JP4942362B2 - 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP4942362B2
JP4942362B2 JP2006043951A JP2006043951A JP4942362B2 JP 4942362 B2 JP4942362 B2 JP 4942362B2 JP 2006043951 A JP2006043951 A JP 2006043951A JP 2006043951 A JP2006043951 A JP 2006043951A JP 4942362 B2 JP4942362 B2 JP 4942362B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous
carbon
membrane
polymer electrolyte
fuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006043951A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007227008A (ja
Inventor
和宏 隈岡
誠 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2006043951A priority Critical patent/JP4942362B2/ja
Publication of JP2007227008A publication Critical patent/JP2007227008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4942362B2 publication Critical patent/JP4942362B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極基材とそれを用いた燃料電池等に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性の高分子電解質膜を用いることを特徴としており、水素等の燃料ガスと酸素等の酸化ガスを電気化学的に反応させることにより起電力を得る装置である。固体高分子型燃料電池は、自家発電装置や、自動車等の移動体用の発電装置として利用可能である。
このような固体高分子型燃料電池は、水素イオン(プロトン)を選択的に伝導する高分子電解質膜を有する。また、貴金属系触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層と多孔質炭素電極基材とを有するガス拡散電極が、触媒層側を内側にして、高分子電解質膜の両面に接合された構造となっている。
このような高分子電解質膜と2枚のガス拡散電極からなる接合体は、膜電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。またMEAの両外側には燃料ガスまたは酸化ガスを供給し、かつ生成ガスおよび過剰ガスを排出することを目的としたガス流路を形成したセパレーターが設置されている。
多孔質炭素電極基材は主に次の3つの機能を持つ。第1に多孔質炭素電極基材の外側に配置されたセパレーターに形成されたガス流路より触媒層中の貴金属系触媒に均一に燃料ガスまたは酸化ガスを供給する機能である。第2に触媒層で反応により生成した水を排出する機能である。第3に触媒層での反応に必要な電子または生成される電子をセパレーターへ導電する機能である。
したがって、多孔質炭素電極基材には、高い反応ガスおよび酸化ガス透過能と、水の排出性、電子導電性が必要である。加えて、一般的な固体高分子型燃料電池で用いられる高分子電解質膜は、含水状態でプロトン伝導性を示すことより、多孔質炭素電極基材には生成水の排水のみでなく、高分子電解質膜の保水という相反する機能が求められている。多孔質炭素電極基材のガス透気度を高くし生成水の排水能を高くしたものでは、高分子電解質膜が乾燥することによりプロトン伝導抵抗が増大し、発電性能が低下する。逆に多孔質炭素電極基材のガス透気度を低くし高分子電解質膜の保水能を高めたものでは、生成水の排水不良によって反応ガスおよび酸化ガスの拡散が阻害されるフラッディングにより発電性能が低下する。
フラッディングおよびそれに起因するガス拡散性の低下を抑制しようとする技術として、例えば特許文献1(特開2003−109604号公報)には、触媒を担持した炭素粉末および高分子電解質からなる触媒層と、炭素材料からなり前記触媒層を支持する多孔質基材と、前記多孔質基材に付与された撥水材とからなるガス拡散電極であって、前記多孔質基材内における前記撥水材の量が、前記触媒層と接する側から他方の側に向かって連続的に変化していることを特徴とする燃料電池用ガス拡散電極が開示される。
特開2003−109604号公報
