JP6414527B2 - Sn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法 - Google Patents

Sn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池、液晶表面素子、タッチパネル等に適用される透明導電膜を直流スパッタリング、高周波スパッタリングといったスパッタリング法で製造する際にスパッタリングターゲットとして使用されるSn−Zn−O系酸化物焼結体に係り、特に、焼結体の加工中における破損、および、スパッタリング成膜中におけるスパッタリングターゲットの破損やクラックの発生等を抑制できるSn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法に関するものである。
高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有する透明導電膜は、太陽電池、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンスおよび無機エレクトロルミネッセンス等の表面素子や、タッチパネル用電極等に利用される他、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等の各種の防曇用透明発熱体としても利用されている。
透明導電膜としては、アンチモンやフッ素をドーパントとして含む酸化錫(SnO2)、アルミニウムやガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛(ZnO)、および、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(In23)等が知られている。特に、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(In23)膜、すなわち、In−Sn−O系の膜はITO(Indium tin oxide)膜と称され、低抵抗の膜が容易に得られることから広く用いられている。
上記透明導電膜の製造方法としては、直流スパッタリング、高周波スパッタリングといったスパッタリング法が良く用いられている。スパッタリング法は、蒸気圧の低い材料の成膜や精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。
このスパッタリング法は、薄膜の原料としてスパッタリングターゲットを用いる。スパッタリングターゲットは、成膜したい薄膜を構成している金属元素を含む個体であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等の焼結体や、場合によっては単結晶が使用される。スパッタリング法では、一般にその内部に基板とスパッタリングターゲットを配置できるようになった真空チャンバーを有する装置を用い、基板とスパッタリングターゲットを配置した後、真空チャンバーを高真空にし、その後アルゴン等の希ガスを導入し、真空チャンバー内を約10Pa以下のガス圧とする。そして、基板を陽極とし、スパッタリングターゲットを陰極とし、両者の間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のスパッタリングターゲットに衝突させ、これによってはじきとばされるターゲットの成分粒子を基板上に堆積させて膜を形成するものである。
そして、上記透明導電膜を製造するため、従来、ITO等の酸化インジウム系の材料が広範囲に用いられている。しかし、インジウム金属は、地球上で希少金属であることと毒性を有しているため環境や人体に対し悪影響が懸念されており、非インジウム系の材料が求められている。
上記非インジウム系の材料としては、上述したようにアルミニウムやガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛(ZnO)系材料、および、アンチモンやフッ素をドーパントとして含む酸化錫(SnO2)系材料が知られている。そして、上記酸化亜鉛(ZnO)系材料の透明導電膜はスパッタリング法で工業的に製造されているが、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)に乏しい等の欠点を有する。他方、酸化錫(SnO2)系材料の透明導電膜は耐薬品性に優れているものの、高密度で耐久性のある酸化錫系焼結体ターゲットを製造し難いため、上記透明導電膜をスパッタリング法で製造することに困難が伴う欠点を有していた。
そこで、これ等の欠点を改善する材料として、酸化亜鉛と酸化錫を主成分とする焼結体が提案されている。例えば、特許文献1には、SnO2相とZn2SnO4相とからなり、当該Zn2SnO4相の平均結晶粒径が1〜10μmの範囲である焼結体が記載されている。
また、特許文献2には、平均結晶粒径が4.5μm以下で、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度をI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が標準(0.44)よりも大きい0.52以上とした焼結体が記載されている。更に、特許文献2には、上記特性を備えた焼結体を製造する方法として、当該焼結体製造工程を、焼成炉内に酸素を含む雰囲気中において800℃〜1400℃の条件で成形体を焼成する工程と、最高焼成温度での保持が終了してから焼成炉内をArガス等の不活性雰囲気にして冷却する工程とで構成する方法も記載されている。
ところで、酸化亜鉛と酸化錫を主成分とした焼結体において、Sn/(Zn+Sn)の原子比が0.61を超えるような高Sn濃度のSn−Zn−O系酸化物焼結体は耐薬品性に優れることから、上記Sn/(Zn+Sn)比を大きくすることが求められている。
しかし、Sn/(Zn+Sn)の原子比が0.61を超えた場合、特許文献2に記載された焼結体製造工程の「最高焼成温度での保持が終了してから焼成炉内をArガス等の不活性雰囲気にして冷却する工程」だけでは、焼結体の加工中における破損、および、スパッタリンング中におけるターゲットの破損やクラックの発生等を抑制できないという新たな問題が確認されるに至り、その改善策が要請されていた。
特開2010−037161号公報(請求項13、請求項14参照) 特開2013−036073号公報(請求項1、比較例6参照)
