JP4409057B2 - ベンゼンジメタノール化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬、医薬などの製造原料、中間体等として有用なフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の新規な製造方法に関する。特にテトラフルオロベンゼンジメタノールは優れた殺虫作用を有するシクロプロパンカルボン酸エステル類の製造中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロベンゼンジメタノールのシクロプロパンカルボン酸エステル類は高い殺虫活性を持つことが知られている(特開平1−238555号公報など)。
【0003】
テトラフルオロベンゼンジメタノールの製造方法としては、例えば、英国特許公開第2127013号公報には2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸クロライドをNaBH4で還元する方法が開示されている。米国特許第4189589号、4178293号公報には2,3,4,5−テトラフルオロフタル酸をジボランで還元する方法が開示されている。また、特開平1−238555号公報には2,3,5,6−テトタフルオロトルエンをn−ブチルリチウム存在下でヨウ化メチルと反応させて2,3,5,6−テトラフルオロキシレンとした後、メチル基を臭素化、アセチル化、次いで加水分解して2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールを製造することが開示されている。
【0004】
これらの方法は高価な還元剤を使用したり、工程が長いなどの点から工業的に有利な方法とは言い難い。
【0005】
式(1)のフッ素化ベンゼンジニトリル化合物を還元して式(2)のフッ素化キシリレンジアミン化合物を製造する反応は公知である。例えば特公平4−14096号公報には2,3,5,6−テトラフルオロテレフタロニトリルを水素化触媒の存在下水素化して対応するテトラフルオロキシリレンジアミンを製造する方法が開示されている。
【0006】
また、酸性水溶液中でキシリレンジアミンと亜硝酸塩を反応させてベンゼンジメタノールを製造する反応も公知である。例えば特公昭61−1056号公報にはキシリレンジアミンと亜硝酸塩を水及び鉱酸の存在化反応させてベンゼンジメタノールを製造する方法が開示されている。
【0007】
さらに、特公昭60−35331号公報には、キシリレンジアミンと亜硝酸塩をカルボン酸及び水の存在下に反応させてベンゼンジメタノールとベンゼンジメタノールのモノ及びジカルボン酸エステルの混合物を製造し、次いで加水分解することでベンゼンジメタノールを製造する方法が開示されている。
【0008】
また、特開2000−86583には含フッ素ベンゾニトリル誘導体を還元反応に付して含フッ素ベンジルアミン誘導体とし、次に該含フッ素ベンジルアミン誘導体のアミノ基を水酸基に置換して含フッ素ベンジルアルコール誘導体とする製法が開示されている。
【0009】
しかしながら、農薬、医薬などの製造原料、中間体、モノマーなどとして有用なフッ素化ベンゼンジメタノール化合物をフッ素化ベンゼンジニトリルからフッ素化キシリレンジアミン化合物を経由して製造した例は報告されていない。
【0010】
さらに、アミノ基を酸の存在下、亜硝酸塩で水酸基に置換する場合には一般的に、アミノ基含有化合物と酸の混合物を所定温度に保ち、それに亜硝酸塩あるいはその水溶液を添加する方法がとられる。上記、特公昭61−1056号公報、特公昭60−35331号公報、特開2000−86583号公報にも、アミンと酸を所定温度に保ちつつ亜硝酸塩を加える方法が望ましい反応形式であることが明示されている。しかしながら、式(2)のフッ素化キシリレンジアミン化合物に対して一般に望ましいとされる反応形式、即ち、式(2)のフッ素化キシリレンジアミン化合物と酸を所定温度に保ち、亜硝酸塩を添加した場合には、生成物が析出して、反応の進行に伴い発生する窒素による泡立ちが起こり、工業化に際して、必ずしも十分に満足しうる方法ではないことが本発明者らの検討により明らかになった。更に改良された製造方法が待ち望まれているものの、これまでの公知情報にはそのような改良方法は明確にされておらず、従ってその解決策は明らかになっていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、農薬、医薬等の製造原料、中間体として有用なフッ素化ベンゼンジメタノール化合物を工業的に有利に実施し得る製造方法を提供するとともに、該製造方法の改良方法をも提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の事項からなる。
[1] 式(1)
【化5】
(式中、Xは塩素原子あるいはフッ素原子を表わし、mは0〜3の整数を表す。ただし、mが2以上の場合、Xは同一であっても異なっても良い。)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物のニトリル基を還元して、式(2)
【化6】
(式中、Xおよびmは前記定義のとおりである。)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物を得、次いで、該フッ素化キシリレンジアミン化合物のアミノメチル基をヒドロキシメチル基に変換することを特徴とする式(3)
【化7】
(式中、Xおよびmは前記定義のとおりである。)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
【0013】
[2] 式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物のアミノメチル基をヒドロキシメチル基への変換を、式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物および亜硝酸塩を含む混合物を調製した後、酸を加えて反応て行う[1]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
