JP4960053B2 - 酸化ジスプロシウム含有酸化物ターゲット - Google Patents

酸化ジスプロシウム含有酸化物ターゲット Download PDF

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Description

本発明は導電膜又は半導体を形成するときに使用する酸化物のターゲットに関する。さらに詳しくは、ジスプロシウムを含有する酸化物焼結体からなる酸化物ターゲットに関する。
インジウムを主成分とする透明導電膜では、スズをドープした酸化インジウム(ITO)が、一般的に使用されている。これは、スズのドーピングによりキャリヤーの濃度を向上し、導電性に優れた透明導電膜が得られるためである。
しかしながら、ITO膜は、エッチング加工には強酸(例えば、王水等)を用いる必要があり、TFT液晶用の電極に用いた場合、下地層の金属配線を腐食することがある等の難点を有している。さらに、スパッタリングによりITO膜を作製する際に用いるITOターゲットは還元により黒化し易いため、その特性の経時変化が問題となっている。
ITO膜よりもエッチングに優れると共に、ITO膜と同等の導電性及び光透過率を有する透明導電膜及びそれを得るために好適なスパッタリングターゲットとして、酸化インジウムと酸化亜鉛からなるターゲットや透明導電膜が提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、これら酸化インジウムと酸化亜鉛からなる透明導電膜は、弱酸でのエッチング速度が高いため、金属薄膜のエッチング液でもエッチングされ得る。従って、透明導電膜上に形成した金属薄膜をエッチングする場合、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる透明導電膜も同時にエッチングされてしまうことがあり、透明導電膜上の金属薄膜だけを選択的にエッチングする場合には不適であった。
また、インジウムとランタノイド元素を含む透明導電膜は、有機EL用電極や、半透過・半反射LCD電極として有用であることが報告されている(特許文献3−10)。
しかしながら、ランタノイド系元素の酸化物は導電性がなく、これら酸化物を酸化インジウムに混合してターゲットを作製した場合、絶縁性の粒子がそのままターゲット中に存在し、スパッタリング中に異常放電を起こしたり、ターゲット表面が黒化したりして、スパッタ速度が低下する等の不都合が生じるおそれがあった。
特開平6−234565号公報 特開平7−235219号公報 特開2004−68054号公報 特開2004−119272号公報 特開2004−139780号公報 特開2004−146136号公報 特開2004−158315号公報 特開2004−240091号公報 特開2004−294630号公報 特開2004−333882号公報
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、導電性が高く、異常放電やターゲットの表面黒化のない酸化物ターゲットを提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の酸化物ターゲット(以下、単にターゲットという)等が提供される。
1.インジウム(In)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物のターゲットであって、DyInOで表される酸化物を含有することを特徴とする酸化物ターゲット。
2.スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物のターゲットあって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とする酸化物ターゲット。
3.インジウム(In)、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物のターゲットであって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とする酸化物ターゲット。
4.全カチオン金属元素に対するSnの含有量[Sn/(全カチオン金属元素):原子比]が、Dyの含有量[Dy/(全カチオン金属元素):原子比]より多いことを特徴とする3に記載の酸化物ターゲット。
5.密度が6.5g/cm以上であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の酸化物ターゲット。
