JP4801266B2 - 新規硫黄含有化合物及び該化合物を成分化合物とする分子化合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規硫黄含有化合物、該硫黄含有化合物を成分化合物とする分子化合物等に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子化合物は、二種以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離する性質を有することから、近年、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
【0003】
具体的な分子化合物の一例として包接化合物が挙げられ、例えば特開平6−166646号公報にはテトラキスフェノール類と種々の有機化合物との包接化合物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術では熱やpHなどの外的要因の変化により壊れやすい、溶液中では容易に解離してしまうなどの問題点から、選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等において十分満足できる性能を持った分子化合物は未だ見い出されていない。
本発明の課題は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技術分野において優れた性能を示す新規な分子化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決すべく鋭意研究をした結果、、トリフェニルまたはテトラキスフェニルチオ骨格を有する新規硫黄含有化合物誘導体が有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化等の技術分野において優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、式(I)
【化7】
Figure 0004801266
[式(I)中、
Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、塩素原子、臭素原子を表し、
mは0、1、2の整数を表し、
Zは式(II)〜式(V)
【化8】
Figure 0004801266
(式(II)〜式(V)中、R、mは前記と同様であり、
Wは水素原子、置換されていてもよいC1〜C6アルキル基を表し、
Yは直結合、炭素数1〜3のアルキレン基、またはフェニレン基を表す。)を表す。]で表される硫黄含有化合物に関する。
【0007】
更に上記式(I)で表わされる硫黄含有化合物を成分化合物とする包接化合物等の分子化合物や、該硫黄含有化合物と、該硫黄含有化合物と反応して分子化合物を形成する抗菌剤、抗カビ剤、殺虫剤、害虫忌避剤、香料、脱臭・消臭剤、防汚剤、塗料・樹脂・接着剤用硬化剤及び硬化促進剤、天然精油、酸化防止剤、加硫促進剤又は有機溶媒とを成分化合物とする上記包接化合物等の分子化合物に関する。
【0008】
本発明における分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の二種以上の成分化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物などが含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)で表される硫黄含有化合物において、Rで表される置換基としては、例えば、水素原子、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のC1〜C6のアルキル基、アリル基、ビニル基、2−ブテニル基、1−メチルアリル基等のアルケニル基、フェニル基、2−ピリジル基、1,3−ジメチル−5−ピラゾール基等のアリール基、塩素原子、臭素原子などを具体的に挙げることができる。
【0010】
また、上記C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、アリール基は更に、シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基等のアリール基で置換されていてもよい。
式(I)、式(VI)、式(VII)中のZを表す式(II)〜式(V)において、Rとしては上記と同様の置換基を例示することができ、Wとしては例えば、水素原子、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のC1〜C6のアルキル基を具体的に挙げることができ、これらは更にフッ素原子、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0011】
Yとしては直結合、メチレン、エチレン、プロピレン等の炭素数1〜3のアルキレン基、またはフェニレン基を挙げることができる。また、フェニレン基における置換位置は、特に制限されず、1,2−位、1,3−位、1,4−位いずれの置換位置でもとることができる。また、フェニレン基上には、必要な結合位置以外に置換基を有することもできる。
本発明の式(VI)、式(VIII)において、R’としては前記したRと同様の置換基を例示することができる。
【0012】
そして、本発明の式(I)で表される硫黄含有化合物のうち、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの性能の点から、式(VI)、特に一般式(VIII)で表わされる化合物が好ましい。又式(VII)で表される化合物は包接能があるだけでなく、式(VI)で表わされる化合物の中間体としても有用である。
