JP5024226B2 - 酸化物焼結体およびその製造方法、スパッタリングターゲット、半導体薄膜 - Google Patents

酸化物焼結体およびその製造方法、スパッタリングターゲット、半導体薄膜 Download PDF

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本発明は、透明電極や透明半導体として用いられる酸化亜鉛、酸化スズの化合物をスパッタリング法で形成する際のスパッタリングターゲット等に用いられる酸化物焼結体、およびその製造方法に関する。また、このスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法によって成膜された半導体薄膜に関する。
液晶ディスプレイや太陽電池等には、導電性でかつ光に対して透明なIn−SnO(ITO)電極が用いられている。こうした透明電極の成膜は主にDCスパッタリング法によって行われ、その際に用いられるスパッタリングターゲットはこの材料からなる大型の焼結体とされる。しかしながら、ITO電極の原料として用いられるインジウム(In)は高価であるため、そのスパッタリングターゲットも高価になるため。従って、これに代わる材料として、酸化亜鉛(ZnO)や酸化スズ(SnO)の混合物(Zinc−Tin−Oxide:ZTO)を用いたものが検討されている。この際、この材料からなる焼結体に対しては、スパッタリングの際に異常放電やスパッタリングターゲットのクラックが発生しないことが要求される。このため、例えば、特許文献1には、ZTO透明電極を成膜する際のスパッタリングターゲットとして、SnとZnとの混合比率をSn/(Zn+Sn)を原子数比で0.23〜0.50の範囲とし、かつ焼結後にSnO相を含まない焼結体を用いれば、こうした問題が発生せず、ZTO電極を良好に成膜できることが記載されている。特に、成膜速度が大きく、安価なDCスパッタリング法によって、安価な透明電極を得ることができる。この焼結体を製造するに際しては、1300〜1500℃で15時間以上の焼結工程を行う。この製造方法によって製造された焼結体においては、ZnSnO相とZnO相が形成されることが示された。
一方、ZnO、SnOは共に半導体であるため、ZTOは、透明電極としてだけでなく、酸化物半導体として使用することもできる。特に、ZTOスパッタターゲットを用いて実用的な移動度をもつ半導体であるZnSnO薄膜を室温で成膜することができ、これを例えば有機フィルム上に形成して薄膜トランジスタ(TFT)の材料として用いることができる。この場合には、前記の透明電極の場合と異なり、スパッタリングターゲットの導電率が高くならないため、成膜は、DCスパッタリング法よりRFスパッタリング法によって行われることが多い。
特開2007−277075号公報
しかしながら、特に半導体としてZTO薄膜を形成する際のスパッタリングターゲットとして用いる際の焼結体、すなわち、導電率が低く、RFスパッタリングを前提としたスパッタリングターゲットの最適条件については従来報告が無かった。
また、この焼結体は蒸気圧の高いZnとSnを主成分とするために、焼成中にこれらの成分が蒸発することがある。特に、特許文献1に記載のように、焼結性を高めるために高温で長時間の焼成を行う場合、これらの成分は蒸発しやすい。従って、長時間の焼成によって焼結性は高まるが、その間にZnやSnが蒸発した部分には空孔が発生し、その組成比も元の値からずれることになる。また、長時間の焼成により焼結体中の結晶粒径が粗大となる。よって、焼結体密度が低く、かつ結晶粒が粗大化しているため焼結体の機械的強度は低い。このため、例えばこの焼結体をパッキングプレートにボンディングする際に破損することがある。また、機械的強度が小さいためにスパッタリング中に温度が上昇して焼結体が破損することもある。この状況は半導体薄膜をスパッタリング法によって成膜する場合だけでなく、透明電極をスパッタリング法によって成膜する場合についても同様である。