本発明はこのような要請に着目してなされたもので、その課題とすることは、焼結体の加工中における破損、および、スパッタリンング成膜中におけるスパッタリンングターゲットの破損やクラックの発生等を抑制できる高Sn濃度のSn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者等がSn−Zn−O系酸化物焼結体に係る機械的強度とその製造条件等との関係について鋭意分析した結果、高Sn濃度のSn−Zn−O系酸化物焼結体に係る機械的強度や、成膜時におけるターゲットの破損やクラックを抑制するには、特許文献2に記載された「焼結体の平均結晶粒径とZn2SnO4相における配向度」の調整だけでは不十分であり、主成分であるSnO2相の配向度も調整する必要があることを見出すに至った。すなわち、CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度をそれぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が標準(0.60)よりも大きい0.63以上となるようにc軸配向に関与する面の成長を抑制し、かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度をそれぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が標準(0.44)よりも大きい0.47以上となるようにa軸配向に関与する面の成長を抑制することにより、焼結体に係る機械的強度に優れ、かつ、膜特性にバラつきのない透明導電膜を高速で成膜可能なSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造できることを見出すに至った。更に、CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度をそれぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が標準(0.22)よりも大きい0.25以上となるようにc軸配向に関与する面の成長を抑制し、かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度をそれぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が標準(0.44)よりも大きい0.47以上となるようにa軸配向に関与する面の成長を抑制した場合でも、焼結体に係る機械的強度に優れ、かつ、膜特性にバラつきのない透明導電膜を高速で成膜可能なSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造できることを見出すに至った。
そして、このようなSnO2相の配向度1または配向度2を得るためには、焼結体製造工程について、下記「第1焼結工程」と「第2焼結工程」および「最高温度の保持が終了した後に焼成炉内をArガス等の不活性雰囲気にして冷却する工程」で構成することにより達成できることを見出した。
すなわち、上記焼結体製造工程を「焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において1100℃以上1400℃以下で、1時間以上10時間以内保持する第1焼結工程」と、「焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において0.1℃/min以上2℃/min以下の昇温速度で最高温度1350℃以上1650℃以下まで昇温し、かつ、最高温度で15時間以上30時間以内保持する第2焼結工程」と、「最高温度の保持が終了した後に不活性ガス雰囲気で焼成炉内を冷却する工程」で構成した場合、上記「第1焼結工程」の制限された酸素濃度雰囲気(酸素濃度が10体積%以上30体積%以下)によりSnO粒子は特定の配向度を生じ、上記「第2焼結工程」にてこの配向度の状態で粒成長して緻密な焼結体となり、不活性雰囲気中の上記「冷却工程」で必要以上な粒成長が抑制されるため、Sn−Zn−O系酸化物焼結体に係る機械的強度を向上させることが可能となる。
本発明は発明者等によるこれ等一連の技術的発見により完成されている。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が0.63以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とし、
本発明に係る第2の発明は、
酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が0.25以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とし、
また、本発明に係る第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載されたSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
ガリウム、アルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、ビスマス、および、アンチモンから選ばれる少なくとも1種を添加元素として更に含有し、かつ、その添加元素(M)が、全金属元素の総量に対する原子数比M/(Zn+Sn+M)として0.1以下の割合で含有されていることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第4の発明は、
第1の発明、第2の発明または第3の発明に記載されたSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法において、
酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末を、純水、有機バインダー、分散剤と混合して得られるスラリーを乾燥しかつ造粒する造粒粉製造工程と、
得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る成形体製造工程と、
得られた成形体を焼成して焼結体を得る焼結体製造工程を具備し、
上記焼結体製造工程が、
焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において、1100℃以上1400℃以下で、1時間以上10時間以内保持する第1焼結工程と、
焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において、0.1℃/min以上2℃/min以下の昇温速度で最高温度1350℃以上1650℃以下まで昇温し、かつ、最高温度で15時間以上30時間以内保持する第2焼結工程と、
上記最高温度の保持が終了した後に不活性ガス雰囲気で焼成炉内を冷却する工程とで構成されることを特徴とし、
第5の発明は、
第4の発明に記載されたSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法において、
上記造粒粉製造工程において、酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末、純水、有機バインダー、分散剤を、原料粉末の濃度が50質量%以上80質量%以下となるように混合し、かつ、原料粉末の平均粒径が0.5μm以下となるまで湿式粉砕した後、30分以上混合攪拌してスラリーを得ることを特徴とし、
また、第6の発明は、
第4の発明に記載されたSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法において、
上記造粒粉製造工程において、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末を混合し仮焼して得た仮焼粉末、および、純水、有機バインダー、分散剤を、原料粉末である酸化亜鉛粉末、酸化錫粉末および仮焼粉末の合計濃度が50質量%以上80質量%以下となるように混合し、10時間以上混合攪拌してスラリーを得ることを特徴とするものである。
第1の発明に係る酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体は、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が0.63以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とし、
