JP2023023928A - レチノイドx受容体アゴニスト及びその中間体の製造方法 - Google Patents

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博貴 加来田
Hirotaka Kakuta
祐太 ▲高▼村
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Abstract

【課題】精製操作が簡便で、溶媒を回収しやすく、高収率であり、環境に配慮した大量合成の可能な、RXRアゴニスト及びその中間体の製造方法を提供する。【解決手段】2-イソプロピル-5-ニトロフェノール及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相とアルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で反応させる工程;前記生成物に水素添加する工程;前記生成物を6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル等と反応させる工程;前記生成物をハロゲン化エタンと反応させる工程を含む、中間体である下記化合物7aの製造方法である。TIFF2023023928000029.tif51149【選択図】なし

Description

本発明は、レチノイドX受容体アゴニスト及びその中間体の製造方法に関する。また、本発明は、イソブトキシベンゼンの製造方法及び三級アミンの製造方法に関する。
SDGsは、2015年に国連サミットで採択された2030年までの世界的な開発目標である。その1つである「すべての人に健康と福祉を(SDG3)」の観点からすると、安価に提供可能な低分子医薬品は注目に値する。本発明者らは、これまで低分子医薬品である核内受容体アゴニストの研究を進めてきた。
レチノイドX受容体(RXR:Retinoid X Receptor)は、核内受容体の1つであり、リガンドの結合に応じて下流遺伝子の転写を制御する。そのアゴニストであるベキサロテン(Bexarotene:下記化学式)は、皮膚浸潤性T細胞リンパ腫に適応されていることに加えて、そのドラッグリポジショニング研究として炎症性腸疾患などの疾患への有効性が報告されている。しかしながら、ベキサロテンには甲状腺機能の低下などの重篤な副作用があることが問題とされており、その医薬開発は停滞している。
Figure 2023023928000001
その問題を解決すべく創出されたNEt-3IB(下記化学式)は、RXR転写活性化能を維持しつつ、上記副作用を回避したことが報告されている(特許文献1、非特許文献1)。さらに、NEt-3IBは下部消化管への移行性が高いことから、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)への有効性が報告されており(特許文献2)、現在医薬開発が進められている。
Figure 2023023928000002
しかしながら、医薬開発にあたり、これまでに報告されている合成法では、回収の困難な有機溶媒を使用することや、カラムクロマトグラフィーを用いた精製操作を複数回行う必要があることなどが問題となっており(非特許文献2)、医薬合成を志向した新規大量合成法が求められていた。有機溶媒の回収を容易にするとともにその廃棄量を減らし、E-ファクター(廃棄物量/目的生成物量)の大幅な低減が達成され、SDGs及びGreen Sustainable Chemistryに貢献しうる合成方法が求められている。
WO 2010/098125 A1 WO 2017/002874 A1
Biol Pharm Bull. 2012;35(4):629-633. doi: 10.1248/bpb.35.629. ChemMedChem 2008 May;3(5):780-787.
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、精製操作が簡便で、溶媒を回収しやすく、高収率であり、環境に配慮した大量合成の可能な、RXRアゴニスト及びその中間体の製造方法を提供するものである。また、同様に大量合成に適したイソブトキシベンゼン及び三級アミンの製造方法を提供するものである。
本発明は、下記式(I)に従い、化合物3aを原料として、反応C、D、E及びFをこの順に行う、レチノイドX受容体アゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
反応Cにおいて、化合物3a及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4aを得て;
反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得る、中間体の製造方法である。
Figure 2023023928000003
[式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
このとき、反応Cにおいて、前記油相と前記水相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させることが好ましい。
また、本発明は、下記式(I)に従い、化合物3aを原料として反応C、D、E及びFをこの順に行う、RXRアゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
反応Cにおいて、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得て;
反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンが有機溶媒に溶解した溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、反応を進行させて化合物7aを得る、中間体の製造方法である。
Figure 2023023928000004
[式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
このとき、反応Fにおいて、前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムであることが好ましい。また、反応Fにおいて、前記溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させることも好ましい。
上記中間体の製造方法において、前記相間移動触媒が、アルキルアンモニウムハライドであることが好ましい。前記有機溶媒が、炭素数5~7の脂環式エーテルであることも好ましい。反応C、D、E及びFの全てを、水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させることも好ましい。
また本発明は、下記式(I)に従い、化合物3aを原料として反応C、D、E及びFをこの順に行う、RXRアゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
反応Cにおいて、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得て;
反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得るに際し、
反応C、D、E及びFの全てを、水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させる、中間体の製造方法である。
Figure 2023023928000005
[式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
上記中間体の製造方法において、反応C、D、E及びFを、バッチ合成法及び/又は連続フロー合成法によって行うことが好ましい。
本発明の好適な実施態様は、下記式(II)に従い、化合物1をニトロ化して化合物2を得る反応A、及び化合物2のアミノ基を水酸基に変換して化合物3aを得る反応Bをこの順に行って得られた化合物3aを用いて反応Cを行う、前記中間体の製造方法である。
Figure 2023023928000006
また、本発明の好適な実施態様は、前記の方法で製造された化合物7aを、下記式(III)に従って加水分解して化合物8aからなるRXRアゴニストを得る、RXRアゴニストの製造方法である。
Figure 2023023928000007
[式(III)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。]
本発明は、下記式(IV)に従い、化合物3及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4を得る、イソブトキシベンゼンの製造方法である。
Figure 2023023928000008
[式(IV)中、ニトロ基はベンゼン環の3位又は4位に結合している。]
このとき、前記油相と前記水相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させることが好ましい。
また、本発明は、下記式(V)に従い、化合物6とハロゲン化物が有機溶媒に溶解した溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、反応を進行させて化合物7を得る、三級アミンの製造方法である。
Figure 2023023928000009
[式(V)中、アミノ基はベンゼン環の3位又は4位に結合しており、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基である。]
このとき、前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムであることが好ましい。また、前記溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させることも好ましい。
本発明の製造方法によれば、精製操作が簡便で、溶媒を回収しやすく、高収率であり、環境に配慮した大量合成の可能な、RXRアゴニスト及びその中間体の製造方法が提供される。また、同様に大量合成に適したイソブトキシベンゼン及び三級アミンの製造方法も提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。出発原料の化合物1から反応A~Gの7ステップを経て、目的化合物のNEt-3IB(8a)が合成される。各反応について、以下、順次説明する。