固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極基材には、生成水の排水と高分子電解質膜の保水という固体高分子型燃料電池内部での水分管理機能が必要となる。この水分管理機能の発現のために、多孔質炭素電極基材のガス透過係数を変化させることや、フッ素樹脂などの撥水剤や、シリカ等の酸化物を多孔質炭素電極基材に分散させる手法が用いられてきた。しかし、これらのフッ素樹脂などの撥水剤やシリカ等の酸化物は絶縁体であることが多いため、多孔質炭素電極基材中にフッ素樹脂やシリカ等の酸化物を分散させることにより導電率が低下するという問題があり、それらの分散量に制限が生じている。
また、この水分管理機能の発現のためには、高分子電解質膜と接する側においては生成水が液体状態で存在することになるが、多孔質炭素電極基材中では燃料ガスまたは酸化ガスの拡散経路を確保しなければならないため、液体状態ではなく気体状態である水蒸気として余剰な生成水を多孔質炭素電極基材を通じて外部に移動させる必要がある。したがって、多孔質炭素電極基材の触媒層と接する面側とセパレーターと接する面側とでは異なる水分管理機能の発現が必要となる。
加えて、この水分管理機能を発現するために、撥水剤等の付着量を多孔質炭素電極基材中で、厚み方向に連続的に変化させたものでは、それらの付着量を精度よく制御することが困難であり、固体高分子型燃料電池の性能を電極面積内で均一にすることができない。
本発明はこれら上記従来の技術の課題を解決するもので、多孔質炭素電極基材の燃料電池内部での水分管理機能の発現を容易にし、かつその水分管理機能の平面内での均一性を高くすることができる多孔質炭素電極基材およびそれを用いた燃料電池を提供することを目的とするものである。
上記課題は、本発明の主要な構成要素のひとつである少なくとも2枚のガス透過係数が異なる炭素材からなる導電性多孔質基材を積層した多孔質炭素電極基材によって解決される。好ましくは、前記少なくとも2枚のガス透過係数が異なる炭素材からなる導電性多孔質基材は、少なくとも2種の組成の異なる基材であり、前記少なくとも2枚の多孔質炭素基材のガス透過係数の差が30ml・mm/cm2・hr・Pa以上であり、さらに好ましくは、前記多孔質炭素電極基材は2枚の炭素材からなる導電性多孔質基材を積層したものであって、この2枚の導電性多孔質基材のガス透過係数がそれぞれ10〜100ml・mm/cm2・hr・Pa、130〜400ml・mm/cm2・hr・Paである多孔質炭素電極基材によって解決される。
本発明によれば、ガス透過係数の異なる炭素材からなる導電性多孔質基材を少なくとも2枚積層することにより、多孔質炭素電極基材としてガス透過係数が段階的に変化しており、各積層する導電性多孔質基材のガス透過係数を容易に制御でき、又、任意の積層が可能であることから、これらを組み合わせることにより、水分管理機能の平面内での均一性を高くすることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。図1は本発明で提案する多孔質炭素電極基材を用いた燃料電池の概略的構成図である。
図1に示されるように、本実施形態にかかる固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜1の片面に酸化ガス用触媒からなるカソード側触媒層2を、もう片面には燃料ガス用触媒からなるアノード側触媒層3を備えており、それぞれの触媒層の外側には炭素短繊維からなるカソード側多孔質炭素電極基材4,アノード側多孔質炭素電極基材5が備えられている。さらに、これらの高分子電解質膜1、触媒層2,3、多孔質炭素電極基材4,5からなる膜−電極接合体6を挟持するように、カソード側ガス流路13が形成されたカソード側セパレーター7、アノード側ガス流路14が形成されたアノード側セパレーター8を備えている。
また、それぞれのセパレーターには酸化ガス導入部9と排出部10、燃料ガス導入部11と排出部12が備えられている。燃料ガスは導入部11から導入され、アノード側セパレーター8に形成されたガス流路14から多孔質炭素電極基材5を介して触媒層3に供給され、プロトンと電子に解離される。電子は触媒層3から多孔質炭素電極基材5を介してセパレーター8に伝導され、外部の負荷に供給される。またプロトンは高分子電解質膜1中を伝導し、カソード側へ移動する。一方、酸化ガスは導入部9から導入され、カソード側セパレーター7に形成されたガス流路13から多孔質炭素電極基材4を介して触媒層2に供給され、高分子電解質膜1中を伝導してきたプロトンと結合して水を生成する。このようにして所望の起電力が取り出せる。
図2は本発明で提案する多孔質炭素電極基材の一例を示す略断面図である。本発明にかかる多孔質炭素電極基材は、ガス透過係数が異なる炭素材からなる導電性多孔質基材を少なくとも2種類重ねることにより、触媒層と接触する側とセパレーターと接触する側とでは異なる水分管理機能を示す。図2(a)に示すように、ガス透過係数の異なる2枚の導電性多孔質基材を積層したもの、図2(b)に示すように、ガス透過係数の異なる3枚の導電性多孔質基材を積層したもの、図2(c)に示すように、ガス透過係数の同じ2枚の導電性多孔質基材とこれらと異なるガス透過係数の導電性多孔質基材(図2(c)ではガス透過係数の小さい導電性多孔質基材を1枚とガス透過係数の大きい導電性多孔質基材を2枚としているが、逆にしてもよい)とを積層したものなどが挙げられる。ガス透過係数の異なる導電性多孔質基材を3枚以上使用する場合、一方の面から他方の面に向けて順にガス透過係数が増加するか減少するように組み合わせる。