【0013】
本発明の化合物は以下の製造方法によって得ることができる。
(反応1)
【化9】
Figure 0004801266
【0014】
式(I)で表わされる化合物のうち、式(VII)で表わされる化合物は対応するフェニルアルカンもしくはフェニルアルケンをジクロルメタン等の有機溶媒中、室温でクロルスルホン化させることにより得ることができる。この場合、Zは、前記した式(II)〜(V)と同様の置換基を表すが、式(II)〜(V)中フェニル基上の置換基S(O)mRがなくても構わない。
【0015】
(反応2)
【化10】
Figure 0004801266
【0016】
式(I)で表わされる化合物のうち、Rが水素原子、mが0で表される化合物は、反応1により得られた式(VII)で表わされる化合物をLiAlH4、NaBH4等の還元剤でTHF等の有機溶媒中、還元することにより得ることができる。
【0017】
(反応3)
【化11】
Figure 0004801266
【0018】
式(I)で表わされる化合物のうち、Rが置換基を有していてもよいC1〜C6のアルキル基、mが0で表わされる化合物は(反応2)で得られた化合物を水、アルコール、エーテル、THF等の溶媒中、アルコラート、金属水素化物、有機金属、金属水酸化物等の塩基の存在下、ハロゲン化アルキル等でアルキル化することにより得ることができる。またメルカプト基がジスルフィドを形成している場合は、NaBH4等の還元剤で処理してからアルキル化を行うことができる。
【0019】
(反応4)
【化12】
Figure 0004801266
【0020】
式(I)で表わされる化合物のうち、Rが置換基を有していてもよいC1〜C6アルキル基であり、mが1または2の化合物は、(反応3)で得られた化合物を適した溶媒中で、過酸化水素水またはm−クロロ過安息香酸等の酸化剤で酸化することにより得ることができる。
【0021】
(反応5)
【化13】
Figure 0004801266
【0022】
Zが式(V)で表わされる化合物のうち、Yが直結合の化合物については、まずZが式(IV)で表わされる化合物を(反応2)により合成した後に、アルカリ金属等の還元剤により還元してもよい。
【0023】
(反応6)
【化14】
Figure 0004801266
【0024】
Rが異なる化合物については例えば以下のように合成することができる。
まず、(反応3)においてハロゲン化アルキルとしてシアノエチルブロマイド等を用いてチオール基をすべてシアノエチルチオ基にした後、置換したい置換基数に相当する当量分のCsOHと過剰のヨウ化アルキル等を加えると、シアノエチル基の一部をアルキル基等で置換することができる。
ここに過剰のCsOHを加え加水分解し、酸を加えるとシアノエチルチオ基をチオール基に変換することができる。
以上のような操作により、チオール基に部分的に目的の置換基を導入することが可能である。例えば、メチル基を1ヵ所に導入したい場合は上記のようになる。
【0025】
このようにして合成することができる化合物を第1表〜第4表に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004801266
【0027】
【表2】
Figure 0004801266
【0028】
【表3】
Figure 0004801266
【0029】
【表4】
Figure 0004801266
【0030】
【表5】
Figure 0004801266
【0031】
【表6】
Figure 0004801266
【0032】
本発明において、式(I)で表される硫黄含有化合物と分子化合物を形成する物質は、かかる硫黄含有化合物と分子化合物を形成し得るものであればどのようなものでもよく、具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、α−ブロムシンナムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン等のケトン類、アセトニトリル、アクリロニトリル、n−ブチロニトリル、マロノニトリル、フェニルアセトニトリル、ベンゾニトリル、シアノピリジン、2,2−ジブロモメチルグルタルニトリル、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、トリオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−ヘプチルアセテート、ビス−1,4−ブロモアセトキシ−2−ブテン等のエステル類、ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジシアンジアミド、ジブロムニトリルプロピオンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、N,N−ジエチル−m−トルアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ε−カプロラクタム等のラクタム類、ε−カプロラクトン等のラクトン類、アリールグリシジルエーテル等のオキシラン類、モルホリン類、
【0033】