反応A及び反応Bは下記式(II)で示される。
Figure 2023023928000010
[反応A]
反応Aでは、化合物1(2-イソプロピルアニリン)をニトロ化して化合物2(2-イソプロピル-5-ニトロアニリン)を得る。ニトロ化する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができ、濃硫酸と濃硝酸の混酸を用いてニトロ化することもできる。しかしながら、反応スケールを大きくするにあたり、混酸の使用は危険を伴うこと、硝酸は揮発性であり等量計算が難しいことが問題となることがある。そのため、硝酸の代わりに硝酸塩を用いることが好ましい。硝酸塩としては、硝酸カリウムなどを用いることができる。また、濃硫酸を溶媒として用い、有機溶媒を使用せずに反応を進行させることが好ましい。反応終了後に精製しても構わないが、精製を経ることなく次の反応Bに用いることが、作業効率の観点から好ましい。化合物1のモル数に対して等モル数以上の硝酸又は硝酸塩を用い、過剰の硫酸を用いることが好ましい。反応温度は0~50℃であることが好ましい。
[反応B]
反応Bでは、化合物2(2-イソプロピル-5-ニトロアニリン)のアミノ基を水酸基に変換して化合物3a(2-イソプロピル-5-ニトロフェノール)を得る。反応Aで得られた濃硫酸溶液に水と亜硝酸塩を添加することによってジアゾニウム塩を形成させ、それを加熱することによって、ザンドマイヤー反応によって目的物のフェノールを得ることができる。ジアゾニウム塩を形成させる際の反応温度は0~10℃であることが好ましく、フェノールを形成させる際の反応温度は50~100℃であることが好ましい。濃硫酸に水を加えて形成される希硫酸の硫酸濃度は5~50質量%が好ましい。また、亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウムなどを用いることができる。化合物1のモル数に対して等モル数以上の亜硝酸塩を用いることが好ましい。
反応Bにおいて、さらに有機溶媒を加えることによって、収率よく化合物3aを得ることができる。当該有機溶媒は、化合物2及び化合物3aを溶解することができればよく、特に限定されないが、環境にやさしく回収の容易な溶媒を用いることが好ましい。窒素元素や硫黄元素を含まず、炭素、水素及び酸素のみを含む溶媒が好ましく、エーテル、エステルなどを用いることができるが、各種の反応に対して安定な非プロトン性溶媒であるエーテルが好ましい。中でも蒸留などによる回収の容易さを考慮すれば、炭素数が4~8のエーテルが好ましく、炭素数5~7のエーテルがより好ましい。また、有機化合物の溶解性の観点からは、脂環式エーテルが好ましい。特に好ましいのは、炭素数が5~7の脂環式エーテルであり、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)などが例示され、CPMEとMTHPが特に好ましい。反応Bの終了後に精製しても構わないが、精製を経ることなく次の反応Cに用いることが、作業効率の観点化から好ましい。
反応C~Fは下記式(I)で示される。
Figure 2023023928000011
[式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
[反応C]
反応Cにおいて、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得る。これによって、水酸基がイソブトキシ基に変換される。この反応を進行させる方法は特に限定されないが、好適な方法は、化合物3a及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4aを得る方法である。
前記好適な方法について、以下に詳しく説明する。この反応は、油相と水相とが分離した状態で反応を進行させることを特徴とする。当該油相には、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが溶解している。1-ハロゲノ-2-メチルプロパンとしては、1-ブロモ-2-メチルプロパン、1-クロロ-2-メチルプロパン、1-ヨード-2-メチルプロパンなどを用いることができ、1-ブロモ-2-メチルプロパンが好ましい。1-ハロゲノ-2-メチルプロパンのモル数の化合物3aのモル数に対する比率は1当量以上であることが好ましく、より好適には1.1当量以上である。当該比率は好適には5当量以下であり、より好適には3当量以下である。油相中の化合物3aの濃度は特に限定されないが、好適には0.01~10mol/Lである。当該油相に用いられる溶媒は両者を溶解させることができるものであれば特に限定されないが、反応Bで用いられる有機溶媒と同じものを用いることが好ましい。
また、前記水相にはアルカリ金属水酸化物が溶解している。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが用いられるが、水酸化カリウムが好適である。水相中のアルカリ金属水酸化物の濃度は特に限定されないが、好適には0.05~20mol/Lである。また、用いられるアルカリ金属水酸化物のモル数は、化合物3aのモル数の1~10倍であることが好ましい。また、反応Bで用いたのと同じ回収性に優れた有機溶媒を用いることができる。好適な反応温度は、50~100℃である。反応後は、油相を回収し、抽出操作や洗浄操作をするだけでよく、精製することなく次の反応Dに供することができる。
これらの油相と水相との界面で効率的に反応を進行させるために、反応液を撹拌することが好ましい。撹拌しながら反応させることによって油相と水相の界面が効率的に更新されて効率的に反応が進行する。撹拌方法としては、撹拌翼、スクリュー、スターラーなど公知の撹拌方法を採用することができる。マイクロリアクターの流路中でスラグ流を形成させる場合や、スタティックミキサーを用いる場合のように、撹拌せずに油相と水相の界面を更新させる方法を採用することもできる。
また、前記油相と前記水相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させることも好ましい。相間移動触媒が存在することによって、反応速度が向上し、高収率で目的化合物を得ることができる。ここで、用いられる相間移動触媒は特に限定されないが、アルキルアンモニウムハライドが好適である。アルキルアンモニウムハライドとしては、モノアルキルアンモニウムハライド、ジアルキルアンモニウムハライド、トリアルキルアンモニウムハライド及びテトラアルキルアンモニウムハライドのいずれであっても構わないが、テトラアルキルアンモニウムハライドが好ましい。ハライドとしては、ブロマイドであってもクロライドであっても構わないがブロマイドが好ましい。テトラアルキルアンモニウムハライドとしては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイドなどが例示される。用いられる相間移動触媒のモル数は、化合物3aのモル数の0.01~1倍であることが好ましい。
[反応D]
反応Dにおいて、化合物4aに水素添加してニトロ基をアミノ基に還元して化合物5aを得る。水素添加の方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。水素ガスを用いて、遷移金属触媒を用いて水素添加することができる。用いられる遷移金属触媒としては、Pd触媒、例えばPd/Cなどが好適に用いられる。反応溶媒としては、プロトン性有機溶媒が好ましく、炭素数が1~3のアルコールなどを用いることができ、エタノールが好適である。反応終了後に濾過することによって、触媒を除去することができる。反応後に生成物が溶解している有機溶媒を交換してもよい。この場合、反応Bで用いられる有機溶媒と同じものに交換することが好ましい。また、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸を加えて、化合物5aのアンモニウム塩を形成させてもよい。必要に応じて、有機溶媒を交換したり、塩を形成させたりしてから、精製することなく次の反応Eに供することができる。
[反応E]
反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて、カップリング反応によって化合物6aを得る。用いられる化合物5aは、そのまま用いてもよいし、化合物5aをp-トルエンスルホン酸などの有機酸の塩としてもよい。有機酸の塩とすることによって、化合物5aの酸化を防止できるとともに、反応Eを進行させる酸触媒として利用することもできる。また、6-ハロゲノニコチン酸エステルとしては、クロロニコチン酸エステル、ブロモニコチン酸エステル、ヨードニコチン酸エステルのいずれを用いてもよいが、クロロニコチン酸エステルが好ましい。当該アルキルエステルは、炭素数1~6のアルカノールのエステルであり、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルなどが例示され、中でも、エチルエステルが好ましい。化合物5aのモル数に対する6-ハロゲノニコチン酸エステルのモル数は、1~2倍であることが好ましい。反応溶媒としては、反応Bで用いられる有機溶媒と同じものを用いることが好ましい。エステル基の加水分解を防ぐためには、反応液を十分に脱水してから反応を進行させることが好ましい。反応温度は50~120℃であることが好ましい。反応終了後には、反応溶媒を留去した後で、再結晶によって精製することが好ましい。再結晶に用いる溶媒としては炭素数が1~3のアルコールが好適であり、エタノールが特に好ましい。また、炭素数が1~3のアルコールに水を加えた混合溶媒で再結晶させることもできる。これによって、比較的簡便に精製することができる。
[反応F]
反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得る。これによって、二級アミンをアルキル化して三級アミンを得ることができる。この反応を進行させる方法は特に限定されないが、好適な方法は、化合物6aとハロゲン化エタンが有機溶媒に溶解した溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で反応を進行させて化合物7aを得る方法である。