本発明の酸化物ターゲットは、ジスプロシウム元素を含む所定構造の酸化物が含まれているため導電性に優れることから、異常放電のない酸化物ターゲットとなる。この酸化物ターゲットは、スパッタリングターゲット、エレクトロンビーム用ターゲット、又はイオンプレーティング用ターゲットとして利用され、薄膜形成用原料となる。
本発明の酸化物ターゲットの第一の態様は、インジウム(In)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物の焼結体からなるターゲットであって、DyInOで表される酸化物を含有することを特徴とする(以下、このターゲットをターゲットIという)。
このターゲットIを用いた場合、単にIn及びDyからなるターゲットの場合に比べ、ターゲットの導電性が高く、また、ターゲット表面の黒化が少なくスパッタリング中の異常放電もなく安定したスパッタリング状態が保たれる。これにより、ITO膜と同等の光透過率を有する透明導電膜や、酸化インジウム・酸化亜鉛からなる酸化物半導体膜と同等の光透過性を有する酸化物半導体膜が安定して得られる。
ターゲットIは、DyInOで表される形態の酸化物を含んでいるものであり、ターゲットを構成する焼結体の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
(a)DyInO
(b)DyInOとInの混合物
(c)DyInOとDyの混合物
これらのうち、(a),(b)の焼結体が好ましい。この場合、Ybが単独で存在することがなく、スパッタリング中の異常放電を抑えることが出来る。尚、ターゲット中の酸化物の構造は、X線回折測定により得られるチャートから同定する。後述するターゲットII及びIIIも同様である。(c)の場合、Ybが単独で存在するようになり、異常放電を発生する場合がある。
このターゲットにおいて、DyとInの合計に占めるDyの割合(原子比:Dy/(Dy+In))は、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは、0.01〜0.2、特に好ましくは、0.01〜0.15である。0.001未満では、Dy原子の添加効果が得られなくなるおそれがあり、0.5を超えると、Dyが単独で存在するようになり、ターゲット中に絶縁物であるDyが粒状に存在するようになり、ターゲットの抵抗値が大きくなりすぎて、スパッタリング時に異常放電等の問題を起こす場合がある。また、ターゲット自体の強度が低下し、ターゲット製造工程の中の焼結工程で割れたり、変形したりする問題がある。
ターゲットにおけるDyとInの原子比は、焼結前の原料であるインジウム化合物とジスプロシウム化合物の混合比を調整することにより制御できる。焼結前の混合比により、化学量論比率に見合うインジウム化合物とジスプロシウム化合物からなるDyInO等のジスプロシウム・インジウム化合物が生成し、残りのインジウム化合物が結晶性物質又は非晶質物質等として存在するものと推定される。
ターゲットIの製造方法としては、例えば、原料物質としてインジウム原子を含む化合物とジスプロシウム原子を含む化合物を使用して、これらの混合物を焼結する方法が挙げられる。
インジウム原子を含む化合物としては、酸化インジウム、水酸化インジウム等が挙げられる。好ましくは、酸化インジウムである。
ジスプロシウム原子を含む化合物としては、酸化ジスプロシウム、蓚酸ジスプロシウム、炭酸ジスプロシウム、硝酸ジスプロシウム等が挙げられる。好ましくは、酸化ジスプロシウム、炭酸ジスプロシウムである。
上記の出発原料は、ビーズミル等により粉砕混合することが好ましい。これにより、原料を均一に混合でき、また、原料の粒径を小さくできる。
原料の平均粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは、0.8μm以下である。3μm超になると、例えば、Dyがそのままターゲット中に絶縁性の粒子として存在するので、異常放電の原因となる場合がある。DyInOの生成は、X線回折により確認できる。
原料粉体を所定の形状に成形したものを焼成する。焼成条件は、1000〜1600℃である。好ましくは、1200〜1500℃、より好ましくは、1250〜1450℃である。1000℃未満では、Dyの反応性が低く、DyInOが生成しない場合がある。1600℃超では、Inの昇華や熱分解が起こり組成が変化したり、生成したDyInOが分解したりする場合がある。
本発明では、焼結体がDyInOを含有するが、この形態の酸化物は、上記の焼結によって形成することができる。生成されるDyInOの粒径は、EPMAのマッピングにより測定することができる。DyInOの粒径は10μm以下であり、好ましくは5μm以下がよい。10μm超のDyInOの粒子が存在する場合、粒子周辺の導電性の差により異常放電を起こす場合がある。10μm以下では異常放電が抑えられ、安定したスパッタリングができるようになる。
