JP5720726B2 - 酸化亜鉛焼結体およびその製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明電極材料となる酸化亜鉛をスパッタリング法で形成する際のスパッタリングターゲット等に用いられる酸化亜鉛焼結体、およびその製造方法に関する。
液晶ディスプレイや太陽電池等には、導電性でかつ光に対して透明な電極(透明電極)が用いられている。こうした性質をもつ材料としては、例えば、In−SnO(ITO)、ZnO−B(BZO)、ZnO−Al(AZO)等の酸化物材料が知られている。こうした材料は、スパッタリング法によって液晶ディスプレイや太陽電池上に薄膜として形成された後に、電極としてパターニングされ、透明電極となる。スパッタリング法においては、スパッタリング装置中で、薄膜を形成すべき基板(この場合は液晶ディスプレイ等)とスパッタリングターゲット(以下、ターゲットということがある)とを対向させて配置する。これらの間でガス放電を発生させ、このガス放電によって発生したイオンがターゲットの表面にぶつかり、その衝撃によって放出された原子(粒子)を対向する基板に付着させて薄膜を形成する。このターゲットは薄膜(透明電極)となる材料で形成され、透明電極の特性はこのターゲットの特性を反映する。また、一般にターゲットは非常に高価であり、その価格が液晶ディスプレイや太陽電池の製造コストに占める割合は大きい。このため、液晶ディスプレイや太陽電池の低コスト化のためには、ターゲットが安価であることも要求される。
ITOは、スズ(Sn)ドープされた酸化インジウム(In)であり、これを用いた場合、光の透過率が85%以上、比抵抗値は1.0×10−4Ω・cm程度の透明電極が得られており、その特性は液晶ディスプレイや太陽電池に用いるには充分である。しかしながら、その原料の主成分となるインジウム(In)が高価であるため、ターゲットが高価であった。特に、大面積の液晶ディスプレイや太陽電池用の透明電極を形成する場合には、ターゲットも同程度の大面積のものが必要になるため、これらが高コストとなる原因となっていた。このため、より低価格な材料からなり、同等の特性をもつ透明電極が望まれた。
BZOやAZOは、半導体である酸化亜鉛(ZnO)にn型の導電性添加物であるホウ素(B)やアルミニウム(Al)が添加された材料であり、安価な亜鉛を主成分とするため、低価格という点ではITOよりも優れている。これらの材料のスパッタリングターゲットとしては、容易に大面積のものを得ることができるため、焼結体が広く用いられている。BZOやAZOの焼結体は、原材料の粉末を配合、成形後に1000℃以上の高温で焼結することによって得られる。原材料の粉末としては、主成分となるZnO粉末と、添加成分となるB粉末またはAl粉末が用いられる。同様に、Gaが添加された酸化亜鉛系材料として、ZnO−Ga(GZO)等も知られる。
しかしながら、実際にこれらのターゲットを用いて比抵抗の低いBZOやAZOの透明電極を安定して得ることは困難であり、その比抵抗はITOと比べると高くなった。これは主に、これらのスパッタリング時には、スパッタリング装置内で異常放電が多発することに起因する。すなわち、BZOやAZOのスパッタリング時には異常放電が多発するために安定した成膜が困難であった。この異常放電は、ターゲットが不均一で局所的に比抵抗の異なる部分が存在し、ターゲットを含む放電系のインピーダンスがスパッタリング中に変動することに起因して発生した。この局所的に比抵抗が異なる部分となっていたのは、析出物や空孔であった。従って、これらの個々のサイズや数密度を小さくすることが異常放電の抑制には効果的であり、この抑制をするための製造方法が検討された。空孔や析出物は、ZnO粉末成分のみを焼結する場合には発生せず、膜に導電性をもたせるためにBやAlが添加された焼結体において顕著であった。こうした点を考慮して、均一で緻密な焼結体を得ることのできるBZOやAZOの焼結体の製造方法が提案された。
BZOの焼結体においては、Bの融点(450℃)が、主成分であるZnOの焼結に必要な温度である1100℃以上と比べて大幅に低いため、焼成の際にBの溶融や蒸発が発生する。このため、焼結体中でB相の偏析や蒸発が起こるために空孔が発生した。このため、特許文献1、特許文献2には、この点を改善した焼結体の製造方法が記載されている。これらにおいては、まず、BとZnO粉末あるいはさらにこれにAlやGa等を加えて配合し、900℃以下の低温で仮焼成した仮焼粉末を形成する。この仮焼粉末とZnO粉末とを新たに配合して、大気中で高温で焼結することによりBZO焼結体を形成した。この仮焼粉末ではBとZn、あるいはさらにこれにAlやGa等が加わった複合化合物が形成される。この複合化合物の融点はBの融点よりも高くなるため、これを用いて局所的な溶融や蒸発を減少させることができ、緻密な焼結体を得ることができた。この焼結体をターゲットに用いることにより、異常放電を抑制し、比抵抗が低いBZOの透明電極を得ることができた。
AZOの焼結体を製造する場合の問題点は、Alの添加によって、主成分であるZnO自身の焼結性が阻害されることである。このため、Alの添加量を多くした場合には緻密な焼結体が得られず、異常放電の原因となる不均質が生じた。これに対して特許文献3には、この製造条件を最適化することにより不均質を改善できることが記載されている。ここでは、Al粉末の二次凝集径を小さくすれば、焼結粒径を小さくすることができた。これによってZnO自身の焼結性が改善され、緻密な焼結体を得ることができた。この焼結体をターゲットに用いることにより、異常放電を抑制し、比抵抗が低い透明電極を得ることができた。
また、一方で、こうした酸化亜鉛系の導電膜(透明電極)は、一般に耐熱性や空気中での耐湿性が低い。すなわち、熱や湿度により、抵抗率が時間と共に上昇することがある。これに対して、特許文献4、5には、GaやSiが所定量添加された酸化亜鉛系スパッタリングターゲットが記載されている。こうした元素が添加されたことによって、耐熱性・耐湿性が改善された透明膜を得ることができた。
特開平11−302835 特開2004−175616 特開平7−258836 特開平7−3443 特開平8−111123
しかしながら、これらの方法によってBZOやAZOの焼結体を製造した場合においても、その緻密性は充分ではなかった。
が添加された仮焼粉末を用いてBZOを焼成する方法を用いた場合、仮焼粉末において形成されたBを含む複合化合物の融点は、B自身の融点(450℃)よりは高くなっているものの、緻密なZnO相を得るための焼成温度である1100℃以上と比べると低い。このため、この仮焼粉末を配合してこの温度で焼成を行なうと、やはり仮焼粉末成分が溶融したり、蒸発することがあった。このため、仮焼粉末を用いずB粉末を直接配合する場合と比べて改善されているものの、やはり偏析や空孔が生じることがあった。焼成を低温で行えばこうした問題は発生しないが、その場合にはZnOの粒成長が充分に行われないため、やはり緻密なZnO相を得ることができない。従って、融点が低いBを添加する場合には、仮焼粉末を用いる場合でも、緻密で均質な焼結体を得ることは困難であった。
を含まず、Alのみを添加するAZOの場合には、Alの融点はZnOと同等の2000℃程度であるため、部分的な溶融や蒸発を生ずることはない。また、Bを含まず、Gaのみを添加するGZOの場合にも、Gaの融点はZnOに近い1740℃程度であるため、部分的な溶融や蒸発を生ずることはない。しかしながら、これらをターゲットに用いた場合でも、異常放電は充分に低減されておらず、充分に低い抵抗値をもつAZOの透明電極は得られていなかった。すなわち、これらの材料においても、Bの場合とは異なる原因により、その内部に空孔を有しており、緻密さという点ではまだ充分なものではなかった。
従って、スパッタリングターゲットとして用いた場合に、異常放電を発生せず、比抵抗の小さな透明電極を得ることができる程度に緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることは困難であった。
