JP5431165B2 - シアノヒドリン化合物の製造方法およびα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法 - Google Patents

シアノヒドリン化合物の製造方法およびα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シアノヒドリン化合物の製造方法およびα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法に関するものであり、より具体的には、アルデヒド等のカルボニル化合物とシアン化水素とからシアノヒドリン化合物を製造するための方法および当該シアノヒドリン化合物を用いてα‐ヒドロキシエステル化合物を製造するための方法に関する。
シアノヒドリン化合物は、α‐ヒドロキシエステル化合物の製造等、様々な化合物を合成するための出発物質として有用である。このようなシアノヒドリン化合物の製造方法として、触媒を含み、原料であるカルボニル化合物を冷却攪拌しつつ、そこに、ゆっくりシアン化水素を供給し、逐次反応熱を除去しつつ反応を進める合成する方法(以下、「バッチ法」ともいう)が一般的である。カルボニル化合物とシアン化水素との反応速度は非常に速く、かつ、反応熱も大きい。そのため、反応系の急激な温度上昇を抑制するために、シアン化水素の供給は時間をかけて行われている。
また、上記バッチ法の他に、特許文献1から7に記載されたシアノヒドリン化合物の製造方法が知られている。
たとえば、特許文献1、2には、シアン化水素ガスを使用して、シアノヒドリンを連続的に製造する方法が開示されている。特許文献3、6には、アセトンシアノヒドリンの製造方法であって、反応塔へシアン化水素およびアセトンを連続的に供給し排出する製造方法が開示されている。特許文献4には、アセトンシアノヒドリンの製造方法であって、反応容器に、アセトンとシアン化水素を連続的に導入し、出発物質と生成物との比重の差を利用してアセトンシアノヒドリンを製造する方法が記載されている。特許文献5には、アセトンとシアン化水素との混合溶液、あるいは、両者の生成物を含む混合液に陰イオン交換樹脂を流動状態で存在させて連続的に反応させる方法が記載されている。特許文献6には、シアノヒドリンの製造方法であって、反応塔へシアン化水素および脂肪族カルボニル化合物を連続的に供給し排出する製造方法が開示されている。特許文献7には、反応容器中で、塩基触媒下、アセトンとシアン化水素とを反応させるアセトンシアノヒドリンの製造方法が開示されている。
日本国公開特許公報「特公昭34−522号公報(1959年2月9日公開)」 日本国公開特許公報「特公昭35−5755号公報(1960年5月25日公開)」 日本国公開特許公報「特公昭36−5869号公報(1961年5月26日公開)」 日本国公開特許公報「特公昭36−11965号公報(1961年7月29日公開)」 日本国公開特許公報「特公昭36−12115号公報(1961年7月31日公開)」 日本国公開特許公報「特公昭38−6761号公報(1963年5月22日公開)」 日本国公開特許公報「特開平10−25273号公報(公開日:1998年1月27日)」
しかしながら、従来のバッチ法による製造方法では、カルボニル化合物、特にアルデヒド化合物を出発物質とした場合に、シアノヒドリン化合物の収率が低下してしまうことがある。また、特許文献1、2および6には、カルボニル化合物を出発物質としたシアノヒドリン化合物の製造方法が記載されているが、これらに開示の方法では、上述の収率の低下については一切の考慮がなされていない。そのため、アルデヒド化合物を出発物質としたシアノヒドリン化合物の製造方法であって、高収率を実現できる製造方法の開発が望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルデヒドとシアン化水素とを反応させて、高収率を実現できるシアノヒドリン化合物の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発明の製造方法により得られたシアノヒドリン化合物を用いて、α‐ヒドロキシエステル化合物を製造することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特に工業的にシアノヒドリンを製造する場合、シアノヒドリン化合物が高濃度のアルデヒド化合物存在下に長時間曝されることによって、シアノヒドリン化合物と、アルデヒド化合物とが反応して副生成物を生じさせ、シアノヒドリン化合物の収率を低下させていることを新たに見出した。従って、反応液中のアルデヒド等のカルボニル化合物の濃度を制御することにより、シアノヒドリン化合物の収率の低下を防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法は、触媒の存在下、カルボニル化合物と、シアン化水素とを反応させるシアノヒドリン化合物の製造方法であって、反応系内において、前記カルボニル化合物の含有量を前記シアノヒドリン化合物に対して50モル%以下にすることを特徴としている。
上記構成によれば、反応系内において、未反応のカルボニル化合物の含有量を低減でき、カルボニル化合物と、生成したシアノヒドリン化合物との反応を抑制することができる。その結果、原料の供給に長時間を要しても、シアノヒドリン化合物の収率を向上させることができる。なお、本発明において、反応系とは、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン化水素とを混合後、シアノヒドリン化合物を単離するか、塩基性触媒を中和または除去することによって反応を停止させるまで、もしくは、次工程での反応に用いられるまでの系のことをいう。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記カルボニル化合物が、下記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物