本発明の酸化物ターゲットの第二の態様は、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物の焼結体からなるターゲットであって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とする(以下、このターゲットをターゲットIIという)。
このターゲットIIを用いた場合、単にSnO及びDyからなるターゲットの場合に比べ、ターゲット表面の黒化がなくスパッタリング中の異常放電もなく安定したスパッタリング状態が保たれる。
ターゲットIIは、DySnで表される形態の酸化物を含んでいるものであり、ターゲットを構成する焼結体の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
(a)DySn
(b)DySnとSnOの混合物
(c)DySnとDyの混合物
(d)DySnとSnOとDyの混合物
上記のうち、(b)の焼結体が好ましい。
このターゲットにおいて、DyとSnの合計に占めるDyの割合(原子比:Dy/(Dy+Sn))は、好ましくは0.001〜0.5であり、より好ましくは0.01〜0.2、特に好ましくは、0.01〜0.15である。0.001未満では、Dyの添加効果が得られないおそれがあり、0.5を超えると、Dyが単独で存在するようになり、ターゲットの抵抗値が大きくなりすぎて、スパッタリング時に異常放電等の問題を起こす場合がある。尚、そのような場合には、RFスパッタリング法を採用することにより、異常放電を抑えることができる場合がある。
上記のDyとSnの原子比は焼結前のスズ化合物とジスプロシウム化合物の混合比を調整することにより制御できる。焼結前に混合比により、化学量論比率に見合うスズ化合物とジスプロシウム化合物からなるDySn等のジスプロシウム・スズの酸化物が生成し、残りのスズ化合物が結晶性物質又は非晶質物質等として存在するものと推定される。
ターゲットIIの製造方法としては、例えば、原料物質としてスズ原子を含む化合物とジスプロシウム原子を含む化合物を使用して、これらの混合物を焼結する方法が挙げられる。
スズ原子を含む化合物としては、酸化スズ(酸化第一スズ、酸化第二スズ)、メタスズ酸等が挙げられる。好ましくは、酸化スズ(酸化第二スズ)である。
ジスプロシウム原子を含む化合物は、上述したターゲットIと同様である。
上記の出発原料は、ビーズミル等により粉砕混合することが好ましい。これにより、原料を均一に混合でき、また、原料の粒径を小さくできる。
原料の平均粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは、0.8μm以下である。3μm超になると、例えばDyがそのままターゲット中に絶縁性の粒子として存在するので、異常放電の原因となる場合がある。DySnの生成は、X線回折により確認できる。
原料粉体を所定の形状に成形したものを焼成する。焼成条件は、1000〜1600℃である。好ましくは、1200〜1500℃、より好ましくは、1250〜1450℃である。1000℃未満では、Dyの反応性が低く、DySnの生成が見られない場合がある。1600℃超では、Dyの昇華や熱分解が起こり組成が変化したり、生成したDySnが分解したりする場合がある。
本発明では、焼結体がDySnを含有するが、この形態の酸化物は、上記の焼結によって形成することができる。生成されるDySnの粒径は、EPMAのマッピングにより測定することができる。DySnの粒径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下がよい。10μm超のDySnの粒子が存在する場合、粒子周辺の導電性の差により異常放電を起こしたりする場合がある。10μm以下では異常放電が抑えられ、安定したスパッタリングができるようになる。
本発明の酸化物ターゲットの第三の態様は、インジウム(In)、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)を含有する酸化物の焼結体からなるターゲットであって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とする(以下、このターゲットをターゲットIIIという)。
このターゲットIIIを用いた場合、単にIn、SnO及びDyからなるターゲットの場合に比べ、ターゲットの導電性が高く、また、スパッタリング中の異常放電もなく、さらにターゲット表面の黒化がなく安定したスパッタリング状態が保たれる。
ターゲットIIIは、DySnで表される形態の酸化物を含んでいるものであり、ターゲットを構成する焼結体の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
