JP5133087B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置の製造方法及び露光用マスクへのパターン形成方法に係り、例えば、マスク上のパターンをウェハに転写する際、及びその後のウェハプロセスで生じる寸法誤差を、マスク上のパターンの寸法を場所毎に調整しておくことによって補正し、パターンを形成し、半導体装置を製造する方法に関する。特にここで言う寸法誤差は、ある図形、或いは図形群の影響が、離れた場所に存在する図形の寸法に影響を及ぼす場合の誤差を想定したものである。
LSIを製作する際は、マスク描画装置などを用いて、まず露光用マスクを作成する。そして、次に、光スキャナやステッパを用いて、露光用マスク上のパターンをシリコンウェハ(Siウェハ)上のレジストに転写する。この後、現像、エッチング等の各種行程を経て、1層のパターンを作成する。このようなパターン作成行程を数10回、繰り返してLSIが製造される。現在、マスクの描画には、主として、電子線露光装置が利用されるが、光が利用される場合もある。また、マスク上のパターンを転写する装置は、上述の通り、現在光が利用され、その波長は193nm程度であるが、波長10nm程度極端紫外光(EUV)や電子線やX線を利用する技術も研究されている。
LSIにおける1層分のパターン形成でも、上記のようなさまざまな行程を経る。このような行程を経て出来上がったLSIパターンで、見出される問題のひとつは、“局所的に見ると各パターンは、ほぼ均一に仕上がっている(局所的には、設計寸法との差がほぼ同一)が、レチクル全体あるいは、ウェハ内に形成されたチップの内部全体でみるとパターン寸法が徐々に変化する(設計寸法との差がチップ内部でゆるやかに変化する)”というものである。
図34は、チップの内部全体でみた場合のパターン寸法が変化する様子の一例を示す図である。図34に示すような誤差をグローバルCDエラーと呼ぶことにする。以下にいくつかの例を示す。
まず、第1は光ステッパでマスク上のパターンをSiウェハに転写する場合に生じるフレア(flare)とよばれる現象である。これは、マスクやレンズの表面の粗さによって乱反射した光によって生じる寸法変動であり、パターンが密な場所があった場合、そこから数mm以内に存在する他の図形の寸法を数nm〜数10nm程度変動させる。この現象はArF(アルゴンフロライド)エキシマレーザ(波長193nm)を利用する現在主流の光転写装置或いはスキャナだけではなく、将来利用されると予想されるEUV(Extreme Ultra Violet)領域の波長を利用する転写装置(EUVステッパ)でも生じる現象である。
第2の例は、Siウェハに施す半導体製造プロセスでのドライエッチング時に生じるローディング効果である。ドライエッチングは、レジストを露光し、レジストを現像してレジストパターンを生成した後、レジストパターンをマスクとして下層の膜を、プラズマを利用してエッチングする行程である。この製造工程ではエッチングの副生成物の発生量が露出した下層の面積(すなわちパターン密度)に依存して変化し、この複生成物の量に依存してエッチング速度が変化するためエッチングされる寸法が変化する現象である。結果として、この寸法変動もパターンの密度によって変化する。このため、パターンの密な場所の影響により周辺数cmの領域内に存在する図形寸法が数nm〜数10nm変化する。
これらの他にも、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)行程や、レジストの現像でもローディング効果が生じ、パターンの粗密に依存して寸法が変化しうる。
以上のように、パターンの密な場所の影響により周辺数mm〜数cmの領域内に存在する図形寸法が数nm〜数10nm変化させる現象が数多く存在する。半導体集積回路の集積度をあげるには、単に図形を微細化するのみではなく、同時に形成精度をより高くする必要があるが、上述の現象がこの高精度化をはばみ、高集積化を進める上での障害となっている。このようなフレア或いはローディング効果に起因した寸法変動を補正する方法をグローバルCD補正、あるいはGCD補正と呼ぶことにする。GCD補正の方法の例として次のような例がある。これは、場所毎に図形寸法を補正しておき、これによって半導体製造工程で生じる寸法変動を補正する方法である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、この補正量を算出する際、LSIパターンをメッシュ状の複数のマス目に仮想分割し、その内部のパターンの密度を用いる方法が提案されている。
しかし、この方法は、下記に示すように、あくまでも近似的な補正に過ぎず、さらなる高精度化を進めることが困難となる。以下これを説明する。まず、グローバルCDエラーの定式化について説明し、その後、従来の方法について説明し、その後、従来方法の問題を説明する。
まず、特許文献1に従い、グローバルCDエラーの定式化について説明する。LSIパターンをグローバルCDエラーが及ぶ距離よりも充分小さな領域(メッシュ)に区分する。この各メッシュの大きさをΔL×ΔLとする。i番目のメッシュの中心座標をx=(x,y)とした時、そのメッシュの中に存在する図形の寸法がGCDエラーによって大きくなる量δl(x)は以下の式(1)で表される。以下、明細書中では、座標x=(x,y)として記載する。或いは座標x=(x,y)として記載する。
Figure 0005133087
あるいはメッシュのサイズが充分小さいとして積分で表現すると以下の式(2)で表される。
Figure 0005133087
ここで、式(1)及び式(2)において、第1項は、パターンの密度に依存する寸法変動をあらわす。ウェハをエッチングする場合に生じるローディング効果では、この項は密度に依存する寸法変動に相当する。第2項は位置のみに依存する寸法変動を現している。ウェハをエッチングする場合には、この項は、エッチングに使用するプラズマが不均一であることによって生じる寸法変動に相当する。式(1)及び式(2)で、i番目のメッシュにおける設計上のパターン面積密度を「ρ(x)=ρ(x,y)」とした。また、ある場所の密度が他の場所に与える影響を「g(x)=g(x,y)」とし、以下の式(3)及び式(4)のように規格化した関数とした。
Figure 0005133087
Figure 0005133087
密度依存のGCD誤差の大小は係数「γ」によって表される。上記のようにg(x)を規格化したので、γは、パターン密度が「1」の場合の寸法と「0」の場合の寸法の差を表現することになる。γの値は対象となるプロセスによって異なるが、例えばドライエッチングで生じるローディング効果では5〜20nmに及ぶ。すなわち、パターン密度によって最大5〜20nmの寸法変動が生じることになる。
ローディング効果の分布関数g(x)=g(x,y)は、例えば、以下の式(5−1)或いは式(5−2)が使用される。あるいは、エッチング等に使用する装置によって、他の適切な関数が利用される。
Figure 0005133087
ただし、γ+γ=1となる。あるいはより一般的に、以下の式(6−1)及び式(6−2)が使用される。
Figure 0005133087
ここで、σ、σL1、σL2等は、GCDエラーが及ぶ距離の目安(影響範囲)で、例えば、数100μm〜数cm程度となる。先に述べたところではメッシュのサイズをGCDエラーの距離よりも充分小さいと仮定したが、例えば、メッシュのサイズをσ/10とすれば良い。σが、1mm及び1cmの場合には、メッシュのサイズはそれぞれ0.1mm及び1mmと設定すれば良い。

また、式(1)及び式(2)では、マスク面内位置に依存するCDエラーを「γ×f(x,y)」とした。f(x、y)は最大値1と規格化した関数とする。このように定義すれば、γは位置のみに依存するGCD誤差の最大の誤差に相当する。また、Σは小さな領域毎で和をとる。
次に従来の方法を説明する。
従来の方法、例えば、特許文献1に記される方法は、場所(x,y)での図形寸法を下記に示す式(7)におけるL(x,y)だけ小さくする方法である。
Figure 0005133087
ここで、ρ(x)=ρ(x,y)は元のパターンの密度である。従来の方法では、GCDエラーで大きくなった分の寸法、すなわち、式(7)から得られたL(x,y)をそのまま、元の図形の寸法から差し引くという極めて単純なものである。そのため次の理由で精度が良いものではない。つまり、元のパターン密度から寸法補正量を算出し、その量だけパターンの寸法を変化させた場合、補正後は寸法が変化するので、そのパターン密度は、元のパターン密度とは異なる。一方、もし、仮りに、元パターン密度のままであれば、プロセス装置やリソグラフィー装置を通すことによって、L(x,y)だけ寸法が変化して設計通りの寸法となる。しかし、上記のように補正後のパターン密度は、元のパターンのパターン密度とは異なるから、補正によって設計通りの寸法となることはありえない。すなわち、上記の補正式(7)では正確な寸法補正量が得られず、ひいては正確なGCD補正を実現することが困難となる。
その他、GCDエラーを補正するものではないが、電子線の照射で生じる近接効果を補正するための近接効果補正方程式の解を求めている文献が開示されている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2003−43661号公報 特許第3469422号公報 米国特許第5863682号公報
そこで、本発明は、半導体製造工程で生じる寸法変動をより正確に補正する方法、ひいてはより正確にパターンを形成し、またこれによってより微細高精度な半導体装置を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、
露光用マスクのパターン作成領域から仮想分割されたメッシュ状の複数のマス目領域のマス目領域毎に含まれるパターンの面積と、前記パターンの外周の辺の長さの総和とを用いて前記パターンに生じる寸法誤差を補正する補正量を算出する工程と、
前記補正量が補正された寸法のパターンを、レジスト膜が塗布された基板に露光する工程と、
露光後に、前記レジスト膜を現像する工程と、
現像後のレジストパターンを用いて、前記基板を加工する工程と、
を備え
前記レジスト膜は、第1の膜上に塗布されており、
前記基板を加工する際に、
現像後に、前記第1の膜をエッチングすることにより開口部が形成され、
前記開口部及び前記基板表面に第2の膜が堆積させられ、
堆積後に、前記第2の膜の表面が研磨され、
前記補正量は、マス目領域毎に含まれるパターンの外周の辺の総和とローディング効果の分布関数とを畳み込み積分すると共に、マス目領域毎のパターン面積密度とローディング効果の分布関数とを畳み込み積分する式を解くことによって得られることを特徴とする。
本発明の一態様の露光用マスクへのパターン形成方法は、
露光用マスク上に形成されるパターンと同種のパターンを露光用マスクのパターンの周辺に仮想配置する工程と、
周辺のパターンを含めて、メッシュ状の複数のマス目領域に仮想分割する工程と、
仮想分割されたマス目領域毎に、周囲のマス目領域を影響範囲に含めて半導体基板上に加工される製造工程で生じるパターンの寸法誤差を補正する補正量を算出する工程と、
補正量が補正された寸法のパターンを露光用マスク上に形成する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の他の態様の露光用マスクへのパターン形成方法は、
半導体装置の一層分の回路を形成する露光工程を含む、パターンの寸法誤差が生じる複数の製造工程のうち、より後段側の製造工程から順に、後段の製造工程が存在する場合には後段の製造工程で生じる寸法誤差を補正する補正量で順に補正された寸法から、存在しない場合には設計寸法からの寸法誤差を補正する補正量を算出する工程と、
露光工程までの補正量が補正された寸法のパターンを露光用マスク上に形成する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の他の態様の半導体装置の製造方法は、
半導体装置の一層分の回路を形成する露光工程を含む、パターンの寸法誤差が生じる複数の製造工程のうち、より後段側の製造工程から順に、後段の製造工程が存在する場合には後段の製造工程で生じる寸法誤差を補正する補正量で順に補正された寸法から、存在しない場合には設計寸法からの寸法誤差を補正する補正量を算出する工程と、
前記露光工程までの補正量が補正された寸法のパターンが形成された露光用マスクを用いて、レジスト膜が塗布された基板に露光する工程と、
露光後に、前記レジスト膜を現像する工程と、
現像後のレジストパターンを用いて、前記基板を加工する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、半導体製造工程で生じる寸法変動をより正確に補正することができる。また、より正確なパターンをマスクに形成することができる。その結果、最終的に得られる半導体装置を高精度なパターン寸法で形成することができる。
実施の形態1.
