JP2011056668A - 導電性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】カレンダー成形、押出成形のような溶融賦形法による成形方法から得られるシートでも良好な導電性を発揮し、かつインレイド調とは異なる意匠を有する導電性シートを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対して、導電性繊維2を20〜100重量部と粒子3を20〜100重量部含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融賦形法により成形してなり、上記粒子3が成形中に形状を保持する導電性シート1であって、上記粒子3は公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き106μmのふるいを通過せず、粒子3が球形、円柱形などの立体形状の場合は短径と長径の比が1:1〜1:5であり、粒子3が板状、フィルム状などの扁平な形状の場合は短径と長径の比が1:5〜1:100であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、IT工場、病院の手術室、コンピューター室等の静電気による障害(電算機の誤作動、塵埃の付着等)を防止するために使用する導電性シートに関する。
導電性シートに関する検討は多くなされている。例えば、熱可塑性樹脂に導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ等の導電性酸化物を70〜90重量%含有させたシートとカーボン繊維層を積層したシートが提案されている(特許文献1)。このシートは表面抵抗が10〜10Ωと電気性能に優れたものである。また、導電性繊維を含有した導電性樹脂ペーストを海成分とし導電性または非導電性チップを島成分とした導電性シートが提案されている(特許文献2)。このシートは電気性能に優れ、海成分と島成分の色調を変えることができるため意匠性に富んだものである。
特開昭60−6454 特開平4−289373
しかしながら、特許文献1のシートは、多量の導電性酸化物を含有するためシート成形時の加工性が劣っている。特許文献2のシートは、導電性繊維を含有した導電性樹脂ペーストをコーティング加工しその上に合成樹脂ペレットを散布し押圧・固化させるので生産性(生産速度)が劣っているうえ、海島構造とした場合、意匠はインレイド調に限られたものとなり表面状態が均一なシートは得られないものであった。また、導電性樹脂ペーストと合成樹脂ペレットをカレンダー成形、押出成形のような溶融賦形法による成形方法で行うと導電性樹脂ペーストと合成樹脂ペレットはともに成形加工温度で溶融し均一になり、溶融した樹脂と共に導電性繊維も成形方向に配向するため、導電性繊維同士のつながりが少なくなり電気性能が劣るという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、カレンダー成形、押出成形のような溶融賦形法による成形方法から得られるシートでも良好な導電性を発揮し、かつインレイド調とは異なる意匠を有する導電性シートを提供することである。
上記目的を達成する本発明の導電性シートは、熱可塑性樹脂100重量部に対して、導電性繊維20〜100重量部と粒子A20〜100重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融賦形法により成形してなり、上記粒子Aは公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き106μmのふるいを通過せず、上記溶融賦形法による成形中に粒子Aが形状を保持していることを特徴とする導電性シートとしたことであり(請求項1)、上記粒子Aの短径と長径の比が1:1〜1:5であること(請求項2)、または上記粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100であること(請求項3)を特徴としたことである。また、導電性材料を含有する導電基材層に、上記の導電性シートを表面層として積層した複層導電性シートとすることもできる(請求項4)。
本発明の導電性シートは、熱可塑性樹脂100重量部に対して、導電性繊維20〜100重量部と粒子A20〜100重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融賦形法により成形してなり、上記粒子Aが上記溶融賦形法による成形中に溶融することなく形状を保持している導電性シートとしたことにより、粒子Aの近傍では、導電性繊維の流れ方向が変化し、絡み合う状態になるので導電性繊維同士がより繋がり易くなり良好な電気性能が得られる。粒子Aの大きさは公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き106μmのふるいを通過しないものとし、短径と長径の比が1:1〜1:5または1:5〜1:100となる形状とすることで、電気性能がより向上する。また溶融賦形法による成形を行うためシート表面がインレイド調ではなく均一な状態となるものであり、カーボンブラックと比較して淡色な導電性繊維を用いることができるため任意に着色することが可能である。
本発明の導電性シートの1実施形態を示す拡大断面図。 短径と長径の比が1:1である粒子Aのイメージを示す図。(a)は斜視図、(b)は平面図。 短径と長径の比が1:5である粒子Aのイメージを示す図。(c)は斜視図、(d)は平面図。 短径と長径の比が1:100である粒子Aのイメージを示す図。(e)、(f)は斜視図。
本発明の導電性シートは、熱可塑性樹脂、導電性繊維、粒子Aを含有してなる熱可塑性樹脂組成物を溶融賦形法により成形して得られるものである。
本発明で云う溶融賦形法とは、熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し混練して賦形後冷却固化する成形方法で、押出成形、カレンダー成形、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形等が挙げられる。加熱溶融混練の過程を含まないペースト等液状樹脂のコーティング法、粉体樹脂の焼結法は含まない。これらコーティング法、焼結法では電気特性の向上は図れない。
