JP2006132416A - 内燃機関及びその燃焼室構成部品の製造方法 - Google Patents

内燃機関及びその燃焼室構成部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼室を構成する部品の熱伝導特性の向上を図ると共に高温強度及び熱疲労強度を高めることで、出力及び燃費を同時に向上させることが可能な内燃機関及びその燃焼室構成部品の製造方法を提供する。
【解決手段】燃焼室Cを構成するシリンダヘッド1及びピストン2を備えた内燃機関において、シリンダヘッド1の少なくとも燃焼室Cを構成する部分及びピストンの少なくとも冠面部分がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成したナノチューブ複合化部7,8としてある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃焼室を備えた内燃機関であって自動車に搭載するのに好適な内燃機関及びその燃焼室を構成するシリンダヘッドやピストンなどの燃焼室構成部品の製造方法に関するものである。
例えば、自動車の内燃機関において、その燃焼室を構成するシリンダヘッドやピストンなどの燃焼室構成部品には、軽量性や高熱伝導性などといった特長を有するアルミニウム合金が多く用いられ、低圧鋳造法や重力鋳造法あるいは溶湯鍛造法によって成形することが一般的となっている。
近年において、上記内燃機関に対する出力向上要求や環境対応要求は益々厳しくなる一方であり、その要求に答えるべく、内燃機関の高圧縮比化及び希薄燃焼化を図る方向にある。
このような内燃機関の高圧縮比化及び希薄燃焼化によって、内燃機関の燃焼室の温度がより一層高温化する傾向にあるが、内燃機関の耐久性の向上や吸入空気量の増加やノッキング特性の改善という観点から、内燃機関の燃焼室の温度をできるだけ低温に保つことが望まれている。
この内燃機関の燃焼室の温度を低下させる一般的な方策として、例えば、シリンダヘッドの冷却水の流速を増したり、シリンダヘッドの燃焼室部分の肉厚を減らして冷却水路との距離を狭めたり、オイルジェットを用いてピストンを冷却したりする手段が講じられている。
また、バルブシートの熱伝導性を高めて耐ノック性を向上させる方策として、例えば、レーザによってバルブシートに合金層を肉盛溶接したり、排気バルブの軸中に金属ナトリウムを封入したりする手段が講じられており、これらのレーザクラッドバルブシート及び排気バルブは、一部の車種で既に実用化されている。
上記と同様の観点から、フッ化物系フラックスをバルブシートに塗布した後に鋳包む方法が特許文献1に紹介されている。
さらに、内燃機関の燃焼室を構成する部品の熱伝導性を向上させる方策として、例えば、燃焼室構成部品の表面にフッ化アルミニウム又はカルシウムアルミネート処理を施す手段が講じられており、このような処理を施した内燃機関の燃焼室を構成する部品が特許文献2に紹介されている。
加えて、内燃機関、特にディーゼル式の内燃機関において、燃焼室の熱的負荷が厳しいことに対して、バルブシート間の熱疲労寿命を向上させるべく、バルブシート間にアルミニウム合金のリメルト処理を施すことが広く行われている。このようなディーゼル式の内燃機関においては、ピストンの冠面部分の温度が非常に高温となることから、ピストンの冠面部分にAl・SiO短繊維やAl・B繊維を複合化したピストンも実用化されているが、これらの技術はピストン冠面部分の高温強度を向上させることはできるものの、ピストン冠面部分の熱伝導特性を改善するものとはなっていない。
特開平8−232618号公報 特開平10−220277号公報
しかしながら、従来の内燃機関では、燃焼室の温度を低下させるべく上記したような様々な手段が講じられてはいるものの、内燃機関の燃焼室を構成する部品がとりわけ熱伝導性に優れているとは言い難く、その結果、内燃機関の燃焼室の温度を満足できるレベルにまで低下させることが難しいという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、燃焼室を構成する部品の熱伝導特性の向上を図ることで、燃焼室温度の低下及び吸入空気温度の低下を達成することができ、したがって、圧縮比の向上及び吸入空気量の増加により出力及び燃費を同時に向上させることが可能であり、加えて、燃焼室を構成する部品の高温強度及び熱疲労強度の向上を図ることで、燃焼室のバルブシート径の拡大による吸入空気量の増大及びピストン軽量化によるエンジンの高回転化をも達成することができ、その結果、出力をより一層向上させることが可能である内燃機関及びその燃焼室構成部品の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、内燃機関の燃焼室を構成する部分にカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金を適用することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の内燃機関は、燃焼室を備えた内燃機関であって、上記燃焼室を構成する部分の少なくとも一部がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成してあることを特徴としており、具体的には、燃焼室を構成するシリンダヘッド及びピストンを備えた内燃機関において、上記シリンダヘッドの少なくとも燃焼室を構成する部分及び/又はピストンの少なくとも冠面部分がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成してある構成としたことを特徴としており、この内燃機関の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