前記好適な方法について、以下に詳しく説明する。この反応は、油相と固相とが分離した状態で反応を進行させることが特徴である。当該油相には、化合物6aとハロゲン化エタンを溶解させる。ハロゲン化エタンとしては、ヨードエタン、ブロモエタン、クロロエタンなどを用いることができるが、反応性の観点からはヨードエタン又はブロモエタンが好ましく、ヨードエタンが特に好ましい。化合物6aのモル数に対するハロゲン化エタンのモル数の比率は1当量以上であることが好ましく、より好適には1.1当量以上である。当該比率は好適には2当量以下であり、より好適には1.5当量以下である。油相中の化合物3aの濃度は特に限定されないが、好適には0.01~10mol/Lである。当該油相に用いられる溶媒は両者を溶解させることができるものであれば特に限定されないが、反応Bで用いられる有機溶媒と同じものを用いることが好ましい。エステル基の加水分解を防ぐためには、反応液を十分に脱水してから反応を進行させることが好ましい。
反応Fでは、溶液中にアルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、反応を進行させる。アルカリ金属水酸化物は固体であり、その粒径は、球相当径で0.01~10mmであることが好ましく、ハンドリング性を考慮すれば1~10mmであることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが用いられるが、反応速度が向上し高収率で目的化合物が得られることから、水酸化カリウムが好適である。用いられるアルカリ金属水酸化物のモル数は、化合物6aのモル数の1~10倍であることが好ましい。好適な反応温度は、40~100℃である。反応後は、溶媒を留去するだけでよく、精製することなく次の反応Gに供することができる。
前記油相と前記固相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に、反応を進行させることが好ましい。相間移動触媒が存在することによって、反応速度が向上し、高収率で目的化合物を得ることができる。ここで、用いられる相間移動触媒は特に限定されないが、反応Cで用いられるものを好適に用いることができる。用いられる相間移動触媒のモル数は、化合物6aのモル数の0.01~1倍であることが好ましい。
また、撹拌することによって反応を進行させることが好ましい。撹拌しながら反応させることによって油相と固相の界面が効率的に更新されて効率的に反応が進行する。撹拌方法としては、撹拌翼、スクリュー、スターラーなど公知の撹拌方法を採用することができる。マイクロリアクターの流路中やスタティックミキサー中に、小粒径の水酸化カリウム粒子が分散した反応液を流す場合のように、撹拌せずに油相と固相の界面を更新させる方法を採用することもできる。
[反応G]
反応Gは、下記式(III)で示される。反応Gにおいて、化合物7aを加水分解して化合物8aからなるRXRアゴニストを得る。加水分解するためには、アルカリ触媒の存在下で水と反応させればよい。アルカリ触媒については、反応Fにおいて用いた水酸化カリウムが化合物7aとともに含まれているので、さらに追加する必要はない。溶媒は、水でもよいが、化合物7aの溶解性を向上させるために、水-アルコールの混合溶媒であることが好ましい。用いられるアルコールとしては、炭素数が1~3のアルコールが好ましく、エタノールが特に好適である。水とアルコールの混合比率は体積比率で10/90~90/10であることが好ましい。好適な反応温度は50~100℃である。反応終了後には、アルコールを留去してから、残存するアルカリ触媒を過剰の酸で中和して酸性水溶液にすることによって、化合物8aの粗生成物を析出させる。これを再結晶することによって精製することができる。再結晶には、炭素数が1~3のアルコールと水の混合溶媒を用いることができる。なお、反応Fにおいて、反応液中に存在するアルカリの影響で、生成した化合物7aが加水分解されて化合物8aが生成することがある。このような場合には、一つの工程において、反応Fと反応Gが同時に進行していると考えられ、本発明に含まれる態様である。
Figure 2023023928000012
以上説明した、反応Aから反応Gを順次行うことによって、原料化合物である2-イソプロピルアニリン(1)から、目的化合物8a(NEt-3IB)を収率良く得ることができる。ただし、これらの反応を全て行わなければならない訳ではなく、反応C、D、E、及びFのみを行ってもよい。したがって、反応Cに用いる化合物3aを反応Aと反応Bの組み合わせ以外の方法で製造しても構わない。また、反応Fによって得られた化合物7aを用いて、化合物8a(NEt-3IB)以外の化合物の合成に用いても構わない。化合物7aのベンゼン環に置換基を導入してRXRに対する活性をコントロールした化合物を製造することもできる。
本発明の合成反応において、反応Aでは濃硫酸を溶媒として用いることが好ましい。反応B、Cでは、水及び炭素数5~7の脂環式エーテルを溶媒として用いることが好ましい。反応Dでは、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルを溶媒として用いることが好ましい。反応E及びFでは、炭素数5~7の脂環式エーテルを溶媒として用いることが好ましい。反応Gでは、水、炭素数が1~3のアルコールを溶媒として用いることが好ましい。このように、A~Gの全ての反応において、有機溶媒としては、炭素数が1~3のアルコール及び炭素数5~7の脂環式エーテルのみを用いることが好ましい。また、反応C、D、E及びFの全てを、水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させることが好ましい。さらに、B~Gの全ての反応においても、同様に水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させることが好ましい。これによって、溶媒の回収が容易になり、環境にやさしい製造プロセスを提供することができる。
これまで、医薬品合成の多くは、反応釜に原料や試薬を入れて反応させ、その後別の釜に移し、抽出やカラムクロマトグラフィーなどの精製操作を行って目的化合物を得るバッチ合成法により行われてきた。近年、バッチ合成法に代わる合成手法として連続フロー合成法が注目されている。フロー合成法は、直径数mmほどのチューブや金属に溝が彫り込まれた反応器(マイクロリアクター)などで構成される流路系にて、ポンプを用いて原料や反応剤を流し、連続的に反応、抽出、精製操作を行う合成手法である。連続フロー合成法は、このフロー合成法を連結し、原料を製造工程内に連続的に投入し、生成物を連続的に取り出す方法である。この方法は、化学反応を流路内で少量ずつ行うため、反応の暴走や爆発の危険が少ない。また、連結した流路内で反応を行うことから、不純物の混入を防ぐことが出来る。加えて、実験室レベルでの検討条件をもとに装置を重積化することで工業的大量生産への移行もシームレスに行うことができる。このことから、アメリカ食品医薬品局(FDA)も医薬品合成においてその合成手法をバッチ合成法から連続フロー合成法へ変換することを推奨している。本発明においても、連続フロー合成法への変換を検討し、以下の実施例6に記載した。
反応Cは、それ自体が新しく、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得る以外にも用いることができる。具体的には、下記式(IV)で示されるような反応を進行させることができる。
Figure 2023023928000013
すなわち、上記式(IV)に従い、化合物3及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4を得る、イソブトキシベンゼンの製造方法が提供される。
上記式(IV)中、ニトロ基はベンゼン環の3位又は4位に結合している。ここで、3位に結合するときには、イソプロピル基から見てパラ位にニトロ基が結合する。また、4位に結合するときには、水酸基又はイソブトキシ基からパラ位にニトロ基が結合する。
2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)の代わりに、2-イソプロピル-4-ニトロフェノール(3b)を用いても化合物3aと同様に反応が進行する。化合物3aの代わりに化合物3bを用いた場合には、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-3-ニトロベンゼン(4b)が得られる。反応の条件は、化合物3aを用いて化合物4aを合成するときと同様であり、前述したとおりである。最終生成物として、NEt-3IBの代わりに、アミノ基の結合位置が異なる下記式で示されるNEt-4IBを製造することができる。NEt-4IBは、RXRパーシャルアゴニストとして有用な化合物である。以上の反応における反応条件は、化合物3aを用いて化合物4aを合成するときと同様であり、前述したとおりである。
Figure 2023023928000014
また、反応Fも、それ自体が新しく、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得る以外にも用いることができる。具体的には、下記式(V)で示されるような反応を進行させることができる。
Figure 2023023928000015
すなわち、上記式(V)に従い、化合物6とハロゲン化物(ハロゲン化アルキル又はハロゲン化ベンジル)が有機溶媒に溶解した溶液中に、水酸化カリウム粒子が分散した状態で、反応を進行させて化合物7を得る、三級アミンの製造方法が提供される。
上記式(V)中、アミノ基はベンゼン環の3位又は4位に結合しており、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基である。ここで、3位に結合するときには、イソプロピル基から見てパラ位にアミノ基が結合する。また、4位に結合するときには、イソブトキシ基からパラ位にアミノ基が結合する。
化合物6aの代わりに、イソブトキシ基のパラ位にアミノ基が結合した化合物6bを用いても化合物6aと同様に反応が進行する。化合物6aの代わりに化合物6bを用いた場合には、化合物7aの代わりに、イソブトキシ基のパラ位にアミノ基が結合した化合物7bが得られる。そして、最終生成物として、NEt-3IBの代わりに、アミノ基の結合位置が異なるNEt-4IBを製造することができる。また、化合物6(6aと6bを含む)と反応させるハロゲン化エタンを、上記ハロゲン化物に拡張することによって、エチル基のみならず、Rとして置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を導入することもできる。当該置換基としてはハロゲン原子やエーテル基、アセチレン基などが例示される。具体的には、エチル基、2-メトキシエチル基、2-フッ化エチル基、シクロプロピルメチル基、2-プロピニル基などが例示され、これらの置換基を有する化合物7を、反応Gと同様に加水分解して得られる化合物が、RXRアゴニスト活性を有していることが確認されている。以上の反応における反応条件は、化合物6aを用いて化合物7aを合成するときと同様であり、前述したとおりである。