フェノール、クレゾール、レゾルシノール、p−クロロ−m−クレゾール等のフェノール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等のカルボン酸類及びチオカルボン酸類、スルファミン酸類、チオカルバミン酸類、チオセミカルバジド類、尿素、フェニル尿素、ジフェニル尿素、チオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素等の尿素及びチオ尿素類、イソチオ尿素類、スルホニル尿素類、チオフェノール、アリルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン等のチオール類、ベンジルスルフィド、ブチルメチルスルフィド等のスルフィド類、ジブチルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、フェニルスルホン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、ヘキサブロモジメチルスルホン、ジヨードメチルパラトリルスルホン等のスルホン類、チオシアン酸メチルエステル、イソチオシアン酸メチルエステル等のチオシアン酸類及びイソチオシアン酸類、グリシン、アラニン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン等のアミノ酸類、アミド及びウレタン化合物類、酸無水物類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルカン類、アルケン類、アルキン類、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等のイソシアネート類、メチレンビスチオシアネート、メチレンビスイソチオシアネート等のチオシアネート類及びイソチオシアネート類、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン等のニトロ化合物類、
【0034】
アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アルキル−t−モノアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、グアニジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール等の非環式脂肪族アミン類、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピロリジン類、アゼチジン類、ピペリジン類、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン等のピペラジン類、ピロリン類等の環式脂肪族アミン類、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キレンジアミン等の芳香族アミン類、エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン等の変性ポリアミン類、
【0035】
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−n−プロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−1H−イミダゾール、2−ヘプタデシル−1H−イミダゾール、2−フェニル−1H−イミダゾール、4−メチル−2−フェニル−1H−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ピロール、ピリジン、ピコリン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリアジン、テトラゾール、プリン、インドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、イミダゾリン、ピロリン、オキサゾール、ピペリン、ピリミジン、ピリダジン、ベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノキサリン、フタルイミド、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、N−メチルピロリドン、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド等の含窒素複素環化合物、
【0036】
フラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアミン、ピラン、クマリン、ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾジオキサン等の含酸素複素環化合物、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、5−メチルオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,4′−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン等の含窒素及び酸素複素環化合物、チオフェン、3,3,4,4−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等の含硫黄複素環化合物、チアゾール、ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−チオシアノメチルベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、トリフェニルまたはテトラキスフェニル骨格を有する硫黄含有化合物誘導体を成分化合物とする2−チオシアノメチルベンゾチアゾール等の含窒素及び硫黄複素環化合物、コレステロール等のステロイド類、ブルシン、キニン、テオフィリン等のアルカロイド類、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、メントン、オイゲノール、リナロール、ジメチルオクタノール等の天然精油類、キンモクセイ、ジャスミン、レモン等の合成香料類、アスコルビン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のビタミン及び関連化合物等を例示することができる。
