JP2010235502A - 2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘキサフルオロアセトンとフェノールから2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p-M体)を工業的に製造する方法であって、o-M体の高い選択率を確保し、高純度の製品を得るための精製工程を軽減することができる方法を提供する。
【解決手段】フッ化水素の存在下、ヘキサフルオロアセトンとフェノールを反応させて2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールを製造する方法であって、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトン1〜5モルおよびフッ化水素0.01〜1モル未満とする2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノールとヘキサフルオロアセトンを出発原料とする2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法に関し、より詳しくは、生成物の反応収率の改良に関する。
2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(本明細書において、「o−M体」ということがある。)は、半導体製造用機能性ポリマー或いは医農薬など生理活性物質の中間体として重要な物質である。
非特許文献1に塩化アルミ、トルエンスルホン酸を触媒として用いキシレン中100℃でフェノールにヘキサフルオロアセトンをゆっくり吹き込み反応することで、o-M体が選択的に製造できることが示されている。非特許文献2にトリクロロトリフルオロエタン(CFC−113)またはDMF溶媒中、フェノールのLi,Na,K塩をヘキサフルオロアセトンと反応させ2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(本明細書において、「p−M体」ということがある。)とともにo−M体を生成する非選択的な製造法が報告されている。この製造方法はお互いに異性体となるp−M体とo−M体がほぼ同じ割合で生成する。また、2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)の選択的な製造法としては、4−ブロモフェノールをヘキサフルオロアセトンを反応させて得られることが、特許文献1に報告されているが、o−M体の製造方法についての記載はない。また、この製造方法はブチルリチウム、t−ブチルジメチルクロロシランなどの工業薬品とはいいがたい試薬を用いて−78℃という低温で行う多段階のプロセスである。
一方、特許文献2には有機スルホン酸を触媒としてメチル基置換フェノールにヘキサフルオロアセトンを反応させてヘキサフルオロイソプロパノール基とメチル基の置換したモノフェノール(単一のベンゼン環に一個のヒドロキシル基が置換した、他に置換基を有することもあるフェノール類をいう。以下、同じ。)の得られることが開示されているが、具体的な反応条件と生成物との関係については記載されていない。
特許文献3にはフッ化水素を触媒としてフェノールに1/2当量のヘキサフルオロアセトンを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(本明細書において、「ビスフェノールAF」ということがある。)の得られることが開示されているが、ヘキサフルオロイソプロパノール基の置換したモノフェノールについては記載されていない。
米国特許出願公開第2006/074115号明細書 米国特許第4358624号明細書 特開平2−53747号公報
J.Org.Chem., 30,1003 (1965) Izvestia Akademii Nauk SSSR, 11, 2557 (1988)
非特許文献1の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法は、塩化アルミ等のルイス酸触媒を使用するため、微量金属やルイス酸などによる汚染を嫌う機能性ポリマーなどの中間体を製造する用途には煩雑な精製工程が避けられず、工業的に満足できる方法とはいえない。
そこで、本発明は、ヘキサフルオロアセトンとフェノールからの2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの工業的な製造方法であって、o−M体の高い選択率を確保し、高純度の製品を得るための精製工程を大幅に削減することができる方法を提供する。
本発明者らは、反応収率を左右する要因を知るためヘキサフルオロアセトンとフェノールの反応における触媒の選択とその活性について詳細に検討したところ、フッ化水素がこの反応の触媒となること、意外にもフッ化水素の使用量により生成物組成が大きく変化する結果o−M体が高純度で得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の反応式に基き、o−M体を主成分として得る方法である。
特許文献2には、触媒をメタンスルホン酸としてキシレノールとオルトクレゾールにヘキサフルオロアセトンを付加させて2,6−ジメチル−4(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)フェノールと1−メチル−4(1−ヒドロキシ−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)フェノールなどのモノフェノールがそれぞれ得られることが記載されている。一方、上述のように特許文献3にはフッ化水素を触媒としてフェノールに1/2当量のヘキサフルオロアセトンを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの得られることが開示されているが、ヘキサフルオロイソプロパノール基の置換した2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールについては記載されていない。ここで、メタンスルホン酸に代えてフッ化水素を触媒とすることを試み、本発明者らは、フェノールに対して1モル倍程度のヘキサフルオロアセトンを使用してフッ化水素触媒存在下反応をさせたところ、必ずしも2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールは得られず、2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールが生成して目的とする2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールは主生成物として得ることはできなかった。