本発明では、導電性繊維、粒子Aを含有しているため加工性を考慮すると、溶融賦形法の中でも、押出成形、カレンダー成形が好ましい。
溶融賦形法の成形によって熱可塑性樹脂は溶融し、その熱可塑性樹脂中に導電性繊維、粒子Aが存在している状態である。成形時に熱可塑性樹脂の流動の影響を受けて熱可塑性樹脂とともに導電性繊維は成形方向に配向しようとするが、熱可塑性樹脂の成形温度では粒子Aは流動せず、導電性繊維の配向を阻害する作用を及ぼす。この効果により導電性繊維は図1のように互いに繋がり、表面抵抗値、体積固有抵抗値等の電気特性が向上する。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、エチレンプロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、スチレン系共重合体[例えば、スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体(SES)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等]、水素添加スチレン系共重合体[例えば、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)等]、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等が挙げられる。これらを1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用する導電性繊維としては、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維等の各種金属の繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられ、さらにこれらの表面をインジウムドープ酸化スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等の導電性材料で被覆されたものも使用することができる。また、ガラス繊維、ポリエステル繊維等の繊維の材質自体には導電性を持たない繊維にITO、ATO等の導電性材料を被覆したものも使用できる。これらを1種、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。取り扱い性、加工性の面から導電性繊維はステンレス繊維、炭素繊維が好ましい。
導電性繊維は、繊維径0.005〜1mm、繊維長さ0.1〜5mm、アスペクト比(繊維長さ/繊維径)5〜1000のものが使用でき、成形加工中での分散性、絡み易さの面から繊維径0.01〜0.1mm、繊維長さ0.5〜2mm、アスペクト比20〜200のものが好ましい。導電性繊維の絡み易さの面から形状は湾曲しているものが好ましい。
導電性繊維の添加量は20〜100重量部であり、20重量部未満であると導電性繊維同士の繋がりが少なくなるため導電性が劣り、100重量部を超えると加工性が悪くなる。導電性繊維の添加量は、導電性、加工性の面から30〜80重量部が好ましい。
本発明でいう粒子Aとは、本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物の溶融賦形法による成形中に形状、大きさをほぼ保持している粒子のことであり、形状、大きさが多少変化してもよい。例えば、長径が1mmで厚さ20μmの鱗片状粒子が成形加工中に折れ曲がる程度であれば粒子Aであるが、成形加工中に溶融してしまい導電性繊維よりも大きさが小さくなるものは粒子Aには該当しない。
粒子Aとしては、前述した本発明に用いられる熱可塑性樹脂と同種のものからなる粒子、架橋された樹脂(例えば、架橋塩化ビニル樹脂、部分架橋アクリル樹脂、完全架橋アクリル樹脂等)からなる粒子、ゴム(天然ゴム、NBR、SBR、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム等)からなる粒子、加硫したゴムからなる粒子、ポリエステルチップ等の合成樹脂製チップ、木粉などが挙げられ、熱可塑性樹脂との密着性の面から好ましくは熱可塑性樹脂と組成的に近似した成分のものがよい。例えば、熱可塑性樹脂として、塩化ビニル樹脂100重量部(重合度700)に可塑剤のDOP50〜70重量部を添加した塩化ビニル系樹脂(1)を使用する場合、粒子Aとしては、塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に可塑剤のDOP20〜30重量部を添加した塩化ビニル系樹脂(2)から得られる粒子が好適に使用できる。塩化ビニル系樹脂(1)の成形加工温度は150〜160℃であり、この温度では成形温度が180〜190℃である塩化ビニル系樹脂(2)は成形中に溶融しづらく形状を保持することができる。
また、熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂の場合、粒子Aとしては、架橋塩化ビニル樹脂からなる粒子、ポリエステル系の樹脂からなる粒子がよい。ポリエステル系の樹脂からなる粒子は、ポリ塩化ビニル系樹脂の加工温度において溶融せず、また任意の粒子径に容易に粉砕することができるため、導電性繊維の配向を阻害し導電性を向上しかつ導電性シートの表面に顕著に露出し外観不良とならない最適な粒子径をもった粒子Aを簡便に製造することができる。さらに、ポリエステル系の樹脂からなる粒子は、任意に着色することができ本発明の導電性シートの意匠性を向上させることが可能となる。以上の点からポリエステル系の樹脂からなる粒子は、粒子Aとして好適に用いることができる。
このように粒子Aは、ベースとなる熱可塑性樹脂の成形温度で溶融しないものを選定する必要がある。