(式中、Rは、アリール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、R中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
であることがより好ましい。
上記構成によれば、反応系内において、未反応のアルデヒド化合物の含有量を低減でき、アルデヒド化合物と、生成したシアノヒドリン化合物との反応を抑制することができる。その結果、原料の供給に長時間を要しても、シアノヒドリン化合物の収率を向上させることができる。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、塩基性触媒の存在下、シアン化水素にカルボニル化合物を供給することにより、シアン化水素とカルボニル化合物とを反応させることが好ましい。上記構成によれば、反応系内のカルボニル化合物の濃度の制御を容易に行うことができる。
また、塩基性触媒の存在下、シアン化水素およびカルボニル化合物を反応容器に交互に分割して供給することにより、シアン化水素とカルボニル化合物とを反応させることがより好ましく、シアン化水素およびカルボニル化合物を反応容器に同時に供給することにより、シアン化水素とカルボニル化合物を反応させることがさらに好ましい。本構成によれば、反応系内におけるアルデヒド化合物等のカルボニル化合物の濃度が特定の範囲となるように容易に制御できる他、反応系内に残存するシアン化水素をより少なくすることができるため、より安全に製造を行なうことができる。
前記シアン化水素および前記カルボニル化合物を反応容器に同時に供給し、かつ、カルボニル化合物に対してシアン化水素を1.00モル〜1.05モルに維持して供給することが好ましく、供給中0.80モル〜1.30モルの範囲で変動してもよい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記シアノヒドリン化合物が反応系外に出るまでに前記カルボニル化合物1モルに対して、前記シアン化水素を0.9〜3.0モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記触媒は、有機塩基性化合物および無機塩基性化合物の少なくとも一方であることが好ましい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記触媒は、アミン化合物、芳香族アミン化合物、アルカリ金属化合物、金属アルコキシド化合物、およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選択される化合物であることが好ましい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記触媒の使用量は、前記シアン化水素1モルに対して、0.001〜0.1モルの範囲であることが好ましい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法では、前記シアン化水素と前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物との反応において、溶媒を用いることが望ましいが用いなくてもよい。
本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法は、本発明の製造方法により製造されたシアノヒドリンを加水分解し、かつエステル化する工程を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物を出発原料として、α‐ヒドロキシエステル化合物を製造したとき、中間物質であるシアノヒドリンを収率よく得ることができる。そのため、高収率のα‐ヒドロキシエステル化合物を得ることができる。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔シアノヒドリン化合物の製造方法〕
本発明にかかるシアノヒドリンの製造方法は、触媒の存在下、一般式(1)に示されるアルデヒド化合物等のカルボニル化合物と、シアン化水素とを反応させるシアノヒドリン化合物の製造方法であって、
反応系内において、前記シアノヒドリン化合物に対する前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物の含有量を、50モル%以下にする。
(式中、Rは、アリール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、R中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
なお、本発明においてカルボニル化合物とはカルボニル基を有する化合物であればよく、例えば、アルデヒド化合物、ケトン化合物等が挙げられる。また、本発明において、アルデヒド化合物とは、分子内にアルデヒド基を有する化合物であり、シアノヒドリン化合物とは、分子内にシアノ基とヒドロキシル基を有する化合物である。本発明では、特に、同一の炭素原子にシアノ基とヒドロキシル基がついたシアノヒドリン化合物(α‐シアノヒドリン)を製造することを目的としている。