以下の実施例において用いた試薬は下記のとおりである。2-イソプロピルアニリン(1:シグマ-アルドリッチ)、硝酸カリウム(和光純薬)、濃硫酸(和光純薬)、亜硝酸ナトリウム(関東化学)、尿素(東京化成)、水酸化ナトリウム(和光純薬)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME:和光純薬)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB:東京化成)、1-ブロモ-2-メチルプロパン(シグマ-アルドリッチ)、水素ガス(中国エア・ウォーター)、エタノール(和光純薬)、p-トルエンスルホン酸一水和物(東京化成)、6-クロロニコチン酸エチル(東京化成)、ヨードエタン(東京化成)、水酸化カリウム(和光純薬)、濃塩酸(和光純薬)、2-イソプロピルフェノール(9:シグマ-アルドリッチ)、酢酸エチル(和光純薬)、硝酸(和光純薬)、塩化亜鉛(関東化学)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF:東京化成)、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP:東京化成)。
反応の進行はHPLCを用いて確認した。HPLCシステムは、LC-20ATポンプ、SPD-20A検出器、CTO-10ASカラムオーブンを含むShimadzu liquid chromatographic system(島津製作所)を使用した。データ処理にはLabsolutionソフトウェアを用いた。30μLの反応液を、ガードカラムとしてジーエルサイエンス製Intersil ODS-3(内径4.0mm、長さ10mm、粒形3μm)を装着した、ジーエルサイエンス製Inertsil ODS-3(内径4.6mm、長さ100mm、粒形5μm)カラムに注入し、移動相として、0.1質量%のギ酸を含む、メタノール/水=85/15混合液を用いた。測定温度は40℃、流速は0.7mL/分、検出波長は260nmとした。化合物の同定に際しては、HPLCのリテンションタイムを確認するとともに、必要に応じてH-NMR、13C-NMR、質量分析を併用した。
実施例1[NEt-3IBの合成(溶媒:CPME)]
RXRアゴニストであるNEt-3IB(8a)を以下の通り合成した。溶媒として、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)を用いた。合成スキームを下記の化学式に示す。
Figure 2023023928000016
[反応A:化合物2の合成]
メカニカルスターラーと温度計を装着した1Lの3頸フラスコに、濃硫酸180mLを入れ、氷浴で5℃以下にまで冷却した。冷却した濃硫酸に、2-イソプロピルアニリン(1)13.5g(100mmol)を1mL/分で添加し、250rpmで撹拌した。反応液中に析出した固体を、反応液の温度を室温まで上昇させて溶解させた後に、再度5℃以下にまで冷却した。反応液を250rpmで撹拌しながら、硝酸カリウム10.1g(100mmol)を1g/分で添加し、HPLCで確認しながら30分間反応させて、化合物1の消失を確認し、2-イソプロピル-5-ニトロアニリン(2)を含む反応液を得た。化合物2のリテンションタイムは2.64分であった。化合物2のHPLCでのエリア面積は99%であった。ここで、当該エリア面積は、HPLCでUV検出器で検出された全ピークのうち、化合物2に由来するピークの面積に割合のことをいう。したがって、消失した化合物1のほとんどが化合物2になっていることがわかる。
[反応B:化合物3aの合成]
反応Aで得られた反応液を、氷300mLを入れた2Lの4頸フラスコに加えた。反応Aで用いたフラスコを水820mLで洗浄し、得られた洗浄水を4頸フラスコに移し、5℃以下にまで冷却した後、200rpmで撹拌しつつ、400mg/分で亜硝酸ナトリウム粉末7.25g(105mmol)を添加した。亜硝酸イオンが含まれていることをヨウ化カリウムデンプン紙にて確認した。反応液に尿素750mg(12.5mmol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)400mLを加え、250rpmで撹拌しつつ内温が80℃になるまで加熱した。反応の進行をHPLCで確認した。化合物3aのリテンションタイムは3.25分であった。反応開始の1時間後に原料の消失を確認してから、反応液を室温まで空冷した。得られた反応液を分液漏斗に移し、水層を除去した。得られた有機層(CPME溶液)を、200mLの水で3回洗浄してから、減圧下で100mLになるまで濃縮し、2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)の粗生成物を含むCPME溶液を得た。化合物3aのHPLCでのエリア面積は65%であった。
[反応C:化合物4aの合成]
反応Bで得られた2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)を含む100mLのCPME溶液を入れた1Lの3頸フラスコに、水100mLと水酸化カリウム13.5g(240mmol)を加えてpH11の水溶液を得た。テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)3.22g(10mmol)を添加し、内温60℃、200rpmで2時間撹拌した。次いで、1-ブロモ-2-メチルプロパン20.6g(150mmol)を添加し、内温80℃、200rpmで撹拌した。撹拌操作中、水相と油相とは分離しており、HPLCで確認しながら8時間反応させた。化合物4aのリテンションタイムは8.29分であった。原料の消失を確認した後、空冷し、反応液を分液漏斗に移し、CPME層と水層を分離した。CPME層を100mLの水で3回洗浄した後、CPMEを減圧下で留去し、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)を粗生成物として得た。化合物4aのHPLCでのエリア面積は67%であった。
[反応D:化合物5aの合成]
反応Cで得られた2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)の粗生成物及びエタノール200mLを1Lの擦り付き三角フラスコに入れ、フラスコ内を窒素ガスで置換した。Pd/Cを1.19g(化合物4a100質量部に対して5質量部)を加え、前記窒素ガスを水素ガスで置換した後に、室温で撹拌を継続し、HPLCで確認しながら24時間反応させた。化合物5aのリテンションタイムは1.81分であった。反応終了後、フラスコ内を窒素置換したのち反応液をセライトで濾過し、エタノール100mLで洗浄した。得られた濾液に含まれる溶媒を減圧下で留去した後、CPME100mLに溶解し、1Lの3頸フラスコに移した。このCPME溶液中の3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)の量を、検量線を用いてHPLCで定量し(13.0g:68.6mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物11.5g(60.7mmol)を添加した。室温にて1時間撹拌し、3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)のp-トルエンスルホン酸塩(68.6mmol:総収率69%)を含むCPME溶液を得た。
[反応E:化合物6aの合成]
反応Dで得られたCPME溶液を入れた1Lの3頸フラスコにメカニカルスターラー、温度計、ジムロート付きディーン・スターク脱水器を装着した。このフラスコに、CPME100mLを追加し、溶液を前記脱水器で十分に脱水した。CPMEと水の共沸点は85℃である。脱水が完了すると反応液の温度は105℃まで上昇した。その後、200rpmで撹拌しつつ、6-クロロニコチン酸エチル12.7g(68.6mmol)を添加し、加熱還流させた。反応の進行をHPLCで確認しながら反応させ、28時間後に反応を終了した。化合物6aのリテンションタイムは9.29分であった。反応の終了確認後、反応液を空冷したのち反応液を分液漏斗に移し、100mLの水で3回洗浄した。得られたCPME溶液から、減圧下で溶媒を留去した後、残渣を100mLのエタノールに溶解し、再結晶により精製した。結晶析出後の溶液を用いて、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で、再度再結晶を行った。こうして析出した固体を合わせて、化合物6a(Rがエチル)を17.5g(49.1mmol:総収率49%)得た。
[反応F:化合物7aの合成]
メカニカルスターラー、温度計、ジムロート付きディーン・スターク脱水器を1Lの3頸フラスコに装着し、そこに反応Eで得られた化合物6aを17.5g(49.1mmol)とCPME200mLを加えた。溶液中の水を前記脱水器で十分に除いた後、水酸化カリウムのペレット(粒径約5mm)11.0g(196.0mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)1.58g(4.9mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、内温50℃、200rpmで1時間撹拌した。その後、ヨードエタン9.2g(58.8mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散しており、HPLCで確認しながら14時間反応させた。化合物7aのリテンションタイムは19.72分であった。化合物7aのHPLCでのエリア面積は71%であった。得られた反応液から溶媒を減圧下で留去し、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムとの混合物を得た。
[反応G:化合物8aの合成]