本発明にかかる炭素材からなる導電性多孔質基材としては、固体高分子型燃料電池では、内部が酸性雰囲気となっているため、耐酸性を有する炭素多孔質材料がより好ましい。炭素多孔質材料としては、炭素多孔質フィルムや、複数の炭素繊維が集合してなる織物や、複数本の炭素短繊維が集合してなる抄紙体が好ましく、表面平滑性が高く、電気的接触が良好で、かつ高分子電解質膜への突き刺さりによる短絡が低減される複数本の炭素短繊維が集合してなる抄紙体がより好ましい。
抄紙体を構成する炭素短繊維としては、どのようなものでも用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維を含むことがより好ましい。
炭素短繊維の平均径は、表面平滑性、導電性の付与のためには3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。また、異なる平均径の炭素短繊維を2種類以上用いることも、表面平滑性、導電性の両立のために好ましい
炭素短繊維の長さは、抄紙時の分散性、および機械的強度を高めるために、3mm以上12mm以下が好ましく、4mm以上9mm以下がさらに好ましい。炭素短繊維を互いに結着させるための炭素材としては、樹脂を加熱によって炭素化して得られる炭素材を用いることができる。このために用いる樹脂としては、炭素化した段階で炭素材からなる多孔質基材の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際の炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。
ガス透過係数の異なる炭素材からなる導電性多孔質基材を得るには、炭素材を形成する際の炭素短繊維の種類や平均径を変えたり、炭素短繊維の含有量を変えたり、結着樹脂の種類を変えるなどして、組成の異なる炭素材を形成するのが好ましい。
次に本発明で提案する膜−電極接合体について図1を参照しながら説明する。
高分子電解質膜1としては、プロトン解離性の基、例えば−OH基、−OSO3H基、―COOH基、−SO3H基等が導入された高分子を用いることが好ましく、パーフルオロスルホン酸系の膜を用いることが、化学的安定性、プロトン伝導性の点よりさらに好ましい。
触媒としては、白金、白金合金、パラジウム、マグネシウム、バナジウム等があるが、白金、白金合金を用いることが好ましい。
固体高分子型燃料電池はカソード側において電極反応生成物としての水や高分子電解質膜1を浸透した水が発生する。またアノード側では高分子電解質膜の乾燥を抑制するために加湿された燃料が供給される。このような点より本発明にかかる多孔質炭素電極基材は、ガス透過性を確保するために撥水性の高分子を含むことが好ましい。撥水性の高分子としては、化学的に安定でかつ高い撥水性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂を用いることが好ましい。
撥水性の高分子の多孔質炭素電極基材への導入法としては、撥水性の高分子の微粒子が分散した分散水溶液中に多孔質基材を浸漬させるディップ法、分散水溶液を噴霧するスプレー法などを用いることができるが、面内方向、厚み方向への導入量の均一性の高いディップ法が好ましい。
撥水性の高分子の導入量は以下のように定義される。
撥水性の高分子の導入量=導入された撥水性の高分子の単位面積当たりの質量/多孔質基材の単位面積当たりの質量
上記撥水性高分子の導入量は多孔質基材の水分管理機能の発現のためには0〜50wt%が好ましく、ガス透過性、電気抵抗の観点より0〜40wt%がさらに好ましい。
また、重ね合わせた少なくとも2枚の導電性多孔質基材のガス透過係数の差は30ml・mm/cm2・hr・Pa以上であることが好ましい。さらに水分管理機能の差を明確にするという点で重ね合わせた少なくとも2枚の導電性多孔質基材のガス透過係数の差は100ml・mm/cm2・hr・Pa以上となることがより好ましい。30ml・mm/cm2・hr・Pa未満となると水分管理機能の差が明確にならず、実質的に厚み方向に均一な水分管理機能となってしまう場合がある。
本発明では、2種の異なるガス透過係数を有する導電性多孔質基材を重ね合わせた構成が好ましく、その場合のガス透過係数はそれぞれ、10〜100ml・mm/cm2・hr・Pa、130〜400ml・mm/cm2・hr・Paであることが好ましい。
ガス透過係数の異なる導電性多孔質基材を積層して多孔質炭素電極基材を製造する際、各導電性多孔質基材の厚みは所望の水分管理機能が得られるのであればどのように組み合わせてもよいが、同じ厚みとするか、ガス透過係数の大きいものほど厚くするのが好ましい。
本発明の多孔質炭素電極基材は、高分子電解質膜の両面に形成された触媒を担持した炭素粉末からなる触媒層側へ向かって、ガス透過係数が減少するように、炭素材からなる導電性多孔質基材を2枚以上重ねて配置することが好ましい。また、触媒を担持した炭素粉末からなる触媒層側へ向かって、ガス透過係数が増加するように、炭素材からなる導電性多孔質基材を2枚以上重ねて配置することも好ましい。これにより、高分子電解質膜の保水性が向上するとともに生成水によるフラッディングが抑制される。
