JP2001283878A - 導電シートおよび該シートを用いた燃料電池用電極 - Google Patents

導電シートおよび該シートを用いた燃料電池用電極

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JP2001283878A
JP2001283878A JP2000093982A JP2000093982A JP2001283878A JP 2001283878 A JP2001283878 A JP 2001283878A JP 2000093982 A JP2000093982 A JP 2000093982A JP 2000093982 A JP2000093982 A JP 2000093982A JP 2001283878 A JP2001283878 A JP 2001283878A
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electrode
fibrous
conductive
conductive material
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Masayuki Kidai
聖幸 希代
Takeji Nakae
武次 中江
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維状導電性物質を構成材とする導電シート
において、ガス透過性を向上させる場合に、機械的強度
が低下や加圧による厚み変化が起こる。 【解決手段】 繊維状導電性物質を主たる構成材とする
多孔質構造のシート状物であって、該繊維状導電性物質
が異なった繊維長を組み合わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の透過性と導
電性が要求される用途、例えば電極基材用途に用いられ
る。なかでも固体高分子型燃料電池電極基材として集
(給)電体に用いられる多孔質構造導電性シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、低排出物、高エネルギー効
率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近
年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びてい
る。従来の大規模発電施設に比べ比較的小規模の分散型
発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、
将来的にも期待されている発電装置である。
【0003】燃料電池には、用いられる電解質の種類に
より、固体高分子型、リン酸型、固体酸化物型、溶融炭
酸塩型、アルカリ型などの種類がある。なかでも固体高
分子型燃料電池は、他の燃料電池に比べて、運転温度が
低温で起動時間が短く、高出力が得やすい、小型軽量化
が見込める、振動に強いなどの特徴を有し移動体の電力
供給源に適している。
【0004】燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノ
ードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオ
ン伝導体となる電解質とがそれぞれの間でセパレータに
挟まれたセルをユニットとして構成されている。電極
は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(集電
体とも云う)と、実際に電気化学反応場となる電極触媒
層とから構成されている。たとえば固体高分子型燃料電
池のアノード電極では、燃料ガスが触媒表面で反応して
プロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロ
トンは電解質のプロトン交換膜へと伝導する。このた
め、アノード電極には、ガス拡散性、電子伝導性、イオ
ン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電
極では、酸化ガスが電極触媒層表面で、電解質から伝導
してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子と
が反応して水を生成する。このため、ガス拡散性、電子
伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく
排出することも必要となる。
【0005】このような点から、電極基材(集電体)に
は導電性を有しガス透過性の良好な多孔質導電シートが
用いられてきた。たとえば、特開平6−20710号公
報、特開平7−326362号公報、あるいは、特開平
7−220735号公報のものが提案されている。これ
らに開示された集電体は、短い長さの炭素繊維が炭素で
結着されてなる多孔質炭素板からなる。特にガス透過性
を良好にするために、嵩密度が小さく、空隙率の大きい
多孔質構造となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の多孔質導電シー
トは、ガス透過性を向上させるために多孔質構造となっ
ていることから、圧縮強度などのシートの機械的強度が
乏しい。また、加圧に伴い厚みが減少するため、この導
電シートを用いた電極を積層する際にも厚み変化が大き
くなり、生産性の低下をきたしていた。さらに、この導
電シートを電極基材とし、この基材上に電極触媒層を塗
布して電極を製造する際に、導電シート表面が多孔質で
あるために、電極触媒層塗液が浸み込むことによる電極
性能低下が起こる。一方、導電シートにとって最も重要
な電気抵抗においても、ガス透過性を良好にするために
空隙率を増すと、電気抵抗が低下するというトレードオ
フの関係があるため、両者を満足させることは困難であ
った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明において、上記課
題を解決するため下記構成を有する。
【0008】すなわち、本発明の導電シートは、繊維状
導電性物質を主たる構成材とする多孔質構造のシート状
物であって、該繊維状導電性物質が異なった繊維長の組
み合わせであることを特徴とする。
【0009】また、本発明の導電シートは、電極および
膜−電極複合体に適用されるほか、通常の電気化学装
置、特に固体高分子型燃料電池にも適用され、この燃料
電池を用いた移動体や自動車にも適用されるものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0011】本発明の導電シートは、シートを構成する
繊維状導電性物質が、異なった繊維長の組み合わせであ
ること特徴とするものである。本発明においては、繊維
状導電性物質を構成材とする導電シートは、従来のよう
に繊維長の同じ導電性物質を用いず、異なった繊維長の
導電性物質を組み合わせることで、シートの嵩密度が増
し、さらに空隙率が低下するという効果が発現できる。
【0012】後述のように、導電シートが不織構造を有
している場合、特に抄紙体においては、数ミリから数セ
ンチに裁断された短繊維の繊維状導電性物質を細かい網
の上に抄造することで作成される。ここで用いられる裁
断された短繊維の繊維状導電性物質は、これまでは均一
に揃った繊維長であった。この均一な繊維長の短繊維の
繊維状導電性物質を用いると、密度が低く嵩高い多孔性
に富み、空隙率を大きくできるが、反面その一方で、密
度が低いために脆く、種々の機械的強度の低下、加圧に
伴う厚み減少、電極触媒層塗液の浸み込みなどの課題が
生じていた。そこで本発明のように、繊維長の異なる導
電性物質を混合することで、ガス透過性を維持しながら
上記の課題克服が可能となる。
【0013】本発明に用いられる繊維状導電性物質の繊
維長に関して、異なった繊維長の組み合わせは特に限定
されるものではない。最も単純で分かり易い例は、長い
方の繊維状導電性物質と短い方の繊維状導電性物質が、
それぞれ、長さが1種類のみの場合である。より少し複
雑な例では、さらにその他の繊維状導電性物質が若干含
まれる場合である。更に複雑な例では、長い方および/
または短い方の繊維状導電性物質が複数種類の繊維長を
有する場合である。本発明の導電シートは、一般的には
数ミリから数センチに裁断された短繊維の繊維状導電性
物質から構成されるが、本発明においては、長い方の繊
維状導電性物質の繊維長は短い方の繊維状導電性物質の
繊維長の2倍以上であることが好ましい。つまり、長い
方の繊維状導電性物質の繊維長が1cmの場合、短い方
の繊維状導電性物質の繊維長が5mm以下であれば、本
発明の効果が期待できるものである。また、長い方の繊
維状導電性物質の繊維長は、長くなりすぎると抄紙困難
となり、一方、短い方の繊維状導電性物質の繊維長は短
くなり過ぎると、粉末と同様な挙動を示す等の制約があ
るため、これらの関係等を勘案すれば、その比率は10
00倍以内であることが好ましい。以上のことは、長い
方の繊維状導電性物質の繊維長をLa,短い方の繊維状
導電性物質の繊維長をLbとする場合、下式(1)を満
たすことで示される。 2≦La/Lb≦1000 (1) (より好ましくは5≦La/Lb≦500、更に好まし
くは5≦La/Lb≦100)また、長い方の繊維状導
電性物質の繊維長(La)については、以下の式(2)
を満たすことが好ましい。 La≧3mm (2) (より好ましくはLa≧5mm)なぜならば、この長さ
より短いと強度不足となり抄紙困難となるからである。
【0014】一方、短い方の繊維状導電性物質の繊維長
(Lb)については、以下の式(3)を満たすことが好
ましい。 0.02mm≦Lb≦3mm (3) (より好ましくは0.1mm≦Lb≦1mm)なぜなら
ば、前記下限値を下回ると粉末と同様な挙動を示すよう
になり、前記上限値を上回ると短繊維を加えた効果が少
なくなるからである。前記の式(2)、(3)を満たす
繊維の総数をそれぞれN(2)、N(3)、全繊維数を
Ntとすると、以下の式(4)、(5)を満たすことが
発明の効果を発揮する上で好ましい。 N(2)/Nt≧0.1 (4) (より好ましくはN(2)/Nt≧0.2、更に好まし
くはN(2)/Nt≧0.3) N(3)/Nt≧0.1 (5) (より好ましくはN(3)/Nt≧0.2、更に好まし
くはN(3)/Nt≧0.3)なお、長い方や短い方の
繊維状導電性物質以外にさらにその他の繊維状導電性物
質が若干含まれる場合等は、繊維数の最も多い繊維状導
電性物質の繊維長をL1、2番目に多い繊維の繊維長を
L2としたとき、L1とL2のいずれかがLa、残りが
Lbとすればよい。もし同数ならば、何れでも良い。し