反応Fで用いた3頸フラスコに、エタノール50mLと水50mLを加えて、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムを溶解させた。その後、100rpmで撹拌を継続し、反応の進行をHPLCで確認しながら内温80℃で1時間反応させた。化合物8aのリテンションタイムは9.40分であった。反応終了を確認後、反応液を空冷したのち、反応液を500mLのナスフラスコに移し、エタノールを減圧下で留去した。これに濃塩酸10mLを加えてpHを4とし、析出した固体を濾別し、50mLの水で洗浄した。得られた固体を乾燥した後、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で再結晶した。得られた固体を40℃で減圧乾燥し、11.5g(32.3mmol:純度99%:総収率32%)の化合物8a(NEt-3IB)を、亜麻色の針状結晶として得た。
以上のようにして、反応Aから反応Gまでの7ステップを経て、総収率32%という高収率で高純度の目的化合物8aを得ることができた。全ステップのうち、反応EとGの後に合計2回再結晶して精製するだけでよく、作業性よく反応を進行させることができた。しかも、用いた溶媒はエタノールとCPMEのみであり、溶媒の安全性や回収性の観点からも優れている。また、非特許文献2に記載されていた従来方法に比べて、E-ファクターが1/35に減少していて、環境に対する貢献が大幅に向上した。
実施例2(反応Cの検討)
2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)と1-ブロモ-2-メチルプロパンを反応させて、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)を得る、下記の反応式で示される反応Cについて、以下検討した。
Figure 2023023928000017
Run1
2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)1.81g(10mmol)をCPME10mLに溶解させ、100mLナスフラスコに入れた。そこに水10mLと水酸化カリウム1.35g(24mmol:2.4当量)を加え、反応液のpHを11とした。テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)320mg(1.0mmol:0.1当量)を添加し、内温60℃、200rpmで1時間撹拌した。次いで、1-ブロモ-2-メチルプロパン1.63mL(15mmol)を添加し、内温85℃、200rpmで撹拌した。撹拌操作中、水相と油相とは分散しており、HPLCで確認しながら反応させたところ、8時間で原料の化合物3aが消失し、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)をHPLCのエリア面積より換算して収率95%で得た。このとき、副反応生成物のピークはほとんど観察されなかった。結果を表1にまとめて示す。
Run2
水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウム960mg(24mmol:2.4当量)を用いた以外は、Run1と同様にして反応を行った。その結果、10時間で原料の化合物3aが消失し、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)をHPLCのエリア面積より換算して収率95%で得た。このとき、副反応生成物のピークはほとんど観察されなかった。結果を表1にまとめて示す。
Run3
水酸化ナトリウムの使用量を480mg(12mmol:1.2当量)に変更した以外は、Run2と同様にして反応を行った。その結果、24時間経過後に原料の消失は認められず、化合物4aをHPLCのエリア面積より換算して収率66%で得た。結果を表1にまとめて示す。
Run4
反応を内温70℃で行なった以外は、Run3と同様にして反応を行なった。その結果、24時間経過後に原料の消失は認められず、化合物4aをHPLCのエリア面積より換算して収率52%で得た。結果を表1にまとめて示す。
Run5
TBABを使用しなかった以外は、Run4と同様にして反応を行った。その結果、24時間経過後に原料の消失は認められず、化合物4aをHPLCのエリア面積より換算して収率15%で得た。結果を表1にまとめて示す。
Run6
本例は、非特許文献2に記載された合成方法に相当するものである。2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)670mg(3.7mmol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF)4mLに溶解させ、30mLナスフラスコに入れた。そこに炭酸カリウム552mg(4mmol:1.1当量)及びヨウ化カリウム66mg(0.37mmol:0.1当量)を添加し、内温60℃、200rpmで1時間撹拌した。次いで、1-ブロモ-2-メチルプロパン563μL(6mmol)を添加し、内温70℃、200rpmで撹拌した。撹拌操作中、反応溶液は均一であり、HPLCで確認しながら反応させたところ、2時間で原料の化合物3aが消失した。反応液を水にあけ酢酸エチルによる抽出ならびにフラッシュクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)による単離精製により、623mgの化合物4a(2.63mmol:収率71%)が得られた。結果を表1にまとめて示す。
Run7
溶媒を無水CPME20mLのみとし、炭酸カリウムの使用量を614mg(4.4mmol:1.2当量)とした以外は、Run6と同様にして反応を行った。その結果、24時間経過後に化合物4aは全く得られなかった。結果を表1にまとめて示す。
Run8
炭酸カリウムの代わりに水酸化ナトリウム480mg(12mmol:1.2当量)を使用した以外は、Run7と同様にして反応を行った。その結果、24時間経過後に化合物4aは全く得られなかった。結果を表1にまとめて示す。
Figure 2023023928000018
Run1~6では、目的化合物4aが得られた。そのうち、相間移動触媒を用いたRun1~4では、相間移動触媒を用いなかったRun5よりも高収率であった。Run6では溶媒としてDMFを用いたので、未精製のままで次の反応(反応D)に進めることができなかった。また、油相のみの単相で反応を行ったRun7、8では目的化合物4aが得られなかった。
実施例3(反応Fの検討)
化合物6aとヨードエタンを反応させて化合物7aを得る、下記の反応式で示される反応Fについて、以下検討した。Rはエチル基であった。
Figure 2023023928000019
Run1
100mLナスフラスコに、化合物6a(Rがエチル)3.65g(10mmol)の無水CPME溶液20mLを入れた。水酸化カリウムのペレット(粒径約5mm)2.24g(40mmol:4当量)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)320mg(1.0mmol:0.1当量)を加え、アルゴン雰囲気下、内温60℃、100rpmで1時間撹拌した。その後、ヨードエタン965μL(12mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散しており、HPLCで確認しながら反応させたところ、6時間で原料の化合物6aが消失し、化合物7aをHPLCのエリア面積より換算して収率72%で得た。このとき、副反応生成物のピークはほとんど観察されなかった。結果を表2にまとめて示す。
Run2
30mLナスフラスコに、化合物6a(Rがエチル)365mg(1mmol)の無水CPME溶液2.5mLを入れた。水酸化カリウムのペレット(粒径約5mm)112mg(2mmol:2当量)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)32mg(0.1mmol:0.1当量)を加え、アルゴン雰囲気下、内温50℃、100rpmで1時間撹拌した。その後、ヨードエタン96.5μL(1.2mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散していた。6時間経過後に、HPLCのエリア面積から求めた化合物7aの収率は85%であり、15%の原料化合物6aが残存していた。結果を表2にまとめて示す。
Run3
水酸化カリウムペレットの代わりに水酸化ナトリウムペレット1.6g(40mmol:4当量)を用た以外は、Run1と同様にして反応を行った。このとき、水酸化ナトリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散していた。12時間経過後に、HPLCのエリア面積から反応状況を分析したところ、化合物7aの収率は32%であり、30%の原料化合物6aが残存し、化合物6aのアミノ基がエチル化されないままニコチン酸エステルが加水分解されてニコチン酸となった副生物が38%生じた。さらに反応を継続して24時間経過後に同様に分析したところ、化合物7aの収率は0%であり、原料化合物6aはすべて消失し、アミノ基がエチル化されないままニコチン酸エステルが加水分解されてニコチン酸となった副生物が40%生じ、化合物8a(NEt-3IB)が収率60%で得られた。このことから、本例では、一旦化合物7aが形成されてから、そのままそれが加水分解されて化合物8aが得られたと考えられる。すなわち、反応Fと反応Gが同時に進行したということができる。結果を表2にまとめて示す。
Run4
TBABを使用しなかった以外は、Run1と同様にして反応を行った。このとき、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散していた。12時間経過後に、HPLCのエリア面積から反応状況を分析したところ、化合物7aの収率は25%であり、54%の原料化合物6aが残存し、化合物6aのアミノ基がエチル化されないままニコチン酸エステルが加水分解されてニコチン酸となった副生物が21%生じた。さらに反応を継続して24時間経過後に同様に分析したところ、化合物7aの収率は0%であり、原料化合物6aはすべて消失し、アミノ基がエチル化されないままニコチン酸エステルが加水分解されてニコチン酸となった副生物が21%生じ、化合物8a(NEt-3IB)が収率79%で得られた。このことから、本例では、一旦化合物7aが形成されてから、そのままそれが加水分解されて化合物8aが得られたと考えられる。すなわち、反応Fと反応Gが同時に進行したということができる。結果を表2にまとめて示す。