第2の発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体は、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が0.25以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴としている。
そして、第1の発明および第2の発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体によれば、
当該酸化物焼結体の機械強度が改善されているため、焼結体を加工する際に破損が起こり難く、かつ、スパッタリングターゲットとして使用している際においても、焼結体(スパッタリングターゲット)の破損やクラック発生が起こり難く、成膜性や製造される膜特性双方に対して安定性を有する顕著な効果を有している。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
Zn−Sn−O系酸化物焼結体に係る機械的強度に関しては、当該焼結体における結晶粒の過度な成長を抑制することで向上でき、スパッタリングターゲットとして使用された際の成膜中におけるクラック発生のし易さに関しては、当該焼結体の配向性を調整することで低減できることが特許文献2に記載されている。そして、焼成炉内における最高焼成温度での保持が終了してから冷却を行うプロセスにおいて、Arガス等の不活性ガス雰囲気にすることで上記結晶粒の成長が抑制されて焼結体の機械的強度を高めることができ、また、上記冷却プロセスにより、焼結体中のZn2SnO4相における優先配向に偏りが生じる結果、焼結体の製造時だけでなくターゲットとしての成膜中におけるクラックも抑制できることが特許文献2に記載されている。
しかし、Sn/(Zn+Sn)原子数比として0.61以上の高Sn濃度のSn−Zn−O系酸化物焼結体の場合、当該焼結体の機械的強度を向上させ、成膜中における破損やクラックを抑制するには特許文献2に記載された「焼結体の平均結晶粒径とZn2SnO4相における配向度」の調整だけでは不十分であり、主成分であるSnO2相の配向度も調整する必要があることを上述したように本発明者等は発見している。
すなわち、CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度をそれぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が標準(0.60)よりも大きい0.63以上となるようにc軸配向に関与する面の成長を抑制し、かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度をそれぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が標準(0.44)よりも大きい0.47以上となるようにa軸配向に関与する面の成長を抑制する必要があることを本発明者等は見出し、更に、CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度をそれぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が標準(0.22)よりも大きい0.25以上となるようにc軸配向に関与する面の成長を抑制し、かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度をそれぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が標準(0.44)よりも大きい0.47以上となるようにa軸配向に関与する面の成長を抑制する必要があることも見出している。
(1)本発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が0.63以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とし、
また、本発明に係る第2の発明は、
錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が0.25以上で、
かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴としている。
尚、上記Sn−Zn−O系酸化物焼結体においては、実質的に錫、亜鉛および酸素からなっていればよく、不可避不純物等の混入を制限するものではない。
上述したような構成とすることで焼結体の機械強度が向上し、スパッタリングターゲットに加工する工程での破損を抑制することができ、スパッタリングターゲットとして使用された際に高電力が投入されても破損やクラックの発生を抑制することができる。尚、Sn濃度がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.9を越えた場合、上記クラックの発生が確認されている(比較例8参照)。
次に、本発明において、ガリウム、アルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、ビスマス、または、アンチモンから選ばれる少なくとも1種の元素を添加元素として更に含有し、かつ、その添加元素(M)が全金属元素の総量に対する原子数比M/(Zn+Sn+M)として0.1以下の割合で含有されていても支障はない。更に、添加された元素が、錫サイト若しくは化合物サイトに固溶していてもよい。尚、酸化錫は、通常、ルチル型構造をとる。
(2)本発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法
次に、スパッタリングターゲットに適用される本発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法について説明する。
まず、Sn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法は、上記焼結体の構成元素である酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末を、純水、有機バインダー、分散剤と混合して得られるスラリーを乾燥しかつ造粒する「造粒粉製造工程」と、得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る「成形体製造工程」と、得られた成形体を焼成して焼結体を得る「焼結体製造工程」とを有しており、かつ、上記「焼結体製造工程」が、以下の「第1焼結工程」と「第2焼結工程」と「不活性ガス雰囲気で焼成炉内を冷却する工程」とで構成されている。
[造粒粉製造工程]
上記造粒粉は、以下に示す2通りの方法で製造することができる。
第一の方法は、構成元素である酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末を、純水、有機バインダー、分散剤と混合し、原料粉末濃度が50質量%以上80質量%以下、好ましくは60質量%以上70質量%以下となるように混合し、平均粒径0.5μm以下となるまで湿式粉砕する。混合粉末の平均粒径が0.5μm以下と微細化することにより、酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末の凝集を確実に取り除くことができる。次に、粉砕後、30分以上混合攪拌して得られたスラリーを乾燥・造粒する。
