JP2005225126A - 導電性熱可塑性樹脂の成形品製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性長繊維と、導電性短繊維あるいは導電性充填材を併用した、安定した導電性と同時に機械的強度に優れ、電磁波シールド性に優れ、電気・電子分野に好適な、埃等の付着や汚染が少なく、かつ帯電した静電気による誤作動を防止した熱可塑性樹脂の成形品を製造する方法を提供すること。
【解決手段】導電性充填材Aを含有する熱可塑性樹脂Bの溶融物にて導電性連続繊維束Cを被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットを成形して成形品を得る成形品製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は電気・電子製造分野に好適な熱可塑性樹脂の成形品の製造法に関するものである。
一般に、熱可塑性樹脂組成物は電気絶縁性に優れていることから、電気・電子部品分野において広く用いられている。しかし、それ故に成形品に埃が付着したり、装置に帯電した静電気により電子機器が誤作動を起こす可能性がある等の問題があった。このため、特に半導体製造分野においては、熱可塑性樹脂組成物に導電性を付与し、静電気を早期に除去することが求められていた。さらに、近年では電磁波シールド性の必要な用途においても導電性熱可塑性樹脂の需要は伸びている。
熱可塑性樹脂に導電性を付与する方法としては、導電性繊維の短繊維やカーボンブラック等の導電性充填材を配合する方法が挙げられるが、目標とする導電性を得るためには多量の添加が必要であり、その結果機械的強度の劣ったものとなる。一方、導電性炭素繊維や金属繊維等の導電性長繊維を配合する方法では、比較的少量の配合で高い導電性を得ることが出来る反面、わずかな配合量の差、あるいは成形条件等により大きく導電性が変動するため、その制御は極めて困難であった。
この問題を解決するために、導電性長繊維と導電性充填材とを組み合わせて熱可塑性樹脂中に添加し、成形品の導電性を制御する方法が検討されている。
例えば、導電性長繊維を熱可塑性樹脂にて被覆してペレット化し、続いてこのペレットと長繊維以外の導電性充填材とを溶融混錬して二度目のペレット化を行う。このようにして得られたペレットを成形して成形品を得る方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
しかし、この方法では導電性長繊維を含有しているペレットをさらに溶融混錬するため、成形品中の長繊維の長さが短くなってしまう。そのため、充分な導電性を得るためには導電性長繊維を多量に配合せねばならず、その結果、比重の増大、及び機械的強度の低下を招いてしまうという問題があった。
また、導電性連続繊維束に、分子量1万以下の熱可塑性重合体と短繊維及び/又は微粒子とを含む含浸剤を含浸させた後、必要に応じて熱可塑性樹脂にて被覆する方法も提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この方法は、分子量が1万以下という低分子量の熱可塑性樹脂を含浸剤として用いているため、得られた成形品の機械的強度に劣る場合があるという問題があった。さらに、含浸剤中に短繊維及び/又は微粒子を含むため、導電性連続繊維束とこれらの短繊維、微粒子との比率を継続的に制御することが困難であるため、生産時の安定性に問題があった。
一方、導電性連続繊維を、黒鉛を含有する熱可塑性樹脂にて被覆して得られたペレットを成形して成形品を得る方法が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、この方法で得られた成形品は、表面を摩擦すると黒鉛を含有する黒色樹脂が脱離し、チョーキング現象と呼ばれる汚染の原因となるという問題があった。
特開昭60−74699号公報 特開2001−261975号公報 特開昭63−37142号公報 特開平10−193380号公報
上述の通り、熱可塑性樹脂に導電性長繊維と導電性短繊維、あるいは導電性充填材を併用することで成形品の導電性を制御する方法は既にいくつか検討されている。しかしながら、ばらつきの少ない安定した導電性を発現しながら、同時に機械的強度に優れ、汚染性の少ない成形品を得ることは困難であった。
本発明は、安定した導電性と同時に機械的強度に優れ、汚染性の少ない成形品を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述の問題を解決するために鋭意検討した結果、汚染性の少ない導電性充填材を含む熱可塑性樹脂にて導電性連続繊維を溶融被覆した後、所定の長さに切断してペレット化したものを、更なる押出工程を経ることなく成形に用いることにより、上述した課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、
[1] 導電性充填材(A)を含有する熱可塑性樹脂(B)の溶融物にて導電性連続繊維束(C)を被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットを成形して成形品を得ることを特徴とする成形品製造法、
[2] 導電性連続繊維束(C)が、予め熱可塑性樹脂(D)で含浸されていることを特徴とする[1]記載の成形品製造法、
