JP4730204B2 - 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法 - Google Patents

酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4730204B2
JP4730204B2 JP2006144001A JP2006144001A JP4730204B2 JP 4730204 B2 JP4730204 B2 JP 4730204B2 JP 2006144001 A JP2006144001 A JP 2006144001A JP 2006144001 A JP2006144001 A JP 2006144001A JP 4730204 B2 JP4730204 B2 JP 4730204B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
target
film
sintered body
oxide sintered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006144001A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007314364A (ja
Inventor
能之 阿部
徳行 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2006144001A priority Critical patent/JP4730204B2/ja
Publication of JP2007314364A publication Critical patent/JP2007314364A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4730204B2 publication Critical patent/JP4730204B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用い酸化物透明導電膜の製造方法に関し、より詳しくは、実質的にスズ、亜鉛、および酸素からなる酸化物焼結体で構成され、高い直流電力を投入してもクラックが発生しないスパッタリング或いはイオンプレーティング用ターゲット、及びそれを用い酸化物透明導電膜の製造方法に関する。
透明導電膜は、高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有するため、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極などに利用されているばかりでなく、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、あるいは冷凍ショーケースなどの防曇用透明発熱体としても利用されている。
こうした透明導電膜としては、例えば、酸化スズ(SnO)系の薄膜、酸化亜鉛(ZnO)系の薄膜、そして酸化インジウム(In)系の薄膜が知られている。
酸化スズ系では、アンチモンをドーパントとして含むもの(ATOと記す場合がある)やフッ素をドーパントとして含むもの(FTOと記す場合がある)がよく利用されている。また、酸化亜鉛系では、アルミニウムをドーパントとして含むもの(AZOと記す場合がある)やガリウムをドーパントとして含むもの(GZOと記す場合がある)がよく利用されている。
最も工業的に利用されている透明導電膜は、酸化インジウム系のものである。その中でもスズをドーパントとして含む酸化インジウムは、ITO(Indium tin oxide)膜と称され、特に低抵抗の透明導電膜が容易に得られることから、幅広く利用されてきている。
低抵抗の透明導電膜は、太陽電池、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、および無機エレクトロルミネッセンスなどの表面素子や、タッチパネルなどに好適に用いられる。
これらの透明導電膜の製造方法として、スパッタリング法やイオンプレーティング法が良く用いられている。特にスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料の成膜の際や、精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。
スパッタリング法では、薄膜の原料としてターゲットが使用される。ターゲットは成膜したい薄膜を構成している金属元素を含む固体であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの焼結体や、場合によっては単結晶が用いられる。スパッタリング法では、一般にその内部に基板とターゲットを配置できるようになった真空チャンバーを有する装置を用いている。そして、基板とターゲットを配置した後、真空チャンバーを高真空にし、その後、アルゴン等の希ガスを導入し、真空チャンバー内を約10Pa以下のガス圧とする。そして、基板を陽極、ターゲットを陰極とし、両者の間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによってはじきとばされるターゲット成分粒子を、基板上に堆積させて膜を形成する。
スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法という。
一般に、直流スパッタリング法は、高周波スパッタリング法と比べて成膜速度が速く、電源設備が安価であり、成膜操作が簡単であるなどの理由で、工業的に広範に利用されている。しかし、直流スパッタリング法では、導電性のターゲットを用いる必要があるのに対し、高周波スパッタリング法では、絶縁性のターゲットを用いて成膜することも可能である。高周波スパッタリング法は、プラズマによる基板への熱輻射が強いため、基板が自然加熱されて結晶膜が形成されやすい。
直流スパッタリング法の中でも、ターゲットに印加する負電圧を周期的に停止し、その間に低い正電圧を印加して正のチャージングを電子により中和するスパッタリング方法(直流パルシング法)もあり、酸素の反応性ガスを用いた反応性スパッタリングにおける絶縁膜(酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化チタンなど)がアーキングを抑制しながら成膜でき、高周波スパッタリング法のようにインピーダンス整合回路を制御する必要がなく、成膜速度が高周波スパッタリング法よりも速いなどの利点がある。
スパッタリングの成膜速度は、ターゲット物質の化学結合と密接な関係がある。スパッタリングは、運動エネルギーをもったアルゴン陽イオンがターゲット表面に衝突して、ターゲット表面の物質がエネルギーを受け取って弾き出される現象であるため、ターゲット物質のイオン間結合もしくは原子間結合が弱いほど、スパッタリングによって飛び出す確率は増加する。
上記したITOなどの酸化物の透明導電膜をスパッタリング法で成膜するには、膜の構成金属の合金ターゲットを用いて(ITO膜を得る場合はIn−Sn合金を用いる)、アルゴンと酸素の混合ガス中で成膜する反応性スパッタリング法による方法と、膜の構成金属の酸化物でできた酸化物焼結体をターゲットとし(ITO膜の場合はIn−Sn−O焼結体を用いる)、アルゴンと酸素の混合ガス中で成膜する反応性スパッタリング法による方法とがある。
合金ターゲットを用いる方法では、得られる透明導電膜中の酸素を全て雰囲気中の酸素ガスより供給することになるので、成膜中の酸素ガスの供給流量を多くしなければならない。大量の酸素ガス供給下では、成膜中の雰囲気ガス中の酸素ガス量変動幅を小さく維持することは困難である。ITOなどの半導体である酸化物透明導電膜の電気特性は、取り込まれる酸素量に敏感に影響するため、酸素ガスの供給量の変動は膜の特性ばらつきに影響を与える。また、合金ターゲットの最表面が酸化されている場合と、酸化されていない場合でスパッタリング効率が顕著に異なり、成膜速度に違いができてしまうため、膜厚の一定な酸化物透明導電膜を得ることが困難である。上記のように、合金ターゲットを用いる方法は、成膜速度や得られる膜の特性(比抵抗、透過率)が雰囲気中に導入される酸素ガス量に極めて大きく依存するため、この方法で一定の厚さを有し、一定の特性を有する透明導電膜を製造することは難しいとされ(非特許文献1参照)、工業的にはあまり用いられていない。
これに対して、酸化物ターゲットを用いる方法では、膜に供給される酸素の一部はターゲット自体から供給され、不足酸素量を酸素ガスとして供給するので、雰囲気ガス中の酸素ガス量の変動を、合金ターゲットを用いる場合よりも小さくできる。この結果、合金ターゲットを用いる時と比べて、一定の厚さを有し、一定の特性を有する透明導電膜の製造が容易となる。そのため、工業的には酸化物焼結体をターゲットとして用いる方法が広く採用されている。なお、イオンプレーティング用のタブレットについても同様で、酸化物焼結体のタブレットを用いた方が安定して、一定の膜厚や特性を有する透明導電膜を製造することができる。
前記の通り、生産性や製造コストを考慮すると、直流スパッタリング法の方が高周波スパッタリング法よりも、高速成膜は容易である。つまり、同一の電力を同一のターゲットに投入して成膜速度を比較すると直流スパッタリング法の方が2〜3倍ほど速い。また、直流スパッタリング法でも、高い直流電力を投入するほど成膜速度が上がるため、生産性を高めるためには高い直流電力を投入することが好ましい。このため、高い直流電力を投入してもスパッタリング異常を起こさず、安定した成膜を可能とするスパッタリングターゲットが工業的に有用なものとなる。
ところで、上述したように、透明導電膜としてITOなどの酸化インジウム系の材料が、広範囲に用いられているが、In金属は地球上で希少金属であることとから、非In系の材料が求められている。非In系の材料としては、上述の様に、GZOやAZOなどの酸化亜鉛系材料、FTOやATOなどの酸化スズ系材料が知られている。
酸化亜鉛系材料の透明導電膜は、スパッタリング法で工業的に製造されているが、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)に乏しいなどの欠点を有する。また、酸化スズ系材料の透明導電膜は、化学的に安定で耐薬品性に優れているものの、高密度で高強度の酸化スズ系焼結体ターゲットが製造しにくいため、これをスパッタリング法で製造することが難しいといった欠点を有する。
