JP4804601B2 - トリアジン誘導体を成分化合物とする分子化合物 - Google Patents
トリアジン誘導体を成分化合物とする分子化合物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規分子化合物に係わり、更に詳しくは特定の構造を有するトリアジン誘導体を成分化合物とする分子化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子化合物は、二種以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離する性質を有することから、近年、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
具体的な分子化合物の一例として包接化合物が挙げられ、例えば特開昭61−53201号公報には、1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール又は1,1−ジ(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、特開昭62−22701号公報には、1,1′−ビス−2−ナフトールとそれぞれ、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等との包接化合物が記載されている。また、特開平6−166646号公報にはテトラキスフェノール類と種々の有機化合物との包接化合物が開示されている。
【0003】
しかし、従来の技術では選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等において十分満足できる性能を持った分子化合物は未だ見出されていない。また、トリアジン誘導体は簡単な操作で合成できる有用な物質であるが、これまでにトリアジン誘導体を成分化合物とする分子化合物は2,4,6−トリス[4−(2−フェニルプロパン−2−イル)フェノキシ]−1,3,5−トリアジン及び2,4,6−トリス[4−(1−ナフチル)フェノキシ]−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンとの僅か二例の分子化合物が知られているのみであり、他はまったく報告されていない(Journal of Chemical Society, Chemical Communications, 1990年, 1619〜1621ページ参照)。これら既存のトリアジン誘導体から成る分子化合物もまた、選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等において十分満足できる性能を有していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野において優れた性能を示す、トリアジン誘導体を成分化合物とする新規な分子化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究した結果、一般式(I)
【化5】
{式中、Rは水素原子、C1〜C4のアルキル基を表し、R1 、R2 は同一又は異なってもよく、水酸基、ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基を表し、m、nは0〜4の整数を表し、m、nが2以上のときはR1 、R2 は異なっていてもよく、Tは単結合又は
【化6】
[wは0、1、2の整数を表し、Aはエーテル結合を有するC2〜C8のアルキレン基を表す]から選ばれる基を表し、Yは
【化7】
[R′は水素原子、C1〜C4のアルキル基を表し、R7 、R8 は同一又は異なっていてもよく、水酸基、ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、u、vは0〜4の整数を表し、u、vが2以上のときはR7 、R8 は異なっていてもよく、T′は単結合又は
【化8】
(xは0、1、2の整数を表し、A′はエーテル結合を有するC2〜C8のアルキレン基を表す)から選ばれる基を表す]を表し、Zはハロゲン原子、水素原子、C1〜C6のアルコキシ基、C1〜C6のアルキルチオ基、エーテル結合を有するアルコキシ基、エーテル結合を有するアルキルチオ基、チオエーテル結合を有するアルコキシ基、チオエーテル結合を有するアルキルチオ基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、1級又は2級のC1〜C6のアルキルアミノ基、1級又は2級のC1〜C6のヒドロキシアルキルアミノ基、(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アリールオキシ基、(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アリールチオ基、(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アリールアミノ基、(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アラルキルオキシ基を表す}で表されるトリアジン誘導体を成分化合物とする分子化合物が有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等の技術分野において優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成した。
なお、本発明における分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の二種以上の成分化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される共有化合物以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物などが含まれる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)で表されるトリアジン誘導体において、R1 、R2 は具体的には水酸基、塩素、臭素、フッ素、ヨード等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等のC1〜C6のアルキル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基など、C2〜C4のアルケニル基等が挙げられる。Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のC1〜C4のアルキル基であるが、特に水素原子が好ましい。
【0007】
一般式(I)において、
【化9】
で表される部分構造の具体的な例としては、以下のものが代表的に挙げられる。
【0008】
【化10】
【0009】
【化11】
【0010】
【化12】
【0011】
【化13】
【0012】
【化14】
【0013】
【化15】
【0014】
【化16】
【0015】
【化17】
【0016】
また、一般式(I)におけるY、Zとしては、
【0017】
【化18】
【0018】
を挙げることができ、R′は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのC1〜C4のアルキル基を具体的に例示できる。また、置換基であるR7 、R8は具体的には水酸基、塩素、臭素、フッ素、ヨード等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等のC1〜C6のアルキル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基等のC2〜C4のアルケニル基等が挙げられる。T′は単結合又は
【0019】
【化19】
【0020】
から選ばれる基であり、A′はエチレンオキシエチレン基、テトラエチレンオキシテトラメチレン基、エチレンオキシエチレンオキシエチレン基、エチレンオキシメチレンオキシエチレン基等のエーテル結合を有するC2〜C8のアルキレン基を挙げることができる。
【0021】
これらの置換基をY、Zに使用すると、一般式(I)は一般式(II)や一般式(III)になる。
【0022】
【化20】
【0023】
特に合成的には一般式(IV)、(V)が簡便である。
【化21】
【0024】
