JP5367201B2 - 分子化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、固体ホスト化合物と、固体又は液体ゲスト化合物から得られる分子化合物を製造する方法に関する。
従来から、二種以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した分子化合物の一つとして知られる包接化合物は、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離する性質を有することから、近年、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
包接化合物として種々のものが報告されているが(特開昭61−53201号公報、特開昭62−22701号公報、特開平6−166646号公報等)、包接化合物を含む分子化合物の機能は、個々の成分化合物がどのように集合するかによって決まるため、分子化合物を製造する上では集合形態の制御が極めて重要となる。
従来、種々の安定した特性を有する包接化合物を得る製造方法としては、ホスト化合物及びゲスト化合物を溶媒のうち少なくとも一方が溶解する溶液中で反応させる方法が行われていた。
しかしながら、使用する溶媒の種類によっては分子化合物を生成しない場合があり、また、ゲスト分子を包接せず溶媒のみを包接した化合物や、ゲスト分子を包接するもののその一部に溶媒を含む化合物が得られることが多く、目的とする機能を有する分子の集合形態を備えた化合物を得るための条件の選択が困難であった。
発明が解決しようとする課題
本発明の課題は、包接化合物の製造にあたり、溶媒として固体ホスト化合物及びゲスト化合物に対して溶解度が高いものを使用しなくても、安定性に優れた包接化合物を得ることができる製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、ホスト化合物及びゲスト化合物に対して溶解度の低い貧溶媒を使用して、更にホスト化合物をあらかじめ粉砕し、好ましくは所定温度以上に保持することにより、溶解度の高い溶媒を使用したときに得られる目的の集合形態を備えた包接化合物を製造することができることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)平均粒径を1.6μm以下にあらかじめ粉砕した固体ホスト化合物と、固体又は液体ゲスト化合物とを、固体ホスト化合物及び固体又は液体ゲスト化合物の貧溶媒中に分散させて調製することを特徴とする分子化合物の製造方法に関する。
また、本発明は、(2)粒径を4.0μm以下にあらかじめ粉砕した固体ホスト化合物と、固体又は液体ゲスト化合物とを、固体ホスト化合物及び固体又は液体ゲスト化合物の貧溶媒中に分散させて調製することを特徴とする分子化合物の製造方法に関する。また、本発明は、(3)固体ホスト化合物と、固体又は液体ゲスト化合物とを、固体ホスト化合物及び固体又は液体ゲスト化合物の貧溶媒中に分散させて調製する分子化合物の製造方法であって、固体ホスト化合物の80重量%以上の粒径を2.0μm以下にあらかじめ粉砕することを特徴とする分子化合物の製造方法に関する。
本発明は、好ましくは、(4)固体ホスト化合物の粉砕が気流粉砕によることを特徴とする上記(1)(3)記載のいずれか記載の分子化合物の製造方法、(5)固体ホスト化合物の気流粉砕がウルマックス粉砕機によることを特徴とする上記(1)(4)のいずれか記載の分子化合物の製造方法、(6)50℃以上で且つゲスト化合物の放出温度以下の温度に保持することを特徴とする上記(1)(5)のいずれかに記載の分子化合物の製造方法、(7)貧溶媒が水であることを特徴とする上記(1)(6)のいずれか記載の分子化合物の製造方法、(8)固体ホスト化合物が、1,1,2,2―テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンであることを特徴とする上記(1)(7)のいずれかに記載の分子化合物の製造方法、(9)ゲスト化合物が、2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする上記(1)(8)のいずれかに記載の分子化合物の製造方法に関する。
本発明の分子化合物の製造方法としては、固体ホスト化合物として、平均粒径を1.6μm以下にあらかじめ粉砕したもの、あるいは粒径を4.0μm以下にあらかじめ粉砕したもの、又は、80重量%以上の粒径を2.0μm以下にあらかじめ粉砕したものを用い、固体又は液体ゲスト化合物と共に、固体ホスト化合物及び固体又は液体ゲスト化合物の貧溶媒中に分散させて調製するものであれば特に制限されるものではない。ここで、分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の二種以上の成分化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物をいい、水化物、溶媒化物、付加物、包接化合物等が含まれる。また、上記包接化合物とは、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部に適当な大きさの空孔があり、その中に他の原子又は分子が非共有結合的な相互作用により一定の組成比で入り込んだ物質をいう。かかる分子化合物は、ホスト化合物とゲスト化合物を混合することによって得られ、有用物質であるゲスト化合物の選択分離、ゲスト化合物の化学的安定化、不揮発化及び粉末化を可能とする機能を有している点で有用な物質である。また、本発明の分子化合物には、二種類以上のゲスト化合物を反応させることにより得られる、三成分以上の多成分からなる分子化合物も含まれる。さらに、分子化合物の結晶性は主にX線回折パターンを調べることにより確認することができ、また同一組成の分子化合物における結晶多形の存在は熱分析、X線回折パターン、固体NMR等により確認することができる。
