JP4904812B2 - 膜電極複合体およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜電極複合体およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜電極複合体およびそれを用いた固体高分子型燃料電池に関するものである。
燃料電池は、通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、それらアノードとカソード間のイオン伝導体となる高分子固体電解質膜とが、膜電極複合体(以下、MEAと略すことがある。)を構成し、そのMEAがセパレーターによって挟まれたセルを1つのユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う。)と、実際に電気化学的反応場となるアノードとカソードの電極触媒層とから構成されている。例えば、固体高分子型燃料電池(以下、PEFCと略すことがある。)のアノードでは、水素ガスなどの燃料がアノード触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導され、プロトンは高分子固体電解質へと伝導される。このため、アノードには、ガスの拡散性、電子伝導性およびイオン伝導性が良好であることが要求される。一方、カソードでは、酸素や空気などの酸化ガスがカソード触媒層で、高分子固体電解質から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソードにおいては、ガス拡散性、電子伝導性およびイオン伝導性が要求されるとともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
また、固体高分子型燃料電池の中でも、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCと略すことがある。)においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFCとは異なる性能が要求される。すなわち、DMFCにおいては、アノードではメタノール水溶液などの燃料がアノード触媒層で反応してプロトン、電子および二酸化炭素を生じ、電子は電極基材に伝導され、プロトンは高分子固体電解質に伝導され、二酸化炭素は電極基材を通過して系外へ放出される。このため、従来のPEFCのアノード電極の要求特性に加えて、メタノール水溶液などの燃料透過性や二酸化炭素の排出性も要求される。
従来のMEAでは、多くの場合、金属触媒の表面積を大きくするために、カーボンに触媒能を有する金属微粒子を担持させたものを使用していた(下記の非特許文献1および非特許文献2参照。)。このように、触媒担持体としてカーボンを使用することにより触媒塗液の粘度調整が容易になり、触媒層形成が容易になる。カーボンに担持されている金属微粒子の量は、多い方が単位体積当たりの反応効率は良くなるが、金属微粒子の量を多くしすぎると金属微粒子の径が大きくなり表面積が小さくなり触媒効率が低下する。このために、その担持できる量には限界がある。このようなカーボン担持された触媒を使用する
と、カーボンの体積が大きいために触媒層が厚くなる。また、DMFCでは、メタノールの酸化反応が起こりにくく、多量の触媒を必要とするため、触媒層がより厚くなる。
中川他、「液体供給DMFCの作製と性能解析」、電気化学会 第69回大会講演要旨集 69ページ 福永他、「ガス供給型DMFCのアノード電極構造と過電圧」、電気化学会 第69回大会講演要旨集 76ページ
上記のように、従来のMEAでは触媒層が厚くなり、20℃においては発生する水が揮発しにくく、また、燃料や空気などの反応物質や、発生する二酸化炭素の透過速度が低くなり、20℃での反応抵抗をRr(Ω・cm)としたとき、logRrを1未満にすることが困難であった。本発明者らは、この反応抵抗Rrが、出力と相関があることを見いだしたが、従来技術ではRrを低下させることが出来ないために、出力の向上が難しかった。
そこで本発明は、上記課題を改善し、燃料や二酸化炭素の透過速度を向上させることによりRr(Ω・cm)を低下させ、高出力を達成することができる新規な膜電極複合体(MEA)と、それと用いた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために次の構成を有するものである。すなわち、本発明の膜電極複合体は、少なくとも、電極触媒層と、電極基材からなるアノードおよびカソードと、該アノードと該カソードに挟持された高分子固体電解質膜とからなる膜電極複合体において、20℃における反応抵抗をRr(Ω・cm)としたときに、次式
−2≦logRr<1
を満足し、アノード触媒層の厚さが10μm以上、25μm以下であり、アノード触媒層中の白金量が0.1mg/cm以上、25mg/cm以下であり、アノード触媒層の厚さ1μm当たりの白金量は0.07mg/cm以上であり、カソード触媒層の厚さが16μm以上、70μm以下であり、カソード触媒層の白金量が0.1mg/cm以上、25mg/cm以下であり、カソード触媒層の厚さ1μm当たりの白金量は0.15mg/cm以上であることを特徴とする膜電極複合体であり、本発明においては、その膜電極複合体を固体高分子型燃料電池に好適に適用することができる。
また、本発明の前記膜電極複合体は、次の好ましい態様を含んでいる。
(a)前記高分子固体電解質膜が炭化水素系高分子固体電解質膜であること。
(b)前記アノードに供給する燃料に、8重量%から50重量%の範囲のメタノール水溶液を用いること。
(c)前記の20℃における反応抵抗Rrが、次式
−1.5≦logRr≦0.5
を満足すること。
(d)前記の20℃における反応抵抗Rrが、次式
−1≦logRr≦0.3
を満足すること。
(e)前記アノード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、5mg/cm以下であること。
(f)前記アノード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、1mg/cm以下であること。
(g)前記アノード触媒層中のイオン伝導体量が0.1mg/cm以上、15mg/cm以下であること。
(h)前記アノード触媒層中の白金量が0.5mg/cm以上、5mg/cm以下であること。
(i)前記アノード触媒層中の白金量が1.5mg/cm以上、4mg/cm以下であること。
(j)前記カソード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、5mg/cm以下であること。
(k)前記カソード触媒層中のイオン伝導体量が0.1mg/cm以上、15mg/cm以下であること。
(l)前記カソード触媒層の白金量が1mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつカソード触媒層の厚さが16μm以上、40μm以下であること。
(m)前記カソード触媒層の白金量が3mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつカソード触媒層の厚さが16μm以上、30μm以下であること。
本発明においては、固体高分子型燃料電池用として、前記の膜電極複合体を好適に用いることができる。本発明の好ましい態様によれば、得られた固体高分子型燃料電池は、メタノール水溶液によって駆動させることができ、また、20℃における反応抵抗Rrが、次式
−2≦logRr<1
または、次式
−1.5≦logRr≦0.5
を満足するものである。
本発明においては、前記の固体高分子型燃料電池を、携帯機器用電源に好適に用いることができ、また、携帯機器あるいは移動体に好適に搭載使用することができる。
本発明によれば、高出力を達成できる新規な膜電極複合体およびそれを用いた固体高分子型燃料電池が提供される。これにより、固体高分子型燃料電池の小型化を図ることができ、携帯電話やノート型パソコン等の移動型電化製品をはじめ、種々の電化製品の電源として使用することが出来るようになり、その実用性は高い。
図1は、本発明のMEAの出力とlogRrの関係の1例を示すグラフである。
図2は、本発明のセパレーターの流路形状の1例を示す概略図である。
図3は、本発明のMEAのナイキストプロットの1例を示すグラフである。
図4は、本発明のセルの概略の1例を示す斜視図である。
図5は、本発明のセルの概略の他の1例を示す斜視図である。
図6は、本発明のカソード集電体の流路形状の1例を示す概略図である。
以下、本発明の膜電極複合体と固体高分子型燃料電池について、最良の実施の形態を説明する。
本発明の膜電極複合体(MEA)は、少なくとも、電極触媒層と、電極基材からなるアノードおよびカソードと呼ばれる電極と、該アノードと該カソードに挟持された高分子固体電解質膜とからなるものである。
このMEAを、セパレーターなどによって挟んでセルを構成し、このセルに燃料となる水素やメタノール水溶液、および発生したプロトンと反応する酸素あるいは空気などを供給することによって発電する燃料電池を、固体高分子型燃料電池と称する。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となるアノードとカソードの電極触媒層とから構成されている。
例えば、アノードでは、水素ガスなどの燃料がアノード触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導され、プロトンは高分子固体電解質膜へと伝導される。このため、アノードには、ガスの拡散性、電子伝導性およびイオン伝導性が良好であることが要求される。
一方、カソードでは、酸素や空気などの酸化ガスが、カソード触媒層で、高分子固体電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソードにおいては、ガス拡散性、電子伝導性およびイオン伝導性が要求されるとともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
また、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするDMFCにおいては、アノードでメタノール水溶液などの燃料が反応してプロトン、電子および二酸化炭素を生じ、電子は電極基材に伝導され、プロトンは高分子固体電解質膜に伝導され、二酸化炭素は電極基材を通過して系外へ放出される。このため、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池(PEFC)のアノードへの要求特性に加えて、メタノール水溶液などの燃料透過性や二酸化炭素の排出性も要求される。