【0037】
本発明の分子化合物は、式(I)で表される硫黄含有化合物と、かかる硫黄含有化合物と分子化合物を形成する前記のような物質とを直接混合するか、あるいは溶媒中で混合することにより得ることができる。また、低沸点の物質あるいは蒸気圧の高い物質の場合は、本発明のカルボン酸誘導体にこれら物質の蒸気を作用させることにより目的とする分子化合物を得ることができる。そしてまた、本発明のカルボン酸誘導体に対して、二種類以上の物質を反応させることにより、三成分以上の多成分からなる分子化合物を得ることもできる。さらに、本発明のカルボン酸誘導体とある物質との分子化合物をまず生成させ、この分子化合物と別の物質とを上記のような方法で反応させることにより目的とする分子化合物を得ることもできる。
【0038】
本発明の分子化合物はその生成条件により、これを構成する各成分化合物の比率が変化することがあるが、上記方法により得られた物質が確かに分子化合物であることは、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン、固体NMRスペクトル等により確認することができる。また、分子化合物の組成は熱分析、1H−NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確認することができる。
【0039】
本発明の分子化合物は、有用物質の選択分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化等の機能の点、及び一定の組成の分子化合物を安定的に製造するなどの目的から、結晶性であることが好ましく、特に結晶性の包接化合物であることがより好ましい。この際、同一の分子化合物であっても結晶多形をとることがある。結晶性の確認は主にX線回折パターンを調べることによりできる。また結晶多形の存在は熱分析、X線回折パターン、固体NMR等により確認できる。ここで、包接化合物とは、原子又は分子が結合してできた三次元構造の内部に適当な大きさの空孔があり、その中に他の原子又は分子が非共有結合的な相互作用により一定の組成比で入り込んだ物質を指す。ここで、空孔は必ずしも包接化合物を構成する一方の成分化合物が単独で形成する必要はなく、二つの成分化合物から包接化合物ができる際にのみ形成されるものでもよい。
【0040】
本発明の分子化合物の使用形態には特に制限はなく、例えばそれぞれ異なる成分化合物で構成された二種類以上の分子化合物を混合して使用することができる。また、本発明の分子化合物は目的とする機能を損なわない限り、他の物質と併用して使うことができる。本発明の分子化合物に賦形剤等を与え、顆粒や錠剤に成形して使用することもできる。更に、樹脂、塗料、並びにそれらの原料や原料組成物中に添加して使用することもできる。本発明の分子化合物はそのまま有機合成の原料として使用したり、分子化合物を特異的な反応場として使用することもできる。
【0041】
例えば、一般式(I)で表される硫黄含有化合物をホスト化合物とし、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系殺菌剤、ヒノキチオール、1,8−シネオール等の抗菌・殺虫・防虫剤、ローズマリー等の香料、イソチアゾロン系化合物等の防汚剤、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のエポキシ樹脂用硬化剤及び1,8−ジアザビシクロ(4,5,0)ウンデセン−7等のエポキシ樹脂用硬化促進剤などの触媒、又はトルエン、キシレン、ピリジン等の有機溶媒をゲストとした包接化合物は、ゲスト化合物が本来有する作用の他に、徐放性、皮膚刺激性の軽減、化学的安定化、不揮発化、粉末化、有用物質の選択分離等の機能が新たに付与され、新しい特性を有する殺菌剤、抗菌剤、殺虫・防虫剤、香料、防汚剤、エポキシ樹脂用硬化剤等の触媒、有機溶媒として極めて有用である。
【0042】
また、本発明の式(I)で表される硫黄含有化合物は2座配位子としても機能するため、金属イオンと配位化合物を形成することができる。かかる硫黄含有化合物と配位化合物を形成する金属イオンとしては例えば、金、白金、銅、亜鉛、ニッケル、鉄等を例示することができる。
【0043】
なお、本発明の硫黄含有化合物は、自己集積単分子膜の形成が可能であり、かつ金属との結合が可能なことから、金属の超微粒子固定化膜の作成に利用する事ができる。超微粒子金属層膜は電子デバイス作成技術、特に電子デバイスの接着材料への利用が可能である。
また、撥水性の置換基を導入した自己集積単分子膜は超微細構造を有する装置の撥水処理に利用することができる。
この他にも、リソグラフィへの利用や、ポリイミドの代替としての配向膜への利用も可能である。
【0044】
以下、本発明を実施例に従ってさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
