JP2004224829A - 導電性組成物、導電性成型品及び導電性塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性物質の含有量を極力おさえて、機械的特性の低下を抑えつつ、耐磨耗性の改善された低体積抵抗値及び電磁波シールド効果が再現性良く確保できる導電性組成物、成型品、導電性塗料を提供すること。
【解決手段】(a)樹脂バインダーに対して、(b)アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmの導電性繊維と(c)アスペクト比が10以下で平均粒子径が0.4μm〜100μmの微粒子を含有させる。
充填材の混練時や成形加工時の機械的シェアがかかったとき、(c)の微粒子は(b)の導電性繊維の移動を妨げ導電性繊維の配向を防止する作用をする。
【選択図】 図2
【解決手段】(a)樹脂バインダーに対して、(b)アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmの導電性繊維と(c)アスペクト比が10以下で平均粒子径が0.4μm〜100μmの微粒子を含有させる。
充填材の混練時や成形加工時の機械的シェアがかかったとき、(c)の微粒子は(b)の導電性繊維の移動を妨げ導電性繊維の配向を防止する作用をする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止材や電磁波遮蔽材などに用いられる導電性組成物、前記導電性組成物を用いた成型品及び前記導電性組成物を被膜形成成分とする導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、帯電防止や電磁遮蔽等の機能の付与された電子機器の筐体等を得る目的で、成型品の、特に表面に導電性を付与することが行われている。
【0003】
このように成型品に導電性を付与する方法としては、成型品を導電性組成物を用いて形成したり、成型品の表面に導電性フィルムを貼り付けたり、成型品表面へ導電性塗料を塗布したり、成型品表面に導電めっきを付与する等の方法が知られている。一般に、肉厚の薄い成型品については、導電性組成物を用いて成形する方法が、肉厚の厚い成型品や既成の成型品については表面に導電性フィルムを貼り付けたり、導電性塗料を塗布して導電性を付与する方法が用いられている。
【0004】
導電性組成物は、通常、ベースとなる樹脂組成物に、有機の帯電防止剤を配合したり、導電性高分子、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、炭素繊維、金属繊維あるいは酸化亜鉛ウィスカー等の導電材を混練する方法で得られており、導電性塗料はこのような導電性組成物を有機溶剤に、溶解または分散することにより得られている。
【0005】
しかしながら、ベースとなる樹脂組成物に帯電防止剤を配合する方法は、導電率をさほど高くすることができずに効果が不十分であり、特に電磁遮蔽効果が得られるほど導電率を高めることはできないという問題がある。
【0006】
また、ベースの樹脂に微粒子状の導電材を配合する方法では、導電性が導電材どうしの接触により付与されるため、必要な導電性を得るためには導電材を多量に配合する必要があって、成型品の機械的な特性が低下したり、摩擦により成型品表面から導電材が剥落するという問題がある。また、導電材として導電性繊維を配合する方法では、導電性繊維自体により成型品内に長い導電路が形成され、導電材の配合量を微粒子状の導電材の場合よりも少なくすることができる利点があるが、比較的薄肉の成型品の場合には、成形時に繊維状の導電材が組成物の流れの方向に配向されて導電材相互の接触が得られなくなるという問題がある。
【0007】
導電材を配合した導電性塗料の場合にも、高い導電率を得るためには、導電材の配合量が多くなって塗膜の機械的な特性が低下するという問題があり、導電性繊維を配合した場合には、塗布の際に塗布方向に繊維状の導電材が配向して繊維相互の接触が少なくなって、高い導電率が得られないという問題がある。
【0008】
また、特許文献1には、酸化亜鉛ウィスカーと金属被覆繊維及び酸化チタンとの複合系を用いた外観および着色性に優れた電磁波遮蔽用組成物の発明が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−129148号公報
【0010】
しかしながらこの発明は、樹脂の着色や意匠性を改善することを目的としており、酸化亜鉛ウィスカーの配合により得られる導電率に対する酸化チタンの影響については何も検討されておらず、酸化亜鉛ウィスカーの平均短軸経と酸化チタンの平均粒径との関係についても検討がなされていない。
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明は、上記した従来の導電性組成物の問題点を解消すべく鋭意研究を進めたところ、導電性繊維と粒子状の充填材のアスペクト比と両者の配合割合を適当に選定することにより、粒子状の充填材が導電性繊維の絡み合いを助長して成形時の導電性繊維の配向を抑制し、全体として少ない配合量で、安定した高い導電率を有する成型品が得られることを見出だした。
【0012】