本発明のMEAは、20℃における反応抵抗をRr(Ω・cm)としたときに、次式
−2≦logRr<1
を満足するものである。20℃における反応抵抗Rrは、好ましくは次式
−1.5≦logRr≦0.5
を満足するものであり、より好ましくは次式
−1.5≦logRr≦0.4
を満足するものである。
従来、反応抵抗は、MEAの解析に用いられていたが、反応抵抗と出力との相関は見い出せていなかった。しかしながら、本発明者らは、第1図に示したように、反応抵抗と出力には大きな相関があることを見いだした。すなわち、第1図において、logRrが1より大きい場合は、十分な出力が得られず、1未満にすることが重要となることがわかる。また、logRrが0.5以下ではより出力が向上し、0.3以下ではさらに出力が向上している。
一方、logRrの下限は、−2以上であることが重要である。logRrが−2よりより低いとMEA内部で短絡している可能性があり、高い出力が得られないだけでなく、異常反応に伴う発熱や発火が起こることがある。logRrが−1.5以上の場合、短絡の可能性がより減少し、−1以上の場合さらに短絡の可能性が減少する。
本発明において、反応抵抗Rrは、交流インピーダンス法により測定することができる。交流インピーダンス法とは、正弦波入力と応答を比べ、電極反応の伝達関数を決める手法であり、具体的には、刊行物(「電気化学測定マニュアル基礎編 電気化学会編 丸善」)に記載されている方法で測定することができる。
本発明におけるMEAの反応抵抗Rrは、例えば、次のようにして測定を行うことができる。電極面積が5cmのMEAを、流路1mm角で、集電部分の幅1mmで、第2図に示す流路形状のカーボンセパレーターに挟み、これを温調水で20℃の温度に制御する。アノードには、1mol/L(=3.2重量%)のメタノール水溶液を流す。メタノール水溶液としては、好ましくは8重量%以上50重量%以下のメタノール水溶液を用い、流量を0.2ml/minで流す。カソードには、合成空気を50ml/minの流量で流す。このように準備したMEAについて、ソーラトロン(solartron)社製周波数応答解析器1255BとポテンショスタットSI1287を用い、次のようにして反応抵抗Rrを測定する。
例えば、MEAに電流40mA/cm、振幅4mA/cmを印加し、50kHzから10mHzの周波数範囲で測定を行い、インピーダンスを測定する。測定したインピーダンスを複素平面に表示(これをナイキストプロットと称す。)し、得られた円弧あるいはそれが歪んだ形のものの大きさ(X軸切片の距離)を反応抵抗Rrとした。このとき、得られるX軸切片の右端は、ナイキストプロットから得られる半円の右端となる。半円にならない場合はナイキストプロットから半円を推定し、そのX軸切片の右端を用いる。MEAのインピーダンス測定結果の例を第3図に示すと共に、このときの反応抵抗Rrを示す。なお、反応抵抗Rrは、印加する電流値と振幅に大きく依存するため、本発明では最大出力時の電流値を印加し、振幅をその1/10とする。
本発明における反応抵抗Rrは、測定条件により測定値が変化することがある。測定値を左右する要因としては、アノードやカソードに流す反応物質およびその流量と流速、セパレーターの流路形状、および流路パターンなどが挙げられる。例えば、アノードにメタノール水溶液を流す場合、濃度が低すぎると出力が低下することがある。これは、燃料供給不足と考えられる。逆に、メタノール水溶液の濃度が高すぎるときも、出力が低下する場合ある。これは、メタノールのカソードへの透過量が増加し、カソードの電位が低下していると考えられる。また、メタノール水溶液の流量に関しても、同様に最適点を有する場合がある。カソードでも、反応物質の供給量や流速により最適点を持つことがある。例えば、カソードに空気を流す場合、空気流量や流速において出力に対して最適条件が見られることがある。空気流量や流速を増加すると、反応物質の供給量増加や生成物質の排出量増加が起こることがあり、また、高分子固体電解質膜の乾燥が起こることがある。このため、出力に対して最適点が見られる場合があると推測される。
また、セパレーターの流路形状は、前記のメタノール水溶液や、空気の流量、および流速に対して大きな影響を与えることがあり、このため、出力に影響を与えることがある。従って、反応抵抗Rrを低下させるために、前記のような要因を最適化することも、好ましい方法の1つである。
本発明のMEAによれば、前記のとおり、反応抵抗Rrを−2≦logRr<1とすることにより、高出力を達成することができる。これは、以下のような理由からと推測される。従来のMEAでは、20℃においては発生する水が蒸発せず、また、燃料や空気、発生する二酸化炭素の透過速度が小さく、logRrを1未満にすることが困難であった。本発明において、反応抵抗Rrが出力に影響し、相関があることを見出したことは前述のとおりであるが、従来技術では反応抵抗Rrを低下させることが出来ないために、出力の向上が難しかった。しかしながら、本発明のMEAは、燃料や二酸化炭素の透過速度を向上させることにより、20℃でのlogRrを−2≦logRr<1とすることができ、高い出力が得られたものと推定される。本発明者らが見いだした出力とlogRrの関係の例は、第1図に示したとおりである。
本発明のMEAにおいては、触媒層中の触媒量と厚さが重要であり、これらの範囲を規定することにより反応抵抗Rrを低減させることができ、高出力化できる。また、本発明のMEAを得るには、金属触媒粒子と、カーボンなどの電子伝導体に金属触媒粒子を担持させたものを組み合わせることが有効である。MEAの出力を向上するために触媒量を増加することは、一般的に知られている。しかしながら、一般的に使用されているカーボンなどの電子伝導体に金属触媒粒子を担持させたものの量を増加すると、厚さが大きく増加し、反応抵抗Rrが低下せず、出力の増加に頭打ちが見られた。一方、触媒金属粒子のみを用いると、塗液の粘度が低すぎるために、電極基材へのしみ込みが増える。
また、触媒金属粒子の分散性も悪く、反応抵抗Rrが低下せず、出力の増加が困難であった。そこで、前述のように、金属触媒粒子と、カーボンなどの電子伝導体に、金属触媒粒子を担持させたものを組み合わせることにより、厚さの増加を抑制し、かつ触媒量が増加できるために、反応抵抗Rrの低下を実現することができ、出力を向上させることができる。
以下、本発明のMEAについて、より具体的に説明する。
本発明において、アノード触媒層は、主に触媒、電子伝導体およびプロトン伝導体などのポリマから構成される。
アノード触媒層は、厚すぎると燃料、水および水素の供給を妨げたり、生成する二酸化炭素の排出を妨げ、反応抵抗Rrが増加すると推定される。このため、アノード触媒層の厚さは25μm以下である。一方、アノード触媒層の厚さは、薄すぎると触媒をアノードに均一に存在させるのが困難になるため10μm以上である。
アノード触媒層の厚さは、例えば、以下のようにして確認することができる。走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で、100倍から1000倍程度で1cmあたり5カ所以上の断面を観察し、各観察点で5点以上厚さを計測し、その平均値を各観察点での代表値とする。この代表値の平均値を、アノード触媒層厚さとする。また、触媒層とカーボン層等の多層構造をとる場合は、SEMと電子線マイクロアナライザ(EPMA)を組み合わせ、触媒が存在する範囲を特定し、先と同様に厚さを求めることができる。
アノードに用いられる触媒としては、白金などの貴金属粒子が好適な例として挙げられる。また、電極触媒層の導電性を改善する材料を含むことが好ましく、形態は特に限定されるものではないが、例えば、導電性粒子を有することが好ましい。導電性粒子としては、カーボンブラック等が挙げられ、特に触媒を担持したカーボンブラックとして白金担持カーボンなどが好ましく用いられる。電極触媒層は、触媒、電子伝導体(例えば、カーボンブラック)およびイオン伝導体(例えば、プロトン交換樹脂)が互いに接触して、電極活物質と反応生成物が効率よく出入りする構造のものが求められる。イオン伝導性を改善したり、材料の結着性を向上させたり、あるいは撥水性を高めたりする上で、電極触媒層には高分子化合物が有効である。したがって、電極触媒層に、少なくとも触媒粒子と導電性粒子と高分子化合物を含むことが好ましい。
電極触媒層に含まれる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金および鉄などの金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金や混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わない。例えば、白金とルテニウや、または白金と鉄などの組み合わせが好ましく用いられる。上記触媒は、表面積を大きくしたり、塗液調整を容易にするために、カーボンブラックなどの電子伝導体表面に担持されていても良い。アノード触媒層を薄くするには、触媒の金属粒子を用いる方が有利であるが、金属粒子のみでは塗液の粘度が低すぎるために電極基材へのしみ込みが増え、反応抵抗Rrが増加する。一方、電子伝導体表面表面に担持された触媒のみでは、触媒層が厚くなりすぎ反応抵抗Rrが増加する。反応抵抗Rrを1未満にするためには、電子伝導体表面に金属触媒が担持されたものと金属粒子のみからなる触媒を、それぞれ1種類以上組み合わせることが好ましい。
このような触媒としては、ジョンソンマッセイ(JohnsonMatthey)社製”HiSPEC”1000、”HiSPEC”2000、”HiSPEC”3000、”HiSPEC”4000、”HiSPEC”5000、”HiSPEC”6000、”HiSPEC”7000、”HiSPEC”8000および”HiSPEC”9000(”HiSPEC”は登録商標)など、石福金属興業社製IFPC40−A、IFPC40A−II、IFPC40A−III、IFPC30−A、IFPC30A−IIおよびIFPC30A−IIIなど、および田中貴金属工業社製TEC61V33、TEC61E54、TEC10V20E、TEC10V22E、TEC10V30E、TEC10V40EおよびTEC10V50Eなどの白金を含む触媒が好ましく用いられ、これらを組み合わせて使用することはより好ましい態様である。
例えば、HiSPEC(登録商標)6000と”HiSPEC”(登録商標)7000の組み合わせ、あるいは”HiSPEC”(登録商標)6000とIFPC40A−IIの組み合わせのような、金属粒子のみの触媒と電子伝導体表面表面に担持された触媒との組み合わせは、触媒層を薄くすることができ、かつ、塗液粘度の調整が容易である。
