JP5013133B2 - 自動車車体におけるチューブ状フレームの連結構造の組立方法 - Google Patents

自動車車体におけるチューブ状フレームの連結構造の組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、チューブ状フレーム構造の自動車車体に関し、より詳しくは、チューブ状フレーム同士の連結構造の組立方法に関する。
中空部材であるチューブ状フレームは閉断面の面積を小さくしても車体剛性などの向上が期待できるため部分的な使用が既に検討されている。
特許文献1は、フロントピラーをアウターパネルとチューブ状フレームとで構成すると共に、アウターパネルにフランジを設けて、このフランジにドアシールストリップを嵌着することを開示している。特許文献1に開示のチューブ状フレームは、ハイドロフォーム成形法によって閉断面多角形に一体成形されたチューブで構成されており、このチューブは略六角形の断面形状を有し、その外側且つ前方の平坦な前面部にはアウターパネルのベース部が接合されて、このベース部にフロントウィンドウシールドが支持されている。
特許文献2には、ハイドロフォーム成形法によって閉断面の中空部材を一体成形し、この中空部材の外側にアウターパネルを取り付けてフロントピラーを構成することが提案されている。
特許文献3には、パイプ状の高張力鋼板を用いてハイドロフォーム成形法によって成形された補強部材を平面視コ字状に形作って、これを左右のフロントピラー、左右のルーフサイド、リヤヘッダに配設して車両のルーフのフレームを作ることが提案されている。
特開昭62−173378号公報 特開2006−182079号公報 特開2002−145117号公報
近時の車両の車体構造は「モノコック」と呼ばれる手法に基づいて設計されるのが殆どである。本願発明者らは、上述したチューブ状フレームを使った車体構造を作る研究を行っている。チューブ状フレーム構造による場合、チューブ状フレームの剛性を損なうことなく隣接するチューブ状フレーム同士を連結する構造の開発が必要となる。すなわち、モノコックボディで一般的に使用されているスポット溶接法は、互いに対向する電極で、対象となる部位を挟み込む必要があるが、チューブ状フレームでは、チューブ状フレームの内部に電極を挿入するには、チューブ状フレームに開口を用意する必要があり、これではチューブ状フレームの剛性が低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、チューブ状フレームの壁に孔を開けることなく、隣接するチューブ状フレーム同士を接合することのできる自動車車体におけるチューブ状フレームの連結構造を提供することにある。
本発明の更なる目的は、隣接するチューブ状フレーム同士の連結部位での剛性を確保することのできるチューブ状フレームの連結構造を提供することにある。
本発明の別の目的は、チューブ状フレーム構造における隣接するチューブ状フレーム同士の連結においてこれを合理的に組み立てることのできるチューブ状フレーム構造の組立方法を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
左右のチューブ状フレームからなるルーフサイドフレームに対してT字状に連結されて、前記左右のルーフサイドフレーム間に亘って延び且つチューブ状フレームからなるルーフクロスメンバを有するチューブ状フレーム構造において、該ルーフクロスメンバの端には、前記ルーフサイドフレームに連結するために上下に分割された下方分割ブラケットと上方分割ブラケットとが形成されているチューブ状フレームの連結構造の組立方法であって、
前記ルーフクロスメンバと前記ルーフサイドフレームとを連結するためのブラケットであって、上下に分割され且つその分割ラインに沿って延びるフランジを備えた下方分割ブラケット及び上方分割ブラケットを用意し、
前記下方分割ブラケットを前記ルーフサイドフレームの下部に片側連続溶接する第1工程と、
前記上方分割ブラケットを前記ルーフクロスメンバの端部の上部に片側連続溶接する第2工程と、
前記ルーフクロスメンバと一体化した前記上方分割ブラケットを、前記ルーフサイドフレームと一体化された前記下方分割ブラケットに組み付ける第3工程と、
前記上下の分割ブラケットの互いに重なり合ったフランジを仮止め溶接する第4工程と、
