JP4121336B2 - 鋳造用金型および有層鋼材製部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有層鋼材製部材およびその製造方法に関し、一層詳細には、鋳造用金型として好適な有層鋼材製部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造作業によってアルミニウム製部材等の鋳造製品を作製する場合には、鋳造用金型にアルミニウムの溶湯が導入される。この溶湯が高温であることから、鋳造用金型の素材としては、高温での強度に優れるSKD61材(鋼材のJIS規格)が一般的に採用される。
【0003】
ところで、鋳造作業に際しては、鋳造用金型には、上記したように高温の溶湯が接触する。すなわち、鋳造用金型には熱疲労が加わる。この熱疲労は、鋳造用金型の耐久性を低下させ、結局、鋳造用金型にヒートチェック等を生じさせる一因となる。また、鋳造作業の過程で、鋳造用金型の表面がアルミニウムと反応することによって一部が消失する、いわゆる溶損が発生することがある。
【0004】
上記したような事態が生じると、アルミニウム製部材を所定の寸法精度で得ることが困難となる。すなわち、アルミニウム製部材の製造歩留まりが低下するという不具合を招く。ヒートチェックや溶損が生じた鋳造用金型は新品に交換されるが、鋳造用金型は概して高価であるため、交換頻度が多くなるとアルミニウム製部材の製造コストが高騰してしまう。
【0005】
そこで、ヒートチェックや溶損が生じることを回避するために、鋳造用金型には、通常、表面処理が施される。具体的には、塩浴法、ガス法あるいはイオン法等による窒化処理や、物理的気相成長(PVD)法あるいは化学的気相成長(CVD)法によってTiCやTiN等のセラミックス材をコーティングする被覆処理、さらには、硫化鉄と窒化鉄との混合物層を設ける浸硫窒化処理、酸化鉄を設ける酸化処理等が例示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のいずれの方法においても、耐熱疲労性が向上すると耐溶損性が低下したり、または、逆に耐溶損性が向上すると耐熱疲労性が低下したりするというような不具合がある。例えば、窒化処理においては、窒化鉄からなる窒化層が設けられるが、この場合、耐溶損性は向上するものの、耐熱疲労性が低下する。そこで、表面に窒化層を設けるのではなく、窒素元素を鋼材内部に浸透・固溶させて窒素拡散層を設けることも提案されているが、この場合、耐熱疲労性が向上するものの、耐溶損性が低下する。
【0007】
また、被覆処理では、ビッカース硬度で1000〜3000を示す硬質のセラミックス皮膜を形成することができるが、このセラミックス皮膜は概して靱性が低く、鋳造用金型が応力によって変形する際や、鋳造用金型に機械的衝撃が加えられた際に容易に剥離するという問題がある。しかも、セラミックス皮膜と鋳造用金型との熱膨張率が異なるため、鋳造作業時の膨張体積が相違することに起因しても剥離が生じることがある。
【0008】
一方、浸硫窒化処理で表面に硫化鉄からなる硫化物層を設けた場合には、耐溶損性が向上することが確認されている。しかしながら、この硫化物層は硬度が低く、しかも、多孔質であるため、鋳造作業を繰り返すことによって剥離してしまうという不具合が顕在化している。さらに、この硫化物層には窒化鉄が含有されているため、耐熱疲労性が低いという問題がある。
【0009】
さらに、酸化処理には、母材層である鋼材料が熱応力によって変形した際、形成された酸化物層が剥離し易くなるという不具合がある。
【0010】
このような観点から、耐熱疲労性および耐溶損性をともに向上させるべく、様々な処理法が提案されている。例えば、特開平7−138733号公報には、イオン法による窒化処理後に950℃に昇温し、高周波加熱処理を施すことによって窒化鉄を分解して窒化鉄の濃度を減少させる処理方法が開示されている。この分解によって遊離した窒素元素は、鋼材の内部に拡散・固溶し、窒素拡散層を形成する。しかしながら、この場合、窒化鉄の幾分かは分解されることなく残留するので、耐熱疲労性を飛躍的に向上させることはできない。
【0011】