かしながら、短い方の繊維状導電性物質については、極
端に繊維長が短い場合には、繊維数の割には体積が少な
く、発明の効果に余り影響しない場合があるので、単純
に定められない場合があり得る。そのため、式(1)ま
たは(3)を満たすもののうちから、最も繊維数が多い
ものを選ぶ方が良い場合もあり得る。カウント方法とし
ては、例えば、測定した繊維について、0.1mmの区
間に分けて、ヒストグラムを作成し、長い繊維と短い繊
維を定義する方法である。
【0015】また、場合によっては、最も長い繊維状導
電性物質を長い方の繊維状導電性物質、最も短い繊維状
導電性物質を短い方の導電性物質と定義する方法もあり
得る。この場合、測定した繊維について、0.1mmの
区間に分けて、ヒストグラムを作成し、測定した全繊維
の本数の3%以下である度数の区間は無視して、長い繊
維と短い繊維を定義すればよい。
【0016】式(1)の関係を満たす繊維の総数N
(1)と全繊維数Ntとの間には、以下の式(6)を満
たすことが好ましい。 N(1)/Nt≧0.2 (6) (より好ましくはN(1)/Nt≧0.3、更に好まし
くはN(1)/Nt≧0.5)さらに、上記の関係式
(1)を満たす長い方の繊維状導電性物質の繊維数(N
a)と短い方の繊維状導電性物質の繊維数(Nb)につ
いて、以下の式(7)を満たすことが好ましい。 0.2≦Na/Nb≦20 (7) (より好ましくは0.5≦Na/Nb≦10、更に好ま
しくは1≦Na/Nb≦8)本発明においては、導電性
シートに用いられる繊維状導電性物質の繊維長が分布を
有している場合がある。このような場合、含まれる短い
繊維長から長い繊維長に渡っての繊維状導電性物質の繊
維長を測定し平均値と標準偏差を求める。全ての繊維長
にわたる平均をA、標準偏差σとするとA/σ≦3であ
れば、本発明の示す繊維長の異なる導電性物質の組み合
わせとなる。
【0017】尚、長い方の繊維状導電性物質や短い方の
繊維状導電性物質が複数ある場合や連続した分布を有す
る場合でも、前記式(1)〜(7)は適用可能である。
その場合、長い方の繊維状導線性物質と短い方の繊維状
導電性物質は、1対1対応で考えることが好ましい。尤
も、1つの繊維が、有る繊維状導電性物質に対しては長
い方の繊維状導電性物質、又ある別の繊維状導電性物質
に対しては短い方の繊維状導電性物質であることも許容
される。さらには、1本の長い方の繊維状導電性物質に
対して、複数の短い方の繊維状導電性物質が対応すると
いうように1対多の態様もあり得る。
【0018】なお、同じ繊維状導電性物質でも相対的に
長い方の繊維状導電性物質にも短い方の繊維状導電性物
質にもなり得る場合は、式(4)〜(7)に代えて、以
下の式(12)を好適な数値範囲として適用することが
できる。
【0019】即ち、まず、短い方の繊維状導電性物質と
長い方の繊維状導電性物質を単純に2群に分けられる例
として、式(1)を満たし、以下の式(8)、(9) Min(Na,Nb)/Max(Na,Nb)≧R (8) (Na+Nb)/Nt≧P (9) を満たすものである場合について考える。これを単純に
2群に分けられない場合に(但し、前記条件(8)、
(9)を概ね満たすものに相当するように)敷衍すれ
ば、以下の通りの式(10)を満たすものがこれに該当
すると考えられる。* Mv/Mt≧2P2・R/(R+1)2 (10) 繊維対:長い方の繊維状導電性物質と短い方の繊維状導
電性物質を1対1対応させた組み合わせ Mv:繊維長を計測した繊維状導電性物質のうち式
(1)を満たす繊維対の組み合わせの数 Mt:繊維長を計測した全繊維状導電性物質について、
繊維対の組み合わせの総数 (*)計算方法: (これは、繊維状導電性物質について、繊維の数に基づ
く計算体系から繊維の組み合わせの数に基づく計算体系
に換算したとき、境界値のパラメータがどのように変換
されるかを調べればよい。まず、 Min(Na,Nb)/Max(Na,Nb)=r (8’) (Na+Nb)/Nt=p (9’) とする。式(8)、(9)をみたす繊維状導電性物質の
組み合わせの総数Mvは、 Mv=Na・Nb (a) 式(8’)よりNaとNbはr:1または1:rの比で
あるから、また、Na+Nb=Nabなので、 Mv=Na・Nb=[Nab・r/(r+1)]・[Nab/(r+1)] =Nab2・r/(r+1)2 (c) Na+Nb=Nabなので、式(9’)より Nab=p・Nt (d) 式(c)、(d)より、 Mv=p2・Nt2・r/(r+1)2 (e) ここでf(r)=r/(r+1)2 (f) とするとrについて微分すると f'(r)=(1−r)/(r+1)3 (g) よって、この関数は0<r<1においては単調増加となり、r≧Rなので、 f(r)≧f(R) (h) また、p≧P (i) よって、式(e)、(f)、(h)、(i)より、 Mv≧P2・Nt2・R/(R+1)2 (j) また、 Mt=Nt2≒Nt2/2 (k) なので、式(j)、(k)より Mv/Mt≧2P2・R/(R+1)2 (10)) なお、式(2)、(3)での具体的な値を勘案するとM
v/Mtは0.1以上が好ましく、0.25以上がより
好ましい。また、rの最適値が1でない場合(最適値を
r=Opとする)、式(10)においてr=1からr=
Opとなるように座標変換をすればよい。なお最適値と
しては、例えば、式(7)の下限値と上限値の調和平均
等が適当である。
【0020】繊維状導電性物質の繊維長の測定方法は、
特に限定されるものではないが光学顕微鏡や走査型電子
顕微鏡(SEM)などの形態観察によって測定すること
が可能である。導電シートに用いられている繊維状導電
性物質の20本以上、好ましくは100本以上を無作為
に選んで長さを測定する。画像処理などの手法により、
数百本以上の長さを測定することも可能である。測定さ
れた値を基に平均繊維長と標準偏差を算出する。
【0021】また、前記測定において、たまたま、混入
していた、規格外の繊維状導電性物質が、長い方の繊維
状導電性物質或いは短い方の繊維状導電性物質としてカ
ウントされて、間違った測定結果となる恐れがあり得る
が、これに対しては以下の対策が講じられ得る。まず1
つには、前記の測定を数回繰り返し、極端に値の異なる
測定を除外する方法がある。
【0022】或いは、測定した繊維状導電性物質につい
て、0.1mmの区間に分けて、ヒストグラムを作成
し、測定した全繊維状導電性物質の本数の3%以下であ
る度数の区間は無視して、長い方の繊維状導電性物質と
短い方の繊維状導電性物質を定義する方法である。
【0023】本発明の導電シートに用いられる繊維状導
電性物質は、フィラメント糸あるいは紡績糸など特に限
定されずに用いることが可能であるが、異なる繊維長を
組み合わせるという観点では、フィラメント糸を用いた
方が好ましい。
【0024】本発明の導電シートは不織構造を有する繊
維状導電性物質から構成されていることが好ましい。不
織構造とは、織物、編み物、組み物、レースなどのよう
に繊維が規則的な構造を有しておらず、抄紙体、フェル
ト、不織布などのように繊維が不規則な構造を有してい
るものを云う。抄紙体は、繊維あるいは粒子とバインダ
ーとを溶解または分散した液を用い、これを紙抄きの原
理で網の上にすくい上げることにより得られる、薄く平
らな紙状の構造体である。一般的に言って、抄紙体が短
繊維を用いるのに対し、長繊維を用いてこの繊維同士を
絡めることにより得られるのがフェルトや不織布であ
る。かぎ針状のもので長繊維を引っかけて絡めたのがフ
ェルト、空気流や水流で絡めたものが不織布となる。こ
れらの抄紙体、フェルト、不織布いずれも不規則に繊維
同士が絡まっているのが特徴である。これに対して、織
物や編み物などは規則的な構造であるため、厚みムラが
生じやすい。電極基材としては、ガス拡散性と電気抵抗
とを両立させるために多孔質導電シートであり、なかで
も抄紙体、フェルト、不織布などのように繊維同士が不
規則に絡まり合った不織構造が厚みムラが少ないという
点から好ましいものとなる。尚、本発明の場合、比較的
短い繊維長の繊維状導電性物質も含まれ得るので、これ
らのうち、抄紙体や不織布が好ましい。
【0025】本発明に用いられる導電シートとしては、
繊維状導電性物質を構成材とし、電気抵抗が低く、集
(給)電を行えるものであればとくに限定されることな
く用いることが可能である。
【0026】繊維状導電性物質としては、ポリアクリロ
ニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、その他、
黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材が挙げられるが、特に炭
素繊維が好適である。
【0027】炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル
(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール
系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などが例示される。な
かでも、PAN系炭素繊維、次いでピッチ系炭素繊維が
好ましい。PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維にくら
べて圧縮強さ、引張破断伸度が大きく、折れにくい。こ
のことは、炭素繊維を構成する炭素の結晶化の相異によ
ると考えられる。折れにくい炭素繊維を得るためには、
炭素繊維の熱処理温度は2,500℃以下が好ましく、
2,000℃以下がより好ましい。
【0028】本発明の導電シート中に用いられる炭素繊
維、好ましくは炭素短繊維は、直径D(μm)と、引張
強さσ(MPa)と、引張弾性率E(MPa)との関係
が次式を満足しているのがよい。そのような炭素短繊維
からなる導電シートは、壊れにくいためである。すなわ
ち、炭素短繊維の直径が細く、引張強さが強く、引張弾
性率が低いほうが炭素短繊維は折れにくく、加圧時に導
電シートが壊れにくくなる。 σ/(E×D)≧0.5×10-3 ここで、炭素繊維の引張強さ、引張弾性率はJIS R
7601に準じて測定する。偏平な断面の炭素繊維の場
合、長径(A)と短径(B)の平均値((A+B)/
2)を直径とする。種類の異なる炭素短繊維が混合され
ている場合、D、σ、Eについてそれぞれ重量平均した
値を用いる。好ましくはσ/(E×D)≧1.1×10
-3であり、より好ましくはσ/(E×D)≧2.4×1
-3である。
【0029】炭素短繊維の引張破断伸度は、導電シート
の強度のため、0.7%以上であるのが好ましく、より
好ましくは1.2%以上であり、さらに好ましくは1.
