JP4628685B2 - 光情報記録媒体用スパッタリングターゲット及び光情報記録媒体 - Google Patents
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しかし、今日Blue-Rayに代表される書き換え型DVDは、さらに書き換え回数の増加、大容量化、高速記録化が強く求められている。
また、大容量化、高速記録化のため高反射率で高熱伝導特性を有する純AgまたはAg合金が反射層材に使用されるようになったが、このような反射層も保護層材であるZnS−SiO2と接するように配置されている。
したがって、この場合も同様に、ZnS−SiO2からの硫黄成分の拡散により、純AgまたはAg合金反射層材も腐食劣化して、光情報記録媒体の反射率等の特性劣化を引き起こす要因となっていた。
上記のような問題を解決するため、保護層材に硫化物を含まない酸化物のみの材料へと置き換え、ZnS−SiO2と同等以上の光学特性、非晶質安定性を有する材料系を見出すことが急務となっていた。
ところが、この高周波スパッタリング(RF)装置は、装置自体が高価であるばかりでなく、スパッタリング効率が悪く、電力消費量が大きく、制御が複雑であり、成膜速度も遅いという多くの欠点がある。
また、成膜速度を上げるため、高電力を加えた場合、基板温度が上昇し、ポリカーボネート製基板の変形を生ずるという問題がある。また、ZnS−SiO2は膜厚が厚いために起因するスループット低下やコスト増も問題となっていた。
しかし、特許文献1は、光学特性及び非晶質性が劣る領域を含む問題があり、また特許文献2は、十分な成膜速度が得られず、非晶質性に劣る領域を含むという問題があった。
また、本材料系を使用することにより、光情報記録媒体の特性改善、生産性の大幅な向上が可能となるという優れた効果を有する。
上記のように、In2O3とZnO又はIn2O3とZnOと3価の酸化物で構成されるZnOを主成分とするホモロガス構造を有する材料は、光学特性及び膜の非晶質性が安定しており、相変化型光記録媒体の保護層材に適している。
本材料系にさらにY 2 O 3 を適量添加することにより、より非晶質性が安定し、透過率を向上させることが出来るため、書換え速度の速い相変化記録媒体や青色レーザー系の相変化記録媒体用保護層材に適する。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、InXMYO3(ZnO)m、m≧1、X+Y=2、M=Al、Gaの何れか1種又は2種、のホモロガス構造を有し、これにYの元素の酸化物を含有する材料から構成することもできる。これによって、さらに光学特性(屈折率、透過率)を改善することができる。
また、この場合、同様にYの元素をAとしたとき、それぞれの元素比がそれぞれA/(In+Zn+M+A)=0.06〜0.65、Zn/(In+Zn+M+A)=0.14〜0.76、In/(In+Zn+M+A)=0.005〜0.56、M/(In+Zn+M+A)=0.005〜0.56、で構成される酸化物であることが望ましい。これによって、非晶質安定性を維持し、且つ光学特性(屈折率、透過率)をさらに改善できる。
上記に述べるスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体構造の一部を形成する光情報記録媒体を提供することができる。さらに、上記スパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体の構造の一部を形成し、且つ記録層又は反射層と隣接して配置されている光情報記録媒体を作製することができる。
また、DCスパッタリング装置は価格が安く、制御が容易であり、電力の消費量も少なくて済むという利点がある。保護膜自体の膜厚を薄くすることも可能となるため、生産性向上、基板加熱防止効果をさらに発揮できる。
また、大容量化、高速記録化のため、高反射率で高熱伝導特性を有する純AgまたはAg合金が反射層材に使用されるようになったが、この隣接する反射層への硫黄成分の拡散も無くなり、同様に反射層材が腐食劣化して、光情報記録媒体の反射率等の特性劣化を引き起こす原因が一掃されるという優れた効果を有する。
本発明のスパッタリングターゲットの密度向上は、空孔を減少させ結晶粒を微細化し、ターゲットのスパッタ面を均一かつ平滑にすることができるので、スパッタリング時のパーティクルやノジュールを低減させ、さらにターゲットライフも長くすることができるという著しい効果を有し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができる。
