JP2004048018A - 電子線描画装置および電子線を用いた描画方法 - Google Patents
電子線描画装置および電子線を用いた描画方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】特別な回路やメモリの追加をせずに近接効果補正の補正誤差を低減でき、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどの痩せや太りの発生を防止できる電子線描画装置および電子線を用いた描画方法を提供する。
【解決手段】試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を求めて、描画領域全体の修正面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、これを繰り返して、露光量を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を求めて、描画領域全体の修正面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、これを繰り返して、露光量を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子線を用いて回路パターン等を半導体ウェハ等に描画する電子線描画装置および電子線を用いた描画方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線描画装置の大きな課題は精度向上である。いくつか例を挙げると、プロセス条件,近接効果,電子線のぼけ(クーロン効果,電子線偏向器によって生じる誤差),機構システムの精度(ウェハ,マスクの移動時の位置精度)などが精度に影響する。
【0003】
上記のうち近接効果は、描画パターンの疎密により生じる誤差である。例えば、ウェハの描画する領域全体に対して、パターンとパターンの間隔が広い孤立したパターンではその線幅が細くなり、べたパターンとよばれる面積の広い、すなわち領域全体に対しては密度の高いパターンでは太りが生じる様な現象である。近年、ウェハに描画されるパターンのデザインルールとよばれる線幅の微細化の必要性により、上記問題の解決は重要になってきている。
【0004】
このようなパターンが設計値と異なって描画されてしまうという問題を解決するものとして、文献 村井二三夫他「ファスト・プロキシミティ・イフェクト・コレクション・メソッド・ユージング・ア・パターン・エリア・デンシティ・マップ」、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー・ビー、第10巻、第6号、1992年11月/12月、3072から3076頁(F. Murai et al,“Fast proximity effect correction method using a pattern area density map”,J. Vac.Sci.Technol. B 10(6),Nov/Dec 1992, pp.3072−3076),特開平03−225816号公報,特開平08−213315号公報,特開平10−229047号公報,米国特許第5,149,975号,米国特許第5,278,421号に記載されている面積密度マップあるいは露光量マップを用いて近接効果補正を行う露光量決定方法がある。
【0005】
これは、ある大きさの矩形状のメッシュを仮定して、このメッシュ毎にパターンの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度の変化を表わしたものを面積密度マップもしくは露光量マップと呼び、その面積密度の大小に応じて露光量を決定してパターンを描画する方法である。例えば、上述した孤立パターンの場合には面積密度が小さいので、露光量を増やし、一方、面積密度の高いパターンでは露光量を小さくする。
【0006】
そして、この方法では、面積密度マップを作成するための空描画と、実際の描画の2度の描画がなされる。空描画とは、ウェハへの電子線の照射はせずに電子線の偏向制御までの演算を実行することである。これによって面積密度マップが作成され、この面積密度マップのデータに基づいて実際の露光量を演算して実際の描画が行われる。
【0007】
上記従来の方法を、図5と図6を用いて説明する。図5は、従来技術における近接効果補正の構成を表す機能ブロック図、図6はその手順を示すフローチャートであり、以下説明する。
【0008】
(1)面積密度マップ作成のための描画
(a)近接効果補正機能の開始
図5において、入力部1には、前段(図示せず)において図形分解(パターンデータを実際の電子線が描画できるパターンに分解すること)されたショット(実際の電子線が一度の露光で描画できるパターン図形)毎のデータが存在し、このショット毎に以下の処理が実行される。
【0009】
(b)Step1:開始(データの取り込み)
最初のショットデータが図5中の入力部1に取り込まれ(図6中のブロック201)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0010】
(c)Step2:面積密度マップ作成
面積密度マップ作成手段2において、ショットのメッシュ内に含まれる領域の面積値が計算され(図6中のブロック202)、同じメッシュの面積値に累積加算される(図6中のブロック203)。次のショットがある場合(図6中のブロック204)、さらに次のショットを取り込む(図6中のブロック205)。メッシュの面積値は予め決められているので、ショットの面積値との比がメッシュあたりの面積密度と定義される。次のショットも同様な処理を行ったのち、メッシュあたりの面積密度p(x)を計算し、描画領域全体の面積密度をマップ化して、全ショットの処理が終了する(図6中のブロック204)とともに、面積密度マップメモリ3に面積密度p(x)の面積密度マップが完成する(図6中のブロック206)。
【0011】
(d)Step3:平滑化処理
次に、面積密度マップメモリ3内に格納されている面積密度マップp(x)を読み出し、平滑化手段4を用いて平滑化を実施する(図6中のブロック207)。ここで、平滑化を行う理由は次のとおりである。本来、近接効果補正の役割は、ショットによるウェハのレジスト内での電子線の広がりである後方散乱を模擬して補正を行うことにあり、この平滑化は後方散乱に模擬させるための手段である。
【0012】
一般的には、後方散乱は上述した文献に示される様に、ガウス分布に近似できるため、ガウシアン・フィルタなどのフィルタを加えることで、その模擬が可能になる。
【0013】
上記平滑化の後、その平滑化されたデータを再び面積密度マップメモリ3に格納する。これを繰り返し行い、後方散乱の模擬が完了して(図6中のブロック
208)、平滑化された面積密度Q0(x)のデータにより構成された面積密度マップが完成する。
【0014】
(2)実際の描画
以上の処理で完成した面積密度Q0(x)の面積密度マップをもとに、露光量を求める。
【0015】
(a)Step4:実際の描画開始(データの読み込み)
(1)と同様に、同じ最初の描画パターンのデータが入力部1より取り込まれ(図6中のブロック210)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0016】
(b)Step5:ショットごとの面積密度計算
面積密度マップ作成手段2において、面積密度マップメモリ3内のアドレスが演算され、このアドレスにより面積密度マップメモリ3からショット毎の面積密度Q0(x)の値が算出される(図6中のブロック211)。
【0017】
(c)Step6:露光量変換処理
次に、後方散乱を模擬し平滑化した後の面積密度Q0(x)をもとに、前方散乱エネルギーと後方散乱エネルギーの両方を考慮した係数であるショット毎の露光量比[(1+η)/{1+2ηQ0(x)}]を算出する(図6中のブロック212)。ここでηは前方散乱エネルギーに対する後方散乱エネルギーの比を表す反射係数である。この反射係数ηは、レジストや、プロセスの影響で変化するため、ウェハのパターンを形成する材料,工程の個々に対して決定する必要がある。
【0018】
この露光量比を用いて、ショット毎の露光量I(x)は次の式(1)で与えられる。
【0019】
I(x)=I50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ0(x)} 式(1)
ここで、I50%(x) は、面積密度p(x)が50%のパターンに対する最適露光量である。
【0020】
そして、求められた露光量I(x)の値は露光量変換手段5,演算処理6を経て出力部7へ送られる(図6中のブロック213)。
【0021】
次のショットがある場合(図6中のブロック214)、さらに次のショットを取り込み(図6中のブロック215)、Step4からStep6までを繰り返し行い、全ショット終了(図6中のブロック214)により近接効果補正が終了する。
【0022】
以上説明した従来の方法によれば、数μmで描画するパターンの誤差が数十nm程度になるが、ウェハに形成されたパターンに許される誤差が10%程度である場合には精度としては充分であり、問題とならない。しかし、半導体装置の回路パターンの微細化の進展は早く、近年、0.3μm 以下のパターンが多くなってきているため、数十nm程度の誤差も問題となるようになってきた。つまり、0.3μm であれば30nm以下、0.1μm では10nm程度の誤差に抑える必要がある。
【0023】
しかし、上述した従来技術の式(1)を用いた補正方法では、パターン密度が急変する部位において誤差が生じ、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどは、痩せや太りが発生する。その量は、数nmから数10nmにおよび、今後の微細化において非常に問題となり得る。
【0024】
この原因として、上述した従来技術においては、パターン密度が後方散乱径
(ウェハのレジスト内での電子線の散乱の大きさ)の範囲で殆ど変化しないことを前提に導出された近似式(1)を用いた近接効果補正であることが考えられる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特別な回路やメモリの追加をせずに近接効果補正の補正誤差を低減でき、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどの痩せや太りの発生を防止できる電子線描画装置および電子線を用いた描画方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明は、上述した式(1)で表わされる補正を理論的見地から見直し、後方散乱径の範囲でのパターン密度の変化を考慮して後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを高次近似する方法を採用し、これによって面積密度を修正して露光量を決める方法を採用した新しい近接効果補正方法を採用したものである。
【0027】
すなわち、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を求めて、描画領域全体の修正面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、これを繰り返して、露光量を決定する構成としたものである。
