JP4229345B2 - フェニルスルホン誘導体を成分化合物とする分子化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規分子化合物に係わり、更に詳しくは特定の構造を有するフェニルスルホン誘導体を成分化合物とする分子化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子化合物は、二種以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離する性質を有することから、近年、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
【0003】
具体的な分子化合物の一例として包接化合物が挙げられ、例えば特開昭61−53201号公報には、1,1,6,6,−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール又は1,1−ジ(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、特開昭62−22701号公報には、1,1′−ビス−2−ナフトールとそれぞれ、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等との包接化合物が記載されている。また、特開平6−166646号公報にはテトラキスフェノール類と種々の有機化合物との包接化合物が開示されている。
しかし、従来の技術では選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等において十分満足できる性能を持った分子化合物は未だ見出されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野において優れた性能を示す、フェニルスルホン誘導体を成分化合物とする新規な分子化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の基で架橋したフェニルスルホン誘導体を成分化合物とする分子化合物が、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等の技術分野において優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(I)
【化5】
【0007】
[式中、Yは、直鎖もしくは分岐を有していてもよい、飽和もしくは不飽和の炭素数1〜12の炭化水素基、エーテル結合もしくはチオエーテル結合を有する炭素数1〜8の炭化水素基、
【0008】
【化6】
(Rはメチレン基又はエチレン基を表す)、又は
【0009】
【化7】
【0010】
(Tは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基)を表し、R1、R2、R3及びR4は、互いに同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C8のアルキル基、C2〜C8のアルケニル基を表し、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐を有してもよいC1〜C8のアルキル基、直鎖もしくは分岐を有してもよいC2〜C8のアルケニル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいシクロヘキシル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいシクロペンチル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいベンジル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいフェネチル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいα−メチルベンジル基、又はC1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいナフチルメチル基を表し、mは0、1、2のいずれかを表し、n、p、q又はrは、0又は1から4の整数いずれかを表すが、但し、n、p、q又はrが2以上である場合には、R1、R2、R3又はR4は、それぞれ同一又は異なっていてもよい基を表す]で表されるフェニルスルホン誘導体、特に一般式(I)中のmが2であるフェニルスルホン誘導体に関する。
【0011】
また本発明は、上記フェニルスルホン誘導体を成分化合物とする分子化合物や、上記フェニルスルホン誘導体と、該フェニルスルホン誘導体と反応して分子化合物を形成する抗菌剤、抗カビ剤、殺虫剤、害虫忌避剤、香料、脱臭・消臭剤、防汚剤、塗料・樹脂・接着剤用硬化剤及び硬化促進剤、天然精油、酸化防止剤、加硫促進剤又は有機溶媒を成分化合物とする分子化合物や、分子化合物が包接化合物である分子化合物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の二種以上の成分化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物などが含まれる。
【0013】
本発明の一般式(I)で表されるフェニルスルホン誘導体において、式中Yは、直鎖もしくは分岐を有していてもよい、飽和もしくは不飽和の炭素数1〜12の炭化水素基、エーテル結合もしくはチオエーテル結合を有する炭素数1〜8の炭化水素基、
【0014】
【化8】
(Rはメチレン基又はエチレン基を表す)、又は
【0015】
【化9】
【0016】
(Tは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基)を表す。具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、メチレンエチレン基、エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、1−エチル−4−メチルテトラメチレン基、ビニレン基、プロペニレン基、2−ブテニレン基、エチニレン基、2−ブチニレン基、1−ビニルエチレン基、エチレンオキシエチレン基、テトラメチレンオキシテトラメチレン基、エチレンオキシエチレンオキシエチレン基、エチレンオキシメチレンオキシエチレン基、エチレンチオエチレン基、テトラメチレンチオテトラメチレン基、エチレンチオエチレンチオエチレン基、エチレンチオメチレンチオエチレン基、1,3−ジオキサン−5,5−ビスメチレン基、p−キシレン−α,α′−ジイル基、m−キシレン−α,α′−ジイル基、o−キシレン−α,α′−ジイル基、2−ヒドロキシプロピレン基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピレン基、2−ヒドロキシ−2−エチルプロピレン基、2−ヒドロキシ−2−プロピルプロピレン基、2−ヒドロキシ−2−ブチルプロピレン基などが挙げられる。
【0017】
一般式(I)中、R1、R2、R3及びR4は、互いに同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C8のアルキル基、又はC2〜C8のアルケニル基を示し、具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0018】
一般式(I)中、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐を有してもよいC1〜C8のアルキル基、直鎖もしくは分岐を有してもよいC2〜C8のアルケニル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいシクロヘキシル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいシクロペンチル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいベンジル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいフェネチル基、C1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいα−メチルベンジル基、又はC1〜C4のアルキル基もしくはC2〜C4のアルケニル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基もしくは水酸基もしくはハロゲン原子を有してもよいナフチルメチル基を表す。
【0019】
具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ヘキシニル基、ヘキシジニル基、ヘプチニル基、ヘプチジニル基、オクチニル基、オクチジニル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、テトラメチルシクロヘキシル基、ペンタメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基、ベンジル基、o−又はm−又はp−トリルメチル基、2,3−又は2,4−又は2,5−又は2,6−又は3,4−又は3,5−又は4,5−キシリルメチル基、メシチルメチル基、o−又はm−又はp−クメニルメチル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0020】