従って、スパッタリングターゲットとして用いた場合にも破損を生じにくい、緻密なZTO焼結体を得ることは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、ZnとSnの酸化物からなる酸化物焼結体の製造方法であって、BET比表面積が1〜20m/gであるZnO粉末とBET比表面積が1〜20m/gであるSnO粉末とを配合比率がZn/(Zn+Sn)原子数比で0.3〜0.95の範囲で配合し、非還元性雰囲気中で900〜1100℃の範囲の温度で焼成した仮焼粉体を粉末化することで、BET比表面積が1〜20m/gの仮焼粉末を製造する仮焼粉末製造工程と、前記仮焼粉末に、B、Al、Si、Ga、In、Cuのうちいずれか1種からなる添加物元素の酸化物粉末を配合して、造粒・成形した成形体を、非還元性雰囲気中で1300〜1600℃の範囲の温度で1〜10時間の焼成時間で焼成して酸化物焼結体を得る本焼成工程とからなることを特徴とする酸化物焼結体の製造方法に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記本焼成工程において、前記仮焼粉末にさらにZnO粉末を混合して、造粒・成形して前記成形体を得ることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体の製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項1又は2に記載の酸化物焼結体の製造方法によって製造されたことを特徴とする酸化物焼結体に存する。
請求項記載の発明の要旨は、ZnSnO相が含まれることを特徴とする請求項に記載の酸化物焼結体に存する。
請求項記載の発明の要旨は、ZnSnO相とSnO相とからなることを特徴とする請求項又はに記載の酸化物焼結体に存する。
請求項記載の発明の要旨は、ZnSnO相の平均結晶粒径が1〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項又はに記載の酸化物焼結体に存する。
請求項記載の発明の要旨は、相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の酸化物焼結体に存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項から請求項までのいずれか1項に記載の酸化物焼結体からなることを特徴とするスパッタリングターゲットに存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法によって成膜されたことを特徴とする半導体薄膜に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、常温でのキャリア密度が1021cm−3未満であることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜に存する。
本発明は以上のように構成されているので、スパッタリングターゲットとして用いた場合にも破損を生じにくい、緻密なZTO焼結体を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の実施の形態に係る酸化物焼結体は、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)と酸素からなる焼結体である。この焼結体は、酸化亜鉛(ZnO)粉末とSnO(酸化スズ)粉末とを原料として製造される。ここで、特許文献1に記載の方法のように、ZnO粉末とSnO粉末とを直接配合して焼結するのではなく、これらを配合して低い温度で焼成(仮焼成)して仮焼粉末を生成し、その後にこの仮焼粉末を成形、焼成してZTO焼結体とする。この仮焼粉末にはZnOとSnOとの反応によって生じたZnSnO相が含まれる。
この製造方法の概要を図1に示す。この製造方法は、主に仮焼粉末製造工程と本焼成工程とからなる。
仮焼粉末製造工程では、まず、ZnO粉末とSnO粉末とが配合、造粒されてから大気中で焼成(仮焼成)されて仮焼粉体が得られる。次に、この仮焼粉体が所望の粒度に再度粉末化され、仮焼粉末が製造される。この仮焼粉体中には、ZnOとSnOとの複合化合物である、ZnSnOが形成されている。従って、仮焼粉末中にもZnSnOが形成されている。
ここで用いられるZnO粉末のBET比表面積は1〜20m/gの範囲であることが好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
SnO粉末のBET比表面積は1〜20m/gの範囲であることが好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
ここで、原子数の比Zn/(Zn+Sn)が0.3〜0.95の間であることが好ましい。この比が0.3よりも小さいか、あるいは、0.95より大きいと、キャリア密度が1021cm−3以上となり、半導体とはならない。
この比率でZnO粉末とSnO粉末を配合した後の粉末をボールミルで混合し、造粒後、900〜1100℃の温度で焼成(仮焼成)し、仮焼粉体を製造する。この温度は前記の特許文献1に記載された製造方法よりも低い。