(a)DySnとInの混合物
(b)DySnとInとSnOの混合物
(c)DySnとDyInOとInの混合物
(d)DySnとDyInOとSnOの混合物
上記のうち、(a)又は(b)からなる焼結体が好ましい。
このターゲットにおいて、Dyの原子比(Dy/(Dy+In+Sn))は、好ましくは0.001〜0.5であり、より好ましくは0.01〜0.2、特に好ましくは0.01〜0.15である。0.001未満では、Dyの添加効果が得られないおそれがあり、0.5を超えると、Dyが単独で存在するようになり、ターゲットの抵抗値が大きくなりすぎて、スパッタリング時に異常放電等の問題を起こす場合がある。また、ターゲット自体の強度が低下し、スパッタリング時にターゲットが割れる等の問題が発生する場合もある。
また、全カチオン金属元素に対するSnの含有量[Sn/(全カチオン金属):原子比]が、全カチオン金属元素に対するDyの含有量[Dy/(全カチオン金属):原子比]より多いことが好ましい。即ち、下記式の関係を満たすことが好ましい。
Dy/(全カチオン金属元素)<Sn/(全カチオン金属元素)
これは、DyとSnは反応しやすいため、DySnが生成しやすいことによる。即ち、DyがSnより過剰に存在する場合は、Snのほぼ全てがDyにより消費されることから、主にDyInOが生成される。その結果、InへのSnのドーピング量が減少するため、ターゲットのバルク抵抗が上昇する場合がある。
一方、上記式を満たすようにDyの含有量をSnの含有量より少なくした場合、DyはSnにより消費されるが、過剰のSnはInにドープされる。これにより、ターゲットの抵抗値は小さくなり、安定したスパッタリングの状態が保てるようになる。
尚、Snの含有量[原子比:Sn/(Dy+In+Sn)]は、上述した関係を満たし、かつ、0.03〜0.45の範囲が好ましく、特に0.05〜0.3の範囲が好ましい。
上記のDy、In及びSnの原子比は、焼結前のインジウム化合物とスズ化合物とジスプロシウム化合物の混合比を調整することにより得られる。焼結前に混合比により、化学量論比率に見合うスズ化合物とジスプロシウム化合物からなるDySn等のジスプロシウム・スズ化合物が生成し、残りのインジウム化合物とスズ化合物が結晶性物質又は非晶質物質等として存在するものと推定される。
ターゲットIIIの製造方法としては、例えば、原料物質としてインジウム原子を含む化合物、スズ原子を含む化合物及びジスプロシウム原子を含む化合物を使用して、これらの混合物を焼結する方法が挙げられる。
インジウム原子を含む化合物、スズ原子を含む化合物及びジスプロシウム原子を含む化合物の具体例は、上述したターゲットI又はIIと同様である。
原料粉体を所定の形状に成形したものを焼成する。焼成条件は、1000〜1600℃である。好ましくは、1200〜1500℃、より好ましくは、1250〜1450℃である。1000℃未満では、Dyの反応性が低く、DySnの生成が見られない場合がある。1600℃超では、Inの昇華や熱分解が起こり組成が変化したり、生成したDySnが分解したりする場合がある。
本発明では、焼結体がDySnを含有するが、この形態の酸化物は、焼結反応(熱反応)によって、形成することができる。
生成されるDySnの粒径は、EPMAのマッピングにより測定することができる。DySnの粒径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下がよい。10μm超のDySnの粒子が存在する場合、粒子周辺の導電性の差により異常放電を起こしたりする場合がある。10μm以下では異常放電が抑えられ、安定したスパッタリングができるようになる。
本発明のターゲットI〜IIIでは、ターゲットを構成する焼結体の密度が、好ましくは6.5g/cm以上、より好ましくは6.6〜7.2g/cmである。焼結体の密度が6.5g/cm未満では、ターゲット表面が黒化したりして異常放電が発生したりする場合がある。
密度の高い焼結体を得るには、焼成前の成形工程に冷間静水圧(CIP)等で成形したり、熱間静水圧(HIP)等により焼結することが好ましい。
本発明のターゲットを構成する焼結体は導電性が高い。具体的に、バルク抵抗を5Ωcm以下にすることができる。さらに、1Ωcm以下も可能である。本発明においては、特に、本発明においては、特に、Dy/(Dy+Sn+In)<Sn/(Dy+Sn+In)の組成にすることによりバルク抵抗を小さくすることができる。
尚、異常放電等のトラブルを低減するために、バルク抵抗は2MΩcm未満であることが好ましい。