ITO膜は、スパッタリング法で室温の基板上に成膜すると、膜厚200nmで表面抵抗25Ω/□程度(比抵抗で約5×10−4Ωcm)の導電膜として得られる。ここで、表面抵抗率(Surface Resistivity,単位:Ω/□,Ω/sq.で、オームパースクエアと読む)は、単位面積当たりの抵抗で、シート抵抗あるいは単に表面抵抗とも呼ばれている。
一方で、透明酸化物薄膜と金属薄膜の積層によって構成された透明導電膜も提案されている。一般的に、室温で成膜した膜厚100nm程度のITO膜は、表面抵抗が50Ω/□前後であるのに対し、膜厚50〜100nmの上記積層膜の表面抵抗は、銀系合金薄膜の膜厚にもよるが、15Ω/□以下とすることもでき、場合によっては10Ω/□以下とすることも可能である。例えば、(1)銀層を酸化インジウム膜(IOと記す場合がある)層で挟んだ構造(IO/Ag/IO)、(2)銀層をITO膜層で挟んだ構造(ITO/Ag/ITO)、(3)銀層をGa添加ZnO膜(GZOと記す場合がある)層で挟んだ構造(GZO/Ag/GZO)などが提案されている。
このような、金属膜を酸化物透明導電膜で挟んだ積層構造の透明導電膜は、銀などの金属膜が耐薬品性や耐環境性に弱いため、これを挟んでいる酸化物透明導電膜が外界と隔離して保護膜として機能していることが必要であり、金属膜に対する保護効果を十分に発揮する酸化物透明導電膜は、完全に非晶質構造である必要がある。なぜなら、結晶粒を含む酸化物透明導電膜は粒界が存在して、粒界を介して外界の薬品やガスが金属膜に進入し、金属膜を化学変化させてしまうからである。
しかし、上記したIO/Ag/IO、やITO/Ag/ITOは、室内放置により白色欠点が生じるほど耐湿性が不充分である。これはIOやITOが結晶粒を作りやすいからである。また上記(1)〜(2)は、In系の薄膜を使用しており、希少金属であるIn資源の枯渇の問題が深刻となっているなどの問題点がある。一方、GZO/Ag/GZOは、環境に優しく資源も豊富なZn系材料を利用しているが、GZOは結晶膜であるために粒界を介してガスが進入しやすく耐湿性が悪いだけでなく、GZO自体が酸やアルカリに対して耐性がほとんど無いという欠点がある。
耐薬品性を改善した透明導電膜に言及している文献として、ZnO膜の酸やアルカリに対する耐性を解消するため、化合物やZnSnO化合物を主成分とする結晶性薄膜を記載した特許文献1が挙げられる。ここには適度に化学エッチングできる透明導電膜として紹介されているが、焼成したZnOとSnOの混合粉末をターゲットとして用いて、プラズマからの熱輻射で基板が自然加熱されやすい高周波スパッタリング法で成膜している。しかし、粉末のターゲットを用いた高周波スパッタリングによる成膜例のみで、直流スパッタリングが可能な焼結体ターゲットに関する記載はない。いうまでもなく、粉末のターゲットは導電性が十分でないため、直流スパッタリングで用いることは困難である。
また、ガラス基板上に亜鉛とスズとの金属酸化物の透明膜と窒化クロムの反射膜とを順に積層した構造の膜が提案されている(特許文献2参照)。ここでは、亜鉛−スズ系の合金ターゲットを用いた反応性スパッタリング法で亜鉛とスズとの金属酸化物の透明膜を成膜しており、投入電力密度は1.76W/cmとなっている。上述のように金属ターゲットを用いた反応性スパッタリングは、膜特性の安定性・再現性がなく、工業的には利用しにくい成膜方法である。また、使用した合金ターゲットの組成(Zn/Sn比)のみで、組織に関する記載はなく、投入電力密度が2.0W/cm以上の高い直流投入電力でも利用可能な合金ターゲットかどうか明確にしておらず、解決課題とはしていない。
以上述べたように、透明導電膜の生産性や製造コストの低減化、透明導電膜の品質の安定性などを考慮すると、酸化物焼結体を原料として用いて、高い投入電力を投入した直流スパッタリング法やイオンプレーティング法を用いて透明導電膜を得ることが望ましい。また、室温成膜で15Ω/□以下の高い導電性を発揮する「酸化物透明導電膜/金属膜/酸化物透明導電膜」の積層構造膜で用いられる酸化物透明導電膜では、酸やアルカリなどに対する耐薬品性を持っていて、結晶粒界の存在しない完全な非晶質構造の酸化物透明導電膜であることが望まれる。
このような特徴の薄膜を、生産性に優れた直流スパッタリング法やイオンプレーティング法で安定に製造するには、原料として利用できる酸化物焼結体が必要となるが、そのような酸化物焼結体はこれまでに報告されていない。
化学的に安定で耐薬品性に優れた材料として、酸化スズの透明導電膜が知られているが、高速成膜で用いるための直流スパッタリング用ターゲット、或いはイオンプレーティングタブレットに利用可能な高密度で高強度の酸化物焼結体は開示されていない。即ち、従来の酸化スズ系酸化物焼結体では、密度が低くて強度が低いため、高い直流電力投入を行うと割れが生じてしまうからであり、低い直流電力を投入した成膜しか行えず、高い生産性が得られていないのが現状である。
そして、成膜中にターゲットやタブレットにクラックが発生すると、成膜速度が変化してしまい、所定の膜厚の透明導電膜が製造できなくなり、製品歩留まり低下の要因となっている。また、クラックが生じたターゲットを使用していると、クラック部にノジュールが生成されてしまい、アーキングの発生が起きてしまう。持続的にアーキングが生じれば、膜の形成そのものが阻害されるだけでなく、膜自体に損傷が生じて高品質の膜を製造することができない。ノジュールは、スパッタリングに伴いターゲット表面のエロージョン部に発生する微細な突起物のことをいい、該ノジュールに起因して異常放電やスプラッシュが発生し、これが原因となってスパッタリングチャンバ内に粗大な粒子(パーティクル)が浮遊し、該粒子が、成膜途中の膜に付着して品質を低下させる原因となる。
このような状況下、スパッタリング法やイオンプレーティング法で高い直流電力を投入して成膜でき、耐薬品性に優れた非晶質構造の酸化物透明導電膜を得ることができる酸化物焼結体の出現が望まれている。
特開平8−171824号公報 特開平2−145458号公報 透明導電膜の技術、日本学術振興会編、オーム社、1999年発行、p.173
本発明の目的は、スズ、亜鉛、および酸素からなる酸化物焼結体で構成され、高い直流電力を投入してもクラックが発生しないスパッタリング或いはイオンプレーティング用ターゲット、及びそれを用い酸化物透明導電膜の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ね、スズと亜鉛を特定の割合で含む酸化物焼結体において、該酸化物焼結体中にスズ酸亜鉛相が形成されていると焼結体強度が増強されるので、これを加工してターゲットとすれば、スパッタリングなどで高投入電力を投入してもクラックが発生しないので高速成膜が可能となり、しかも耐薬品性に優れ非晶質構造である酸化物透明導電膜が生産性よく得られることを見出して本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、スズ、亜鉛、および酸素からなる酸化物焼結体を加工して得られ、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法で基板上に透明な酸化物の薄膜を形成するためのターゲットであって、
酸化物焼結体は、亜鉛がZn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48含有され、かつ、スズ酸亜鉛化合物相と酸化スズ相とから構成され、酸化亜鉛相、炭酸亜鉛相、およびスズ、または亜鉛からなる金属相のいずれも含まず、スズ酸亜鉛化合物相は、少なくともZnSnOを含んでおり、比抵抗が0.043〜5kΩcm、相対密度が65〜97%であることを特徴とする酸化物焼結体ターゲットが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、比抵抗が0.043〜4.8kΩcmであることを特徴とする酸化物焼結体ターゲットが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、相対密度が70〜97%であることを特徴とする酸化物焼結体ターゲットが提供される。
一方、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明の酸化物焼結体ターゲットを用い、該ターゲットに2.0W/cm を超えた直流投入電力密度を投入する直流スパッタリング法で、基板上に酸化物透明導電膜の薄膜を形成することを特徴とする酸化物透明導電膜の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第4の発明において、基板が加熱されないことを特徴とする酸化物透明導電膜の製造方法が提供される。
本発明に係る酸化物焼結体は、スズ、亜鉛および酸素からなる酸化物焼結体であって、亜鉛の含有量がZn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48であり、主としてスズ酸亜鉛化合物相と酸化スズ相で構成されているので、これをスパッタリングターゲットとして用いると、直流スパッタリング法を採用し、投入電力を高くしてもクラックが発生せず高速成膜が可能となる。透明電極膜を生産性高く製造することができる。本発明に係る酸化物焼結体は、高投入電力を投入したイオンプレーティング用のタブレットにも用いることができる。
さらに、得られる酸化物透明導電膜は、酸化物焼結体から成膜されるため、量産時に得られる膜の特性も安定し、亜鉛の含有量がZn/(Zn+Sn)の原子数比で0.05〜0.48の範囲であり、非晶質構造を有する耐薬品性に優れた透明導電膜である。しかも、本発明の材料は、地球上で希少金属であるIn金属を含まないという利点も有するため、工業的に極めて有用である。
以下、本発明の酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用い酸化物透明導電膜の製造方法について詳細に説明する。
1.酸化物焼結体