そこで、反応系における触媒または溶媒としてのフッ化水素の量を特定することで、事実上目的とするo−M体のみが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、次のとおりである。
[1]フッ化水素の存在下、ヘキサフルオロアセトンとフェノールを反応させて2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールを製造する方法であって、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトン1〜5モルおよびフッ化水素0.01〜1モル未満とする2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
[2]反応開始時にフェノール1モルに対し水を0.1〜2モル存在させる[1]の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
[3]反応温度を0〜200℃とする[1]または[2]の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
[4]反応終了後、反応器内容物からフッ化水素を蒸留分離する過程を有する[1]〜[3]の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
[5]蒸留分離したフッ化水素成分を回収し再度反応に使用する過程を含む[1]〜[4]の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
[6]水、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素を溶媒とする再結晶により精製する過程を含む[1]〜[5]の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
本発明の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o−M体)を製造する方法によると、o−M体の選択率が高いという効果を奏する。また、触媒または溶媒として用いたフッ化水素を容易に除去および回収できることからその再使用も容易であり、かつ残留物として得られるo−M体の精製も容易であるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の方法はバッチ式、連続式、半バッチ式のいずれでも実施できるが、以下の説明ではバッチ式について説明する。連続式または半バッチ式で実施する場合には、反応装置および反応条件を適宜変更することが好ましいが、これは本発明の技術の分野における通常の知識を有する者にとっては容易になしうる事項である。
本発明の方法は、フッ化水素に耐食性を有する材質からなる圧力容器内若しくは冷却凝縮器を備えた容器内で反応を行う。反応圧力は、主にフッ化水素の蒸気圧に依存するのが、0.1〜5MPa程度の圧力に耐えるものであればよい。材質としては、ステンレス鋼、ニッケル、モネル(TM)、インコネル(TM)、白金、銀、フッ素樹脂またはこれらをライニングした材料などが使用できる。
本発明の方法は、フェノール、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素、必要に応じて水を反応容器に仕込み、所定の温度で所定の時間保持することで行う。保持中には攪拌羽根やポンプ循環による攪拌をすることもできる。さらに、反応の促進を目的として反応容器の外部または内部に超音波の発生源を設置し、反応基質に超音波を照射することもできる。
本発明の方法により、2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールは、ヘキサフルオロアセトンとフェノールをフッ化水素の存在下反応させることで合成することができる。
この反応はフェノール1モルに対し、ヘキサフルオロアセトン1モルを当量とするので、出発原料はフェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトンは1モルでよいが、過剰量を用いてもよい。本反応の方法では反応終了後、容易に未反応のヘキサフルオロアセトンをフッ化水素と共に回収再利用することができる。したがって、本発明の方法では、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトンを1モル以上とすればフェノールの転化率が向上すると共にビスフェノールAFの生成反応が抑制されフェノールとヘキサフルオロアセトンの1:1反応の選択率即ち2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの選択率が向上するので好ましい。したがって、通常、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトン1〜5モルを使用し、1〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。5モルを超えると未反応のヘキサフルオロアセトンのリサイクル量が増加して経済的に不利となり、1モル未満の使用ではフェノールの反応率が低下するとともにビスフェノールAFが副生するので好ましくない。
