JP4617562B2 - 車両の上部車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体のルーフパネルと、該ルーフパネルを囲んで左右両側に延びるルーフサイドレールと、車幅方向に延びるヘッダ部(リヤヘッダ部またはフロントヘッダ部)とから成る剛性部材を備えたような車両の上部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の上部車体構造としては、図11〜図16に示す如き構造のものがあった。
すなわち、車体のルーフパネル80と、このルーフパネル80の前側下部に接合されて車幅方向に延びるフロントヘッダ81(図13参照)と、ルーフパネル80の後側下部に接合されて車幅方向に延びるリヤヘッダ82およびリヤヘッダレインフォースメント83(図14参照)と、ルーフパネル80との側部において車両前後方向に延びるルーフサイドインナパネル84およびルーフサイドレインフォースメント85(図15参照)と、これら両者84,85から連続的に前方へ延びる曲率状のフロントピラーインナパネル86およびフロントピラーレインフォースメント87(図16参照)と、ヒンジピラーインナ88と、センタピラーインナ89と、内側にサスタワー(図示せず)が取付けられるキャブサイドインナ90と、
ルーフサイドアウタパネル91、リヤピラーアウタパネル92、フロントピラーアウタパネル93、ピンジピラーアウタ94、センタピラーアウタ95、リヤフェンダパネル96、サイドシルパネル97の各要素が一体形成されたキャブサイドアウタ98(図12参照)とを備え、
上記各要素を接合して、図15に示すようにルーフサイドインナパネル84、ルーフサイドレインフォースメント85、ルーフサイドアウタパネル91の三者でルーフサイドレール99を構成すると共に、
図16に示すようにフロントピラーインナパネル86、フロントピラーレインフォースメント87、フロントピラーアウタパネル93の三者でフロントピラー100を構成したものである。
【0003】
なお、図中、101はフロントウインドガラス、102,103は接着剤、104は充填材である。
このように上述の従来構造においては図12に分解斜視図で示すように車両の上部車体構造を構成する部品点数が多く、スポット溶接が必要で、また、ある程度の断面を有し、閉断面内にレインフォースメントを設けて強度を確保している関係上、メンバの断面を小さくすることが困難なうえ、これら各部品の組付け工数が大となる問題点があった。
【0004】
一方、特開平10−218017号公報および特開平11−235963号公報にはハイドロフォーム成形部品を車体の補強部材として用いる構成が開示されている。
【0005】
つまり、前者の特開平10−218017号公報にはセンタピラーアウタとセンタピラーインナとの間の閉断面内部にハイドロフォーム成形された補強部材を配設する構造が開示されており、後者の特開平11−235963号公報にはキャブサイドのフロントフレームを構成するロッカパネルとフロントサイドパネルとの間の閉断面内部にハイドロフォーム成形された補強部材を配設する構造が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようにハイドロフォーム成形による補強部材を閉断面の内部に配置すると、車体剛性が向上する利点がある反面、部品点数がさらに増加して、組付け工数が大となるばかりでなく、軽量化が阻害される問題点があった。
【0007】
この発明は、ルーフサイドレールとヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材を設け、該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面を形成し、ルーフサイドアウタパネルの車内側と、ヘッダアウタパネルの車内側とに、上記管状の補強部材を一体で設けることにより、ルーフサイドレールとヘッダ部とを一体化し、部品点数および組付け工数の削減を図ることができるのは勿論、車体剛性の向上と、軽量化の両立を図ることができる車両の上部車体構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の上部車体構造は、車体のルーフパネルと、該ルーフパネルを囲んで左右両側に車両の前後方向に延びるルーフサイドレールと、車幅方向に延びるリヤヘッダ部とから成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフサイドレールと上記リヤヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材が設けられ、該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面が形成され、上記ルーフサイドレールの車外側面を形成するルーフサイドアウタパネルと、上記リヤヘッダ部の車外側面を形成するリヤヘッダアウタパネルとの車内側に、上記管状の補強部材が一体で設けられたものである。
【0009】
上記構成によれば、ルーフサイドレールとリヤヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材を設けたので、ルーフサイドレールおよびリヤヘッダ部におけるインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数の削減を図ることができ、しかも管状の補強部材により一体化することで、車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフパネルの前部に連続して延びて、フロントウインドガラスを支持する枠体を形成するフロントピラーを備え、上記管状の補強部材を上記フロントピラーの車外側面を形成するフロントピラーアウタパネルの車内側面に一体に延長してフロントピラー補強部材を成形したものである。
【0011】
上記構成によれば、上述の管状の補強部材に延長一体化されたフロントピラー補強部材で、フロントピラーのインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数をより一層大幅に削減することができ、しかも車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記管状の補強部材はその管状部位の一部にルーフサイドアウタパネルおよびルーフパネルの接合面が一体に形成されたものである。
上記構成によれば、上述の接合面を利用してルーフサイドアウタパネルとルーフパネルとを接合することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記管状の補強部材はその管状部位の一部にフロントピラーアウタパネルが接合されフロントウインドガラスを支持する支持面が一体に形成されたものである。
上記構成によれば、上述の支持面を利用してフロントウインドガラスを支持することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフサイドアウタパネルとリヤピラーアウタパネルとは一体のパネルから成形されたものである。
上記構成によれば、一体のパネルでルーフサイドアウタパネルとリヤピラーアウタパネルとを成形(一体形成)するので、構造の簡素化と部品点数の削減を図ることができるうえ、パネル寸法の精度向上を図ることができる。
【0015】
この発明による車両の上部車体構造はまた、車体のルーフパネルと、該ルーフパネルを囲んで左右両側に車両の前後方向に延びるルーフサイドレールと、車幅方向に延びるフロントヘッダ部から成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフサイドレールと上記フロントヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材が設けられ、該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面が形成され、上記ルーフサイドレールの車外側面を形成するルーフサイドアウタパネルと、上記フロントヘッダ部の車外側面を形成するフロントヘッダアウタパネルとの車内側に、上記管状の補強部材が一体で設けられたものである。
【0016】
上記構成によれば、ルーフサイドレールとフロントヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材を設けたので、ルーフサイドレールおよびフロントヘッダ部におけるインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数の削減を図ることができ、しかも管状の補強部材により一体化することで、車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記ルーフサイドアウタパネルの車両後方にリヤピラーアウタパネルが設けられ、上記管状の補強部材は、上記リヤピラーアウタパネルの車内側面に一体に延長されるリヤピラー補強部が一体に延設されているものである。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記管状の補強部材は、その一部にフロントピラーアウタパネルが接合され、該フロントピラーアウタパネルの内面側にフロントピラーインナパネル及びフロントピラーレインフォースメントが接合されたものである。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記管状の補強部材をチューブハイドロフォームによって成形された部材に設定したものである。
上記構成によれば、チューブハイドロフォーム成形により複雑形状のメンバを高剛性の連続一体部品で構成することができるうえ、各部位の強度に対応した断面形状を確保することができ、さらには軽量化と組付け性向上との両立を図ることができる。
【0020】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の上部車体構造を示し、図1、図2において、フロントドア11とリヤドア12とを開閉可能に取付けるキャブサイドアウタパネル13を設けている。
【0021】
このキャブサイドアウタパネル13は図2に明瞭に示すように、前部において上下方向に延びるヒンジピラーアウタ14と、曲率状のフロントピラーアウタパネル15と、上部において車両の前後方向に延びるルーフサイドアウタパネル16と、リヤピラーアウタパネル17と、リヤフェンダパネル18と、前後の乗降口19,20を区画すべく上下方向に延びるセンタピラーアウタ21と、下部において車両の前後方向に延びるサイドシルパネル22とを一体形成したものである。
【0022】
ここで、上述のヒンジピラーアウタ14の内側にはヒンジピラーインナ23が接合され、センタピラーアウタ21の内側にはセンタピラーインナ24が接合され、リヤピラーアウタパネル17およびリヤフェンダパネル18の内側にはキャブサイドインナパネル25が接合されると共に、このキャブサイトインナパネル25の内側にはサスペンションタワー部(図示せず)が取付けられる。
【0023】
ところで、車体のルーフを構成するルーフパネル26を設け、このルーフパネル26の下側において、その後部および左右両側を囲むように管状の補強部材30を設けている。
【0024】
この補強部材30はパイプ状の高張力鋼板を用いてチューブハイドロフォームによって成形されたもので、車幅方向に延びるリヤヘッダ補強部30aと、このリヤヘッダ補強部30aの左右両端から車両の前後方向に延びるルーフサイド補強部30bと、このルーフサイド補強部30bに連続するように延長形成されたフロントピラー補強部30cとが一体形成されたものである。
【0025】
図3は図1のA−A線矢視断面図(ルーフサイドレール部分の断面図)であって、ルーフサイドアウタパネル16と管状の補強部材30におけるルーフサイド補強部30bとで車両の前後方向に延びるルーフサイドレール27が構成され、このルーフサイドレール27の車外側面を形成するルーフサイドアウタパネル16の内側面には、ルーフサイドレール27の車内側面を形成する上述のルーフサイド補強部30bが一体に設けられている。
【0026】
図3に示すように上述のルーフサイド補強部30bの上部および下部には平面構造(フラット形状)の接合面31,32が一体に形成され、これら接合面31,32を利用してルーフサイドパネル16およびルーフパネル26の段下げ部26aが接合されるが、この接合はインダイレクト溶接またはレーザ溶接で行なわれる。
【0027】
図4は図1のB−B線矢視断面図(センタピラー部分の断面図)であって、上述のセンタピラーアウタ21とセンタピラーインナ24とで車両の上下方向に延びるセンタピラー28が構成されている。
【0028】
このセンタピラー28の上端と対応するルーフサイド補強部30bの下部には平面構造(フラット形状)の接合面33が一体に形成され、この接合面33を利用してセンタピラーインナ24の上端がダイレクト溶接手段またはレーザ溶接手段にて接合されている。
【0029】
図5は図1のC−C線矢視断面図(リヤヘッダ部分の断面図)であって、ルーフパネル26の後端部に一体形成されたリヤヘッダパネル26bと、管状の補強部材30におけるリヤヘッダ補強部30aとで車幅方向に延びるリヤヘッダ部29が構成され、このリヤヘッダ部29の車外側面を形成するリヤヘッダアウタパネル26bの内側面には、該リヤヘッダ部29の車内側面を形成する上述のリヤヘッダ補強部30aが一体に設けられている。
【0030】
また上述のリヤヘッダ補強部30aはリヤヘッダアウタパネル26bの後端下部に接合されたブラケット34で支持されると共に、リヤヘッダ補強部30aとルーフパネル26下面との間には充填剤35が介設されている。
【0031】
図6は図1のD−D線矢視断面図(フロントピラー部分の断面図)であって、フロントピラーアウタパネル15と管状の補強部材30におけるフロントピラー補強部30cとでフロントピラー36が構成され、このフロントピラー36の車外側面を形成するフロントピラーアウタパネル15の内側面には、フロントピラー36の車内側面を形成する上述のフロントピラー補強部30cが一体に設けられている。
【0032】
上述のフロントピラー36はルーフパネル26の前部に連続して延びて、フロントウインドガラス37を支持する枠体を形成するものであって、上述のフロントピラー補強部30cの前面にはフロントピラーアウタパネル15が接合されてフロントウインドガラス37を支持する平面構造(フラット形状)の支持面38が一体に形成されると共に、フロントピラー補強部30cの側面にはフロントピラーアウタパネル15が接合される平面構造(フラット形状)の接合面39が一体に形成され、これら支持面38および接合面39を利用してフロントピラーアウタパネル15が接合される。
【0033】
この接合はインダイレクト溶接またはレーザ溶接で行なわれる一方、支持面38の前部には接着剤40を介してフロントウインドガラス37が支持されている。
なお、図2に示すように上述のルーフパネル26の前端下部には車幅方向に延びるフロントヘッダ41が接合されて、同方向に延びるフロントヘッダ部が構成される。
【0034】
このように図1〜図6で示した実施例の車両の上部車体構造は、車体のルーフパネル26と、該ルーフパネル26を囲んで左右両側に延びるルーフサイドレール27(図3参照)と、車幅方向に延びるリヤヘッダ部29(図5参照)とから成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフサイドレール27の車外側面を形成するルーフサイドアウタパネル16と、上記リヤヘッダ部29の車外側面を形成するリヤヘッダアウタパネル26bとの内側面に、上記ルーフサイドレール27と上記リヤヘッダ部29の車内側面を形成する管状の補強部材30(特にそのルーフサイド補強部30b、リヤヘッダ補強部30a参照)が一体で設けられたものである。
【0035】
この構成によれば、ルーフサイドレール27の車内側面およびリヤヘッダ部29の車内側面を一体に形成する管状の補強部材30を設けたので、ルーフサイドレール27およびリヤヘッダ部29におけるインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数の削減を図ることができ、しかも管状の補強部材30により一体化することで、車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0036】
また、上記ルーフパネル26の前部に連続して延びて、フロントウインドガラス37を支持する枠体を形成するフロントピラー36(図6参照)を備え、上記管状の補強部材30を上記フロントピラー36の車外側面を形成するフロントピラーアウタパネル15の車内側面に一体に延長してフロントピラー補強部30cを形成したものである。
【0037】
上記構成によれば、上述の管状の補強部材30に延長一体化されたフロントピラー補強部30cで、フロントピラー36のインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数をより一層大幅に削減することができ、しかも車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0038】
さらに、上記管状の補強部材30は図3に示すように、その一部にルーフサイドアウタパネル16およびルーフパネル26の接合面31が一体に形成されたものであるから、この接合面31を利用してルーフサイドアウタパネル16とルーフパネル26とを接合することができる。
【0039】
加えて、上記管状の補強部材30は図6に示すようにその一部にフロントピラーアウタパネル15が接合されフロントウインドガラス37を支持する支持面38が一体に形成されたものであるから、この支持面38を利用してフロントウインドガラス37を支持することができる。
【0040】
一方、図2に示すように上記ルーフサイドアウタパネル16とリヤピラーアウタパネル17とは一体のパネル(キャブサイドアウタパネル13参照)から成形されたものである。
このように、一体のパネル13でルーフサイドアウタパネル16とリヤピラーアウタパネル17とを成形(一体形成)するので、構造の簡素化と部品点数の削減を図ることができるうえ、パネル寸法の精度向上を図ることができる。
【0041】
また、同図に示すように、上記ルーフサイドアウタパネル16とリヤピラーアウタパネル17とフロントピラーアウタパネル15とは一体のパネル(キャブサイドアウタパネル13参照)から成形されたものである。
【0042】
このように、一体のパネル13でルーフサイドアウタパネル16、リヤピラーアウタパネル17、フロントピラーアウタパネル15を成形(一体形成)するので、構造をより一層簡素化し、かつ部品点数をさらに削減することができるうえ、パネル寸法の寸法精度をさらに向上させることができる。
【0043】
しかも、上記管状の補強部材30はチューブハイドロフォームによって成形された部材であるから、チューブハイドロフォーム成形により複雑形状のメンバを高剛性の連続一体部品で構成することができるうえ、各部位の強度に対応した断面形状を確保することができ、さらには軽量化と組付け性向上との両立を図ることができる。
【0044】
図7、図8、図9は車両の上部車体構造の他の実施例を示し、この実施例では、チューブハイドロフォームによって成形された管状の補強部材30に、フロントヘッダ部42(図9参照)の車内側面を形成するフロントヘッダ補強部30dと、左右のリーフサイドレール27,27の車内側面を形成するルーフサイド補強部30b,30bと、リヤピラーアウタパネル17の車内側面に一体に延長されるリヤピラー補強部30e,30eとを一体で設けたものである。
【0045】
ここで、ルーフサイドレール27部分およびセンタピラー部分の断面構造については図3、図4で示した構造と同様になるが、フロントヘッダ部分の断面構造は図9に示すように構成される。
【0046】
すなわち、図9は図7のE−E線矢視断面図(フロントヘッダ部分の断面図)であって、ルーフパネル26の前端部に一体形成されたフロントヘッダアウタパネル26cと、管状の補強部材30におけるフロントヘッダ補強部30dとで車幅方向に延びるフロントヘッダ部42が構成され、このフロントヘッダ部42の車外側面を形成するフロントヘッダアウタパネル26cの内側面には、該フロントヘッダ部42の車内側面を形成する上述のフロントヘッダ補強部30dが一体に設けられている。
【0047】
また上述のフロントヘッダ補強部30dはフロントヘッダアウタパネル26cの前端下部に接合されたブラケット43で支持されると共に、フロントヘッダ補強部30dとルーフパネル26下面との間には充填剤44が介設されている。
【0048】
さらに上述のフロントヘッダアウタパネル26cはその前端部に段下げされた支持面26dを有し、この支持面26dには接着剤45を介してフロントウインドガラス37が取付けられている。
【0049】
一方、図8に示すように、上述のルーフパネル26の後端下部には車幅方向に延びるリヤヘッダレインフォースメント46およびリヤヘッダ47が接合されて、同方向に延びるリヤヘッダ部が構成され、またキャブサイドアウタパネル13におけるフロントピラーアウタパネル15の内面側にはフロントピラーレインフォースメント48およびフロントピラーインナパネル49が接合されて、フロントピラー50(図7参照)が構成される。
【0050】
このように図7、図8、図9で示した実施例の車両の上部車体構造は、車体のルーフパネル26と、該ルーフパネル26を囲んで左右両側に延びるルーフサイドレール27と、車幅方向に延びるフロントヘッダ部42から成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、上記ルーフサイドレール27の車外側面を形成するルーフサイドアウタパネル16と、上記フロントヘッダ部42の車外側面を形成するフロントヘッダアウタパネル26cとの内側面に、上記ルーフサイドレール27と上記フロントヘッダ部42の車内側面を形成する管状の補強部材30(特にそのフロントヘッダ補強部30dおよびルーフサイド補強部30b参照)が一体で設けられたものである。
【0051】
この、ルーフサイドレール27の車両側面およびフロントヘッダ部42の車内側面を一体に形成する管状の補強部材30を設けたので、ルーフサイドレール27およびフロントヘッダ部42におけるインナパネルとレインフォースメントとを一体化して、部品点数および組付け工数の削減を図ることができ、しかも管状の補強部材30により一体化することで、車体剛性の向上と、軽量化との両立を図ることができる。
【0052】
なお、図7〜図9で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図7〜図9において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0053】
図10は車両の上部車体構造のさらに他の実施例を示し、この実施例では、チューブハイドロフォームによって成形された管状の補強部材30に、フロントヘッダ部42の車内側面を形成するフロントヘッダ補強部30dと、左右のルーフサイドレール27,27の車内側面を形成するルーフサイド補強部30b,30bと、このルーフサイド補強部30bの後端部からリヤヘッダ部51の車内側面に一体に延長される所定長さのリヤヘッダ補強部30f,30fとを一体で設けたものである。
【0054】
また、別途チューブハイドロフォーム成形によって構成された中間補強部30gを設け、上述のリヤヘッダ補強部30f,30f間に中間補強部30gをレーザ溶接等により接合して、各補強部30f,30f,30gと前述のリヤヘッダアウタパネル26b(図5参照)とで図10に示すリヤヘッダ部51を構成したものである。
【0055】
このように構成しても先の各実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0056】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロントピラー補強部材は、実施例のフロントピラー補強部30cに対応し、
以下同様に、
ルーフサイドアウタパネルとリヤピラーアウタパネルとが一体に成形されたパネルは、キャブサイドパネル13に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0057】
【発明の効果】