[3] 導電性充填材(A)が、導電性炭素繊維、導電性金属繊維、導電性炭素繊維に金属メッキを施した導電性繊維、ガラス繊維に金属メッキを施した導電性繊維から選ばれた1種以上の導電性繊維を切断してチョップド糸としたものおよびこれらを粉砕してミルドファイバーとした導電性短繊維、導電性金属酸化物の粒子並びに導電性金属酸化物の極細繊維から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする[1]または[2]記載の成形品製造法、
[4] 導電性充填材(A)が、導電性炭素繊維および導電性炭素繊維に金属メッキを施した導電性繊維から選ばれた1種以上の導電性繊維を切断してチョップド糸としたものおよびこれを粉砕してミルドファイバーとした導電性短繊維から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする[3]記載の成形品製造法、
である。
本発明により機械的強度に優れ、導電性のばらつきの少ない成形品を製造することができる。
本発明に用いられる導電性充填材(A)とは、導電性炭素繊維、導電性金属繊維、導電性炭素繊維に金属メッキを施したもの、ガラス繊維に金属メッキを施したもの等の導電性繊維を切断してチョップド糸としたもの及びこれらの導電性繊維を粉砕してミルドファイバーとしたもの等の導電性短繊維、導電性金属酸化物の粒子並びに導電性金属酸化物の極細繊維を言う。
これらの中では導電性炭素繊維および導電性炭素繊維に金属メッキを施した繊維の短繊維が好ましく、より好ましくは導電性炭素繊維の短繊維である。
導電性炭素繊維(以下、単に炭素繊維という。)としては、公知のものを使用することが出来、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下、PAN系炭素繊維という。)、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維が挙げられるが、この中で強度と導電性のバランスからPAN系炭素繊維が好ましい。
導電性金属繊維としては、公知の導電性金属繊維を使用することが出来、例えば、銅、鉄、ニッケル、金、銀、チタン、アルミニウムやこれらを主成分とするステンレス、真鍮等の合金製の繊維が挙げられる。
炭素繊維に金属メッキを施したもの、ガラス繊維に金属メッキを施したものとしては、公知の炭素繊維、ガラス繊維に上述した金属をメッキしたものが挙げられる。
これら導電性繊維の直径は、導電性と機械的強度、及び取り扱いの容易さとのバランスを考慮すると、好ましくは3〜20μm、更に好ましくは5〜15μmである。また、配合前の平均繊維長は、製造時の安定性と得られた成形品の導電性の均一性の観点から、好ましくは0.1〜15mm、更に好ましくは0.1〜12mmである。
導電性金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等にドーパント金属をドープしたものが挙げられる。これらが粒子である場合、製造時の取り扱い性と導電性と機械的強度のバランスを考慮すると、その平均粒子径は、1次粒子の平均粒子径が0.01〜0.2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.15μm、特に好ましくは0.01〜0.1μmである。また、これらが極細繊維である場合には、同様の理由で長軸の平均長さが0.01〜は0.5μm、短軸の平均長さが0.01〜0.2μmであり、アスペクト比の平均が1.5〜15であることが好ましい。
これらの中では、チョーキング現象の極めて生じ難い導電性短繊維が好ましく、更にその中でも、導電性炭素繊維の短繊維が比重と導電性のバランスに優れるため好ましい。
これらは1種、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、導電性充填材(A)には、これを配合した熱可塑性樹脂の力学的特性の向上、あるいは導電性の向上の目的で、カップリング剤やサイジング剤等の表面処理剤による処理を施してあっても良い。かかる表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系等のカップリング剤、エポキシ系、ウレタン系、エーテル系、エステル系、アミド系、アクリル系、ポリビニルアルコール系のサイジング剤等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、特に制限されないが、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルフォン、シリコーン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、単独又は二種以上のアロイとしても使用することが出来る。
オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度、中密度、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、芳香族ビニル化合物の単一重合体、芳香族ビニル化合物、及びこれらと共重合可能な単量体とを共重合させてなる共重合体、ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物、及びこれらと共重合可能な単量体とをグラフト共重合させてなるグラフト共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等が挙げられ、これらは単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来るが、この中で特に好ましいのは、スチレン、及びα−メチルスチレンである。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で特に好ましいのはアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートである。これらは単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来る。
ゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、及びこれらの水素添加物、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴム等が挙げられ、これらは単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来る。この中で特に好ましいのは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴムである。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン610等が挙げられる。
塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、及びこれと共重合可能な単量体とを共重合させてなる共重合体が挙げられる。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン等のα−オレフィン系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のエステル系単量体、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のエーテル系単量体、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが挙げられる。
熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のジカルボン酸と脂肪族ジオールとから得られるポリエステルが挙げられる。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらを単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来る。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
本発明において、導電性連続繊維束(C)とは、導電性を有する連続繊維のモノフィラメントが千本から数十万本の束になったものを言う。導電性連続繊維としては、例えば、炭素繊維、金属繊維、金属メッキを施した炭素繊維、あるいは金属メッキを施したガラス繊維等が挙げられるが、この中で導電性と比重のバランスを考慮すると、炭素繊維が好ましい。
連続炭素繊維としては、公知のものを使用することが出来、例えば、PAN系、ピッチ系、セルロース系が挙げられるが、この中で強度と導電性のバランスからPAN系が好ましい。炭素繊維のモノフィラメントの直径としては、導電性と取り扱いの容易さのバランスを考慮すると、3〜20μm、好ましくは5〜15μm、更に好ましくは5〜10μmである。また、炭素繊維束中のモノフィラメントの数としては、1,000〜100,000本、好ましくは3,000〜50,000本、更に好ましくは3,000〜20,000本である。生産性の観点から1000本以上が好ましい。1000本未満であると、組成物中の導電性長繊維含有量を調整するために、熱可塑性樹脂による被覆工程における生産性を著しく落として運転せざるを得ない。一方、射出成形工程における導電性長繊維の分散性、成形品の導電性や外観の観点から100,000本以下が好ましい。
連続金属繊維としては、公知の導電性金属繊維を使用することが出来、例えば、銅、鉄、ニッケル、金、銀、チタン、アルミニウムやこれらを主成分とするステンレス、真鍮等の合金製の繊維が挙げられる。
連続炭素繊維に金属メッキを施したものあるいはガラス繊維に金属メッキを施したものとしては、公知の炭素繊維、ガラス繊維に上述した金属をメッキしたものが挙げられる。これら金属繊維、及び金属メッキ処理を施した炭素繊維、あるいは金属メッキ処理を施したガラス繊維のモノフィラメントの直径としては、導電性と取り扱いの容易さとのバランスを考慮すると3〜20μm、好ましくは5〜15μmである。
また、これらの導電性連続繊維束(C)には、これを配合した熱可塑性樹脂の力学的特性の向上、あるいは導電性の向上、及び連続繊維束の取り扱い性向上の目的で、カップリング剤やサイジング剤等の表面処理剤による処理を施してあっても良い。かかる表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系等のカップリング剤、エポキシ系、ウレタン系、エーテル系、エステル系、アミド系、アクリル系、ポリビニルアルコール系のサイジング剤等が挙げられる。
また、成形品中への導電性繊維の分散性を向上させる目的で、これら導電性連続繊維束(C)を熱可塑性樹脂(B)によって被覆する前に、予め熱可塑性樹脂(D)を含浸させ、繊維束中のモノフィラメント表面を被覆することにより、成形品の導電性、及び外観をさらに向上させることが出来る。