【0014】
[3] 酸が、下記式(4)、
【化8】
(式中、RがC1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。)で示されるカルボン酸である[2]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[4] カルボン酸が、酢酸である[3]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[5] 酸を加えた後、加水分解する[3]または[4]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[6] 加水分解反応に、アルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩を用いることを特徴とする[5]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[7] 式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物のニトリル基を還元して式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物を得る方法が、金属触媒存在下、水素により還元する方法である[1]〜[6]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[8] 金属触媒が、スポンジニッケルである[7]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[9] スポンジニッケルを、溶媒中で水素加圧下加熱攪拌を行った後、反応に用いることを特徴とする[8]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[10] 金属触媒の使用量が、フッ素化ベンゼンジニトリル化合物に対して、0.01質量倍〜1質量倍である[7]〜[9]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
[11] 式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物がテトラフルオロテレフタロニトリルあるいはテトラフルオロイソフタロニトリルであり、対応する式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールあるいは2,4,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールである[1]〜[10]のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を詳しく説明する。
【0016】
本発明の原料として用いられる式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物は市販されており容易に入手可能である。式(1)において2つのニトリル基の結合位置は限定されない。
【0017】
式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物の具体例としては、テトラフルオロイソフタロニトリル、テトラフルオロテレフタロニトリル、テトラフルオロフタロニトリル、2,4,6−トリフルオロ−5−クロロイソフタロニトリル等の化合物が挙げられる。。
【0018】
本発明の式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物を還元して式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物とする方法(以下「還元反応」ともいう。)としては従来から知られている還元方法が採用される。特に水素化触媒存在下、水素により還元する方法が望ましい。水素化触媒としてはニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、コバルト、銅等の金属触媒が例示される。触媒は金属そのままでも、担持触媒の形でも使用することができる。担体としては活性炭、シリカ、アルミナ等が使用できる。好ましい触媒の具体例としてはスポンジニッケル、スポンジコバルト、パラジウム/活性炭などが挙げられる。
【0019】
触媒として、スポンジニッケル、スポンジコバルトを使用する場合は還元反応を行う前に触媒の前処理を行うことが活性、選択性を向上させるため望ましい。触媒の前処理は、触媒に対して1〜20質量倍の溶媒中で水素加圧下加熱攪拌することによって実施される。水素圧力は特に限定されず、大気圧から加圧下の範囲で実施可能であるが、好ましくは大気圧から1MPaの水素分圧下で実施される。また、温度は30〜150℃の範囲で、特に60〜150℃の範囲で実施することが望ましい。触媒前処理に使用される溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル、ベンゼン、キシレン、トルエン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が単独あるいは2種類以上の混合溶媒として使用されるが、特にメタノール、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランが好ましい。
【0020】
水素化触媒の使用量は式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物に対して0.01質量倍から1質量倍、特に0.1質量倍から0.5質量倍が望ましい。
【0021】
