JP3883354B2 - トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 - Google Patents
トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3883354B2 JP3883354B2 JP2000034032A JP2000034032A JP3883354B2 JP 3883354 B2 JP3883354 B2 JP 3883354B2 JP 2000034032 A JP2000034032 A JP 2000034032A JP 2000034032 A JP2000034032 A JP 2000034032A JP 3883354 B2 JP3883354 B2 JP 3883354B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- unsubstituted
- alkyl group
- substituted
- group
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 *C(C(*)(C(F)(F)F)O)C(*)=O Chemical compound *C(C(*)(C(F)(F)F)O)C(*)=O 0.000 description 5
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬および強誘電性液晶を初めとする機能性材料の重要中間体である3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸誘導体の前駆体であるトリフルオロメチルカルビノール誘導体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
化合物の特定部位にトリフルオロメチル基を導入し、医薬、農薬および強誘電性液晶を初めとする機能性材料にユニークな生理活性や物性を発現させる研究が盛んに行われている。トリフルオロメチルケトンはトリフルオロメチル基を有するシントン(合成素子)としてトリフルオロメチルカルビノール誘導体の構築に利用できる。例えば、Chem.Pharm.Bull.,34(4),1546(1986)には、AlCl3の存在下、オレフィンと1,1,1−トリフルオロアセトンのエン反応が、Bull.Soc.Chim.Fr.,6,933(1986)には、AlCl3の存在下、芳香族化合物と1,1,1−トリフルオロアセトンのフリーデル−クラフツ反応が、Zh.Org.Khim.,26(11),2416(1990)には、フラン化合物と1,1,1−トリフルオロアセトンのフリーデル−クラフツ反応が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公知の反応では、工業的後処理に問題があるAlCl3等のルイス酸触媒を必要とし、さらに、目的とする生成物以外に、求核剤が2分子反応したビス体やルイス酸触媒の配位子であるクロライドイオンが目的とする生成物の水酸基と置換したクロル体が副生成物として得られてくる。このように、従来から報告されている反応は工業的にみた場合、実用的であるとは言い難い。
【0004】
このような観点から、ルイス酸触媒を全く必要とせず、緩和な条件下、目的とするトリフルオロメチルカルビノール誘導体が高い純度で且つ高い収率で得られる工業的な製造方法の開発が求められている。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、一級アミンとケトンから誘導されるイミン、または、二級アミンとケトンから誘導されるエナミンとトリフルオロメチルケトンを縮合させ、酸性条件下、加水分解することによって、トリフルオロカルビノール誘導体が高収率で得られることを明らかにした。
【0006】
すなわち、本発明は、一級アミンとケトンから誘導される
一般式[3]
【0007】
【化8】
【0008】
[式中、Rは、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R1は、水素、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、C1-6鎖状アルコキシ基、C3-8環状アルコキシ基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、RとR1が一緒になり、C4-8環状アルキル基、または、1もしくは2個のヘテロ原子を含む4から8員環のヘテロ環になることもあり、さらに、これらと無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環が縮環することもあり、R2は、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表す]で示されるイミン、
または、一般式[4]
【0009】
【化9】
【0010】
[式中、Rは、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R1は、水素、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、C1-6鎖状アルコキシ基、C3-8環状アルコキシ基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、RとR1が一緒になり、C4-8環状アルキル基、または、1もしくは2個のヘテロ原子を含む4から8員環のヘテロ環になることもあり、さらに、これらと無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環が縮環することもあり、R2およびR2'は、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R2とR2'が同時に同じ置換基になることもあり、または、窒素原子と一緒になり1から3個のヘテロ原子を含む5から8員環のヘテロ環になることもある]で示されるエナミンと、
一般式[5]
【0011】
【化10】
【0012】
[式中、R3はメチル基を表す]で示されるトリフルオロメチルケトンを縮合させ、酸性条件下、加水分解することによって、
一般式[6]
【0013】
【化11】
【0014】
[式中、Rは、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R1は、水素、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、C1-6鎖状アルコキシ基、C3-8環状アルコキシ基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、RとR1が一緒になり、C4-8環状アルキル基、または、1もしくは2個のヘテロ原子を含む4から8員環のヘテロ環になることもあり、さらに、これらと無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環が縮環することもあり、R3はメチル基を表す]で示されるトリフルオロメチルカルビノール誘導体を製造する方法である。