該仮止めされたフランジ同士を片側連続溶接する第5工程とを有する自動車車体におけるチューブ状フレームの連結構造の組立方法を提供することにより達成される。
すなわち、発明によれば、仮止めのための第4工程を付加することで、チューブ状フレーム構造に含まれる片側連続溶接箇所を第5工程で集中的に溶接することができるため、チューブ状フレーム構造における連結部位を合理的に組み立てることができる。
第1実施例の連結構造の分解斜視図であり、2本のチューブ状フレームをT字状に連結する連結構造である。 図1のT字状に連結した連結部の平面図である。 チューブ状フレームの一つの作り方を示す説明図である。 図3の手法により作ったチューブ状フレームの断面図である。 図4のチューブ状フレームの変形例の断面図である。 図4のチューブ状フレームの更なる変形例の断面図である。 2つの断面コ字状部材によって作ったチューブ状フレームの断面図である。 図7のチューブ状フレームの変形例を示す断面図である。 図1、図2の連結構造の変形例の平面図である。 図9の連結構造の斜視図である。 図9の連結構造の分解斜視図である。 1参考例の連結構造の平面図である。 図12に図示の第1参考例の斜視図である。 図12に図示の第1参考例の分解斜視図である。 実施例の連結構造の平面図である。 図15に図示の第実施例の斜視図である。 図16とは異なる方向から見た第実施例の斜視図である。 図15の第実施例の分解斜視図である。 実施例の変形例の分解斜視図である。 実施例の更なる変形例の分解斜視図である。 第2参考例の連結構造の斜視図である。 図21に図示の第2参考例の連結構造の分解斜視図である。 図21に図示の第2参考例の連結構造を図22とは異なる方向から見た分解斜視図である。 3参考例の連結構造を示し、2本のチューブ状フレームが直列に連結される。 図24のX25−X25線に沿った断面図である。 図24の第3参考例の連結構造の分解斜視図である。 図24の第3参考例の変形例の連結構造の斜視図である。 図27に図示の連結構造の分解斜視図である。 4参考例の連結構造の平面図であり、2本のチューブ状フレームがL字状に連結される。 図29の第4参考例の連結構造の斜視図である。 図29の第4参考例の連結構造を図30とは異なる方向から見た斜視図である。 図29の第4参考例の連結構造の分解斜視図である。 図29〜図32の第4参考例の変形例の連結構造の斜視図である。 図33に図示の第4参考例の変形例の分解斜視図である。 図33に図示の第4参考例の変形例の分解斜視図であり、図34とは異なる方向から見た図である。 5参考例の連結構造の平面図であり、3本のチューブ状フレームがY字状に連結される。 図36の第5参考例の連結構造の斜視図である。 図36の第5参考例の連結構造の分解斜視図である。 図36〜図38の第5参考例の変形例の連結構造の斜視図である。 図39に図示の連結構造の分解斜視図である。 図39に図示の連結構造の分解斜視図であり、図40とは異なる方向から見た図である。 6参考例の連結構造の分解斜視図である。 6参考例の連結構造の他の分解斜視図である。 6参考例の連結構造の斜視図である。 6参考例の連結構造の斜視図であり、図44とは異なる方向から見た図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明するが、以下に説明する種々のチューブ状フレーム結合構造は自動車の各所に適用可能である。適用可能な典型的な部位を例示すれば次のとおりである。
(1)フロントピラー、センターピラー、リアピラーをチューブ状フレームで構成したときには、これらピラーの下端とサイドシルとの間の連結;
(2)左右のサイドシルをチューブ状フレームで構成し、また、左右のサイドシル間に亘って車幅方向に延びるクロスメンバをチューブ状フレームで構成したときには、左右のサイドシルとクロスメンバと間の連結;
(3)左右のフロントサイドフレームをチューブ状フレームで構成し、また、左右のフロントサイドフレーム間に亘って車幅方向に延びるクロスメンバをチューブ状フレームで構成したときには、左右のフロントサイドフレームとクロスメンバとの間の連結;
(4)ルーフを左右のルーフサイドフレームと、左右のルーフサイドフレーム間に亘って車幅方向に延びるフロント及びリアのヘッダ及び/又はルーフクロスメンバとをチューブ状フレームで構成したときには、左右のルーフサイドフレームとフロント及びリアのヘッダ及び/又はフールクロスメンバとの間の連結。
第1実施例(図1、図2)
