JP5140898B2 - 膜−電極接合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン交換膜、電極触媒層、および電極基材から構成される膜−電極接合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、低排出物、高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。
【0003】
燃料電池には、用いられる電解質の種類により、固体高分子型、リン酸型、固体酸化物型、溶融炭酸塩型、アルカリ型などの種類がある。なかでも固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池に比べて、運転温度が低温で起動時間が短く、高出力が得やすい、小型軽量化が見込める、振動に強いなどの特徴を有し移動体の電力供給源に適している。
【0004】
燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオン伝導体となる電解質とがそれぞれの間でセパレータで挟まれたセルをユニットとして構成されている。電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(集電体とも云う)と、実際に電気化学反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば固体高分子型燃料電池のアノード電極では、燃料ガスが触媒表面で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは電解質のプロトン交換膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸化ガスが電極触媒層表面で、電解質から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
【0005】
また、プロトン交換膜、アノードとカソードの電極触媒層、およびアノードとカソードの電極基材は、プロトン交換膜と電極触媒層との界面のイオン伝導性を良好なものにするために、また電極触媒層と電極基材との界面の電子伝導性を良好なものにするために通常一体化されている。この一体化したものを膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、膜−電極複合体とも云う)と呼んでいる。
【0006】
膜−電極接合体は、一般に、電極触媒層付き電極基材2枚の間にプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、加熱、加圧する、あるいは、2枚の電極基材で両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜を挟み、加熱、加圧する、いわゆるホットプレス法によって一体化することで製造される。
【0007】
しかし、これらの方法で製造される接合体では、プロトン交換膜と電極触媒層とが十分に接合されず、プロトン交換膜と電極触媒層との界面のイオン抵抗が高くなるという欠点や、電極触媒層と電極基材とが十分に接合されず、電極触媒層と電極基材との界面の電子抵抗が高くなるという欠点があった。また、良好な接合状態を得るためにホットプレス時の加熱温度や圧力を高くしようとすると、プロトン交換膜がダメージを受けて膜の強度やイオン交換能が低くなるという欠点があった。さらに、良好な接合状態を得るために、ホットプレス時の圧力を高くすることは、電極触媒層の圧密化が生じ、電極触媒層内のガス拡散性が低くなるという欠点があった。
【0008】
このような問題を解決する固体高分子電解質膜(プロトン交換膜)と電極(電極触媒層付き電極基材)との接合体の製造方法として、特開平3−208262号公報には、2枚の電極で固体高分子電解質膜を挟んだ挟持体を、溶媒中で加熱・加圧(ホットプレス)することにより接合体とする方法が開示されている。そしてこの方法によると、「固体高分子電解質膜が溶媒中で軟化又はその一部が溶解して膨潤した状態となるので、ガス拡散電極との接合が容易となる。しかも、このとき固体高分子電解質膜がガス拡散電極の反応膜内に入り込み易いので触媒反応が生じる面積が大きくなり、また、結果的に固体高分子電解質膜がきわめて薄くなるのでイオン導電の抵抗が低下するという効果」が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報の方法では、固体高分子電解質膜と電極との界面は剥離しやすく、界面接合状態はいまだ悪いものであった。さらに上記公報の実施例によると、プロトン交換膜がダメージを受けて膜の強度やイオン交換能が低くなるという欠点はいまだ存在していた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、プロトン交換膜、電極触媒層、及び電極基材から構成される膜−電極接合体の接合工程において、予め溶媒を含んだプロトン交換膜および電極触媒層を用い、実質上溶媒には浸漬しない状態で、加圧および加熱してプロトン交換膜および電極触媒層を接合し、溶媒を蒸発せしめることを特徴とする膜−電極接合体の製造方法(以下、本発明第1製造方法という)である。
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるプロトン交換膜、電極触媒層、及び電極基材から構成される膜−電極接合体の製造方法は、ホットプレス時の加熱、加圧が過剰になってプロトン交換膜の強度やイオン交換能が低くなるという欠点が生じることなく、膜−電極接合体が十分に接合されてイオン抵抗および電子抵抗が低くなり、膜−電極接合体の性能が向上することを目的としている。即ち、本発明者らは、特開平3−208262号公報に記載の製造方法などでは、膜−電極接合体の接合後も膨潤したままの状態であることにより、固体高分子電解質膜と電極との界面は剥離しやすく、界面接合状態が悪くなっているという因果関係があることを見出した。さらに上記公報の実施例では、膜−電極接合体製造時の加熱温度は120〜130℃とプロトン交換膜のガラス転移温度よりも高いことにより、プロトン交換膜がダメージを受けて膜の強度やイオン交換能が低くなっている因果関係もあることを見出した。そのために本発明は、少なくとも、プロトン交換膜、電極触媒層、電極基材から構成される膜−電極接合体の接合工程において、実質上溶媒には浸漬しない状態で予め溶媒を含んだプロトン交換膜および電極触媒層を用い、加圧および加熱してプロトン交換膜および電極触媒層を接合することにより、プロトン交換膜および電極触媒層から溶媒を蒸発せしめることを特徴としている。
【0013】
この本発明第1製造方法の工程により、プロトン交換膜および電極触媒層は溶媒を含んだ状態から接合工程中に乾燥されるため、プロトン交換膜が十分に接合され、界面接合状態が良好な膜−電極接合体を製造することが可能となる。
【0014】
プロトン交換膜の強度が低下する度合いは、プロトン交換膜の引張強さをσA、膜−電極接合体を製造した時のプロトン交換膜の引張強さをσBとすると、以下の式で示すプロトン交換膜の引張強さの保持率(%)で表すことができる。
【0015】
プロトン交換膜の引張強さの保持率=σB/σA×100(%)
プロトン交換膜の引張強さの保持率が高いほど、プロトン交換膜の強度が低下する度合いが小さいことになる。プロトン交換膜の引張強さは、JIS K7127に準じて測定する。この引張強さは膜の厚さ方向に対して垂直な方向で測定される。膜−電極接合体を製造したときのプロトン交換膜の引張強さは、膜−電極接合体から電極基材を剥離した後のプロトン交換膜および/または電極触媒層が表面についた状態のプロトン交換膜を用いて、JIS K7127に準じて測定する。このとき、電極触媒層の強度はプロトン交換膜の強度に比べて無視できるほど小さいため、電極触媒層がプロトン交換膜の表面についた状態で引張強さを測定しても、実質的に問題はない。
【0016】
本発明のプロトン交換膜および電極触媒層は予め溶媒を含ませておくことが肝要である。発明の効果を考慮すれば、両者に予め溶媒が含ませられていることが必要である。
【0017】
本発明のプロトン交換膜および電極触媒層を予め溶媒を含ませる工程は、特に限定されるものではない。プロトン交換膜または自立した電極触媒層または電極触媒層が付いたプロトン交換膜を溶媒中に浸漬した後に取り出してもよいし、直接溶媒を塗布してもよい。膨潤しやすいように、溶媒中に浸漬し、加圧および/または加熱することも、好ましい実施態様である。限定されるものではないが、具体的にはプロトン交換膜を水等の溶媒中で10〜100分間煮沸することも、好ましい実施態様である。本発明のプロトン交換膜および電極触媒層が溶媒を含んだ状態とは、膜形態および/または触媒層形態が実質的に溶解することなく保持され、なおかつ溶媒を乾燥除去した後の重量減の割合が5%以上(より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上)であることをいう。前記溶媒を乾燥除去する方式としては、例えば水の場合、圧力1kPa、温度25℃の減圧容器に24時間保管してなされる。その他の溶媒もその沸点に応じて前記方法を準拠すればよい。また、溶解することなく保持されるとは、大凡の目安を示すならば、溶媒の沸点における、溶媒への溶解度が10,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。
【0018】
本発明第1製造方法において、実質上溶媒には浸漬しない状態とは、接合工程時において、プロトン交換膜乃至は電極触媒層が接する雰囲気が当該溶媒以外の流体、或いは、気体であることを指す。勿論、前記プロトン交換膜乃至は電極触媒層から圧力により絞り出されたり、一旦蒸発して再凝結した当該溶媒の液滴が多少前記プロトン交換膜乃至は電極触媒層の表面に存在していても良い。その場合、前記表面に占める前記液滴面積は好ましくは30%以下(より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下)で有る。また、前記雰囲気は大気下に暴露されていても良いし、開放系乃至は密閉系で空気や窒素ガスなどのキャリアガスを放出乃至は循環させても良い。或いは密閉系にて減圧しても良い。また、場合によっては、当該溶媒の蒸発を妨げないならば、前記雰囲気は当該溶媒以外の液体であっても良い。