本発明で使用される固体ホスト化合物としては、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部の空孔に、他の原子又は分子を一定の組成で取り込んで、特定の構造を構築できる化合物であれば特に制限されるものでなく、具体的に、テトラキスフェノ−ル類、1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、1,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,6−ジフェニルヘキサン−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ハイドロキノン、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、1,1′−ビ−2−ナフトール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1,6,6−テトラ(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラキス(シクロヘキシル)−(1,1′−ビフェニル)−2−2′−ジカルボキシアミド、4,4′−スルホニルビスフェノール、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(4−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)、デオキシコール酸、コール酸、α,α,α′,α′−テトラフェニル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジメタノール、t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、顆粒状コーンスターチ、1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン、3,3′−ビスフェニルスルフォニル−4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフォン、トリ−o−チモチドを例示することができる。
テトラキスフェノ−ル類としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下「TEP」という)、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン等テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を具体的に例示することができるが、TEPが実用上特に好ましい。
また、テトラキスフェノール類として、テトラキス(ヒドロキシフェニル)キシレンもまた好適に用いられる。
テトラキス(ヒドロキシフェニル)キシレンの具体的な例としては、α,α,α′,α′−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−エタン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]−p−キシレンを例示することができる。
本発明に使用される固体又は液体のゲスト化合物としては、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部の空孔に、一定の組成で取り込まれ、特定の構造を構築できる化合物であれば特に制限されるものではなく、ホスト化合物として水酸基を持つ場合、その組合せにおいて、水素結合性の官能基を持つ化合物が好ましく、水酸基を持つホスト化合物に対してプロトンドナー及び/又はプロトンアクセプターとして作用し、且つ、ホスト化合物と水素結合によって分子化合物を形成し得るものを選択して用いることができる。かかるゲスト化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、α−ブロムシンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン等のケトン類を具体的に例示することができる。
また、ゲスト化合物として、アセトニトリル、アクリロニトリル、n−ブチロニトリル、マロノニトリル、フェニルアセトニトリル、ベンゾニトリル、シアノピリジン、2,2−ジブロモメチルグルタルニトリル、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、トリオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−ヘプチルアセテート、ビス−1,4−ブロモアセトキシ−2−ブテン等のエステル類、ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジシアンジアミド、ジブロムニトリルプロピオンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、N,N−ジエチル−m−トルアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ε−カプロラクタム等のラクタム類、ε−カプロラクトン等のラクトン類、アリールグリシジルエーテル等のオキシラン類、モルホリン類、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−クロロ−m−クレゾール等のフェノール類を具体的に例示することができる。