この第1実施例は、第1、第2のチューブ状フレーム2、4をT字状に連結するのに適用される連結構造を示す。第1、第2のチューブ状フレーム2、4は、互いに対抗する2つの側壁202、402と、互いに対抗する端壁204、404とを有する断面矩形の閉断面構造を有している。勿論、図示の第1、第2のチューブ状フレーム2、4は説明に都合の良い概念的な形状であり、具体的な断面形状は任意である。また、図示の第1、第2のチューブ状フレーム2、4は、その高さH1、H2が等しく図示してあるが(H1=H2)、異なっていてもよい。
図示の例では、第1、第2のチューブ状フレーム2、4は直交して配置されているが、この第1、第2のチューブ状フレーム2、4の交差角度は90°に限定されない。第1、第2のチューブ状フレーム2、4の連結構造を具体的に説明すると、第1チューブ状フレーム2の側壁202に対して第2のチューブ状フレーム4の一端面406を突き合わせた状態で配置される。なお、図示の例では、第1、第2のチューブ状フレーム2、4は直交して配置されているが、この第1、第2のチューブ状フレーム2、4の交差角度は90°に限定されない。
図1から最も良く分かるように、第1チューブ状フレーム2と第2チューブ状フレーム4は、上下に分割した第1、第2の分割ブラケット6、8を使って連結されている。下方に位置する第1の分割ブラケット6は、第2チューブ状フレーム4の端部の下部と相補的な形状を有するブラケット本体602と、ブラケット本体602から第1チューブ状フレーム2の下方端壁404aに沿って延び且つこの下方端壁404aと対面して第1チューブ状フレーム2と接合部位を構成する第1フランジ604とを有する。より具体的に第1分割ブラケット6を説明すると、ブラケット本体602は、第2チューブ状フレーム4の両側壁402、402に対面する両側壁602a、602aと、この両側壁602a、602aの下端の間に延びて第2チューブ状フレーム4の下方端壁404aに対面する下方壁602bとを有している。そして、この下方壁602bは、第1チューブ状フレーム2に向けて広がる扇状の形状を有しており、これに対応して第1ブラケット6の両側壁602a、602aは、平面視したときに湾曲しており、この両側壁602a、602a間の間隔が、第1チューブ状フレーム2に接近するに従って徐々に大きくなっている。そして、各側壁602aの上端縁には、外方に向けて広がる第2フランジ606が形成されており、この第2フランジ606は、第1、第2の分割フランジ6、8の分割ラインに沿って延びている。
上記第1の分割ブラケット6と対をなす第2の上方分割ブラケット8も上記第1分割ブラケット6と実質的に同じ形状を有している。すなわち、第2分割ブラケット8は、第2チューブ状フレーム4の端部の上部と相補的な形状を有するブラケット本体802と、ブラケット本体802から第1チューブ状フレーム2の上方端壁404bに沿って延び且つこの上方端壁404bと対面する第1フランジ804とを有する。より具体的に第2分割ブラケット8を説明すると、ブラケット本体802は、第2チューブ状フレーム4の両側壁402、402に対面する両側壁802a、802aと、この両側壁802a、802aの上端の間に延びて第2チューブ状フレーム4の上方端壁404bに対面する上方壁802bとを有している。そして、この上方壁802bは、第1チューブ状フレーム2に向けて広がる扇状の形状を有している。そして、これに対応して第2ブラケット8の両側壁802a、802aは、平面視したときに湾曲しており、この両側壁802a、802a間の間隔が、第1チューブ状フレーム2に接近するに従って徐々に大きくなっている。そして、各側壁602aの下端縁には、外方に向けて広がる第2フランジ806が形成されている。このように扇状に広がる形状にすることで、第1、第2の分割ブラケット6、8による結合強度を高めることができる。
第1、第2のチューブ状フレーム2、4は、次の工程を経て互いに連結される。
(第1工程)第1チューブ状フレーム2の下方端壁204aと側壁202と、第1分割ブラケット6の第1フランジ604及びブラケット側壁602aとを当接させて、第1フランジ604及びブラケット側壁602aの周縁つまり第1チューブ状フレーム2の外形と相補的な形状を有している部分をレーザ溶接のような片側連続溶接法によって接合する。レーザ溶接部位を仮想線10で示す。図1から、レーザ溶接による連続溶接は、第1、第2の分割ブラケット6、8の周縁に沿って一筆書きのように連続的に延びているのが分かるであろう。