また、特開昭56−13475号公報には、350〜450℃の比較的低温にてイオン法で窒化処理を行うことが提案されている。しかしながら、このような処理が施された鋳造用金型の寿命は、一般的な窒化処理が施された鋳造用金型の2〜3割程度長期化するに留まる。この程度の長寿命化では、鋳造用金型の交換頻度を低減し、ひいては製造コストを低廉化することができるとは言い難い。
【0012】
そして、特開平10−204610号公報には、鋼材の表面に、硫化鉄と酸化鉄を主体として窒素を含む混合物層を形成することが提案されている。しかしながら、この場合においても、窒素は窒化鉄として存在する。上記したように、窒化鉄は、耐熱疲労性を低下させる。
【0013】
結局、これらの技術においては、窒化鉄を含有する層が鋼材に設けられているため、耐熱疲労性を向上させることが困難であるという不具合がある。
【0014】
さらに、特開昭60−39155号公報には、鋼材の表面にFeS2からなる第1層と、Fe4Nからなる第2層とをこの順序で形成する処理法が提案されているが、これら2層が形成された鋼材を鋳造用金型として使用すると、容易に剥離してしまうという不具合がある。このため、鋳造用金型として使用することは困難である。
【0015】
さらにまた、溶湯が冷却固化されて得た鋳造品をキャビティから取り出す際には、鋳造用金型には潤滑性も希求される。しかしながら、上記した従来技術に係る鋳造用金型はいずれも潤滑性がさほどは良好ではなく、鋳造品との摩擦によって欠損する、いわゆるかじりを回避することも困難である。
【0016】
このように、耐熱疲労性、耐溶損性および耐かじり性をともに向上させる技術は未だに確立されていない。
【0017】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、耐熱疲労性および耐溶損性のいずれにも優れ、このために鋳造用金型として使用された際に該鋳造用金型の寿命を長期化させ、これにより鋳造品の製造コストを低廉化することが可能な有層鋼材製部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、鋳造作業を遂行するための鋳造用金型であって、
鋼材からなる母材層を有するとともに、表面に硫化鉄と酸化鉄のみからなる混合物層が設けられた有層鋼材製部材からなることを特徴とする。
【0019】
このような構成においては、酸化鉄によって耐熱疲労性および耐溶損性が付与され、かつ硫化鉄によって潤滑性が付与される。したがって、耐熱疲労性、耐溶損性および耐かじり性に優れ、結局、耐久性に優れる鋳造用金型を構成することができる。
【0020】
なお、硫化鉄の構成元素であるSと酸化鉄の構成元素であるOとの比を表わすS/Oは、0.5<S/O<5であることが好ましい。S/Oが0.5以下であると、硫化鉄による潤滑効果が充分に得られなくなるからである。また、5以上であると酸化鉄が少なくなるので、硫化鉄が剥離し易くなるからである。
【0021】
また、酸化鉄は、Fe3O4であることが好ましい。この場合、Fe3O4は、Fe2O3やFeOに比して耐溶損性を向上させる効果に優れるからである。
【0022】
さらに、母材層と混合物層との間に、窒素元素が鋼材に固溶した窒素拡散層が設けられていることが好ましい。窒素拡散層が存在する場合、熱応力によって母材層が変形することが抑制される。このため、混合物層が剥離することを抑制することができるからである。
【0024】
また、本発明は、鋼材からなる母材層を有するとともに、表面に硫化鉄と酸化鉄のみからなる混合物層が設けられている有層鋼材製部材の製造方法であって、鋼材を酸化すると同時に硫化することによって前記混合物層を設ける混合物層形成工程を有することを特徴とする。
【0025】
このように、本発明においては、鋼材を酸化すると同時に硫化することによって、鋼材に耐熱疲労性、耐溶損性および潤滑性を付与する混合物層を容易かつ簡便に形成することができる。しかも、これにより得られた窒素拡散層および混合物層は、母材層を基材として形成された層であり、母材層上に積層された皮膜ではないので、母材層から剥離し難い。
【0026】