また、酸化亜鉛にGaやSiが含まれる焼結体を用いたスパッタリングターゲットで成膜された透明電極では耐熱性・耐湿性(耐候性)は改善されるものの、耐候性と低抵抗性を両立させた透明電極という要請に対しては充分なものでなく、また、異常放電の少ないターゲットという要請に対しても充分なものではなかった。これに対しては、上記と同様にAl等を添加し、2種類以上の添加物を用いることが有効であるが、この場合にも上記と同様にその成膜時に、異常放電が発生するという問題があった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、ZnOにAl、Ga、In、Ti、Si、Ge、Snのうち少なくともAlを含む1種以上の添加物元素を含有する酸化亜鉛焼結体であって、前記添加物元素及び亜鉛の複合酸化物相として少なくともZnAl を含む析出物、および該析出物の周辺に形成された空孔をそれぞれ複数有し、前記析出物のうち、その円相当径が3μm以上である析出物の割合が20%以下であり、前記空孔のうち、その円相当径が3μm以上である空孔の割合が50%以下であることを特徴とする酸化亜鉛焼結体に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、密度が5.50g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛焼結体に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、スパッタリングターゲットに用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化亜鉛焼結体に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法であって、Al、Ga、In、Ti、Si、Ge、Snのうち少なくともAlを含む1種以上の添加物元素の酸化物であって少なくともα−アルミナ型のAl を含む酸化物粉末と第1のZnO粉末とを配合し、900〜1300℃の範囲の温度で焼成してスピネル構造の酸化物を含んでなる仮焼粉末を製造する仮焼粉末製造工程と、前記仮焼粉末と第2のZnO粉末とを配合した本焼成前粉末を成形した成形体を1100〜1600℃の範囲の温度で焼成して酸化亜鉛焼結体を得る本焼成工程とからなることを特徴とする酸化亜鉛焼結体の製造方法に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記酸化物粉末がGa、In、TiO、SiO、GeO、SnOのうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記第1のZnO粉末のBET比表面積が2〜30m/gであることを特徴とする請求項4または5に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記酸化物粉末のBET比表面積が2〜100m/gであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法に存する。
本発明は以上のように構成されているので、緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることができる。これをスパッタリングターゲットに用いて良好な特性の透明電極を得ることができる。
本発明に係る第1の実施の形態の酸化亜鉛焼結体の製造方法を示す工程図である。 従来の製造方法による酸化亜鉛焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明に係る第1の実施の形態の製造方法による酸化亜鉛焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明に係る第2の実施の形態の酸化亜鉛焼結体の製造方法を示す工程図である。 本発明に係る第2の実施の形態の酸化亜鉛焼結体の製造方法の他の一例を示す工程図である。 本発明に係る第2の実施の形態の製造方法による酸化亜鉛焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。 本発明に係る第3の実施の形態の酸化亜鉛焼結体の製造方法を示す工程図である。 本発明に係る第3の実施の形態の製造方法による酸化亜鉛焼結体(Al及びGa添加の場合)をEPMAで分析した結果である。 本発明に係る第2の実施の形態の製造方法による酸化亜鉛焼結体(Al及びGa添加の場合)をEPMAで分析した結果である。 本発明に係る第3の実施の形態の製造方法による酸化亜鉛焼結体(Al及びIn添加の場合)をEPMAで分析した結果である。 本発明に係る第3の実施の形態に係る好ましい酸化亜鉛焼結体の製造方法を示す工程図である。 実施例および比較例における、3μm以上の円相当径をもつ析出物および空孔の割合を示す図である。 3μm以上の円相当径をもつ析出物および空孔の割合の、仮焼成温度依存性を示す図である。 3μm以上の円相当径をもつ析出物および空孔の割合の、本焼成温度依存性を示す図である。 3μm以上の円相当径をもつ析出物および空孔の割合の、第1のZnO粉末/酸化物モル比率依存性を示す図である。 3μm以上の円相当径をもつ析出物および空孔の割合の、本焼成前粉末BET比表面積依存性を示す図である。
発明者は、従来の製造方法によるZnO−Al(AZO)焼結体やZnO−Ga(GZO)焼結体の組織を解析したところ、この焼結体中には、AGOの場合、ZnOとAlの複合化合物相が、GZOの場合、ZnOとGaの複合化合物相が析出しており、空孔はその周辺にのみ形成されていることを知見した。この空孔が発生する原因を調べ、本発明の製造方法によって析出物や空孔の大きさを小さくすることにより、緻密な焼結体を得ることができた。
また、発明者は、従来の製造方法により、AZO焼結体に耐候性を改善する元素としてGaを添加した焼結体を製造し、これを用いてスパッタを行った後のスパッタリングターゲットを解析した。その結果、この焼結体中の複合酸化物のうちZnGa相がZnAl相に較べて優先的に消耗し、そのためにターゲット表面に凸状のノジュールが発生し、これが異常放電の原因となっていることを知見した。そして、この消耗が生じる原因を調べ、本発明の製造方法によってZnGa相とZnAl相とが共存する共存部を焼結体中に形成することにより、ZnGa相の優先的な消耗を防止することができた。これにより、更に異常放電を減少させることができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る酸化亜鉛焼結体の製造方法は、ZnOにAlを添加した酸化亜鉛焼結体の製造方法あって、第1のZnO粉末とAl粉末とを配合して焼成する仮焼粉末製造工程と、これによって得られた仮焼粉末と第2のZnO粉末とを配合、成形して成形体を形成し、これを焼成する本焼成工程とからなる。
本発明の第1の実施の形態に係る酸化亜鉛焼結体の製造方法においては、酸化物粉末(焼結体に対する添加物)として、Al 用いている。ここで、Al粉末とZnO粉末とを配合、成形て焼結体を得るのではなく、まずZnAl含む仮焼粉末を製造し、この仮焼粉末とZnO粉末とを配合、成形、焼成して酸化亜鉛焼結体を形成する。このため、この製造方法は、図1に示すように、仮焼粉末製造工程、本焼成工程からなる。
仮焼粉末製造工程では、まず、第1のZnO粉末とAl粉末を配合、造粒してから大気中で焼成(仮焼成)して仮焼粉体を得る。次に、この仮焼粉体を所望の粒度に再度粉末化して、仮焼粉末を製造する。この仮焼粉体中には、ZnOとAlとの複合化合物であるスピネル構造のZnAl 形成されている。
ここで用いる第1のZnO粉末は、ウルツ鉱構造のZnOよりなり、そのBET比表面積は2〜30m/gが好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
Al粉末は、α−アルミナ型Alよりなり、そのBET比表面積は2〜100m/gが好ましい。ZnAlを形成しやすいという点から、特にα−アルミナ型が好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
また、添加物元素としてGaを用いる場合にはGa粉末はα型、又はβ型Gaであることが好ましい。BET比表面積、純度等はAlの場合と同様である。
第1のZnO粉末とAl粉末との配合比であるZnO/Al モル比は1〜200の範囲が好ましく、特に1〜30が好ましい。配合後の粉末をボールミルで混合し、造粒後、900〜1300℃の温度で焼成(仮焼成)し、仮焼粉体を製造する。
この仮焼成の雰囲気は非還元性雰囲気が好ましく、大気中、あるいは酸素雰囲気中が好ましい。仮焼粉体中では、ZnO粒とAlの固相反応によって、スピネル構造の複合酸化物であるZnAl 形成される。仮焼成の時間は、1〜5時間が好ましい。仮焼粉体中では、焼結によって粒子が結合している。これを再びボールミル等の機械的処理によって粉砕し、所望の粒度(粒径)として仮焼粉末とする。仮焼粉末のBET比表面積は2〜30m/gとすることが好ましい。なお、BET比表面積を調整できる方法であれば、ボールミル以外の方法、例えば振動ミル等の方法を同様に用いることもできる。仮焼粉体が良好な微粉状態となっている場合にはこの再粉末化は不要である。この仮焼粉体の状態は、第1のZnO粉末/酸化物粉末比率に依存する。特にこの比率が大きいとZnO相が多くなり、ZnO相自身の焼結が進んで粒子が大きくなるため、仮焼粉末のBET比表面積を上記の範囲とするにはこの粒度調整が必要となる。
なお、各粉末のBET比表面積は、BET法によって求めた単位質量当たりの表面積で、JISR1626に記載された方法によって求めた。
本焼成工程では、前記の工程で得られた仮焼粉末と第2のZnO粉末とを配合、造粒した後に成形してから非還元性雰囲気中、例えば、大気中や酸素雰囲気中、あるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で焼成(本焼成)して酸化亜鉛焼結体を作製する。ここではこの形状を所望の形状、例えばスパッタリングターゲットの形状に成形する。
第2のZnO粉末としては、第1のZnO粉末と同様に、ウルツ鉱構造のZnOよりなり、BET比表面積が2〜30m/gのものを用いることができる。純度は99.9%以上であることが好ましい。
仮焼粉末と第2のZnO粉末との配合においては、バインダーとして例えばポリビニルアルコールを1重量%添加して、ボールミル等で混合を行うことが好ましい。こうして作製したスラリーを乾燥造粒し、プレス等の方法により所望の形状に成形する。成形体の形状、大きさは任意であり、大面積の液晶ディスプレイの透明電極用のターゲットとして、その大きさが例えば127mm×381mm×5mm以上の板状のものを作製することができる。この成形体を、1100〜1600℃の温度で焼成(本焼成)することにより、酸化亜鉛焼結体を得る。本焼成の時間は、1〜5時間が好ましい。