本発明は、かかる知見に基いてなされたもので、導電性物質の含有量を極力おさえて、機械的特性の低下を抑えつつ、耐磨耗性を改善するとともに、組成物内部における導電性物質の相互に連結した状態を実現させ、低体積抵抗値及び電磁波シールド効果を再現性良く確保できる導電性組成物、成型品及び導電性塗料を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性組成物は、(a)樹脂バインダー100容量部に対して、(b)アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmの導電性繊維1〜100容量部および(c)アスペクト比が10以下で平均粒子径が0.4μm〜100μmの微粒子10〜800容量部を含有し、かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.1〜10倍であることを特徴としている。
【0014】
本発明の導電性組成物は、(a)樹脂バインダー100容量部に対して、(b)アスペクト比が300以上で平均短軸径が0.5μm〜30μmの導電性繊維5〜50容量部および(c)アスペクト比が7以下で平均粒子径が1μm〜80μmの微粒子30〜700容量部を含有し、かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.5〜8倍であることが、より好ましい。
【0015】
本発明においては、これらの導電性組成物によって、低体積抵抗値や電磁波シールド効果を再現性良く確保できる成型品を得ることが可能になる。
【0016】
また、これらの導電性組成物を、(a)の樹脂バインダーを溶解し、(b)の導電性繊維及び(c)の微粒子を溶解しない溶剤に、溶解及び分散させることにより、低体積抵抗値や電磁波シールド効果を再現性良く確保できる塗膜を形成可能な導電性塗料を得ることもできる。
【0017】
本発明に用いられる(a)樹脂バインダーは、特に制限されるものではなく、一般的に導電性によって帯電防止或いは電磁波遮蔽を必要とする樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂や反応性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、プロピレン−塩化ビニル共重合体系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ゴム変性スチレン系樹脂、AS系樹脂等のポリスチレン系共重合体;変性ポリフェニレンオキサイド系樹脂;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられる。特に好ましい樹脂としては、例えばABS樹脂、MBS樹脂、SBS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂;環状オレフィン共重合体;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂;これらの混合樹脂があげられる。
【0018】
また、反応性樹脂としては例えばアクリル系樹脂;エポキシ系樹脂等があげられる。
【0019】
本発明に用いられる(b)の導電性繊維としては、公知の金属繊維や金属被覆繊維やカーボン繊維を用いることができる。具体的には、ニッケル繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、亜鉛繊維、アンチモン繊維錫系繊維等の金属繊維;銅、ニッケル、金、銀等から選ばれた1種以上でメッキ又はコーティングされたガラス繊維や炭素繊維等の金属被覆繊維;あるいはカーボン繊維等が例示される。これらは、単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。(b)の導電性繊維としては、アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmのものが使用され、好ましくはアスペクト比が300以上で平均短軸径が0.5μm〜30μmのもの、より好ましくはアスペクト比が300〜10000で平均短軸径が1μm〜20μmのものが使用される。本発明において、導電性繊維の量が少ないと帯電防止効果や電磁波遮蔽効果が低下するようになる。また、導電性繊維の量が多くなると成形性等が低下するようになる。
【0020】
(c)の微粒子としては、アスペクト比が10以下、好ましくはアスペクト比7以下の充実又は中空の無機微粒子や充実又は中空の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂微粒子を用いることができる。また、表面に導電性物質が被覆された充実又は中空の微粒子を用いることもできる。無機の微粒子としては、例えばシリカ、シラスバルーン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、アルミナ、ガラス、ボロン、ジルコニア、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、鉄酸化物であるフェライト等があげられる。また、有機の微粒子としては木粉;スターチ;熱可塑性樹脂や架橋樹脂のあらゆるポリマー微粒子が使用可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂系、ポリプロピレン樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリスチレン樹脂系、PET樹脂系、アイオノマー系樹脂、アクリル共重合体樹脂系、塩化ビニル樹脂系、エチレンー酢酸ビニル系樹脂等の充実微粒子や中空微粒子があげられる。(c)の微粒子として使用される有機微粒子は、樹脂組成物の添加加工時あるいは成形加工時の混練工程などによって樹脂バインダー中に溶解しないことが重要である。樹脂バインダー中へ微粒子の添加量は少ないと帯電防止効果や電磁波遮蔽効果が劣った樹脂組成物となり、逆に、多量に添加してしまうと成形性や成形物の強度や意匠等に悪影響を及ぼす。