【0015】
本発明のトリフルオロメチルカルビノール誘導体は、医薬、農薬および強誘電性液晶を初めとする機能性材料の重要中間体である3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸誘導体の前駆体として有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法について詳細に説明する。
【0017】
本発明の製造方法は、原料である一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンを製造する過程と、該イミン、または、該エナミンと一般式[5]で示されるトリフルオロメチルケトンを縮合させ、酸性条件下、加水分解する過程よりなる。
【0018】
本発明の前過程においては、一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンは、以下の方法により、工業的に簡便で且つ効率良く製造することができる。
【0019】
すなわち、一般式[1]で示されるケトンと一般式[2−1]で示される一級アミン、または、一般式[2−2]で示される二級アミンを酸性条件下、脱水縮合することによって製造することができる。
【0020】
一般式[1]で示されるケトンとしては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルi−プロピルケトン、ピナコリン、メチルc−ヘキシルケトン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、2’−メトキシアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、2’−クロルアセトフェノン、4’−クロルアセトフェノン、2’−エトキシカルボニルアセトフェノン、4’−エトキシカルボニルアセトフェノン、2’−ニトロアセトフェノン、4’−ニトロアセトフェノン、2’,4’,6’−トリメチルアセトフェノン、プロピオフェノン、n−ブチロフェノン、2−チエニルメチルケトン、フェニルc−ヘキシルメチルケトン、フェニルベンジルケトン、フェニル2−ピリジルメチルケトン、1−テトラロン、2−テトラロン等が挙げられる。
【0021】
一般式[2−1]で示される一級アミンとしては、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、c−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、c−ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、4−クロロアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、2−ピリジルアミン等が挙げられる。その中でも、n−ヘキシルアミン、c−ヘキシルアミンおよびアニリンが好ましく、特に、c−ヘキシルアミンおよびアニリンがより好ましい。
【0022】
一般式[2−2]で示される二級アミンとしては、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジi−プロピルアミン、ジc−プロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジi−ブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジn−ペンチルアミン、ジn−ヘキシルアミン、ジc−ヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジ4−クロロフェニルアミン、ジ2−ピリジルアミン、メチルエチルアミン、メチルi−プロピルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、メチル1−ナフチルアミン、メチル2−ナフチルアミン、メチルベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。その中でも、ジn−ブチルアミン、ピペリジンおよびモルホリンが好ましく、特に、ピペリジンおよびモルホリンがより好ましい。
【0023】
一般式[2−1]で示される一級アミン、または、一般式[2−2]で示される二級アミンの使用量は、通常は一般式[1]で示されるケトンに対して、等モル反応であるため、1モル当量以上使用すればよく、1〜10モル当量が好ましく、特に、1〜5モル当量がより好ましい。
【0024】
本反応は、一般式[1]で示されるケトンと一般式[2−1]で示される一級アミン、または、一般式[2−2]で示される二級アミンの脱水縮合であるため、酸性条件下、副生する水を除きながら反応を行う。好ましくは、水と混和せず、水よりも比重が小さく、水と共沸する溶媒を用いて、環流条件下、ディーン・スターク管で副生する水を除く。
【0025】
使用される溶媒としては、水と共沸する溶媒であればよく、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン等の芳香族炭化水素が好ましく、特に、トルエンがより好ましい。これらの溶媒は、単独または組み合わせて用いることができる。
【0026】
溶媒の使用量としては、理論的に副生する水の量を共沸除去できるだけの溶媒量を必要とするが、ディーン・スターク管を用いることによって、使用量を極端に減らすことができる。
【0027】
本脱水縮合において、使用される酸としては、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。その中でも、p−トルエンスルホン酸および硫酸が好ましく、特に、p−トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0028】
酸の使用量としては、一般式[1]で示されるケトンに対して、触媒量使用すればよく、0.001〜1モル当量が好ましく、特に、0.005〜0.5モル当量がより好ましい。
【0029】
本脱水縮合の温度条件は、使用する溶媒と水の共沸温度から溶媒の沸点までの範囲で行なえばよく、特に、使用する溶媒の沸点付近がより好ましい。
【0030】
