分が拡散または放出されるようにすることも可能である。
本発明の化合物は固形の分散剤としても製剤化し得る。固形分散剤は2種以上の固体の均一な非常に微細な分散相である。固溶体(分子的に分散した系)は固形分散の1つの型であり、製剤工学での使用については周知であって(参照:Chiou and Riegelman, J. Pharm. Sci., 60, 1281-1300(1971))、溶解率を挙げ、水に溶解し難い薬物の生物利用能を増大させるのに有用である。
本発明はまた上記の固溶体を含有してなる固形投与形態をも提供する。固形投与形態は、錠剤、カプセルおよび咀嚼錠である。既知の添加剤は固溶体と混和し、所望の投与形態を提供する。例えば、カプセルは、(a)崩壊剤および滑沢剤、または(b)崩壊剤、滑沢剤および界面活性剤、と混和した固溶体を含有し得る。錠剤は少なくとも1種の崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、およびすべり剤と混和した固溶体を含有し得る。咀嚼錠は充填剤、滑沢剤、および所望により追加の甘味剤(人工甘味料など)、および適切な芳香剤を含み得る。
該医薬製剤は単一の包装に処置の全コースを含む“患者包装品”(通常はブリスターパック)として患者に提供される。患者包装品は、薬剤師が大量の備品から患者量の医薬を分割する伝統的な処方を超える利点を有する;また、患者は通常患者の処方には見当たらない患者包装品に納められた添付文書を常に手にする。包装に添付文書を含めることは、医師の指示に対する患者のコンプライアンスを改善することが示されている。
局所用の組成物は、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴および挿入物(例えば、眼内挿入物)である。かかる組成物は既知方法に従い製剤化し得る。
直腸または膣内投与用製剤の例は、ペッサリーおよび座剤であり、これらは例えば活性化合物を含有する形状化可能な、またはワックス状物質から形成し得る。
吸入により投与する組成物は、吸入可能な粉末組成物または液状もしくは粉末スプレーの形状を採り得、粉末吸入装置またはエーロゾル分配装置を用いる標準的形状で投与し得る。かかる装置は周知である。吸入による投与の場合、粉末化製剤は一般に活性化合物と不活性の固形粉末化希釈剤、例えば、ラクトースとを含有してなる。
式(I)で示される化合物は一般に単位投与形態で提供され、それ自体が所望のレベルの生物活性を提供する十分な化合物を含む。例えば、製剤は1ナノグラムないし2グラムの有効成分、例えば、1ナノグラムないし2ミリグラムの有効成分を含み得る。この範囲内で、特定の狭い範囲の化合物は0.1ミリグラムないし2グラムの有効成分(さらに通常は10ミリグラムないし1グラム、例えば、50ミリグラムないし500ミリグラム)、または1マイクログラムないし20ミリグラム(例えば、1マイクログラムないし10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラムないし2ミリグラムの有効成分)である。
経口組成物の場合、単位投与形態は1ミリグラムないし2グラム、より一般的には10ミリグラムないし1グラム、例えば、50ミリグラムないし1グラム、例えば、100ミリグラムないし1グラムの活性化合物を含む。
活性化合物はそれを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成する十分な量を投与する。
プロテインキナーゼ阻害活性
プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼBの阻害剤の活性は、下記実施例に示したアッセイ法により測定することが可能であり、所定の化合物により示された活性レベルはIC50値により定義することができる。本発明の組み合わせに使用する好適な化合物は、プロテインキナーゼBに対するIC50値が1μM未満、より好ましくは0.1μM未満の化合物である。
治療用途
増殖性障害の予防または処置
本発明の組み合わせは、新生物の増殖を防止するか、またはアポトーシスを誘発する手段を提供するのに有用である。それ故、該組み合わせは癌などの増殖障害を処置または予防する際に有用であることを証明することが期待される。取分け、PTENに欠失または不活化突然変異を有する腫瘍、またはT細胞リンパ球TCL−1遺伝子においてPTEN発現または転移を喪失した腫瘍は、特に、PKB阻害剤に感受性であり得る。上方制御されたPKB経路シグナルに導く他の異常性をもつ腫瘍は、特にPKBの阻害剤に感受性であり得る。かかる異常性の例は、限定されるものではないが、1種以上のPI3Kサブユニットの過剰発現、1種以上のPKBイソ型の過剰発現、または問題の酵素の基礎活性の上昇に導くPI3K、PDK1、またはPKBにおける突然変異、または増殖因子受容体の上方制御もしくは過剰発現もしくは変異活性化(該増殖因子受容体は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)および血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)系統群から選択される)である。
さらに予見されることは、本発明の組み合わせは、例えば、増殖もしくは生存における障害、例えば、ウイルス感染、および神経変性疾患などから生じる他の症状の処置に有用であることである。PKBは免疫応答に際して免疫細胞の生存を維持する上で、重要な役割を演じ、それ故、PKB阻害剤は自己免疫症状などの免疫障害において特に有益であり得る。
それ故、該組み合わせは、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾患の処置に有用であり得る。
該組み合わせは、インスリン耐性および非感受性のために生じる疾患、および代謝性疾患および肥満などのグルコース、エネルギーおよび脂肪貯留のために生じる疾患に有用であり得る。
阻害し得る癌の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:癌腫、例えば、膀胱、乳房、結腸(例:結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌腫)、腎臓、上皮細胞、肝臓、肺の癌腫、例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、食道、胆嚢、卵巣、膵臓(例:外分泌膵臓癌)、胃、子宮頚部、上皮細胞、甲状腺、前立腺、または皮膚(例えば、扁平上皮細胞癌)の癌;リンパ系列の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛状細胞リンパ腫、またはバーケットリンパ腫;骨髄系列の造血系腫瘍、例えば、急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、または前骨髄球性白血病;甲状腺濾胞性癌;間充織起源の腫瘍、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢系または末梢神経系腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽腫、グリオーマまたは神経鞘腫;メラノーマ;精上皮腫;奇形癌;骨癌;色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum);角化棘細胞腫;甲状腺濾胞性癌;またはカポジ肉腫。
従って、異常細胞増殖からなる疾患または状態を処置するための医薬組成物、使用または方法において、一態様における異常細胞増殖からなる疾患または状態は癌である。
癌の具体的なサブセットは、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌および非小細胞肺癌である。
癌のさらなるサブセットは、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮内膜癌およびグリオーマである。
免疫障害
該組み合わせが有益であり得る免疫障害は、限定されるものではないが、自己免疫症状および慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫仲介糸球体腎炎、リウマチ様関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病、過敏反応性湿疹、喘息、COPD、鼻炎、および上部呼吸器疾患である。
他の治療用途
PKBはアポトーシス、増幅、分化において役割を演じ、それ故、該組み合わせは、癌および免疫機能不全と関連する疾患以外の以下の疾患の処置にも有用である:ウイルス感染症、例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプシュタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、HIV、HPV、HCVおよびHCMV;HIV感染個体におけるAIDS発症の予防;心臓血管系疾患、例えば、心臓肥大、再狭窄、アテローム性硬化症;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症および小脳変性;糸球体腎炎;骨髄異形性症候群、虚血性傷害と関連する心筋梗塞、発作および再潅流傷害、筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症と関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、のう胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患。
処置方法と薬用量
式(I)で示される化合物の代表的日用量は、体重1キログラムあたり100ピコグラムないし100ミリグラムの範囲、より典型的には体重1キログラムあたり5ナノグラムないし25ミリグラム、より一般的には体重1キログラムあたり10ナノグラムないし15ミリグラム(例えば、10ナノグラムないし10ミリグラム、そしてより典型的にはキログラムあたり1マイクログラムないしキログラムあたり20ミリグラム、例えば、キログラムあたり1マイクログラムないし10ミリグラム)であるが、要すれば、より高いまたはより低い用量も投与し得る。式(I)で示される化合物は、毎日を基本として、または例えば、2、または3、または4、または5、または6、または7、または10または14、または21、または28日ごとの反復を基本として投与し得る。
本発明組み合わせの構成化合物は、例えば、1ないし1500mg、2ないし800mg、または5ないし500mg、例えば、2ないし200mgまたは10ないし1000mgの用量範囲で経口投与することができ、用量の具体例は、10、20、50および80mgである。該化合物は各日1回またはそれ以上で投与し得る。該化合物は連続して投与し得る(すなわち、処置投薬計画の期間を通して中断することなく毎日服用する)。あるいは、該化合物は断続的に投与し得る;すなわち、所定の期間、例えば、1週間連続的に摂取し、次いで1週間などの期間中断し、次いで1週間などの別の期間連続して摂取するなどを、処置投薬計画の全期間で実施する。断続投与を含む処置投薬計画の例は、投与を1週間の摂取、1週間の中断のサイクル;または2週間の摂取、1週間の中断;または2週間の摂取、2週間の中断;または4週間の摂取、2週間の中断;または1週間の摂取、3週間の中断とし;それを1回以上のサイクル、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10サイクル以上を繰り返す。
別の具体的な投与計画においては、患者は30分ないし1時間の注入を受けた後、多様な時間、例えば、1ないし5時間、例えば、3時間の注入維持受ける。
さらなる具体的な投与計画においては、患者は12時間ないし5日間の注入、取分け、24時間ないし72時間の連続注入を受ける。
しかし、最終的には、投与される化合物の量および使用する組成物の型は、処置される疾患または生理的症状の性質と釣り合わせるが、医師の裁量に委ねる。
本明細書に定義された本発明の組み合わせは、さらに特定の病状、例えば、本明細書にすでに定義した癌などの新生物疾患の処置のために、1種以上の他の化合物と組み合わせるか、および/または共に投与することができる。本発明の組み合わせと一緒に(同時であるか、または異なる時間間隔であるかに関わらず)投与し得る他の治療剤または処置の例は、以下のとおりであるが、限定されるものではない:
・ トポイソメラーゼI阻害剤
・ 代謝拮抗剤
・ チューブリン標的剤
・ DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・ アルキル化剤
・ モノクローナル抗体
・ 抗ホルモン
・ シグナル伝達阻害剤
・ プロテアソーム阻害剤
・ DNAメチルトランスフェラーゼ
・ サイトカインおよびレチノイド
・ クロマチン標的化療法
・ 放射線療法、および
・ その他の治療または予防剤:例えば、化学療法と関連する一部の副作用を低減または軽減する薬剤。かかる薬剤の特定の例は、抗嘔吐剤および化学療法と関連する好中球減少症の期間を予防または縮小し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート;炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニソン、およびプレドニソロン);および末端肥大症患者における成長ホルモンおよびIGF−Iの血中レベルを低下させるために使用する薬剤、例えば、脳ホルモンソマトスタチンの合成体、例えば、天然のホルモンソマトスタチンの性質を真似た薬理的性質をもつ長時間作用型オクタペプチドである酢酸オクトレオチドが包含される。さらに包含されるのは、葉酸のレベルを低下させる薬物に対する解毒薬として使用するロイコボリン、またはフォリン酸それ自体、および浮腫および血栓塞栓エピソードなどの副作用の処置に使用し得る酢酸メゲストロールなどの薬剤である。
補助的化合物との組み合わせ療法に使用するために、式(I)で示される化合物および1種、2種、3種、4種またはそれ以上の補助的化合物は、例えば、一緒に製剤化して、1種、2種、3種、4種またはそれ以上の補助的化合物を含有する投与形態とし得る。代替法において、本発明の組み合わせの構成化合物は、別々に製剤化して、キットの形態で、所望によりその使用についての説明書と共に提供し得る。
本発明の組み合わせはプロテインキナーゼAおよび/またはプロテインキナーゼBが仲介する一連の病状または状態の予防または処置に有用であると予測される。かかる病状および症状の例は、上記のとおりである。
本発明の組み合わせは、一般にかかる投与の必要な対象、例えば、ヒトまたは動物患者、好ましくはヒトに投与する。
該組み合わせの構成化合物は、一般に、治療的または予防的に有用で、一般に非毒性である量で投与する。しかし、特定の状況下(例えば、生命に関わる疾患の場合)、本発明の組み合わせを投与する有益性は、毒性作用または副作用の不利益を上回る;この事例において、化合物の組み合わせは毒性の程度と関連させた量で投与することが望ましいと考えられる。
本発明組み合わせの構成化合物は、有益な治療効果を維持するために長期間投与し得るか、または短期間のみ投与してもよい。あるいは、それらは脈動的または連続的方式で投与し得る。
組み合わせの化合物は同時にまたは連続的に投与し得る。連続的に投与する場合、それらは短い時間間隔で(例えば、5〜10分間で)、または長い時間間隔で(例えば、1、2、3、4時間またはそれ以上離して、または要すればさらに長い時間間隔、例えば、1、2、3、4、5、6または7日間離して)投与することができ、正確な投与処方計画は治療剤の性質と釣り合わせる。連続投与の場合、第二の(または追加の)有効成分を投与する際の遅れが、有効成分の組み合わせの有効な効果の有利な利益を失うようであってはならない。さらに、第二の(または追加の)有効成分を投与する際の遅れは、一般には、他の化合物の投与前に、第一の化合物の有害な副作用が許容し得るレベルまで低下し得るように時間を定めるが、その際、有効成分の組み合わせの有利な利益を失わないようにする。
2回以上の処置は個々に変わる投与スケジュールにより、また同じかまたは異なるルートを経由して施し得る。
例えば、一つの化合物を経口ルートで投与し、他の化合物(類)は非経口投与により、例えば、注射(例:静脈内)または注入による投与により投与する。代替法においては、すべての化合物を注射または注入により投与し得る。さらなる代替法においては、すべての化合物を経口で与え得る。一特定態様において、式(I)で示される化合物は注射または注入により投与し、補助的化合物の1種以上は経口で投与する。
異なる時間に投与する場合、組み合わせの少なくとも一方の成分の投与は、1種以上の他の成分の投与と交互に行うか、または差し挟み得る;または組み合わせの成分は一連の治療中で投与し得る。上に述べたように、組み合わせ成分の投与は時間をおいて行う;例えば、1時間以上、1日以上、またはさらには週以上の間隔とするが、ただし、それらは全体として同じ処置の一部を形成する。
本発明の一態様において、式(I)で示される化合物は、補助的化合物(類)と連続的に、または同時に投与する。
本発明の別の態様において、式(I)で示される化合物は、補助的化合物(類)と連続的に、いずれかの順序で投与する。
さらなる態様においては、1種以上の補助的化合物が、式(I)で示される化合物に先立って投与される。
別の態様においては、1種以上の補助的化合物が、式(I)で示される化合物の後で投与される。
本発明の別の態様において、式(I)で示される化合物および1種以上の補助的化合物は、同時に投与する。
別の態様において、式(I)で示される化合物および1種以上の補助的化合物は、個々の化合物に関し、それぞれ治療有効量を投与する;換言すると、式(I)で示される化合物および補助的化合物(類)は、その成分を組み合わせ以外で投与した場合にも治療的に有効である量を投与する。
別の態様において、式(I)で示される化合物および少なくとも1種の補助的化合物は、それぞれ個々の成分に関し、準治療量を投与する;換言すると、式(I)で示される化合物および補助的化合物は、その成分を組み合わせ以外で投与した場合に治療的に無効である量を投与する。
好ましくは、式(I)で示される化合物および1種以上の補助的化合物は、相乗的または相加的様式で、特に相加的様式で相互作用する。
本発明の組み合わせ中に存在する式(I)で示される化合物の典型的な日用量は、体重1kgあたり100ピコグラムないし100ミリグラムの範囲、典型的には体重1kgあたり10ナノグラムないし10ミリグラム、より典型的には、1ミリグラムないし10ミリグラムとし得るが、必要な場合、それよりも高用量または低用量を投与してもよい。各化合物は毎日を基準として、または反復を基準として、例えば、2日ごと、または3日ごと、または4日ごと、または5日ごと、または6日ごと、または7日ごと、または10日ごと、または14日ごと、または21日ごと、または28日ごとに投与し得る。
特定の一投与スケジュールにおいて、患者は毎日1時間の、式(I)で示される化合物の注入を、10日間まで、取分け1週間の5日まで受ける;また、所望の間隔で繰り返される処置を、例えば、4週間に2回、特に3週間ごとに受ける。
より詳しくは、患者は式(I)で示される化合物の注入を、毎日1時間、5日間受け、この処置を3週間ごとに繰り返す。
従って、当業者は彼らの常識に従って、使用すべき投薬方法および組み合わせ療法を知り得よう。認識すべきことは、投与の好適な方法と順序および組み合わせの各成分についてのそれぞれの投与量と投薬計画が、投与すべき特定の補助的化合物(類)および式(I)で示される化合物、その投与ルート、処置すべき特定の腫瘍および処置すべき特定のホストにより左右されることである。投与の最適方法と順序および投与量と投薬方法については、当業者が常套の方法を用いて、また本明細書に示した情報に照らして、容易に決定することができる。
以下に記載するように、式(I)で示される化合物は、補助的化合物(例えば、1種、2種またはそれ以上の補助的化合物)との組み合わせ療法において、例えば、特定の病的状態(例えば、本明細書にすでに定義した癌などの新生物形成疾患)の処置に投与する。本発明の組み合わせにおいて使用し得る適当な補助的化合物の例は、上記に詳細に記載する。
しかし、本発明の組み合わせは、さらに本発明の組み合わせと共に(同時であるか、または異なる時間間隔で)投与し得る他の分類の治療薬または治療処置と組み合わせ得る。
例えば、A群(上記)内の組み合わせは他の分類の治療薬または治療処置とさらに組み合わせ得る;それらは以下のとおりである(これらに限定されるものではない):
・ トポイソメラーゼI阻害剤
・ 代謝拮抗剤
・ チューブリン標的化剤
・ DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・ アルキル化剤
・ 抗ホルモン
・ サイトカインおよびレチノイド
・ モノクローナル抗体
・ その他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法と関連する副作用の一部を低減または軽減する薬剤。これらは抗嘔吐剤を含み、また化学療法関連の好中球減少症の期間を予防または短縮し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、ロイコボリン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート、ならびに炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン)を含む。
別の態様において、B群(上記)内の組み合わせは他の分類の治療薬または治療処置とさらに組み合わせ得る;それらは以下のとおりである(これらに限定されるものではない):
・ モノクローナル抗体
・ 抗ホルモン
・ シグナル伝達阻害剤
・ プロテアソーム阻害剤
・ DNAメチルトランスフェラーゼ
・ サイトカインおよびレチノイド
・ その他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法と関連する副作用の一部を低減または軽減する薬剤。これらは抗嘔吐剤を含み、また化学療法関連の好中球減少症の期間を予防または短縮し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、ロイコボリン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート、ならびに炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン)を含む。
別の態様において、C群(上記)内の組み合わせは他の分類の治療薬または治療処置とさらに組み合わせ得る;それらは以下のとおりである(これらに限定されるものではない):
・ トポイソメラーゼI阻害剤
・ 代謝拮抗剤
・ チューブリン標的化剤
・ DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・ アルキル化剤
・ 抗ホルモン
・ シグナル伝達阻害剤
・ プロテアソーム阻害剤
・ DNAメチルトランスフェラーゼ
・ サイトカインおよびレチノイド
・ その他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法と関連する副作用の一部を低減または軽減する薬剤。これらは抗嘔吐剤を含み、また化学療法関連の好中球減少症の期間を予防または短縮し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、ロイコボリン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート、ならびに炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン)を含む。
別の態様において、D群(上記)内の組み合わせは他の分類の治療薬または治療処置とさらに組み合わせ得る;それらは以下のとおりである(これらに限定されるものではない):
・ トポイソメラーゼI阻害剤
・ 代謝拮抗剤
・ チューブリン標的化剤
・ DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・ アルキル化剤
・ モノクローナル抗体
・ シグナル伝達阻害剤
・ プロテアソーム阻害剤
・ DNAメチルトランスフェラーゼ
・ その他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法と関連する副作用の一部を低減または軽減する薬剤。これらは抗嘔吐剤を含み、また化学療法関連の好中球減少症の期間を予防または短縮し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、ロイコボリン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート、ならびに炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン)を含む。
別の態様において、E群(上記)内の組み合わせは他の分類の治療薬または治療処置とさらに組み合わせ得る;それらは以下のとおりである(これらに限定されるものではない):
・ トポイソメラーゼI阻害剤
・ 代謝拮抗剤
・ チューブリン標的化剤
・ DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤
・ アルキル化剤
・ モノクローナル抗体
・ 抗ホルモン
・ シグナル伝達阻害剤
・ プロテアソーム阻害剤
・ DNAメチルトランスフェラーゼ
・ サイトカインおよびレチノイド
その他の治療剤または予防剤、例えば、化学療法と関連する副作用の一部を低減または軽減する薬剤。これらは抗嘔吐剤を含み、また化学療法関連の好中球減少症の期間を予防または短縮し、赤血球細胞または白血球細胞、例えば、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、ロイコボリン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などのレベルの低下から生じる合併症を予防する薬剤である。また、ビスホスホネート剤などの骨再吸収を阻害する薬剤、例えば、ゾレドロネート、パミドロネートおよびイバンドロネート、ならびに炎症性反応を抑制する薬剤(例えば、デキサメタゾン)を含む。
本発明の組み合わせに存在する化合物のそれぞれは、個々に変わる投与スケジュールにより、また同じかまたは異なるルートを経由して投与し得る。
従って、補助化合物(例えば、1種、2種またはそれ以上の補助的化合物)との組み合わせ療法における式(I)で示される化合物の投与は、同時投与または連続投与を含み得る。連続的に投与する場合、それらは短い時間間隔で(例えば、5〜10分間で)、または長い時間間隔で(例えば、1、2、3、4時間またはそれ以上離して、または要すればさらに長い時間間隔で)投与することができ、正確な投与処方計画は治療剤の性質と釣り合わせる。
本発明の組み合わせは非化学療法処置、例えば、放射線療法、光力学療法、遺伝子療法、外科手術および食事制限などと組み合わせても投与し得る。
それ故、組み合わせ療法は式(I)で示される化合物と2種、3種または4種以上の他の治療剤(少なくとも2種の補助的化合物を含む)とからなる製剤を伴う。かかる製剤は、例えば、2種、3種または4種以上の治療薬を含む投与形態であり得る。代替法において、個々の治療薬は別個に製剤し、キットの形状で、所望によりそれらの使用のための説明書と一緒に提供し得る。
当業者はかれらの常識として、投薬方法および使用する組み合わせ療法については知悉しているはずでる。
診断方法
本発明の組み合わせの投与に先立って、患者はスクリーンに掛け、患者が罹患しているか、またはその可能性のある疾患または状態が式(I)で示される化合物での処置に、および/または補助的化合物(1種または2種以上の補助的化合物)での処置に感受性であるかどうかを判定することができる。
例えば、患者から採取した生体サンプルを分析して、患者が罹患しているか、またはその可能性のある癌などの症状または疾患が、遺伝子異常または異常なタンパク質発現によって特徴づけられるものであるかどうかを判定し得る;該遺伝子異常または異常なタンパク質発現は、PKAおよび/またはPKBの上方制御に導くか、または正常なPKAおよび/またはPKB活性への経路の増感に導くか、またはPKB、PI3K、GF受容体およびPDK1および2の事例におけるなどPKAおよび/またはPKBの上流のシグナル伝達の上方制御に導くものである。
あるいは、患者から採取した生体サンプルについては、PTENなどのPKB経路の負のレギュレーターまたはサプレッサーの消失について分析し得る。本明細書の文面において、用語“消失”はレギュレーターまたはサプレッサーをエンコードする遺伝子の欠失、遺伝子の末端切除(例えば、突然変異による)、遺伝子の転写産物の末端切除、または転写産物の不活性化(例えば、点突然変異)もしくは別の遺伝子産物によるキレート化合物形成を包含する。
上方制御という用語は上昇した発現または過剰発現であり、遺伝子増幅(すなわち、多重遺伝子コピー)および転写作用による増大した発現、および突然変異による活性化を含む過剰活性と活性化を含む。従って、PKAおよび/またはPKBの上方制御を特徴とするマーカーを検出するために患者を診断テストに付す。診断という用語はスクリーニングをも含む。マーカーには、遺伝子マーカー、例えば、PKAおよび/またはPKBの突然変異を同定するためのDNA組成物の測定を含むマーカーを含む。マーカーという用語はPKAおよび/またはPKBの上方制御を特徴とするマーカーであり、酵素活性、酵素レベル、酵素状態(例えば、リン酸化されているか、されていないか)および前記タンパク質のmRNAレベルを含む。
上記の診断テストおよびスクリーンは、一般的に、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(解明を助ける腫瘍細胞の単離および濃厚化)、糞便生検、喀痰、染色体分析、胸膜液、腹水、または尿について実施する。
PKAおよび/またはPKBに突然変異またはTCL−1の転移またはPTEN発現の消失を有する個体の同定は、患者がPKAおよび/またはPKB阻害剤による処置に特に適していることを意味する。腫瘍は処置の前にPKAおよび/またはPKB変異体の存在について優先的にスクリーニングし得る。スクリーニング過程は、一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチド・マイクロアレイ分析、または変異体特異的抗体を伴う。