通常、樹脂バインダー中への微粒子の添加量はこれらの微粒子は、成形加工性等の物性に影響が出ない範囲で最大限添加することが好ましい。(c)の微粒子の配合量は、樹脂バインダー100容量部に対して、10〜800容量部、好ましくは30〜700容量部である。(c)の微粒子の平均粒子径は、通常0.4〜100μm、好ましくは0.1〜80μmである。粒子径があまり細かすぎると、(b)の導電性繊維が樹脂バインダー中で配向する傾向が生じて、樹脂組成物の導電率が低下するようになる。逆に(c)の微粒子の粒子径が大きすぎると成形品の表面に凸凹を生ずるようになる。(c)の微粒子としては平均粒子径が、(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.1〜10倍であるものが使用され、好ましくは(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.5〜8倍のものが用いられる。
【0021】
なお、(c)の微粒子は、成形加工性等の物性や成型品としての機械的特性が維持される範囲で、できるだけ多く添加することが望ましい。
【0022】
本発明の組成物には必要に応じて、慣用の添加剤を使用できる。例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の滑材;離型剤;可塑剤等を配合することもできる。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、例えば従来公知の混練技術によっても得ることがができる。すなわち、必要な組成の成分を、ニーダー、熱ロールミル、一軸及び二軸押出混練機等により溶融混練し、必要に応じてペレット化し、その後、射出成形、プレス成形、注型成形、押出し成形等に供給して所定の成型品に成形する。又,帯電防止フィルムにする為には通常の空冷及び水冷インフレーション成形法やT−ダイ成形法等の公知の成形法を用いることができる。更に、本発明の組成物を溶剤に溶かし、導電性塗料にすることも出来る。溶剤は本発明に使用する樹脂成分を溶解又は分散させるとともに、導電繊維及び微粒子を溶解しないでかつ、基材を侵さないものであれば特に制限されることはなく、例えば水系、アルコール系、エーテルアルコール系、エーテル系、エステル系、エチルエステル系、ケトン系及びこれらの混合系のいずれも使用可能である。これらの溶剤(分散剤)の具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類等が例示される。また、本発明の導電膜形成用の塗料には、溶剤以外の例えば、増粘剤や界面活性剤その他の添加剤を配合することもできる。上記の界面活性剤としては、ノニオン及びカチオン系界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
【0024】
なお、熱硬化性タイプの樹脂、例えばエポキシ樹脂等を使用する場合には、混練中の硬化反応を防止するため、硬化剤を配合しない組成物を100℃前後の低温で混練し、成形直前に硬化剤等を配合して成形することが望ましい。
【0025】
【作用】
本発明の導電性組成物では、図1に示すように、充填材の混練時や成形加工時の機械的シェアがかかったとき、(c)の微粒子1は(b)の導電性繊維2の移動を妨げ導電性繊維の配向を防止する作用をする。その結果、(b)の導電性繊維は導電性組成物中にネットワーク状の内部構造を形成して高い導電率を維持する。これに対して、導電性繊維のみを導電材として配合した従来の導電性組成物では、図2に示すように、成形時に導電性繊維2が組成物の流れの方向に配向されて導電材相互の接触が得られなくなる。図1において、符号3は樹脂バインダーである。
【0026】
したがって、本発明の導電性組成物では、従来多量に必要としていた導電材の配合量を著しく少なくすることが可能になり、これによって組成物の磨耗による導電性微粒子の欠落防止効果と機械的強度も確保することができる。
【0027】
【発明の実施形態】
以下に実施例をあげて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
表1に示した各実施例及び比較例の配合により、次の方法で導電性組成物を作成した。
【表1】
【0029】
すなわち、ヘンシェルミキサー中へ樹脂及び導電性微粒子と各種の微粒子を表1の配合で3分間混合せしめ、この混合粉体をスクリューフィーダーで2軸混練押出機へ供給する。供給速度は2軸混練押出機の処理速度で、ここでは実施例1〜7,比較例1〜3ともに0.5〜0.7kg/分である。2軸混練押出機のバレル温度は使用する樹脂により異なり、実施例1、2及び比較例1は240℃、実施例3,4及び比較例2は260℃、実施例5〜7及び比較例3は270℃にセットした。2軸混練押出機から出てきた導電性組成物を冷水に潜らせ冷却し固化させた後、ペレタイザ−によりペレット化した。次に、得られたペレットを60〜70℃にて10時間乾燥し、その後、スクリュ−式射出成形機によって一辺30cm、厚み3mmの試験片を作成した。このようにして得られた試験片を用いて、それぞれ電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、衝撃強度、耐磨耗性を測定した。
【0030】
表2は実施例8、9、10及び比較例4の導電性フィルムを示した配合であり、下記の通りに作成した。
【表2】
【0031】