4N相当で5μm以下のIn2O3粉、Al2O3粉、Ga2O3粉、Y2O3粉及び4N相当で平均粒径5μm以下のZnO粉を準備し、表1及び表2に示す組成となるように調合して、湿式混合し、乾燥後、1100°Cで仮焼した。さらに、この仮焼粉を平均粒径1μm相当まで湿式微粉砕した後、バインダーを添加してスプレードライヤーで造粒した。
この造粒粉を冷間で加圧成形し、酸素雰囲気、1300°Cで常圧焼結し、この焼結材を機械加工でターゲット形状に仕上げた。
このターゲットの構成成分、組成比(In/(In+Zn+M+A)、A/(In+Zn+M+A)、Zn/(In+Zn+M+A)、M/(In+Zn+M+A))を表1及び表2に示す。
成膜サンプルの透過率(波長633nm)%、屈折率(波長633nm)、非晶質性(成膜サンプルのアニール処理(600°C×30min、Ar雰囲気)を施した、XRD(Cu−Kα、40kV、30mA)による測定における2θ=20−60°の範囲の未成膜ガラス基板に対する最大ピーク強度で表した)、さらにスパッタ方式及び成膜速度(Å/sec)の測定した結果等を、まとめて表1及び表2に示す。
スパッタ膜の透過率は、91〜99%(633nm)に達し、屈折率は2.0〜2.1であり、また特定の結晶ピークは見られず、安定した非晶質性(1.0〜1.4)を有していた。
本実施例のターゲットは、ZnSを使用していないので、硫黄の拡散・汚染による光情報記録媒体の特性劣化は生じない。また、後述する比較例に比べて、成膜サンプルの透過率、屈折率、非晶質の安定性、ターゲット密度、成膜速度がいずれも良好な値を示し、選択される成分組成によっては、DCスパッタも可能であった。
表1及び表2に示すように、本願発明の条件とは異なる原料粉の成分及び組成比の材料、特に比較例4においてはZnS原料粉を準備し、これを実施例と同様の条件で、ターゲットを作製し、かつこのターゲットを用いてスパッタ膜を形成した。
この結果を、同様に表1及び表2に示す。
比較例2については、In 2 O 3 が規定量を超えているため、透過率83%と悪く、非晶質性も2.8と悪い結果となった。
比較例3については、In2O3が規定量よりも少ないために、屈折率、非晶質性2.3と悪く、成膜速度も0.4Å/secと著しく悪い結果となった。
また、特に比較例4はZnSが多く含有されており、硫黄による汚染の危険のある材料であった。
さらに、非晶質性が安定化するとともにターゲットに導電性が付与され、相対密度を90%以上の高密度化によって、材料によっては安定したDCスパッタを可能とする。そして、このDCスパッタリングの特徴である、スパッタの制御性を容易にし、成膜速度を上げ、スパッタリング効率を向上させることができるという著しい効果がある。さらにまた、成膜の際にスパッタ時に発生するパーティクル(発塵)やノジュールを低減し、品質のばらつきが少なく量産性を向上させることができ、光ディスク保護膜をもつ光記録媒体を低コストで安定して製造できるという著しい効果がある。
Claims (5)
- (In2O3)(ZnO)m、m≧1の硫化物を含まないホモロガス構造を有し、これにYの元素の酸化物を含有する材料から成り、Yの元素をAとしたとき、それぞれの元素比がA/(In+Zn+A)=0.06〜0.65、Zn/(In+Zn+A)=0.14〜0.76、In/(In+Zn+A)=0.06〜0.62で構成される酸化物であることを特徴とする光情報記録媒体用スパッタリングターゲット。
- InXMYO3(ZnO)m、m≧1、X+Y=2、M=Al、Gaの何れか1種又は2種の硫化物を含まないホモロガス構造を有し、これにYの元素の酸化物を含有する材料から成り、Yの元素をAとしたとき、それぞれの元素比がそれぞれA/(In+Zn+M+A)=0.06〜0.65、Zn/(In+Zn+M+A)=0.14〜0.76、In/(In+Zn+M+A)=0.005〜0.56、M/(In+Zn+M+A)=0.005〜0.56、で構成される酸化物であることを特徴とする光情報記録媒体用スパッタリングターゲット。
- 相対密度が90%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体用スパッタリングターゲット。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体構造の一部を形成することを特徴とする光情報記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲットを使用して、少なくとも薄膜として光情報記録媒体の構造の一部を形成し、且つ記録層又は反射層と隣接して配置されていることを特徴とする光情報記録媒体。
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