(第2工程)第2チューブ状フレーム2の端部の上方端壁404b、両側壁202と、第2分割ブラケット8のブラケット本体802とを当接させて、この第2分割ブラケット8のブラケット本体802に周縁つまり第2チューブ状フレーム4と相補的な形状を有している部分をレーザ溶接のような片側連続溶接法によって接合する。レーザ溶接部位を仮想線10で示す。
(第3工程)第1分割ブラケット6を備えた第1チューブ状フレーム2に対して、第2分割ブラケット8を備えた第2チューブ状フレーム4を組み込む。この組み立ては、第1チューブ状フレーム2に接合されている第1分割ブラケット6に第2チューブ状フレーム4の端部を上から挿入することにより行われ、これにより、第1分割ブラケット6と第2分割ブラケット8は、第2フランジ606、806同士が重なり合った状態なる。
(第4工程)第1分割ブラケット6の第2フランジ606と第2分割ブラケット8の第2フランジ806とをスポット溶接により仮止めする。この仮止めのための第4工程は省略することができる。
(第5工程)第1分割ブラケット6の第2フランジ606と第2分割ブラケット8の第2フランジ806とをレーザ溶接のような片側連続溶接法によって接合する。
上述した第1、第2の分割ブラケット6、8を使ったチューブ状フレーム2、4の連結構造によれば、第2チューブ状フレーム4の端面406が第1チューブ状フレーム2の側壁204から離間Cしていても、これら第1、第2のチューブ状フレーム2、4の連結が可能である。
また、車体組み立てラインにおいて従来のモノコックボディ組立ラインで多用されているスポット溶接エリアを含め、そして、このスポット溶接エリアで仮止めを行い、その後、レーザ溶接などの片側連続溶接で集中的に最終的な接合を行うことができるためチューブ状フレーム構造の車体を合理的に製造することができる。
また、上記第1、第2工程をサブアッセンブリライン又はフレーム納入企業で行い、第1、第2の分割ブラケット6、8を接合した第1、第2のチューブ状フレーム2、4を受け取った自動車製造工場の自動車ボディ組み立てラインで上記第3〜第5の工程を行うようにしてもよい。
上述した第1、第2のチューブ状フレーム2、4は、特許文献2、3に記載のハイドロフォーム成形法によって作った中空部材であってもよいが、図3〜図8に示す手法を使って作られた断面略矩形の中空部材を採用してもよい。
上述したチューブ状フレーム構造は、車室のルーフのフレーム構造に適用することができ、フールのフレーム構造として上記のフレーム構造を採用するときには、第1チューブ状フレーム2が車室ルーフの左右端部において車体前後方向に延びる左右のフールサイドフレームに対応し、第2チューブ状フレーム4がルーフの前端及び/又は後端のヘッダやルーフの前後方向中間部分に配置するルーフクロスメンバに対応することになる。
チューブ状フレームの実施例(図3、図4)
図3は、一枚の鉄系金属の板材20を曲げ加工することにより作られている。具体的に説明すると、鉄系金属からなる板材20は、第1、第2のチューブ状フレーム2、4の下方端壁204a、404aを構成する中間部分20aを有し、この中間部分20aは上方に向けて膨出する湾曲した形状に形作られている。中間部分20aを挟んで左右に延びる部分20bは、第1、第2のチューブ状フレーム2、4の両方の側壁202、402を構成し、この左右の部分20bの自由端部は、直角に屈曲した屈曲端部分20cで終端している。この左右の屈曲端部分20cは、第1、第2のチューブ状フレーム2、4の上方端壁204b、404bを構成する。
上記の形状に成形した板材20を予備成型品として予め用意し、この板材20に対して、所定の加工治具で上記上方に膨出した中間部分20aを下方に押圧して偏平化することで、上記左右部分20bが矢印で示す方向に揺動変位して起立し、そして、左右の屈曲端部分20cの端面が互いに対向した状態になる。そして、この左右の屈曲部分20cを互いに突き合わせた後に、この突き合わせ部分をワイヤーレーザ溶接などの片側連続溶接法によって接合することによりチューブ状フレーム30になり(図4)、このチューブ状フレーム30はハイドロフォーム成形法によって作った中空部材と同様に閉断面構造を有している。図4の参照符号10はレーザ溶接部分を示している。