すなわち、ヘンシェルミキサー中へ樹脂及び導電性微粒子と微粒子を3分間混合せしめる。この組成物をスクリューフィーダーで2軸混練押出機へ供給する。供給速度は2軸混練押出機の処理速度で0.5〜0.7kg/分とした。2軸混練押出機のバレル温度は150℃にて溶融混練した。次いでペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットを用いて、次の方法、すなわち、インフレーション成形機:プラコ製50mmφ押出機、ダイス径:75mmφ、成形温度170℃、ブロー比:2.5、にて厚み250μmのフィルムを作成した。
【0032】
このようにして得られたフィルムを一辺30cm、厚み3mmの市販のポリカーボネート板に市販のプラスチック接着剤を用いて貼り付けて、それぞれ電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、耐磨耗性を測定した。
【0033】
表3は塗料の実施例11、12、及び比較例5でそれぞれ実施例1、2及び比較例1にて得られた導電組成物を使用し塗料化した。
【表3】
【0034】
すなわち、導電組成物に溶剤と活性剤等の添加剤を添加し高速ディゾルバーにて攪拌スピード1200rpm、5時間攪拌混合し、後に100メッシュスクリーンにてろ過し目的の塗料を作成した。
【0035】
このようにして得られたフィルムを一辺30cm、厚み3mmの市販のポリカーボネート板にバーコーターNO.20にて塗布し50℃にて1時間乾燥させた後、更に2回塗り重ね乾燥塗布膜厚40〜50μmの板を作成した。それぞれについて電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、耐磨耗性を測定した。
【0036】
評価は下記の方法で行った。
電磁遮蔽効果:一辺30cm、厚み3mmの試験片を使用し、(株)アドバンテスト製 HP8594E(TG)にて周波数1MHz〜1GHzの範囲で測定し、300MHzにおける減衰値により評価した。
体積抵抗率:日本ゴム協会規格SRIS2301に準拠して測定した。
衝撃強さ:ASTM D−256に準拠し測定した。1/8インチ試験片にてアイゾットノッチ衝撃強さを測定した。
耐磨耗性:組成物表面を上質紙によって指圧にて擦りその紙に付着した導電性微粒子を目視にて判定した。
【0037】
また、各材料としては、次のものを使用した。
ABS樹脂:日本合成ゴム(株)製 JSR ABS グレード21
AS樹脂 :日本電気化学工業(株)製 デンカAS グレードAS−S
PC樹脂 :帝人化成(株)製 パンライト グレードLE―1250
COC樹脂(シクロ・オレフィン・コポリマー=環状オレフィン共重合体):ティコナジャパン(株)製 トーパスCOC グレード6017
エチレン重合樹脂:東ソー(株)製、商品名ペトロセン173(導電性繊維)
B−1:ニッケルコート炭素繊維:東邦レーヨン(株) ベスファイトMC HTA−C6−US(I)、直径7.5μm,長さ6mm、アスペクト比800
B−2:炭素繊維:東邦レーヨン(株) ベスファイトHTA−C6−U 直径7μm、長さ6mm、アスペクト比850
(球状導電粒子)
D−1:導電性カーボンブラック:三菱化成(株)製 #3050 アスペクト比5以下 球状で粒子径 一次粒子径 40nm、
(無機微粒子)
C−1:シリカ微粒子 (株)アドマテックス 製 アドマファインシリカSO−C5(平均粒径 1.8μm)
C−2:ガラス微小中空球体 東海工業(株)製 セルスターSX−39(平均粒径40μm
(熱可塑性微粒子)
C−3:シリコーン変性アクリル樹脂 信越化学工業(株)製 シャリーヌR1 70S 平均粒径 30μm
(架橋微粒子)
C−4:架橋PMMA微粒子 日興リカ(株)製 GM−5003 平均粒径50μm
C−5:架橋PMMA微粒子 日興リカ(株)製 GM−5003 平均粒径50μmを100重量部に対しATO微微粒子(SN−100P[石原産業(株) 酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12(重量%)]10を用いメカノケミカル手法によって表面を被覆して導電性微粒子したもの。
結果を表1中に示す。
【0038】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の樹脂組成物ではアスペクト比の小さな無機及び有機の微粒子によってアスペクト比の大きな導電微粒子が一定方向に並ぶことを抑え、該導電性微粒子はアスペクト比の小さい微粒子の表面に沿ってあたかも微粒子を包み込むかのごとく微粒子が配向するようになるので、組成物の内部全体にアスペクト比の小さな微粒子を中心に置いた該導電性微粒子のネットワークが形成され、以って該導電性微粒子の添加量を著しく小さくした場合でも、著しく低い体積抵抗率および表面抵抗率を有する導電組成物が得られる。またバインダー種類および体積比の選択にかかわり無く組成を選択できるので、機械的強度や耐磨耗性に優れた組成物を容易に得ることができる。さらにまた、アスペクト比の小さな微粒子として磁化の大きな物質を用いる場合、この組成物は優れた電磁波遮蔽効果を示すものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性組成物における導電性繊維の状態を模式的に示す図。
【図2】従来の導電性組成物における導電性繊維の状態を模式的に示す図。
【符号の説明】
1……微粒子、2……導電性繊維、3……樹脂バインダー。
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止材や電磁波遮蔽材などに用いられる導電性組成物、前記導電性組成物を用いた成型品及び前記導電性組成物を被膜形成成分とする導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、帯電防止や電磁遮蔽等の機能の付与された電子機器の筐体等を得る目的で、成型品の、特に表面に導電性を付与することが行われている。