8%以上である。引張破断伸度は引張強さ(σ)を引張
弾性率(E)で除した値である。
【0030】また、炭素短繊維の折損は様々な状況で発
生するため、炭素短繊維の引張強さは500MPa以上
であるのが好ましく、1,000MPa以上であるのが
より好ましく、2,000MPa以上であるのがさらに
好ましい。
【0031】なお、繊維状導電性物質としては、金属、
半金属、これらの化合物およびこれらの混合物を成分と
する構成も挙げられる。金属の場合としては、ステンレ
ススチール、チタン、クロム、ニッケル、モリブデン、
ルテニウム、ロジウム、タンタル、イリジウム、白金、
金から選ばれる一種以上の金属および金属の合金ならび
にこれらの化合物を必須成分とする繊維状導電性物質な
どが例示される。中でもステンレススチール、チタン、
ニッケル、モリブデンなどが耐蝕性の点から好ましい。
これらは繊維長50μm〜20mm、繊維径1〜100
μmであることが好ましい。前記金属等は導電シートの
5〜30重量%含まれていることが好ましい。
【0032】更に、繊維状導電性物質としては、炭素繊
維と、金属あるいは半金属の混合物質であることも好ま
しい。
【0033】本発明の導電シートは、水の滞留によるガ
ス拡散・透過性の低下を防ぐために行う撥水処理、水の
排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、電気
抵抗を下げるために行われる炭素質粉末の添加等を行う
ことも好ましい実施態様である。
【0034】本発明の導電シートは、上述のように繊維
状導電性物質からなる多孔質導電シートを用いる場合、
圧縮時の厚み低下抑制、密度の向上、電気抵抗の低減な
どの点から、粒子状の導電性物質を含むことも好ましい
実施態様である。このような粒子状の導電性物質として
は、電気抵抗や耐食性の点から炭素粒子が好ましい。
【0035】特に、柔軟性を有する粒子状の導電性物質
がシート状に配列されてなる多孔質導電シートを導電シ
ートに用いることも好ましい。これにより構成成分の脱
落が少ない、あるいは、機械的力が作用しても壊れ難
く、電気抵抗が低く、かつ、安価な導電シートを提供す
るという目的が可能となる。特に、柔軟性を有する粒子
状の導電性物質として、膨張黒鉛粒子を用いることで上
記目的が達成可能である。
【0036】ここで、膨張黒鉛粒子とは、黒鉛粒子が、
硫酸、硝酸などにより層間化合物化された後、急速に加
熱することにより膨張せしめられて得られる黒鉛粒子を
いう。通常、膨張黒鉛粒子の結晶構造における層間距離
は、原料黒鉛粒子のそれの約50〜500倍である。
【0037】膨張黒鉛粒子は、それ自体、形状の変形性
に富む。この性質は、柔軟性と云う言葉で表現される。
この柔軟性は、膨張黒鉛粒子とそれに隣接する他の物体
に対する膨張黒鉛粒子の形態的融和性により観察され
る。この形態的融和性は、膨張黒鉛粒子同士が、少なく
とも一部が重なり合った状態で加圧作用を受けると、加
圧状態に応じて、互いに変形し、粒子同士が少なくとも
部分的に接合することにより観察される。また、この形
態的融和性は、膨張黒鉛粒子と、気体透過性が確保され
る状態でそれらがシート状に配列せしめられる場合に用
いられる補助材(例えば、カーボンブラックなどの従来
用いられている柔軟性を有しない粒子状の導電性物質、
あるいは、炭素繊維などの従来用いられている無機導電
繊維)とが、共に加圧された場合、膨張黒鉛粒子が、補
助材の外形状に沿って、変形され、この補助材に接合さ
れることにより観察される。
【0038】本発明の導電シートは、柔軟性を有する粒
子状の導電性物質に加えて、他の粒子状の導電性物質や
繊維状導電性物質を含むことも好ましい実施態様である
が、この繊維状導電性物質と粒子状の導電性物質の双方
が、無機材料からなることにより、耐熱性、耐酸化性、
耐溶出性に優れた導電シートが得られる。柔軟性を有し
ない粒子状の導電性物質としては、例えば、カーボンブ
ラック粉末、黒鉛粉末、金属粉末、セラミックス粉末な
どを含んでも良いが、電子伝導性と耐触性の点から、カ
ーボンブラック、黒鉛質や炭素質の炭素材が好ましく挙
げられる。このような炭素材としては、オイルファーネ
スブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サー
マルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラ
ックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましいも
のである。オイルファーネスブラックとしては、キャボ
ット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパ
ールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパ
ールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル
400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化
学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチ
レンブラックとしては電気化学工業社製デンカブラック
などが挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然
の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られ
る人工黒鉛や炭素などがある。また、これら炭素材を後
処理加工した炭素材も用いることが可能である。このよ
うな炭素材の中でも、特に、キャボット社製のバルカン
XC−72、電気化学工業社製のデンカブラック、ライ
オン社製のケッチェンブラックなどが電子伝導性の点か
ら好ましく用いられる。
【0039】なお、導電シートに対する粒子状の導電性
物質の添加量としては、要求される電極特性や用いられ
る物質の比表面積や電子抵抗などに応じて適宜決められ
るべきものであるが、導電シート中の重量比率として1
〜80%が好ましく、20〜60%がさらに好ましい。
電子伝導体は、少ない場合は電子抵抗が低くなり、多い
場合はガス透過性を阻害するなど、いずれも電極性能を
低下させる。
【0040】本発明の導電シートは、上記の粒子状の導
電性物質のほか、高分子物質を添加することも可能であ
る。これにより圧縮や引張りに強くなり、強度、ハンド
リング性を高め、繊維状導電性物質や粒子状の導電性物
質(以下、纏めて、単に、導電性物質という)が導電シ
ートから外れたり、導電シートの厚み方向へ向く等の、
導電シート中の導電性物質の配列が乱れるのを防止でき
る。特に、無機導電性短繊維を抄紙して多孔質導電シー
トを作成する際には、高分子物質を結着剤として用いる
ことは極めて好適である。高分子物質を結着させる方法
としては、導電性物質を実質的に二次元平面内において
無作為な方向に配向させるときに繊維状、粒状、液状の
高分子物質を混合する方法と、導電性物質が実質的に二
次元平面内において無作為な方向に既に配向された集合
体に繊維状、液状の高分子物質を付着させる方法等があ
る。液状の概念には、エマルジョン、ディスパージョン
やラテックス等、液体中に高分子物質の微粒子が分散し
て実質的に液体として取り扱うことができるものも含ま
れる。導電性物質の結着を強くしたり、導電シートの電
気抵抗を低くしたりするためには、結着する高分子物質
は繊維状、エマルジョン状、ディスパージョン状、乃至
はラテックス状であるのが好ましい。繊維状の高分子物
質の場合、含有率を低くするため、フィラメント糸を使
用することが好ましい。
【0041】導電性物質を結着する高分子物質として
は、炭素またはケイ素を主鎖に持つ高分子物質が好まし
く、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ
酢酸ビニル(酢ビ)、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アク
リル樹脂、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂や、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アル
キド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラ
ストマー、ブタジエン・スチレン共重合体(SBR)、
ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(NBR)等の
エラストマー、ゴム、セルロース、パルプ等を用いるこ
とができる。フッ素樹脂等の撥水性の樹脂を用い、導電
性物質の結着と同時に導電シートの撥水化処理を行って
もよい。
【0042】導電シートが加圧時に壊れにくくするため
には、導電性物質を結着する高分子物質は軟らかいほう
がよく、高分子材料の形態が繊維状や粒状である場合に
は、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、セルロース、
パルプなどが好ましい。また、高分子材料が液状の形態
で用いる場合には、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴ
ム、あるいは熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム等の軟
質材料で変性した熱硬化性樹脂であることが好ましく、
特に熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴムである場合、導
電シートが加圧時にの壊れにくく、より好ましい。
【0043】高分子物質は、23℃における圧縮弾性率
が4,000MPa以下であることが好ましく、2,00
0MPa以下であるのがより好ましく、1,000MP
a以下であるのがさらに好ましい。圧縮弾性率の低い高
分子物質は結着部にかかる応力を緩和して結着を外れに
くくし、また、導電性物質にかかる応力を緩和して壊れ
にくくするためである。
【0044】固体高分子型燃料電池は、カソード(空気
極、酸素極)において、電極反応生成物としての水や、
電解質を浸透した水が発生する。また、アノード(燃料
極)においては、高分子電解質膜の乾燥防止のために燃
料を加湿して供給する。これらの水の結露と滞留、水に
よる高分子物質の膨潤が電極反応物を供給する際の妨げ
になるので、高分子物質の吸水率は低いほうがよい。好
ましくは20%以下、より好ましくは7%以下である。
【0045】このような点から、導電シートを電極に適
用する際には撥水性の高分子を含むことも好ましい実施
態様である。特にポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)
などのフッ素樹脂が高い撥水性を有するため好ましく用
いられる。導電シートを燃料電池用の集(給)電体とし
て用いる場合は、撥水処理が重要であり、その際の撥水
性の高分子は、導電シートを構成する導電性物質間の接
着効果ももたらす。このことは、導電シートの強度、電
気抵抗の点から有用である。PTFE、FEP、PFA
は、燃料電池集電体に求められる撥水性や耐酸化性が高
く、PTFEとPFAは、電気抵抗が低い効果をもたら
すためさらに好ましい。
【0046】上記のような高分子物質の導電シートに対
する含有率は、0.1〜50重量%の範囲にあるのが好
ましい。導電シートの電気抵抗を低くするためには、高
分子物質の含有率は少ないほうがよいが、0.1重量%
未満ではハンドリングに耐える強度が不足し、導電性物
質の脱落も多くなる。逆に、50重量%を超えると導電
シートの電気抵抗が増えてくるという問題が生じる。よ
り好ましくは、10〜30重量%の範囲である。
【0047】導電シートに添加した高分子物質は、20
0℃以上で焼成することも好ましい実施態様である。撥
水処理に用いられる上記のフッ素樹脂は、融点以上に加
熱することで、撥水性と結着性が向上する。また、フッ
素樹脂以外の高分子物質においても、焼成により結着力
が向上するほか、電気抵抗の低下、耐食性の向上が見ら
れる。特にフッ素樹脂以外の高分子物質においては、耐
酸化性に乏しい場合(以下、このような高分子物質を易
酸化性物質という)があり、燃料電池などの電気化学装
置用電極として用いる際には、使用中に電極性能の低下
をもたらす可能性がある。このため、電極作成時には結
着剤として易酸化性物質を用い、電極として使用する前
に焼成して易酸化性物質を炭化乃至は分解除去しておく
等の処理を施しておくことが好ましい。
【0048】本発明の導電シートは、一方の面が粗な多
孔質構造で、他方の面が密な多孔質構造である非対称多
孔質構造導電シートとすることも好ましい実施態様であ
る。この構造は構成材である繊維状導電性物質の嵩密度
を異なるものとすること、繊維状導電性物質で構成され
る導電シート上に粒子状導電性物質を付与することなど
によって非対称な多孔質構造を得ることが可能となる
が、特に制限されるものではない。
【0049】燃料電池などのように電極活物質に気体を
用いる電気化学装置に用いる場合、ガス透過性の点から
数mmから数cmに裁断された短繊維状の繊維状導電性
物質が好ましい。繊維状導電性物質を用いた多孔質導電
シートとしては、織布あるいは不織布いずれの構造も使
用可能である。たとえば、東レ製カーボンペーパーTG
Pシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンク
ロスなどが用いられる。
【0050】本発明に用いられる導電シートとしては、
厚み方向に2.9MPaの一様な面圧を加えたときの厚
みが0.02〜0.3mmであるのが好ましい。より好
ましくは0.04〜0.2mmである。0.02mmよ
り薄い場合、この導電シートを燃料電池に用いる際にセ
パレータのガス流路に電極基材が埋没し、面方向への拡
散・透過性が低くなり、強度が弱く作業性に乏しくな
る。0.3mmよりも厚い場合、厚み方向の電気抵抗が
増す。なお、厚みは、導電シートを均一な厚みで平滑な
表面を有する2枚のガラス状炭素板で挟み、2.9MP
aの一様の面圧で加圧し、導電シートを挟まないときと
挟んだときとの上下の圧子の間隔の差から求める。圧子
の間隔の測定においては、圧子の中心点を挟む両端で微
小変位検出装置により圧子の間隔を測定し、両端の間隔
の平均値として圧子の間隔を算出する。一様な面圧とす
るために、一方の圧子は球座で受けて上下の圧子の加圧
面のなす角度を可変にする。
【0051】厚み方向に2.9MPaの一様な面圧を加
えたとき上記の厚みとなる導電シートの、13kPaの
面圧で測定した厚みは0.1〜2mmが好ましく、0.