【0019】
本発明の加圧および加熱してプロトン交換膜および電極触媒層を接合することにより、プロトン交換膜および電極触媒層から溶媒を蒸発せしめる工程は、プロトン交換膜、電極触媒層、電極基材が、加圧下において十分に接触された状態を保持したまま、プロトン交換膜および電極触媒層から溶媒が蒸発せしめられ、プロトン交換膜、電極触媒層電極基材の接合が十分になされる工程であれば、特に限定されるものではない。加熱プレス機を用いて加圧・加熱しながら溶媒を蒸発せしめるのも、好ましい実施態様である。尚、積極的に加熱或いは加圧せずとも、前行程の予熱や室温程度で十分であり加熱の必要がない場合や、単に各層を積み重ねておくだけの自重程度で十分であり、加圧する必要がない場合もあり得るが、本発明では、これらも広義での加熱乃至は加圧であると見なす。また、プロトン交換膜、電極触媒層、電極基材をさらに挟持する材料として、プロトン交換膜および電極触媒層に含まれている溶媒を蒸発せしめやすいように、溝を形成したものや、貫通孔を形成したものや、減圧できる機構にしたものを使用することも、好ましい実施態様である。
【0020】
本発明の製造方法における、工程順序としては、好適には、電極基材表面に電極触媒層を設け(以下、工程Aという)た後、前記電極触媒層面とプロトン交換膜を対向させて、本発明の製造方法を適用させる製法が挙げられる。また、プロトン交換膜表面に電極触媒層を設け(以下、工程Bという)た後、前記電極触媒層面と電極基材を対向させて本発明の製造方法を適用させることもできる。場合によっては、電極基材表面とプロトン交換膜表面のそれぞれに電極触媒層を設け(工程A、B)た後、両者の電極触媒層面同士を対向させて本発明の製造方法を適用させることも出来うる。尚、工程A、Bにおいては、電極触媒層は好適には溶液状にして塗布法などで設けられるが、このような場合、溶媒を大量に含んだ形成されたばかりの層は、その一方の表面を外気に曝された状態であるので、容易に溶媒が蒸発する。従って、工程A、Bにおいては、本発明の製造方法を適用しなくとも問題ないが、適用しても良い。因みに、プロトン交換膜を塗布法で設けると対向する電極触媒層は多孔であるため、そこへ溶液状の塗布液が侵入することがある。その結果、電極触媒層の導電性が高まる場合もあるが、電極触媒層が埋まり、ガス拡散性が低下する場合もあるので、注意を要する。また、直接塗布しないまでも、触媒とプロトン交換膜の溶液を、一緒に混練して電極基材に塗布し、触媒層を形成する例もある。そのような場合はプロトン交換膜と電極触媒層との弁別は困難乃至は不可能な場合がある。
【0021】
本発明第2製造方法におけるプロトン交換膜および/または電極触媒層から溶媒を蒸発せしめる温度は、プロトン交換膜のガラス転移温度以下である。好ましくはガラス転移温度の5℃以下(より好ましくは10℃以下、更に好ましくは15℃以下)である。かようにガラス転移温度との相対的関係で蒸発せしめる温度が支配されるので、プロトン交換膜および/または電極触媒層の素材により、当該温度は様々に変わる。従って、非相対的な溶媒を蒸発せしめる温度は一概には特定し難いが、大凡好ましくは105℃以下(より好ましくは100℃以下、更に好ましくは95℃以下)である。
【0022】
高分子物質は、分子運動で言うミクロブラウン運動に対応する分子鎖のセグメント運動が冷却に伴い凍結し、ガラス状態となる。この現象をガラス転移といい、その転移温度のことをガラス転移温度という。
【0023】
また、プロトン交換膜は、プロトン交換基が膜内にクラスター構造を形成し、このクラスター内部に外部から水分が供給されることで、プロトン交換基間でプロトンが伝達されるようになり、膜のプロトン伝導性が発現される。
【0024】
すなわち、溶媒を蒸発せしめる温度がプロトン交換膜のガラス転移温度以上であると、プロトン交換膜の分子構造各部分の熱運動が激しくなり、分子鎖の再配列化が起こり、プロトン交換膜自身の強度が弱くなり好ましくなく、さらにプロトン交換基部分の熱運動が激しくなり、クラスター構造が破壊され、イオン交換能が低くなり好ましくない。
【0025】
本発明第2製造方法におけるプロトン交換膜および/または電極触媒層から溶媒を蒸発せしめる温度は、電極触媒層に含まれるポリマのガラス転移温度以下である。溶媒を蒸発せしめる温度が電極触媒層に含まれるポリマのガラス転移温度以上であると、上記の理由により、電極触媒層に含まれるポリマの強度やイオン交換能が低くなり好ましくない。
【0026】
尚、温度条件の下限値としては、好ましくは30℃以上(より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上)である。何故ならば、前記下限値を下回ると溶媒を蒸発せしめるのに時間がかかるようになり好ましくないことがあるからである。
【0027】
プロトン交換膜および電極触媒層に含ませる溶媒は、単独で用いてもよいし、当該溶媒を少なくとも1種類含む混合溶媒として用いてもよい。尚、プロトン交換膜および/または電極触媒層を構成するポリマのガラス転移温度よりも高い沸点を有する溶媒であっても、発明の効果を妨げない程度の微量ならば含まれていても良い。その場合、好ましくは20重量%以下(より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下)である。
【0028】
また、プロトン交換基および/または電極触媒層が2種類以上のポリマより成る場合、含まれる溶媒の1気圧における沸点は、前記ポリマの中で最も低いガラス転移温度以下であることが、溶媒を蒸発せしめ易くなり好ましい。しかしながら、前記沸点よりも低温のガラス転移温度を有するポリマがあっても、発明の効果を妨げない程度の微量ならば含まれていても良い。その場合、好ましくは20重量%以下(より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下)である。
【0029】
本発明における膜−電極接合体の接合時に加える圧力は、1〜10MPaであることが好ましく、2〜10MPaであることがさらに好ましい。加える圧力が1MPa以下であると、プロトン交換膜と電極触媒層または電極触媒層と電極基材とが十分に接合されず、プロトン交換膜と電極触媒層との界面のイオン抵抗が高くなるか、あるいは電極触媒層と電極基材との界面の電子抵抗が高くなって好ましくなく、また、加える圧力が10MPa以上であると、電極触媒層がつぶれ、反応ガスの電極触媒層中での拡散性が阻害されて好ましくない。
【0030】
尚、加熱及び加圧する処理時間は、温度や圧力により種々変動し得る(概ね、温度が高い程、圧力が高い程、処理時間は短い)が、おおよその目安を示すならば、好ましくは10分以上(より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上)である。また、前記した、好適な温度の加熱や好適な圧力の加圧の処理が行われる時間帯は工程により多少ずれること(予め予熱する等)はあり得るが、前記の好適な処理時間は前記好適な温度及び圧力にて、加熱及び加圧されている処理時間であることが好ましい。
【0031】
本発明第2製造方法においては、本発明第1製造方法及び述べた種々の方法(予め溶媒を含んだプロトン交換膜および電極触媒層を用いる等)を適用したり準用することは好ましく、またその逆も好ましい。
【0032】
本発明におけるプロトン交換膜としては特に限定されるものではないが、プロトン交換基として、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などを有するものが、(スルホン酸基が最も好適)燃料電池性能を発現する上で、好ましく用いられる。
【0033】
このプロトン交換膜として好適なものは、一般的に言って2つに大別される。1つは、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの炭化水素系である。もう1つは、フッ素原子を含むもので、フルオロアルキルエーテル側鎖とパーフルオロアルキル主鎖を有するフルオロアルキル共重合体のパーフルオロ系である。これらは燃料電池が用いられる用途や環境に応じて適宜選択されるべきものであるが、パーフルオロ系が燃料電池寿命の点から好ましいものである。また、炭化水素系については、部分的にフッ素原子置換した部分フッ素膜も好ましく用いられる。パーフルオロ膜では、DuPont社製Nafion、旭化成製Aciplex、旭硝子製Flemion、ジャパンゴアテックス社製Gore-Selectなどが例示され、部分フッ素膜では、トリフルオロスチレンスルホン酸の重合体やポリフッ化ビニリデンにスルホン酸基を導入したものなどがある。
【0034】
プロトン交換膜は1種のポリマばかりでなく、2種以上のポリマの共重合体やブレンドポリマ、2種以上の膜を貼り合わせた複合膜、プロトン交換膜を不織布や多孔フィルムなどで補強した膜なども用いることができる。
【0035】
本発明におけるプロトン交換膜に含まれる溶媒は、実質的にプロトン交換膜を溶解するものでなければ特に限定されるものではないが、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホ基などの親水基を有する溶媒が、プロトン交換膜の含溶媒率が高くなり好ましい。これらの親水基を有する溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、蟻酸、酢酸、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。プロトン交換膜に含まれる溶媒としては、これらの溶媒を単独で用いてもよいし、これらを少なくとも1種類含む混合溶媒として用いてもよい。さらに、プロトン交換膜に溶媒を含む際に、溶媒を加圧・加熱することも、プロトン交換膜を膨潤させる効率を向上させる点で、好ましい実施態様である。
【0036】
本発明におけるプロトン交換膜に含まれる溶媒としては、水がコスト、取り扱い性、安全性、環境に与える影響などの面からもっとも好ましい。
【0037】
本発明におけるプロトン交換膜に含まれる溶媒の1気圧における沸点は、プロトン交換膜のガラス転移温度以下であることが、プロトン交換膜から溶媒を蒸発せしめ易くなり好ましい。ガラス転移温度は例えば、社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行の第4版実験化学講座2に記載の、示差走査熱量計(DSC)や熱機械分析装置(TMA)により求めることができる。Nafionのガラス転移温度は、J.Appl.Polym.Sci.,21,875(1977)によると110℃であるので、プロトン交換膜としてNafionを用いた場合は、含まれる溶媒の1気圧における沸点は、110℃以下であることが好ましい。また、2種類以上のポリマの共重合体やブレンドポリマ、2種類以上の膜を張り合わせた複合膜、プロトン交換膜を不織布や多孔フィルムなどで補強した膜に関しては、含まれる溶媒の1気圧における沸点は、プロトン交換基を有するポリマの中で最も低いガラス転移温度以下であることが、溶媒を蒸発せしめ易くなり好ましい。
【0038】
本発明における電極触媒層は、少なくとも触媒または触媒坦持媒体(例えば触媒坦持カーボンが好適、以下、触媒坦持カーボンを例に挙げて説明するが何らこれに限定されるものではない)を有してなる。特に限定されるものではないが、例えば、本発明における電極触媒層は、触媒担持カーボンと、触媒担持カーボン同士あるいは触媒担持カーボンと電極基材あるいは触媒担持カーボンとプロトン交換膜とを結着し、触媒層を形成するポリマからなるものである。
【0039】
触媒担持カーボンに含まれる触媒は特に限定されるものではないが、触媒反応における活性化過電圧が小さいことから白金、金、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金、混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わない。
【0040】
触媒担持カーボンに含まれるカーボンは特に限定されるものではないが、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましいものである。オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業社製デンカブラックなどが挙げられる。特に、キャボット社製のバルカンXC−72が好ましく用いられる。
【0041】
電極触媒層に含まれるポリマは特に限定されるものではないが、燃料電池内の酸化−還元雰囲気で劣化しないポリマが好ましい。このようなポリマとしては、フッ素原子を含むポリマが挙げられ、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)など、あるいはこれらの共重合体、これらモノマ単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマとの共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができる。
【0042】
電極触媒層に含まれるポリマは、電極触媒層内のプロトン伝導性を向上させるためにプロトン交換基を有するポリマも好ましいものである。このようなポリマに含まれるプロトン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などがあるが特に限定されるものではない。また、このようなプロトン交換基を有するポリマも、特に限定されることなく選ばれるが、プロトン交換基の付いたフルオロアルキルエーテル側鎖を有するフルオロアルキル共重合体が好ましく用いられる。たとえば、DuPont社製のNafionなども好ましいものである。また、プロトン交換基を有する上述のフッ素原子を含むポリマや、エチレンやスチレンなどの他のポリマ、これらの共重合体やブレンドであっても構わない。
【0043】
電極触媒層に含まれるポリマは、上記のフッ素原子を含むポリマやプロトン交換基を含むポリマを共重合あるいはブレンドして用いることも好ましいものである。特にポリフッ化ビニリデン、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)共重合体などと、プロトン交換基にフルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖を有するNafionなどのポリマを、ブレンドすることは電極性能の点から好ましいものである。
【0044】
電極触媒層の主たる成分は、好適には触媒担持カーボンとポリマであり、それらの比率は必要とされる電極特性に応じて適宜決められるべきもので特に限定されるものではないが、触媒担持カーボン/ポリマの重量比率で5/95〜95/5が好ましく用いられる。特に固体高分子型燃料電池用電極触媒層として用いる場合には、触媒担持カーボン/ポリマ重量比率で40/60〜85/15が好ましいものである。
【0045】
電極触媒層には、触媒担持カーボンを担持している前述のカーボンのほか、電子伝導性向上のために種々の導電剤を添加することも好ましい実施態様となる。このような導電剤としては、前述の触媒担持カーボンに用いられるカーボンと同種のカーボンブラックに加えて、種々の黒鉛質や炭素質の炭素材、あるいは金属や半金属が挙げられるが特に限定されるものではない。このような炭素材としては、前述のカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などがある。これらの炭素材の形態としては、粒子状のほか繊維状も用いることができる。また、これら炭素材を後処理加工した炭素材も用いることが可能である。これら導電材の添加量としては、電極触媒層に対する重量比率として1〜80%が好ましく、5〜50%がさらに好ましい。
【0046】
本発明において、電極触媒層の電極基材またはプロトン交換膜への付加・形成方法は特に限定されるものではない。触媒担持カーボンと電極触媒層に含まれるポリマとをペースト状に混練し、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布などの方法で、電極触媒層を電極基材またはプロトン交換膜に直接付加・形成してもよいし、他の基材(転写基材)上に電極触媒層をいったん形成した後、電極基材またはプロトン交換膜に転写しても良い。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、あるいは表面をフッ素やシリコーン系の離型剤処理したガラス板や金属板なども用いられる。
【0047】
本発明の電極触媒層は、触媒担持カーボンと電極触媒層に含まれるポリマが、三次元方向に網目状の微多孔質構造(以下、単に三次元網目微多孔質構造という)を有していることも、触媒層中で生成水が詰まり、ガス拡散性が悪くなるいわゆるフラッディング現象が起こりにくく、反応ガスの電極触媒層での拡散性が向上して好ましい。この三次元網目微多孔質構造の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば触媒担持カーボンを分散させたポリマ溶液組成物を、ポリマを凝固可能な溶媒中に浸漬する湿式凝固法で作成することができる。ポリマを湿式凝固させる凝固溶媒についても特に限定されるものではないが、用いられるポリマを凝固析出しやすく、かつポリマ溶液の溶媒と相溶性がある溶媒が好ましい。例えば特に限定されるものではないが、ポリマとしてNafionを用い、溶媒として低級脂肪族アルコール・水混合溶媒を用いた場合は、凝固溶媒として酢酸ブチルを用いることが好ましい。
【0048】
本発明における膜−電極接合体の製造方法は、製造時に従来法に比べて加熱する温度が低く、電極触媒層がつぶれにくいため、電極触媒層が三次元網目微多孔構造を有している場合には特に好ましい。
【0049】
本発明における電極基材としては、燃料電池に一般に用いられる電極基材が特に限定されることなく用いられる。たとえば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどが挙げられ、この導電性物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。導電性物質の形態は繊維状あるいは粒子状など特に限定されないが、燃料電池などのように電極活物質に気体を用いる電気化学装置に用いる場合、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートとしては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法など特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工をした後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。例えば、東レ製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが好ましく用いられる。本発明における多孔質導電シートには、特に限定されないが、導電性向上のために補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維を添加することも好ましい実施態様である。
【0050】
