JP4793773B2 - スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリングによって膜を形成する際に、直流(DC)スパッタリングが可能であり、スパッタ時のアーキングが少なく、これに起因して発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減でき、且つ高密度で品質のばらつきが少なく量産性を向上させることのできる、光情報記録媒体用薄膜(特に保護膜としての使用)の形成に有用であるスパッタリングターゲットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ヘッドを必要とせずに読み書き可能な高密度光情報記録媒体である高密度記録光ディスク技術が開発され、急速に関心が高まっている。この光ディスクはROM(read−only)型、R(write−once)型、RW(rewritable)型の3種類に分けられるが、特にRW(RAM)型で使用されている相変化方式が注目されている。この相変化型光ディスクの記録原理を以下に簡単に説明する。
相変化型光ディスクは、基板上の記録薄膜をレーザー光の照射によって加熱昇温させ、その記録薄膜の構造に結晶学的な相変化(アモルファス⇔結晶)を起こさせて情報の記録を行うものであり、より具体的にはその相間の光学定数の変化に起因する反射率の変化を検出して情報の再生を行うものである。
【0003】
上記の相変化は数百nm〜数μm程度の径に絞ったレーザー光の照射によって行なわれる。この場合、例えば1μmのレーザービームが10m/sの線速度で通過するとき、光ディスクのある点に光が照射される時間は100nsであり、この時間内で上記相変化と反射率の検出を行う必要がある。
また、上記結晶学的な相変化すなわちアモルファスと結晶との相変化を実現する上で、記録層だけでなく周辺の誘電体保護層やアルミニウム合金の反射膜も加熱と急冷が繰返されることになる。
【0004】
このようなことから相変化光ディスクは、Ge−Sb−Te系等の記録薄膜層の両側を硫化亜鉛−ケイ酸化物(ZnS・SiO)系の高融点誘電体の保護層で挟み、さらにアルミニウム合金反射膜を設けた四層構造となっている。
このなかで反射層と保護層は、記録層のアモルファス部と結晶部との吸収を増大させ反射率の差が大きい光学的機能が要求されるほか、記録薄膜の耐湿性や熱による変形の防止機能、さらには記録の際の熱的条件制御という機能が要求される(雑誌「光学」26巻1号頁9〜15参照)。
このように、高融点誘電体の保護層は昇温と冷却による熱の繰返しストレスに対して耐性をもち、さらにこれらの熱影響が反射膜や他の箇所に影響を及ぼさないようにし、かつそれ自体も薄く、低反射率でかつ変質しない強靭さが必要である。この意味において誘電体保護層は重要な役割を有する。
【0005】
上記誘電体保護層は、通常スパッタリング法によって形成されている。このスパッタリング法は正の電極と負の電極とからなる基板とターゲットとを対向させ、不活性ガス雰囲気下でこれらの間に高電圧を印加して電場を発生させるものであり、この時電離した電子と不活性ガスが衝突してプラズマが形成され、このプラズマ中の陽イオンがターゲット(負の電極)表面に衝突してターゲット構成原子を叩きだし、この飛び出した原子が対向する基板表面に付着して膜が形成されるという原理を用いたものである。
【0006】
従来、主として書き換え型の光情報記録媒体の保護層に一般的に使用されているZnS−SiOは、光学特性、熱特性、記録層との密着性等において、優れた特性を有することから広く使用されている。しかし、書き換え型のDVDは、レーザー波長の短波長化に加え、書き換え回数の増加、大容量化、高速記録化が強く求められており、従来のZnS−SiOでは特性が不十分となりつつある。
光情報記録媒体の書き換え回数等が劣化する原因の一つとして、ZnS−SiOに挟まれるように配置された記録層材へのZnS−SiOからの硫黄成分の拡散が挙げられる。また、大容量、高速記録化のため高反射率で高熱伝導特性を有する純Ag又はAg合金が反射層材料として使用されるようになった。
この反射層も保護層材であるZnS−SiOと接するように配置されているが、ZnS−SiOからの硫黄成分の拡散により、純Ag又はAg合金反射層材料が腐食劣化して、光情報記録媒体の反射率等への特性劣化を引き起こす要因となっていた。
【0007】
これらの硫黄成分拡散防止のため、反射層と保護層、記録層と保護層の間に、窒化物や炭化物を主成分とした中間層を設けた構成にしているが、積層数増加によるスループット低下及びコスト増加が問題となっていた。
上記の問題を解決するために、保護層材ZnS−SiOと同等特性で、ZnSを含まない材料が求められている。またSiOは成膜レートが低く、異常放電も生じ易い。
このようなことから、ZnSとSiOを含まないZnOベースのホモロガス化合物を主成分とする材料の適用を考えた(非特許文献1参照)。このホモロガス化合物は複雑な層状構造をとるため、成膜時の非晶質性を安定に保つという特徴があり、SiO添加と同様の効果がある。
また使用波長領域において透明であり、屈折率もZnS−SiOに近いという特性を持つ。このように、保護層材ZnS−SiOを酸化物系の主成分の材料へと置き換えることで硫黄成分の影響の低減又はそれを消失させることにより、光情報記録媒体の特性改善及び生産性向上が期待された。
【0008】