上述のように本発明に係る製造方法においてカルボニル化合物として、アルデヒド化合物を例示できるので、まずアルデヒド化合物について説明する。
(アルデヒド化合物)
本発明において使用するアルデヒド化合物は、上記一般式(1)で示されるものであり、カルボニル基に水素原子を少なくとも1個(すなわちホルミル基)有するカルボニル化合物である。本発明者らは、アルデヒド化合物とシアン化水素とを反応させてシアノヒドリン化合物を製造するとき、特に炭素数の小さいアルデヒド化合物を用いた場合に、生成されるシアノヒドリン化合物と未反応のアルデヒド化合物とが反応しやすく、シアノヒドリン化合物の反応収率が低いことを見出した。したがって、本発明においては、上述したアルデヒド化合物のうち、炭素数の小さいアルデヒド化合物を用いた場合に、特に顕著な効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、特に、炭素数の小さいアルデヒド化合物、特に炭化水素基の炭素数が1〜3のアルデヒド化合物とシアン化水素とを反応させてシアノヒドリン化合物を製造する場合に、収率よくシアノヒドリン化合物を製造することができる。本発明において使用するアルデヒド化合物は炭素数が小さいアルデヒド化合物であることが好ましく、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の飽和アルキルアルデヒド、アクリルアルデヒド、メタクリルアルデヒド、プロピオルアルデヒド等の不飽和アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、フタルアルデヒド、ニコチンアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのアルデヒドは、アミン、アミド、メトキシ、フェニル、ニトロ、ヒドロキシル、アルデヒド、カルボン酸等の置換基を有していてもよい。本発明において使用するアルデヒドが、使用時の温度において固体である場合、反応に対して不活性な溶媒にアルデヒドを溶解または懸濁させて使用してもよい。
(ケトン化合物)
なお、上述のように本発明に係る製造方法においてカルボニル化合物としてアルデヒド化合物以外にはケトン化合物が例示できる。本発明において使用できるケトン化合物としては、ケトン基を有するものであればよいが、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−メチル−3−ペンタノン、3−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、アセトフェノン、2−ノナノン、2−オクタノン、2−ヘプタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等が挙げられる。
(シアン化水素)
本発明において使用するシアン化水素は、メタンのアンモ酸化によって得られたシアン化水素、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化カルシウム等を塩酸または硫酸により酸性にして生成したシアン化水素、またはこれらを蒸留することによって精製したシアン化水素を使用することができる。また、シアン化水素は不安定であるため、酸性の安定剤、例えば亜硫酸ガス等を含むシアン化水素を使用してもよい。
(触媒)
本発明にかかる製造方法で用いられる触媒としては、塩基性触媒を用いる。塩基性触媒としては、有機塩基性化合物および無機塩基性化合物のいずれか一方を用いることができる。中でも、有機塩基性化合物が好ましい。触媒として用いられる化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等の3級アミノ化合物、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシド等の金属アルコラート化合物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物、塩基性イオン交換樹脂、ゼオライト等の塩基性化合物がある。
上記のような触媒を使用する割合は、シアン化水素1モルに対して、0.001〜0.1モルであることが好ましく、0.003〜0.05モルであることがより好ましく、0.005〜0.01モルであることがさらに好ましい。使用する触媒の割合が、シアン化水素1モルに対して、0.001モル未満ではアルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン化水素との反応速度が遅くなり、未反応のアルデヒド化合物等のカルボニル化合物が残留し、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物の含有量を特定の範囲に制御することが困難となる。また、触媒の割合が0.1モルを超えると、反応に使用されなかった触媒が反応系中に大量に残存するだけでなく、シアン化水素の重合を引き起こしやすくなり好ましくない。
また、使用するシアン化水素に酸性の安定剤が含まれる場合には、塩基性化合物と酸性の安定剤が反応するため、触媒活性が失われる可能性がある。この場合、安定剤の含有モル数に相当する塩基性化合物を追加すればよい。上記触媒の割合は、このような相殺後の有効触媒量である。なお、塩基性化合物が常温で固体の場合は、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物に溶解または懸濁させて使用するか、溶媒に溶解または懸濁させて使用すればよい。
(溶媒)