Y、Zとしては上記のもの以外に、水素原子、塩素、臭素、フッ素、ヨード等のハロゲン、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ等のC1〜C6のアルコキシ基、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、1−メチルペンチルチオ、2−メチルペンチルチオ等のC1〜C6のアルキルチオ基、メトキシエチレンオキシ等のエーテル結合を有するアルコキシ基、メトキシメチレンチオ等のエーテル結合を有するアルキルチオ基、メチルチオエチレンオキシ等のチオエーテル結合を有するアルコキシ基、メチルチオエチレンチオ等のチオエーテル結合を有するアルキルチオ基、ヒドロキシエチレンオキシ等のヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシエチレンチオ等のヒドロキシアルキルチオ基、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等の1級又は2級のC1〜C6のアルキルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ、ジ(ヒドロキシエチル)アミノ等の1級又は2級のC1〜C6のヒドロキシアルキルアミノ基、フェノキシ、p−ヒドロキシフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ等の(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アリールオキシ基、(水酸基、フェニルチオ、p−ヒドロキシフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ等の(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子)で置換されてもよいアリールチオ基、アニリノ等の(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アリールアミノ基、ベンジロキシ、p−メチルベンジロキシ、フェネチルオキシ等の(水酸基、C1〜C4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい)アラルキルオキシ基を具体的に挙げることができる。上記置換基中のC1〜C4のアルキル基とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を表し、ハロゲン原子とは塩素、臭素、フッ素、ヨードを表す。
【0025】
一般式(I)で表されるトリアジン誘導体の製造は、例えば、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン又は2,4,6−トリブロモ−1,3,5−トリアジンと、これらトリアジン骨格に導入する部分構造の原料となる水酸基、アミノ基、チオール基等を有する化合物とを、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶媒、或いはベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のベンゼン系有機溶媒、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系有機溶媒、酢酸エチル等のエステル系有機溶媒等の非水溶性有機溶媒中で、塩基性物質、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、或いは炭酸水素塩、具体的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基物質、或いはアミン類、具体的にはトリエチルアミン、ピリジン、キノリン等の有機塩基物質の存在下、反応温度−20℃〜100℃で数時間から十数時間反応して行われる。この際、トリアジン骨格に導入する置換基がすべて同一であれば一段階の反応操作で済むが、異なる構造の置換基を導入する場合には段階的に反応を行い、順次目的とする置換基を導入する。
【0026】
本発明のトリアジン誘導体は、通常結晶であるが、アモルファス或いは液状である場合もある。また、結晶多形をとることもあるが、これらの形態に係わりなく、一般式(I)で表されるトリアジン誘導体はすべて本発明に属する。
【0027】
本発明において、一般式(I)で表されるトリアジン誘導体と分子化合物を形成する物質は、かかる誘導体と分子化合物を形成し得るものであれば良く特に制限されない。具体的な例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、α−ブロムシンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン等のケトン類、アセトニトリル、アクリロニトリル、n−ブチロニトリル、マロノニトリル、フェニルアセトニトリル、ベンゾニトリル、シアノピリジン、2,2−ジブロモメチルグルタルニトリル、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、トリオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−ヘプチルアセテート、ビス−1,4−ブロモアセトキシ−2−ブテン等のエステル類、ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジシアンジアミド、ジブロムニトリルプロピオンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、N,N−ジエチル−m−トルアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ε−カプロラクタム等のラクタム類、ε−カプロラクトン等のラクトン類、アリールグリシジルエーテル等のオキシラン類、モルホリン類、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−クロロ−m−クレゾール等のフェノール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等のカルボン酸類及びチオカルボン酸類、スルファミン酸類、チオカルバミン酸類、チオセミカルバジド類、尿素、フェニル尿素、ジフェニル尿素、チオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素等の尿素及びチオ尿素類、イソチオ尿素類、スルホニル尿素類、チオフェノール、アリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール類、ベンジルスルフィド、ブチルメチルスルフィド等のスルフィド類、ジブチルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、フェニルスルホン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、ヘキサブロモジメチルスルホン、ジヨードメチルパラトリルスルホン等のスルホン類、チオシアン酸メチルエステル、イソチオシアン酸メチルエステル等のチオシアン酸類及びイソチオシアン酸類、グリシン、アラニン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン等のアミノ酸類、アミド及びウレタン化合物類、酸無水物類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルカン類、アルケン類、アルキン類、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のイソシアネート類、メチレンビスチオシアネート、メチレンビスイソチオシアネート等のチオシアネート類及びイソチオシアネート類、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン等のニトロ化合物類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アルキル−t−モノアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、グアニジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール等の非環式脂肪族アミン類、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピロリジン類、アゼチジン類、ピペリジン類、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン等のピペラジン類、ピロリン類等の環式脂肪族アミン類、アニリン、N―メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キレンジアミン等の芳香族アミン類、エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン等の変性ポリアミン類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ピロール、ピリジン、ピコリン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアジン、テトラゾール、プリン、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、ベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノキサリン、フタルイミド、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、N−メチルピロリドン、