本発明に係る酸化物焼結体は、スズ、亜鉛、および酸素からなる酸化物焼結体であって、亜鉛がZn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48含有され、かつ、スズ酸亜鉛化合物相と酸化スズ相とから構成され、酸化亜鉛相、炭酸亜鉛相、およびスズ、または亜鉛からなる金属相のいずれも含まず、スズ酸亜鉛化合物相は、少なくともZnSnOを含んでいることを特徴とする。
この酸化物焼結体は、スパッタリングターゲットやイオンプレーティングタブレットとして用いるために、亜鉛の含有量が、Zn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48でなければならない。酸化物焼結体中に上記のスズ酸亜鉛相が形成されると、焼結体強度が増強され、高投入電力を投入してもクラックの発生しないターゲット(或いはタブレット)として利用することができる。
Zn/(Zn+Sn)の原子数比が0.05未満であると、その酸化物焼結体中にスズ酸亜鉛化合物が形成されず、酸化物焼結体の強度が改善されない。また、原子数比が0.48を超えると、得られる非晶質の酸化物透明導電膜の酸に対する耐性が劣ってしまう。亜鉛の好ましい含有量は、Zn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.28であり、より好ましくは、0.05〜0.15である。
ここで、スズ酸亜鉛相とは、少なくともZnSnOを含んでおり、これにZnSnO、更には、これらの化合物で、酸素欠損を起こしているものや、Zn/Sn比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものや、Zn、Sn以外の他の元素が一部置換したものも含まれる。本発明においては、ZnSnOがスズ酸亜鉛相に対して50%以上を占めているのが好ましい。ZnSnO相は、JCPDSカードの52−1381に記載されている。また、本発明の酸化物焼結体は、SnO,Sn,Sn,SnOなどの酸化スズ相や、これら酸化スズで酸素欠損を含んだ相や、Sn以外の元素が置換された相が含まれていてもかまわない。SnOには、ルチル型構造の酸化スズ相が含まれる。
しかし、本発明に係る酸化物焼結体には、酸化亜鉛相が含まれていない方が好ましい。酸化亜鉛は大気中の炭酸ガスと反応して炭酸亜鉛に変化するため、大気中で長期間放置するか保管すると劣化してしまう。劣化して酸化亜鉛相が炭酸亜鉛相に変化した酸化物焼結体は脆くなり、高電力投入可能な高強度を有するターゲットとして利用することができない。また炭酸亜鉛相に変化した酸化物焼結体は、低電力を投入することで成膜は可能であるが、得られる膜の導電性が悪化してしまい、良質な透明導電膜を得ることができない。これは、スパッタリング時にターゲットから炭酸ガスが発生し、炭酸ガスが膜中に取り込まれることと、膜の特性を決める重要な因子であるスパッタリングガス組成(酸素/アルゴン比)や全ガス圧が大きく変動しやすくなると考えられる。
ただし、本発明に係る酸化物焼結体は、僅かに酸化亜鉛相が含まれていたとしても、スズ酸亜鉛化合物相が含まれていれば、焼結体強度は増強され、高投入電力を投入してもクラックの生じないターゲットとして利用できる。酸化亜鉛相を含む酸化物焼結体は、大気中での保管を避け、不活性ガス中や真空中で保管を行うことが望ましい。酸化亜鉛相は、焼結体全体の5%以下の体積であることが好ましい。
また、本発明に係る酸化物焼結体には、スズ、または亜鉛からなる金属相が含まれていないことが好ましい。これは、金属相が含まれていると、金属の熱膨張係数は酸化物の熱膨張係数と比べて著しく大きいため、ターゲット表面の金属相の著しい熱膨張によりクラックが生じやすくなるからである。またターゲット表面の金属粒が溶融して蒸発されれば、金属粒の成分が大量に膜中に取り込まれるため、得られる膜の組成とターゲットの組成とが大きく異なってくるからである。
さて、焼結体の比抵抗は、スズと亜鉛を含む酸化物焼結体の場合、5kΩcm以下であることが好ましい。直流スパッタリング時の成膜速度は、スパッタリングターゲットの酸化物焼結体の比抵抗に依存するが、5kΩcmよりも比抵抗が大きいと、安定的な成膜を行うことが困難となる。焼結体の比抵抗が100Ωcm以下であると、更に速い成膜速度が実現する。なお、比抵抗が高い場合、窒素などの非酸化性の雰囲気下で加熱することによって還元処理すると、酸化物焼結体の比抵抗を下げることができる。
また、本発明に係る酸化物焼結体は、相対密度が65%以上であることが望ましい。本発明において、相対密度は、70%以上がより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。相対密度が65%未満であると、十分な焼結強度が得られず、成膜時だけでなく、製品の運送時などで生じる微小な衝撃や振動でも割れや欠けが生じやすくなってしまい取り扱いにくい製品となってしまうからである。
ここでいう相対密度は、(焼結体密度(D)/理論密度(TD))×100(%)で算出される。この焼結体密度D(g/cm)は、焼結体の質量M(g)と体積V(cm)を測定してM/Vから算出される。しかし、焼結体密度Dは、水を用いたアルキメデス法からも算出することができる。酸化物焼結体の理論密度TD(g/cm)は、X線回折測定で求まったルチル型構造のSnO結晶の理論密度TDSnO2(g/cm)=7.0と、ウルツ鉱型構造のZnO結晶の理論密度TDZnO(g/cm)=5.7から、酸化物焼結体の組成(X=Zn/(Zn+Sn))を用いて、以下の式(1)で求めることができる。
TD=(1−X)×TDSnO2+X×TDZnO・・・式(1)
2.酸化物焼結体の製造方法
本発明において酸化物焼結体は、その製造方法によって制限されず、スズ金属と酸化亜鉛の組み合わせ、酸化スズと亜鉛金属の組み合わせからも製造できるが、酸化スズと酸化亜鉛とを原料粉末として用いることが好ましい。
スズ金属と酸化亜鉛の組み合わせ、酸化スズと亜鉛金属の組み合わせからも製造すると、酸化物焼結体中にスズや亜鉛の金属粒が存在したものとなりやすい。金属の熱膨張係数は、酸化物の熱膨張係数と比べて著しく大きいため、ターゲット表面の金属相の著しい熱膨張によりクラックが生じやすくなる。またターゲット表面の金属粒が溶融して蒸発されれば、金属粒の成分が大量に膜中に取り込まれるため、得られる膜の組成とターゲットの組成とが大きく異なることになり好ましくはない。
また、本発明に係る酸化物焼結体は、粒径が小さい原料粉末を用いて製造される。例えば、平均粒径が3μm以下のSnO粉末、および平均粒径が3μm以下のZnO粉末を、原料粉末とし、SnO粉末とZnO粉末を、Zn/(Zn+Sn)で示される原子数比の値が0.05〜0.48となる割合で調合し、水とともに樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合する。この際、ボールとしては、例えば硬質ZrOボールを用いる。なお、混合は乾式混合法でも良いが、湿式混合法の方が良好な結果が得られる。
ここで、亜鉛の含有量がZn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48とするのは、0.05未満であると、その酸化物焼結体中にスズ酸亜鉛化合物が形成されず、酸化物焼結体の強度が改善されないからである。また0.48を超えると、得られる非晶質の酸化物透明導電膜の酸に対する耐性が劣ってしまう。
湿式混合では、混合時間を15時間以上、好ましくは18時間以上とする。混合時間が不足すると、最終的に得られる酸化物焼成体中に酸化スズ結晶相が生成する。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒し、造粒物を、冷間静水圧プレスで2〜5ton/cmの圧力をかけて、成形する。
次に、得られた成形体を次のように焼結炉内に設置し、炉内容積0.1m当たり3〜8リットル/分程度の割合で焼結炉内に酸素を導入しつつ、1400〜1500℃で15時間以上、好ましくは20時間以上かけて焼結することが好ましい。焼結時間を15時間以上とするのは、最終的に得られる酸化物焼成体中に酸化亜鉛相を生成させないようにするためである。
なお、本発明に係る酸化物焼結体を得るための焼成法としては、簡便な常圧焼成法でもよいが、ホットプレス法でもよい。得られる酸化物焼結体の相対密度が65%以上となるようにすることが好ましい。相対密度が65%よりも低いと、直流スパッタリングが困難になることはもとより、ノジュールの生成が著しくなるなどの問題が生じる。相対密度は、70%以上がより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
3.酸化物焼結体ターゲット
本発明の酸化物焼結体ターゲットは、上記の酸化物焼結体を加工して得られるものである。すなわち、上記の方法で製造された酸化物焼結体は、平面研削等により加工し、所定の寸法にしてから、バッキングプレートに貼着することにより、本発明の酸化物焼結体ターゲット(単一ターゲットともいう)とすることができる。必要により数枚の焼結体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲットともいう)としても良い。
ターゲットには、スパッタリング用ターゲットとイオンプレーティング用ターゲットが含まれる。なお、イオンプレーティング法では、このような材料がタブレットと称される場合もあるが、本発明ではターゲットと総称することにする。
4.酸化物透明導電膜とその製造方法
本発明の酸化物透明導電膜の製造方法は、上記酸化物焼結体ターゲットを用い、ターゲットに2.0W/cmを超えた直流投入電力密度を投入する直流スパッタリング法で、基板上に酸化物透明導電膜の薄膜を形成することを特徴とする。
スパッタリング法は、高周波スパッタリング法も使用できるが、酸化物透明導電膜を非晶質膜として得るためには、プラズマから基板への自然加熱の少ない直流スパッタリング法で成膜することが好ましく、生産性を上げるために高い直流投入電力密度にて成膜することが好ましい。投入電力密度とは、ターゲットへの投入電力(P)とターゲットのスパッタリング面の面積(S)で割った(P/S)値である。ターゲットへの直流投入電力密度が大きいほど、ターゲットにクラックが生じなければ、成膜速度が増加するからである。