本発明に係る製造方法においては、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン化水素との反応に対して不活性な溶媒を使用することができる。カルボニル化合物、触媒が反応時の温度において固体である場合には、これらの物質を溶媒に溶解または懸濁させて使用することができる。
本発明において使用可能な溶媒は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。なお、本発明によって製造したシアノヒドリン化合物を用いてα‐ヒドロキシエステル化合物を製造するときの溶媒として例えばトルエンを用いる場合には、シアノヒドリン化合物製造時にも溶媒としてトルエンを用いることが好ましい。この場合、シアノヒドリン化合物を単離する必要がなく、得られたシアノヒドリン化合物の全量を有効に利用することができる。
溶媒の使用量は、原料として使用するアルデヒド化合物等のカルボニル化合物、触媒として使用する塩基性化合物、または生成物であるシアノヒドリン化合物を溶解できる量、またはこれらの物質を懸濁した溶液が流動性を示す量を適宜使用すればよい。
(反応)
本発明に係る製造方法において、カルボニル化合物とシアン化水素との反応は、例えば、上記一般式(1)に示されるアルデヒド化合物を例に説明すると、反応式(2)で示される反応であり、上記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物に、触媒によって活性化されたシアン化水素が付加することによって、シアノヒドリン化合物を生成する反応である。
(式中、Rは、アリール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、R中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
本発明にかかる製造方法では、反応系内において、前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物の含有量が、目的である前記シアノヒドリン化合物に対して50モル%以下にすることが好ましく、20モル%以下にすることがより好ましく、5モル%以下にすることがさらに好ましい。但し、反応系外に出るまでに、前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物1モルに対して、前記シアン化水素を0.9〜3.0モルの範囲で使用しなければならない。さらに、前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物1モルに対して、前記シアン化水素は、1.0〜2.0モルであることがより好ましく、1.0〜1.5モルであることがさらに好ましい。ここで、反応系とは、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン化水素とを混合してから、シアノヒドリン化合物を単離するか、塩基性触媒を中和または除去することによって反応を停止させるまで、もしくは次工程での反応に用いるまでの系のことをいう。具体的には、たとえば、予めシアン化水素と、触媒とを含む溶液に、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物を供給する場合には、反応系とは、該溶液のことをいう。また、シアン化水素を含む溶液に、触媒とアルデヒド化合物等のカルボニル化合物とを供給する場合にも、やはり、供給後の溶液が反応系に相当する。つまり、本発明では、溶液中のアルデヒド化合物等のカルボニル化合物の濃度が、目的生成物であるシアノヒドリン化合物に対して、50モル%以下となるように制御されて反応が進められる。
ここで、上記のように反応系のアルデヒド化合物等のカルボニル化合物の濃度を調整する反応方法の例を以下に説明する。
第1の方法としては、予めシアン化水素を仕込んだ反応容器に、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物を供給する方法が挙げられる。この場合、シアン化水素を溶媒に溶かしておくことが好ましい。溶媒に溶かしてあることで、反応温度およびpHの制御が容易になるためである。
第2の方法としては、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物と、シアン化水素とを、同時に反応容器に供給する。このとき、供給する量としては、反応系内におけるアルデヒド化合物等のカルボニル化合物の濃度が上記範囲内となるように制御すればよい。そのため、第2の方法では、種々の供給形態をとることができる。例えば、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物とシアン化水素とを交互に分割供給したり、両原料を同時に供給したりすることなどが挙げられる。また、第2の方法において、反応容器中に、予め溶媒が仕込まれていることが好ましい。このように、溶媒を使用することで、反応液を攪拌することができ、反応温度および反応液のpHなど、各種反応条件を調整することができる。
また、アルデヒド等のカルボニル化合物とシアン化水素との反応系内の温度は、−10〜60℃に維持されるよう制御されていることが好ましい。反応系内の温度は、0〜40℃であることがより好ましく、さらに好ましくは10〜20℃である。反応系内の温度が−10℃以下では、アルデヒド等のカルボニル化合物とシアン化水素との反応速度が遅くなるだけでなく、高性能な冷凍機を必要とし、冷却のために多くのエネルギーを要するため、好ましくない。また、60℃以上では生成したシアノヒドリン化合物が熱分解を起こしたり、シアン化水素が拡散しやすくなり危険を伴なったりするため、好ましくない。