一般に、ホモロガス化合物を主成分とする材料を透明導電性材料として使用する例として、例えば亜鉛−インジウム系酸化物ターゲットをレーザーアブレーションにより形成する方法(特許文献1参照)、導電性と特に青色光透過性が良好であるとする非晶質性酸化物を含む透明導電体膜の例(特許文献2参照)、InとZnと主成分とし、In(ZnO)m(m=2〜20)であり、InとZn(In/(In+Zn))の原子比が0.2〜0.85である耐湿性膜形成用ターゲットの例がある(特許文献3参照)。
しかし、上記の透明導電膜を形成する材料は、必ずしも光情報記録媒体用薄膜(特に保護膜としての使用)には十分とは言えず、またZnOをベースとするホモロガス化合物は、バルク密度が上がり難く低密度の焼結体ターゲットしか得られないという問題があった。
このような低密度のターゲットは、スパッタリングによって膜を形成する際に、アーキングを発生し易く、それが起因となってスパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールが発生し、成膜の均一性及び品質が低下するだけでなく、生産性も劣るという問題があった。
【0009】
【非特許文献】
技術誌「固体物理」李春飛他3名著、Vol.35、No.1、2000、23〜32頁「ホモロガス化合物RMO(ZnO)(R=In,Fe;M=In,Fe,Ga,Al;m=自然数)の変調構造の電子顕微鏡観察」
【特許文献】
特開2000−26119号公報
【特許文献】
特開2000−44236号公報
【特許文献】
特許第2695605号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ZnSとSiOを含まないZnOベースのスパッタリングターゲットであり、スパッタリングによって膜を形成する際に、基板への加熱等の影響を少なくし、高速成膜ができ、膜厚を薄く調整でき、またスパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができ、かつ結晶粒が微細であり80%以上、特に90%以上の高密度を備えた特に保護膜としての使用に最適であるスパッタリングターゲットの製造方法を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、酸化亜鉛を主成分としたホモロガス化合物の成分調整を行いかつ密度を高めることにより、保護膜としての特性も損なわず、さらにスパッタ時に発生するパーティクルやノジュールを低減でき、膜厚均一性も向上できるとの知見を得た。
【0012】
本発明はこの知見に基づき、
1.Aはインジウムであり、Bは3価以上の陽性元素であって、アルミニウム、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニオブ、タンタル、ゲルマニウム、錫、アンチモンから選択した少なくとも1種類以上の元素であり、AとBの価数を其々Ka、Kbとしたとき、In (KaX+KbY)/2(ZnO)、0<X<2、Y=2−X、1≦m(但し、1≦m<1.125のとき、0≦Y≦0.625−0.2×(1.125−m)、1.125≦m≦1.636のとき、0≦Y≦1.223×(1.636−m)である条件を除く)を満たす酸化亜鉛を主成分とした化合物、かつ相対密度が80%以上であるスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒径が5μm以下の酸化物からなる全ての焼結原料を焼結前に800〜1300°Cで仮焼し、原料粉末が酸化亜鉛を主成分としたホモロガス化合物に形成され、仮焼後粉砕して各構成元素の酸化物或いは複合酸化物粉末の平均粒径を1μm以下とした後、常圧焼結又は高温加圧焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
2.相対密度が90%以上であることを特徴とする上記1記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
3.真空中又はアルゴン、窒素等の不活性雰囲気中で焼結することを特徴とする上記1〜2のいずれかに記載のスパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明により製造されるスパッタリングターゲットは、Aはインジウムであり、Bは3価以上の陽性元素であって、アルミニウム、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニオブ、タンタル、ゲルマニウム、錫、アンチモンから選択した少なくとも1種類以上の元素であり、AとBの価数を其々Ka、Kbとしたとき、In (KaX+KbY)/2(ZnO)、0<X<2、Y=2−X、1≦m(但し、1≦m<1.125のとき、0≦Y≦0.625−0.2×(1.125−m)、1.125≦m≦1.636のとき、0≦Y≦1.223×(1.636−m)である条件を除く)を満たす酸化亜鉛を主成分とした化合物、かつ相対密度が80%以上であるスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒径が5μm以下の酸化物からなる全ての焼結原料を焼結前に800〜1300°Cで仮焼し、原料粉末が酸化亜鉛を主成分としたホモロガス化合物に形成され、仮焼後粉砕して各構成元素の酸化物或いは複合酸化物粉末の平均粒径を1μm以下とした後、常圧焼結又は高温加圧焼結することによって製造する。