ここで、鋼材を酸化する酸化手段として酸素を使用し、かつ該酸素を酸化鉄としてFe3O4が得られる分圧で供給することが好ましい。これにより、耐溶損性を向上させる効果に優れるFe3O4を容易かつ簡便に生成させることができるからである。
【0027】
また、混合物層形成工程の前に、鋼材に窒素元素を固溶させて窒素拡散層を得る窒素固溶工程を行うことによって、混合物層が剥離し難い有層鋼材製部材を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有層鋼材製部材およびその製造方法につき、該有層鋼材製部材からなる鋳造用金型との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本実施の形態に係る鋳造用金型を備える鋳造装置の要部縦断面説明図を図1に示す。この鋳造装置10は、アルミニウムからなる鋳造品としての図示しないシリンダブロックを鋳造するためのものであり、固定型12と、側方可動型14、16と、上方可動型18とを鋳造用金型として具備する。このうち、固定型12にはボアピン20が設けられており、このボアピン20にスリーブ22が外装されることにより、シリンダブロックを得るためのキャビティ24が鋳造装置10に形成される。
【0030】
キャビティ24には、シリンダブロックのウォータジャケットを形成するための砂中子26が配置されている。該砂中子26は、図示しない支持部材によって支持されている。
【0031】
ここで、固定型12、側方可動型14、16、および上方可動型18は、SKD61材を母材層として有する鋼材からなる。そして、型12、14、16、18におけるキャビティ24を形成する面(以下、キャビティ面という)には、該SKD61材を表面処理することによって形成された2層が存在する。
【0032】
具体的には、図2に示すように、固定型12におけるキャビティ面は、SKD61材からなる母材層30、窒素拡散層32および混合物層34の3層構造となっている。なお、本実施の形態においては、窒素拡散層32および混合物層34はいずれも母材層30を基材として得られた層であり、母材層30上に積層された皮膜ではない。
【0033】
窒素拡散層32は、SKD61材に窒素元素が拡散して固溶したものである。固溶した窒素元素は、SKD61材の構成元素であるFeおよびCと結合して、3元系固溶体を形成する。なお、以下においては、この固溶体をFe(C,N)とも表記する。
【0034】
窒素拡散層32は、母材層30であるSKD61材が熱応力によって変形することを抑制する。これにより、混合物層34が窒素拡散層32から剥離することが回避される。換言すれば、窒素拡散層32が存在する場合、混合物層34が剥離し難くなる。
【0035】
窒素拡散層32の厚みは、例えば、50〜250μmに設定することができる。
【0036】
混合物層34は、SKD61材を硫化すると同時に酸化して得られた硫化鉄と酸化鉄のみからなる層である。すなわち、この混合物層34には、窒化鉄は含有されていない。
【0037】
硫化鉄は、鋳造用金型に潤滑性を付与する成分である。硫化鉄が存在することによって鋳造用金型の潤滑性が著しく向上し、その結果、かじりが生じることを抑制することができる。なお、硫化鉄は、酸化鉄中に分散されている。換言すれば、硫化鉄は、酸化鉄によって鋳造用金型の表面に堅牢に固着された形態となっている。
【0038】
混合物層34の厚みは、0.5〜20μmの範囲内であることが好ましい。0.5μmよりも小さいと、耐熱疲労性、耐溶損性および潤滑性を付与する効果に乏しくなる。また、20μmよりも大きいと、該混合物層34が窒素拡散層32から剥離し易くなる。
【0039】
酸化鉄は、耐熱疲労性および耐溶損性のいずれも優れる。すなわち、酸化鉄を表面に存在させることにより、鋳造用金型の耐熱疲労性および耐溶損性をともに向上させることができる。
【0040】
なお、硫化鉄の構成元素であるSと酸化鉄の構成元素であるOとの比は、下記の式(1)を満足することが好ましい。
0.5<S/O<5 …(1)
【0041】
S/Oが0.5以下であると、硫化鉄による潤滑効果が充分に得られなくなる。また、5以上であると酸化鉄が少なくなるので、硫化鉄が剥離し易くなる。
【0042】