ゲスト化合物として、また、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等のカルボン酸類及びチオカルボン酸類、スルファミン酸類、チオカルバミン酸類、チオセミカルバジド類、尿素、フェニル尿素、ジフェニル尿素、チオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素等の尿素及びチオ尿素類、イソチオ尿素類、スルホニル尿素類、チオフェノール、アリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール類、ベンジルスルフィド、ブチルメチルスルフィド等のスルフィド類、ジブチルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、フェニルスルホン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、ヘキサブロモジメチルスルホン、ジヨードメチルパラトリルスルホン等のスルホン類、チオシアン酸メチルエステル、イソチオシアン酸メチルエステル等のチオシアン酸類及びイソチオシアン酸類を具体的に例示することができる。
ゲスト化合物として、また、グリシン、アラニン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン等のアミノ酸類、アミド及びウレタン化合物類、酸無水物類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルカン類、アルケン類、アルキン類、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のイソシアネート類、メチレンビスチオシアネート、メチレンビスイソチオシアネート等のチオシアネート類及びイソチオシアネート類、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン等のニトロ化合物類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アルキル−t−モノアミン、1,8−p−メンタンジアミン、イソホロンジアミン、グアニジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール等の非環式脂肪族アミン類を具体的に例示することができる。
ゲスト化合物として、また、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピロリジン類、アゼチジン類、ピペリジン類、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン等のピペラジン類、ピロリン類等の環式脂肪族アミン類、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン等の架橋型アミン類、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キレンジアミン等の芳香族アミン類、エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン等の変性ポリアミン類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類を具体的に例示することができる。
ゲスト化合物として、また、ピロール、ピリジン、ピコリン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアジン、テトラゾール、プリン、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、ベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノキサリン、フタルイミド、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、N−メチルピロリドン、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド等の含窒素複素環化合物、フラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアミン、ピラン、クマリン、ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾジオキサン等の含酸素複素環化合物、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、5−メチルオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,4′−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン等の含窒素及び酸素複素環化合物を具体的に例示することができる。
さらに、ゲスト化合物として、チオフェン、3,3,4,4−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等の含硫黄複素環化合物、チアゾール、ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール等の含窒素及び硫黄複素環化合物、コレステロール等のステロイド類、ブルシン、キニン、テオフィリン等のアルカロイド類、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、メントン、オイゲノール、リナロール、ジメチルオクタノール等の天然精油類、キンモクセイ、ジャスミン、レモン等の合成香料類、アスコルビン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミン及び関連化合物等を具体的に例示することができる。