【0028】
また、本発明は、試料に描画されるべきパターンの電子線照射によって生じる試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーによる寸法変形を予測し、この寸法変形を補正するような電子線の露光量を試料の描画領域全体について求めて露光量マップを作成し、この露光量マップに基づいて描画する構成としたものである。
【0029】
また、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した面積密度の補正量を高次近似解で求め、描画パターンの露光量を決定する構成としたものである。
【0030】
また、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算して描画領域全体の面積密度マップを作成し、該面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した平滑化補正を施して第1の補正面積密度を求めて描画領域全体の第1の補正面積密度マップを作成し、第1の補正面積密度と前記面積密度とから修正面積密度を求めて描画領域全体の修正面積密度マップを作成し、該修正面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した平滑化補正を施して第2の補正面積密度を求めて描画領域全体の第2の補正面積密度マップを作成し、第2の補正面積密度と前記第1の補正面積密度とから露光面積密度を求めて描画領域全体の露光面積密度マップを作成し、該露光面積密度マップに基づいて描画パターンの露光量を決定する構成としたものである。
【0031】
また、本発明は、試料上に描画される描画パターンの電子線照射によって生じる所望の寸法との差異に基づいて電子線の露光量を補正するための描画パターンの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリに記憶し、試料上に描画される描画パターンのうち線状のラインパターンに隣接するパターンの長さが前記ラインパターンの長手方向の途中の位置までである場合に、メモリに記憶された面積密度マップに基づいて、その位置の前後での前記ラインパターンの幅寸法の変化割合が、該ラインパターンの他の位置の幅寸法に対して4%以内であるように露光量を決定し描画する構成としたものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0033】
初めに、上述した式(1)の修正の考え方について説明する。
【0034】
ウェハのレジストの表面に照射された電子線は、レジスト内にエネルギーを与えた後にシリコン基板中に入り、シリコン基板中で後方散乱された電子が再びレジスト内に到達してエネルギーを与える。前者によってレジスト内に蓄積されたエネルギーを「前方散乱による蓄積エネルギー」と呼び、後者によって蓄積されたエネルギーを「後方散乱による蓄積エネルギー」とよんで区別する。
【0035】
いま、後方散乱は空間的にガウス分布に従う散乱であると仮定し、後方散乱による全蓄積エネルギーの、前方散乱による全蓄積エネルギーに対する比率を反射係数ηとおくと、後方散乱による蓄積エネルギー分布Eは、式(2)で与えられる。
【0036】
E=η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(2)
ここで、φはガウス関数、Iは前方散乱による蓄積エネルギー、pはパターンの面積密度である。また、x′はx座標上のある位置を示す。
【0037】
したがって、電子線照射部の蓄積エネルギーと電子線非照射部の蓄積エネルギーは、それぞれ次のように計算される。
【0038】
照射部 :I(x)+η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(3)
非照射部: η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(4)
いま、レジスト上の各点において、照射部と非照射部のエネルギーの中間値を一定のレベルDとする露光基準を採用するとすれば、式(5)なる積分方程式が得られる。
【0039】
2D=I(x)+2η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(5)
これが近接効果補正を計算するための基本式である。すなわち、パターンの面積密度を表す関数であるp(x)に対して、上記積分方程式を満足する前方散乱による蓄積エネルギーI(x)を求めて露光量I(x)とし、それに比例する電子線強度でパターンを描画すれば、近接効果に影響されない描画結果を得ることができると予想される。
【0040】
前述の式(5)なる積分方程式は、第二種Fredholm積分方程式と呼ばれ、解析的に解くことが難しく、通常は逐次近似法で近似解を得る。そこで、ここでは次のステップでより良い近似解を得るものとする。
【0041】
(1)Step1:第0次近似解I[0](x)を得る。
【0042】
求める積分方程式:
2D=I(x)+2η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(6)
式(6)において、積分内部のI(x′)はほぼI(x)に等しいとおき、積分記号の外に出すと、式(7)となる。
【0043】
2D=I(x)+2ηI(x)∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(7)
近似解I[0](x)として、式(8)と式(9)が得られる。
【0044】
I[0](x)=2D/{1+2ηQ0(x)} 式(8)
Q0(x)=∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(9)
ここでQ0(x)は後方散乱エネルギーを模擬した平滑化補正された面積密度である。
【0045】
前述の近接効果補正の式(1)でD=(1+η)I(x)/2を代入すると、式
(8)に一致する。例えば、面積密度が50%のときの最適露光量をI[0]50%(x)とすると、式(1)と同じ形であり、式(10)となる。
【0046】
I[0](x)=I[0]50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ0(x)}X 式(10)
さらに、高近似解を得るために、次のステップを計算する。
【0047】
(2)Step2:第1次近似解I[1](x)を求める。
【0048】
求める解をI[1](x)=α(x)×I[0](x)とおいて、元の積分方程式の式(6)に代入すると式(11)が得られる。
【0049】
2D=α(x)I[0](x)+2η∫φ(x−x′)α(x′)I[0](x′)p(x′)dx′ 式(11)
ここでもα(x′)がほぼ一定でα(x)に等しいと近似すると、αが積分の外に出せ、式(12)が得られる。
【0050】
2D=α(x)I[0](x)+2ηα(x)∫φ(x−x′)I[0](x′)p(x′)dx′ 式(12)
よって、αが解けるから、第1次近似解I[1](x)として、式(13),式
(14),式(15)が得られる。
【0051】
以上が本発明の基本式である。ここでQ1(x),Q2(x)はそれぞれ面積密度を表す。
【0052】
以上述べた考え方に基づく本発明の実施例を、以下説明する。
【0053】
図7は、電子線描画装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図中右方に示された装置の電子線鏡体部分は縦断面図で表されている。図7において、ウェハ66は試料台67に保持されている。電子源64から発射された電子線は、鏡体内のレンズ62によって形状が整えられ、さらに偏向器61によって偏向され、ウェハ66上の目標位置に照射される。照射される電子線の断面形状は、マスク65の選択によって変えることができる。レンズ電源63はレンズ62を安定に動作させる機能を有する。
【0054】
図7中の左側の部分は、制御システムの機能ブロック図である。EB制御用計算機51からの指示により、大容量データディスク52に格納された描画を行うためのパターンデータをパターンメモリ53へ送る。このパターンデータは電子線の偏向データへ連続的(パイプライン的)に変換され、偏向器61に送られて電子線が偏向される。
【0055】
以下にこの処理を順番に説明する。
【0056】
(1)パターンメモリ53
EB制御用計算機51から送られる圧縮されたパターンデータを格納する。
【0057】
(2)復元54
圧縮されたパターンデータを描画のためのフォーマットへ復元する。
【0058】
(3)図形分解55
復元されたパターンデータの1つ1つの図形を、電子線で描画可能な形状のショットに置き換え、各ショットの位置,形状,露光量の各データを作成する。
【0059】
(4)近接効果補正56
近接効果を補正するための処理を行う部位である。予め描画するパターンの単位面積あたりの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度マップを求めて面積密度マップメモリ57へストアする。また、その値を参照しながらショット単位で露光量を補正し、そのデータを追従絶対校正58へ送る。
【0060】
(5)追従絶対校正58
試料台の位置を測定するレーザ測長計68から試料台制御69へ入力される試料台の位置の情報に基づいて、電子線がウェハ66の目標位置に照射される様に電子線の偏向位置を計算し、試料台制御69に制御データを送るとともに、電子線鏡体部の偏向歪み量なども補正する。これによって連続描画が可能になる。
【0061】
(6)D/A変換器59
追従絶対校正58から送られるデータはD/A変換される。
【0062】
(7)手順制御50
上記各ユニットの処理がスムーズに動く様、監視、及び制御を受け持つ。
【0063】
(8)アナログ制御部60
D/A変換器59から送られたデータに基づいて電子線の偏向を制御する信号を生成し、偏向器の制御を行う。
【0064】
図1は、図7に示した近接効果補正の機能を実現する構成を示す機能ブロック図であり、図2はこの手順を示すフローチャートである。手順は大きく分けて
[1]マップ作成のための描画と[2]実際の描画とになる。
【0065】
以下、この手順を順に説明する。
【0066】
[1]面積密度マップ作成のための描画
(a)近接効果補正機能の開始
図1に示す入力部1には、前段(図示せず)において図形分解(パターンデータを実際の電子線が描画できるパターンに分解すること)されたショット(実際の電子線が一度の露光で描画できるパターン図形)毎のデータが存在し、このショット毎に以下の処理が実行される。
【0067】
(b)Step1:開始(データの取り込み)
まず、最初のショットのデータが入力部1に取り込まれ(図2中のブロック
101)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0068】
(c)Step2:面積密度マップ作成
面積密度マップ作成手段2において、メッシュ内に含まれる面積値が計算され(図2中のブロック102)、同じメッシュの面積値に累積加算される(図2中のブロック103)。
【0069】
次のショットがある場合(図2中のブロック104)、さらに次のショットを取り込む(図2中のブロック105)。次のショットも同様な処理を行ったのち、1個のメッシュあたりに含まれる面積密度p(x)を計算し、全ショットの処理が終了(図2中のブロック104)して、面積密度マップメモリ3に面積密度マップが完成する(図2中のブロック106)。
【0070】
(d)Step3:平滑化処理1
次に、従来と同様に、この面積密度p(x)に平滑化手段4において平滑化を実施し(図2中のブロック107)、再び面積密度マップメモリ3に格納する。この際、先に作成した平滑化前の面積密度マップに上書きは行わない様にし、これを繰り返し行い(図2中のブロック108)、後方散乱を模擬した平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)の面積密度マップを作成する(図2中のブロック109)。
【0071】
これによって、面積密度p(x)を後方散乱径で模擬し、平滑化された次の式
(16)に示される平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)が求められたことになる。
【0072】
Q0(x)=∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(16)
式(16)は上述の式(9)と同じであって、ここまでが従来法による補正である。
【0073】
この様にして求められた面積密度マップに対して、さらに高精度な計算を行う場合には、以下のStep4以降を追加する(図2中のブロック110)。
【0074】
(e)Step4:修正面積密度計算
前方散乱エネルギーを考慮するため、面積密度マップメモリ3中の平滑化前の面積密度p(x)を、前方散乱エネルギーに対する後方散乱エネルギーの比を表す反射係数ηを用いて、第0次近似の露光量で修正する。すなわち、次の式(17)から修正面積密度p1(x)を求める。
【0075】
p1(x)=p(x)/{1+2ηQ0(x)} 式(17)
これは、上述の式(16)において、面積密度Q1(x)を求めるために面積密度p(x′)を面積密度p1(x′)におきかえ、式(15)に代入すれば得られる。
【0076】
この場合、面積密度マップメモリ3上にある同じアドレスの平滑化前の面積密度p(x)と平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)をそれぞれ読み出し、加算,積算,除算などの演算処理(図2中のブロック111)を行い、同じアドレスを示す修正面積密度p1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する(図2中のブロック112)必要がある。
【0077】
そこで、以下の処理を行う。
【0078】
(1)面積密度マップメモリ3から同じアドレスの面積密度p(x)を平滑化手段4で、補正面積密度Q0(x)を修正量計算手段8で処理する。このとき、平滑化は行わず、データはスルーとする。そのため、平滑化手段4の内部には、スルーを行うための選択機能も設けておく。
【0079】
図8は、平滑化手段4の内部構成を示す機能ブロック図である。例えば、図8に示すように、平滑化有処理手段31とこれをとおらないスルーの機能を設けておき、必要に応じて選択器33で選択する機能を設けておけばよい。上記の場合は、スルーを選択器33で選択する。
【0080】
この他、平滑化手段4がガウシアン・フィルタの場合、このフィルタの中央値のみ1とし、その他の位置で0と設定しておけば、フィルタを面積密度に加えても変化無く、スルーと同じ効果を得ることができる。
【0081】
(2)図9は、修正量計算手段8の内部構成を示す機能ブロック図である。上述した式(17)内の(2ηQ0(x))の演算を積算手段41で処理し、それに加算手段42により上述した式(17)内の{1+2ηQ0(x)}の演算を行う。しかし、その逆数[1/{1+2ηQ0(x)}]を演算回路で実行するためには除算回路が必要であり、非常に複雑となる。そこで、式(17)内の{1+2ηQ0(x)}の逆数をとったデータを予めTableメモリ10に格納しておく。すなわち、図7中のEB制御用計算機51でこのデータを求め、空描画の開始より前に
EB制御用計算機51と近接効果補正56の間の通信経路を介してTable メモリ10に送る。Table メモリ10から逆数[1/{1+2ηQ0(x)}]を出力するときは、{1+2ηQ0(x)}をTable メモリ10のアドレスとするので、除算器を含まずに非常に簡単な回路を構成できる。
【0082】
(3)図1中の平滑化手段4でスルーした面積密度p(x)と修正量計算手段8において、Table メモリ10から求められた式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]を処理した後、演算回路9で積算することで所望の値を出力する。但しこの場合、面積密度p(x)と式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]は同じアドレスのものを処理する必要がある。処理する方法としては、面積密度p(x)または式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]の処理前後のメモリを準備しておき、交互に処理しても良いが、処理時間の無駄を省くため、並列処理することが望ましい。
【0083】
また、上述の式(17)において、η>0,Q0(x)>0であるので、式中のp1(x)の値はp(x)の最大値を超えることはない。したがって、面積密度
p(x)の最大値を大きくする必要はない。つまり実際の装置構成ではメモリのビット数を増加させることもなく、従来の面積密度マップメモリ3そのものを用いることができる。
【0084】
また、修正面積密度p1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する際、面積密度p(x)の上に上書きすれば、別途、面積密度マップメモリ3と同様なメモリを用意せずとも、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0085】
(f)Step5:平滑化2(修正面積密度を後方散乱模擬)
次に、図2中のStep4で算出した修正面積密度p1(x)を平滑化手段4に送り、平滑化を行い(図2中のブロック113)、後方散乱径で模擬するまで繰り返し(図2中のブロック114)、上述の式(15)と式(17)より、次式(18)で平滑化した補正面積密度Q1(x)を求める(図2中のブロック115)。
【0086】
Q1(x)=∫φ(x−x′)p1(x′)dx′ 式(18)
但し、平滑化した補正面積密度Q1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する際、面積密度マップメモリ3上の修正面積密度p1(x)に上書きすれば、別途、面積密度マップメモリ3と同様なメモリを用意せずとも、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0087】
(g)Step6:合成計算
前述の式(14)と同じ以下の式(19)を用いて、平滑化後の補正面積密度Q0(x)と平滑化後の補正面積密度Q1(x)とを合成して面積密度Q2(x)を求める。
【0088】
Q2(x)=Q1(x)・{1+2ηQ0(x)} 式(19)
まず、面積密度マップメモリ3上にある同じ位置を示すアドレスの平滑化後の補正面積密度Q0(x)と平滑化後の補正面積密度Q1(x)を呼び出し、演算処理を行った結果を(図2中のブロック116)、同じ位置を示すアドレスに再び修正面積密度p1(x)を格納する(図2中のブロック117)。そして、面積密度Q2(x)を求めるには、以下の処理を行う。
【0089】
(1)面積密度マップメモリ3から同じアドレスの平滑化した補正面積密度
Q1(x)を図1中の平滑化手段4で処理し、平滑化後の補正面積密度Q0(x)を修正量計算手段8で処理する。このとき平滑化は行わないものとし、補正面積密度Q1(x)のデータはスルーとする。すなわち、図8において選択器33でスルーを選択する。
【0090】
(2)一方、平滑化後の補正面積密度Q0(x)のデータは、図1中の修正量計算手段8に送る。このとき、上述した式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の演算を行う様に、修正量計算手段8の内部に、図9の様に加算手段42と積算手段
41を含めた演算回路を予め設けておく。前述した図2中のStep4の様に、図9中のTable メモリ10を参照する場合は、選択器43においてそれを選択できるように、加算手段42と積算手段41の後段に選択器43をおいておく。
【0091】
(3)補正面積密度Q1(x)と上述した式(19)中の{1+2ηQ0(x)}を図1中の演算回路9で積算し、面積密度Q2(x)を出力する。
【0092】
但し、このとき、補正面積密度Q1(x)と式(19)中の{1+2ηQ0(x)}は、同じアドレスのものを処理する必要がある。処理する方法としては、補正面積密度Q1(x)か式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の処理前後のメモリを準備しておき、交互に処理しても良いが、処理時間の無駄を省くため、並列処理することが望ましい。つまり、基本的には、前述した図2中のStep4における処理手順と同じとなるため、装置構成は共通化して使用できる。
【0093】
また、ここでは、式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の演算を図1中の修正量計算手段8の内部に設けたが、演算回路9の内部にも加算器と積算器を複数個用意しておけば、同様な処理が可能である。
【0094】
また、面積密度Q2(x)の面積密度マップを面積密度マップメモリ3に格納する際、補正面積密度Q1(x)の面積密度マップに上書きすれば、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0095】
以上、図2中のStep4からStep6を用いて、理論的な1次解を得ることができる。これで得られた露光用の面積密度Q2(x)は露光量を求めるために用いられる。
【0096】
また、前述した式(5)の積分方程式の第2次近似解を求めれば、さらに理想に近い近接効果補正を行うことができる。このためには、式(11)から式(19)までのStepと同様に演算を繰り返せばよい。これを繰り返せば所望の高次近似解を得ることができるが、時間がかかるので、許容される寸法精度と時間とから、解の次数を決めればよい。
【0097】
また高精度な計算を行わない場合は(図2中のブロック110)、Q2=Q0(図2中のブロック118)と考えて[2]以下の処理を行う。
【0098】
[2]実際の描画
以上の処理で完成した面積密度Q2(x)の面積密度マップをもとに、露光量の補正を行う。
【0099】
(a)Step7:実際の描画開始(データの読み込み)