また得られた物質が配位化合物であることは、熱分析(TG及びDTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パターン等により確認することができる。また、配位化合物の組成は熱分析、原子吸光分析、元素分析等により確認することができる。
【0045】
【実施例】
実施例1
1,1,2,2−テトラキス(4−クロロスルホニルフェニル)エチレンの合成(化合物No.5)
窒素雰囲気下、撹拌子の入った100mL3つ口丸底フラスコに無水ジクロロメタン30mL、クロロ硫酸6mL(90.6mmol)を加え、続いて氷浴下攪拌しながらテトラフェニルエチレン3324mg(10mmol)を3回にわけて10分ごとに添加した。この時、塩化水素の発生が確認された。添加が終了し10分氷浴下攪拌した後、室温で24時間攪拌した。反応溶液を飽和食塩水50mLに注意深く注ぎ込み、さらに反応容器に残留する固形物も飽和食塩水で洗い流した。この集めた水溶液からTHFで抽出した(100mL×5)。無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、硫酸マグネシウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル10gを加え、溶媒を留去後、1時間真空乾燥(0.2Torr)し、シリカゲルに生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=40mm、Height=50mm、展開溶媒:クロロホルム)で精製、引き続くTHFによる再結晶で目的化合物1,1,2,2-テトラキス(4-クロロスルホニルフェニル)エチレンとTHFとの1:1錯体として無色結晶、2350mg(2.94mmol)、29%の収率で得た。THFを除去した1,1,2,2-テトラキス(4-クロロスルホニルフェニル)エチレンを必要とする時はこの錯体を120℃加熱下2時間真空乾燥(0.2Torr)し、目的化合物を得た。
【0046】
実施例2
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エチレンの合成(化合物No.4)
撹拌子の入った100mL丸底フラスコに1,1,2,2-テトラキス(4-クロロスルホニルフェニル)エチレン-THF1:1錯体799mg(1mmol)、無水塩化カルシウムで予備乾燥したTHF50mLを加え攪拌し、基質を溶解させた。氷浴で冷却し攪拌しながら水素化アルミニウムリチウム760mg(20mmol)を徐々に添加した。添加終了後、冷却管を取り付け加温し、12時間還流下攪拌した。反応溶液を注意深く氷水50mLに注ぎ込み、引き続き塩酸で酸性化した(pH<<1)。この溶液からジクロロメタンにより抽出し(50mL×3)、引き続きこのジクロロメタン溶液から1M水酸化ナトリウム水溶液により抽出(50mL×3)、さらにこの水溶液を塩酸で酸性化し(pH<<1)、ジクロロメタンにより抽出した(50mL×3)。無水硫酸ナトリウムにより十分脱水し、硫酸ナトリウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:四塩化炭素)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル2gを加え溶媒を留去しシリカゲルに生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=25mm、Height=50mm、展開溶媒:四塩化炭素)で精製、引き続く四塩化炭素による再結晶で目的化合物1,1,2,2-テトラキス(4-メルカプトフェニル)エチレンを淡黄色結晶として、399mg(0.866mmol)、87%の収率で得た。
【0047】
実施例3
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エタンの合成(化合物No.8)
窒素雰囲気下、撹拌子、1,1,2,2-テトラキス(4-メルカプトフェニル)エチレン124mg(0.269mmol)の入った20mL枝付き丸底フラスコに無水THFを加え基質を溶解させた。これを-78℃まで冷却し、液体アンモニア10mLを加え引き続き攪拌しながら金属ナトリウム49mg(2.15mmol)を加え、反応溶液が濃青色になることを確認した(ならない場合は液体アンモニアをたした。)。-78℃で1時間攪拌した後、塩化アンモニウム115mg(2.15mmol)を加え、徐々に加温し液体アンモニアを蒸発させた。反応溶液に水10mLを加えた後、塩酸で酸性化した(pH<<1)。この溶液からジクロロメタンにより抽出し(20mL×3)、引き続きこのジクロロメタン溶液から1N水酸化ナトリウム水溶液により抽出(20mL×3)、さらにこの水溶液を塩酸で酸性化し(pH<<1)、ジクロロメタンにより抽出した(20mL×3)。無水硫酸ナトリウムにより十分脱水し、硫酸ナトリウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により生成物を生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル1gを加え溶媒を留去しシリカゲルに生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=15mm、Height=50mm、展開溶媒:クロロホルム)で精製、引き続くクロロホルムによる再結晶で目的化合物1,1,2,2-テトラキス(4-メルカプトフェニル)エタンを無色結晶として、81mg(0.175mmol)、65%の収率で得た。