まず、マスクの製造工程とLSIの製造工程を図に示す。
図1は、実施の形態1におけるマスクの製造工程とLSIの製造工程の要部工程を示す図である。
LSI等の半導体装置の製造は10層〜数10層のパターンをシリコンウェハ上に形成して行われるが、ここでは1層分の形成例について示す。ここでは、一例として、配線用コンタクト形成後にダマシン法により銅(Cu)等の金属配線を形成する場合について説明する。その手順は大きく次の6つの工程が実施される。まず、露光するためのパターンを描画してマスクを形成する工程(S201)、光を利用してウェハ上のレジスト膜にマスク上のパターンを転写(露光)する工程(S202)、露光後に、レジスト膜を現像する現像する工程(S204)、現像後に、レジストパターンをマスクとして下層の絶縁膜をドライエッチングして開口部を形成する工程(S206)、開口部及びウェハ表面に金属膜を堆積する薄膜形成工程(S208)、そして、金属膜を堆積後に、表面を研磨して余分な金属部分をCMPで除去する工程(S210)という一連の工程を実施する。このような工程を経て製造される半導体装置の寸法を精度よく製造するために、実施の形態1では、後段の工程側から溯って順にGCD寸法誤差を補正していく。そして、1層分の全工程におけるGCD寸法誤差を補正したマスクを形成する。補正方法は、CMPによって生じるGCD寸法誤差を補正する工程(S102)、エッチングによって生じるGCD寸法誤差を補正する工程(S104)、露光によって生じるGCD寸法誤差を補正する工程(S106)、及びマスク形成によって生じるGCD寸法誤差を補正する工程(S108)という一連の工程を実施する。
ここで、上述したように、従来の方法では正確な寸法補正量を算出することができない。この理由は、寸法補正量を元のパターンのパターン密度から計算するが、寸法の補正を行った後のパターンの密度は元のパターンの密度と異なるからである。この問題がパターン密度に加えて、1)“図形の辺の総和”あるいは2)“図形の辺の総和と図形の頂点での角度に依存した寄与”を考慮することにより解決できることを実施の形態1ではまず第1番目に説明する。
まず、補正量を求めるための基本となる式について説明する。ここで説明を一般化するために、i番目のメッシュの中に存在するすべての図形の寸法を設計寸法よりも、なんらかの所望の大きさδl(x)=δl(x,y)だけ大きくすることを考える。設計通りにする場合には、δl(x)=0とすれば良い。以下では、断りのない限り、δl(x)=0の条件は付加されないものとする。
寸法を所望の大きさδl(x)=δl(x,y)だけ、大きくするため、i番目のメッシュ内部の図形をすべてΔl(x)=Δl(x,y)だけ設計寸法よりも小さくすれば良いとする。CDから縮めれば良いものとする。この量Δl(x)が求めるべき補正量となる未知の関数である。このとき、δl(x)はΔl(x)によって以下の式(8)のように表現される。
Figure 0005133087
ここでiはメッシュに割り振った通し番号、x=(x、y)はi番目のメッシュの代表点(例えば中心)の座標である。和はi番目のメッシュに影響を及ぼす範囲のメッシュについてとる。すならち、i番目のメッシュ及びその周囲のメッシュについてとる。ローディング効果の分布関数g(x)=g(x,y)は、ガウシャンの式(5−1)或いは式(5−2)が使用される。あるいは、エッチング等に使用する装置によって、他の適切な関数が利用される。また、和は、実際に数値計算を行う場合には、関数g(x、y)がガウシャンの式である場合、i番目のメッシュから3σあるいは4σ以内に存在する(i番目のメッシュ自身を含む)すべてのメッシュについて和を取れば良い。ρ(x、y)はj番目のメッシュの中の縮めたパターンのパターン密度である。ここで、式(8)の右辺の第1項は設計寸法からΔl(x)だけパターンの寸法を縮めたことを示している。また、第2項と第3項は縮めたパターンによって発生するGCDエラーにより生じる寸法変動を示しており、第2項は密度に依存する寸法変動、第3項は位置に依存する寸法変動を示している。この式(8)が、Δl(x)を求めるための基本的な方程式である。ここで、メッシュのサイズが充分小さいとすれば和は積分で表すことができ、以下の式(9)のように表現される。
Figure 0005133087
以下の説明では、メッシュのサイズは充分小さいとして、積分での表現と和による表現とを同一視し、積分、和による表現を混在させて記載する。ここで注意点を説明する。δl(x)をゼロとし、変形すると、式(9)は以下の式(10)のように表現される。
Figure 0005133087
従来の補正式(2)とこの式(10)は一見すると同一に見えそうであるが、内容は次のように異なる。すなわち、従来の補正式(2)では、パターン密度ρ0(x、y)は元のパターンのものであるが、式(10)でのパターン密度ρ(x、y)は、寸法補正した後のパターンのパターン密度である。すなわち、従来の補正式(2)は寸法を補正することによってパターン密度が変化することを無視したものである。このことが、従来の方法において補正誤差を生じさせていた。
次に、もう一つの注意点について説明する。式(10)のパターン密度は、寸法補正後のパターンのパターン密度であるから、この密度の中には、未知の寸法補正量Δl(x)が暗に含まれていることになる。この状況で方程式(10)の解の算出は困難である。そのため、以下の説明では、方程式(10)を変形して未知の寸法補正量Δl(x)が明に現われるようにし、解を算出しやすくする。
図2は、実施の形態1における作成されるパターンの一例を示す図である。
図2には、設計パターンとなる元の図形42(パターンB)とGCD補正のために片側Δl(x)/2ずつ両側合せてΔl(x)だけ縮めた補正後の図形44(パターンA)とかかる縮めた分の差分の図形46(パターンC)とを示している。補正後の図形44のパターン密度ρ(x)、元の図形42のパターン密度ρ(x)、及び差分図形46のパターン密度ρ(x)の間には以下の式(11)の関係が成り立つ。
Figure 0005133087
図3は、実施の形態1における元の図形、補正後の図形、及び差分図形の一例を示す図である。
図3の例から差分図形46の面積は、元の図形42を用いて以下の式(12)で表されることがわかる。
Figure 0005133087
ここで、lsum(x)は、元の図形42の辺の長さの総和を示す。また、Qは、頂点の係数を示す。ここで、式(12)の右辺第2項は図形の頂点の寄与を示している。図3に示すように、辺のみを考慮した場合(式(12)の第1項のみに相当)には凸な頂点では、面積が余計に計算されることになり、凹な頂点では面積が不足となる。式(12)の第2項は、その過不足を調整する項である。Qcはこれら頂点の寄与を反映するための係数であり、以下で示すように、Qcは図形の各頂点の寄与の角度から決まる係数である。
図4は、パターンの頂点で生じる面積誤差について説明するための図である。頂点の角度がθの場合、式(12)の第1項のみを考慮した場合に生じる面積の誤差(余計に計算される面積)は、図4に示すQのようになり、これを計算すると、以下の式(13)で表すことができる。
Figure 0005133087
よって、ひとつの図形でのQcは以下の式(14)で表される。
Figure 0005133087
ここで、式(14)において、iは図形の各頂点に付加した番号。θは頂点iでの角度であり、和は図形のすべての頂点について取る。すなわち、これによって計算されるQcを利用し、差分図形46の面積は式(12)で表現される。個々の図形についてこのように面積を計算することができるので、各メッシュの中での差分図形46のパターン密度ρ(x)は以下の式(15)で表すことができる。
Figure 0005133087
ここで、FEC(x)は、i番目のメッシュに含まれる元の図形42の辺の長さの総和を半分にしたものであり、CAT(x)は以下の式(16)で定義する。
Figure 0005133087
ここで、kはi番目のメッシュに含まれるすべての図形のすべての頂点に振り分けた番号(ID)であり、和はすべてのkについて取る。また、図形がメッシュの境界をまたぐ場合は、各メッシュに含まれる辺の長さの和を(辺を含むメッシュの)FECに、各メッシュに含まれる頂点の寄与分に考慮されるべきcos(q/2)/{4sin(q/2)}を(頂点を含むメッシュの)CATに加算すれば良い。ただし、もしこの境界をまたぐ図形が充分にメッシュの大きさよりも小さい(たとえば1/10以下)場合には図形の辺の総和、及び頂点の寄与分の値を1つのメッシュのFEC、CATに加算しても良い。
そして、式(15)を式(11)に代入すれば、補正後の図形44のパターン密度ρ(x)は以下の式(17)のように表される。
Figure 0005133087
そして、式(17)を式(8)に代入して以下の式(18)を得る。
Figure 0005133087
式(18)を積分で表現すると以下の式(19)のようになる。
Figure 0005133087
式(10)では、補正後の図形44のパターン密度ρ(x)の中に暗に寸法補正量Δl(x)が含まれていたが、この式(19)では図形の情報は、すべて元の図形42から算出できる量となっており、寸法補正量Δl(x)は隠れておらず、明に式(19)の中に現われている。このため、見通しが良く補正量Δl(x)を求めるに便利な方程式となっている。以下ではいくつかのケースでこの方程式の解を求める。
(ケース1):頂点の寄与が無視できる場合
方程式(19)は次のような線形の方程式(20)となる。
Figure 0005133087
そして、寸法補正量Δl(x)を以下のようにして求める。まず、Δl(x)は、以下の式(21−1)及び式(21−2)のように定義することができる。
Figure 0005133087
このとき、l(x,y)は、以下の式(22)で示すことができる。
Figure 0005133087
なお、この式(22)及び以下の式ではΔが充分小さいとして、積分で表記する。また、積分は全領域について行うものとものとし、Aで表す。また、d(x)は、以下の式(23)で示すことができる。
Figure 0005133087
ここで、ε(x)は、以下の式(24)とする。
Figure 0005133087
以上のようにして、寸法補正量Δl(x)を収束させていく。その結果、高精度な値を導くことができる。また、この解の異なる表現は以下のようになる。まず、Δl(x)は、以下の式(25)のように定義することができる。
Figure 0005133087
このとき、l(x)は、以下の式(26)で示すことができる。
Figure 0005133087
また、l(x)(但し、n>1)は、以下の式(27)で示すことができる。
Figure 0005133087
また、ε (x)は、以下の式(28)とする。
Figure 0005133087
ここで式(21−1)と式(25)では、和を無限としているが、実際の計算にあたっては、無限に項を計算する必要はなく、必要な精度に応じて、第1項のみ、あるいは最初の数項、あるいは最初の10項〜数10項を利用すれば良い。得られる具体的な精度については、後述する。
(ケース2):辺と頂点の効果を考慮する場合
以下で、式(19)の代わりにそれをより一般化した以下のD(x)に関する以下の積分方程式(29)の解法についてまず説明する。方程式(29)で、ρ(x)、ρ(x)、f(x)は、既知の関数であり、D(x)は解くべき未知の関数である。 そして、この解法を利用して、寸法補正量Δl(x)を解く。
Figure 0005133087
そして、以下の式(30)のように定義して解を求める。
Figure 0005133087
ここで、D(x)は、式(31)のように定義する。
Figure 0005133087
ここで、Dn−1(x)を既知の関数であり、近似的解とする。この近似解の誤差ξn−1(x)は以下の式(32)で表わされる。
Figure 0005133087
式(31)を式(32)に代入して次の式(33)を得る。
Figure 0005133087
式(30)を代入して次の式(34)を得る。
Figure 0005133087
ここで、以下3つの量を以下の式(35−1)、(35−2)及び(35−3)で定義する。
Figure 0005133087
これらの量は、パターン密度が均一な場合は0となる。よってこれらの微小量とみなして0とすると、式(34)は、次の式(36)のようになる。
Figure 0005133087
これはd(x)について2次の方程式なので解くことができる。a(x)、b(x)、c(x)を次の式(37−1)、式(37−2)及び式(37−3)のように定義する。
Figure 0005133087
2次方程式なので、解はふたつあるが、a(x)がゼロに近づく時発散しないもの、すなわち物理的に意味のある解を選ぶことにする。解は、a(x)、b(x)、c(x)を利用して、以下のように表される。
(x)≧0 の場合、以下の式(38)で表わされる。
Figure 0005133087
(x)<0の場合、以下の式(39)で表わされる。
Figure 0005133087
(x)がゼロの場合は、以下の式(40)で表わされる。
Figure 0005133087
最初の近似解D(x)は以下のように求める。次の2つの量、o(x)、o(x)を以下の式(41−1)及び(41−2)で定義する。
Figure 0005133087
これらの量も、パターンが均一である場合は、ゼロになる量である。よって、微小量としてゼロと近似すると、式(29)は次式(42)のように変形される。
Figure 0005133087
そして、これは、D(x)に関する2次方程式であり解くことができる。a(x)、b(x)、c(x)を次の式(43−1)、式(43−2)及び式(43−3)のように定義する。
Figure 0005133087
これらを用いて、解は、以下のように表わされる。まず、b(x)≧0の場合、以下の式(44)で表わされる。
Figure 0005133087
また、b(x)<0 の場合、以下の式(45)で表わされる。
Figure 0005133087
(x)がゼロに近づく時に有限となるものを選んだ。a(x)がゼロの場合は、以下の式(46)で表わされる。
Figure 0005133087
以上をまとめるとD(x)は、式(30)で表される。そして、D(x)は、式(31)で表される。また、a(x)は、式(43−1)で表される。そして、b(x)は、式(43−2)で表される。そして、c(x)は、式(43−3)で表される。そして、a(x)は、式(37−1)で表される。そして、b(x)は、式(37−2)で表される。そして、c(x)は、式(37−3)で表される。そして、ξn−1(x)は、式(32)で表される。
そして、b(x)≧0の場合、D(x)は、式(44)で表される。また、b(x)<0の場合、D(x)は、式(45)で表される。さらに、a(x)がゼロの場合、d(x)は、式(46)で表される。
そして、b(x)≧0の場合、d(x)は、式(38)で表される。また、b(x)<0の場合、d(x)は、式(39)で表される。また、a(x)がゼロの場合、d(x)は、式(40)で表される。
以上の説明ではより一般的な方程式(29)の解を求めた。この解を利用すると、式(19)の解は次のように表される。まず、Δl(x)は、式(21−1)及び式(21−2)のように定義する。ここで、l(x)、d(x)は、a(x),b(x),c(x),a(x),b(x),及びc(x)を次のように定義する。まず、a(x)は、以下の式(47)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、b(x)は、以下の式(48)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、c(x)は、以下の式(49)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、a(x)は、以下の式(50)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、b(x)は、以下の式(51)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、c(x)は、以下の式(52)のように定義する。