一般に、ターゲット中に帯電しやすい高抵抗物質や絶縁物質が含まれると、投入電力密度が高いほどアーキングが発生しやすくなる。本発明に係る酸化物焼結体をターゲットに用いると、2.0W/cmを超えた直流投入電力密度においても、クラックが発生せず安定して成膜が可能である。直流投入電力密度の上限は、用いる装置により異なるため、特に限定することができないが、実用的な速い成膜速度を得るためには、ターゲットへの直流投入電力密度を、2.6W/cmを超える値とすることが好ましい。
本発明では、基板を加熱せずに成膜できるが、基板を50〜300℃、特に80〜200℃に加熱することもできる。ただし、基板を加熱すると相を構成する成分が結晶化するので加熱しないで成膜することが望ましい。
本発明に係る酸化物透明導電膜は、上記した酸化物焼結体を加工して得られるターゲットを用いて、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法で基板上に形成される。
上記の本発明に係る酸化物焼結体をターゲットとして用いれば、直流スパッタリング法で成膜することが可能であり、プラズマから基板への熱輻射を受けにくいため、粒界のない安定に非晶質構造の酸化物透明導電膜を製造することができる。また、得られる酸化物透明導電膜は、耐薬品性に優れた可視域の透過率の高い透明導電膜となる。
イオンプレーティング法による場合、本発明に係る酸化物焼結体から作製したイオンプレーティングタブレットを用いて得られる膜の特性は、上記のスパッタリングの場合と同様に、耐薬品性に優れた可視域の透過率の高い非晶質の透明導電膜となる。
これにより得られる酸化物透明導電膜は、亜鉛の含有量がZn/(Zn+Sn)の原子数比で0.05〜0.48である。これにより、比抵抗5×10−1Ωcm以下の非晶質透明導電膜が得られる。好ましい亜鉛の含有量は、Zn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.28であり、特に好ましくは、0.05〜0.15である。これにより比抵抗8×10−2Ωcm以下、さらに好ましくは比抵抗1×10−2Ωcm以下の非晶質透明導電膜が得られる。
非晶質構造を有する酸化物透明導電膜であるかどうかは、X線回折測定(XRD)によって確認できる。酸化物透明導電膜が完全な非晶質構造であると、例えば、図1のようなX線回折パターンが観察される。
上記組成を有し、非晶質構造を有する酸化物透明導電膜は、耐薬品性に優れた可視域の透過率の高い透明導電膜でもある。耐薬品性とは、例えば、40℃で3%の塩酸水溶液や、40℃で3%の水酸化ナトリウム溶液に対しても、腐食せず、実質的に、導電率と可視域透過率を維持できるという優れた特性を有する。
本発明において透明導電膜の膜厚は、用途によって異なるので特に規定できないが、50〜500nm、好ましくは100〜300nmである。50nm未満であると十分な比抵抗が確保できず、一方、500nmを超えると膜の着色の問題が生じてしまうので好ましくない。
また、透明導電膜の可視域(400〜800nm)での平均透過率は80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。平均透過率が80%未満であると有機EL素子などへの適用が困難となる。
本発明において、上記の透明導電性薄膜は、通常、ガラス板、石英板、樹脂板又は樹脂フィルムから選択されるいずれかの基材(基板)上に成膜され透明導電性基材となる。
この透明導電性基材は、前記の透明導電膜をLCD、PDP、或いはEL素子などの表示パネルの陽極及び/又は陰極として機能させるものである。基材としては、光透過性の支持体を兼ねることから、一定の強度と透明性を有する必要がある。
樹脂板もしくは樹脂フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、これらの表面にアクリル樹脂が被覆された構造の樹脂板もしくは樹脂フィルムでもよい。
基材の厚さは、特に限定されるわけではないが、ガラス板や石英板であれば、0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmであり、樹脂板又は樹脂フィルムの場合は、0.1〜5mm、好ましくは1〜3mmとされる。この範囲よりも薄いと強度が弱く取り扱いも難しい。一方、この範囲よりも厚いと透明性が悪いだけでなく重量が大きくなり好ましくない。
上記基材には、単層または多層からなる絶縁層、半導体層、ガスバリア層又は保護層のいずれかを形成することができる。絶縁層としては、酸化珪素(Si−O)膜または窒化酸化珪素(Si−O−N)膜などがあり、半導体層としては、薄膜トランジスター(TFT)などがあり主にガラス基板に形成され、ガスバリア層は、水蒸気バリア膜などとして、酸化珪素(Si−O)膜、窒化酸化珪素(Si−O−N)膜、アルミニウム酸マグネシウム(Al−Mg−O)膜、または酸化スズ系(例えば、Sn−Si−O)膜などが樹脂板もしくは樹脂フィルムに形成される。保護層は、基材の表面を傷や衝撃から守るためのものであり、Si系、Ti系、アクリル樹脂系など各種コーテングが使用される。なお、基材に形成しうる層はこれらに限定されず、導電性を有する薄い金属膜などを施すこともできる。
本発明によって得られる透明導電性基材は、比抵抗、光透過率、表面平坦性などの面で優れた特性をもつ透明導電膜が成膜されているため、各種の表示パネルの構成部品として極めて有用である。また、上記透明導電性基材を備えた電子回路実装部品としては、有機EL素子の他にレーザー部品などを挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(酸化物焼結体の評価)
得られた酸化物焼結体の比抵抗を、研磨面に対し、四探針法で測定した。
また、相対密度は、(焼結体密度(D)/理論密度(TD))×100(%)で算出されるが、焼結体密度D(g/cm)は、焼結体の質量M(g)と体積V(cm)を測定してM/Vから算出するか、焼結体密度Dは、水を用いたアルキメデス法から算出した。酸化物焼結体の理論密度TD(g/cm)は、X線回折測定で求められたルチル型構造のSnO結晶の理論密度TDSnO2(g/cm)=7.0と、ウルツ鉱型構造のZnO結晶の理論密度TDZnO(g/cm)=5.7から、酸化物焼結体の組成(X=Zn/(Zn+Sn))を用いて、以下の式(1)で求めた。
TD=(1−X)×TDSnO2+X×TDZnO・・・式(1)
一方、得られた酸化物焼結体の粉末X線回折測定を実施し、生成相の同定を行った。ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピーク、酸化亜鉛に起因した回折ピークを観察した。またEPMAによる局所組成分析を行い、酸化スズ結晶相に亜鉛が固溶されているかどうか調べた。さらに、酸化物焼結体のICP発光分光法により組成分析を行った。
(酸化物透明導電膜の評価)
得られた酸化物透明導電膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行って、粒界の存在を確認し非晶質構造であるかどうか確認した。
得られた膜を3%のNaOH水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬し、膜質の変化を調べ耐アルカリ性に優れているかどうか確認した。また、得られた膜を3%のHCl水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬し、膜質の変化を調べ耐酸性に優れているかどうか確認した。
(実施例1)
・酸化物焼結体の製造
まず、平均粒径が2〜3μm以下のZnO粉末、および平均粒径が2〜3μm以下のSnO粉末を、原料粉末とした。ZnO粉末とSnO粉末を、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.25となる割合で調合し、水とともに樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥、造粒した。
造粒物を、冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて、成形した。
次に、成形体を次のように焼結した。炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で、焼結炉内の大気に酸素を導入する雰囲気で、1450℃で20時間焼結した。この際、1℃/分で昇温し、焼結後の冷却の際は酸素導入を止め、1000℃までを10℃/分で降温した。
得られた酸化物焼結体の端材の粉末X線回折測定を実施したところ、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体は、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相の存在も僅かに観察された。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ、酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
・ターゲットの製造
次に、得られた酸化物焼結体を、直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、ターゲット面をカップ砥石で最大高さRzが3.0μm以下となるように磨いた。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、82%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、3.1kΩcmであった。この加工した酸化物焼結体を、無酸素銅製のバッキングプレートに金属インジウムを用いてボンディングして、ターゲットを作製した。
・透明導電膜の製造