第二の方法は、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末、および、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末を混合し仮焼して得た仮焼粉末を原料粉末とする。尚、上記仮焼粉末の製造は、800℃〜1400℃、好ましくは900℃〜1200℃で仮焼する。
そして、酸化亜鉛粉末、酸化錫粉末および仮焼粉末、純水、有機バインダー、分散剤を、原料粉末である酸化亜鉛粉末、酸化錫粉末および仮焼粉末の合計濃度が50質量%以上80質量%以下、好ましくは60質量%以上70質量%以下となるように混合し、10時間以上混合攪拌してスラリーを得、得られたスラリーを乾燥しかつ造粒して造粒粉を製造する。
[成形体製造工程]
スパッタリングターゲットを成形する場合は、上記造粒粉を用いて98MPa(1.0ton/cm2)以上の圧力で加圧成形を行い成形体とする。98MPa未満で成形を行うと、粒子間に存在する空孔を除去することが困難となり、焼結体の密度低下をもたらす。また、成形体の強度も低くなるため、安定した製造が困難となる。ここで、加圧成形を行う際、高圧力が得られる冷間静水圧プレスCIP(Cold Isostatic Press)を用いることが望ましい。
[焼結体製造工程]
焼結炉内を常圧条件下にして上記成形体を焼成することでSn−Zn−O系酸化物焼結体を得ることができる。
そして、SnO2相の配向度も調整されたSn−Zn−O系酸化物焼結体を作製するためには、上述したように、第1焼結工程、第2焼結工程へ移行するための昇温速度と雰囲気、第2焼結工程の温度、雰囲気、および、冷却時の雰囲気と焼成プロセス(焼結体製造工程)を分けることで可能となる。
(第1焼結工程)
焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において、1100℃以上1400℃以下で、1時間以上10時間以内保持することを必要とする。この第1焼結工程でZnOとSnO2が反応してZn2SnO4粒子が生成すると共に、残ったSnO2粒子に配向が生じる。
尚、焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下である範囲を外れた場合、得られる焼結体のI(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が0.63未満となり、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も0.25未満となって機械強度が不十分となる(比較例5、比較例6参照)。
また、第1焼結工程の焼結温度は1100℃以上1400℃以下であることを必要とし、好ましくは1100℃以上1300℃以下である。更に、この温度域において以下の保持時間を設けることを要する。焼結温度がこの範囲を外れた場合、得られる焼結体のI(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が要件とする0.63を超えなくなり、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も要件とする0.25を超えなくなる(比較例1、比較例2参照)。また、1000℃未満だと、その後の第2焼結においてZnOとSnO2の急激な反応により異常な粒成長を起こし、焼結体の平均結晶粒度が4.5μm以上になって機械強度が不十分となる。一方、1400℃を超えると、得られる焼結体の密度が低く寸法のバラつきが大きくなってしまうと共に、焼結体の平均結晶粒度が4.5μm以上となる。
また、第1焼結工程における焼結温度の上記保持時間は1時間以上10時間以内とすることを要する。1時間未満の場合、I(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が0.63未満(比較例3参照)となり、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も0.25未満(比較例3参照)となる。また、未反応のZnOが残り、続く第2焼結工程でZnOが揮発して焼結体の組成が変化してしまう。一方、10時間を超えると、焼結体の密度が低く寸法のバラつきが大きくなってしまい、かつ、I(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が要件とする0.63未満となり(比較例4参照)、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も要件とする0.25未満(比較例4参照)になってしまい焼結体の機械強度が低下する。更に、上記保持時間は、第三元素を添加した際、固溶させるために必要な時間となる。この温度域での固溶が不十分であると、その後の第2焼結において1500℃まで昇温した際に第三元素の急な揮発が起こり、焼結体内部に空孔を残して密度の低下、機械強度の低下を生じる。
(第2焼結工程への移行プロセス)
第1焼結工程が終了したら、引き続いて焼結炉内の温度を最高温度まで上昇させて第2焼結工程へ移行する。昇温速度は0.1℃/min以上2℃/min以下であることを要し、1℃/min以下が好ましい。昇温速度が0.1℃/min未満の場合、平均結晶粒径が4.5μmを超えてしまい(比較例4参照)機械強度が不足する。2℃/minを超える(比較例3参照)と焼結体内部が不均一になって密度が高くならず、焼結体製造時の割れや成膜中におけるターゲットのクラックを防止できなくなる。
第2焼結工程への移行中における酸素濃度は、第1焼結工程の酸素濃度をそのまま維持して10体積%以上30体積%以下であることを要する。上記酸素濃度が30体積%を超えると、活性化されて粒成長が進み平均結晶粒径が4.5μmを超え(比較例6参照)、更に、Zn2SnO4化合物粒子も粗大化するため、結果的には目的とする機械的な強度を得ることができず、成膜時にクラック発生の原因ともなる。一方、酸素濃度が10%未満の場合、焼結体の密度が高くならず、得られる焼結体のI(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が0.63未満となり、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も0.25未満となって機械強度が不十分となる(比較例5参照)。
(第2焼結工程)
第2焼結工程の焼結温度は1350℃以上1650℃以下であることを必要とし、好ましくは1400℃以上1550℃以下である。焼結温度が1350℃未満の場合、焼結が進まず、密度が低下して所望する緻密な酸化物焼結体を作製することができない(比較例1参照)。他方、焼結温度が1650℃を超えると、結晶粒が成長して粗大化し機械強度が低下する。また、Zn成分が揮発して所定の組成から外れたり、炉床材成分が溶けて混入したりする場合がある(比較例2参照)。
また、第2焼結工程における焼結温度の保持時間は15時間以上30時間以内とすることを必要とし、20時間以上30時間以内が好ましい。15時間未満(比較例3参照)では焼結が不十分で緻密な焼結体を得ることが困難となる。30時間を超えると平均結晶粒径が4.5μmを超えて機械強度が不足する(比較例4参照)。