仮焼粉末と第2のZnO粉末とを前記のとおりに配合・混合する際に、これらが混合した本焼成前粉末の粒度を調整することにより、成形体の焼成(本焼成)の状態を最適化できる。この場合の本焼成前粉末のBET比表面積は1〜20m/gとすることが好ましい。
この製造方法によって大きな空孔や析出物がなく、緻密な酸化亜鉛焼結体が得られる理由を以下に示す。
ZnO粉末とAl粉末とを直接配合し焼結する従来の製造方法により、ZnO粉末(ウルツ鉱構造、BET比表面積5m/g)にAl粉末(α−アルミナ型、BET比表面積11m/g)を98:2の重量比率で配合、成形して1300℃で大気中で焼成してAZO焼結体を製造した。この焼結体の断面を鏡面研磨し、電子顕微鏡で撮影した写真が図2である。SEM(走査電子顕微鏡)−EDX(エネルギー分散型X線分析)による分析の結果、図2において大部分を占める1の部分はウルツ鉱構造のZnO相であり、一様で緻密な構造であった。一方、点在する2の部分はスピネル構造のZnAl相の析出物であり、この周辺に空孔となっている部分3が見られた。また、焼成前に存在したAl成分は確認できなかった。従って、焼成前のAl成分はZnAl相2を形成し、一部はZnO相1中に拡散したと思われる。この焼結体の密度は、5.45g/cmであった。
この結果より、従来の製造方法によるAZO焼結体において、添加されたAlはZnOと反応して複合化合物ZnAlとなっていることが判り、Alの一部はZnO相に拡散してZnOの導電性添加物と思われる。また、空孔はZnAlの析出物の周辺に形成されていることがわかった。なお、従来の製造方法によるGZO焼結体においてもAZO焼結体と同様の組織(ZnGa析出物等)を有していることがわかった。
AZO焼結体においては、焼結の際に充分な粒成長が起これば空孔は発生しないが、この場合には上記の形態で空孔が多く見られた。この空孔3が形成される原因は、その形態から、ZnO粒子とAl粒子との固相反応によりZnAl相が形成される際の体積収縮であると考えられる。ZnOとAlの融点は共に2000℃程度であるため、ZnAlはZnO粒とAl粒との固相反応によって焼成時に形成される。その際に元のZnO粒とAl粒の体積よりも小さくなる、いわゆる体積収縮が起きる。一方、ZnO粉末の量はAl粉末の量よりも多いため、ZnAlを形成しないZnO粒同士は結合し、緻密なZnO相1を形成する。このためにZnAl析出層の周辺に空孔3が形成される。この構造の焼結体をスパッタリングターゲットに用いた場合、特に空孔3の存在は異常放電の原因となる。また、ZnAl相とZnO相とはその比抵抗が異なるため、ZnO相中に比較的大きなZnAl相が不均一に分布している場合、この析出物の存在自体も異常放電の原因となる。また、ZnAl相2の周辺以外にはほとんど空孔は見られず、ZnO相1はほぼ緻密な構造であるため、この酸化亜鉛焼結体の密度が低いのは、主にこの空孔3が存在するためである。前記の通り、ZnO粉末とB粉末とを配合して焼成した場合には融点の低いBが選択的に溶融、偏析、蒸発するために空孔が生じたのに対し、Al粉末を配合した場合には焼成時にZnAl相が形成されことにより空孔が生ずるという違いがあることが確認された。
この結果より、ZnAl形成される際の体積収縮の影響を除去すれば、空孔3は発生せず、緻密な酸化亜鉛焼結体が得られると考えられる。そこで、本実施の形態の製造方法においては、まず初めに仮焼粉末製造工程を設け、スピネル構造のZnAl 主成分とする仮焼粉末を製造する。Bを含む仮焼成の場合と異なり、この場合にはZnAl形成することが目的であるため、その仮焼成の温度は、結晶性に優れたZnAl形成される温度で、かつできるだけ低い温度がよい。結晶性に優れたZnAl形成させるためには、高い温度の方が好ましいが、仮焼成温度が高くなればなるほど、粉体のBET比表面積が小さくなり、粉体の活性が失われ、焼結性が劣ってしまう。この仮焼粉末を新たにZnO粉末と混合、焼成して酸化亜鉛焼結体を得る。この製造方法によれば、本焼成の際に新たにZnAl形成されることが極力回避できるため、ZnAl周辺で空孔の形成はされにくくなり、形成されたとしても相対的な空孔径が小さくなる。また、本焼成時にZnAlを含む析出物形成される場合よりも、仮焼成で予めこれを形成しておく方が析出物のサイズがより小さく均一になる。
図2と同様に、本実施の形態の製造方法によって製造された、添加物元素としてAlを含む酸化亜鉛焼結体の鏡面研磨した断面を電子顕微鏡で撮影した写真が図3である。図3中で、1はウルツ鉱構造のZnO相であり、2はスピネル構造のZnAl相である。これらは図2と同様であるが、ZnAl相2の周囲に空孔は見られない。この焼結体の密度を測定したところ、5.6g/cmであった。このように、本実施の形態の製造方法によって緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることができた。これは、ZnAl相が本焼成時に形成されないためである。また、空孔だけでなく、ZnAl相よりなる析出物2についても、そのサイズが大きなものの割合が減少していることが確認できた。
本実施の形態の製造方法における仮焼成後の仮焼粉体にはZnAl相が含まれているが、他の相として、ZnO相も含むことがある。しかしながら、これらは粉末の状態で仮焼成され、その後にも再び粉末化されて仮焼粉末となるため、図2のような形態で空孔が残存することはない。また、仮焼粉末のBET比表面積を2〜30m/gとすることにより、本焼成時に新たにZnAl相が形成されたとしても、図2のような形態で空孔が残存することはない。
また、図3の結果より、この仮焼粉末を配合して本焼成を行った場合においても、主成分となるZnOの粒成長は充分に行われており、緻密なZnO相1が得られている。従って、複合酸化物相の分布が均一で、空孔がない酸化亜鉛焼結体となっていることが確認できた。すなわち、本実施の形態の製造方法により、複合酸化物相の分布が均一で緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることができた。従って、この酸化亜鉛焼結体をスパッタリングターゲットに用いた場合に、異常放電の発生を抑制することができる。
本実施の形態の製造方法によって製造された酸化亜鉛焼結体においては、サイズの大きな析出物や空孔の形成が抑制されるため、これをスパッタリングターゲットに用いた場合の異常放電を抑制できる。具体的には、複合酸化物を含む析出物のうち、円相当径が3μm以上である析出物の割合を20%以下、同様に、存在する空孔のうち、円相当径が3μm以上である空孔の割合を50%以下とすることができる。ここで、円相当径とは、図2や図3に示される断面構造において見られた個々の析出物や空孔と同等の面積をもった円の直径の換算値である。すなわち、焼結体の断面を鏡面研磨し、電子顕微鏡で観察した断面写真において見られた複合酸化物を含む析出物または空孔の面積をSとして、析出物および空孔の円相当径は(4・S/π)1/2で換算される量である。この測定においては、画像解析ソフト(商品名Win ROOF:三谷産業製)を使用し、図2、3に例示される電子顕微鏡写真データを二値化し、酸化亜鉛焼結体において任意に選択した箇所の面積が2×10−3mmの範囲における析出物および空孔の面積を求め、円相当径を算出した。
上記の箇所における円相当径が3μm以上の析出物(複合酸化物)の割合がいずれも20%より多くなると、ZnO相中に、比抵抗が異なる大きな亜鉛の複合酸化物が局所的に不均一に分布することになり、異常放電の原因となる。また、同様に、上記の箇所において、円相当径が3μm以上の空孔の割合がいずれも50%より大きくなると、大きな空孔が局所的に不均一に存在することになり、異常放電の原因となる。
また、本実施の形態の製造方法によって製造された酸化亜鉛焼結体は空孔が小さく、その数も少なくなるため、焼結体の密度が高くなる。理想的な酸化亜鉛の密度は、Znが種々の同位体を有するため酸化亜鉛の密度も一義的に決められないがほぼ5.60g/cmであるとされているのに対して、5.50g/cm以上とすることができる。
仮焼粉末製造工程は、α−アルミナ型Al粒をウルツ鉱構造のZnO粒と固相反応させ、スピネル構造のZnAlを形成するために行われる。また、添加物元素としてGaを用いる場合にはα型又はβ型のGa粒を用いて同様にZnGa2O4を形成する。このため、第1のZnO粉末のBET比表面積は2〜30m/gが好ましい。2m/gよりも小さいと、ZnAl相等の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。30m/gよりも大きいと、ZnOが凝集粒子としてふるまい、ZnOが均一に分散されず、ZnAl相等が大きくなり異常放電の原因となる。また、酸化物粉末(Al粉末、Ga粉末)のBET比表面積は2〜100m/gが好ましい。2m/gよりも小さいと、ZnAl相等の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。100m/gよりも大きいと、Al粉等が凝集粒子としてふるまい、ZnOが均一に分散されず、ZnAl相等の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。