本発明の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法において、フッ化水素をフェノール1モルに対し0.01〜1モル未満を使用する。好ましくは0.1〜0.9モルであり、より好ましくは0.3〜0.7モルである。0.01モル未満では反応の進行が遅く実用的でなく1.3モルを超えると2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの選択率が増えるので2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの選択率および収率が低下して好ましくない。また、フッ化水素は溶媒としても機能するので0.01モル以下の使用量では均一な反応状態を維持するのが困難である。この場合、本反応においては反応おいて不活性な溶媒を使用することも可能である。この様な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤などおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、脂肪族炭化水素が好ましい。
本発明に係る反応においては、フェノールに対するフッ化水素の量を過大とすると、異性体である2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール生成選択性が飛躍的に増大するのに伴い、2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの生成は抑制される。それに対しフッ化水素を1モル未満にすると、反応生成物の選択性は著しく変化して、2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールが選択的に生成して2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの生成は減少する。
本発明の方法は、反応温度0〜200℃で行い、0〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。0℃未満では反応の選択性が向上するものの反応が遅く、200℃を超えると反応圧力に耐える反応装置が必要になり、またビスフェノールAFの副生が増加するので好ましくない。反応圧力は特に限定されないが主にフッ化水素の蒸気圧で決まり、0.1〜50PMa程度行う。
本発明による2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造は、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトン1〜5モルとし、フッ化水素0.01〜1モル未満とするのが好ましく、反応温度を0〜100℃とするのが特に好ましい。ここで、ヘキサフルオロアセトンが5モルを超えて用いても反応面では問題ないが経済的に好ましくなく、1モル未満とするとビスフェノールAFの生成が増大するので好ましくない。また、フッ化水素を0.01モル未満で用いると反応の進行が遅く経済的に好ましくなく、1モル以上では2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの生成が増大するので好ましくない。さらにヘキサフルオロアセトンとフッ化水素をこれらの好適な範囲としても、反応温度を0℃未満の温度とすると反応速度が遅く、反応温度を100℃を超える温度とすると2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの生成が顕著となり、2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの選択率を低下させるので好ましくない。
本発明の方法では、フッ化水素は触媒としてのみならずフェノール、ヘキサフルオロアセトンおよび生成した2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)の溶媒としても機能するが、前記したように、使用量が少なく、反応系に別途溶媒を添加することもできる。
本発明に使用するフッ化水素は、通常工業用に生産され、供給されているフッ化水素(無水フッ酸)を使用できる。また、本発明の方法で反応器内容物から回収したフッ化水素は、精製してまたは精製しないでヘキサフルオロアセトンを含有したままで再使用することができる。フェノールは市販のものを使用できる。
ヘキサフルオロアセトンは公知の方法で製造できる。例えば、ヘキサクロロアセトンをクロム/炭素触媒の存在下フッ化水素でフッ素化する方法や、ヘキサフルオロプロペンを酸化して得られたヘキサフルオロプロペンエポキシドを異性化する方法により製造することができる。ヘキサフルオロアセトンは、単独でまたはフッ化水素溶液もしくは水和物として使用できる。
反応終了後の反応器内容物は、過剰のフッ化水素や過剰のヘキサフルオロアセトンなどが含まれるので蒸留により低沸点成分として留去し、反応器に残存した生成物や未反応のフェノール等の残存物を取得する。この残存物の精製方法は限定されない。酸性成分を除去するには水洗浄またはアルカリ洗浄をすることができる。水洗浄またはアルカリ洗浄の際には非水溶性の有機溶媒を使用でき、抽出を組み合わせることもできる。有機溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどが使用できる。2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールは、有機溶媒や有機成分から減圧蒸留で分離することができる。さらに精製するためには水や有機溶媒からの再結晶もできる。これらの精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。