また、第2焼結工程の焼成炉内における酸素濃度は、第2焼結工程への移行プロセス欄で説明したように10体積%以上30体積%以下であることを要する。焼成炉内における酸素濃度が30体積%を超えると、活性化されて粒成長が進み、酸化物焼結体の平均結晶粒径が10μmを超え、更にはZn2SnO4化合物粒子も粗大化するため、結果的には目的とする機械的な強度を得ることができず、成膜時にクラック発生の原因ともなる(比較例6参照)。焼成炉内における酸素濃度が10体積%未満(比較例5参照)では焼結体の密度を高めることが困難となる。
(冷却工程)
第2焼結工程が終了したら、Arガス等の不活性雰囲気に切り替えて冷却を開始する。この不活性雰囲気の冷却プロセスにより焼結体の必要以上の粒成長が抑制され、かつ、焼結中のZn2SnO4相の優先配向に偏りが生じて焼結体の機械強度が高まる。尚、冷却プロセスを不活性雰囲気でなく酸素雰囲気で行った場合(比較例7参照)、平均結晶粒径が4.5μmを超え、I(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1が0.63未満となり、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2も0.25未満となり、かつ、Zn2SnO4相の配向度も0.47未満となってしまい、焼結体製造時における割れや成膜中におけるターゲットのクラックを防止できなくなる。
[スパッタリングターゲット]
得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体は、必要に応じて所定の形状、所定の寸法に加工された後、所定のバッキングプレートにボンディングしてスパッタリングターゲットとして適用される。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例の内容により、本発明の技術的事項が限定されるものではない。
尚、CuKα線を使用したX線回折によるSn−Zn−O系酸化物焼結体におけるSnO2相の配向度1は、(111)面、(002)面の積分強度をそれぞれI(111)、I(002)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度を意味し、上記SnO2相の配向度2は、(200)面、(002)面の積分強度をそれぞれI(200)、I(002)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度を意味する。また、CuKα線を使用したX線回折によるSn−Zn−O系酸化物焼結体におけるZn2SnO4相の配向度は、(222)面、(400)面の積分強度をそれぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度を意味している。
[実施例1]
平均粒径が共に1μm以下のZnO粉末とSnO2粉末を原料粉末とし、Sn/(Zn+Sn)原子数比が0.8となる割合で調合した後、調合された原料粉末と、純水、有機バインダーおよび分散剤を、原料粉末の濃度が60質量%となるように混合タンクにて混合した。
次に、硬質ZrO2ボールが投入されたビーズミル装置(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)を用いて、原料粉末の平均粒径が0.5μm以下となるまで湿式粉砕を行った後、10時間以上混合攪拌してスラリーを得た。尚、原料粉末の平均粒径の測定にはレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−2200)を用いた。
次に、得られたスラリーを、スプレードライヤー装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)にて噴霧および乾燥し、造粒粉を得た。
次に、冷間静水圧プレスで294MPa(3ton/cm2)の圧力を掛けて上記造粒粉を成形し、得られた直径約200mmの成形体を常圧焼成炉に投入し、焼成炉内に空気(酸素濃度21%)を10L(リットル)/minで導入しながら、焼成温度1300℃、1時間保持の条件で第1焼結を行った。
第1焼結の保持時間が終了した後、焼成炉内に空気(酸素濃度21%)を10L/minで導入しながら、昇温時間1℃/minの条件で最高温度1500℃まで昇温し、かつ、1500℃にて20時間保持する第2焼結を行った。
第2焼結の保持時間が終了した後、空気(酸素濃度21%)に変えてArガスを10L/minで導入し、焼成炉内の雰囲気をArガスに切り替えて冷却し、実施例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体について一部を切断し、かつ、切断面を鏡面研磨した後、熱腐食処理を施して結晶粒界を析出させ、SEM観察による平均結晶粒径の測定を実施したところ3.3μmであった。
また、得られた実施例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体からCuKα線を使用したX線回折によるSnO2相の配向性を確認したところ、(111)面、(002)面の積分強度をそれぞれI(111)、I(002)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度1は0.66、(200)面、(002)面の積分強度をそれぞれI(200)、I(002)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表されるSnO2相の配向度2は0.29であった。また、CuKα線を使用したX線回折によるZnSnO相の配向性を確認したところ、(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.53であった。
次に、得られた実施例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるように加工してスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF−530K)に装着した後、積算電力量5kWhとなるまでスパッタリング法による成膜に使用し、ターゲットの状態を確認した。
上記スパッタリング条件は、基板とターゲットとの距離を46mmとして、到達真空度を2.0×10-4Pa以下、ガス圧を0.3Paとした。
その結果、ターゲットにクラックが発生しておらず、成膜初期から積算電力量5kWhまで異常放電等も発生しなかった。
尚、Sn−Zn−O系酸化物焼結体の製造条件、すなわち「第1焼結工程」「第2焼結工程」「冷却雰囲気」等ついて以下の表1に示し、製造中における焼結体の割れ発生の有無、製造された酸化物焼結体の「平均結晶粒径」「SnO2相の配向度1」「SnO2相の配向度2」「Zn2SnO4相の配向度」、および、当該酸化物焼結体から得られたスパッタリングターゲットのスパッタリング成膜時中におけるクラック発生の有無等について以下の表2に示す。
[実施例2]
各原料粉末のSn/(Zn+Sn)原子数比が0.7となる割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた実施例2に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察とX線回折を行ったところ、平均粒径は3.8μmで、SnO2相の配向度1は0.65、SnO2相の配向度2は0.28、Zn2SnO4相の配向度は0.53であった。
また、実施例1と同様にしてスパッタリングの評価を行ったところ、ターゲットにクラックは発生せず、異常放電等も発生しなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[実施例3]
各原料粉末のSn/(Zn+Sn)原子数比が0.61となる割合で配合したこと、および、第1焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度10%の空気−窒素混合ガス)、焼結温度1100℃、保持時間2時間とし、第2焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度10%の空気−窒素混合ガス)、昇温速度0.1℃/min、最高温度1350℃、保持時間15時間としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた実施例3に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察とX線回折を行ったところ、平均粒径は3.5μmで、SnO2相の配向度1は0.63、SnO2相の配向度2は0.25、Zn2SnO4相の配向度は0.52であった。
また、実施例1と同様にしてスパッタリングの評価を行ったところ、ターゲットにクラックは発生せず、異常放電等も発生しなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[実施例4]
各原料粉末のSn/(Zn+Sn)原子数比が0.9となる割合で配合したこと、および、第1焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度30%の空気−酸素混合ガス)、焼結温度1400℃、保持時間10時間とし、第2焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度30%の空気−酸素混合ガス)、昇温速度2℃/min、最高温度1650℃、保持時間30時間としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた実施例4に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察とX線回折を行ったところ、平均粒径は4.3μmで、SnO2相の配向度1は0.65、SnO2相の配向度2は0.28、Zn2SnO4相の配向度は0.50であった。
また、実施例1と同様にしてスパッタリングの評価を行ったところ、ターゲットにクラックは発生せず、異常放電等も発生しなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[実施例5]
第1焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度10%の空気−窒素混合ガス)、焼結温度1100℃、保持時間2時間とし、第2焼結における条件が、焼成炉内の雰囲気(酸素濃度10%の空気−窒素混合ガス)、昇温速度0.1℃/min、最高温度1350℃、保持時間15時間としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた実施例5に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察とX線回折を行ったところ、平均粒径は3.6μmで、SnO2相の配向度1は0.63、SnO2相の配向度2は0.25、Zn2SnO4相の配向度は0.47であった。
また、実施例1と同様にしてスパッタリングの評価を行ったところ、ターゲットにクラックは発生せず、異常放電等も発生しなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[実施例6〜14]
平均粒径が共に1μm以下のZnO粉末、SnO2粉末、および、第3金属元素の酸化物粉末を原料粉末とし、第3金属元素をMとしてM/(Sn+Zn+M)原子比が0.1であり、その第3金属元素がアルミニウム(実施例6)、ガリウム(実施例7)、チタン(実施例8)、ニオブ(実施例9)、タンタル(実施例10)、タングステン(実施例11)、モリブデン(実施例12)、ビスマス(実施例13)、アンチモン(実施例14)とした以外は実施例1と同様の条件にて実施例6〜14に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
得られた実施例6〜14に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ、4.0μm(実施例6)、4.1μm(実施例7)、3.9μm(実施例8)、4.1μm(実施例9)、4.0μm(実施例10)、3.8μm(実施例11)、4.1μm(実施例12)、4.0μm(実施例13)、3.9μm(実施例14)であった。
また、実施例1同様、SnO2相の配向度1を測定したところ、0.65(実施例6)、0.66(実施例7)、0.65(実施例8)、0.67(実施例9)、0.67(実施例10)、0,66(実施例11)、0.65(実施例12)、0.63(実施例13)、0.64(実施例14)であった。
また、実施例1同様、SnO2相の配向度2を測定したところ、0.28(実施例6)、0.29(実施例7)、0.28(実施例8)、0.30(実施例9)、0.30(実施例10)、0.29(実施例11)、0.28(実施例12)、0.25(実施例13)、0.26(実施例14)であった。
更に、実施例1同様、Zn2SnO4相の配向度を測定したところ、0.52(実施例6)、0.53(実施例7)、0.51(実施例8)、0.53(実施例9)、0.54(実施例10)、0,52(実施例11)、0.51(実施例12)、0.53(実施例13)、0.53(実施例14)であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、実施例6〜14に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、実施例6〜14に係るスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用し、ターゲットの状態を確認した。
その結果、実施例6〜14に係るターゲット全てにクラックが発生しておらず、成膜初期から積算電力量5kWhまで異常放電も発生しなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例1]
第1焼結における焼結温度を950℃、第2焼結における焼結温度を1300℃とした以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例1に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ6.5μmであった。
尚、比較例1に係る酸化物焼結体は空孔が多く、粒は成長しているものの、酸化物焼結体の密度は低いことが確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.60、0.22および0.50であった。
次に、比較例1に係る酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるように加工したところ、加工中に微細なクラックを確認した。
更に、加工を続けたところ、クラックは大きくなり、加工中に割れてしまった。粒が粗大化していることから、焼結体の強度は弱く、ターゲット加工の際に10枚中7枚で割れが確認された。このため、比較例1に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体では、スパッタリング成膜の試験を行わなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例2]
第1焼結における焼結温度を1450℃、第2焼結における焼結温度を1700℃とした以外は実施例1と同様にして、比較例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。得られた比較例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体は、焼結温度の影響からか焼結体の反りが大きく、焼結体外周部はボソボソしており、焼結中に揮発が進んでいることが予想された。
そして、得られた比較例2に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ6.2μmであり、中には異常に粒成長している粒も確認することができた。更に、揮発の影響からか、大きな空孔を確認することもでき、Sn−Zn−O系酸化物焼結体が緻密化されていないことが確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.61、0.23および0.50であった。
次に、比較例2に係る酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるように加工したところ、加工中に微細なクラックを確認した。
更に、加工を続けたところ、クラックは大きくなり、加工中に割れてしまった。粒が粗大化していることから、焼結体の強度は弱く、ターゲット加工の際に10枚中7枚で割れが確認された。このため、比較例2に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体でも、スパッタリング成膜の試験を行わなかった。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例3]
第1焼結における保持時間を0.1時間、第2焼結における昇温速度を3℃/min、第2焼結における保持時間を10時間とした以外は実施例1と同様の条件にして、比較例3に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例3に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ2.5μmと小さく、空孔も多く焼結が進んでいないことが確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.60、0.22および0.51であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例3に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、アーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量1kWh辺りから増加し、5kWhの時点で10回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例4]
第1焼結における保持時間を15時間、第2焼結における昇温速度を0.05℃/min、第2焼結における保持時間を40時間としたこと以外は実施例1と同様の条件にして、比較例4に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例4に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ8.2μmであり、中には粗大化した粒が多く存在していることが確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.61、0.23および0.48であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例4に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、アーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量2kWh辺りから増加し、5kWhの時点で20回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例5]
第1焼結および第2焼結における焼成炉内の雰囲気を酸素濃度5%の空気−窒素混合ガスとした以外は実施例1と同様の条件にして、比較例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例5に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ4.2μmであり、粗大化した粒は少ないものの空孔が多く残存し、比較例5に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体は緻密化されていないことが確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.60、0.22および0.49であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例5に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、アーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量3kWh辺りから増加し、4kWhの時点で20回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例6]
第1焼結および第2焼結における焼成炉内の雰囲気を酸素濃度40%の空気−酸素混合ガスとした以外は実施例1と同様の条件にして、比較例6に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例6に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ12μmであり、異常に粒成長した粒や粗大化した粒が確認された。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.61、0.23および0.45であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例6に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、アーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量3kWh辺りから増加し、4kWhの時点で20回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例7]
冷却工程の雰囲気を酸素ガスとした以外は、実施例1と同様の条件にして比較例7に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を得た。
そして、得られた比較例7に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ4.6μmと粗大化していた。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.61、0.23および0.44であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例7に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、アーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量3kWh辺りから増加し、4kWhの時点で20回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
[比較例8]
各原料粉末のSn/(Zn+Sn)原子数比が0.99となる割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例8に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体を製造した。
そして、得られた比較例8に係る酸化物焼結体について、実施例1と同様のSEM観察による平均粒径の測定を行ったところ3.6μmと小さく、かつ、空孔が多く緻密な酸化物焼結体ではなかった。
また、実施例1と同様、SnO2相の配向度1、配向度2およびZn2SnO4相の各配向度を測定したところ、それぞれ0.63、0.25および0.51であった。
次に、得られたSn−Zn−O系酸化物焼結体を、直径が152.4mm(6インチ)で、厚みが5mmとなるようにそれぞれ加工して、比較例8に係るスパッタリングターゲットを得た。
そして、得られたスパッタリングターゲットをスパッタ装置(トッキ製、SPF-530K)に装着した後、実施例1と同様の条件でスパッタリング法による成膜に使用したところ、ターゲットの抵抗が高いことによる影響からかターゲット表面でノジュールが多数発生し、これによりアーキングが発生したためターゲットの状態を確認した。
この結果、ターゲットにクラックが発生しており、クラックの影響か、異常放電が積算電力量3kWh辺りから増加し、4kWhの時点で20回/分〜30回/分発生していた。このため量産条件での製造ができないことが確認された。
これ等の製造条件と結果について表1と表2にそれぞれ示す。
Figure 0006414527
Figure 0006414527
本発明に係るSn−Zn−O系酸化物焼結体は、機械的強度が改善されているため焼結体を加工する際に破損が起こり難く、スパッタリングターゲットとして使用された際においても透明導電膜の製造中に焼結体の破損やクラック発生が起こり難く、更に、製造される透明導電膜の成膜性や膜特性双方に対して安定性を有する。従って、太陽電池やタッチパネル等の透明電極を形成するためのスパッタリングターゲットとして利用される産業上の利用可能性を有している。

Claims (6)

  1. 酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
    錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
    上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
    CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(111)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(111)としたとき、I(002)/[I(111)+I(002)]で表される配向度1が0.63以上で、
    かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とするSn−Zn−O系酸化物焼結体。
  2. 酸化錫と酸化亜鉛を主成分とするSn−Zn−O系酸化物焼結体において、
    錫がSn/(Zn+Sn)の原子数比として0.61以上0.9以下含有され、
    上記焼結体中における平均結晶粒径が4.5μm以下で、
    CuKα線を使用したX線回折によるSnO2相における(002)面、(200)面の積分強度を、それぞれI(002)、I(200)としたとき、I(002)/[I(200)+I(002)]で表される配向度2が0.25以上で、
    かつ、CuKα線を使用したX線回折によるZn2SnO4相における(222)面、(400)面の積分強度を、それぞれI(222)、I(400)としたとき、I(222)/[I(222)+I(400)]で表される配向度が0.47以上であることを特徴とするSn−Zn−O系酸化物焼結体。
  3. ガリウム、アルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデン、ビスマス、および、アンチモンから選ばれる少なくとも1種を添加元素として更に含有し、かつ、その添加元素(M)が、全金属元素の総量に対する原子数比M/(Zn+Sn+M)として0.1以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載のSn−Zn−O系酸化物焼結体。
  4. 酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末を、純水、有機バインダー、分散剤と混合して得られるスラリーを乾燥しかつ造粒する造粒粉製造工程と、
    得られた造粒粉を加圧成形して成形体を得る成形体製造工程と、
    得られた成形体を焼成して焼結体を得る焼結体製造工程を具備し、
    上記焼結体製造工程が、
    焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において、1100℃以上1400℃以下で、1時間以上10時間以内保持する第1焼結工程と、
    焼成炉内における酸素濃度が10体積%以上30体積%以下の雰囲気中において、0.1℃/min以上2℃/min以下の昇温速度で最高温度1350℃以上1650℃以下まで昇温し、かつ、最高温度で15時間以上30時間以内保持する第2焼結工程と、
    上記最高温度の保持が終了した後に不活性ガス雰囲気で焼成炉内を冷却する工程とで構成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載のSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法。
  5. 上記造粒粉製造工程において、酸化亜鉛粉末および酸化錫粉末、純水、有機バインダー、分散剤を、原料粉末の濃度が50質量%以上80質量%以下となるように混合し、かつ、原料粉末の平均粒径が0.5μm以下となるまで湿式粉砕した後、30分以上混合攪拌してスラリーを得ることを特徴とする請求項4に記載のSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法。
  6. 上記造粒粉製造工程において、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末を混合し仮焼して得た仮焼粉末、および、純水、有機バインダー、分散剤を、原料粉末である酸化亜鉛粉末、酸化錫粉末および仮焼粉末の合計濃度が50質量%以上80質量%以下となるように混合し、10時間以上混合攪拌してスラリーを得ることを特徴とする請求項4に記載のSn−Zn−O系酸化物焼結体の製造方法。
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