また、反応抵抗Rrを下げ、高い出力を得るには、白金を0.1mg/cm以上含むことが必要である。白金量は0.5mg/cmであればなお好ましく、1.5mg/cm以上であればさらに好ましい。一方、白金は高価な触媒であるため、多すぎるとコストが高くなりすぎるため、白金量は25mg/cm以下が必要である。5mg/cm以下であればなお好ましく、4mg/cm以下であればさらに好ましい。
白金量は、例えば、以下のようにして確認することができる。まず、触媒層の面積を測定する。次いで、MEAから電極基材を剥がし触媒層をかき取り、触媒層量を計量する。触媒層をジメチルホルムアミドなどのような極性溶媒で溶解し、遠心分離や濾過などにより溶液部分と不溶部分とに分離する。不溶部分を低沸点溶媒で溶媒置換し、乾燥した後、計量する。その後、不溶部分を原子吸光法や蛍光X線やICP発光分析法などにより分析し、触媒層中の全白金量を求める。この全白金量を触媒層面積で割り返してやれば、単位面積当たりの白金量が求められる。また、掻き取った触媒層を、そのまま蛍光X線やICP発光分析法などで分析することにより求めることもできる。
本発明で用いられるアノード触媒層において、厚さ1μm当たりの白金量は0.07mg/cm以上であることが必要である。厚さ1μm当たりの白金量がこれより少ないと、白金の密度が少ないため、反応抵抗Rrが大きくなる可能性がある。
本発明で用いられるアノード触媒層において、より好ましくは、白金量は0.5mg/cm以上、5mg/cm以下であり、かつ、アノード触媒層の厚さは1μm以上、30μm以下である。さらに好ましくは、アノード触媒層中の白金量は1.5mg/cm以上、4mg/cm以下であり、かつ、アノード触媒層の厚さは5μm以上、30μm以下により、反応抵抗Rrが低下し、出力が向上する。この理由は、アノード触媒層の厚さが薄いことによる単位面積あたりの燃料供給量増加や、生成物の排出量増加と、単位面積あたりの触媒量が多いことによる反応サイトの増加を両立できたことによるものと推測される。
アノード触媒層に含まれる電子伝導体(導電材)としては、電子伝導性と耐触性の点から、無機導電性物質が好ましく用いられ、なかでも、カーボンブラック、黒鉛質や炭素質の炭素材、あるいは金属や半金属が挙げられる。ここで、炭素材としては、電子伝導性と比表面積の大きさの点で、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラックおよびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく用いられる。
ファーネスブラックとしては、キャボット社製”バルカン”(登録商標)XC−72R、”バルカン”(登録商標)P、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000およびリーガル400、ケッチェンブラック・インターナショナル社製”ケッチェンブラック”(登録商標)EC、および三菱化学社製#3150や#3250などが挙げられる。また、アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製”デンカブラック”(登録商標)などが挙げられる。
また、カーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。これらの炭素材の形態としては、粒子状のほか、繊維状のものも用いることができ、特に限定されるものではない。また、これら炭素材を後処理加工した炭素材も用いることが可能である。このような炭素材の中でも、特に、電子伝導性の点から、キャボット社製の”バルカン”(登録商標)XC−72Rが好ましく用いられる。
アノード触媒層中の炭素材量は、少ない場合は電子抵抗が高くなり、多い場合はガス透過性を阻害したり触媒利用率が低下するなど、いずれも電極性能を低下させる可能性があるため、0.1mg/cm以上、5mg/cm以下が好ましく、より好ましくは0.5mg/cm以上、1mg/cm以下である。
アノード触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボンを用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、低コスト化に寄与することができる。ここで、アノード触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、さらに導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
アノード触媒層中の炭素材量は、アノード触媒層中の白金量と同様にして求めることができ、例えば、次のようにして確認することができる。まず、アノード触媒層の面積を測定する。次いで、MEAから電極基材を剥がし触媒層をかき取り、触媒層量を計量する。触媒層をジメチルホルムアミドなどのような極性溶媒で溶解し、遠心分離や濾過などにより溶液部分と不溶部分とに分離する。不溶部分を低沸点溶媒で溶媒置換し、乾燥した後、計量する。その後、不溶部分を原子吸光法や蛍光X線やICP発光分析法などにより分析し、不溶部分中の金属量を求め、残りが含まれるカーボン量となる。求めたカーボン量を触媒層面積で割り返してやれば、単位面積当たりのカーボン量が求まる。
アノード触媒層には、イオン伝導体を用いることができる。イオン伝導体としては、一般的に、種々の有機材料や無機材料が知られているが、燃料電池に用いる場合には、プロトン伝導性を向上するスルホン酸基、カルボン酸基あるいはリン酸基などのイオン交換基を有するポリマが好ましく用いられる。具体的には、後述する高分子固体電解質膜に使用されるカチオン交換官能基を有するポリマが好ましい。なかでも、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基を有するポリマやプロトン交換基を有し、耐熱性で耐酸化性のポリマを主骨格とする炭化水素系ポリマが好ましく用いられる。
例えば、デュポン(DuPont)社製の”ナフィオン”(”Nafion”)(登録商標)、旭化成社製の”アシプレックス”(Aciplex”)(登録商標)、および硝子社製の”フレミオン”(”Flemion”)(登録商標)などが好ましく用いられる。これらのイオン伝導体は、溶液または分散液の状態でアノード触媒層中に設けられる。この際に、ポリマを溶解あるいは分散化する溶媒は、特に限定されるものではないが、イオン伝導体の溶解性の点から極性溶媒が好ましく用いられる。
イオン伝導体は、電極性能の点から、アノード触媒層を作製する際に電極触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液(以下、これをアノード塗液と称することがある。)に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが、好ましいが、アノード触媒層を塗布した後に、イオン伝導体を塗布してもかまわない。ここで、アノード触媒層にイオン伝導体を塗布する方法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコートおよびフローコートなどが挙げられる。
アノード触媒層に含まれるイオン伝導体量は、少な過ぎるとイオン伝導度が低く、多過ぎると燃料やガス透過性を低下させ、いずれも反応抵抗Rrを増加させると考えられる。このため、イオン伝導体量は、0.1mg/cm以上、15mg/cm以下が好ましく、より好ましくは0.5mg/cm以上、5mg/cm以下であり、さらに好ましくは0.5mg/cm以上3mg/cm以下である。イオン伝導体量は、以下のようにして確認することができる。まず、触媒層の面積を測定する。次いで、MEAから電極基材を剥がし触媒層をかき取り、触媒層量を計量する。触媒層をジメチルホルムアミドなどのような極性溶媒で溶解し、遠心分離や濾過などにより溶液部分と不溶部分とに分離する。溶液部分の溶媒を除去しイオン伝導体量を測定する。イオン伝導体量を触媒層面積で割り返してやれば単位面積当たりのイオン伝導体量が求まる。
アノード触媒層は、上記の触媒、電子伝導体およびイオン伝導体などのポリマの他に、種々の物質を含んでいてもかまわない。特に、アノード触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、アノード触媒層は、上述のイオン伝導体以外のポリマを含むことが好ましい。このようなポリマとしては、フッ素原子を含むポリマが挙げられ、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)など、あるいはこれらの共重合体、これらのポリマーを構成するモノマー単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマとの共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができる。
これらポリマのアノード触媒層中の含有量は、アノード触媒層に対して重量比で1〜70重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜40%の範囲である。ポリマ含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する可能性がある。しかしながら、MEAの耐久性を向上するために、触媒層中のポリマを、全て上記のようなイオン伝導体以外のポリマで形成することもできる。
本発明において、アノード触媒層中のイオン性基量当たりの白金量は、0.5g/1ミリモル以上10.0g/1ミリモル以下が好ましく、さらに好ましくは0.5g/1ミリモル以上5.0g/1ミリモル以下である。これは、触媒層中のイオン伝導性を大きく左右し、反応抵抗Rrや出力に大きく影響することがあるからである。イオン性基量当たりの白金量は、以下のようにして求めることができる。
(1)電極触媒層の秤量
電極触媒層の重量を測定する。このとき、電極触媒層が膜電極複合体として一体化している場合は、電極触媒層を物理的に剥ぎ取る。また、電極触媒層と電極基材との間に、電極触媒を含まない導電層が形成されている場合、この断面の元素分析を行うことで電極触媒の厚さを把握し、該当する厚さ分を掻き取るなどして、電極触媒層を分離する。
(2)イオン性基量の測定
[1]重量測定した電極触媒層を1NのNaCl水溶液に浸漬し、20〜25℃の温度で24時間以上攪拌する。
[2]前記[1]の24時間以上攪拌した液を遠心分離や濾過により固形分を分離し、この上澄液の体積を量りとる。
[3]量りとった液を水酸化ナトリウム水溶液で滴定を行う。このときの滴定量が浸漬した電極触媒層に含まれるアニオン性基量(モル数)である。測定したアニオン性基量(モル数)を浸漬した電極触媒層量(重量)で割り、電極触媒重量あたりのアニオン性基モル数を求める。