その後、アーキング抑制機能のない直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、スパッタリングターゲットを取り付け、スパッタリングターゲットの対向位置にガラス基板を配置し、ガラス基板上で、スパッタリングターゲットの中心の直上部の一部を、フェルトペンでマークした。そして、ターゲット−基板間距離を60mmとして、基板をスパッタリングターゲットに対して静止対向の位置に加熱せずに設置した。ターゲット−基板間を1×10−4Pa以下まで排気した後、Oガスを0.1〜10%混合させた純Arガスを導入してガス圧を0.5Paとし、直流を50〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)投入して1時間、直流プラズマを発生させてターゲット表面にクラックが発生するか調べ、クラックが発生した投入電力密度を求めた。
こうして非加熱のガラス基板上に約200nmの膜厚の酸化物透明導電膜を作製した。膜厚は、ガラス基板上に予めフェルトペンのマークを行い、その上に堆積した膜とともにアセトンで取り除き、生じた段差、即ち膜厚を表面粗さ計で測定して正確に求めた。膜の表面抵抗は、四端針法により測定し、表面抵抗×膜厚から比抵抗を算出した。膜の比抵抗は、スパッタリング中の導入酸素量に依存し、最も低抵抗膜が得られる最適酸素量を把握した。種々の直流投入電力値における最適酸素量と、最適酸素量における膜の比抵抗および成膜速度を評価した。直流電源としてENI社製RPG−50を用い、200kHzの直流パルシングを採用した直流電力を、ターゲット−基板間に投入した。
スパッタリング中、ターゲットへの投入電力を変化させた範囲内50W〜600W(ターゲット面(6インチφの表面積)の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)では、クラックは発生せず放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増大させると増加することが確認でき、本発明の酸化物焼結体から高速成膜に有利なスパッタリングターゲットが作製できることが証明された。
次に、膜の電気的、光学的特性を調べるため、DC500Wにて最も低抵抗を示した200nmの膜厚の透明導電膜をガラス基板上に作製した。膜の表面抵抗を四端針法で測定し、表面抵抗×膜厚から比抵抗を算出したところ、7×10−3Ωcmであった。さらに、光学特性を分光光度計(日立製作所社製)で測定したところ、400〜800nmの膜自体の可視光透過特性が85%以上であった。
また、得られた膜を3%のNaOH水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬したが、膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた膜を3%のHCl水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬したが、膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
さらに、得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行った。X線回折測定によるXRDパターンは、図1に示すとおりであった。これにより、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。結果を表1に示した。
よって、このような酸化物透明導電膜を用いて、酸化物透明導電膜/Ag膜/酸化物透明導電膜の積層構造を有する透明導電膜を作製すれば、酸化物透明導電膜の金属膜に対する保護機能が十分にあるため、耐薬品性や耐湿性に極めてすぐれて15Ω/□以下の低抵抗の透明電極として利用できる。
(実施例2)
Zn/(Zn+Sn)原子数比を0.05とした以外は実施例1と同様にして酸化物焼結体を作製した。得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。
得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、78%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、4.8kΩcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
このターゲットを用いて実施例1と同様の条件で成膜実験を行った。ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。
よって、このような酸化物焼結体は、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ3×10−3Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。
得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。結果を表1に示した。よって、このような酸化物透明導電膜を用いて、酸化物透明導電膜/Ag膜/酸化物透明導電膜の積層構造の透明導電膜を作製すれば、酸化物透明導電膜の金属膜に対する保護機能が十分にあるため、耐薬品性や耐湿性に極めてすぐれて15Ω/□以下の低抵抗の透明電極として利用できるといえる。
(実施例3)
Zn/(Zn+Sn)原子数比を0.48とした以外は実施例1と同様にして酸化物焼結体を作製した。得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。
得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、92%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、2.0kΩcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
このターゲットを用いて実施例1と同様の条件で成膜実験を行った。ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。
よって、このような酸化物焼結体は、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ5×10−1Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。
得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。よって、このような酸化物透明導電膜を用いて、酸化物透明導電膜/Ag膜/酸化物透明導電膜、の積層構造の透明導電膜を作製すれば、酸化物透明導電膜の金属膜に対する保護機能が十分にあるため、耐薬品性や耐湿性に極めてすぐれ、15Ω/□以下という低抵抗の透明電極として利用できる。
(比較例1)
原料粉末として平均粒径が5〜10μmのSnO粉末と平均粒径が2〜3μmのZnO粉末を用いたこと、原料粉末の湿式ボールミル混合を5時間と短くしたこと、焼結温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体を作製した。
作製された酸化物焼結体の評価を実施例1と同様に実施したところ、X線回折測定からウルツ鉱型構造の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークとSnOの回折ピークが観察されたが、スズ酸亜鉛化合物相の回折ピークは観察されなかった。
得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、52%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、6.5kΩcmであった。
さらに、得られた酸化物焼結体を用いて実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製し、実施例1と同様にして透明導電膜の作製を試みた。この際、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたところ、400W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が2.205W/cm)以上でクラックが発生してしまい放電が不安定になった。結果を表1に示した。
このような酸化物焼結体では、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することはできない。
(比較例2)
原料粉末として平均粒径が5〜10μmのSnO粉末と平均粒径が2〜3μmのZnO粉末を用いたこと、原料粉末の湿式ボールミル混合を5時間と短くしたこと、焼結温度を1100℃としたこと以外は実施例2と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.05の酸化物焼結体を作製した。
作製された酸化物焼結体の評価を実施例1と同様に実施したところ、X線回折測定からウルツ鉱型構造の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークとSnOの回折ピークが観察されたが、スズ酸亜鉛化合物相の回折ピークは観察されなかった。
得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、48%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、7.1kΩcmであった。
さらに、得られた酸化物焼結体を用いて実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製し、実施例1と同様にして透明導電膜の作製を試みた。この際、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたところ、350W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が1.930W/cm)以上でクラックが発生してしまい放電が不安定になった。結果を表1に示した。
このような酸化物焼結体では、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することはできない。
(比較例3)
原料粉末として、平均粒径が5〜10μmのSnO粉末と平均粒径が2〜3μmのZnO粉末を用いたことと、原料粉末の湿式ボールミル混合を5時間と短くしたこと、焼結温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.48の酸化物焼結体を作製した。