【0003】
このように成型品に導電性を付与する方法としては、成型品を導電性組成物を用いて形成したり、成型品の表面に導電性フィルムを貼り付けたり、成型品表面へ導電性塗料を塗布したり、成型品表面に導電めっきを付与する等の方法が知られている。一般に、肉厚の薄い成型品については、導電性組成物を用いて成形する方法が、肉厚の厚い成型品や既成の成型品については表面に導電性フィルムを貼り付けたり、導電性塗料を塗布して導電性を付与する方法が用いられている。
【0004】
導電性組成物は、通常、ベースとなる樹脂組成物に、有機の帯電防止剤を配合したり、導電性高分子、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、炭素繊維、金属繊維あるいは酸化亜鉛ウィスカー等の導電材を混練する方法で得られており、導電性塗料はこのような導電性組成物を有機溶剤に、溶解または分散することにより得られている。
【0005】
しかしながら、ベースとなる樹脂組成物に帯電防止剤を配合する方法は、導電率をさほど高くすることができずに効果が不十分であり、特に電磁遮蔽効果が得られるほど導電率を高めることはできないという問題がある。
【0006】
また、ベースの樹脂に微粒子状の導電材を配合する方法では、導電性が導電材どうしの接触により付与されるため、必要な導電性を得るためには導電材を多量に配合する必要があって、成型品の機械的な特性が低下したり、摩擦により成型品表面から導電材が剥落するという問題がある。また、導電材として導電性繊維を配合する方法では、導電性繊維自体により成型品内に長い導電路が形成され、導電材の配合量を微粒子状の導電材の場合よりも少なくすることができる利点があるが、比較的薄肉の成型品の場合には、成形時に繊維状の導電材が組成物の流れの方向に配向されて導電材相互の接触が得られなくなるという問題がある。
【0007】
導電材を配合した導電性塗料の場合にも、高い導電率を得るためには、導電材の配合量が多くなって塗膜の機械的な特性が低下するという問題があり、導電性繊維を配合した場合には、塗布の際に塗布方向に繊維状の導電材が配向して繊維相互の接触が少なくなって、高い導電率が得られないという問題がある。
【0008】
また、特許文献1には、酸化亜鉛ウィスカーと金属被覆繊維及び酸化チタンとの複合系を用いた外観および着色性に優れた電磁波遮蔽用組成物の発明が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−129148号公報
【0010】
しかしながらこの発明は、樹脂の着色や意匠性を改善することを目的としており、酸化亜鉛ウィスカーの配合により得られる導電率に対する酸化チタンの影響については何も検討されておらず、酸化亜鉛ウィスカーの平均短軸経と酸化チタンの平均粒径との関係についても検討がなされていない。
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明は、上記した従来の導電性組成物の問題点を解消すべく鋭意研究を進めたところ、導電性繊維と粒子状の充填材のアスペクト比と両者の配合割合を適当に選定することにより、粒子状の充填材が導電性繊維の絡み合いを助長して成形時の導電性繊維の配向を抑制し、全体として少ない配合量で、安定した高い導電率を有する成型品が得られることを見出だした。
【0012】
本発明は、かかる知見に基いてなされたもので、導電性物質の含有量を極力おさえて、機械的特性の低下を抑えつつ、耐磨耗性を改善するとともに、組成物内部における導電性物質の相互に連結した状態を実現させ、低体積抵抗値及び電磁波シールド効果を再現性良く確保できる導電性組成物、成型品及び導電性塗料を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性組成物は、(a)樹脂バインダー100容量部に対して、(b)アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmの導電性繊維1〜100容量部および(c)アスペクト比が10以下で平均粒子径が0.4μm〜100μmの微粒子10〜800容量部を含有し、かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.1〜10倍であることを特徴としている。
【0014】
本発明の導電性組成物は、(a)樹脂バインダー100容量部に対して、(b)アスペクト比が300以上で平均短軸径が0.5μm〜30μmの導電性繊維5〜50容量部および(c)アスペクト比が7以下で平均粒子径が1μm〜80μmの微粒子30〜700容量部を含有し、かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.5〜8倍であることが、より好ましい。
【0015】
本発明においては、これらの導電性組成物によって、低体積抵抗値や電磁波シールド効果を再現性良く確保できる成型品を得ることが可能になる。
【0016】
また、これらの導電性組成物を、(a)の樹脂バインダーを溶解し、(b)の導電性繊維及び(c)の微粒子を溶解しない溶剤に、溶解及び分散させることにより、低体積抵抗値や電磁波シールド効果を再現性良く確保できる塗膜を形成可能な導電性塗料を得ることもできる。
【0017】