Run5
反応温度を60℃から室温に変更した以外は、Run4と同様にして反応を行った。このとき、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散していた。その結果、24時間経過後に化合物7aは全く得られなかった。結果を表2にまとめて示す。
Run6
本例は、非特許文献2に記載された合成方法に相当するものである。30mLナスフラスコに、化合物6a(Rがエチル)135mg(0.35mmol)の無水DMF1mLを入れた。水素化ナトリウム(NaH)16mg(0.40mmol:1.1当量)を加え、アルゴン雰囲気下、室温、100rpmで10分間撹拌した。このとき、水素化ナトリウムは溶解して、反応は均一溶液であった。その後、ヨードエタン30μL(0.40mmol:1.1当量)を添加し、16時間攪拌することで、原料の消失を確認した。反応液を水にあけ酢酸エチルによる抽出により、化合物7aを含む粗生成物が得られた。この粗生成物を精製することなく、溶媒溜去後の残渣に対して、エタノール/水混合溶媒中で水酸化カリウムを触媒として80℃で加水分解し、酸性化後に得られた残渣を塩化メチレン/ヘキサンの混合溶媒より再結晶することにより、化合物8aが57mg(0.16mmol:2工程収率40%)得られた。したがって、化合物7aの収率は40%以上であったことが明らかである。結果を表2にまとめて示す。
Figure 2023023928000020
水酸化カリウムと相間移動触媒を用いたRun1、2では、副生物をほとんど生じることなく目的化合物7aが収率よく得られた。一方、水酸化ナトリウムを用いたRun3では、化合物8a(NEt-3IB)が収率よく得られたものの、副生物が生じた。また、相間移動触媒を用いなかったRun4でも、化合物8aが収率よく得られたものの、副生物が生じた。相間移動触媒を用いず室温で反応させたRun5では反応が進行しなかった。また、Run6では溶媒としてDMFを用いているため、未精製のままで次の反応(反応G)に進めることができなかった。
実施例4[NEt-3IBの合成(溶媒:MTHP)]
実施例1で用いたシクロペンチルメチルエーテルの代わりに、炭素数5~7の脂環式エーテルである4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)を用いて、以下の通りNEt-3IBの合成を行った。
[反応A:化合物2の合成]
100mLナスフラスコに濃硫酸36mLを入れ、氷浴で5℃以下にまで冷却した。冷却した濃硫酸に、2-イソプロピルアニリン(1)2.7g(20mmol)を1mL/分で添加し撹拌した。反応液中に析出した固体を溶解させた後に、硝酸カリウム2.02g(20mmol)を1g/分で添加し、30分撹拌させた。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認し、化合物1の消失を確認し、2-イソプロピル-5-ニトロアニリン(2)を含む反応液を得た。
[反応B:化合物3aの合成]
反応Aで得られた反応液を、氷100mLを入れた500mLナスフラスコに加えた。反応Aで用いたフラスコを水104mLで洗浄し、得られた洗浄水を500mLナスフラスコに移し、5℃以下にまで冷却した後、400mg/分で亜硝酸ナトリウム粉末1.45g(21mmol)を添加した。亜硝酸イオンが含まれていることをヨウ化カリウムデンプン紙にて確認した。反応液に尿素150mg(2.5mmol)と、MTHP80mLを加え、1時間撹拌しつつ加熱した。原料の消失をTLCで確認した後、反応液を室温まで空冷した。得られた反応液を分液漏斗に移し、水層を除去した。得られた有機層(MTHP溶液)を、40mLの水で3回洗浄してから、減圧下で20mLになるまで濃縮し、2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)の粗生成物を含むMTHP溶液を得た。
[反応C:化合物4aの合成]
反応Bで得られた2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)を含む20mLのMTHP溶液を入れた200mLナスフラスコに、水20mLと水酸化カリウム2.69g(48mmol)を加えてpH11の水溶液を得た。テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)645mg(10mmol)を添加し、内温60℃で30分間撹拌した。次いで、1-ブロモ-2-メチルプロパン2.88g(21mmol)を添加し、内温80℃で撹拌した。撹拌操作中、水相と油相とは分離しており、HPLCで確認しながら24時間反応させた。原料の消失をHPLCで確認した後、空冷し、反応液を分液漏斗に移し、MTHP層と水層を分離した。MTHP層を20mLの水で3回洗浄した後、MTHPを減圧下で留去し、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)を粗生成物として得た。
[反応D:化合物5aの合成]
反応Cで得られた2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)の粗生成物及びエタノール40mLを200mLナスフラスコに入れ、フラスコ内を窒素ガスで置換した。Pd/Cを237mg(化合物4a100質量部に対して5質量部)加え、フラスコ内の窒素ガスを水素ガスで置換した後に、室温で撹拌を継続し、HPLCで確認しながら15時間反応させた。反応終了後、フラスコ内を窒素置換したのち反応液をセライトで濾過し、エタノール20mLで洗浄した。得られた濾液に含まれる溶媒を減圧下で留去した後、MTHP20mLに溶解し、200mLナスフラスコに移した。このMTHP溶液中の3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)の量を、検量線を用いてHPLCで定量し(3.8g:18.4mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物3.49g(18.4mmol)を添加した。室温にて1時間撹拌し、3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)のp-トルエンスルホン酸塩(18.4mmol:総収率92%)を含むMTHP溶液を得た。
[反応E:化合物6aの合成]
反応Dで得られたMTHP溶液を入れた200mLナスフラスコにMTHP20mLを追加し、溶液を加熱還流させてジムロート付きディーン・スターク脱水器で十分に脱水した。その後、反応液を撹拌しつつ、6-クロロニコチン酸エチル3.4g(18.4mmol)を添加し、加熱還流させた。反応の進行をHPLCで確認しながら反応させ、20時間後に反応を終了した。反応の終了確認後、反応液を空冷したのち反応液を分液漏斗に移し、20mLの水で3回洗浄した。得られたMTHP溶液から、減圧下で溶媒を留去した後、残渣を10mLのエタノールに溶解し、再結晶により精製した。結晶析出後の溶液を用いて、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で、再度再結晶を行った。こうして析出した固体を合わせて、化合物6a(R1がエチル)を5.3g(14.9mmol:総収率75%)得た。
[反応F:化合物7aの合成]
反応Eで得られた化合物6aを100mLナスフラスコに入れ、そこにMTHP30mLを加えた。その溶液を加熱還流させてジムロート付きディーン・スターク脱水器で十分に脱水した。反応液を室温まで空冷した後、水酸化カリウム3.3g(59.5mmol)とTBAB479mg(1.5mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、内温50℃で30分間撹拌した。その後、ヨードエタン2.78g(17.8mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散しており、HPLCで確認しながら5時間反応させた。得られた反応液から溶媒を減圧下で留去し、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムとの混合物を得た。
[反応G:化合物8aの合成]
反応Fで用いた100mLナスフラスコに、エタノール10mLと水10mLを加えて、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムを溶解させ、内温80℃で1時間反応させた。反応終了を確認後、反応液を空冷したのち、エタノールを減圧下で留去した。これに濃塩酸2mLを加えてpHを4とし、析出した固体を濾別した。得られた固体を乾燥した後、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で再結晶した。得られた固体を40℃で減圧乾燥し、3.56g(9.98mmol:総収率50%)の化合物8a(NEt-3IB)を、亜麻色の針状結晶として得た。
実施例5[NEt-3IBの合成(溶媒:2-MeTHF)]
実施例4で用いた4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)の代わりに、炭素数5~7の脂環式エーテルである2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)を用いて、以下の通りNEt-3IBの合成を行った。
[反応A:化合物2の合成]
実施例4と同様にして、2-イソプロピル-5-ニトロアニリン(2)を含む反応液を得た。
[反応B:化合物3aの合成]
溶媒をMTHPから2-MeTHFに変更した以外は実施例4と同様にして、2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)の粗生成物を含むMTHP溶液を得た。
[反応C:化合物4aの合成]
溶媒をMTHPから2-MeTHFに変更した以外は実施例4と同様にして、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)を粗生成物として得た。
[反応D:化合物5aの合成]