この仮焼成の雰囲気は非還元性雰囲気が好ましく、大気中、あるいは酸素雰囲気中が好ましい。仮焼粉体中では、ZnO粒とSnO粒との固相反応によって、ZnSnOが形成される。仮焼成の時間は、1〜10時間の範囲であることが好ましい。仮焼粉体中では、焼結によって粒子が結合している。これが再びボールミル等の機械的処理によって粉砕され、所望の粒度(粒径)とされて仮焼粉末とされる。仮焼粉末のBET比表面積は1〜20m/gの範囲とすることが好ましい。なお、BET比表面積を調整できる方法であれば、ボールミル以外の方法、例えば振動ミル等の方法を同様に用いることもできる。仮焼粉体が良好な微粉状態となっている場合にはこの再粉末化は不要である。この仮焼粉体の状態は、ZnO粉末/SnO粉末比率(あるいはZn/(Zn+Sn))に依存する。仮焼粉末においてはZnOとSnOとの反応によってZnSnOが形成される。
なお、各粉末のBET比表面積は、BET法によって求めた単位質量当たりの表面積で、JISR1626に記載された方法によって求めた。
その後、この仮焼粉末を再び造粒、成形して成形体を作成し、本焼成工程を行う。本焼成工程では、この成形体が非還元性雰囲気中、例えば、大気中や酸素雰囲気中、あるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で焼成(本焼成)されて酸化物焼結体が作製される。ここではこの形状は所望の形状、例えばスパッタリングターゲットの形状に成形される。
本焼成工程における仮焼粉末の配合においては、バインダーとして例えばポリビニルアルコールを1重量%添加して、ボールミル等で混合を行うことが好ましい。こうして作製したスラリーが乾燥造粒され、プレス等の方法により所望の形状に成形される。成形体の形状、大きさは任意であり、大面積の液晶ディスプレイの透明電極や薄膜トランジスタ用のターゲットとして、その大きさが例えば127mm×381mm×5mm以上の板状のものを作製することができる。この成形体を、1300〜1600℃の範囲の温度で焼成(本焼成)することにより、酸化物焼結体を得る。本焼成の時間は1〜10時間とすることが好ましい。
この製造方法においては、仮焼粉末製造工程において仮焼粉体中でZnSnOが本焼成工程よりも低い温度で形成される。その後、仮焼粉体は粉砕されて仮焼粉末となり、所望の大きさ(BET比表面積)とされる。
本焼成工程においては、この仮焼粉末が、仮焼粉末製造工程よりも高い温度である1300〜1600℃で焼成される。前記の通り、この際には蒸気圧の高いZnやSnは蒸発することがあるが、Zn、SnのZnSnOからの蒸気圧は、同じ温度におけるZnのZnOからの蒸気圧、SnのSnOからの蒸気圧と比べて低い。従って、本焼成工程における温度を1300〜1600℃とした場合でも、ZnO粉末とSnO粉末を直接配合して同じ温度で焼成した場合と比べて、Zn、Snの蒸発は抑制される。一方、ZnSnOを含む仮焼粉末の粒子間の焼結はこの温度で進むため、緻密な焼結体を得ることができる。従って、特許文献1に記載の製造方法においては同じ温度で15時間以上の焼成時間が必要であったのに対し、この製造方法では10時間以下の焼成時間でも焼結が充分に進む。このため、Zn、Snの蒸発を更に抑制することができる。
なお、図2に示すように、ZnO粉末を本焼成工程において再度仮焼粉末に混合して上記と同様に成形、焼成してもよい。この場合にも、上記と同様に、予めZnSnOが形成されているため、同様に緻密な焼結体を得ることができる。
組成比Zn/(Zn+Sn)=0.33として、この製造方法で製造された焼結体の断面を鏡面研磨し、電子顕微鏡で撮影した写真が図3(a)である。SEM(走査電子顕微鏡)−EDX(エネルギー分散型X線分析)による分析の結果、図3において濃い灰色の部分1はZnSnO相であり、薄い灰色の部分2はSnO相であった。また、黒色箇所3は空孔である。また、この焼結体の密度は6.25g/cmであり、これは同組成のバルク組成物の理論密度の90%以上の値である。
また、組成比Zn/(Zn+Sn)=0.67とした場合の同様の写真が図3(b)である。この場合には、全体がZnSnOの単相となっているが、やはり同様に緻密な構造の焼結体となっている。
また、この焼結体のX線回折結果を図4中の(a)に示す。ここで、(b)はZnSnOのX線回折結果であり、(c)はSnOの回折結果である。この焼結体においては、(b)と(c)で確認されるものと同じピークが確認されるため、SnOとZnSnOが形成されていることが確認できる。
この結果より、この製造方法によって製造されたZTO焼結体は、ZnSnO相1とSnO相2で構成されることが確認できる。
Zn/(Zn+Sn)=0.5とした場合に、仮焼粉末製造工程を行わず、ZnO粉末とSnO粉末とを配合して直接本焼成工程を行った場合と、仮焼温度1000℃、1時間とした仮焼粉末製造工程を行った場合に得られた焼結体の密度(相対密度)の本焼成温度依存性を調べた結果が図5である。どちらの場合も本焼成温度を高めるに従って密度は増加するが、仮焼粉末製造工程を行うことにより、相対密度を90%以上とすることができ、緻密な焼結体が得られる。
上記の通り、この焼結体は空孔が少なく緻密な構造を具備するため、機械的強度が特に高くなる。従って、この焼結体からなるスパッタリングターゲットをバッキングプレートに溶融金属等を用いてボンディングする際にも、クラックを生じにくい。また、これを用いてRFスパッタリングを行いZTO薄膜を成膜する際にも、発熱によるクラックが生じにくい。
なお、ZTOに対するドーパントとして、B、Al、Si、Ga、In、Cu等を0.5〜2wt%程度添加することもできる。この場合には、この粉末を本焼成工程において所望の添加量だけ配合すればよい。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
まず、図1に示した製造方法によって、仮焼粉末製造工程におけるZn/(Zn+Sn)比を0.3〜0.95、ZnO粉末のBET値を1〜20m/g、SnO粉末のBET値を1〜20m/g、仮焼成温度を900〜1100℃、仮焼粉末のBET値を1〜20m/g、本焼成工程における本焼成温度を1300〜1600℃、本焼成時間を1〜10時間の範囲内とした実施例1〜22について、得られた焼結体の特性を調べた。仮焼成及び本焼成の雰囲気は、非還元雰囲気である大気中、酸素中、Ar中、窒素中とした。
この実施例においては、各所定のBET比表面積をもつZnO粉末およびSnO粉末とが各所定の重量混合比率で配合され、ボールミルで20時間混合、乾燥され、混合粉を得られた。この混合粉末に対して大気中で各所定の仮焼成温度で焼成が行われ、仮焼粉体が得られた。この仮焼粉体に対して、上記と同様にボールミルで処理が行われ、各所定のBET比表面積をもった仮焼粉末が得られた。この仮焼粉末にポリビニルアルコールが1wt%添加され、造粒後、成形圧力1ton/cmにて一軸加圧成形後、成形圧力3tonにてCIP成形が行われ、φ180mm×7mmの成形体とされた。この成形体を大気中600℃で1時間脱脂後、大気中で所定の温度で本焼成が行われ、酸化物焼結体が得られた。なお、上記の各粉末のBET比表面積は、BET比表面積測定装置(マックソーブ(モデル1201):マウンテック(株)製)によって測定された。
ここで、焼結体の特性として、相対密度とZnSnO粒子の平均粒径を調べた。焼結体の密度は水中置換法によって測定された。また、各焼結体の断面を鏡面研磨し、電子顕微鏡写真を撮影し、EDX分析を行うことにより、その各部の組成を確認し、ZnSnO相からなる粒子の平均結晶粒径を算出した。また、この酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとしてスパッタリング装置にセットし、スパッタ(スパッタ方式:RFスパッタ、スパッタガス:Ar 10sccm、O:2sccm、ガス圧:0.5Pa、成膜パワー:50W、設定膜厚:20nm)によって酸化物薄膜の成膜をガラス基板上に行った。この際のクラックの発生の有無を調べた。更に、これによって成膜された薄膜のキャリア密度をホール測定によって測定した。また、仮焼粉末製造工程を行わない比較例1〜4、仮焼粉末製造工程におけるZn/(Zn+Sn)比が小さい比較例5、ZnO粉末及びSnO2粉末のBET値が小さい比較例6、これらが大きい比較例7、仮焼成温度が低い比較例8、これが高い比較例9、本焼成温度が低い比較例10、これが高い比較例11、本焼成時間が短い比較例12、これが長い比較例13も同様に製造し、同様に評価を行った。以上の結果を表1に示す。なお、表1中、実施例の焼結体にはZnSnO相が含まれ、中でも実施例1〜4、9〜15、18〜22の焼結体はZnSnO相とSnO相からなっていた。
この結果より、全ての実施例において、90%以上の高い相対密度の焼結体が得られ、スパッタリングのクラックが発生しないことが確認された。また、これによって得られた薄膜のキャリア密度が1021cm−3未満となることも確認された。この際の焼結体におけるZnSnO相の平均結晶粒径は1〜10μmの範囲内であった。
一方、仮焼粉末製造工程を行っていない比較例1〜4、ZnO粉末、SnO2粉末のBET値が上記の範囲外である比較例6、7、仮焼成温度が上記の範囲外である比較例8、9、本焼成温度が低い比較例10ではクラックが発生した。また、Zn比が小さな比較例5では得られた薄膜のキャリア密度が大きくなった。本焼成温度が高い比較例11、本焼成時間が長い比較例13では、本焼成工程における焼結が困難であり、本焼成時間が短い比較例12では焼結はできたものの、その密度が低かった。
次に、実施例23〜26として、図2に示したように、ZnO粉末を本焼成工程においても混合して同様に焼結体を製造した。ここでは、本焼成工程において、Zn/(Zn+Sn)比を0.7〜0.95の範囲としている。この場合においても、90%以上の高い相対密度の焼結体が得られ、スパッタリングのクラックが発生しないことが確認された。また、これによって得られた薄膜のキャリア密度が1021cm−3となることも確認された。この際の焼結体におけるZnSnO相の平均結晶粒径も1〜10μmの範囲内であった。
また、この焼結体に対して、ZnとSn以外の添加物元素を添加した例として、Al、Si、Ga、In、Cuを添加した実施例27〜38についての同様の結果を表3に示す。この場合においても、前記の実施例と同様に、90%以上の高い相対密度の焼結体が得られ、スパッタリングのクラックが発生しないことが確認された。また、これによって得られた薄膜のキャリア密度が1021cm−3となることも確認された。この際の焼結体におけるZnSnO相の平均結晶粒径も1〜10μmの範囲内であった。
本発明の実施の形態となる酸化物焼結体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の実施の形態となる酸化物焼結体の製造方法の他の一例を示す工程図である。 本発明の実施の形態となる酸化物焼結体の製造方法によって製造された組成の異なる2種類の酸化物焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態となる酸化物焼結体の製造方法によって製造された酸化物焼結体のX線回折の測定結果である。 本発明の実施の形態となる酸化物焼結体及び仮焼粉末製造工程を用いずに製造した酸化物焼結体の相対密度の本焼成温度依存性を測定した結果である。
符号の説明
1 ZnSnO
2 SnO
3 空孔

Claims (10)

  1. ZnとSnの酸化物からなる酸化物焼結体の製造方法であって、
    BET比表面積が1〜20m/gであるZnO粉末とBET比表面積が1〜20m/gであるSnO粉末とを配合比率がZn/(Zn+Sn)原子数比で0.3〜0.95の範囲で配合し、非還元性雰囲気中で900〜1100℃の範囲の温度で焼成した仮焼粉体を粉末化することで、BET比表面積が1〜20m/gの仮焼粉末を製造する仮焼粉末製造工程と、
    前記仮焼粉末に、B、Al、Si、Ga、In、Cuのうちいずれか1種からなる添加物元素の酸化物粉末を配合して、造粒・成形した成形体を、非還元性雰囲気中で1300〜1600℃の範囲の温度で1〜10時間の焼成時間で焼成して酸化物焼結体を得る本焼成工程とからなることを特徴とする酸化物焼結体の製造方法。
  2. 前記本焼成工程において、前記仮焼粉末にさらにZnO粉末を混合して、造粒・成形して前記成形体を得ることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の酸化物焼結体の製造方法によって製造されたことを特徴とする酸化物焼結体。
  4. ZnSnO相が含まれることを特徴とする請求項に記載の酸化物焼結体。
  5. ZnSnO相とSnO相とからなることを特徴とする請求項又はに記載の酸化物焼結体。
  6. ZnSnO相の平均結晶粒径が1〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項又はに記載の酸化物焼結体。
  7. 相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の酸化物焼結体。
  8. 請求項から請求項までのいずれか1項に記載の酸化物焼結体からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  9. 請求項に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法によって成膜されたことを特徴とする半導体薄膜。
  10. 常温でのキャリア密度が1021cm−3未満であることを特徴とする請求項に記載の半導体薄膜。
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