ここで、酸化鉄は、四三酸化鉄(Fe3O4)であることが好ましい。この場合、酸化鉄がFe2O3やFeOである場合に比して、耐溶損性を一層向上させることができる。
【0043】
以上の窒素拡散層32および混合物層34は、残余の側方可動型14、16および上方可動型18の各キャビティ面にも形成されている。
【0044】
キャビティ面に窒素拡散層32および混合物層34を有する固定型12は、以下のようにして得ることができる。すなわち、まず、素材としてのSKD61材から、固定型12の形状の予備成形体を公知の加工法によって作製する。
【0045】
次に、窒素固溶工程において、この予備成形体のキャビティ面に窒素拡散層32を設ける。具体的には、該予備成形体を処理チャンバ内に入れ、該処理チャンバの温度を450〜580℃に保持した後、アンモニアガスと水素ガスとを該処理チャンバ内に供給する。このうちのアンモニアガスが熱分解することによって生成した遊離窒素元素は、予備成形体の内部に拡散した後、SKD61材の構成元素であるFeおよびCと結合する。これにより、予備成形体の表面に固溶体であるFe(C,N)が生成し、その結果、鋼材からなる母材層30上に窒素元素が固溶した窒素拡散層32が形成される。
【0046】
水素ガスは、アンモニアガスの活性を制御するための成分である。所定量の水素ガスをともに供給することにより、固溶体が生成する前に窒化鉄が生成することを抑制することができる。
【0047】
アンモニアガスおよび水素ガスの供給を停止した後、温度を500〜550℃に保持し、水素ガス、酸素ガスおよび硫化水素ガスを供給して混合物層形成工程を遂行する。この際、三四酸化鉄(Fe3O4)が生成するように酸素ガスの分圧を制御する。酸素ガスの好適な分圧は、1.013×10-20〜1.013×10-10Paである。
【0048】
SKD61材の構成元素であるFeは、供給されたガスのうち酸素ガスおよび硫化水素ガスと反応を起こす。これにより、三四酸化鉄(Fe3O4)および硫化鉄(FeS)からなる混合物層34が形成される。
【0049】
なお、この過程では、Fe(C,N)が母材層30の更なる内部まで拡散する。このため、Fe(C,N)は混合物層34には残留しない。また、混合物層34を形成する過程でアンモニアガスや窒素ガス等の窒素元素源が供給されることはないので、混合物層34に窒化鉄が含有されることもない。
【0050】
このようにして、キャビティ面に窒素拡散層32および混合物層34を有する固定型12が得られるに至る。勿論、側方可動型14、16および上方可動型18となる予備成形体の各キャビティ面にも同様の表面処理が施され、最終製品としての側方可動型14、16および上方可動型18が得られるに至る。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、予備成形体を処理チャンバ内に入れ、所定のガスを供給するという容易かつ簡便な作業によって、窒素拡散層32および混合物層34を有する金型12、14、16、18を作製することができる。
【0052】
このように構成された鋳造用金型12、14、16、18を使用してのシリンダブロックの作製は、以下のように遂行される。
【0053】
まず、図1に示すように、固定型12と、側方可動型14、16と、上方可動型18とが型締めされた状態で、例えば、アルミニウム等の溶湯が図示しないランナおよびゲートを介してキャビティ24内に充填される。充填された溶湯は、85MPa〜100MPa程度の圧力で高圧鋳造される。
【0054】
この際、固定型12、側方可動型14、16、上方可動型18の各キャビティ面に窒素拡散層32が設けられているので、鋼材である母材層30が熱応力によって変形することが抑制される。このため、混合物層34が剥離することを抑制することができる。
【0055】
また、各型12、14、16、18のキャビティ面には、耐熱疲労性および耐溶損性を向上させる酸化物を含有する混合物層34が設けられている。しかも、この混合物層34に窒化鉄が含有されていないので、各型12、14、16、18においては、耐熱疲労性が著しく向上している。このため、該型12、14、16、18にひび等が入ることが著しく抑制される。また、耐溶損性が向上しているため、各型12、14、16、18とアルミニウムとが反応することも抑制される。
【0056】
高圧鋳造されたアルミニウムの溶湯は、冷却に伴い凝固する。凝固が終了した後、上方可動型18および側方可動型14、16が固定型12から離間することによって型開きが行われ、次いで、図示しないノックアウトピンの作用下に、鋳造品であるシリンダブロックが取り出される。
【0057】
この際、混合物層34に硫化鉄が含有されているので、シリンダブロックとキャビティ面との摩擦抵抗は著しく小さい。したがって、かじりが生じることを抑制することもできる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、窒素拡散層32上に混合物層34を設けるようにしているが、鋼材の表面に混合物層34を直接設けるようにしてもよい。この場合、上記の窒素固溶工程を行うことなく、混合物層形成工程を行うようにすればよい。
【0059】
また、固定型12、側方可動型14、16および上方可動型18のキャビティ面にのみならず、全表面に亘って混合物層34を設けるようにしてもよい。この場合においても、窒素拡散層32を設けるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0060】
さらに、上記した実施の形態では、有層鋼材製部材として鋳造用金型を例示して説明したが、本発明に係る製造方法は有層鋼材製部材を得る場合に特に限定されるものではなく、様々な用途に供する部材を得ることが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋼材からなる母材層に酸化鉄および硫化鉄を含有する混合物層を設けるようにしている。このため、酸化鉄によって耐熱疲労性および耐溶損性が付与され、かつ硫化鉄によって潤滑性が付与される。したがって、耐熱疲労性、耐溶損性および耐かじり性に優れる部材とすることができるという効果が達成される。このような特性を有する部材は、鋳造用金型として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る鋳造用金型を備える鋳造装置の要部縦断面説明図である。
【図2】図1の鋳造装置を構成する固定型のキャビティ面の要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10…鋳造装置 12…固定型
14、16…側方可動型 18…上方可動型
24…キャビティ 30…母材層
32…窒素拡散層 34…混合物層
Claims (7)
- 鋳造作業を遂行するための鋳造用金型であって、
鋼材からなる母材層を有するとともに、表面に硫化鉄と酸化鉄のみからなる混合物層が設けられた有層鋼材製部材からなることを特徴とする鋳造用金型。 - 請求項1記載の鋳造用金型において、硫化鉄の構成元素であるSと酸化鉄の構成元素であるOとの比が、0.5<S/O<5であることを特徴とする鋳造用金型。
- 請求項1または2記載の鋳造用金型において、前記酸化鉄は、Fe3O4であることを特徴とする鋳造用金型。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造用金型において、前記母材層と前記混合物層との間に、窒素元素が鋼材に固溶した窒素拡散層が設けられていることを特徴とする鋳造用金型。
- 鋼材からなる母材層を有するとともに、表面に硫化鉄と酸化鉄のみからなる混合物層が設けられている有層鋼材製部材の製造方法であって、
鋼材を酸化すると同時に硫化することによって前記混合物層を設ける混合物層形成工程を有することを特徴とする有層鋼材製部材の製造方法。 - 請求項5記載の製造方法において、鋼材を酸化する酸化手段として酸素を使用し、かつ該酸素を酸化鉄としてFe3O4が得られる分圧で供給することを特徴とする有層鋼材製部材の製造方法。
- 請求項5または6記載の製造方法において、前記混合物層形成工程の前に、前記鋼材に窒素元素を固溶させて窒素拡散層を得る窒素固溶工程を行うことを特徴とする有層鋼材製部材の製造方法。
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