タンパク質の突然変異と上方制御の同定と分析の方法は、当業者周知である。スクリーニング法は限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはインシチュー・ハイブリダイゼーションなどの標準的方法を含む。
RT−PCRによるスクリーニングにおいて、腫瘍中のmRNAレベルは、mRNAのcDNAコピーを創出し、このcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者既知である。核酸操作およびPCRは文献記載の標準的方法により実施する;参照例:Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における最近のプロトコール), 2004, John Wiley & Sons Inc., or Innis, M.A. et-al., eds. PCR Protocols: a guide to methods and applications(プロトコール:方法と応用へのガイド), 1990, Academic Press, San Diego。核酸技術を伴う反応と操作については、文献(Sambrook et al., 2001, 3rd Ed, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。あるいは、市販品として入手し得るRT−PCR用のキット(例えば、ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ)が使用し得る;またはその方法論が米国特許US4,666,828;4,683,202;4,801,531;5,192,659,5,272,057,5,882,864および6,218,529(参照により本明細書の一部とする)に記載されている。
mRNA発現を評価するインシチュー・ハイブリダイゼーション法の例は、蛍光インシチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)(参照:)である。
一般に、インシチュー・ハイブリダイゼーションは以下の主工程からなる:(1)分析すべき組織の固定化;(2)標的の核酸への接触性を高め、非特異的結合を低下させるためのサンプルのハイブリダイゼーション前処理;(3)生物学的構造物または組織中の核酸への核酸混合物のハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸フラグメントを除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄;および(5)ハイブリッド形成した核酸フラグメントの検出。かかる適用に使用するプローブは、一般に、放射性同位体または蛍光レポーターにより標識する。好適なプローブは十分な長さのヌクレオチド、例えば、約50、100、または200ヌクレオチドないし約1000以上のヌクレオチドであり、緊縮条件下で標的の核酸とのハイブリダイゼーションが可能である。FISHを実施する標準的方法は文献(Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, 2004, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 2nd ed.; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series: Methods in Molecular Medicine)に記載されている。
あるいは、mRNAから発現したタンパク質産物は、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートでの固相イムノアッセイ、ウエスタンブロッティング、2次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳導、ELISA、フローサイトメトリーおよびその他特異的タンパク質の検出のための技術上既知の方法などによりアッセイし得る。検出方法は部位特異的抗体の使用も含む。熟練者は、PKB上方制御の検出またはPKB変異体の検出の周知方法が本事例に適用可能であることを認識するはずである。
それ故、これらの方法のすべてが、PKAおよび/またはPKB阻害剤による処置に特に適する腫瘍の同定に使用できる。
例えば、上に述べたように、PKBベータは卵巣と膵臓の癌の10〜40%に上方制御を受けていることが判明した(Bellacosa et al 1995, Int. J. Cancer 64, 280 - 285; Cheng et al 1996, PNAS 93, 3636-3641; Yuan et al 2000, Oncogene 19, 2324 - 2330)。それ故、PKB阻害剤、取分けPKBベータの阻害剤は卵巣および膵臓の癌を処置するために使用し得ることが予見される。
PKBアルファはヒトの胃癌、前立腺癌および乳癌において増幅される(Staal 1987, PNAS 84, 5034 - 5037; Sun et al 2001, Am. J. Pathol. 159, 431 -437)。それ故、PKB阻害剤、取分けPKBアルファの阻害剤はヒトの胃癌、前立腺癌および乳癌を処置するために使用し得る。
PKBガンマ活性の上昇が、ステロイド非依存性乳房および前立腺細胞株に観察されている(Nakatani et al 1999, J. Biol. Chem. 274, 21528 - 21532)。それ故、PKB阻害剤、取分けPKBガンマの阻害剤は、ステロイド非依存性乳癌および前立腺癌を処置するために使用し得る。
実験
本発明につき、ここで以下の手法と実施例に記載した具体的態様を参照することにより説明するが、限定するものではない。
以下に記載する手法のそれぞれの出発物質は、特に特定しない限り、市場にて入手し得る。
実施例において調製される化合物は、以下に述べるシステムと操作条件を用いる液体クロマトグラフィー、質量分析法、およびH−核磁気共鳴吸収法により特性化した。
プロトン磁気共鳴(H−NMR)スペクトルはブルーカーAV400装置で測定、断りのない限り、400.13MHz、Me−d−OD中、27℃で操作し、以下のように記録した:化学シフトδ/ppm(プロトン数、多重度、ここで、s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br=幅広)。残りのプロトン性溶媒MeOH(δ=3.31ppm)は内部標準として使用した。
質量分析については、塩素が存在する場合、化合物に引用する質量は35Clについてとする。
実施例それぞれにおいて、化合物が遊離の塩基として単離または形成される場合、酢酸または塩酸の塩などの塩形態に変換し得る。逆に、該化合物が塩として単離または形成される場合、該塩は当業者周知の方法により相当する遊離塩基に変換可能であり、さらに所望により別の塩に変換し得る。
多くの液体クロマトグラフィーシステムを使用したが、これらを以下に記載する。
プラットホームシステム
HPLCシステム; ウオーターズ2795
質量分析計; マイクロマス・プラットホームLC
PDA検出器 ウオーターズ2996PDA
酸性分析条件1:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 5〜95%溶出液B、3.5分間
流速: 1.5ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μマックスRP80A、50×4.6mm
酸性分析条件2:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 5〜95%溶出液B、3.5分間
流速: 0.8ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μマックスRP80A、50×2.0mm
酸性分析条件3:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 5〜95%溶出液B、15分間
流速: 0.4ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μマックスRP80A、50×2.0mm
塩基性分析条件1:
溶出液A: HO(10mM−NHHCOバッファー、NHOHでpH=9.5に調整)
溶出液B: CHCN
勾配: 05〜95%溶出液B、3.5分間
流速: 1.5ml/分
カラム: ウオーターズXTerraMSC18 5μm4.6×50mm
塩基性分析条件2:
溶出液A: HO(10mM−NHHCOバッファー、NHOHでpH=9.5に調整)
溶出液B: CHCN
勾配: 05〜95%溶出液B、3.5分間
流速: 0.8ml/分
カラム: サーモハイパージル−キーストン・ベータベーシック−18 5μm、50×2.1mm
塩基性分析条件3:
溶出液A: HO(10mM−NHHCOバッファー、NHOHでpH=9.5に調整)
溶出液B: CHCN
勾配: 05〜95%溶出液B、3.5分間
流速: 0.8ml/分
カラム: フェノメネックス・ルナC18(2)5μm、50×2.0mm
塩基性分析条件4:
溶出液A: HO(10mM−NHHCOバッファー、NHOHでpH=9.2に調整)
溶出液B: CHCN
勾配: 05〜95%溶出液B、15分間
流速: 0.8ml/分
カラム: フェノメネックス・ルナC18(2)5μm、150×2.0mm
極性分析条件:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 00〜50%溶出液B、3分間
流速: 1.5ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μハイドロ80A、50×4.6mm
MS条件:
キャピラリー電圧: 3.5kVまたは3.6kV
コーン電圧: 30V
ソース温度: 120℃
スキャン範囲: 165〜700amu
イオン化モード: 電子スプレー陰性、陽性または陽性と陰性
フラクション・リンクス・システム
システム: ウオーターズ・リンクス・システム(二重分析/調製用)
HPLCポンプ:ウオーターズ2525
インジェクター・オートサンプラー:ウオーターズ2767
質量分析検出器:ウオーターズ−マイクロマスZQ
PDA検出器: ウオーターズ2996PDA
酸性分析条件:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 5〜95%溶出液B、5分間
流速: 2.0ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μマックスRP80A、50×4.6mm
極性分析条件:
溶出液A: HO(0.1%ギ酸)
溶出液B: CHCN(0.1%ギ酸)
勾配: 00〜50%溶出液B、5分間
流速: 2.0ml/分
カラム: フェノメネックス・シネルギ4μMax−RP80A、50×4.6mm
酸性および極性分析条件用のMSパラメータ:
キャピラリー電圧: 3.5kV
コーン電圧: 25V
ソース温度: 120℃
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: 電子スプレー陰性または電子スプレー陽性と陰性
キラル分析条件:
溶出液: MeOH+0.1%NH4/TFA
流速: 1.2ml/分
通算時間: 16分
インジェクション容量:10μL
サンプル濃度: 2mg/ml
カラム: アステック、カイロバイオティックV;250×4.6mm
質量分析計はオフ−ラインを採った。
アジレント・システム
HPLCシステム: アジレント1100シリーズ
質量分析検出器: アジレントLC/MSD VL
多波長検出器: アジレント1100シリーズMWD
ソフトウエア: HPケムステーション
キラル分析条件:
溶出液: MeOH+0.2%NH4/AcOH、室温
流速: 2.0ml/分
通算時間: 8.5分
インジェクション容量:20μL
サンプル濃度: 2mg/ml
カラム: アステック、カイロバイオティックV;250×4.6mm
キラル分取用条件1:
溶出液: MeOH+0.1%NH4/TFA、室温
流速: 6.0ml/分
通算時間: 10分
インジェクション容量:100μL
サンプル濃度: 20mg/ml
カラム: アステック、カイロバイオティックV;250×10mm
キラル分取用条件2:
溶出液: MeOH+0.2%NH4/AcOH、室温
流速: 20.0ml/分
通算時間: 19分
インジェクション容量:950μL
サンプル濃度: 25mg/ml
カラム: アステック、カイロバイオティックV2;250×21.2mm
MS条件(純正分析法):
キャピラリー電圧: 3000V
フラグメンター: 150
利得: 1.00
乾燥ガス: 12.0L/分
乾燥ガスT: 350℃
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: 電子スプレー陽性
下記実施例において、以下の凡例は使用したLCMS条件を確認するために使用する:
PS−A: プラットホームシステム−酸性分析条件1
PS−A2: プラットホームシステム−酸性分析条件2
PS−A3: プラットホームシステム−酸性分析条件3
PS−B: プラットホームシステム−塩基性分析条件1
PS−B2: プラットホームシステム−塩基性分析条件2
PS−B3: プラットホームシステム−塩基性分析条件3
PS−B4: プラットホームシステム−塩基性分析条件4
PS−P: プラットホームシステム−極性分析条件
FL−A: フラクション・リンクス・システム−酸性分析条件
FL−P: フラクション・リンクス・システム−極性分析条件
FL−C: フラクション・リンクス・システム−キラル分析条件
AG−CA: アジレント・システム−キラル分析条件
AG−CP1: アジレント・システム−キラル分取条件1
AG−CP2: アジレント・システム−キラル分取条件2
実施例1
2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩(134mg、0.5mmol、1.0当量)(アレイPPA−Q02−1)のトルエン(0.8ml)中懸濁液に、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(3mg、1mol%)(ストレム)を加え、その混合物に窒素を流し込んだ。4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(107mg、0.55mmol、1.1当量)(アルドリッチ52,505−7)のエタノール(0.8ml)中懸濁液を加え、次いで、水(2.5ml)中の炭酸カリウム(415mg、3.0mmol、6当量)を加えた。混合物に窒素の流し、封鎖した。反応混合物をCEMエクスプローラ(商標)マイクロ波中、50ワットの電力で135℃に15分間加熱した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと2N−NaOH間に分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、併合した有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)して、減圧濃縮した。粗製の反応混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタン(90ml):エタノール(18ml):酢酸(3ml):HO(2ml)の混合物で溶出して精製し、標題化合物14mg(9%)を得た。LCMS(PS-A)Rt 1.79 min; m/z [M+H] 264。
実施例2
3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオニトリル
2A.2−(3−ブロモ−フェニル)−3−フェニル−プロピオニトリル
Figure 0005345842
40%KOH(2.83g/5.0mlのHO)/エタノール(13ml)溶液を、ベンズアルデヒド(2.85ml、28.05mmol)と3−ブロモフェニルアセトニトリル(5g、25.50mmol)のエタノール(9ml)中の溶液に加えた。次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌し、沈殿を吸引濾過して収集し、冷エタノール(6.68g、92%)洗浄した。粗製産物(3.45g、12.14mmol)を次いでエタノール(35ml)に溶かし、65℃に加熱した。水素化ホウ素ナトリウム(459mg、12.14mmol)を分割して加え、反応混合物はさらに2時間、この温度に維持した。冷却し、水(10ml)を加え、減圧下に溶媒を除去した。残渣を水(100ml)と酢酸エチル(100ml)との間に分配した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、濾過、濃縮して所望の産物(1.80g、52%)を得た。これを精製せずに使用した。
2B.3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオニトリル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、2−(3−ブロモ−フェニル)−3−フェニル−プロピオニトリルを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。(LC/MS:(PS-A)Rt 2.98 [M+H] 274)。
実施例3
2−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−フェニル−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例1の手法に従い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールの代わりに3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(ボロン・モレキュラーD03−BM152)を用いて、標題化合物を得た。(LC/MS:(PS-A)Rt 1.79 [M+H] 292)。
実施例4
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例1の手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩の代わりに2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミンを用いて、標題化合物を得た。(LC/MS:(PS-A)Rt 1.99 [M+H] 298)。
この出発物質は文献(J. Amer. Chem. Soc., 1983, 105, 3183-3188)に記載された方法により調製し得る。
実施例5
2−[3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1−フェニル−エチルアミン
5A.2−(3−ブロモ−フェニル)−1−フェニル−エチルアミン
Figure 0005345842
臭化3−ブロモベンジルマグネシウム(0.275M溶液/ジエチルエーテル;21.1ml、5.818mmol)溶液に、ベンゾニトリル(500mg、4.849mmol)を窒素気流下に室温で滴下した。次いで、反応混合物を2時間加熱還流し、次いで、冷却した。次いで、水素化アルミニウムリチウム(1.0M/THF、4.85ml、4.849mmol)を注意深く加え、次いで、反応混合物をさらに16時間加熱還流した。冷却し、水(5ml)を注意深く滴下することにより反応停止させ、次いで、水(20ml)と酢酸エチル(100ml)に分配した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮した。イオン交換クロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物(420mg、31%)を得た。
5B.2−[3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1−フェニル−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、5Bの産物を3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。(LC/MS:(PS-B)Rt 2.54 [M+H] 292)。
実施例6
3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例2の産物(70mg、0.256mmol、1.0当量)のエタノール(25ml)中溶液に、濃アンモニア(0.5ml)およびラネーニッケル(大よそ0.5mlの水懸濁液)を加え、その反応混合物を17時間水素気流に接触させた。この混合物をセライト(登録商標)で濾過し、母液を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た;これを分取液体クロマトグラフィーにより精製した。(LC/MS:(PS-A)Rt 1.89 [M+H] 278)。
実施例7
3−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
7A.2−(4−ブロモ−フェニル)−3−フェニル-プロピオニトリル
Figure 0005345842
実施例2Aに記載した手法に従い、3−ブロモフェニルアセトニトリルは4−ブロモフェニルアセトニトリルに置き換えて標題化合物を得、これをさらに精製することなく次工程で使用した。
7B.3−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオニトリル
Figure 0005345842
実施例1に記載の手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミンは2−(4−ブロモ−フェニル)−3−フェニル−プロピオニトリルに置き換えて、標題化合物を得た。
7C.3−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例7Bのニトリル産物を実施例6に記載した条件により還元し、標題化合物を得た。(LC/MS:(PS-B)Rt 3.03 [M+H] 278)。
実施例8
{3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
8A.3−(4−ブロモ−フェニル)−2−シアノ−アクリル酸エチルエステル
(J.Med.Chem, 1983, 26, 935-947)
Figure 0005345842
トルエン中の4−ブロモベンズアルデヒド(3g、16.21mmol)およびシアノ酢酸エチル(1.9ml、17.84mmol)にピペリジン(27μl)を加え、その反応混合物を、ディーン−スターク分離器を装着して1時間還流した。減圧下に溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中で破砕し、濾過して所望の産物を黄色固体(4.03g、89%収率)として得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.44。
8B.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−2−シアノ−プロピオン酸エチルエステル
Figure 0005345842
3−(4−ブロモ−フェニル)−2−シアノ−アクリル酸エチルエステル(1.5g、5.36mmol)と乾燥トルエン(12ml)との溶液をテトラヒドロフラン中の臭化4−クロロフェニルマグネシウム(0.5Mテトラヒドロフラン溶液、6.96ml、6.96mmol)に0℃で滴下した。反応混合物を85℃に3時間加熱し、氷上に注ぎ、1N−HClで酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、粗製産物を石油エーテルないし酢酸エチル/石油エーテル(5:95)で溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、所望の産物を得た(1.91g、91%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.78 [M+H]- 391.93。
8C.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸
Figure 0005345842
3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−2−シアノ−プロピオン酸エチルエステル(1.91、4.87mmol)、酢酸(10ml)、濃硫酸(5ml)および水(5ml)からなる混合物を2時間還流した。反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、粗製産物を酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、所望の産物を得た(0.82g、50%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.39 [M+H]- 338.86。
8D.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミド
Figure 0005345842
3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸(0.25g、0.74mmol)、1−ヒドロキシベナトリアゾール(0.12g、0.88mmol)およびジクロロメタン(3ml)からなる混合物を15分間攪拌し、次いで、メチルアミン(40%水溶液、0.11μl、1.47mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.17g、0.88mmol)を添加した。反応混合物を16時間攪拌し、溶媒を減圧下に除去し、残渣を酢酸エチルと1N−HClとに分配した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、標題化合物を得た;このものはさらに精製することなく次工程にて使用した。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.20 [M+H] 353.95。
8E.[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
窒素気流下、粗製の3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドを0℃に冷やし、水素化アルミニウムリチウム(0.075g、1.97mmol)およびジエチルエーテル(3ml)を加えた。冷却下に塩化アルミニウム(0.23g、1.69mmol)をジエチルエーテル(2ml)に溶かし、加えた。反応混合物を16時間攪拌し、水を加えて反応停止させ、塩基性(2N−NaOH)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、粗製産物をフェノメネックス・ストラータSCXカラムクロマトグラフィーに付し、メタノール、次いで2Nアンモニア/メタノールで溶出精製して所望の産物を得た(0.254g、62%収率、工程1Dおよび1Eを併合)。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.20 [M+H] 339.85。
8F.{3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−メチル−アミンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.63 [M+H] 326.00。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.37-2.47(2H, m), 2.66(3H, s), 2.91(2H, t), 4.05(1H, t), 7.25-7.34(6H, m), 7.54(2H, d), 7.92(2H, s), 8.51(1H, br s - ギ酸による)。
実施例9
{3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
9A.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミド
Figure 0005345842
実施例8Aないし実施例8Cに記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化3,4−ジフルオロフェニルマグネシウムに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.12 [M+H] 355.84。
9B.3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−メチル−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.55 [M+H] 341.93。
9C.{3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−N−メチル−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミドのジエチルエーテル懸濁液に水素化アルミニウムリチウムを加え、次いで、窒素気流下に塩化アルミニウムのジエチルエーテル溶液を0℃で加えた。トルエンを加え、反応混合物を70℃に18時間加熱した。冷却し、水を加えた反応停止させ、塩基性(2N−NaOH)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、所望の化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.15 [M+H] 328.06。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.19-2.29(2H, m), 2.35(3H, s), 2.51(2H, t), 4.00(1H, t), 7.06-7.24(3H, m), 7.27(2H, d), 7.52(2H, d), 7.92(2H, s)。