2〜1.2mmがより好ましい。2mmを超えると導電
シートが嵩高になり、導電物質が厚み方向へ向いたり、
導電シートの強度が弱くなる。0.1mm未満の厚みに
するためには、多量の高分子物質によって導電シートの
結着を強固に行う必要がでてくるため好ましくない。
【0052】導電シートの目付としては10〜220g
/m2であるのが好ましい。より好ましくは20〜12
0g/m2である。10g/m2未満では導電シートの強
度が低くなる。また、高分子電解質膜、電極触媒層、導
電シートの一体化時や電池に組んだときに導電シートが
薄くなり面方向への拡散・透過効果が不十分になる。2
20g/m2を超えると電池に組んだ時に導電シートが厚
くなり抵抗が大きくなる。
【0053】導電シートの空隙率は、60%以上95%
以下であることがこのましい。65%以上90%以下が
より好ましく、70%以上85%以下が更に好ましい。
前記数値範囲の下限値を下回るとガス透過性が低下し、
前記数値範囲の上限値を上回ると機械的強度が低下する
ため好ましくない。
【0054】空隙率は、導電シートの層全体積から繊維
状導電性物質等の構成材の占める体積を減じたものを導
電シートの層全体積で除した百分率(%)である。
【0055】導電シートの嵩密度は、厚み方向に2.9
MPaの一様な面圧を加えたときに0.3〜0.8g/
cm3であるのが好ましい。より好ましいのは0.35
〜0.7g/cm3であり、さらに好ましいのは0.4
〜0.6g/cm3である。厚み方向に2.9MPaの
一様な面圧を加えたときの導電シートの嵩密度は、導電
シートの目付と厚み方向に2.9MPaの一様な面圧を
加えたときの導電シートの厚みから計算によって求め
る。導電シートは、拡散・透過性を高くするためには気
孔率を高くする必要があるが、厚み方向に2.9MPa
の一様な面圧を加えたときの嵩密度が0.8g/cm3
よりも大きくなると気孔率が下がり、拡散・透過性が不
十分になる。また、0.3g/cm3よりも小さいと、
厚み方向の抵抗値が大きくなる。
【0056】導電シートは、厚み方向への面圧による加
圧を行わない状態で、厚み方向に14cm/秒の空気を
透過させたときの圧力損失が、98Pa(10mmA
q)以下であるのが導電シートのガス拡散性の点で好ま
しい。より好ましいのは29Pa(3mmAq)以下で
あり、さらに好ましいのは9.8Pa(1mmAq)以
下である。
【0057】導電シートの引っ張り強さは、0.49N
/10mm幅以上が好ましく、1.96N/10mm幅
以上がより好ましく、4.9N/10mm幅以上が更に
好ましい。引っ張り強さが低いと、導電シートの高次加
工において、シートが破損する可能性が増すという問題
がある。
【0058】導電シートは、高分子電解質膜、電極触媒
層、電極基材の一体化時や電池として使用する際に厚み
方向に加圧されて壊れることがある。また、電池として
使用するときには溝付セパレータと向かい合った状態で
厚み方向に加圧されるため、溝付セパレータの山と向か
い合う部分に大きな圧力がかかるのに加えて、山と谷の
境と向かい合う部分が壊れやすい。導電シートが壊れる
と、壊れた繊維状導電性物質の脱落、導電シートの強度
低下、面方向の電気抵抗増大等が起こり、電極性能が低
下することがある。
【0059】上記のことから、導電シートは、厚み方向
に2.9MPaの一様な面圧を2分間加え、その面圧を
解除した後の重量減少率が3%以下であるのが好まし
い。重量減少率が3%より高い導電シートは面圧解除後
弱くなっており、ハンドリングで壊れやすいという問題
があるからである。これにより、加圧時に壊れにくく、
導電シートの破壊により燃料電池が使用できなくなるの
を防止できる。好ましくは2%以下、さらに好ましくは
1%以下である。
【0060】なお、重量減少率の測定は、以下のように
して行う。まず、導電シートを直径46mmの円形にカ
ットし、重量を測定する。次に、その導電シートよりも
大きく、平滑表面を有する2枚のガラス状炭素板でカッ
トした導電シートを挟み、導電シートの面積当たり2.
9MPaの圧力になるよう加圧し、2分保つ。圧力を取
り除いて導電シートを取り出し、その面方向を重力方向
に向けて30mmの高さから落下させる。この落下を1
0回行った後に重量を測定し、重量減少率を算出する。
【0061】導電シートの電気抵抗Rの測定方法を次に
記述する。幅50mm、長さ200mm、厚み1.5m
mの表面が平滑な平面を有するガラス状炭素板の片面
に、幅50mm、長さ200mm、厚み0.1mmの銅
箔が貼着した試験電極板を2枚用意する。2枚の試験電
極板を、実質的に均一な間隔を保ち、ガラス状炭素板側
の面(銅箔が貼着されていない面)同士を対向して位置
する。2枚の試験電極板のそれぞれの一端に電流用の端
子を、それぞれの他端には電圧用の端子を設ける。直径
46mmの円形に切り出されたシートを、前記間隙に挿
入し、2枚の試験電極板の中央部に載置する。載置した
シートを挟んだ試験電極に0.98MPaの圧力をかけ
る。電流用の端子に1Aの電流を流す。電圧用の端子に
て、この時の電圧V(V)を測定する。測定した電圧を
Vとすると、次式により、抵抗R(mΩ・cm2)が求
められる。 R=V×2.3×2.3×π×1000 ここで、πは円周率である。
【0062】多孔質導電性シートの電気抵抗は、100
mΩ・cm2以下であることが好ましく、50mΩ・c
2以下であることがより好ましく、15mΩ・cm2
下であることが更に好ましい。前述の撥水性のフッ素樹
脂を含む導電シートの電気抵抗は、150mΩ・cm2
以下であることが好ましく、70mΩ・cm2以下であ
ることがより好ましく、30mΩ・cm2以下であるこ
とが更に好ましい。
【0063】導電シートには、上記の導電シートに加え
て、実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向
された繊維状導電性物質を高分子物質で結着してなる紙
状シートを含み、長い方の繊維状導電性物質の繊維長
が、少なくとも3mmで、かつ、前記繊維長はシートの
厚みの少なくとも5倍である多孔質導電シートを用いる
こともできる。ここで、シートの厚みはJIS P81
18に準じて測定する。測定時の面圧は13kPaとす
る。繊維状導電性物質が実質的に二次元平面内において
配向されているということの意味は、繊維状導電性物質
がおおむね一つの面を形成するように横たわっていると
いう意味である。このことにより繊維状導電性物質によ
る対極との短絡や繊維状導電性物質の折損を防止するこ
とができる。
【0064】導電シートの強度やハンドリング性を高く
し、繊維状導電性物質を実質的に二次元平面内において
配向させるために、長い方の繊維状導電性物質の長さは
少なくとも3mm以上であることが好ましいが、より好
ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上であ
る。3mm未満では、強度、ハンドリング性を保つのが
難しくなる。前記数値範囲を満たす繊維数は全体の20
%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また、
繊維状導電性物質を実質的に二次元平面内において無作
為な方向に配向させるために、長い方の繊維状導電性物
質の長さは導電シートの厚みの5倍以上、好ましくは8
倍以上、さらに好ましくは12倍以上とする。5倍未満
では、二次元への配向の確保が難しくなる。前記数値範
囲を満たす繊維数は全体の20%以上が好ましく、30
%以上がより好ましい。繊維状導電性物質の長さの上限
は、実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向
させるためには30mm以下が好ましく、20mm以下
がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。前記
数値範囲を満たす繊維数は全体の20%以上が好まし
く、30%以上がより好ましい。繊維状導電性物質が長
すぎると分散不良を発生しやすく、多数の繊維が束状の
まま残る場合がある。その場合、束状の部分は空隙率が
低く、加圧時の厚みが厚くなるために加圧時に高い圧力
がかかり、導電シートの破壊や、高分子電解質膜や電極
触媒層の局部的な薄層化等の問題が起こりやすくなる。
【0065】また、繊維状導電性物質の形態は、繊維に
よる対極との短絡をより完全に防止できるため、直線状
であるのが好ましい。ここで、直線状の繊維状導電性物
質とは、繊維状導電性物質を曲げる外力を取り除いた状
態で繊維の長さ方向にある長さL(mm)をとったとき
に、長さLに対する直線性からのずれΔ(mm)を測定
し、Δ/Lがおおむね0.1以下であるものをいう。一
方、非直線状の繊維は、実質的に二次元平面内において
無作為な方向に配向させるときに三次元方向を向きやす
いという欠点がある。
【0066】導電シートの作成において、繊維状導電性
物質を実質的に二次元平面内において無作為な方向に配
向させる方法としては、液体の媒体中に繊維状導電性物
質を分散させて抄造する湿式法や、空気中で繊維状導電
性物質を分散させて降り積もらせる乾式法がある。繊維
状導電性物質を確実に実質的に二次元平面内において配
向させるため、また、繊維状導電性物質の強度を高くす
るためには、湿式法、特にいわゆる抄紙法が好ましい。
【0067】導電シートにおいて、加圧時の導電性物質
の折損を防止し、前述のように導電シートの重量減少率
を3%以下とするために、使用する繊維は、炭素繊維を
カットした炭素短繊維が好ましく、熱処理時に張力をか
けたものがより好ましく、熱処理時に延伸したものがさ
らに好ましい。
【0068】導電シートに用いられる繊維状導電性物質
の直径は、20μm以下であるのが好ましい。より好ま
しいのは12μm以下、さらに好ましいのは8μm以下
である。導電シートの表面には、繊維状導電性物質の直
径の5〜10倍の直径の空隙が観察される。この空隙は
繊維径が太くなると大きくなる。本発明の導電性中間層
は、電極触媒層がこの空隙に浸み込むことにより電極性
能が低下することを抑制するものである。この空隙が大
きすぎると導電性中間層を厚くする必要が生じ、ガス透
過性や水の排出性を阻害するので、繊維径は細い方が好
ましい。また、繊維状導電性物質は細いほど厚み方向の
加圧時に折れにくい。一方、繊維状導電性物質の直径が
細くなりすぎると、一体化時に電極触媒層の導電シート
への浸入が起こりにくくなるため、繊維径は2μm以上
であるのが好ましい。直径の異なる繊維が混合されてい
る場合は、重量平均によって直径を求める。
【0069】導電シートに用いられる繊維状導電性物質
の体積抵抗率は、導電シートの低抵抗化のため200μ
Ω・m以下が好ましく、50μΩ・m以下がより好まし
く、15μΩ・m以下がさらに好ましい。繊維状導電性