電極基材には、上記の電極基材以外にも、実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向された炭素短繊維を高分子物質で結着してなる炭素繊維紙を含み、炭素短繊維の長さが、少なくとも3mmで、かつ、炭素繊維紙の厚みの少なくとも5倍である多孔質導電シートを用いることもできる。ここで、炭素繊維紙の厚みはJIS P8118に準じて測定する。測定時の面圧は13kPaとする。炭素短繊維が実質的に二次元平面内において配向されているということの意味は、炭素短繊維がおおむね一つの面を形成するように横たわっているという意味である。このことにより炭素短繊維による対極との短絡や炭素短繊維の折損を防止することができる。
【0051】
炭素繊維紙において、炭素短繊維を実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向させる方法としては、液体の媒体中に炭素短繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中で炭素短繊維を分散させて降り積もらせる乾式法がある。炭素短繊維を確実に実質的に二次元平面内において配向させるため、また、炭素繊維紙の強度を高くするためには、湿式法が好ましい。
【0052】
また、炭素短繊維を高分子物質で結着することにより、圧縮や引張りに強くなり、炭素繊維紙の強度、ハンドリング性を高め、炭素短繊維が炭素繊維紙から外れたり、炭素繊維紙の厚み方向を向くのを防止できる。
【0053】
高分子物質を結着させる方法としては、炭素短繊維を実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向させるときに繊維状、粒状、液状の高分子物質を混合する方法と、炭素短繊維が実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向された集合体に繊維状、液状の高分子物質を付着させる方法等がある。液状の概念には、エマルジョン、ディスパージョンやラテックス等、液体中に高分子物質の微粒子が分散して実質的に液体として取り扱うことができるものも含まれる。
【0054】
炭素短繊維の結着を強くしたり、炭素繊維紙、ひいては集電体の電気抵抗を低くしたりするためには、炭素短繊維を結着する高分子物質は繊維状、エマルジョン、ディスパージョン、ラテックスであるのが好ましい。繊維状の高分子物質の場合、含有率を低くするため、フィラメント糸を使用することが好ましい。
【0055】
炭素短繊維を結着する高分子物質としては、炭素またはケイ素を主鎖に持つ高分子物質が好ましく、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(酢ビ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラストマー、ブタジエン・スチレン共重合体(SBR)、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(NBR)等のエラストマー、ゴム、セルロース、パルプ等を用いることができる。フッ素樹脂等の撥水性の樹脂を用い、炭素短繊維の結着と同時に炭素繊維紙の撥水化処理を行ってもよい。
【0056】
電極基材が加圧時に壊れにくくするためには、炭素短繊維を結着する高分子物質は軟らかいほうがよく、高分子物質の形態が繊維状または粒状である場合には、高分子物質は、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、セルロース、パルプなどが好ましい。また、高分子物質を液状の形態で用いる場合には、高分子物質は、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴムや、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム等の軟質材料で変性した熱硬化性樹脂が好ましく、特に熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴムを用いると、電極基材が加圧時に壊れにくくなりより好ましい。
【0057】
高分子物質は、23℃における圧縮弾性率が4, 000MPa以下であることが好ましく、2, 000MPa以下であるのがより好ましく、1, 000MPa以下であるのがさらに好ましい。圧縮弾性率の低い高分子物質は結着部にかかる応力を緩和して結着を外れにくくし、また、炭素短繊維にかかる応力を緩和して炭素短繊維を折れにくくするためである。
【0058】
後述の炭素繊維紙の集電体への加工時や一体化時に水を使用する場合には、炭素短繊維を結着する高分子物質が水に溶解して結着が外れるのを防ぐために、非水溶性の高分子物質を使用することが好ましい。非水溶性の高分子物質としては、例えば、酢酸ビニル、PET、PP、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、SBR、NBR等がある。また、水溶性高分子物質としてはPVAが使用できる。その場合、他の高分子物質と混合したり、共重合物として用いたりすることができるが、PVAは、ケン化度の高いものを使用することが好ましい。ケン化度は85mol%以上が水に溶けやすいという点で好ましく、95mol%以上がより好ましい。
【0059】
固体高分子型燃料電池は、カソード(空気極、酸素極)において、電極反応生成物としての水や、電解質を透過した水が発生する。また、アノード(燃料極)においては、プロトン交換膜の乾燥防止のために燃料を加湿して供給する。これらの水の結露と滞留、水による高分子物質の膨潤が電極反応物を供給する際の妨げになるので、高分子物質の吸水率は低いほうがよい。好ましくは20%以下、より好ましくは7%以下である。
【0060】
電極基材における高分子物質の含有率は、0.1〜50重量%の範囲にあるのが好ましい。炭素繊維紙の電気抵抗を低くするためには、高分子物質の含有率は少ないほうがよいが、0.1重量%未満ではハンドリングに耐える強度が不足し、炭素短繊維の脱落も多くなる。逆に、50重量%を超えると炭素繊維紙の電気抵抗が増えてくるという問題が生じる。より好ましくは、1〜30重量%の範囲である。
【0061】
炭素繊維紙は、そのまま電極基材として用いる場合と、さらに後処理して用いる場合とがある。後処理の例としては、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐために行う撥水処理、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるために行われる炭素質粉末の添加等がある。
【0062】
炭素繊維紙の強度、ハンドリング性を高くしたり、炭素短繊維を実質的に二次元平面内において配向させるために、炭素短繊維の長さは少なくとも3mm以上が好ましく、より好ましくは4.5mm以上、さらに好ましくは6mm以上とする。3mm未満では、強度、ハンドリング性を保つのが難しくなる。ただし、密度を向上し、加圧時の圧縮変形をより少なくするために、繊維長の異なる炭素短繊維を混合することも好ましいものであり、この場合は、長い繊維長の炭素短繊維の長さが3mm以上であることが好ましく、短い繊維長の炭素短繊維の長さは3mm未満であっても構わない。
【0063】
また、炭素短繊維を実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向させるために、炭素短繊維の長さは炭素繊維紙の厚みの5倍以上、好ましくは8倍以上、さらに好ましくは12倍以上とする。5倍未満では、二次元への配向の確保が難しくなる。
【0064】
炭素短繊維の長さの上限は、実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向させるためには30mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。炭素短繊維が長すぎると分散不良を発生しやすく、多数の炭素短繊維が束状のまま残る場合がある。その場合、束状の部分は空隙率が低く、加圧時の厚みが厚くなるために加圧時に高い圧力がかかり、炭素繊維紙の破壊や、プロトン交換膜や触媒層の局部的な薄層化等の問題が起こりやすくなる。
【0065】
また、炭素短繊維の形態は、炭素短繊維による対極との短絡をより完全に防止できるため、直線状であるのが好ましい。ここで、直線状の炭素短繊維とは、炭素短繊維を曲げる外力を取り除いた状態で炭素短繊維の長さ方向にある長さL(mm)をとったときに、長さLに対する直線性からのずれΔ(mm)を測定し、Δ/Lがおおむね0.1以下であるものをいう。一方、非直線状の炭素短繊維は、実質的に二次元平面内において無作為な方向に配向させるときに三次元方向を向きやすいという欠点がある。
【0066】
一般に、電極基材は、プロトン交換膜、電極触媒層、電極基材の一体化時や電池として使用する際に厚み方向に加圧され、壊れることがある。また、電池として使用するときには溝付セパレータと向かい合った状態で厚み方向に加圧されるため、溝付セパレータの山と向かい合う部分に大きな圧力がかかるのに加えて、山と谷の境と向かい合う部分が壊れやすい。電極基材が壊れると、折れた炭素短繊維の脱落、電極基材の強度低下、面方向の電気抵抗増大等が起こり、電池として使用できなくなることがある。
【0067】
上記のことから、本発明における電極基材としては、厚み方向に2.9MPaの一様な面圧を2分間加え、その面圧を解除した後の重量減少率が3%以下であるのが好ましい。重量減少率が3%より高い電極基材は面圧解除後弱くなっており、ハンドリングで壊れやすいという問題があるからである。これにより、加圧時に壊れにくく、電極基材の破壊により燃料電池が使用できなくなるのを防止できる。好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0068】
なお、重量減少率の測定は、以下のようにして行う。まず、電極基材を直径46mmの円形にカットし、重量を測定する。次に、その電極基材よりも大きく、平滑表面を有する2枚のガラス状炭素板でカットした電極基材を挟み、電極基材の面積当たり2.9MPaの圧力になるよう加圧し、2分保つ。圧力を取り除いて電極基材を取り出し、その面方向を垂直方向に向けて30mmの高さから落下させる。この落下を10回行った後に重量を測定し、重量減少率を算出する。