【0048】
実施例4
1,1,2,2−テトラキス(4−クロロスルホニルフェニル)メタンの合成(No.9)
窒素雰囲気下、撹拌子の入った100mL3つ口丸底フラスコに無水ジクロロメタン30mL、クロロ硫酸6mL(90.6mmol)を加え、続いて氷浴下攪拌しながらテトラフェニルメタン3204mg(10mmol)を3回にわけて10分ごとに添加した。この時、塩化水素の発生が確認された。添加が終了し10分氷浴下攪拌した後、室温で24時間攪拌した。反応溶液を飽和食塩水50mLに注意深く注ぎ込み、さらに反応容器に残留する固形物も飽和食塩水で洗い流した。この集めた水溶液からTHFで抽出した(100mL×5)。無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、硫酸マグネシウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル10gを加え、溶媒を留去後、1時間真空乾燥(0.2Torr)し、シリカゲルに生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=40mm、Height=50mm、展開溶媒:クロロホルム)で精製、引き続くTHFによる再結晶で目的化合物1,1,2,2-テトラキス(4-クロロスルホニルフェニル)メタンとTHFとの1:0.75錯体として無色結晶、974mg(1.36mmol)、14%の収率で得た。
【0049】
実施例5
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)メタン(化合物No.10)
撹拌子の入った100mL丸底フラスコに1,1,2,2-テトラキス(4-クロロスルホニルフェニル)メタン-THF1:0.75錯体315mg(0.410mmol)、無水塩化カルシウムで予備乾燥したTHF20mLを加え攪拌し、基質を溶解させた。氷浴で冷却し攪拌しながら水素化アルミニウムリチウム304mg(8mmol)を徐々に添加した。添加終了後、冷却管を取り付け加温し、14.5時間還流下攪拌した。反応溶液を注意深く氷水50mLに注ぎ込み、引き続き塩酸で酸性化した(pH<<1)。この溶液からジクロロメタンにより抽出し(50mL×3)、引き続きこのジクロロメタン溶液から1N水酸化ナトリウム水溶液により抽出(50mL×3)、さらにこの水溶液を塩酸で酸性化し(pH<<1)、ジクロロメタンにより抽出した(50mL×3)。無水硫酸ナトリウムにより十分脱水し、硫酸ナトリウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:四塩化炭素)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル1gを加え溶媒を留去しシリカゲルに生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=20mm、Height=50mm、展開溶媒:四塩化炭素)で精製、引き続く四塩化炭素による再結晶で目的化合物1,1,2,2-テトラキス(4-メルカプトフェニル)メタンを無色結晶として、133mg(0.296mmol)、72%の収率で得た。
【0050】
実施例6
1,1,2,2−テトラキス(4−シアノエチルチオフェニル)エチレンの合成(化合物No.11)
実施例2で作成した1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エチレン0.5mmolをTHF30mlに加え、氷浴下攪拌しながら水素化ナトリウム(4.0mmol)160mg、3−ブロモプロピオニトリル(4.0mmol)0.35mlを加えた後、85℃で24h還流した。溶媒を留去し、氷冷水を加え、塩酸で反応液を酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで脱水した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=40mm、Height=50mm、展開溶媒:エチルアセテート:クロロホルム=1:15)で精製し、クロロホルム、四塩化炭素から再結晶して目的化合物を得た。
【0051】
以上のようにして得られた化合物、および同様にして得られた化合物を第5表に示す。
【0052】
【表7】
Figure 0004801266
【0053】
【表8】
Figure 0004801266
【0054】
【表9】
Figure 0004801266
【0055】
【表10】
Figure 0004801266
【0056】
実施例7
1,1,2,-トリス(4-シアノエチルチオフェニル)-2-(4-メチルチオフェニル)エチレンの合成(化合物No.12)