本発明の還元反応の溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル、ベンゼン、キシレン、トルエン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が単独あるいは2種類以上の混合溶媒として使用される。特にメタノール、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トルエンが好ましく使用される。溶媒の量は式(2)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物に対して1〜100質量倍、特に2〜20質量倍が好ましい。
【0022】
反応形式は特に限定されるものではないが、触媒懸濁流通式、固定床流通式、トリクルベッド、あるいは回分式等の方法が採用される。
【0023】
反応温度は、特に限定されないが、常温から150℃付近の温度で実施することが望ましい。また、反応圧力は大気圧から加圧下の範囲で実施可能であるが、好ましくは大気圧から2MPaの範囲で、さらに好ましくは大気圧から1MPaの範囲で実施される。
【0024】
本発明の還元反応により生成する式(2)のフッ素化キシリレンジアミン化合物は、還元反応後の反応液中から濾過、遠心分離、沈降分離等の操作により触媒を分離した後、蒸留、抽出等により単離、精製することが可能である。また、単離を行わず次の工程に使用することも可能である。
【0025】
このようにして得られる式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物の具体例としては、2,4,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミン、2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミン、2,3,4,5−テトラフルオロキシリレンジアミン、2,4,6−トリフルオロ−5−クロロキシリレンジアミン等の化合物が挙げられる。。
【0026】
本発明の式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物のアミノメチル基をヒドロキシメチル基に変換し式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物を得る反応は、フッ素化キシリレンジアミン化合物を酸の存在下、亜硝酸塩と反応させることにより実施される(以下、「ジアゾ化反応」ともいう。)。亜硝酸塩と酸から発生した亜硝酸によりアミノ基がジアゾニウム化合物となる。この反応はジアゾ化反応と呼ばれている。このジアゾニウム化合物が水により窒素を発生しながら分解して水酸基が生成するものと推測される。
【0027】
ジアゾ化反応は、一般的な反応形式であるアミノ基含有化合物と酸の混合物を所定の温度に保ち、そこに、亜硝酸塩あるいは亜硝酸塩の水溶液を加える方法でもよいが、その場合、生成物が析出して、反応の進行に伴い発生する窒素等による泡立ちが起こり、反応液の急激な液面上昇等の恐れがあるので工業的に実施するには注意が必要である。本発明では、(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物、亜硝酸塩の混合物を調製した後、酸を添加するという上記の従来の方法とは逆の添加方法でジアゾ化反応を行う。この方法の場合、生成するフッ素化ベンゼンジメタノール化合物が反応液中に析出せず、反応液の泡立ちが抑えられる。
【0028】
ジアゾ化反応に上記の一般的な反応方法を用いた場合に生じる泡立ち等の問題は、生成物であるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物に特有の性質に起因しているものと推測される。即ち、ジメタノールであるため融点が高く、フッ素化されているために反応液中での溶解度が低いという性質に起因しているものと推測される。例えば、フッ素化ベンジルアルコールである2,3,6−トリフルオロベンジルアルコールの融点は43−44℃、ペンタフルオロベンジルアルコールの融点は32℃であるのに対して、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの融点は120℃以上とフッ素化ベンジルアルコールの融点に比較してフッ素化ベンゼンジメタノールの融点は大幅に高くなっている。また、1,4−ベンゼンジメタノールの室温における水への溶解度が約57g/Lであるのに対して、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの室温における水への溶解度は約25g/Lとベンゼンジメタノールの溶解度に比べてフッ素化ベンゼンジメタノールの溶解度は大幅に下がっている。さらに、本発明のジアゾ化反応の酸としてカルボン酸を使用する場合に生成するモノ及びジカルボン酸エステルの水に対する溶解度が極めて低いことも原因として考えられる。
【0029】
本発明のジアゾ化反応に使用される亜硝酸塩としては亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが望ましい。また、亜硝酸塩の使用量は式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物に対して2〜5倍モルが好ましく、特に2〜3倍モルが好ましい。
【0030】
酸としては鉱酸、あるいは式(4)で示されるカルボン酸が使用される。鉱酸としては硫酸、硝酸、リン酸等が例示される。また、カルボン酸としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸等が例示される。
【0031】
鉱酸あるいはカルボン酸の使用量は式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物に対して2〜5倍モルが好ましく、特に2〜2.5倍モルが好ましい。
【0032】