Figure 0005133087
そして、b(x)≧0の場合、l(x)は、式(53)で表される。
Figure 0005133087
また、b(x)<0の場合、l(x)は、式(54)で表される。
Figure 0005133087
また、a(x)がゼロの場合、l(x)は、式(55)で表される。
Figure 0005133087
また、b(x)≧0の場合d(x)は、式(56)で表される。
Figure 0005133087
また、b(x)<0の場合、d(x)は、式(57)で表される。
Figure 0005133087
また、a(x)がゼロの場合合、d(x)は、式(58)で表される。
Figure 0005133087
ここで式(21−1)と式(25)では和を無限としているが、実際の計算にあたっては、無限項を計算する必要はなく、必要な精度に応じて、第1項のみ、あるいは最初の数項、あるいは最初の10項〜数10項を利用すれば良い。得られる具体的な精度については、後述する。
次に上で得られた解が虚数とならないことを示す。最小の辺の長さをLminとし、δl(x)をγ程度であるとすると、上述したa(x),a(x)の大きさは概ね以下の式(59)に示す大きさになる。
Figure 0005133087
また、b(x),b(x)の大きさは概ね以下の式(60)に示す大きさになる。
Figure 0005133087
また、c(x),c(x)の大きさは概ね以下の式(61)に示す大きさになる。
Figure 0005133087
ここで、次を仮定する。
(仮定1)LSIパターン内に存在する図形の最小の辺の長さを発生するGCD誤差よりも充分小さい。この仮定のもとで、ξをγ/Lminと定義すると、ξは微小量となり、以下の式(62)に示す大きさになる。
Figure 0005133087
よって、b(x)及びb(x)がゼロとなることはない。また上式で現れる2乗根の中は以下の式(63)に示す大きさになる。
Figure 0005133087
よって、負となることはない。すなわち、(仮定1)のもとでは、上記解が虚根となることはない。
次に、上記の解で得られる補正精度について数値計算の結果を示す。
図5は、実施の形態1における補正誤差測定用のパターンの一例を示す図である。
2次元平面となる描画領域72の右半分に市松模様(チェストボードパタン)を形成する。そして、個々の矩形サイズはw×wとした。この場合、パターン密度ρ(x,y)は以下の式(64)で示すことができる。
Figure 0005133087
また、FEC(x,y)は、以下の式(65)で示すことができる。
Figure 0005133087
また、CAT(x,y)は、以下の式(66)で示すことができる。
Figure 0005133087
図6は、面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
ここでは、一例として、パターンの面積のみを考慮し、辺や頂点の寄与を無視した場合を示す。図6に示すように、辺や頂点の寄与を無視したため、位置によって大きく補正残差が残ることがわかる。
図7は、実施の形態1における面積と辺の長さの総和を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。括弧内の数字は、計算回数を示している。ここでは、計算回数を1回よりも2回にした方がより補正残差は小さくなる。すなわち、面積のみを考慮した場合よりもさらに辺の総和を計算に用いて解を求める方が高精度になる。しかし、3回以上計算回数を多くしても精度の向上が図れなかった。これは、頂点の寄与を無視したことに起因する。
図8は、実施の形態1における面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
括弧内の数字は、計算回数を示している。ここでは、辺と頂点の寄与を考慮した。そして、計算回数を増やすことにより補正残差を0.1nm以内に抑えることができる。ここで、マスクのエッチング時に生じるローディング効果を補正する場合を考える。ITRS2005によると、HP45nm及びHP32nm世代のマスクに要求される寸法均一性(dense pattern)は、それぞれ、3.8nm及び2.7nmである。マスク製造で生じる誤差要因は数多く存在することを考慮に入れ、上記見積もり結果とITRSの予想を比較する。すると、近い将来、面積のみを考慮するような方法のみでは精度が不十分となることがわかる。これに対し、ケース1〜2の各解法により、将来のLSIの精度を満たすことが可能となる。特に、ケース2のように、辺の寄与、頂点の寄与までを考慮する補正によって、より高精度に補正することが可能となる。
以上のように、露光用マスクのパターン作成領域から仮想分割されたメッシュ状の複数のマス目領域(メッシュ)のメッシュ毎に含まれるパターンの面積と、パターンの外周の辺の長さの総和とを用いることで、フレア及びローディング効果により生じるパターンのGCD寸法誤差を補正する補正量を高精度に算出することができる。さらに、メッシュ内のパターンの頂点の寄与として、頂点の係数QにΔl(x)を乗じた値を計算に含めることで、GCD寸法誤差を補正するためのより高精度な補正量Δl(x)を算出することができる。
次に、第2番目として、マスクに形成されるパターンをより高精度な補正量Δl(x)で補正するためには、さらに、周囲に同種のパターンを仮想配置して計算することが望ましい。以下、周囲に同種のパターンを仮想配置して計算することが望ましい理由について説明する。
図9は、実施の形態1におけるマスクに形成されたパターンがシリコンウェハ上に露光される場合の配置状況の一例を示す図である。
マスク20上に形成された1チップ分のLSIパターン26は、図9に示すように、ウェハ22上に繰り返し転写され、空間的にしきつめられる。ここではマスク20上にパターン26が2つ配置された例を示している。また、ウェハ22に転写される領域24の4隅には、例えば、マーク28が配置される。ウェハ22に転写される領域24のサイズはマスク20上で約10×10cm、ウェハ22上では2.5×2.5cm程度となる。一方、例えば、ウェハ22上のレジストを露光し現像した後に行われるドライエッチング工程では、パターン密度に依存する寸法変動は、あるパターンが存在する位置から数cm程度に及ぶ。そのため、1回の転写で露光され現像された領域24に含まれるパターンは、周辺のパターンの寸法に影響を与えることになる。その寸法変動量は、エッチング装置、ガス、エッチングの対象物によって変わるが、2〜10nmに及ぶ。
図10は、実施の形態1における密な部分と疎な部分が混在するパターンが隣接して複数配置された場合の一例を示す図である。図10では、密な領域32と疎な領域34が混在するパターンがウェハ上に隣接して複数配置された場合を示している。このような状況では、上述した寸法変動が顕著にあらわれる。図10では、1回の光露光で転写される領域24を例として9つ示した。実際のマスクではこの周辺にも同種のパターンが配置されている。図10の転写領域5に注目すると、位置Bではこの転写領域5内部の密なパターンの影響を受けて寸法が大きくなる。これに対し、位置Aでは転写領域6の密なパターンの影響により寸法が大きくなり、位置Cでは転写領域6と9の密なパターンの影響を受ける。そのため、マスク上のパターン寸法を補正する場合は、このような影響を考慮して、マスク上では形成しない周辺のパターンが存在するものとして補正を行うことによって、上記周辺パターンの影響による誤差をも含めて寸法変動を補正することができる。
そのため、露光用マスク上にパターンを形成するには、以下のようにすると好適である。まず、露光用マスク上に形成されるパターンと同種のパターンを露光用マスクのパターンを周辺に仮想配置する。そして、周辺のパターンを含めて、メッシュ状の複数のマス目領域に仮想分割する。そして、仮想分割されたマス目領域毎に、周囲のマス目領域を影響範囲σに含めてローディング効果により生じるパターンの寸法誤差を補正する補正量を算出する。周囲のメッシュを影響範囲σに含めることで、例えば、図10の位置Aや位置Cのように端に近いマス目領域のパターンでは、補正量を計算する際に周囲のマス目領域のパターンの疎密に影響を受けるようになる。よって、露光用マスク上にパターンを形成する際に、周囲のマス目領域を影響範囲に含めることで、端に近いマス目領域のパターンも高精度な寸法でパターン形成することができる。このようにして計算された補正量が補正された寸法のパターンを露光用マスク上に形成すれば、GCD寸法誤差の高精度な補正を行なうことができる。
また、かかる場合にも補正量を算出する際に、マス目領域毎に含まれるパターンの面積と、パターンの外周の辺の長さの総和とが用いられると好適である。さらに、上述したように、メッシュ内のパターンの頂点の寄与として、頂点の係数QにΔl(x)を乗じた値を計算に含めることで、GCD寸法誤差を補正するためのより高精度な補正量Δl(x)を算出することができる。
次に、第3番目として、複数の製造工程で生じるGCD寸法誤差を後段のプロセスから順に遡って補正していくことでより好適な寸法補正ができることについて説明する。半導体装置の1層分のパターン回路を形成するには、マスク形成から始まって、露光、現像、エッチング、成膜、そして平坦化のためのCMP処理と複数の製造工程(プロセス)が必要となる。その際、露光工程では上述したフレアによるGCD寸法誤差が、エッチングやCMP処理では、上述したローディング効果によるGCD寸法誤差が生じる。ここで、まず、前段側の工程から補正量を求めたのでは高精度な補正が困難であることを説明する。
簡単のため、1層の半導体回路を構成する際、2つの工程のみでパターン密度に依存するGCD誤差が発生するものとし、先に行われる工程を工程1、後に行われる工程を工程2と呼ぶことにする。また、パターン密度の依存性を示す関数g(x)は両工程で同じものとし、また誤差の大きさを示すパラメータγは両工程で同じ値であるとする。また、位置に依存するGCD誤差は発生しないものとする。このような条件のもと、工程1,2で生じるグローバルな寸法誤差は以下の式(67−1)及び式(67−2)のように表すことができる。
Figure 0005133087
ここで、ρ(x)はj番目の小領域における元のパターンのパターン密度を示す。そして、ρ(x)はj番目の小領域における、工程1を経た後のパターンのパターン密度を示す。二つの工程1,2を経ることによって生じる寸法誤差は以下の式(68)のようになる。
Figure 0005133087
ここで、ふたつの工程全体で生じる寸法変動をまとめて、密度依存の特性を調べ、密度依存の特性を表す関数としてg(x)を得、誤差の大きさの目安のパラメータとしてγ を得たとする。この場合、単純には以下の式(69)のように表現される。
Figure 0005133087
しかし、本来は、式(68)のように積分の中には、工程1を経た後のパターン密度ρ(x)と元のパターン密度ρ(x)が入るので式(69)は正しいものではありえない。あえて、式(69)のように表現するには、たとえばρ(x)をρ(x)と同じであると近似し、γ =2×γとすれば良い。すなわち、近似が必要となり、そこで式(69)に、誤差が発生する。補正を行うための基本となる現象を表す式の中に誤差が発生すれば、補正結果にも誤差が生じ問題を引き起こすことになる。以下では、これによって生じる誤差を一例として求めてみる。
ウェハ上に45nm:45nmのライン&スペースを形成することを考える。γは両工程で10nmとし、パターン密度はスペースで測るものとする。このライン&スペースでは密度が半分なのでスペースの寸法はγ×ρ=10nm×0.5=5nm大きくなり、ラインは5nm小さくなる。すなわち、40nm:50nmのライン&スペースとなる。工程2では、パターン密度は50/90=0.5555となるので、スペースの寸法はγ×ρ=10nm×0.5555=5.555nmだけさらに大きくなる。2つの工程で生じた寸法変化の合計は10.555nmである。
一方、γ =2×γ=20nmとして、元のパターン密度ρ=0.5をもとに、寸法の変動を計算すると20nm×0.5=10nmである。すなわち、ふたつの差0.555nmが、“ふたつプロセスをまとめて一つの特性で表すことによって生じた誤差”となる。この誤差は将来の半導体の製造時には無視できない誤差である。
よって、まず、工程2を行なうことによって発生する誤差を補正するような第1の寸法補正量を求め、次に工程1を行なうことによって、この第1の寸法補正量で補正された寸法が得られるための第2の寸法補正量を求める。そして、第2の寸法補正量でさらに補正された寸法となるようにするための最終的に得られた寸法補正量をパターンに加えることによって、上記のような誤差の発生を抑制することができる。
すなわち、半導体装置の一層分の回路を形成する複数の製造工程のうち、より後段側の製造工程から順に、後段の製造工程が存在する場合には後段の製造工程で生じる寸法誤差を補正する補正量で順に補正された寸法から、存在しない場合には設計寸法からの寸法誤差を補正する補正量を算出する。具体的には、まず、一番後段となる製造工程で、設計寸法からの寸法誤差を補正する補正量を算出する。そして、設計寸法からこの補正量分を補正する。次に、1つ前の製造工程で、補正後の寸法からの寸法誤差を補正する補正量を算出する。そして、補正後の寸法からさらにこの工程で算出された補正量分を補正する。この工程を繰り返し、露光工程での寸法誤差を補正する補正量で補正された寸法まで求める。そして、露光工程までの補正量が補正された寸法のパターンを露光用マスク上に形成する。以上により、この露光用マスクでパターンを露光すれば、後段の製造工程へ行くに従って、設計寸法にパターンが近づくことになる。そして、一番後段となる製造工程を終了後には設計寸法に形成される。すなわち、これらの工程により、上記のような誤差の発生を抑制することができる。
以下、上述したGCD誤差を高精度に補正する3つの手法をLSI製造工程に適用する例を示す。ここでは、簡単のため、補正対象となるすべてのGCD誤差について、その影響が及ぶ範囲(距離)σは1mm以上であると仮定する。
まず、以下のようにして、あらかじめ、寸法変動の位置依存性と密度依存性を使用するプロセス、装置毎に計測する。
図11は、実施の形態1におけるGCD誤差のパターン位置依存性を調べるための評価用パターンの一例を示す図である。このパターン36は、測定用に、縦横1mmのピッチで配置される。そして、このパターン36は、縦横0.1mm程度の領域内に幅2μmの十字の図形で構成される。
図12は、実施の形態1におけるGCD誤差のパターン密度依存性を調べるための評価用パターンの一例を示す図である。測定用に、やはり縦横1mmのピッチでパターン36が配置される。パターン36は、図11と同様、縦横0.1mm程度の領域内に幅2μmの十字の図形で構成される。ここでは、パターン36に加えて中央部には、ライン&スペースのパターン37が配置される。このライン&スペースは、1mm:1mmの比率(密度50%)とする。
以上の2種類のパターンそれぞれを別々のマスク上に電子線描画装置で描画し、それぞれ現像及びエッチングする。位置依存測定用パターン36を形成したマスクを位置依存測定用マスク38と呼び、密度依存測定用パターン36,37を形成したマスクを密度依存測定用マスク39と呼ぶことにする。