撹拌子の入った200mL丸底フラスコに化合物1,1,2,2-テトラキス (4-シアノエチルチオフェニル)エチレン336mg (0.5mmol)、アセトニトリル50mLを加え撹拌し、基質を溶解させる。引き続き水酸化セシウム75mg (0.5mmol)をメタノール10mLに溶解させた溶液をアセトニトリル50mLに加え、この溶液を滴下漏斗を用いて1.5時間かけてゆっくりと滴下する。室温で1時間撹拌後、ヨウ化メチル0.7mL(11mmol)を滴下し、さらに1時間撹拌した。反応溶液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液50mLに注ぎ込み、ジクロロメタンにより抽出する(50mL×3)無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し硫酸マグネシウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Mobile phase:酢酸エチル:クロロホルム=1:15)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル2gを加え溶媒を除去しシリカゲルに生成物を吸着さる。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=25mm, Height=80mm, Mobile phase: 酢酸エチル:クロロホルム=1:15)で精製、1,1,2,-トリス(4-シアノエチルチオフェニル)-2-(4-メチルチオフェニル)エチレンを黄色の結晶として56%の収率で得た。
【0057】
Yellow crystals; mp. 117.5 0C;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.44 ( s, 3H, CH3), 2.57 ( t, J = 7.3 Hz, 2H, CH2), 2.580 ( t, J = 7.2 Hz, 2H, CH2), 2.584 ( t, J = 7.2 Hz, 2H, CH2), 3.10 ( t, J = 7.1 Hz, 6H, CH2), 6.89 ( d, J = 8.5 Hz, 2H, ArH), 6.95 ( d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH),6.96 ( d, J = 8.2 Hz, 2H, ArH), 6.98 ( d, J = 8.2 Hz, 2H, ArH), 6.99 ( d, J = 8.5 Hz, 2H, ArH), 7.138 ( d, J = 8.2 Hz, 2H, ArH), 7.145 ( d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.15 ( d, J = 8.2 Hz, 2H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 15.2, 18.1, 18.16, 18.19, 29.74, 29.77, 117.85, 117.89, 125.4, 130.15, 130.23, 130.28, 131.6, 131.8, 131.93, 131.96, 132.11, 132.13, 132.2, 137.6, 139.2, 139.3, 140.6, 142.4, 142.5;
IR (KBr) 3446, 2923, 2250 (CN),1590, 1492, 1418, 1398, 1283, 1090, 1013, 957, 826, 799, 739, 572, 403 cm-1.
【0058】
実施例8
1,1,2,-トリス(4-メルカプトフェニル)-2-(4-メチルチオフェニル)エチレンの合成(化合物No13)
撹拌子の入った50mL丸底フラスコに実施例7で調整した化合物No12 127mg (0.2mmol)、アセトニトリル30mLを加え撹拌し、基質を溶解させる。引き続き水酸化セシウム270mg(1.8mmol)をメタノール5mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応溶液を塩酸で酸性化した(Ph<1)水に注ぎ込み、ジクロロメタンにより抽出する(50mL*3)。ひきつづきこのジクロロメタン溶液から1M水酸化ナトリウム水溶液により抽出(50mL×3)、さらにこの水溶液を塩酸で酸性化し(Ph<1)、ジクロロメタンにより抽出する。(50mL×3)無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し硫酸マグネシウム濾別後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Mobile phase:クロロホルム)により生成物を確認したのち、この溶液にシリカゲル2gを加え溶媒を除去しシリカゲルに生成物を吸着させる。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=25mm, Height=50mm, Mobile phase: クロロホルム)で精製、1,1,2,-トリス(4-メルカプトフェニル)-2-(4-メチルチオフェニル)エチレンを黄色の結晶として27%の収率で得た。
【0059】
Yellow crystals; mp. 215.8 oC;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.42 ( s, 3H, CH3), 3.37 ( s, 1H, SH), 3.38 ( s, 2H, SH), 6.83-6.89 ( m, 8H, ArH), 6.96-6.7.01 ( m, 8H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 15.3, 125.5, 128.8 (2C), 129.06, 129.08, 131.7, 132.0 (2C), 136.9, 139.2, 139.7, 139.9, 140.86, 140.88;
IR (KBr) 3449, 2920, 2559 (SH), 1591, 1492, 1399, 1184, 1096, 1016, 862, 818, 797, 739, 524, 499 cm-1.