仮焼粉末製造工程における仮焼成温度は、900〜1300℃の範囲、仮焼成時間は、1〜5時間の範囲が好ましい。温度が900℃よりも低い、または1時間より短いと、仮焼成時にスピネル構造のZnAl等が充分に形成されず、Al相等が残り、後の本焼成時にZnAl 形成される。このため、本焼成時に形成されたZnAl相等の周囲に空孔が形成されることがある。温度が1300℃よりも高い、または仮焼成時間が5時間より長いと、仮焼粉体のBET比表面積が小さくなり、本焼成において緻密な焼結体が得られにくくなる。仮焼成の雰囲気は非還元性雰囲気中がよいが、大気中とすることが製造コスト低下の観点からは好ましく、また、加圧雰囲気としてもよい。あるいは、大気中ではなく、酸素雰囲気あるいはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気としてもよい。
仮焼成によって得られた仮焼粉体においては、ZnOとAl との固相反応により、スピネル構造の複合酸化物であるZnAl 形成される。このため、第1のZnO粉末とAl粉末混合モル比率は、その化学量論的組成である1:1が好ましい。このモル比がこの比率よりもAlリッチなった場合には、余剰となったAl相等が仮焼粉末中に存在する。この場合には、その後の本焼成時において、このAl相等と第2のZnO粉末との固相反応によって新たにZnAl等が形成され、その際に空孔が形成され異常放電の原因となる。一方、この比率がZnOリッチになった場合には、仮焼粉末中のAl組成等が小さくなるため、ZnO自体の焼結が進行し、本焼成後の焼結性が劣化し、緻密な焼結体を得ることが困難となる。このため、この場合には粉砕により仮焼粉末を微粉化する必要がある。この比率は、ZnO:Al 1:1〜200:1の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜30:1である。また、仮焼粉末のBET比表面積が2m/gより小さいと、ZnO粒子間に気孔が形成され異常放電の原因となる。30m/gよりも大きいと凝集粉となり分散性が低下し、焼結体中の複合酸化物相の組織が不均一となる。
本焼成工程は、成形されたZnO焼結体を得るための工程である。ここで用いる仮焼粉末のBET比表面積は、粉砕を行なう機械的処理、例えばボールミルを用いて調整することができる。ボールミルにおいては、処理時間を調節することにより変えることができる。例えば、アルミナボールを用い、40時間処理することによりBET比表面積が5m/gの仮焼粉末を得ることができる。また、ボールミルの代わりに、同様に粒度の調整ができる他の方法、例えば振動ミル等の方法を用いることができる。
第2のZnO粉末のBET比表面積も2〜30m/gの範囲が好ましい。2m/gよりも小さいと、本焼成において緻密な焼結体が得られず。30m/gよりも大きいと、成形時の成形体密度が小さくなり、本焼成において緻密焼結体が得られない。このZnO粉末は、最終的に得られる酸化亜鉛焼結体の主成分となる。
本焼成工程を行なう際の第2のZnO粉末と仮焼粉末との混合比の設定により、酸化亜鉛焼結体におけるAl、あるいはGaの含有比率を酸化物換算で0.5〜10wt%とすることができる。ただし、仮焼粉末中のAl等の比率は仮焼粉末製造工程での混合比率に依存する。酸化亜鉛焼結体におけるAl、あるいはGaの含有率が酸化物換算で0.5wt%よりも小さい、または10wt%より大きいと、前記焼結体をターゲットとして用いてスパッタリングによって形成された膜の比抵抗が10−2Ω・cm以上と高くなる。
仮焼粉末と第2のZnO粉末との配合は、所定の混合比率で、バインダとして例えばポリビニルアルコールを用いて行うことができる。この際に、ボールミルを用いて20時間の混合を行うことにより、均一に混合をすることができる。この際、同様に混合を行うことのできる他の方法、例えば振動ミル等の方法を用いることもできる。その後、この混合物にプレス成形を行うことにより、所定の形状の成形体を得ることができる。
本焼成温度は、1100〜1600℃の範囲が好ましい。1100℃よりも低いと、主成分であるZnOの焼結が充分に行われず、緻密な酸化亜鉛焼結体が得られない。1600℃よりも高いと、ZnOが分解、昇華し、焼結体の組成ずれが生ずる。本焼成温度は、緻密な酸化亜鉛焼結体を得るためには仮焼成温度よりも高いことが好ましく、仮焼成と本焼成との温度差は200℃以上とすることが好ましい。この温度差が小さいと、本焼成工程で緻密な焼結体が得られず、ZnO相間に空孔が形成されることがある。本焼成の雰囲気は非還元性雰囲気とすることが好ましく、例えば大気中とすることが製造コスト低下の観点からは好ましいが、加圧雰囲気としてもよい。また、大気中ではなく、酸素雰囲気等の酸化性雰囲気、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気としてもよい。本焼成時間は、1〜5時間の範囲が好ましい。1時間より短いと、ZnOの粒成長が充分に行われず、緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることが困難である。5時間より長いと、ZnOの分解、昇華が起こり、焼結体の組成ずれが生ずる。
一般に、焼結体における空孔は、その焼成時の雰囲気が加圧あるいは常圧雰囲気の場合には発生しにくく、減圧雰囲気、特に還元性雰囲気の場合に発生しやすい。仮焼粉末製造工程における仮焼成においては、ZnOおよびAl 粉末の状態であるため、空孔は発生しない。従って、非還元性雰囲気で行えばよい。大気雰囲気での焼成を行なう場合は、使用する装置構成が加圧雰囲気の場合と比べて単純となり、これを低コストで行うことができる。従って、低コストで緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることができる。
例えば、特許文献1、2に記載のBZO焼結体の製造方法においても、仮焼粉末をZnO粉末と混合して酸化亜鉛焼結体を形成していた。しかしながら、この場合には仮焼粉末を製造するに際し、融点が450℃と低いBを含むため、その仮焼成温度は本実施の形態と比べて低くせざるを得ない。一方、本焼成時には、ZnOの粒成長を充分に行うために、この焼成温度を仮焼成温度よりも高くする必要がある。そのため、本焼成時に新たにZnを含む複合酸化物が形成され、その際の部分的な体積収縮によって空孔が発生する。従って、ZnO相自身は緻密な構造となるものの、複合酸化物相の周囲には空孔が発生し、緻密な焼結体は得られない。これに対して、本実施の形態の製造方法においては、例えば仮焼成後の仮焼粉体を粉末化する際にBET比表面積を2m/gとし仮焼成温度と本焼成温度との差を200℃以上とすることにより3μm以上の円相当径をもつ空孔の割合を50%より小さくすることができる。従って、緻密な酸化亜鉛焼結体を得ることができる。このため、本実施の形態の製造方法においては、融点の低いBは不純物として不可避的に存在する以上には添加せず、融点がZnOとほぼ等しいAl 添加する。また、仮焼粉末の主成分となるZnAl 融点はZnOと同等に高いため、本焼成を1100℃以上の高温で行うことができる。この場合、ZnOの粒成長が充分に進むため、緻密なZnO相を得ることができる。
こうした酸化亜鉛焼結体は、一般の焼結体を製造する方法と同様の装置(ボールミル、焼成炉等)を用いて製造することができる。従って、一般の焼結体と同様に、大面積のものを容易に得ることができ、例えば数10cm以上の大きさのスパッタリングターゲットを得ることもできる。このスパッタリングターゲットを用いて、大面積の液晶ディスプレイや太陽電池上に、光透過率が高く、電気抵抗の低い透明電極を形成することができる。また、このスパッタリングターゲットの主成分は高価なインジウムではなく安価な亜鉛であるため、低コストでこれを製造することができる。このため、低コストで良好な特性の透明電極を得ることができる。
なお、IIIB属元素であるインジウム(In)をn型の導電性添加物元素として同様に用いることができる。また、IVA属元素であるチタン(Ti)、IVB属元素であるシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)もZnO中でn型の導電性添加物となるため、同様に用いることができる
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る酸化亜鉛焼結体においては、第1の実施の形態に係る酸化亜鉛焼結体における添加物元素(Al)に加え、更に別の元素も同時に添加される。以下では、第1の実施の形態で用いた添加物元素(Al)を第1添加物元素と呼称し、更に加えられた別の元素を第2添加物元素と呼称する。第2添加物元素は、ZnO導電膜の耐熱性、耐湿性、すなわち耐候性を向上させるために添加される。こうした効果を奏する第2添加物元素は、Ga、In、Ti、Si、Ge、Snのうちいずれか1種以上の元素であり、かつ第1添加物元素以外の元素となる。第2添加物元素としては、特にGa又はInが好ましく用いられる。
第2の実施の形態に係る酸化亜鉛焼結体の製造方法において、例えば第1添加物元素としてAl、第2添加物元素としてGaを選択する場合には、図4に示すように、図1におけるAl粉末に替えAl粉末及びGa粉末を第1のZnO粉末に同時に添加する。すなわち、本形態の酸化亜鉛焼結体の製造方法においても、Al粉末及びGa粉末とZnO粉末とを配合、成形して焼結体を得るのではなく、まずZnAl相及びZnGa相を含む仮焼粉末を製造し、この仮焼粉末とZnO粉末とを配合、成形、焼成して酸化亜鉛焼結体を形成する。そのため、第1のZnO粉末とAl粉末及びGa粉末とを配合、造粒してから大気中で焼成(仮焼成)して仮焼粉体を得る。次に、この仮焼粉体を所望の粒度に再度粉末化して、仮焼粉末を製造する。この仮焼粉体中には、ZnOとAl及びZnOとGaとの複合化合物であるスピネル構造のZnAl、及びGaAlが形成されている。