反応系内を冷却する方法としては、公知の手法を適用することができる。たとえば、反応容器自体をウォーターバスなどの冷媒に浸すこと、反応器周囲にジャケット等を設け、ジャケットに冷媒を流通させるなどの方法がある。また、反応器内の温度を制御する方法としても、公知の方法を使用することができる。たとえば、反応容器内に温度計を備え、原料の供給量を一定として、冷媒の温度を調節することにより、反応器の外部から温度を制御すること、冷媒温度を一定とし、原料の供給量を変化させることにより発熱量を制御して反応系内の温度を制御することなどがあげられる。また、これらの制御方法を組み合わせて用いてもよい。
用いる冷媒は、たとえば、クーリングタワーなどによって、冷却された冷却水または冷凍機を用い、冷却された冷媒(エチレングリコール、塩化カルシウム水溶液)などを用いることができる。中でも、冷凍機によって冷却された冷媒を用いることが好ましい。また、冷媒温度が低いほど、時間当たりの製造量が向上することはいうまでもない。
なお、本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法によって得られたシアノヒドリン化合物を、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法によって精製してもよく、精製せずにそのままα‐ヒドロキシエステル化合物の生成等の反応に用いてもよい。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法によって製造されるシアノヒドリン化合物は、アルデヒド化合物等のカルボニル化合物のカルボニル基にシアン化物イオンが付加された有機化合物であり、シアンヒドリン化合物と称されることもある。本発明によって好適に製造することが可能なシアノヒドリン化合物としては、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニトリル、α−ヒドロキシブタンニトリル等の飽和アルキルヒドロキシニトリル、α−ヒドロキシブタ−3−エンニトリル、α−ヒドロキシ−3−メチルブタ−3−エンニトリル、α−ヒドロキシブタ−3−インニトリル等の不飽和アルキルヒドロキシニトリル、マンデロニトリル、ヒドロキシ(2−ナフチル)アセトニトリル、(3−(シアノ(ヒドロキシ)メチル)フェニル))(ヒドロキシ)アセトニトリル、ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)アセトニトリル等の芳香族ヒドロキシニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのシアノヒドリン化合物は、アミン、アミド、メトキシ、フェニル、ニトロ、ヒドロキシル、アルデヒド、カルボン酸等の置換基を有していてもよい。
本発明にかかる製造方法によれば、反応系内において未反応のアルデヒド化合物等のカルボニル化合物の存在量を低減することができる。その結果、生成したシアノヒドリン化合物がアルデヒド化合物等のカルボニル化合物と反応することを抑制でき、収率よくシアノヒドリン化合物を製造することが可能である。
〔α‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法〕
本発明は、また、上記本発明に係る製造方法によって製造したシアノヒドリン化合物を用いてα‐ヒドロキシエステル化合物を製造するための方法を提供する。
本発明にかかるα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法では、上述の製造方法により得られたシアノヒドリン化合物を用いる。
つまり、本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法は、塩基性触媒の存在下、反応系内において、目的生成物であるシアノヒドリン化合物に対するアルデヒド化合物の含有量が、50モル%以下の条件下で、前記シアン化水素と前記アルデヒド化合物等のカルボニル化合物とを反応させ、シアノヒドリン化合物を得る第1の工程と、
前記シアノヒドリン化合物を加水分解して、エステル化する第2の工程とを、含む。
例えば上記式(1)のアルデヒド化合物を例に説明すると、第1の工程の反応については、上述の反応式(2)のとおりであり、第2の工程の反応は、たとえば、下記反応式(3)に従うことができる。
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、アリール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、RまたはR中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
つまり、前記シアノヒドリン化合物、アルコール類、水および溶媒の混合液に塩化水素ガスを導入することで、効率よくシアノヒドリン化合物を加水分解し、エステル化することができる。この反応で用いることができるアルコール類としては、メタノール、エタノール、n‐プロパノール、i‐プロパノール、n‐ブタノール、s‐ブタノール、n‐ヘプタノール、n‐ヘキサノール、n‐オクタノール、2‐エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。本発明では、メタノール、エタノール、n‐プロパノール、i‐プロパノールなどを好適に用いることができる。また、第2の工程の反応は、シアノヒドリン化合物を加水分解して、エステル化できる反応であれば、その反応は、上記反応式(3)に限定されることはない。