本発明によって製造されるスパッタリングターゲット基本成分となる酸化亜鉛を主成分とした高密度化合物は、異常放電が少なく、成膜レートが安定するといったスパッタリング特性に優れた特徴を持つ。
【0014】
本発明によって製造されるスパッタリングターゲットは、該ターゲット内における亜鉛以外の、陽性元素のばらつきの範囲を0.5%以内、さらには0.3%以内におさえることができ、またターゲット内における密度のばらつきの範囲を3%以内、さらには1.5%以内とすることができる。これによって、膜厚及び特性の均一性に優れた光情報記録媒体用薄膜が得られる。この保護膜は、反射層或いは記録層と隣接させて使用することができる。
本発明によって得られた高密度スパッタリングターゲットは、高周波(RF)スパッタ又は直流スパッタ(DCスパッタ)によって薄膜を形成することができる。特に、DCスパッタリングはRFスパッタリングに比べ、成膜速度が速く、スパッタリング効率が良いという点で優れている。
また、DCスパッタリング装置は価格が安く、制御が容易であり、電力の消費量も少なくて済むという利点がある。さらに、屈折率の高い添加物と組み合わせることで、通常のZnS−SiO(2.0〜2.1)より大きくすることができ、保護膜自体の膜厚を薄くすることも可能となるため、生産性向上、基板加熱防止効果を発揮できる。
したがって、本発明によって製造されるスパッタリングターゲットを使用することにより、生産性が向上し、品質の優れた材料を得ることができ、光ディスク保護膜をもつ光記録媒体を低コストで安定して製造できるという著しい効果がある。
【0015】
さらに、本発明のスパッタリングターゲットの製造に際しては、平均粒径が5μm以下である各構成元素の酸化物粉末を常圧焼結又は高温加熱焼結することによって製造する。これにより結晶粒が均一で微細な高密度ターゲットが製造できる。焼結前に800〜1300°Cで仮焼し、また仮焼した後、1μm以下に粉砕した粉末を焼結することが望ましい。或いは800°C〜1300°Cで保持して、十分に反応を進めた後、さらに高温で焼結することもできる。さらに、真空中又はアルゴン、窒素等の不活性雰囲気中で焼結することができる。これによって、安定したDCスパッタリングが可能なターゲットを得ることができる。
本発明のターゲットの相対密度が80%以上、さらには90%以上の高密度のものを得ることができる。スパッタリングターゲットの密度向上は、空孔を減少させ結晶粒を微細化し、ターゲットのスパッタ面を均一かつ平滑にすることができるので、スパッタリング時のパーティクルやノジュールを低減させ、さらにターゲットライフも長くすることができるという著しい効果を有し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができる。
【0016】
【実施例および比較例】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0017】
(実施例1)
4N相当で平均粒径5μm以下のIn粉と4N相当で平均粒径1μm以下のAl粉と4N相当で平均粒径5μm以下のZnO粉を用意し、In:Al:ZnO=15:5:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1100°Cで仮焼した。仮焼後、平均粒径1μmとなるまで湿式微粉砕し造粒した粉を成形型に充填し、冷間加圧成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1400°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は98.2%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を表1に示す。組成と密度のばらつきは、いずれも小さいことが確認できた。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。スパッタは安定しており、成膜レート12Å/sec、成膜サンプルの透過率は99%以上(波長650nm)、屈折率は1.9(波長633nm)であった。
【0018】
【表1】
Figure 0004793773
【0019】
(実施例2)
焼結原料として、4N相当で平均粒径5μm以下のIn粉と4N相当で平均粒径1μm以下のAl粉と4N相当で平均粒径5μm以下のZnO粉を用意し、In:Al:ZnO=10:15:75mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1100°Cで仮焼した。仮焼後、平均粒径1μmとなるまで湿式微粉砕し造粒した粉を成形型に充填し、冷間加圧成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1400°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は95.1%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を表1に示す。組成と密度のばらつきは、いずれも小さいことが確認できた。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。スパッタは安定しており成膜レートは11Å/sec、成膜サンプルの透過率は98%、(波長650nm)、屈折率は1.9(波長633nm)であった。