【0060】
実施例9
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エタンを成分化合物とする分子化合物の製造
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エタン0.13gをピリジン3mlに加熱溶解した後、室温で24時間放置した。析出した結晶を濾取し、40℃下で1時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エタンとピリジンとの組成比率1:3(モル比)から成る分子化合物を得た。次にピリジンの代わりにN,N−ジメチルホルムアミドを使用し、同様の操作を行ったが、室温で24時間放置した後は、減圧下でN,N−ジメチルホルムアミドを留去し、残査について更に80℃で1時間ロータリー真空ポンプを用いて減圧乾燥し、1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エタンとN,N−ジメチルホルムアミドとの組成比率1:1(モル比)から成る分子化合物を得た。
【0061】
【発明の効果】
本発明の新規硫黄含有化合物を成分とする分子化合物は、簡単な操作で調製できる上に、種々の物質について化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの機能を付与することができ、また特定物質の選択分離や回収を行うことができる。また、本発明の化合物による自己集積単分子膜は電子デバイス作成技術への応用が可能である。従って、本発明は非常に広範な分野で利用可能であり、産業上における意義は極めて大きい。

Claims (7)

  1. 式(I)で表される硫黄含有化合物。
    Figure 0004801266
    [式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC1〜C6アルキル基;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC2〜C6アルケニル基;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基、塩素原子または臭素原子を表し、mは1または2の整数を表し、Zは下記式(III)〜式(V)
    Figure 0004801266
    (式(III)〜式(V)中、R、mは前記と同様であり、Wは水素原子;またはハロゲン原子を有していてもよいC1〜C6アルキル基を表し、Yは直結合、炭素数1〜3のアルキレン基、またはフェニレン基を表す。)を表す。]
  2. 式(VI)で表される硫黄含有化合物。
    Figure 0004801266
    [式(VI)中、R’はそれぞれ独立して、水素原子;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC1〜C6アルキル基;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC2〜C6アルケニル基;またはシアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基を表し、Zは式(III)または式(V)
    Figure 0004801266
    (式(III)及び式(V)中、W、Yは請求項1における定義と同様であり、RはR’を表わし、mは0を表わす。)を表す。]
  3. 式(VII)で表される硫黄含有化合物。
    Figure 0004801266
    [Zは、式(II)〜式(V)
    Figure 0004801266
    (式(II)〜(V)中、W、Yは請求項1における定義と同様であり、Rは塩素原子を表わし、mは2を表わす。)を表す。]
  4. 式(VIII)で表される硫黄含有化合物。
    Figure 0004801266
    [R’は請求項2における定義と同様である。]
  5. 式(IX)で表される硫黄含有化合物。
    Figure 0004801266
  6. 式(I)で表される硫黄含有化合物であることを特徴とする分子化合物用成分。
    Figure 0004801266
    [式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC1〜C6アルキル基;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいC2〜C6アルケニル基;シアノ基またはハロゲン原子を有していてもよいアリール基、塩素原子または臭素原子を表し、mは0、1、2の整数を表し、Zは下記式(II)〜式(V)
    Figure 0004801266
    (式(II)〜式(V)中、R、mは前記と同様であり、Wは水素原子;またはハロゲン原子を有していてもよいC1〜C6アルキル基を表し、Yは直結合、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基を表す。)を表す。]
  7. 分子化合物が包接化合物であることを特徴とする請求項6記載の分子化合物用成分。
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