参考例1〕
長さ3mmにカットした平均直径4μmのPAN系炭素短繊維を30質量%と、長さ3mmにカットした平均直径7μmのPAN系炭素短繊維を70質量%とからなる炭素短繊維を水中で分散させ、連続的に金網上に抄造し、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を28質量%付着させた後、乾燥させて炭素繊維紙を得た。
この炭素繊維紙に、フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学株式会社製)のメタノール溶液を含浸させ、室温でメタノールを十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を、30質量%付着させたフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
このフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を2枚重ねて250℃の温度で、1.0MPaの圧力を加えてロールプレスを行い、フェノール樹脂を硬化させ、不活性ガス(窒素)雰囲気中で、1900℃で連続的に炭素化して、炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材Aを得た。
また、長さ3mmにカットした平均直径7μmのPAN系炭素短繊維を100質量%とからなる炭素短繊維を水中で分散させ、連続的に金網上に抄造し、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を28質量%付着させた後、乾燥させて炭素繊維紙を得た。
この炭素繊維紙に、フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学株式会社製)のメタノール溶液を含浸させ、室温でメタノールを十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を、30質量%付着させたフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
このフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を2枚重ねて250℃の温度で、1.0MPaの圧力を加えてロールプレスを行い、フェノール樹脂を硬化させ、不活性ガス(窒素)雰囲気中で、1900℃で連続的に炭素化して、炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材Bを得た。
それぞれの導電性多孔質基材を18質量%のPTFEディスパージョン(商品名:PTFEディスパージョン、三井−デュポンフロロケミカル株式会社製)に含浸し、2枚の濾紙で挟んで乾燥させた後、360℃で1時間熱処理した。これによって導電性多孔質基材に対し20質量%の撥水性高分子化合物が含有された。この撥水性高分子化合物が導入された導電性多孔質基材AとBを重ねることによって、厚み方向にガス透過係数が変化した燃料電池用多孔質炭素電極基材1を得た。
このそれぞれの多孔質基材について、厚み、ガス透過係数を測定した結果を表1に示す。
参考例2〕
長さ3mmにカットした平均直径4μmのPAN系炭素短繊維を100質量%とからなる炭素短繊維を水中で分散させ、連続的に金網上に抄造し、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を28重量%付着させた後、乾燥させて炭素繊維紙を得た。
この炭素繊維紙に、フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学株式会社製)のメタノール溶液を含浸させ、室温でメタノールを十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を、30質量%付着させたフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を得た。
このフェノール樹脂含浸炭素繊維紙を2枚重ねて250℃の温度で、1.0MPaの圧力を加えてロールプレスを行い、フェノール樹脂を硬化させ、不活性ガス(窒素)雰囲気中で、1900℃で連続的に炭素化して、炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材A’を得た。得られた導電性多孔質基材A’の物性値を測定した。測定結果を表1に示す。このようにして得られた導電性多孔質基材A’に参考例1と同様にして撥水性高分子化合物を導入し、参考例1で得られた撥水性高分子化合物が導入された導電性多孔質基材Bと重ねることで、厚み方向にガス透過係数が変化した燃料電池用多孔質炭素電極基材2を得た。
〔比較例1〕
参考例1の撥水性高分子化合物が導入された炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材Aを1枚のみ使用して、厚み方向にガス透過係数が変化しない燃料電池用多孔質炭素電極基材3を得た。