【0020】
(実施例3)
焼結原料として、4N相当で平均粒径5μm以下のIn粉と4N相当で平均粒径5μm以下のFe粉と4N相当で平均粒径3μm以下のZnO粉を用意し、In:Fe:ZnO=10:10:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1000°Cで仮焼した。仮焼後、平均粒径1μmとなるまで湿式微粉砕し造粒した粉を成形型に充填し、冷間加圧成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1350°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は92%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を表1に示す。組成と密度のばらつきは、いずれも小さいことが確認できた。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。成膜レートは12Å/sec、成膜サンプルの透過率は85%(波長650nm)、屈折率は2.5(波長633nm)であった。
【0021】
(実施例4)
焼結原料として、4N相当で平均粒径5μm以下のIn粉と4N相当で平均粒径3μm以下のGa粉と4N相当で平均粒径3μm以下のZnO粉を用意し、In:Ga:ZnO=10:10:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1000°Cで仮焼した。仮焼後、平均粒径1μmとなるまで湿式微粉砕し、その乾燥した粉をカーボン製ダイス型に充填し、Ar雰囲気下、温度1050°Cでホットプレスを行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は93%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を表1に示す。組成と密度のばらつきは、いずれも小さいことが確認できた。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、DCスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。成膜レートは20Å/sec、成膜サンプルの透過率は98%(波長650nm)、屈折率は1.9(波長633nm)であった。
【0022】
(比較例1)
焼結原料として、4N相当で平均粒径15μmのIn粉と4N相当で10μmのAl粉と4N相当で平均粒径10μmのZnO粉を用意し、In:Al:ZnO=15:5:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、成形型に充填、冷間成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1400°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は71%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を同様に、表1に示す。本比較例では、焼結原料として使用した粉の平均粒径が本発明から大きく外れているが、組成と密度のばらつきが大きくなり、また密度が小さくなるという結果になった。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。成膜サンプルの透過率は95%(波長650nm)、屈折率は2.0(波長633nm)であった。スパッタは安定せず成膜レートも8Å/secと低かった。
【0023】
(比較例2)
4N相当で平均粒径10μmのIn粉と4N相当で3μmのGa粉と4N相当で平均粒径7μmのZnO粉を用意し、In:Ga:ZnO=10:10:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、成形型に充填、冷間成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1400°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は73%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を同様に、表1に示す。本比較例では、焼結原料として使用した粉の平均粒径が本発明から大きく外れているが、組成と密度のばらつきが大きくなり、また密度が小さくなるという結果になった。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。成膜サンプルの透過率は89%(波長650nm)、屈折率は1.9(波長633nm)であった。スパッタは安定せず、成膜レートも6Å/secと低かった。
【0024】
(比較例3)
4N相当で平均粒径5μm以下のIn粉と4N相当で5μm以下のFe粉と4N相当で平均粒径3μm以下のZnO粉を用意し、In:Fe:ZnO=10:10:80mol%となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1000°Cで仮焼した。仮焼後軽く解砕(粒径10〜数十μm)して造粒した粉を成形型に充填、冷間成形(CIP成形)した後、酸素雰囲気下、温度1350°Cで常圧焼結を行いターゲットとした。このターゲットの相対密度は68%であった。