実施例10
{3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化3−クロロフェニルマグネシウムに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.67 [M+H] 326.00。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.43-2.50(2H, m), 2.68(3H, s), 2.94(2H, m), 4.13(1H, t), 7.24(1H, m), 7.27-7.36(3H, m), 7.41(2H, d), 7.66(2H, d), 8.50(2H, s)。
実施例11
3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド
Figure 0005345842
実施例9Aおよび9Bに記載した手法に従い、臭化3,4−ジフルオロフェニルマグネシウムは臭化4−クロロフェニルマグネシウムに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.54 [M+H] 326。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.95(2H, d), 4.53(1H, t), 7.27(6H, m), 7.50(2H, d), 7.91(2H, s)。
実施例12
3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
12A.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオンアミド
Figure 0005345842
3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸(0.25g、0.74mmol)および1,1'−カルボニルジイミダゾール(0.24g、1.47mmol)とのジクロロメタン溶液を45分間攪拌し、次いで、アンモニア(2Mメタノール溶液、3.68ml、7.36mmol)を加えた。反応混合物を2時間攪拌し、減圧下に溶媒を除去し、フラッシュシリカクロマトグラフィーに付して、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)で溶出し、標題化合物を得た(0.091g、36%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.08 [M+H] 339.93。
出発物質は実施例8Aないし8Cに記載した方法により調製した。
12B.3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例8Eに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドは3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオンアミドに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 3.88 [M+H] 359.87。
12C.3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピルアミンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.54 [M+H] 312.04。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.39(2H. m), 2.84(2H, t), 4.06(1H, t), 7.27-7.33(6H, m), 7.54(2H, d), 7.91(2H, s)。
実施例13
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例12に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化3,4−ジクロロフェニルマグネシウムに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.17 [M+H] 345.95。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.39(2H, m), 2.84(2H, t), 4.07(1H, t), 7.24-7.31(4H, m), 7.45-7.49(2H, m), 7.56(2H, d), 7.93(2H, s)。
実施例14
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
14A.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン
Figure 0005345842
4−(4−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−4−オール(4.02g、15.7mmol)のクロロベンゼン(30ml)中の懸濁液を、塩化アルミニウム(7.32g、54.9mmol)のクロロベンゼン(10ml)中の懸濁液に0℃で滴下した。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、氷を加え、次いでメチルt−ブチルエーテルを加えて反応を停止した。1時間攪拌した後、沈殿を濾取し、水、メチルt−ブチルエーテルおよび水で洗浄し、標題化合物を得た(5.59g、92%収率)。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.57 [M+H] 350, 352。
14B.4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジンと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A3)Rt 7.22 [M+H] 338.08。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.64-2.74(4H, m), 3.22-3.25(4H, m), 7.33-7.45(6H, m), 7.65(2H, d), 8.37(2H, s)。
実施例15
4−(4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例14に記載した手法に従い、クロロベンゼンはアニソールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.42 [M+H] 334.00。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.69(4H, m), 3.23(4H, m), 3.76(3H, s), 6.90(2H, d), 7.28(2H, d), 7.40(2H, d), 7.65(2H, d), 8.53(2H, s)。
実施例16
4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
16A.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル
Figure 0005345842
4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン(0.28g、0.80mmol)のジクロロメタン(10ml)中の攪拌懸濁液に、トリエチルアミン(0.45ml、3.2mmol)およびクロロギ酸エチル(0.085ml、0.88mmol)を加えた。反応混合物を3時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、1N−HCl、飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過して濃縮し、標題化合物(0.29g、94%収率)を得た。LCMS:(PS-A2), Rt 4.02 [M+H] 422, 424。
出発物質は実施例14Aに記載した方法により調製した。
16B.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−ピペリジン
Figure 0005345842
窒素気流下、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル(0.28g、0.66mmol)および水素化アルミニウムリチウム(0.051g)をテトラヒドロフラン(5ml)に懸濁し、2時間攪拌した。反応混合物に水を加えて反応停止し、減圧下に溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと2N−NaOHに分配した。有機層を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濃縮して所望の産物を得た(0.241g、99%収率)。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.78 [M+H] 363.95, 365.73。
16C.4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−ピペリジンと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.90 [M+H] 352。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.41-2.53(2H, m), 2.82(3H, d), 2.97-3.12(4H, m), 3.56-3.59(2H, m), 7.28(2H, s), 7.34(1H, m), 7.42(1H, d), 7.49(1H, d), 7.54(1H, d), 7.61(1H, d), 7.75(1H, d), 8.52(2H, d)。
実施例17
4−フェニル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に記載した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩は4−(4−クロロ−フェニル)−4−フェニル−ピペリジンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.88 [M+H] 304。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.65-2.71(4H, m), 3.21(4H, t), 7.18-7.22(1H, m), 7.32-7.38(6H, m), 7.55(2H, d), 7.93(2H, s)。
実施例18
4−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−4−フェニル−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩と4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとは、4−(4−クロロフェニル)−4−フェニルピペリジンと3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.95 [M+H] 315。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.22(6H, s), 2.66-2.76(4H, m), 3.16-3.28(4H, m), 7.19-7.44(9H, m)。
実施例19
ジメチル−{3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−ピリジン−2−イル−プロピル}−アミン
Figure 0005345842
実施例1に記載した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩はマレイン酸ブロムフェニラミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 2.29 [M+H] 307。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.44-2.54(1H, m), 2.59-2.70(1H, m), 2.77(6H, s), 2.93-3.01(2H, m), 4.20(1H, t), 7.25-7.28(1H, m), 7.32-7.36(3H, m), 7.54(2H, d), 7.75(1H, dt), 7.94(2H, br s)。
実施例20
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチル−アミン
20A.2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミド
Figure 0005345842
実施例8Dに提示した手法に従い、ビス−(4−クロロ−フェニル)酢酸をジメチルアミンと反応させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.40 [M+H] 309.95。
20B.[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ジメチル−アミン
Figure 0005345842
実施例8Eに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドは2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミドに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 3.75 [M+H] 295.99。
20C.{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチル−アミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ジメチル-アミンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 3.07 [M+H] 325.99。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.5(6H, s), 2.98(2H,dd), 4.34(1H, t), 7.31-7.36(6H, m), 7.50(2H, d), 7.92(2H, s)。
実施例21
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンはメチルアミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 2.83 [M+H] 312.07。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.42(3H, s), 3.20-3.23(2H, dd), 4.18(1H, t), 7.27-7.33(6H, m), 7.54(2H, d), 7.92(2H, br s)。
実施例22
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン(R)
Figure 0005345842
実施例21と同様の手法により調製し、エナンチオマーは方法AG−CP2を用いるキラル分取用HPLCにより分離した。LCMS:(AG-CA)Rt 5.58min, 97.4%ee。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.75(3H, s), 3.78(2H, d), 4.43(1H, t), 7.39(4H, s), 7.44(2H, d), 7.69(2H, d), 8.43(2H, s)。
実施例23
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン(S)
Figure 0005345842
実施例21と同様の手法により調製し、エナンチオマーは方法AG−CP2を用いるキラル分取用HPLCにより分離した。LCMS:(AG-CA)Rt 4.51min, 98.0%ee。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.75(3H, s), 3.79(2H, d), 4.51(1H, t), 7.37-7.43(4H, m), 7.49(2H, d), 7.73(2H, d), 8.66(2H, s)。
実施例24
4−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−モルホリン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンはモルホリンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.07 [M+H] 368.05。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.50(4H, m), 2.97(2H, m), 3.60(4H, t), 4.26(1H, t), 7.27(6H, m). 7.49(2H, d), 7.89(2H, s)。
実施例25
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−ピロリジン−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンはピロリジンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.06 [M+H] 354.01。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.85(4H, m), 2.87(4H, m), 3.47(2H, d), 4.31(1H, t), 7.30-7.37(6H, m), 7.54(2H, d), 7.92(2H, s)。
実施例26
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−イソプロピル−アミン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンはイソプロピルアミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.10 [M+H] 340。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.31(6H, d), 3.38-3.45(1H, m), 3.65-3.74(2H, m), 4.39(1H, br t), 7.37(6H, m), 7.59(2H, d), 7.94(2H, s)。
実施例27
ジメチル−{2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.10 [M+H] 340。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.31(6H, d), 3.38-3.45(1H, m), 3.65-3.74(2H, m), 4.39(1H, br t), 7.37(6H, m), 7.59(2H, d), 7.94(2H, s)。
実施例28
{2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチル−アミン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 2.45 [M+H] 358.11。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.69(6H, s), 3.59(2H, d), 4.43(1H, t), 7.39(4H, d), 7.57(4H, d), 7.93(4H, s)。
実施例29
{2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例21に記載した手法に従い、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 2.18 [M+H] 344.11。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.65(3H, s), 3.60(2H, d), 4.34(1H, t), 7.36(4H, d), 7.59(4H, d), 7.94(4H, s)。
実施例30
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(R)
Figure 0005345842
実施例4と同様の手法により調製し、エナンチオマーは方法AG−CP1を用いるキラル分取用HPLCにより分離した。LCMS:(FL-C)Rt 10.97min, 95.7%ee。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.65(2H, m), 4.30(1H, t), 7.35-7.40(6H, m), 7.64(2H, d), 8.16(2H, s)。
実施例31
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(S)
Figure 0005345842
実施例4と同様の手法により調製し、エナンチオマーは方法AG−CP1を用いるキラル分取用HPLCにより分離した。LCMS:(FL-C)Rt 9.63min, 100%ee。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.66(2H, m), 4.30(1H, t), 7.35-7.40(6H, m), 7.64(2H, d), 8.15(2H, s)。
実施例32
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド
Figure 0005345842
実施例12A、次いで12Cに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸をビス−(4−クロロ−フェニル)酢酸に置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.53 [M+H] 312。1H NMR(Me-d3-OD)δ4.99(1H, s), 7.30-7.33(6H, m), 7.55(2H, d), 7.86-8.02(2H, br s)。
実施例33
1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペラジン
37A.ビス−(4−クロロ−フェニル)−アセトアルデヒド
Figure 0005345842
2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エタノールとジクロロメタン(40ml)との溶液に、デス−マーチン・ペルヨージナン(3.17g、7.49mmol)を加えた。反応混合物を窒素下、室温で17時間攪拌し、2N−NaOHを加え(15ml)、有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して標題化合物を得た;このものはさらに精製することなく次工程で使用した。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.62 [M+H] 262.91。
33B.4−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
窒素気流下、ビス−(4−クロロ−フェニル)−アセトアルデヒド(3.74mmol)とメタノールとの溶液に、N−BOC−ピペラジン(1.05g、5.61mmol)を加え、反応混合物を1時間攪拌し、水素化シアノホウ素ナトリウム(0.28g、4.49mmol)を加えた。反応混合物を18時間攪拌し、水を加え(3ml)、減圧下に溶媒を除去した。残渣をジクロロメタンと水に分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。フラッシュシリカクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/石油エーテル(3:7)で溶出して標題化合物を得た(0.18g、工程30Aと30Bを合わせた11%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.66 [M-BOC+H] 335.02。
33C.1−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペリジン
Figure 0005345842
4−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルをHCl/酢酸エチル(飽和、5ml)で1時間処理し、減圧下に溶媒を除去して標題化合物をHCl塩として得た。
33D.1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペラジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、1−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−ピペリジンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.63 [M+H] 326.00。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.55-3.68(8H, m), 3.74(1H, t), 4.10-4.17(2H, m), 7.39(2H, d), 7.48(2H, d), 7.54(2H, d), 7.70(2H, d), 8.57(2H, br s)。
実施例34
1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例33A、33Bおよび33Dに記載した手法に従い、ピペリジンはN−BOC−ピペラジンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.21 [M+H] 366.09。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.44(2H, m), 1.53(4H, m), 2.39-2.57(4H, m), 2.94-3.09(2H, m), 4.26(1H, t), 7.22-7.35(6H, m), 7.50(2H, d), 7.91(2H, s)。
実施例35
4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール
35A.2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エタノールを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.72 [M+H] 299.00。
35B.(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアルデヒド
Figure 0005345842
実施例33Aに記載した手法に従い、2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エタノールを2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.97 [M+H]- 294.98。
35C.4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例33Bに記載した手法に従い、ビス−(4−クロロ−フェニル)−アセトアルデヒドおよびN−BOC−ピペラジンを(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアルデヒドおよびアゼチジンと置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.99 [M+H] 338.09。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.57-3.60(1H, m), 3.63-3.70(2H, m), 3.71-3.77(1H, m), 4.01(2H, m), 4.14(2H, m), 4.40(1H, t), 7.40(4H, br s), 7.49(2H, d), 7.73(2H, d), 8.69(2H, br s)。
実施例36
1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例5に記載した手法に従い、臭化3−ブロモベンジルマグネシウムおよび3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールを臭化4−ブロモベンジルマグネシウムおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B2)Rt 2.44 [M+H] 264.04。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.99(2H, d), 4.13(1H, t), 7.10(2H, d), 7.20-7.38(5H, m), 7.45(2H, d), 7.91(2H, s)。
実施例37
[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトニトリル
37A.4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