作製された酸化物焼結体の評価を実施例1と同様に実施したところ、X線回折測定からウルツ鉱型構造の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークとSnOの回折ピークが観察されたが、スズ酸亜鉛化合物相の回折ピークは観察されなかった。
得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、61%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、5.5kΩcmであった。
さらに、得られた酸化物焼結体を用いて実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製し、実施例1と同様にして透明導電膜の作製を試みた。この際、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたところ、450W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が2.481W/cm)以上でクラックが発生してしまい放電が不安定になった。結果を表1に示した。このような酸化物焼結体では、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することはできない。
(参考例1)
原料粉末の湿式ボールミル混合を5時間と短くしたこと、焼結時間を5時間としたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体を作製した。
作製された酸化物焼結体の評価を実施例1と同様に実施したところ、X線回折測定からウルツ鉱型構造の酸化亜鉛結晶相に起因する回折ピークとSnOの回折ピークとJCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察された。ZnSnO相も僅かに存在した。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、68%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、4.9kΩcmであった。
さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。その後、すぐに、このターゲットを用いて、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。よって、このような酸化物焼結体を用いれば、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ、実施例1の7×10−2Ωcmと同等の導電性であることが分かった。可視光透過性、耐薬品性、完全非晶質性も良好な酸化物透明導電膜であった。結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例4で作製したターゲットを、高濃度の炭酸ガス雰囲気中で処理した。ターゲット表面の色合いが変化し、XPSによるターゲット表面の分析を行ったところ、炭酸亜鉛が顕著に生成されていることがわかった。
実施例1と同様の条件で成膜試験を実施した。ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたところ、450W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が2.481W/cm)以上でクラックが発生してしまい放電が不安定になった。
このような酸化物焼結体では、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することはできない。
また、低投入電力(200W)にて、最適酸素量において、作製した膜厚200nmの酸化物透明導電膜の比抵抗は、実施例4のターゲットを用いて同じ条件で作製した酸化物透明導電膜の比抵抗と比較して2倍以上高く、導電性に劣っていることがわかった。結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1〜3のターゲットを高濃度の炭酸ガス雰囲気中で処理した。処理後もターゲット表面は変色せず、比抵抗、相対密度ともに変化していなかった。
実施例1と同様の条件で成膜実験を実施した。得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。その後、すぐに、このターゲットを用いて、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。
また、得られる酸化物透明導電膜は、処理前の導電性、可視域透過性、耐薬品性、完全非晶質性と同等であった。
成膜評価後に、酸化物焼結体をバッキングプレートから外して、比抵抗と構成される相を調べたが、放置前と変化していなかった。結果を表1に示した。
(比較例5)
原料粉末として平均粒径が10〜15μmの金属Zn粉末と平均粒径が2〜3μmのSnO粉末を用いたこと、原料粉末の湿式ボールミル混合を5時間と短くしたこと、焼結温度を1200℃としたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体を作製した。
作製された酸化物焼結体の評価を実施例1と同様に実施したところ、X線回折測定から金属の亜鉛結晶相に起因する回折ピークが観察され、SnOの回折ピークおよびスズ酸亜鉛化合物相の回折ピークも観察された。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、73%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、2.1kΩcmであった。
さらに、得られた酸化物焼結体を用いて実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製し、実施例1と同様にして透明導電膜の作製を試みた。この際、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたところ、500W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が2.757W/cm)以上でクラックが発生してしまい放電が不安定になった。結果を表1に示した。このような酸化物焼結体では、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することはできない。
(実施例6)
原料粉末として平均粒径が2μm以下の金属Zn粉末と平均粒径が2〜3μmのSnO粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体を作製した。
得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、89%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、1.5kΩcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
その後、このターゲットを用い、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。よって、このような酸化物焼結体を用いれば、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ7×10−2Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。結果を表1に示した。
(実施例7)
原料粉末として平均粒径が1μm以下のSnO粉末と平均粒径が1μm以下のZnO粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にしてZn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体を作製した。
得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ、酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、95%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、55Ωcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
その後、このターゲットを用い、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。また、この成膜速度は、同一の成膜条件である実施例1のターゲットから得られた成膜速度を比較すると、1.1〜1.2倍ほど速かった。よって、このような酸化物焼結体を用いれば、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ6×10−2Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。結果を表1に示した。
(実施例8)
原料粉末として平均粒径が1μm以下のSnO粉末と平均粒径が1μm以下のZnO粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.05の酸化物焼結体を作製した。
得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ、酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、94%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、98Ωcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