[1]と同様に、最初のショットデータが図1中の入力部1より取り込まれ(図2中のブロック119)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0100】
(b)Step8:ショットごとの面積密度計算
図2中の面積密度マップ作成手段2において、面積密度マップメモリ3の中のアドレスが演算され、このアドレスにより面積密度マップメモリ3からショットごとの面積密度Q2(x)の値が算出される(図2中のブロック120)。
【0101】
(c)Step9:露光量変換処理
次に、面積密度Q2(x)をもとに、ショットごとの露光量比[(1+η)/{1+2ηQ2(x)}]を算出する(図2中のブロック121)。そして、次の式(20)より、露光量I(x)が求められる(図2中のブロック122)。
【0102】
I(x)=I50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ2(x)} 式(20)式(20)は第1次近似解の式(13)において、D=(1+η)I50%(x)/2を代入したものである。
【0103】
算出された露光量I(x)は、図1中の露光量変換手段5,演算処理6を経て、出力部7へ送られる。
【0104】
そして、次のショットがあるかどうかを判定し(図2中のブロック123)、ある場合はさらに次のショットデータを取り込み(図2中のブロック124)、Step8からStep9までを繰り返し行い、全ショット終了を判定して(図2中のブロック123)、近接効果補正が終了する。
【0105】
上記においては、面積密度マップメモリ3をいたずらに増やさないためにその内部で演算を処理する方法を述べたが、2個以上の面積密度マップメモリで演算処理することはもちろん可能である。
【0106】
上述した本発明の効果は、文献 ジェイ・エム・パブコビッチ「プロキシミティ・イフェクト・コレクション・カルキュレイションズ・バイ・ザ・インテグラル・イクエイション・アプロキシメイト・ソリューション・メソッド」、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー・ビー、第4巻、第1号、1986年1月/2月、159から163頁(J. M. Pavkovich,“Proximity effect correction calculations by the integral equation approximate solution method”,J. Vac. Sci.Technol.B 4(1),Jan/Feb 1986, pp.159−163)に記載されたダブルガウシアン法を用いて、実際に描画をしなくても、確認することができる。図3はダブルガウシアン法を用いたシミュレーションで対象とした評価パターンを示す平面図である。寸法の単位はμmである。本評価パターンは2つの大面積のパターンと、これらに挟まれて中心部に位置する幅0.15μmのライン状の中心部ラインパターンと、大面積のパターンのひとつの側面(エッジ部)に隣接した幅0.15μm のライン状のエッジ部ラインパターンからなっている。シミュレーションでは、これらのラインパターンについて、上記文献に記載されたダブルガウシアン法を用いて評価を行う。従来の近接効果補正は前述の式(1)を用いたもの、本発明による近接効果補正は前述の式(13),式(14),式(15)を用いたものである。
【0107】
図4は、ラインパターン上の座標と線幅の関係のシミュレーションの結果を示す関係図である。座標は図3中の原点と記した位置を0とし、負側は大面積のパターン側(高密度側)、正側はその反対側(孤立側)の位置を示す。また、図4(1)は、図3中の2つの大面積のパターンに挟まれる幅0.15μm の中心部ラインパターン、図4(2)は、図3中の大面積のパターンのひとつの側面に隣接した幅0.15μm のエッジ部ラインパターンについてのシミュレーションの結果である。また、黒丸,黒四角の印は従来法、白丸,白四角の印は本発明による補正を示す。
【0108】
図4(1)に示した中心部ラインパターンの場合、高密度側から孤立側へと密度が急変する部分で、従来法による補正では、黒丸印で示されるように、線幅に15nm程度の「痩せ」を生じているが、本発明による補正では、白丸印で示されるように、線幅はそれほど寸法変化していず、線幅の設計値0.15μm に対する寸法誤差は5nm以下に収まっており、他の部分の寸法または設計値である0.15μm の4%以内である。
【0109】
図4(2)に示したエッジ部ラインパターンの場合、高密度側の部分で、従来法による補正では、黒四角印で示されるように、大面積パターンの影響で、線幅に15nm程度の「痩せ」を生じているが、本発明による補正では、白四角印で示されるように、線幅はそれほど寸法変化していず、線幅の設計値0.15μm に対する寸法誤差は6nm以下に収まっており、他の部分の寸法または設計値である0.15μm の4%以内である。
【0110】
このように、本発明によれば、従来法による補正と比較して露光されるパターンの線幅の設計値に対する誤差を小さくすることができるという優れた効果を得ることができる。
【0111】
また、本発明は、特別な回路やメモリの追加をせずに実現することができるので、開発期間の短縮,開発コストや製品コストの低減にも多大な効果をもたらす。
【0112】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、特別な回路やメモリの追加をせずに近接効果補正の補正誤差を低減でき、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどの痩せや太りの発生を防止できる電子線描画装置および電子線を用いた描画方法を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】近接効果補正の機能を実現する構成を示す機能ブロック図。
【図2】図1に示した機能の手順を示すフローチャート。
【図3】シミュレーションで対象とした評価パターンを示す平面図。
【図4】ラインパターン上の座標と線幅の関係のシミュレーションの結果を示す関係図。
【図5】従来技術における近接効果補正の構成を示す機能ブロック図。
【図6】図5に示す構成の手順を示すフローチャート。
【図7】電子線描画装置の概略構成を示す機能ブロック図。
【図8】平滑化手段の内部構成を示す機能ブロック図。
【図9】修正量計算手段の内部構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
1…入力部、2…面積密度マップ作成手段、3…面積密度マップメモリ、4…平滑化手段、5…露光量変換手段、6…演算処理、7…出力部、8…修正量計算手段、9…演算回路、10…Table メモリ、31…平滑化有処理手段、33…選択器、41…積算手段、42…加算手段、43…選択器、51…EB制御用計算機、52…大容量データディスク、53…パターンメモリ、60…アナログ制御部、61…偏向器、62…レンズ、63…レンズ電源、64…電子源、65…マスク、66…ウェハ、67…試料台。
【発明の属する技術分野】
本発明は電子線を用いて回路パターン等を半導体ウェハ等に描画する電子線描画装置および電子線を用いた描画方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線描画装置の大きな課題は精度向上である。いくつか例を挙げると、プロセス条件,近接効果,電子線のぼけ(クーロン効果,電子線偏向器によって生じる誤差),機構システムの精度(ウェハ,マスクの移動時の位置精度)などが精度に影響する。
【0003】
上記のうち近接効果は、描画パターンの疎密により生じる誤差である。例えば、ウェハの描画する領域全体に対して、パターンとパターンの間隔が広い孤立したパターンではその線幅が細くなり、べたパターンとよばれる面積の広い、すなわち領域全体に対しては密度の高いパターンでは太りが生じる様な現象である。近年、ウェハに描画されるパターンのデザインルールとよばれる線幅の微細化の必要性により、上記問題の解決は重要になってきている。
【0004】
このようなパターンが設計値と異なって描画されてしまうという問題を解決するものとして、文献 村井二三夫他「ファスト・プロキシミティ・イフェクト・コレクション・メソッド・ユージング・ア・パターン・エリア・デンシティ・マップ」、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー・ビー、第10巻、第6号、1992年11月/12月、3072から3076頁(F. Murai et al,“Fast proximity effect correction method using a pattern area density map”,J. Vac.Sci.Technol. B 10(6),Nov/Dec 1992, pp.3072−3076),特開平03−225816号公報,特開平08−213315号公報,特開平10−229047号公報,米国特許第5,149,975号,米国特許第5,278,421号に記載されている面積密度マップあるいは露光量マップを用いて近接効果補正を行う露光量決定方法がある。
【0005】
これは、ある大きさの矩形状のメッシュを仮定して、このメッシュ毎にパターンの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度の変化を表わしたものを面積密度マップもしくは露光量マップと呼び、その面積密度の大小に応じて露光量を決定してパターンを描画する方法である。例えば、上述した孤立パターンの場合には面積密度が小さいので、露光量を増やし、一方、面積密度の高いパターンでは露光量を小さくする。
【0006】
そして、この方法では、面積密度マップを作成するための空描画と、実際の描画の2度の描画がなされる。空描画とは、ウェハへの電子線の照射はせずに電子線の偏向制御までの演算を実行することである。これによって面積密度マップが作成され、この面積密度マップのデータに基づいて実際の露光量を演算して実際の描画が行われる。
【0007】
上記従来の方法を、図5と図6を用いて説明する。図5は、従来技術における近接効果補正の構成を表す機能ブロック図、図6はその手順を示すフローチャートであり、以下説明する。
【0008】
(1)面積密度マップ作成のための描画
(a)近接効果補正機能の開始
図5において、入力部1には、前段(図示せず)において図形分解(パターンデータを実際の電子線が描画できるパターンに分解すること)されたショット(実際の電子線が一度の露光で描画できるパターン図形)毎のデータが存在し、このショット毎に以下の処理が実行される。
【0009】
(b)Step1:開始(データの取り込み)
最初のショットデータが図5中の入力部1に取り込まれ(図6中のブロック201)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0010】
(c)Step2:面積密度マップ作成
面積密度マップ作成手段2において、ショットのメッシュ内に含まれる領域の面積値が計算され(図6中のブロック202)、同じメッシュの面積値に累積加算される(図6中のブロック203)。次のショットがある場合(図6中のブロック204)、さらに次のショットを取り込む(図6中のブロック205)。メッシュの面積値は予め決められているので、ショットの面積値との比がメッシュあたりの面積密度と定義される。次のショットも同様な処理を行ったのち、メッシュあたりの面積密度p(x)を計算し、描画領域全体の面積密度をマップ化して、全ショットの処理が終了する(図6中のブロック204)とともに、面積密度マップメモリ3に面積密度p(x)の面積密度マップが完成する(図6中のブロック206)。
【0011】
(d)Step3:平滑化処理
次に、面積密度マップメモリ3内に格納されている面積密度マップp(x)を読み出し、平滑化手段4を用いて平滑化を実施する(図6中のブロック207)。ここで、平滑化を行う理由は次のとおりである。本来、近接効果補正の役割は、ショットによるウェハのレジスト内での電子線の広がりである後方散乱を模擬して補正を行うことにあり、この平滑化は後方散乱に模擬させるための手段である。
【0012】
一般的には、後方散乱は上述した文献に示される様に、ガウス分布に近似できるため、ガウシアン・フィルタなどのフィルタを加えることで、その模擬が可能になる。
【0013】
上記平滑化の後、その平滑化されたデータを再び面積密度マップメモリ3に格納する。これを繰り返し行い、後方散乱の模擬が完了して(図6中のブロック
208)、平滑化された面積密度Q0(x)のデータにより構成された面積密度マップが完成する。
【0014】
(2)実際の描画
以上の処理で完成した面積密度Q0(x)の面積密度マップをもとに、露光量を求める。
【0015】
(a)Step4:実際の描画開始(データの読み込み)
(1)と同様に、同じ最初の描画パターンのデータが入力部1より取り込まれ(図6中のブロック210)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0016】
(b)Step5:ショットごとの面積密度計算
面積密度マップ作成手段2において、面積密度マップメモリ3内のアドレスが演算され、このアドレスにより面積密度マップメモリ3からショット毎の面積密度Q0(x)の値が算出される(図6中のブロック211)。
【0017】
(c)Step6:露光量変換処理
次に、後方散乱を模擬し平滑化した後の面積密度Q0(x)をもとに、前方散乱エネルギーと後方散乱エネルギーの両方を考慮した係数であるショット毎の露光量比[(1+η)/{1+2ηQ0(x)}]を算出する(図6中のブロック212)。ここでηは前方散乱エネルギーに対する後方散乱エネルギーの比を表す反射係数である。この反射係数ηは、レジストや、プロセスの影響で変化するため、ウェハのパターンを形成する材料,工程の個々に対して決定する必要がある。
【0018】
この露光量比を用いて、ショット毎の露光量I(x)は次の式(1)で与えられる。
【0019】
I(x)=I50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ0(x)} 式(1)
ここで、I50%(x) は、面積密度p(x)が50%のパターンに対する最適露光量である。
【0020】
そして、求められた露光量I(x)の値は露光量変換手段5,演算処理6を経て出力部7へ送られる(図6中のブロック213)。
【0021】
次のショットがある場合(図6中のブロック214)、さらに次のショットを取り込み(図6中のブロック215)、Step4からStep6までを繰り返し行い、全ショット終了(図6中のブロック214)により近接効果補正が終了する。
【0022】
以上説明した従来の方法によれば、数μmで描画するパターンの誤差が数十nm程度になるが、ウェハに形成されたパターンに許される誤差が10%程度である場合には精度としては充分であり、問題とならない。しかし、半導体装置の回路パターンの微細化の進展は早く、近年、0.3μm 以下のパターンが多くなってきているため、数十nm程度の誤差も問題となるようになってきた。つまり、0.3μm であれば30nm以下、0.1μm では10nm程度の誤差に抑える必要がある。
【0023】
しかし、上述した従来技術の式(1)を用いた補正方法では、パターン密度が急変する部位において誤差が生じ、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどは、痩せや太りが発生する。その量は、数nmから数10nmにおよび、今後の微細化において非常に問題となり得る。
【0024】
この原因として、上述した従来技術においては、パターン密度が後方散乱径
(ウェハのレジスト内での電子線の散乱の大きさ)の範囲で殆ど変化しないことを前提に導出された近似式(1)を用いた近接効果補正であることが考えられる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特別な回路やメモリの追加をせずに近接効果補正の補正誤差を低減でき、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどの痩せや太りの発生を防止できる電子線描画装置および電子線を用いた描画方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明は、上述した式(1)で表わされる補正を理論的見地から見直し、後方散乱径の範囲でのパターン密度の変化を考慮して後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを高次近似する方法を採用し、これによって面積密度を修正して露光量を決める方法を採用した新しい近接効果補正方法を採用したものである。
【0027】
すなわち、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を求めて、描画領域全体の修正面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、これを繰り返して、露光量を決定する構成としたものである。
【0028】
また、本発明は、試料に描画されるべきパターンの電子線照射によって生じる試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーによる寸法変形を予測し、この寸法変形を補正するような電子線の露光量を試料の描画領域全体について求めて露光量マップを作成し、この露光量マップに基づいて描画する構成としたものである。
【0029】
また、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した面積密度の補正量を高次近似解で求め、描画パターンの露光量を決定する構成としたものである。
【0030】
また、本発明は、試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算して描画領域全体の面積密度マップを作成し、該面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した平滑化補正を施して第1の補正面積密度を求めて描画領域全体の第1の補正面積密度マップを作成し、第1の補正面積密度と前記面積密度とから修正面積密度を求めて描画領域全体の修正面積密度マップを作成し、該修正面積密度に電子線による試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した平滑化補正を施して第2の補正面積密度を求めて描画領域全体の第2の補正面積密度マップを作成し、第2の補正面積密度と前記第1の補正面積密度とから露光面積密度を求めて描画領域全体の露光面積密度マップを作成し、該露光面積密度マップに基づいて描画パターンの露光量を決定する構成としたものである。
【0031】
また、本発明は、試料上に描画される描画パターンの電子線照射によって生じる所望の寸法との差異に基づいて電子線の露光量を補正するための描画パターンの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリに記憶し、試料上に描画される描画パターンのうち線状のラインパターンに隣接するパターンの長さが前記ラインパターンの長手方向の途中の位置までである場合に、メモリに記憶された面積密度マップに基づいて、その位置の前後での前記ラインパターンの幅寸法の変化割合が、該ラインパターンの他の位置の幅寸法に対して4%以内であるように露光量を決定し描画する構成としたものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0033】
初めに、上述した式(1)の修正の考え方について説明する。
【0034】
ウェハのレジストの表面に照射された電子線は、レジスト内にエネルギーを与えた後にシリコン基板中に入り、シリコン基板中で後方散乱された電子が再びレジスト内に到達してエネルギーを与える。前者によってレジスト内に蓄積されたエネルギーを「前方散乱による蓄積エネルギー」と呼び、後者によって蓄積されたエネルギーを「後方散乱による蓄積エネルギー」とよんで区別する。
【0035】
いま、後方散乱は空間的にガウス分布に従う散乱であると仮定し、後方散乱による全蓄積エネルギーの、前方散乱による全蓄積エネルギーに対する比率を反射係数ηとおくと、後方散乱による蓄積エネルギー分布Eは、式(2)で与えられる。
【0036】
E=η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(2)
ここで、φはガウス関数、Iは前方散乱による蓄積エネルギー、pはパターンの面積密度である。また、x′はx座標上のある位置を示す。
【0037】
したがって、電子線照射部の蓄積エネルギーと電子線非照射部の蓄積エネルギーは、それぞれ次のように計算される。
【0038】
照射部 :I(x)+η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(3)
非照射部: η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(4)
いま、レジスト上の各点において、照射部と非照射部のエネルギーの中間値を一定のレベルDとする露光基準を採用するとすれば、式(5)なる積分方程式が得られる。
【0039】
2D=I(x)+2η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(5)
これが近接効果補正を計算するための基本式である。すなわち、パターンの面積密度を表す関数であるp(x)に対して、上記積分方程式を満足する前方散乱による蓄積エネルギーI(x)を求めて露光量I(x)とし、それに比例する電子線強度でパターンを描画すれば、近接効果に影響されない描画結果を得ることができると予想される。
【0040】
前述の式(5)なる積分方程式は、第二種Fredholm積分方程式と呼ばれ、解析的に解くことが難しく、通常は逐次近似法で近似解を得る。そこで、ここでは次のステップでより良い近似解を得るものとする。
【0041】
(1)Step1:第0次近似解I[0](x)を得る。
【0042】
求める積分方程式:
2D=I(x)+2η∫φ(x−x′)I(x′)p(x′)dx′ 式(6)
式(6)において、積分内部のI(x′)はほぼI(x)に等しいとおき、積分記号の外に出すと、式(7)となる。
【0043】
2D=I(x)+2ηI(x)∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(7)
近似解I[0](x)として、式(8)と式(9)が得られる。
【0044】
I[0](x)=2D/{1+2ηQ0(x)} 式(8)
Q0(x)=∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(9)
ここでQ0(x)は後方散乱エネルギーを模擬した平滑化補正された面積密度である。
【0045】
前述の近接効果補正の式(1)でD=(1+η)I(x)/2を代入すると、式
(8)に一致する。例えば、面積密度が50%のときの最適露光量をI[0]50%(x)とすると、式(1)と同じ形であり、式(10)となる。
【0046】
I[0](x)=I[0]50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ0(x)}X 式(10)
さらに、高近似解を得るために、次のステップを計算する。
【0047】
(2)Step2:第1次近似解I[1](x)を求める。
【0048】
求める解をI[1](x)=α(x)×I[0](x)とおいて、元の積分方程式の式(6)に代入すると式(11)が得られる。
【0049】
2D=α(x)I[0](x)+2η∫φ(x−x′)α(x′)I[0](x′)p(x′)dx′ 式(11)
ここでもα(x′)がほぼ一定でα(x)に等しいと近似すると、αが積分の外に出せ、式(12)が得られる。
【0050】
2D=α(x)I[0](x)+2ηα(x)∫φ(x−x′)I[0](x′)p(x′)dx′ 式(12)
よって、αが解けるから、第1次近似解I[1](x)として、式(13),式
(14),式(15)が得られる。
【0051】
以上が本発明の基本式である。ここでQ1(x),Q2(x)はそれぞれ面積密度を表す。
【0052】
以上述べた考え方に基づく本発明の実施例を、以下説明する。
【0053】
図7は、電子線描画装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図中右方に示された装置の電子線鏡体部分は縦断面図で表されている。図7において、ウェハ66は試料台67に保持されている。電子源64から発射された電子線は、鏡体内のレンズ62によって形状が整えられ、さらに偏向器61によって偏向され、ウェハ66上の目標位置に照射される。照射される電子線の断面形状は、マスク65の選択によって変えることができる。レンズ電源63はレンズ62を安定に動作させる機能を有する。
【0054】
図7中の左側の部分は、制御システムの機能ブロック図である。EB制御用計算機51からの指示により、大容量データディスク52に格納された描画を行うためのパターンデータをパターンメモリ53へ送る。このパターンデータは電子線の偏向データへ連続的(パイプライン的)に変換され、偏向器61に送られて電子線が偏向される。
【0055】
以下にこの処理を順番に説明する。
【0056】
(1)パターンメモリ53
EB制御用計算機51から送られる圧縮されたパターンデータを格納する。
【0057】
(2)復元54
圧縮されたパターンデータを描画のためのフォーマットへ復元する。
【0058】
(3)図形分解55
復元されたパターンデータの1つ1つの図形を、電子線で描画可能な形状のショットに置き換え、各ショットの位置,形状,露光量の各データを作成する。
【0059】
(4)近接効果補正56
近接効果を補正するための処理を行う部位である。予め描画するパターンの単位面積あたりの面積密度を求め、描画領域全体の面積密度マップを求めて面積密度マップメモリ57へストアする。また、その値を参照しながらショット単位で露光量を補正し、そのデータを追従絶対校正58へ送る。
【0060】
(5)追従絶対校正58
試料台の位置を測定するレーザ測長計68から試料台制御69へ入力される試料台の位置の情報に基づいて、電子線がウェハ66の目標位置に照射される様に電子線の偏向位置を計算し、試料台制御69に制御データを送るとともに、電子線鏡体部の偏向歪み量なども補正する。これによって連続描画が可能になる。
【0061】
(6)D/A変換器59
追従絶対校正58から送られるデータはD/A変換される。
【0062】
(7)手順制御50
上記各ユニットの処理がスムーズに動く様、監視、及び制御を受け持つ。
【0063】
(8)アナログ制御部60
D/A変換器59から送られたデータに基づいて電子線の偏向を制御する信号を生成し、偏向器の制御を行う。
【0064】
図1は、図7に示した近接効果補正の機能を実現する構成を示す機能ブロック図であり、図2はこの手順を示すフローチャートである。手順は大きく分けて
[1]マップ作成のための描画と[2]実際の描画とになる。
【0065】
以下、この手順を順に説明する。
【0066】
[1]面積密度マップ作成のための描画
(a)近接効果補正機能の開始
図1に示す入力部1には、前段(図示せず)において図形分解(パターンデータを実際の電子線が描画できるパターンに分解すること)されたショット(実際の電子線が一度の露光で描画できるパターン図形)毎のデータが存在し、このショット毎に以下の処理が実行される。
【0067】
(b)Step1:開始(データの取り込み)
まず、最初のショットのデータが入力部1に取り込まれ(図2中のブロック
101)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0068】
(c)Step2:面積密度マップ作成
面積密度マップ作成手段2において、メッシュ内に含まれる面積値が計算され(図2中のブロック102)、同じメッシュの面積値に累積加算される(図2中のブロック103)。
【0069】
次のショットがある場合(図2中のブロック104)、さらに次のショットを取り込む(図2中のブロック105)。次のショットも同様な処理を行ったのち、1個のメッシュあたりに含まれる面積密度p(x)を計算し、全ショットの処理が終了(図2中のブロック104)して、面積密度マップメモリ3に面積密度マップが完成する(図2中のブロック106)。
【0070】
(d)Step3:平滑化処理1
次に、従来と同様に、この面積密度p(x)に平滑化手段4において平滑化を実施し(図2中のブロック107)、再び面積密度マップメモリ3に格納する。この際、先に作成した平滑化前の面積密度マップに上書きは行わない様にし、これを繰り返し行い(図2中のブロック108)、後方散乱を模擬した平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)の面積密度マップを作成する(図2中のブロック109)。
【0071】
これによって、面積密度p(x)を後方散乱径で模擬し、平滑化された次の式
(16)に示される平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)が求められたことになる。
【0072】
Q0(x)=∫φ(x−x′)p(x′)dx′ 式(16)
式(16)は上述の式(9)と同じであって、ここまでが従来法による補正である。
【0073】
この様にして求められた面積密度マップに対して、さらに高精度な計算を行う場合には、以下のStep4以降を追加する(図2中のブロック110)。
【0074】
(e)Step4:修正面積密度計算
前方散乱エネルギーを考慮するため、面積密度マップメモリ3中の平滑化前の面積密度p(x)を、前方散乱エネルギーに対する後方散乱エネルギーの比を表す反射係数ηを用いて、第0次近似の露光量で修正する。すなわち、次の式(17)から修正面積密度p1(x)を求める。
【0075】
p1(x)=p(x)/{1+2ηQ0(x)} 式(17)
これは、上述の式(16)において、面積密度Q1(x)を求めるために面積密度p(x′)を面積密度p1(x′)におきかえ、式(15)に代入すれば得られる。
【0076】
この場合、面積密度マップメモリ3上にある同じアドレスの平滑化前の面積密度p(x)と平滑化補正後の補正面積密度Q0(x)をそれぞれ読み出し、加算,積算,除算などの演算処理(図2中のブロック111)を行い、同じアドレスを示す修正面積密度p1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する(図2中のブロック112)必要がある。
【0077】
そこで、以下の処理を行う。
【0078】
(1)面積密度マップメモリ3から同じアドレスの面積密度p(x)を平滑化手段4で、補正面積密度Q0(x)を修正量計算手段8で処理する。このとき、平滑化は行わず、データはスルーとする。そのため、平滑化手段4の内部には、スルーを行うための選択機能も設けておく。
【0079】
図8は、平滑化手段4の内部構成を示す機能ブロック図である。例えば、図8に示すように、平滑化有処理手段31とこれをとおらないスルーの機能を設けておき、必要に応じて選択器33で選択する機能を設けておけばよい。上記の場合は、スルーを選択器33で選択する。
【0080】
この他、平滑化手段4がガウシアン・フィルタの場合、このフィルタの中央値のみ1とし、その他の位置で0と設定しておけば、フィルタを面積密度に加えても変化無く、スルーと同じ効果を得ることができる。
【0081】
(2)図9は、修正量計算手段8の内部構成を示す機能ブロック図である。上述した式(17)内の(2ηQ0(x))の演算を積算手段41で処理し、それに加算手段42により上述した式(17)内の{1+2ηQ0(x)}の演算を行う。しかし、その逆数[1/{1+2ηQ0(x)}]を演算回路で実行するためには除算回路が必要であり、非常に複雑となる。そこで、式(17)内の{1+2ηQ0(x)}の逆数をとったデータを予めTableメモリ10に格納しておく。すなわち、図7中のEB制御用計算機51でこのデータを求め、空描画の開始より前に
EB制御用計算機51と近接効果補正56の間の通信経路を介してTable メモリ10に送る。Table メモリ10から逆数[1/{1+2ηQ0(x)}]を出力するときは、{1+2ηQ0(x)}をTable メモリ10のアドレスとするので、除算器を含まずに非常に簡単な回路を構成できる。
【0082】
(3)図1中の平滑化手段4でスルーした面積密度p(x)と修正量計算手段8において、Table メモリ10から求められた式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]を処理した後、演算回路9で積算することで所望の値を出力する。但しこの場合、面積密度p(x)と式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]は同じアドレスのものを処理する必要がある。処理する方法としては、面積密度p(x)または式(17)内の[1/{1+2ηQ0(x)}]の処理前後のメモリを準備しておき、交互に処理しても良いが、処理時間の無駄を省くため、並列処理することが望ましい。
【0083】
また、上述の式(17)において、η>0,Q0(x)>0であるので、式中のp1(x)の値はp(x)の最大値を超えることはない。したがって、面積密度
p(x)の最大値を大きくする必要はない。つまり実際の装置構成ではメモリのビット数を増加させることもなく、従来の面積密度マップメモリ3そのものを用いることができる。
【0084】
また、修正面積密度p1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する際、面積密度p(x)の上に上書きすれば、別途、面積密度マップメモリ3と同様なメモリを用意せずとも、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0085】
(f)Step5:平滑化2(修正面積密度を後方散乱模擬)
次に、図2中のStep4で算出した修正面積密度p1(x)を平滑化手段4に送り、平滑化を行い(図2中のブロック113)、後方散乱径で模擬するまで繰り返し(図2中のブロック114)、上述の式(15)と式(17)より、次式(18)で平滑化した補正面積密度Q1(x)を求める(図2中のブロック115)。
【0086】
Q1(x)=∫φ(x−x′)p1(x′)dx′ 式(18)
但し、平滑化した補正面積密度Q1(x)を面積密度マップメモリ3に格納する際、面積密度マップメモリ3上の修正面積密度p1(x)に上書きすれば、別途、面積密度マップメモリ3と同様なメモリを用意せずとも、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0087】
(g)Step6:合成計算
前述の式(14)と同じ以下の式(19)を用いて、平滑化後の補正面積密度Q0(x)と平滑化後の補正面積密度Q1(x)とを合成して面積密度Q2(x)を求める。
【0088】
Q2(x)=Q1(x)・{1+2ηQ0(x)} 式(19)
まず、面積密度マップメモリ3上にある同じ位置を示すアドレスの平滑化後の補正面積密度Q0(x)と平滑化後の補正面積密度Q1(x)を呼び出し、演算処理を行った結果を(図2中のブロック116)、同じ位置を示すアドレスに再び修正面積密度p1(x)を格納する(図2中のブロック117)。そして、面積密度Q2(x)を求めるには、以下の処理を行う。
【0089】
(1)面積密度マップメモリ3から同じアドレスの平滑化した補正面積密度
Q1(x)を図1中の平滑化手段4で処理し、平滑化後の補正面積密度Q0(x)を修正量計算手段8で処理する。このとき平滑化は行わないものとし、補正面積密度Q1(x)のデータはスルーとする。すなわち、図8において選択器33でスルーを選択する。
【0090】
(2)一方、平滑化後の補正面積密度Q0(x)のデータは、図1中の修正量計算手段8に送る。このとき、上述した式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の演算を行う様に、修正量計算手段8の内部に、図9の様に加算手段42と積算手段
41を含めた演算回路を予め設けておく。前述した図2中のStep4の様に、図9中のTable メモリ10を参照する場合は、選択器43においてそれを選択できるように、加算手段42と積算手段41の後段に選択器43をおいておく。
【0091】
(3)補正面積密度Q1(x)と上述した式(19)中の{1+2ηQ0(x)}を図1中の演算回路9で積算し、面積密度Q2(x)を出力する。
【0092】
但し、このとき、補正面積密度Q1(x)と式(19)中の{1+2ηQ0(x)}は、同じアドレスのものを処理する必要がある。処理する方法としては、補正面積密度Q1(x)か式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の処理前後のメモリを準備しておき、交互に処理しても良いが、処理時間の無駄を省くため、並列処理することが望ましい。つまり、基本的には、前述した図2中のStep4における処理手順と同じとなるため、装置構成は共通化して使用できる。
【0093】
また、ここでは、式(19)中の{1+2ηQ0(x)}の演算を図1中の修正量計算手段8の内部に設けたが、演算回路9の内部にも加算器と積算器を複数個用意しておけば、同様な処理が可能である。
【0094】
また、面積密度Q2(x)の面積密度マップを面積密度マップメモリ3に格納する際、補正面積密度Q1(x)の面積密度マップに上書きすれば、面積密度マップメモリ3の容量を節約できる。
【0095】
以上、図2中のStep4からStep6を用いて、理論的な1次解を得ることができる。これで得られた露光用の面積密度Q2(x)は露光量を求めるために用いられる。
【0096】
また、前述した式(5)の積分方程式の第2次近似解を求めれば、さらに理想に近い近接効果補正を行うことができる。このためには、式(11)から式(19)までのStepと同様に演算を繰り返せばよい。これを繰り返せば所望の高次近似解を得ることができるが、時間がかかるので、許容される寸法精度と時間とから、解の次数を決めればよい。
【0097】
また高精度な計算を行わない場合は(図2中のブロック110)、Q2=Q0(図2中のブロック118)と考えて[2]以下の処理を行う。
【0098】
[2]実際の描画
以上の処理で完成した面積密度Q2(x)の面積密度マップをもとに、露光量の補正を行う。
【0099】
(a)Step7:実際の描画開始(データの読み込み)
[1]と同様に、最初のショットデータが図1中の入力部1より取り込まれ(図2中のブロック119)、面積密度マップ作成手段2に送られる。
【0100】
(b)Step8:ショットごとの面積密度計算
図2中の面積密度マップ作成手段2において、面積密度マップメモリ3の中のアドレスが演算され、このアドレスにより面積密度マップメモリ3からショットごとの面積密度Q2(x)の値が算出される(図2中のブロック120)。
【0101】
(c)Step9:露光量変換処理
次に、面積密度Q2(x)をもとに、ショットごとの露光量比[(1+η)/{1+2ηQ2(x)}]を算出する(図2中のブロック121)。そして、次の式(20)より、露光量I(x)が求められる(図2中のブロック122)。
【0102】
I(x)=I50%(x)・(1+η)/{1+2ηQ2(x)} 式(20)式(20)は第1次近似解の式(13)において、D=(1+η)I50%(x)/2を代入したものである。
【0103】
算出された露光量I(x)は、図1中の露光量変換手段5,演算処理6を経て、出力部7へ送られる。
【0104】
そして、次のショットがあるかどうかを判定し(図2中のブロック123)、ある場合はさらに次のショットデータを取り込み(図2中のブロック124)、Step8からStep9までを繰り返し行い、全ショット終了を判定して(図2中のブロック123)、近接効果補正が終了する。
【0105】
上記においては、面積密度マップメモリ3をいたずらに増やさないためにその内部で演算を処理する方法を述べたが、2個以上の面積密度マップメモリで演算処理することはもちろん可能である。
【0106】
上述した本発明の効果は、文献 ジェイ・エム・パブコビッチ「プロキシミティ・イフェクト・コレクション・カルキュレイションズ・バイ・ザ・インテグラル・イクエイション・アプロキシメイト・ソリューション・メソッド」、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー・ビー、第4巻、第1号、1986年1月/2月、159から163頁(J. M. Pavkovich,“Proximity effect correction calculations by the integral equation approximate solution method”,J. Vac. Sci.Technol.B 4(1),Jan/Feb 1986, pp.159−163)に記載されたダブルガウシアン法を用いて、実際に描画をしなくても、確認することができる。図3はダブルガウシアン法を用いたシミュレーションで対象とした評価パターンを示す平面図である。寸法の単位はμmである。本評価パターンは2つの大面積のパターンと、これらに挟まれて中心部に位置する幅0.15μmのライン状の中心部ラインパターンと、大面積のパターンのひとつの側面(エッジ部)に隣接した幅0.15μm のライン状のエッジ部ラインパターンからなっている。シミュレーションでは、これらのラインパターンについて、上記文献に記載されたダブルガウシアン法を用いて評価を行う。従来の近接効果補正は前述の式(1)を用いたもの、本発明による近接効果補正は前述の式(13),式(14),式(15)を用いたものである。
【0107】
図4は、ラインパターン上の座標と線幅の関係のシミュレーションの結果を示す関係図である。座標は図3中の原点と記した位置を0とし、負側は大面積のパターン側(高密度側)、正側はその反対側(孤立側)の位置を示す。また、図4(1)は、図3中の2つの大面積のパターンに挟まれる幅0.15μm の中心部ラインパターン、図4(2)は、図3中の大面積のパターンのひとつの側面に隣接した幅0.15μm のエッジ部ラインパターンについてのシミュレーションの結果である。また、黒丸,黒四角の印は従来法、白丸,白四角の印は本発明による補正を示す。
【0108】
図4(1)に示した中心部ラインパターンの場合、高密度側から孤立側へと密度が急変する部分で、従来法による補正では、黒丸印で示されるように、線幅に15nm程度の「痩せ」を生じているが、本発明による補正では、白丸印で示されるように、線幅はそれほど寸法変化していず、線幅の設計値0.15μm に対する寸法誤差は5nm以下に収まっており、他の部分の寸法または設計値である0.15μm の4%以内である。
【0109】
図4(2)に示したエッジ部ラインパターンの場合、高密度側の部分で、従来法による補正では、黒四角印で示されるように、大面積パターンの影響で、線幅に15nm程度の「痩せ」を生じているが、本発明による補正では、白四角印で示されるように、線幅はそれほど寸法変化していず、線幅の設計値0.15μm に対する寸法誤差は6nm以下に収まっており、他の部分の寸法または設計値である0.15μm の4%以内である。
【0110】
このように、本発明によれば、従来法による補正と比較して露光されるパターンの線幅の設計値に対する誤差を小さくすることができるという優れた効果を得ることができる。
【0111】
また、本発明は、特別な回路やメモリの追加をせずに実現することができるので、開発期間の短縮,開発コストや製品コストの低減にも多大な効果をもたらす。
【0112】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、特別な回路やメモリの追加をせずに近接効果補正の補正誤差を低減でき、高密度なパターンのエッジ付近に配置されたパターンなどの痩せや太りの発生を防止できる電子線描画装置および電子線を用いた描画方法を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】近接効果補正の機能を実現する構成を示す機能ブロック図。
【図2】図1に示した機能の手順を示すフローチャート。
【図3】シミュレーションで対象とした評価パターンを示す平面図。
【図4】ラインパターン上の座標と線幅の関係のシミュレーションの結果を示す関係図。
【図5】従来技術における近接効果補正の構成を示す機能ブロック図。
【図6】図5に示す構成の手順を示すフローチャート。
【図7】電子線描画装置の概略構成を示す機能ブロック図。
【図8】平滑化手段の内部構成を示す機能ブロック図。
【図9】修正量計算手段の内部構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
1…入力部、2…面積密度マップ作成手段、3…面積密度マップメモリ、4…平滑化手段、5…露光量変換手段、6…演算処理、7…出力部、8…修正量計算手段、9…演算回路、10…Table メモリ、31…平滑化有処理手段、33…選択器、41…積算手段、42…加算手段、43…選択器、51…EB制御用計算機、52…大容量データディスク、53…パターンメモリ、60…アナログ制御部、61…偏向器、62…レンズ、63…レンズ電源、64…電子源、65…マスク、66…ウェハ、67…試料台。
Claims (12)
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線を用いた描画方法において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、前記試料の描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、(a)前記面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を求め、(b)前記描画領域全体の修正面積密度マップを求めてメモリへ記憶し、前記(a)と(b)を少なくとも2回繰り返し、前記試料への露光量を決定することを特徴とする電子線を用いた描画方法。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線を用いた描画方法において、前記試料に描画されるべき前記描画パターンの前記電子線照射によって生じる前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーによる寸法変形を予測し、該寸法変形を補正する前記電子線の露光量を前記試料の描画領域全体について求めて露光量マップを作成し、該露光量マップに基づいて描画することを特徴とする電子線を用いた描画方法。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線を用いた描画方法において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の前記描画パターンの面積密度を演算し、前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した面積密度の補正量を高次近似解で求め、前記描画パターンの露光量を決定することを特徴とする電子線を用いた描画方法。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線を用いた描画方法において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の前記描画パターンの面積密度を演算して前記試料の描画領域全体の面積密度マップを作成し、前記面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した平滑化補正を施して第1の補正面積密度を求めて前記描画領域全体の第1の補正面積密度マップを作成し、前記第1の補正面積密度と前記面積密度とから修正面積密度を求めて前記描画領域全体の修正面積密度マップを作成し、前記修正面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した平滑化補正を施して第2の補正面積密度を求めて前記描画領域全体の第2の補正面積密度マップを作成し、前記第2の補正面積密度と前記第1の補正面積密度とから露光面積密度を演算して前記描画領域全体の露光面積密度マップを作成し、該露光面積密度マップに基づいて前記描画パターンを露光する露光量を求めることを特徴とする電子線を用いた描画方法。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線を用いた描画方法において、前記試料上に描画される前記描画パターンの前記電子線照射によって生じる所望の寸法との差異に基づいて前記電子線の露光量を補正するための前記描画パターンの面積密度を求め、前記試料の描画領域全体の面積密度マップを求めてメモリに記憶し、前記試料上に描画される前記描画パターンのうち線状のラインパターンに隣接するパターンの長さが前記ラインパターンの長手方向の途中の位置までである場合に、前記メモリに記憶された前記面積密度マップに基づいて、その位置の前後での前記ラインパターンの幅寸法の変化割合が、該ラインパターンの他の位置の幅寸法に対して4%以内であるように露光量を決定し描画することを特徴とする電子線を用いた描画方法。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線描画装置において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の描画パターンの面積密度を演算し、前記試料の描画領域全体の面積密度マップを求める面積密度演算手段と、前記面積密度演算手段で求められた前記面積密度マップを記憶するメモリと、前記面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーを考慮した補正を施して修正面積密度を演算し、前記描画領域全体の修正面積密度マップを求め前記メモリへ記憶する工程を複数回繰り返す修正面積密度演算手段と、前記修正面積密度演算手段で求められた前記修正面積密度マップに基づいて前記試料への露光量を決定する露光量決定手段とを有することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線描画装置において、前記試料に描画されるべき前記描画パターンの前記電子線照射によって生じる前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーによる寸法変形を予測し、該寸法変形を補正する前記電子線の露光量を前記試料の描画領域全体について求めて露光量マップを作成する露光量マップ作成手段と、前記露光量マップ作成手段で作成された前記露光量マップに基づいて描画する描画手段とを有することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線描画装置において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の前記描画パターンの面積密度を演算する面積密度演算手段と、前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した前記面積密度の補正量を高次近似解で求める補正量演算手段と、前記補正量演算手段で求められた補正量に基づいて前記描画パターンの露光量を決定する露光量決定手段とを有することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線描画装置において、前記試料を予め定められた寸法の仮想メッシュに分割し、該仮想メッシュ毎の前記描画パターンの面積密度を演算して前記試料の描画領域全体の面積密度マップを作成する面積密度演算手段と、前記面積密度演算手段で演算された前記面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した平滑化補正を施して第1の補正面積密度を求めて前記描画領域全体の第1の補正面積密度マップを作成する第1の補正面積密度演算手段と、前記第1の補正面積密度演算手段で求められた前記第1の補正面積密度と、前記面積密度演算手段で演算された前記面積密度とから修正面積密度を求めて前記描画領域全体の修正面積密度マップを作成する修正面積密度演算手段と、前記修正面積密度演算手段で求められた該修正面積密度に前記電子線による前記試料のレジスト内の後方散乱エネルギーと前方散乱エネルギーとを考慮した平滑化補正を施して第2の補正面積密度を求めて前記描画領域全体の第2の補正面積密度マップを作成する第2の補正面積密度演算手段と、前記第2の補正面積密度演算手段で求められた前記第2の補正面積密度と、前記第1の補正面積密度演算手段で求められた前記第1の補正面積密度とから露光面積密度を求めて前記描画領域全体の露光面積密度マップを作成する露光面積密度演算手段と、該露光面積密度演算手段で作成された前記露光面積密度に基づいて前記描画パターンの露光量を決定する露光量決定手段とを有することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを露光する電子線描画装置において、前記試料上に描画される前記描画パターンの前記電子線照射によって生じる所望の寸法との差異に基づいて前記電子線の露光量を補正するための前記描画パターンの面積密度を演算して前記試料の描画領域全体の面積密度マップを求める面積密度演算手段と、前記面積密度演算手段で求められた前記面積密度マップを記憶するメモリと、前記試料上に描画される前記描画パターンのうち線状のラインパターンに隣接するパターンの長さが前記ラインパターンの長手方向の途中の位置までである場合に、前記メモリに記憶された前記面積密度マップに基づいて、その位置の前後での前記ラインパターンの幅寸法の変化割合が、該ラインパターンの他の位置の幅寸法に対して4%以内であるように露光量を決定し描画する描画手段とを有することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを描画する電子線描画装置において、前記描画パターンを電子線描画ショットに分割するパターン分割手段と、前記試料の電子線描画領域を区分する仮想メッシュを想定するメッシュ想定手段と、前記メッシュ想定手段で想定された前記仮想メッシュと前記パターン分割手段で分割された前記電子線描画ショットの位置関係に基づいて、前記電子線描画ショットまたは前記描画パターンの前記仮想メッシュ内に含まれる面積密度を求め、前記電子線描画領域の面積密度マップを作成する面積密度マップ作成手段と、前記面積密度マップ作成手段で求められた前記面積密度マップに基づいて、前記試料に電子線を照射して描画パターンを描画するときの露光量を求める露光量演算手段とを有し、前記面積密度マップ作成手段は複数個の面積密度マップを作成することを特徴とする電子線描画装置。
- 試料に電子線を照射して描画パターンを描画する電子線描画装置において、前記描画パターンを電子線描画ショットに分割するパターン分割手段と、前記試料の電子線描画領域を区分する仮想メッシュを想定するメッシュ想定手段と、前記メッシュ想定手段で想定された前記仮想メッシュと前記パターン分割手段で分割された前記電子線描画ショットの位置関係に基づいて、前記電子線描画ショットまたは前記描画パターンの前記仮想メッシュ内に含まれる面積密度を求め、前記電子線描画領域の面積密度マップを作成する面積密度マップ作成手段と、前記面積密度マップ作成手段で求められた前記面積密度マップに基づいて、前記試料に電子線を照射して描画パターンを描画するときの露光量を求める露光量演算手段とを有し、前記面積密度マップ作成手段は複数個の面積密度マップのデータを並行して処理することを特徴とする電子線描画装置。
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