再結晶の有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤などおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が好ましい。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/1.5/0.5(モル)とした。 ポリエチレン製の50mL蓋付き瓶にフェノール11.3g(0.12モル)を投入し、フッ化水素を徐々に加えた。1.2g(0.06モル)のフッ化水素を加えたときフェノールは完全に溶解し透明溶液となった。ステンレス鋼製の100mLオートクレーブ(内径3.0cm、高さ17.0cm)に上記溶液を投入し、蓋を閉め氷冷した。ガス状のヘキサフルオロアセトンをボンベから30g(0.18モル)オートクレーブの蓋上に取り付けたバルブを開口して投入した後、密閉した。1日室温にて保持したのち反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところフェノールの転化率は約3%で反応生成物の殆どが2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o-M体)であることが確認された。
その後、転化率を上げるために反応温度を100℃に上昇させた。反応時間と反応混合物の組成を表1に示す。
100℃に昇温して4時間経過した時点で反応を終了し、ジイソプロピルエーテル(IPE)にて反応器内容物を溶解し、溶液全量を氷に投入したところ、黄橙色の有機層が上層に、フッ酸を含む水層が下層に分離した。有機層を水にて数回洗浄し、酸性物質を除去した。IPEをエバポレータにて除去すると、結晶が残存した。溶媒としてヘキサンを用いて再結晶をすることにより濾液側に不純物であるフェノールが濃縮され、またトルエンを用いて再結晶することにより濾物側に不純物である2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)が濃縮された。分別再結晶により純度99%以上の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o−M体)が5.2g得られた。収率17%(使用したフェノール基準。以下実施例において同じ。)。
[比較例1]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/1.4/6.6(モル)とした。 電磁攪拌機を備えたステンレス鋼製の1Lオートクレーブ(内径9.3cm、24.0cm高さ)に溶融したフェノール270g(2.87モル)を投入し、蓋を閉め撹拌翼が固結しないよう撹拌しながら窒素加圧下外部から氷冷した。内部温度が10℃以下まで下がった時点で、冷蔵保存したヘキサフルオロアセトンのフッ化水素溶液(ヘキサフルオロアセトンと4.8モル倍のフッ化水素の混合物)1027gを秤量し、オートクレーブの蓋上の開口部の栓を開けて投入した後、密閉した(ヘキサフルオロアセトン651g(3.92モル)、フッ化水素376g(18.8モル)、フェノールに対するフッ化水素のモル比は6.6倍)。室温(約5℃〜30℃。別途明示のない場合、実施例において同じ。)下、撹拌して均一溶液とした後は撹拌せずに室温にて保持した。20日後に反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、フェノールの転化率は78.1%、2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)の選択率は91.7%で、副生物として2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o-M体)1.4%と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)3.7%の生成が確認された。
この時点で反応を終了し、撹拌しながら室温で、減圧蒸留によりフッ化水素を分離回収したところ、反応容器中に固体が残留することが確認された。ジイソプロピルエーテル(IPE)にて反応器内容物を溶解し、溶液全量を水にて洗浄し、酸性物質を除去した。有機層を減圧蒸留し、IPE(沸点110℃/120Torr以下)、未反応フェノール(沸点107℃/30Torr以下)を留去すると、結晶が残存した。溶媒としてヘキサンとトルエンをそれぞれ用いて再結晶をすることにより純度がほぼ100%の2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)が330g得られた。収率63%。
[比較例2]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/0.99/4.8(モル)とした。電磁攪拌機を備えたステンレス鋼製の1Lオートクレーブ(内径9.3cm、高さ24.0cm)に溶融したフェノール363g(3.86モル)を投入し、蓋を閉め撹拌翼が固結しないよう撹拌しながら窒素加圧下外部から氷冷した。内部温度が10℃以下まで下がった時点で、水34g(1.9モル)冷蔵保存したヘキサフルオロアセトンのフッ化水素溶液(ヘキサフルオロアセトンと4.8モル倍のフッ化水素の混合物)997gを秤量し、オートクレーブの蓋上の開口部の栓を開けて投入した後、密閉した(ヘキサフルオロアセトン632g(3.81モル)、フッ化水素365g(18.3モル)、フェノールに対するフッ化水素および水のモル比は各々4.8倍および0.5倍)。
室温下、撹拌して均一溶液とした後は撹拌せずに室温にて保持した。反応時間と反応混合物の組成を表2に示す。
14日後に反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、フェノールの転化率は80%、2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p-M体)の選択率は93%で、副生物として2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o-M体)2.7%と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)1.4%の生成が確認された。