本発明に係るエステル化合物の製造方法により好適に製造することが可能なエステル化合物は、シアノヒドリン化合物から得たカルボン酸とアルコールとを反応させて生じるカルボン酸エステル類であり、ヒドロキシ酢酸メチル、α−ヒドロキシプロピオン酸メチル、α−ヒドロキシ酪酸メチル等の飽和アルキルヒドロキシエステル、α−ヒドロキシブテン酸メチル、β−メチル−α−ヒドロキシブテン酸メチル、α−ヒドロキシブチン酸メチル等の不飽和アルキルヒドロキシエステル、マンデル酸メチル、ヒドロキシ−2−ナフチル酢酸メチル、ヒドロキシ(3−(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−2−オキソエチル))フェニル酢酸メチル、ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)酢酸メチル等の芳香族ヒドロキシエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのエステル化合物は、アミン、アミド、メトキシ、フェニル、ニトロ、ヒドロキシル、アルデヒド、カルボン酸等の置換基を有していてもよい。
本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法において、例えば、上述したシアノヒドリン化合物の製造方法によって製造したα−ヒドロキシブチロニトリルを用いた場合、α−ヒドロキシブチロニトリルを加水分解し、メタノールを用いてエステル化することによって、α−ヒドロキシ酪酸メチルを製造することができる。
本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法によれば、収率よく製造されたシアノヒドリン化合物を用いてα‐ヒドロキシエステル化合物を製造することができる。そのため、同モルのアルデヒド化合物等のカルボニル化合物を出発原料として、α‐ヒドロキシエステル化合物を製造した場合、従来法と比べて、収率よくα‐ヒドロキシエステル化合物を製造することができる。このことにより、α‐ヒドロキシエステル化合物の製造コストの低減を実現することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に拘束されることはない。なお、本実施例および後述する各実施例において、シアノヒドリン化合物の反応収率は、反応に用いられるアルデヒド化合物量を基準としたシアノヒドリン化合物の生成量(mol%)を示しており、絶対検量線法によって算出した。分析条件は以下の通りであった。カラムInertsil CN−3(4.6×250mm 5μm)、カラム温度:40℃、移動相Hexane:EtOH=95:5、流量:1.0mL/min、検出器:RI(示差屈折率検出器)、Range:8、Response:5、注入量:20μL(ループにより固定)。
[実施例1]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた100mLの四つ口フラスコを用いてヒドロキシブチロニトリル(以下、「HBN」と称することもある)を製造した。この反応器に、トルエン31.3gを仕込み、10℃まで冷却した。シリンジポンプを用い、反応器内の温度10〜20℃を保持しながら、0.6mol%トリエチルアミン/プロピオンアルデヒド35.3g(0.6mol‐アルデヒド)と、シアン化水素17.2g(0.636mol)を2時間かけて供給し、反応液を得た。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は96mol%であり、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
[実施例2]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた200LのSUS反応釜を用いて、HBNを製造した。この反応釜に、トルエン40.6Lと、触媒としてトリエチルアミン0.2kg(0.6mol‐アルデヒド)を仕込み、10℃まで冷却した。釜内の温度10〜20℃を保持しながら、プロピオンアルデヒド20.46kg(352mol)と、シアン化水素10.0kg(370mol、1.05等量対アルデヒド)を3時間かけて供給を行った。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は96mol%であり、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
[実施例3]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた3.5mGLライニング反応釜を用いて、HBNを製造した。この反応釜にトルエン1000Lと、触媒としてトリエチルアミン12.6kg(0.6mol%‐アルデヒド)を仕込んだ。10℃まで冷却した後、プロピオンアルデヒド1210.6kg(20.8kmol、1.05等量/アルデヒドに対して)、シアン化水素589.7kg(21.84kmol、1.05等量対アルデヒド)を−18℃のブラインにて可能な限り冷却し、反応系内の温度を10〜20℃に保ちながら、同時供給した。供給には16時間を要した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は、96mol%であり、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
[実施例4]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた100mLの四つ口フラスコを用いて、ラクトニトリルを製造した。この反応器を10℃まで冷却し、シリンジポンプを用い、釜内の温度5〜10℃を保持しながら、1.0mol%トリエチルアミン/アセトアルデヒド23.0g(0.51mol・アルデヒド)と、シアン化水素14.5g(0.54mol)を2時間かけて同時に供給した。得られた反応液を分析したところ、ラクトニトリルの反応収率は99mol%であり、アセトアルデヒドは検出されなかった。
[実施例5]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた100mL四つ口フラスコ用いて、マンデロニトリルを製造した。この反応器を10℃まで冷却し、シリンジポンプを用い、釜内の温度20〜25℃を保持しながら、1.0mol%トリエチルアミン/ベンズアルデヒド50.2g(0.47mol・アルデヒド)と、シアン化水素13.4g(0.49mol)を2時間かけて供給を行った。反応液について、HPLCにて反応収率を分析したところ、ベンズアルデヒドの残量が多かったため、シアン化水素6.0g(0.22mol)を追加した。その後、得られた反応液を分析したところ、マンデロニトリルの反応収率は、95mol%であり、ベンズアルデヒドは検出されなかった。
参考例
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた100mLの四つ口フラスコを用いてHBNを製造した。この反応器に、シアン化水素9.9g(0.37mol)、トリエチルアミン0.08gを仕込み、10℃以下まで冷却した。0〜10℃を保ちながら、0.6mol%トリエチルアミン/プロピオンアルデヒド)6.8g(0.12mol‐アルデヒド)を25分かけて供給した。10℃にて、18時間保持した。その後、同温度にて、0.6mol%トリエチルアミン/プロピオンアルデヒド13.5g(0.23mol‐アルデヒド)を20分かけて供給した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は、94mol%であり、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
[実施例7]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた200mLの四つ口フラスコを用いてHBNを製造した。この反応器に、トルエン60.0gと、触媒としてトリエチルアミン0.33g(0.6mol%‐対プロピオンアルデヒド)を仕込んだ。プロピオンアルデヒド20.9g(0.360mol)、シアン化水素8.5g(0.313mol)(シアン化水素/プロピオンアルデヒド=0.87mol/mol)を1時間かけて同時供給した。その後、プロピオンアルデヒド13.9g(0.240mol)、シアン化水素8.5g(0.313ml)(シアン化水素/プロピオンアルデヒド=1.30mol/mol)を1時間かけて同時供給した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は、96mol%であり、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
[実施例8]
実施例2にて、得られたHBN反応液187.4g(HBN収率96%、1.0molスケール‐アルデヒド)を温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた500mL四つ口フラスコに仕込んだ。メタノール100.9g(3.15mol)、水19.5g(1.08mol)を加え、内温20℃に調整した。塩化水素41.89g(1.15mol)を38±2℃を維持して吹き込んだ後、還流熟成8時間を行い、α‐ヒドロキシブタンエステルを含む反応液を得た。トルエン一定としてガスクロマトグラフにて収率を分析したところ、α‐ヒドロキシブタンエステルの反応収率は、85.3mol%であった。
[比較例1]
反応器として、温度計、還流冷却機、および攪拌機を備えた3.5mGLライニングの反応釜を用いてHBNを製造した。この反応器にプロピオンアルデヒド1210.6kg(20.8kmol、純度:98%以上)、および触媒としてトリエチルアミン11.2kg(0.11kmol)を仕込み、攪拌しながら約10℃に冷却した。約−18℃のブラインを用いて反応器を可能な限り冷却し、反応器内の温度を約10〜20℃に保った状態で、シアン化水素587.1kg(21.7kmol)を反応器内に供給した。シアン化水素の供給に18時間を要した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は85mol%であった。
[比較例2]
反応器として、温度計、還流冷却管、滴下ロート、および攪拌機を備えた容量300mLの四つ口フラスコを用いてHBNを製造した。この反応器にプロピオンアルデヒド145.2g(2.50mol、純度:98%以上)、および触媒としてトリエチルアミン1.5g(15mmol)を仕込み、攪拌しながら約15℃に冷却した。反応器内の温度を10〜20℃に保った状態で、シアン化水素23.5g(0.87mol)を40分かけて反応器内に供給した。上記温度範囲において23時間保持した後、さらにシアン化水素46.9g(1.74mol)を80分かけて反応器内に供給した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は87mol%であった。
[比較例3]
反応器として、温度計、還流冷却管、滴下ロート、および攪拌機を備えた容量300mLの四つ口フラスコを用いてHBNを製造した。この反応器にプロピオンアルデヒド145.2g(2.50mol、純度:98%以上)、および触媒としてトリエチルアミン1.5g(15mmol)を仕込み、攪拌しながら25℃に冷却した。反応器内の温度を20〜30℃に保った状態で、シアン化水素23.5g(0.87mol)を30分かけて反応器内に供給した。上記温度範囲において19時間保持した後、さらにシアン化水素46.9g(1.74mol)を80分かけて反応器内に供給した。得られた反応液を分析したところ、HBNの反応収率は79mol%であった。
[比較例4]
温度計、還流冷却菅、滴下ロート、攪拌機を備えた100mL四つ口フラスコにベンズアルデヒド42.4g(0.40mol)、触媒としてトリエチルアミン0.2g(1.6mmol、0.4mol%対アルデヒド)を仕込み、攪拌下、20℃以下に冷却した。反応器内の温度を20〜30℃に保ちながら、シアン化水素3.8g(0.14mol)を10分かけて滴下した。その後、25℃にて22時間保持した。この際、反応液中に副生成物と思われる結晶を確認した。その後、シアン化水素7.6g(0.29mol)を30分かけて滴下した。得られた反応液を分析したところ、マンデロニトリルの反応収率は、83mol%であった。
[比較例5]
反応器として、温度計、還流冷却管、滴下ロート、および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコを用いて、ラクトニトリルを製造した。この反応器にアセトアルデヒド44.1g(1.00mol、純度:98%以上)、および触媒として、トリエチルアミン1.0g(10mmol、1.0mol%対アルデヒド)を仕込み、攪拌しながら、10℃に冷却した。反応器内の温度を0〜10℃に保った状態で、シアン化水素8.5g(0.31mol)を25分かけて反応器内に供給した。10℃にて、15時間保持した後、さらに、シアン化水素19.9g(0.73mol)を60分かけて反応器内に供給した。得られた反応液を分析したところ、ラクトニトリルの反応収率は、61mol%であった。
[比較例6]
比較例1にて得られた反応液を用いた以外は、実施例7と同様にして、α‐ヒドロキシブタンエステルを含む反応液を得た。同様に反応液を分析したところ、プロピオンアルデヒド量を基準としたときのα‐ヒドロキシブタンエステルの反応収率は76.0mol%であった。
実施例1からおよび比較例1から5を比較して分かるように、本実施例に係る製造方法では、いずれも高収率で目的とするシアノヒドリン化合物を製造できることが確認された。また、実施例7および比較例6を比較して分かるように、本実施例によれば、α‐ヒドロキシエステル化合物を高収率で製造することができることが確認された。
本発明に係るシアノヒドリン化合物の製造方法によれば、反応系中において、未反応のアルデヒド等のカルボニル化合物の存在量を低減でき、このカルボニル化合物と、シアノヒドリンとが反応することを抑制することができる。その結果、シアノヒドリンの収率を向上させることができる。
また、本発明に係るα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法によれば、出発原料であるアルデヒド化合物等のカルボニル化合物に対して、中間体であるシアノヒドリン化合物を収率よく製造できるために、最終物質であるα‐ヒドロキシエステル化合物を高収率で製造することができる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係る製造方法によって製造したシアノヒドリン化合物は様々な化合物の出発物質として有用であり、本発明によれば収率よくシアノヒドリン化合物を製造することが可能である。したがって、本発明は、医薬品産業、農薬品産業等に広く利用可能である。

Claims (6)

  1. バッチ法において、触媒の存在下、カルボニル化合物と、シアン化水素とを反応させるシアノヒドリン化合物の製造方法であって、
    前記シアン化水素および前記カルボニル化合物を反応容器に同時に、前記カルボニル化合物1モルに対して前記シアン化水素を0.9〜3.0モルの範囲で供給することを特徴とする製造方法。
  2. 前記カルボニル化合物が、下記一般式(1)で示されるアルデヒド化合物
    (式中、Rは、アリール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、R中に置換基を有していてもよく、構造中に炭素以外の原子を含んでいてもよい。)
    であることを特徴とする請求1に記載の製造方法。
  3. 前記触媒は、有機塩基性化合物および無機塩基性化合物の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記触媒は、アミン化合物、芳香族アミン化合物、アルカリ金属化合物、金属アルコキシド化合物、およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 前記触媒の使用量は、前記シアン化水素1モルに対して、0.001〜0.1モルの範囲で使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたシアノヒドリン化合物を加水分解し、エステル化する工程を含むことを特徴とするα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法。
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