物質の体積抵抗率の測定はJIS R7601に準じて
行う。前記測定処方で定められた繊維長さが得られない
場合、得られた繊維長さで測定を行う。
【0070】導電シートに炭素繊維を用いる場合、X線
光電子分光分析法による表面の酸素原子と炭素原子との
原子数比(酸素原子数/炭素原子数)が0.35以下、
好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下で
あるものがよい。湿式抄紙法によって導電シートを得る
場合、酸素原子と炭素原子との原子数比が高いと炭素短
繊維の分散が難しくなって分散不良が増加するためであ
る。0.35を超えると均一な導電シートを得ることが
難しくなる。原子数比(酸素原子数/炭素原子数)を低
くするためには、炭素繊維の表面処理やサイジング剤の
付与をやめたり、不活性または還元雰囲気中での熱処理
によって表面の酸素原子を取り除く方法がある。
【0071】本発明の導電シートは、異なる繊維長の繊
維状導電性物質を用いて構成されるが、短い繊維長の繊
維状導電性物質の含有率をシートの厚み方向に分布を持
たせることにより粗密非対称構造とすることが可能にな
る。たとえば、短い繊維を多く含む面を密な構造とし、
長い繊維を多く含む面を粗な構造とすることができる。
具体的な繊維長は、繊維状導電性物質の直径や弾性率、
あるいは導電シートが用いられる用途や要求性能などに
よって適宜決められるべきものであるが、例えば、直径
5〜10μmの繊維状導電性物質では、繊維長5〜30
mmのものにより粗な構造を得て、繊維長10μm〜1
mmのものにより密な構造を得ることができる。
【0072】また、繊維状導電性物質から構成される導
電性シートが、織物構造、編み物構造、不織布構造など
の場合には、粗な構造のシートと密な構造のシートを重
ね合わせたり、一方の面に繊維長の短い方の繊維状導電
性物質を添加して密な多孔質構造とするなどの方法によ
り、粗密非対称多孔質構造導電シートとすることができ
る。織物、編み物、不織布などでは、単位面積あたりの
繊維数や繊維重量を変化させることにより、粗密構造を
制御することができる。
【0073】本発明の導電シートは電極触媒層を塗布等
により設けて電極として用いることももうひとつの好ま
しい実施態様である。この電極触媒層は、特に限定され
ることなく公知のものを利用することが可能である。電
極触媒層とは、電極反応に必要な触媒や電極活物質を含
み、さらに電極反応を促進する電子伝導やイオン伝導に
寄与する物質も含んでいる。また電極活物質(酸化ある
いは還元する物質)が気体の場合には、その気体が透過
しやすい構造を有していることが必要であり、電極反応
に伴う生成物質の排出も促す構造が必要である。本発明
の電極を燃料電池に用いる場合には、電極活物質は水素
あるいは酸素、触媒は白金などの貴金属粒子、電子伝導
体はカーボンブラック、イオン伝導体はプロトン交換樹
脂、反応生成物質は水である。電極触媒層は、触媒、電
子伝導体、イオン伝導体が互いに接触して、活物質と反
応生成物が効率よく出入りする構造が求められる。
【0074】本発明の電極を燃料電池に用いる場合に
は、電極触媒層に含まれる触媒は公知の触媒を用いるこ
とができ、特に限定されるものではないが、白金、金、
パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属触媒
が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合
金、混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わ
ない。
【0075】電極触媒層に含まれる電子伝導体(導電
材)としては、特に限定されるものではないが、電子伝
導性と耐触性の点から無機導電性物質が好ましく用いら
れる。なかでも、カーボンブラック、黒鉛質や炭素質の
炭素材、あるいは金属や半金属が挙げられる。このよう
な炭素材としては、オイルファーネスブラック、チャネ
ルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセ
チレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性
と比表面積の大きさから好ましいものである。オイルフ
ァーネスブラックとしては、キャボット社製バルカンX
C−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラ
ックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブ
ラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社
製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、
#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとして
は電気化学工業社製デンカブラックなどが挙げられる。
またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コ
ークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラ
ン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素な
どがある。これらの炭素材の形態としては、粒子状のほ
か繊維状も用いることができる。また、これら炭素材を
後処理加工した炭素材も用いることが可能である。この
ような炭素材の中でも、特に、キャボット社製のバルカ
ンXC−72が電子伝導性の点から好ましく用いられ
る。
【0076】これら電子伝導体の添加量としては、要求
される電極特性や用いられる物質の比表面積や電子抵抗
などに応じて適宜決められるべきものであるが、電極触
媒層中の重量比率として1〜80%が好ましく、20〜
60%がさらに好ましい。電子伝導体は、少ない場合は
電子抵抗が低くなり、多い場合はガス透過性を阻害ある
いは触媒利用率が低下するなど、いずれも電極性能を低
下させる。
【0077】電子伝導体は、触媒粒子と均一に分散して
いることが電極性能の点で好ましいものである。このた
め、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散し
ておき、この塗液を導電シート上に塗布する方法が好ま
しく用いられる。
【0078】電極触媒層を燃料電池に用いる場合、触媒
と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボンを用いる
ことも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボン
を用いることにより、触媒の利用効率が向上し、低コス
ト化に寄与する。電極触媒層に触媒担持カーボンを用い
た場合においても、さらに導電剤を添加することも可能
である。このような導電剤としても、上述のカーボンブ
ラックが好ましく用いられる。
【0079】電極触媒層に用いられるイオン伝導体とし
ては、公知のものが特に限定されることなく用いること
が可能である。イオン伝導体としては、種々の有機・無
機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、プ
ロトン伝導性を向上するスルホン酸基、カルボン酸基、
リン酸基などのイオン交換基を有するポリマが好ましく
用いられる。なかでも、フルオロアルキルエーテル側鎖
とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換
基を有するポリマが好ましく用いられる。たとえば、D
uPont社製のNafion、旭化成社製のAcip
lex、旭硝子社製Flemionなどが好ましい。こ
れらのイオン交換ポリマを溶液または分散液の状態で付
与する等して、電極触媒層中に設けることができる。こ
の際に、プロトン交換樹脂を溶解あるいは分散化する溶
媒は特に限定されるものではないが、プロトン交換樹脂
の溶解性の点から極性溶媒が好ましい。プロトン交換基
を有する上述のフッ素原子を含むポリマ以外に、プロト
ン交換基を有するエチレンやスチレンなどの他のポリ
マ、これらの共重合体やブレンド(フッ素原子を含むポ
リマが含まれていても、含まれていなくても良い)であ
っても構わない。あるいはそれらの単量体乃至はブレン
ドポリマー成分として、プロトン交換基を有しないもの
が若干含まれていても良い。
【0080】イオン伝導体は、電極触媒層を作成する際
に電極触媒粒子と電子伝導体を主たる構成物質とする塗
液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが
電極性能の点から好ましいものであるが、電極触媒層を
塗布した後にイオン伝導体を塗布してもかまわない。電
極触媒層にイオン伝導体を塗布する方法としては、スプ
レーコート、刷毛塗り、ディップコート、ロールコー
ト、カーテンコート、フローコートなど特に限定される
ものではない。
【0081】電極触媒層に含まれるイオン伝導体の量と
しては、要求される電極特性や用いられるイオン伝導体
の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、
特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%が
好ましく、5〜50%がさらに好ましい。イオン伝導体
は、少ない場合はイオン伝導度が低く、多い場合はガス
透過性を阻害する点で、いずれも電極性能を低下させ
る。
【0082】電極触媒層には、上記の触媒、電子伝導
体、イオン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもか
まわない。特に電極触媒層中に含まれる物質の結着性を
高めるために、上述のプロトン交換樹脂以外のポリマを
含むことも好ましい実施態様である。このようなポリマ
としては、フッ素原子を含むポリマが挙げられ、特に限
定されるものではないが、たとえば、ポリフッ化ビニル
(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ
ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテ
ル(PFA)など、あるいはこれらの共重合体、これら
モノマ単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマとの
共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができ
る。これらポリマの電極触媒層中の含有量としては、重