これら2つのマスク38,39の各位置での十字パターンの寸法を測定する。位置依存測定用マスク38上のi番目の十字図形の寸法をMpとする。また、密度依存測定用マスク39上で得られたそれをMdとする。ここで、Mp−設計寸法(2um)がマスクプロセスで生じるGCD誤差の位置依存性である。これをmpと表すことにする。また、Md−Mpiが、マスクプロセスで生じるGCD誤差の密度依存性である。これをmdと表すことにする。各位置でのmp、mdからマスク製造プロセスで生じるGCD誤差の特性を調べることができる。また、例えば、最小二乗法を利用して近似して、例えば、密度依存関数g(x、y)を式(5−1)或いは式(5−2)のガウシャンの式とした場合の影響範囲σ、及び式(1)或いは式(2)における係数γの最適値を求めることができる。また、同様に、式(1)或いは式(2)における位置依存関数γf(x、y)の関数形を求めることができる。
あるいは、mpのデータから最小二乗法などによって近似することで、式(1)或いは式(2)における位置依存関数γf(x、y)の関数形を求め、これを利用して、Md−f(xi、yi)をmdとしてもよい。そして、このmdから、最小二乗法を利用して近似して、式(5−1)或いは式(5−2)における密度依存関数g(x、y)を求めても良い。このγf(x、y)の関数形から密度依存関数g(x、y)を求める方法は、以降の製造工程でも同様に適用することができる。
次にマスクをウェハ上に転写する際に生じるGCD誤差、例えばフレア(flare)の特性を調べる方法について説明する。上述の2種マスク38,39を利用してウェハ上にパターンを転写する。
図13は、実施の形態1における評価用ウェハを示す図である。
図13では、位置依存性測定用マスク38を用いて、マスク36上のパターンをウェハ全面に転写(露光)する。このようにして転写されたウェハを位置依存性測定用ウェハ23と呼ぶ。同様に密度依存性測定用マスク39を用いて、パターンをウェハに転写し、そのウェハを密度依存性測定用ウェハ25と呼ぶ。装置は、半導体装置を製造するための装置であり、発生するGCD誤差を補正するターゲットのスキャナである。例えば倍率(1/4)の、波長193nmエキシマレーザスキャナを利用すると好適である。そして、転写後、現像を行う。その後、得られた十字パターンのレジストの寸法を、位置依存測定用ウェハ38と密度依存測定用ウェハ39について測定する。前者のウェハ38のi番目の十字図形の寸法をFpとし、後者のそれをFdとする。ここで、Fp−Mp/4が、スキャナによる転写(露光)から現像にいたるまでに生じるGCD誤差の位置依存性であり、これをfpと記すこととする。ここで1/4はマスク上のパターンがウェハ上に、1/4で縮小転写されることによる。同様に、Fd―Md/4がスキャナによる転写から現像にいたるまでに生じるGCD誤差の密度依存性である。これをfdと記すことにする。各位置について求めたfp、fdからスキャナによる転写から現像にいたるまでのGCD誤差の関数特性を調べることができる。また、例えば、最小二乗法を利用して近似して、例えば、密度依存関数g(x、y)を式(5−1)或いは式(5−2)のガウシャンの式とした場合の影響範囲σ、及び式(1)或いは式(2)における係数γの最適値を求めることができる。また、同様に、式(1)或いは式(2)における位置依存関数γf(x、y)の関数形を求めることができる。
次に、レジストパターンをマスクとして、エッチングを行う。装置は、半導体装置を製造するための装置であり、発生するGCD誤差を補正するターゲットのエッチング装置である。例えば、反応性イオンエッチング装置等が好適である。そして、エッチング後、レジスト膜を剥離し、洗浄した後に得られた十字パターンの寸法を、位置依存測定用ウェハ38と密度依存測定用ウェハ39について測定する。前者のウェハ38のi番目の十字図形の寸法をW1pとし、後者のそれをW1dとする。ここで、W1p−Fpが、エッチングで生じるGCD誤差の位置依存性であり、これをw1pと記すこととする。同様に、W1d―Fdがエッチングで生じるGCD誤差の密度依存性である。これをw1dと記すことにする。各位置について求めたw1p、w1dからエッチングでのGCD誤差の関数特性を調べることができる。また、例えば、最小二乗法を利用して近似して、例えば、密度依存関数g(x、y)を式(5−1)或いは式(5−2)のガウシャンの式とした場合の影響範囲σ、及び式(1)或いは式(2)における係数γの最適値を求めることができる。また、同様に、式(1)或いは式(2)における位置依存関数γf(x、y)の関数形を求めることができる。
次に、金属膜をダマシン法で堆積させ、開口部からはみ出た余分な金属膜をCMP法により研磨して平坦化する。装置は、半導体装置を製造するための装置であり、発生するGCD誤差を補正するターゲットのCMP装置である。そして、CMP処理後、洗浄した後に得られた十字パターンの寸法を、位置依存測定用ウェハ38と密度依存測定用ウェハ39について測定する。前者のウェハ38のi番目の十字図形の寸法をW2pとし、後者のそれをW2dとする。ここで、W2p−W1pが、金属膜の堆積からCMP処理までに生じるGCD誤差の位置依存性であり、これをw2pと記すこととする。同様に、W2d―W1dが金属膜の堆積からCMP処理までに生じるGCD誤差の密度依存性である。これをw2dと記すことにする。各位置について求めたw2p、w2dから金属膜の堆積からCMP処理までのGCD誤差の関数特性を調べることができる。また、例えば、最小二乗法を利用して近似して、例えば、密度依存関数g(x、y)を式(5−1)或いは式(5−2)のガウシャンの式とした場合の影響範囲σ、及び式(1)或いは式(2)における係数γの最適値を求めることができる。また、同様に、式(1)或いは式(2)における位置依存関数γf(x、y)の関数形を求めることができる。
以上のようにして、各製造工程で生じるGCD誤差の特性、位置依存、密度依存の関数系を求めることができる。
次にこのように得られた各工程の特性を利用して補正する方法を説明する。以下では簡単のため、位置に依存するGCD誤差は、マスク製造プロセスのみで発生し、光転写以降の工程では発生しないものとする。各工程で生じるGCD誤差の特性を表す関数が上述のようにして求められ、各工程での関数や係数を次のように表すものとする。
(1)マスク製造工程
密度依存性 g(x)、σ、γdm
位置依存性 fpm(x)、γpm
(2)露光から現像
密度依存性 g(x)、σ、γ
(3)エッチング
密度依存性 g(x)、σ、γ
(4)CMP
密度依存性 g(x)、σ、γ
まず、ウェハ上で最終的に半導体装置の所望する1層分の回路パターンができるように、その直前の工程で発生する誤差を補正する。ここの例ではCMP工程がそれにあたる。
図1のS102において、CMPによって生じるGCD寸法誤差を補正する。まず、この工程で必要な寸法補正量Δl(x)を求める。
まずLSIの設計データを用い、その設計パターンのパターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σ/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(8)で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次にCADシステムを利用して、各メッシュ内部の図形寸法を得られた補正量だけ縮小或いは拡大する。
図14は、実施の形態1における寸法補正の一例を示す図である。
図14(a)に示す2つの図形が、補正によって図14(b)に示すように拡大する場合、メッシュの境界では図14(c)に示すように図形同士が重なってしまう場合がある。その場合には、図14(d)に示すようにCADシステムの機能を利用して重なりを除去する。
図15は、実施の形態1における寸法補正の他の一例を示す図である。
図15(a)に示す2つの図形が、補正によって図15(b)に示すように縮小する場合、メッシュの境界では図15(c)に示すように図形同士にすきまが生じてしまう場合がある。その場合には、図15(d)に示すようにCADシステムの機能を利用してギャップを埋めればよい。
以上のようなパターンがCMP工程の前に得られれば、CMP工程を経ることにより、設計通りの寸法のパターンを得ることができる。
次に、このように補正されたパターンが実際にCMP工程の前に、すなわちエッチング後に得られるように、図1のS104において、エッチングによって生じるGCD寸法誤差を補正する。まず、この工程で必要な寸法補正量Δl(x)を求める。
ここで、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)をΔl(x)とした場合、設計寸法−Δl(x)が補正後の寸法となる。これをl(x)とする。その寸法l(x)を用い、パターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σ/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(8)で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、CADシステムを利用して、CMP工程での補正と同様、各メッシュ内部の図形寸法を得られた補正量だけ縮小或いは拡大する。
以上のようなパターンがエッチング工程の前に得られれば、エッチング工程を経ることにより、CMP処理前の段階での所望する寸法のパターンを得ることができる。
次に、このように補正されたパターンが実際にエッチング工程の前に、すなわち露光後に得られるように、図1のS106において、露光によって生じるGCD寸法誤差を補正する。まず、この工程で必要な寸法補正量Δl(x)を求める。
ここで、エッチング工程でのGCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)をΔl(x)とした場合、l(x)−Δl(x)が補正後の寸法となる。これをl(x)とする。その寸法l(x)を用い、パターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σ/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(8)で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、CADシステムを利用して、CMP工程での補正と同様、各メッシュ内部の図形寸法を得られた補正量だけ縮小或いは拡大する。
以上のようなパターンが露光工程の前に得られれば、露光工程を経ることにより、エッチング処理前の段階での所望する寸法のパターンを得ることができる。
次に、このように補正されたパターンが実際に露光工程の前に、すなわちマスク製造後に得られるように、図1のS108において、マスク製造(形成)によって生じるGCD寸法誤差を補正する。まず、この工程で必要な寸法補正量Δl(x)を求める。
ここで、露光工程でのGCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)をΔl(x)とした場合、l(x)−Δl(x)が補正後の寸法となる。これをl(x)とする。その寸法l(x)を用い、パターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σ/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
ここで、最後のプロセスとなるマスク製造で生じるGCD誤差の補正の場合は、位置依存性の項が付加される。また、このマスク製造工程では、マスクに形成するパターンのみについて補正すれば良いので、これまでの他の例とは異なり、周辺に同種のパターンがあることを想定し領域を広げる必要はない。そして、g(x)、σ、γdm、fpm(x)、γpmを用いて、式(8)で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、CADシステムを利用して、CMP工程での補正と同様、各メッシュ内部の図形寸法を得られた補正量だけ縮小或いは拡大する。
以上のようなパターンが露光工程の前に得られれば、マスク製造工程を経ることにより、露光前の段階での所望する寸法のパターンを得ることができる。
以下、一例として、配線用コンタクト形成後にダマシン法により銅(Cu)等の金属配線を形成する各工程について説明する。
図1のS201において、まず、上述したように補正された寸法のパターンを用いて、マスクを製造する。ここでは、寸法そのものをリサイズすることで形成するが、後述するようにパターンを描画する際の照射量を制御することで寸法を補正しても構わない。
図16〜図18は、図1における半導体製造工程のフローに沿った工程断面図の一例である。
図16(a)では、配線用コンタクトが形成された状態を示している。ここでは、シリコンウェハを用いた基板300にチャネル301を形成後、ゲート酸化膜302とゲート303が形成される。そして、チャネル301には、コンタクト304が形成される。ゲート酸化膜302とゲート303とコンタクト304は、層間絶縁膜305内に形成される。
図16(b)では、まず、配線用コンタクト形成後の基板300上に上層の絶縁膜306(第1の膜)を化学気相成長(CVD)法或いは塗布法(SOD法)により形成する。そして、図16(c)に示すように、絶縁膜306上にレジスト膜307を塗布法により形成する。そして、図17(a)に示すように、上述した補正後のマスクを用いて、補正後のパターンを紫外光308で露光する。装置は、上述した波長193nmエキシマレーザスキャナを用いればよい。そして、図17(b)に示すように、レジスト感光後に現像して、レジストパターンを形成する。そして、図17(c)に示すように、レジスト膜307をマスクとして、下層の絶縁膜306をエッチングして開口部310を形成する。装置は、上述した反応性イオンエッチング装置を用いればよい。そして、図18(a)に示すように、レジスト膜307をアッシング等により剥離する。そして、図18(b)に示すように、開口部310の内部及び絶縁膜306の表面に金属膜312(第2の膜)を堆積させる。金属膜312として、Cuを堆積させる場合には、電解めっき法を用いればよい。また、Cuを堆積させる前には、Cuの拡散を防止するバリアメタル膜を形成しておく。そして、バリアメタル膜上に電解めっきにおけるカソード極となるCuシード膜をスパッタ法等により形成しておけばよい。そして、図18(c)に示すように、開口部310をはみ出た余分な金属膜312は、CMP法により研磨して除去する。以上のような各工程により平坦化された1層分のパターン回路を形成することができる。
そして、GCD寸法誤差が生じる各工程で生じる誤差がすべて補正されるように、マスク形成時点でパターンデータが補正されているので、最終的にできあがったパターンは設計通りのものにすることができる。ここまでは、LSI製造工程の一層分の処理について説明したが、同様の処理を他の層のパターン形成についても行うことによって、各工程で形成されるパターンを高い寸法精度で形成することが可能となる。
以上のように、実施の形態1によれば、半導体製造工程で生じる寸法変動をより正確に補正することができる。また、より正確なパターンをマスクに形成することができる。その結果、最終的に得られる半導体装置を高精度なパターン寸法で形成することができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、補正量算出の他の例について以下に説明する。実施の形態1では、各工程でCADシステムを利用しながら、面積や辺の長さを計算し、後段側から工程毎にパターンを補正した。しかし、CADシステムの利用回数は、抑えることができる。実施の形態2では、以下にその例を説明する。その他は、実施の形態1と同様であり、例えば、プロセスの後工程から前工程へと逆に補正量を求めることによって、最終的な全工程の補正量を算出する。まず、式(19)は、以下の式(70)のように変形することができる。