熱可塑性樹脂(D)としては、特に制限は無く、例えば上述した熱可塑性樹脂(B)の例として挙げられたものを使用することが出来る。また、熱可塑性樹脂(D)は、必ずしも熱可塑性樹脂(B)と組成、分子量、組成分布が同一である必要は無いが、機械的強度、及び分散性を考慮すると、熱可塑性樹脂(B)と相溶性を示すか、公知のポリマーアロイとして用いられている組み合わせであることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂(D)の成形温度における流動性は、熱可塑性樹脂(B)よりも優れている方が導電性繊維をより均一に分散させることが出来るので、導電性、及び外観の優れた成形品を得ることが出来る。
導電性連続繊維束中に熱可塑性樹脂(D)を含浸する方法としては、公知の方法を使用することが出来るが、例えば連続繊維束に熱可塑性樹脂を溶融引き出し法により含浸させる方法、連続繊維束を熱可塑性樹脂のエマルジョン、サスペンジョン、溶液、あるいは溶融物の入った含浸槽中を通過させた後に固化する方法、樹脂粉末等を振動や気体で分散させたところへ連続繊維束を通過させ、粉末を付着させた後に加熱して含浸させる方法等が挙げられる。
導電性連続繊維束に対する熱可塑性樹脂(D)の含浸量は、連続繊維束中のモノフィラメント表面を均一に被覆出来る量であればよく、含浸方法や熱可塑性樹脂(D)の性状に依存するが、導電性長繊維の成形品中における分散性、導電性および外観の観点から、好ましくは連続繊維束に対して1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、最も好ましくは15重量%以上である。
導電性連続繊維束を、導電性充填材(A)を含有する熱可塑性樹脂(B)の溶融物にて被覆する方法とてしては、例えば導電性充填材(A)または導電性充填材(A)のマスターバッチと、熱可塑性樹脂(B)とを押出機にて溶融混錬し、先端に取り付けたクロスヘッドダイを通過させて被覆する方法、あるいは予め別の押出機にて導電性充填材(A)および熱可塑性樹脂(B)を溶融混錬してペレット化したものを、再溶融して被覆する方法等が挙げられる。
この時、導電性連続繊維束に対する被覆量は、例えばクロスヘッドダイのダイス口径や樹脂の引き取り速度を適切に設定することで制御することが出来る。導電性連続繊維束に対する被覆量は目的によって異なるが、通常、得られる成形品の導電性、経済性および生産安定性を考慮すると、導電性連続繊維束由来の導電性長繊維の含有量が、導電性組成物全体の3〜95重量%、好ましくは5〜90重量%になる量である。
また、導電性連続繊維束を導電性充填材(A)を含有する熱可塑性樹脂(B)の溶融物にて被覆する際の導電性充填材(A)の含有量は、導電性充填材(A)及び熱可塑性樹脂(B)の合計量に対して、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。この範囲にあれば、ペレット強度に優れ、且つ経済的に有利な導電性組成物のペレットを得ることが出来る。
本発明において、導電性連続繊維束を熱可塑性樹脂にて溶融被覆した後、ストランドを冷却・固化させた後、所定の長さに切断してペレットを得るが、この時のペレット長は3〜20mmが好ましく、より好ましくは5〜15mm、最も好ましくは5〜12mmである。これが3mm未満であると成形品中における導電性長繊維の長さが充分でないため、導電性の劣ったものとなり、20mmを超えると成形品中における導電性長繊維の分散性に劣る場合があるため、導電性、及び外観の劣ったものとなる恐れがある。
また、本発明における導電性長繊維含有ペレットをマスターバッチとして使用することも出来る。すなわち、該ペレット、及び他のペレットとを任意の割合でドライブレンドした後、成形機ホッパーに投入し、成形することが出来る。この時の混合比は目的とする成形品の導電性により異なるが、導電性長繊維の成形品中への分散性を考慮すると、導電性長繊維含有ペレットの割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、最も好ましくは35重量%以上である。
本発明において、その目的に応じて公知の添加剤、例えば、導電性充填材以外の充填材、可塑剤、滑剤(例えば、高級脂肪酸、及びその金属塩、高級脂肪酸アミド類等)、熱安定化剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオジブロプロピオン酸エステル型のチオエーテル等)、耐候剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系等)、着色剤、顔料、染料、難燃剤(例えば、臭素化化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、赤燐等)、難燃助剤(例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエーテルエステル等のポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルクルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフル、あるいは部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフル、あるいは部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することが出来る。これらを配合する方法としては特に制限は無いが、導電性連続繊維を溶融被覆する押出機中で混錬する方法、予め熱可塑性樹脂(B)、あるいは導電性充填材(A)のマスターバッチ中に混錬しておく方法、成形機のホッパー中にて上記添加剤単独、あるいはマスターバッチのドライブレンドを行う方法等が挙げられるが、上記添加剤を配合する目的で導電性長繊維含有ペレットの再押出しを行うことは、長繊維切断により導電性の低下が生じるため好ましくない。