本発明のターゲットを使用して導電性膜を成膜できる。成膜の方法としては、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等が使用できる。なかでもRFマグネトロンスパッタ法が好適に使用される。ターゲットのバルク抵抗が1Ωcmを超える場合、RFマグネトロンスパッタリング法を採用すれば、異常放電なしに安定したスパッタリング状態が保たれる。尚、ターゲットのバルク抵抗が1Ωcm以下である場合には、工業的に有利なDCマグネトロンスパッタリング法を採用することもできる。
これにより、異常放電なしに安定したスパッタリング状態が保たれ、工業的に連続して安定な成膜が可能となる。
尚、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる透明薄膜は、スパッタリングによる成膜中に大量の酸素を存在させることで酸化物半導体として利用できることが知られている(米国公開2005/199959)。本発明においても、スパッタリング成膜中に大量の酸素を存在させることにより、その薄膜中のキャリヤー密度を制御することができるため、酸化物半導体としての利用が可能である。
実施例及び比較例で作製したターゲットの特性の測定方法を以下に示す。
(1)密度
一定の大きさに切り出したターゲットの、重量と外形寸法より算出した。
(2)ターゲット中の各元素の原子比
ICP(Inductively Coupled Plasma)測定により、各元素の存在量を測定した。
(3)ターゲットのバルク抵抗
抵抗率計(三菱油化製、ロレスタ)を使用し四探針法により測定した。
(4)ターゲット中に存在する酸化物の構造
X線回折により得られたチャートを分析することにより酸化物の構造を同定した。
実施例1
酸化インジウム450gと酸化ジスプロシウム550gとを混合させて、湿式ビーズミルにて約5時間粉砕・混合した後、乾燥造粒し、φ0.1〜数mmの粉体を得た。
次いで、上記で得られた粉末を10mmφの金型に挿入し、金型プレス成形機により100kg/cmの圧力で予備成形を行った。次に、冷間静水圧プレス成形機により4t/cmの圧力で圧密化した後、1350℃で10時間焼成して焼結体を得た。この焼結体をターゲット(研削、研磨、バッキングプレートへの貼り付け)に加工した。
得られたターゲットについて、X線回折測定を行った結果、DyInO及びInを主成分とする酸化物からなることが確認された。
図1に、ターゲットのX線チャートを示す。
ICP分析の結果、原子比[Dy/(Dy+In)]は0.47であった。
EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による焼結体の面内の元素分布測定により、In、Dyの分散状態を確認した。その結果、その組成は実質的に均一であった。
また、ターゲットの密度は、6.94g/cmであり、バルク抵抗は1.6MΩcmであった。
実施例2
酸化スズ450gと酸化ジスプロシウム550gとを混合させて、湿式ビーズミルにて約5時間粉砕・混合し、乾燥造粒した。
次いで、得られた粉末を10mmφの金型に挿入し、金型プレス成形機により100kg/cmの圧力で予備成形を行った。次に、冷間静水圧プレス成形機により4t/cmの圧力で圧密化した後、1350℃で10時間焼成して焼結体としターゲットに加工した。
この様にして得られたターゲットは、X線回折測定の結果、DySn及びSnOを主成分とする酸化物からなることが確認された。
図2に、ターゲットのX線チャートを示す。
ICP分析の結果、原子比[Dy/(Dy+Sn)]は0.49であった。
EPMAによる焼結体の面内の元素分布測定により、Sn、Dyの分散状態を確認したが、その組成は実質的に均一であった。また、ターゲットの密度は、6.87g/cmであり、バルク抵抗は1.2MΩcmであった。
実施例3〜11
酸化インジウム、酸化スズ及び酸化ジスプロシウムの各粉末を、それぞれ表1に示す配合量にて混合し、湿式ビーズミルにて約5時間粉砕・混合し、乾燥造粒した。
次いで、得られた粉末を10mmφの金型に挿入し、金型プレス成形機により100kg/cmの圧力で予備成形を行った。次に、冷間静水圧プレス成形機により4t/cmの圧力で圧密化した後、1350℃で10時間焼成して焼結体としターゲットに加工した。
Figure 0004960053
この様にして得られたターゲットは、X線回折測定の結果、DySn及びInを主成分とすることが確認された。
図3−11に、それぞれ実施例3−11で作製したターゲットのX線チャートを示す。
表2にターゲットのICP分析の結果、EPMAによる面内の元素分布測定結果、密度及びバルク抵抗を示す。
Figure 0004960053
比較例1
酸化インジウム100g、酸化スズ100g及び酸化ジスプロシウム800gを混合させて、ドライビーズミルにて約5時間粉砕・混合後、スプレードライヤーにて乾燥した。
次いで、上記で得られた粉末を10mmφの金型に挿入し、金型プレス成形機により100kg/cmの圧力で予備成形を行った。次に、冷間静水圧プレス成形機により4t/cmの圧力で圧密化した後、1350℃で10時間焼成した。
炉から取出した状態の焼結体には、多くのクラックが発生し、また、割れが観測され、ターゲット(研削、研磨、バッキングプレートへの貼り付け)加工が実施できなかった。
この焼結体は、X線回折測定の結果、酸化ジスプロシウムを主成分とする酸化物からなる焼結体であることが確認された。
ICP分析の結果、原子比[Dy/(Dy+Sn+In)]は0.76であった。
EPMAによる焼結体の面内の元素分布測定により、In、Sn、Dyの分散状態を確認した結果、その組成は実質的に不均一であった。また、バルク抵抗は2MΩcm以上であった。
本発明のターゲットは、液晶表示装置(LCD)用透明導電膜、エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子用透明導電膜、太陽電池用透明導電膜等、種々の用途の透明導電膜、酸化物半導体膜をスパッタリング法により得るためのターゲットとして好適である。例えば、有機EL素子の電極や、半透過・半反射LCD用の透明導電膜、液晶駆動用酸化物半導体膜、有機EL素子駆動用酸化物半導体膜を得ることができる。
実施例1で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例2で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例3で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例4で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例5で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例6で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例7で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例8で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例9で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例10で作製したターゲットのX線チャートである。 実施例11で作製したターゲットのX線チャートである。

Claims (5)

  1. 実質的にインジウム(In)及びジスプロシウム(Dy)酸化物からなるターゲットであって、DyInOで表される酸化物を含有することを特徴とするスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティングに用いる酸化物ターゲット。
  2. 実質的にスズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)酸化物からなるターゲットであって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とするスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティングに用いる酸化物ターゲット。
  3. 実質的にインジウム(In)、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)酸化物からなるターゲットであって、DySnで表される酸化物を含有することを特徴とするスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティングに用いる酸化物ターゲット。
  4. 全カチオン金属元素に対するSnの含有量[Sn/(全カチオン金属元素):原子比]が、Dyの含有量[Dy/(全カチオン金属元素):原子比]より多いことを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティングに用いる酸化物ターゲット。
  5. 密度が6.5g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタリング、エレクトロンビーム蒸着、イオンプレーティングに用いる酸化物ターゲット。
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