Figure 0005133087
以下では、シリコンウェハ上に1層のパターンを形成することを考え、それを実現する上でのプロセスに工程と逆の番号を付けるものとする。すなわち、最終工程(例えばCMP)の(逆)番号を1とし、その一つ前(ウエハ上でのエッチング)の(逆)番号を2とする。(逆)番号1の(最終)プロセスでの補正は、式(70)でδl(x)=0とすれば良く、式(19)の解である式(47)〜式(58)で、δl(x)=0とすることで得られ、その式を用いて計算できる。よって、その後の工程での補正量の求め方が決まれば良い。ここで、1回以上の工程の補正量の算出がすでに終了していると仮定する。すなわち、そこまでの補正計算で、各メッシュ内の図形寸法を縮小或いは拡大すべき量がわかっているものとする。この補正量をΔlk−1(x)とする。この量は既知の量である。式(70)でみれば、δl(x)=−Δlk−1(x)とおけば良い。次に、さらに今回の補正対象となるLSI製造工程で、i番目のメッシュ内のすべての図形の寸法を、設計値からΔl(x)だけ寸法を縮めれば良いものとする。このΔl(x)は未知数であり、求めるべきものである。そして、式(70)は、以下の式(71)のように表すことができる。
Figure 0005133087
ここで、k番目のプロセスでのパラメータや特性関数をγdk、γpk、g(x−x’)、f(x−x’)とした。この方程式(71)の解は、式(19)の解である式(47)〜式(58)で、δl(x)=−Δlk−1(x)とすることで得られ、その式を用いて計算できる。これによって補正量Δl(x、y)を得られ、得られた量は、次に補正計算すべき工程((逆)番号k+1番目の工程)では既知の量となり、上と同様にして次の補正計算ができる。
まず、図1のS102において、上述した通りに、CMPによって生じるGCD寸法誤差を補正するための寸法補正量Δl(x)を求める。この値をΔl(x、y)とする。
まずLSIの設計データを用い、その設計パターンのパターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σ/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(8)で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、図1のS104において、エッチングによって生じるGCD寸法誤差を補正するための寸法補正量Δl(x)を求める。この値をΔl(x、y)とする。
ここで、σ、σ、σ、σのうち、最も小さい値をsとする。そして、パターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲s/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qは、CMP工程での補正の際に算出した値を用いる。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(71)で、Δlk−1(x)をΔl(x)として、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、図1のS106において、露光によって生じるGCD寸法誤差を補正するための寸法補正量Δl(x)を求める。この値をΔl(x、y)とする。
ここでは、影響範囲s/10の大きさのマス目領域(メッシュ)をそのまま用いる。また、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qは、CMP工程での補正の際に算出した値を用いる。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲を3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ、γを用いて、式(71)で、Δlk−1(x)をΔl(x)として、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次に、図1のS108において、マスク製造(形成)によって生じるGCD寸法誤差を補正するための寸法補正量Δl(x)を求める。この値をΔl(x、y)とする。
ここでも、影響範囲s/10の大きさのマス目領域(メッシュ)をそのまま用いる。また、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qは、CMP工程での補正の際に算出した値を用いる。
ここで、最後のプロセスとなるマスク製造で生じるGCD誤差の補正の場合は、位置依存性の項が付加される。また、このマスク製造工程では、マスクに形成するパターンのみについて補正すれば良いので、これまでの他の例とは異なり、周辺に同種のパターンがあることを想定し領域を広げる必要はない。そして、g(x)、σ、γdm、fpm(x)、γpmを用いて、式(71)で、Δlk−1(x)をΔl(x)として、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
このようにして得られた、Δl(x)が、全工程で発生するGCD誤差を補正するために、メッシュの位置毎に元のパターンの図形寸法(設計寸法)から補正すべき量となる。そして、実際にパターンの縮小或いは拡大はCADシステムを利用しておこない、メッシュの内部に存在する図形の寸法を補正すればよい。この際、前述のように、境界領域で生じる図形間の不要なすきまや重なりはCADシステムの機能を利用して除去すればよい。
次に、このように得られたパターンを用いて、マスクを製作からウェハプロセスを通して、所望の高い精度の所望のパターンを得ることができる。この方法によれば、面積や辺の計算を元のパターン(設計パターン)について1回計算するだけでよく、実施の形態1のように、工程毎にCADシステムなどを利用して計算する必要がない。また、実際にパターンをCADシステムで1回修正するだけで良く、前の例のように、工程ごとにCAD処理でパターンを修正する必要はない。このため、前の例よりも短時間で補正の処理を実現することができる。
そして、GCD寸法誤差が生じる各工程で生じる誤差がすべて補正されるように、マスク形成時点でパターンデータが補正されているので、最終的にできあがったパターンは設計通りのものにすることができる。そして、図1に示す各半導体製造工程を実施することで、1層分の処理を行なえばよい。ここまでは、LSI製造工程の1層分の処理について説明したが、同様の処理を他の層のパターン形成についても行うことによって、各工程で形成されるパターンを高い寸法精度で形成することが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では、マスク製造工程からダマシン工程までで発生するGCD誤差を一度で取り扱う形態について説明する。実際には、プロセス相互の順番による影響が存在するので、一度で取り扱う場合にはその分精度が落ちるが、実施の形態1,2よりも短時間で補正の処理を実現することができる。計算手法及びCADシステムの利用の仕方以外は、実施の形態1と同様である。
上述した位置依存性測定用マスク38を用いて、マスク38上のパターンをウェハ全面に転写(露光)する。同様に密度依存性測定用マスク39を用いて、パターンをウェハに転写する。そして、転写後、現像を行う。さらに、エッチングを行い、金属膜の堆積とCMPによるダマシンプロセスを通して、両ウェハ23,25上にパターンを形成する。以上のようにして形成されたウェハ23,25上の各位置の十字パターンの寸法を測定する。位置依存性測定用ウェハ23上のi番目の十字パターンの寸法をWpとし、密度依存性計測用ウェハ25上のそれをWdとする。
ここで、Wp−設計寸法/4がマスク製造からCMP工程にいたるまでに生じるGCD誤差の位置依存性であり、これをwpと記すこととする。ここで1/4はマスク上のパターンがウェハ上に、1/4で縮小転写されることによる。同様に、Wd―設計寸法/4がマスク製造からCMP工程にいたるまでに生じるGCD誤差の密度依存性である。これをwdと記すことにする。各位置でのwp、及びwdからGCD誤差の特性を調べることができる。また、例えば、最小二乗法を利用して近似し、位置依存関数γf(x、y)の関数系を求めることができる。また、同様に、密度依存関数g(x、y)を求めることができる。例えば、GCD誤差発生要因が、マスク製造工程、露光工程、エッチング工程、CMP工程と4種あるので、関数g(x)を式(5−1)或いは式(5−2)のガウシャンの式とした場合に、4つのガウシャンの和とし、それぞれの影響範囲σ、係数γの最適値を求めることができる。
以上のような方法によって、各工程で生じるGCD誤差の特性、位置依存、密度依存の関数系を求めることができる。
次に、このように得られた各行程の特性を利用して補正する方法を説明する。以下では説明をわかりやすくするため、位置に依存するGCD誤差は、マスク製造プロセスのみで発生し、光転写以降の行程では発生しないものとする。
全工程で生じるGCD誤差の特性を表す関数が上述のようにして求められ、それぞれの関数と係数が次のように得られたとする。密度依存性は式(8)を4個のガウス関数で表したマルチガウシャンを用いるものとする。それぞれのガウス関数のパラメータが以下のように得られたものとする。密度依存性について、σ,σ,・・・,σ、γ,γ,・・・,γ、また、位置依存性について、fpm(x)、γpmが得られたものとする。上記の仮定にしたがって、この位置依存性は、マスク内部の位置のみに依存する誤差である。σ,σ,σ,σの中で最も小さい値のものをσminとする。
まずLSIの設計データを用い、その設計パターンのパターン作成領域の内部を各マスの各辺が影響範囲σmin/10の大きさのマス目領域(メッシュ)になるように仮想分割する。そして、各メッシュ内部の図形のパターン密度ρと内部に存在する図形の辺の長さの総和lsum、及び内部に存在する頂点の係数Qを算出する。
次に、図9に示したように、ウェハ22上には同種のパターンが周囲に並ぶことを想定し、積分計算する影響範囲をそれぞれ3σ,3σ,3σ,3σとして、補正計算の対象領域を広げる。そして、g(x)、σ,σ,・・・,σ、γ,γ,・・・,γ、fpm(x)、γpmを用いて、式(8)を4つのマルチガウシャンに拡張した式で、δl(x)をゼロとして、各メッシュ内部の寸法補正量Δl(x)を計算する。すなわち、GCD寸法誤差が「0」になるための寸法補正量Δl(x)を求める。計算の方法は、上述したケース1,2を適宜用いればよい。また、図形の面積と辺の長さの総和lsumだけではなく頂点の寄与を計算に含める方がより望ましいことは上述したとおりである。
次にCADシステムを利用して、各メッシュ内部の図形寸法を得られた寸法補正量Δl(x)だけ縮小或いは拡大する。この際、前述のように、境界領域で生じる図形間の不要なすきまや重なりはCADシステムの機能を利用して除去すればよい。
以上のような寸法のパターンのマスクを得られれば、最終的にできあがったパターンはほぼ設計通りのものにすることができる。すなわち、GCDエラーが大幅に低減されたパターンを得ることができる。そして、図1に示す各半導体製造工程を実施することで、1層分の処理を行なえばよい。ここまでは、LSI製造工程の1層分の処理について説明したが、同様の処理を他の層のパターン形成についても行うことによって、各工程で形成されるパターンを高い寸法精度で形成することが可能となる。
実施の形態4.
上述した各実施の形態では、パターンをマスクに描画する前に、設計パターンのパターン寸法CDをGCD寸法誤差が補正された描画するためのパターン寸法CDに予め補正(リサイズ)しておく構成について説明した。しかしながら、GCD寸法誤差を補正する手法はこれに限るものではない。パターン自身には変更を加えず、算出された寸法補正を利用して照射量を調節しながらパターンを描画することで、マスク上のパターンに寸法の補正を加えることもできる。例えば、パターン自身には変更を加えず、レーザ光を利用したマスク描画装置(以下ではレーザ描画装置を略す)で寸法を場所によって変更しても良い。これは、次のように行うことができる。レーザ描画装置では、レーザ光の照射量、すなわち照射時間の長短により、マスク製造における現像エッチング後のパターン寸法が制御できる。この相関をあらかじめ調べておき、上記のように得られた場所によって制御すべき寸法を制御する場合、制御すべき寸法とこの相関から照射時間を求める。そして、この照射時間でパターンを描画する。以上のように構成すれば、CADシステムでパターンを直接補正せず、レーザ描画装置で、上記のように得られた寸法補正を実現しながら、マスク上にパターンを描画することができる。
図19は、実施の形態4におけるレーザ描画装置の要部構成を示す概念図である。
レーザ描画装置400では、以下のようにしてマスク412にパターンを描画する。まず、レーザ光源で発生したレーザ光401は、ビームスプリッタ402で複数(例えば10本)のビームに分解される。各ビームは音響光学素子404に入射する。この音響光学素子404は、ビームの通過、非通過の制御のための素子であり、これによって、ビーム強度、あるいはビームon(マスク412までビームが届く状態)の時間を調整することが可能となる。すなわち、この音響光学素子404の制御により場所によって照射量を変えることができる。照射量を変えることで寸法を制御して、GCD補正を行うようマスク上のパターン寸法を調整することができる。音響光学素子404を通過したレーザ光401はポリゴンミラー406の1面で反射されレンズ408で縮小される。そして、ステージ410上に配置されたマスク412上のレジストを露光する。ここで、ポリゴンミラー406を回転させることにより、ビームの反射角が変わり、ビームがマスク412上をスキャンすることになる。ステージ410はビームのスキャン方向と垂直方向に連続移動する機構とスキャン方向にステップ移動する機能を備えている。
これらを利用して実際にマスク412上にLSIパターンを描画する際は次のような処理となる。LSIパターンを一回のステージ連続移動で描画できる領域に区分し、各領域内部のパターンを、ステージ410を連続移動させながら、ビームを偏向、ビームをオン或いはオフさせながら描画していく。まず、あらかじめ、パターン寸法と照射量との相関関係を求めておき、それを第1のデータとして、表、あるいは関数の形で装置に入力し、図示しない記憶装置に格納しておく。一方、上述したいずれかの実施の形態のようにして求めたメッシュ領域毎の寸法補正量Δl(x)をレーザ描画装置400に第2のデータとして入力する。第2のデータも図示しない記憶装置に格納しておく。レーザ描画装置400は、記憶装置から第2のデータを読み出し、各メッシュの描画における寸法補正量Δl(x)を第2のデータから取得する。また、レーザ描画装置400は、記憶装置から第1のデータを読み出し、得られた寸法補正量Δl(x)が補正された寸法を得るための照射量を第1のデータから取得する。そして、得られた照射量から照射時間tを算出し、上記音響光学素子404に入力することで、ビーム毎の照射量を調整する。これによって、LSIのパターンの位置に応じて図形の寸法を制御し、GCD誤差を補正することが可能となる。
なお、この例では、ビームのon−offの時間を調整することで、照射量を調整したが、強度を調整して照射量を調整しても良い。また、ステージ410を連続移動させながらパターンを描画する例について説明したが、ステップ&リピート方式とよばれる方法(ステージを停止させてパターンを描画、その領域の描画が終了後、次の領域に移動してパターンを描画するという方法)を採用したものでも構わない。
実施の形態5.