本発明における成形法としては、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、圧縮成形等の公知の方法が挙げられる。尚、用いた導電性連続繊維束が炭素繊維束、あるいは炭素繊維やガラス繊維の表面に金属メッキを施した繊維束等、混練により繊維が折れやすい場合には、出来るだけ成形品中における導電性長繊維の長さを保つような成形機、金型、及び成形条件を選択することが好ましい。すなわち、成形機においてはシリンダーにおけるスクリュー形状、及びL/D、ノズル形状、ノズル径、金型においてはスプルー、ランナー、ゲート形状、及びその径、成形条件においては、成形温度、金型温度、背圧、金型への充填速度等を最適化することで、導電性、及び機械的強度、外観のバランスに優れる成形品を得ることが出来る。
本発明の成形品は、その優れた導電性、及び機械的強度から、電子・電気機器、精密機器、OA機器、及びその周辺機器のハウジング、カバー、及びこれらの部品搬送ケース等に用いることが出来る。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。また、実施例における評価は以下の方法に従って行った。
(1)表面抵抗値
ペレットを80℃にて3時間乾燥させた後、射出成形機(東芝機械(株)製、IS55EPN)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度45℃にて通常の成形サイクルに従い、幅50mm、長さ90mm、厚さ2.5mmのプレートを2枚成形した。
このプレートの長さ方向(成形時の樹脂の流れ方向)の中央に、銀ペースト(徳力化学研究所(株)製、シルベストP−255)を4.6cmの間隔で平行に幅0.2cm、長さ5cmとなるように刷毛で塗布した後、充分に乾燥させる。これをテスター(フルーク社製、FLUKE MULTIMETER 73)にて抵抗値をそれぞれ測定し、2枚の平均値を採る。
(2)チョーキング
上記プレートの角部をコピー用紙に擦り付け、脱離した樹脂の筋が目視で認められた場合は×、認められなければ○とした。
(3)シャルピー衝撃強さ
ISO179に準じて測定した該樹脂組成物の23℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強さを評価した。
実施例、比較例において使用した材料は以下のとおりである。
(I)(A)導電性充填材
(A−1):PAN系炭素繊維ミルドファイバー
東邦テナックス(株)製「ベスファイトHTA−CMF−0040−0H」
数平均繊維長=40μm、繊維径=7μm
原糸体積抵抗率=1.5×10−3Ω・cm、原糸引張強度=3920MPa
(A−2):PAN系炭素繊維チョップドファイバー
東邦テナックス(株)製「ベスファイトHTA−C6」
数平均繊維長=6mm、繊維径=7μm
原糸体積抵抗率=1.5×10−3Ω・cm、原糸引張強度=3920MPa
(A−3):黒鉛
日本黒鉛工業(株)製ACP−1000
(A−4):ケッチェンブラック
ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)製「EC600JD」
空隙率=78vol%
一次粒子径=34nm、一次粒子数=1.1×1017個/g
窒素吸着比表面積=1400m/g
DBP吸収量=495cm/100g
<導電性充填材(A−4)のマスターバッチ(A−4´)の製造>
導電性充填材(A−4)10重量部、及び熱可塑性樹脂(B)ペレット90重量部をブレンドした後、二軸押出機にて溶融混練後、ストランドを冷却し、回転刃からなるカッターにて切断してマスターバッチペレットを得、導電性充填材マスターバッチ(A−4´)とした。
(II)導電性連続繊維束(C)
三菱レイヨン(株)製「パイロフィルCFトウ TR30S−12L」
PAN系炭素繊維、モノフィラメント径=7μm、フィラメント数=12000本
目付=800mg/m、密度=1.79g/cm
引張強度=4410MPa、引張弾性率=235GPa
サイズ剤:エポキシ系樹脂、サイズ剤付着量=0.8wt%
(III)熱可塑性樹脂(B)
<熱可塑性樹脂(B)の製造>