一方、本発明の燃焼室構成部品の製造方法は、上記内燃機関の燃焼室構成部品を製造するに際して、所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォームを金型内にセットした後、溶湯鍛造法,低圧鋳造法及び重力鋳造法のいずれかの鋳造法でアルミニウム合金を鋳造して燃焼室構成部品を製造する構成としたことを特徴としており、この燃焼室構成部品の製造方法の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
本発明によれば、上記した構成としているので、燃焼室温度の低下及び吸入空気温度の低下を実現することができ、したがって、出力及び燃費をいずれも向上させることが可能であり、加えて、燃焼室のバルブシート径の拡大による吸入空気量の増大及びピストン軽量化によるエンジンの高回転化をも実現することができ、その結果、出力をより一層向上させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の内燃機関において、その燃焼室を構成する部品、例えば、アルミニウム合金から成るシリンダヘッドの少なくとも燃焼室を構成する部分及び/又はピストンの少なくとも冠面部分に対して、カーボンナノチューブが複合化させてある。このカーボンナノチューブの熱伝導率は、通常、シリンダヘッドに適用されるJIS AC2A合金,JIS AC2B合金,JIS AC4C合金や、ピストンを構成するJIS AC8A合金,JIS AC8B合金などよりもはるかに大きい値なので、上記アルミニウム合金から成る内燃機関の燃焼室を構成する部分にカーボンナノチューブを複合化すれば、アルミニウム合金の熱伝導率が大きく改善され、燃焼時の余分な温度を効率的に冷却水又はオイルに伝えて、燃焼室の温度を低下させ得ることとなる。
特に、内燃機関のシリンダヘッドの燃焼室を構成する部分の中でもとりわけ温度的に厳しいバルブシートを保持する部分又は点火プラグを保持する部分にカーボンナノチューブを複合化すれば、これらの部分の温度低下と燃焼室の温度均一化を実現し得ることとなる。
また、カーボンナノチューブの強度は、シリンダヘッドに適用されるJIS AC2A合金,JIS AC2B合金,JIS AC4C合金や、ピストンを構成するJIS AC8A合金,JIS AC8B合金などの数百倍と言われている。これらのアルミニウム合金で構成される内燃機関のシリンダヘッドの燃焼室、特に、バルブシートを保持する部分又は点火プラグを保持する部分にカーボンナノチューブを複合化すれば、当該部分の高温強度及び熱疲労強度を大幅に向上させることができ、シリンダヘッドのバルブシート径を拡大し得ることとなる。
さらに、内燃機関のピストンの冠面部分にカーボンナノチューブを複合化することにより、当該部分の高温強度及び高温疲労強度をも大幅に向上させることができ、その結果、ピストンの軽量化が図られることとなる。
カーボンナノチューブとしては、多層型カーボンナノチューブ(MW−CNT)や単層型カーボンナノチューブ(SW−CNT)などが存在するが、本発明では、いずれのカーボンナノチューブを用いても熱伝導率の向上及び高強度化といった目標を達することが可能なので、カーボンナノチューブの種類は特に限定しないが、鋳造法や粉末焼結法を用いて複合化する際には、700℃程度まで安定であるカーボンナノチューブを採用することが望ましい。
この際、内燃機関の燃焼室を構成する部品に適用されるアルミニウム合金中へのカーボンナノチューブの複合化率は、体積割合で2〜40%であることが望ましい。体積割合で2%未満の場合は、熱伝導率又は強度といった点でカーボンナノチューブの複合化の効果が十分に得られない。一方、カーボンナノチューブの体積割合が40%を超えると、鋳造法によってカーボンナノチューブをアルミニウム合金中に複合化させる際のプリフォームの製作が困難になる、又は、粉末法によりアルミニウム合金中にカーボンナノチューブを複合化させる際の焼結性が悪化するという問題があることから、本発明では、カーボンナノチューブのアルミニウム合金中への複合化率の上限を体積割合で40%とした。
ここで、内燃機関の燃焼室を構成するシリンダヘッドのバルブシートに直接カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金を用いる場合には、熱伝導特性及び高温強度の他に耐摩耗性も必要となることから、アルミニウム合金中へのカーボンナノチューブの複合化率を体積割合で15%〜40%とすることが望ましい。その理由は、カーボンナノチューブの複合化割合が15%未満であると、バルブシートの耐摩耗性が不足するためであり、複合化率の上限を体積割合で40%とする理由は上記と同じである。