粒子Aの大きさは、JIS Z 8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定される公称目開き1mmを通過し、公称目開き106μmを通過しないものがよい。公称目開き106μmを通過するもの(公称目開き106μmよりも小さいもの)では導電性繊維の向きを変え難くなり、公称目開き1mmを通過しないもの(公称目開き1mmより大きいもの)ではシート表面に粒子Aによる凹凸が発生し外観を損ねてしまう可能性がある。
このように粒子Aは、その近傍において導電性繊維の成形方向への配向を乱し、導電性繊維の絡み合いを形成させるために添加されるものである。また、粒子Aが大きすぎると外観不良を起こすこととなる。このような粒子Aの作用は導電性シートの厚み寸法に対する粒子Aの大きさが影響すると考えられるため、導電性繊維の絡み合い効果と導電性シートの外観を考慮すると、導電性繊維および粒子Aを含有する熱可塑性樹脂層の厚みに対し、粒子Aの長径を20〜350%とすることが好ましい。
粒子Aの形状は球形、円柱形、円錐形、多角柱状、多面体、板状、フィルム状、不定形など特に限定されることはない。粒子Aの短径と長径の比が1:1〜1:5となる場合、粒子Aの形状は図2、3に示すような球形、円柱形、多面体など立体形状であり、短径と長径の比が1:5〜1:100となる場合、粒子Aの形状は図3、4に示すような板状、フィルム状、鱗片状など扁平な形状である。
ここで、粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100であり、粒子Aが扁平な形状となる場合、粒子Aが導電性繊維および粒子Aを含有する熱可塑性樹脂層において層状に位置することがあり、この層状に位置した粒子Aによって、粒子Aの層間の導電性繊維の繋がりが断絶されるおそれがある。したがって、この場合、粒子Aの長径が大きくなる(公称目開き1mmを通過しないもの)と導電性が低下する要因となる。
粒子Aの添加量は20〜100重量部がよい。20重量部未満の場合は導電性繊維の配向を阻害する部分が少ないため導電性繊維の絡んでいる部分が少なくなることで電気性能が劣り、100重量部を超えると加工性が悪くなる。粒子Aの短径と長径の比が1:1〜1:5である場合、電気性能、加工性の面から好ましくは30〜80重量部である。粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100である場合、粒子がかさ高く見かけ比重が小さくなることから、短径と長径の比が1:1〜1:5の場合よりも添加量を少なくすることができ、また70重量部を超えると加工性が低下する傾向にあるため30〜70重量部が好ましい。
粒子Aには電気性能を向上させるために導電性高分子(ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等)、ITO、ATO等の導電性材料を被覆することもできる。
本発明の導電性シートは導電性繊維および粒子Aを含有する熱可塑性樹脂を溶融賦形法により成形するため、シート表面はインレイド調にはならず均一な状態となる。また導電性材料にはカーボンブラックなどの黒色単色となってしまう材料ではなく淡色な導電性繊維を用いることができるため、ベース樹脂を任意に着色することが可能である。粒子Aをベース樹脂と同色にすることでシートの外観を単色にすることができ、逆に粒子Aをベース樹脂とは異なる色にすることで意匠性を向上させることもできる。なお、ここでいうベース樹脂とは、本発明に係る配合成分を含有した熱可塑性樹脂組成物から導電性繊維および粒子Aを除いた部分をいう。
本発明においては、導電性シートを表面層として、導電基材層と積層して複層導電性シートとすることもできる。ここで、上記導電基材層に配合される導電性材料は、カーボンブラック、ケッチェンブラック、帯電防止剤等があげられるが、少なくともカーボンブラック、ケッチェンブラック等を配合することが導電性の面から好ましい。
ここで、複層導電性シートとすることで、導電性シートの厚みを厚くすることが容易となる。すなわち本発明の単層の導電性シートにおいて、導電性シートの厚みを厚くすると表面から裏面までの通電経路が形成されにくくなる傾向にあり、この場合には、本発明の導電性シートと導電基材層を積層した複層導電性シートとすることで、厚みが厚く、意匠性、導電性、耐久性に優れたシートを得ることができる。概ね本発明の導電性シートの厚みを0.3mm以上とする場合には、上記のような複層導電性シートとすることが好ましい実施態様である。本発明の複層導電性シートは、耐久性を要求される用途、例えば建築用シート等に好適に用いられる。
さらに、導電基材層と表面層である導電性シートの層間に、ガラスクロスやポリエステル等の合成繊維や天然繊維からなる織布を積層する構造とすることもでき、この場合はシートの寸法安定性や強度が向上するという効果を奏する。
また、複層導電性シートの意匠性を向上させるために、表層である導電シート側にエンボスを施すことができる。
本発明の導電性シートには性能を害さない範囲で可塑剤、顔料、各種充填材(炭酸カルシウム、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム等)、各種安定剤(光安定剤、加工助剤、帯電防止剤等)を添加することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。表1は本発明に係る導電性シートを形成する配合成分を示し、表2は比較例として配合成分を示す。表3は本発明の導電性シートを積層する場合に導電基材層を形成する配合成分を示す。配合成分の配合割合を示す数字の単位は、重量部である。
Figure 2011056668


Figure 2011056668
Figure 2011056668
なお、表1〜2に示す各配合成分は以下のものを使用した。
<熱可塑性樹脂>
(1)PVC 品名:TH−1000(P=1000) 大洋塩ビ(株)製
<導電性繊維>
(2)炭素繊維 (径:0.013mm 長さ:0.7mm)
(3)ステンレス繊維 (径:0.010mm 長さ:0.2mm)
<粒子>
(4)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:1〜1:5であり、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過しないもの。)
