JP5008944B2 - 金型 - Google Patents

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Description

本発明は、各種材料の成形に用いる金型、例えば各種金属材料の低・中圧鋳造、ダイカスト、スクイズキャストなどに用いる鋳造用金型、プレス金型、樹脂成形用金型、ゴム成形用金型、ブロー成形用金型に係わり、さらに詳しくは、被成形物、すなわち金属溶湯や高温の樹脂材料などとの接触面(キャビティなど)や、スライドコアやエジェクターピンなどの可動部位における摺接面にカーボンナノチューブなどのナノカーボン類を含む炭素膜による被覆を施すことによって耐摩耗性や摺動特性を向上させると共に、鋳造用金型においては焼付きや溶損を防止して、製品の品質向上と寿命向上を可能にした金型に関するものである。
例えば、アルミニウム合金などのダイカストにおいては、溶湯が金型のキャビティ内に高速、高圧で充填されることによって、スプールブッシュやスプールコア、金型本体の湯道やキャビティ面など、溶湯と直接接触する部分、特に小型で熱容量が小さくなりがちな入子や入子ピンなどには、熱衝撃や冷熱サイクルを受けることから、物理、化学両面の作用によって焼付きや溶損が発生することがあり、製品鋳物の品質に悪影響を与えると同時に、これら金型部品の耐用寿命を短いものとしていた。
そこで、溶湯との直接的な接触を回避させるべく、上記のような金型部品に対して、窒化処理に代表される表面処理を施すことにより焼付きや溶損を防止し、耐用寿命の向上を図っている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2002−363705号公報 特開2002−035917号公報
しかしながら、上記特許文献に記載された窒化処理のような表面処理では、処理部の硬度が高くて脆くなるために、冷熱サイクルに基づく部材の収縮や膨張による体積変化や外力による変形などに耐えることができず、割れや欠けが発生し易くなるという問題がある。
したがって、表面処理層が割れたり欠けたりした場合には、当該部分から溶湯が刺しこんで焼付きや溶損を発生させてしまい、期待した効果が十分に得られなくなるという事態が生じていた。
本発明は、窒化処理に代表される表面処理を施した従来の金型における上記のような課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、圧力の繰り返し負荷や冷熱サイクルによるたわみや膨張、収縮などによる変形が発生しても、割れや欠けの発生し難い金型を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、種々の表面処理方法や、その処理条件などについて鋭意検討を繰り返した結果、金型を構成する種々の部品における被成形材料、すなわち溶融あるいは高温状態の金属や樹脂材料との接触面に、カーボンナノチューブに代表されるナノカーボン類を含む炭素膜を形成することによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の金型は、Fe、Ni及びCoから成る群から選ばれる少なくとも1種を含有する金属から成る金型であって、被成形材料との接触面に、ナノカーボン類、すなわちカーボンナノコイル、カーボンナノチューブ及びカーボンナノフィラメントから成る群から選ばれる少なくとも1種を含む炭素膜が被覆してあることを特徴としている。
また、本発明の金型における好適形態としては、被成形材料との接触面に加えて、可動部位における相互摺接面や、金型を構成する部材同士の当接面の少なくとも一方にも、部材同士の当接面同様の炭素膜を備えていることを特徴とし、さらに好適形態としては、上記炭素膜の下地に窒化層が形成されていること、上記炭素膜と窒化層の間に浸硫層が形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、金型における被成形材料との接触面に、少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜を被覆したものであって、当該炭素膜は、上記したカーボンナノチューブやカーボンナノコイル、カーボンナノフィラメント(カーボンナノファイバーとも称する)といったナノカーボン類を含有しており、これらナノカーボン類は耐摩耗性、耐食性、熱伝導性、摩擦特性、機械的強度などに優れると共に、繊維状をなしていることから、体積変化やたわみに対する追随性に富み、金型表面における割れや欠けが防止されるばかりでなく、繊維状ナノカーボンのアンカー効果によって金型表面上に強固に密着し、耐剥離性、耐脱落性にも優れ、金型の耐用寿命を向上して、製品品質を長期に亘って安定に維持することができる。