仮焼粉末製造工程は、α−アルミナ型Al粒及びα型又はβ型のGa粒をウルツ鉱構造のZnO粒と固相反応させ、スピネル構造のZnAl及びZnGaを形成するために行われる。このため、第1のZnO粉末のBET比表面積は2〜30m/gが好ましい。2m/gよりも小さいと、ZnAl相及びZnGa相の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。30m/gよりも大きいと、ZnOが凝集粒子としてふるまい、ZnOが均一に分散されず、ZnAl相等が大きくなり異常放電の原因となる。また、酸化物粉末のBET比表面積は2〜100m/gが好ましい。2m/gよりも小さいと、ZnAl相等の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。100m/gよりも大きいと、Al粉等が凝集粒子としてふるまい、ZnOが均一に分散されず、ZnAl相等の析出物が大きくなり異常放電の原因となる。
その他仮焼粉末製造工程における仮焼成条件(仮焼成温度、仮焼成時間、仮焼成雰囲気等)は、基本的に第1の実施の形態と同様な条件で行う。
仮焼成によって得られた仮焼粉体においては、ZnOとAl及びZnOとGaとの固相反応により、スピネル構造の複合酸化物であるZnAl及びZnGaが形成される。このため、第1のZnO粉末とAl粉末及びGa粉末の総量の混合モル比率は、その化学量論的組成である1:1が好ましい。このモル比がこの比率よりも酸化物リッチとなった場合には、余剰となったAl相等が仮焼粉末中に存在する。この場合には、その後の本焼成時において、このAl相等と第2のZnO粉末との固相反応によって新たにZnAl等が形成され、その際に空孔が形成され異常放電の原因となる。一方、この比率がZnOリッチになった場合には、仮焼粉末中のAl組成等が小さくなるため、ZnO自体の焼結が進行し、本焼成後の焼結性が劣化し、緻密な焼結体を得ることが困難となる。このため、この場合には粉砕により仮焼粉末を微粉化する必要がある。この比率は、ZnO:(Al+Ga)が1:1〜200:1の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜30:1である。また、仮焼粉末のBET比表面積が2m/gより小さいと、ZnO粒子間に気孔が形成され異常放電の原因となる。30m/gよりも大きいと凝集粉となり分散性が低下し、焼結体中の複合酸化物相の組織が不均一となる。
本焼成工程における第2のZnO粉末のBET比表面積も2〜30m/gの範囲が好ましい。2m/gよりも小さいと、本焼成において緻密な焼結体が得られず。30m/gよりも大きいと、成形時の成形体密度が小さくなり、本焼成において緻密焼結体が得られない。このZnO粉末は、最終的に得られる酸化亜鉛焼結体の主成分となる。
また、本焼成工程を行なう際の第2のZnO粉末と仮焼粉末との混合比の設定により、酸化亜鉛焼結体におけるAl及びGaの含有比率を酸化物換算で0.5〜10wt%とすることができる。ただし、仮焼粉末中のAl等の比率は仮焼粉末製造工程での混合比率に依存する。酸化亜鉛焼結体におけるAl及びGaの総量の含有率が酸化物換算で0.5wt%よりも小さい、または10wt%より大きいと、前記焼結体をターゲットとして用いてスパッタリングによって形成された膜の比抵抗が10−2Ω・cm以上と高くなる。
その他の本焼成工程の製造条件(仮焼粉末のBET値調整、仮焼粉末と第2のZnO粉末の混合方法、本焼成温度、本焼成時間、本焼成雰囲気等)は、基本的に第1の実施の態様と同様な条件で行う。
第2の実施の形態に係る製造方法における仮焼粉末製造工程を、図4とは異なる工程とすることもできる。この場合、第1添加物元素の酸化物からなる第1酸化物粉末と第1のZnO粉末とから第1仮焼粉体が形成し、第2添加物元素の酸化物からなる第2酸化物粉末と第3のZnO粉末とから第2仮焼粉体を形成する。この仮焼粉末製造工程では第1仮焼粉体と第2仮焼粉体とが粉末化されて混合され、仮焼粉末とされる。この仮焼粉末と第2のZnO粉末とを配合、成形して成形体を形成し、本焼成工程ではこれが焼成される。
この製造方法を示す工程図が図5である。ここでは、第1添加物元素としてAlが用いられ、第2添加物元素としてGaが用いられている。
第1酸化物粉末(Al)と第1のZnO粉末とが配合・乾燥・造粒され、仮焼成されて第1仮焼粉体が形成される。この工程は第1の実施の形態(図1)における仮焼粉体を形成する工程と同様であるため、その詳細な説明は省略する。従って、第1仮焼粉体には、同様に、スピネル構造のZnAl相が含まれる。
同様に、第2酸化物粉末と第3のZnO粉末とが配合・乾燥・造粒され、仮焼成されて第2仮焼粉体が形成される。この工程も、第1のZnO粉末が第3のZnO粉末に代わった以外は第1の実施の形態(図1)における仮焼粉体を形成する工程と同様である。従って、同様に第2仮焼粉体にはZnGa相が含まれる。
このため、第2酸化物粉末として用いられるGa粉末は、α型又はβ型のGaよりなり、そのBET比表面積は2〜100m/gが好ましい。ZnGaを形成しやすいという点から、特にα型が好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
また、ここで用いる第3のZnO粉末については、第1の実施の形態における第1のZnO粉末と同様である。すなわち、ウルツ鉱構造のZnOよりなり、そのBET比表面積は2〜30m/gが好ましい。純度は99.9%以上であることが好ましい。
第2酸化物粉末と第3のZnO粉末とを配合し、ボールミルで混合し、造粒後、900〜1300℃の温度で焼成(仮焼成)し、第2仮焼粉体を製造する。
この仮焼成の雰囲気は非還元性雰囲気が好ましく、大気中、あるいは酸素雰囲気中が好ましい。第2仮焼粉体中では、ZnO粒とGa粒との固相反応によって、スピネル構造の複合酸化物であるZnGaが形成される。仮焼成の時間は、1〜5時間が好ましい。
第1仮焼粉体及び第2仮焼粉体中では、焼結によって粒子が結合している。これらを再びボールミル等の機械的処理によって粉砕し、所望の粒度(粒径)として仮焼粉末とする。また、第1仮焼粉体及び第2仮焼粉体のそれぞれを粉末化して第1仮焼粉末及び第2仮焼粉末としてから、これらを混合してもよい。
仮焼粉末のBET比表面積は2〜30m/gとすることが好ましい。第1仮焼粉体及び第2仮焼粉体の状態は、それぞれ第1のZnO粉末/第1酸化物粉末、第3のZnO粉末/第2酸化物粉末比率に依存する。特にこれらの比率が大きいとZnO相が多くなり、ZnO相自身の焼結が進んで粒子が大きくなるため、仮焼粉末のBET比表面積を上記の範囲とするにはこの粒度調整が必要となる。
このため、第1及び第2仮焼粉末を製造する場合には、第1のZnO粉末/第1酸化物(Al)粉末、及び第3のZnO粉末/第2酸化物粉末(Ga)の混合モル比率は1〜200の範囲が好ましく、特に1〜30が好ましい。また、第1のZnO粉末と第3のZnO粉末との総量の第1酸化物粉末と第2酸化物粉末との総量に対する混合モル比率で見ても、1〜200の範囲が好ましく、特に1〜30が好ましい。
以上により、この実施の形態における仮焼粉体にはZnAl相とZnGa相とが共存している。本焼成工程において、この仮焼粉体が第1の実施の形態と同様に、第2のZnO粉末と配合され、造粒、成形され、本焼成されて酸化亜鉛焼結体が得られる。
本焼成工程については、第1の実施の形態と同様である。すなわち、本焼成においては、この成形体を、1100〜1600℃の温度で焼成することにより、酸化亜鉛焼結体を得る。本焼成の時間は、1〜5時間が好ましい。
耐候性を改善する第2添加物元素としてGa又はInを添加する場合には、上記と同様な理由により、Al及びGa又はInの総量の含有比率が酸化物換算で0.05〜10wt%とすることが望ましい。また、その中で、Ga又はInの含有比率は酸化物換算で0.05〜5wt%とすることが望ましい。酸化亜鉛焼結体におけるGa又はInの含有率が酸化物換算で0.05wt%よりも小さいと、この焼結体を用いたスパッタリングターゲットで成膜された透明膜に充分な耐候性を付与することができない。また、5wt%より大きいと抵抗率が充分に低くならない。Al及びGa又はInの総量の含有比率が10wt%より大きな場合も同様である。
また、第1のZnO粉末にAl粉末及びGa粉末を同時に混合して仮焼粉末を製造する場合には、第1のZnO粉末に対するAl粉末及びGa粉末の総量の混合モル比率が、その化学量論的組成である1:1とすることが好ましい。また、ZnO:(Al+Ga)が1:1〜200:1の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜30:1である。