実施の形態4ではレーザ描画装置を利用する方法を説明したが、電子線を利用する描画装置(以下、電子ビーム描画装置と略す)を用いて、GCD補正が実現するように、パターン寸法を制御することもできる。以下、電子ビーム描画装置でパターン寸法を制御する構成について説明する。レーザ描画装置の場合と同様、電子ビーム描画装置でも照射量、或いは照射時間を調整してパターン寸法を制御することができる。ただし、電子ビーム描画装置では、GCD寸法誤差の他に、近接効果という現象があり、近接効果の補正も同時に行なうことが望ましい。
電子ビームをレジストが塗布されたマスクに照射して回路パタンを描画する場合、電子ビームがレジストを露光後、レジスト層を透過してその下の層、マスク基板に達し、そこで後方に散乱(後方散乱)が起こる。そして、再度レジスト層に再入射し、レジストの予定外の部分をも露光する。この現象が近接効果である。この後方散乱による露光量は、描画するパターンの密度が高ければ多くなり、実効的な照射量が多くなり、パターンの寸法が大きくなる。すなわち、パターン密度に依存して、パターンの寸法が変化することになる。パターン密度に依存して寸法変動する意味で、現象としては、補正対象となるGCD誤差と同じである。しかし、次の点で異なる。
まず、第1に、その影響が及ぶ範囲である。後方散乱による露光量は上述と同じガウス関数で表されることが多いが、近接効果の影響範囲σの値は、通常利用される50kVの加速電圧で10μm程度と、GCDエラーの影響範囲σである数mm〜数cmよりも遥かに小さい。この意味で近接効果による誤差は局地的誤差を呼ばれる。
第2の違いは、その原因である。近接効果は、マスクパターンを描画する電子ビーム描画装置自身で発生するものであり、上述のように、実効的照射量の変動により発生するものである。そのため、近接効果の補正は、照射量を調整、補正して実現される。これに対して、GCD誤差は、実効的照射量の変動が原因ではなく、また、描画装置で描画した後の工程で発生するものである。
従来、電子線描画装置では、GCD補正を行わなかった。一方、近接効果補正を実現するため照射量の制御は行われている。このため、GCD補正をも照射量で制御するには、この近接効果補正との両立が必要になる。これは後ほど説明する。ここで近接効果補正の方法の一例を説明しておく。レジストの場所x=(x,y)における電子線エネルギーの吸収量E(x)は以下の式(72)で表される。
Figure 0005133087
式(72)の第1項は前方散乱による寄与、第2項が後方散乱による寄与である。パラメータKは照射量から蓄積エネルギーへの変換係数である。また、ηは近接効果の影響を示すパラメータであり、前方散乱による蓄積エネルギーの寄与と後方散乱の寄与の比である。加速電圧50kVの場合、ηの値は0.8程度である。関数g(x)は次の式(73)の条件を満たす。
Figure 0005133087
また、以下の式(74)のようにガウス関数が用いられる。
Figure 0005133087
ここでσは後方散乱の広がりの目安であり、加速電圧50kVの場合、影響範囲σの大きさは10μm程度である。近接効果補正のための場所に依存する最適照射量D(x)を決定するための方程式は、パターン密度100%での照射量をD100%とした場合、次の式(75)で与えられる。
Figure 0005133087
但し、D(x)は、以下の式(76)の積分方程式で与えられる。
Figure 0005133087
この解は、例えば、特許文献2,3によれば、以下の式(77−1)〜式(77−3)で表される。
Figure 0005133087
ここで、式(77−1)で、和は無限としているが、実際には最初の数項までとれば、必要な精度が得られる。実際の補正計算にあたっては、描画すべきLSIパターン、あるいはマスクパターンをσよりも充分小さな大きさΔ×Δの領域(例えば(σ/10)×(σ/10))に区分し、i番目の小領域内に存在する図形を、小領域の中心座標をxとして次の式(78−1)〜式(78−4)であらわされる照射量D(x)で描画する。
Figure 0005133087
ここで、ρ(x)はj番目の小領域内部のパターン密度であり、和はi番目の小領域を含む周辺の小領域についてとる。例えば、3σ〜4σ以内に存在するすべての小領域について取ればよい。次に、GCD補正と近接効果補正とを同時に行う方法について説明する。
図20は、実施の形態5におけるしきい値モデルの一例を示す図である。
図20において、このモデルは、“パターンの寸法Wは、電子線によってレジストに与えられたエネルギー分布をしきい値Ethが横切る位置で決まる”とするものである。図20におけるp,qを用いて、次の量fをf=q/(p+q)で定義する。そして、エネルギー分布の上部の幅をWとし、底部から上部までの立ち上がりに必要な幅をΔとする。その場合、寸法W=W+2Δ・fで求めることができる。よって、寸法Wはfによって決まる。ここで、小領域毎にΔl(x)だけ寸法を変化させるためには、領域毎にこの量fをΔl(x)に依存して変化させる必要がある。これをf(Δl(x))として表現する。例えば、Δl(x)=0、すなわち、設計通りの場合、f=1/2となるので、f(0)=1/2となる。実施の形態5では、照射量を制御して、Δl(x)だけ寸法を変化させ、しかもこれを小領域内部に存在するすべてのパターンについて成立させなければならない。よって、式(72)を修正した以下の式(79)に示す近接効果補正の方程式が成立しなければならない。
Figure 0005133087
ここで、第1項は前方散乱による寄与、第2項が後方散乱による寄与である。パラメータKは照射量から蓄積エネルギーへの変換係数である。ηは近接効果の影響を示すパラメータであり、前方散乱による蓄積エネルギーの寄与と後方散乱の寄与の比である。また、Cはある定数である。関数g(x)は簡単のため、式(74)のガウス分布を仮定する。
ここで、式(74)におけるσは、後方散乱の広がりであり、加速電圧50kVの場合は、10μm程度である。
図21は、実施の形態5におけるGCD補正用の小領域と近接効果補正のための小領域との一例を示す図である。
図21に示すように、GCD補正用のメッシュ状の小領域Lに加えて、近接効果補正のためのメッシュ状の小領域Pを導入する。これは、LSIの全領域を区分するものであり、領域PのサイズΔpは近接効果の広がりσよりも充分小さなものとする(ex.1μm)。そして、式(79)を成立させる最適照射量は、図形毎に計算するのではなく、領域P毎に計算するものとする。ここで、照射量D(x)を以下の式(80)のように表現する。
Figure 0005133087
ここで、D100%(x)は各小領域Lにおいて、近接効果の意味での密度が100%となるパターン(例えば1μm:1μmのライン&スペース)の寸法を所定のΔl(x)だけ補正できる照射量を示す。D(x)は、各領域内で、D100%(x)で規格化した照射量である。ここで、D50%(x)は、1:1ライン&スペースをプロセス補正のために寸法を制御するための照射量であるので、その空間的変動はプロセスによる寸法変動距離程度、すなわちmm、cmオーダである。式(80)を式(79)に代入すると、以下の式(81)のように表すことができる。
Figure 0005133087
ここで、g(x−x’)は3σ(30μm程度)でゼロとなる量であり、これに対してD50%(x)はmm〜cmオーダでゼロとなる量である。よって、g(x−x’)に対して、D50%(x)の変動は無視でき、積分の外に出して良い。これによって式(81)が以下の式(82)のように変形できる。
Figure 0005133087
そして、式(82)をさらに変形すると、以下の式(83)のように表すことができる。
Figure 0005133087
ここで、η(Δl(x))については、以下の式(83)のように定義する。
Figure 0005133087
また、h(Dl(x))は、小領域内部では一定値としてみなすことができるので、次の方程式(85)は各領域内部では通常の近接効果補正方程式であり、解くことができる。
Figure 0005133087
i番目の小領域Lの境界で発生する誤差を排除するためには、周辺3σ〜4σ内に存在する小領域Pも取り込んで補正計算を行い、小領域L内部の結果のみを採用すれば良い。方程式(85)の解をd(x, h(Dl(x)))として、式(80)のD(x)として採用すれば、式(83)は次の式(86)のように表すことができる。
Figure 0005133087
よって、D100%(x)は、以下の式(87)で得ることができる。
Figure 0005133087
解をまとめると、照射量D(x)は、以下の式(88)で得ることができる。
Figure 0005133087
ここで、D100%(x)は、式(87)で定義され、d(x)は方程式(85)の解である。以上のように、電子ビーム描画装置で、照射量を制御して寸法を変化させるためには、基準となるパターン(上の例ではライン&スペース)の照射量のみならず、近接効果補正のパラメータηも変化させる必要があることが解った。
以上の計算式による解法を用いて、電子ビーム描画装置での具体的な処理手順について説明する。また、上述した解法を適用し、半導体製造工程のひとつの層のパターンをいくつかの工程を経て形成すること、及び、補正寸法を算出する方法は、上述した実施の形態1〜3のいずれかと同様である。そのため、ここでは、電子ビーム描画装置で、パターンを形成する際、設計パターンを元に描画しながら、補正寸法をマスク上に形成する方法について説明する。
図22は、実施の形態5における描画装置の構成を示す概念図である。
図22において、荷電粒子ビーム描画装置の一例として可変成形型電子線描画装置である描画装置100を示す。描画装置100は、試料101上にパターンを描画する。描画装置100は、描画部150と制御系を備えている。描画部150は、電子鏡筒102、及び描画室103を有している。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、ブランキング(BLK)偏向器212、ブランキング(BLK)アパーチャ214、第1の成形アパーチャ203、投影レンズ204、成形偏向器205、第2の成形アパーチャ206、対物レンズ207、及び対物偏向器208が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105には、レーザ測長用の反射ミラー209が配置されている。また、XYステージ105上に試料101が載置される。試料101には、上述した露光用マスクが含まれる。一方、制御系は、コンピュータとなる制御計算機(CPU)120、メモリ122、偏向制御回路112、レーザ測長系132、駆動回路114、偏向アンプ142、デジタル/アナログ変換器(DAC)152、バッファメモリ162、偏向アンプ144、DAC154、バッファメモリ164、偏向アンプ146、DAC156、バッファメモリ166、記憶装置123、プロセス補正用データ格納メモリ126、近接効果補正量格納用メモリ127、及び近接効果補正部128を有している。
例えば静電型のBLK偏向器212は、電子ビーム200を偏向せずに通過させることでビームONさせ、偏向することでビームOFFさせる。そして、例えば静電型の成形偏向器205は、BLK偏向器212に対して光路上の後段に配置され、電子ビーム200を偏向して成形する。そして、例えば静電型の対物偏向器208は、成形偏向器205に対して光路上の後段に配置され、電子ビーム200を試料101の所定の位置に偏向する。
CPU120には、メモリ122、偏向制御回路112、レーザ測長系132、駆動回路114、及び近接効果補正部128が図示していないバスを介して接続されている。偏向制御回路112、駆動回路114は、CPU120により制御されている。CPU120に入力された情報や演算結果等はメモリ122に格納(記憶)される。偏向制御回路112には、さらに、レーザ測長系132、バッファメモリ162、バッファメモリ164、バッファメモリ166が図示していないバスを介して接続されている。バッファメモリ162には、DAC152が接続され、DAC152には、偏向アンプ142が接続され、そして、偏向アンプ142は、BLK偏向器212に接続される。同様に、バッファメモリ164には、DAC154が接続され、DAC154には、偏向アンプ144が接続され、そして、偏向アンプ144は、成形偏向器205に接続される。同様に、バッファメモリ166には、DAC156が接続され、DAC156には、偏向アンプ146が接続され、そして、偏向アンプ146は、対物偏向器208に接続される。図1では、本実施の形態を説明する上で必要な構成部分について記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わない。
電子銃201から照射された電子ビーム200は、照明レンズ202により集光されてBLKアパーチャ214でクロスオーバーを形成して通過した後、矩形、例えば長方形の穴を持つ第1の成形アパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1の成形アパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2の成形アパーチャ206上に投影される。かかる第2の成形アパーチャ206上での第1のアパーチャ像の位置は、成形偏向器205によって制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。そして、第2の成形アパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、対物偏向器208により偏向される。そして、移動可能に配置されたXYステージ105上の試料101の所望する位置に照射される。XYステージ105は、駆動回路114によりXY方向に駆動される。また、XYステージ105の位置は、レーザ測長系132から照射されたレーザを反射ミラー209で反射して、かかる反射光をレーザ測長系132が受光することで測長される。
また、電子鏡筒102内およびXYステージ105が配置された描画室内は、図示していない真空ポンプにより真空引きされ、大気圧よりも低い圧力となる真空雰囲気となっている。
BLK偏向器212は、偏向制御回路112、バッファメモリ162、DAC152、偏向アンプ142によって制御される。成形偏向器205は、偏向制御回路112、バッファメモリ164、DAC154、偏向アンプ144によって制御される。そして、対物偏向器208は、偏向制御回路112、バッファメモリ166、DAC156、偏向アンプ146によって制御される。