本発明において用いられる反応溶媒としては、貧溶媒であれば特に制限されるものではなく、貧溶媒としては、ホスト化合物、ゲスト化合物の室温におけるそれぞれの溶解度が1g/100ml以下の溶媒を挙げることができ、具体的には水を例示することができる。
貧溶媒の適用量は、反応に関与するホスト化合物と、ゲスト化合物や、製造する分子化合物によって任意に選択することができ、固体ホスト化合物とゲスト化合物が充分に分散する量であれば、特に制限されるものでなく、好ましくは固体ホスト化合物の濃度が10〜50重量%の範囲が好ましい。貧溶媒の共存下で分子化合物を調製した場合、生成する分子化合物の貧溶媒含量を1重量%以下とすることがその安定性上、特に好ましいが、貧溶媒の使用量がかかる範囲であれば、得られる分子化合物の貧溶媒含量が1重量%を多少超えても安定性に優れた分子化合物を得ることができる。
上記溶媒中において、ホスト化合物としては、あらかじめ粉砕されたものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、平均粒径が1.6μm以下、好ましくは1.1μm以下であるホスト化合物を例示することができ、粒径が4.0μm以下、好ましくは3.7μm以下であるホスト化合物を例示することができ、その80重量%以上の粒径が2.0μm以下、好ましくは1.8μm以下であるホスト化合物を例示することができる。このような粒径を有する固体ホスト化合物を用いた場合、生成する分子化合物の安定性を高めることができ、例えば、メタノール反応溶媒下、未粉砕のホスト化合物を用いて製造した場合に得られる分子化合物と同様な構成比を有する安定した分子化合物を得ることができる。
ホスト化合物の粉砕は気流粉砕によることが望ましく、具体的にはウルマックス粉砕機を用いて粉砕することができる。
ウルマックス粉砕機は、高圧ガス、高圧空気等の圧縮性ガスを特殊なノズルより噴射して得られる超音速ジェット気流中に個体粒子を巻き込み、数μ又はそれ以下の超微粉を汚染することなく粉砕するものである。かかるウルマックス粉砕機によれば、高圧ガスがノズルより噴出する際、断熱膨張し温度が低下することから、粉砕による発熱が少なく、低融点物質の粉砕も可能となる。このようなウルマックス粉砕機により粉砕されたホスト化合物を適用すると、安定性が向上された分子化合物を得ることができる。
反応温度範囲としてはこれら反応溶媒中において、室温以上、ゲスト化合物の放出温度以下の範囲であればよく、好ましくは50℃以上の範囲であることが好ましい。温度範囲の上限であるゲスト化合物の放出温度(リリース温度)は、分子化合物の種類によって異なるが、例えば、TEPと2−エチル−4−メチルイミダゾールからなる分子化合物の場合は180〜200℃の範囲である。この範囲の温度範囲により調製された分子化合物は、その安定性を高めることができる。例えば、後述するように、ゲスト化合物として樹脂硬化触媒活性を有する物質として製造された分子化合物を熱硬化型塗料等に添加する場合、ゲスト化合物を直接使用する場合に比べて、樹脂硬化触媒活性の発現を適切にコントロールすることができ、粉末塗料等における可使時間を大幅に延長することができる。
上記の方法により得られる分子化合物は、単独で安定に存在し、分子化合物を構成する二つの成分化合物の間の結合は水素結合であって、簡単な操作によって容易にもとの両成分に解離する。通常は、結晶性固体であるが、アモルファス或いは液体の場合もある。また、結晶多形をとることもあるが、これらの形態に係わりなく、本発明の製造方法を適用することができる。
更に本発明の製造方法によって得られる分子化合物は、ホスト化合物とゲスト化合物との結合状態が改善され、分子化合物からのゲスト化合物の放出を適切にコントロールすることができる分子化合物である。
上記製造方法により製造された分子化合物は、例えば、樹脂硬化速度を制御する物質として好適に適用することができる。ゲスト化合物を樹脂硬化触媒活性を有する物質で調製し、加熱等の所定の条件が加えられた場合にホスト化合物との結合を切ってゲスト化合物を放出する分子化合物は、エポキシ塗料等の熱硬化型塗料等に好適に適用することができる。既存のエポキシ塗料等の熱硬化型塗料は、樹脂硬化触媒の存在下でエポキシオリゴマーを硬化させて塗膜が形成されるものであり、例えば、硬化触媒性能に優れる2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)が樹脂硬化促進剤として利用されているが、保存中に樹脂の硬化が進んで粘度の上昇がみられると、塗料としての使用が困難になり、また、使用困難に至らなくとも使用可能な時間(可使時間)が短くなってしまうため、あらかじめ触媒と樹脂が混合されている1液タイプとしては適用されてはおらず、使用直前に触媒と樹脂を混合する2液タイプとしてのみ適用されており、1液タイプと比較して作業性が悪いという欠点があった。これらのことから、樹脂硬化触媒活性を有する2E4MZをゲスト化合物として製造された分子化合物は、エポキシオリゴマーと共存し1液タイプとしてエポキシ塗料等の熱硬化型塗料を作製することができ、これらの熱硬化型塗料の可使時間を長くすることができ、保存中に塗料の粘度を上昇させることがない。また、分子化合物は特定の温度に加熱されるとゲスト化合物を放出するものであり、上記方法により得られたゲスト化合物の放出開始温度(1段目のリリース温度)は、195℃前後であり、熱硬化型塗料に適用され、塗装に際して加温等により放出されるゲスト化合物の触媒作用により、熱硬化型塗料を速やかに硬化できる優れた性能を有するものとすることができる。