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド等の含窒素複素環化合物、フラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアミン、ピラン、クマリン、ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾジオキサン等の含酸素複素環化合物、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、5−メチルオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,4′−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン等の含窒素及び酸素複素環化合物、チオフェン、3,3,4,4−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等の含硫黄複素環化合物、チアゾール、ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール等の含窒素及び硫黄複素環化合物、コレステロール等のステロイド類、ブルシン、キニン、テオフィリン等のアルカロイド類、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、メントン、オイゲノール、リナロール、ジメチルオクタノール等の天然精油類、キンモクセイ、ジャスミン、レモン等の合成香料類、アスコルビン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミン及び関連化合物等を例示することができる。
【0028】
本発明の分子化合物は、一般式(I)で表されるトリアジン誘導体と、かかる誘導体と分子化合物を形成する前記のような物質とを直接混合するか、或いは溶媒中で混合することにより得ることができる。また、低沸点の物質或いは蒸気圧の高い物質の場合は、本発明のトリアジン誘導体にこれら物質の蒸気を作用させることにより目的とする分子化合物を得ることができる。更に、まず本発明のトリアジン誘導体とある物質との分子化合物を生成させ、この分子化合物と別の物質とを上記のような方法で反応させることにより目的とする分子化合物を得ることができる。
【0029】
これらの方法により得られた物質が確かに分子化合物であることは、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、固体NMRスペクトル等により確認することができる。また、分子化合物の組成は熱分析、 1HNMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【0030】
本発明の分子化合物はその生成条件により、これを構成する各成分化合物の比率が変化することがある。また、本発明のトリアジン誘導体に対して、二種類以上の物質を反応させることにより、三成分以上の多成分からなる分子化合物を得ることもできる。
【0031】
本発明の分子化合物は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化等の機能の点、及び一定の組成の分子化合物を安定的に製造するなどの目的から、特に結晶性であることが好ましい。この際、同一の分子化合物であっても結晶多形をとることがある。結晶性の確認は主にX線回折パターンを調べることによりできる。また結晶多形の存在は熱分析、X線回折パターン、固体NMR等により確認できる。
【0032】
本発明の分子化合物の使用形態には特に制限はなく、例えばそれぞれ異なる成分化合物で構成された二種類以上の分子化合物を混合して使用することができる。また、本発明の分子化合物は目的とする機能を損なわない限り、他の物質を併用して使うことができる。本発明の分子化合物に賦形剤等を与え、顆粒や錠剤を成形して使用することもできる。更に、樹脂、塗料、並びにそれらの原料や原料組成物中に添加して使用することもできる。本発明の分子化合物はそのまま有機合成の原料として使用したり、分子化合物を特異的な反応場として使用することもできる。
【0033】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0034】
実施例1
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。また同様の操作により2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。更に、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン5gにトルエン100mlを添加し、懸濁した状態で1時間加熱還流し、24時間室温で放置した後、固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジンとトルエンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。アセトン、1,4−ジオキサン及びトルエンの沸点が大気圧下でそれぞれ56℃、101℃及び110℃であるのに対して、本分子化合物はアセトンの場合123℃、ジオキサンの場合146℃、またトルエンの場合151℃でそれぞれアセトン、ジオキサン及びトルエンを放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0035】
実施例2
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ブトキシ−1,3,5−トリアジン(融点136〜140℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ブトキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物が結晶性であることを確認した。本分子化合物はジオキサンを91℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
なお、本分子化合物の熱分析チャート(TG及びDTA)を第1図に示した。
【0036】
実施例3
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヘキシルオキシ−1,3,5−トリアジン(融点132〜135℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヘキシルオキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。また、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヘキシルオキシ−1,3,5−トリアジン5gにトルエン100mlを添加し、懸濁した状態で1時間加熱還流し、24時間室温で放置した後、固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヘキシルオキシ−1,3,5−トリアジンとトルエンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物は、ジオキサンを51℃、トルエンを57℃でそれぞれ放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0037】
実施例4
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−メトキシエチルオキシ−1,3,5−トリアジン(融点174〜176℃)5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−メトキシエチルオキシ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。また同様の操作により2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−メトキシエチルオキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物は、アセトンを111℃、ジオキサンを120℃でそれぞれ放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0038】
実施例5
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン(融点159〜161℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:2(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物が結晶性であることを確認した。本分子化合物は、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン1分子に対して1,4−ジオキサンを122℃で1分子を放出し、続いて222℃で残りの1分子を放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0039】