以下、本発明の金型について、その実施の形態や炭素膜の形成方法などと共に、さらに詳細に説明する。
本発明の金型は、上記したように、例えば金属溶湯や溶融樹脂材料などといった被成形材料との接触面、例えばキャビティ面や湯道面、スプールブッシュ(湯口スリーブ)の内面などにカーボンナノコイル、カーボンナノチューブ若しくはカーボンナノフィラメント、又はこれらの2種以上を組み合わせから成るナノカーボン類を含む炭素膜を被覆したものであって、このようなナノカーボン類の優れた特性によって、被覆面を初期の表面状態に長期に亘って安定に保持することができ、金型の耐用寿命を大幅に向上させることができる。
なお、本発明は、各種金属の鋳造用金型、例えば鋳鉄、銅合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金などの重力鋳造用、低・中圧鋳造用、ダイカスト用、スクイズキャスト用などの金型に適用することができるが、これら鋳造用金型以外にも、プレス金型や、樹脂やゴム用の成形用金型(射出成形用など)、ブロー成形用金型などにも適用することができる。
すなわち、鋳造用以外の金型においても、鋳造用ほど深刻ではないものの、同様の繰り返し圧力や冷熱サイクルを受けることから、上記のような炭素膜の被覆によって同様の効果を得ることができる。
また、上記炭素膜は、アルミニウムとの親和性が極めて低いことから、当該発明を特に、アルミニウムやアルミニウム合金の鋳造用金型に用いた場合に、焼付きが発生し難いという顕著な効果が得られる。
本発明の金型においては、上記のようなナノカーボン類を含む炭素膜を被成形材料との接触面に被覆するものであるが、被成形材料との接触面、言い換えると上記炭素膜を成膜すべき部分の具体例としては、金型における以下のような部位を列挙することができる。
すなわち、図1は、本発明の一実施形態としてのダイカスト用金型の構造例を示すものであって、図1(a)は型締め状態、図1(b)は型開き状態を示す断面図である。
図に示す金型は、図中右側に位置する固定主型(固定ブロック)10と、左側に位置する可動主型(可動ブロック)20とに大別され、固定主型10には、後述する可動入子21との間で製品形状をなすキャビティCを形成する固定入子(固定中子、固定入駒)11をその中央部分に備えると共に、図中上方側には、可動主型20に摺動自在に取付けられたスライドホルダー23に嵌合し、型締め・型開きに応じてスライドコア22を上下作動させるアンギュラピン12が傾斜状態に取付けてある。
また、固定主型10の図中下方側には、可動主型20側のガイドピンブッシュに嵌合して、固定主型10及び可動主型20の位置合わせをするガイドピン13を備え、その直上位置には、溶湯の注入口となるスプールブッシュ(湯口スリーブ)14が取付けられている。
一方、可動主型20には、上記固定入子11との間でキャビティCを形成する可動入子(可動中子、可動入駒)21をその中央部に備えると共に、図中上方側には、スライドコア22と一体となったスライドホルダー23が図中上下方向に摺動自在に取付けられており、固定主型10に傾斜状態に突設されたアンギュラピン12に当該スライドホルダー23の嵌合孔23aが係合することによって、型締めと同時にスライドコア22を下降させてキャビティCを形成する一方、型開き時にはスライドコア22を上昇させて、製品の型離れが可能になるようにしてある。