本発明の分子化合物の使用形態は特に制限はなく、例えばそれぞれ異なる成分化合物で構成された二種類以上の分子化合物を混合して使用することができる。また、本発明の分子化合物は目的とする機能を損なわない限り、他の物質を併用して使うことができる。本発明の分子化合物に賦形剤等を与え、顆粒や錠剤を成形して使用することもできる。更に、樹脂、塗料、並びにそれらの原料や原料組成物中に添加して使用することもできる。その他、本発明の分子化合物を、そのまま有機合成の原料として使用したり、特異的な反応場として使用することもできる。
例えば、3,3′−ビス(フェニルスルホニル)−4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホンをホスト化合物として、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系殺菌剤、ヒノキチオール、1,8−シネオール等の抗菌・殺虫・防虫剤、ローズマリー等の香料、イソチアゾロン系化合物等の防汚剤、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の樹脂用硬化剤及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のエポキシ樹脂用硬化促進剤などの触媒又はトルエン、キシレン、ピリジン等の有機溶媒をゲストとした包接化合物は、ゲスト化合物が本来有する作用の他に、徐放性、皮膚刺激性の軽減、化学的安定化、不揮発化、粉末化、有用物質の選択分離等の機能が新たに付与され、新しい特性を有する殺菌剤、抗菌剤、殺虫・防虫剤、香料、防汚剤、樹脂用硬化剤等の触媒、有機溶媒として極めて有用である。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[分子化合物の製造]
実施例1
ウルマックス粉砕装置(日曹エンジニアリング社製「ウルマックス気流粉砕機」)により1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(TEP)(旭有機材工業製)の気流粉砕を行った。気流粉砕後のTEPの粒度分布及び未粉砕のTEPの粒度分布をそれぞれ表1に示す。
500ml−ビーカーに水250mlと、粉砕したTEP30g(0.074モル)とを仕込み、50℃に加温し、撹拌しながら、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)(四国化成工業製)17.40g(0.155モル)を一度に添加した。その後、50℃を維持し、3時間継続してモータの回転数を500rpmとして攪拌した。ろ過後、得られた固体を70℃オーブンで15時間乾燥した。乾燥後、得られた固体に対し、粉末X線回折測定を行い、結晶性を確認した。また、反応生成物における熱的挙動をTG−DTA測定により観察したところ、194℃〜221℃の範囲で重量減少が見られた。結果を表2に示す。この重量減少はゲスト化合物の放出によるものと判断でき、リリース温度の上昇が確認された。また、得られた個体の2E4MZ量をHPLC法で測定し、また、水分量をカールフィッシャー水分計MKS−510(京都電子工業(株)製)で測定した。結果を表2に示す。実施例1で得られた分子化合物の粉末X線回折パターンを、図1に、熱分析(TG−DTA)チャートを、図2に示す。
実施例2〜4
モータの回転数の500rpmを250rpmに変更した以外は、実施例1と同様に分子化合物の調製を行った(実施例2)。50℃の加温を30℃の加温に変更した以外は、実施例1と同様に分子化合物の調製を行った(実施例3)。また、30℃に加温し、2E4MZを28分間で添加し、その他は実施例1と同様に反応を行った(実施例4)。得られた固体に対し、実施例と同様に粉末X線回折測定を行い、結晶性を確認した。反応生成物における熱的挙動をTG−DTA測定により観察したところ、197℃(実施例2)、191℃(実施例3)、187℃(実施例4)になって重量減少が見られ、ゲスト化合物のリリース温度範囲の上昇が確認された。得られた個体の2E4MZ量をHPLC法で測定し、また、水分量をカールフィッシャー水分計MKS−510(京都電子工業(株)製)で測定した。結果を表2に示す。
[エポキシ樹脂に対する触媒特性]
実施例1〜4において得られた個体を、エポキシ樹脂硬化触媒として適用した場合の特性試験として、可使時間の測定及び硬化温度の測定を行った。
▲1▼ 可使時間
エポキシオリゴマーとして、アデカレジンEP4100E(旭電化工業(株)製)を用いた。マヨネーズ瓶M−140に未硬化エポキシ樹脂100gをとり、予め35℃に設定した恒温水槽に1時間浸した。これに2E4MZが3wt%になるように、実施例1、2において調製した分子化合物を加え、5分間よく混合し、恒温水槽に浸した状態で粘度を測定し、初期粘度が2倍になる時間を可使時間とした。結果を表2に示す。恒温水槽は、トーマス科学器械製の循環式恒温水槽、TRL−40SPを、粘度計として、東京計器(株)製B型粘度計をそれぞれ用いた。
▲2▼ 樹脂硬化温度