また、内燃機関の燃焼室を構成するシリンダヘッドのバルブシートに直接カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム合金への攻撃性を考慮して、バルブのフェース部に、銅合金の肉盛処理又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)の表面処理を施すことが望ましい。これにより、バルブフェース部及びバルブシートの摩耗量を既存のバルブ及びバルブシートの摩耗量と同等に抑えることが可能となる。このように、バルブフェース部に、銅合金の肉盛処理又はダイヤモンドライクカーボンの表面処理を施す場合には、バルブは鉄系材料である必要はなく、チタン合金又はアルミニウム合金であっても差し支えない。
上記した内燃機関の燃焼室を構成する部品を製造するに際しては、例えば、通常の内燃機関のシリンダヘッドやピストンが低圧鋳造法などの鋳造法により製造されることから、その鋳造過程で複合化することが最も望ましい。例えば、シリンダヘッドを製造する場合、その鋳造時において、予めシリンダヘッドの燃焼室形状に合わせて所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォームを金型内の所定位置にセットした後、アルミニウム合金溶湯を低圧鋳造法,重力鋳造法及び溶湯鍛造法のいずれかにより鋳込むことにより、シリンダヘッドの所定部分をカーボンナノチューブにより複合化することが可能となり、一方、ピストンを製造する場合、その鋳造時において、予めピストンの冠面部分あるいはピストンの冠面部分+ピストンリング溝部の形状に合わせて所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォームを金型内の所定の位置にセットした後、アルミニウム合金溶湯を低圧鋳造法,重力鋳造法及び溶湯鍛造法のいずれかにより鋳込むことにより、ピストンの所定部分をカーボンナノチューブにより複合化することが可能となる。
なお、内燃機関の燃焼室を構成するシリンダヘッド又はピストンへのカーボンナノチューブの複合化方法は、上記の鋳造法に限定されるものではなく、予めカーボンナノチューブを複合化したシリンダヘッドの燃焼室当該形状又はピストンの冠面部分当該形状を成すアルミニウム合金成形体を燃焼室構成部品本体であるシリンダヘッドの所定位置又はピストンの所定位置に嵌合することで、内燃機関の燃焼室を構成するシリンダヘッド又はピストンを形成することも可能である。
具体的には、シリンダヘッド又はピストンの鋳造時の鋳包みにより成形したり、燃焼室構成部品本体であるシリンダヘッド鋳造品又はピストン鋳造品に対するろう付けや圧入といった手法を用いて成形したりすることが可能である。
ここで、シリンダヘッド鋳造品又はピストン鋳造品に嵌合するカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金成形体の製造方法としては、予めシリンダヘッドの燃焼室当該形状又はピストンの冠面部分当該形状に成形したカーボンナノチューブのプリフォームに対して、アルミニウム合金を低圧鋳造法や重力鋳造法や溶湯鍛造法などの鋳造法により鋳込む方法を用いることができるほか、カーボンナノチューブとアルミニウム合金粉末とを所定の割合で混合した後、SPS法,HIP法及び焼結法のいずれかによりシリンダヘッドの燃焼室当該形状又はピストンの冠面部分当該形状に成形固化させる方法を用いることができ、いずれを用いても差し支えない。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施例による内燃機関を示しており、図1に模式的に示すように、この内燃機関は、燃焼室Cを構成するシリンダヘッド1及びピストン2を備えていて、シリンダヘッド1の少なくとも燃焼室Cを構成する部分及びピストン2の冠面部分には、カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金から成るナノチューブ複合化部7,8が配置してある。なお、図中、符号3はシリンダブロック、符号4はコンロッド、符号5はバルブシート、符号6は点火プラグである。
したがって、この内燃機関では、燃焼室Cの温度を低下させることが可能となると共に、燃焼室Cの高温強度が増加することにより、バルブシート径を拡大することができる。
具体的に、2000cc直列4気筒エンジンのシリンダヘッド燃焼室及びピストン冠面部分にカーボンナノチューブを複合化した場合の温度低下代を、図2に示すシリンダヘッド1における3箇所の温度評価点Pでの温度低下代の平均値として表1に示す。評価結果は、最高出力回転数で最大負荷をかけてエンジンを運転している状態での結果である。表中のVfはアルミニウム合金中に複合化されたカーボンナノチューブの体積割合を示す。また、表中の熱伝導率は25℃での値である。
Figure 2006132416
表1に示すように、アルミニウム合金中にカーボンナノチューブが複合化されていない場合(比較例1)と比べて、アルミニウム合金中にカーボンナノチューブを複合化した場合(実施例1〜3)は、いずれも温度低下代が大きいと共に高温強度が高く、したがって、シリンダヘッド燃焼室の温度が低下することが実証できた。また、アルミニウム合金中に複合化されたカーボンナノチューブの体積割合Vfは、2〜40%の範囲内で大きいほど温度低下代も大きくなることが判った。
図3は、本発明の他の実施例による内燃機関を示しており、この内燃機関のシリンダヘッド1Aのバルブシート10の周り(バルブシートを保持する部分)及び点火プラグ孔11の周り(点火プラグを保持する部分)には、カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金から成るナノチューブ複合化部12,13が配置してある。
このため、シリンダヘッド燃焼室にカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金を適用した先の実施例における内燃機関と同様に、燃焼室の温度を低下させることが可能となると共に、内燃機関のシリンダヘッドにおいて熱的に厳しい部分の高温強度を改善することも可能となる。
そして、内燃機関のシリンダヘッド1Aのバルブシートとして、鉄系焼結材料を用いたバルブシートに代えてカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金から成るバルブシートを適用すれば、アルミニウム合金の高温強度,耐摩耗性および耐凝着性が向上し、温度低下と燃焼室Cのより一層の温度均一化を実現し得ることとなる。
この場合、バルブのバルブフェース部に対して、銅系合金を肉盛する表面処理を施したり、ダイヤモンドライクカーボンを被覆する表面処理を施したりすることが望ましい。そこで、各種材料の組合せを変えた場合のバルブシート及びバルブフェース部の各摩耗量を測定した。この際の摩耗量は、バルブシート温度150℃〜160℃において4000rpmで5時間運転させた後の摩耗量である。表2に単体評価で評価した際の結果を示す。
Figure 2006132416
表2に示すように、バルブシートとして鉄系焼結材料製のものを用い且つバルブフェース部に表面処理が施されていない場合(比較例2)及びバルブシートを構成するアルミニウム合金中に8%の体積割合Vfでカーボンナノチューブが複合化され且つバルブフェース部に銅系合金を肉盛する表面処理が施されている場合(比較例3)には、バルブシートの摩耗量及びバルブフェース部の摩耗量のうちのいずれかの摩耗量が極めて多くなっている。
これに対して、バルブシートを構成するアルミニウム合金中に15%以上の体積割合Vfでカーボンナノチューブを複合化し且つバルブフェース部に銅系合金を肉盛する表面処理又はダイヤモンドライクカーボンを被覆する表面処理を施した場合(実施例4〜7)は、いずれの場合もバルブシートの摩耗量及びバルブフェース部の摩耗量が揃って少なくなっている。
これにより、アルミニウム合金中に15%以上の体積割合Vfでカーボンナノチューブを複合化したバルブシート及び銅系合金を肉盛する表面処理又はダイヤモンドライクカーボンを被覆する表面処理を施したバルブフェース部の組み合わせ(実施例4〜7)において、バルブシート及びバルブフェース部の各摩耗量をいずれも少なく抑え得ることが実証できた。
次に、上記内燃機関の燃焼室構成部品としてのシリンダヘッドを製造する要領を説明する。
図4に示すように、予め所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォーム16を金型14内の所定の位置ににセットした後、溶湯鍛造法,低圧鋳造法及び重力鋳造法のいずれかの鋳造法でアルミニウム合金を鋳造してシリンダヘッド燃焼室部分を製造する。なお、図4における符号15は砂中子である。
ここで、カーボンナノチューブのプリフォームに代えてカーボンナノチューブが複合化されたアルミニウム合金成形体をセットした後、溶湯鍛造法,低圧鋳造法及び重力鋳造法のいずれかの鋳造法でアルミニウム合金とともに鋳包むことによっても所望の内燃機関のシリンダヘッドを得ることが可能である。このようにして鋳包まれるアルミニウム合金成形体の製造方法としては、鋳造法によるものであってもよいほか、カーボンナノチューブとアルミニウム合金粉末とを混合した後、SPS法,HIP法,焼結法のいずれか又はこれらの組合せによりにより成形固化する方法を採用することができる。
また、上記した実施例では、カーボンナノチューブを複合化した内燃機関のシリンダヘッドを鋳包みによって得る方法について説明したが、カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金成形体をシリンダヘッド本体に嵌合するための手法は、鋳包みによるものだけに限定されるものではなく、燃焼室構成部品本体としてのシリンダヘッド鋳造品に対するろう付けや圧入であっても一向に差し支えない。
さらに、上記した実施例では、カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金によって、内燃機関の燃焼室構成部品としてのシリンダヘッドを製造する要領を説明したが、内燃機関の燃焼室構成部品がピストンである場合も、形状が異なるのみでシリンダヘッドの場合と全く同じ要領で製造することが可能である。
本発明の内燃機関の一実施例を模式的に示すシリンダヘッドの燃焼室を構成する部分を燃焼室側から見た説明図(a)及び部分断面説明図(b)である。(実施例1〜3) カーボンナノチューブの複合化によるシリンダヘッドの温度低下代について評価を行った部位を示す図である。 本発明の内燃機関の他の実施例を示すシリンダヘッドの燃焼室を構成する部分を燃焼室側から見た図である。(実施例4〜7) カーボンナノチューブを複合化したシリンダヘッドの製造方法を模式的に示す部分断面説明図である
符号の説明
1,1A シリンダヘッド(内燃機関の燃焼室構成部品)
2 ピストン(内燃機関の燃焼室構成部品)
7,8 ナノチューブ複合化部
10 バルブシート
11 点火プラグ孔
12,13 ナノチューブ複合化部
14 金型
16 カーボンナノチューブプリフォーム
C 燃焼室

Claims (12)

  1. 燃焼室を備えた内燃機関であって、上記燃焼室を構成する部分の少なくとも一部がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成してあることを特徴とする内燃機関。
  2. 燃焼室を構成するシリンダヘッド及びピストンを備えた内燃機関において、上記シリンダヘッドの少なくとも燃焼室を構成する部分及び/又はピストンの少なくとも冠面部分がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成してあることを特徴とする内燃機関。
  3. シリンダヘッドのバルブシートを保持する部分及び/又は点火プラグを保持する部分がカーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成してある請求項2に記載の内燃機関。
  4. カーボンナノチューブを複合化したアルミニウム合金により形成したバルブシートを具備している請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の内燃機関。
  5. アルミニウム合金中のカーボンナノチューブの複合化率を体積割合で2〜40%としてある請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の内燃機関。
  6. シリンダヘッドのバルブシートと密着するバルブとして、バルブフェース部に銅合金を肉盛したバルブ又はダイヤモンドライクカーボンの表面処理を施したバルブを具備している請求項4又は5に記載の内燃機関。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃焼室構成部品を製造するに際して、所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォームを金型内にセットした後、溶湯鍛造法,低圧鋳造法及び重力鋳造法のいずれかの鋳造法でアルミニウム合金を鋳造して燃焼室構成部品を製造することを特徴とする燃焼室構成部品の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃焼室構成部品を製造するに際して、カーボンナノチューブを複合化した所定形状を成すアルミニウム合金成形体をアルミニウム合金とともに鋳包んで燃焼室構成部品を製造することを特徴とする燃焼室構成部品の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃焼室構成部品を製造するに際して、カーボンナノチューブを複合化した所定形状を成すアルミニウム合金成形体をアルミニウム合金から成る部品本体にろう付けして燃焼室構成部品を製造することを特徴とする燃焼室構成部品の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の燃焼室構成部品を製造するに際して、カーボンナノチューブを複合化した所定形状を成すアルミニウム合金成形体をアルミニウム合金から成る部品本体に圧入して燃焼室構成部品を製造することを特徴とする燃焼室構成部品の製造方法。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の燃焼室構成部品の少なくとも一部を成すアルミニウム合金成形体を製造するに際して、所定の形状に形成したカーボンナノチューブのプリフォームを金型内にセットした後、溶湯鍛造法,低圧鋳造法及び重力鋳造法のいずれかの鋳造法でアルミニウム合金成形体を製造することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
  12. 請求項8〜10のいずれかに記載の燃焼室構成部品の少なくとも一部を成すアルミニウム合金成形体を製造するに際して、カーボンナノチューブとアルミニウム合金粉末とを混合した後、SPS法,HIP法及び焼結法のいずれかにより成形固化させてアルミニウム合金成形体を製造することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
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