[4]なお前記[2]および[3]において、1N−NaCl水溶液量や水酸化ナトリウム溶液の規定度は、適宜調節する。
(3)イオン性基当たりの白金量
[1]別途、前述の方法で触媒層中の白金量を求め、先に求めたイオン性基量で割返し、求める。
本発明においてアノード触媒層は、三次元網目構造を有することも好ましい実施態様である。これは、触媒層が立体的に繋がった三次元状の網目構造を有している状態である。
本発明において、アノード触媒層が三次元網目構造を有している場合、その孔径は0.05〜5μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmの範囲である。孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などで、表面を撮影した写真から、20個以上好ましくは100個以上の平均から求めることができ、通常は100個の平均で求める。湿式凝固法によって製造された多孔質構造のアノード触媒層は、孔径の分布が広いので、できるだけ多く、好ましくは100〜500個の孔径の平均をとることが好ましい。
アノード触媒層の三次元網目構造の空隙率は、10〜95%の範囲であることが好ましい。空隙率は、より好ましくは50〜90%の範囲である。ここで、空隙率とは、アノード触媒層全体積から触媒−ポリマ複合体の占める体積を減じたものを、アノード触媒層全体積で除した百分率(%)で表される。
三次元網目構造を有するアノード触媒層の作製には、通常、触媒層を、電極基材、プロトン交換膜、およびそれ以外の基材に塗布した後に、湿式凝固を行う。アノード触媒層を単独で空隙率を求めることが困難な場合には、電極基材、プロトン交換膜、およびそれ以外の基材の空隙率を予め求めておき、これら基材とアノード触媒層とを含む空隙率を求めた後に、アノード触媒層単独での空隙率を求めることも可能である。
三次元網目構造を有するアノード触媒層は、空隙率が大きくガス拡散性や生成水の排出が良好であり、かつ電子伝導性やプロトン伝導性も良好である。従来の多孔化では、触媒粒子径や添加ポリマーの粒子径を増大させたり、造孔剤を用いて空隙を形成するなどが行われているが、このような多孔化方式では触媒担持カーボン間やプロトン交換樹脂間の接触抵抗がアノード触媒層に比べて大きくなってしまう。それに対して、湿式凝固法による三次元網目構造では、触媒担持カーボンを含んだポリマー複合体が三次元網目状になっているので、このポリマー複合体を電子やプロトンが伝導しやすく、さらに微多孔質構造のためガス拡散性や生成水の排出も良好な構造となっており、好ましい構造である。
アノード触媒層が三次元網目構造を有している場合においても、触媒や電子伝導体、イオン伝導体に用いられる物質は、従来と同様の物質を用いることが可能である。ただし、三次元網目構造を有するアノード触媒層を作製する際には、湿式凝固法を用いることが好ましいため、この湿式凝固法に適したポリマの選択が好ましく、触媒粒子を良く分散し、かつ燃料電池内の酸化−還元雰囲気で劣化しないポリマを含むことが好ましい。このようなポリマとしては、フッ素原子を含むポリマが挙げられ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)など、あるいはこれらの共重合体、これらのポリマを構成するモノマ単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマとの共重合体(例えば、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体等)、さらには、ブレンドなども好ましく用いることができる。
これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体は、非プロトン性極性溶媒を溶解溶媒として用い、プロトン性極性溶媒などを凝固溶媒とする湿式凝固法により、三次元網目構造を有する触媒層が得られる点で、特に好ましいポリマである。
ポリマの溶媒としては、具体的には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、プロピレンカーボネート(PC)およびジメチルイミダゾリジノン(DMI)などが挙げられる。また、凝固溶媒としては、水や、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコール類などのほか、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系およびハロゲン系の種々の有機溶剤を挙げることができる。
本発明で用いられるアノード触媒層は、公知の方法で作製することができ、特に限定されるものではない。次に、アノード触媒層形成方法の具体例を下記する。アノードの触媒塗液の混練は、三本ロール、超音波、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、乾式ジェットミル、乳鉢、撹拌羽根および衛星式(自転公転型)撹拌器などで行うことができる。混練したアノード触媒塗液を、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーターおよびカーテンコーターフローコーターなどで塗布し、乾燥し、形成する。塗布方法は、塗液の粘度や固形分などに応じて適宜選択する。また、アノード触媒層塗液は、後述の電極基材と高分子固体電解質膜のいずれに塗布することも可能である。また、触媒層を単独で形成することも可能であり、ガラス基材などに塗布、乾燥後、剥離する。さらには、別に作製したアノード触媒層を、電極基材や高分子固体電解質に転写あるいは挟持させても良い。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板なども用いられる。
三次元網目構造を有するアノード触媒層は 湿式凝固法により作成することが好ましい。ここでは、アノード触媒塗液を塗布した後に、この塗布層を触媒塗液中のポリマに対する凝固溶媒と接触させて、アノード触媒塗液の凝固析出と溶媒抽出とを同時に行なうことができる。触媒塗液は、触媒が良く分散していることが重要である。湿式凝固では、三次元網目構造形成において、溶媒が非常に重要になる。凝固溶媒は、アノード触媒塗液を凝固析出しやすく、かつ塗液中の溶媒と相溶性のある溶媒が好ましい。電極基材と凝固溶媒との接触方法についても、特に限定されるものではないが、凝固溶媒に電極基材ごと浸漬する方法、塗布層のみを凝固溶媒の液面に接触させる方法、あるいは凝固溶媒を塗布層にシャワリングまたはスプレーする、などの方法を用いることができる。
このアノード触媒塗液が塗布される電極基材については、電極基材あるいは高分子固体電解質の何れにおいても、塗布した後に湿式凝固を行うことが可能である。また、電極基材や高分子電解質以外の基材(例えば、転写基材)に塗布し、その後に湿式凝固を行い、三次元網目構造を作製した後に、このアノード触媒層を電極基材や高分子固体電解質に転写あるいは挟持させても良い。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板なども用いられる。
アノード触媒層の触媒とイオン伝導体の比率は、必要とされる電極特性に応じて適宜決められるべきもので特に限定されるものではないが、触媒/イオン伝導体の重量比率で5/95〜95/5が好ましく用いられる。特に、固体高分子型燃料電池用アノード触媒層として用いる場合には、触媒/イオン伝導体の重量比率で40/60〜85/15が好ましい範囲である。
アノード触媒層には、種々の添加物を加えることもできる。添加物としては、例えば、電子伝導性向上のための炭素などの導電剤や、結着性向上のためのポリマー、三次元網目構造の孔径を制御する添加物などがあるが、特に限定されることなく用いることができる。これら添加物の添加量は、触媒−ポリマー複合体に対する重量比率として0.1〜50%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜20%の範囲である。
三次元網目構造を有するアノード触媒層の製造方法としては、湿式凝固法による方法が好ましい。ここでは、アノード触媒塗液を塗布した後に、この塗布層を触媒塗液中のポリマーに対する凝固溶媒と接触させて、アノード触媒塗液の凝固析出と溶媒抽出とを同時に行なうことができる。触媒塗液は、触媒が良く分散していることが重要である。分散状態が悪い場合には、湿式凝固の際に、三次元網目構造を形成できないことがある。
アノード触媒塗液の塗布方法については、塗液の粘度や固形分などに応じた塗布方法が選択され、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーターおよびカーテンコーターなどの塗布方法が用いられる。
また、凝固溶媒についても特に限定されるものではないが、アノード触媒塗液を凝固析出しやすく、かつ塗液中の溶媒と相溶性のある溶媒が好ましい。電極基材と凝固溶媒との接触方法としては、特に限定されるものではないが、凝固溶媒に電極基材ごと浸漬する方法、塗布層のみを凝固溶媒の液面に接触させる方法、あるいは凝固溶媒を塗布層にシャワリングあるいはスプレーする方法、などの方法を用いることができる。
アノード触媒塗液が塗布される基材は、電極基材、あるいは高分子固体電解質の何れにおいても、塗布した後に湿式凝固を行うことが可能である。また、電極基材や高分子電解質以外の基材(例えば、転写基材)にアノード触媒塗液を塗布し、その後に湿式凝固を行い、三次元網目構造を作製した後に、このアノード触媒層を電極基材や高分子固体電解質に転写あるいは挟持させても良い。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板なども用いられる。
本発明で用いられるカソード触媒層は、アノード触媒層と同様に、主に触媒、電子伝導体およびプロトン伝導体などのポリマから構成される。本発明で用いられるカソード触媒層は、特に限定されることなくアノード触媒層と同様の技術を適用することができる。
カソード触媒層は、厚すぎると空気の供給を妨げたり、生成する水の排出を妨げ、反応抵抗Rrが増加することがある。このため、カソード触媒層の厚さは70μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。カソード触媒層の厚さが薄すぎると、触媒をカソードに均一に存在させることが困難になるため、カソード触媒層の厚さは16μm以上である。