この時点で反応を終了し、ジイソプロピルエーテル(IPE)にて反応器内容物を溶解し、溶液全量を氷に投入したところ、赤橙色の有機層が下層に、フッ酸を含む水層が上層に分離した。有機層を水にて数回洗浄し、酸性物質を除去した。有機層を減圧蒸留し、IPE(沸点110℃/120Torr以下。)、未反応フェノール(沸点107℃/30Torr以下。)を留去すると、結晶が残存した。溶媒として水を用いて再結晶をすることにより純度が99.9%の2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)が472g得られた。収率63%。
[比較例3]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/1.0/1.5(モル)とした。 ポリエチレン製の50mL蓋付き瓶にフェノール0.94g(0.01モル)を投入し、ヘキサフルオロアセトンのフッ化水素溶液(ヘキサフルオロアセトンと1.5モル倍のフッ化水素の混合物)1.96g(ヘキサフルオロアセトン1.66g(0.01モル)フッ化水素0.3g(0.015モル))を秤量し、添加し密栓した。冷蔵庫(0℃〜5℃)に5日保存したのち反応混合物を分析したところフェノールの転化率は約1.2%で反応生成物のうち2−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(p−M体)と2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オール(o−M体)の生成比率は58%対42%であることが確認された。
[比較例4]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/1/45(モル)とした。反応温度を50〜60℃とする以外は実施例1と同様に反応を実施した。フェノール57g(0.6モル)、ヘキサフルオロアセトン100g(0.6モル)とフッ化水素546g(27.3モル)を反応器に投入した。室温まで温度を戻し微加圧となった系内のガスをパージして内圧を0MPa-G(ゲージ圧)とした後、オートクレーブ外面に面状ヒーターを取り付けし、200rpmで撹拌下、設定温度の50℃まで急速な温度上昇を図った。
昇温前17℃の内温は10分で50℃に達したので、この時点を反応スタートとして(反応時間0分)反応温度を50℃、圧力を0.18−0.20MPa-G(ゲージ圧)に維持しながら反応を2時間継続し、その後反応温度を60℃に上昇してさらに2時間反応した。反応時間と反応混合物の組成を表3に示す。
[比較例5]
フェノール/ヘキサフルオロアセトン/フッ化水素の原料組成を1/0.5/6.5(モル)とした。フェノールに対するフッ化水素のモル比を6.5倍、ヘキサフルオロアセトンのモル比を0.5倍、反応温度を110℃とする以外は実施例1と同様に反応を実施した。フェノール67g(0.7モル)、ヘキサフルオロアセトン57g(0.34モル)とフッ化水素89g(4.45モル)を反応器に投入した。室温まで温度を戻し微加圧となった系内のガスをパージして内圧を0MPa-G(ゲージ圧)とした後、オートクレーブ外面に面状ヒーターを取り付けし、200rpmで撹拌下、設定温度の110℃まで急速な温度上昇を図った。
昇温前17℃の内温は10分で105℃に達したので、この時点を反応スタートとして(反応時間0分)反応温度を110℃、圧力を1.05MPa−G(ゲージ圧)に維持しながら反応を継続した。反応時間と反応混合物の組成を表4に示す。2時間後に反応を終了し、反応内容物を氷に注ぎ、析出した固体成分からビスフェノールAFを主成分とする粗体を得たが、o−M体、p−M体については精製物を得ることはできなかった。精製されたビスフェノールAFの収率は81%(使用したフェノール基準)であった。

Claims (6)

  1. フッ化水素の存在下、ヘキサフルオロアセトンとフェノールを反応させて2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールを製造する方法であって、フェノール1モルに対しヘキサフルオロアセトン1〜5モルおよびフッ化水素0.01〜1モル未満とする2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
  2. 反応開始時にフェノール1モルに対し水を0.1〜2モル存在させる請求項1に記載の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
  3. 反応温度を0〜200℃とする請求項1または2に記載の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
  4. 反応終了後、反応器内容物からフッ化水素を蒸留分離する過程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
  5. 蒸留分離したフッ化水素成分を回収し再度反応に使用する過程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
  6. 水、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素を溶媒とする再結晶により精製する過程を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の2−(2−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
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