従来のモノコックボディでの閉断面構造ではフランジ部分をスポット溶接することにより作られているが、この中空部材にあっては連続溶接法によって作られており、また、中空部材を作る溶接部としてのフランジを備えていない点に特徴を有している。したがって、チューブ状フレーム30を「フレーム形成用フランジ無しフレーム」と呼ぶことができる。
チューブ状フレームの第1変形例(図5)
この第1変形例のチューブ状フレーム34(図5)は、互いに突き合わせた左右の屈曲部分20cを更に折り曲げた第2の屈曲部分20dを有し、この第2の屈曲部分20dは閉断面32内で互いに対面した状態にある。この第2の屈曲部分20dは、チューブ状フレーム34の外側に設けられていてもよい。この場合には、互いに重ね合った第2の屈曲部分20dの基端部分を連続溶接すればよい。
チューブ状フレームの第2変形例(図6)
この第2変形例のチューブ状フレーム36(図6)は、一方の第1の屈曲部分20cに段部38を設け、この段部38に他方の第1の屈曲部分20cを受け入れて、この他方の第1屈曲部分20cと、一方の第1屈曲部分20cの段部38とが互いに重なり合った部分をレーザ溶接するようにしてもよい。
チューブ状フレームの第3変形例(図7)
この第3変形例のチューブ状フレーム40(図7)は、断面コ字状の対をなす第1、第2の2つの予備成形品である分割フレーム42、44を有し、この2つの分割フレーム42、44を互いに嵌合して、互いに重なり合った部分をレーザ溶接によって接合することにより作られている。すなわち、第1、第2の分割フレーム42、44は、中央部分42a、44aの両端から屈曲して延びる2つの端部分42b、42c、44b、44cを備えた断面コ字状の形状を有し、第1の分割フレーム42の2つの端部分42b、42cの間の間隔L1は、第2の分割フレーム44の2つの端部分44b、44cの間の間隔L2よりも若干大きく(L1>L2)、第1の分割フレーム42の端部分42b、42cの一部と、第2の分割フレーム44の端部分44b、44cの一部とが互いに上下に重なり合った状態にある。
チューブ状フレームの第4変形例(図8)
図8は、上述した図7のチューブ状フレーム40の更なる変形例46を示す。この図8のチューブ状フレーム46にあっては、第1の分割フレーム42の2つの端部分42b、42cの間の間隔L1と、第2の分割フレーム44の2つの端部分44b、44cの間の間隔L2とが等しく(L1=L2)、第1の分割フレーム42の端部分42b、42cに段部48を設け、この段部48によって第2の分割フレーム44を受け入れることで、第1の分割フレーム42の端部分42b、42cの一部と、第2の分割フレーム44の端部分44b、44cの一部とを互いに上下に重なり合った状態を作るようにしてある。
第1実施例の連結構造の変形例(図9〜図11)
前述した第1実施例(図1、図2)では、第1、第2の分割ブラケット6、8は第1チューブ状フレーム2に対して、第1フランジ604、806を下方端壁204a、上方端壁404aに連続溶接するようにしたが、この変形例(図9〜図11)の連結構造では、第1、第2の分割ブラケット6、8に第1チューブ状フレーム2を包囲する分割包囲部608、808を設けると共に、この各分割包囲部608(808)の分割ラインに沿って延びるフランジ608a、808aを設けて、このフランジ608a、808a同士を互いに重ね合わせて、このフランジ608a、808aに対しても連続溶接するようにしてもよい。勿論、第1段階として、互いに重ね合わせたフランジ608a、808a同士をスポット溶接し、そして、第2段階で、フランジ608a、808a同士をレーザ溶接のような片側連続溶接法によって接合してもよい。
連結構造の第1参考例(図12〜図14)
この第1参考例の連結構造にあっては、第1チューブ状フレーム2の側壁に連結する第2チューブ状フレーム50が図7又は図8に例示した2つの断面コ字状の分割フレーム52、54で構成され、そして、下方の分割フレーム54に外方に突出した左右のフランジ54aが形成されており、この下方の分割フレーム54には、図14から最も良く分かるように、実質的に上述した第1分割ブラケット6が一体成形されている。勿論、下方の分割フレーム54と一体成形した下方の第1分割ブラケット6は、図1の形態であってもよい。
連結構造の第2実施例(図15〜図18)
図15〜図18は、分割ブラケット6、8の本体602、802と包囲部608、808との境界部分に隆起部60を設けてもよいことを説明するための図であり、これを第実施例として例示してある。この第実施例では、第1実施例の変形例(図9〜図11)の分割ブラケット6、8に隆起部60を設けた例を示してあるが、第1実施例(図1)や第1参考例(図12〜図14)に対しても適用可能であるのは言うまでもない。
第2実施例の変形例(図19、図20)
上記図15〜図18の第実施例で説明した隆起部60は、分割ブラケット6、8の分割包囲部608、808に第1チューブ状フレーム2の延びる方向に延びていても良く、これに対応して第1チューブ状フレーム2の上方端壁204b、下方端壁204aに第2の隆起部62を設けてもよい(図19)。また、更なる変形例として、図20に示すように、分割ブラケット6、8の第1隆起部60を、第1チューブ状フレーム2の延び方向及び第2チューブ状フレーム4の延び方向に延びるT字状の形状に形作り、また、第1チューブ状フレーム2の上方端壁204b、下方端壁204aに、この第1チューブ状フレーム2の延び方向に延びる第2の隆起部62を設けるだけでなく、第2チューブ状フレーム4の端部の上方端壁404b、下方端壁404aの端部に、この第2チューブ状フレーム4の延び方向に延びる第3隆起部64を設けるようにしてもよい(図20)。なお、図19では、上方の第2分割ブラケット8には、第1チューブ状フレーム2の延び方向に延びる直線状の隆起部60が形成され、下方の第1分割ブラケット6にはT字状の隆起部60が設けられ、そして、第2チューブ状フレーム4の下方端壁404aの端部に第3隆起部64を設けた例を示してある。
上述した第1〜第3の隆起部60、62、64に関し、これらの隆起部は、第1チューブ状フレーム2と第2チューブ状フレーム4とを接合する前工程として、これら第1、第2のチューブ状フレーム2、4を組み合わせる際に(前述した第3工程)、これら隆起部60、62、64同士が合致するように第1、第2のチューブ状フレーム2、4を移動させることで、溶接すべき各フランジが適切な位置にくるように、第1〜第3の隆起部60、62、64の位置や凹凸形状が設定される。
連結構造の第2参考例(図21〜図23)
第2参考例として、対をなす分割フレーム66、68によって上述した第2チューブ状フレーム4を構成し、この分割フレーム66、68に上述した第1、第2の分割ブラケット6、8を一体成形する構成が採用されている。この第2参考例では、第1、第2の分割ブラケット6、8は、図1に示した第1チューブ状フレーム2の上下の端壁204a、204bと当接する第2フランジ604、804を備えた形態であるのがよい。なお、図示の例では、上下の分割フレーム66、68の分割ラインに沿って連続溶接することにより第2チューブ状フレーム4を構成するように図示されているが、上下の分割フレーム66、68をフランジ接合する構成を採用してもよい。勿論、この場合には、これらと一体に成形されている第1、第2の分割ブラケット6、8もフランジ606、806を備えているのがよい。
連結構造の第3参考例(図24〜図26)
この第3参考例は、直列に配置したチューブ状フレーム4、4の端同士を連結する構造に関するものである。断面ハット状の第1、第2の分割ブラケット70、72を有し、この第1、第2の分割ブラケット70、72は、2本のチューブ状フレーム4、4の互いに対向する端部を跨いで配設され、そして、第1、第2の分割ブラケット70、72の分割ラインに沿って延びるフランジ700a、720aを重ね合わせて、このフランジ700a、720aをレーザ溶接によって連続溶接すると共に、第1、第2の分割ブラケット70、72の端縁を連続溶接することにより直列に配置した2本のチューブ状フレーム4、4が連結される。連続溶接ラインを参照符号10で示してある。
第3参考例の変形例(図27、図28)
図27、図28は、上述した第3参考例(図24〜図26)の変形例であり、この変形例の連結構造にあっては、互いに直列に連結する2本のチューブ状フレーム4A、4Bが、夫々、2つの分割フレーム74、76で構成されている。そして、図示の例で説明すれば、左側のチューブ状フレーム4Aにあっては下方の分割フレーム74が上方の分割フレーム76よりも端部が延長され、他方、右側のチューブ状フレーム4Bにあっては上方の分割フレーム76が下方の分割フレーム74よりも端部が延長されて、そして、左右のチューブ状フレーム4A、4Bの互いに当接する部位がレーザ溶接によって連続溶接される。
連結構造の第4参考例(図29〜図32)