また、本実施の形態の製造方法によって、ZnO粉末(ウルツ鉱構造、BET比表面積5m/g)に、Al粉末(α−アルミナ型、BET比表面積11m/g)とGa粉末(α型、BET比表面積3m/g)とを97.5:2.0:0.5の重量比率で含むAZO焼結体を製造した。なお、焼結温度は1400℃とした。この焼結体の鏡面研磨した断面を電子顕微鏡で撮影した写真が図6である。図6中において1、2は図2、3で示したものと同様なZnO相及びZnAl相、4はスピネル構造のZnGa相である。そして、図3の場合と同様に、ZnAl相2及びZnGa相4の周囲に空孔は見られず、この焼結体の密度は5.6g/cmであった。また、空孔だけでなく、ZnAl相2よりなる析出物及びZnGa相4よりなる析出物について、そのサイズが大きなものの割合が減少していることが確認できた。
従って、この酸化亜鉛焼結体をスパッタリングターゲットに用いた場合にも、異常放電が抑制されるため、高い導電性を有する透明電極を形成することができる。
更に、この酸化亜鉛焼結体においては、耐候性(耐熱性、耐湿性)の効果をもたらす添加物である第2添加物と、導電性添加物である第1添加物が共に添加されている。従って、この酸化亜鉛焼結体をスパッタリングターゲットに用いて、耐候性が高く、高い導電性を有する透明電極を形成することができる。
(第3の実施の形態)
同様の酸化亜鉛焼結体を、第1、第2の実施の形態とは異なる第3の実施の形態に係る製造方法によって得ることもできる。この例を図7に示す。この製造方法によれば、第1添加物及び第2添加物の酸化亜鉛焼結体中の分散性を更に向上させ、異常放電を更に抑制することができる。
ここでは、第2の実施の形態(図4)と同様の仮焼粉末製造工程で製造された仮焼粉末を溶媒に加え、図7で示すように、ボールミル等で混合して第1の混合液を製造する(第1混合工程)。この第1の混合液に第2のZnO粉末を加え、ボールミル等で混合して第2の混合液を製造する(第2混合工程)。本焼成工程において、この第2の混合液を乾燥・解砕し、粒度等を適宜調整することにより本焼成前粉末を生成する。この本焼成前粉末を、第1の実施の形態の場合と同様に造粒・成形し、本焼成することにより、酸化亜鉛焼結体が得られる。
この製造方法においては、仮焼粉末の混合が溶液中でなされるため、仮焼粉末の凝集体が生成されることを抑制できる。従って、第2のZnO粉末中における仮焼粉末の分散性を向上させることができる。その結果、第2の混合液から生成した本焼成前粉末を成形し焼成した焼結体では、そのZnAl分散性が特に向上する。
この製造方法における第1混合工程及び第2混合工程で用いられる溶媒としては、例えば純水やエタノールを使用することができる。また、第1混合工程、第2混合工程における混合はビーズミルにより行うこともできる。
また、第1添加物元素としてAl、第2添加物元素としてGaを共に用いる場合には、仮焼粉末製造工程においてZnO粉末にAl粉末およびGa粉末を混合して仮焼粉末を製造し、当該仮焼粉末を上記と同様に第1混合工程及び第2混合工程で処理しても、ZnAl相及びZnGa相の分散性が向上した焼結体を得ることができる。この場合にこの仮焼粉末製造工程におけるZnO粉末は第1のZnO粉末と第3のZnO粉末とを兼ねる。
以上の製造方法によれば、焼結体において、主相であるZnO相中に、ZnAl相を含む析出物(第1の析出物)とZnGa相を含む析出物(第2の析出物)とが共存する共存部が形成される。ここで、この共存部は、その中にZnO相や添加物元素であるAl、Gaが固溶したZnO相を含む場合があるが、互いに隣接した状態で形成された複合酸化物であるZnAl相とZnGa相とを含む。なお、この共存部においてZnAl相とZnGa相とが共存する形態は、凝集体・密集体など製造条件・添加物元素の添加量により制御することができる。
図7の製造方法によって、ZnO粉末(ウルツ鉱構造、BET比表面積5m/g)に、Al粉末(α−アルミナ型、BET比表面積11m/g)とGa粉末(α型、BET比表面積3m/g)とを97.5:2.0:0.5の重量比率で含むAZO焼結体を製造した。本焼成の焼結温度は1400℃とした。この焼結体の鏡面研磨した断面をEPMA(電子線マイクロアナリシス:Electron Probe Micro Analisys)で分析した結果が図8である。なお、比較のため第2の実施の形態(図3)で示した第1混合工程及び第2混合工程を含まない製造方法で製造された焼結体をEPMAで分析した結果を図9に示す。分析条件は、加速電圧20KV、試料電流50nA、ビーム径1μmである。図8、9において、横軸はEPMAの電子線がスキャンした焼結体の位置を示す。縦軸は該当する元素の特性X線の強度であり、元素の存在量に対応する。また、図8、9中において、符号5で示される実線は焼結体中におけるAlの存在量、符号6で示される実線はGaの存在量、符号7で示される実線はZnの存在量を示している。ここで、図8において各元素の特性X線の強度は相対値で示しており、Al・Ga・Znのそれぞれの100%に対応する強度は20000・1500・40000である。また、図9において、Al・Ga・Znのそれぞれの100%に対応する強度は、20000・2000・40000である。
また、第2添加物元素としてGaの代わりにInを添加した例、すなわち上記Ga粉末に代えてIn粉末(BET比表面積6m/g)を含み、図7の製造方法によって製造したAZO焼結体の鏡面研磨した断面をEPMAで分析した結果が図10である。図10中において、符号5で示される実線は焼結体中におけるAlの存在量、符号8で示される実線はInの存在量を示している。ここで、図10においても各元素の特性X線の強度は相対値で示しており、Al・In・Znのそれぞれの100%に対応する強度は、20000・1500・40000である。
図8〜10においては、符号5、6及び8で示される実線で示される値が局所的に高い領域は、それぞれAl、Ga、Inの化合物(すなわち、ZnAl、ZnGa、ZnIn)の析出物に対応している。図8においては、ZnAl相の存在を示す実線5と、ZnGa相の存在を示す実線6とは、その起伏の状態が大略等しい。特に、実線5の高いピーク(例えば5a、5b)及び実線6の高いピーク(例えば6a、6b)は略一致している。このことから、ZnAl相とZnGa相とは焼結体中においてほぼ同じ箇所に共存していることが判る。また、図10から、Ga粉末に代えてIn粉末を使用した場合でも、同様に、ZnAl相とZnIn相とは焼結体中においてほぼ同じ箇所に存在していることが判る。
一方で、第1混合工程及び第2混合工程を含まない製造方法で製造された焼結体においては、図9に示すように、実線5と実線6の起伏の状態は等しくない。また、それらのピーク位置も一致していない。以上のことから第1混合工程及び第2混合工程を含むこの製造方法で製造された焼結体においては、ZnAl相とZnGa相またはZnIn相とが共存する共存部が形成されている。
スパッタレートが物質を構成している成分によって異なるため、焼結体に存在する相により異なるスパッタレートを有することになる。そこで、焼結体中に存在している相の種類が異なるとそれに応じてスパッタされやすい相、スパッタされにくい相が存在することによりノジュールが出来やすくなる。本発明のように、それら異なるスパッタレートを有する相を共存させることにより、異なるスパッタレートを有する相の種類を低減することができ、ノジュールが出来難くなる。従って、上記共存部が形成された焼結体をスパッタリングターゲットとして用いた場合、特にZnAl相に対するZnGa相の優先的な消耗を抑制することができる。これは、その結果、使用中に消耗したZnGa相を起因とした異常放電がさらに抑制される。
上記製造方法により、ZnGa相またはZnIn相(第2析出物)はZnAl相(第1析出物)に対して1〜50%含まれている共存部を形成することができる。
なお、ZnGa相等のZnAl相に対する割合は上記EPMAの結果から算出したものである。例えば、図7において、ZnAl相とZnGa相との共存部とは上記説明のとおり実線5のピークと、実線6のピークとが同一に現れている箇所である。そして、例えば、実線5のピーク5aの値は当該箇所におけるZnAl相の存在量、実線6のピーク6aの値は当該箇所におけるZnGa相の存在量に比例している。そこで、ピーク5aに対するピーク6aの比を求めることにより、当該共存部におけるZnGa相のZnAl相に対する割合(ZnGa相/ZnAl相)を知ることができる。その他の共存部についても、同様にしてZnGa相のZnAl相に対する割合を求めることができる。
上記製造方法により、この共存部のうち、その円相当径が10μm以下であるものの割合を90%以上とすることができる。この割合が90%より小さくなると、ZnO相中に、ZnO相とは比抵抗が異なるZnGa相及びZnAl相からなる大きな共存部が局所的に不均一に分布することになり、異常放電の原因となる。
仮焼粉末製造工程において、Al粉末を用いてZnAl相を含む第1仮焼粉末、Ga粉末を用いてZnGa相を含む第2仮焼粉末を製造する場合には、図11に示すように、第1混合工程において、第1仮焼粉末を溶媒に混合してなる混合液と、第2仮焼粉末を溶媒に混合してなる混合液とを混合して、第1の混合液を製造すれば好ましい。この場合、原料粉末の異なる仮焼粉末毎に最適な条件で混合処理を行うことが出来るので、第2のZnO粉末中における仮焼粉末の分散性を更に向上させることができる。
第2混合工程において、第2のZnO粉末を溶媒に混合してなる混合液に第1の混合液を混合し第2の混合液を製造すれば、混合中に第2のZnO粉末の凝集体の生成を抑制でき、焼結体において粗大なZnO相が形成されないので更に好ましい。