前過程の後処理においては、反応終了後、通常の後処理操作を行うことによって、粗生成物を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて、活性炭、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行い、目的の一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンを高い純度で得ることができる。また、単離精製せず、後過程に用いることができる。具体的には、反応終了液を、または、反応終了液を炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウム等で乾燥し、濾過して得られるイミン、または、エナミンのトルエン溶液等を後過程に用いることができる。
【0031】
本発明の後過程においては、一般式[6]で示されるトリフルオロメチルカルビノール誘導体は、以下の方法により、工業的に簡便で且つ効率良く製造することができる。
【0032】
すなわち、前過程において得られた、一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンと一般式[5]で示されるトリフルオロメチルケトンを縮合させ、酸性条件下、加水分解することによって製造することができる。
【0033】
一般式[5]で示されるトリフルオロメチルケトンとしては、具体的には、1,1,1−トリフルオロアセトンが挙げられる。
【0034】
一般式[5]で示されるトリフルオロメチルケトンの使用量は、通常は一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンに対して、当モル反応であるため、1モル当量以上使用すればよく、1〜10モル当量が好ましく、特に、1〜5モル当量がより好ましい。
【0035】
本縮合は、無溶媒で行うこともできるが、通常は溶媒が使用される。使用される溶媒としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、c−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル等が挙げられる。その中でも、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルが好ましく、特に、n−ヘキサンおよびトルエンがより好ましい。これらの溶媒は、単独または組み合わせて用いることができる。
【0036】
溶媒の使用量としては、特に制限はない。
【0037】
本縮合の温度条件は、反応温度−40〜250℃で行えばよく、−20〜100℃が好ましく、特に、−10℃〜80℃がより好ましい。
【0038】
本発明の後過程においては、縮合後に、酸性条件下、加水分解を行うが、これは、縮合で生成する一般式[7]
【0039】
【化12】
【0040】
[式中、Rは、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R1は、水素、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、C1-6鎖状アルコキシ基、C3-8環状アルコキシ基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、RとR1が一緒になり、C4-8環状アルキル基、または、1もしくは2個のヘテロ原子を含む4から8員環のヘテロ環になることもあり、さらに、これらと無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環が縮環することもあり、R2およびR2'は、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R2とR2'が同時に同じ置換基になることもあり、または、窒素原子と一緒になり1から3個のヘテロ原子を含む5から8員環のヘテロ環になることもあり、R3はメチル基を表す]で示されるオキセタン、
または、一般式[8]
【0041】
【化13】
【0042】
[式中、Rは、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R1は、水素、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、C1-6鎖状アルコキシ基、C3-8環状アルコキシ基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、RとR1が一緒になり、C4-8環状アルキル基、または、1もしくは2個のヘテロ原子を含む4から8員環のヘテロ環になることもあり、さらに、これらと無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環が縮環することもあり、R2は、C1-6鎖状アルキル基、C3-8環状アルキル基、無置換もしくは置換アリール基、または、無置換もしくは置換ヘテロ環を表し、R3はメチル基を表す]で示されるイミンを一般式[6]で示されるトリフルオロメチルカルビノール誘導体へ変換するためである。
【0043】
本加水分解において、使用される酸としては、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸、(濃塩酸−シリカゲル−エタノール)等の無機酸等が挙げられる。その中でも、塩酸および硫酸が好ましく、特に、塩酸がより好ましい。
【0044】
酸の濃度としては、0.1〜12Nを使用すればよく、1〜12Nが好ましく、特に、2〜12Nがより好ましい。
【0045】
酸の使用量としては、一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンに対して、0.1〜100モル当量使用すればよく、1〜50モル当量が好ましく、特に、2〜30モル当量がより好ましい。
【0046】
本加水分解の温度条件は、室温付近で行なえばよく、加熱条件下においては、効率よく行うことができ、冷却条件下においても、充分な反応速度で行うことができる。
【0047】
後過程の後処理においては、反応終了後、通常の後処理操作を行うことによって、粗生成物を得ることができる。粗生成物は、必要に応じて、活性炭、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行い、目的の一般式[6]で示されるトリフルオロメチルカルビノール誘導体を高い純度で得ることができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「1」イミン、または、エナミンの製造
[実施例1]イミンの製造
ケトンとしてアセトフェノン(1a、50mmol)、一級アミンとしてc−へキシルアミン(2a、100mmol)を含むトルエン(150ml)溶液にp−トルエンスルホン酸一水和物(0.5mmol)を加えて、24時間、加熱還流し、副生する水をディーン・スターク管で除いた。反応終了液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥し、粗体を得た。粗体を減圧蒸留し、イミンとしてN−(1−フェニルエチリデン)−c−ヘキシルアミン(3aa、40mmol、80%)を得た。