カソード触媒層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で100倍から1000倍程度で1cmあたり5カ所以上の断面を観察し、各観察点で5点以上厚さを計測しその平均値を各観察点での代表値とする。この代表値の平均値をカソード触媒層厚さとする。また、触媒層とカーボン層等の多層構造の場合は、SEMと電子線マイクロアナライザ(EPMA)を組み合わせ、触媒が存在する範囲を特定し、先と同様に厚さを求めることが出来る。
カソードに用いられる触媒としては、白金などの貴金属粒子が好適な例として挙げられる。また、電極触媒層の導電性を改善する材料を含むことが好ましく、形態は特に限定されるものではないが、例えば、導電性粒子を有することが好ましい。導電性粒子としては、カーボンブラック等が挙げられ、特に触媒を担持したカーボンブラックとして白金担持カーボンなどが好ましく用いられる。電極触媒層は、触媒、電子伝導体(例えば、カーボンブラック)およびイオン伝導体(例えば、プロトン交換樹脂)が互いに接触して、電極活物質と反応生成物が効率よく出入りする構造のものが求められる。イオン伝導性を改善したり、材料の結着性を向上させたり、あるいは撥水性を高めたりする上で、高分子化合物が有効である。したがって、電極触媒層に、少なくとも触媒粒子と導電性粒子と高分子化合物を含むことが好ましい。
カソードの電極触媒層に含まれる触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金および鉄などの金属触媒が好ましく用いられる。また、触媒は、これらの貴金属触媒の合金や混合物など、2種以上の元素が含まれているものでも構わない。例えば、白金とルテニウ、白金と鉄などの組み合わせが好ましく用いられる。上記触媒は、表面積を大きくしたり、塗液調整を容易にするために、カーボンブラックなどの電子伝導体表面に担持されていても良い。
このような触媒としては、ジョンソンマッセイ(JohnsonMatthey)社製”HiSPEC”1000、”HiSPEC”2000、”HiSPEC”3000、”HiSPEC”4000、”HiSPEC”5000,”HiSPEC”6000、”HiSPEC”7000、”HiSPEC”8000、”HiSPEC”9000など(上記の”HiSPEC”は登録商標)、石福金属興業社製IFPC40−A、IFPC40A−II、IFPC40A−III、IFPC30−A、IFPC30A−II、IFPC30A−IIIなど、田中貴金属工業社製TEC61V33、TEC61E54、TEC10V20E、TEC10V22E、TEC10V30E、TEC10V40E、TEC10V50Eなどの白金を含む触媒が好ましく用いられ、これらを組み合わせて使用することもできる。例えば、”HiSPEC”6000と”HiSPEC”7000の組み合わせ、”HiSPEC”6000とIFPC40A−IIの組み合わせ、”HISPEC”1000と”HiSPEC”8000の組み合わせ、あるいは”HiSPEC”1000とTEC10V50Eという組み合わせ、”HiSPEC”6000と”HiSPEC”10000(上記の”HiSPEC”は登録商標)の組み合わせのように、金属粒子のみの触媒と電子伝導体表面表面に担持された触媒との組み合わせは、触媒層を薄くすることができ、かつ、塗液粘度の調整が容易である。
また、カソード触媒層中に、白金を含むことが必要である。白金量は0.1mg/cm以上であることが必要である。より好ましくは0.5mg/cmであり、さらに好ましくは1mg/cm以上であり、さらに好ましくは3mg/cm以上である。一方、白金は、高価な触媒であるため多すぎるとコストが高くなりすぎるため、白金量は25mg/cm以下が必要である。より好ましくは8mg/cm以下であり、さらに好ましくは5mg/cm以下である。
カソード触媒層中の白金量は、アノード触媒層と同様にして確認することができる。例えば、以下のようにして確認することができる。まず、触媒層の面積を測定する。次いで、MEAから電極基材を剥がし触媒層をかき取り、触媒層量を計量する。触媒層をジメチルホルムアミドなどのような極性溶媒で溶解し、遠心分離や濾過などにより溶液部分と不溶部分とに分離する。不溶部分を低沸点溶媒で溶媒置換し、乾燥した後、計量する。その後、不溶部分を原子吸光法や蛍光X線やICP発光分析法などにより分析し、触媒層中の全白金量を求める。この全白金量を触媒層面積で割り返してやれば、単位面積当たりの白金量が求まる。また、掻き取った触媒層をそのまま蛍光X線やICP発光分析法などで分析することにより求めることもできる。
本発明のカソード触媒層において、厚さ1μm当たりの白金量は、0.15mg/cm以上であることが必要である。1μm当たりの白金量がこれより少ないと、白金の密度が少ないため、反応抵抗Rrが大きくなる可能性がある。
本発明で用いられるカソード触媒層においては、白金量が1mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつ、カソード触媒層の厚さが1μm以上、40μm以下であることが好ましい。また、カソード触媒層の白金量が3mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつ、カソード触媒層の厚さが5μm以上、30μm以下であることが好ましい。このようにカード触媒層厚さが薄く、かつ、白金量を多くすることにより、反応抵抗Rrが低下し、出力を向上させることかできる。この理由は、厚さが薄いことによる単位面積あたりの燃料供給量増加や、生成物の排出量増加と、単位面積あたりの触媒量が多いことによる反応サイトの増加を両立できたことによるものと考えられる。
本発明で用いられるカソード触媒層の担体は、アノード触媒層と同様の材料を使用することができる。中でも、カーボンブラック、黒鉛質や炭素質の炭素材が好ましく用いられる。
本発明において、カソード触媒層は、炭素材を0.1mg/cm以上、5mg/cm以下の範囲で含むことが好ましく、炭素材量はより好ましくは0.5mg/cm以上、3mg/cm以下である。炭素材量が少ない場合は、電子抵抗が高くなり、多い場合はガス透過性を阻害したり触媒利用率が低下するなど、いずれも電極性能を低下させる。アノード触媒層中の炭素材量は、アノード触媒層中の白金量と同様にして求めることができる。
本発明で用いられるカソード触媒層に用いられるイオン伝導体は、アノード触媒層と同様のものを用いることができる。本発明においてカソード触媒層に用いられるイオン伝導体の量は、0.1mg/cm以上15mg/cm以下が好ましく、より好ましくは0.5mg/cm以上5mg/cm以下であり、さらに好ましくは0.5mg/cm以上3mg/cm以下である。これは、イオンく用いられる伝導体の量が少な過ぎるとイオン伝導度が低く、多過ぎると燃料やガス透過性を低下させいずれもRrを増加させると推定されるためである。イオン伝導体の量は、アノード触媒層と同様にして確認することができる。
本発明で用いられるカソード触媒層には、アノードと同様の種々の物質を含んでいてもかまわない。
本発明で用いられるカソード触媒層の触媒とイオン伝導体の比率は、必要とされる電極特性に応じて適宜決められるが、触媒/イオン伝導体の重量比率で5/95〜95/5の範囲が好ましく用いられる。特に、固体高分子型燃料電池用アノード触媒層として用いる場合には、触媒/イオン伝導体の重量比率で40/60〜85/15の範囲が好ましく用いられる。
本発明で用いられるカソード触媒層中のイオン性基量当たりの白金量は、0.5g/1ミリモルから10.0g/1ミリモル以下が好ましく、さらに好ましくは0.5g/1ミリモルから5.0g/1ミリモル以下である。これは、触媒層中のイオン伝導性を大きく左右し、反応抵抗Rrや出力に大きく影響するからである。イオン性基量当たりの白金量は、アノード触媒層と同様にして求めることができる。
本発明で用いられるカソード触媒層は、アノード同様の方法で作製することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池においては、電極基材は特に限定されることなく公知のものを用いることが可能である。
本発明に用いられる電極基材は、電気抵抗が低く、集(給)電を行い得るものが好ましい。電極基材の構成材としては、例えば、導電性無機物質を主とするものが挙げられ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデンおよびチタンなどが例示される。
電極基材の導電性無機物質の形態は、例えば、繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。例えば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、および米国イーテック(E−TEK)社製カーボンクロスなどが用いられる。
織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織および綴織組織の布帛などが、特に限定されることなく用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法およびメルトブロー法による布帛など、特に限定されることなく用いられる。また、電極基材は、編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた布帛としては、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、および耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布など、が好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から、不織布が好ましく用いられる。
電極基材に炭素繊維からなる無機導電性繊維を用いた場合、好適に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維およびレーヨン系炭素繊維などが例示される。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。その理由は、一般的に、PAN系炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維にくらべて圧縮強さや引張破断伸度が大きく、折れにくいからである。折れにくい炭素繊維を得るためには、炭素繊維の炭化温度を2,500℃以下とすることが好ましく、より好ましい炭化温度は2,000℃以下である。
本発明において、固体高分子型燃料電池に用いられる電極基材に、水の滞留によるガス拡散性と透過性の低下を防ぐために撥水処理を行うこと、水の排出路を形成するために部分的撥水処理や親水処理を行うこと、あるいは抵抗を下げるために炭素粉末の添加等を行うことは、好ましい態様である。
本発明の固体高分子型燃料電池がサイドバイサイド構造を有している場合、水素やメタノール水溶液などの燃料や、空気の流入や、水や二酸化炭素などの生成物の排出を促進するために、拡散層を設けることも好ましい態様である。このような拡散層は、前述の電極基材もその役割を持つが、非導電性布帛を拡散層として用いることができる。ここで、非導電性布帛の構成材としては、例えば、非導電性繊維であれば、特に限定されることなく用いられる。
拡散層の非導電性布帛を構成する非導電性繊維としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、塩素化ポリエチレン、耐炎化ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどが使用可能である。これらの非導電性繊維の中でも、電極反応時の耐食性などの点から、PTFE、FEP、PFA、ETFE、PVDF、PVFおよびCTFEなどのフッ素原子含有ポリマからなる繊維が好ましく用いられる。
拡散層の非導電性布帛としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織および綴織組織の布帛など、特に限定されることなく用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法およびメルトブロー法などにより得られる布帛が、特に限定されることなく用いられる。また、非導電性布帛は、編物であっても構わない。これらの布帛において、特に平織物、ニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布、抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に多孔質で薄く強度のある布帛が得られる点から、不織布が好ましく用いられる。
拡散層の非導電性布帛は、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐための撥水処理や、水の排出路を形成するための部分的撥水あるいは親水処理等を行うことも好ましい態様である。さらには、熱処理、延伸およびプレスなどの後処理を行うことも好ましい実施態様である。これらの後処理により、薄膜化、空隙率増加および強度増加などの効果が期待できる。
本発明のMEAにおいては、電極基材と触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマーを含む導電性中間層を設けることができる。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
本発明で用いられる高分子固体電解質膜(以下、電解質膜と略す場合もある。)は、通常の燃料電池に用いられる電解質であれば特に限定されるものではないが、カチオン交換官能基を有するポリマが好ましく用いられる。このような官能基としては、例えば、プロトン伝導性の点からスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基およびホスホン酸基等が挙げられる。また、ポリマとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)などの含フッ素樹脂、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィドスルフォン(PPSS)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリベンゾイミダゾール(PBI)などの耐熱性と耐酸化性のポリマを主骨格とするものが挙げられる。上記プロトン伝導体としては、PTFE主鎖とポリパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸を側鎖を有すDuPont社製”Nafion”(登録商標)、旭化成製”Aciplex”(登録商標)、および硝子製”Flemion”(登録商標)などのプロトン交換膜も特に好ましく用いられる。
上記のように高分子固体電解質膜は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体や耐熱性のエンジニアリングプラスチックなどにスルホン酸基などのアニオン性基を有する炭化水素系膜と、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成される共重合体のパーフルオロ系膜に大別され、これらは、燃料電池が用いられる用途や環境に応じて適宜選択されるべきものである。
本発明で用いられる高分子固体電解質膜としては、含まれる不凍水量が、特定に範囲に入る高分子固体電解質膜が好適である。ここでは、高分子固体電解質膜中に存在する水分を、0℃以上で融点が観測されるバルク水、0℃未満、−30℃以上で融点が観測される低融点水、および−30℃以上では融点が観測されない不凍水に分類し、それら各水の割合、特に、不凍水の割合を、下記式(1)に示す範囲に制御することによって、電気浸透水量を規定するものである。
(不凍水量率)=[(不凍水量)/(低融点水量+不凍水量)]×100(%)
・・・・・(1)
高分子固体電解質膜は、架橋型と非架橋型に分類されるが、架橋型の高分子固体電解質膜においては、前記数式1で表される不凍水量率が、20重量%以上100重量%以下であることが重要であり、不凍水量率はより好ましくは30重量%以上99.9重量%以下であり、さらに好ましくは40重量%以上、99.9重量%以下である。また、非架橋型の高分子固体電解質膜においては、前記した数式1で表される不凍水量率が60重量%以上100重量%以下であることが重要であり、不凍水量率はより好ましくは70重量%以上99.9重量%以下であり、さらに好ましくは80重量%以上99.9重量%以下である。また、上述の不凍水量および低融点水量は、後述する方法によって測定される値である。
さらに、高分子固体電解質膜は、下記の式(2)で表される不凍水含有率についても、特定の範囲に入ることが好ましい。
(不凍水含有率)=[(高分子固体電解質膜中の不凍水量)/(高分子固体電解質膜の乾燥重量)]]×100(%) ・・・・・(2)
ここでも、架橋型のの高分子固体電解質膜場合には、上記の式(2)で表される不凍水含有率が5%以上、200%以下であることが好ましく、非架橋型の高分子固体電解質膜の場合には、20%以上、200%以下であることが好ましい。
高分子固体電解質膜中の不凍水量および不凍水含有率は、株式会社東レリサーチセンターで開発された示差走査熱量分析(DSC)法によって求められる。
本発明において、高分子固体電解質膜に用いられるポリマの種類は、上述の特性や要件を満足するものとして、イオン性基を有し、耐加水分解性に優れる炭化水素系高分子電解質が特に好ましい。
このような特性を有する非架橋型炭高分子固体電解質膜の具体例を挙げれば、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレン、イオン性基含有ポリスルフォン、およびオン性基含有ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのイオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマ等が挙げられる。
ここで、イオン性基は、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、およびカルボン酸基等が挙げられる。
また、架橋型高分子固体電解質膜としては、ビニル単量体を主とする架橋構造体が好ましく用いられる。ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリルなどのアクリル系単量体、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、N−フェニルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、およびH,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどの含フッ素単量体等が挙げられる。また、複数個のビニル基を有する単量体としては、ジビニルベンゼンなどの芳香族多官能単量体類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノール(メタ)フルオレンジアクリレートなどの多価アルコールのジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−(メタ)アクリレート類等が挙げられる。特に、上記ビニル単量体を共重合することでさらに好ましい高分子固体電解質膜とすることができる。
本発明の高分子固体電解質膜を構成するポリマは、ポリマ分子鎖が拘束されていることも好ましい。その方法は特に限定されるものではなく、プロトン伝導性を有するポリマと、耐水性と溶剤性に優れるポリマとを複数種混合することにより拘束効果が発現される。特に、混合に際しては、それぞれのポリマ、具体的にはプロトン伝導性を有するポリマと、耐水性と溶剤性に優れるポリマとが相溶していることが重要である。また、単に混合するだけでなく、架橋や内部貫入高分子網目などによる方法によっても拘束効果が得られる。
本発明で用いられる高分子固体電解質膜としては、上記に述べた炭化水素系高分子固体電解質膜に無機材料を添加した電解質膜、あるいは無機材料のみからなる電解質膜も好ましい態様である。これら無機材料としては、アルミナ、シリカ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、セリアなどの金属酸化物、およびフラレノールなどの炭素材料などが挙げられる。
また、高分子固体電解質膜には、多孔基材を使用していても良い。多孔基材は、三次元的な網目構造や、膜の表面から裏面に対して孔が独立して存在する貫通孔構造を有することが好ましい。
本発明で用いられる高分子固体電解質膜は、燃料メタノールの透過をさらに低減するために、金属薄膜を高分子固体電解質に被覆することも好ましい態様である。このような金属薄膜の例としては、パラジウム、白金および銀などが挙げられる。
本発明のMEAの作製方法は公知の方法が適用できるが、ホットプレスにより一体化することが好ましい。その温度や圧力は、高分子固体電解質膜の厚さ、空隙率、触媒層や電極基材により適宜選択することができる。通常、温度は室温〜180℃であり、圧力は10kgf/cm〜150kgf/cmであることが好ましい。
本発明の固体高分子型燃料電池は、反応抵抗Rrが、次式
−2≦logRr<1
を満足することが好ましい。また、反応抵抗Rrは、より好ましくは次式
−1.5≦logRr≦0.5