(5)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:5〜1:100であり、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過しないもの。)
(6)粒子: 厚み0.3mmのPVC製シート[PVC樹脂(P=1300)100重量部、DOP30重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなる配合 成形加工温度:200℃]を粉砕機で粉砕して得られた不定形粒子のうち、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過せず、短径と長径の比が1:1〜1:5であるもの。
(7)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:1〜1:5であり、公称目開き1.18mmのふるいを通過し公称目開き1mmのふるいを通過しないもの。)
(8)粒子: ポリエステルチップ (短径と長径の比が1:50〜1:150であり、公称目開き2.8mmのふるいを通過し公称目開き1mmのふるいを通過しないもの。)
(9)粒子: 厚み0.3mmのPVC製シート[PVC樹脂(P=1000)100重量部、DOP50重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなる配合 成形加工温度:160℃]を粉砕機で粉砕して得られた不定形粒子のうち、公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き180μmのふるいを通過せず、短径と長径の比が1:1〜1:5であるもの。
<実施例1>
表1に示すNo.1の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
<実施例2>
表1に示すNo.2の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.4mmの導電性シートを得た。
<実施例3>
表1に示すNo.3の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.3mmの導電性シートを得た。
<実施例4>
表1に示すNo.4の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.6mmの導電性シートを得た。
<実施例5>
表1に示すNo.5の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
<実施例6>
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.6mmの導電基材層を得、さらに表1に示すNo.6の配合組成を180℃の温度で0.4mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層導電性シートを得た。
<実施例7>
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表1に示すNo.7の配合組成を180℃の温度で0.5mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層導電性シートを得た。
<比較例1>
表2に示すNo.8の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
<比較例2>
表2に示すNo.9の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
<比較例3>
表2に示すNo.10の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.5mmの導電性シートを得た。
<比較例4>
表2に示すNo.11の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.4mmの導電性シートを得た。
<比較例5>
表2に示すNo.12の配合組成を180℃の温度でカレンダー成形して、幅1900mm、厚み0.3mmの導電性シートを得た。
<比較例6>
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表2に示すNo.13の配合組成を180℃の温度で0.4mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層シートを得た。
<比較例7>
表3に示す配合組成を180℃の温度でカレンダー成形し、幅1500mm、厚み1.5mmの導電基材層を得、さらに表2に示すNo.14の配合組成を180℃の温度で0.5mmにカレンダー成形すると共に得られた上記シートの上に積層して幅1500mm、厚み2.0mmの積層シートを形成した。形成した当該シートに200メッシュのエンボス模様を施し、複層シートを得た。
実施例及び比較例における各導電性シートの評価は、電気性能、加工性、密着性について以下の方法、基準で行った。その結果を表4、表5に示す。
[電気性能]
電気性能の試験はIEC 61340−4−1に準じた方法で行い、以下の基準で評価した。
◎:印加電圧10Vで測定し、体積抵抗値が1.0×10Ω以上、1.0×10Ω未満。
○:印加電圧10Vで測定し、体積抵抗値が1.0×10Ω以上、1.0×10Ω未満。
△:印加電圧100Vで測定し、体積抵抗値が1.0×10Ω以上、1.0×1010Ω未満。
×:印加電圧100Vで測定し、体積抵抗値が1.0×1010Ω以上。
[加工性]
加工性は、カレンダー成形状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:バンク回りが安定し、加工上問題がない。
△:バンク回りがやや不安定であるが加工上問題にならない。
×:バンク回りが不安定であり、加工上問題である。
[外観]
シート外観は、成形したシートにプレス加工を施したものを目視で観察し、以下の基準で評価した。ただし実施例6、7、比較例6、7についてはエンボス加工を施すため、プレス加工は施さないものとした。