ターゲット内より任意に3ケ所からサンプリングして組成(ICP法)と密度(アルキメデス法)のばらつきを評価した。この結果を同様に、表1に示す。本比較例では、焼結原料として仮焼を行い、それを軽く解砕したものであるが、このような解砕は組成と密度のばらつきを大きくし、密度低下になることが分った。
これを6インチφサイズに加工したターゲットを使用して、スパッタリングを行った。スパッタ条件は、RFスパッタ、スパッタパワー1000W、Arガス圧0.5Paとし、目標膜厚1500Åで成膜した。成膜サンプルの透過率は78%(波長650nm)、屈折率は2.6(波長633nm)であった。スパッタは安定せず成膜レートも4Å/secと低かった。
【0025】
本発明は、上記実施例に示すように、ZnSとSiOを含まないZnOベースのホモロガス化合物を主成分とする材料を使用してターゲットを製造するものであるが、焼結原料の調整は非常に重要である。ターゲット密度を80%以上、さらには90%以上にするとともに、組成及び密度のばらつきを減少させることによって、膜の特性劣化やばらつきを引き起こす要因を無くし、成膜の際にスパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができるという著しい効果がある。
これらに対して、比較例においては、原料粉の粒径が本発明から外れており、これによって、密度及び組成のばらつきが増加している。また、非晶質安定性も得られていなかった。さらに、密度が低いことに起因して、スパッタリングの際に異常放電が発生し、そしてこれらに起因してパーティクル(発塵)やノジュールが増加し、また相変化型光ディスク保護膜としての特性も損なわれるという問題があることも分った。
【0026】
上記実施例1〜4においては、Aとしてインジウムを用い、3価以上の陽性元素として、アルミニウム、鉄、ガリウムを用いたが、他の3価以上の陽性元素であるスカンジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニオブ、タンタル、ゲルマニウム、錫、アンチモン等から選択した少なくとも1種類以上の元素を用いて実施した場合も、実施例1〜4と同様の結果が得られた(結果が重複し、煩雑になるので割愛した)。また、以上の元素を複合させた場合も同様の結果であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、ZnSとSiOを含まないZnOベースのホモロガス化合物を主成分とする材料を使用してターゲットを製造するものであり、該化合物の成分調整を行い、さらにターゲットの密度を80%以上、好ましくは90%以上とする。また、ターゲットの組成及び密度のばらつきを減少させることによって、膜の特性劣化やばらつきを引き起こす要因を無くした。また、DCスパッタを可能とすることで、DCスパッタリングの特徴である、スパッタの制御性を容易にし、成膜速度を上げ、スパッタリング効率を向上させることができるという著しい効果がある。
また、屈折率を高くすることも可能となるため、このスパッタリングターゲットを使用することにより生産性が向上し、品質の優れた材料を得ることができ、光ディスク保護膜をもつ光記録媒体を低コストで安定して製造できるという著しい効果がある。
さらに、本発明の製造方法によって得られた高密度ターゲットは、スパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができ、また保護膜としての特性も損なわずに、該ターゲットを使用して酸化亜鉛を主成分とする相変化型光ディスク保護膜を形成した光記録媒体を得ることができるという著しい効果を有する。

Claims (3)

  1. Aはインジウムであり、Bは3価以上の陽性元素であって、アルミニウム、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニオブ、タンタル、ゲルマニウム、錫、アンチモンから選択した少なくとも1種類以上の元素であり、AとBの価数を其々Ka、Kbとしたとき、In (KaX+KbY)/2(ZnO)、0<X<2、Y=2−X、1≦m(但し、1≦m<1.125のとき、0≦Y≦0.625−0.2×(1.125−m)、1.125≦m≦1.636のとき、0≦Y≦1.223×(1.636−m)である条件を除く)を満たす酸化亜鉛を主成分とした化合物、かつ相対密度が80%以上であるスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒径が5μm以下の酸化物からなる全ての焼結原料を焼結前に800〜1300°Cで仮焼し、原料粉末が酸化亜鉛を主成分としたホモロガス化合物に形成され、仮焼後粉砕して各構成元素の酸化物或いは複合酸化物粉末の平均粒径を1μm以下とした後、常圧焼結又は高温加圧焼結することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 真空中又はアルゴン、窒素等の不活性雰囲気中で焼結することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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