を満足するものであり、さらに好ましくは、次式
−1≦logRr≦0.3
を満足するものである。
本発明の固体高分子型燃料電池は、燃料や二酸化炭素の排出や燃料の供給効率がよくなり、水の排出や空気の供給効率が向上し、logRrを1未満とすることができ、高い出力が得られる。
本発明の固体高分子型燃料電池の反応抵抗Rrは、MEAの反応抵抗Rrと同様に、交流インピーダンス法により測定することができる。固体高分子型燃料電池は、電池部と補機とから構成される。ここでいう電池部は、前述のMEAが複数個配列されて集電端を有するものであり、実際の発電を担う部分である。また補機は、電池部への燃料供給や生成物の除去や回収を行うポンプやブロアなどの部分、燃料濃度や流量を制御する部分、あるいは電池部や電池全体の運転状態を制御する部分、機器に供給する電流や電圧を制御する部分などからなる。
このとき、固体高分子型燃料電池の温度は、電池部の温度であり、MEAあるいはそれをスタックした部分に熱伝対などを接続し測定し、電池部雰囲気を空調することで温度制御を行う。固体高分子型燃料電池の反応抵抗Rrは、電池部の集電端固体高分子型燃料電池中のMEAの端部(MEAが複数配列スタックされている場合はその端部)にて測定する。補器や昇圧器を使用している場合は、それを除いたMEAのみで測定を行う。また、固体高分子型燃料電池の反応抵抗Rrは、MEAの面積を用い、単位面積当たりの抵抗とする。
本発明の固体固体高分子型燃料電池は、反応抵抗Rrを−2≦logRr<1にするために、本発明のMEAを使用することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池は、前述のように補機として燃料供給や反応物質の除去のためにポンプやブロアを有する場合もあるが、このようなポンプやブロアなどを有しない主にMEAと反応物質の供給部からなる。反応物質の供給は、ポンプやファンなどで強制供給するシステムや自然拡散による燃料供給や生成物排出システムのいずれも使用することができる。また、本発明の固体高分子型燃料電池においては、前述のように補機として、電圧を昇圧するシステムを有することも好ましい態様であり、さらには、燃料濃度の監視や調整システム、発生する水の回収システムを有することも可能である。
本発明の固体高分子型燃料電池には、MEAを複数個用いることが好ましく、それらをスタックあるいは平面状に並べても良い。固体高分子型燃料電池を小型化する場合には、MEAを平面状に並べる方法が好ましい。平面上に配置した場合、セパレーターや、補機を不要とすることも可能となる。
本発明の固体高分子型燃料電池は、水素を燃料とするものや、メタノールやジメチルエーテルなどの有機溶媒を燃料とするいずれのものにも適用できるが、メタノール水溶液を燃料とするDMFCに特に好ましく用いられる。
さらに、本発明の固体高分子型燃料電池の好ましい用途としては、移動体の電力供給源を挙げることができる。特に、携帯電話、パソコン、PDAなどの携帯機器、掃除機等の家電、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
参考例1
(1)アノードとカソードの作製
炭素繊維の織物からなる米国イーテック(E−TEK)社製カーボンクロスに、20%PTFE処理を行った。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと略す)を20重量%を含む水分散液にカーボンクロスを浸漬、引き上げ後、乾燥、焼成した。その片面にPTFEを20重量%含むカーボンブラック分散液を塗工し、焼成して電極基材を作製した。この電極基材上に、ジョンソンマッセイ(Johson&Matthey)社製Pt−Ru担持カーボン触媒”HiSPEC”(登録商標)7000と”HiSPEC”(登録商標)6000、デュポン(DuPont)社製20%”ナフィオン”(”Nafion”)(登録商標)溶液とn−プロパノールからなるアノード触媒塗液を塗工し、乾燥してアノード触媒層を作製した。アノード触媒塗液の塗工はカーボンブラック分散液を塗工した面に行った。また、同様に、上記の電極基材上に、田中貴金属工業社製Pt担持カーボン触媒TEC10V50Eと”ナフィオン”(”Nafion”)(登録商標)溶液からなるカソード触媒塗液を塗工し、乾燥してカソード触媒層を作製した。
(2)膜電極複合体(MEA)の作製および評価
DuPont社製”Nafion”(登録商標)117を高分子固体電解質膜として、それを前記工程(1)で作製したアノードとカソードで夾持し、100℃の温度で30分間加熱プレスして、電極面積が5cmとなる膜−電極複合体(MEA)を作製した。このMEAを、セパレーター(図2参照、流路1mm角、集電体幅1mm)に挟み、アノード側に3%メタノール(MeOH)水溶液を0.2ml/minで供給し、カソード側に空気を50ml/minで流して、MEA評価を行った。また、セパレーターの裏側に温調水を流し、20℃に調整した。評価は、MEAに定電流を流し、そのときの電圧を測定した。電流を順次増加させ、電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となる。反応抵抗Rr(Ω・cm)は、前記評価が終了した後、インピーダンス法により測定した。測定条件は、最高出力の電流値を印加し、振幅を前記電流値の1/10とした。具体的には、40mA/cmの定電流を印可し、振幅を4mA/cmとした。
作製したMEAにおけるアノード触媒層およびカソード触媒層の厚さを走査型電子顕微鏡と電子線マイクロアナライザで断面を観察し、測定した。測定は100倍から1000倍程度で1cmあたり5カ所以上の断面を観察し、各観察点で5点以上厚さを計測し、その平均値を膜厚とした。また、アノード触媒層とカソード触媒層中の白金量、カーボン量およびイオン伝導体量の測定のため、まず、触媒層の面積を測定した。次いで、MEAから電極基材を剥がし触媒層をかき取り、触媒層量を計量した。この触媒層を蛍光X線を用い、全白金量を測定した。触媒層をDMAcで溶解し、遠心分離により溶液部分と不溶部分とに分離した。溶液部分の溶媒を除去し重量計量し、これをイオン伝導体量とした。イオン伝導体量を触媒層面積で割り返し、単位面積当たりのイオン伝導体量を求めた。一方、不溶部分をアセトンで溶媒置換し、乾燥した後、計量した。
その後、ICP発光分析法により分析し、触媒層中の全白金量を求めた。この全白金量を触媒層面積で割り返してやり、単位面積当たりの白金量を求めた。蛍光X線で測定した白金量とICP発光分析法で求めた白金量は良い一致が見られた。また、カーボン量は、不溶部分の重量からICP発光分析により求めた金属量を差し引き、求めた。このカーボン量を触媒層面積で割り返し、単位面積あたりのカーボン量とした。得られたMEAの反応抵抗Rr、最高出力およびアノード触媒層とカソード触媒層の厚み、白金量、カーボン量、およびイオン伝導体量などを、表1−1と表2−1にまとめた。
(比較例1)
参考例1において、アノード”HiSPEC”(登録商標)7000を使用せず、PTFE溶液をアノード触媒塗液に添加し、アノード触媒層中の白金量を7.6mg/cmにした。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を表2−1に示す条件に変更した。それ以外は、参考例1と同様にして膜電極複合体を作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果を、表1−1と表2−1に示す。
(比較例2)
参考例1において、アノード”HiSPEC”(登録商標)6000を使用せず、アノード触媒層中の白金量を0.4mg/cmにした。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。それ以外は、参考例1と同様にして膜電極複合体を作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果を、表1−1と表2−1に示す。
(比較例3)
参考例1において、アノード”HiSPEC”(登録商標)6000を使用せず、アノード触媒層中の白金量を4.4mg/cmにした。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さおよびイオン伝導体量を、表2−1に示す条件に変更した。それ以外は、参考例1と同様にして膜電極複合体を作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果を、表1−1と表2−1に示す。
(比較例4)
参考例1において、アノード塗液に”HiSPEC”(登録商標)7000を使用せず、キャボット社製”バルカンXC”(登録商標)−72Rを添加し、白金量を2.5mg/cmにした。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。それ以外は、参考例1と同様にして膜電極複合体を作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果を、表1−1と表2−1に示す。
参考例2
参考例1において、アノードとカソードに使用したカーボンクロスに代えて、20%PTFE水処理を行った東レ(株)製カーボンペーパーTGPH−030を使用した。また、ジョンソンマッセイ社製Pt−Ru担持カーボン触媒”HiSPEC”(登録商標)7000の代わりに、ジョンソンマッセイ社製Pt−Ru担持カーボン触媒”HiSPEC”(登録商標)10000を使用した。アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を表1に示す条件に変更した。カソードにおいて、TEC10V50Eの代わりに、ジョンソンマッセイ社製Pt担持カーボン触媒”HiSPEC”(登録商標)8000を使用し、カーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、参考例1と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
[実施例
参考例2において、アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表1−1に示す条件に変更した。また、TEC10V50Eに加え、”HiSPEC”(登録商標)1000を使用した。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、参考例2と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
[実施例