〔比較例2〕
参考例1の撥水性高分子化合物が導入された炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材Aを2枚重ねて、厚み方向にガス透過係数が変化しない燃料電池用多孔質炭素電極基材4を得た。
〔比較例3〕
参考例2の撥水性高分子化合物が導入された炭素短繊維の抄紙体からなる導電性多孔質基材A’を1枚のみ使用して、厚み方向にガス透過係数が変化しない燃料電池用多孔質炭素電極基材5を得た。
上記導電性多孔質基材の特性評価は、次のようにして行った。
〔厚み〕
厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ7321(商品名。ミツトヨ社製)を使用し、測定した。なお、このときの測定子の大きさは、直径10mmで測定圧力は1.5kPaで行った。
〔厚さ方向ガス透過係数〕
JIS−P8117に準拠し、ガーレー式デンソメーターを使用し、200mm3の気体が通過する時間を測定し、算出した。
参考例3〕
(1)MEAの作製
参考例1の多孔質炭素電極基材1をカソード用、アノード用に2組用意した。両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量50質量%)からなる触媒層(触媒層面積25cm2、Pt付量0.3mg/cm2)を形成したパーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚30μm)を、この2組の多孔質炭素電極基材が触媒層および高分子電解質膜側へ向かって、ガス透過係数が減少するように挟持し、これらを接合し、MEAを得た。
(2)MEAの燃料電池特性評価
前記(1)において作製したMEAを、蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成した。
この単セルについて、電流密度−電圧特性を測定することによって燃料電池特性評価を行った。燃料ガスとして水素ガスを用い、酸化ガスとしては空気を用いた。セル温度80℃、燃料ガス利用率60%、酸化ガス利用率40%とした。また、ガス加湿は80℃のバブラーにそれぞれ燃料ガスと酸化ガスを通すことによって行った。電流密度が0.6A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.657V、セルの内部抵抗が2.6mΩであり、良好な特性を示した。
〔実施例
MEAを作製する際、触媒層および高分子電解質膜側へ向かって、ガス透過係数が増加するように挟持した以外は参考例3と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.6A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.664V、セルの内部抵抗が2.5mΩであり、良好な特性を示した。
〔比較例4〕
参考例1の多孔質炭素電極基材1に替えて比較例1の多孔質炭素電極基材3を用いたこと以外は、参考例3と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.6A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.649V、セルの内部抵抗が1.7mΩであり、参考例3、実施例1より低い特性を示した。
〔比較例5〕
参考例1の多孔質炭素電極基材1に替えて比較例2の多孔質炭素電極基材4を用いたこと以外は、参考例3と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.6A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.490V、セルの内部抵抗が2.0mΩであり、参考例3、実施例1より低い特性を示した。
参考例4
参考例1の多孔質炭素電極基材1に替えて参考例2の多孔質炭素電極基材2を用いたこと以外は、参考例3と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.5A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.534V、セルの内部抵抗が2.2mΩであり、良好な特性を示した。
〔実施例
参考例1の多孔質炭素電極基材1に替えて参考例2の多孔質炭素電極基材2を用いたこと以外は、実施例と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.5A/cm2のときの燃料電池セルのセル電圧が0.559V、セルの内部抵抗が2.2mΩであり、良好な特性を示した。
〔比較例6〕
参考例1の多孔質炭素電極基材1に替えて比較例3の多孔質炭素電極基材5を用いたこと以外は、参考例3と同様にして単セルを組み立て、評価した。
電流密度が0.5A/cm2ではフラッディングが起こり、発電ができなかった。
本発明の固体高分子型燃料電池の一形態を示す模式的断面図である。 本発明の多孔質炭素電極基材の一形態を示す略断面図である。
符号の説明
1:高分子電解質膜
2:カソード側触媒層
3:アノード側触媒層
4:カソード側多孔質炭素電極基材
5:アノード側多孔質炭素電極基材
6:膜−電極接合体(MEA)
7:カソード側セパレーター
8:アノード側セパレーター
9:酸化ガス導入部
10:酸化ガス排出部
11:燃料ガス導入部
12:燃料ガス排出部
13:カソード側ガス流路
14:アノード側ガス流路

Claims (5)

  1. 少なくとも2枚のガス透過係数が異なる炭素材からなる導電性多孔質基材を積層した多孔質炭素電極基材を、触媒を担持した炭素粉末を主体とする触媒層を介して高分子電解質膜の両面に接合してなる膜−電極接合体であって、前記多孔質炭素電極基材のガス透過係数が大きい方の導電性多孔質基材側が、前記触媒層を介して高分子電解質膜に接合されてなる膜−電極接合体
  2. 前記少なくとも2枚の炭素材からなる導電性多孔質基材は、少なくとも2種の組成の異なる多孔質基材である請求項1記載の膜−電極接合体。
  3. 前記少なくとも2枚の炭素材からなる導電性多孔質基材のガス透過係数の差が30ml・mm/cm2・hr・Pa以上である請求項1または2記載の膜−電極接合体
  4. 前記多孔質炭素電極基材は、ガス透過係数が異なる2種の炭素材からなる導電性多孔質基材を積層したものであって、前記2種の炭素材からなる導電性多孔質基材のガス透過係数がそれぞれ10〜100ml・mm/cm2・hr・Pa、130〜400ml・mm/cm2・hr・Paである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の膜−電極接合体
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の膜−電極接合体を用いた固体高分子型燃料電池。
JP2006043951A 2006-02-21 2006-02-21 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 Expired - Fee Related JP4942362B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006043951A JP4942362B2 (ja) 2006-02-21 2006-02-21 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006043951A JP4942362B2 (ja) 2006-02-21 2006-02-21 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007227008A JP2007227008A (ja) 2007-09-06
JP4942362B2 true JP4942362B2 (ja) 2012-05-30

Family

ID=38548644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006043951A Expired - Fee Related JP4942362B2 (ja) 2006-02-21 2006-02-21 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4942362B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5339261B2 (ja) * 2006-05-31 2013-11-13 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 燃料電池
JP2011029064A (ja) 2009-07-28 2011-02-10 Japan Gore Tex Inc 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層部材および固体高分子形燃料電池
CN102257661B (zh) * 2009-09-10 2014-05-28 松下电器产业株式会社 气体扩散层及其制造方法以及燃料电池
JP5592906B2 (ja) * 2012-02-08 2014-09-17 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用のガス拡散層と燃料電池、および燃料電池用のガス拡散層の製造方法
US9692070B2 (en) 2012-06-29 2017-06-27 Jntg Co., Ltd. Carbon substrate for gas diffusion layer, gas diffusion layer using the same, and electrode for fuel cell, membrane-electrode assembly and fuel cell comprising the gas diffusion layer

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000299113A (ja) * 1999-02-10 2000-10-24 Toray Ind Inc 導電シートおよびそれを用いた燃料電池用電極基材
JP2001283878A (ja) * 2000-03-30 2001-10-12 Toray Ind Inc 導電シートおよび該シートを用いた燃料電池用電極
JP5140898B2 (ja) * 2000-07-10 2013-02-13 東レ株式会社 膜−電極接合体の製造方法
JP2002164056A (ja) * 2000-11-22 2002-06-07 Aisin Seiki Co Ltd 固体高分子電解質型燃料電池及び電極、及びその電極の製造方法
JP2003183994A (ja) * 2001-10-09 2003-07-03 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維紙およびそれを用いた燃料電池用多孔質炭素電極基材
JP4266699B2 (ja) * 2002-12-02 2009-05-20 三菱レイヨン株式会社 固体高分子型燃料電池用多孔質電極基材及びその製造方法
JP4087766B2 (ja) * 2003-08-27 2008-05-21 アイシン精機株式会社 ガス拡散部材、ガス拡散部材の製造方法、燃料電池
JP2005174607A (ja) * 2003-12-08 2005-06-30 Aisin Seiki Co Ltd 固体高分子電解質形燃料電池、固体高分子電解質形燃料電池用ガス拡散電極

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007227008A (ja) 2007-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9601793B2 (en) Electrolyte film—electrode assembly
JP2006012832A (ja) 燃料電池用電極,これを含む燃料電池用膜−電極アセンブリと燃料電池,及び燃料電池用電極の製造方法
JP2008204945A (ja) ガス拡散電極用基材、ガス拡散電極及びその製造方法、並びに燃料電池
JP2008243453A (ja) 燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法
JP5915283B2 (ja) ガス拡散層およびそれを用いてなる燃料電池
JP4612569B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極構造体
JP2008311180A (ja) 膜電極接合体、その製造方法及び該膜電極接合体を用いた燃料電池
JP4133654B2 (ja) 固体高分子形燃料電池
JP5534831B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用ガス拡散層部材および固体高分子形燃料電池
JP4959945B2 (ja) 固体高分子型燃料電池
JP5055854B2 (ja) 燃料電池用の膜・電極接合体
JP5106808B2 (ja) 多孔質炭素電極基材およびそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP4942362B2 (ja) 膜−電極接合体及びそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP5743762B2 (ja) 電解質膜・電極接合体及びその製造方法
JP2007214019A5 (ja)
JP5328407B2 (ja) 水分管理シート、ガス拡散シート、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池
JP5311538B2 (ja) 多孔質炭素電極基材の製造方法
JP2007265898A (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質膜及びこれを備える固体高分子型燃料電池
JP2007234359A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極構造体
JP2016181488A (ja) 燃料電池用電極、燃料電池用膜電極複合体および燃料電池
JP2010015835A (ja) ガス拡散層、膜−電極接合体及び燃料電池
JP5023591B2 (ja) 燃料電池用の膜・電極接合体
JP2008311181A (ja) 膜電極接合体、その製造方法及び該膜電極接合体を用いた燃料電池
JP5884550B2 (ja) アノードガス拡散層
JP2006085984A (ja) 燃料電池用mea、および、これを用いた燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110713

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120228

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4942362

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees