JP2019001746A - ジオールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂環骨格上の1つの炭素原子にメチロール基を2つ有するジオールの、安価でかつ廃棄物が少ない製造方法の提供。【解決手段】C3〜C10の脂環アルデヒドとホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させる工程(I)と、前記工程(I)で得られた反応生成物を遷移金属触媒存在下で還元する工程(II)を含む、下式(2)で表されるジオールの製造方法。(ZはC3〜C10の脂環構造であり、Zを構成する1つ以上の炭素がO、S又はNにより置換されていてもよく、Zは置換基を有していてもよいが、Zにおいて隣接する2つの炭素が共にO、S又はNにより置換されない)【選択図】なし

Description

本発明はジオールの製造方法に関する。
脂環骨格上の1つの炭素原子にメチロール基を2つ有するシクロヘキサン−1,1−ジメタノール(以下、CHDと称する)等のジオールは主にポリエステルに誘導され、コーティング剤、塗料、成形材料、粘接着剤などに用いられている(特許文献1)。
従来、CHDの製造方法としては、シクロヘキサンカルバルデヒドとホルムアルデヒドによるアルドール反応およびボラン還元を利用する方法(特許文献2)や、シクロヘキサンカルバルデヒドとホルムアルデヒドによるアルドール反応およびカニッツァーロ反応を利用する方法などが知られている(特許文献3)。
国際公開第2015/152066号 特開昭53−65808号公報 特開2011−79793号公報
特許文献2に記載の製造方法は、高価なジメチルアミノボラン試薬を用いるため経済面に問題があった。また特許文献3に記載の製造方法は、炭酸カルシウム等の塩基やホルムアルデヒドを過剰量使用する点や、原料の脂環骨格を有するアルデヒドと理論的に同当量のギ酸塩が生成する点から、環境負荷の原因となる大量の廃棄物が生じる問題があった。
上記事情に鑑み、本発明の課題は、脂環骨格上の1つの炭素原子にメチロール基を2つ有するジオールの、安価でかつ廃棄物が少ない製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の脂環構造を有するアルデヒドとホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させた後、遷移金属触媒存在下で還元することで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[7]に関する。
[1]下記一般式(1)で表されるアルデヒド(以下、アルデヒド(1)と称する)とホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させる工程(I)と、
前記工程(I)で得られた反応生成物を遷移金属触媒存在下で還元する工程(II)を含む、
下記一般式(2)で表されるジオール(以下、ジオール(2)と称する)の製造方法。
Figure 2019001746
(一般式(1)中、Zは炭素数3〜10の脂環構造であり、Zを構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていてもよく、Zは置換基を有していてもよい。ただし、Zにおいて隣接する2つの炭素原子が共に酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていることはない。)
Figure 2019001746
(一般式(2)中、Zは前記定義の通りである。)
[2]一般式(1)で表されるアルデヒドがシクロアルキルカルバルデヒドである、[1]の製造方法。
[3]工程(I)において、ホルムアルデヒドの使用量が、一般式(1)で表されるアルデヒド1.0モルに対して1.0〜2.0モルである、[1]または[2]の製造方法。
[4]工程(I)と工程(II)の間に、第三級アミンおよび/またはアミン塩を除去する工程(I’)を含む、[1]〜[3]のいずれかの製造方法。
[5]工程(II)を60〜180℃、3〜14MPaの条件で行う、[1]〜[4]のいずれかの製造方法。
[6]工程(II)の後に、蒸留する工程を含む、[1]〜[5]のいずれかの製造方法。
[7]得られるジオールのCPR値を0.5未満とする、[1]〜[6]のいずれかの製造方法。
本発明によれば、安価でかつ廃棄物が少ない、ジオール(2)の製造方法を提供できる。
発明を実態するための形態
本発明のジオール(2)の製造方法は、アルデヒド(1)とホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させる工程(I)と、前記工程(I)で得られた反応生成物を遷移金属触媒存在下で還元する工程(II)を含む。
本発明の製造方法は、工程(I)と工程(II)以外の工程を含んでいてもよい。例えば、前記工程(I)と工程(II)の間に、第三級アミンおよび/またはアミン塩を除去する工程(I’)を含んでいてもよい。
以下、これらの工程について詳細に説明する。
[工程(I)]
工程(I)は、アルデヒド(1)とホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させる工程である。
工程(I)では、下記(a)に示すアルドール反応が進行し、一般式(1’)で示すβ−ヒドロキシアルデヒド(以下、β−ヒドロキシアルデヒド(1’)と称する)が生成すると考えられる。例えば、アルデヒド(1)としてシクロヘキサンカルバルデヒドを用いた場合、β−ヒドロキシアルデヒド(1’)として1−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルバルデヒドが生成すると考えられる。
Figure 2019001746
(上記(a)中、Zは前記定義の通りである。)
一般に、塩基の存在下におけるアルデヒド(1)とホルムアルデヒドとの反応では、アルドール反応によりβ−ヒドロキシアルデヒド(1’)が生成した後、続けてカニッツァーロ反応が進行し、ジオール(2)と共に廃棄物であるギ酸塩が生成する。しかしながら、本発明においては塩基として第三級アミンを用いることで、カニッツァーロ反応の進行を抑制し、ギ酸塩の生成量を抑制することができる。
(アルデヒド(1))
アルデヒド(1)は下記一般式(1)で表される。
Figure 2019001746
(一般式(1)中、Zは前記定義の通りである。)
Zが表す炭素数3〜10の脂環構造としては、飽和脂環構造が好ましい。飽和脂環構造としては、例えばシクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環等の単環;ノルボルナン環、デカヒドロナフタレン環等の多環などが挙げられるが、これらに限定されない。
中でも、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルナン環、デカヒドロナフタレン環が好ましく、シクロヘキサン環がより好ましい。
Zは、構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていてもよいが、Zにおいて隣接する2つの炭素原子が共に酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていることはない。すなわち、−O−O−や、−O−S−のような構造が含まれることはない。構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されたZとしては、例えばオキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、オキセパン環、オキソカン環、オキソナン環等の酸素原子を含む環;チイラン環、チエタン環、テトラヒドロチオフェン環、チアン環等の硫黄原子を含む環;ピロリジン環、ピペリジン環等の窒素原子を含む環などが挙げられるが、これらに限定されない。
Zは置換基を有していてもよい。前記置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等のアルコキシ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基などが挙げられるが、これらに限定されない。前記置換基は1つ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。置換基を有するZとしては、例えばメチルシクロヘキサン環、1,1−ジメチルシクロヘキサン環などが挙げられるが、これらに限定されない。
なお、一般式(1)中においてCで表される炭素原子は置換されない。
アルデヒド(1)の具体例としては下記式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019001746
アルデヒド(1)としては、Zが置換基を有しない単環の飽和脂環構造であるものが好ましく、シクロアルキルカルバルデヒドがより好ましく、シクロペンタンカルバルデヒドまたはシクロヘキサンカルバルデヒドがさらに好ましく、シクロヘキサンカルバルデヒドが最も好ましい。
アルデヒド(1)の入手方法に特に制限はなく、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で製造してもよい。例えばシクロヘキサンカルバルデヒドは、シクロヘキサンメタノールを酸化する方法や、シクロヘキセンをヒドロホルミル化する方法(特開2010−180142号公報)等により製造できる。
(ホルムアルデヒド)
本発明で用いるホルムアルデヒドに特に制限はなく、パラホルムアルデヒドやホルムアルデヒド水溶液であってもよい。中でも、取扱い易さの観点からホルムアルデヒド水溶液を用いることが好ましい。ホルムアルデヒド水溶液は、工業的に入手可能な5〜60質量%のホルムアルデヒド水溶液をそのまま使用できる。コスト及び環境負荷を削減する観点からは、ホルムアルデヒド水溶液の濃度は15〜60質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
ホルムアルデヒドの使用量は、アルデヒド(1)1.0モルに対して1.0〜2.0モルであることが好ましく、1.0〜1.6モルであることがより好ましく、1.0〜1.3モルであることがさらに好ましい。ホルムアルデヒドの使用量をアルデヒド(1)1.0モルに対して2.0モル以下とすることにより、工程(I)においてカニッツァーロ反応の進行をさらに抑制することができる。
(第三級アミン)
本発明で用いる第三級アミンに特に制限はなく、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン;トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミン;1−メチルピロリジン、1−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン等の複素環系第三級アミンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。第三級アミンは求核性が低く、主に塩基として働くため、工程(I)においてカニッツァーロ反応の進行を抑制できる。中でも、安価でかつ入手容易である観点から、トリアルキルアミンが好ましく、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンがより好ましい。
第三級アミンの使用量は、アルデヒド(1)1.0モルに対してアミノ基基準で0.05〜0.20モルであることが好ましく、0.08〜0.15モルであることがより好ましい。例えば、トリエチルアミンのように1分子中にアミノ基を1個含む第三級アミンを用いる場合、アルデヒド(1)1.0モルに対して0.05〜0.20モルであることが好ましく、0.08〜0.15モルであることがより好ましい。また、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのように1分子中にアミノ基を2個含む第三級アミンを用いる場合、アルデヒド(1)1.0モルに対して0.025〜0.10モルであることが好ましく、0.04〜0.075モルであることがより好ましい。
(反応方式および条件)
工程(I)の反応は、回分式、連続式のいずれの方法によっても行うことができる。
反応圧力に特に制限はないが、最も簡便な方法である大気圧下が好ましい。また、反応は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
反応温度に特に制限はないが、例えば、アルデヒド(1)としてシクロヘキサンカルバルデヒドを用い、回分式で反応を行う際の最終設定温度は、好ましくは60〜110℃であり、より好ましくは80〜100℃である。
[工程(I’)]
本発明においては、工程(I)と後述する工程(II)の間に、第三級アミンおよび/またはアミン塩を除去する工程(I’)を含むことが好ましい。ここで、第三級アミンは典型的には工程(I)で使用した第三級アミンであり、アミン塩は典型的には工程(I)において一部進行したカニッツァーロ反応により副生したギ酸等の有機酸と、第三級アミンとが反応して形成した塩である。工程(I’)において、第三級アミンとアミン塩の両方を除去することが好ましい。
工程(I’)を含むことにより、続く工程(II)における、第三級アミンやアミン塩による遷移金属触媒の不活性化を抑制することができる。また、第三級アミンやアミン塩が工程(II)において第一級アミンや第二級アミンに変換された後にβ−ヒドロキシアルデヒド(1’)に求核攻撃して発生するアミン化合物の副生を抑制することができる。当該アミン化合物は蒸留精製で除去することが難しく、最終生成物であるジオール(2)の純度低下の原因となる。
第三級アミンおよび/またはアミン塩を除去する方法に特に制限はないが、蒸留法、分液法およびこれらの組み合わせなどの公知の方法が挙げられる。
具体的には例えば、工程(I)で得られた反応液から、遊離の第三級アミンを蒸留法で除去した後、当該反応液を冷却してβ−ヒドロキシアルデヒド(1’)を含む有機層とアミン塩を含む水層の二層に分離し、有機層を工程(II)に供する方法が挙げられる。
より詳細には、まず工程(I)で得られた反応液に含まれる未反応のアルデヒド(1)、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド水溶液に含有されることがあるメタノール及び第三級アミンなどの低沸点成分を蒸留法で留去する。この留去後の残留液に水を添加した後、当該残留溶液を例えば30〜40℃程度に冷却し、水層と有機層に分離する。
なお、アルデヒド(1)の物性に応じて、上述の方法における蒸留法と分液法の順番を入れ替えてもよい。
上述の工程(I’)において除去した未反応アルデヒド(1)、ホルムアルデヒド、第三級アミンは、必要に応じてさらに蒸留精製等した後に再利用できる。また、工程(I’)において除去したアミン塩も、水酸化ナトリウム等の強塩基との接触によるアルカリ交換など、必要に応じた処理をすることで、第三級アミンとして再利用できる。
[工程(II)]
工程(II)は、工程(I)で得られた反応生成物を遷移金属触媒存在下で還元する工程である。工程(II)によって、ジオール(2)を生成することができる。
工程(II)では、下記(b)に示す還元反応が進行し、ジオール(2)が生成すると考えられる。
Figure 2019001746
(上記(b)中、Zは前記定義の通りである。)
(遷移金属触媒)
遷移金属触媒としては、例えばNi珪藻土、スポンジニッケル、Ni−Cr、Ni−ゼオライト、Ni−Al−Mо、Ni−ZrO−珪藻土、Ni−SiO−Al、Ni−MgO−SiO−Al等のNi系触媒;Pd−C、Pd/Al等のPd系触媒;Cu−Zn、Cu−Zn−Zr等の銅・亜鉛系触媒;Pt−Ru−W、Pt−Al等の白金系触媒などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、Ni系触媒が好ましく、スポンジニッケルが特に好ましい。上記触媒は市販のものを用いることができる。
遷移金属触媒の使用量は、工程(II)で用いる原料液に対して1.5〜3.0質量%であることが好ましい。
工程(II)では、工程(I)で得られた溶液又は工程(I’)で得られた溶液を原料液として用いることができる。また、β−ヒドロキシアルデヒド(1’)が常温において固体である場合、反応器内で固化することを防ぐために、溶媒を添加したものを工程(II)の原料液として用いることが好ましい。前記溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソブタノール等のアルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(反応方式および条件)
工程(II)では、水素存在下において遷移金属触媒を分散して懸濁させる方法、または遷移金属触媒を充填した反応管に原料液及び水素を供給する方法(トリクルベッド方式)等により、β−ヒドロキシアルデヒド(1’)の還元を行うことができる。還元反応は、連続式、回分式のいずれの方法によっても行うことができる。
工程(II)における反応温度は、好ましくは60〜180℃、より好ましくは100〜150℃である。工程(II)における反応圧力は、好ましくは3〜14MPa、より好ましくは7〜14MPaである。なお、反応圧力は水素を導入して維持することができる。反応温度および反応圧力を上記範囲とすることで、目的物であるジオール(2)の収率を上昇させることができ、またβ−ヒドロキシアルデヒド(1’)の反応器内での固化を防ぐことができる。
本発明の製造方法においては、工程(II)の後、さらに蒸留する工程等を含むことにより、高純度のジオール(2)を分離回収することができる。
本発明の製造方法で得られるジオール(2)は、例えばポリエステルの原料として用いることができる。ここで、ジオール(2)にアミン化合物等の塩基が残留すると、ごく微量であっても重合阻害剤として働くことが知られている。そのため、本発明の製造方法で得られるジオール(2)のControlled Polymerization rate value(CPR)値は、0.5未満であることが好ましい。なお、CPR値とは試料30g中に含まれる塩基性物質のマイクロ当量値を表し、JIS K 1557−4に準拠して測定される。具体的には、試料30gを溶解させたメタノール50mlに、0.005mol/Lの希塩酸を滴下していき、その滴定曲線の変曲点から算出できる。
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されない。
以下の実施例等では、アルデヒド(1)としてシクロヘキサンカルバルデヒド(以下、CHCAと称する)を用い、ジオール(2)としてシクロヘキサン−1,1−ジメタノール(以下、CHDと称する)を得た。なお、以下において「部」は特に断りのない限り「質量部」を表す。
(実施例1)
三口フラスコに、CHCAを96.3部、37質量%ホルムアルデヒド水溶液を78.1部(CHCA1.0モルに対し約1.1モル)仕込み、窒素雰囲気下、内温を30℃に保った。撹拌下、トリエチルアミンを8.7部(CHCA1.0モルに対し約0.10モル)滴下した。滴下終了後、内温を90℃まで昇温し、撹拌を続け、1−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルバルデヒドを含む反応液を得た。
当該反応液に含まれる低沸点成分を蒸留法にて留去した後、残留液に水を96部添加した。これを内温30℃まで冷却し、続いて分液を行うことで、有機層と水層の2層に分離し、水層を除去した。有機層にメタノールを256部加え希釈(溶解)し、希釈液とした。
この希釈液を高圧オートクレーブに移し、スポンジニッケル(エボニックジャパン製)を希釈液に対して2質量%加えた。水素存在下、120℃、8.0MPaで水素化反応に供し還元を行い、反応液を得た。当該反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で測定することにより、CHDが110.4部(収率89.2%)得られたことを確認した。
続いて、当該反応液を蒸留精製し、精製CHDを99.4部得た(収率80.2%、GC純度99.2%、CPR値0.1)。
(比較例1)
三口フラスコに、CHCAを102部、37質量%ホルムアルデヒド水溶液を244部仕込み、窒素雰囲気下、40℃に加熱した。撹拌下、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を117部滴下した。滴下終了後、内温を60℃まで昇温し、撹拌を続け、1−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルバルデヒドを含む反応液を得た。
続いて、得られた反応液を15℃に冷却し、撹拌を停止し、生じた固体を濾過し、水層を除去した。
得られた湿結晶138.4部に対し水を678部加え60℃にて9時間撹拌水洗した。洗浄後、固体を濾過してギ酸塩を含む水溶液を除去し、湿結晶を132.0部得た。この湿結晶に対しアセトニトリルを1192部加え、60℃まで加熱し溶解させた後、5℃に冷却して固体を析出させ、晶析精製を行った。湿結晶を乾燥させることで精製CHDを98.6部得た(収率72.5%、GC純度99.5%、CPR値0.1)。
なお、実施例および比較例においては以下の方法によりCHDの同定および定量、ならびにCPR値の定量を行った。
〔CHDの同定および定量〕
以下の条件でGCによる測定を行った。
分離カラムG−230(長さ20m、内径1.2mm、膜厚1.0μm、化学物質評価研究機構製)を用いて、カラムオーブン温度を初期温度80℃に設定し、10分間保持した後、毎分8℃の速度で昇温させ、300℃で15分保持した。インジェクション温度を300℃とし、ディテクター条件はFIDに設定し、ディテクション温度は310℃とした。また、ヘリウムをキャリヤーガスとした。
〔CPR値の定量〕
精製したCHD30gを溶解させたメタノール50mlに、0.005mol/Lの希塩酸を滴下し、その滴定曲線の変曲点から算出した。
実施例1の条件において副反応であるカニッツァーロ反応が進行すると、ホルムアルデヒドが余分に消費され、アルドール反応に必要なホルムアルデヒドが不足し、CHDの収率が低下する。しかしながら、実施例1では高収率でCHDが得られており、カニッツァーロ反応の進行が抑制され、その結果、ギ酸塩の生成量を少量に留めることができたことが示唆された。これに対し、比較例1では、カニッツァーロ反応により、原料であるCHCAと同当量程度のギ酸塩が生成したと考えられる。すなわち、本発明の製造方法を採用することにより、廃棄物となるギ酸塩の排出を抑え、環境負荷を低減できることがわかる。
また比較例1では、水洗操作によりギ酸塩を含有する多量の排水が発生したのに対し、実施例1においてはこのような排水が発生しなかった。このことから、本発明の製造方法を採用することにより、排水処理にかかる費用も抑制できることがわかる。
本発明により得られるジオール(2)は、コーティング剤、塗料、成形材料、粘接着剤等に用いられるポリエステルの原料等として有用な化合物である。本発明によれば、このように有用なジオールの、安価でかつ廃棄物が少ない製造方法を提供できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルデヒドとホルムアルデヒドとを第三級アミン存在下で反応させる工程(I)と、
    前記工程(I)で得られた反応生成物を遷移金属触媒存在下で還元する工程(II)を含む、
    下記一般式(2)で表されるジオールの製造方法。
    Figure 2019001746
    (一般式(1)中、Zは炭素数3〜10の脂環構造であり、Zを構成する1つ以上の炭素原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていてもよく、Zは置換基を有していてもよい。ただし、Zにおいて隣接する2つの炭素原子が共に酸素原子、硫黄原子または窒素原子により置換されていることはない。)
    Figure 2019001746
    (一般式(2)中、Zは前記定義の通りである。)
  2. 一般式(1)で表されるアルデヒドがシクロアルキルカルバルデヒドである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(I)において、ホルムアルデヒドの使用量が、一般式(1)で表されるアルデヒド1.0モルに対して1.0〜2.0モルである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 工程(I)と工程(II)の間に、第三級アミンおよび/またはアミン塩を除去する工程(I’)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(II)を60〜180℃、3〜14MPaの条件で行う、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程(II)の後に、蒸留する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 得られるジオールのCPR値を0.5未満とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
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