○:表面が均一で粒子由来の凹凸がない状態。
△:表面に粒子由来の凹凸が部分的にある状態。
×:表面全体に粒子由来の凹凸が広く発生している状態。
[密着性]
粒子とベース樹脂との密着性は、成形したシートを180°に折り曲げた時のシートの折り目部分に発生する粒子周辺の割れについて目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、ベース樹脂についての説明は段落0019に記載している。
○:割れが発生しない
△:割れが少し見られる
×:大きな割れが見られる
Figure 2011056668
Figure 2011056668
表4、表5から実施例1の方が比較例1よりも電気性能が良いことが理解される。 比較例1は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維10重量部、粒子A60重量部を含有しているが、導電性繊維の添加量が少ないため電気性能が悪い。実施例1は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維30重量部、粒子A60重量部を含有しており導電性繊維の添加量が適正範囲である効果である。
表4、表5から実施例3の方が比較例3よりも電気性能が良いことが理解される。比較例3は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維30重量部、粒子A10重量部を含有しているが、粒子Aの添加量が少ないため電気性能が悪い。実施例3は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維100重量部、粒子A70重量部を含有しており粒子Aの添加量が適正範囲である効果である。
表4、表5から実施例2の方が比較例4よりも加工性が良いことが理解される。比較例4は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維70重量部、粒子A110重量部を含有しているが、短径と長径の比が1:5〜1:100である粒子Aの添加量が多すぎるため加工性が悪い。実施例2は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維20部、粒子A40部を含有しており導電性繊維および粒子Aの添加量が適正範囲である効果である。
表4、表5から実施例5の方が比較例5よりもシート表面の外観が良いことが理解される。比較例5は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維60重量部、(7)粒子30部を含有しているが、粒子[(7)粒子は粒子Aには該当しない]の大きさが層厚み0.3mmに対し393%であることによりシート表面に大きく凹凸ができてしまい外観が悪い。実施例5は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維40重量部、粒子A80重量部を含有しており、粒子Aの長径が層厚み0.5mmに対し200%であるため粒子Aの大きさが適正範囲となる効果である。
表4、表5から実施例7の方が比較例7よりも電気性能が良いことが理解される。実施例7は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維50重量部、(6)粒子90重量部を含有し、比較例7は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維50重量部、(9)粒子90重量部を含有しており実施例、比較例とも熱可塑性樹脂、導電性繊維、粒子[比較例7では、(9)粒子は粒子Aには該当しない]の添加量は適正範囲である。しかし、比較例7で使用する(9)粒子の成形加工温度は160℃であり、配合No.14の成形加工温度は180℃であるため、成形加工中に(9)粒子が溶融してしまい熱可塑性樹脂の配向を阻害する物が存在しなくなる。そのため、導電性繊維の絡み合いが少なく電気性能が悪くなる。実施例7は粒子Aの組成が適正であるため形状及び大きさを保持しており、その結果電気性能が向上する。
表4、表5から実施例7の方が比較例4よりも粒子の密着性が良いことが理解される。比較例4は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維70重量部、粒子A110重量部を含有しているが、実施例7は熱可塑性樹脂100重量部、導電性繊維50重量部、粒子A90重量部を含有しておりさらに粒子Aに使用している樹脂が上記熱可塑性樹脂と近い成分であることからより密着性が向上することが分かる。
本発明の導電性シートは、カレンダー成形または押出成形により製造しても、良好な電気性能が得られるため、IT工場、病院の手術室、コンピューター室等で床、壁、間仕切り、テーブルトップ、トレーなどの用途に広範に使用することができる。
1 導電性シート
2 導電性繊維
3 粒子A
4 粒子Aの短径
5 粒子Aの長径

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対して導電性繊維20〜100重量部と粒子A20〜100重量部とを含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融賦形法により成形してなり、上記粒子Aは公称目開き1mmのふるいを通過し公称目開き106μmのふるいを通過せず、上記溶融賦形法による成形中に粒子Aが形状を保持していることを特徴とする導電性シート。
  2. 上記粒子Aの短径と長径の比が1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1に記載の導電性シート。
  3. 上記粒子Aの短径と長径の比が1:5〜1:100であることを特徴とする請求項1に記載の導電性シート。
  4. 導電性材料を含有する導電基材層に、請求項1から3のいずれかに記載の導電性シートを表面層として積層した複層導電性シート。
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