その後、このターゲットを用い、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。また、この成膜速度は、同一の成膜条件である実施例1のターゲットから得られた成膜速度を比較すると、1.1〜1.2倍ほど速かった。よって、このような酸化物焼結体を用いれば、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ2×10−3Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。結果を表1に示した。
(実施例9)
原料粉末として平均粒径が1μm以下のSnO粉末と平均粒径が1μm以下のZnO粉末を用いたこと以外は実施例と同様にして、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.48の酸化物焼結体を作製した。
得られた酸化物焼結体について、X線回折測定で構成している相の種類を調べたところ、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相に起因する回折ピークが観察されたが、酸化亜鉛に起因した回折ピークは観察されなかった。ZnSnO相も僅かに存在した。またEPMAによる局所組成分析を行ったところ、酸化スズ結晶相には亜鉛が固溶されていた。得られた酸化物焼結体のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
得られた酸化物焼結体を、実施例1と同様の条件・手順で直径152mm、厚み5mmの大きさに加工し、表面を研磨した。加工後の酸化物焼結体の相対密度を測定したところ、97%であった。酸化物焼結体のターゲット面に対し、四端針法で比抵抗を測定したところ、43Ωcmであった。さらに、得られた酸化物焼結体を用いて前記の方法に従いターゲットを作製した。
その後、このターゲットを用い、ターゲットへの投入電力を50W〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)の範囲内で変えてみたが、クラックは発生せず、放電は安定していた。成膜速度は、投入電力を増すほど速くなった。また、この成膜速度は、同一の成膜条件である実施例1のターゲットから得られた成膜速度を比較すると、1.1〜1.2倍ほど速かった。よって、このような酸化物焼結体は、高い生産性を必要とする量産工程用ターゲットを作製することができる。
このターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で透明導電膜を作製し、作製した透明導電膜の比抵抗を計ったところ3×10−1Ωcmであり、可視光領域の光透過率が85%以上の良好な低抵抗透明導電膜であった。得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、粒界の存在しない完全な非晶質構造であることがわかった。また、得られた膜の、3%のHCl水溶液(40℃)、3%のKOH水溶液(40℃)に対する耐薬品性を、実施例1と同様の条件で調べたが、膜質や膜特性に変化はなく、優れた耐薬品性を有していることがわかった。結果を表1に示した。
(比較例9)
・ターゲット用焼成粉の製造
平均粒径が2〜3μm以下のZnO粉末、および平均粒径が2〜3μm以下のSnO粉末を、原料粉末とした。ZnO粉末とSnO粉末を、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.25となる割合で調合し、水とともに樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミルで混合した。この際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を18時間とした。混合後、スラリーを取り出し、濾過、乾燥して粉末混合体を得た。
次に、粉末混合体をアルゴン中1000℃で5時間焼成して焼成粉を作製した。得られた焼成粉の粉末X線回折測定を実施したところ、Zn/(Zn+Sn)原子数比が0.25の酸化物焼結体は、ルチル型構造の酸化スズ相と、JCPDSカードの52−1381に記載のスズ酸亜鉛ZnSnO相の他、ウルツ鉱型のZnO相に起因する回折ピークが観察された。また焼成粉のICP発光分光法による組成分析を行ったところ、原料粉末の配合時の仕込み組成と同じであった。
・ターゲットの作製
得られた焼成粉を、直径152mmのステンレス製皿に詰めスパッタターゲットとした。
・透明導電膜の製造
アーキング抑制機能のない直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、スパッタリングターゲットを取り付け、スパッタリングターゲットの対向位置にガラス基板を配置し、ガラス基板上で、スパッタリングターゲットの中心の直上部の一部を、フェルトペンでマークした。そして、ターゲット−基板間距離を60mmとして、基板をスパッタリングターゲットに対して静止対向の位置に加熱せずに設置した。ターゲット−基板間を1×10−4Pa以下まで排気した後、Oガスを0.1〜10%混合させた純Arガスを導入してガス圧を0.5Paとし、直流を50〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)投入して、直流プラズマの発生を試みたが、安定してプラズマを発生させることはできなかった。直流電源としてENI社製RPG−50を用い、200kHzの直流パルシングを採用した直流電力を、ターゲット−基板間に投入して成膜を試みたが、安定して放電を行うことができなかった。したがって、このような焼成粉ターゲットを用いたのでは、直流マグネトロンスパッタ成膜が行えず、安定に高速成膜することができない。
次に、この焼成粉ターゲットを用いて、高周波マグネトロンスパッタリングによる成膜を検討した。ターゲット−基板間距離を60mmとして、基板をスパッタリングターゲットに対して静止対向の位置に加熱せずに設置した。ターゲット−基板間を1×10−4Pa以下まで排気した後、Oガスを0.1〜10%混合させた純Arガスを導入してガス圧を0.5Paとし、高周波電力を50〜600W(ターゲット面の単位面積あたりの直流投入電力が0.276〜3.308W/cm)投入して、直流プラズマの発生を試みたところ、150W以下の高周波電力投入時に安定してプラズマを発生させて成膜をおこなうことができた。
次に、膜の電気的、光学的特性を調べるため、RF100Wにて最も低抵抗を示した200nmの膜厚の透明導電膜をガラス基板上に作製した。膜の表面抵抗を四端針法で測定し、表面抵抗×膜厚から比抵抗を算出したところ、5×10−3Ωcmであった。さらに、光学特性を分光光度計(日立製作所社製)で測定したところ、400〜800nmの膜自体の可視光透過特性が85%以上であった。
また、得られた膜を3%のNaOH水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬したが、膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた膜を3%のHCl水溶液(40℃)に10分間ほど浸漬したが、膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。結果を表1に示した。
得られた膜について、X線回折測定、透過型電子顕微鏡、電子線回折測定を行ったところ、ZnSnO結晶相が含まれ、膜中には粒界が存在していた。高周波スパッタリングは、直流スパッタリング法と比べて、プラズマから基板への加熱効果が大きく、基板が自然加熱されて成膜されたことが原因である。この酸化物透明導電膜を用いて、酸化物透明導電膜/Ag膜/酸化物透明導電膜、の積層構造の透明導電膜を作製すると、15Ω/□以下の低抵抗の透明電極が得られたが、本発明の透明導電膜と比べて、酸や水に対する腐食性に劣っていた。これは、酸化物透明導電膜中に粒界が存在して、金属膜に対する保護機能が十分にないからである。このような透明導電膜は、低抵抗の透明電極として利用することができない。
(実施例10)
実施例1〜7、比較例1〜7の酸化物焼結体をイオンプレーティング用タブレットに適用した。その結果、各実施例、各比較例と同じ傾向が見られた。
すなわち、酸化物焼結体中に酸化亜鉛相が含まれると、投入電力を高めたときに割れやすい傾向を示すが、スズ酸亜鉛相を含んだ酸化物焼結体は高い投入電力でも割れずに安定して成膜ができた。また成膜速度は、酸化物焼結体の比抵抗が低いほど速く、特に100Ωcm以下のとき高パワー投入が可能で高速成膜が実現できた。得られた酸化物透明導電膜も、実施例1〜7と同様の特性を示し、耐薬品性、完全非晶質性に優れたものが得られた。
Figure 0004730204
本発明に係る酸化物透明導電膜のX線回折パターンを示す図である。

Claims (5)

  1. スズ、亜鉛、および酸素からなる酸化物焼結体を加工して得られ、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法で基板上に透明な酸化物の薄膜を形成するための酸化物焼結体ターゲットであって、
    酸化物焼結体は、亜鉛がZn/(Zn+Sn)の原子数比として0.05〜0.48含有され、かつ、スズ酸亜鉛化合物相と酸化スズ相とから構成され、酸化亜鉛相、炭酸亜鉛相、およびスズ、または亜鉛からなる金属相のいずれも含まず、スズ酸亜鉛化合物相は、少なくともZnSnOを含んでおり、比抵抗が0.043〜5kΩcm、相対密度が65〜97%であることを特徴とする酸化物焼結体ターゲット。
  2. 酸化物焼結体の比抵抗が0.043〜4.8kΩcmであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体ターゲット。
  3. 酸化物焼結体の相対密度が70〜97%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体ターゲット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物焼結体ターゲットを用い、該ターゲットに2.0W/cmを超えた直流投入電力密度を投入する直流スパッタリング法で、基板上に酸化物透明導電膜の薄膜を形成することを特徴とする酸化物透明導電膜の製造方法。
  5. 基板が加熱されないことを特徴とする請求項に記載の酸化物透明導電膜の製造方法。