4−ブロモ−5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール(1.4g、6.2mmol、1.0当量)とクロロホルム(31ml)との溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(118mg、0.62mmol、0.1当量)を加えた。この溶液を0℃に冷やし、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(0.85ml、9.3mmol、1.5当量)を5分間で滴下した。この混合物を1時間で室温に戻し、減圧下に溶媒を除去した。粗製の混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、0→25%EtOAc−ガソリンで直線勾配溶出し、標題化合物(1.4g、59%)を得た。LCMS(PS-A)Rt 3.72 min [M+H] 314。
37B.{4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル]−フェニル}−アセトニトリル
Figure 0005345842
実施例1に記載した条件下、実施例37Aの産物、4−ブロモ−5−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾールと4−(シアノメチルフェニル)ボロン酸(Combi-Blocks, San Diego, USA Cat. No. 2444-001)とを反応させ、標題化合物を得た。
37C.[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトニトリル
Figure 0005345842
酢酸エチル(1ml)中の{4−[5−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル]−フェニル}−アセトニトリル(実施例8B)(35mg、0.1mmol、1.0当量)にHClを加え、混合物を1時間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、標題化合物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、直線勾配(0→30%酢酸エチル−ガソリン)で溶出精製した;16mg(60%);LCMS(PS-A)Rt 2.85 min [M+H] 266。
37D.[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトニトリルからの式(I)で示される化合物の製造
(i)実施例2に記載した条件下、実施例37Bの産物をベンズアルデヒドと反応させて、2−[4−(5−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−フェニル−プロピオニトリルを得ることができる;このものは実施例37Cに提示した条件下に1−テトラヒドロピラニル基を除去することにより脱保護し、2−[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−フェニル−プロピオニトリルを得ることができる。
実施例6の方法に従い、2−[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−フェニル−プロピオニトリルまたはその1−テトラヒドロピラニル誘導体を還元し(その後、要すれば実施例41Cの方法に従い、脱保護し)、2−[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−フェニル−プロピルアミンを得ることができる。
実施例5に記載したグリニヤール反応条件下に、実施例37Bの産物を臭化ベンジルマグネシウムと反応させ(実施例37Cの方法により脱保護し)、1−ベンジル−2−[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミンおよび2−[4−(5−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1−フェニル−エチルアミンをそれぞれ得ることができる。
実施例38
ピラゾール環系の構築
38A.4−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾールの合成
Figure 0005345842
4−ブロモフェニルアセトン(5.0g、23.5mmol、1.0当量)(アクロス・オルガニックス34216)に、N,N−ジメチルホルムアミド・ジメチルアセタール(11.3ml、84.6mmol、3.6当量)を加え、その混合物を90℃に6時間加熱した。溶媒を除去し、得られるガムをさらに加熱しながらエタノール(235ml)に溶かした。ヒドラジン水和物(1.37ml、28.2mmol)を加え、混合物を15時間加熱還流した。減圧下に溶媒を除去し、固体をジクロロメタン中で破砕し、標題化合物を得た。2.24g(40%)。LCMS(PS-A)Rt 2.87 min [M+H] 238。さらなる物質を母液から単離し得た。
38B.4−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾールの式(I)で示される化合物への変換
(i)4−(4−ブロモ−フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾールは、実施例38Aに提示した手法に従い、テトラヒドロピラニル(THP)誘導体の形成により、ピラゾール環の1位で保護することができる。次いで、グリニヤール試薬はブロモ−フェニル部分から、標準的様式で、エーテル溶媒中、該保護誘導体をマグネシウムで処理することにより調製し得る(参照:J. March, Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, 1992, John Wiley, New York, pages 622-625)。グリニヤール試薬はニトロスチレン(該ニトロスチレンは文献(Organic Syntheses, Collective Volume 1, page 413)に記載された方法などの標準的方法により調製される)と反応させ、得られるニトロエチル化合物は還元して2−{4−[3−メチル−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−フェニル}−2−フェニル−エチルアミンとする。実施例8Cの方法によりテトラヒドロピラニル基を除去して、2−{4−[3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]−フェニル}−2−フェニル-エチルアミンを得ることができる。
(ii)実施例38Aのブロモ化合物は、式(I)において基Aが基Eに結合する窒素を含む化合物に変換し得る。含窒素部分の導入は、文献(Organic Letters, 2002, vol. 4, No. 17, pp2885-2888)に記載されたタイプのパラジウム触媒アミノ化条件下で、実施例38Aの化合物と、[3−(4−クロロ−フェニルアミノ)−プロピル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステルとを反応させることにより実施し得、標準的方法によりt−ブチルオキシカルボニル保護基を除去し得る。
実施例39
[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトニトリル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミンの代わりに、3−ブロモフェニル−アセトニトリルを用い、標題化合物を得た。LCMS(PS-A)2.35 min [M+H] 184。
[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトニトリルは式(I)で示される化合物調製の中間体として使用しうる;例えば、実施例2に記載したアルデヒド縮合反応または実施例5に記載したグリニヤール反応に使用し得る。
実施例40
2−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド
Figure 0005345842
実施例12A、次いで12Cに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸をビス−(4−クロロ−フェニル)−酢酸に、またアンモニアをメチルアミンに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS(PS-A2): Rt 2.64 [M+H] 326。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.79(3H, s), 4.94,(1H, br s), 7.26-7.35(6H, m), 7.55-7.57(2H, m), 7.96(2H, br s)。
実施例41
N−メチル−2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド
Figure 0005345842
実施例40に記載した手法に従い、標題化合物を得た。LC/MS(PS-A2): Rt 2.19 [M+H] 358。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.80(3H, s), 4.95,(1H, br s), 7.32(4H, d), 7.56(4H, d), 7.98(4H, br s)。
実施例42
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
42A.1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ-エタノール
Figure 0005345842
メチルアミン(6.6ml、エタノール中33容量%、25.12mmol)中2−(4−ブロモフェニル)−オキシラン(0.5g、2.51mmol)の溶液を窒素気流下に室温で攪拌した。18時間後、溶媒を減圧下に除去し、残渣をフラッシュシリカ上、ジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(120:15:3:2)により溶出して精製し、所望の化合物を酢酸塩として得た。さらに、フェノメネックス・ストラータSCXカラム上、メタノール、次いで2Nアンモニア/メタノールで溶出精製して、所望の産物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.52 [M+H] 230。
42B.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
クロロベンゼン(3ml)中、1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エタノール(160mg、0.696mmol)の攪拌溶液に塩化アルミニウム(278mg、2.087mmol)を分割添加し、その反応混合物を室温で17時間攪拌した。水(2ml)を滴下し、次いで、反応混合物をジクロロメタン(100ml)と飽和NaHCO(30ml)に分配した。有機層を乾燥(MgSO)、濾過、減圧濃縮した。次いで、粗製の産物をフェノメネックス・ストラータSCXカラムクロマトグラフィーにより、メタノール、次いで2Nアンモニア/メタノールで溶出精製して、所望の産物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.58 [M+H] 324。
42C.{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
エタノール(7.5ml)、メタノール(11.5ml)、トルエン(7.5ml)および水(11.5ml)中、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(6.1g、13.716mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(5.3g、27.431mmol)およびKPO(10.19g、48.00mmol)からなる溶液に2分間窒素を流した。次いで、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(175mg、2.5mol%)を加え、反応混合物にさらに2分間窒素を流した。次いで、混合物を窒素下に17時間80℃に加熱した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルおよび2N−NaOHに分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、併合した有機層を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、減圧濃縮した。粗製の反応混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(90:18:3:2)で溶出精製して、標題化合物(3.6g)を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.08 min [M+H] 312。
実施例43
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−エチル−アミン
Figure 0005345842
実施例42Aないし42Cに記載した手法に従い、メチルアミンはエチルアミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.11 [M+H] 326。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.15(3H, t), 2.83(2H, q), 3.35-3.43(2H, m), 4.25(1H, t), 7.30-7.48(6H, m), 7.57(2H, d), 7.95(2H, s)。
実施例44
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−イミダゾール−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例42Aないし42Cに記載した手法に従い、メチルアミンはイミダゾールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.73 [M+H] 349。1H NMR(d6-DMSO)δ4.60(1H, t), 4.95(2H, d), 7.32(2H, d), 7.42(4H, s), 7.53-7.60(3H, m), 7.70(1H, s), 8.05(2H, s), 9.0(1H, s)。
実施例45
メチル−{2−(4−フェノキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
45A.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−フェノキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例42Bに記載した手法に従い、クロロベンゼンはジフェニルエーテルに置き換え、また溶媒としてニトロベンゼンを用い、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.54 [M+H] 382。
45B.メチル−{2−(4−フェノキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
Figure 0005345842
実施例42Cに記載した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンは[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−フェノキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.04 [M+H] 370。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.75(3H, s), 3.75(2H, d), 4.38(1H, t), 6.98(4H, dd), 7.12(1H, t), 7.33-7.40(6H, m), 7.61(2H, d), 7.95(2H, s)。
実施例46
{2−(4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
46A.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例42Aないし42Cに記載した手法に従い、クロロベンゼンはアニソールに置き換え、対応するオルト−メトキシ類似体との位置異性体の混合物(約4:1)として標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.24 [M+H] 320。
46B.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
ジクロロメタン(10ml)中、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(およびその位置異性体)(1.38g、4.309mmol)の溶液に、BOCO(941mg、4.309mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後、減圧下に溶媒を除去し、粗製の産物をフラッシュクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/石油エーテル(1:9)で溶出精製して、中間体BOC保護化合物を所望の単一異性体として得た(540mg)。次いで、産物をHCl/ジエチルエーテル飽和溶液(30ml)中で3日間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、標題化合物をHCl塩として得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.21 [M+H] 320。
46C.{2−(4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例42Cに記載した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンは[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.52 [M+H] 308。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.75(3H, s), 3.75(2H, dd), 3.80(3H, s), 4.38(1H, t), 6.95(2H, d), 7.32(2H, d), 7.45(2H, d), 7.70(2H, d), 8.52(2H, s)。
実施例47
メチル−{2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
47A.4−[1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エチル]−フェノール
Figure 0005345842
ジクロロメタン(8ml)中、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−メチル−アミン(500mg、1.56mmol)の溶液に、三臭化ホウ素(7.8ml、1.0M/ジクロロメタン)を窒素気流下に0℃でゆっくり加えた。反応混合物を室温に戻し、さらに1時間攪拌した。混合物を氷上に注ぎ、ジクロロメタンおよび飽和NaHCO溶液で希釈した。有機層を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して所望の産物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.76 [M+H] 306。
47B.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
ジクロロメタン(20ml)中、4−[1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エチル]−フェノール(360mg、1.18mmol)の溶液に、BOCO(269mg、1.23mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後、減圧下に溶媒を除去し、粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)で溶出精製して標題化合物を得た。LC/MS:(FL-A)Rt 3.85 [M+H] 406。
47C.{2−(4−ブロモ−フェニル)−2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
ジメチルホルムアミド(8ml)中、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(125mg、0.31mmol)、2−クロロピラジン(35.2mg、0.31mmol)およびKCO(213mg、1.54mmol)からなる溶液を17時間100℃に加熱した。冷却し、溶媒を減圧下に除去し、残渣を酢酸エチルと飽和NaHCO溶液との間に分配した。有機層を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。次いで、粗製産物を飽和HCl/ジエチルエーテル(15ml)で処理し、室温で72時間攪拌した。次いで、減圧下に溶媒を除去し、粗製産物をフェノメネックス・ストラータSCXカラムクロマトグラフィーにより、メタノール、次いで2Nアンモニア/メタノールで溶出精製し、所望の産物(82mg)を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.17 [M+H] 384。
47D.メチル−{2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
Figure 0005345842
実施例42Cに記載した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンは{2−(4−ブロモ−フェニル)−2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−エチル}−メチル−アミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.48 [M+H] 372。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.80(3H, s), 3.75-3.90(2H, m), 4.50(1H, t), 7.23(2H, d), 7.50(4H, t), 7.75(2H, d), 8.12(1H, d), 8.33(1H, d), 8.42(2H, s), 8.48(1H, s)。
実施例48
メチル−{2−フェノキシ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
48A.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
ジクロロメタン(20ml)中、1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エタノール(2.00g、8.69mmol)の溶液に、BOCO(1.90g、8.69mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後、減圧下に溶媒を除去し、粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)で溶出精製して所望の産物(2.1g)を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.16 [M+H] 330。
48B.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−フェノキシ−エチル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
テトラヒドロフラン(10ml)中、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(500mg、1.51mmol)、トリフェニルホスフィン(596mg、2.27mmol)およびフェノール(285mg、3.03mmol)からなる溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(358□l、2.27mmol)を滴下し、窒素気流下、反応混合物を室温で17時間攪拌した。次いで、減圧下に溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと飽和NaHCO溶液に分配した。有機層を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。次いで、粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(1:9)で溶出精製して、中間体BOC保護化合物を得た;次いで、これををHCl/ジエチルエーテル飽和溶液(20ml)中で24時間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、標題化合物をHCl塩として得た。さらにフェノメネックス・ストラータSCXカラムクロマトグラフィーにより、メタノール、次いで2Nアンモニア/メタノールで溶出精製して、所望の産物(94mg)を遊離塩基として得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 4.04 [M+H] 406。
48C.メチル−{2−フェノキシ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン
Figure 0005345842
実施例42Cに記載した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンは[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−フェノキシ−エチル]−メチル−アミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.73 [M-PhO+H] 200。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.50(3H, s), 2.90(1H, dd), 3.15(1H, dd), 5.40(1H, dd), 6.85(1H, t), 6.90(2H, d), 7.18(2H, t), 7.40(2H, d), 7.55(2H, d), 7.93(2H, s)。
実施例49
2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチルアミン
49A.(4−ブロモ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メタノール
Figure 0005345842
臭化4−クロロフェニルマグネシウム(12.97ml、1M/ジエチルエーテル溶液)を4−ブロモベンズアルデヒド(2.0g、10.81mmol)とテトラヒドロフラン(25ml)との溶液に窒素気流下0℃でゆっくり加えた。反応混合物を室温に戻し、17時間攪拌した。次いで、水(3ml)を加え、減圧下に溶媒を除去した。次いで、残渣を酢酸エチルと1N−HCl溶液に分配した。有機層を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。次いで、粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(1:9)で溶出精製して標題化合物(2.30g)を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.49 [M-H] 297。
49B.2−{2−[(4−ブロモ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メトキシ]−エチル}−イソインドール−1,3−ジオン
Figure 0005345842
トルエン(50ml)中、(4−ブロモ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メタノール(2.3g,7.73mmol)、N−(2−ヒドロキシエチル)フタミリド(1.4g、7.36mmol)およびパラ−トルエンスルホン酸一水和物(560mg、2.94mmol)からなる混合物をディーン−スターク条件下に17時間加熱還流した。冷却し、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと水に分配した。次いで、有機層を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)で溶出精製して標題化合物(1.95g)を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 4.07。観測される質量イオンなし。
49C.N−(2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチル)−フタラミン酸
Figure 0005345842
実施例42Cに記載した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−メチル−アミンは2−{2−[(4−ブロモ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メトキシ]−エチル}−イソインドール−1,3−ジオンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(FS-A)Rt 2.85 [M-H] 474。
49D.2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチルアミン
Figure 0005345842
メタノール(6ml)中、N−(2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチル)−フタラミン酸(260mg、0.55mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(159□l、3.28mmol)を加え、その反応混合物を80℃で16時間攪拌した。冷却し、減圧下に溶媒を除去し、粗製の産物をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(90:18:3:2)で溶出精製した。さらに、フェノメネックス・ストラータSCXカラムクロマトグラフィーにより、メタノール、次いで、2Nアンモニア/メタノールで溶出精製して、所望の産物(120mg)を遊離塩基として得た。LC/MS:(FL-A)Rt 2.07 [M-NH2CH2CH2O+H] 267。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.85(2H, t), 3.55(2H, t), 5.45(1H, s), 7.35-7.40(6H, m), 7.58(2H, d), 7.95(2H, s)。
実施例50
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−ピロリジン−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、メチルアミンはピロリジンに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.25 [M+H] 366。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.83-1.95(2H, m), 1.95-2.09(2H, m), 2.4-2.5(2H, m), 2.88-2.97(2H, m), 3.02(2H, dd), 3.52-3.61(2H, m), 4.02(1H, t), 7.25(4H, q), 7.32(2H, d), 7.55(2H, d), 8.41(2H, s)。
実施例51
4−{4−[3−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、メチルアミンはピロリジンに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.18 [M+H] 352。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.12-2.25(2H, m), 3.00(2H, t), 3.85-3.98(5H, m), 4.05-4.17(2H, m), 7.18(2H, d), 7.19(4H, s), 7.45(2H, d), 7.83(2H, s)。
実施例52
メチル−{3−ナフタレン−2−イル−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−アミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化2−ナフチルマグネシウムに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.26 [M+H] 342。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.57-2.70(2H, m), 2.70(3H, s), 2.90-3.10(2H, m), 4.32(1H, t), 7.40-7.52(5H, m), 7.70(2H, m), 7.80-7.90(4H, m), 8.70(2H, s)。
実施例53
ジメチル−(4−{3−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−フェニル)−アミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化4−(N,N−ジメチル)アニリンマグネシウムに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.55 [M+H] 335。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.46-2.60(2H, m), 2.69(3H, s), 2.95(2H, t), 3.27(6H, s), 4.25(1H, t), 7.45(2H, d), 7.60-7.72(6H, m), 8.50(2H, s)。
実施例54
{3−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化4−フルオロフェニルマグネシウムに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.05 [M+H] 310。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.40-2.55(2H, d), 2.70(3H, s), 2.90-3.0(2H, m), 4.12(1H, t), 7.05(2H, t), 7.32-7.40(4H, m), 7.63(2H, d), 8.33(2H, s)。
実施例55
4−{4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェニル}−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル
Figure 0005345842
実施例1の手法に従い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールの代わりに4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−ピペラジンを、また2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩の代わりに4−ブロモ−1H−ピラゾール−3−カルボニトリルを用いて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.22 [M+H] 363。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.52-2.70(4H, m), 3.10-3.20(4H, m), 7.25(4H, s), 7.37(2H, d), 7.58(2H, d), 8.02(1H, s)。
実施例56
3−(4−フェノキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムは臭化4−フェノキシフェニルマグネシウムに、またメチルアミンはアンモニアに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.28 [M+H] 370.34。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.38-2.46(2H, m), 2.85-2.92(2H, t), 4.03-4.10(1H, t), 6.94-7.0(4H, d), 7.08-7.14(1H, t), 7.30-7.39(6H, m), 7.55-7.58(2H, d), 7.90-7.97(2H, br s), 8.54-8.60(1H, br s)。
実施例57
1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン
Figure 0005345842
実施例1に記載した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩は1−(4,4'−ジクロロ−ベンズヒドリル)−ピペラジンに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.82 [M-H] 351.27。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.0-3.25(4H, m), 3.45-3.65(4H, m), 5.05-5.25(1H, br s), 7.40-7.50(2H, d), 7.65-7.83(6H, m), 8.45(2H, s)。
実施例58
1−メチル−4−{フェニル−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−[1,4]ジアゼパン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩は1−[p−クロロジフェニルメチル]−4−メチル−1,4−ジアザシクロヘプタン二塩酸塩に置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.85 [M+H] 347.18。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.25-2.60(2H, br m), 3.00(3H, s), 3.40-4.18(8H, br m), 5.78(1H, s), 7.40-7.48(1H, m), 7.49-7.55(2H, t), 7.75-7.80(2H, d), 7.82-7.98(4H, m), 8.32(2H, s)。
実施例59
{3−(3−クロロ−フェノキシ)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
59A.1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オール
(J.Med.Chem, 2004,47,3924-3926)
Figure 0005345842
テトラヒドロフラン(9ml)および水(0.58ml)中、1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オン(1g、4.04mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.16g、4.28mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、水を注意深く加えて反応停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮し、標題化合物を得た;これをさらに精製することなく次工程で使用した。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.07 [M+H] イオン化なし。
59B.塩化[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−フェノキシ)−プロピル]
Figure 0005345842
実施例48Bに提示した手法に従って、3−クロロフェノールを1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オールと反応させて、標題化合物を得た;これをさらに精製することなく次工程で使用した。
59C.[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−フェノキシ)−プロピル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
33%メチルアミン/エタノール(4ml)中、塩化3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−フェノキシ)−プロピル]の溶液をCEMマイクロ波により、50W電力、100℃で30分間加熱した。溶媒を除去し、粗製の産物をフェノメネックス・ストラータSCXイオン交換カラム上、メタノール、次いで、2Nアンモニア/メタノールにて溶出精製した。その産物をSP4バイオテージを使用するカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタンないしジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(90:18:3:2)で溶出精製して、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 3.42 [M+H] 356.19。
59D.{3−(3−クロロ−フェノキシ)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−フェノキシ)−プロピル]−メチル-アミンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.80 [M+H] 342.26。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.19-2.30(1H, m), 2.30-2.45(1H, m), 2.72(3H, s), 3.10-3.28(2H, m), 5.40-5.47(1H, m), 6.80-6.88(1H,d), 6.88-6.94(1H, d), 6.96(1H, s), 7.15-7.20(1H, t), 7.38-7.45(2H, d), 7.57-7.65(2H, d), 7.98(2H, s)。
実施例60
メチル−{2−フェニル−2−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−エチル}−アミン
60A.6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ニコチノニトリル
Figure 0005345842
エチレングリコール・ジメチルエーテル(3ml)中、6−クロロ−ニコチノニトリル(0.2g、1.49mmol)および3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸(0.5g、1.36mmol)からなる溶液に、水(1.5ml)中の炭酸ナトリウム(0.36g、3.39mmol)を加えた。反応混合物を窒素で脱ガスし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、次いで、CEMマイクロ波により135℃で30分間加熱した(電力50W)。反応液を水と酢酸エチルに分配し、水層は2N−NaOHで塩基性とし、有機抽出液を併合して、乾燥(MgSO)し、溶媒を除去した。粗製の産物を少容量のメタノールに懸濁し、白色沈殿を濾取して、標題化合物(0.32g、53%収率)を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 4.52 [M+H] 427.26。
この出発物質はEP1382603A1に記載された方法により調製し得る。
60B.(4−クロロ−フェニル)−[6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−メタノン
Figure 0005345842
乾燥テトラヒドロフラン(4ml)中、6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ニコチノニトリル(0.5g、1.17mmol)の溶液に、臭化4−クロロベンゼンマグネシウム(1.52ml、1.52mmol、1M/ジエチルエーテル)を加えた;反応混合物を窒素下に16時間攪拌した。2N−HClを加えてpH2以下で反応停止させ、1時間攪拌した。次いで、飽和重炭酸ナトリウムでpH8に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を併合し、乾燥(MgSO)して溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/石油エーテル(15:85)で溶出精製して標題化合物を得た(0.49mg、77%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 4.45 [M+H] 540.30, 542.28。
60C.{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−ビニル}−メチル−(1−フェニル−エチル)−アミン
Figure 0005345842
乾燥テトラヒドロフラン(9ml)中、(R)(ジフェニル−ホスフィノイルメチル)−メチル−(1−フェニル−エチル)−アミン(0.18g、0.51mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(0.47ml、0.76mmol、1.6M/へキサン)を−15℃で滴下した。15分後に、(4−クロロ−フェニル)−[6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−メタノン(0.14g、0.25mmol)とテトラヒドロフラン(0.9ml)との溶液を加え、反応混合物をさらに−15℃で30分間攪拌し、次いで1時間で室温に戻した。反応混合物に水を加えて反応停止し、ジエチルエーテルで抽出し、有機抽出液を併合し、乾燥(MgSO)、濃縮し、標題化合物を得た;このものはさらに精製することなく、次工程で使用した。
この出発物質は文献(Tetrahedron Asymmetry, 2003, 14, 1309-1316)記載の方法により調製し得る。
60D.メチル−{2−フェニル−2−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−エチル}−アミン
Figure 0005345842
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[6−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−ビニル}−メチル−(1−フェニル−エチル)−アミンとエタノールとの溶液に、10重量%パラジウム/活性炭素を加え、その反応混合物を17時間水素気流に接触させた。この混合物をセライト(登録商標)で濾過し、母液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(240:20:3:2)ないしジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(90:18:3:2)の勾配で溶出精製して、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.59 [M+H] 293.18。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.35(3H, s), 2.40(3H, s), 3.25(2H, s), 4.15-4.20(1H, t), 7.10-7.18(1H, m), 7.25(4H, m), 7.45(1H, d), 7.67(1H, dd), 7.80(1H, s), 8.38(1H, s)。
実施例61
4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール
61A.1−(4−ブロモ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロパン−1−オール
Figure 0005345842
ジメチルホルムアミド(18ml)中、1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オール(1.5g、6.01mmol)およびイミダゾール(1.23g、18.03mmol)からなる溶液を100℃で18時間加熱し、次いで、水と酢酸エチルに分配した。有機抽出液は併合して乾燥(MgSO)、濾過、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO)によメタノール:ジクロロメタン(2:98)ないしメタノール:ジクロロメタン(6:94)で溶出精製して標題化合物を得た(0.75g、44%収率)。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.48 [M+H] 281.14, 283.11。
この出発物質は実施例43Aに記載の方法により調製し得る。
61B.1−[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−1H−イミダゾール
Figure 0005345842
実施例42Bに提示した手法に従って、クロロベンゼン(5ml)を1−(4−ブロモ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロパン−1−オール(0.41mg、1.46mmol)と反応させ、標題化合物を得た(0.37g、67%収率)。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.40 [M+H] 375.16, 377.17。
61C.4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、1−[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロリル]−1H−イミダゾールを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.21 [M+H] 363.28。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.55-2.70(2H, m), 3.85-3.95(1H, m), 3.95-4.10(2H, m), 7.05(1H, s), 7.10-7.60(9H, m), 7.65(1H, s), 7.90-8.00(2H, d)。
実施例62
4−[4−(3−イミダゾール−1−イル−1−フェノキシ−プロピル)−フェニル]−1H−ピラゾール
62A.1−[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−フェノキシ−プロピル]−1H−イミダゾール
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、フェノールを1−(4−ブロモ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロパン−1−オールと反応させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.30 [M+H] 357.26, 359.27。
この出発物質は実施例47Aに記載の方法により調製し得る。
62B.4−[4−(3−イミダゾール−1−イル−1−フェノキシ−プロピル)−フェニル]−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、1−[3−(4−ブロモ−フェニル)−3−フェノキシ−プロピル]−1H−イミダゾールを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.05 [M+H] 345.30。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.30-2.55(2H, m), 4.25-4.45(2H, m), 5.10-5.15(1H, m), 6.80-6.90(3H, m), 7.10(1H, s), 7.15-7.20(2H, t), 7.25(1H, s), 7.35-7.40(2H, d), 7.55-7.60(2H, d), 7.85(1H, s), 7.95(2H, s)。
実施例63
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノール
Figure 0005345842
実施例14に提示した手法に従い、クロロベンゼンをフェノールに置き換え、溶媒としてニトロベンゼンを用い、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A3)Rt 5.07 [M+H] 320。1H NMR(d6-DMSO)δ7.97(2H, s), 7.49(2H, d), 7.25(2H, d), 7.10(2H, d), 6.68(2H, d), 2.840(4H, bs), 2.376(4H, bs)。
実施例64
1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン
Figure 0005345842
実施例57に記載した手法に従い、標題化合物を得た。LCMS:(PS-A3)Rt 6.38 [M+H] 319。1H NMR(Me-d3-OD)δ8.53(2H, s), 7.90(2H, d), 7.83(2H, d), 7.71(2H, d), 7.40-7.30(3H, m), 5.70(1H, s), 3.68(4H, bs), 3.51-3.48(4H, m)。
実施例65
{2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
65A.[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
Figure 0005345842
アセトン(4ml)中、3−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)プロピオン酸(1.0g、3.09mmol)の溶液に、アセトン(1.6ml)中のトリエチルアミン(561ul、4.02mmol)、およびアセトン(1.6ml)中のクロロギ酸エチル(443ul、4.64mmol)を0℃で連続して加えた。反応液を室温に戻し、30分間攪拌し、次いで、再び0℃に冷却し、水(1.6ml)中のナトリウムアジド(402mg、6.18mmol)を加えた。得られる褐色溶液を45分間攪拌し、水(10ml)とジエチルエーテル(10ml)を加えた。水層を分離し、さらに酢酸エチル(10ml)で抽出した。併合した有機液を飽和食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)して減圧下に濃縮した。残渣を無水トルエン(12ml)に溶解し、ベンジルアルコール(567ul、9.27mmol)を加え、80℃に40分間加熱した。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル(50ml)と飽和重炭酸ナトリウム(50ml)を加えた。有機液を分取し、さらに重炭酸溶液(50ml)、塩酸(2N、100ml)および飽和食塩水(50ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)、減圧下に濃縮した。残渣はカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/ガソリン(5:95〜15:85)の勾配溶出し精製して、標題化合物(594mg、45%)を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.18 イオン化なし。
この出発物質は実施例8Aないし8Cに記載の方法により調製し得る;ただし、臭化4-クロロフェニルマグネシウムは臭化4−フルオロフェニルマグネシウムに置き換えた。
65B.{2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸ベンジルエステル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、[2−(4−ブロモ−フェニル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステルを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.20 [M+H] 416。
65C.{2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
水素化アルミニウムリチウム(5.3ml、5.30mmol、1M/テトラヒドロフラン)をテトラヒドロフラン(5ml)中の{2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−カルバミン酸ベンジルエステル(439mg、1.06mmol)に窒素下に0℃でゆっくりと加えた。反応混合物を室温に戻し、51時間攪拌し、水(5ml)、水酸化ナトリウム水(2N、5ml)および酢酸エチル(10ml)を加えて反応停止した。水層を分取し、酢酸エチルで抽出した(2×20ml)。併合した有機液を飽和食塩水で洗い、次いで乾燥(MgSO)、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、ジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(120:15:3:2)ないしジクロロメタン:メタノール:酢酸:水(90:18:3:2)の勾配で溶出精製して、標題化合物を得た;このものは引き続き塩酸塩に変換した(100mg、32%)。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.87 [M+H] 296。1H NMR(Me-d3-OD)δ8.20(2H, s), 7.57(2H, d), 7.34-7.29(4H, m), 7.02(2H, t), 4.32(1H, t), 3.67(2H, d), 2.65(3H, s)。
実施例66
{2−(3−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例65に記載した手法に従い、臭化4−フルオロフェニルマグネシウムは臭化3-クロロフェニルマグネシウムに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A3)Rt 4.92 [M+H] 312。1H NMR(Me-d3-OD)δ8.50(2H, s), 7.63(2H, d), 7.39(2H, d), 7.34(1H, s), 7.30-7.20(3H, m), 4.40(1H, t), 3.70(2H, d), 2.65(3H, s)。
実施例67
4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