この第4参考例は、2本のチューブ状フレーム4、4をL字状に連結する構造に関するものである。この第4参考例では、断面ハット状の第1、第2の分割ブラケット74、76を有し、この第1、第2の分割ブラケット74、76は平面視したときにL字状の形態を有している。そして、図32から分かるように、第1のチューブ状フレーム4(4A)の端面を第2チューブ状フレーム4(4B)の側壁に対向させた状態で(図32)、この互いに対向している第1、第2のチューブ状フレーム4、4の端部を第1、第2の分割ブラケット74,76で包囲して、この第1、第2の分割ブラケット74、76の分割ラインに沿って延びるフランジ74a、76a及び第1、第2の分割ブラケット74、76の端部をレーザ溶接によって連続溶接することにより、第1、第2のチューブ状フレーム4、4がL字状に屈曲した形態で連結される。また、この第1、第2のチューブ状フレーム4、4の隙間によって第1又は第2のチューブ状フレーム4、4の実質的な長さを調整することで誤差を吸収することができる。
第4参考例の変形例(図33〜図35)
上記第4参考例では第1、第2の分割ブラケット74、76を上下に配置した例を図示してあるが、図33〜図35に示すように、左右に分割するようにしてもよい。
連結構造の第5参考例(図36〜図38)
この第5参考例は、3本のチューブ状フレーム4が合流する箇所において、この3本のチューブ状フレームの端同士を一平面内でY字状に連結する構造に関するものである。この第5参考例では、3本のチューブ状フレーム4が位置する平面と直交する方向に2つに分割した第1、第2の分割ブラケット80、82は平面視Y字状の三つ叉の形態を有し、3本のチューブ状フレーム4の端部を包囲するように第1、第2ブラケット80、82に組み付けて、第1、第2の分割ブラケット80、82の分割ラインに沿って延びるフランジ80a、82a同士を重ね合わせた後に、フランジ80a、82a同士を連続溶接することで3本のチューブ状フレーム4をY字状に連結することができる。
第5参考例の変形例(図39〜図41)
上記第5参考例では、平面視Y字状の2つの分割ブラケット80、82が3本のチューブ状フレーム4が占める平面に対して直交する方向に分割した例を説明したが、これを3つの分割ブラケット84、86、88で構成した例を第5参考例の変形例として説明する。説明を簡素化するために、3本のチューブ状フレーム4を水平面上に配置するとして、上記3つの分割ブラケット84、86、88のうち、第1、第2の2つの分割ブラケット84、86を上下に分割し、この第1、第2の分割ブラケット84、86を平面視でY字状に形成すると共に、この第1、第2の分割ブラケット84、86と第3のブラケット88とを左右に分割してある。この変形例の連結構造によれば、1本のチューブ状フレーム4Aに対して第1、第2の分割ブラケット84、86を予め連続溶接しておき、また、他の1本のチューブ状フレーム4Bに対して第3の分割ブラケット88を予め連続溶接しておいて、また、好ましくは、更に他のチューブ状フレーム4Cに対しても第3の分割ブラケット88を予め連続溶接しておいて(図40)、車両組立ラインで、第3の分割ブラケット88を介して互いに連結されている2本のチューブ状フレーム4、4を第1、第2の分割ブラケット84、86に組み込んで、縦フランジ84b、86b、88bを互いに重ね合わせた後に、これらを先ずスポット溶接して仮組立を行い、その後のレーザ溶接工程で、縦フランジ84b、86b、88b同士を連続溶接することで3本のチューブ状フレーム4をY字状に連結することができる。
連結構造の第6参考例(図42〜図45)
この第6参考例では、一本の第1のチューブ状フレーム2の途中部分において、その側壁202に一本の第2のチューブ状フレーム4Aを連結し、端壁204に他の一本の第3のチューブ状フレーム4Bを連結して、立体的に合計3本のチューブ状フレーム2、4、4が合流する部位を相互に連結する構造を示す。この第6参考例では、3つの分割ブラケット90、92、94が用意される。
第1の分割ブラケット90は、第1のチューブ状フレーム平面視T字状の形状を有し、第1のチューブ状フレーム2と、これと水平面上でT字状に連結される第2のチューブ状フレーム4Aの下部に対応する形態を有する。第2の分割ブラケット92は、第1のチューブ状フレーム2の上部の左右方向半分と、第2のチューブ状フレーム4Aの上部と、第1チューブ状フレーム2から起立する第3チューブ状フレーム4Bの左右半分とを覆う形態を有する。第3の分割ブラケット94は、第1チューブ状フレーム2と第3チューブ状フレーム4Bを部分的に覆う形態を有し、第1〜第3の分割ブラケット90、92、94を合体させたときには、上記立体的に交差する第1〜第3のチューブ状フレーム2、4A、4Bの交差する部分を包囲する連結部材が作られる。