量比で5〜40%が好ましい。ポリマ含有量が多すぎる
場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下す
る。
【0083】電極触媒層は、触媒−ポリマ複合体が三次
元網目微多孔質構造を有することも好ましい実施態様で
ある。触媒−ポリマ複合体は、触媒粒子を含んだポリマ
複合体であって、この複合体が三次元網目微多孔質構造
となっていることが特徴である。なお、「三次元網目微
多孔構造」とは、触媒−ポリマ複合体が立体的に繋がっ
た三次元状の網目構造をしている状態をいう。
【0084】電極触媒層が三次元網目微多孔質構造を有
している場合、その微多孔径が0.05〜5μmである
ことが好ましく、より好ましくは、0.1〜1μmであ
る。微多孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)などで、
表面を撮影した写真から、20個以上好ましくは100
個以上の平均から求めることができ、通常は100個で
測定できる。湿式凝固法によって製造された場合の本発
明の微多孔質構造の電極触媒層は、微多孔径の分布が広
いのでできるだけ多くの孔径の平均をとることが好まし
い。
【0085】三次元網目微多孔質構造の空隙率は、10
〜95%であることが好ましい。前記数値範囲の下限値
を下回ると電極性能の低下となり、前記数値範囲の上限
値を上回ると嵩高く厚くなり電極性能が低下をもたら
し、好ましくない。より好ましくは50〜90%であ
る。空隙率は、電極触媒層全体積から触媒−ポリマ複合
体の占める体積を減じたものを電極触媒層全体積で除し
た百分率(%)である。電極触媒層は、特に三次元網目
微多孔質構造を有する場合、電極基材、プロトン交換
膜、それ以外の基材に塗布した後に湿式凝固を行うこと
等により、設けられるが、電極触媒層を単独で空隙率を
求めることが困難な場合には、電極基材、プロトン交換
膜、それ以外の基材の空隙率を予め求めておき、これら
基材と電極触媒層とを含む空隙率を求めた後に、電極触
媒層単独での空隙率を求めることも可能である。
【0086】電極触媒層は、三次元網目微多孔質構造を
有することにより、空隙率が大きくガス拡散性や生成水
の排出が良好であり、かつ電子伝導性やプロトン伝導性
も良好である。従来の多孔化では、触媒粒子径や添加ポ
リマの粒子径を増大させたり、造孔剤を用いて空隙を形
成するなどが行われているが、このような多孔化方式で
は触媒担持カーボン間やプロトン交換樹脂間の接触抵抗
が電極触媒層に比べて大きくなってしまう。それに対し
て、湿式凝固法による三次元網目微多孔質構造では、触
媒担持カーボンを含んだポリマ複合体が三次元網目状に
なっているので、このポリマ複合体を電子やプロトンが
伝導しやすく、さらに微多孔質構造のためガス拡散性や
生成水の排出も良好な構造となっている。
【0087】電極触媒層が三次元微多孔質構造を有して
いる場合においても、触媒や電子伝導体、イオン伝導体
に用いられる物質は従来と同様の物質を用いることが可
能である。ただし、三次元網目微多孔質構造を有する電
極触媒層を作成する場合、湿式凝固法により作成するこ
とが好ましい。よって、この湿式凝固法に適しており、
触媒粒子を良く分散し、燃料電池内の酸化−還元雰囲気
で劣化しないポリマ等を用いることが好ましい。このよ
うなポリマとしては、フッ素原子を含むポリマが挙げら
れ、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリフ
ッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリ
パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)など、
あるいはこれらの共重合体、これらモノマ単位とエチレ
ンやスチレンなどの他のモノマとの共重合体(ポリフッ
化ビニリデン(PVDF)やヘキサフルオロプロピレン
−フッ化ビニリデン共重合体等)、さらには、ブレンド
なども用いることができる。
【0088】この中でも、ポリフッ化ビニリデン(PV
DF)やヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン
共重合体は、非プロトン性極性溶媒を用い、プロトン性
極性溶媒などを凝固溶媒とする湿式凝固法により、三次
元網目微多孔質構造を有する触媒−ポリマ複合体が得ら
れる点で、特に好ましいポリマである。これらポリマの
溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(D
MAC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチル
イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられ、凝固溶媒
としては水や、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ールなどの低級アルコール類などのほか、酢酸エチルや
酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲ
ン系の種々の有機溶剤が用いられる。
【0089】触媒−ポリマ複合体のポリマとしては、上
記のポリマに加えて、プロトン伝導性を向上させるため
にプロトン交換基を有するポリマも好ましいものであ
る。このようなポリマに含まれるプロトン交換基として
は、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などがある
が特に限定されるものではない。また、このようなプロ
トン交換基を有するポリマも、特に限定されることなく
選ばれるが、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロ
アルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基を有する
ポリマが好ましく用いられる。たとえば、DuPont社製の
Nafionなども好ましいものである。また、プロトン交換
基を有する上述のフッ素原子を含むポリマや、エチレン
やスチレンなどの他のポリマ、これらの共重合体やブレ
ンドであっても構わない。
【0090】Nafionのポリマ溶液は、市販のNafion膜を
非プロトン性極性溶媒に溶かしても良いし、Aldrich社
製の水−メタノール−イソプロパノール混合溶媒のNafi
on溶液、あるいはこのNafion溶液を溶媒置換したもの用
いても良い。この場合、湿式凝固の際の凝固溶媒は、Na
fion溶液の溶媒により適宜決められるべきものである
が、Nafion溶液の溶媒が非プロトン性極性溶媒である場
合には、凝固溶媒としては水やアルコール類、エステル
類のほか、種々の有機溶媒などが好ましく、水−メタノ
ール−イソプロパノール混合溶媒などの場合には、酢酸
ブチルなどのエステル類、種々の有機溶媒が好ましく用
いられる。
【0091】触媒−ポリマ複合体に用いられるポリマ
は、上記のフッ素原子を含むポリマやプロトン交換基を
含むポリマを共重合あるいはブレンドして用いることも
好ましいものである。特にポリフッ化ビニリデン、ポリ
(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)共重
合体などと、プロトン交換基にフルオロアルキルエーテ
ル側鎖とフルオロアルキル主鎖を有するNafionなどのポ
リマをブレンドすることは電極性能の点から好ましいも
のである。
【0092】触媒−ポリマ複合体の主たる成分は触媒担
持カーボンとポリマであり、それらの比率は必要とされ
る電極特性に応じて適宜決められるべきもので特に限定
されるものではないが、触媒担持カーボン/ポリマの重
量比率で5/95〜95/5が好ましく用いられる。特
に固体高分子型燃料電池用電極触媒層として用いる場合
には、触媒担持カーボン/ポリマ重量比率で40/60
〜85/15が好ましいものである。
【0093】触媒−ポリマ複合体には、種々の添加物を
加えることも好ましい実施態様である。たとえば、電子
伝導性向上のための炭素などの導電剤や、結着性向上の
ためのポリマ、三次元網目微多孔質構造の孔径を制御す
る添加物などがあるが、特に限定されることなく用いる
ことができる。これら添加物の添加量としては、触媒−
ポリマ複合体に対する重量比率として0.1〜50%が
好ましく、1〜20%がさらに好ましい。
【0094】三次元網目微多孔質構造を有する触媒−ポ
リマ複合体の製造方法としては、湿式凝固法によるもの
が好ましい。この湿式凝固法は、触媒−ポリマ溶液組成
物を塗布した後に、この塗布層をポリマに対する凝固溶
媒と接触させて、触媒−ポリマ溶液組成物の凝固析出と
溶媒抽出とが同時に行なわれる。
【0095】この触媒−ポリマ溶液組成物は、ポリマ溶
液中に触媒担持カーボンが均一に分散したものである。
触媒担持カーボンとポリマは前述のものが好ましく用い
られる。ポリマを溶かす溶媒については、用いられるポ
リマに応じて適宜決められるべきもので、特に限定され
るものではない。ポリマ溶液は触媒担持カーボンを良く
分散していることが重要である。分散状態が悪い場合に
は、湿式凝固の際に、触媒担持カーボンとポリマとが複
合体を形成することができず好ましくない。
【0096】塗布方法については、触媒−ポリマ溶液組
成物の粘度や固形分などに応じた塗布方法が選択され、
特に限定されるべきものではないが、ナイフコーター、
バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコ
ーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコー
ターなどの一般的な塗布方法が用いられる。
【0097】一方、ポリマを湿式凝固させる凝固溶媒に
ついても特に限定されるものではないが、用いられるポ
リマを凝固析出しやすく、かつポリマ溶液の溶媒と相溶
性がある溶媒が好ましい。湿式凝固が実際に行われる凝
固溶媒との接触方法についても、特に限定されるもので
はないが、凝固溶媒に基材ごと浸漬する、塗布層のみを
凝固溶媒の液面に接触させる、凝固溶媒を塗布層にシャ
ワリングあるいはスプレーする、など特に限定されるも
のではない。
【0098】この触媒−ポリマ溶液組成物が塗布される
基材については、電極基材あるいは固体電解質の何れに
おいても塗布、その後に湿式凝固を行うことが可能であ
るが、電極基材に塗布の直後に湿式凝固を行うことで電
極基材への電極触媒層の浸み込みを抑制することが可能
となり、電極性能向上の点から好ましい実施態様とな
る。また、電極基材や固体電解質以外の基材(転写基
材)に塗布し、その後に湿式凝固を行い、三次元網目微
多孔質構造を作成した後に、この電極触媒層を電極基材