本発明に用いられる(a)樹脂バインダーは、特に制限されるものではなく、一般的に導電性によって帯電防止或いは電磁波遮蔽を必要とする樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂や反応性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、プロピレン−塩化ビニル共重合体系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ゴム変性スチレン系樹脂、AS系樹脂等のポリスチレン系共重合体;変性ポリフェニレンオキサイド系樹脂;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられる。特に好ましい樹脂としては、例えばABS樹脂、MBS樹脂、SBS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂;環状オレフィン共重合体;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂;これらの混合樹脂があげられる。
【0018】
また、反応性樹脂としては例えばアクリル系樹脂;エポキシ系樹脂等があげられる。
【0019】
本発明に用いられる(b)の導電性繊維としては、公知の金属繊維や金属被覆繊維やカーボン繊維を用いることができる。具体的には、ニッケル繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、亜鉛繊維、アンチモン繊維錫系繊維等の金属繊維;銅、ニッケル、金、銀等から選ばれた1種以上でメッキ又はコーティングされたガラス繊維や炭素繊維等の金属被覆繊維;あるいはカーボン繊維等が例示される。これらは、単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。(b)の導電性繊維としては、アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmのものが使用され、好ましくはアスペクト比が300以上で平均短軸径が0.5μm〜30μmのもの、より好ましくはアスペクト比が300〜10000で平均短軸径が1μm〜20μmのものが使用される。本発明において、導電性繊維の量が少ないと帯電防止効果や電磁波遮蔽効果が低下するようになる。また、導電性繊維の量が多くなると成形性等が低下するようになる。
【0020】
(c)の微粒子としては、アスペクト比が10以下、好ましくはアスペクト比7以下の充実又は中空の無機微粒子や充実又は中空の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂微粒子を用いることができる。また、表面に導電性物質が被覆された充実又は中空の微粒子を用いることもできる。無機の微粒子としては、例えばシリカ、シラスバルーン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、アルミナ、ガラス、ボロン、ジルコニア、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、鉄酸化物であるフェライト等があげられる。また、有機の微粒子としては木粉;スターチ;熱可塑性樹脂や架橋樹脂のあらゆるポリマー微粒子が使用可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂系、ポリプロピレン樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリスチレン樹脂系、PET樹脂系、アイオノマー系樹脂、アクリル共重合体樹脂系、塩化ビニル樹脂系、エチレンー酢酸ビニル系樹脂等の充実微粒子や中空微粒子があげられる。(c)の微粒子として使用される有機微粒子は、樹脂組成物の添加加工時あるいは成形加工時の混練工程などによって樹脂バインダー中に溶解しないことが重要である。樹脂バインダー中へ微粒子の添加量は少ないと帯電防止効果や電磁波遮蔽効果が劣った樹脂組成物となり、逆に、多量に添加してしまうと成形性や成形物の強度や意匠等に悪影響を及ぼす。通常、樹脂バインダー中への微粒子の添加量はこれらの微粒子は、成形加工性等の物性に影響が出ない範囲で最大限添加することが好ましい。(c)の微粒子の配合量は、樹脂バインダー100容量部に対して、10〜800容量部、好ましくは30〜700容量部である。(c)の微粒子の平均粒子径は、通常0.4〜100μm、好ましくは0.1〜80μmである。粒子径があまり細かすぎると、(b)の導電性繊維が樹脂バインダー中で配向する傾向が生じて、樹脂組成物の導電率が低下するようになる。逆に(c)の微粒子の粒子径が大きすぎると成形品の表面に凸凹を生ずるようになる。(c)の微粒子としては平均粒子径が、(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.1〜10倍であるものが使用され、好ましくは(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.5〜8倍のものが用いられる。
【0021】
なお、(c)の微粒子は、成形加工性等の物性や成型品としての機械的特性が維持される範囲で、できるだけ多く添加することが望ましい。
【0022】
本発明の組成物には必要に応じて、慣用の添加剤を使用できる。例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の滑材;離型剤;可塑剤等を配合することもできる。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、例えば従来公知の混練技術によっても得ることがができる。すなわち、必要な組成の成分を、ニーダー、熱ロールミル、一軸及び二軸押出混練機等により溶融混練し、必要に応じてペレット化し、その後、射出成形、プレス成形、注型成形、押出し成形等に供給して所定の成型品に成形する。又,帯電防止フィルムにする為には通常の空冷及び水冷インフレーション成形法やT−ダイ成形法等の公知の成形法を用いることができる。更に、本発明の組成物を溶剤に溶かし、導電性塗料にすることも出来る。溶剤は本発明に使用する樹脂成分を溶解又は分散させるとともに、導電繊維及び微粒子を溶解しないでかつ、基材を侵さないものであれば特に制限されることはなく、例えば水系、アルコール系、エーテルアルコール系、エーテル系、エステル系、エチルエステル系、ケトン系及びこれらの混合系のいずれも使用可能である。これらの溶剤(分散剤)の具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類等が例示される。また、本発明の導電膜形成用の塗料には、溶剤以外の例えば、増粘剤や界面活性剤その他の添加剤を配合することもできる。上記の界面活性剤としては、ノニオン及びカチオン系界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
【0024】
なお、熱硬化性タイプの樹脂、例えばエポキシ樹脂等を使用する場合には、混練中の硬化反応を防止するため、硬化剤を配合しない組成物を100℃前後の低温で混練し、成形直前に硬化剤等を配合して成形することが望ましい。
【0025】
【作用】
本発明の導電性組成物では、図1に示すように、充填材の混練時や成形加工時の機械的シェアがかかったとき、(c)の微粒子1は(b)の導電性繊維2の移動を妨げ導電性繊維の配向を防止する作用をする。その結果、(b)の導電性繊維は導電性組成物中にネットワーク状の内部構造を形成して高い導電率を維持する。これに対して、導電性繊維のみを導電材として配合した従来の導電性組成物では、図2に示すように、成形時に導電性繊維2が組成物の流れの方向に配向されて導電材相互の接触が得られなくなる。図1において、符号3は樹脂バインダーである。
【0026】
したがって、本発明の導電性組成物では、従来多量に必要としていた導電材の配合量を著しく少なくすることが可能になり、これによって組成物の磨耗による導電性微粒子の欠落防止効果と機械的強度も確保することができる。
【0027】
【発明の実施形態】
以下に実施例をあげて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
表1に示した各実施例及び比較例の配合により、次の方法で導電性組成物を作成した。
【表1】
【0029】
すなわち、ヘンシェルミキサー中へ樹脂及び導電性微粒子と各種の微粒子を表1の配合で3分間混合せしめ、この混合粉体をスクリューフィーダーで2軸混練押出機へ供給する。供給速度は2軸混練押出機の処理速度で、ここでは実施例1〜7,比較例1〜3ともに0.5〜0.7kg/分である。2軸混練押出機のバレル温度は使用する樹脂により異なり、実施例1、2及び比較例1は240℃、実施例3,4及び比較例2は260℃、実施例5〜7及び比較例3は270℃にセットした。2軸混練押出機から出てきた導電性組成物を冷水に潜らせ冷却し固化させた後、ペレタイザ−によりペレット化した。次に、得られたペレットを60〜70℃にて10時間乾燥し、その後、スクリュ−式射出成形機によって一辺30cm、厚み3mmの試験片を作成した。このようにして得られた試験片を用いて、それぞれ電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、衝撃強度、耐磨耗性を測定した。
【0030】
表2は実施例8、9、10及び比較例4の導電性フィルムを示した配合であり、下記の通りに作成した。
【表2】
【0031】
すなわち、ヘンシェルミキサー中へ樹脂及び導電性微粒子と微粒子を3分間混合せしめる。この組成物をスクリューフィーダーで2軸混練押出機へ供給する。供給速度は2軸混練押出機の処理速度で0.5〜0.7kg/分とした。2軸混練押出機のバレル温度は150℃にて溶融混練した。次いでペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットを用いて、次の方法、すなわち、インフレーション成形機:プラコ製50mmφ押出機、ダイス径:75mmφ、成形温度170℃、ブロー比:2.5、にて厚み250μmのフィルムを作成した。
【0032】
このようにして得られたフィルムを一辺30cm、厚み3mmの市販のポリカーボネート板に市販のプラスチック接着剤を用いて貼り付けて、それぞれ電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、耐磨耗性を測定した。
【0033】
表3は塗料の実施例11、12、及び比較例5でそれぞれ実施例1、2及び比較例1にて得られた導電組成物を使用し塗料化した。
【表3】
【0034】
すなわち、導電組成物に溶剤と活性剤等の添加剤を添加し高速ディゾルバーにて攪拌スピード1200rpm、5時間攪拌混合し、後に100メッシュスクリーンにてろ過し目的の塗料を作成した。
【0035】
このようにして得られたフィルムを一辺30cm、厚み3mmの市販のポリカーボネート板にバーコーターNO.20にて塗布し50℃にて1時間乾燥させた後、更に2回塗り重ね乾燥塗布膜厚40〜50μmの板を作成した。それぞれについて電磁波遮蔽効果、体積固有抵抗、耐磨耗性を測定した。
【0036】
評価は下記の方法で行った。
電磁遮蔽効果:一辺30cm、厚み3mmの試験片を使用し、(株)アドバンテスト製 HP8594E(TG)にて周波数1MHz〜1GHzの範囲で測定し、300MHzにおける減衰値により評価した。
体積抵抗率:日本ゴム協会規格SRIS2301に準拠して測定した。
衝撃強さ:ASTM D−256に準拠し測定した。1/8インチ試験片にてアイゾットノッチ衝撃強さを測定した。
耐磨耗性:組成物表面を上質紙によって指圧にて擦りその紙に付着した導電性微粒子を目視にて判定した。
【0037】
また、各材料としては、次のものを使用した。
ABS樹脂:日本合成ゴム(株)製 JSR ABS グレード21
AS樹脂 :日本電気化学工業(株)製 デンカAS グレードAS−S
PC樹脂 :帝人化成(株)製 パンライト グレードLE―1250
COC樹脂(シクロ・オレフィン・コポリマー=環状オレフィン共重合体):ティコナジャパン(株)製 トーパスCOC グレード6017
エチレン重合樹脂:東ソー(株)製、商品名ペトロセン173(導電性繊維)
B−1:ニッケルコート炭素繊維:東邦レーヨン(株) ベスファイトMC HTA−C6−US(I)、直径7.5μm,長さ6mm、アスペクト比800
B−2:炭素繊維:東邦レーヨン(株) ベスファイトHTA−C6−U 直径7μm、長さ6mm、アスペクト比850
(球状導電粒子)
D−1:導電性カーボンブラック:三菱化成(株)製 #3050 アスペクト比5以下 球状で粒子径 一次粒子径 40nm、
(無機微粒子)
C−1:シリカ微粒子 (株)アドマテックス 製 アドマファインシリカSO−C5(平均粒径 1.8μm)
C−2:ガラス微小中空球体 東海工業(株)製 セルスターSX−39(平均粒径40μm
(熱可塑性微粒子)
C−3:シリコーン変性アクリル樹脂 信越化学工業(株)製 シャリーヌR1 70S 平均粒径 30μm
(架橋微粒子)
C−4:架橋PMMA微粒子 日興リカ(株)製 GM−5003 平均粒径50μm
C−5:架橋PMMA微粒子 日興リカ(株)製 GM−5003 平均粒径50μmを100重量部に対しATO微微粒子(SN−100P[石原産業(株) 酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12(重量%)]10を用いメカノケミカル手法によって表面を被覆して導電性微粒子したもの。
結果を表1中に示す。
【0038】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、本発明の樹脂組成物ではアスペクト比の小さな無機及び有機の微粒子によってアスペクト比の大きな導電微粒子が一定方向に並ぶことを抑え、該導電性微粒子はアスペクト比の小さい微粒子の表面に沿ってあたかも微粒子を包み込むかのごとく微粒子が配向するようになるので、組成物の内部全体にアスペクト比の小さな微粒子を中心に置いた該導電性微粒子のネットワークが形成され、以って該導電性微粒子の添加量を著しく小さくした場合でも、著しく低い体積抵抗率および表面抵抗率を有する導電組成物が得られる。またバインダー種類および体積比の選択にかかわり無く組成を選択できるので、機械的強度や耐磨耗性に優れた組成物を容易に得ることができる。さらにまた、アスペクト比の小さな微粒子として磁化の大きな物質を用いる場合、この組成物は優れた電磁波遮蔽効果を示すものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性組成物における導電性繊維の状態を模式的に示す図。
【図2】従来の導電性組成物における導電性繊維の状態を模式的に示す図。
【符号の説明】
1……微粒子、2……導電性繊維、3……樹脂バインダー。
Claims (8)
- (a)樹脂バインダー100容量部に対して、
(b)アスペクト比が100以上で平均短軸径が0.1μm〜50μmの導電性繊維1〜100容量部および
(c)アスペクト比が10以下で平均粒子径が0.4μm〜100μmの微粒子10〜800容量部を含有し、
かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.1〜10倍であることを特徴とする導電性組成物。 - (a)樹脂バインダー100容量部に対して、
(b)アスペクト比が300以上で平均短軸径が0.5μm〜30μmの導電性繊維5〜50容量部および
(c)アスペクト比が7以下で平均粒子径が1μm〜80μmの微粒子30〜700容量部を含有し、
かつ前記(c)の微粒子の平均粒子径が、前記(b)の導電性繊維の平均短軸径の0.5〜8倍であることを特徴とする導電性組成物。 - (b)の導電性繊維が、金属繊維、金属被覆繊維及びカーボン繊維から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性組成物。
- (c)の微粒子が、充実又は中空の無機微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の導電性組成物。
- (c)の微粒子が、充実又は中空の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の導電性組成物。
- (c)の微粒子が、表面に導電性物質が被覆された充実又は中空の微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電性組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項記載の導電性組成物からなる成型品。
- 請求項1乃至7のいずれか1項記載の導電性組成物を、前記(a)の樹脂バインダーを溶解し、前記(b)の導電性繊維及び(c)の微粒子を溶解しない溶剤に、溶解及び分散させてなることを特徴とする導電性塗料。
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