67A.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
実施例47Bに記載した手法に従い、4−[1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エチル]−フェノールを4−[4−(4−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェノールに置き換えて、標題化合物を得た。1H NMR(d6-DMSO)δ7.45(2H, d), 7.25(2H, d), 7.11(2H, d), 6.68(2H, d), 3.35-3.18(4H, m), 2.31-2.20(4H, m), 1.38(9H, s)。
この出発物質は実施例63に記載の方法により調製し得る。
67B.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
ジメチルホルムアミド(2ml)中、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.23mmol)、2−ブロモエチルメチルエーテル(200ul)および炭酸カリウム(64mg、0.46mmol)からなる溶液をCEMエクスプローラ(商標)マイクロ波により50℃で30分間(50ワット電力)加熱した。反応液を水酸化ナトリウム(2N、4ml)に注ぎ、5分間攪拌し、酢酸エチルにて抽出した(2×30ml)。併合した有機液を乾燥(MgSO)し、濃縮して、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/ガソリン(25:75ないし50:50)の勾配で溶出精製して、標題化合物(82mg)を得た。LCMS:(PS-A2)Rt 4.00 [M+H] 490。
67C.4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を用いて、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 3.27 [M+H] 478。
67D.4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
ジクロロメタン(1ml)中、4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン(87mg)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1ml)を加えた。室温で30分後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、次いで、塩酸(2N、2×20ml)に抽出した。併合した水性フラクションを酢酸エチルで洗浄し、次いで塩基性(2N−NaOH)とし、酢酸エチルに再抽出した(2×20ml)。併合した有機液を飽和食塩水溶液で洗い、次いで乾燥(MgSO)、濃縮して標題化合物を得た(66mg)。LCMS:(PS-A3)Rt 6.08 [M+H] 378。1H NMR(Me-d3-OD)δ7.92(2H, s), 7.51(2H, d), 7.31(2H, d), 7.25(2H, d), 6.89(2H, d), 4.13(2H, t), 3.73(2H, t), 3.42(3H, s), 2.94(4H, bs), 2.44(4H, bs)。
実施例68
4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
68A.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
3−メトキシプロパノール(191ul、2.0mmol)とピリジン(1ml)との溶液に、塩化トシル(572mg、3.0mmol)を加えた。これを室温で5.5時間室温で攪拌し、次いで、酢酸エチル(20ml)で希釈し、塩酸(2N、3×10ml)および飽和食塩水(10ml)で洗浄した。液層を乾燥(MgSO)し、濃縮して無色油(600mg)を得た。この油をジメチルホルムアミド(2ml)に溶かし、この溶液に炭酸カリウム(64mg、0.46mmol)および4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.231mmol)を加えた。得られる混合物を100℃で4時間攪拌した。冷却した後、水(20ml)を加え、その混合物を酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。併合した有機液層を食塩水(10ml)で洗い、乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、10〜20%酢酸エチル/ガソリンの勾配で溶出精製して、標題化合物を無色油(131mg)として得た。LCMS: Rt 4.20 [M+H] 504。
この出発物質は実施例67Aに記載の方法により調製し得る。
68B.4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例67Cおよび67Dに記載した手法に従い、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルは4−(4−ブロモ−フェニル)−4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルに置き換えて、標題化合物を得た。LCMS: Rt 6.65 [M+H] 392。1H NMR(Me-d3-OD)δ7.94(2H, s), 7.57(2H, d), 7.34(2H, d), 7.27(2H, d), 6.91(2H, d), 4.04(2H, t), 3.56(2H, t), 3.34-3.33(5H, m), 3.24-3.22(4H, m), 2.67-2.66(4H, m)。
実施例69
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド
Figure 0005345842
実施例9Aおよび9Bに記載した手法に従い、臭化3,4−ジフルオロフェニルマグネシウムは臭化3,4−ジクロロフェニルマグネシウムに置き換えて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A3)Rt 9.82 [M+H] 360.14, 362.12。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.90-3.00(2H, d), 4.50-4.60(1H, t), 7.10-7.30(3H, m), 7.40-7.45(2H, d), 7.50-7.55(2H, d), 7.85-8.05(2H, br s)。
実施例70
2−(4−{2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−イソニコチンアミド
Figure 0005345842
実施例47に記載した手法に従い、2−クロロピラジンは2−クロロ−4−シアノピリジンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.27 [M+H] 414。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.45(3H, s), 3.55(1H, dd), 3.65(1H, dd), 4.25(1H, t), 7.10(2H, d), 7.30-7.38(3H, m), 7.40(2H, d), 7.48(1H, d), 7.56(2H, d), 7.95(2H, s), 8.22(1H, d)。
実施例71
{2−(4−クロロ−フェノキシ)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例48に記載した手法に従い、フェノールは4−クロロフェノールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A3)Rt 2.29 [M-ClPhO+H] 200。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.50(3H, s), 2.86(1H, dd), 3.10(1H, dd), 5.35(1H, dd), 6.89(2H, d), 7.17(2H, d), 7.40(2H, d), 7.57(2H, d), 7.93(2H, s)。
実施例72
3−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−プロパン−1−オール
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンは3−アミノプロパン−1−オールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.05 [M+H] 356。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.87(2H, quintet), 1.98(AcOH, s), 3.23(2H, t), 3.68(2H, t), 3.75(2H, dd), 4.4(1H, t), 7.36(2H, d), 7.4(4H, s), 7.62(2H, d), 7.97(2H, s)。
実施例73
2−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−エタノール
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンは2−アミノエタン−1−オールに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.05 [M+H] 342。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.98(AcOH, s), 3.10(2H, s), 3.69(2H, dd), 3.78,(2H, t), 4.39(1H, t), 7.36(2H, d), 7.38(4H, s), 7.61(2H, d), 7.97(2H, s)。
実施例74
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−シクロプロピルメチル−アミン
Figure 0005345842
実施例20に記載した手法に従い、ジメチルアミンはシクロプロピルメチルアミンに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.21 [M+H] 352。1H NMR(Me-d3-OD)δ -0.4-0.3(2H, m), 0.35-0.40(2H, m), 0.78-0.87(1H, m), 2.42(2H, d), 3.15-3.25(2H, m), 4.11(1H, t), 7.16-7.27(6H, m), 7.45(2H, d), 7.82,(2H, s)。
実施例75
メチル−[2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−(4−ピリジン−3−イル−フェニル)−エチル]−アミン
Figure 0005345842
実施例1に記載した手法に従い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールを3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジンに置き換え、{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミンにカップリング結合させて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.42 [M+H] 355。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.94(AcOH, s), 2.72(3H, s), 3.73(2H, d), 4.46(1H, t), 7.41(2H, d), 7.51-7.56(3H, m), 7.63(2H, d), 7.70(2H, d), 7.96(2H, s), 8.10(1H, dt), 8.53(1H, dd), 8.80(1H, d)。
この出発物質は実施例21に記載の方法により調製し得る。
実施例76
4−{3−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−フェノール
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムを臭化4−アニシルマグネシウムに置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.82 [M+H] 308。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.92(AcOH, s), 2.34-2.43(2H, m), 2.64(3H, s), 2.86-2.92(2H, m), 3.96(1H, t), 6.75(2H, d), 7.13(2H, d), 7.29(2H, d), 7.52(2H, d), 7.93(2H, d)。
実施例77
3−(4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムを臭化4−アニシルマグネシウムに、またメチルアミンをアンモニア(2M/メタノール)に置き換え、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 1.82 [M+H] 308。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.23-2.32(2H, m), 2.74(2H, dd), 3.65(3H, s), 3.89(1H, t), 6.77(2H, d), 7.11(2H, s), 7.17(2H, d), 7.41(2H, d), 7.71(2H, s), 8.41(HCO2H, br s)。
実施例78
4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
78A.4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン塩酸塩を3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸と反応させ、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-B3)Rt 2.78 min [M+H] 594。
この出発物質はEP1382603に記載の方法により調製し得る。
78B.4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
5N塩酸(5mL)、THF(5mL)およびメタノール(5mL)中、4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン(178mg、0.30mmol)の懸濁液を140分間攪拌した。有機溶媒を減圧下に除去し、次いで、得られる溶液を2N−HClで希釈し、エーテルで洗った。水相を水酸化ナトリウムペレットの添加により塩基性とし、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;これをカラムクロマトグラフィー(SiO)により、2M/メタノール(5%〜7.5%)とジクロロメタンとの勾配にて溶出、精製した。この産物を分取用HPLCによりさらに精製して標題化合物を得た;これをその二塩酸塩に変換した(84mg、80%)。LCMS(PS-A3)Rt 6.86 min [M+H] 352。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.55(3H, s), 2.70-2.75(4H, m), 3.22-3.27(4H, m), 7.35-7.41(4H, m), 7.47-7.54(4H, m), 8.32(2H, s)。
実施例79
2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−モルホリン
79A.2−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−オキシラン
Figure 0005345842
水素化ナトリウム(60%油中分散、128mg、3.2mmol)をN2下に置き、DMSO(5mL)を加えた。15分後にヨウ化トリメチルスルホニウム(0.66g、3.2mmol)を固形物として加え、さらに30分後に(4−クロロ−フェニル)−(4−ヨード−フェニル)−メタノンを加えた。混合物を室温で24時間攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、1:2の水/食塩水、水および食塩水(×2)で洗った。有機相を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して標題化合物(1.01g、97%)を得た;これをさらに精製することなく使用した。LCMS(PS-A2)Rt 4.07 min [M-H]- 355。
79B.1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−(4−ヨード−フェニル)−エタノール
Figure 0005345842
イソプロパノール(5mL)中、2−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−オキシラン(0.60g、1.68mmol)、エタノールアミン(0.5mL、8.3mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)からなる溶液を50℃に72時間維持し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに取り込み、飽和炭酸カリウム溶液/水(1:9)で洗った。水相を2回目の酢酸エチルで抽出し、次いで併合した抽出液を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して標題化合物(701mg、定量的)を得た;LCMS(PS-A2)Rt 2.29 min [M+H] 418, [M-H2O+H] 400。
79C.2−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−モルホリン
Figure 0005345842
DCM(10mL)中、1−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−(4−ヨード−フェニル)−エタノール(701mg、1.68mmol)の溶液を濃HSO(0.1mL、1.9mmol)で処理した。20時間後、追加量のHSO(1.0mL、19mmol)を加え、その混合物をさらに2時間攪拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸カリウムおよび食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、0.5%トリエチルアミン/酢酸エチルで溶出精製して、標題化合物(290mg、43%)を得た;LCMS(PS-A2)Rt 2.40 min [M+H] 400。
79D.2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−モルホリン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、2−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−モルホリンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させて、標題化合物を得た;LCMS(PS-A3)Rt 6.88 min [M+H] 340。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.84-2.88(2H, m), 3.32-3.36(1H, m), 3.45-3.49(1H, m), 3.69-3.72(2H, m), 7.31(2H, d), 7.40(4H, 明瞭な d), 7.56(2H, d), 7.92(2H, br.s)。
実施例80
(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸および(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸メチルエステル
80A.{4−[4−(4−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェノキシ}−酢酸エチルエステル
Figure 0005345842
実施例42Bに記載した手法に従い、クロロベンゼンをフェノキシ酢酸エチルに置き換え、また溶媒としてニトロベンゼンを使用して、標題化合物を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.37 min [M+H] 418。
80B.(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸および(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸メチルエステル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、{4−[4−(4−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェノキシ}−酢酸エチルエステルと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを80℃で30分間加熱反応させ、標題化合物の混合物を得た。後処理に際し、塩基性の水性抽出物を塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出(×2)し、次いで、これらの有機抽出液を併合して食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して粗製の産物を得た;これを水から再結晶させて(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸(12mg、5%)を得た;LCMS(PS-A3)Rt 5.33 min [M+H] 378。1H NMR(DMSO-d6)δ2.22-2.26(4H, m), 2.67-2.71(4H, m), 4.65(2H, s)6.67(2H, d), 7.11(2H, d), 7.24(2H, d), 7.46(2H, d), 7.96(2H, br.s)。
塩基に抽出されなかった物質は、メタノール中に放置して、単一の化合物、(4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸メチルエステルに変換した。これを分取HPLCにより精製して標題化合物(18mg、7%)を得た;LCMS(PS-A3)Rt 6.13 min [M+H] 392。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.34-2.45(4H, m), 2.87(4H, 明瞭な t), 3.75(3H, s), 6.83(2H, d), 7.21(2H, d), 7.26(2H, d), 7.47(2H, d), 7.89(2H, s)。
実施例81
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−ベンゾニトリル
81A.4−(4−クロロ−フェニル)−4−(4−ヨード−フェニル)−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例42Bに記載した手法に従い、クロロベンゼンをヨードベンゼンに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-A2)2.68 min [M+H] 398。
81B.4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−ベンゾニトリル
Figure 0005345842
DMF中、4−(4−クロロ−フェニル)−4−(4−ヨード−フェニル)−ピペリジンおよびシアン化銅(I)の混合物を窒素下、140℃に6時間加熱し、次いで冷却した。混合物を酢酸エチルで希釈し、濃アンモニアと食塩水の混合物で洗浄し(×5)、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;これをカラムクロマトグラフィー(SiO)により、2Mアンモニア/メタノール(5%〜10%)とジクロロメタンとの勾配で部分的に溶出精製して、標題化合物(46mg、<16%)を得た。これをさらに精製することなく、次工程反応で使用した。LCMS(PS-A2)Rt 2.39 min [M+H] 297。
81C.4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−ベンゾニトリル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−ベンゾニトリルと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを100℃で15分間加熱反応させ、標題化合物の混合物を得た。LCMS(PS-A3)Rt 6.68 min [M+H] 329。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.65-2.73(4H, m), 2.77-2.85(4H, m), 3.75(3H, s), 7.46(2H, d), 7.59(2H, d), 7.68(2H, d), 7.71(2H, d), 8.42(2H, br.s)。
実施例82
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
82A.ビス−(4−クロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル
Figure 0005345842
ビス−(4−クロロ−フェニル)−酢酸(4.33g、15.4mmol)を無水メタノール(20mL)に懸濁し、濃塩酸(5滴)を添加した。1日後、飽和重炭酸ナトリウム溶液の添加により反応を停止させ、次いで有機溶媒を減圧除去した。残渣を酢酸エチルと50%飽和炭酸カリウム溶液に分配した。有機相を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、10%酢酸エチル/ガソリンで溶出精製し、標題化合物を無色油として得た(3.57g、78%); LCMS(PS-B3)Rt 3.79 min, イオン化なし。1H NMR(CDCl3)δ3.74(3H, s), 4.96(1H, s), 7.20-7.23(4H, m), 7.28-7.32(4H, m)。
82B.2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル
Figure 0005345842
THF(20ml)中、ビス−(4−クロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(1.19g、4.0mmol)の溶液を窒素下−78℃に冷却した。LDAの溶液(3.0mL、6.0mmol、2M/ヘプタン/THF/エチルベンゼン)を5分間で加え、次いでさらに20分後にヨードメタン(0.63ml、10.1mmol)を加えた。4時間後に、飽和塩化アンモニウム溶液を加えて反応停止し、室温に戻し、次いで減圧濃縮して有機溶媒を除去した。混合物を酢酸エチル/ガソリン(1:4)で希釈し、飽和塩化アンモニウム溶液、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/ガソリン(1%〜2%)の勾配で溶出精製し、標題化合物(210mg、17%)を無色油として得た;LCMS(PS-B3)Rt 4.01 min, イオン化なし。1H NMR(CDCl3)δ1.88(3H, s), 3.73(3H, s), 7.11-7.14(4H, m), 7.26-7.30(4H, m)。
82C.2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸
Figure 0005345842
THF/水/メタノール(1:1:1、18mL)中、2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステル(210mg、0.67mmol)の溶液を室温で5日間攪拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルおよび2N塩酸に分配し、次いで有機相を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して標題化合物(186mg、93%)を黄色固体として得た;このものはさらに精製することなく使用した。LCMS(PS-B3)Rt 2.40 min [M-CO2H]- 249。
82D.2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミド
Figure 0005345842
実施例8Dに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸を2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピオン酸に置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-B3)Rt 3.40 min [M+H] 308。
82E.[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例8Eに記載した手法に従い、3−(4−ブロモ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドを2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−プロピオンアミドに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(FL-A)Rt 2.35 min [M+H] 294。
82F.{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−メチル−アミンと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールとを反応させ、標題化合物を得た;LCMS(PS-A3)Rt 6.94 min [M+H] 326。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.86(3H, s), 2.77(3H, s), 3.89(2H, s), 7.26-7.33(4H, m), 7.37-7.40(2H, m), 7.68(2H, d), 8.35(2H, s)。
実施例83
1−(4−クロロ−フェニル)−2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール
Figure 0005345842
実施例79A、79Bおよび79Dに記載した手法に従い、エタノールアミンをメチルアミンに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-A3)Rt 5.28 min [M+H] 328, [M-H2O+H] 310。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.38(3H, s), 3.34(2H, s), 7.28-7.31(2H, m), 7.41-7.46(4H, m), 7.51-7.54(2H, m), 7.92(2H, s)。
実施例84
2−アミノ−1−(4−クロロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール
84A.2−[2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヨード−フェニル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン
Figure 0005345842
THF(5mL)およびDMSO(2mL)中、2−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−ヨード−フェニル)−オキシラン(571mg、1.60mmol)およびカリウムフタルイミド(340mg、1.84mmol)からなる混合物を100℃で20時間加熱した。混合物を減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水および食塩水(×2)で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して粗製産物を得た;これをカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/ガソリン(2.5%〜100%)、次いで10%メタノール/ジクロロメタンの勾配で溶出精製して標題化合物(273mg、34%)を得た;LCMS(PS-A2)Rt 3.22 min [M+H] 504。
この出発物質は実施例79Aに記載の方法により調製し得る。
84B.N−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(1H−ピラゾ−ル−4−イル)−フェニル]−エチル}−フタラミン酸
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、2−[2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヨード−フェニル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させて、標題化合物を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.62 min [M-H]- 460。
84C.2−アミノ−1−(4−クロロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール
Figure 0005345842
実施例49Dに記載した手法に従い、N−(2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾ−ル−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチル)−フタラミン酸をN−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(1H−ピラゾ−ル−4−イル)−フェニル]−エチル}−フタラミン酸に置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-A3)Rt 6.29 min [M-H2O+H] 296。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.29-3.38(2H, m), 7.32(2H, d), 7.41-7.46(4H, m), 7.55(2H, d), 7.94(2H, s)。
実施例85
4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例8Eに記載した手法に従い、クロロベンゼンを1,2−ジクロロベンゼンに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-B4)Rt 7.20 min [M+H] 372。1H NMR(Me-d3-OD)δ 2.62-2.69(2H, m), 2.73-2.81(2H, m), 3.18-3.30(4H, m), 7.34(1H, dd), 7.46-7.52(3H, m), 7.53(1H, d), 7.72(2H, d), 8.56(2H, s)。
実施例86
4−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例14に記載した手法に従い、クロロベンゼンを2−クロロアニソールに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-B4)Rt 6.24 min [M+H] 368。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.62-2.75(4H, m), 3.23(4H, 明瞭な t), 3.86(3H, s), 7.06(1H, d), 7.30(1H, dd), 7.34(1H, d), 7.45(2H, d), 7.69(2H, d), 8.57(2H, s)。
実施例87
4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
87A.4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
窒素下、臭化4−クロロ−3−フルオロフェニルマグネシウムの溶液(15ml、7.5mmol、0.5M/THF)を4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.02g、5.1mmol)に加えた。24時間後、飽和塩化アンモニウム溶液を加え、次いで有機溶媒を減圧除去した。混合物を酢酸エチルで抽出し、次いでこの抽出液を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、酢酸エチル/ガソリン(0%〜20%)の勾配で溶出して、標題化合物(511mg、30%)を得た。1H NMR(Me-d3-OD)δ1.48(9H, s), 1.67(2H, br.d), 1.92(2H, td), 3.16-3.29(2H, m), 3.99(2H, br.d), 7.27(1H, dd), 7.38(1H, dd), 7.42(1H, t)。
87B.4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例42Bに記載した手法に従い、クロロベンゼンをブロモベンゼンに置き換え、標題化合物を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.43 min [M+H] 368。
87C.4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−ピペリジンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LCMS(PS-A3)Rt 7.11 min [M+H] 356。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.62-2.80(4H, m), 3.18-3.30(一部溶媒と重なる、4H, m), 7.23(1H, t), 7.34-7.39(1H, m), 7.22(1H, dd), 7.30(1H, dd), 7.43-7.49(3H, m), 7.71(2H, d), 8.55(2H, s)。
実施例88
4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−安息香酸
88A.4−(4−カルボキシ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
窒素下、THF(5mL)中、4−(4−ブロモ−フェニル)−4−(4−クロロ-フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(888mg、1.97mmol)の溶液を−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム溶液(1.5 mL、1.6M/ヘキサン)を滴下し、混合物をこの温度に25分間維持した。二酸化炭素ガス(ドライアイスから生成させ、塩化カルシウムペレットのカラムを通して乾燥)をアニオン溶液に80分間吹き込み、次いで、混合物を室温に戻した。溶媒を減圧下に除去し、次いで残渣を1N塩酸とジエチルエーテルに分配した。有機相を分取し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。併合した水相をさらに酢酸エチルで抽出し、この抽出液を乾燥(MgSO)、濾過し、エーテル抽出液と併合し、濃縮して4−(4−カルボキシ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(889mg)を得た;LCMS(PS-A2)Rt 3.52 min [M-tBu+H] 360。
この出発物質は実施例14A、次いで実施例48Aに記載の方法により調製し得る。
88B.4−(4−カルボキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、4−(4−カルボキシ−フェニル)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.92 min [M+H] 448。
88C.4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−安息香酸
Figure 0005345842
4−(4−カルボキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(26mg、0.06mmol)をジオキサン(2mL)および1N塩酸(2mL)に溶かした。24時間後、混合物を減圧濃縮し、ジエチルエーテル中で破砕し、標題化合物を二塩酸塩として得た(22mg、90%); LCMS(PS-A3)Rt 5.22 min [M+H] 348。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.70-2.82(4H, m), 3.26(4H, 明瞭な t), 7.46(2H, d), 7.51(2H, m), 7.68(2H, d), 8.00(2H, d), 8.47(2H, s)。
実施例89
4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−[4,4']ビピリジニル
89A.4−(4−クロロ−フェニル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[4,4']ビピリジニル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005345842
窒素下、トルエン(10mL)中、ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.54g、6.36mmol)の溶液を氷冷した。4−(4−クロロ−ベンジル)−ピリジン(1.30g、6.36mmol)を加え、次いで、2分間でナトリウムヘキサメチルジシラジド溶液(10mL、20mmol、2M/THF)を加えた。混合物を0℃で3.5時間攪拌し、次いで室温に戻し、さらに20時間攪拌した。メタノールを加え、次いで混合物を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに取り込み、1N塩酸(×3)と食塩水で洗い、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮して残渣を得た;残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO)により、2Mメタノール性アンモニア/ジクロロメタン(1%〜5%)の勾配で溶出し、精製した。カラムクロマトグラフィー(SiO)による2回目の精製は、50%酢酸エチル/ガソリンで溶出し、標題化合物(16mg、0.7%)を得た。LCMS(PS-A2)Rt 2.65 min [M+H] 373。
この出発物質は文献(J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 2000, p3444-3450)に記載の方法により調製し得る。
89B.4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−[4,4']ビピリジニル
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、4−(4−クロロ−フェニル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[4,4']ビピリジニル−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、次いで、4M−HCl/ジオキサンで処理し、標題化合物を得た;LCMS(PS-B4)Rt 4.28 min [M+H] 305。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.76(2H, br.t), 3.01(2H, br.d), 3.24(2H, br.t), 3.39(2H, br.d), 7.58(2H, d), 7.76(2H, d), 8.17(2H, d), 8.37(2H, s), 8.82(2H, d)。
実施例90
3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例8に記載した手法に従い、臭化4−クロロフェニルマグネシウムを臭化クロロフェニルマグネシウムに、またメチルアミンをアンモニアに置き換え、標題化合物を得た;LCMS(PS-B3)Rt 2.60 min [M+H] 312。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.44(2H, 明瞭な qd), 2.87(2H, dd), 4.14(1H, t), 7.24(1H, dt), 7.27-7.33(2H, m), 7.34(1H, t), 7.42(2H, d), 7.68(2H, d), 8.58(2H, s)。
実施例91
2−メチルアミノ−1−(4−ニトロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール
Figure 0005345842
実施例83に記載した手法に従い、(4−クロロ−フェニル)−(4−ヨード−フェニル)−メタノンを(4−ブロモ−フェニル)−(4−ニトロ−フェニル)−メタノンに置き換え、標題化合物を得た。 LCMS(PS-A)Rt 1.79 [M+H] 339。1H NMR(Me-d3-OD)δ8.27(2H, d), 7.98(2H, s), 7.80(2H, d), 7.65(2H, d), 7.52(2H, d), 4.00(2H, dd), 2.73(3H, s)- CH(OH)のシグナルは水ピークの下にあると思われる。
実施例92
2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例87Bおよび実施例42Cに記載した手法に従い、1−(4−ブロモ−フェニル)−2−メチルアミノ−エタノールを2−アミノ−1−(4−ブロモ−フェニル)−エタノールに、またクロロベンゼンを2−クロロアニソールに置き換えて、標題化合物を得た。LCMS(PS-B3)Rt 2.55 [M+H] 328.20。1H NMR(Me-d3-OD)δ3.65-3.70(2H, d), 3.90(3H, s), 4.30-4.35(1H, t), 7.05-7.10(1H, d), 7.30-7.35(1H, d), 7.40(1H, s), 7.45-7.50(2H, d), 7.70-7.75(2H, d), 8.60(2H, s)。
実施例93
2−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
93A.2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−エチルアミン
Figure 0005345842
2−アミノ−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エタノール(293mg、1.04mmol)をピリジンHF(2ml)に冷却下溶解させた。24時間後、混合物を1N水酸化ナトリウム溶液中に希釈し、DCMで抽出した(×3)。各抽出液を乾燥(MgSO)し、濾過、次いで、併合、濃縮して残渣を得た;これをカラムクロマトグラフィー(SiO)により、0.5%エチルアミン/酢酸エチルで溶出精製し、標題化合物(192mg、65%)を得た;LCMS(PS-B3)Rt 3.34 min [M-F-] 266。1H NMR(DMSO-d6)δ 3.41(2H, d), 7.39-7.46(8H, m)。
93B.2−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例1に提示した手法に従い、2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−エチルアミンを4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと反応させ、標題化合物を得た;ただし、加熱はCEMマイクロ波により(300W電力)100℃5分間で実施した。LCMS(PS-B4)Rt 6.69 min [M-F-] 296。1H NMR(Me-d3-OD)δ4.04(2H, d), 7.47-7.55(6H, m), 7.77(2H, d), 8.41(2H, d)。
実施例94
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例60に記載した手法に従い、6−クロロ−ニコチノニトリルを6−クロロ−ピリジン−3−カルバルデヒドと置き換え、また3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸を1−トリチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸と置き換え、次いで、実施例8に記載した手法に従い、標題化合物を得ることができた。
実施例95
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例87に記載した手法に従い、4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを(2−オキソ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルと置き換え、標題化合物を得ることができた。
実施例96
4−(2−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン
Figure 0005345842
実施例14に記載した手法に従い、クロロベンゼンを1−クロロ−2−フルオロベンゼンに置き換え、標題化合物を得ることができる。
実施例97
1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン
97A.(4−クロロ−フェニル)−(3,4−ジクロロ−フェニル)−メタノール
Figure 0005345842
文献(J. Medicinal Chem.,(2000), 43(21), 3878-3894)記載の方法に従い、市販品として入手可能な臭化クロロフェニルマグネシウムおよび3,4−ジクロロベンズアルデヒドを反応させて、標題化合物を得た。
97B.1,2−ジクロロ−4−[クロロ−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−ベンゼン
Figure 0005345842
文献(Organic Letters,(2003), 5(8), 1167-1169)記載の方法に従い、実施例97Aの産物をSOClと反応させ、標題化合物を得た。
97C.1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン
Figure 0005345842
標題化合物は実施例97Cの化合物から、文献(Zhongguo Yaowu Huaxue Zazhi(2002), 12(3), 125-129)記載の方法と条件を用いて調製し得る。
実施例98
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン
Figure 0005345842
実施例42に記載した手法に従い、実施例42Bにおけるクロロベンゼンを1,2−ジクロロベンゼンに置き換え、標題化合物を得た。
実施例99
{2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例42に記載した手法に従い、実施例42Bにおけるクロロベンゼンの代わりに2−クロロアニソールを用いて、標題化合物を得た。LC/MS:(PS-A2)Rt 2.03 [M+H] 342。1H NMR(Me-d3-OD)δ2.45(3H, s), 3.22(2H, d), 3.85(3H, s), 4.15(1H, t), 7.04(1H, d), 7.33(1H, d), 7.27-7.34(3H, m), 7.55(2H, d), 7.92(2H, s)。
実施例100
4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェノキシ)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール
Figure 0005345842
実施例42Aに記載した手法に従い、メチルアミンをアゼチジンと置き換え、実施例45の手法に従い、標題の化合物を入手し得た。
実施例101
3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン
Figure 0005345842
実施例61に記載した手法に従い、工程61Aにおけるイミダゾールをカリウムフタリミドと置き換え、また61Bにおけるクロロベンゼンを1−クロロ−2−メトキシ−ベンゼンと置き換え、次いで実施例84Bと84Cに提示した条件下にフタロイル保護基を除去することにより、標題化合物を調製し得る。
実施例102
{3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例61に記載した手法に従い、実施例61Aにおけるイミダゾールをメチルアミンに置き換え、また実施例61Bにおけるクロロベンゼンを1−クロロ−2−メトキシ−ベンゼンに置き換え、標題化合物を入手し得る。
実施例103
1−[(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−ピペリジン
103A.(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メタノール
Figure 0005345842
標題化合物は実施例97Aの方法を用い、3.4−ジクロロベンズアルデヒドを3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒドに置き換えて、調製し得る。
103B.2−クロロ−4−[クロロ−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−1−メトキシ−ベンゼン
Figure 0005345842
実施例103Aのヒドロキシ化合物を実施例97Bの方法に従い、標題のクロロ化合物に変換することができる。
103C.1−[(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−ピペラジン
Figure 0005345842
標題化合物は実施例97Cの方法に従い、実施例103Bの産物から調製し得る。
実施例104
C−(4−クロロ−フェニル)−C−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチルアミン
Figure 0005345842
実施例1に記載した手法に従い、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルエチルアミン塩酸塩をC,C−ビス−(4−クロロ−フェニル)−メチルアミンと置き換え、標題化合物を得ることができた。
実施例105
{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
105A.2−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−2−[4−(3−メチル−1−トリチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド
Figure 0005345842
2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル-アセトアミドは、実施例21aの方法を用い、市販品として入手し得る相当するカルボン酸とメチルアミンとを反応させることにより調製した。次いで、N−メチル−アセトアミド化合物を実施例1に記載した方法により標題化合物に変化した。LCMS(PS-B3)Rt 4.21 min; m/z [M+H]+ 582。
105B.2−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−2−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド
Figure 0005345842
実施例60Dに記載した手法により、実施例104Aのトリチル保護化合物を脱保護し、標題化合物を得た。
LCMS(PS-B3)Rt 2.41 min; m/z [M+H] 340。1H NMR(メタノール-d4)δ2.40(3H, s), 2.78(3H, s), 4.95(1H, s), 7.29-7.34(6H, m), 7.41(2H, d), 7.69(1H, s)。
105C.{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチル−アミン
Figure 0005345842
実施例20Bに記載した手法に従い、標題化合物を得た。
LCMS(PS-B3)Rt 2.80 min; m/z [M+H] 326。1H NMR(メタノール-d4)δ2.52(3H, s), 2.75(3H, s), 3.80(2H, d), 4.46(1H, t), 7.41(4H, s), 7.49(2H, d), 7.54(2H, d), 8.24(1H, s)。
生物学的活性
実施例106
PKAキナーゼ阻害活性(IC 50 )の測定
本発明化合物については、PKA触媒ドメイン(アップステート・バイオテクノロジー;#14−440)および基質として9残基のPKA特異的ペプチド(GRTGRRNSI)(アップステート・バイオテクノロジー;#12−257)を用いて試験することができる。20mM−MOPS(pH7.2)、40μM−ATP/γ33P−ATPおよび5μM基質からなるバッファー中、最終濃度1nMの酵素を用いる。ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に化合物を加え、最終DMSO濃度を2.5%とする。反応を20分間進行させ、過剰のオルトリン酸を加えて活性を停止させる。次いで、取り込まれなかったγ33P−ATPをミリポアーMAPHフィルタープレート上、リン酸化タンパク質から分離する。プレートを洗浄し、シンチラントを加え、次いで、プレートをパッカード・トップカウントでの計数に付す。
PKB活性の50%を阻害するために必要な試験化合物の濃度(IC50)を決定するために、PKA活性の%阻害を計算し、プロットする。
実施例1、4、43、44、45、46、47、48、49、52、54、59、63、66、67、73、78、79、81、82、83、84、85、86および90の化合物は1μM未満のIC50値を示し、一方、実施例5、7および80の化合物は15μM未満のIC50値を有する。
実施例107
PKBキナーゼ阻害活性(IC 50 )の測定