【0049】
[実施例2]エナミンの製造
ケトンとしてアセトフェノン(1a、50mmol)、二級アミンとしてモルホリン(2b、100mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.5mmol)を含むトルエン(150ml)溶液を24時間、加熱還流し、副生する水をディーン・スターク管で除いた。反応終了液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥し、粗体を得た。粗体を減圧蒸留し、エナミンとしてα−モルホリニルスチレン(4aa、42mmol、84%)を得た。
【0050】
[実施例3〜5]
実施例1または2と同様の実験操作を行い、これらの結果を表1のラン3〜5としてまとめた。表中、ラン1および2はそれぞれ実施例1、実施例2に対応する。
【0051】
【化14】
【0052】
【表1】
【0053】
「2」トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造
[実施例6]イミンからの製造
N−(1−フェニルエチリデン)−c−ヘキシルアミン(3aa,1mmol)およびトリフルオロアセトン(5a,3mmol)を含むn−ヘキサン(4ml)溶液を24時間、室温で撹拌後、濃塩酸(2ml)−シリガゲル(1g)−エタノール(2ml)の混合物を加え、室温で24時間撹拌した。
【0054】
反応終了液を濾過し、濾液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥し、粗体を得た。ベンゾトリフルオライドを内部標準物質として19F−NMRで定量分析を行ったところ、粗体中に3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1−ブタノン(6aa)が0.53mmol含まれていることを確認した(53%)。
【0055】
酸加水分解前の、式[8aa]
【0056】
【化15】
【0057】
で示されるイミン縮合物および3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1−ブタノン(6aa)の機器データを以下に記す。
【0058】
イミン縮合物(8aa)の機器データ
IR(neat):1649(C=N)、3061(OH)cm-1
1H−NMR(δ、CDCl3):1.12−1.70(m、10H)、1.44(s、3H)、2.66(d、J=17.1Hz、1H)、2.88(d、J=17.1Hz、1H)、3.22−3.29(m、1H)、7.10−7.13(m、2H)、7.26−7.28(m、1H)、7.37−7.45(m、2H)
19F−NMR(δ、CDCl3):−3.96(s,3F)
13C−NMR(δ、CDCl3):22.7(s)、23.8(s)、25.5(s)、33.4(s)、41.7(s)、59.6(s)、73.8(q、J=27.6Hz)、126.4(q、J=286.2Hz)、125.6(s)、128.8(s)、137.6(s)、168.3(s)
質量分析(CI法):分子式;C17H23F3NO として
理論値(M+H); 314.1733
実測値(m/z); 314.1713
3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1−ブタノン(6aa)の機器データ
薄層クロマトグラフィー : Rf値0.35(ベンゼン)
融点(mp):41−42℃(n−ヘキサンより再結晶)
IR(KBr):1673(C=O)、3424(OH)cm-1
1H−NMR(δ、CDCl3):1.51(d、J=17.1Hz、1H)、3.11(d、J=17.1Hz、1H)、5.26(s、1H)、7.49−7.53(m、2H)、7.63−7.66(m、1H)、7.95−7.97(m、2H)
19F−NMR(δ、CDCl3):−4.97(s,3F)
13C−NMR(δ、CDCl3):22.1(s)、40.2(s)、73.4(q、J=28.7Hz)、125.7(q、J=285.1Hz)、128.3(s)、128.9(s)、134.3(s)、136.5(s)、200.2(s)。
【0059】
[実施例7〜10]
実施例6と同様の実験操作を行い、これらの結果を表2のラン6〜8およびラン10としてまとめた。表中、ラン9は、実施例6に対応する。
【0060】
【化16】
【0061】
【表2】
【0062】
[実施例11]エナミンからの製造
α−モルホリニルスチレン(4aa,1mmol)およびトリフルオロアセトン(5a,3mmol)を含むn−ヘキサン(4ml)溶液を3時間、室温で撹拌後、10%塩酸(4ml)を加え、室温で30分間撹拌した。反応終了液で酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥し、粗体を得た。粗体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5)で精製し、3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシ−1−フェニル−1−ブタノン(6aa、0.9mmol、90%)を得た。
【0063】
[実施例12〜18]
実施例11と同様の実験操作を行い、これらの結果を表3のラン11、12および14〜18としてまとめた。表中、ラン13は、実施例11に対応する。
【0064】
【化17】
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】
医薬、農薬および強誘電性液晶を初めとする機能性材料の重要中間体である3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸誘導体の前駆体であるトリフルオロメチルカルビノール誘導体を工業的に簡便で且つ効率良く製造できる。
Claims (3)
- 一般式[3]
- 請求項1に記載した一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンが、一般式[1]
- 請求項2において、一般式[3]で示されるイミン、または、一般式[4]で示されるエナミンを単離精製しない請求項2に記載した製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000034032A JP3883354B2 (ja) | 2000-02-10 | 2000-02-10 | トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000034032A JP3883354B2 (ja) | 2000-02-10 | 2000-02-10 | トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001226309A JP2001226309A (ja) | 2001-08-21 |
JP3883354B2 true JP3883354B2 (ja) | 2007-02-21 |
Family
ID=18558429
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000034032A Expired - Fee Related JP3883354B2 (ja) | 2000-02-10 | 2000-02-10 | トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3883354B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014038489A1 (ja) | 2012-09-04 | 2014-03-13 | 旭硝子株式会社 | 不飽和酸及び/又は不飽和酸エステルの製造方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4458514B2 (ja) | 2002-07-18 | 2010-04-28 | 第一三共株式会社 | 高純度のエナミン類の製造方法 |
JP5223305B2 (ja) * | 2007-07-31 | 2013-06-26 | ダイキン工業株式会社 | 含フッ素ケトアルコール及びその誘導体の製造方法 |
JP7127808B2 (ja) * | 2018-05-29 | 2022-08-30 | 国立大学法人山口大学 | フルオロアルキル基を含有するイミン類の製造方法 |
-
2000
- 2000-02-10 JP JP2000034032A patent/JP3883354B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014038489A1 (ja) | 2012-09-04 | 2014-03-13 | 旭硝子株式会社 | 不飽和酸及び/又は不飽和酸エステルの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001226309A (ja) | 2001-08-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100877849B1 (ko) | 3-히드록시테트라히드로퓨란의 효율적 제조방법 | |
JP3883354B2 (ja) | トリフルオロメチルカルビノール誘導体の製造方法 | |
JP6702623B2 (ja) | メデトミジンの合成に有用な3−アリールブタナールなどの化合物の調製方法 | |
KR102436959B1 (ko) | 1-(3,5-디클로로페닐)-2,2,2-트리플루오로에타논 및 그의 유도체의 제조 방법 | |
JP6884857B2 (ja) | フェニルアラニン類化合物の製造方法 | |
JP2830210B2 (ja) | α,β―不飽和ケトン類の合成法 | |
US20110137041A1 (en) | Process for preparing atovaquone and associate intermediates | |
JPH0616600A (ja) | フェノキシエチルアミン類の製造方法 | |
JP4032861B2 (ja) | β−オキソニトリル誘導体又はそのアルカリ金属塩の製法 | |
JP4159001B2 (ja) | メチレンノルカンファーの製造方法 | |
JP3865558B2 (ja) | 光学活性パーフルオロアルキルカルビノール誘導体の製造方法 | |
JPH10251233A (ja) | メチルキノリン類の製造方法 | |
Patil et al. | Synthesis of 4-Iminothiazolidinones by Using [bmIm] OH | |
JP4313166B2 (ja) | 光学活性β−トリフルオロメチル−β−ヒドロキシカルボニル化合物の製造方法 | |
JP2000344722A (ja) | 4−ヒドロキシメチル−1−アミノシクロペント−2−エン誘導体の製造方法 | |
JP2021530564A (ja) | ビシナルジアミンのジアステレオ選択合成のための改良プロセス | |
JP3824826B2 (ja) | フェニルエタノールアミン誘導体の製造方法 | |
JP3009860B2 (ja) | (±)2−[ 4−(2−オキソシクロペンチルメチル)フェニル]プロピオン酸およびその塩の製造方法 | |
JP4032593B2 (ja) | 4−アミノテトラヒドロピラン誘導体の製法 | |
JP3981996B2 (ja) | ケトオキサゾリジノン及び該化合物からのアミドインダノールの製造法 | |
JP4744708B2 (ja) | テトラヒドロナフタレン誘導体の製造方法 | |
JP4263427B2 (ja) | ハロゲノ−4−ジヒドロキシメチルピリジン、その製造法及びそれを用いたハロゲノ−4−ピリジンカルバルデヒドの製造法 | |
JP2009215196A (ja) | 光学活性ペルフルオロアルキル第2級アルコール誘導体の製造法 | |
IE63954B1 (en) | New process for the synthesis of the n-methyl-3,4-dimethoxyphenylethylamine | |
JPH05255169A (ja) | 光学活性ビシクロアルケノン類の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20060421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060711 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060828 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060926 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061018 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061114 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061114 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091124 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091124 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |