JP6683293B2 - 自動車のt字継手構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の部材同士の接合構造であるT字継手構造に関する。
自動車の車体を構成する部材同士の接合構造として、例えば図1に示すサイドシルとクロスメンバーの接合構造のようなT字継手構造がある。自動車の車体には、走行中の車体の安定性や乗り心地に係る曲げ剛性や、衝突時に乗員を保護するための耐衝撃性が求められることから、上記のような車体のT字継手構造となる箇所においても曲げ剛性や耐衝撃性を向上させることが望まれる。この要求に鑑み、特許文献1にはサイドシルの上面とクロスメンバーの上面を繋ぐように接合されたT字継手構造が開示されている。
国際公開第2016/076315号
図2はサイドシル10の天板部12aにクロスメンバー20を当接させる従来のT字継手構造50を示す図であるが、特許文献1のT字継手構造は図2に示す従来のT字継手構造50に対して剛性や耐衝撃性を大きく向上させることができる。しかしながら、自動車の車体には剛性や耐衝撃性の向上が求められる一方、燃費向上のために車体重量の軽量化も求められる。この観点において、特許文献1のT字継手構造は、従来のT字継手構造50に対して重量の増加も大きいことから、軽量化の観点からさらに改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、自動車のT字継手構造において、十分な曲げ剛性および耐衝撃性の確保と軽量化を両立させることを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一態様は、自動車のT字継手構造であって、第1の平面部と、前記第1の平面部に繋がる第2の平面部とを有した中空部材である、第1の部材と、前記第1の部材の前記第1の平面部に当接して固定された、該第1の部材の長手方向に対して垂直に延びる中空部材である、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材に跨るように接合された、平面視において矩形状のFRPからなる補強部材と、を有し、前記第2の部材は、前記第1の部材の前記第2の平面部に接合される部分である接合部を有し、前記第2の部材の中空部を含むように切断された、前記第1の部材の長手方向に垂直な断面において、前記補強部材が接合されていることによって前記第1の部材の前記第2の平面部の厚さが、前記第1の部材の前記第1の平面部の厚さよりも厚く、かつ前記第2の部材の前記接合部の厚さが、前記第2の部材の、前記接合部以外の部分の厚さよりも厚いことを特徴としている。
本発明によれば、自動車のT字継手構造において、十分な曲げ剛性および耐衝撃性の確保と軽量化を両立させることができる。
一般的な自動車の車体構造を示す図である。 従来のサイドシルとクロスメンバーのT字継手構造を示す図である。 本発明の実施形態に係るサイドシルとクロスメンバーのT字継手構造の概略構成を示す斜視図である。 図3を下から見た場合の斜視図である。 本発明の実施形態に係るT字継手構造のサイドシルとクロスメンバーの接合部近傍を下から見た図である。 本発明の実施形態に係るT字継手構造における、クロスメンバーの中空部を含むように切断された、サイドシル長手方向に対して垂直な断面を示す図である。 サイドシル縦壁部とクロスメンバー平板フランジ部との接合手段の一例を示す図である。 本発明の別の実施形態に係るT字継手構造における、サイドシル縦壁部とクロスメンバー平板フランジ部との接合手段の一例を示す図である。 本発明の別の実施形態に係るT字継手構造における、クロスメンバーの中空部を含むように切断された、サイドシル長手方向に対して垂直な断面を示す図である。 自動車のラダーフレームを示す図である。 変形シミュレーションの解析モデルを示す図である。 図11に示す解析モデルの平板フランジ部を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの補強部材の形状を示す図である。 解析モデルの曲げ剛性を示す図である。 解析モデルの面外変形量を示す図である。 解析モデルの曲げ剛性を示す図である。 解析モデルの面外変形量を示す図である。 解析モデルの曲げ剛性を示す図である。 解析モデルの面外変形量を示す図である。 解析モデルの曲げ剛性を示す図である。 解析モデルの面外変形量を示す図である。 変形シミュレーションにおける曲げ剛性と面外変形量の評価領域を示す図である。 衝突シミュレーション(A)の解析モデルを示す図である。 CFRPからなる補強部材の繊維方向が異なる各解析モデルにおける最大荷重を示す図である。 CFRPからなる補強部材の繊維方向が異なる各解析モデルにおける吸収エネルギーを示す図である。 補強部材の厚さが異なる各解析モデルにおける最大荷重を示す図である。 補強部材の厚さが異なる各解析モデルにおける吸収エネルギーを示す図である。 衝突シミュレーション(B)の解析モデルを示す図である。 CFRPからなる補強部材の繊維方向が異なる各解析モデルにおける最大荷重を示す図である。 CFRPからなる補強部材の繊維方向が異なる各解析モデルにおける吸収エネルギーを示す図である。 補強部材の厚さが異なる各解析モデルにおける最大荷重を示す図である。 補強部材の厚さが異なる各解析モデルにおける吸収エネルギーを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態ではT字継手構造として自動車のサイドシルとクロスメンバー(フロアクロスメンバー)の接合構造の一例を挙げて説明する。図3〜図6に示すように本実施形態のT字継手構造1は、第1の部材の一例としてのサイドシル10と、第2の部材の一例としてのクロスメンバー20と、補強部材30で構成されている。クロスメンバー20は、サイドシル10に当接した状態でサイドシル10に接合され、サイドシル長手方向L1に対して垂直に延びるようにして固定されている。なお、本明細書では、サイドシル長手方向L1およびクロスメンバー長手方向L2の両方に対して垂直な方向を“高さ方向H”と称す。本実施形態のようなサイドシル10とクロスメンバー20の接合構造の場合、サイドシル長手方向L1が車長方向、クロスメンバー長手方向L2が車幅方向、高さ方向Hが車高方向となる。
本実施形態のサイドシル10は、アウター部材として平板11が用いられ、インナー部材として、サイドシル長手方向L1に垂直な断面の形状がハット形状である部材(以下、“ハット状部材12”)が用いられている。ハット状部材12は、天板部12aと、天板部12aの高さ方向Hの両端部から天板部12aに対して垂直に延びる縦壁部12bと、縦壁部12bの先端部から高さ方向Hの外側に延びるフランジ部(以下、“ハットフランジ部12c”)とを有している。平板11とハットフランジ部12cとは例えばスポット溶接により接合されている。なお、サイドシル10のアウター部材とインナー部材の構成は本実施形態で説明したものに限定されない。例えばアウター部材はインナー部材と同様、ハット状部材であっても良い。すなわち、サイドシル10は中空部10aを有する中空部材であれば良い。
本実施形態のクロスメンバー20は、アウター部材として平板21が用いられ、インナー部材として、クロスメンバー長手方向L2に垂直な断面の形状がハット形状である部材(以下、“ハット状部材22”)が用いられている。ハット状部材22は、天板部22aと、天板部22aのサイドシル長手方向L1の両端部から天板部22aに対して垂直に延びる縦壁部22bと、縦壁部22bの先端部からサイドシル長手方向L1の外側に延びるフランジ部(以下、“ハットフランジ部22c”)とを有している。平板21とハットフランジ部22cとは例えばスポット溶接により接合されている。なお、クロスメンバー20のアウター部材とインナー部材の構成は本実施形態で説明したものに限定されない。例えばアウター部材はインナー部材と同様、ハット状部材であっても良い。また、平板21はフロアパネル(不図示)であっても良い。この場合、フロアパネルの一部とハット状部材とにより中空部が形成されるクロスメンバー20が構成される。すなわち、クロスメンバー20は中空部20aを有する中空部材であれば良い。
クロスメンバー20の長手方向L2における両端部のうち、サイドシル10に当接する側の端部(以下、“当接側端部23”)においては、クロスメンバー20の天板部22aから高さ方向Hに延びるフランジ部(以下、“天板フランジ部23a”)と、縦壁部22bからサイドシル長手方向L1の外側に延びるフランジ部(以下、“縦壁フランジ部23b”)と、平板21の板部21aからクロスメンバー長手方向L2に延びるフランジ部(以下、“平板フランジ部23c”)とが形成されている。天板フランジ部23aおよび縦壁フランジ部23bは、サイドシル10の天板部12aに当接した状態で例えば片面スポット溶接により接合されている。平板フランジ部23cは、サイドシル10の、高さ方向Hの車外側の縦壁部12bに当接した状態で例えば片面スポット溶接により接合されている。このようにして天板フランジ部23a、縦壁フランジ部23bおよび平板フランジ部23cがサイドシル10に接合されていることで、サイドシル10とクロスメンバー20とが固定されている。
本実施形態の補強部材30は、平面視において矩形状であり、サイドシル10の高さ方向Hの車外側の縦壁部12bと、クロスメンバー20の平板21に跨るようにしてサイドシル10およびクロスメンバー20に接合されている。本実施形態においては、補強部材30のクロスメンバー長手方向L2の両端部のうち、一方の端部は、サイドシル10のハットフランジ部12cの近傍に位置し、他方の端部は、クロスメンバー20の平板21の板部21aと平板フランジ部23cとの境界位置に対してクロスメンバー長手方向L2の車内側に位置している。
サイドシル10およびクロスメンバー20に対する補強部材30の接合位置は、両部材10、20に跨るように接合されていれば特に限定されないが、本実施形態のようにクロスメンバー20が平板フランジ部23cを有している場合は、補強部材30のクロスメンバー長手方向L2における一方の端部が、平板フランジ部23cの先端に対してクロスメンバー長手方向L2の車外側に位置し、補強部材30の他方の端部が平板21の板部21aと平板フランジ部23cとの境界位置に対してクロスメンバー長手方向L2の車内側に位置することが好ましい。すなわち、補強部材30が平板フランジ部23cを覆うようにしてサイドシル10およびクロスメンバー20に跨って接合されていることが好ましい。これにより、T字継手構造1の耐衝撃性を向上させることができる。なお、補強部材30のクロスメンバー長手方向L2における長さは、要求される曲げ剛性もしくは耐衝撃性、または重量制限等に応じて適宜変更される。
サイドシル10およびクロスメンバー20に対する補強部材30の接合方法は特に限定されないが、例えば接着剤を用いてサイドシル10およびクロスメンバー20に貼付されることで接合される。このため、本実施形態のT字継手構造1は、例えばサイドシル10にクロスメンバー20を接合した後、クロスメンバー20の平板フランジ部23cを覆うようにして、サイドシル10の縦壁部12bとクロスメンバー20の平板21に跨るように補強部材30を貼付することで製造される。なお、接着剤を用いる場合、サイドシル10またはクロスメンバー20と、補強部材30との接合部分の断面を観察すれば、サイドシル10またはクロスメンバー20と、補強部材30との間に接着剤が存在していることを確認することができる。なお、補強部材30が例えばCFRP(炭素繊維強化樹脂)からなる場合、CFRPは熱硬化性のものであっても良いが、成形性および接着性の観点から、熱可塑性のものであることが好ましい。
本実施形態のT字継手構造1は以上のように構成されている。従来のT字継手構造の場合、クロスメンバー20にサイドシル長手方向L1の曲げ(以下、“横曲げ”)が加わった際に、クロスメンバー20の平板フランジ部23cの高さ方向Hへの変形(面外変形)が生じることで、サイドシル10の車外側の縦壁部12bに面外変形が生じやすい。
一方、本実施形態のT字継手構造1においては、サイドシル10とクロスメンバー20に跨るように補強部材30が接合されていることで、クロスメンバー20の平板フランジ部23cの面外変形が抑制されるので、その接合部分におけるサイドシル10の縦壁部12bの面外変形が抑制される。これにより、T字継手構造1の横曲げに対する曲げ剛性を向上させることができる。これに加え、側面衝突時においてもサイドシル10の縦壁部12bの面外変形の程度を抑えることができるので、T字継手構造1としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のT字継手構造1によれば、横曲げに対する曲げ剛性および耐衝撃性の向上度合いに対する重量の増加が小さく、横曲げに対する曲げ剛性および耐衝撃性の観点における重量効率が向上する。換言すると、軽量化のためにサイドシル10とクロスメンバー20の板厚を薄くした場合でも、十分な曲げ剛性および耐衝撃性を確保することができる。
ここで、図5に示す補強部材30のサイドシル長手方向L1の長さを“補強部材30の幅Wa”と称し、サイドシル10と平板フランジ部23cとの接合領域のサイドシル長手方向L1の長さを“接合領域の幅Wb”と称す。補強部材30の幅Waは、要求される曲げ剛性もしくは耐衝撃性、または重量制限等に応じて適宜変更されるものであるが、Wb≦2Waを満たすことが好ましい。この条件を満たすことで、サイドシル10の縦壁部12bの面外変形をさらに抑制することができ、曲げ剛性および耐衝撃性を向上させることができる。なお、図5のようにサイドシル10の縦壁部12bとクロスメンバー20の平板フランジ部23cとがスポット溶接で接合されている場合、接合領域の幅Wbとは、サイドシル長手方向L1に沿って並ぶスポット打点のうちの両端に位置するスポット打点間の距離である。また、図7のように縦壁部12bと平板フランジ部23cとが例えばレーザ溶接、アーク溶接等の連続溶接、または接着で接合されている場合、接合領域の幅Wbとは、溶接領域または接着領域のサイドシル長手方向L1における一端から他端までの長さである。なお、補強部材30の厚さは、要求される曲げ剛性もしくは耐衝撃性、または重量制限等に応じて適宜変更されるものであるが、例えば1〜5mmが好ましい。
また、補強部材30が例えばCFRPからなる場合、本実施形態のようなT字継手構造1に使用される程度の補強部材30の量であれば、補強部材30が接合された部品をスクラップとして溶解して再利用する場合でも、鋼の不純物が過度に増加するようなことはない。すなわち、本実施形態のT字継手構造1は、スクラップとして部品を再利用する際にサイドシル10およびクロスメンバー20と、補強部材30とを分別する必要がないため、リサイクル性に優れたものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、図8に示すように、補強部材30にスリットSが設けられていても良い。スリットSは、補強部材30のクロスメンバー長手方向L2に平行であり、図8に示す例では、補強部材30のサイドシル長手方向L1における中央部にスリットSが設けられている。すなわち、図8に示す例では、2つの補強部材30a、30bが間隔をおいて、サイドシル10およびクロスメンバー20に対して接合された状態にある。このようなT字継手構造1においても、クロスメンバー20の平板フランジ部23cの面外変形が抑制され、その接合部分におけるサイドシル10の縦壁部12bの面外変形が抑制される。これにより、T字継手構造1の横曲げに対する曲げ剛性を向上させることができる。これに加え、側面衝突時においてもサイドシル10の縦壁部12bの面外変形の程度を抑えることができるので、T字継手構造1としての耐衝撃性を向上させることが可能となる。さらに、T字継手構造1としての軽量化を促進することもできる。
なお、補強部材30に設けられるスリットSのサイドシル長手方向L1における位置は、図8で例示する中央部に限定されない。また、スリットSは1つではなく、複数設けられていても良い。本明細書において、スリットSが設けられる場合の補強部材30の幅Waとは、サイドシル長手方向L1に沿って並ぶ各補強部材(図8の例では補強部材30a、30b)のうち、サイドシル長手方向L1における両端に位置する補強部材の、互いに最も離れた端部同士の距離である。スリットSの幅Wc(サイドシル長手方向L1の長さ)は、要求される曲げ剛性もしくは耐衝撃性、または重量制限等に応じて適宜変更されるが、補強部材30の幅Waの80%以下であることが好ましい。これにより、さらに効果的にT字継手構造1の曲げ剛性を高めることができる。なお、スリットSが複数設けられる場合のスリットSの幅Wcは、各スリットSの幅の合計値であり、この場合も補強部材30の幅Waの80%以下であることが好ましい。
また、例えば上記実施形態では、サイドシル10とクロスメンバー20に跨るように補強部材30を接合することで曲げ剛性を向上させたが、例えば図9に示すようにサイドシル10の車外側の縦壁部12bの厚さを、サイドシル10の他の平面部(例えば天板部12a)よりも厚くすると共に、クロスメンバー20の長手方向L2における両端部のうち、サイドシル10の縦壁部12bに接合される側の平板21の端部21bを、クロスメンバー20の他の部分(例えば天板部22a)より厚くしても良い。このようなT字継手構造1においても、クロスメンバー20の平板フランジ部23c近傍の面外変形が効果的に抑制されるので、曲げ剛性を向上させることができる。また、曲げ剛性の向上とともに、耐衝撃性を向上させることができる。図9に示すT字継手構造1の場合、サイドシル10のハット状部材12およびクロスメンバー20の平板21は、例えば鋳造で製造される。なお、サイドシル10の車外側の縦壁部12bの厚さは、クロスメンバー長手方向L2における少なくとも一部が例えば天板部12aより厚くなっていれば良い。
また、上記実施形態のクロスメンバー20の種類としては、サイドシル10に接合されるフロアクロスメンバー、フロントクロスメンバーおよびリアクロスメンバーの他に、例えば図1のようにルーフサイドレールに接合されるルーフクロスメンバーもある。このため、T字継手構造1は例えばルーフサイドレールとルーフクロスメンバーの接合構造であっても良い。T字継手構造がルーフサイドレールとルーフクロスメンバーの接合構造の場合、ルーフサイドレールの長手方向が車長方向、ルーフクロスメンバーの長手方向が車幅方向、高さ方向Hが車高方向となる。また、T字継手構造は井桁型のサブフレームの接合構造であっても良いし、自動車の車体構造に含まれる他の部分のT字継手構造であっても良い。例えばT字継手構造は、図10のようなラダーフレームにおいても採用され得る。さらに、T字継手構造は自動車分野に限らず、他の分野における部材同士のT字継手構造として利用することもできる。この場合でも、上記実施形態と同様に十分な曲げ剛性および耐衝撃性の確保と軽量化を両立させることができる。
また、上記実施形態で説明したサイドシル10とクロスメンバー20を、“第1の部材”と“第2の部材”で言い換えたとすると、例えば図9に示すT字継手構造は、第2の部材の中空部を含むように切断された、第1の部材の長手方向L1に垂直な断面において、第1の部材の第1の平面部(図9の例ではサイドシル10の天板部12a)に繋がる第2の平面部(図9の例ではサイドシル10の縦壁部12b)の厚さが、第1の部材の第1の平面部より厚いと言える。また、図9に示すT字継手構造は、第1の部材の長手方向L1に垂直な断面において、第2の部材の、第1の部材の第2の平面部に接合される部分である接合部(図9の例では平板21の端部21b)の厚さが、第2の部材の、接合部以外の部分の厚さよりも厚くなっている構造であると言える。なお、T字継手構造がルーフサイドレールとルーフクロスメンバーの接合構造の場合にはルーフサイドレールが第1の部材となり、ルーフクロスメンバーが第2の部材となる。
本明細書における第1の部材の“第1の平面部”および“第2の平面部”とは、第1の部材が有する平面部のうち、第1の部材の中空部(図6の例ではサイドシル10の中空部10a)を構成する平面部のことを意味する。例えば第1の部材が図6のようなサイドシル10である場合、中空部10aはハット状部材12の天板部12aと、縦壁部12bと、平板11で構成されており、ハットフランジ部12cは平面部であるものの、中空部10aの構成には寄与していない。このため、ハットフランジ部12cは、本明細書における第1の平面部または第2の平面部ではない。
また、本明細書における第1の部材の“第2の平面部”には、当該平面部が、単一の部材で構成される場合の他、例えば板状部材に補強部材が接合されたような複合部材で構成される場合も含まれる。例えば図6のようなT字継手構造の場合、第1の平面部に相当するサイドシル10の天板部12aに繋がる第2の平面部は、サイドシル10の縦壁部12bと補強部材30が接合された複合部材で構成されている。このため、図6の例における第1の部材の“第2の平面部の厚さ”とは、縦壁部12bの板厚と補強部材30の板厚の総和である。すなわち、補強部材が第1の部材および第2の部材に跨るように接合される場合は、補強部材の厚さ分だけ、第1の部材の第2の平面部の厚さが厚くなる。したがって、第1の部材において、第1の平面部に繋がる板状部材(図6の例では縦壁部12b)の厚さが第1の平面部の厚さ(図6の例では天板部12a)と同一であっても、その板状部材に補強部材が接合されることで、第2の平面部の厚さ(板状部材の板厚と補強部材の板厚の総和)は第1の平面部の厚さよりも厚くなる。一方、例えば図9のようなT字継手構造の場合、第1の部材の第2の平面部は、サイドシル10の縦壁部12bのみで構成されているため、図9の例における第1の部材の“第2の平面部の厚さ”とは、縦壁部12bの板厚である。
また、本明細書における第2の部材の“接合部”には、当該部分が、単一の部材で構成される場合の他、例えば板状部材に補強部材が接合されたような複合部材で構成される場合も含まれる。例えば図6のようなT字継手構造の場合は、第2の部材に相当するクロスメンバー20の接合部は、平板21の端部21bと補強部材30が接合された複合部材で構成されている。このため、図6の例における第2の部材の“接合部の厚さ”とは、平板21の端部21bの板厚と補強部材30の板厚の総和である。すなわち、補強部材が第1の部材および第2の部材に跨るように接合される場合は、補強部材の厚さ分だけ、第2の部材の接合部の厚さが厚くなる。したがって、第2の部材において、第1の部材の第2の平面部に接合される板状部材(図6の例では平板21)の厚さが一定であっても、その板状部材に補強部材が接合されることで、第2の部材の、第1の部材との接合部における厚さ(板状部材端部の板厚と補強部材の板厚の総和)は、第2の部材の、接合部以外の部分の厚さよりも厚くなる。一方、例えば図9のようなT字継手構造の場合、第2の部材の接合部は、平板21の端部21bのみで構成されているため、図9における第2の部材の“接合部の厚さ”とは、平板21の端部21bの板厚である。
なお、補強部材の素材は特に限定されない。補強部材は、例えばCFRP(炭素繊維強化樹脂)からなる部材やGFRP(ガラス繊維強化樹脂)からなる部材等のFRP(繊維強化樹脂)からなる部材であっても良い。また、補強部材は、アルミニウム合金部材、マグネシウム合金部材、または鋼材等であっても良い。また、補強部材は、上述した複数の素材からなる複合部材であっても良い。
<FRPからなる補強部材の種類>
FRPからなる補強部材は、マトリックス樹脂と、該マトリックス樹脂中に含有され、複合化された強化繊維材料からなる、繊維強化樹脂部材を意味する。
強化繊維材料としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維を用いることができる。他にも、強化繊維材料として、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、アラミド繊維等を用いることができる。FRPにおいて、強化繊維材料の基材となる強化繊維基材としては、例えば、チョップドファイバーを使用した不織布基材や連続繊維を使用したクロス材、一方向強化繊維基材(UD材)等を使用することができる。これらの強化繊維基材は、強化繊維材料の配向性の必要に応じて、適宜選択され得る。
CFRPからなる補強部材は、強化繊維材料として炭素繊維を用いたFRPからなる補強部材である。炭素繊維としては、例えば、PAN系またはピッチ系のものが使用できる。炭素繊維を用いることにより、重量に対する強度等を効率よく向上させることができる。
GFRPからなる補強部材は、強化繊維材料としてガラス繊維を用いたFRPからなる補強部材である。炭素繊維よりも機械的特性に劣るが、金属部材の電蝕を抑制することができる。
FRPからなる補強部材に用いられるマトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれも使用することができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、並びにビニルエステル樹脂等があげられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)およびその酸変性物、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラート等の熱可塑性芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、塩化ビニル、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、並びにフェノキシ樹脂等があげられる。なお、マトリックス樹脂は、複数種類の樹脂材料により形成されていてもよい。
金属部材への適用を考慮すると、加工性、生産性の観点から、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。さらに、マトリックス樹脂としてフェノキシ樹脂を用いることで、強化繊維材料の密度を高くすることができる。また、フェノキシ樹脂は熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂と分子構造が酷似しているためエポキシ樹脂と同程度の耐熱性を有する。また、硬化成分をさらに添加することにより、高温環境への適用も可能となる。硬化成分を添加する場合、その添加量は、強化繊維材料への含浸性、FRPからなる補強部材の脆性、タクトタイムおよび加工性等とを考慮し、適宜決めればよい。
<接着樹脂層>
補強部材がFRP等により形成される場合、FRPからなる補強部材と金属部材(上記実施形態では、サイドシル10およびクロスメンバー20)との間に接着樹脂層が設けられ、該接着樹脂層によりFRPからなる補強部材と金属部材とが接合されてもよい。
接着樹脂層を形成する接着樹脂組成物の種類は特に限定されない。例えば、接着樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれかであってもよい。熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンおよびその酸変性物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラートやポリブチレンテレフタラート等の熱可塑性芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、並びにポリエーテルケトンケトン等から選ばれる1種以上を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、およびウレタン樹脂から選ばれる1種以上を使用することができる。
接着樹脂組成物は、FRPからなる補強部材を構成するマトリックス樹脂の特性、補強部材の特性または金属部材の特性に応じて適宜選択され得る。例えば、接着樹脂層として極性のある官能基を有する樹脂や酸変性などを施された樹脂を用いることで、接着性が向上する。
このように、上述した接着樹脂層を用いてFRPからなる補強部材を金属部材に接着させることにより、FRPからなる補強部材と金属部材との密着性を向上させることができる。そうすると、金属部材に対し荷重が入力された際の、FRPからなる補強部材の変形追従性を向上させることができる。この場合、金属部材の変形体に対するFRPからなる補強部材の効果をより確実に発揮させることが可能となる。
なお、接着樹脂層を形成するために用いられる接着樹脂組成物の形態は、例えば、粉体、ワニス等の液体、フィルム等の固体とすることができる。
また、接着樹脂組成物に架橋硬化性樹脂および架橋剤を配合して、架橋性接着樹脂組成物を形成してもよい。これにより接着樹脂組成物の耐熱性が向上するため、高温環境下での適用が可能となる。架橋硬化性樹脂として、例えば2官能性以上のエポキシ樹脂や結晶性エポキシ樹脂を用いることができる。また、架橋剤として、アミンや酸無水物等を用いることができる。また、接着樹脂組成物には、その接着性や物性を損なわない範囲において、各種ゴム、無機フィラー、溶剤等その他添加物が配合されてもよい。
FRPからなる補強部材の金属部材への複合化は、種々の方法により実現される。例えば、FRPからなる補強部材となるFRPまたはその前駆体であるFRP成形用プリプレグと、金属部材とを、上述した接着樹脂組成物で接着し、該接着樹脂組成物を固化(または硬化)させることで得られる。この場合、例えば、加熱圧着を行うことにより、FRPからなる補強部材と金属部材とを複合化させることができる。
また、補強部材は、肉盛部として肉盛により形成されていてもよい。この場合肉盛に用いられる金属の種類は、金属部材の母材との特性を鑑みて適宜決定される。また、金属部材との接合方法は溶接に限られず、種々の適切な接合方法を用いることができる。
<金属部材およびその表面処理>
本発明に係る金属部材は、めっきされていてもよい。これにより、耐食性が向上する。特に、金属部材が鋼材である場合は、より好適である。めっきの種類は特に限定されず、公知のめっきを用いることができる。例えば、めっき鋼板(鋼材)として、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni系合金めっき鋼板等が用いられ得る。
また、金属部材は、表面に化成処理とよばれる皮膜が被覆されていてもよい。これにより、耐食性がより向上する。化成処理として、一般に公知の化成処理を用いることができる。例えば、化成処理として、りん酸亜鉛処理、クロメート処理、クロメートフリー処理等を用いることができる。また、上記皮膜は、公知の樹脂皮膜であってもよい。
また、金属部材は、一般に公知の塗装が施されているものであってもよい。これにより、耐食性がより向上する。塗装として、公知の樹脂を用いることができる。例えば、塗装として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはふっ素系樹脂等を主樹脂としたものを用いることができる。また、塗装には、必要に応じて、一般に公知の顔料が添加されていてもよい。また、塗装は、顔料が添加されていないクリヤー塗装であってもよい。かかる塗装は、FRPからなる補強部材を複合化する前に予め金属部材に施されていてもよいし、FRPからなる補強部材を複合化した後に金属部材に施されてもよい。また、予め金属部材に塗装が施されたのちにFRPからなる補強部材が複合化され、さらにその後塗装が施されてもよい。塗装に用いられる塗料は、溶剤系塗料、水系塗料または紛体塗料等であってもよい。塗装の施工方法として、一般に公知の方法が適用され得る。例えば、塗装の施工方法として、電着塗装、スプレー塗装、静電塗装または浸漬塗装等が用いられ得る。電着塗装は、金属部材の端面や隙間部を被覆するのに適しているため、塗装後の耐食性に優れる。また、塗装前に金属部材の表面にりん酸亜鉛処理やジルコニア処理等の一般に公知の化成処理を施すことにより、塗膜密着性が向上する。
<変形シミュレーション>
本発明に係るT字継手構造の曲げ剛性の評価のため、図11に示す解析モデルを作成して変形シミュレーションを実施した。解析モデルはサイドシル10と、サイドシル10の天板部12aに接合されたクロスメンバー20と、CFRPからなる補強部材30で構成されている。サイドシル10の縦壁部12bと、クロスメンバー20の平板フランジ部23cとはスポット溶接で接合されている。サイドシル長手方向L1に沿って並ぶスポット打点のうちの両端の打点間の距離、すなわち前述の接合領域Wbの幅は60mmである。なお、本シミュレーション含めて以下の各シミュレーションにおいては、サイドシル10およびクロスメンバー20の素材は1.5GPa級の鋼板であり、サイドシル10の板厚は0.8mm、クロスメンバー20の板厚は1.4mmである。また、図12に示すように平板フランジ部23cの、クロスメンバー20の長手方向L2における長さは29mmである。
本シミュレーションでは、下記表1〜4に示すように補強部材の形状やサイズが異なる複数の解析モデルを作成している。なお、表1〜4のCFRP配向における0°方向とは、クロスメンバー20の長手方向L2に平行な方向である。また、使用した補強部材は、繊維方向の弾性率131.5GPa、繊維と直交方向の弾性率8.5GPaである。また、繊維方向の破断応力は2490MPa、繊維と直交方向の破断応力は76MPaとする。
Figure 0006683293
Figure 0006683293
Figure 0006683293
Figure 0006683293
上記表1に示す実施例1〜5、および比較例6の解析モデルは、サイドシル10の縦壁部12bとフランジ部12cとの接続部のR止まりを始点として、補強部材30の長さを変更したモデルである(図13〜図18参照)。上記表2に示す実施例7〜10、および比較例11の解析モデルは、実施例5の解析モデルをベースに、補強部材30のクロスメンバー20側端部の位置を始点として補強部材30の長さを変更したモデルである(図19〜図23参照)。上記表3に示す実施例12〜14の解析モデルは、実施例1の解析モデルをベースに、補強部材30の幅を変更したモデルである(図24〜図26参照)。なお、比較例6の解析モデルにおいては、補強部材30はサイドシル10の縦壁部12bにのみ接合されており、クロスメンバー20の平板フランジ部23cには接合されていない。また、比較例11の解析モデルにおいては、補強部材30はクロスメンバー20の平板フランジ部23cにのみ接合されており、サイドシル10の縦壁部12bには接合されていない。また、実施例14の解析モデルにおいては、補強部材30はサイドシル10の縦壁部12bとクロスメンバー20の平板フランジ部23cとに跨るように接合されているが、補強部材30の幅Waと接合領域の幅Wbの関係において、Wb≦2Waを満たしていない。実施例1〜5、実施例7〜10、および実施例12〜13の解析モデルにおいては、補強部材30はサイドシル10の縦壁部12bとクロスメンバー20の平板フランジ部23cとを跨るように接合され、かつ、Wb≦2Waを満たしている。
また、上記表4に示す実施例15〜18の解析モデルは、実施例1の解析モデルをベースに、補強部材30の中央部にスリットSを設け、当該スリットSの幅を変更したモデルである(図27〜図30参照)。
変形シミュレーションにおいて、サイドシル10の長手方向L1の両端部の断面は完全に拘束されている。また、クロスメンバー20の長手方向L2の両端部のうち、サイドシル10に当接しない側の端部(以下、“非当接側端部”)は高さ方向Hへの変位が許容されつつ、断面の面内変形は生じないように拘束されている。このような拘束条件の下、クロスメンバー20の非当接側端部にサイドシル長手方向L1の荷重F(200N)を入力することで、クロスメンバー20の横曲げを想定した変形シミュレーションを実施した。
シミュレーション結果として、各解析モデルにおける曲げ剛性と面外変形量を図31〜図38に示す。なお、曲げ剛性および面外変形量の評価領域は、図39に示すようにクロスメンバー20の平板フランジ部23cにおけるスポット溶接の打点位置から、サイドシル10のフランジ部12c側に8.8mmの領域である。“曲げ剛性”は、各解析モデルに発生する単位変位(mm)あたりの荷重(kN)であり、補強なしの解析モデルにおける結果を1とした場合の値を示している。
図31〜図38に示すように本発明に係る実施例においては、サイドシル10とクロスメンバー20に跨るように補強部材が設けられていることにより、曲げ剛性が向上し、面外変形量が抑制されている。すなわち、本発明に係るT字継手構造においては、横曲げに対する曲げ剛性の重量効率が大きく向上している。これにより、例えば軽量化のためにサイドシルやクロスメンバーの板厚を薄くした場合でも、本発明に係るT字継手構造によれば十分な曲げ剛性を確保することができる。したがって、本発明に係るT字継手構造によれば、十分な曲げ剛性の確保と軽量化を両立させることができる。
なお、図35および図36に示すように実施例14の解析モデルにおいても、補強部材が設けられていない解析モデルに対して曲げ剛性が向上し、面外変形抑制の効果が得られている。実施例14のような構造の場合、例えば必要に応じて補強部材の厚さを厚くすることで、効果的に曲げ剛性を向上させることができる。
また、図37および図38に示すように実施例15〜18の解析モデルのように、補強部材にスリットが設けられていても、実施例1と同等の曲げ剛性が発揮される。スリットが設けられていれば、実施例1と同等以上の曲げ剛性を有しつつ、軽量化をさらに促進することも可能となる。本実施例の結果によれば、スリットが設けられる場合にT字継手構造の曲げ剛性をより効果的に向上させるためには、スリットの幅が補強部材の幅の80%以下であることが好ましい。
次に、本発明に係るT字継手構造の耐衝撃性の評価のため、実施例1の解析モデルを用いて衝突シミュレーションを実施した。衝突シミュレーションでは、サイドシル10の長手方向L1の両端部が完全拘束されている。
<衝突シミュレーション(A)>
衝突シミュレーション(A)はポール側面衝突を模擬したシミュレーションである。図40に示すように衝突シミュレーション(A)は、クロスメンバー20が当接する、平板11のサイドシル長手方向L1の中央部にインパクタを当てることで実施された。詳述すると、クロスメンバー20の中心線上の位置、かつサイドシル10の全高にわたって、サイドシル10の外側から直径254mmのインパクタを500mm/sで衝突させることでシミュレーションが実施された。そして、インパクタのストローク30mm時における最大荷重(反力)と吸収エネルギーを評価することで、解析モデルの耐衝撃性を評価した。
なお、解析モデルとして下記表5に示すものを作成し、シミュレーションを実施した。
Figure 0006683293
※0°方向はクロスメンバー20の長手方向L2に平行な方向である。
シミュレーション結果として、CFRPの配向が互いに異なる実施例19〜21の解析モデルにおける最大荷重を図41に示し、実施例19〜21の解析モデルにおける吸収エネルギーを図42に示す。図41および図42に示すように本発明に係るT字継手構造は、補強部材が設けられていない従来のT字継手構造に対して最大荷重および吸収エネルギーが増加している。
シミュレーション結果として、補強部材の板厚が互いに異なる実施例22〜23の解析モデルにおける最大荷重を図43に示し、実施例22〜23の解析モデルにおける吸収エネルギーを図44に示す。図43および図44に示すように本発明に係るT字継手構造は、補強部材が設けられていない従来のT字継手構造に対して最大荷重および吸収エネルギーが増加している。
<衝突シミュレーション(B)>
衝突シミュレーション(B)はポール側面衝突を模擬したシミュレーションであるが、前述の衝突シミュレーション(A)とはインパクタの位置が異なっている。図45に示すように衝突シミュレーション(B)では、クロスメンバー20が当接するサイドシル10の平板11の中央部から、サイドシル長手方向L1にオフセットした位置にインパクタを当てている。詳述すると、クロスメンバー20の中心線からサイドシル長手方向L1に100mmオフセットした位置、かつサイドシル10の全高にわたって、サイドシル10の外側から直径254mmのインパクタを500mm/sで衝突させることでシミュレーションが実施された。なお、解析モデルは、下記表6に示すモデルである。
Figure 0006683293
※0°方向はクロスメンバー20の長手方向L2に平行な方向である。
シミュレーション結果として、CFRPの配向が互いに異なる実施例19〜21の解析モデルにおける最大荷重を図46に示し、実施例19〜21の解析モデルにおける吸収エネルギーを図47に示す。図46および図47に示すように本発明に係るT字継手構造は、補強部材が設けられていない従来のT字継手構造に対して最大荷重および吸収エネルギーが増加している。
シミュレーション結果として、補強部材の板厚が互いに異なる実施例22〜23の解析モデルにおける最大荷重を図48に示し、実施例22〜23の解析モデルにおける吸収エネルギーを図49に示す。図48および図49に示すように本発明に係るT字継手構造は、補強部材が設けられていない従来のT字継手構造に対して最大荷重および吸収エネルギーが増加している。
本シミュレーションにおけるインパクタの変位と、インパクタが受ける反力との関係を評価したところ、インパクタの変位が小さい段階、すなわちT字継手構造の変形初期段階において反力が大きくなっていた。したがって、変形初期段階でサイドシルの縦壁部の面外変形が抑えられたことで、従来のT字継手構造と比較して反力が大きくなり、吸収エネルギーの向上に寄与したと考えられる。したがって、本発明に係るT字継手構造によれば、十分な耐衝撃性を確保することができる。
以上の変形シミュレーションおよび衝突シミュレーションの結果を総括すると、本発明に係るT字継手構造によれば、十分な曲げ剛性および耐衝撃性の確保と軽量化とを両立することができることが示された。
なお、実施例21の解析モデルの補強部材は、繊維方向が45°方向のCFRPの層、−45°方向のCFRPの層、90°方向のCFRPの層、0°方向のCFRPの層が積層された4層のCFRPからなる部材である。前述の衝突シミュレーションでは、サイドシルの、インパクタが衝突した部分において局所的に様々な方向に変形が進むことになるが、実施例21の解析モデルにおいては、互いに異なる繊維方向のCFRPの層が複数存在していることにより、一方向の荷重だけでなく複数方向の荷重に対して反力を生じさせることができる。すなわち、実施例21の解析モデルにおいては、様々な方向に進む変形を抑えることができるため、衝突シミュレーション(A)〜(B)のいずれのシミュレーションにおいても良好な結果が得られた。このような効果は、補強部材の素材がCFRPである場合に限らず、FRPであれば得ることができる。また、補強部材がFRPで構成される場合、FRPの繊維方向は、実施例21のような、いわゆる疑似等方と呼ばれる配向であることが好ましいが、少なくとも2つの繊維方向があれば、1つの繊維方向のみのFRPからなる補強部材の場合に比べて耐衝撃性を向上させることが可能である。したがって、補強部材がFRPからなる部材である場合、補強部材は、2以上の繊維方向を有していることが好ましい。なお、2以上の繊維方向を有する補強部材は、例えば一の繊維方向からなるFRPの層が互いに異なる向きで重ねられることによって構成されていてもよいし、いわゆるクロス材のように一のFRPの層内において直線状の繊維が交差して編み込まれることによって構成されていてもよい。
本発明は、例えば自動車のサイドシルとクロスメンバーの接合構造に利用することができる。
1 T字継手構造
10 サイドシル
10a サイドシルの中空部
11 サイドシルの平板
12 サイドシルのハット状部材
12a 天板部
12b 縦壁部
12c ハットフランジ部
20 クロスメンバー
20a クロスメンバーの中空部
21 クロスメンバーの平板
21a 平板の板部
21b 平板の端部
22 クロスメンバーのハット状部材
22a 天板部
22b 縦壁部
22c ハットフランジ部
23 クロスメンバーの当接側端部
23a 天板フランジ部
23b 縦壁フランジ部
23c 平板フランジ部
30 補強部材
50 従来のT字継手構造
F 荷重
H 高さ方向
1 サイドシル長手方向
2 クロスメンバー長手方向
S 補強部材のスリット
a 補強部材の幅
b クロスメンバーの天板フランジ部の幅
c スリットの幅

Claims (9)

  1. 自動車のT字継手構造であって、
    第1の平面部と、前記第1の平面部に繋がる第2の平面部とを有した中空部材である、第1の部材と、
    前記第1の部材の前記第1の平面部に当接して固定された、該第1の部材の長手方向に対して垂直に延びる中空部材である、第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材に跨るように接合された、平面視において矩形状のFRPからなる補強部材と、を有し、
    前記第2の部材は、前記第1の部材の前記第2の平面部に接合される部分である接合部を有し、
    前記第2の部材の中空部を含むように切断された、前記第1の部材の長手方向に垂直な断面において、
    前記補強部材が接合されていることによって前記第1の部材の前記第2の平面部の厚さが、前記第1の部材の前記第1の平面部の厚さよりも厚く、かつ前記第2の部材の前記接合部の厚さが、前記第2の部材の、前記接合部以外の部分の厚さよりも厚い。
  2. 請求項1に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記第1の部材は、ハット状部材を有し、
    前記第1の平面部は、前記ハット状部材の天板部であり、
    前記第2の平面部は、前記ハット状部材の縦壁部である。
  3. 請求項2に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記第2の部材の前記接合部は、前記第2の部材の長手方向に延びるフランジ部を有し、
    前記第2の部材の前記フランジ部は、前記第1の部材の前記縦壁部に接合され、
    前記補強部材は、前記第2の部材の前記フランジ部を覆うように接合されている。
  4. 請求項3に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記第2の部材の前記中空部は、ハット状部材と、該ハット状部材に接合された平板とで形成され、
    前記第2の部材の前記フランジ部は、前記第2の部材の平板に形成されている。
  5. 請求項3または4に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記補強部材の幅Waと、前記第1の部材の前記縦壁部と前記第2の部材の前記フランジ部との接合領域の幅Wbとが、Wb≦2Waを満たす。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記補強部材は、2以上の繊維方向を有する。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記FRPは、CFRPまたはGFRPの少なくともいずれかである。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記第1の部材は、自動車のサイドシルであり、前記第2の部材は、自動車のフロアクロスメンバーである。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動車のT字継手構造において、
    前記第1の部材は、自動車のルーフサイドレールであり、前記第2の部材は、自動車のルーフクロスメンバーである。
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