化合物によるプロテインキナーゼB(PKB)活性の阻害は、文献(Andjelkovic et al. Mol. Cell. Biol. 19, 5061-5072(1999))の記載に従って定量し得るが、PKB−PIFとして記載され、文献(Yang et al., Nature Structural Biology 9, 940 - 944(2002))にその全体が記載されている融合タンパク質を使用する。該タンパク質はヤングら(Yang et al.)が記載しているように精製し、PDK1で活性化する。カルビオケムから入手したペプチドAKTイド−2T(H-A-R-K-R-E-R-T-Y-S-F-G-H-H-A-OH)(#123900)を基質として使用する。20mM−MOPS(pH7.2)、30μM−ATP/γ33P−ATPおよび25μM基質からなるバッファー中、最終濃度0.6nMの酵素を用いる。DMSO溶液中に化合物を加え、最終DMSO濃度を2.5%とする。反応を20分間進行させ、過剰のオルトリン酸を加えて活性を停止させる。反応混合物をホスホセルロースフィルタープレートに移し、該ペプチドを結合させ、使用されなかったATPを洗い流す。洗浄後、シンチラントを加え、取り込まれた活性をシンチレーション計数により測定する。
PKB活性の50%を阻害するために必要な試験化合物の濃度(IC50)を決定するために、PKB活性の%阻害を計算し、プロットする。
上記のプロトコールに従うと、実施例1、4、8−10、12−17、20−23、25−31、33−35、43、44、46、47、49−52、54、56、57、59、61、63、65、66、69、71−73、76−79、81−87、90、91、94および104の化合物のIC50値は1μM未満であることが判明し、一方、実施例2、3、5、6、7、11、18、19、24、32、36、45、48、53、55、58、60、64、67、68、75、80および89の化合物は、それぞれ5μM未満のIC50値を有する;また、実施例40、41、62および70の化合物は、それぞれ50μM未満のIC50値を有する。
実施例108
医薬製剤
(i)錠剤製剤
式(I)で示される化合物を含有する錠剤粗製物は、該化合物50mgを、賦形剤としてのラクトース(BP)197mgおよび滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgと混合し、既知方法で圧縮して錠剤を形成することにより調製する。
(ii)カプセル製剤
式(I)で示される化合物100mgをラクトース100mgと混合し、得られる混合物を標準の不透明なハードゼラチンカプセルに詰めて調製する。
(iii)注射用製剤I
注射による投与のための非経口組成物は、式(I)で示される化合物(例えば、塩形態で)を10%ポリエチレングリコール含有水に溶かし、1.5重量%の活性化合物濃度とすることにより調製し得る。この溶液は次いで濾過滅菌し、アンプルに詰め、封印する。
(iv)注射用製剤II
注射用非経口組成物は、式(I)で示される化合物(例えば、塩形態で)(2mg/ml)およびマンニトール(50mg/ml)を水に溶かし、封印可能な1mlバイアルまたはアンプルに充填し、調製する。
(v)注射用製剤III
注射または注入による静脈内送達用製剤は、式(I)で示される化合物(例えば、塩形態で)20mg/mlを水に溶かすことにより調製し得る。次いで、バイアルを封印し、オートクレーブで滅菌する。
(vi)注射用製剤IV
注射または注入による静脈内送達用製剤は、式(I)で示される化合物(例えば、塩形態で)20mg/mlを、バッファー(例えば、0.2M酢酸塩、pH4.6)含有水に溶かすことにより調製し得る。次いで、バイアルを封印し、オートクレーブで滅菌する。
(vii)皮下注射用製剤
皮下投与用組成物は、式(I)で示される化合物を、医薬等級のコーンオイルと混合し、5mg/mlの濃度となるようにして調製する。この組成物は滅菌して適当な容器に充填する。
(viii)凍結乾燥製剤
製剤化した式(I)で示される化合物の分割量を50mlバイアルに容れ、凍結乾燥する。凍結乾燥に際しては、1工程凍結プロトコール(−45℃)で凍結する。温度を−10℃まで上げてアニリーニングし、次いで−45℃に下げて凍結し、次いで、+25℃で約3400分間一次乾燥し、次いで、第二段階として50℃まで温度を上げて二次乾燥する。一次および二次乾燥に際しての圧力は80ミリトールに設定する。
実施例109
治療効果のアッセイ
補助的化合物(化合物II)と組み合わせた式(I)で示される化合物(化合物I)の作用を以下の方法により評価した。
IC 50 シフトアッセイ
ヒト細胞株(例:HCT116、MDA−MB−468、SKBr3または結腸癌細胞株HT29(ECACC No.91072201))からの細胞を96穴組織培養プレートに、5×10個/ウエルの濃度で播種した。細胞を一夜回復させ、次いで、以下のように化合物または媒体対照(1%DMSO)を加えた。
Figure 0005345842
以下のスケジュールの一つに従って、化合物を添加した:
a)72時間、同時に作用
b)24時間化合物I、次いで48時間化合物II
c)24時間化合物II、次いで48時間化合物I
例えば、以下の事例では、化合物を72時間、同時に添加した。合計72時間、化合物をインキュベートした後、アラマー・ブルー(商標)を最終濃度10%(v/v)として加え、37℃で6時間インキュベートした。蛍光産物はフュージョンリーダー(パーキン・エルマー)によりd535/25x(励起)およびd590/20m(発光)で読み取り、定量した。種々用量の化合物Iの存在下に、化合物IIのIC50を測定した。準有効用量の化合物Iの存在下でIC50がシフトダウンした場合、相乗作用と判定した。化合物IIと化合物Iへの応答が共に2種の化合物個々の合計に等しい作用であった場合、相加作用と判定した。拮抗作用はIC50を上方シフトさせた場合、すなわち、2種の化合物への応答が2種の化合物、個々の作用の合計よりも小さい場合と定義した。
上記のアッセイはいずれの補助化合物(例えば、細胞毒性化合物またはモノクローナル抗体)でも実施し得る。例えば、アッセイは化合物Iとして4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン(実施例14参照)を使用し、また化合物IIとしてゲフィチニブ(アストラゼネカ株式公開会社から商品名イレッサの名称で市販入手し得る)を使用して実施した。結果を以下に示す:
Figure 0005345842
均等
前記の実施例は本発明の説明を目的として提示するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。多くの修飾および変更が、上記の、また実施例に説明した本発明の具体的態様に対し、本発明の基礎をなす原理からかけ離れることなくなし得ることは、容易に明らかである。かかる修飾および変更のすべてが本出願に包含されるものとする。

Claims (14)

  1. 補助化合物および式(I):
    Figure 0005345842
    〔式中、
    Aは1〜7個の炭素原子を含む飽和炭化水素リンカー基であり、該リンカー基は、RとNRの間に伸張する最大5個の原子の鎖長を有し、またEとNRの間に伸張する最大4個の原子の鎖長を有する;ただし、リンカー基の炭素原子の1個は所望により酸素または窒素原子と置換わっていてもよい;また、リンカー基Aの炭素原子はオキソ、フッ素およびヒドロキシから選択される1個以上の置換基を所望により担持していてもよい;ただし、ヒドロキシ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置せず、またオキソ基は、それが存在する場合、NRに関してα炭素原子に位置する;
    Eはフェニルまたはピリジル基である;
    はフェニル、ナフチル、チエニル、フラン、ピリミジンおよびピリジンから選択され、これらはそれぞれ未置換であるか、またはヒドロキシ;C1−4アシルオキシ;フッ素;塩素;臭素;トリフルオロメチル;シアノ;CONH;ニトロ;C1−4ヒドロカルビルオキシおよびC1−4ヒドロカルビル(それぞれC1−2アルコキシ、カルボキシまたはヒドロキシで所望により置換されている);C1−4アシルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;モルホリノカルボニル;ピペラジノカルボニル;N、OおよびSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員および6員のヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシ基;フェニル;フェニル−C1−4アルキル;フェニル−C1−4アルコキシ;ヘテロアリール−C1−4アルキル;ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシ(ただし、ヘテロアリール、へテロアリールオキシ、フェニル、フェニル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルコキシ、へテロアリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルコキシおよびフェノキシ基は、それぞれC1−2アシルオキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、シアノ、CONH、C1−2ヒドロカルビルオキシおよびC1−2ヒドロカルビル(それぞれメトキシまたはヒドロキシで所望により置換されている)から選択される1、2または3個の置換基で所望により置換されている)から選択される1個以上の置換基を担持する;
    およびRは独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される;ただし、該ヒドロカルビルおよびアシル部分は、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノおよびメトキシから選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてよい;
    またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、イミダゾール基、および4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基から選択される環基を形成する;
    またはRおよびRの一方は、それらが結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
    またはNRおよびそれが結合するリンカー基Aの炭素原子は一緒になってシアノ基を形成する;
    は、水素およびメチルから選択される;また
    は、水素、メチル、およびシアノから選択される。〕
    で示される化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドを含み、ここで、補助化合物がゲフィチニブである、組み合わせ製品
  2. 補助化合物および式(Ia):
    Figure 0005345842
    〔式中、
    A、E、R、RおよびRは請求項1に定義したとおりである;
    およびRは独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択される;
    またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
    またはRおよびRの一方は、それらが結合する窒素原子およびリンカー基Aからの1個以上の原子と一緒になって、4〜7環員を有し、OおよびNから選択される第二のヘテロ原子環員を所望により含む飽和単環状へテロ環基を形成する;
    またはNRおよびそれが結合するリンカー基Aの炭素原子は一緒になってシアノ基を形成する。〕
    で示される化合物またはその塩、溶媒和物、互変異性体もしくはN−オキシドを含有してなる請求項1記載の組み合わせ製品
  3. −A−NRの部分が式R−(G)−(CH)−W−O−(CH)−(CR)−NR(式中、GはNH、NMeまたはOである;Wは基Eに結合し、(CH)−CR20、(CH)−Nおよび(NH)−CHから選択される;bは0または1であり、jは0または1であり、kは0または1であり、mは0または1であり、nは0、1、2、または3であり、またpは0または1である;bおよびkの合計は0または1である;j、k、m、nおよびpの合計は4を超えない;RおよびRは同一または異なって、メチルおよびエチルから選択されるか、またはCRがシクロプロピル基を形成する;R20は、水素、メチル、ヒドロキシおよびフッ素から選択される)で表される請求項1または2に記載の組み合わせ製品
  4. 式(I)の化合物が:
    (a)式(II):
    Figure 0005345842
    [式中、基Aはベンゼン環のメタまたはパラ位置に結合し、qは0〜4である]
    で示される化合物;または
    (b)式(III):
    Figure 0005345842
    [式中、A'は基Aの残基であり、RないしRは請求項1ないし3のいずれか1項に記載のとおりである]
    で示される化合物;または
    (c)式(IV):
    Figure 0005345842
    [式中、zは0、1または2であり、R20は水素、メチル、ヒドロキシおよびフッ素から選択される;ただし、zが0のとき、R20はヒドロキシ以外である]
    で示される化合物;または
    (d)式(V):
    Figure 0005345842
    で示される化合物である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組み合わせ製品
  5. (a)RおよびRが独立して、水素、C1−4ヒドロカルビルおよびC1−4アシルから選択されるか;または(b)RおよびRが独立して、水素およびメチルから選択されるか;または(c)RおよびRが共に水素である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組み合わせ製品
  6. 式(I)で示される化合物が次のものからなる群から選択される、請求項1に記載の組み合わせ製品
    2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオニトリル;
    2−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−フェニル−エチルアミン;
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    2−[3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1−フェニル−エチルアミン;
    3−フェニル−2−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    3−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    {3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    {3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    {3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド;
    3−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−(4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−フェニル−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−4−フェニル−ピペリジン;
    ジメチル−{3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−3−ピリジン−2−イル−プロピル}−アミン;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチルアミン;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン(R);
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン(S);
    4−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−モルホリン;
    4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−ピロリジン−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−イソプロピルアミン;
    ジメチル−{2−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
    {2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ジメチルアミン;
    {2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(R);
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン(S);
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
    1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペラジン;
    1−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピペリジン;
    4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    2−(4−クロロ−フェニル)−N−メチル−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
    N−メチル−2,2−ビス−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−アセトアミド;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−エチルアミン;
    4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−イミダゾール−1−イル−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    メチル−{2−(4−フェノキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
    {2−(4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    メチル−{2−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
    メチル−{2−フェノキシ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミン;
    2−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メトキシ}−エチルアミン;
    4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−ピロリジン−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    4−{4−[3−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    メチル−{3−ナフタレン−2−イル−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−アミン;
    {3−(4−フルオロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    4−{4−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペリジン−4−イル]−フェニル}−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル;
    3−(4−フェノキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
    1−メチル−4−{フェニル−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−[1,4]ジアゼパン;
    {3−(3−クロロ−フェノキシ)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    メチル−{2−フェニル−2−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−エチル}−アミン;
    4−{4−[1−(4−クロロ−フェニル)−3−イミダゾール−1−イル−プロピル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    4−[4−(3−イミダゾール−1−イル−1−フェノキシ−プロピル)−フェニル]−1H−ピラゾール;
    4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノール;
    1−{(4−クロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
    {2−(4−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    {2−(3−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    4−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−[4−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピオンアミド;
    2−(4−{2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−フェノキシ)−イソニコチンアミド;
    {2−(4−クロロ−フェノキシ)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    3−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−プロパン−1−オール;
    2−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−エタノール;
    3−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−プロパン−1−オール;
    2−{2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミノ}−エタノール;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−シクロプロピルメチルアミン;
    メチル−[2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2−(4−ピリジン−3−イル−フェニル)−エチル]−アミン;
    4−{3−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−フェノール;
    3−(4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    4−(4−クロロ−フェニル)−4−[4−(3−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−モルホリン;
    (4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−フェノキシ)−酢酸;
    4−{4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン−4−イル}−ベンゾニトリル;
    {2−(4−クロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    1−(4−クロロ−フェニル)−2−メチルアミノ−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
    2−アミノ−1−(4−クロロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
    4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−[4,4']ビピリジニル;
    3−(3−クロロ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    2−メチルアミノ−1−(4−ニトロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール;
    2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    2−(4−クロロ−フェニル)−2−フルオロ−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−[6−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−プロピルアミン;
    2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    4−(2−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−4−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−ピペリジン;
    1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;
    2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチルアミン;
    {2−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−2−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−メチルアミン;
    4−{4−[2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−フェノキシ)−エチル]−フェニル}−1H−ピラゾール;
    3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピルアミン;
    {3−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−プロピル}−メチルアミン;
    1−{(3,4−ジクロロ−フェニル)−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチル}−ピペラジン;および
    C−(4−クロロ−フェニル)−C−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−メチルアミン;
    およびその塩、溶媒和物、互変異性体およびN−オキシド。
  7. 式(I)の化合物が2−アミノ−1−(4−クロロ−フェニル)−1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノールまたはその塩、溶媒和物、互変異性体またはN−オキシドである、請求項6に記載の組み合わせ製品
  8. 式(I)の化合物が塩酸との一または二塩形態である、請求項1に記載の組み合わせ製品
  9. 式(I)の化合物が1つ以上のキラル中心を有し、該化合物の少なくとも95%が単一の光学異性体として存在する、請求項1に記載の組み合わせ製品
  10. 1種以上の補助化合物をさらに含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組み合わせ製品
  11. (a)プロテインキナーゼBが仲介する癌の予防または処置;または
    (b)プロテインキナーゼAが仲介する癌の予防または処置;または
    (c)異常な細胞増殖から生じる疾患または状態の予防または処置;または
    (d)増殖、アポトーシス、または分化の異常がある疾患の予防;または
    (e)癌細胞のアポトーシスの誘発
    に使用するための、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組製品を含む、医薬組成物。
  12. 癌である異常な細胞増殖から生じる疾患または状態の予防または処置に使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 癌が膀胱、乳房、結腸、腎臓、上皮細胞、肝臓、肺、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、上皮細胞、甲状腺、前立腺、または皮膚の癌;リンパ系列の造血系腫瘍;骨髄系列の造血系腫瘍;甲状腺濾胞性癌;間充織起源の腫瘍;中枢系または末梢神経系腫瘍;メラノーマ;精上皮腫;奇形癌;骨癌;色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum);角化棘細胞腫;甲状腺濾胞性癌;およびカポジ肉腫から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
  14. 癌が乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、食道癌、扁平上皮癌および非小細胞肺癌から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
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