ポリブタジエンゴムラテックス(体積平均粒子径=0.25μm、固形分量=49重量%)100重量部に、脱イオン水41重量部を加え、気相部を窒素置換した後、脱イオン水25重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.04重量部を溶解してなる水溶液を加えて、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル15重量部、スチレンを35重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.6重量部、クメンハイドロパーオキシド0.09重量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水15重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.13重量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した。添加終了後1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたABSラテックスに、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、更に、十分な脱水、水洗を行った後、乾燥させてグラフト共重合体を得た。一方、特許1960531号公報実施例1に記載の方法にて、アクリロニトリル、スチレンを、溶媒としてセカンダリーブチルアルコールを用い、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合系の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、アクリロニトリル−スチレン共重合体の固体粉末を得た。共重合体中のアクリロニトリルは30重量%、スチレンが70重量%であった。
次に、上記グラフト共重合体30重量部、及び共重合体70重量部の割合でブレンドして2軸押出機にて押出し、熱可塑性樹脂(B)のペレットを得た。熱可塑性樹脂(B)中のグラフト重合体におけるグラフト成分の割合は、ポリブタジエン成分100重量部に対して45重量部であり、熱可塑性樹脂(B)の組成は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析で、ブタジエン成分が15重量%、アクリロニトリル成分が26重量%、スチレン成分が59重量%であった。また、熱可塑性樹脂(B)において、ゴム質重合体にグラフトしていない成分のメチルエチルケトン中で測定した還元比粘度(メチルエチルケトン100ml中に共重合体を0.5g溶解した溶液、30℃、Cannon−Fenske型毛細管使用)は0.55であった。
(IV)熱可塑性樹脂(D)
<熱可塑性樹脂(D)の製造>
ポリブタジエンゴムラテックス(体積平均粒子径=0.25μm、固形分量=49重量%)43重量部に、脱イオン水93重量部、アルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C15)0.6重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.6重量部を加え、気相部を窒素置換した後、55℃に昇温した。続いて、アクリロニトリル24重量部、スチレン56重量部、ターシャリードデシルメルカプタン1.7重量部、クメンハイドロパーオキシド0.10重量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水25重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.04重量を溶解してなる水溶液を6時間にわたり添加しながら、1.5時間かけて70℃まで昇温し、それ以降は反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。その後、これにフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加し、充分に攪拌し、さらに固形分40重量%となるように脱イオン水にて希釈した。ラテックス中の未反応の全モノマー量はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、12000ppmであった。熱可塑性樹脂(B)中のグラフト重合体におけるグラフト成分の割合は、ポリブタジエン成分100重量部に対して35重量部であり、ゴム質重合体にグラフトしていない成分中のメチルエチルケトン中で測定した還元比粘度(メチルエチルケトン100ml中に共重合体を0.5g溶解した溶液、30℃、Cannon−Fenske型毛細管使用)は0.24であった。
[実施例1]
導電性連続繊維束(C)を熱可塑性樹脂(D)のラテックス槽中を通過させて含浸処理を行った後、乾燥機を通過させて水分を完全に除去した。この時、導電性連続繊維束に対する熱可塑性樹脂付着量は、重量測定の結果42重量%であった。一方、導電性充填材(A−1)1.5重量部、及び熱可塑性樹脂(B)98.5重量部をブレンドし、単軸押出機中にて溶融混練した後、押出機先端に取り付けたクロスヘッドダイから押出しながら、前記の含浸処理を施した連続炭素繊維束をクロスヘッドダイ中に連続的に供給することで、導電性充填材(A−1)を含有する熱可塑性樹脂(B)にて連続炭素繊維束を被覆した。この時のダイス口径、及びストランドの引き取り速度は、予め求めておいた連続炭素繊維束と被覆樹脂量の関係から、連続炭素繊維量が樹脂組成物全体の3.5重量%となるように設定した。このようにして得られたストランドを水冷し、これを回転刃からなるカッターにて切断して5mm長のペレットを得た。
得られたペレットを用いて平板を成形し、これの表面抵抗値を測定した結果、その平均値は2E+5Ω/□であった。
また、ISO179に準じて測定した該樹脂組成物の23℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強さは5.5kJ/mであった。また、チョーキング現象は認められなかった。
[実施例2〜6]
実施例1と同様に表1の割合でペレットを作成し、評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1〜3]
導電性連続繊維束(C)を熱可塑性樹脂(D)のラテックス槽中を通過させて含浸処理を行った後、乾燥機を通過させて水分を完全に除去した。熱可塑性樹脂(B)のペレットを単軸押出機ホッパーに供し溶融させた後、押出機先端に取り付けたクロスヘッドダイから押出しながら、前記の含浸処理を施した連続炭素繊維束をクロスヘッドダイ中に連続的に供給することで、熱可塑性樹脂(B)にて連続炭素繊維束を被覆した。これを回転刃からなるカッターにて切断し、5mmのペレットを得た。この時、カット前のストランドを5cm程度の長さに切断したものを10本採取し、これらに2−ブタノンを加えて、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性樹脂(D)を溶解、除去後、導電性連続繊維を取り出し、乾燥後の重量を測定して、ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、それぞれ3.5重量%、5.1重量%、6.9重量%であった。
該ペレットを実施例1と同様に成形、評価した。評価結果を表1示す。
[比較例4]
導電性充填材(A−3)5重量部、熱可塑性樹脂(B)95重量部とした以外は実施例1と同様の方法でペレットを作成し、評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例5]
導電性充填材マスターバッチ(A−4´)30重量部、及び熱可塑性樹脂(B)70重量部とした以外は実施例1と同様の方法でペレットを作成し、評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
導電性充填材(A−1)15重量部、及び熱可塑性樹脂(B)85重量部をブレンドした後、二軸押出機にて溶融混錬してペレットを得た。これを実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例7]
比較例1で得られたペレット100重量部、及び導電性充填材(A−1)3重量部をブレンドした後、単軸押出機にて溶融混錬してペレットを得た。これを実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2005225126
実施例1〜4は、導電性充填材(A)の添加量を増減することにより樹脂成形品の表面抵抗値を適宜制御した例である。実施例5~6についても同様である。
一方、比較例1〜3は、導電性長繊維の含有量がわずかに変化しただけで表面抵抗値が大きく異なったものとなり、特に表面抵抗値が2乗から5乗の範囲での制御が困難であることが判る。比較例4、及び5は、表面抵抗値の制御は可能であるが、チョーキングによる汚染が生じている。比較例6は、導電性充填材単独で同程度の表面抵抗値を得るために、多量の添加が必要であり、その結果、シャルピー衝撃強度の劣ったものとなる。比較例7は導電性長繊維含有ペレットを再度押出機にて混錬したことにより、長繊維の切断が生じてしまったため、導電性長繊維、及び導電性充填材をほぼ同量配合した実施例4の樹脂組成物と比較して、表面抵抗値が劣ったものとなる。
本発明による成形品製造法を用いると、導電性長繊維と導電性充填材の比率を変化させることにより連続的に導電性を変化させることが出来るため、導電性長繊維単独系では困難であった導電性の制御が可能となる。また、導電性充填材単独系と比較すると、耐衝撃性に代表される機械的強度に優れた成形品を得ることが出来る。さらに、従来技術に比べて成形品中の導電性長繊維の長さをより長く保持できるので、より高い導電性を発現することが出来る。

Claims (4)

  1. 導電性充填材(A)を含有する熱可塑性樹脂(B)の溶融物にて導電性連続繊維束(C)を被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットを成形して成形品を得ることを特徴とする成形品製造法。
  2. 導電性連続繊維束(C)が、予め熱可塑性樹脂(D)で含浸されていることを特徴とする請求項1記載の成形品製造法。
  3. 導電性充填材(A)が、導電性炭素繊維、導電性金属繊維、導電性炭素繊維に金属メッキを施した導電性繊維、ガラス繊維に金属メッキを施した導電性繊維から選ばれた1種以上の導電性繊維を切断してチョップド糸としたものおよびこれらを粉砕してミルドファイバーとした導電性短繊維、導電性金属酸化物の粒子並びに導電性金属酸化物の極細繊維から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の成形品製造法。
  4. 導電性充填材(A)が、導電性炭素繊維および導電性炭素繊維に金属メッキを施した導電性繊維から選ばれた1種以上の導電性繊維を切断してチョップド糸としたものおよびこれを粉砕してミルドファイバーとした導電性短繊維から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項3記載の成形品製造法。
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