【0069】
炭素短繊維の折損を防止し、重量減少率を3%以下とするために、使用する炭素短繊維は、炭素連続繊維をカットしたものが好ましく、熱処理時に張力をかけたものがより好ましく、熱処理時に延伸したものがさらに好ましい。
【0070】
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などが例示される。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましい。PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維にくらべて圧縮強さ、引張破断伸度が大きく、折れにくい。このことは、炭素繊維を構成する炭素の結晶化の相異によると考えられる。折れにくい炭素繊維を得るためには、炭素繊維の熱処理温度は2,500℃以下が好ましく、2,000℃以下がより好ましい。
【0071】
本発明における電極基材中に用いられる炭素繊維、好ましくは炭素短繊維は、直径D(μm)と、引張強さσ(MPa)と、引張弾性率E(MPa)との関係が次式を満足しているのがよい。そのような炭素短繊維からなる炭素繊維紙を含む電極基材は、壊れにくいためである。すなわち、炭素短繊維の直径が細く、引張強さが強く、引張弾性率が低いほうが炭素短繊維は折れにくく、加圧時に電極基材が壊れにくくなる。
【0072】
σ/(E×D)≧0.5×10-3
ここで、炭素繊維の引張強さ、引張弾性率はJIS R7601に準じて測定する。偏平な断面の炭素繊維の場合、長径と短径の平均値を直径とする。種類の異なる炭素短繊維が混合されている場合、D、σ、Eについてそれぞれ重量平均した値を用いる。好ましくはσ/(E×D)≧1.1×10-3であり、より好ましくはσ/(E×D)≧2.4×10-3である。
【0073】
炭素短繊維の引張破断伸度は電極基材の強度のため、0.7%以上であるのが好ましく、より好ましくは1.2%以上であり、さらに好ましくは1.8%以上である。引張破断伸度は引張強さ(σ)を引張弾性率(E)で除した値である。
【0074】
また、炭素短繊維の折損は様々な状況で発生するため、炭素短繊維の引張強さは500MPa以上であるのが好ましく、1, 000MPa以上であるのがより好ましく、2, 000MPa以上であるのがさらに好ましい。
【0075】
電極基材に用いられる炭素短繊維の直径は、20μm以下であるのが好ましい。より好ましいのは12μm以下、さらに好ましいのは8μm以下である。電極基材に含まれる炭素繊維紙の表面には、炭素短繊維の直径の5〜10倍の直径の空隙が観察される。触媒層との一体化時に電極基材表面の炭素短繊維と空隙によってプロトン交換膜、電極触媒層、電極基材の面を凹凸化して電極反応を起こりやすくする。このため、炭素短繊維の直径は細いほうがよい。直径が20μmを超えると電極基材表面の空隙の半径が触媒層の厚みと同程度になり、触媒層内の触媒粒子と電極基材中の炭素短繊維の間の電子の流れる距離が長くなり、燃料電池としての性能が低下するという問題が生じる。また、炭素短繊維は細いほど厚み方向の加圧時に折れにくい。直径の異なる炭素短繊維が混合されている場合は、重量平均によって直径を求める。一方、炭素短繊維の直径が細くなりすぎると、一体化時に触媒層の電極基材への浸入が起こりにくくなるため、炭素短繊維の直径は2μm以上であるのが好ましい。
【0076】
電極基材に用いられる炭素短繊維の体積抵抗率は電極基材の低抵抗化のため200μΩ・m以下が好ましく、50μΩ・m以下がより好ましく、15μΩ・m以下がさらに好ましい。炭素短繊維の体積抵抗率の測定はJIS R7601に準じて行う。定められた繊維長さが得られない場合、得られた繊維長さで測定を行う。
【0077】
電極基材に用いられる炭素短繊維は、X線光電子分光分析法による表面の酸素原子と炭素原子との原子数比(酸素原子数/炭素原子数)が0.35以下、好ましくは0.20以下、さらに好ましくは0.10以下であるものがよい。湿式抄紙法によって炭素繊維紙を得る場合、酸素原子と炭素原子との原子数比が高いと炭素短繊維の分散が難しくなって分散不良が増加するためである。0.35を超えると均一な炭素繊維紙を得ることが難しくなる。酸素原子と炭素原子との原子数比を低くするためには、炭素繊維の表面処理やサイジング剤の付与をやめたり、不活性または還元雰囲気中での熱処理によって表面の酸素原子を取り除く方法がある。
【0078】
本発明に用いられる電極基材は、柔軟性を有する導電粒子がシート状に配列されてなる多孔質導電シートを用いてなることも好ましい。これにより構成成分の脱落が少ない、あるいは、機械的力が作用しても壊れ難く、電気抵抗が低く、かつ、安価な電極基材を提供するという目的が可能となる。特に、柔軟性を有する導電粒子として、膨張黒鉛粒子を用いることで上記目的が達成可能である。
【0079】
ここで、膨張黒鉛粒子とは、黒鉛粒子が、硫酸、硝酸などにより層間化合物化された後、急速に加熱することにより膨張せしめられて得られる黒鉛粒子をいう。通常、膨張黒鉛粒子の結晶構造における層間距離は、原料黒鉛粒子のそれの約50〜500倍である。
【0080】
膨張黒鉛粒子は、それ自体、形状の変形性に富む。この性質は、柔軟性と云う言葉で表現される。この柔軟性は、膨張黒鉛粒子とそれに隣接する他の物体に対する膨張黒鉛粒子の形態的融和性により観察される。この形態的融和性は、膨張黒鉛粒子同士が、少なくとも一部が重なり合った状態で加圧作用を受けると、加圧状態に応じて、互いに変形し、粒子同士が少なくとも部分的に接合することにより、観察される。また、この形態的融和性は、膨張黒鉛粒子と、それらが気体透過性が確保される状態でシート状に配列せしめられる場合に用いられる補助材(例えば、カーボンブラックなどの従来用いられている柔軟性を有しない導電粒子、あるいは、炭素繊維などの従来用いられている導電繊維)とが、共に加圧された場合、膨張黒鉛粒子が、補助材の外形状に沿って、変形され、この補助材に接合されることにより、観察される。
【0081】
本発明の電極基材に用いられる多孔質導電シートは、柔軟性を有する導電性微粒子に加えて、他の導電性粒子や導電性繊維を含むことも好ましい実施態様であるが、この導電性繊維と導電性粒子の双方が、無機材料からなることにより、耐熱性、耐酸化性、耐溶出性に優れた電極基材が得られる。
【0082】
また、多孔質導電シートには、柔軟性を有しない導電性粒子、例えば、カーボンブラック粉末、黒鉛粉末、金属粉末、セラミックス粉末などを含んでも良いが、導電性粒子の30重量%以上が柔軟性を有する導電性粒子であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上が更に好ましい。
【0083】
固体高分子型燃料電池における水の結露と滞留が電極反応物を供給する際の妨げになる問題に対して、導電シートを電極に適用する際には撥水性の高分子を含むことも好ましい実施態様である。特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂が高い撥水性を有するため好ましく用いられる。導電シートを燃料電池用の集(給)電体として用いる場合は、撥水処理が必須であり、その際の撥水性の高分子は、導電シートを構成する導電性物質間の接着効果ももたらす。このことは、導電シートの強度、電気抵抗の点から有用である。PTFE、FEP、PFAは、燃料電池集電体に求められる撥水性や耐酸化性が高く、PTFEとPFAは、電気抵抗が低い効果をもたらすためさらに好ましい。
【0084】
上記のような高分子物質の導電シートに対する含有率は、0.1〜50重量%の範囲にあるのが好ましい。導電シートの電気抵抗を低くするためには、高分子物質の含有率は少ないほうがよいが、0.1重量%未満ではハンドリングに耐える強度が不足し、導電性物質の脱落も多くなる。逆に、50重量%を超えると導電シートの電気抵抗が増えてくるという問題が生じる。より好ましくは、1〜30重量%の範囲である。
【0085】
導電シートに添加した高分子物質は、200℃以上で焼成することも好ましい実施態様である。撥水処理に用いられる上記のフッ素樹脂は、融点以上に加熱することで、撥水性と結着性が向上する。また、フッ素樹脂以外の高分子物質においても、焼成により結着力が向上するほか、電気抵抗の低下、耐食性の向上が見られる。特にフッ素樹脂以外の高分子物質においては、燃料電池などの電気化学装置用電極として用いる際には、耐酸化性が乏しい場合があり、使用中に電極性能の低下をもたらす可能性がある。このため、電極作成時には結着剤として高分子物質を用い、電極として使用する前に焼成しておくことが好ましい。
【0086】
多孔質導電シートの電気抵抗Rの測定は、次による。幅50mm、長さ200mm、厚み1.5mmの表面が平滑な平面を有するガラス状炭素板の片面に、幅50mm、長さ200mm、厚み0.1mmの銅箔が貼着された試験電極板が、2枚用意される。2枚の試験電極板は、実質的に均一な間隔を保ち、ガラス状炭素板の面同士が対向して位置せしめられる。2枚の試験電極板のそれぞれの一端には、電流用の端子が、それぞれの他端には、電圧用の端子が、設けられている。直径46mmの円形に切り出されたシートが、前記間隙に挿入され、2枚の試験電極板の中央部に、載置される。載置されたシートに0.98MPaの圧力が作用するように、試験電極板が移動される。電流用の端子にて、2枚の試験電極板間に1Aの電流が流される。電圧用の端子にて、この時の電圧V(V)が測定される。測定された電圧Vの値が用いられ、次式により、抵抗R(mΩ・cm2)が求められる。
【0087】
R=V×2.3×2.3×π×1000
ここで、πは円周率である。
【0088】
多孔質導電性シートの電気抵抗は、100mΩ・cm2以下であることが好ましく、50mΩ・cm2以下であることがより好ましく、15mΩ・cm2以下であることが更に好ましい。撥水性のフッ素樹脂を含む多孔質導電シートの電気抵抗は、150mΩ・cm2以下であることが好ましく、70mΩ・cm2以下であることがより好ましく、30mΩ・cm2以下であることが更に好ましい。
【0089】
本発明に用いられる多孔質導電シートは、一方の面が粗な多孔質構造で、他方の面が密な多孔質構造である粗密非対称構造を有していることも好ましい。粗密非対称構造を有することにより、電気抵抗が低く、ガス透過性が良好で、しかも密な面側と触媒層との接合が良好な多孔質導電シートになる。
【0090】
この粗密非対称多孔質導電シートにおいて、その製造方法は特に限定されるものではないが、粗な構造の面の層と密な構造の面の層それぞれの層の物理的性質を表すパラメーターは、空隙率、嵩密度、ガス透過抵抗などを用いて規定することができる。
【0091】
空隙率は、シート全体積から導電性物質の占める体積を減じたものをシート全体積で除した百分率(%)である。この空隙率は、粗な構造では大きく、密な構造では小さくなる。特に、粗である面の層の多孔質構造の空隙率をVA(%)とし、密である面の層の多孔質構造の空隙率をVB(%)とするとき、5≦VA−VB≦90であることが固体高分子型燃料電池用基材として用いる場合に好ましく、VA≧90で、VB≦80であることがさらに好ましい。
【0092】
嵩密度は、シート全重量をシート全体積で除したものであり、ここでは単位はg/cm3である。この嵩密度は、粗な構造では小さく、密な構造では大きくなる。特に、粗である面の層の多孔質構造の嵩密度をDA(g/cm3)とし、密である面の層の多孔質構造の嵩密度をDB(g/cm3)とするとき、1≦DB/DA≦100であることが固体高分子型燃料電池用基材として用いる場合に好ましく、1.1≦DB/DA≦20であることがより好ましい。
上記の空隙率や嵩密度を求める際に、シート全体積を求める必要があるが、導電シートの厚みが加圧により変化する場合には、圧力12.7kPaにおける厚みをシートと厚みとする。
【0093】
ガス透過抵抗は、厚み方向への面圧によるシートへの加圧を行わない状態で、厚み方向に14cm/秒の空気を透過させたときの圧力損失である。ここでは、単位はPaである。このガス透過抵抗は、粗な構造では小さく、密な構造では大きい。特に、粗である面の層の多孔質構造のガス透過抵抗をPA(Pa)とし、密である面の層の多孔質構造のガス透過抵抗をPB(Pa)とするとき、1≦PB/PA≦100であることが固体高分子型燃料電池用基材として用いる場合に好ましく、1.1≦PB/PA≦20であることがより好ましい。
【0094】
尚、多孔質構造が粗である層と密である層は、それぞれ厚さが1μm〜1mmであることが好ましい(5μm〜500μmがより好ましい)。また、両者の厚さの比(粗な層の厚さ(TA)/密な層の厚さ(TB))は0.1〜1000が好ましい(0.5〜100がより好ましく、1〜20が更に好ましい)。また、両層の界面にて混合していて、境界が不分明の場合は、それぞれの表面から領域がはっきりしているところまでの深さ(乃至は境界が不分明な範囲の中心までの深さ)をそれぞれの層の厚さとする。
【0095】
導電性物質としては繊維状物質が好ましい。繊維状の形態を有する物質であれば、異なる繊維長の物質を用いて粗密非対称構造とすることが可能になる。たとえば、短い繊維を多く含む面を密な構造とし、長い繊維を多く含む面を粗な構造とすることができる。具体的な繊維長は、繊維状物質の直径や弾性率、あるいは導電シートが用いられる用途や要求性能などによって適宜決められるべきものである。このような場合に用いられる、繊維状の導電性物質としては、上記に述べるように炭素繊維が好ましく、特にPAN系炭素繊維が好ましい。
【0096】
また、直径5〜10μm、繊維長1mm以上の繊維状導電性物質と、直径5〜10μm、繊維長1mm未満の繊維状導電性物質とを組み合わせて粗密構造とする場合には、粗な多孔質構造面を繊維長1mm以上の繊維状導電性物質で作成し、密な多孔質構造面を繊維長1mm未満の繊維状導電性物質で作成することにより粗密構造の導電シートを作成することができる。このような場合では、繊維状導電性物質を炭素繊維とすることが好ましい実施態様となる。この場合なんら限定はされないが、粗な多孔質構造面は繊維長1〜30mmの炭素繊維を用いた不織布構造シートを用い、密な多孔質構造面を繊維長1mm未満の炭素繊維を用いて粗密構造導電シートを作成することも好ましい。また、粗な多孔質構造面は炭素繊維を用いた織物構造シートを用い、密な多孔質構造面を繊維長1mm未満の炭素繊維を用いて粗密構造導電シートを作成することも好ましい。繊維長5〜30mmのものにより粗な構造を得て、繊維長10μm〜1mmのものにより密な構造を得てシートを作成することがより好ましい。
【0097】
密である面の層に含まれる導電性繊維状物質の繊維長が1mmよりも長い場合、粗である面に含まれる導電性繊維状物質と密である面に含まれる導電性繊維状物質の繊維長が近すぎて実質的に粗密構造が得られず好ましくない。
【0098】
また、本発明に用いられる粗密非対称導電性シートにおいて、導電性繊維状物質が含まれる場合は、物理的性質を表すパラメーターは、導電性繊維状物質の繊維長(特に繊維長の比)を用いて規定することができる。一方の面(A面)に含まれる導電性繊維状物質の繊維長が他方の面(B面)に含まれる導電性繊維状物質の繊維長よりも長い場合、A面はB面よりも粗な構造となる。特に、粗である面の層に含まれる導電性繊維状物質の繊維長をLA(μm)とし、密である面の層に含まれる導電性繊維状物質の繊維長をLB(μm)とするとき、2≦LA/LB≦10000であることが好ましい。LA/LBが2よりも小さい場合、粗である面に含まれる導電性繊維状物質と密である面に含まれる導電性繊維状物質の繊維長が近すぎて実質的に粗密構造が得られず好ましくなく、LA/LBが10000よりも大きい場合、密である面の構造が密になりすぎてガス透過抵抗が大きくなり、燃料電池の電極基材として用いたときに面方向への気体透過性が低くなり好ましくない。2≦LA/LB≦1000がより好ましい。
【0099】
また、繊維状導電性物質から構成される導電性シートが、織物構造、編み物構造、不織布構造などの場合には、粗な構造のシートと密な構造のシートを重ね合わせたり、一方の面に繊維長の短い導電性物質を添加して密な多孔質構造とするなどの方法により、粗密構造導電シートとすることができる。織物、編み物、不織布などでは、単位面積あたりの繊維数や繊維重量を変化させることにより、粗密構造を制御することができる。
【0100】
導電性物質は粒子状物質であってもよい。粒子状の形態を有する物質であれば、異なる粒子径の物質を用いて、粗密非対称構造とすることが可能になる。例えば、径の小さい粒子を多く含む面を密な構造とし、径の大きな粒子を多く含む面を粗な構造とすることができる。
【0101】
導電性物質はまた、繊維状の形態を有する物質と粒子状の形態を有する物質の混合体であってもよい。その場合には、繊維状及び粒子状の物質の両者の比率を変化させることによって粗密非対称な構造とすることが可能となる。具体的な比率に関しては、繊維状物質の繊維長、繊維直径、弾性率と粒子状物質の粒子径やアスペクト比、あるいは導電シートが用いられる用途や要求性能などによって適宜決められるべきものであるが、例えば、直径5〜10μm、繊維長1mm以上の繊維状導電性物質と、粒子径10nm〜10μmの粒子状導電性物質とを組み合わせて粗密構造とする場合には、粗な多孔質構造面を繊維状導電性物質で作成し、密な多孔質構造面を粒子状導電性物質で作成することにより粗密構造の導電シートを作成することができる。このような場合では、繊維状導電性物質を炭素繊維とし、粒子状導電性物質を炭素粉末とすることが好ましい実施態様となる。この場合なんら限定はされないが、粗な多孔質構造面は繊維長1〜30mmの炭素繊維を用いた不織布構造シートを用い、密な多孔質構造面をカーボン粒子あるいはカーボンブラックを用いて粗密構造導電シートを作成することも好ましい。また、粗な多孔質構造面は炭素繊維を用いた織物構造シートを用い、密な多孔質構造面をカーボン粒子あるいはカーボンブラックを用いて粗密構造導電シートを作成することも好ましい。
【0102】
また、本発明に用いられる粗密非対称導電性シートにおいて、粗である面の層の多孔質構造が、繊維直径5μm〜10μmでかつ繊維長が1mm以上である導電性繊維状物質の織布あるいは不織布構造からなる場合には、密である面の層に含まれる導電性粒子状物質の粒径が10nm〜10μmであることが好ましい。密である面の層に含まれる導電性粒子状物質の粒径が10μmよりも大きい場合、粗である面に含まれる導電性繊維状物質の繊維直径と密である面に含まれる導電性粒子状物質の粒径が近すぎて実質的に粗密構造が得られず好ましくなく、10nmよりも小さい場合、密である面の構造が密になりすぎてガス透過抵抗が大きくなり、燃料電池の電極基材として用いたときに面方向への気体透過性が低くなり好ましくない。
【0103】
また、繊維状導電性物質と粒子状導電性物質との混合体であっても、異なる繊維長により粗密構造が形成され、粒子状導電性物質はシート内に均一に存在しているシートも好ましい実施態様である。この際の粒子状物質は、シートの導電性向上などに寄与するものである。
【0104】
本発明における膜−電極接合体の製造方法は、製造時に従来法に比べて加熱する温度が低く、接合時に電極基材がプレス面に張り付くなどしてはく離しにくいため、電極基材が抄紙法により作成されたマット不織布のようにはく離強度が弱い構造を有している場合には特に好ましい。
【0105】
本発明のプロトン交換膜、電極触媒層、電極基材から構成される膜−電極接合体は、さまざまな電気化学装置に適応することができる。なかでも、水電解装置や燃料電池が好ましく、さらに燃料電池の中でも、固体高分子型燃料電池に好適である。燃料電池には、水素を燃料とするものとメタノールなどの炭化水素を燃料とするものがあるが、特に限定されることなく用いることができる。
【0106】
さらに、本発明のプロトン交換膜、電極触媒層、電極基材から構成される膜−電極接合体を用いた燃料電池の用途としては、特に限定されることなく考えられるが、固体高分子型燃料電池において有用な用途である移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、乗用車、バス、トラックなどの自動車や、船舶、鉄道なども好ましい移動体である。