従って、第3の実施の形態に係る製造方法によれば、この酸化亜鉛焼結体をスパッタリングターゲットを用いた場合の異常放電が更に抑制される。従って、特に高い導電性を有する透明電極を安定して得ることができる。
なお、第1の実施の形態の場合と同様に、Alのみ添加する場合にもこの製造方法を適用することができる。
なお、以上の第2、第3の実施の形態においては、耐候性を改善する添加物元素(第2添加物元素)としてGa、Inを用いた場合について述べたが、第2添加物元素としては、他の元素を用いることもできる。このような元素としては、チタン(Ti)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)を選択することができる。例えば、Tiを選択した場合、仮焼粉末の製造にはGa粉末の代わりに二酸化チタン(TiO)粉末が用いられ、これにより得られる仮焼粉体の主成分となる複合酸化物はZnAlとZnTiOとなる。この仮焼粉末とZnO粉末とを配合して本焼成工程を行なうことによって、酸化亜鉛焼結体を得ることができる。また、Si、Ge、Snを選択する場合、仮焼粉末の製造にはGa粉末の代わりにそれぞれ二酸化ケイ素(SiO)粉末、二酸化ゲルマニウム(GeO)粉末、酸化スズ(SnO)粉末が用いられ、得られる仮焼粉体の主成分である複合酸化物はそれぞれZnSiO、ZnGeO、ZnSnOとなる。すなわち、これらの仮焼粉末とZnO粉末とを混合して同様に本焼成することによって、酸化亜鉛焼結体を得ることができる。これらの酸化亜鉛焼結体をスパッタリングターゲットとして用いることにより、異常放電を抑制しつつ耐候性が改善された透明電極を形成できる。なお、前記の導電性添加物の酸化物粉末や複合酸化物の粉末を同時に複数種類用いることも可能である
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
まず、第1の実施形態に係る実施例について説明する。以下に述べる実施例1〜24、参考例25、実施例26〜28および比較例1〜14の酸化亜鉛焼結体においては、各所定のBET比表面積をもつ第1のZnO粉末および酸化物粉末とを各所定の重量混合比率で配合し、ボールミルで20時間混合、乾燥し、混合粉を得た。この混合粉末を大気中で各所定の仮焼成温度で2時間、焼成を行い、仮焼粉体を得た。この仮焼粉体に対して、上記と同様にボールミルで処理を行い、各所定のBET比表面積をもった仮焼粉末を得た。この仮焼粉末と所定のBET比表面積をもつ第2のZnO粉末とを、焼結体における酸化物組成が所定の値になる比率で配合し、ボールミルで20時間混合、乾燥し、本焼成前粉末を得た。この本焼成前粉末にポリビニルアルコールを1wt%添加し、造粒後、成形圧力1ton/cmにて一軸加圧成形後、成形圧力3tonにてCIP成形を行い、φ180mm×7mmの成形体とした。この成形体を大気中600℃で1時間脱脂後、大気中で所定の温度で2時間の本焼成を行い、酸化亜鉛焼結体を得た。なお、上記の各粉末のBET比表面積は、BET比表面積測定装置(マックソーブ(モデル1201):マウンテック(株)製)によって測定した。
この酸化亜鉛焼結体について、まず、これをスパッタリングターゲットとしてスパッタリング装置にセットし、スパッタ(スパッタ方式:DCマグネトロン、スパッタガス:Ar、ガス圧:0.5Pa、磁束密度:1000Gauss、時間:1時間)によって酸化亜鉛の成膜をCorning#1737ガラス基板上に行い、その間の放電特性を調べた。この間に異常放電が2回以上発生したものを不良と判定した。また、各焼結体の断面を鏡面研磨し、電子顕微鏡写真を撮影することにより、単位面積当たりの析出物と空孔の数およびその形状・面積を計測した。ここで見られた析出物と空孔のうち、その面積から円相当径を算出し、円相当径が3μm以上の大きさであったものの割合(析出物または空孔の総数に対する比率)を算出した。焼結体の密度は水中置換法によって測定した。
(実施例1〜4、比較例1、2)
実施例1〜4、比較例1、2においては、酸化物としてα−アルミナ(Al)を用い、仮焼成温度がAZO焼結体の特性に与える影響を調べた。ここでは第1のZnO粉末、酸化物粉末のBET比表面積はそれぞれ5m/g、11m/gとし、第1のZnO/Al粉末モル比は1とした。第2のZnO粉末、本焼成前粉末のBET比表面積はどちらも5m/gとし、本焼成前粉末における酸化物の重量比は2%とした。本焼成温度は1500℃とし、仮焼成温度は800〜1400℃の範囲とした。
実施例1〜4、比較例1、2の焼結体についての前記の測定結果を表1に示す。仮焼成温度が900〜1300℃の範囲である実施例1〜4で良好な放電特性が得られ、この範囲外である比較例1、2では異常放電が発生した。
(実施例5〜9、比較例3、4)
実施例5〜9、比較例3、4においては、前記の実施例1〜4等と同様の粉末材料を用い、本焼成温度がAZO焼結体の特性に与える影響を調べた。仮焼成温度は1000℃とし、本焼成温度は1000〜1700℃の範囲とした。これら以外の条件は前記の実施例1〜4と同一である。
実施例5〜9、比較例3、4の焼結体についての前記の測定結果を表2に示す。本焼成温度が1100〜1600℃の範囲である実施例5〜9で良好な放電特性が得られ、この範囲外である比較例3、4では異常放電が発生した。
(実施例10〜15、比較例5〜7)
実施例10〜15、比較例5〜7においては、前記の実施例1〜9等と同様の粉末材料を用い、仮焼粉末製造工程における第1のZnO/Al混合(モル)比率がAZO焼結体の特性に与える影響を調べた。仮焼成温度は1000℃、本焼成温度は1500℃とした。第1のZnO/Al混合モル比率は0.2〜210の範囲とした。本焼成前粉末における酸化物の重量比は0.5及び2wt%とした。これら以外の条件は前記の実施例1〜4と同一である。
実施例10〜15、比較例5〜7の焼結体についての前記の測定結果を表3に示す。この混合比率が1.0〜200の範囲である実施例10〜15で良好な放電特性が得られ、この範囲外である比較例5〜7では異常放電が発生した。また、特に1.0〜30の範囲で円相当径が3μm以上の析出物および空孔の割合が小さくなった。
(実施例16〜18、比較例8、9)
実施例16〜18、比較例8、9においては、前記の実施例1〜15等と同様の粉末材料を用い、本焼成前粉末のBET比表面積がAZO焼結体の特性に与える影響を調べた。仮焼成温度は1000℃、本焼成温度は1400〜1550℃とした。本焼成前粉末のBET比表面積は0.5〜21m/gの範囲とした。以上の条件以外については前記の実施例1〜4と同一である。
実施例16〜18、比較例8、9の焼結体についての前記の測定結果を表4に示す。このBET比表面積が1〜20m/gの範囲である実施例16〜18で良好な放電特性が得られ、この範囲外である比較例8、9では異常放電が発生した。
(実施例19〜24、参考例25、実施例26〜28、比較例10〜14)
実施例19〜24、参考例25、実施例26〜28、比較例10〜14では、以上に述べた実施例、比較例で調べた以外の範囲で条件を変えて、最終的に得られた焼結体の特性を調べた。実施例19〜21では、第1のZnO粉末のBET比表面積を5〜20m/gの範囲、第1のZnO/Alモル比を1〜100の範囲、焼結体における添加物組成を2〜4%の範囲、本焼成温度を1300〜1500℃の範囲で変えている。実施例22、23では酸化物(Al)粉末のBET比表面積を4m/g、59m/g、仮焼粉末BET比表面積を5m/g、22m/gとしている。実施例24では酸化物粉末(Al)のうち0.5重量%をTiOに置換し、参考例25では酸化物粉末をGa(100%)とした。実施例26では、仮焼成温度を900℃、仮焼粉末のBET比表面積を25m/g、本焼成温度を1100℃とした。実施例27では、仮焼成温度を1300℃、本焼成温度を1100℃とし、仮焼成温度を本焼成温度よりも高くした。実施例28では、本焼成における添加物組成を0.5%と小さくした。
比較例10では、第1のZnO粉末、仮焼粉末、本焼成前粉末のBET比表面積をそれぞれ1m/g、0.5m/g、0.8m/gと小さくした。比較例11では、酸化物粉末(Al)、仮焼粉末、本焼成前粉末のBET比表面積をそれぞれ1m/g、0.5m/g、0.8m/gと小さくした。比較例12では、酸化物粉末をGaとした上で、第1のZnO/酸化物重量比を0.5と小さくした。比較例13では、酸化物粉末、仮焼粉末のBET比表面積を1m/gと小さくした。比較例14では、第1のZnO/酸化物粉末モル比を220と大きくした。
実施例19〜24、参考例25、実施例26〜28、比較例10〜14の焼結体についての前記の測定結果を表5に示す。実施例19〜24、参考例25、実施例26〜28で良好な放電特性が得られ、比較例10〜14では異常放電が発生した。また、本焼成温度が仮焼成温度よりも低い実施例27においては、良好な放電特性が得られているが、他の実施例と比べて大きな空孔の割合が高くなっている。従って、本焼成温度が仮焼成温度より高い方がより好ましいことがわかる。