この発明によれば、ルーフサイドレールとヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材を設け、該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面を形成し、ルーフサイドアウタパネルの車内側と、ヘッダアウタパネルの車内側とに、上記管状の補強部材を一体で設けたので、ルーフサイドレールとヘッダ部とを一体化し、部品点数および組付け工数の削減を図ることができるのは勿論、車体剛性の向上と、軽量化の両立を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両の上部車体構造を示す斜視図。
【図2】 図1の要部の分解斜視図。
【図3】 図1のA−A線矢視断面図。
【図4】 図1のB−B線矢視断面図。
【図5】 図1のC−C線矢視断面図。
【図6】 図1のD−D線矢視断面図。
【図7】 本発明の車両の上部車体構造の他の実施例を示す斜視図。
【図8】 図7の要部の分解斜視図。
【図9】 図7のE−E線矢視断面図。
【図10】 本発明の車両の上部車体構造のさらに他の実施例を示す斜視図。
【図11】 従来の車両の上部車体構造を示す斜視図。
【図12】 図11の要部の分解斜視図。
【図13】 図11のS−S線矢視断面図。
【図14】 図11のT−T線矢視断面図。
【図15】 図11のU−U線矢視断面図。
【図16】 図11のV−V線矢視断面図。
【符号の説明】
13…キャブサイドパネル
15…フロントピラーアウタパネル
16…ルーフサイドアウタパネル
17…リヤピラーアウタパネル
26…ルーフパネル
26b…リヤヘッダアウタパネル
26c…フロントヘッダアウタパネル
27…ルーフサイドレール
29…リヤヘッダ部
30…補強部材
30c…フロントピラー補強部
31…接合面
36…フロントピラー
37…フロントウインドガラス
38…支持面
42…フロントヘッダ部
Claims (9)
- 車体のルーフパネルと、該ルーフパネルを囲んで左右両側に車両の前後方向に延びるルーフサイドレールと、
車幅方向に延びるリヤヘッダ部とから成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、
上記ルーフサイドレールと上記リヤヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材が設けられ、
該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面が形成され、
上記ルーフサイドレールの車外側面を形成するルーフサイドアウタパネルと、上記リヤヘッダ部の車外側面を形成するリヤヘッダアウタパネルとの車内側に、上記管状の補強部材が一体で設けられた
車両の上部車体構造。 - 上記ルーフパネルの前部に連続して延びて、フロントウインドガラスを支持する枠体を形成するフロントピラーを備え、
上記管状の補強部材を上記フロントピラーの車外側面を形成するフロントピラーアウタパネルの車内側面に一体に延長してフロントピラー補強部材を成形した
請求項1記載の車両の上部車体構造。 - 上記管状の補強部材はその管状部位の一部にルーフサイドアウタパネルおよびルーフパネルの接合面が一体に形成された
請求項1または2記載の車両の上部車体構造。 - 上記管状の補強部材はその管状部位の一部にフロントピラーアウタパネルが接合されフロントウインドガラスを支持する支持面が一体に形成された
請求項2または3記載の車両の上部車体構造。 - 上記ルーフサイドアウタパネルとリヤピラーアウタパネルとは一体のパネルから成形された
請求項1,2,3または4記載の車両の上部車体構造。 - 車体のルーフパネルと、該ルーフパネルを囲んで左右両側に車両の前後方向に延びるルーフサイドレールと、
車幅方向に延びるフロントヘッダ部から成る剛性部材を備えた車両の上部車体構造であって、
上記ルーフサイドレールと上記フロントヘッダ部の車内側面を形成するべく成形された1本の管状の補強部材が設けられ、
該管状の補強部材の管状部位の一部にて、上記ルーフサイドアウタパネルに接合される接合面が形成され、
上記ルーフサイドレールの車外側面を形成するルーフサイドアウタパネルと、上記フロントヘッダ部の車外側面を形成するフロントヘッダアウタパネルとの車内側に、上記管状の補強部材が一体で設けられた
車両の上部車体構造。 - 上記ルーフサイドアウタパネルの車両後方にリヤピラーアウタパネルが設けられ、
上記管状の補強部材は、上記リヤピラーアウタパネルの車内側面に一体に延長されるリヤピラー補強部が一体に延設されている
請求項6記載の車両の上部車体構造。 - 上記管状の補強部材は、その一部にフロントピラーアウタパネルが接合され、
該フロントピラーアウタパネルの内面側にフロントピラーインナパネル及びフロントピラーレインフォースメントが接合された
請求項7記載の車両の上部車体構造。 - 上記管状の補強部材をチューブハイドロフォームによって成形された部材に設定した請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の車両の上部車体構造。
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