一般式(I)で表される化合物の中では一般式(II)で表されるフェニルスルホン誘導体が好ましい。
【0021】
【化10】
【0022】
また、特に一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【化11】
【0023】
更に、合成上、一般式(IV)で表される化合物が有利である。
【化12】
【0024】
本発明で使用するフェニルスルホン誘導体は、一般式(I)で表される化合物であれば特に限定されないが、具体的な例として、ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]メタン、1,2−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エタン、1,3−ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロパン、1,4−ビス[4−(4−n−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,5−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ペンタン、1,6−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘキサン、1,7−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘプタン、1,8−ビス[4−(4−n−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]オクタン、1,9−ビス[4−(4−p−トリルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ノナン、1,10−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]デカン、1,11−ビス[4−{4−(1−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ウンデカン、1,12−ビス[4−{4−(2−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ドデカンを挙げることができる。
【0025】
また同様に、1,1−ビス[4−(4−n−ヘキシルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エタン、2,2−ビス[4−(4−シクロヘキシルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロパン、1,2−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロパン、2,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロペン、1,2−ビス[4−(4−イソヘキシルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、2,3−ビス[4−(4−イソブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,3−ビス[4−(4−イソペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,4−ビス[4−(4−ビニルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ペンタン、2,4−ビス[4−(4−アリルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ペンタン、2,5−ビス[4−(4−メトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘプタンを挙げることができる。
【0026】
また同様に、1,2−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エチレン、1,3−ビス[4−(4−エトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロペン、1,4−ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブテン、1,2−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]アセチレン、1,4−ビス[4−(4−tert−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブチン、3,4−ビス[4−(4−イソプロペニルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−1−ブテンを挙げることができる。
【0027】
また同様に、2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−p−トリルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−{4−(1−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2− [4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2′− [4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、4,4′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジブチルエーテルを挙げることができる。
【0028】
また同様に、1,2−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシエチルオキシ]エタン、ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシエチルオキシ]メタン、2,2'−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルチオエーテル、4,4′−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジブチルチオエーテル、1,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシエチルチオ]エタン、ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシエチルチオ]メタン、1,4−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,2−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼンを挙げることができる。
【0029】
また同様に、1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−2−ナフチルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1― [4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−3―[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−メチル−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−エチル−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−プロピル−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブチル−2−ヒドロキシプロパンを挙げることができる。
【0030】