や固体電解質に転写あるいは挟持させても良い。この場
合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコ
ーン系の離型剤処理したガラス板や金属板なども用いら
れる。
【0099】本発明の導電シートを用いた電極は、固体
電解質層とを組み合わせることにより膜−電極複合体
(MEA:Membrane Electrode Assembly)とすること
も好ましい実施態様である。
【0100】固体電解質としては、通常の燃料電池に用
いられる固体電解質であれば特に限定されるものではな
いが、プロトン交換膜が本発明の燃料電池性能を発現す
るうえで好ましく用いられる。プロトン交換膜のプロト
ン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン
酸基などが挙げられるが、特に限定されるものではな
い。
【0101】このプロトン交換膜は、上記のプロトン交
換基、特にスルホン酸基を有する、スチレン−ジビニル
ベンゼン共重合体などの炭化水素系と、フッ素原子含有
ポリマ、特にフルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロ
アルキル主鎖とから構成される共重合体のパーフルオロ
系に大別され、燃料電池が用いられる用途や環境に応じ
て適宜選択されるべきものであるが、フッ素原子含有ポ
リマ、特にパーフルオロ系が燃料電池寿命の点から好ま
しいものである。また、部分的にフッ素原子置換した部
分フッ素膜も好ましく用いられる。パーフルオロ膜で
は、DuPont社製Nafion、旭化成製Aciplex、旭硝子製Fle
mion、ジャパンゴアテックス社製Goa-selectなどが例示
され、部分フッ素膜では、トリフルオロスチレンスルホ
ン酸の重合体やポリフッ化ビニリデンにスルホン酸基を
導入したものなどがある。また、プロトン交換膜は1種
のポリマばかりでなく、2種以上のポリマの共重合体や
ブレンドポリマ、2種以上の膜を貼り合わせた複合膜、
プロトン交換膜を不織布や多孔フィルムなどで補強した
膜なども用いることができる。
【0102】膜−電極複合体の製造方法としては、特に
限定されるものではない。一般的には、電極基材上に電
極触媒層を設けて電極を作成し、この電極をプロトン交
換膜などの固体電解質と接合するが、この接合条件につ
いても電極触媒層あるいは電気化学装置の特性に応じて
適宜決められるべきものである。
【0103】本発明の電極の特性を活かす上では、電極
基材と電極触媒層とから構成される電極を予め2枚作成
し、これらの2枚の電極の間にプロトン交換膜を各電極
の電極触媒層側がプロトン交換膜に対面するように配置
し、前記2枚の電極で該プロトン交換膜を挟持させて接
合することによるMEAの製造方法が好ましいものであ
る。この接合は加温プレスとなるが、この条件について
も特に限定されるものではない。一般的には、プレス温
度は20℃〜200℃、プレス圧力は1MPa〜20M
Paである。
【0104】その他の膜-電極複合体製造方法として
は、プロトン交換膜の表裏両面に前記電極触媒層を設
け、その後、その両側に前記電極基材を設ける工程を行
うことも好ましい製造方法である。
【0105】本発明の電極基材と電極触媒層とからなる
電極、あるいは該電極と固体電解質膜からなる膜−電極
複合体(MEA)は、種々の電気化学装置に適応するこ
とができる。なかでも燃料電池や水電解層が好ましく、
さらに燃料電池のなかでも固体高分子型燃料電池に好適
である。燃料電池には、水素を燃料とするものとメタノ
ールなどの炭化水素を燃料とするものがあるが、特に限
定されることなく用いることができる。
【0106】また、リン酸型燃料電池にも好適である。
【0107】さらに、本発明の電極触媒層を用いた燃料
電池の用途としては、特に限定されることなく考えられ
るが、固体高分子型燃料電池において有用な用途である
移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、乗用
車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道なども好
ましい移動体である。
【0108】
【実施例】以下本発明の詳細を実施例を用いてさらに説
明する。
【0109】実施例1 (1)導電性シートの作成 長い方の繊維状導電性物質として繊維長12mm、短い
方の繊維状導電性物質として繊維長3mmにそれぞれカ
ットしたPAN系炭素繊維(それぞれ、長い繊維長の炭
素繊維、短い繊維長の炭素繊維)を、膨張黒鉛粉末(東
洋炭素(株)製、かさ密度0.14g/cm3、平均粒
径100乃至200μm)とを用いた。長い繊維長の炭
素繊維:短い繊維長の炭素繊維:膨張黒鉛を重量比で4
0:10:50に混合し、0.5重量%ナトリウムカル
ボキシメチルセルロース水溶液中に分散した。この分散
液を用い、長い繊維長と短い繊維長を混合した炭素繊維
に膨張黒鉛粉末が付着したシートを金網(100メッシ
ュ)上に抄造した。水分を除去する目的で、シートを2
枚の濾紙に挟み軽く加圧した。その後、濾紙を外してシ
ートを乾燥した。乾燥後、シートをロールプレスし、多
孔質導電性シートを製造(60g/cm2)した。
【0110】(2)電極基材の作成 前記(1)で作成した多孔質導電シートを空気中で20
0℃、30分の熱処理を行った後、PFAディスパージ
ョン(ネオフロンPFAディスパージョン、ダイキン工
業株式会社製)を含浸し、2枚の濾紙に挟んで軽く加
圧、乾燥した。さらにこのシートを、14.7kPa
(0.15kgf/cm2)で加圧しながら400℃、
3時間の熱処理を行い、多孔質導電シートを製造した。
PFAの付き量は15%であった。
【0111】得られた電極基材のSEM観察により、繊
維状導電性物質の繊維長を測定した。長い繊維長をL
a,短い繊維長をLbとするとLa/Lb=4であっ
た。
【0112】(3)電極触媒層の作成 市販のAldrich社製Nafion溶液(5重量%)を濃縮し1
0重量%とした。触媒担持カーボン(触媒;Pt、カー
ボン;Cabot社製VulcanXC-72、白金担持量;50wt
%)を加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物からなる
電極触媒層塗液を調製した。
【0113】前記(2)で作成した電極基材上に、前記
(3)で調製した電極触媒層塗液を塗布、乾燥し、電極
基材と電極触媒層とから構成される電極を作成した。得
られた電極は、白金付き量0.5mg/cm2、Nafion
の付き量0.3mg/cm2であった。
【0114】(4)膜−電極複合体(MEA) 前記(3)において作成した電極を2枚用意し、プロト
ン交換膜(DuPont社製ナフィオン112)の両側
から電極触媒層面を対向させて狭持した。これを150
℃、150MPaでホットプレスを行い、MEAを作成
した。
【0115】(5)MEAの燃料電池性能評価 前記(4)において作成したMEAは、電流−電圧(I
−V)測定により燃料電池性能評価を行った。評価セル
温度は70℃、アノード(燃料)ガスを水素、カソード
(酸化)ガスを空気、ガス圧力は常圧において最高出力
450mW/cm2であり良好な性能を示した。
【0116】実施例2 (1)導電性シートの作成 長い方の繊維状導電性物質として繊維長12mm、短い
方の繊維状導電性物質として繊維長を1mmにそれぞれ
カットしたPAN系炭素繊維(それぞれ、長い繊維長の
炭素繊維、短い繊維長の炭素繊維)を、膨張黒鉛粉末
(東洋炭素(株)製、かさ密度0.14g/cm3、平
均粒径100乃至200μm)とを用いた。長い繊維長
の炭素繊維:短い繊長の炭素繊維:膨張黒鉛を重量比で
40:10:50に混合し、1重量%ポリビニルアルコ
ール水溶液に分散した。この分散液を用い、長い繊維長
と短い繊維長を混合した炭素繊維に膨張黒鉛粉末が付着
したシートを金網(150メッシュ)上に抄造した。水
分を除去する目的で、シートを2枚の濾紙に挟み軽く加
圧した。その後、濾紙を外してシートを乾燥した。乾燥
後、シートをロールプレスし、導電性シートを製造(6
0g/cm2)した。
【0117】(2)電極基材の作成 前記(1)で作成した多孔質導電シートを空気中で20
0℃、30分の熱処理を行った後、PTFEディスパー
ジョン(ポリフロンPTFEディスパージョン、ダイキ
ン工業株式会社製)を含浸し、2枚の濾紙に挟んで軽く
加圧、乾燥した。さらにこのシートを、14.7kPa
(0.15kgf/cm2)で加圧しながら400℃、
3時間の熱処理を行い、多孔質導電シートを製造した。
PTFEの付き量は30%であった。
【0118】得られた電極基材のSEM観察により、繊
維状導電性物質の繊維長を測定した。長い繊維長をL
a,短い繊維長をLbとするとLa/Lb=12であっ
た。
【0119】(3)電極触媒層の作成 市販のAldrich社製Nafion溶液(5重量%)を濃縮し1
0重量%とした。触媒担持カーボン(触媒;Pt、カー
ボン;Cabot社製VulcanXC-72、白金担持量;50wt
%)を加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物からなる
電極触媒層塗液を調製した。
【0120】前記(2)で作成した電極基材上に、前記
(3)で調製した電極触媒層塗液を塗布、乾燥し、電極
基材と電極触媒層とから構成される電極を作成した。得
られた電極は、白金付き量0.5mg/cm2、Nafion
の付き量0.3mg/cm2であった。
【0121】(4)膜−電極複合体(MEA) 前記(3)において作成した電極を2枚用意し、プロト
ン交換膜(DuPont社製ナフィオン112)の両側
から電極触媒層面を対向させて狭持した。これを150
℃、150MPaでホットプレスを行い、MEAを作成
した。
【0122】(5)MEAの燃料電池性能評価 前記(4)において作成したMEAは、電流−電圧(I
−V)測定により燃料電池性能評価を行った。評価セル
温度は70℃、アノード(燃料)ガスを水素、カソード
(酸化)ガスを空気、ガス圧力は常圧において最高出力
400mW/cm2であり良好な性能を示した。
【0123】比較例1 (1)導電性シートの作成 繊維状導電性物質として繊維長を1mmにカットしたP
AN系炭素繊維を、膨張黒鉛粉末(東洋炭素(株)製、
かさ密度0.14g/cm3、平均粒径100乃至20
0μm)とを用いた。炭素繊維:膨張黒鉛を重量比で5
0:50に混合し、1重量%ポリビニルアルコール水溶
液に分散した。この分散液を用い、長い繊維長と短い繊
維長を混合した炭素繊維に膨張黒鉛粉末が付着したシー
トを金網(150メッシュ)上に抄造した。水分を除去
する目的で、シートを2枚の濾紙に挟み軽く加圧した。
その後、濾紙を外してシートを乾燥した。乾燥後、シー