【0107】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0108】
比較例1
(1)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液(ガラス転移温度110℃)に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)プロトン交換膜の含水処理
DuPont社製Nafion112(ガラス転移温度110℃)を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した水を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体をセパレータに挟み固体高分子型燃料電池セルを作成した。この燃料電池セルをセル温度:60℃、燃料ガス:水素、酸化ガス:空気、ガス利用率:アノード70%/カソード40%において電流−電圧(I−V)測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0109】
比較例2
(1)膜−電極接合体の作成
比較例1の(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、乾燥状態のDuPont社製Nafion112を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は不良であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことができた。
(2)燃料電池評価
前記(1)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は200mW/cm2、限界電流密度は700mA/cm2であり、比較例1に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は80%であり、比較例1に比べて悪いものであった。
【0110】
比較例3
(1)膜−電極接合体の作成
比較例1の(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、乾燥状態のDuPont社製Nafion112を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、170℃で3分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(2)燃料電池評価
前記(1)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は400mW/cm2、限界電流密度は1000mA/cm2であり、比較例1に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は60%であり、比較例1に比べて悪いものであった。接合温度がプロトン交換膜のガラス転移温度以上であり、プロトン交換膜がダメージを受けて膜自身の強度やイオン交換能が低くなったためであると考えられる。
【0111】
実施例1
(1)両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、厚さ50μmのPTFEシートに塗布し、直ちに乾燥した。プロトン交換膜(DuPont社製Nafion112)の両面から、このPTFEシート2枚を電極触媒層がプロトン交換膜側になるようにしてはさみ、ロールプレスをした後にPTFEシートのみを両面とも剥がし、両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜を作成した。得られた両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の電極触媒層は、片面につき白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の含水処理
前記(1)で作成した両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(2)で作成した両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の両面から、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)2枚を挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、電極基材と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体から電極基材を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0112】
比較例4
(1)膜−電極接合体の作成
実施例2の(1)で作成した両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の両面から、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)2枚を挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体の電極触媒層と電極基材との間の界面の接合性は不良であり、接合体から電極基材を容易に剥がすことができた。
(2)燃料電池評価
前記(1)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は200mW/cm2、限界電流密度は700mA/cm2であり、実施例2に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は80%であり、実施例2に比べて悪いものであった。
【0113】
比較例5
(1)膜−電極接合体の作成
実施例2の(1)で作成した両面に電極触媒層が付いたプロトン交換膜の両面から、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)2枚を挟み、170℃で3分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体の電極触媒層と電極基材との間の界面の接合性は良好であり、接合体から電極基材を容易に剥がすことはできなかった。
(2)燃料電池評価
前記(1)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は400mW/cm2、限界電流密度は1000mA/cm2であり、実施例2に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は60%であり、実施例2に比べて悪いものであった。接合温度がプロトン交換膜のガラス転移温度以上であり、プロトン交換膜がダメージを受けて膜自身の強度やイオン交換能が低くなったためであると考えられる。
【0114】
比較例6
(1)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、予め撥水処理(PFAを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(E−TEK社製炭素繊維紡績糸織物B-1.“A"〔Plain weave carbon cloth〕、0.35mm厚)に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)プロトン交換膜の含水処理
DuPont社製Nafion112を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した水を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0115】
比較例7
(1)電極基材の作成
PAN系耐炎化糸(ZOLTEC社のPYRON(商標登録))を短繊維にカット(重量平均繊維長12mm)してカード化した後、ウォータージェットパンチング法にて不織布加工した。この耐炎化糸不織布にフェノール樹脂を0.3重量%含浸し、2,500℃にて炭化処理を行うことにより、炭素繊維不織布を作成した。この炭素繊維不織布に撥水処理(PFAを20重量%含浸し焼成する)を行い、電極基材を作成した。この電極基材の目付は80g/m2、厚みは200μmであった。
(2)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、前記(1)で作成した電極基材に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(3)プロトン交換膜の含水処理
DuPont社製Nafion112を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(4)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した水を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(5)燃料電池評価
前記(4)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0116】
比較例8
(1)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)プロトン交換膜の含溶媒処理
DuPont社製Nafion112をイソプロピルアルコール(沸点82℃)中で30分間煮沸し、溶媒を含ませた。。その後室温のイソプロピルアルコール中に保存して、溶媒を含んだ状態を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した溶媒を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0117】