反応Cで得られた2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)の粗生成物及びエタノール40mLを200mLナスフラスコに入れ、フラスコ内を窒素ガスで置換した。Pd/Cを237mg(化合物4a100質量部に対して5質量部)加え、フラスコ内の窒素ガスを水素ガスで置換した後に、室温で撹拌を継続し、HPLCで確認しながら17時間反応させた。反応終了後、フラスコ内を窒素置換したのち反応液をセライトで濾過し、エタノール20mLで洗浄した。得られた濾液に含まれる溶媒を減圧下で留去した後、2-MeTHF20mLに溶解し、200mLナスフラスコに移した。この2-MeTHF溶液中の3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)の量を、検量線を用いてHPLCで定量し(1.73g:8.36mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物1.59g(8.36mmol)を添加した。室温にて1時間撹拌し、3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)のp-トルエンスルホン酸塩(8.36mmol:総収率42%)を含む2-MeTHF溶液を得た。
[反応E:化合物6aの合成]
反応Dで得られたMTHP溶液を入れた200mLナスフラスコに2-MeTHF20mLを追加し、溶液を加熱還流させてジムロート付きディーン・スターク脱水器で十分に脱水した。その後、反応液を撹拌しつつ、6-クロロニコチン酸エチル1.55g(8.36mmol)を添加し、加熱還流させた。反応の進行をHPLCで確認しながら反応させ、26時間後に反応を終了した。反応の終了確認後、反応液を空冷したのち反応液を分液漏斗に移し、20mLの水で3回洗浄した。得られた2-MeTHF溶液から、減圧下で溶媒を留去した後、残渣を10mLのエタノールに溶解し、再結晶により精製した。結晶析出後の溶液を用いて、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で、再度再結晶を行った。こうして析出した固体を合わせて、化合物6a(R1がエチル)を1.69g(4.63mmol:総収率23%)得た。
[反応F:化合物7aの合成]
反応Eで得られた化合物6aを100mLナスフラスコに入れ、そこに2-MeTHF30mLを加えた。その溶液を加熱還流させてジムロート付きディーン・スターク脱水器で十分に脱水した。反応液を室温まで空冷した後、水酸化カリウム1.0g(18.5mmol)とTBAB148mg(0.46mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、内温50℃で30分間撹拌した。その後、ヨードエタン866mg(5.56mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散しており、HPLCで確認しながら24時間反応させた。得られた反応液から溶媒を減圧下で留去し、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムとの混合物を得た。
[反応G:化合物8aの合成]
反応Fで用いた100mLナスフラスコに、エタノール10mLと水10mLを加えて、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムを溶解させ、内温80℃で1時間反応させた。反応終了を確認後、反応液を空冷したのち、エタノールを減圧下で留去した。これに濃塩酸2mLを加えてpHを4とし、析出した固体を濾別した。得られた固体を乾燥した後、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で再結晶した。得られた固体を40℃で減圧乾燥し、509mg(1.43mmol:総収率7%)の化合物8a(NEt-3IB)を、亜麻色の針状結晶として得た。
実施例6[連続フロー合成法を目指したNEt-3IBの合成]
上記実施例1、4、5では、バッチ合成法によってNEt-3IBを合成した。本実施例では、連続フロー合成法を目指して、その要素技術を部分的に取り込んだ合成方法を行った。
[反応A:化合物2の合成]
500mLナスフラスコに濃硫酸66mLを入れ、当該フラスコを氷浴上で冷却しながら、濃硫酸を撹拌した。そこに2-イソプロピルアニリン(1)14.9g(100mmol)を加え、析出した固体を室温で溶解させた。硝酸カリウム11.1g(110mmol)をシリンジ(Henke Sass Wolf、Norm-Ject、10mL)に充填し、氷浴上にて化合物1の濃硫酸溶液に、シリンジポンプ(YMC、YSP-101)を用いて0.5mL/分で添加した。硝酸カリウムの全量を添加した後、HPLCで確認しながら10分間反応させて、化合物1の消失を確認し、2-イソプロピル-5-ニトロアニリン(2)を含む反応液を得た。
[反応B:化合物3aの合成]
ダイアフラムポンプ(TACMINA、Q-100-VE-P-S)を用いて、濃硫酸と水をそれぞれ、Y字型2流系マイクロリアクター(Makengineering、OKMR36A-100020-G5G5-6161)に充填した。2-イソプロピル-5-ニトロアニリン(2)の濃硫酸溶液を濃硫酸が充填された流路(P1、1.0mL/分)に、亜硝酸ナトリウム水溶液を水が充填された流路(P2、5.67mL/分)に、Yジョイントを介して連結させた。マイクロリアクター内で混合されたこれらの溶液をPFAチューブ(長さ80cm、内径2.17mm、外径3.17mm)に流しながら5℃以下に冷却した。尿素(0.33M)を流速0.67mL/分でPFAチューブに流し入れ、さらに40cmPFAチューブ内を流した。混合液を90℃に熱したシクロペンチルメチルエーテル(CPME)440mL、15%希硫酸440mLの入った1L3頸フラスコに滴下し、1.5時間撹拌した。HPLCで化合物2の消失を確認し、室温まで空冷した。1L3頸フラスコ中の希硫酸層を40mL/分で除去し、ミキサーセトラー(Makengineering、SEPA0001)を用いてCPME層を水で3回洗浄した。減圧下にてCPMEを100mLになるまで留去し、2-イソプロピル-5-ニトロフェノール(3a)の粗生成物を含むCPME溶液を得た。
[反応C:化合物4aの合成]
反応Bで得られた化合物3aのCPME溶液に、水酸化ナトリウム(9.6g、240mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、3.22g、10mmol)を溶解させた水溶液100mLを、チューブポンプ(IWAKI、PST-100)を用いて加え、混合液を60℃で30分間撹拌した。当該混合液に、1-ブロモ-2-メチルプロパン(20.6g、150mmol)を、チューブポンプ(IWAKI、PST-100)を用いて加え、100℃で10時間撹拌した。HPLCで化合物3の消失を確認し、室温まで空冷した。水層を40mL/分で除去し、ミキサーセトラー(Makengineering、SEPA0001)を用いてCPME層を水で3回洗浄した。減圧下にてCPMEを留去し、2-イソブトキシ-1-イソプロピル-4-ニトロベンゼン(4a)を粗生成物として得た。
[反応D:化合物5aの合成]
反応Cで得られた化合物4aの粗生成物に対して、チューブポンプ(IWAKI、PST-100)を用いてエタノール100mLを加え、溶解させた。Pd/Cを1.19g(化合物4a100質量部に対して5質量部)入れたメディウム瓶内部を窒素ガスで置換してから、化合物4aのエタノール溶液を、チューブポンプを用いて当該メディウム瓶に流し入れた。メディウム瓶内部の窒素ガスを水素ガスで置換した後に、室温で撹拌を継続し、HPLCで確認しながら7時間反応させた。反応終了後、ボトルフィルター(ISIS、PTEF、直径26mm)で濾過し、濾液は1L3頸フラスコに流し入れた。得られた濾液に含まれる溶媒を減圧下で留去した後、エタノールに溶解し、このエタノール溶液中の3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)の量を、検量線を用いてHPLCで定量し(15.3g:73.8mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物14.0g(73.8mmol)を添加した。室温にて1時間撹拌しつつ、減圧下で溶媒を留去し3-イソブトキシ-4-イソプロピルアニリン(5a)のp-トルエンスルホン酸塩(73.8mmol:総収率74%)を粗生成物として得た。
[反応E:化合物6aの合成]
反応Dで得られた化合物5aの粗生成物を入れた1Lの3頸フラスコにメカニカルスターラー、温度計、ジムロート付きディーン・スターク脱水器を装着した。このフラスコに、チューブポンプ(IWAKI、PST-100)を用いてCPME200mLを加えて加熱還流させ、前記脱水器で溶液を十分に脱水した。その後、撹拌しつつ、6-クロロニコチン酸エチル13.7g(73.8mmol)を添加し、加熱還流させた。反応の進行をHPLCで確認しながら反応させ、22時間後に反応を終了した。反応の終了確認後、反応液を空冷したのち反応液をミキサーセトラー(Makengineering、SEPA0001)を用いて水で3回洗浄した。得られたCPME溶液を500mLメディウム瓶に流し入れ、減圧下で溶媒を留去した後、残渣を40mLのエタノールに溶解し、再結晶により精製した。濾液をボトルフィルター(ISIS、PTEF、直径26mm)で除去し、残渣をエタノール10mLで2回洗浄し、化合物6a(Rがエチル)を18.0g(50.5mmol:総収率51%)得た。
[反応F:化合物7aの合成]
メカニカルスターラー、温度計、ジムロート付きディーン・スターク脱水器を500mLメディウム瓶に装着し、そこに反応Eで得られた化合物6aを18.0g(50.5mmol)とCPME100mLを加えた。得られたCPME溶液を加熱還流させて、当該溶液中の水を前記脱水器で十分に除いた後、水酸化カリウムのペレット(粒径約5mm)11.3g(202mmol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)1.63g(5.1mmol)を加え、内温60℃で1時間撹拌した。その後、ヨードエタン9.45g(60.6mmol)をチューブで流し入れ、アルゴン雰囲気下、内温60℃で撹拌した。撹拌操作中、水酸化カリウムのペレットは元の大きさのままで反応溶液中に分散しており、HPLCで確認しながら12時間反応させた。得られた反応液から溶媒を減圧下で留去し、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムとの混合物を得た。