トをロールプレスし、導電性シートを製造(50g/c
2)した。
【0124】(2)電極基材の作成 前記(1)で作成した多孔質導電シートを空気中で20
0℃、30分の熱処理を行った後、PFAディスパージ
ョン(ネオフロンPFAディスパージョン、ダイキン工
業株式会社製)を含浸し、2枚の濾紙に挟んで軽く加
圧、乾燥した。さらにこのシートを、14.7kPa
(0.15kgf/cm2)で加圧しながら400℃、
3時間の熱処理を行い、多孔質導電シートを製造した。
PFAの付き量は15%であった。
【0125】(3)電極触媒層の作成 市販のAldrich社製Nafion溶液(5重量%)を濃縮し1
0重量%とした。触媒担持カーボン(触媒;Pt、カー
ボン;Cabot社製VulcanXC-72、白金担持量;50wt
%)を加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物からなる
電極触媒層塗液を調製した。
【0126】前記(2)で作成した電極基材上に、前記
(3)で調製した電極触媒層塗液を塗布、乾燥し、電極
基材と電極触媒層とから構成される電極を作成した。得
られた電極は、白金付き量0.5mg/cm2、Nafion
の付き量0.3mg/cm2であった。
【0127】(4)膜−電極複合体(MEA) 前記(3)において作成した電極を2枚用意し、プロト
ン交換膜(DuPont社製ナフィオン112)の両側
から電極触媒層面を対向させて狭持した。これを150
℃、150MPaでホットプレスを行い、MEAを作成
した。
【0128】(5)MEAの燃料電池性能評価 前記(4)において作成したMEAは、電流−電圧(I
−V)測定により燃料電池性能評価を行った。評価セル
温度は70℃、アノード(燃料)ガスを水素、カソード
(酸化)ガスを空気、ガス圧力は常圧において最高出力
250mW/cm2であり実施例1に比べて劣った性能で
あった。
【0129】実施例3 (1)導電性シートの作成 繊維状導電性物質として長い繊維長を長さ12mmから
短い繊維長の長さ1mmまで分布を持ったPAN系炭素
繊維を、膨張黒鉛粉末(東洋炭素(株)製、かさ密度
0.14g/cm3、平均粒径100乃至200μm)
とを用いた。炭素繊維:膨張黒鉛を重量比で40:1
0:50に混合し、1重量%ポリビニルアルコール水溶
液に分散した。この分散液を用い、長い繊維長と短い繊
維長を混合した炭素繊維に膨張黒鉛粉末が付着したシー
トを金網(150メッシュ)上に抄造した。水分を除去
する目的で、シートを2枚の濾紙に挟み軽く加圧した。
その後、濾紙を外してシートを乾燥した。乾燥後、シー
トをロールプレスし、導電性シートを製造(50g/c
2)した。
【0130】(2)電極基材の作成 前記(1)で作成した多孔質導電シートを空気中で20
0℃、30分の熱処理を行った後、PFAディスパージ
ョン(ネオフロンPFAディスパージョン、ダイキン工
業株式会社製)を含浸し、2枚の濾紙に挟んで軽く加
圧、乾燥した。さらにこのシートを、14.7kPa
(0.15kgf/cm2)で加圧しながら400℃、
3時間の熱処理を行い、多孔質導電シートを製造した。
PFAの付き量は20%であった。
【0131】得られた電極基材のSEM観察により、繊
維状導電性物質の繊維長を測定した。繊維長の平均Aは
6mm、標準偏差σは3であり、A/σ=2であった。
【0132】(3)電極触媒層の作成 市販のAldrich社製Nafion溶液(5重量%)を濃縮し1
0重量%とした。触媒担持カーボン(触媒;Pt、カー
ボン;Cabot社製VulcanXC-72、白金担持量;50wt
%)を加え、良く攪拌して触媒−ポリマ組成物からなる
電極触媒層塗液を調製した。
【0133】前記(2)で作成した電極基材上に、前記
(3)で調製した電極触媒層塗液を塗布、乾燥し、電極
基材と電極触媒層とから構成される電極を作成した。得
られた電極は、白金付き量0.5mg/cm2、Nafion
の付き量0.3mg/cm2であった。
【0134】(4)膜−電極複合体(MEA) 前記(3)において作成した電極を2枚用意し、プロト
ン交換膜(DuPont社製ナフィオン112)の両側
から電極触媒層面を対向させて狭持した。これを150
℃、150MPaでホットプレスを行い、MEAを作成
した。
【0135】(5)MEAの燃料電池性能評価 前記(4)において作成したMEAは、電流−電圧(I
−V)測定により燃料電池性能評価を行った。評価セル
温度は70℃、アノード(燃料)ガスを水素、カソード
(酸化)ガスを空気、ガス圧力は常圧において最高出力
420mW/cm2であり良好な性能を示した。
【0136】
【発明の効果】本発明においては、繊維状導電性物質を
構成材とする導電シートは、従来のように繊維長の同じ
導電性物質を用いず、異なった繊維長の導電性物質を組
み合わせることで、シートの嵩密度が増し、さらに空隙
率が低下するという効果が発現できる。本発明の導電シ
ートは、電極および膜−電極複合体に適用されるほか、
通常の電気化学装置、特に固体高分子型燃料電池にも適
用され、この燃料電池を用いた移動体や自動車にも適用
されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/96 H01M 4/96 M 8/08 8/08 8/10 8/10 Fターム(参考) 5G301 BA03 5H018 AA06 BB01 DD06 EE02 EE03 EE04 EE05 EE10 HH03 HH04 HH05 5H026 AA06 CX02 EE02 EE05 EE18 HH01 HH04 HH05

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状導電性物質を主たる構成材とする
    多孔質構造のシート状物であって、該繊維状導電性物質
    が異なった繊維長の組み合わせのものであることを特徴
    とする導電シート。
  2. 【請求項2】 前記異なった繊維長の組み合わせにおい
    て、長い方の繊維状導電性物質の繊維長をLa、短い方
    の繊維状導電性物質の繊維長をLbとする場合、下式を
    満たすものである請求項1記載の導電シート。 2≦La/Lb≦1000
  3. 【請求項3】 長い方の繊維状導電性物質の繊維長をL
    a、短い方の繊維状導電性物質の繊維長をLbとする場
    合、La≧3mm、0.02mm≦Lb≦3mmである
    請求項1または2に記載の導電シート。
  4. 【請求項4】繊維数の最も多い繊維状導電性物質の繊維
    長をL1、2番目に多い繊維の繊維長をL2としたと
    き、L1とL2のいずれかがLa、残りがLbである請
    求項2または3に記載の導電シート。
  5. 【請求項5】前記繊維状導電性物質について、全測定繊
    維数をNtとして、Ntのうち、請求項2に記載の式の
    関係を満足する繊維数をNabとしたとき、以下の式を満
    足する請求項2〜4のいずれかに記載の導電シート。 Nab/Nt≧0.2
  6. 【請求項6】 繊維状導電性物質の平均繊維長をA、標
    準偏差をσとする場合、下式を満たすものである請求項
    1〜3のいずれかに記載の導電シート。 A/σ≦3
  7. 【請求項7】以下の式を満たすものである請求項2〜6
    のいずれかに記載の導電シート。 Mv/Mt≧0.1 ここで、繊維対:長い方の繊維状導電性物質と短い方の
    繊維状導電性物質を 1対1で対
    応させた組み合わせ。 Mv:繊維長を計測した繊維状導電性物質のうち請求項
    2に記載 の式を満たす繊維対の
    組み合わせの数。 Mt:繊維長を計測した全繊維状導電性物質について、
    繊維対の 組み合わせの総数。
  8. 【請求項8】 不織構造を有する繊維状導電性物質から
    構成されるものである請求項1〜7のいずれかに記載の
    導電シート。
  9. 【請求項9】 繊維状導電性物質が炭素繊維である請求
    項1〜8のいずれかに記載の導電シート。
  10. 【請求項10】 該炭素繊維がポリアクリロニトリルあ
    るいはピッチを焼成して得られるものである請求項9に
    記載の導電性シート。
  11. 【請求項11】 繊維状導電性物質が、金属、半金属、
    これらの化合物およびこれらの混合物から選ばれる一種
    以上のものを成分として含むものである請求項1〜10
    のいずれかに記載の導電シート。
  12. 【請求項12】 繊維状導電性物質が、炭素繊維と、金
    属あるいは半金属の混合物質である請求項1〜11のい
    ずれかに記載の導電シート。
  13. 【請求項13】 金属が、ステンレススチール、チタ
    ン、クロム、ニッケル、モリブデン、ルテニウム、ロジ
    ウム、タンタル、イリジウム、白金、金から選ばれる一
    種以上の金属および金属の合金ならびにこれらの化合物
    を必須成分とするものである請求項11または12に記
    載の導電シート。
  14. 【請求項14】 繊維状導電性物質に加えて、粒子状の
    導電性物質を含むものである請求項1〜13のいずれか
    に記載の導電シート。
  15. 【請求項15】 空隙率が60%以上95%以下である
    請求項1〜14のいずれかに記載の導電性シート。
  16. 【請求項16】 嵩密度が0.05g/cm3以上0.8
    g/cm3以下である請求項1〜15のいずれかに記載
    の導電性シート。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかに記載の導
    電シートを用いた電極基材と電極触媒層からなる電極。
  18. 【請求項18】請求項17に記載の電極と固体電解質を
    有してなる膜−電極複合体。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載の電極を用いた電気
    化学装置。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の膜−電極複合体を
    用いた電気化学装置。
  21. 【請求項21】 請求項17に記載の電極を用いた燃料
    電池。
  22. 【請求項22】 電解質が固体高分子型である請求項2
    1記載の燃料電池。
  23. 【請求項23】 電解質がリン酸型である請求項21記
    載の燃料電池。
  24. 【請求項24】 請求項21〜23記載の燃料電池を電
    力供給源とする移動体。
  25. 【請求項25】 請求項21〜23記載の燃料電池を電
    力供給源とする自動車。
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