また同様に、ビス[4−(2−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]メタン、1,2−ビス[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エタン、1,3−ビス[4−(2−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロパン、1,4−ビス[4−(2−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,5−ビス[4−(2−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ペンタン、1,6−ビス[4−(2−ネオペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘキサン、1,3−ビス[4−(2−2−ナフチルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,4−ビス[4−(2−イソヘキシルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブテン、3,4−ビス[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−1−ブテンを挙げることができる。
【0031】
また同様に、2,2′−ビス[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルチオエーテル、1,4−ビス[4−(2−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(2−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,2−ビス[4−(2−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(2−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−メチル−2−ヒドロキシプロパンを挙げることができる。
【0032】
また同様に、ビス[2−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]メタン、1,2−ビス[2−(4−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エタン、1,3−ビス[2−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]プロパン、1,4−ビス[2−{4−(2−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ブタン、1,5−ビス[2−{4−(2−ブテニルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ペンタン、1,6−ビス[2−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘキサン、1,3−ビス[2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1,4−ビス[2−(4−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブテン、3,4−ビス[2−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−1−ブテンを挙げることができる。
【0033】
また同様に、2,2′−ビス[2−{4−(1−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[2−{4−(3−ペンテニルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ジエチルチオエーテル、1,4−ビス[2−(4−o−トルイルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−m−トルイルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,2−ビス[2−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−p−クメニルメチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[2−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−メチル−2−ヒドロキシプロパンを挙げることができる。
【0034】
また同様に、2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ−4−(2−sec−ブトキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)メタン、1−[2−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−[4−(2−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]エタン、1−[2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−3−[4−{2−(2−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]プロパン、1−[2−(4−iso−プロペニルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−4−[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1−[2−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−5−[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ペンタン、1−[2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ヘキサン、1−[2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−3−[4−(2−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ブタン、1−[2−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−4−[4−(2−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ブテン、3−[2−(4−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−4−[4−(2−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−1−ブテンを挙げることができる。
【0035】
また同様に、2−[2−{4−(1−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]−2′−[4−{2−(2−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2− [2−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2′−[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルチオエーテル、1−[2−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]−4−[4−(2−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ベンゼン、1−[2−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]−3−[4−(2−n−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ベンゼン、1−[2−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシメチル]−2−[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ベンゼン、1−[2−(4−シクロヘキシルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−3−[4−(2−シクロペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1−[2−{4−(2,5−キシリルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]−3−[4−(2−iso−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−メチル−2−ヒドロキシプロパンなどを挙げることができる。
【0036】