実施例において、アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表1−1に示す条件に変更した。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、実施例と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
[実施例
実施例において、アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表1−1に示す条件に変更した。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、実施例と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
[実施例
実施例において、アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表1−1に示す条件に変更した。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、実施例と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
[実施例
実施例において、アノード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表1−1に示す条件に変更した。また、カソード触媒層のカーボン量、白金量、厚さ、イオン伝導体量およびイオン性基量に対する白金量の比を、表2−1に示す条件に変更した。これ以外は、実施例と同様にしてMEAを作製し、評価した。得られた膜電極複合体の評価結果をその他のデータと共に、表1−1と表2−1に示す。
Figure 0004904812
Figure 0004904812
[実施例
実施例において、セパレーターの流路幅を2mmに変更し、カソードの空気流量を150ml/minに変えたこと以外は、実施例と同様に評価した。結果を、表1−2と表2−2に示す。
[実施例
実施例において、メタノールの濃度を10重量%に変えたこと以外は、実施例と同様に評価した。結果を、表1−2と表2−2に示す。
[実施例
実施例において、メタノールの濃度を30重量%に変えたこと以外は、実施例と同様に評価した。結果を、表1−2と表2−2に示す。
[実施例
実施例において、アノード、電解質膜およびMEAの作製条件を、下記のように変更したこと以外は、実施例と同様に評価した。結果を、表1−2と表2−2に示す。
(1)アノードの作製
(フルオレニルポリエーテルエーテルケトンの合成)
炭酸カリウム35g、ヒドロキノン14g、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール38g、および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン55gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、175℃の温度で重合を行った。重合後、水洗し、多量のメタノールで再沈させて精製を行い、フルオレニルポリエーテルエーテルケトン(以下、FKと略す)を定量的に得た。そのFKの重量平均分子量は、10万であった。
(FKのスルホン化)
室温で、N雰囲気下で、上記で得られた重合体(FK)12gをクロロホルムに溶解させた後、激しく撹拌しながらクロロスルホン酸17mLをゆっくり滴下し、15分間反応させた。白色沈殿を濾別し、粉砕し、水で十分洗浄した後、乾燥し、目的のスルホン化されたFK(以下、SFKと略す)を得た。得られたSFKは、スルホン酸基密度2.5mmol/gであった。
(アノードの作製)
実施例において、”ナフィオン”(登録商標)の代わりに、上記で作製したSFKのN,N−ジメチルアセトアミド溶液を用いたこと以外は、実施例と同様にしてアノードを作製した。
(2)高分子固体電解質膜の作製
上記(1)で得られたSFKを、N,N−ジメチルアセトアミド溶液としてガラス基板上に流延塗布し、100℃の温度で3時間乾燥し、溶媒を除去して、製膜した。得られた膜は、膜厚220μmであり、無色透明の柔軟な膜であった。
(3)MEAの作製および評価
上記(2)で得られた高分子固体電解質膜と、上記(1)で作製したアノードを用い、ホットプレス時間を10分にしたこと以外は、実施例と同様にして、MEAを作製した。
[実施例10
実施例において、アノードを作製する際にSFKの代わりに、ポリフッ化ビニリデンを用いたこと以外は、実施例と同様にしてMEAを作製し、評価した。結果を、表1−2と表2−2に示す。
Figure 0004904812
Figure 0004904812
[実施例11
実施例1からにおいて、DuPont社製”Nafion”(登録商標)117の代わりに実施例(2)で作製した高分子固体電解質膜を使用する以外は各実施例同様にMEAを作製し、評価した。いずれのMEAにおいても各実施例と同様のMEA性能が得られた。
[実施例12
実施例10で作製したMEAを用いて、図4に示す固体高分子型燃料電池を作製した。カソード集電対の開口率50%とした。アノード集電体は流路幅1mm深さ2mmとし、流路の間隔は2mmとした。メタノール水溶液タンクを上部に配した。カソードへの空気とアノードへのメタノール水溶液の供給は、自然供給方式とした。メタノール水溶液は、タンクからMEAの下部に供給され、MEAに接した複数の流路を通り、タンクに戻る流れとした。この固体高分子型燃料電池の特性を、表3に示す。なお、測定雰囲気の温度を調整し、電池部分の温度(集電体に熱電対を接続し温度を測定)が20℃になるようにした。
[実施例13
実施例10で作製したMEAを用いて、図5に示す固体高分子型燃料電池を作製した。アノード集電体は流路幅1mm深さ1mmとし、流路の間隔は1mmとした。また、カソード集電体の流路を図6に示す。カソードへの空気の供給は小型のファン(流量:100ml/min)を使用した。アノードへのメタノール水溶液の供給は小型のポンプ(流量:0.5ml/min)を使用した。この固体高分子型燃料電池の特性を、表3に示す。なお、測定雰囲気の温度を調製し、電池部分の温度(集電体に熱電対を接続し温度を測定)が20℃になるようにした。
Figure 0004904812
本発明の高出力を達成できる新規な膜電極複合体は、固体高分子型燃料電池に適用される。これにより、固体高分子型燃料電池の小型化を図ることができ、携帯電話やノート型パソコン等の移動型電化製品をはじめ、種々の電化製品の電源として使用することが出来るようになり、その実用性は高い。
また、本発明の固体高分子型燃料電池は、水素を燃料とするものやメタノール、ジメチルエーテルなどの有機溶媒を燃料とするいずれのものにも適用することができ、また、各種の移動体の電力供給源として好適であり、産業上有用である。

Claims (14)

  1. 少なくとも、電極触媒層と、電極基材からなるアノードおよびカソードと、該アノードと該カソードに挟持された高分子固体電解質膜とからなる膜電極複合体において、20℃における反応抵抗をRr(Ω・cm)としたときに、次式
    −2≦logRr<1
    を満足し、アノード触媒層の厚さが10μm以上、25μm以下であり、アノード触媒層中の白金量が0.1mg/cm以上、25mg/cm以下であり、アノード触媒層の厚さ1μm当たりの白金量は0.07mg/cm以上であり、カソード触媒層の厚さが16μm以上、70μm以下であり、カソード触媒層の白金量が0.1mg/cm以上、25mg/cm以下であり、カソード触媒層の厚さ1μm当たりの白金量は0.15mg/cm以上であることを特徴とする膜電極複合体。
  2. 高分子固体電解質膜が炭化水素系高分子固体電解質膜であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  3. アノードに供給する燃料に、8重量%から50重量%の範囲のメタノール水溶液を用いることを特徴とする請求項1または2記載の膜電極複合体。
  4. 20℃における反応抵抗Rrが、次式
    −1.5≦logRr≦0.5
    を満足することを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  5. 20℃における反応抵抗Rrが、次式
    −1≦logRr≦0.3
    を満足することを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  6. アノード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、5mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  7. アノード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、1mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  8. アノード触媒層中のイオン伝導体量が0.1mg/cm以上、15mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  9. アノード触媒層中の白金量が0.5mg/cm以上、5mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  10. アノード触媒層中の白金量が1.5mg/cm以上、4mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  11. カソード触媒層中の炭素材量が0.1mg/cm以上、5mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  12. カソード触媒層中のイオン伝導体量が0.1mg/cm以上、15mg/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  13. カソード触媒層中の白金量が1mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつカソード触媒層の厚さが16μm以上、40μm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
  14. カソード触媒層中の白金量が3mg/cm以上、8mg/cm以下であり、かつカソード触媒層の厚さが16μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求項1記載の膜電極複合体。
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