実施例6
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヒドロキシエチルアミノ−1,3,5−トリアジン(融点149〜153℃)5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヒドロキシエチルアミノ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。また、同様の操作により、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ヒドロキシエチルアミノ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物は、アセトン及びジオキサンをそれぞれ164℃及び146℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0040】
実施例7
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン(融点150〜155℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。更に、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン5gにトルエン100mlを添加し、懸濁した状態で1時間加熱還流し、24時間室温で放置した後、固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジンとトルエンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物はジオキサンを75℃、トルエンを120℃でそれぞれ放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0041】
実施例8
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン(融点199〜203℃)5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。また、同様の操作により、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物は、アセトン及びジ1,4−ジオキサンをそれぞれ101℃及び111℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0042】
実施例9
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−フェニルアミノ−1,3,5−トリアジン(融点211〜214℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−フェニルアミノ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:2(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物が結晶性であることを確認した。本分子化合物は、ジオキサンを84℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0043】
実施例10
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジン(融点123〜125℃)5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。同様にして、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。また、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジン5gにクロロホルム100mlを添加し、懸濁した状態で1時間加熱還流し、24時間室温で放置した後、固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジンとクロロホルムの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。同様の操作により、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1,3,5−トリアジンとトルエンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物はアセトン、1,4−ジオキサン、クロロホルム及びトルエンをそれぞれ65℃、115℃、80℃及び90℃でそれぞれ放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0044】
実施例11
2,4−ビス[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン5gにアセトン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:0.5(モル比)から成る分子化合物を得た。同様にして、2,4−ビス[4−(2−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ]−6−(メトキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。これらのものがそれぞれ前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物は、アセトン及びジオキサンを60℃及び105℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0045】
実施例12
2,4−ビス[4−(ジメチル−[4−ヒドロキシフェニル]メチル)フェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(融点170〜172℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(ジメチル−[4−ヒドロキシフェニル]メチル)フェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンとアセトンの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物が結晶性であることを確認した。本分子化合物は、ジオキサンを98℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
【0046】
実施例13
2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルチオ)−2−メチルフェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(融点163〜165℃)5gに1,4−ジオキサン100mlを添加し、1時間加熱還流して溶解させた。24時間室温で放置した後、析出した固形物を濾過、続いて室温で1時間減圧(20mmHg)乾燥し、2,4−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルチオ)−2−メチルフェニルオキシ]−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンと1,4−ジオキサンの組成比率1:1.5(モル比)から成る分子化合物を得た。このものが前記の組成の分子化合物であることは熱分析(TG/DTA)、 1HNMR及びX線回折パターンにより確認した。またX線回折パターンから本分子化合物がいずれも結晶性であることを確認した。本分子化合物はジオキサンを96℃で放出した。
このように本発明の分子化合物は、室温で液体である物質を固体結晶化することができ、また加熱による揮発の制御も可能である。
なお、本分子化合物の熱分析チャート(TG及びDTA)を第2図に示した。
【0047】
【発明の効果】
本発明の新規な分子化合物は、簡単な操作で調製できる上に、種々の物質について化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの機能を付与することができ、また特定物質の選択分離や回収を行うことができる。更に本発明の分子化合物は種々の物質と併用して使用することができ、また各種の形態で用いることもできる。従って、本発明は非常に広範な分野で利用可能であり、産業上における意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2に記載された本発明の分子化合物の熱分析(TG/DTA)チャートを示す図である。
【図2】実施例13に記載された本発明の分子化合物の熱分析(TG/DTA)チャートを示す図である。
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