本発明のジアゾ化反応に続いて、生成したジアゾニウム化合物を分解し、水酸基とするためには水が必要となるが、ジアゾ化反応の際に生成する水がその役割を果たすことが出来る。式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物と亜硝酸塩の混合物を調製した後に酸を添加するジアゾ化反応形式をとる場合は、式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物と亜硝酸塩の混合物に酸を加える前に水を加える方が攪拌が充分に行われるために望ましい。この場合、加える水は式(2)のフッ素化キシリレンジアミン化合物に対して1〜20質量倍が望ましく、特に2.5〜10質量倍が望ましい。
【0033】
反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が望ましく、特に0〜50℃が望ましい。式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物、亜硝酸塩、水を上記の反応温度とし、その温度を保ちつつ酸を加える方法が望ましい。酸は、そのままでもあるいは、水溶液として添加してもよい。酸として鉱酸を使用した場合は式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物が得られるが、酸として式(4)で示されるカルボン酸を使用した場合は、式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノールの他に式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノールのモノ、ジカルボン酸エステルが残存する。このモノ、ジカルボン酸エステルから、式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物を得るためには、モノ、ジカルボン酸エステルを加水分解すればよい。酸の滴下終了後、そのままの温度で、あるいは加熱して攪拌することにより加水分解が進行するが、さらにアルカリを加えて反応を行っても良い。加えるアルカリは特に限定されないが、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の弱アルカリが望ましい。
【0034】
本発明の反応により得られた式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物は抽出、溶媒留去、再結晶等により単離、精製することが可能である。
【0035】
式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の具体例としては、2,4,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノール、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノール、2,3,4,5−テトラフルオロベンゼンジメタノール、2,4,6−トリフルオロ−5−クロロベンゼンジメタノール等の化合物が挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。ただし、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
[2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミンの合成]
500ccのステンレス製オートクレーブに、スポンジニッケル触媒R210(日興リカ社製)5.0g、及びメタノール50gを仕込み、室温で水素圧を0.2MPaとした。オートクレーブの加熱、攪拌を開始し、110℃に達してから1時間保った。冷却後、前記オートクレーブ中に2,3,5,6−テトラフルオロテレフタロニトリル20.0g(100mmol)及びメタノ−ル125gを仕込み、室温で水素圧を0.85MPaとした。圧力を0.85MPaに保ちながらオートクレーブの加熱攪拌を開始した。80℃に達してから1時間で水素吸収が停止した。反応溶液を冷却し、触媒を濾過した後、溶媒留去し減圧蒸留にて2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミンの白色結晶18.3gを得た。GC面積百分率から求めた純度は99.2%であり、収率は87.2%であった。
【0038】
実施例2
[2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの合成]
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた200ccフラスコに実施例1で合成した2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミン10.4g(50.0mmol)、水50g及び亜硝酸ナトリウム10.35g(150.0mmol)を投入し、室温にて30分間攪拌した。次いで反応容器を水浴で冷却しながら、酢酸7.51g(125.0mmol)を反応系内が40℃以下を保つように60分間で滴下した。酢酸滴下終了後、炭酸水素ナトリウム0.8gを投入し、さらに60分間40℃で攪拌した。得られた反応溶液を、10.0gのメチルエチルケトンで抽出後、有機層を5質量%の硫酸水溶液5.0gで洗浄した後、メチルエチルケトンを留去することにより2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの白色結晶9.1gを得た。GC面積百分率から求めた純度は98.9%であり、収率は85.7%であった。
【0039】
実施例3
[2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの合成]