一般式(I)で表される化合物のうち、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの性能の点から、特に2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−{4−(1−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2− [4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2′− [4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、1,3−ビス[4−(4−iso−プロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、3−ビス[4−(4−sec−ブトキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−sec−ペンチルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−p−トルイルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−α−メチルベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−{4−(2−ナフチルメチルオキシ)フェニルスルホニル}フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1− [4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−3−[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、が好ましい。
【0037】
一般式(I)で表されるフェニルスルホン誘導体の製造方法に特に制限はないが、ジヒドロキシジフェニルスルホン又はその誘導体、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド又はその誘導体、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル又はその誘導体を原料として、次のいずれかの方法により容易に製造できる。
【0038】
例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムのような無機塩基、又はトリエチルアミンやピリジンのような有機塩基の存在下、トルエンのような非水溶性有機溶媒、ジメチルホルムアミドやメタノールのような水溶性有機溶媒、水と非水溶性有機溶媒の混合溶媒、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒、又は水溶媒中などで、ジヒドロキシジフェニルスルホン又はその誘導体、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド又はその誘導体、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル又はその誘導体に、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アラルキル等を加熱条件下で反応させ、対応するモノアルキルオキシ、モノアルケニルオキシ、又はモノアラルキルオキシ誘導体を製造する。次に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムのような無機塩基、又はトリエチルアミンやピリジンのような有機塩基の存在下、トルエンのような非水溶性有機溶媒、ジメチルホルムアミドやメタノールのような水溶性有機溶媒、水と非水溶性有機溶媒の混合溶媒、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒、又は水溶媒中などで、先に製造したモノアルキルオキシ、モノアルケニルオキシ、又はモノアラルキルオキシ誘導体に、ジハロゲン化アルキル、ジハロゲン化アルケニル、ジハロゲン化アルキルエーテル、ジハロゲン化アルキルチオエーテル、ヒドロキシ−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)ジフェニルスルホン誘導体などを加熱条件下で反応させることにより、目的とするフェニルスルホン誘導体が製造できる。
【0039】
また、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムのような無機塩基、又はトリエチルアミンやピリジンのような有機塩基の存在下、トルエンのような非水溶性有機溶媒、ジメチルホルムアミドやメタノールのような水溶性有機溶媒、水と非水溶性有機溶媒の混合溶媒、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒、又は水溶媒中などで、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド又はその誘導体、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル又はその誘導体に、ジハロゲン化アルキル、ジハロゲン化アルケニル、ジハロゲン化エーテル、ジハロゲン化チオエーテルなどを加熱条件下で反応させ、対応するビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルケニル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキルエーテル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキルチオエーテル誘導体等を製造する。次に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムのような無機塩基、又はトリエチルアミンやピリジンのような有機塩基の存在下、トルエンのような非水溶性有機溶媒、ジメチルホルムアミドやメタノールのような水溶性有機溶媒、水と非水溶性有機溶媒の混合溶媒、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒、又は水溶媒中などで、先に製造したビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルケニル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキルエーテル誘導体、ビス(ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)アルキルチオエーテル誘導体等に、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アラルキル等を加熱条件下で反応させることにより、目的とするフェニルスルホン誘導体が製造できる。
【0040】
具体的に2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルを製造する場合を例にとると、まず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウムのようなアルカリ存在下、トルエンのような有機溶媒中、水-トルエン混合溶媒中、又は水溶媒中などで、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンに、2−クロロプロパン、2−ブロモプロパン、2−ヨードプロパン等を加熱条件下で反応させ、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホンを製造する。次に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウムのようなアルカリ存在下、トルエンのような有機溶媒中、水-トルエン混合溶媒中などで、先に製造した4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホンに、2,2′−ジクロロジエチルエーテル、2,2′−ジブロモジエチルエーテル、2,2′−ジヨードジエチルエーテル等を加熱条件下で反応することにより、目的とする2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルが製造できる。
【0041】
本発明のフェニルスルホン誘導体は、通常結晶固体であるが、アモルファス或いは油状の場合もある。また、結晶多形をとることもあるが、これらの形態に係わりなく、一般式(I)で表されるフェノール誘導体はすべて本発明に属する。
【0042】
本発明において、一般式(I)で表されるフェニルスルホン誘導体と分子化合物を形成する物質は、かかる誘導体と分子化合物を形成し得るものであれば良く特に制限されない。具体的な例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、α−ブロムシンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等のアルデヒド類を挙げることができる。
【0043】
また同様に、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン等のケトン類、アセトニトリル、アクリロニトリル、n−ブチロニトリル、マロノニトリル、フェニルアセトニトリル、ベンゾニトリル、シアノピリジン、2,2−ジブロモメチルグルタルニトリル、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、トリオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−ヘプチルアセテート、ビス−1,4−ブロモアセトキシ−2−ブテン等のエステル類を挙げることができる。
【0044】
また同様に、ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジシアンジアミド、ジブロムニトリルプロピオンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、N,N−ジエチル−m−トルアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ε−カプロラクタム等のラクタム類、ε−カプロラクトン等のラクトン類、アリールグリシジルエーテル等のオキシラン類、モルホリン類、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−クロロ−m−クレゾール等のフェノール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等のカルボン酸類及びチオカルボン酸類、スルファミン酸類、チオカルバミン酸類、チオセミカルバジド類、尿素、フェニル尿素、ジフェニル尿素、チオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素等の尿素及びチオ尿素類、イソチオ尿素類、スルホニル尿素類、チオフェノール、アリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール類、ベンジルスルフィド、ブチルメチルスルフィド等のスルフィド類、ジブチルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、フェニルスルホン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、ヘキサブロモジメチルスルホン、ジヨードメチルパラトリルスルホン等のスルホン類を挙げることができる。
【0045】
また同様に、チオシアン酸メチルエステル、イソチオシアン酸メチルエステル等のチオシアン酸類及びイソチオシアン酸類、グリシン、アラニン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン等のアミノ酸類、アミド及びウレタン化合物類、酸無水物類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルカン類、アルケン類、アルキン類、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のイソシアネート類、メチレンビスチオシアネート、メチレンビスイソチオシアネート等のチオシアネート類及びイソチオシアネート類、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン等のニトロ化合物類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アルキル−t−モノアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、グアニジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール等の非環式脂肪族アミン類、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンジアミンを挙げることができる。
【0046】
また同様に、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピロリジン類、アゼチジン類、ピペリジン類、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン等のピペラジン類、ピロリン類等の環式脂肪族アミン類、アニリン、N―メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キレンジアミン等の芳香族アミン類、エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン等の変性ポリアミン類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ピロール、ピリジン、ピコリン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアジン、テトラゾール、プリン、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、ベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノキサリン、フタルイミド、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、N−メチルピロリドン、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド等の含窒素複素環化合物を挙げることができる。
【0047】
また同様に、フラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアミン、ピラン、クマリン、ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾジオキサン等の含酸素複素環化合物、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、5−メチルオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,4′−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン等の含窒素及び酸素複素環化合物、チオフェン、3,3,4,4−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等の含硫黄複素環化合物を挙げることができる。
【0048】
また同様に、チアゾール、ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール等の含窒素及び硫黄複素環化合物、コレステロール等のステロイド類、ブルシン、キニン、テオフィリン等のアルカロイド類、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、メントン、オイゲノール、リナロール、ジメチルオクタノール等の天然精油類、キンモクセイ、ジャスミン、レモン等の合成香料類、アスコルビン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミン及び関連化合物等を挙げることができる。
【0049】
本発明の分子化合物は、一般式(I)で表されるフェニルスルホン誘導体と、かかる誘導体と分子化合物を形成する前記のような物質とを直接混合するか、或いは溶媒中で混合することにより得ることができる。また、低沸点の物質或いは蒸気圧の高い物質の場合は、本発明のフェニルスルホン誘導体にこれら物質の蒸気を作用させることにより目的とする分子化合物を得ることができる。更に、まず本発明のフェニルスルホン誘導体とある物質との分子化合物を生成させ、この分子化合物と別の物質とを上記のような方法で反応させることにより目的とする分子化合物を得ることができる。
【0050】
これらの方法により得られた物質が確かに分子化合物であることは、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、固体NMRスペクトル等により確認することができる。また、分子化合物の組成は熱分析、1HNMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【0051】
本発明の分子化合物はその生成条件により、これを構成する各成分化合物の比率が変化することがある。また、本発明のフェニルスルホン誘導体に対して、二種類以上の物質を反応させることにより、三成分以上の多成分からなる分子化合物を得ることもできる。
【0052】
本発明の分子化合物は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化等の機能の点、及び一定の組成の分子化合物を安定的に製造するなどの目的から、結晶性であることが好ましく、特に結晶性の包接化合物であることがより好ましい。この際、同一の分子化合物であっても結晶多形をとることがある。結晶性の確認は主にX線回折パターンを調べることによりできる。また結晶多形の存在は熱分析、X線回折パターン、固体NMR等により確認できる。ここで、包接化合物とは、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部に適当な大きさの空孔があり、その中に他の原子又は分子が非共有結合的な相互作用により一定の組成比で入り込んだ物質を指す。
【0053】
本発明の分子化合物の使用形態には特に制限はなく、例えばそれぞれ異なる成分化合物で構成された二種類以上の分子化合物を混合して使用することができる。また、本発明の分子化合物は目的とする機能を損なわない限り、他の物質を併用して使うことができる。本発明の分子化合物に賦形剤等を与え、顆粒や錠剤を成形して使用することもできる。更に、樹脂、塗料、並びにそれらの原料や原料組成物中に添加して使用することもできる。本発明の分子化合物はそのまま有機合成の原料として使用したり、分子化合物を特異的な反応場として使用することもできる。
【0054】
例えば、本発明における上記一般式(I)で表されるフェノール誘導体をホスト化合物とし、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系殺菌剤、ヒノキチオール、1,8−シネオール等の抗菌・殺虫・防虫剤、ローズマリー等の香料、イソチアゾロン系化合物等の防汚剤、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のエポキシ樹脂用硬化剤及び1,8−ジアザビシクロ(4,5,0)ウンデセン−7等のエポキシ樹脂用硬化促進剤などの触媒又はトルエン、キシレン、ピリジン等の有機溶媒をゲストとした包接化合物は、ゲスト化合物が本来有する作用の他に、徐放性、皮膚刺激性の軽減、化学的安定化、不揮発化、粉末化、有用物質の選択分離等の機能が新たに付与され、新しい特性を有する殺菌剤、抗菌剤、殺虫・防虫剤、香料、防汚剤、エポキシ樹脂用硬化剤等の触媒、有機溶媒として極めて有用である。
【0055】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0056】
実施例1
4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン23.39g(0.08mol)をジメチルホルムアミド(DMF)200mlに溶かした溶液中に、60%水素化ナトリウム3.52g(0.088mol)を室温下で添加した後、2,2′−ジクロロジエチルエーテル5.72g(0.04mol)を室温下で添加した。反応溶液を100〜105℃で4時間加熱した後、その中にMIBK(メチルイソブチルケトン)200ml及び水200mlを加え30分70〜75℃下で攪拌した。70〜75℃下で有機層を分取した後、その有機層を室温まで冷却し、析出した結晶を濾過し粗結晶を得た。その粗結晶をMIBK100mlと水100mlの混合溶媒中、80℃で30分攪拌した後、溶液温度を室温まで下げた。析出した結晶を濾過し、目的物であるHPLC純度88.55%である2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル(融点120℃)の無色結晶20.03gを得た。融点は197〜205℃であった。
【0057】
実施例2
4−ベンジルオキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン27.24g(0.08mol)をDMF200mlに溶かした溶液中に、60%水素化ナトリウム3.52g(0.088mol)を室温下で添加した後、2,2′−ジクロロジエチルエーテル5.72g(0.04mol)を室温下で添加した。反応溶液を100〜105℃で4時間加熱した後、その中にMIBK(メチルイソブチルケトン)200ml及び水200mlを加え30分70〜75℃下で攪拌した。70〜75℃下で有機層を分取した後、その有機層を室温まで冷却し、析出した結晶を濾過し粗結晶を得た。その粗結晶をMIBK100mlと水100mlの混合溶媒中、80℃で30分攪拌した後、溶液温度を室温まで下げた。析出した結晶を濾過し、目的物であるHPLC純度81.46%である2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルの無色結晶23.71gを得た。融点は197〜205℃であった。
【0058】
実施例3
4−イソプロポキシ−4′−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)ジフェニルスルホン0.1molと4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン0.1molとトリエチルアミン5gを100mlのDMF溶媒中で4時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、それを水酸化ナトリウム4gを含む水溶液520ml中に添加したところ結晶が析出した。濾過して得た粗結晶をトルエンで再結晶し、目的物である1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンの無色結晶を21g得た。融点は164.5℃〜170.0℃であった。
【0059】
実施例4
4−ベンジルオキシ−4′−(2,3−エポキシプロパン−1−イルオキシ)ジフェニルスルホン0.1molと4−ベンジルオキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン0.1molとトリエチルアミン5gを250ml中のDMF溶媒中で4時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、それを水酸化ナトリウム4gを含む水溶液520ml中に添加したところ結晶が析出した。濾過して得た粗結晶をメタノール及びトルエンで洗浄し、目的物である1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンの無色結晶を39g得た。融点は198℃〜204℃であった。
【0060】
実施例5
2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル(融点120℃)2gをトルエン10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとトルエンとの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0061】
次にトルエンの代わりにベンゼンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとベンゼンとの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。次にベンゼンの代わりにo−キシレンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとo−キシレンとの組成比率1:2(モル比)から成る分子化合物を得た。更にo−キシレンの代わりにp−キシレンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとp−キシレンとの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。各々が前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから各々の分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。各々の分子化合物はトルエンをおよそ54℃〜83℃の範囲、ベンゼンをおよそ59℃〜125℃の範囲、o−キシレンをおよそ68℃〜110℃の範囲、p−キシレンをおよそ65℃〜93℃の範囲で放出した。このように本発明の分子化合物は、室温で液体であるトルエン、o−キシレン及びm−キシレンを粉末化し、また揮発の制御を可能にした。
【0062】
実施例6
2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル(融点120℃)2gをo−キシレンとm−キシレンの1:1(容量比率)の混合溶媒10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、o−キシレン及びm−キシレンとの組成比率1:1.7:0.3(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。この分子化合物はo−キシレン及びp−キシレンをおよそ65℃〜120℃の範囲で放出した。このように本発明の分子化合物は、構造異性体であるo−キシレンとm−キシレンの混合溶液からo−キシレンをより選択的に包接した。
【0063】
実施例7
2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル(融点197〜205℃)2gをトルエン10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとトルエンとの組成比率1:0.25(モル比)から成る分子化合物を得た。次にトルエンの代わりにベンゼンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとo−キシレンとの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0064】
次にベンゼンの代わりにo−キシレンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとo−キシレンとの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。更にo−キシレンの代わりにp−キシレンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとp−キシレンとの組成比率1:0.2(モル比)から成る分子化合物を得た。更にp−キシレンの代わりにm−キシレンを使用し、同様の操作を行って2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとm−キシレンとの組成比率1:0.2(モル比)から成る分子化合物を得た。各々が前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから各々の分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。各々の分子化合物はトルエンをおよそ68℃〜92℃の範囲、ベンゼンをおよそ70℃〜101℃の範囲、o−キシレンをおよそ90℃〜114℃の範囲、p−キシレンをおよそ205℃付近、m−キシレンをおよそ78℃〜102℃の範囲で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体であるトルエン、o−キシレン及びp−キシレンを粉末化し、また揮発の制御を可能にした。
【0065】
実施例8
2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル(融点197〜205℃)2gをo−キシレンとm−キシレンの1:1(容量比率)の混合溶媒10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテルとo−キシレンとの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。この分子化合物はo−キシレンをおよそ82℃〜106℃の範囲で放出した。
このように本発明の分子化合物は、構造異性体であるo−キシレンとm−キシレンの混合溶液からo−キシレンを選択的に包接した。
【0066】
実施例9
1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン(融点164.5℃〜170.0℃)2gをo−キシレン10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとo−キシレンとの組成比率1:2(モル比)から成る分子化合物を得た。次にo−キシレンの代わりにクロロホルムを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとクロロホルムとの組成比率1:0.25(モル比)から成る分子化合物を得た。更にクロロホルムの代わりにアセトンを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとアセトンとの組成比率1:0.2(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0067】
各々が前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから各々の分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。各々の分子化合物はo−キシレンをおよそ63℃〜80℃の範囲、クロロホルムをおよそ95℃〜140℃の範囲、アセトンをおよそ110℃〜150℃の範囲で放出した。このように本発明の分子化合物は、室温で液体であるo−キシレン、クロロホルム及びアセトンを粉末化し、また揮発の制御を可能にした。
【0068】
実施例10
1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン(融点198℃〜204℃)2gをテトラヒドロフラン10mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去した後、さらに室温下ロータリー真空ポンプを用いて5時間減圧乾燥し、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとテトラヒドロフランとの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。次にテトラヒドロフランの代わりに1,4−ジオキサンを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンと1,4−ジオキサンとの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0069】
更に1,4−ジオキサンの代わりにジメチルホルムアミドを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとジメチルホルムアミドとの組成比率1:0.2(モル比)から成る分子化合物を得た。更にジメチルホルムアミドの代わりにジメチルホルスルホキシドを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとジメチルスルホキシドとの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。更にジメチルスルホキシドの代わりにピリジンを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとピリジンとの組成比率1:2(モル比)から成る分子化合物を得た。更にピリジンの代わりにクロロホルムを使用し、同様の操作を行って1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパンとクロロホルムとの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0070】
各々が前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから各々の分子化合物が明らかに結晶性であることを確認した。各々の分子化合物はテトラヒドロフランをおよそ65℃〜82℃の範囲、1,4−ジオキサンをおよそ78℃〜89℃の範囲、ジメチルスルホキシドをおよそ100℃〜127℃の範囲、ピリジンをおよそ72℃〜86℃の範囲、クロロホルムをおよそ65℃〜85℃の範囲で放出した。このように本発明の分子化合物は、室温で液体であるテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン及びクロロホルムを粉末化し、また揮発の制御を可能にした。
【0071】
比較例1
実施例1〜実施例6において、2,2′−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、2,2′−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]ジエチルエーテル、1,3−ビス[4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ビス[4−(4−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−2−ヒドロキシプロパン、の代わりに、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用した以外はそれぞれ実施例1〜実施例6と同様の実験を行った。しかし、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンはいずれの化合物とも分子化合物を形成しなかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の新規な分子化合物は、簡単な操作で調製できる上に、種々の物質について化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの機能を付与することができ、また特定物質の選択分離や回収を行うことができる。更に本発明の分子化合物は種々の物質と併用して使用することができ、また各種の形態で用いることもできる。従って、本発明は非常に広範な分野で利用可能であり、産業上における意義は極めて大きい。
Claims (3)
- 一般式(II)
- 一般式(II)
又は
- 分子化合物が、包接化合物であることを特徴とする請求項2記載の分子化合物の成分化合物。
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