試料101上の電子ビーム200の位置を移動する場合、或いは照射時間に達した場合、試料101上の不必要な領域に電子ビーム200が照射されないようにするため、静電型のBLK偏向器212で電子ビーム200を偏向する。そして、偏向された電子ビーム200をBLKアパーチャ214で電子ビーム200をカットする。その結果、電子ビーム200が試料101面上に到達しないようにする。BLK偏向器212で電子ビーム200を偏向してBLKアパーチャ214で電子ビーム200をカットすることで、所定の時間だけ電子ビームを照射することができる。
図23は、実施の形態5における描画単位領域の一例を示す図である。
パターンの描画は、XYステージ105を連続移動させながら行う。LSIパターンを図23に示すように、1回のステージ連続移動でパターンを描画できる領域(ストライプ)80に区分しておく。XYステージ105を連続移動させながら、ビームの形状、サイズ、位置や照射時間を制御しながら、ストライプ80内のパターン82を描画し、1つのストライプ80について処理が終わったのちは、次のストライプ80内のパターンを同様にして描画する。そして、全ストライプを処理して、所望のLSIパターンを描画する。
ここで、近接効果補正部128は、描画と並列に処理を行う。n番目のストライプ80の描画をおこなっている時には、次のn+1番目のストライプ80内部の近接効果補正の演算をおこなう。具体的な補正計算は、次のようにおこなう。例えば、n番目のストライプ80について補正計算をする場合、このストライプ80内に存在するパターンに、その前後のストライプからパターンを追加する。第nストライプの辺から外部に4σ〜5σ内に存在するパターンを追加する。これは、ストライプ境界付近で、隣のストライプに存在するパターンの影響を正しく取り込むための処理である。そして、補正を行った後、補正結果として使用するのは、対象となるストライプ内の補正データであり、外側のストライプ内のパターンに付加した分については利用しない。隣接するストライプ内のパターンについては、自己のストライプが対象となった時のデータを用いればよい。描画装置100には、GCD補正用の小領域(これを小領域Lと呼ぶ)毎のηの値群を入力し、描画装置100はこの値を利用して近接効果補正の計算を行う。ηの値群等のデータは、プロセス補正用データ125として、記憶装置123に格納しておけばよい。また、記憶装置123には、パターンデータ124が格納されている。
まず、近接効果補正部128は、ストライプ80内部を小領域Lでメッシュ状に区分する。そして、対象となる小領域Lを隣接する周囲の小領域Lの方向に3σ〜4σだけ広げる。このように広げた領域内部を近接効果の広がり範囲となる影響範囲σよりも充分小さな領域、例えば1×1μmでメッシュ状に区分(小領域Pと呼ぶ)する。そして、小領域P毎にその内部に存在するパターンのパターン密度を求める。ここで、周囲の小領域Lについてはその小領域L内に配置されるパターンの密度を、隣のストライプにまで広げた場合には、その隣のストライプ内に広げた領域内に存在するパターンの密度を求める。近接効果補正部128は、このように求めたパターンの密度を利用して、小領域L毎にそれに対応するηの値を記憶装置123からメモリ122、CPU120を介して入力する。そして、近接効果補正部128内の補正計算サブシステムに入力、サブシステムはこれを利用して小領域P毎に計算する。近接効果補正量となる補正照射量d(x)は、上述した式(85)の解として算出することができる。この手順をストライプ内のすべての小領域Lについて行い、1つのストライプ用に近接効果補正量が小領域P毎に算出される。計算された近接効果補正量は、近接効果補正量格納用メモリ127に格納される。
また、GCD補正用の基準照射量D100%(x)は、別途、予め別のソフトウェアを用いて計算しておいたものを記憶装置123に格納しておく。或いは、CPU120で計算してもよい。GCD補正用の各メッシュ(小領域L)での寸法補正量Δl(x)は上述した実施の形態1〜3のいずれかの手法で計算する。そして、各メッシュで得られた寸法補正量Δl(x)を用いて得られる基準照射量D100%(x)は、式(87)から算出できる。また、近接効果補正パラメータh(Dl(x))は、式(84)から算出できる。このようにして、各メッシュの基準照射量D100%(x)及びh(Dl(x))を求め、これを描画装置100への入力データとする。そして、プロセス補正用データ125として、記憶装置123に格納しておく。そして、CPU120は、記憶装置123からメモリ122を介して基準照射量D100%(x)を読み出し、プロセス補正用データ格納メモリ126に格納しておく。
実際に描画する際には、近接効果補正量格納用メモリ127に格納された近接効果補正用小領域P毎の補正照射量d(x)とプロセス補正用データ格納メモリ126に格納されたGCD補正用小領域L毎の基準照射量D100%(x)を利用する。例えば、あるショットsを描画する場合、偏向制御回路112は、その照射位置がGCD補正用メッシュの中のどのメッシュに含まれるかを算出する。そして、そのメッシュに記されるGCD補正用の基準照射量D100%(x)をプロセス補正用データ格納メモリ126内のデータから読み出す。これをDsとする。また、同照射位置が近接効果補正用メッシュのどのメッシュに含まれるかを算出する。そして、そのメッシュの近接効果補正照射量d(x)を近接効果補正量格納用メモリ127内のデータから読み出す。これをdsとする。そして、偏向制御回路112は、そのショットsの照射量D(x)をDs×dsとし、これを電流密度Bで割り、照射時間tを算出する。そして、偏向制御回路112は、DAC154及び偏向アンプ144を介して成形偏向器205に印加する電圧を制御するための信号をバッファ164に出力する。その信号に基づいて、ショットのサイズが制御される。また、偏向制御回路112は、DAC156及びアンプ146を介して位置偏向に用いる対物偏向器208に印加する電圧を制御するための信号をバッファメモリ166に出力する。その信号に基づいて、ショットの位置が制御される。そして、偏向制御回路112は、DAC152及びアンプ142を介してBLK偏向器212に印加する電圧を制御するための信号をバッファメモリ162に出力する。その信号に基づいて、上記算出した照射時間tだけ、ビームがonとなる電圧(通常はゼロ電圧)がBLK偏向器212に加えられる。
以上のように構成することによって、所定の時間、所定の照射量でそのショットを照射し、マスク上に出来上がる図形の寸法を制御することが可能となる。このようにして描画されたパターンは、ローディング効果やプロセスにまつわるGCD誤差を補正できるものとなっている。
実施の形態6.
上述した各実施の形態では、GCD寸法誤差を補正する場合について説明した。そして、例えば、エッチング時に生じるローディング効果に起因するGCD誤差は、影響範囲σがcmオーダ程度となるので、計算に用いるメッシュサイズは1mm程度が適当となる。また、フレアに起因するGCD誤差は、影響範囲σが4〜16μm程度となるので、メッシュサイズは400〜1600nm程度が適当となる。すなわち、GCD誤差を補正するには、メッシュサイズが10mm〜100nmの範囲にあることが好適となる。このようなサイズは、通常、複数の図形が含まれる程度の大きさのサイズである。したがって、上述した各実施の形態では、通常、複数の図形が含まれるメッシュ領域毎に計算が行なわれる場合が多い。
しかしながら、上述した各実施の形態での寸法補正量Δl(x)を求めるための計算式及び方法は、これらの領域サイズに限るものではない。例えば、影響範囲σが250nm程度となるマイクロローディング効果に起因するローカルCD誤差を補正する場合にも使用することができる。その場合には、メッシュサイズは50nm程度が適当となる。すなわち、範囲を小さくしたマイクロローディング効果等のローカルCD誤差を補正するには、メッシュサイズが100nmより小さい範囲にあることが好適となる。このようなサイズは、通常、1つの図形或いはその図形の一部だけが含まれる程度の大きさのサイズである。したがって、通常、1つの図形或いはその図形の一部だけが含まれるメッシュ領域毎の計算にも上述した各実施の形態での寸法補正量Δl(x)を求めるための計算式及び方法を用いることができる。その場合には、メッシュサイズΔと影響範囲σと補正係数γの値を変更してやればよい。例えば、影響範囲σを250nmに、メッシュサイズΔを50nmに、補正係数γを−10nm程度に設定すればよい。
以下、範囲を小さくしたローカルCD誤差を補正した場合の計算結果の一例を説明する。
図24は、実施の形態6における補正誤差測定用のパターンの一例を示す図である。
2次元平面となる描画領域72の右半分に矩形の図形76、例えば、コンタクトホールパタンを形成する。そして、個々の矩形サイズはw×wとした。そして、このパターンのマイクロローディング効果等のローカルCD誤差を計算するためのメッシュ領域74を×Δ×Δのサイズで分割した。ここではメッシュサイズΔを50nmに設定した。また、影響範囲σを250nmに、補正係数γを−10nm程度に設定した。
図25は、実施の形態6における面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
ここでは、一例として、パターンの面積(或いは密度)のみを考慮し、辺や頂点の寄与を無視した場合を示す。図25に示すように、辺や頂点の寄与を無視したため、位置によって大きく補正残差が残ることがわかる。
図26は、実施の形態6における面積と辺の長さの総和を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。括弧内の数字は、計算回数を示している。ここでは、計算回数を1回よりも2回にした方がより補正残差は小さくなる。すなわち、面積のみを考慮した場合よりもさらに辺の総和を計算に用いて解を求める方が高精度になる。これによって誤差は0.02nmまで抑えることが可能となり、要求される精度によっては、これで充分な補正ができることになる。この補正精度をさらに向上させる方法を以下説明する。図26の例では、3回以上計算回数を多くしても精度が向上されない。これは、頂点の寄与を無視したことに起因する。
図27は、実施の形態6における面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
括弧内の数字は、計算回数を示している。ここでは、辺と頂点の寄与を考慮した。そして、計算回数を増やすことにより補正残差を0.1nm以内に抑えることができる。
図25に示したように、面積のみを考慮するような方法のみでは、パターンの微細化が進むにつれて、精度が不十分となることが予想される。これに対し、図26及び図27に示したように、ケース1〜2の各解法により、将来のLSIの精度を満たすことが可能となる。特に、ケース2のように、辺の寄与、頂点の寄与までを考慮する補正によって、より高精度に補正することが可能となる。
以上のように、露光用マスクのパターン作成領域から仮想分割されたメッシュ状の複数のマス目領域(メッシュ)のメッシュ毎に含まれるパターンの面積と、パターンの外周の辺の長さの総和とを用いることで、マイクロローディング効果により生じるパターンのローカルCD寸法誤差を補正する補正量を高精度に算出することができる。さらに、メッシュ内のパターンの頂点の寄与として、頂点の係数QにΔl(x)を乗じた値を計算に含めることで、範囲を狭くしたローカルCD寸法誤差を補正するためのより高精度な補正量Δl(x)を算出することができる。
図24では、メッシュ領域74内に1つの図形76が含まれる場合について示したが、これに限るものではない。
図28は、実施の形態6におけるパターンの一例を示す図である。
メッシュサイズを小さくしていくと、図28に示すように、メッシュ領域74内には、図形79の一部ずつしか含まれなくなる。このような場合には、それぞれのメッシュ領域74,75内に含まれる部分図形77,78を別々に計算する。そして、それぞれのメッシュ領域毎に寸法補正量Δl(x)を求める。ここでは、メッシュ領域75内に含まれる部分図形77の寸法補正量Δl(x)とメッシュ領域74内に含まれる部分図形78の寸法補正量Δl(x)を求める。そして、それぞれ寸法補正すればよい。
次に、上述した実施の形態1では、図1で示したように、各製造工程の後段から順にCD寸法誤差を補正していった方が高精度な補正ができることを説明したが、マイクロローディング効果によるローカルCD誤差についても同様である。図1の例では、ウェハ上にパターンを形成する際のエッチング工程で生じる誤差を補正する工程(S104)でマイクロローディング効果によるCD誤差を補正することになる。そこで、マスク形成工程(S201)の1つ後段側となる露光工程(S202)で生じるフレアによるGCD誤差を補正する工程(S106)と関連させた場合の補正精度について以下に説明する。ここでは、マイクロローディング効果による寸法補正を計算するにあたって、σ=250nm、γ=−10nmとした。また、フレアによる寸法補正を計算するにあたっては、ダブルガウシアンの式を用いて、σL1=4μm、γd1=10nm、σL2=17μm、γd2=10nmとした。
図29は、実施の形態6におけるマイクロローディング効果とフレアによるCD誤差を補正しない場合の寸法精度の一例を示すグラフである。
図29に示すように、補正しない場合、位置によって大きく補正残差が残ることがわかる。
図30は、実施の形態6におけるプロセス手順の影響を無視して面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
ここでは、一例として、パターンの面積(密度)のみを考慮し、辺や頂点の寄与を無視した場合を示す。図30に示すように、プロセス手順の影響や辺や頂点の寄与を無視したため、位置によって大きく補正残差が残ることがわかる。
図31は、実施の形態6におけるプロセス手順の影響を無視して面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
面積の他に辺や頂点の寄与を考慮したため、補正残差は図30に比べてある程度小さくなったが、プロセス手順の影響を無視しているため、まだ、補正残差が残っている。
図32は、実施の形態6におけるプロセス手順の影響と面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。
面積や辺や頂点の寄与とさらにプロセス手順の影響を考慮したため、補正残差を0.1nm以内に抑えることができる。
実施の形態7.