比較例9
(1)プロトン交換膜の含溶媒処理
DuPont社製Nafion112をヘプタノール(沸点168℃)中で30分間煮沸し、溶媒を含ませた。その後室温のヘプタノール中に保存して、溶媒を含んだ状態を保った。
(2)膜−電極接合体の作成
比較例8の(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(1)で作成した溶媒を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜はまだ溶媒を含んでおり、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は不良であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことができた。
(3)燃料電池評価
前記(2)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は200mW/cm2、限界電流密度は700mA/cm2であり、比較例8に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0118】
比較例10
(1)膜−電極接合体の作成
比較例8の(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、比較例5の(1)で作成した溶媒を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、170℃で3分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(2)燃料電池評価
前記(1)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は400mW/cm2、限界電流密度は1000mA/cm2であり、比較例8に比べて悪い性能であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は60%であり、比較例8に比べて悪いものであった。接合温度がプロトン交換膜のガラス転移温度以上であり、プロトン交換膜がダメージを受けて膜自身の強度やイオン交換能が低くなったためであると考えられる。
【0119】
比較例11
(1)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)プロトン交換膜の含溶媒処理
DuPont社製Nafion112をジイソプロピルエーテル(沸点68℃)中で30分間煮沸し、溶媒を含ませた。その後室温のジイソプロピルエーテル中に保存して、溶媒を含んだ状態(含溶媒量11重量%)を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した溶媒を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は600mW/cm2、限界電流密度は1500mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0120】
比較例12
(1)粗な多孔質構造を有する導電性シートの作成
長さ12mmにカットしたPAN系炭素繊維(東レ株式会社製トレカ)の短繊維を、カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液中で分散、金網上に抄造し、粗な多孔質構造を有する導電性シートAを得た。得られたシートの目付は24g/m2、CMCの含有率は0.5%であり、シートの空隙率は95%、かさ密度は0.07g/cm3、ガス透過抵抗は4Paであった。
(2)密な多孔質構造を有する導電性シートの作成
長さ0.1mmにカットしたPAN系炭素繊維(東レ株式会社製トレカ)の短繊維を、CMC水溶液中で分散、金網上に抄造し、密な多孔質構造を有する導電性シートBを得た。得られたシートの目付は6g/m2、CMCの含有率は0.5%であり、シートの空隙率は80%、かさ密度は0.2g/cm3、ガス透過抵抗は100Paであった。
(3)電極基材の作成
上記シートAとシートBを重ねてプレス(温度:室温、圧力:2MPa)して、粗密非対称構造を有する電極基材を得た。
(4)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、前記(3)で作成した電極基材の密な面に塗布し、直ちに乾燥して、電極触媒層付き電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(5)プロトン交換膜の含水処理
DuPont社製Nafion112を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(6)膜−電極接合体の作成
前記(4)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(5)で作成した水を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(7)燃料電池評価
前記(6)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は700mW/cm2、限界電流密度は1800mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0121】
比較例13
(1)電極触媒層付き電極基材の作成
Aldrich社製Nafion溶液に、触媒担持カーボン(触媒:Pt、カーボン:Cabot社製ValcanXC-72、白金担持量:50重量%)を、白金とNafionの重量比が1:0.5になるように加え、よく撹拌して触媒−ポリマ組成物を調製した。この触媒−ポリマ組成物を、予め撥水処理(PTFEを20重量%含浸し焼成する)を行った電極基材(東レ製カーボンペーパーTGP−H−060)に塗布し、直ちに酢酸ブチルに浸漬して、三次元網目微多孔構造を有する電極触媒層が付いた電極基材を作成した。得られた電極触媒層付き電極基材の電極触媒層は、白金の付着量1mg/cm2であった。
(2)プロトン交換膜の含水処理
DuPont社製Nafion112を純水中で30分間煮沸し、水を含ませた。その後室温の純水中に保存して、水を含んだ状態(含水量24重量%)を保った。
(3)膜−電極接合体の作成
前記(1)で作成した2枚の電極触媒層付き電極基材の間に、前記(2)で作成した水を含んだ状態のプロトン交換膜を、電極触媒層がプロトン交換膜に接するように挟み、90℃で60分間、5MPaの条件でホットプレスし、接合体とした。得られた接合体のプロトン交換膜は乾燥しており、プロトン交換膜と電極触媒層との間の界面の接合性は良好であり、接合体からプロトン交換膜を容易に剥がすことはできなかった。
(4)燃料電池評価
前記(3)で得られた接合体を比較例1の(4)と同様にしてI−V測定を行ったところ、最高出力は700mW/cm2、限界電流密度は1800mA/cm2であった。またプロトン交換膜の引張強さの保持率は90%であった。
【0122】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来のものに比べて性能が高く、さらにプロトン交換膜の強度劣化やイオン交換能の低下を抑えた膜−電極接合体を製造することができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも、プロトン交換膜、電極触媒層、及び電極基材を接合させて膜−電極接合体を製造する方法において、予め溶媒をプロトン交換膜および電極触媒層に含ませ、実質上溶媒には浸漬しない状態で、加圧および加熱してプロトン交換膜および電極触媒層を接合し、溶媒を蒸発せしめることを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  2. 接合時に加える圧力が、1〜10MPaである請求項1に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  3. プロトン交換膜に含まれる溶媒の1気圧における沸点が、プロトン交換膜のガラス転移温度以下である請求項1または2に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  4. プロトン交換膜に含まれる溶媒が、水である請求項1〜3のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  5. プロトン交換膜が、スルホン酸基を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  6. プロトン交換膜が、フッ素原子を含むプロトン交換膜である請求項1〜5のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  7. プロトン交換膜が、フルオロアルキルエーテル側鎖とパーフルオロアルキル主鎖からなるものである請求項1〜6のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  8. 電極基材が、多孔質導電シートである請求項1〜7のいずれかに記載の膜−電極接合体の製造方法。
  9. 多孔質導電シートが、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛から選ばれる1種以上の炭素材を主たる構成材とするものである請求項8に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  10. 多孔質導電シートが無機導電性繊維を用いた織布構造あるいは不織布構造である請求項8または9に記載の膜−電極接合体の製造方法。
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