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた200ccフラスコに実施例1で合成した2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミン10.4g(50.0mmol)、水50g及び亜硝酸ナトリウム10.35g(150.0mmol)を投入し、室温にて30分間攪拌した。次いで反応容器を水浴で冷却しながら、硫酸6.13g(62.5mmol)を反応系内が40℃以下を保つように60分間で滴下した。得られた反応溶液を、10.0gのメチルエチルケトンで抽出後、有機層を5質量%硫酸水溶液5.0gで洗浄した後、メチルエチルケトンを留去することにより2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの白色結晶7.9gを得た。GC面積百分率から求めた純度は98.3%であり、収率は73.9%であった。
【0040】
実施例4
[2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミンの合成]
500ccのステンレス製オートクレーブに、スポンジニッケル触媒R210(日興リカ社製)5.0g、テトラフルオロテレフタロニトリル20.0g及びメタノール175gを仕込み、室温で水素圧を0.85MPaとした。圧力を0.85MPaに保ちながらオートクレーブの加熱攪拌を開始した。80℃に達してから50分水素吸収が停止した。反応溶液を冷却し、触媒を濾過した後、溶媒留去し減圧蒸留にて白色結晶10.3gを得た。得られた白色結晶をGCで分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミンと2,3,5,6−テトラフルオロ−4−シアノベンジルアミンの混合物であった。2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミンと2,3,5,6−テトラフルオロ−4−シアノベンジルアミンのGC面積比は23/77であった。
【0041】
比較例1
[2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの合成]温度計、攪拌装置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた200ccフラスコに実施例1で合成した2,3,5,6−テトラフルオロキシリレンジアミン10.4g(5.0mmol)、水50g及び酢酸9.0g(150.0mmol)を投入し、室温にて30分間攪拌した。次いで反応容器を水浴で冷却しながら、40質量%亜硝酸ナトリウム水溶液21.56g(125.0mmol)を反応系内を40℃以下に保ちながら滴下した。亜硝酸ナトリウム水溶液を約30%反応系内に投入した時点で系内に不溶成分が析出し、泡立ちが激しくなったため、泡立ちが消えるまで亜硝酸ナトリウム水溶液の滴下を中止した。泡立ちが消えて亜硝酸ナトリウム水溶液の滴下を再開したが再度泡立ちが生じた。泡立ちが消えてから亜硝酸ナトリウムの滴下を再開する操作を繰り返し、5時間20分後に滴下を終了した。得られた反応溶液を、10.0gのメチルエチルケトンで抽出後、有機層を5質量%硫酸水溶液5.0gで洗浄した後、メチルエチルケトンを留去することにより2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールの白色結晶8.9gを得た。GC面積百分率から求めた純度は97.9%であり、収率は82.9%であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、農薬、医薬などの製造中間体等として有用なフッ素化ベンゼンジメタノール化合物を、工業的に有利に製造することができる。
Claims (10)
- 式(1)
レンジアミン化合物および亜硝酸塩を含む混合物を調製した後、酸を加えて反応させて行うフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。 - カルボン酸が、酢酸である請求項2に記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 酸を加えた後、加水分解する請求項1乃至3のいずれかに記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 加水分解反応に、アルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩を用いることを特徴とする請求項4に記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物のニトリル基を還元して、式(2)で示されるフッ素化キシリレンジアミン化合物を得る方法が、金属触媒存在下、水素により還元する方法である請求項1乃至5のいずれかに記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 金属触媒が、スポンジニッケルである請求項6に記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- スポンジニッケルを、溶媒中で水素加圧下加熱攪拌を行った後、反応に用いることを特徴とする請求項7に記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 金属触媒の使用量が、フッ素化ベンゼンジニトリル化合物に対して、0.01質量倍〜1質量倍である請求項6乃至8のいずれかに記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
- 式(1)で示されるフッ素化ベンゼンジニトリル化合物がテトラフルオロテレフタロニトリルあるいはテトラフルオロイソフタロニトリルであり、対応する式(3)で示されるフッ素化ベンゼンジメタノール化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールあるいは2,4,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールである請求項1乃至9のいずれかに記載のフッ素化ベンゼンジメタノール化合物の製造方法。
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