上述した各実施の形態では、各製造工程の後段から順にCD寸法誤差を補正していく場合に、最も小さいメッシュサイズΔと影響範囲σとにすべての工程での計算を合わせて行なうことを前提にしていた。しかし、それでは計算回数が膨大な数になってしまう。そこで、実施の形態7では、高速計算が可能な演算方法について説明する。
未知の関数Δdk(x)を次の式(89)で定義する。
Figure 0005133087
ここで、上述した各実施の形態と同様、Δlk+1(x)は、既知の関数とする。未知の関数Δl(x)の代わりに、Δd(x)を用いる場合、Δd(x)に関する方程式は式(89)を用いて、次の式(90)のように表わすことができる。
Figure 0005133087
ここで、FEC (x)は、以下の式(91)で定義される。
Figure 0005133087
また、F(x)は、以下の式(92)で定義される。
Figure 0005133087
ここで、式(19)で、FEC(x)をFEC (x)に、γpf(x)−δl(x)をF(x)に置き換えを行うと、式(19)は、式(92)と同じ形になる。よって、式(19)の解をQ(x,γdk,FEC(x),CAT(x),γpf(x)−δl(x))と表現すると、式(90)の解、すなわちΔd(x)は、次の式(93)で示すことができる。
Figure 0005133087
すでに、上述した実施の形態1において式(19)の解として近似的な解、式(21−1)〜式(28)が得られている。また、高精度な解としては、式(47)〜式(58)が得られている。よって、これらの解を用いて、FEC(x)をFEC (x)に、γpf(x)−δl(x)をF(x)に置き換えを行なったものが解となり、その解を利用することで、Δd(x)の値を求めることができる。Δl(x)は、式(89)によって、既知の関数であるΔlk+1(x)と既知の関数となったΔd(x)の値とから求めることができる。以上のように、製造工程間の寸法補正量の差分Δd(x)が求められ、この差分Δd(x)を用いて1つ前段の製造工程におけるメッシュ領域毎の寸法補正量Δl(x)を求めることができる。この手法を用いて、以下、高速計算方法について説明する。
上述したように、寸法補正量Δl(x)は、最も小さなσの値(σmin)よりも充分小さな領域を単位に行う。このγの値は、プロセスによって桁が違って異なる。例えば、マイクロローディング効果の場合は250nm程度、フレアの場合は、10μm程度となり、その比は40倍に及ぶ。このような場合は、補正計算時間が莫大となる。それは以下の理由による。上述したマイクロローディング効果とフレアをともに補正する場合は、小領域をσ(250nm)より充分小さくする必要があるので、小領域のサイズを例えば1/5の50nmとすることになる。
この小領域で、フレアの補正を行うため、ガウス関数で畳み込み積分を行う必要があるが、フレアの影響の広がりσを10μmとし、3σまで影響を考慮することにすると、半径30μmの円内の小領域すべてについて畳み込み計算をすることになる。この中にある小領域の数は、π(30μm/50nm)=1×10に及ぶ。一方、LSIのサイズを1cm角とすると、この小領域の数は、(1cm/50nm)=4×1010である。この一つ一つの小領域に対し、上述した畳み込み計算が必要になるので、計算の回数は、4×1016回に及ぶことになる。仮に計算機の処理速度が1秒間に1×10回の計算ができるものとすると、計算時間は、4×1016/10=4×10秒かかることになる。この値は、約3日となる。これは、LSIの製造に耐えるものではない。以下、上述した式(89)〜式(93)を使った計算法を利用して、この問題を解決する方法を示す。
図33は、実施の形態7におけるメッシュ領域の一例を示している。
補正計算の過程で、あるプロセスの補正を計算する工程を考える。図33(a)に示すように、このプロセスでのσは小領域Lとなる小領域74のサイズよりも桁違いに大きいものとする。ここで、図33(b)に示すように、寸法補正量Δl(x)を算出する小領域74とは異なるもうひとつの小領域84(小領域M)を定義し導入する。この小領域84の大きさをΔ×Δとする。Δのサイズは、σkよりも充分小さいが、小領域74のサイズΔ×Δよりも充分大きいものとする。例えば、Δ=50nm、σmin=250nm、Δ=1μm、σ=10μmとする。ここで、理解しやすくするため、位置依存の関数f(x)は、g(x)よりもゆっくりと値が変化する関数であるとする。この場合、式(90)と式(91)から、Δd(x)は、σ程度の距離で、値がゆっくりと変化する関数であることがわかる。なぜなら、式(90)と式(91)の中でΔd(x)以外は、そのような特徴を持つ関数だからである。例えば、式(90)の第2項は、密度(σ程度の距離で、値がゆっくりと変化する関数)をg(x)で畳み込み計算したものであるからである。よって、σよりも充分小さな小領域84の中では、Δd(x)の値は、ほぼ一定であり、場所によって変化しないと考えて良い。そのため、例えば、Δd(x)の値は、小領域84の中心でのみ算出し、(1)その値をその小領域84の中にあるすべての小領域74で利用する。(2)或いは、ある点でのΔd(x)の値を算出する場合、周辺の小領域84の中心で算出したこのΔd(x)を利用して内挿して算出するという方法を行っても致命的に大きな誤差は発生しないことになる。これによって、小領域84内のすべての小領域74について畳み込み計算をする必要がなくなるので、計算時間を大幅に短縮することができる。
さらに、この小領域84を利用すると、畳み込み計算時の計算量も大幅に低減できる。これを次に示す。Δd(x)を計算するには、式(92)などに見るように、次の式(94)に示すような畳み込み計算が必要となる。
Figure 0005133087
ここで、D(x)の例は、ρ(x)やFEC(x)Δl(x)/Δなどである。式(94)を和の形で表現すると次の式(95)のように表わすことができる。
Figure 0005133087
式(95)において、和は小領域84(小領域M)について取る。小領域74(小領域L)の番号付けを(l,j)と変更する。ここでlは、小領域Mの(通し)番号、jはl番目の小領域84(小領域M)の中にある小領域74(小領域L)の(通し)番号である。この時、式(95)は次の式(96)のように表現することができる。
Figure 0005133087
小領域74(小領域L)の中でg(x)はほとんど変化しない。よって、g(x)を小領域84(小領域M)の中心での値で代表させ、小領域Lに関する和から外に移動しても、大きな誤差を発生しない。よって、式(96)は次の式(97)のように変形することができる。
Figure 0005133087
ここで、次の量D(xl,Ce)を次の式(98)に示すように定義し、導入する。
Figure 0005133087
式(98)のD(xl,m)を用いると、u(xi,Ce)は次の式(99)のように計算できることになる。
Figure 0005133087
この式(99)を利用すれば、畳み込みに使用する小領域は、小さな小領域Lではなく、小領域に比べて大きな小領域Mであるので、畳み込み計算時の計算量は、直接、式(95)を計算するよりも、大幅に短縮されることになる。
以下、上述した方法の効果を確認する。式(95)を直接計算すると、計算量は、π(3σ/Δ(L/Δとなる。ここで、LはLSIのサイズである(例えば、1cm)。一方、上述した方法によれば、D(xl,Ce)を計算するための計算量は、(L/Δとなり、畳み込み計算のための計算量は、π(3σ/Δ(L/Δとなる。このD(xl,Ce)を計算するための計算量と式(95)を直接計算する計算量との比は、π(3σ/Δとなる。σとΔがそれぞれ、10μm(ローカルフレア)及び50nm(マイクロローディング効果に対する小領域Lのサイズ)の場合、この比は1×10−6となる。D(xl,Ce)の計算量は直接、式(95)で畳み込み計算するための計算量にくらべて充分に小さい。式(90)を直接計算した場合の計算時間を3日と見積もったが、この比率に従って比例計算すると、D(xl,Ce)を計算するための計算時間は、40秒となる。
また、π(3σ/Δ(L/Δとπ(3σ/Δ(L/Δとの比は、(Δ/Δ=(σ/σminとなる。σとσmin(全プロセスの中で一番小さなγの値)とが、それぞれ、10μm(GCDフレア)と250nm(マイクロローディング効果)であるとすると、この比は、4×10−7となる。これもまた、直接、式(95)で畳み込み計算するための計算量であるπ(3σ/Δ(L/Δにくらべて桁外れに小さい。式(90)を直接計算した場合の計算時間を3日と見積もったが、この比率に従って比例計算すると、D(xl,Ce)を計算するための計算時間は、16秒となる。
以上のように、製造工程毎にメッシュ領域のサイズを変えて製造工程間の寸法補正量の差分Δd(x)が求められる。メッシュ領域のサイズを変えることで、上述したように畳み込み計算に伴う計算時間、ひいては、補正計算時間を大幅に短縮することが可能となる。そして、この差分Δd(x)と既知の関数であるΔlk+1(x)と用いて、1つ前段の製造工程におけるメッシュ領域毎の寸法補正量Δl(x)が式(89)によって算出される。寸法補正量Δl(x)を式(89)によって計算する際には、元々のメッシュサイズΔを用いればよい。
実施の形態7では、マスク形成時にマイクロローディング効果によるCD誤差補正(S108)を行なう場合に、フレアによるGCD補正(S106)での差分Δd(x)を計算する場合について説明した。すなわち、上述した実施の形態1〜6では、各製造工程の最も小さいメッシュサイズΔと影響範囲σとにすべての工程での計算を合わせて行なうことを前提にしていた。そのため、上述した実施の形態1〜6では、マイクロローディング効果によるCD誤差を補正する場合、メッシュサイズΔと影響範囲σとがマイクロローディング効果補正用の値となるはずである。しかし、上述したように、実施の形態7では、フレアによるGCD補正では、フレア用のメッシュサイズΔと影響範囲σとを用いることで差分Δd(x)の計算量を短縮することができることを説明した。この手法は、フレアによるGCD補正に限るものではなく、他の製造工程でも同様に、メッシュ領域のサイズを変えることで、差分Δd(x)の計算量を短縮することができる。それぞれの製造工程での誤差の範囲に応じてメッシュ領域のサイズを選択すればよい。それによりそれぞれの製造工程での寸法補正量Δl(x)の計算において高速化を可能にすることができる。
以上の説明において、「〜回路」、「〜部」或いは「〜工程」と記載したものの処理内容或いは動作内容は、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。例えば、記憶装置123に記録される。
また、図22において、コンピュータとなるCPU120は、さらに、図示していないバスを介して、記憶装置の一例となるRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM、磁気ディスク(HD)装置、入力手段の一例となるキーボード(K/B)、マウス、出力手段の一例となるモニタ、プリンタ、或いは、入力出力手段の一例となる外部インターフェース(I/F)、FD、DVD、CD等に接続されていても構わない。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置のうちの1層を形成するためのすべての工程についてGCD補正を行なったが、誤差が小さいものがあればそこは省いても良い。また、全層に適用せず、精度の必要な層のみに適用しても良い。また、インプリント(Inprint)技術でも適用可能である。その場合、露光用マスクをinprintの原版として適用することができる。また、上述したGCD補正の手法は、マスク形成に限らず、電子ビーム(EB)やレーザによる直接描画にも適用可能である。また、露光工程について、通常の光を利用した例で説明したが、X線マスクやEUV(extreme ultra violet)光を利用する転写装置用マスクの形成でも適用することができる。また、パターンの形状は、矩形(すべて90°角)に限らず、任意角度の斜め線、三角形、円、楕円、リング等、一般的な2次元のパターンでも構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン作成方法、荷電粒子ビーム描画装置、及び荷電粒子ビーム描画方法は、本発明の範囲に包含される。
実施の形態1におけるマスクの製造工程とLSIの製造工程の要部工程を示す図である。 実施の形態1における作成されるパターンの一例を示す図である。 実施の形態1における元の図形、補正後の図形、及び差分図形の一例を示す図である。 パターンの頂点で生じる面積誤差について説明するための図である。 実施の形態1における補正誤差測定用のパターンの一例を示す図である。 面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態1における面積と辺の長さの総和を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態1における面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態1におけるマスクに形成されたパターンがシリコンウェハ上に露光される場合の配置状況の一例を示す図である。 実施の形態1における密な部分と疎な部分が混在するパターンが隣接して複数配置された場合の一例を示す図である。 実施の形態1におけるGCD誤差のパターン位置依存性を調べるための評価用パターンの一例を示す図である。 実施の形態1におけるGCD誤差のパターン密度依存性を調べるための評価用パターンの一例を示す図である。 実施の形態1における評価用ウェハを示す図である。 実施の形態1における寸法補正の一例を示す図である。 実施の形態1における寸法補正の他の一例を示す図である。 図1における半導体製造工程のフローに沿った工程断面図の一例である。 図1における半導体製造工程のフローに沿った工程断面図の一例である。 図1における半導体製造工程のフローに沿った工程断面図の一例である。 実施の形態4におけるレーザ描画装置の要部構成を示す概念図である。 実施の形態5におけるしきい値モデルの一例を示す図である。 実施の形態5におけるGCD補正用の小領域と近接効果補正のための小領域との一例を示す図である。 実施の形態5における描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態5における描画単位領域の一例を示す図である。 実施の形態6における補正誤差測定用のパターンの一例を示す図である。 実施の形態6における面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6における面積と辺の長さの総和を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6における面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6におけるパターンの一例を示す図である。 実施の形態6におけるマイクロローディング効果とフレアによるCD誤差を補正しない場合の寸法精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6におけるプロセス手順の影響を無視して面積のみを考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6におけるプロセス手順の影響を無視して面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態6におけるプロセス手順の影響と面積と辺の長さの総和と頂点の寄与を考慮した場合の補正精度の一例を示すグラフである。 実施の形態7におけるメッシュ領域の一例を示している。 チップの内部全体でみた場合のパターン寸法が変化する様子の一例を示す図である。
符号の説明
20 マスク
22,23,25 ウェハ
24,32,34 領域
26,36,37,82 パターン
28 マーク
38,39 マスク
42,44,46 図形
72 描画領域
80 ストライプ
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
112 偏向制御回路
114 駆動回路
120 CPU
122 メモリ
123 記憶装置
124 パターンデータ
125 プロセス補正用データ
126 プロセス補正用データ格納メモリ
127 近接効果補正量格納用メモリ
128 近接効果補正部
132 レーザ測長系
142,144,146 偏向アンプ
152,154,156 DAC
162,164,166 バッファメモリ
150 描画部
201 電子銃
202 照明レンズ
203 第1の成形アパーチャ
204 投影レンズ
205 成形偏向器
206 第2の成形アパーチャ
207 対物レンズ
208 対物偏向器
209 反射ミラー
212 BLK偏向器
214 BLKアパーチャ
300 基板
301 チャネル
302 ゲート酸化膜
303 ゲート
304 コンタクト
305 層間絶縁膜
306 絶縁膜
307 レジスト膜
308 紫外光
310 開口部
312 金属膜
400 レーザ描画装置
401 レーザ光
402 ビームスプリッタ
404 音響光学素子
406 ポリゴンミラー
408 レンズ
410 ステージ
412 マスク

Claims (5)

  1. 露光用マスクのパターン作成領域から仮想分割されたメッシュ状の複数のマス目領域のマス目領域毎に含まれるパターンの面積と、前記パターンの外周の辺の長さの総和とを用いて前記パターンに生じる寸法誤差を補正する補正量を算出する工程と、
    前記補正量が補正された寸法のパターンを、レジスト膜が塗布された基板に露光する工程と、
    露光後に、前記レジスト膜を現像する工程と、
    現像後のレジストパターンを用いて、前記基板を加工する工程と、
    備え
    前記レジスト膜は、第1の膜上に塗布されており、
    前記基板を加工する際に、
    現像後に、前記第1の膜をエッチングすることにより開口部が形成され、
    前記開口部及び前記基板表面に第2の膜が堆積させられ、
    堆積後に、前記第2の膜の表面が研磨され、
    前記補正量は、マス目領域毎に含まれるパターンの外周の辺の総和とローディング効果の分布関数とを畳み込み積分すると共に、マス目領域毎のパターン面積密度とローディング効果の分布関数とを畳み込み積分する式を解くことによって得られることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記マス目領域のサイズは、1つの図形と前記図形の一部との一方だけを含むことが可能なサイズであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記マス目領域のサイズは、1辺が100nmより小さいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記マス目領域のサイズは、複数の図形を含むことが可能なサイズであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記マス目領域のサイズは、1辺が10mm〜100nmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
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