マヨネーズ瓶、M−70に20gの未硬化エポキシ樹脂(アデカレジンEP4100E(旭電化工業(株)製)を量り取り、2E4MZが3wt%になるように実施例1、2で得られた分子化合物を加え、5分間よく混合し、その混合物についてDSCを測定した。DSCは、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製「DSC 220C」)を用い、使用サンプル量:3〜4mg、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:20℃/min、測定雰囲気:N2(30ml/min)流下アルミニウム製シールパンの条件下で測定した。実施例1で得られた分子化合物のDSCチャートを、図3に示す。
比較例1、2
比較例として、ウルマックス未粉砕のTEPを使用した他は実施例1と同様に反応を行った(比較例1)。ウルマックス未粉砕のTEPを使用し、30℃に加温し、その他は実施例1と同様に反応を行った(比較例2)。得られた固体に対し、実施例と同様に粉末X線回折測定を行い、反応生成物における熱的挙動をTG−DTA測定により観察した。粉末X線回折測定よりホスト化合物と、ゲスト化合物の構成比は実施例とは異なるものであることが認められ、TG−DTA測定による観察により、187℃(比較例1)、181℃(比較例2)に達する以前に重量減少が見られ、ゲスト化合物のリリース温度範囲は低い範囲からみられた。比較例1の粉末X線回折パターンを、図4に、熱分析(TG−DTA)チャートを、図5に示す。
実施例と同様に、得られた個体の2E4MZ量をHPLC法で測定し、また、水分量をカールフィッシャー水分計MKS−510(京都電子工業(株)製)で測定した。結果を表2に示す。
更に、得られた個体について、実施例と同様にエポキシ樹脂硬化触媒として適用した場合の特性試験を行い、可使時間の測定及び硬化温度の測定を実施例と同様に行った。結果を表2に示す。実施例と同様にDSCを測定した。比較例1で得られた分子化合物のDSCチャートを、図6に示す。
Figure 0005367201
Figure 0005367201
エポキシ樹脂に対する可使時間測定試験の結果を示す表2から、反応溶媒の存在下で、ウルマックス粉砕のTEPを使用して調製したサンプルは、攪拌モーターの回転数が低い場合、また、加温温度を30℃にした場合でも、可使時間が長くなり、安定性を有する分子化合物が得られることが認められた。これに対し、50℃で加温して調製した場合であってもウルマックス粉砕によらないTEPを使用して調製したサンプル(比較例1)は可使時間が減少しており、30℃、ウルマックス粉砕によらないTEPを使用して調製したサンプル(比較例2)は可使時間が著しく減少しており、何れも分子化合物の安定性が低くなっていることが認められた。更に、実施例1〜4によるサンプルは硬化温度が高く、トップピーク温度が高いことが認められ、分子化合物の安定性の向上が認められ、分子化合物を粉末塗料の硬化触媒として有利に用いることができることがわかった。
発明の効果
本発明の分子化合物の製造方法によると、貧溶媒を使用しても、得られた分子化合物の安定性が向上され、熱硬化型樹脂塗料等の硬化触媒として有利に使用することができる。
本発明実施例1のTEPと2−エチル−4−メチルイミダゾールからなる分子化合物の粉末X線回折パターンを示す図である。 本発明実施例1のTEPと2−エチル−4−メチルイミダゾールからなる分子化合物の熱分析(TG−DTA)チャートを示す図である。 本発明実施例1のTEPと2−エチル−4−メチルイミダゾールとからなる分子化合物の樹脂硬化試験におけるDSCチャートを示す図である。 比較例1の分子化合物の粉末X線回折パターンを示す図である。 比較例1の分子化合物の熱分析(TG−DTA)チャートを示す図である。 比較例1の分子化合物の樹脂硬化試験におけるDSCチャートを示す図である。

Claims (6)

  1. 平均粒径を1.1μm以下にあらかじめ粉砕した1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと、イミダゾール類化合物とを、50℃以上で且つゲスト化合物の放出温度以下の温度に保持し、中に分散させて調製することを特徴とする分子化合物の製造方法。
  2. 粒径を4.0μm以下にあらかじめ粉砕した1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと、イミダゾール類化合物とを、50℃以上で且つゲスト化合物の放出温度以下の温度に保持し、中に分散させて調製することを特徴とする分子化合物の製造方法。
  3. 1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと、イミダゾール類化合物とを、50℃以上で且つゲスト化合物の放出温度以下の温度に保持し、中に分散させて調製する分子化合物の製造方法であって、固体ホスト化合物の80重量%以上の粒径を2.0μm以下にあらかじめ粉砕することを特徴とする分子化合物の製造方法。
  4. 1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの粉砕が気流粉砕によることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか記載の分子化合物の製造方法。
  5. 1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの気流粉砕がウルマックス粉砕機によることを特徴とする請求項4に記載の分子化合物の製造方法。
  6. ゲスト化合物が、2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の分子化合物の製造方法。
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