上記可動入子21の下方には、固定主型10に突設されたガイドピン13を受け入れるガイドピンブッシュ24を備えると共に、その上方、可動入子21との間には、スプールコア(分流子)25が配置されており、型締め状態において、上記スプールブッシュ14との間にランナー(湯道)Rを形成するようになっており、当該スプールブッシュ14の右側端部に押し当てられた鋳造機の射出スリーブから注入された溶湯が、スプールブッシュ14の内部及びランナーを通って、キャビティC内に充填されるようになっている。
さらに、上記可動入子21には、キャビティCを貫通して製品に貫通孔を形成するための入子ピン26が取付けてある。
また、可動主型20の裏面側には、可動主型20及び可動入子21を貫通する複数本(図面では6本)のエジェクターピン28に連結され、サポートガイドブッシュ27aを介してサポートガイドピン29に摺動可能に支持されたエジェクタ−プレート27が配置されており、溶湯が凝固した後、型開き状態において、当該エジェクタ−プレート27を図中右方向に移動させてエジェクターピン28を突出作動させることによって、製品を離型する仕組みとなっている。
そして、上記金型において、ナノカーボン類を含む炭素膜を成膜すべき溶湯との接触面としては、キャビティCに臨む固定入子11、可動入子21及びスライドコア22の表面、ランナーRを形成するスプールコア25の前面及びスプールブッシュ14の端面、さらにはスプールブッシュ14の内周面、入子ピン26の先端部側面、エジェクターピン28の先端面などを挙げることができる。
また、本発明の金型においては、上記ナノカーボン類を含む炭素膜が上記したように耐摩耗性、熱伝導性、摩擦特性、機械的強度、変形性、耐剥離性などに優れることから、当該炭素膜を被成形材料との接触面のみならず、金型における可動部位の摺接面の一方又は双方、さらには部材同士の当接面の一方又は双方に形成することも望ましく、これによって、これら可動部材や当接面の摩耗や変形、欠けなどを防止して、その作動を長期に亘って円滑に維持し、良好な製品品質を長期間確保し、金型の耐用寿命をさらに延長することが可能になる。
このような摺接面の具体例としては、可動主型20にスライドホルダー23を摺動自在に保持するスライドレール部分、スライドコア22と可動入子21及び固定入子11との摺接部分、スライドホルダー23の嵌合孔23aの内面及びアンギュラピン12の外面、ガイドピンブッシュ24の内面及びガイドピン13の外面、サポートガイドブッシュ27a及びサポートガイドピン29、エジェクターピン28と可動主型20及び可動入子21との摺接部分などを挙げることができ、これら相互摺接面の少なくとも一方の面にナノカーボン類を含む上記炭素膜を成膜することが望ましい。
また、金型部材同士の当接面としては、スプールコア25及びスプールブッシュ14の当接面、固定入子11と入子ピン26の先端面の当接面、固定主型10と可動主型20の当接面、固定入子11とスライドコア22及びスライドホルダー23との当接面などを挙げることができ、これら相互当接面の一方又は両方に上記した炭素膜を形成することができる。
なお、鋳造機の射出スリーブに当接するスプールブッシュ14の受け入れ端部も摩耗や変形が激しいことから、当該部分にもナノカーボン類を含む上記炭素膜を成膜することが望ましい。
上記炭素膜は、金型を構成する部材における少なくとも金属や樹脂などの被成形材料との接触面や、摺接面、当接面に形成されてさえいれば足りるものであるが、このような炭素膜が当該摺接面以外に形成されていたとしても特に差し支えはなく、必ずしも成膜に際して成膜不要部分をマスキングしたり、成膜後に除去したりする必要はない。
また、逆に、金型における被成形材料との接触面や、摺接面、当接面の全てに上記炭素膜を被覆する必要もなく、応力や冷熱サイクルのかかり具合や、摺動の程度がさほど深刻でない部位については、炭素膜の形成を省略することもできる。
なお、以上は、ダイカスト用金型を例に挙げて、炭素膜を成膜すべき部位を説明したが、他の鋳造用金型や、樹脂用、ゴム用の成形金型においても、その形状は基本的に変わるところは少なく、上記した部位に相当する箇所に炭素膜を形成すればよい。
本発明の金型に用いる材料としては、代表的には鉄鋼材料が用いられるが、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメントといったナノカーボン類の成長の触媒として機能する遷移金属(Fe、Ni、Co)やこれらの化合物が含まれていることが望ましく、具体的には、鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金、コバルト基合金などを適用することができる。
また、上記した金属が含まれていれば、用途によっては、銅系合金も使用することができる。
金型を構成する各種部材表面に、上記ナノカーボン類を含む炭素膜を成膜するに際しては、雰囲気炉を使用し、当該雰囲気炉の加熱室内に部材を収納し、炉内を窒素ガスや水素ガス、あるいはアルゴンガスなどの非酸化性ガスに置換した後、加熱を開始し、加熱しながら、あるいは所定温度に昇温したのち、炭素源ガスとして、例えばアセチレンガス(C)のような鎖式不飽和炭化水素ガスを供給することによって、当該炭化水素が基材表面において、炭素と水素に分解され、基材中に存在する上記金属(Fe,Ni,Co)の触媒作用によって、カーボンナノコイルやカーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメントが成長し、これらナノカーボン類が混在する炭素膜が部材の表面に形成されることになる。
このときの炉内圧力としては、基本的に大気圧でよいが、外気の流入を防止して、炉内雰囲気を適正に保持する観点から、大気圧よりも若干高い圧力に保持することが望ましい。
なお、上記炭素源ガスは、当該ガスを炉内に均一に分散させ、スーティングを防止するために、上記雰囲気ガスにより適当な濃度に希釈して供給することが望ましい。
また、加熱温度としては、300〜700℃の温度範囲において、炭素膜の被覆処理が可能であるが、短時間で処理することを考慮すると、350℃以上とすることが望ましい。
なお、後述するように、炭素膜と基材の間に窒化層や浸硫層を形成するために、窒化処理や浸硫処理を同時に行なうためには、窒素の拡散を考慮して410℃以上の温度による処理が必要となる。
本発明の金型においては、上記炭素膜の下地に窒化層を形成することができる。
すなわち、このような窒化層は、ナノカーボン類生成の触媒機能を有しているので、窒化層の存在によりナノカーボン類の成長が促進されると共に、窒化による硬化によって母材(金型部材)の変形が防止され、炭素膜の密着性が増し、耐剥離性が向上して耐用寿命を長くすることができる。
そして、このような窒化層を形成するには、雰囲気炉内に、上記した炭素源ガスと共に、アンモニアガス(NH)のような窒化用ガスを供給することによって、炭素膜の成膜と窒化層の形成を並行して行なうことができる。
さらに、本発明の金型においては、上記炭素膜と窒化層の間に浸硫層を形成することが望ましい。
これは、浸硫層の存在によって、摩擦係数をさらに低下させることができるようになることによる。
このような浸硫層を形成するには、雰囲気炉内に、上記した炭素源ガス(例えば、C)及び窒化用ガス(例えば、NH)と共に、例えば硫化水素(HS)や二硫化炭素(CS)のような浸硫用ガスを供給することによって、炭素膜及び窒化層の形成と浸硫層の形成をそれぞれ並行して行なうことができる。
このとき、硫化水素のような浸硫用ガスについても、炭素源ガスと同様に、雰囲気ガスで適当な濃度に希釈した状態で炉内に供給することが望ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
SKD61材(合金工具鋼鋼材:JIS G4404)を使用し、自動車用アルミダイカスト部品の鋳抜き(M10タップの下穴)用の入子ピンとして、図2(a)に示すような形状のものを作製した。
そして、ピット型雰囲気炉を使用し、得られた入子ピンを同一材料から成り、同一寸法形状を有する組織観察用の試験片と共に、雰囲気炉のレトルト内に収納したのち、真空ポンプを作動させてレトルト内の空気をパージし、次いでレトルト内に窒素ガスを供給することによって、炉内雰囲気を非酸化性のものとした。
次に、図3に示す処理サイクルに基づいて、アンモニアガス、硫化水素ガス、アセチレンガス、及び窒素ガス(冷却過程のみ)を供給し、上記入子ピンと試験片にガス窒化処理、浸硫処理及び炭素膜の成膜処理を実施した。
処理温度は、図3に示したように480℃であり、各ガスの使用量は下記のとおりとした。
アンモニアガス(NH) :15 NL/min.
アセチレンガス(C): 0.6 NL/min.
硫化水素ガス(HS) : 0.4 NL/min.
窒素ガス(N) :15 NL/min.(冷却時のみ)
上記処理を施した入子ピンを上記アルミダイカスト用金型に組み込み、型締力350tのダイカスト機を使用して、一定条件で鋳造を繰り返した。
そして、4000ショット毎にメンテナンス(付着したアルミニウム合金を除去)を行なうと共に、図2(b)に示すように、入子ピンの先端径の直径をマイクロメータによって、図2(b)に示すようにA,B,C,Dの4方向について測定し、その最小径を把握し、当初の径との差をもって摩耗量とし、ショット数の増加に伴う摩耗量変化を調査した。その結果を図4に示す。
また、同時処理した試験片について、その表面から内部にかけて断面の金属組織を顕微鏡観察した。
その結果、図5の光学顕微鏡写真(625倍、但し95mm×72mmの場合)に示すように、最表面に炭素膜及び浸硫層が3μm程度の厚さに形成され、さらにその下に約2.0μmの化合物層と、約40μmの拡散層から成る窒化層が形成されていることが確認された。
また、図6は、上記炭素膜を試験片の表面側から観察した電子顕微鏡写真であって、当該炭素膜中には、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラメントといったナノカーボン類が生成していることが確認された。
(比較例1)
上記実施例で作製した入子ピン素材に対して、アンモニアガス+RXガス(50:50)の混合雰囲気中において、570℃×時間のガス軟窒化を施した入子ピンを用いたこと以外は、上記実施例と同様の操作を繰り返し、ショット数と摩耗量の変化について同様に調査した。その結果を図4に併せて示す。
(比較例2)
4000ショット毎のメンテナンスを行なうことなく、上記比較例1と同様の操作を繰り返し、ショット数と摩耗量の変化について同様に調査した。その結果を図4に併せて示す。
その結果、ナノカーボン類を含む炭素膜を表面に形成した入子ピンを用いた場合には、ガス軟窒化を施した入子ピンに較べて、特に鋳造開始初期における摩耗量が少なく、大幅に耐用寿命を大幅に延長することができ、金型に施す表面処理として極めて優れていることが確認された。
ナノカーボン類を含む炭素膜を被覆する具体的部位を例示する型締め状態(a)及び型開き状態(b)における金型の断面図である。 (a)本発明の実施例に用いた入子ピンの形状を示す正面図である。(b)本発明の実施例における入子ピンの摩耗量の測定要領を示す説明図である。 本発明の実施例における被覆処理条件を示すタイムチャートである。 炭素膜を被覆した本発明の入子ピンの摩耗進行状況をガス軟窒化処理を施した比較例と対比して示すグラフである。 本発明の実施例において炭素膜の被覆処理を施した試験片断面の光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例において試験片表面に形成された炭素膜の電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. Fe、Ni及びCoから成る群から選ばれる少なくとも1種を含有する金属から成り、被成形材料との接触面に、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ及びカーボンナノフィラメントから成る群から選ばれる少なくとも1種のナノカーボン類を含む炭素膜が被覆してあることを特徴とする金型。
  2. 当該金型の可動部位における摺接面の少なくとも一方に、上記炭素膜が被覆してあることを特徴とする請求項1に記載の金型。
  3. 当該金型を構成する部材同士の当接面の少なくとも一方に、上記炭素膜が被覆してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型。
  4. 上記炭素膜の下地に窒化層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の金型。
  5. 上記炭素膜と窒化層の間に浸硫層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の金型。
  6. アルミニウム又はアルミニウム合金の鋳造用金型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の金型。
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