[反応G:化合物8aの合成]
反応Fで用いたメディウム瓶に、エタノール100mLと水100mLを加えて、化合物7aの粗生成物と水酸化カリウムを溶解させた。その後、100rpmで撹拌を継続し、反応の進行をHPLCで確認しながら外温120℃で30分間反応させた。反応終了を確認後、反応液を空冷したのち、エタノールを減圧下で留去した。これに塩酸水溶液をチューブポンプで流し入れpHを4とし、析出した固体をボトルフィルター(ISIS、PTEF、直径26mm)で濾別した。得られた固体を乾燥した後、エタノール70質量%と水30質量%を含む溶液中で再結晶した。得られた固体を再度ボトルフィルター(ISIS、PTEF、直径26mm)で濾取し、40℃で減圧乾燥し、13.8g(38.8mmol:純度99%:総収率39%)の化合物8a(NEt-3IB)を、亜麻色の針状結晶として得た。
以上のように、連続フロー合成法で用いられる要素技術を組み込んだ合成方法において、反応Aから反応Gまでの7ステップを経て、総収率39%という高収率で目的化合物8aを得ることができた。このことから、7工程の多段階バッチ合成法を、連続フロー合成法に変換できる可能性を示すことができた。
実施例7(NEt-4IB中間体の合成)
RXRアゴニストであるNEt-4IBの中間体である2-イソブトキシ-1-イソプロピル-3-ニトロベンゼン(4b)を合成した。合成スキームは以下のとおりである。
Figure 2023023928000021
[反応H:化合物3bの合成]
100mLナスフラスコに、2-イソプロピルフェノール(9)673μL(5mmol)と酢酸エチル10mLを入れて溶解させてから、氷浴で5℃以下まで冷却した。得られた混合物に塩化亜鉛682mg(5mmol)を加えて、器具洗浄用超音波洗浄器を用いて超音波下で硝酸を347μL加えたのちに、3時間室温で攪拌した。得られた反応液を50mLの水で2回、50mLのブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。引き続き、減圧下で溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/6)で精製して2-イソプロピル-4-ニトロフェノール(3b)406mg(2.24mmol:収率45%)を得た。
[反応C:化合物4bの合成]
2-イソプロピル-4-ニトロフェノール(3b)406mg(2.24mmol)、CPME2.5mL及び水2.5mLを、100mLのナスフラスコに入れた。そこに水酸化ナトリウム215mg(5.38mmol)及びテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)72mg(0.22mmol)を添加し、外温60℃で30分間撹拌した。次いで室温まで空冷してから、1-ブロモ-2-メチルプロパン460mg(3.36mmol)を添加し、24時間加熱還流させたところ、HPLCのエリア面積から求めた2-イソブトキシ-1-イソプロピル-3-ニトロベンゼン(4b)の収率は収率69%であった。化合物4bを中間体として、RXRアゴニストのNEt-4IBを合成することができる。

Claims (17)

  1. 下記式(I)に従い、化合物3aを原料として、反応C、D、E及びFをこの順に行う、レチノイドX受容体アゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
    反応Cにおいて、化合物3a及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4aを得て;
    反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
    反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
    反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得る、中間体の製造方法。
    Figure 2023023928000022
    [式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
  2. 反応Cにおいて、前記油相と前記水相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させる、請求項1に記載の中間体の製造方法。
  3. 下記式(I)に従い、化合物3aを原料として反応C、D、E及びFをこの順に行う、RXRアゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
    反応Cにおいて、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得て;
    反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
    反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
    反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンが有機溶媒に溶解した溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、反応を進行させて化合物7aを得る、中間体の製造方法。
    Figure 2023023928000023
    [式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
  4. 反応Fにおいて、前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項3に記載の中間体の製造方法。
  5. 反応Fにおいて、前記溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させる、請求項3又は4に記載の中間体の製造方法。
  6. 前記相間移動触媒が、アルキルアンモニウムハライドである請求項2又は5に記載の中間体の製造方法。
  7. 前記有機溶媒が、炭素数5~7の脂環式エーテルである請求項1~6のいずれかに記載の中間体の製造方法。
  8. 反応C、D、E及びFの全てを、水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させる、請求項7に記載の中間体の製造方法。
  9. 下記式(I)に従い、化合物3aを原料として反応C、D、E及びFをこの順に行う、RXRアゴニストの中間体である化合物7aの製造方法であって;
    反応Cにおいて、化合物3aと1-ハロゲノ-2-メチルプロパンを反応させて化合物4aを得て;
    反応Dにおいて、化合物4aに水素添加して化合物5aを得て;
    反応Eにおいて、化合物5aと6-ハロゲノニコチン酸のアルキルエステル又はベンジルエステルとを反応させて化合物6aを得て;
    反応Fにおいて、化合物6aとハロゲン化エタンを反応させて化合物7aを得るに際し、
    反応C、D、E及びFの全てを、水、炭素数が1~3のアルコール、及び炭素数5~7の脂環式エーテルからなる群から選択される溶媒のみを用いて進行させる、中間体の製造方法。
    Figure 2023023928000024
    [式(I)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。化合物5aはアンモニウム塩であってもよい。]
  10. 反応C、D、E及びFを、バッチ合成法及び/又は連続フロー合成法によって行う、請求項1~9のいずれかに記載の中間体の製造方法。
  11. 下記式(II)に従い、化合物1をニトロ化して化合物2を得る反応A、及び化合物2のアミノ基を水酸基に変換して化合物3aを得る反応Bをこの順に行って得られた化合物3aを用いて反応Cを行う、請求項1~10のいずれかに記載の中間体の製造方法。
    Figure 2023023928000025
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の方法で製造された化合物7aを、下記式(III)に従って加水分解して化合物8aからなるRXRアゴニストを得る、RXRアゴニストの製造方法。
    Figure 2023023928000026
    [式(III)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基である。]
  13. 下記式(IV)に従い、化合物3及び1-ハロゲノ-2-メチルプロパンが有機溶媒に溶解した溶液の油相と、アルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液の水相とが分離した状態で、反応を進行させて化合物4を得る、イソブトキシベンゼンの製造方法。
    Figure 2023023928000027
    [式(IV)中、ニトロ基はベンゼン環の3位又は4位に結合している。]
  14. 前記油相と前記水相とが分離した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させる、請求項13に記載のイソブトキシベンゼンの製造方法。
  15. 下記式(V)に従い、化合物6とハロゲン化物が有機溶媒に溶解した溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、反応を進行させて化合物7を得る、三級アミンの製造方法。
    Figure 2023023928000028
    [式(V)中、アミノ基はベンゼン環の3位又は4位に結合しており、Rは炭素数1~6のアルキル基又はベンジル基であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基である。]
  16. 前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項15に記載の三級アミンの製造方法。
  17. 前記溶液中に、アルカリ金属水酸化物の粒子が分散した状態で、相間移動触媒の存在下に反応を進行させる、請求項15又は16に記載の三級アミンの製造方法。

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