円相当径が3μm以上である析出物および空孔の割合につき、上記のすべての実施例、参考例および比較例の結果について示したのが図12である。ここで、放電状態が良好だったもの(実施例)は○印で、異常放電が発生したもの(比較例)は×印で表している。円相当径が3μm以上である析出物の割合が20%以下であり、かつ円相当径が3μm以上である空孔の割合が50%以下の場合に良好な放電特性が得られることが確認できた。また、これらの割合は仮焼成温度、本焼成温度、第1のZnO/酸化物モル比、本焼成前粉末のBET比表面積に大きく依存する。表1の結果から見たこれらの割合の仮焼成温度依存性を図13に、表2の結果から見た本焼成温度依存性を図14に示す。また、表3の結果から見た第1のZnO/酸化物モル比率依存性を図15に、表4の結果から見た本焼成前粉末のBET比表面積依存性を図16に示す。これらの結果より、前記の各範囲において、円相当径が3μm以上である析出物や空孔の割合を小さくすることができ、これによって異常放電を抑制できることが確認できた。また、表1〜5において、実施例においてその密度が高くなっていることが確認できた。なお、Ga添加の参考例25、比較例12の密度が大きいのは、Gaの密度がZnOまたはAlと比べて大きいためである。
次に、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る実施例について説明する。以下に述べる実施例29〜36および比較例15及び16の酸化亜鉛焼結体においては、各所定のBET比表面積をもつ第1のZnO粉末、第1酸化物粉末(Al)及び第2酸化物粉末(Ga、In)とを各所定の重量混合比率で配合し、ボールミルで20時間混合、乾燥し、混合粉を得た。この混合粉末を大気中で各所定の仮焼成温度で2時間、焼成を行い、仮焼粉体を得た。この仮焼粉体に対して、上記と同様にボールミルで処理を行い、各所定のBET比表面積をもった仮焼粉末を得た。この仮焼粉末と所定のBET比表面積をもつ第2のZnO粉末とを、焼結体における酸化物組成が所定の値になる比率で配合し、ボールミルで20時間混合、乾燥し、本焼成前粉末を得た。この本焼成前粉末にポリビニルアルコールを1wt%添加し、造粒後、成形圧力1ton/cmにて一軸加圧成形後、成形圧力3tonにてCIP成形を行い、φ180mm×7mmの成形体とした。この成形体を大気中600℃で1時間脱脂後、大気中で所定の温度で2時間の本焼成を行い、酸化亜鉛焼結体を得た。なお、各粉末のBET比表面積は、上記と同様にして測定した。
また、酸化亜鉛焼結体の単位面積当たりの析出物と空孔の数およびその形状・面積の評価、密度評価及び放電特性の評価も上記と同様にして行った。
第2の実施形態に係る実施例29は、第1酸化物粉末としてα−アルミナ(Al)を、第2酸化物粉末として酸化ガリウム(Ga)用い、第2の実施の形態に係る製造方法(図4)によって製造した。ここでは第1のZnO粉末、第1酸化物粉末及び第2酸化物粉末のBET比表面積はそれぞれ5m/g、11m/gとし、第1のZnO/(Al+Ga)の粉末モル比は1とした。第2のZnO粉末、本焼成前粉末のBET比表面積はどちらも5m/gとし、本焼成前粉末における酸化物の重量比は2%であり、その中でAlの重量比は2.0%、Ga又はInの重量比は0.5%とした。また、仮焼成温度は1000℃、本焼成温度は1500℃とした。
実施例29の焼結体についての前記の測定結果を表6に示す。実施例29では異常放電が1回発生した。すなわち、前記の比較例よりは良好であったが、更に改善の余地があった。その焼結体の断面を観察したところ、粗大な空孔や析出物は確認できなかった。しかしながら、ZnGa相が優先的に消耗して形成された孔部による凸状のノジュールが確認された。なお、成膜された透明膜の耐候性については良好であった。
以下説明する実施例30〜36及び比較例15・16は、第3の実施の形態に係る製造方法(図7)によって製造された。ただし、比較例においては、本焼成温度を1100〜1600℃の範囲外としている。
具体的には、上記方法で製造された所望の組成の焼結体となるように秤量した仮焼粉末と仮焼粉末の総重量の50倍の純水とを樹脂性ポットに収納し、アルミナボールを用いてボールミルで20時間混合して第1の混合液を製造した。そして、別の樹脂性ポットに、所望の組成の焼結体となるように秤量した第2のZnO粉末、第1の混合液及び仮焼粉末と第2のZnO粉末との総重量の5倍の純水とを収納し、アルミナボールを用いてボールミルで20時間混合し第2の混合液を製造した。次いで、第2の混合液を1000℃で2時間乾燥した乾燥粉末を解砕して得た粉末を本焼成前粉末とし、成形体を形成した。
実施例30〜34及び比較例15、16においては、第1酸化物粉末としてα−アルミナ(Al)を用い、第2酸化物粉末としてα−酸化ガリウム(Ga)又は酸化インジウム(In)を用い、仮焼成温度がAZO焼結体の特性に与える影響を調べた。ここでは第1のZnO粉末、第1酸化物粉末及び第2酸化物粉末のBET比表面積はそれぞれ5m/g、11m/gとし、第1のZnO/(Al+Ga)又は第1のZnO/(Al+In)の粉末モル比は1とした。第2のZnO粉末、本焼成前粉末のBET比表面積はどちらも5m/gとし、本焼成前粉末における酸化物の重量比は2%であり、その中でAlの重量比は2.0%、Ga又はInの重量比は0.5%とした。本焼成温度は1500℃とした。
実施例30〜34、比較例15、16の焼結体についての前記の測定結果を表6に示す。仮焼成温度が900〜1300℃の範囲である実施例30〜34で異常放電は発生せず、耐候性に関しても良好であった。それら焼結体の断面を観察したところ、粗大な空孔や析出物及びノジュールは確認できず、円相当径が3μm以上である析出物の割合は20%以下、円相当径が3μm以上である空孔の割合は50%以下、円相当径が10μm以下となる共存部の割合は90%以上となっていた。この範囲外である比較例15、16では異常放電が多発し、同様の析出物、空孔の割合はそれぞれ20%、50%よりも大きくなり、同様の共存部の割合は90%よりも小さくなった。
実施例35は、実施例31における第1混合工程において、第1仮焼粉末を純水に混合した混合液と、第2仮焼粉末を純水に混合した混合液とを混合して第1混合液を製造した例である。具体的には、所望の組成の焼結体となるように秤量したAlからなる仮焼粉末と仮焼粉末の総重量の50倍の純水とを樹脂性ポットに収納し、アルミナボールを用いてボールミルで20時間混合して製造した混合液と、同様にして製造されたGaからなる仮焼粉末を含む混合液を混合し第1混合液を製造した。その他の製造条件等については実施例31と同様とした。
実施例36は、実施例31の第2混合工程において、第2のZnO粉末を純水に混合した混合液に第1の混合液を混合し、第2の混合液を製造した例である。具体的には、樹脂性ポットに所望の組成の焼結体となるように秤量した第2のZnO粉末と第2のZnO粉末との総重量の5倍の純水とを収納し、アルミナボールを用いてボールミルで20時間混合した混合液に第1の混合液を混合することにより第2の混合液を製造した。その他の製造条件等については実施例31と同様とした。
実施例35、36の焼結体についての測定結果を表7に示す。双方とも異常放電は発生せず、耐候性も良好であった。また、前記の析出物、空孔の割合はそれぞれ20%、50%以下であり、同様の共存部の割合は90%以上であった。
1 ZnO相
2 析出物(ZnAl相)
3 空孔
4 析出物(ZnGa相)
5 AlのEPMA強度
6 GaのEPMA強度
7 ZnのEPMA強度
8 InのEPMA強度

Claims (7)

  1. ZnOにAl、Ga、In、Ti、Si、Ge、Snのうち少なくともAlを含む1種以上の添加物元素を含有する酸化亜鉛焼結体であって、前記添加物元素及び亜鉛の複合酸化物相として少なくともZnAl を含む析出物、および該析出物の周辺に形成された空孔をそれぞれ複数有し、前記析出物のうち、その円相当径が3μm以上である析出物の割合が20%以下であり、前記空孔のうち、その円相当径が3μm以上である空孔の割合が50%以下であることを特徴とする酸化亜鉛焼結体。
  2. 密度が5.50g/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛焼結体。
  3. スパッタリングターゲットに用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化亜鉛焼結体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法であって、Al、Ga、In、Ti、Si、Ge、Snのうち少なくともAlを含む1種以上の添加物元素の酸化物であって少なくともα−アルミナ型のAl を含む酸化物粉末と第1のZnO粉末とを配合し、900〜1300℃の範囲の温度で焼成してスピネル構造の酸化物を含んでなる仮焼粉末を製造する仮焼粉末製造工程と、前記仮焼粉末と第2のZnO粉末とを配合した本焼成前粉末を成形した成形体を1100〜1600℃の範囲の温度で焼成して酸化亜鉛焼結体を得る本焼成工程とからなることを特徴とする酸化亜鉛焼結体の製造方法。
  5. 前記酸化物粉末がGa、In、TiO、SiO、GeO、SnOのうちいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法。
  6. 前記第1のZnO粉末のBET比表面積が2〜30m/gであることを特徴とする請求項4または5に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法。
  7. 前記酸化物粉末のBET比表面積が2〜100m/gであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法。
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