この第6参考例では、第1チューブ状フレーム2に第1分割ブラケット90を予め連続溶接しておき、また、第2チューブ状フレーム4Aに第2分割ブラケット92を予め連続溶接しておき、更に、第3チューブ状フレーム4Bに第3分割ブラケット94を予め連続溶接しておいて、自動車車体組み立て工程において、これら3つの分割ブラケット90、92、94を合体させて、分割ラインに沿って延び且つ互いに重なり合うフランジ90aと92a、90bと94a、92bと94bとをスポット溶接して仮組立を行い、その後のレーザ溶接工程で、これらのフランジを連続溶接することで3本のチューブ状フレーム2、4A、4Bを立体的に連結することができる。勿論、スポット溶接工程を省いても良いのは先に説明したとおりである。
上記の実施例において、チューブ状フレーム2、4又は4、4の連結部位に発泡樹脂などの非鉄充填材を充填してもよい。これにより結合強度を向上させることができる。第1実施例などの分割ブラケット6、8では、フランジ606、806を互いに対面させて、これらフランジ606、806を互いに接合するようにしてあるため、フランジ606、806の互いに対面する合わせ代によってフランジ606、806の相対的位置を調整することで、第1チューブ状フレーム2の長手方向に関する第2チューブ状フレーム4の相対位置の誤差を車体組立ラインで微調整することができる。
2 第1チューブ状フレーム
202 第1チューブ状フレームの側壁
204 第1チューブ状フレームの端壁
204a 第1チューブ状フレームの下方端壁
204b 第1チューブ状フレームの上方端壁
4 第2チューブ状フレーム
402 第2チューブ状フレームの側壁
404 第2チューブ状フレームの端壁
404a 第2チューブ状フレームの下方端壁
404b 第2チューブ状フレームの上方端壁
406 第2チューブ状フレームの端面
6 第1分割ブラケット(下方ブラケット)
602 第1分割ブラケットのブラケット本体
602a 第1分割ブラケットのブラケット側壁
602b 第1分割ブラケットのブラケット下方壁
604 第1分割ブラケットの第1フランジ(下方フランジ)
606 第1分割ブラケットの第2フランジ
8 第2分割ブラケット(上方ブラケット)
802 第2分割ブラケットのブラケット本体
802a 第2分割ブラケットのブラケット側壁
802b 第2分割ブラケットのブラケット上方壁
804 第2分割ブラケットの第1フランジ(上方フランジ)
806 第2分割ブラケットの第2フランジ
10 レーザ溶接部位

Claims (1)

  1. 左右のチューブ状フレームからなるルーフサイドフレームに対してT字状に連結されて、前記左右のルーフサイドフレーム間に亘って延び且つチューブ状フレームからなるルーフクロスメンバを有するチューブ状フレーム構造において、該ルーフクロスメンバの端には、前記ルーフサイドフレームに連結するために上下に分割された下方分割ブラケットと上方分割ブラケットとが形成されているチューブ状フレームの連結構造の組立方法であって、
    前記ルーフクロスメンバと前記ルーフサイドフレームとを連結するためのブラケットであって、上下に分割され且つその分割ラインに沿って延びるフランジを備えた下方分割ブラケット及び上方分割ブラケットを用意し、
    前記下方分割ブラケットを前記ルーフサイドフレームの下部に片側連続溶接する第1工程と、
    前記上方分割ブラケットを前記ルーフクロスメンバの端部の上部に片側連続溶接する第2工程と、
    前記ルーフクロスメンバと一体化した前記上方分割ブラケットを、前記ルーフサイドフレームと一体化された前記下方分割ブラケットに組み付ける第3工程と、
    前記上下の分割ブラケットの互いに重なり合ったフランジを仮止め溶接する第4工程と、
    該仮止めされたフランジ同士を片側連続溶接する第5工程とを有する自動車車体におけるチューブ状フレームの連結構造の組立方法。
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