JP2006144001A 2006-05-24 2006-05-24 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法 Expired - Fee Related JP4730204B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006144001A JP4730204B2 (ja) 2006-05-24 2006-05-24 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006144001A JP4730204B2 (ja) 2006-05-24 2006-05-24 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007314364A JP2007314364A (ja) 2007-12-06
JP4730204B2 true JP4730204B2 (ja) 2011-07-20

Family

ID=38848581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006144001A Expired - Fee Related JP4730204B2 (ja) 2006-05-24 2006-05-24 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4730204B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105210158A (zh) * 2013-05-23 2015-12-30 琳得科株式会社 导电膜和具有导电膜的电子设备

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4552950B2 (ja) 2006-03-15 2010-09-29 住友金属鉱山株式会社 ターゲット用酸化物焼結体、その製造方法、それを用いた透明導電膜の製造方法、及び得られる透明導電膜
JP2007250369A (ja) * 2006-03-16 2007-09-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明導電性膜およびその製造方法
DE102007019994A1 (de) * 2007-04-27 2008-10-30 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Transparente Barrierefolie und Verfahren zum Herstellen derselben
JP2010031364A (ja) * 2008-06-25 2010-02-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明導電膜とその製造方法
JP2010034032A (ja) * 2008-06-25 2010-02-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明導電膜の製造方法
JPWO2010058533A1 (ja) 2008-11-20 2012-04-19 出光興産株式会社 ZnO−SnO2−In2O3系酸化物焼結体及び非晶質透明導電膜
CN102245531B (zh) * 2008-12-12 2016-05-11 出光兴产株式会社 复合氧化物烧结体及由其构成的溅射靶
JP2012132087A (ja) * 2010-03-04 2012-07-12 Mitsubishi Materials Corp 薄膜形成用の蒸着材及び該薄膜を備える薄膜シート並びに積層シート
JP5686067B2 (ja) 2011-08-05 2015-03-18 住友金属鉱山株式会社 Zn−Sn−O系酸化物焼結体とその製造方法
JP5795220B2 (ja) * 2011-09-05 2015-10-14 株式会社日本セラテック ターゲット及びその製造方法
JP2014167162A (ja) * 2013-01-31 2014-09-11 Nitto Denko Corp 赤外線反射フィルムの製造方法
JP2014167163A (ja) * 2013-01-31 2014-09-11 Nitto Denko Corp 赤外線反射フィルムの製造方法
JP5979082B2 (ja) * 2013-05-29 2016-08-24 住友金属鉱山株式会社 蒸着用タブレットとその製造方法
JP6233233B2 (ja) 2013-08-06 2017-11-22 三菱マテリアル株式会社 スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP6282142B2 (ja) * 2014-03-03 2018-02-21 日東電工株式会社 赤外線反射基板およびその製造方法
CN106687616A (zh) * 2014-09-18 2017-05-17 国立研究开发法人科学技术振兴机构 金属氧化物的薄膜、具备该薄膜的有机电致发光元件、太阳能电池及薄膜的制造方法
JP6414527B2 (ja) * 2015-08-07 2018-10-31 住友金属鉱山株式会社 Sn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法
JP6677058B2 (ja) * 2016-03-04 2020-04-08 住友金属鉱山株式会社 Sn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法
WO2017149882A1 (ja) * 2016-03-04 2017-09-08 住友金属鉱山株式会社 Sn-Zn-O系酸化物焼結体とその製造方法
JP6551683B2 (ja) * 2016-03-11 2019-07-31 住友金属鉱山株式会社 Sn−Zn−O系酸化物焼結体とその製造方法
WO2019054489A1 (ja) * 2017-09-14 2019-03-21 三菱マテリアル株式会社 スパッタリングターゲット

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4559554B2 (ja) * 1999-03-05 2010-10-06 出光興産株式会社 スパッタリング、エレクトロンビーム及びイオンプレーティング用焼結体及びスパッタリング用ターゲット
JP4559553B2 (ja) * 1999-03-05 2010-10-06 出光興産株式会社 スパッタリング、エレクトロンビーム、イオンプレーティング用焼結体、透明導電ガラス及び透明導電フィルム
JP2006196200A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Idemitsu Kosan Co Ltd 透明電極及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105210158A (zh) * 2013-05-23 2015-12-30 琳得科株式会社 导电膜和具有导电膜的电子设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007314364A (ja) 2007-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4730204B2 (ja) 酸化物焼結体ターゲット、及びそれを用いた酸化物透明導電膜の製造方法
JP4552950B2 (ja) ターゲット用酸化物焼結体、その製造方法、それを用いた透明導電膜の製造方法、及び得られる透明導電膜
JP5716768B2 (ja) 酸化物焼結体、ターゲット、およびそれを用いて得られる透明導電膜、並びに透明導電性基材
JP5880667B2 (ja) ターゲット及びその製造方法
JP4826066B2 (ja) 非晶質の透明導電性薄膜およびその製造方法、並びに、該非晶質の透明導電性薄膜を得るためのスパッタリングターゲットおよびその製造方法
JP5561358B2 (ja) 透明導電膜
JP4982423B2 (ja) 酸化亜鉛薄膜形成用スパッタターゲットと、それを用いて得られる酸化亜鉛薄膜を有する表示素子及び太陽電池
JP2006193363A (ja) 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電性薄膜
JP4779798B2 (ja) 酸化物焼結体、ターゲット、およびそれを用いて得られる透明導電膜
JP5333144B2 (ja) 薄膜製造用焼結体ターゲットとその製造方法
JP2006188392A (ja) 酸化物焼結体、透明導電性薄膜およびその実装素子
JP2004087451A (ja) 透明導電性薄膜、その形成方法、それを用いた表示パネル用透明導電性基材及び有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4211558B2 (ja) スパッタリングターゲット材料、その製造方法、及びそれを用いた透明導電膜の製造方法
JP2006219357A (ja) 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電性薄膜
JP2005298306A (ja) 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電性薄膜
JP2012132089A (ja) 酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法、酸化亜鉛系透明導電膜および透明導電性基板

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110404

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4730204

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees