JP6167663B2 - 現像ローディング補正プログラム、計算機、描画システム、現像ローディング補正方法 - Google Patents
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Description
一方でフォトマスク製造の現像工程において、フォトマスク上でパターンが密な領域と疎な領域でパターンの寸法仕上がりに差異が生じる現像ローディングという現象が起こることが知られている。すなわち現像ローディングによって、周囲のパターン分布に応じてパターンの寸法仕上がりに不均一な分布が生じてしまう。
ここで、現像ローディングは、周囲のパターン分布に応じて、レジストが解像するために必要な入射ドーズ量が変化する現象とも考えられる。
そこで、現像ローディングを補正するように、電子ビーム描画装置内で入射ドーズ量を調整して電子ビームを照射し、フォトマスクにパターンを描画する方法があった(例えば特許文献1)。
しかし、従来の補正方法は、現像ローディングの現象を十分に考慮して補正するものではなかった。このため、従来の補正方法は、現像ローディングの補正精度がよくなかった。
・第2の発明は、第1の発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記ドーズ量補正量は、基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用し、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用し、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、の比で表せること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第3の発明は、第1又は第2のいずれかの発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記ドーズ量補正量は、前記周辺長密度パラメータと前記周辺長密度関数とに加えて、パターン面積密度に関するパラメータである面積密度パラメータと、パターン面積密度を表す面積密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分とを含む式で表せること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第4の発明は、第3の発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記制御手段を、前記ドーズ量補正量は、基準面積密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記面積密度パラメータを適用した値と、基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用した値と、基準解像閾値ドーズ量とを加算した値に依存する値と、前記面積密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記面積密度パラメータを適用した値と、前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用した値と、前記基準解像閾値ドーズ量とを加算した値に依存する値と、の比で表せること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第5の発明は、第3の発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記ドーズ量補正量は、基準面積密度値及び基準周辺長密度値及び面積密度パラメータ及び周辺長密度パラメータから求められる基準表面積密度値と釣鐘型の関数の無限平面積分値との積に、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、前記面積密度関数及び前記周辺長密度関数及び面積密度パラメータ及び周辺長密度パラメータに依存する表面積密度関数と釣鐘型の関数との畳み込み積分に、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、の比で表せること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第6の発明は、第4の発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記周辺長密度パラメータの1つであり、パターン周辺長密度が周囲に現像ローディングを及ぼす際の影響の広範さを表す周辺長密度影響範囲と、前記面積密度パラメータの1つであり、パターン面積密度が周囲に現像ローディングを及ぼす際の影響の広範さを表す面積密度影響範囲と、を共通で用いること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記釣鐘型の関数は、ガウス関数であること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、この現像ローディング補正プログラムは、パターン周辺長密度やパターン面積密度が異なる複数の評価パターンのパターン寸法の計測結果を用いて、パターン描画における現像ローディングの補正量を算出するものであり、前記制御手段を、描画した前記評価パターンの複数位置のパターンエッジにおける蓄積ドーズ量を、近接効果を適用して算出し、前記算出した蓄積ドーズ量を複数位置において算出式に適用して、前記周辺長密度パラメータ及び前記面積密度パラメータを算出するように機能させ、前記算出式は、前記算出した複数位置の蓄積ドーズ量に依存する値と、前記周辺長密度パラメータ及び前記面積密度パラメータを用いて求めた現像ローディングにより変化した解像閾値ドーズ量、が等しくなる式で表させること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第10の発明は、第9の発明の現像ローディング補正プログラムにおいて、前記ドーズ量補正量は、基準面積密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記面積密度パラメータを適用し、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、前記面積密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記面積密度パラメータを適用し、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、の比で表せること、を特徴とする現像ローディング補正プログラムである。
・第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明の現像ローディング補正プログラムを記憶する記憶部(25)と、前記記憶部の現像ローディング補正プログラムを実行する制御部(26)と、を備える計算機(20)である。
・第12の発明は、第11の発明の計算機(20)と、前記計算機が算出した現像ローディングの補正量を反映して、パターンを描画する描画装置(10)と、を備える描画システム(1)である。
・第14の発明は、第13の発明の現像ローディング補正方法において、前記ドーズ量補正量は、基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用し、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用し、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、の比で表せること、を特徴とする現像ローディング補正方法である。
・第15の発明は、第13又は第14の発明の現像ローディング補正方法において、前記ドーズ量補正分布作成工程で作成した前記ドーズ量補正分布を描画装置に適用し、前記ドーズ量補正分布を反映してパターン描画する描画工程(S60)を備えること、を特徴とする現像ローディング補正方法である。
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
[描画システム1の構成]
図1は、第1実施形態の描画システム1の構成を説明する図である。
描画システム1は、フォトマスクW(被加工体)にパターン形成するためのものである。フォトマスクWは、マスクブランクス層とレジスト層との2層から成り、マスクブランクスの上部にスピンコート等で塗布されたレジストを有する。
描画システム1は、描画装置10、計算機20を備える。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、描画装置10、計算機20は、記憶部15,25(後述する)、制御部16,26(後述する)等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
XYテーブル11は、フォトマスクWを載置する台である。XYテーブル11は、水平面(xy平面)に移動可能である。
照射装置12は、電子ビームを照射する電子銃を備える。
XYテーブル11、照射装置12が制御部16によって制御されることにより、フォトマスクWは、所望のパターンが描画される。
記憶部15には、フォトマスクWに描画するための、描画パターン記憶部15a、補正マップ記憶部15bを備える。
描画パターン記憶部15aは、フォトマスクWに描画するめの描画パターンのデータでの記憶領域である。
補正マップ記憶部15bは、補正マップを記憶するための記憶領域である。
補正マップは、描画パターンに対応した入射ドーズ量に対して、現像ローディングに関する補正を適用するための補正値CDLC(後述する)の分布データである。つまり、補正マップは、ドーズ量補正量の分布を示すマップである。補正マップは、計算機20で作成されたものが、通信ケーブル等を介して、記憶部15にコピーされる。
補正マップの詳細な説明は、後述する。
制御部16は、記憶部15に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、描画システム1の各ハードウェアと協働し、描画システム1に係る各種機能を実現している。
制御部16の詳細な処理は、後述する。
計算機20は、記憶部25、制御部26を備える。
記憶部25は、計算機20の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
記憶部25は、面積密度マップ作成プログラム25a、周辺長密度マップ作成プログラム25b、補正プログラム25cを記憶する。
面積密度マップ作成プログラム25aは、パターンの面積密度を算出する公知のプログラムである。
周辺長密度マップ作成プログラム25bは、パターンの周辺長密度を算出する公知のプログラムである。
補正プログラム25cは、現像ローディングに関する補正マップを作成するプログラムである。補正プログラム25cは、式4、補正式1、モデル式1(後述する)等を記憶する。
本実施形態の描画処理、描画工程について説明する。
図2は、第1実施形態の描画処理、描画工程のフローチャートである。
図3は、第1実施形態のパターンカテゴリを説明する図である。
図4は、第1実施形態の第1評価パターンに関する処理を説明する図である。
図5は、第1実施形態の第2評価パターンに関する処理を説明する図である。
図6は、第1実施形態の設計パターンを説明する図である。
図7は、第1実施形態の補正マップの作成処理を説明する図である。
実施形態では、描画した箇所が現像液に対して可溶性に変化するポジレジスト(ポジティブ・トーン・レジスト)のパターンの描画について説明する。各図(図3等)は、便宜上、露光されるスペース部分(現像後にレジストが取り除かれる部分)を黒色で示し、露光されないライン部分(現像後にレジストが残存する部分)を白色で示す。
なお、描画した箇所が現像液に対して不溶性に変化するネガレジスト(ネガティブ・トーン・レジスト)のパターンの場合にも、ポジレジスト同様に、実施形態の描画処理、描画工程を適用できる。
また、レジストは、描画工程後にPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる加熱処理を必要とする化学増幅型レジストを用いてもよい。
・IS…Isolated Space。パターンの分類を示す。周辺から分離された孤立したスペースを有するパターンである。
・LS(又はL/S)…Line and Space。パターンの分類を示す。ライン:スペース=1:1が繰り返されるパターンである。例えば、500nmのLSは、幅が500nmのラインと、幅が500nmのスペースが繰り返されるパターンである。
・2LS(又は2L/S)…2Line and Space。パターンの分類を示す。2本のラインとそれに挟まれた1本のスペースで構成されるパターンである。例えば、500nmの2LSは、幅が500nmの2本のラインと、幅が500nmの1本のスペースで構成されるパターンである。
・外形サイズ…正方形のパターンの一辺の長さである。
図2に示すように、描画処理、描画工程は、設計パターンの描画(S60)の前に、第1評価パターン、第2評価パターンをフォトマスクWにパターニングして(S10,S20)、設計パターンを描画するための各種パラメータを求める(S30,S40)。第1評価パターン、第2評価パターン、設計パターンは、すべて同一の材料、同一の条件を用いてパターニングする。これら条件の一例を挙げると、レジスト種類、レジスト厚さ、ブランクス種類、描画機、描画条件、PEB装置、PEB条件、現像装置、現像条件等である。
以下詳細に説明する。
S10では、第1評価パターンをパターニングし、レジストパターンのパターン寸法を計測する。
第1評価パターンは、現像ローディングが殆んど発生しないパターンである。第1評価パターンには、例えば、外形サイズが100μmであり、500nmのIS、LS、2LSなどのカテゴリーが異なるパターンを複数種類用いることが好ましい。
S11において、図4に示すように、描画装置10を操作して、フォトマスクWに第1評価パターンを、ドーズ量を変更して複数描画する。第1評価パターンはPEC(近接効果補正)を適用して描画してよい。
S12において、現像装置(図示せず)を操作して、フォトマスクWに現像処理を施し、描画したパターンを表しだす。また、フォトマスクWが有するレジストが化学増幅型レジストであれば、S12の前にPEB装置(図示せず)を操作して、フォトマスクWに過熱処理を施してもよい。
S13において、SEM(走査型電子顕微鏡)を操作して、フォトマスクWに描画した複数の第1評価パターンのレジストパターン寸法を計測し、それによりそれぞれのパターンエッジの位置座標を求める。
S20では、第2評価パターンをパターニングし、レジストパターンのパターン寸法を計測する。
第2評価パターンは、現像ローディングが発生するパターンである。
第2評価パターンとしては、外形サイズが100μm程度でありカテゴリーが異なる複数種類の中心パターンに対して、パターン面積密度とパターン周辺長密度が異なる複数種類の周辺パターンを組み合わせたものが好ましい。図5では、中心パターンがL/S、周辺パターンがベタのものを例示した。第2評価パターンとしては、後述する図9から図11に示すパターン等を用いることができる。
S22において、現像装置(図示せず)を操作して、フォトマスクWに現像処理を施し、描画したパターンを表しだす。また、フォトマスクWが有するレジストが化学増幅型レジストであれば、S22の前にPEB装置(図示せず)を操作して、フォトマスクWに過熱処理を施してもよい。
S23において、SEMを操作して、フォトマスクWに描画した複数の第2評価パターンのレジストパターン寸法を計測し、それによりそれぞれのパターンエッジの位置座標を求める。
なお、フォトマスク上で第1評価パターンと第2評価パターンとの間の距離を充分にとれるならば、第1評価パターンと第2評価パターンとを1枚のフォトマスクにパターニングしてもよい。
ここで、式1は、荷電粒子ビームを用いたリソグラフィにおいて、近接効果を考慮してレジストに蓄積したドーズ量を求める公知のものである。
Din:入射ドーズ量(=照射ドーズ量)
σf:前方散乱による影響範囲(前方散乱が周囲に影響を及ぼす距離に関連した数値)
σb:後方散乱による影響範囲(後方散乱が周囲に影響を及ぼす距離に関連した数値)
η:後方散乱係数
なお、第1評価パターンにPECを適用した場合は、DinはPECにより基準ドーズ量から変調されたドーズ量となる。第1評価パターンの外形サイズがσbよりも十分に大きければ、第1評価パターンの中心近傍においては、パターンをすべてDinで描画したと見なすことができ、数1が適用できる。
g’(x’,y’):座標(x’,y’)におけるパターンの面積密度
なお、g,g’は、全て面積密度であるが、gのメッシュサイズはσfの10分の1程度、g’のメッシュサイズはσbの10分の1程度でよい。
Dth0(基準解像閾値ドーズ量):レジストの解像閾値(解像するために必要なドーズ量)
S30において、図4に示すように、計算機20の制御部26は、第1評価パターンの描画用データと、レジストパターンの寸法計測値とに基づいて、式3にパラメータフィッティングを適用して、σf、σb、η、Dth0を算出する。
S41において、第2評価パターンの描画用データを計算機20に入力して、第2評価パターンの面積密度g’’(x’,y’)、周辺長密度h(x’,y’)を求める。
面積密度g’’(x’,y’)は、第2評価パターンをメッシュで区分けして、メッシュ内のパターン面積を1メッシュの面積で除算したものである。
計算機20の制御部26は、面積密度マップ作成プログラム25aに従って、面積密度g’’の分布を表す面積密度マップ(図5参照)を作成する。
図5の例では、中心パターンが1:1のL/Sであるため、マップ中央部の面積密度値は0.5となっている。周辺パターンはベタであるため、マップ外周部の面積密度値は1.0となっている。
制御部26は、面積密度マップ作成プログラム25aに従って、周辺長密度h(x’,y’)の分布を表す周辺長密度マップ(図5参照)を作成する。
図5の例では、中心パターンがL/Sであるため、マップ中央部にはパターンエッジが存在し、周辺長密度値はそれに対応した値となっている。周辺パターンはベタであるため、マップ外周部にはパターンエッジが存在せず、周辺長密度値は0.0となっている。
なお、パラメータσf、σb、η、Dth0は、S30において、算出したものを用いる。なお、式4の右辺は、後述するモデル式1に関連する。
ζ1,ζ2:現像ローディング係数
g’’(x’,y’):座標(x’,y’)におけるパターンの面積密度
h(x’,y’):座標(x’,y’)におけるパターンの周辺長密度
なお、g,g’,g’’は、全て面積密度であるが、gのメッシュサイズはσfの10分の1程度、g’のメッシュサイズはσbの10分の1程度、g’’のメッシュサイズはσdの10分の1程度でよい。
S50では、図7に示すように、フォトマスクWに描画する所望の設計パターンを計算機20に入力し、補正マップを作成する。
この例では、設計パターンは、後述する検証でも利用するため、便宜上、図6に示すものを用いた。
設計パターンは、図6(A)に示すような中心パターンと周辺パターンの配置の組み合わせを一つの単位として、それを図6(B)に示すように、x方向に8つ連設したものである。
設計パターンは、3種類のカテゴリーの中心パターン(IS、LS、2LS)と、8種類のカテゴリーの周辺パターンとを組み合わせたものである。
中心パターンは、全て同じ外形サイズ(100μm)であり、x方向において、同じ中心パターンが配列してある。例えば、最上段の中心パターンは、全て、ISである。
周辺パターンは、同じ単位内であれば、共通のパターンであり、単位毎に、パターンの分類を変えている。例えば、最右端の周辺パターンは、全てベタである。
なお、図7の面積密度マップは、実際には、複数のメッシュに区分けされている。この各メッシュ毎に、面積密度に関する情報が格納されている。同様に、周辺長密度マップも、複数のメッシュに区分けされ、各メッシュ毎に周辺長密に関する情報が格納されている。
S52において、制御部26は、補正プログラム25cに従って、以下のモデル式1を用いて、各メッシュの解像閾値Dth(x,y)を求める。
なお、モデル式1の詳細は、後述する。
なお、図7の補正マップは、面積密度マップ等と同様に、複数のメッシュに区分けされており、この各メッシュ毎に、補正係数CDLCに関する情報が格納されている。
なお、補正式1の詳細は、後述する。
S60では、図6の設計パターン、図7の補正マップを描画装置10に入力し、フォトマスクWにパターンを描画する。
まず、描画装置10の制御部16は、入力された設計パターン、補正マップを記憶部15に記憶する。
そして、制御部16は、設計パターンの各メッシュのドーズ量に、補正マップのそのメッシュの補正係数CDLCを積算し、そのメッシュの照射ドーズ量を算出し、照射装置12を制御して、パターンを描画する。
以上により一連のパターン描画の処理が終了する。
次に、補正マップの効果を検証した。
図8は、第1実施形態の描画パターンと、比較パターンとのCDEを示すグラフである。
比較パターンは、設計パターンに対して補正マップを適用せずに、描画装置10を用いて、フォトマスクWに描画したものである。使用材料、パターニング条件は、上記描画処理と同様のものを用いた。
そして、実施形態の描画パターンの中心パターンのCDE(CDエラー:現像後のレジストパターンの寸法計測値と、描画データのパターンの寸法値との、誤差)と、比較パターンの中心パターンのCDEとを、SEMで測定した。
図8に示すように、描画パターンは、比較パターンと比較すると、ISS、LS、2LSの全てで、現像ローディング効果がほぼ半分に改善された。
また、同じ面積密度の描画パターンであっても、パターンの形状による現像ローディングの影響の相違を反映して補正できた。例えば、周辺パターンが面積密度50%である単位は4つあるが、L/Sのピッチサイズに応じて現像ローディングが異なっている。本実施形態においては、このような周辺パターンの形状による影響も考慮されており、これら4つの全ての単位で現像ローディング効果が低減されている。
これにより、本実施形態の補正マップが有効であることが確認できた。
以下の実験から、現像ローディングの3つの特徴を導き出せる。
(特徴1)
・特徴1−1:現像ローディングは、周辺にパターン群が多数存在する程大きい。
・特徴1−2:現像ローディングは、パターン群との距離が近い程大きい。
図9(A)は、実験パターンを説明する図である。
図9(B)は、実験パターンのCDEを説明するグラフである。
図9(A)に示すように、下記の実験パターンを、フォトマスクWに描画して、現像後、中心パターンの中心位置での、レジストパターンのパターン寸法を実測した。
実験パターンは、外形サイズ100μmの中心パターンに周辺パターンを設けたものである。
中心パターンは、500nmのL/Sである。
周辺パターンは、外形サイズや、内枠サイズを変えたものを、7種類設けた。周辺パターンも500nmのL/Sである。
位置1の実験パターンは、中心パターンのみである。
位置2〜5の実験パターンは、中心パターンと周辺パターンが接するようにパターンを設けた。周辺パターンの外形サイズは、200〜2000μmで段階的に変更した。
位置6〜8の実験パターンは、中心パターンと周辺パターンが接しないようにパターンを設けた。周辺パターンの外形サイズを2000μmで固定し、内枠サイズを1辺200〜1000μmで段階的に変更した。
・現像ローディングは、周辺パターンのパターンエッジ長の総距離が長い程、大きい(周辺パターンがある同一の面積密度なら、ピッチサイズが小さい程、大きい)。
図10は、現像ローディングの特徴2を説明する図である。
図10(A)に示すように、中心パターンのサイズ、パターンを共通にして、周辺パターンのLSのピッチサイズ、外形サイズを変えてパターンを描画して、現像後、中心パターンの中心位置の、レジストパターンのパターン寸法を実測した。
図10(B)に示すように、中心パターンのCDEの変化は、周辺パターンのピッチサイズが小さい程大きくなり、現像ローディング効果が大きくなることを示している(特徴2)。
・ある同一規模の現像ローディングでも、影響を受けるパターンの近接効果の後方散乱面積率が大きい程、CDEの変化は大きい。すなわち、影響を受けるパターンのパターンカテゴリー(パターンの分類)に応じて、現像ローディングにより生じるCDEは異なる。
図11は、現像ローディングの特徴3を説明する図である。
図11(A)に示すように、中心パターンはIS、LS、2LSの3カテゴリーとし、周辺パターンのパターンカテゴリは共通にして外形サイズを変えながら、パターンを描画して、現像後、中心パターンの中心位置の、レジストパターンのパターン寸法を実測した。パターンは、PECを適用して描画した。
図11(B)に示すように、中心パターンのCDEの変化は、中心パターンの後方散乱面積率が高い程大きくなり、現像ローディングの影響が大きくなることを示している(特徴3)。
上記3つの特徴は、以下の仮説を適用することによって、説明できる。
仮説:現像ローディングは、周囲のパターン分布によって解像閾値が変化する現象である。
図12は、現像ローディングの仮説を説明する図である。
図12(A)は、現像ローディングがない状態での蓄積ドーズ量を説明する図である。
図12(B)は、現像ローディングによって解像閾値が変化して、解像幅が減少する態様を説明する図である。
図12(C)は、現像ローディング効果の補正方法を説明する図である。
なお、図12(C)の説明は、後述する。
図12(B)に示すように、現像ローディングは、現像液中の現像成分濃度の不足にともない、解像閾値が上昇する現象であると考えれば、CDEが負の方向に大きくなるということも説明できる。
つまり、解像幅は、W0からW’に減少する。この差「W’−W0」が現像ローディングにより生じたCD変動に相当すると考えらえる。
また、上記3つの特徴から、現像ローディングは、パターンの面積密度、周辺長密度が影響すると考えられる。解像閾値Dth0が現像ローディングにより解像閾値D’thに変化したとすれば、パターンの面積密度、周辺長密度の影響による解像閾値の上昇量は、以下の式7で表すことができる。
また、パターンエッジ位置において蓄積されていたドーズ量は、解像閾値Dth0及び上記式7を加算したものと等しくなる。
これよって、上記式4が導出できる。
つまり、式7は、パターンエッジに蓄積されたドーズ量と、現像ローディングが存在しない場合の解像閾値Dth0との差を表す。
仮説(式4)を現像ローディングの特徴1〜3に当てはめて、仮説1〜3が妥当であることを説明する。
図13は、式4を、図9のパターンに当てはめて、現像ローディング効果をシミュレーションした結果を示す図である。
図13(A)に示すように、実測値と、シミュレーションの結果とは、ほぼ同じ傾向を有することが確認できた。
つまり、特徴1は、式4で説明できることが確認できた。
図14は、式4を、図10のパターンに当てはめて、現像ローディング効果をシミュレーションした結果を示す図である。
図14(A)に示すように、実測値と、シミュレーションの結果とは、ほぼ同じ傾向を有することが確認できた。
つまり、特徴2は、式4で説明できることが確認できた。
図15は、式4を、図11のパターンに当てはめて、現像ローディング効果をシミュレーションした結果を示す図である。
図15(A)に示すように、実測値と、シミュレーションの結果とは、ほぼ同じ傾向を有することが確認できた。
つまり、特徴3は、式4で説明できることが確認できた。
式4は、この現象を十分に表していると考えられる。
図12に戻り、現像ローディング効果を補正するためには、現像ローディングにより上昇した解像閾値D’thに基づいて、入射ドーズ量を補正すればよい。
現像ローディング効果を補正するためには、図12(A)のW0と、図12(C)のWが等しくなればよい。この場合、以下の式が成り立つ必要がある。
なお、補正式1が妥当であることは、図8等を参照して説明した通りである。
図16は、現像ローディングによって、現像液の濃度が変化する態様を説明する図である。
パターン密度(面積密度、周辺長密度)が高い領域では、レジストと現像液との反応により、現像液中の現像成分の濃度は低くなる。反対に、パターン密度が低い領域では、現像液中の現像成分の濃度は高い。
このように、不均一なパターン密度によって、現像成分濃度が不均一になると、拡散現象によって現像成分の濃度分布は、時間と共に平衡状態に近づこうとする。すなわち、パターン密度が低い領域の高濃度の現像液から、時間経過に応じて、周辺のパターン密度が高い領域に現像成分が流出していくため、パターン密度が低い領域の現像液も薄まってしまう。
拡散方程式の解は、時間と空間の関数n(x,y,t)となる。
ある時間t=t1における空間的濃度分布n(x,y,t1)は、時間の初期値t=0における空間的濃度分布n0=n(x,y,0)及びある種のガウス関数の畳み込み積分によって、求められることが知られている。
また、モデル式1にガウス関数を適用した効果は、図8等を参照して説明した通りである。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態以降は、計算機の処理に関する構成を、第1実施形態から変更したものである。第2実施形態以降は、主に、計算機の処理に関する部分を説明し、他の構成については、重複する説明を適宜省略する。
影響範囲σd1,σd2は、式24のパラメータフィッティングによって、ζ1、ζ2とともに算出することができる(図2、図5のS42参照)。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、現像ローディングの2つ影響のうち、面積密度、周辺長密度の一方のみを補正するようにした。
図17は、現像ローディングの影響のうち面積密度のみを補正する例である。
このため、補正マップを作成する場合に、設計パターンの面積密度マップを作成し、以下のモデル式31aを用いる(図2、図7のS51〜S53参照)
図18は、現像ローディングの影響のうち周辺長密度のみを補正する例である。
このため、補正マップを作成する場合に、設計パターンの周辺長密度マップを作成し、以下のモデル式31bを用いる(図2、図7のS51〜S53参照)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図19は、第4実施形態の補正マップの作成方法を説明する図である。
本実施形態では、面積密度マップ、周辺長密度マップを作成し(図2、図7のS51参照)、その後、表面積密度マップを作成する。
表面積密度マップは、パターン密度である面積密度、周辺長密度の両方を含む表面積密度s(x,y)の分布を示すマップである。例えば、表面積密度s(x,y)は、以下の式で表すことができる。
そして、補正式41を適用して、補正マップを作成する(図2、図7のS53参照)。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、前述した第2から第4実施形態を、より一般化した形態である。
第2実施形態の式24を一般化すると、以下の式24−2で表すことができる。
この場合、補正式21−2は、以下の式で表すことができる。
hbase:現像ローディングの補正を適用する場合の基準周辺長密度
「gbase=0」であれば、パターン無し基準であり、現像ローディングが全く入っていない状態が基準である。
「gbase=1」であれば、ベタ基準であり、パターン面積に起因した現像ローディング効果が完全に入っている状態が基準である。
「hbase=0」であれば、パターン無しかベタが基準であり、パターン周辺長に起因した現像ローディング効果が全く入っていない状態が基準である。「hbase≠0」であれば、パターン周辺長に起因した現像ローディング効果が何らか存在する状態が基準である。
なお、補正式22−2において、「gbase=0、hbase=0」として、fd1(x,y)及びfd2(x,y)をガウス関数にすれば、第1実施形態の補正式(説明は省略した)と同様になる。
(1)実施形態において、パターン描画の補正は、現像ローディングのみである例を示したが、これに限定されない。パターン描画の補正は、現像ローディングの補正と、他の補正とを組み合わせてもよい。他の補正としては、例えば、PEC、フォギング効果補正、エッチング等によるプロセスバイアスに対する補正等を適用できる。
これは、ネガティブ・トーン・レジストを用いた場合も同様であり、ζ1やζ2の値を何ら限定するものではない。
また、フォトマスク作製以外の荷電粒子描画技術の使用に対しても、本発明は適用可能である。例えば半導体デバイスの製造工程において、荷電粒子描画技術を用いてウェハ上にレジストパターンを直接形成する場合(ダイレクト描画)にも適用できる。
10 描画装置
20 計算機
25 記憶部
25c 補正プログラム
25 制御部
Claims (11)
- パターン描画における現像ローディングの補正係数を算出するコンピュータの現像ローディング補正プログラムであって、
前記コンピュータを、
パターン描画における現像ローディングの補正値に関連するドーズ量補正係数を算出し、ドーズ量補正係数の分布であるドーズ量補正分布を作成する制御手段として機能させ、
前記ドーズ量補正係数は、
パターン周辺長密度に関するパラメータである周辺長密度パラメータと、パターン周辺長密度を表す周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分とを含む式で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項1に記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記ドーズ量補正係数は、
基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用し、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用し、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
の比で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記ドーズ量補正係数は、
前記周辺長密度パラメータと前記周辺長密度関数とに加えて、パターン面積密度に関するパラメータである面積密度パラメータと、パターン面積密度を表す面積密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分とを含む式で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項3に記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記制御手段を、
前記ドーズ量補正係数は、
基準面積密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記面積密度パラメータを適用した値と、基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用した値と、基準解像閾値ドーズ量とを加算した値に依存する値と、 前記面積密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記面積密度パラメータを適用した値と、前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用した値と、前記基準解像閾値ドーズ量とを加算した値に依存する値と、
の比で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項3に記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記ドーズ量補正係数は、
基準面積密度値及び基準周辺長密度値及び面積密度パラメータ及び周辺長密度パラメータから求められる基準表面積密度値と釣鐘型の関数の無限平面積分値との積に、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
前記面積密度関数及び前記周辺長密度関数及び面積密度パラメータ及び周辺長密度パラメータに依存する表面積密度関数と釣鐘型の関数との畳み込み積分に、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
の比で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項4に記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記周辺長密度パラメータの1つであり、パターン周辺長密度が周囲に現像ローディングを及ぼす際の影響の広範さを表す周辺長密度影響範囲と、
前記面積密度パラメータの1つであり、パターン面積密度が周囲に現像ローディングを及ぼす際の影響の広範さを表す面積密度影響範囲と、
を共通で用いること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
前記釣鐘型の関数は、ガウス関数であること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - 請求項3から請求項6のいずれかに記載の現像ローディング補正プログラムにおいて、
この現像ローディング補正プログラムは、
パターン周辺長密度やパターン面積密度が異なる複数の評価パターンのパターン寸法の計測結果を用いて、パターン描画における現像ローディングの補正係数を算出するものであり、
前記制御手段を、
描画した前記評価パターンの複数位置のパターンエッジにおける蓄積ドーズ量を、近接効果を適用して算出し、
前記算出した蓄積ドーズ量を複数位置において算出式に適用して、前記周辺長密度パラメータ及び前記面積密度パラメータを算出するように機能させ、
前記算出式は、
前記算出した複数位置の蓄積ドーズ量に依存する値と、
前記周辺長密度パラメータ及び前記面積密度パラメータを用いて求めた現像ローディングにより変化した解像閾値ドーズ量、
が等しくなる式で表させること、
を特徴とする現像ローディング補正プログラム。 - パターン描画における現像ローディングの補正値に関連するドーズ量補正係数を算出し、ドーズ量補正係数の分布であるドーズ量補正分布を作成するドーズ量補正分布作成工程を備え、
前記ドーズ量補正係数は、
パターン周辺長密度に関するパラメータである周辺長密度パラメータと、パターン周辺長密度を表す関数である周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分とを含む式で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正方法。 - 請求項9に記載の現像ローディング補正方法において、
前記ドーズ量補正係数は、
基準周辺長密度値及び釣鐘型の関数の無限平面積分値の積に前記周辺長密度パラメータを適用し、基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
前記周辺長密度関数及び釣鐘型の関数の畳み込み積分に前記周辺長密度パラメータを適用し、前記基準解像閾値ドーズ量を加算した値に依存する値と、
の比で表せること、
を特徴とする現像ローディング補正方法。 - 請求項9又は請求項10に記載の現像ローディング補正方法において、
前記ドーズ量補正分布作成工程で作成した前記ドーズ量補正分布を描画装置に適用し、前記ドーズ量補正分布を反映してパターン描画する描画工程を備えること、
を特徴とする現像ローディング補正方法。
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